説明

繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置

【課題】簡単な構造で安価に構成可能な設備にて、強化繊維基材をZ形断面形状や長手方向に湾曲する部分を有する形状に、円滑にかつ容易に賦形することが可能な、繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダーを設け、成形型上に配置された強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨張動作により成形型に沿う形状に賦形する工程を有することを特徴とする繊維強化樹脂複合材料の製造方法、および製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置に関し、とくに、マトリックス樹脂の含浸や硬化前に強化繊維基材を所定形状に効率よく屈曲賦形可能な、繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
とくに長尺の繊維強化樹脂複合材料、例えば長尺の梁を構成する繊維強化樹脂複合材料を成形するに際しては、フランジ部を形成するために、平板状の強化繊維基材の断面における両側を折り曲げ賦形し、所定形状に賦形されたドライの強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させ硬化させることが多い。強化繊維基材としてプリプレグを使用する場合には、所定のフランジ形状に折り曲げ賦形した後、樹脂を加熱硬化させることが多い。
【0003】
このように、マトリックス樹脂の含浸や硬化前に強化繊維基材を所定形状に屈曲賦形する方法として、ブラダー(bladder) を用いる方法(例えば、特許文献1)や加圧ローラーを用いる方法(例えば、特許文献2)が知られている。ここでブラダーとは、内部に気体等の流体を導入、導出させることにより風船状に膨縮可能な、強化繊維基材の所定形状への賦形のための、ゴム等の弾力性のある材料からなる加圧体であり、このブラダーの膨張動作によって、強化繊維基材の所定部分を成形型に押し付けることにより、強化繊維基材を所定形状に屈曲賦形できるものである。
【0004】
特許文献1は、平板状の強化繊維基材をC形断面形状に賦形する方法を記載している。この方法では、チャンバー内の一壁面に膨縮可能なブラダーが装着されており、チャンバー内に配置された型(マンドレル)上に強化繊維基材を配し、チャンバーを密閉して内部を真空吸引することによりブラダーを膨張させ、膨張したブラダーにより強化繊維基材をマンドレルに押し付けることによって強化繊維基材がC形断面形状に賦形される。
【0005】
しかしながらこの方法では、マンドレルに対向させ、間に強化繊維基材を配置した状態でブラダーが設けられているため、膨張したブラダーは強化繊維基材の両側部分を一方向にしか押圧できず、上記の如くC形断面形状にしか賦形できない。したがって、例えば、強化繊維基材の両側部分の折り曲げ方向が互いに反対方向となる、Z形断面形状等への賦形には対応できない。また、一枚のブラダーの膨張動作を利用するようになっているため、強化繊維基材の両側部分は実質的に同時に折り曲げられることになり、折り曲げ時に、屈曲部分等に皺等が残りやすい賦形方法となっている。
【0006】
特許文献2は、プリプレグ積層体からなる強化繊維基材を、プレス機に挟んでT字形に賦形した後、頂部にローラーを押し当てて曲げ、J形やZ形断面に賦形する方法を開示している。しかしながらこの方法では、少なくとも駆動可能なプレス装置、パンチ装置、ローラー装置が必要になり、設備が大がかりで複雑、高価なものになる。
【特許文献1】米国特許第5772950号公報
【特許文献2】特開2004−351882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、基本的に大がかりな駆動系を必要とせず、簡単な構造で安価に構成可能な設備を使用すればよく、C形断面はもとよりZ形断面等の賦形のための屈曲方向が異なる断面形状であっても、さらには長手方向に湾曲する部分を有する形状であっても、皺等の問題を発生させることなく円滑にかつ容易に賦形することが可能で、長尺の梁部材(ストリンガー)等の成形に極めて好適な、繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダーを設け、成形型上に配置された強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨張動作により成形型に沿う形状に賦形する工程を有することを特徴とする方法からなる。
【0009】
この方法においては、ブラダー(bladder) が成形型の両側にそれぞれ設けられ、かつ、それぞれのブラダーが独立して膨縮動作可能であるので、成形型上に配置された強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分の、成形型に対する賦形方向は制限されず、賦形のタイミングも制限されない。したがって、C形断面等の同じ方向への屈曲賦形が要求される場合、Z形断面等の互いに異なる方向への屈曲賦形が要求される場合のいずれの場合にも賦形が可能になる。また、両側に配置したブラダーの膨張動作のタイミングをずらすことにより、一方のブラダーの膨張動作による賦形時に基材に皺やその他の不具合が発生しようとしたとしても、独立作動可能な他方のブラダーの膨張動作による賦形時にその皺やその他の不具合を解消するように伸ばしながら賦形することが可能になり、円滑にかつ容易に目標品質にて所望形状への賦形を行うことが可能になる。
【0010】
このように、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法においては、ブラダーの膨張動作の順番を制御することで、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、順に賦形することができ、それによって賦形時の皺等の不具合の発生を抑制することができる。
