説明

繊維体の解繊機および解繊方法

【課題】繊維体の塊のように多方向に向いた繊維性の絡みがある塊状体を、多方向から解繊して十分に解繊可能な解繊機を提供する。
【解決手段】突起状の複数の解繊歯14a、16a、17aが設けられた解繊回転体14、16、17を備えて構成される上下に積層された第一、第二、第三解繊手段11、12、13を、解繊回転体14、16、17の軸芯方向が上下に隣接する解繊手段11、12、13同志のあいだで平面視で交差するように配したことにより、不定形被解繊繊維体Eを、解繊手段11、12、13によって順次解繊方向が異なる解繊を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる被解繊繊維体を解繊する繊維体の解繊機および繊維体の解繊方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体は、法面、埋立地、造成地等の地面に吹き付け、ここに草の種を播種する等して地面保守のために使用されたりしているが、最近、牛、馬等の排泄物処理する際の排泄物の水分除去用の添加物として使用することも試みられている。このような繊維体のなかには塊状のものを含んでいることがあり、このもの用いて法面等に吹き付けを行うと、吹き付け装置のホースが詰まってしまい、円滑な吹き付けができないという問題があるだけでなく、効率のよい水分除去についても阻害が有り、そのため、繊維体をよく解繊したものにすることが要求されている。
ところでこのような解繊機としては、回転軸から放射状に突出した解繊板歯を設けた解繊回転体と、該解繊回転体の下半部に解繊板歯の回転軌跡に沿うよう篩い孔を設けた篩い部とを備え、解繊板歯による被解繊物の剪断と、篩い部での篩い落としによって解繊しようとするものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−15793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこのものは、回転する解繊歯によって一方向に剪断されたものを篩い部で同じ方向に篩い落とすだけのものであるため、繊維体の塊のように多方向に向いた繊維性の絡みがある塊状体は、前記同一方向の剪断や篩い落しだけでは充分に解繊されず、特に塊状体を剪断した場合、剪断力を受けて小さく固まった状態で剪断され、これが乾燥すると石のように固くなって使用に耐えないものになるといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体の中に塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入して解繊するための解繊機であって、該解繊機は、回転体と、該回転体に軸回り方向と軸芯方向とに間隙を存して設けられ突起状の複数の解繊歯と、該解繊歯の解繊軌跡に沿うようにして回転体の下側に対向配設され、回転する解繊歯によって解繊された被解繊繊維体を篩い分けて下側に通過させる篩い体とを有して構成される解繊手段の複数段を、上下に積層し、かつ上下に隣接する解繊手段同志の回転軸芯を、平面視で交差するようにして配したことを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項2の発明は、請求項1において、解繊手段は、複数の回転体が略水平方向に並列して配されていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、上下に隣接する解繊手段同志の交差は略直交であることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一つにおいて、篩い体は、下側解繊手段のものほど篩い孔が小さくなっていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一つにおいて、解繊歯は、全部または一部が回転体の軸芯方向および/または軸回り方向に位置をずらせて設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか一つにおいて、最上段の解繊手段の上方には、板状をした被解繊繊維体を予備解繊するための予備解繊手段が設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項7の発明は、請求項6において、板状の被解繊繊維体