説明

繊維機械

【課題】 従来の繊維機械は、巻取管の有無を調べることができるが、巻取管がクレードルの受け皿に対応しているか否かを判別することはできない。そのため、従来の繊維機械は、間違った巻取管が存在した場合、その巻取管を巻取ユニットに装着しようとすることに起因する玉揚動作の失敗を回避することができない。そこで本発明においては、ストッカーに貯留されている巻取管が巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別することができる繊維機械を提供することを課題としている。
【解決手段】 糸を巻取るための巻取管を貯留しておくストッカーを備える巻取ユニットが複数並設されている繊維機械において、ストッカーに貯留されている巻取管が前記ストッカーを備える巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別する、巻取管判別手段を設けたことを特徴とする繊維機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッカーに貯留されている巻取管が巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別することができる繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リング精紡機で生産され精紡ボビンに巻取られる糸は、品質向上も兼ねて、自動ワインダにより大径の巻取パッケージに巻返されている。
【0003】
一般に自動ワインダは、数十錘の巻取ユニットと、巻取ユニットから満巻の巻取パッケージと空の巻取管を自動交換する玉揚台車から構成されている。
【0004】
自動ワインダにおいて、複数の種類の糸を巻返す必要性から、巻返す糸に応じて複数の種類の巻取管が用いられている。そのため、複数の種類の巻取管の混在に起因する玉揚動作の失敗を防止することが求められている。しかし、従来の光電管センサ付玉揚台車を備える自動ワインダは、巻取管装着の際、巻取管の有無のみを光電管センサで調べている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開昭63−310468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
巻取管を支持する巻取ユニットのクレードルの受け皿の直径は、支持する巻取管の直径に対応している。従って、玉揚台車がクレードルの受け皿の直径と異なる直径を有する巻取管をクレードルに装着しようとしても、装着することができずに、クレードルから巻取管が落下してしまう。
【0006】
しかし、従来の繊維機械は、巻取管の有無を調べることができるが、巻取管がクレードルの受け皿に対応しているか否かを判別することはできない。そのため、従来の繊維機械は、間違った巻取管が存在した場合、その巻取管を巻取ユニットに装着しようとすることに起因する玉揚動作の失敗を回避することができない。
【0007】
そこで本発明においては、上記課題を解決すべく、ストッカーに貯留されている巻取管が巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別することができる繊維機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、糸を巻取るための巻取管を貯留しておくストッカーを備える巻取ユニットが複数並設されている繊維機械において、ストッカーに貯留されている巻取管が前記ストッカーを備える巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別する、巻取管判別手段を設けたことを特徴とする繊維機械に関するものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記巻取管には該巻取管が用いられるべき巻取ユニットに対応する種別情報が付されており、前記巻取管判別手段が、前記種別情報を検出するセンサ部と該センサ部からの検出信号に基づいて前記巻取管の正誤を判定する判定部からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械に関するものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記センサ部が巻取ユニットに沿って走行し満巻パッケージと空の巻取管とを自動交換する玉揚台車に搭載されていることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械に関するものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記巻取管の種別情報が巻取管の表面に付された色情報であり、前記センサ部がカラーセンサであることを特徴とする請求項2または3に記載の繊維機械に関するものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記巻取管の種別情報が巻取管の形状情報であり、前記センサ部がエリアセンサであることを特徴とする請求項2または3に記載の繊維機械に関するものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断されるときに、前記玉揚台車による玉揚動作が中止されるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の繊維機械に関するものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断されるときに、エラー表示が表示されるようにしたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の繊維機械に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の繊維機械は、巻取ユニットに巻取管が対応しているか否かの正誤を判別する巻取管判別手段を備えていることから、巻取管の巻取ユニットへの装着に失敗することがなく、運転効率が高い。
【0016】
請求項2に記載の繊維機械の巻取管判別手段は、種別情報を検出するセンサ部及び種別情報に基づき巻取管の正誤を判定する判定部を備えていることから、前記繊維機械は、巻取管に付された巻取ユニットに対応した種別情報に基づき前記巻取管の正誤を判別することができる。
【0017】
請求項3に記載の繊維機械は、前記センサ部が玉揚台車に搭載されていることから、玉揚台車の走行時または玉揚動作時に巻取管の正誤を判別することができる。
【0018】
請求項4に記載の繊維機械は、巻取管の種別情報が色情報であることから、巻取管に巻取ユニットに対応した色を付すことにより、色に基づいて巻取管の正誤を判別することができる。
【0019】
請求項5に記載の繊維機械は、巻取管の種別情報が形状情報であることから、巻取管を巻取ユニットに対応した形状とすることにより、カラーセンサが検出した形状に基づいて巻取管の正誤を判別することができる。
【0020】
請求項6に記載の繊維機械は、前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断される場合に玉揚動作を中止することから、玉揚動作を失敗することがない。
【0021】
請求項7に記載の繊維機械は、前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断される場合にエラー表示を表示することから、作業員は前記表示を参照することにより、間違っている巻取管を正しい巻取管と交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る繊維機械の一実施の形態として自動ワインダWについて図1から図4を用いて詳細に説明する。
【0023】
まず、自動ワインダWの断面図である図1及び正面図である図2を用いて、自動ワインダWの全体構成について説明する。なお、繊維機械の一例として自動ワインダWを用いているが、本発明に係る繊維機械は、自動ワインダに限定されず、例えば精紡機等であってもよい。
【0024】
本発明に係る自動ワインダWは、多数並設された巻取ユニットU、多数の巻取ユニットUに沿ってその並設方向に走行自在である玉揚台車AD、巻取ユニットU及び玉揚台車ADからの情報を処理し、巻取ユニットU及び玉揚台車ADを制御する制御装置WC、巻取ユニットUの上部に設けられたストッカーSに貯留されている巻取管Tが当該巻取ユニットTに対応しているか否かの正誤を判別する巻取管判別手段1、及び、制御装置WCが処理した情報を表示する表示部Dから構成されている。なお、表示部Dは制御装置WCと一体構成となっていてもよい。本実施の形態においては、表示部Dは、制御装置WCと一体構成となっている。
【0025】
巻取ユニットUは、多数の給糸ボビンBからの糸Yを糸継しながら巻取り、所定の糸量を有する大きな巻取パッケージPを形成する。トレイTに支持された給糸ボビンBから解舒される糸Yは、クレードルU1に保持されて綾振りドラムU2により回転している巻取パッケージPに巻取られる。
【0026】
巻取ユニットUの構成について説明すると、給糸ボビンBから巻取パッケージPまでの糸道に、下から上へと順に(上流側から下流側へと順に)、給糸ボビンBからの糸Yの解舒を補助する解舒補助装置U3、糸Yに所定のテンションを付与するテンション付与装置U4、糸継装置U5、スラブ等の糸欠陥を検出するためのスラブキャッチャーU6又はヤーンクリアラーU6、糸Yにワックスを塗布するためのワキシング装置U7、及び、綾振りドラムU2が設置されている。スラブキャッチャーU6又はヤーンクリアラーU6の下方には、スラブキャッチャーU6又はヤーンクリアラーU6による糸欠陥検出時又は満巻の玉揚時に、給糸ボビンBと巻取パッケージPとの間で繋がっている糸Yを切断するカッターU8が付設されている。
【0027】
糸継装置U5の上方に、巻取パッケージPからの糸Y(以下「上糸」という)を吸引捕捉して糸継装置U5内に旋回動作により案内するサクションパイプU9が設けられ、糸継装置U5の下方に、給糸ボビンBにつながっている給糸ボビンB側の糸(以下「下糸」という)を吸引捕捉して糸継装置U5内に旋回動作により案内する中継パイプU10が設けられている。
