説明

練歯磨組成物

【解決手段】 (A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)無水ケイ酸
を含有することを特徴とする練歯磨組成物。
【効果】 本発明によれば、口中からの液だれが少なく、歯垢除去力に優れた練歯磨組成物を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口中からの液だれが少なく、歯垢除去力に優れた練歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、当該技術分野ではカチオン化ポリマーは、フッ素化合物や抗プラスミン剤などの薬効成分と組み合わせて、それら薬効成分の口腔内滞留性や粘膜吸収性を向上させる検討がなされてきた(特許文献1〜4:特開2004−83543号公報、特開2002−205929号公報、特開2001−342123号公報、特開2001−226244号公報参照)。
【0003】
更に、カチオン化ポリマーを用いた離液防止等の保存安定性向上又は使用中の発泡性に優れた練歯磨組成物の検討がなされてきた(特許文献5〜7:特開2002−187829号公報、特開平6−183939号公報、特開昭60−1116号公報参照)。
【0004】
また、近年、予防歯科の観点から提唱されているブラッシングによるプラークコントロールのために、効率的な歯垢除去の手段が強く求められている。効率的な歯垢除去のためには、歯磨剤の歯垢除去力が優れていること、及びその歯磨剤が口中から溢れ出すことなく十分に作用することが有効であると考えられる。
【0005】
しかしながら、練歯磨組成物における口腔内でのカチオン化ポリマーの有用性は明らかであるにもかかわらず、歯垢除去効果を向上させる手段は見出されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−83543号公報
【特許文献2】特開2002−205929号公報
【特許文献3】特開2001−342123号公報
【特許文献4】特開2001−226244号公報
【特許文献5】特開2002−187829号公報
【特許文献6】特開平6−183939号公報
【特許文献7】特開昭60−1116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口中からの液だれが少なく、歯垢除去力に優れた練歯磨組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、(B)ラウリル硫酸ナトリウム、(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(E)無水ケイ酸を含有した練歯磨組成物が、口中からの液だれが少なく、優れた歯垢除去力が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
なお、ここでいう口中からの液だれとは、歯磨剤と唾液の混合物である。
従って、本発明は、上記(A)〜(E)成分を含有する練歯磨組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、口中からの液だれが少なく、歯垢除去力に優れた練歯磨組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について更に詳細に説明すると、本発明の練歯磨組成物は、(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、(B)ラウリル硫酸ナトリウム、(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(E)無水ケイ酸を含有するものである。
【0011】
ここで用いられる(A)成分のヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩とは、ヒドロキシエチルセルロースにジメチルジアリルアンモニウム塩をグラフト重合して得られるカチオン性ポリマーである。対イオンは、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや、メトサルフェートイオンなどである。
【0012】
本発明のヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩の2質量%水溶液粘度(BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分)は30mPa・s〜3,000mPa・s、特に35mPa・s〜350mPa・sが好ましい。その窒素含有量は0.1〜3質量%、特に0.5〜2.5質量%が好ましい。本発明のヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩の重量平均分子量は特に限定されないが、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量で、好ましくは250,000〜1,500,000である。
【0013】
このようなヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩としては、日本エヌエスシー株式会社から市販されているセルコートL−200(2質量%粘度:35mPa・s〜350mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:250,000〜350,000)、セルコートH−100(2質量%粘度:500mPa・s〜2,750mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:1,300,000〜1,500,000)などが挙げられる。これらは、対イオンが塩化物イオンである。このなかでも、歯垢除去力及び、口中からの液だれの点から、セルコートL−200(2質量%粘度:35mPa・s〜350mPa・s、BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量:250,000〜350,000)が好ましい。
【0014】
上記ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩の配合量は、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、通常練歯磨組成物全体の好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。練歯磨組成物全体の0.001質量%未満では口中からの液だれが劣る場合があり、2質量%を超えると十分な歯垢除去力が得られない場合がある。
【0015】