の複数枚を立姿状に支持するための支持体を備えていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項8の発明は、請求項6または7において、塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入するための補助投入口が予備解繊手段に隣接して設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項9の発明は、請求項2乃至8の何れか一つにおいて、解繊手段は、複数の回転体のうちの少なくとも一つの回転方向が異なっていることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項10の発明は、請求項9において、互いに異なる回転体の回転方向は、回転する解繊歯によって掻き揚げられる被解繊繊維体が解繊手段中央側に寄る方向であることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れか一つにおいて、投入される被解繊繊維体は、水分を30〜70%含有するものであることを特徴とする繊維体の解繊機である。
請求項12の発明は、パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体の中に塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入して解繊するための解繊方法であって、該解繊方法は、突起状の複数の解繊歯が軸回り方向と軸芯方向とに間隙を存して設けられ、回転軸芯が水平方向を向いて配される回転体と、該解繊歯の解繊軌跡に沿うようにして回転体の下側に対向配設され、回転する解繊歯によって解繊された解繊繊維体を篩い分けて下側に通過させる篩い体とを有して構成される解繊手段の複数段が上下に積層され、かつ上下に隣接する解繊手段同志の回転軸芯が平面視で交差するようにして配された繊維体の解繊機を通過しながら解繊されることで、解繊方向が異ならしめられていることを特徴とする繊維体の解繊方法である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1または12の発明とすることにより、軸回り方向と軸芯方向とに間隙を存して設けられた複数の解繊歯が、被解繊繊維体を引き分けて解きほぐす状態で解繊することになって該解きほぐしされたものが篩い落とされることになるが、この解きほぐしと篩い落しとによる解繊作用が、軸芯方向が平面視で交差している上下複数段の解繊手段によって異なった方向で受けることになる結果、多方向に向けて複雑に絡み合っている塊状体を効率よく解繊して絡みが解けた単繊維に近い状態の解繊物にすることができる。
請求項2の発明とすることにより、並列した隣り合う解繊回転体で被解繊繊維体の効率の良い解繊ができることになる。
請求項3の発明とすることにより、上下に隣接する解繊手段同志が90度方向の異なった解繊をすることになって効率の良い解繊ができることになる。
請求項4の発明とすることにより、解繊当初は荒く、終段ほど細かい解繊ができることになって、解繊負荷を低減しながら十分に解繊された解繊物を作ることができる。
請求項5の発明とすることにより、被解繊繊維体の解繊が円滑に効率よく行われることになる。
請求項6の発明とすることにより、解繊し難い板状の被解繊繊維体を、解繊しやすい解繊状態にすることができるため、解繊物の十分な解繊を実現できる。
請求項7の発明とすることにより、被解繊繊維体が予備解繊回転体の上側から略垂直に挿入されるため、被解繊繊維体の自重により予備解繊回転体に押し圧状に当接することになって予備解繊の効率を高めることができる。
請求項8の発明とすることにより、予備解繊する必要の無い被解繊繊維体を迅速に解繊することができる。
請求項9または10の発明とすることにより、被解繊繊維体が片側に偏ることによる詰まりや解繊効率の減退を防ぐことができる。
請求項11投入される被解繊繊維体は、水分を30〜70%含有するものであるので効率よく解繊することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体の中に塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入して解繊し、該解繊した解繊物Gを袋詰めするための解繊処理システムを示したものであって、被解繊繊維体を解繊する解繊機1と、該解繊された解繊物Gを貯留するタンク装置2と、解繊物Gを解繊機1からタンク装置2に搬送するコンベアC1とを備えて構成されている。因みに、被解繊繊維体は、解繊効率をよくするためには含水率が30〜70%であることが好ましく、さらに好ましくは35〜55%である。