【0011】
もちろん、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同時に賦形することも可能であり、皺等の不具合の発生のおそれが無いか少ない場合には、同時賦形によって賦形時間を短縮できる。
【0012】
また、一つの成形型を用いて強化繊維基材を賦形することも可能であるが、本発明方法では、強化繊維基材を成形型間に挟持し、成形型の両側に延在する強化繊維基材部分を各ブラダーの膨張動作により賦形することもできる。強化繊維基材を成形型間に挟持することで、強化繊維基材の各部分を賦形する際にも、強化繊維基材全体を所定姿勢に保持することが可能になり、所定形状への賦形の精度が向上する。
【0013】
賦形は基本的には成形型に沿う形状になるように、強化繊維基材の所定部分を成形型の対応部分に押し付ければよい。例えば、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨張動作によって折り曲げることにより成形型に沿う形状に賦形することができる。
【0014】
この折り曲げについては、前述の如く、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、互いに反対方向に折り曲げて、Z形等の断面形状に賦形することもできるし、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同じ方向に折り曲げて、C形等の断面形状に賦形することもできる。
【0015】
また、ブラダーの膨張動作については、少なくとも各ブラダーを密閉可能なチャンバー内に収容し、該チャンバー内を減圧することにより各ブラダーを膨張させることができる。この場合には、例えば、チャンバー内の減圧時に各ブラダー内に大気を導入するようにすることができる。つまり、減圧されたチャンバー内圧と大気圧との差圧を利用してブラダー内に大気を導入することができる。
【0016】
あるいは、各ブラダー内に加圧流体を導入することにより各ブラダーを膨張させることもできる。この場合には、上記のような減圧作動可能なチャンバーは不要である。上述の如く大気圧を利用するか、加圧流体を導入するかは、賦形される強化繊維基材の性状やサイズに応じて適宜決定すればよい。
【0017】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法においては、強化繊維基材を長手方向に順に賦形することも可能である。長手方向に所定の長さを賦形した後、引き抜いて、長手方向に隣接する強化繊維基材の箇所を賦形することを繰り返すことにより対応可能である。この方法では、真空チャンバーの気密を保持することが難しいので、加圧流体を導入する方法を採用することがより好ましい。とくに、賦形される強化繊維基材が長尺の場合には有効であり、小型の賦形装置でもって、長尺の強化繊維基材を順に所定形状に賦形していくことが可能である。
【0018】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる場合、強化繊維基材がプリプレグからなる場合のいずれの場合にも適用できる。強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる場合には、各ブラダーを膨張させ、強化繊維基材を賦形した状態において、強化繊維基材を加熱するステップを加えることができ、それによってより安定して所定形状への賦形、賦形形状の維持が可能になる。強化繊維基材がプリプレグからなる場合には、賦形前に、強化繊維基材を加熱するステップを加えることができ、それによって樹脂を軟化させ、プリプレグに対し、より簡単に折り曲げ等の賦形動作を行うことが可能になる。なお、いずれの場合にあっても、加熱動作としては、外部から加熱したり、成形型内部から加熱したりすることができ、ブラダー内に加熱流体を導入することによって強化繊維基材を加熱することもできる。成形型に熱媒の流路を設置して、該流路に金型温調器を利用して熱媒を流すことにより加熱する方法は、オーブンなどの大型の設備が不要であるため、より好ましい。
【0019】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、とくに強化繊維基材が積層体からなる場合に好適な方法である。積層体の場合には、強化繊維基材を屈曲賦形する際に、望ましくない内部応力等が発生して皺等が生じやすくなる傾向にあるが、前述の如く、独立作動可能なブラダーによる賦形動作のタイミングを賦形部分に応じてずらし、賦形の順番を制御することにより、皺の発生を抑える、または製品の形状外の箇所に皺を発生させて製品の形状内の皺の発生を抑える、または皺を分散させて大きな皺の発生を抑えるなどして、良好な品質での賦形が可能になる。
【0020】
とくに強化繊維基材がドライの強化繊維材の積層体からなる場合には、表面に樹脂粒子を有する強化繊維材の積層体からなる強化繊維基材であり、隣接する強化繊維材間が、樹脂粒子により、部分的に接着されていることが好ましく、これによって、形態を保ちながら積層体としての取り扱いが可能になり、かつ、賦形動作のための適度な基材のドレープ性を維持できるため、皺の発生を良好に抑制して賦形することが可能となる。また、賦形した状態において加熱することによって、部分的に接着していた隣接強化繊維材間を全面にわたり接着することにより、賦形後の所定形状の保持も一層容易になる。また、加熱することにより、樹脂粒子を軟化させた状態にて、ブラダーを膨張させて加圧することにより、樹脂粒子をつぶして積層体の厚みを薄くし、厚みをコントロールすることも可能である。