次に、本発明における(B)成分のラウリル硫酸ナトリウムの配合量は、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、通常練歯磨組成物全体の好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。0.1質量%未満では十分な歯垢除去力が得られない場合があり、5質量%を超えると口中からの液だれが劣る場合がある。
【0016】
本発明における(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオキサイド平均付加モル数は、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、3〜8であるものを用いることができ、好ましくは3〜5である。エチレンオキサイドの付加モル数が3未満のものは歯垢除去力が劣り、8を超えるものは口中からの液だれが劣る。
【0017】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素鎖長としては、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、炭素数が12〜18のものを用いることができ、好ましくは16〜18のものである。炭素数が12未満のものは歯垢除去力が劣る場合があり、炭素数が18を超えるものは口中からの液だれが劣る場合がある。
【0018】
この中でも、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜5であり、アルキル鎖の炭素鎖長が16〜18であるものが特に好ましい。
【0019】
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば日本エマルジョン株式会社の製品中、アルキル部分がセチルエーテルのものとして、エマレックス103,エマレックス105,エマレックス107、アルキル部分がステアリルエーテルのものとして、エマレックス603,エマレックス605,エマレックス606,エマレックス608などが挙げられる。
【0020】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、口中からの液だれの点から、練歯磨組成物全体の好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.8〜2質量%である。配合量が0.2〜5質量%において、口中からの液だれに優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明における(D)成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、そのエチレンオキサイドの平均付加モル数が、歯垢除去力及び口中からの液だれの点から、10〜30のものであり、20のものが好ましい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10未満のものは十分な歯垢除去力が得られず、30を超えるものは口中からの液だれが劣る場合がある。このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として、例えば日光ケミカルズ株式会社のHCO−10,HCO−20,HCO−30、日本エマルジョン株式会社のHC−10,HC−20,HC−30、青木油脂工業株式会社のBLAUNON RCW−20(ポリオキシエチレン20モル)などが挙げられる。
【0022】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量は、口中からの液だれの点から、練歯磨組成物全体の好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.8〜2質量%である。配合量が0.2〜5質量%において、口中からの液だれに優れた効果を発揮する。
【0023】
更に、本発明における(E)成分の無水ケイ酸は、その製造法として、シリカゲル法もしくは沈降法などがあり、具体的にはゼオデント(ヒューバー社製)、ニップシール(日本シリカ工業社製)、シリシア、サイロピュア(富士シリシア社製)、チクソシル(ローディア社製)、トクシール(トクヤマ社製)、ソルボシル(イネオス社製)、エロシル(日本アエロジル社製)、非晶質無水ケイ酸(多木化学社製)などが挙げられる。その配合量は、歯垢除去力の点から、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは15〜20質量%である。配合量が5〜30質量%において歯垢除去力に優れた効果を発揮する。
【0024】
更に、歯垢除去力を向上するために、上記無水ケイ酸は、(E1)JIS標準ふるいを用いたふるい分け法による重量分布による50%平均粒子径が100μm〜700μmの無水ケイ酸と、(E2)レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置Model 7995−10)を用いて、イオン交換水中にサンプルを投入して測定した50%平均粒子径が0.1μm以上100μm未満の無水ケイ酸とを、質量比で(E1)/(E2)=0.05〜0.2、好ましくは0.05〜0.15、特に好ましくは0.07〜0.13の割合で併用したものが好ましい。上記(E1)成分と(E2)成分の質量比が0.05〜0.2において歯垢除去力に優れた効果を発揮する。
【0025】
本発明の練歯磨組成物は、上記必須成分に加えて任意成分としてその他の添加剤を配合できる。
【0026】
練歯磨の場合は、例えば上記以外の研磨剤、粘結剤、上記以外の界面活性剤、湿潤剤、香料、甘味剤、防腐剤、各種有効成分、着色剤等を配合でき、これら成分と水とを混合して製造することができる。
【0027】
研磨剤としては、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
【0028】
これらの上記(E)成分の無水ケイ酸以外の研磨剤の配合量は、練歯磨組成物全体の0〜20質量%であり、配合する場合は2〜20質量%、特に5〜15質量%とすることが好ましい。
【0029】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナン、グアガム、アルギン酸、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラヤガム、ビーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
【0030】
これら粘結剤の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができるが、練歯磨組成物全体の0.1〜2質量%、特に0.3〜1質量%が好適である。