【0007】
本実施の形態の解繊機1は、塊状のものを含んでいて例えば袋詰めされた状態で解繊処理システムに搬入される不定形で塊状のものを含んだパルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる不定形被解繊繊維体Eの解繊処理をする主解繊装置4と、板状をした状態で解繊処理システムに搬入される板状被解繊繊維体Fについて予備の解繊処理をする予備解繊装置3とを備えて構成されるが、該予備解繊装置3で予備解繊処理されたもの、あるいは予備解繊の必要がないものが主解繊装置4によって解繊処理を受けるようになっている。尚、予備解繊装置3と主解繊装置4とのあいだには投入された不定形被解繊繊維体Eを貯留するホッパH1が形成されている。
【0008】
前記解繊機1は、上方が開口した角筒型形状のケーシング5を備えて構成されているが、該ケーシング5の上側開口には、両被解繊繊維体E、Fを投入するための投入口5aと、板状被解繊繊維体Fの予備解繊作業時に不定形被解繊繊維体Eを合わせて解繊したい場合に該繊維体Eを投入する補助投入口5bとが形成されている。そしてケーシング5の上側に複数(本実施の形態では5本)の予備解繊回転体6を備えた予備解繊装置3が配され、該予備解繊装置3の下側に主解繊装置4が配されている。
【0009】
各予備解繊回転体6は、軸芯が水平方向を向いた横向きの平行状態で一列状に配設されてケーシング5に回転自在に軸支されているが、予備解繊回転体6には、周面から外径方向に向けて放射状に設けられた突起状の予備解繊歯6aが軸回り方向および軸芯方向に間隙を存して複数突設されていて、板状被解繊繊維体Fを引掻く状態で予備解繊するようになっている。そして補助投入口5b側の予備解繊回転体6の上側には、引っ掻かれ損ねた板状被解繊繊維体Fを、細切れに切断するリング刃8aが設けられた補助回転体8がケーシング5に回転自在に軸支されていて、投入口5aと補助投入口5bとを仕切っている。
前記補助回転体8は、ケーシング5の補助投入口5b側にのみに設けられているが、これをケーシング5の反対側にも設けて、予備解繊回転体6の回転を適宜に正逆回転駆動させて引っ掻かれ損ねた板状被解繊解繊体Fを左右何れかの補助回転体8で細切れに裁断できるようにして下方に落下させるようにしても良い。
【0010】
M1は予備解繊回転体6と補助回転体8とを回転駆動するための第一モータであって、第一モータM1の駆動力は、減速装置Rを介して出力軸Nに出力されたものが前記予備解繊回転体6のうち1つ(本実施の形態では補助投入口5bから2番目のもの)に設けた入力軸6bにベルト伝動機構(勿論、チエン伝動、ギア伝動等の各種の動力伝動機構を採用できることは言うまでもない。以下同じ。)B1を介して入力するようになっている。一方、前記各予備解繊回転体6同志は、ベルト伝動機構B1を介して連動連結されているが、本実施の形態では隣接する予備解繊回転体6同志が互いに逆方向に回転するようベルトの懸回がなされている。因みに、ベルトの懸回は、全ての予備解繊回転体6が同一方向に回転するようにしてもよいが、後述するように板状被解繊繊維体Fを予備解繊する際に、全てが同一方向に回転するものであると、板状被繊維体Fが回転方向に押し寄せられた密集状態となって円滑な予備解繊が損なわれる惧れがあり、このため少なくとも一つが逆向きの回転をするようにベルトの懸回をすることが好ましい。
【0011】
そして板状被解繊繊維体Fは、板面が予備解繊回転体6の軸芯方向と直交になる姿勢で、多数枚を立姿状に重ねた状態で投入口5aから投入され、該立姿姿勢で回転する予備解繊回転体6によって予備解繊されて主解繊装置4に落下することになるが、ケーシング5の内側面には、前記立姿状の板状被解繊繊維体Fの表面がケーシング5の側面から離間するよう促すために突設または帯板部材を添設された突設部5cを有している。さらにケーシング5には、前記立姿上に投入された板状被解繊繊維体Fが投入口5aから上方に突出するものである場合に、該突出している部位が倒伏しないよう支持する支持体10が起倒自在に蝶着されているが、補助投入口5b側の支持体10は、倒伏姿勢では補助投入口5bを塞いでおり、起立姿勢では補助投入口5bを開放するようになっていて、この予備解繊作業と同時に補助投入口5bからさらに不定形被解繊繊維体Eを投入できるようになっている(図4参照)。