【0021】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、長尺の強化繊維基材を所定の断面形状に賦形する場合に好適な方法である。この場合、強化繊維基材を、その長手方向に沿って直線状に延びる形状に賦形することもできるし、とくに本発明方法では、強化繊維基材を、その長手方向に沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形することが可能である。とくに湾曲部を有する形状に賦形する場合には、賦形時に皺等の発生の可能性が高くなるが、前述の如く、独立作動可能なブラダーによる賦形動作のタイミングを賦形部分に応じてずらすことにより、容易に皺等を吸収することが可能になる。また、湾曲部を有する形状に賦形する場合には、湾曲部の長手方向中央部を先に賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形することが好ましい。先に長手方向両側部分を賦形すると、湾曲部の長手方向中央部を賦形する際に、強化繊維基材の賦形部分に(とくに、凹状の形状になる賦形部分に)突っ張ってしまう箇所が生じるおそれがあり、所定形状への賦形が困難になったり皺が発生したりするおそれが生じる。湾曲部の長手方向中央部を先に賦形することで、該中央部賦形時にはその両側部分を固定されていない状態に保つことができ、中央部における皺などを発生させようとする応力を両側部分へと逃がすことができ、望ましくない応力が残っていない状態で続いて両側部分が賦形されることになるので、全体として皺などの発生しない形状への賦形が可能になる。さらに、湾曲部の長手方向中央部賦形後の両側部分の賦形が、先に賦形された中央部に対して長手方向に略対称に行われるようにすることが、より好ましい。このようにすれば、一層確実に皺などの発生しない形状への賦形が可能になる。
【0022】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法においては、可能であれば、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部に、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットを予め形成しておくことも好ましい。この場合、強化繊維基材の一方のブラダーの位置に対応する部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部にのみ、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットを予め形成しておき、他方のブラダーの位置に対応するスリットが形成されていない強化繊維基材の部分を該他方のブラダーの膨張動作により賦形した後、前記スリットが形成されている側の強化繊維基材の部分を前記一方のブラダーの膨張動作により賦形するようにすることもできる。
【0023】
例えば、フランジ部として賦形すべき強化繊維基材の該当する箇所に、強化繊維基材の長手方向に交差する方向にスリット(切り欠き)が設けられている強化繊維基材を用いることが好ましい。特に長手方向に湾曲部を有する場合、このようなスリットを設けておくことにより、賦形時の皺の発生を抑制できるため好ましい。更に、独立作動可能なブラダーにより、スリットの設けていないフランジ部該当箇所を先に賦形した後に、スリットを設けているフランジ部該当箇所を賦形することにより、皺の発生を効率よく抑制できるようになる。
【0024】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法における強化繊維基材の種類、とくに使用強化繊維の種類はとくに限定されない。代表的には、強化繊維基材が炭素繊維を含む基材からなる。もちろん他の強化繊維、例えばガラス繊維やアラミド繊維等を含む強化繊維基材を使用してもよく、2種以上の強化繊維を含むハイブリッド構成の強化繊維基材であってもよい。
【0025】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法においては、上記のような強化繊維基材の賦形後には、マトリックス樹脂を硬化させて所望の繊維強化樹脂複合材料を製造する。とくに強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる場合には、強化繊維基材の賦形後に強化繊維基材に樹脂を含浸させ硬化させる、いわゆるRTM(Resin Transfer Molding) 成形方法を採用できる。また、真空圧を利用したVacuum assisted RTM(VaRTM)成形方法も採用できる。VaRTM は、加圧装置が不要であり、簡易に成形できるため、より好ましい。プリプレグの場合には、賦形した後、オートクレーブを用いて、加熱加圧することにより、マトリックス樹脂を硬化させる成形方法を採用できる。
【0026】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造装置は、強化繊維基材賦形用の成形型と、該成形型の両側にそれぞれ設けられ、独立して膨縮動作可能で、膨張動作により成形型上に配置された強化繊維基材の対応部分を成形型に沿う形状に賦形可能なブラダーとを有することを特徴とするものからなる。
【0027】
この繊維強化樹脂複合材料の製造装置においては、上記成形型が強化繊維基材を挟持可能な少なくとも一対の成形型からなり、上記各ブラダーが、前記一対の成形型の両側に延在する強化繊維基材部分を膨張動作により賦形可能なブラダーからなる構成とすることができる。
【0028】
また、各ブラダーが、膨張動作により強化繊維基材を成形型に沿う形状に折り曲げ可能なブラダーからなる構成を採ることができる。この成形型の両側に設けられたブラダーが、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、互いに反対方向に折り曲げ可能なブラダーからなる構成とすれば、Z形断面形状等への円滑な賦形が可能になり、成形型の両側に設けられたブラダーが、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同じ方向に折り曲げ可能なブラダーからなる構成とすれば、C形断面形状等への円滑な賦形が可能になる。