【0031】
上記(B)、(C)、(D)成分以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。アニオン性界面活性剤としては、ミリスチル硫酸ナトリウム等のラウリル硫酸ナトリウム以外のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型の界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
【0032】
これらの界面活性剤の配合量は、練歯磨組成物全体の0〜1質量%であり、配合する場合は0.1〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%とすることが好ましい。
【0033】
湿潤剤としては、ソルビット、グリセリン、プロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等が挙げられるが、特にソルビット、キシリットが好ましい。
【0034】
これら湿潤剤の配合量は、練歯磨組成物全体の5〜50質量%、特に20〜45質量%とすることが好ましい。
【0035】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。
【0037】
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェノール、α−ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物が挙げられる。
【0038】
なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0039】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号、二酸化チタン等を通常量で配合することができる。
【0040】
本発明の練歯磨組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、口腔用組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0042】
なお、下記例で、無水ケイ酸の平均粒子径100μm〜700μmは、JIS標準ふるいを用いたふるい分け法による重量分布による50%平均粒子径を指し、無水ケイ酸の平均粒子径0.1μm以上100μm未満は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置Model 7995−10)を用いて、イオン交換水中にサンプルを投入して測定した50%平均粒子径である。
【0043】
下記表1〜3に示す組成の練歯磨組成物を下記製造法により調製した。
(製造法)
精製水中に水溶性成分(フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、キシリット、リン酸水素二ナトリウム、ソルビット液、ポリエチレングリコール#4000、DL-アラニン)を常温で混合溶解させたA相を調製する。
プロピレングリコール中にヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウムを常温で分散させたB相を調製する。
撹拌中のA相中にB相を添加混合し、更に70℃で加温融解した非イオン性界面活性剤、15質量%ゼラチン水溶液を添加混合し、C相を調製する。
C相中に、香料、無水ケイ酸、その他の成分(デキストラナーゼ、酸化チタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、酸化アルミニウム)等の成分を1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い、常温で混合し、減圧(4kPaまで減圧)による脱泡を行い、練歯磨組成物1.2kgを得た。
【0044】
口中からの液だれ試験
表1〜3に示した練歯磨組成物について、10名の被験者により、練歯磨組成物1gと歯ブラシ(PCクリニカライオンスタンダード、かたさ:ふつう)を用い、3分間のブラッシング中の口中からの液だれについて、以下の基準により相対評価での官能試験を行い、平均値を求めた。
(評点)
3点:ブラッシング中に口中から液がたれない
2点:やや液がたれるが、比較例5に比べると少ない
1点:比較例5に比べブラッシング中の口中からの液だれが同等もしくは多い
(口中からの液だれ評価基準)
◎:口中からの液だれ平均点が2.0点以上〜3.0点以下
○:口中からの液だれ平均点が1.5点以上〜2.0点未満
×:口中からの液だれ平均点が1.0点以上〜1.5点未満
【0045】
歯垢除去試験
表1〜3に示した練歯磨組成物について、10名の被験者により、以下の方法で試験を行い、歯垢除去指数の平均値を求めた。
(1)試験前48時間の口腔清掃中止。
(2)イオン交換水3.5mLに歯垢染色液(BUTLER GUM RED COTE)を3滴添加撹拌したものを含嗽し、その後、イオン交換水15mLにてすすぎ、歯面に付着した歯垢を染色した。
(3)上下顎の前歯を写真撮影。
(4)表1〜3に示した練歯磨組成物1gと歯ブラシ(PCクリニカライオンスタンダード、かたさ:ふつう)を用い、3分間ブラッシングした後、イオン交換水15mLを用いて、2回すすぎを行った。
(5)イオン交換水3.5mLに歯垢染色液(BUTLER GUM RED COTE)を3滴添加撹拌したものを含嗽し、その後、イオン交換水15mLにてすすぎ、歯面に付着した歯垢を染色した。
(6)上下顎の前歯を写真撮影。
(7)ブラッシング前後の写真より、未治療の前歯を上下顎から1本ずつ選別し、ブラッシング前後の同一の歯牙を用いて、図1に示すように下顎前歯の歯面を9分割した場合の歯垢が付着している面を数え、下記式により歯垢除去指数を求めた。
歯垢除去指数=(ブラッシング前の歯垢付着面数−ブラッシング後の歯垢付着面数)
(歯垢除去力評価基準)
◎:歯垢除去指数平均点が7点以上〜9点以下
○:歯垢除去指数平均点が5点以上〜7点未満
△:歯垢除去指数平均点が3点以上〜5点未満
×:歯垢除去指数平均点が0点以上〜3点未満
【0046】
以下に結果を示す。なお、表1〜3中の配合量を表す数値はいずれも質量%である。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】


(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド[日本エヌエスシー株式会社製:セルコートL−200(2質量%水溶液粘度(BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分):132mPa・s)]