因みに、不定形被解繊繊維体Eを解繊する場合、支持体5を倒伏姿勢にして投入口5aから投入することもできるが、この場合、予備解繊回転体6を回転させて予備解繊してもよく、不定形被解繊繊維体Eが予備解繊回転体6間の隙間を通り抜けるものである場合には予備解繊する必要は無い。
【0012】
一方、主解繊装置4は、複数の解繊手段を上下に積層して構成されているが、本実施の形態では、上段の第一解繊手段11、中段の第二解繊手段12、下段の第三解繊手段13を上下に積層して構成されていて、不定形被解繊繊維体Eは、第一解繊手段11、第二解繊手段12、第三解繊手段13により順次解繊される設定になっている。
【0013】
第一解繊手段11は、ケーシング5に回転自在に軸支され、回転軸芯が前記予備解繊回転体6の軸芯方向とは直交する状態で水平方向に並列状に配設された第一解繊回転体(以下、単に解繊回転体)14の複数本(本実施の形態では4本)と、該解繊回転体14により解繊された解繊部Gを篩い分けて落下させる第一篩い部(以下、単に篩い部)15とを備えて構成されている。前記解繊回転体14には、周面に外径方向に向けて突出するようにして解繊歯14aが軸回り方向と軸芯方向とに間隔を存して複数設けられているが、本実施の形態の解繊歯14aは、板厚が解繊回転体14の軸芯方向を向いた板体で、解繊回転体14の回転方向先端側に刃面14bを有するものとして構成されていて、解繊回転体14の回転に伴い、不定形被解繊繊維体Eを刃面14bの板厚方向に引き分けて解きほぐす状態で解繊するようになっている。因みに、解繊歯14aは、解繊回転体14の回転方向先端側に刃面14bがあるものが好ましいが、刃面を有しないものでも勿論よい。
【0014】
M2は解繊回転体14を回転駆動すべくケーシング5に外装された第二モータであって、本実施の形態では、第二モータM2は前記複数ある解繊回転体14の一半部と他半部とをそれぞれ回転すべく一対が設けられ、ベルト伝動機構B2により解繊回転体14の回転をするようになっているが、ベルト伝動機構B2は、同一の第二モータM2に連動連結される解繊回転体14同志が同一方向に回転するように懸回され、そして前記一対の第二モータM2は互いに逆回転をし、これによって一半部と他半部との解繊回転体14の上側回転軌跡がそれぞれケーシング1の中央側に向くようになっていて、不定形被解繊繊維体Eがケーシング1の側壁面側に寄って堆積してしまうことを回避している。因みに、解繊回転体14の回転方向は任意であり、例えば全てが同一方向に回転するもの、一つが異なった方向に回転するもの、交互に逆方向に回転するもの等、必要において適宜の選択ができるものである。
【0015】
一方、篩い部15は、解繊歯14aの解繊軌跡に沿うようにして解繊回転体14の下側に対向配設された半円筒板から形成されており、そして篩い部15に穿設される篩い孔は、本実施の形態では縦横齟齬状に配した複数の丸孔15aと、該丸穴15aの傾斜位置にある二つ分を連結した長孔15bとで形成されていて、解繊された解繊物を篩い分けて下側に通過せしめて第二解繊手段12に供給し、ここで解繊された解繊物をさらに第三解繊手段13に供給して解繊するようになっている。
【0016】
第二、第三解繊手段12、13は、それぞれ第二解繊歯16aが設けられた第二解繊回転体16、第三解繊歯17aが設けられた第三解繊回転体17、第二篩い部18、第三篩い部19を備えて構成されるが、これら第二、第三解繊手段12、13の基本的構成は第一解繊手段11と同様であるのでその詳細については省略し、異なるところについて以下に詳述する。
【0017】
第二解繊手段12は、第二解繊回転体16の軸芯方向が、第一解繊手段11の解繊回転体14の軸芯方向とは直交する状態で配されていることで、平面視したときに、第二解繊回転体16と第一解繊回転体14とは交差する配置となっている。また、第二篩い部18には、第一篩い部15に穿設される丸孔15aよりも小径の丸孔18aが篩い孔として形成されている。