【0029】
また、少なくとも各ブラダーが収容され、内部を減圧することにより各ブラダーを膨張させることが可能なチャンバーを有する構成とすることができる。このようにすれば、各ブラダーが、チャンバー内の減圧時に各ブラダー内に大気を導入可能なブラダーからなる構造とすることが可能になり、大気圧を利用できる。
【0030】
また、各ブラダーが、加圧流体が導入されることにより膨張可能なブラダーからなる構成とすることも可能である。このようにすれば、上記のような減圧のためのチャンバーは不要である。
【0031】
また、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造装置は、とくに賦形すべき強化繊維基材が長尺の場合、強化繊維基材を長手方向に順に賦形可能に構成することもできる。更に、所定の長さを賦形した後、長手方向に所定の長さだけ引き抜くことが可能な構成とすることにより、製造装置を小型化することができる。
【0032】
また、強化繊維基材はドライの強化繊維材からなっていてもよく、プリプレグからなっていてもよい。前者の場合には、賦形した状態にて強化繊維基材を加熱可能な手段を有することが好ましく、後者の場合には、賦形前に強化繊維基材を加熱可能な手段を有することが好ましい。
【0033】
また、強化繊維基材は積層体から形成することができ、とくに、強化繊維基材がドライの強化繊維材の積層体からなる場合、隣接する強化繊維材間が樹脂粒子等により部分的に接着していることが好ましい。
【0034】
また、強化繊維基材は、その長手方向に沿って直線状に延びる形状に賦形されることもできるし、長手方向に沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形されることもできる。湾曲部を有する形状に賦形される場合には、湾曲部の長手方向中央部を賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形可能に構成されていることが好ましい。
【0035】
また、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部に、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットが予め形成されている構成とすることもできる。この場合、強化繊維基材の一方のブラダーの位置に対応する部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部にのみ、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットが予め形成されており、他方のブラダーの位置に対応するスリットが形成されていない強化繊維基材の部分が該他方のブラダーの膨張動作により賦形された後、前記スリットが形成されている側の強化繊維基材の部分が前記一方のブラダーの膨張動作により賦形されるように、両ブラダーの作動順が制御される構成とすることもできる。
【0036】
強化繊維基材としては、代表的には炭素繊維を含む基材を挙げることができる。
【0037】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造装置は、所望の繊維強化樹脂複合材料を得るために、マトリックス樹脂の硬化手段を有する。とくに強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる場合、強化繊維基材の賦形後に強化繊維基材に樹脂を含浸させ硬化させる手段を有する。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置によれば、基本的に駆動系を必要としないか、大がかりな駆動系を必要とせず、簡単で安価な装置構造に構成可能であり、独立作動可能な各ブラダーの膨縮動作のみで、C形断面はもとよりZ形断面等の賦形のための屈曲方向が互いに異なる断面形状であっても、さらには長手方向に湾曲する部分を有する形状であっても、皺等の問題を発生させることなく円滑にかつ容易に強化繊維基材を所望形状に賦形することができる。とくに各ブラダーの膨張動作の順序を制御することにより、強化繊維基材が積層体である場合にも、適度な層間ずれを許容しつつ皺等の不具合の発生を適切に抑えることが可能になり、強化繊維基材を優れた品質をもって高精度で所望形状に賦形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置における、代表的な強化繊維基材の賦形形状を示している。この強化繊維基材は、前述の如く、ドライの強化繊維材から構成されることもでき、プリプレグから構成されることもでき、それらの単層、積層体のいずれにも構成されることができる。図1に示す賦形後の強化繊維基材1は、横断面形状がウエブ部2と、ウエブ部2の両側で互いに反対方向に折れ曲がって延びるフランジ部3、4とからなり、長手方向X−Xには直線状に延びる形状に賦形されている。本発明では、このような断面形状をZ形断面形状と呼び、該Z形断面形状は、ウエブ部2からのフランジ部3、4の屈曲角が90度以外のものも含み、ウエブ部2に対するフランジ部3、4の屈曲角が互いに異なるものも含む概念である。また、フランジ部3、4のサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。
【0040】