(B)ラウリル硫酸ナトリウム[東邦化学株式会社製:ラウリル硫酸ナトリウム]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX605]
(C)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX705]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数3)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX603]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数8)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX608]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数20)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−20]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数10)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−10]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数30)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−30]
(E1)無水ケイ酸[イネオス社製:ソルボシルBFG50(平均粒子径(JIS標準ふるいを用いたふるい分け法による重量分布による、50%平均粒子径):300μm)]
(E2)無水ケイ酸[多木化学株式会社製:非晶質無水ケイ酸(平均粒子径(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置Model 7995−10を用いて測定した50%平均粒子径)):18μm)]
アルギン酸ナトリウム[キミカ株式会社製:キミカアルギンI−2]
【0049】
【表3】


(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド[日本エヌエスシー株式会社製:セルコートL−200(2質量%水溶液粘度(BH型ブルックフィールド粘度計、ローターNo.2、20回転、21℃、測定時間1分):132mPa・s)]
(B)ラウリル硫酸ナトリウム[東邦化学株式会社製:ラウリル硫酸ナトリウム]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX605]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数2)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX602(比較品*1)]
(C)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数11)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX611(比較品*2)]
(C)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX505H(比較品*3)]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数20)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−20]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数5)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−5(比較品*4)]
(D)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイド平均付加モル数40)[日本エマルジョン株式会社製:EMALEX HC−40(比較品*5)]
(E1)無水ケイ酸[イネオス社製:ソルボシルBFG50(平均粒子径(JIS標準ふるいを用いたふるい分け法による重量分布による、50%平均粒子径):300μm)]
(E2)無水ケイ酸[多木化学株式会社製:非晶質無水ケイ酸(平均粒子径(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置Model 7995−10を用いて測定した50%平均粒子径):18μm)]
アルギン酸ナトリウム[キミカ株式会社製:キミカアルギンI−2]
【0050】
表1〜3の結果より、実施例1〜20においてヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、無水ケイ酸を特定量配合した練歯磨組成物はいずれも口中からの液だれが少なく、歯垢除去力が良好であった。一方、比較例1〜10においては口中からの液だれ、歯垢除去力、いずれかの点で十分な効果が発揮されていない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】歯垢除去試験において、歯垢除去指数を得るために9分割した下顎前歯の歯面分割図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム塩、
(B)ラウリル硫酸ナトリウム、
(C)アルキル基の炭素数12〜18、平均エチレンオキサイドモル数3〜8のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)平均エチレンオキサイドモル数10〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(E)無水ケイ酸
を含有することを特徴とする練歯磨組成物。
【請求項2】
無水ケイ酸(E)として、(E1)平均粒子径100μm〜700μmの無水ケイ酸と(E2)平均粒子径0.1μm以上100μm未満の無水ケイ酸とを質量比で(E1)/(E2)=0.05〜0.2の割合で併用したものを使用した請求項1記載の練歯磨組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−182658(P2006−182658A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374892(P2004−374892)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】