一方、第三解繊手段13は、第三解繊回転体17の軸芯方向が、第二解繊手段12の解繊回転体16の軸芯方向とは直交する(この結果、第三解繊回転体17の軸芯方向と、第一解繊回転体14の軸芯方向とが同じになる)状態で配されていることで、平面視したときに、第三解繊回転体17と第二解繊回転体16とは交差する配置となっている。また、第三篩い部19には、第二篩い部18に穿設される丸孔18aよりもさらに小径の丸孔19aが篩い孔として形成されている。因みに、上下に隣接する解繊手段同志の解繊回転体の軸芯方向は、直交状態で交差する必要はなく、例えば60度の交差としてもよいことは勿論である。
【0018】
20はケーシング5の下端部に開設された吐出口であって、該吐出口20からは、隣接するもの同志の解繊方向が異なる第一、第二、第三解繊手段11、12、13によって解繊された解繊物GをコンベアC1に吐出することになるが、該吐出口20には、解繊物Gの吐出を促進するため第三モータM3の駆動に連動して回転する回転羽根21を備えている。
【0019】
一方、前記タンク装置2は、図12〜図15に示すように、コンベアC1によって搬送される解繊物Gが上側から供給されて貯留するタンク22と、該タンク22の底側に設けられていて解繊物Gを袋詰めする袋詰め装置23とを備えて構成されているが、本実施の形態のタンク22は、下側ほど接近するように傾斜した傾斜面22aを備え、タンク22の底面22bには解繊物Gの排出口22cが形成された構成になっている。さらに、タンク22内には、傾斜面22aに沿うようにして上側から垂下され、圧縮空気を吐出することで妄動して傾斜面22aに堆積する解繊物Gを叩き落すホース24と、タンク底面位置に設けられ、タンク底面22bに堆積する解繊物Gを排出口22cに誘導案内する案内部25を備えている。尚、24aは、ホース24が傾斜面22aから離れた状態で不測に妄動しないように保持するため、タンク傾斜面22aに近接する状態で22内に横向き状に設けたホース保持部であるが、該ホース保持部24aを横向き方向に移動自在にして傾斜面22aに堆積している解繊物Gをズリ落とすように構成することもできる。
【0020】
前記案内部25は、回転する支軸25aと、該支軸を螺旋状に巻装した螺旋部25bと、該螺旋部25bを支軸に支持する支持部材25cとからなっているが、螺旋部25bは螺旋方向が異なる左右二部材でなっていて解繊物Gを中央側に移動案内するようになっている。
【0021】
そして、排出口22cから排出された解繊物Gは、袋詰め装置23に供給されて袋Pに袋詰めされることになるが、該袋詰め装置23は、前記排出口22cから排出された解繊物Gを受けて横方向に案内させるための案内筒26と、該案内筒26内に設けられて解繊物Gを強制移動させるための強制移動体27とを備えて構成され、袋Pを秤28に載せた状態で解繊物Gを落下口29から落下させて詰め込むようになっている。因みに、袋詰めされた解繊物Gが適量となったことを秤28で計量し、これにあわせて強制移動体27を停止させる等して自動的に袋詰装置23を停止するように設定することもできる。
【0022】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、突起状の複数の解繊歯14a、16a、17aが設けられた解繊回転体14、16、17を備えて構成される上下に積層された第一、第二、第三解繊手段11、12、13を、解繊回転体14、16、17の軸芯方向が上下に隣接する解繊手段11、12、13同志のあいだで平面視で交差するように配したことにより、これら解繊手段11、12、13によって順次解繊される不定形被解繊繊維体Eは、次の解繊手段に供給されたとき、解繊方向が前回とは異なった方向の解繊を受けることになる。この結果、不定形被解繊繊維体Eに多方向に複雑に絡み合った魂状体が混入していたとして、該魂状体は異なる方向の解繊処理を受けてよく解きほぐされることになって絡みが解けた殆んど単繊維に近い状態の解繊物Gになる。このため、この解繊物Gを工事現場において吹き付け用ホースで吹き付ける際に詰まったりすることもなく、また家畜糞尿等の排泄物処理にも適した充分な水分除去効果を期待できる。
【0023】
また、各解繊手段11、12、13は、複数の解繊回転体14、16、17が略水平方向に並列して配されていて解繊歯14a、16a、17a、による引掻き状態の解繊が広い面積でできことになって、解繊機1の解繊処理量を増加できると共に高い解繊性能を発揮できることになる。
また、各解繊手段11、12、13に設けられる篩い体15、18、19は、下側の解繊手段のものほど篩い孔15a、18a、19aが小さくなっているので、粗解繊から細解繊に至る解繊が順次行われることになって、解繊回転体14、16、17の解繊負荷を低減しながら十分に解繊された解繊物Gを作ることができる。