また、図2に示す賦形後の強化繊維基材11は、横断面形状がウエブ部12と、ウエブ部12の両側で互いに反対方向に折れ曲がって延びるフランジ部13、14とからなるZ形断面形状からなるが、長手方向X−Xに沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形されている。図2には全体が湾曲している例を示しているが、長手方向X−Xにおいて部分的に湾曲部を有し、その他の部分は図1に示したように直線状に延びる部分に形成されたもの、湾曲部および/または直線状に延びる部分が長手方向X−Xに複数存在するものも含む。Z形断面形状に関しては、図1で説明した概念と同様の概念まで含まれる。また、フランジ部13、14のサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。
【0041】
また、図3に示す賦形後の強化繊維基材21は、横断面形状がウエブ部22と、ウエブ部22の両側で互いに反対方向に折れ曲がって延びるフランジ部23、24とからなるZ形断面形状からなり、長手方向X−Xに沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形されている。そして、一方のフランジ部23には、長手方向X−Xに対し交差する方向に延びる複数のスリット25が形成されており、これらスリット25は、賦形前の段階で強化繊維基材21のフランジ部23の該当する箇所に予め形成されている。図3には図2と同様に全体が湾曲している例を示しているが、長手方向X−Xにおいて部分的に湾曲部を有し、その他の部分は図1に示したように直線状に延びる部分に形成されたもの、湾曲部および/または直線状に延びる部分が長手方向X−Xに複数存在するものも含む。Z形断面形状に関しては、図1で説明した概念と同様の概念まで含まれる。また、フランジ部23、24のサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。
【0042】
また、図4に示す賦形後の強化繊維基材31は、横断面形状がウエブ部32と、ウエブ部32の両側で互いに反対方向に折れ曲がって延びるフランジ部33、34とからなるZ形断面形状からなり、長手方向X−Xに沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形されている。そして、一方のフランジ部33に対応する部分には、長手方向X−Xに対し交差する方向にフランジ部33からウエブ部32の一部にわたって延びる複数のスリット35が形成されており、これらスリット35は、賦形前の段階で強化繊維基材31のフランジ部33およびウエブ部32の該当する箇所に予め形成されている。図4には図2と同様に全体が湾曲している例を示しているが、長手方向X−Xにおいて部分的に湾曲部を有し、その他の部分は図1に示したように直線状に延びる部分に形成されたもの、湾曲部および/または直線状に延びる部分が長手方向X−Xに複数存在するものも含む。Z形断面形状に関しては、図1で説明した概念と同様の概念まで含まれる。また、フランジ部33、34のサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。
【0043】
さらに、前述したように、本発明は強化繊維基材のC形断面形状への賦形にも適用できる。図示は省略するが、本発明におけるC形断面形状とは、例えば図1に示したようなウエブ部2の両側に折り曲げ賦形されたフランジ部3、4を有する断面形状において、フランジ部3、4が同じ方向に折り曲げられた断面形状を意味し、その際のウエブ部2に対するフランジ部3、4の屈曲角は同一でも互いに異なっていてもよく、90度以外のものも含む。また、フランジ部3、4のサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。
【0044】
本発明における強化繊維基材の賦形に関し、図1〜図4に示したようなZ形断面形状への賦形の一例について、図5〜図7を参照して説明する。図5〜図7は、繊維強化樹脂複合材料として例えば長尺梁(ストリンガー)を製造するに際し、ドライの強化繊維材の積層体からなる平板状の強化繊維基材をZ形断面形状に賦形してプリフォームを作製する例を示しており、その賦形を、密閉可能なチャンバーを用いて行う場合を示している。
【0045】
まず、図5に示すように、チャンバー41内の所定位置に、成形型としてのマンドレル42、43と、マンドレル42、43に挟持された強化繊維基材としての積層体44と、マンドレル42、43の両側にそれぞれ配置された独立して膨縮動作可能なブラダー45、46を設ける。ブラダー45、46は、例えばシリコンゴムからなり、内部に相対的な加圧流体が導入されることにより膨張動作し、加圧流体が排出されることにより収縮動作する。
【0046】
チャンバー41が密閉され、チャンバー41のブラダー45収容側部分の内部が減圧されることにより、図6に示すように、ブラダー45内に外部から大気47が導入されるとともに、導入された大気47の圧力(大気圧)と減圧されたチャンバー41の内圧との差圧による相対的な加圧によりブラダー45が膨張する。この膨張したブラダー45により、積層体44の断面の一方側の端部48がマンドレル42に押し当てられ、マンドレル42の側面形状に沿う形状に折り曲げられ賦形される。
【0047】
次に、チャンバー41のブラダー46収容側部分の内部が減圧されることにより、図7に示すように、ブラダー46内に外部から大気47が導入されるとともに、導入された大気47の圧力(大気圧)と減圧されたチャンバー41の内圧との差圧による相対的な加圧によりブラダー46が膨張する。この膨張したブラダー46により、積層体44の断面の他方側の端部49がマンドレル43に押し当てられ、マンドレル43の側面形状に沿う形状に折り曲げられ賦形される。積層体44の断面における一方側の端部48がマンドレル42側に、他方側の端部49がマンドレル43側に、互いに反対方向に屈曲賦形されることにより、Z形断面プリフォーム50が形成される。
【0048】
次に、図7の状態で加熱して、積層体44を賦形形状をホールドさせるようにする。加熱は、チャンバー41内全体を加熱してもよく、マンドレル42、43を加熱媒体通液や電気ヒータ等により加熱してもよい。さらに、ブラダー45、46内への導入流体を加熱することも可能である。
【0049】
このようにZ形断面形状に賦形されたドライのプリフォーム50を用いて、例えばRTM成形方法により、マトリックス樹脂(例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂)がプリフォーム50に含浸され、所定温度に加熱されて硬化され、所望形状の繊維強化樹脂複合材料が製造される。
【0050】
上記例では、ドライの強化繊維材の積層体44を使用したが、プリプレグの積層体を用いることも可能であり、その場合には、マトリックス樹脂含浸工程は不要である。また、図2に示したような湾曲部を有する形状に賦形する場合には、必要に応じて、図3、図4に示したように湾曲賦形がより円滑に行われるように、フランジ部23、33やウエブ部32の一部にスリット(切り欠き)を設けておいてもよい。
【0051】
特に図5〜図7に示した賦形装置は、駆動系を有さず、大気圧を加圧源としているため、装置構成が非常にシンプルである。また、各ブラダー45、46による加圧の順番を制御することにより、賦形の順番を容易に制御することができる。各ブラダー45、46による賦形の順を制御することにより、とくに図2〜図4に示したような湾曲部を有する形状に賦形する場合、積層体を形成している強化繊維束を適切にずらしながら賦形することができるため、皺などが生じにくくなる。中でも、図3、図4に示したような湾曲部を有し、かつ、フランジ部23、33にスリット(切り欠き)25、35を有する場合(場合によっては、ウエブ部32にもスリット35を有する場合)には、スリットを有しない側のフランジ部24、34を先に賦形した後、スリットを有するフランジ部23、33を賦形することにより、皺などが発生しにくくなる。
【0052】
また、図2〜図4に示したような湾曲部を有する形状に賦形する場合には、湾曲部の長手方向中央部を先に賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形することが好ましい。例えば図3に示した湾曲部を有する形状への賦形についてみると、とくにスリットを有しない側のフランジ部24を賦形するに際し、その湾曲部の長手方向中央部Aを先に賦形した後、該中央部Aの長手方向両側部分B、Bを賦形することが好ましい。両側のB、B部分は順に賦形してもよく、同時賦形も可能である。さらに、両側のB、B部分が中央部Aに対して長手方向に対称に位置されるようになっていることが好ましい。このように長手方向中央部Aを先に賦形することにより、前述したように皺などの発生しない望ましい形状への賦形が可能になる。
【0053】
なお、上記例では大気47をブラダー45、46内へ導入したが、前述したように、大気47以外の適当な加圧流体を導入することも可能である。その場合には、導入加圧流体でブラダー45、46を膨張させることができるので、密閉可能なチャンバーは不要である。ただし、ブラダー45、46が膨張して賦形方向に加圧力を発揮する際の反力を受ける部材は必要である。
【0054】
さらに前述したように、本発明はC形断面への賦形にも適用可能である。例えば図5〜図7において、ブラダー45、46をマンドレル42または43に対し左右対象位置に配置すれば、容易にC形断面への賦形が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法および製造装置は、成形形の両側で屈曲賦形することが要求されるあらゆる繊維強化樹脂複合材料のための賦形に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明における代表的な強化繊維基材の賦形形状を示す斜視図である。
【図2】本発明における別の代表的な強化繊維基材の賦形形状(湾曲部を有する場合)を示す斜視図である。
【図3】本発明におけるさらに別の代表的な強化繊維基材の賦形形状(湾曲部およびスリットを有する場合)を示す斜視図である。
【図4】本発明におけるさらに別の代表的な強化繊維基材の賦形形状(湾曲部およびスリットを有する場合)を示す斜視図である。
【図5】本発明における賦形の一例を示す賦形装置の概略断面図である。
【図6】図5の次のステップを示す賦形装置の概略断面図である。
【図7】図6の次のステップを示す賦形装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1、11、21、31 賦形後の強化繊維基材
2、12、22、32 ウエブ部
3、4、13、14、23、24、33、34 フランジ部
25、35 スリット
41 チャンバー
42、43 成形型としてのマンドレル
44 強化繊維基材としての積層体
45、46 ブラダー
47 大気
48 積層体の一方側の端部
49 積層体の他方側の端部
50 Z形断面プリフォーム
A 長手方向中央部
B、B 中央部の両側部分
X−X 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダーを設け、成形型上に配置された強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨張動作により成形型に沿う形状に賦形する工程を有することを特徴とする、繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、順に賦形する、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同時に賦形する、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記強化繊維基材を成形型間に挟持し、成形型の両側に延在する強化繊維基材部分を各ブラダーの膨張動作により賦形する、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨張動作によって折り曲げることにより成形型に沿う形状に賦形する、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、互いに反対方向に折り曲げる、請求項5に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同じ方向に折り曲げる、請求項5に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項8】