【0024】
さらにまた各解繊歯14a、16a、17aは、全部または一部が回転体の軸芯方向および/または軸回り方向に位置をづらせて設けられているので、効率の良い解繊ができることになる。
そのうえ各解繊手段11、12、13において、各設けられる解繊回転体14、16、17の回転方向が異なっているため、各解繊手段11、12、13で二方向の解繊がなされたものが、さらに次の解繊手段で異なる二方向の解繊を受けることになってより効率のよう解繊ができることになる。しかも異なった二方向の解繊は、不定形被解繊繊維体Eを解繊手段11、12、13の中央側に寄る方向であるので、不定形被解繊繊維体Eが片側に偏ることによる詰まりや解繊効率の低減を防ぐことができる。
【0025】
またこのものでは、第一解繊手段11の上方に板状被解繊繊維体Fを予備解繊するための予備解繊手段3が設けられているので、従来解繊が難しかった板状被解繊繊維体Fの解繊までもができる。
しかもこの板状の板状被解繊繊維体Fの解繊は、該繊維体Fの複数枚を立姿状に支持した状態とし、該立姿姿勢の繊維体Fの下側端部を予備解繊歯6aで掻き毟るようにして行うため、板状被解繊繊維体Fの解繊が円滑になる。そしてこの板状被解繊繊維体Fの立姿姿勢の支持が支持体10でできるので、板状被解繊繊維体Fが不用意に倒れてしまうことを防止できる。
しかもこのものでは、板状被解繊繊維体Fの予備解繊作業と並行して塊状のものを含んだ不定形被解繊繊維体Eを補助投入口5bから投入して解繊することができるため、一段と作業効率の良いものにできる。
【0026】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば図15に示される第二の実施の形態のようにしても実施することができる。このものは、不定形被解繊繊維体Eが供給されるホッパH2、該ホッパH2に供給された不定形被解繊繊維体Eを揚上搬送するコンベアC2、該揚上搬送された不定形被解繊繊維体Eを解繊するための解繊機(前記第一の実施の形態の解繊機と同様のもの)30、該解繊機30で解繊された解繊物Gを貯留するタンク装置31を備えて構成されているが、タンク装置31には袋詰め装置32が設けられていて解繊物Gを前記同様にして袋詰めできるようになっている。因みに、前記第一の実施の形態の場合も同じであるが、袋詰め装置32に変えて揚上搬送コンベアC3を設け、該揚上搬送コンベアC3で揚上搬送した解繊物Gをトラックの荷台やコンテナ等に直接供給するようにしてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】解繊処理システムを示す概略図である。
【図2】解繊機の側面図である。
【図3】解繊機の正面図である。
【図4】板状被解繊繊維体を投入した状態の予備解繊装置の側方から見た一部を断面した正面図である。
【図5】(A)は予備解繊回転体の配置状態を示した予備解繊装置の平面図であり、(B)は板状被解繊繊維体を投入した状態を示した予備解繊装置の平面図である。
【図6】主解繊装置の側方から見た部分断面側面図である。
【図7】第一解繊回転体の回転方向を示す側面参考図である。
【図8】第一解繊回転体の正面図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ第二解繊回転体(第三解繊回転体)の側面図、正面図である。
【図10】(A)、(B)、(C)はそれぞれ第一篩い部、第二篩い部、第三篩い部の平面図である。
【図11】タンク装置の正面図である。
【図12】タンク装置の側面図である。
【図13】タンク装置の平面断面図である。
【図14】案内部の平面図である。
【図15】第二の実施の形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 解繊機
3 予備解繊装置
4 主解繊装置
6 予備解繊回転体
6a 予備解繊歯
11 第一解繊手段
12 第二解繊手段
13 第三解繊手段
14 第一解繊回転体
14a 第一解繊歯
15 第一篩い部
16 第二解繊回転体
16a 第二解繊歯
17 第三解繊回転体
17a 第三解繊歯
18 第二篩い部
19 第三篩い部
E 不定形被解繊繊維体
F 板状被解繊繊維体