少なくとも各ブラダーを密閉可能なチャンバー内に収容し、該チャンバー内を減圧することにより各ブラダーを膨張させる、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項9】
前記チャンバー内の減圧時に各ブラダー内に大気を導入する、請求項8に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項10】
各ブラダー内に加圧流体を導入することにより各ブラダーを膨張させる、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項11】
前記強化繊維基材を長手方向に順に賦形する、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項12】
強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項13】
各ブラダーを膨張させ、強化繊維基材を賦形した状態において、強化繊維基材を加熱する、請求項12に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項14】
強化繊維基材がプリプレグからなる、請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項15】
賦形前に強化繊維基材を加熱する、請求項14に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項16】
強化繊維基材が積層体からなる、請求項1〜15のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項17】
強化繊維基材が表面に樹脂粒子を有する強化繊維材の積層体からなる強化繊維基材である、請求項1〜13のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項18】
強化繊維基材を、その長手方向に沿って直線状に延びる形状に賦形する、請求項1〜17のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項19】
強化繊維基材を、その長手方向に沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形する、請求項1〜17のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項20】
前記湾曲部の長手方向中央部を賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形する、請求項19に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項21】
強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部に、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットを予め形成しておく、請求項1〜20のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項22】
強化繊維基材の一方のブラダーの位置に対応する部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部にのみ、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットを予め形成しておき、他方のブラダーの位置に対応するスリットが形成されていない強化繊維基材の部分を該他方のブラダーの膨張動作により賦形した後、前記スリットが形成されている側の強化繊維基材の部分を前記一方のブラダーの膨張動作により賦形する、請求項21に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項23】
強化繊維基材が炭素繊維を含む基材からなる、請求項1〜22のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項24】
強化繊維基材の賦形後に強化繊維基材に樹脂を含浸させ硬化させる、請求項1〜13、16〜23のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【請求項25】
強化繊維基材賦形用の成形型と、該成形型の両側にそれぞれ設けられ、独立して膨縮動作可能で、膨張動作により成形型上に配置された強化繊維基材の対応部分を成形型に沿う形状に賦形可能なブラダーとを有することを特徴とする、繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項26】
前記成形型が前記強化繊維基材を挟持可能な少なくとも一対の成形型からなり、前記各ブラダーが、前記一対の成形型の両側に延在する強化繊維基材部分を膨張動作により賦形可能なブラダーからなる、請求項25に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項27】
前記各ブラダーが、膨張動作により前記強化繊維基材を成形型に沿う形状に折り曲げ可能なブラダーからなる、請求項25または26に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項28】