G 解繊物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体の中に塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入して解繊するための解繊機であって、該解繊機は、回転体と、該回転体に軸回り方向と軸芯方向とに間隙を存して設けられ突起状の複数の解繊歯と、該解繊歯の解繊軌跡に沿うようにして回転体の下側に対向配設され、回転する解繊歯によって解繊された被解繊繊維体を篩い分けて下側に通過させる篩い体とを有して構成される解繊手段の複数段を、上下に積層し、かつ上下に隣接する解繊手段同志の回転軸芯を、平面視で交差するようにして配したことを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項2】
請求項1において、解繊手段は、複数の回転体が略水平方向に並列して配されていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項3】
請求項1または2において、上下に隣接する解繊手段同志の交差は略直交であることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、篩い体は、下側解繊手段のものほど篩い孔が小さくなっていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、解繊歯は、全部または一部が回転体の軸芯方向および/または軸回り方向に位置をずらせて設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一つにおいて、最上段の解繊手段の上方には、板状をした被解繊繊維体を予備解繊するための予備解繊手段が設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項7】
請求項6において、板状の被解繊繊維体の複数枚を立姿状に支持するための支持体を備えていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項8】
請求項6または7において、塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入するための補助投入口が予備解繊手段に隣接して設けられていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項9】
請求項2乃至8の何れか一つにおいて、解繊手段は、複数の回転体のうちの少なくとも一つの回転方向が異なっていることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項10】
請求項9において、互いに異なる回転体の回転方向は、回転する解繊歯によって掻き揚げられる被解繊繊維体が解繊手段中央側に寄る方向であることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一つにおいて、投入される被解繊繊維体は、水分を30〜70%含有するものであることを特徴とする繊維体の解繊機。
【請求項12】
パルプ繊維、パルプ繊維滓等からなる繊維体の中に塊状のものを含んだ被解繊繊維体を投入して解繊するための解繊方法であって、該解繊方法は、突起状の複数の解繊歯が軸回り方向と軸芯方向とに間隙を存して設けられ、回転軸芯が水平方向を向いて配される回転体と、該解繊歯の解繊軌跡に沿うようにして回転体の下側に対向配設され、回転する解繊歯によって解繊された解繊繊維体を篩い分けて下側に通過させる篩い体とを有して構成される解繊手段の複数段が上下に積層され、かつ上下に隣接する解繊手段同志の回転軸芯が平面視で交差するようにして配された繊維体の解繊機を通過しながら解繊されることで、解繊方向が異ならしめられていることを特徴とする繊維体の解繊方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−2042(P2008−2042A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175140(P2006−175140)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(507142605)有限会社 サンワスキル (1)
【出願人】(507142580)
【出願人】(505113595)
【Fターム(参考)】