前記成形型の両側に設けられたブラダーが、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、互いに反対方向に折り曲げ可能なブラダーからなる、請求項27に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項29】
前記成形型の両側に設けられたブラダーが、強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同じ方向に折り曲げ可能なブラダーからなる、請求項27に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項30】
少なくとも各ブラダーが収容され、内部を減圧することにより各ブラダーを膨張させることが可能なチャンバーを有する、請求項25〜29のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項31】
前記各ブラダーが、前記チャンバー内の減圧時に各ブラダー内に大気を導入可能なブラダーからなる、請求項30に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項32】
前記各ブラダーが、加圧流体が導入されることにより膨張可能なブラダーからなる、請求項25〜29のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項33】
前記強化繊維基材を長手方向に順に賦形可能に構成されている、請求項25〜32のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項34】
強化繊維基材がドライの強化繊維材からなる、請求項25〜33のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項35】
各ブラダーを膨張させ、強化繊維基材を賦形した状態において、強化繊維基材を加熱可能な手段を有する、請求項34に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項36】
強化繊維基材がプリプレグからなる、請求項25〜33のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項37】
賦形前に強化繊維基材を加熱可能な手段を有する、請求項36に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項38】
強化繊維基材が積層体からなる、請求項25〜37のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項39】
強化繊維基材が表面に樹脂粒子を有する強化繊維材の積層体からなる強化繊維基材である、請求項25〜35のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項40】
強化繊維基材は、その長手方向に沿って直線状に延びる形状に賦形される、請求項25〜39のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項41】
強化繊維基材は、その長手方向に沿う方向に見て湾曲部を有する形状に賦形される、請求項25〜39のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項42】
前記湾曲部の長手方向中央部を賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形可能に構成されている、請求項41に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項43】
強化繊維基材の各ブラダーの位置に対応する各部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部に、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットが予め形成されている、請求項25〜42のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項44】
強化繊維基材の一方のブラダーの位置に対応する部分および/またはその近傍部分の少なくとも一部にのみ、強化繊維基材の長手方向に交差する方向に延びるスリットが予め形成されており、他方のブラダーの位置に対応するスリットが形成されていない強化繊維基材の部分が該他方のブラダーの膨張動作により賦形された後、前記スリットが形成されている側の強化繊維基材の部分が前記一方のブラダーの膨張動作により賦形されるように、両ブラダーの作動順が制御される、請求項43に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項45】
強化繊維基材が炭素繊維を含む基材からなる、請求項25〜44のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。
【請求項46】
強化繊維基材の賦形後に強化繊維基材に樹脂を含浸させ硬化させる手段を有する、請求項25〜35、38〜45のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合材料の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−166279(P2009−166279A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4249(P2008−4249)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】