【0028】
巻取ユニットUには巻取ユニットUを制御するユニット制御装置UCが備えられている。ユニット制御装置UCは、巻取ユニットUに関する情報を表示するユニット表示部UDを備えている。なお、ユニット表示部UDはユニット制御装置UCと一体構成となっていてもよい。本実施の形態においては、ユニット表示部UDは、ユニット制御装置UCと一体構成となっている。
【0029】
糸継時には、中継パイプU10が待機位置bから糸捕捉位置aまで旋回移動し、給糸ボビンB側の糸端が吸引捕捉される。また、サクションパイプU9が図示の実践位置から矢印に沿って上向き糸捕捉位置まで上方に旋回移動し、巻取パッケージPの糸端を吸引捕捉する。そして、サクションパイプU9が図示の実線位置に向かって下向きに旋回移動するとともに、中継パイプU10が導入位置dに旋回移動すると、下糸及び上糸の両方が糸継装置U5に案内され、下糸及び上糸が糸継装置U5で糸継される。
【0030】
巻取ユニットUによる糸Yの巻返しにより巻取パッケージPが満巻となると、巻取パッケージPは、クレードルU1から開放され、パッケージガイドU11を経てベルトコンベアBC等の搬送装置に排出される。搬送装置は、巻取ユニットUの後方に、巻取ユニットUの並設方向に沿って設けられている。各巻取ユニットUのクレードルU1の上方には、ストッカーSが配設されている。玉揚時に玉揚台車ADは、ストッカーSに貯留されている巻取管TをクレードルU1に装着する。
【0031】
玉揚台車ADは巻取ユニットU間を走行可能で、満巻となった巻取パッケージPを空の巻取管Tと交換する。玉揚台車ADは、巻取ユニットUの下糸を捕捉し、クレードルU1間にセットされた巻取管Tに下糸を装着する糸拾いレバーAD1、糸拾いレバーAD1と連動して巻取管Tに下糸を装着するとともに、バンチ巻を施す糸寄せレバーAD2、クレードルU1のアームを開閉操作するオープナーAD3、ストッカーSに貯留されている巻取管Tを把持し、クレードルU1まで運ぶチャッカーAD4、自動ワインダWに設けられたレールR上を走行するための車輪AD5、車輪AD5を駆動する駆動モータAD6、巻取管Tの検出装置AD7及び、玉揚台車ADを制御する玉揚制御装置AD8から構成されている。
【0032】
玉揚台車ADによる玉揚動作について説明する。玉揚動作が開始されると巻取ユニットUは、中継パイプU10を下向き待機位置bから糸捕捉位置aに旋回移動させ下糸を吸引捕捉させる。中継パイプU10は下糸を捕捉したまま旋回移動し、その下糸捕捉部が糸継装置U5より巻取パッケージP側の玉揚待機位置cで一時停止する。
【0033】
その後、玉揚台車ADは、糸拾いレバーAD1を下に延ばしながら巻取ユニットUの側に揺動させ、糸拾いレバーAD1の先端のカッター兼保持部を中継パイプU10で捕捉された下糸に差し込み、下糸を切断すると同時に保持することにより、中継パイプU10から糸拾いレバーAD1へと下糸を捕捉しなおす。
【0034】
糸拾いレバーAD1の下糸捕捉と略同時に、巻取ユニットUの中継パイプU10は導入位置dまで旋回移動し、切断後の残りの糸端を吸引する。糸拾いレバーAD1の作動と並行して、オープナーAD3がクレードルU1のアームを開きつつ持ち上げ、クレードルアームを巻取パッケージPから外す。その結果、クレードルU1から外れた巻取パッケージPは、パッケージガイドU11を経てベルトコンベアBC上に確実に排出される。
【0035】
巻取パッケージPがベルトコンベアBC上に排出されると、クレードルU1は開いたまま綾振りドラムU2に向かって下降し、巻取管Tが装着できる位置となる。そして、チャッカーAD4がストッカーSから受け取った巻取管Tを把持し、綾振りドラムU2の上まで運び、クレードルU1のボビンホルダの間に巻取管Tをセットする。つぎに、糸拾いレバーAD1が上昇し、上昇過程で下糸を糸寄せレバーAD2に掛け、糸拾いレバーAD1のカッターと、糸寄せレバーAD2との間で、下糸が開いたクレードルU1と巻取管Tとの間を横切るようにする。つぎに、オープナーAD3がクレードルU1を閉じると、下糸は巻取管Tの端に挟まれて装着される。
【0036】
巻取管Tへの糸掛けが終わると、巻取管Tの端にバンチ巻を形成し、給糸ボビンBの巻上げを再開する。
【0037】
制御装置WCは、自動ワインダW及び巻取ユニットUを制御し、自動ワインダWの端部に設けられている。
【0038】
次に、巻取管判別手段1について詳細に説明する。巻取管判別手段1は、巻取管Tに付与された種別情報を検出するセンサ部2、及び、センサ部2からの検出信号に基づいて巻取管Tの正誤を判定する判定部3から構成されている。ここで種別情報とは、どの巻取ユニットUにどの種類の巻取管Tを用いるかに関する情報である。種別情報としては、巻取管Tに付される色または巻取管Tの形状が考えられる。
【0039】
本発明に係るセンサ部2としては、玉揚台車ADに用いられる巻取管Tの検出装置AD7が考えられる。本実施の形態において、玉揚台車ADの検出装置AD7をセンサ部として用いる。但し、センサ部2の設置場所は玉揚台車ADに限定されることはない。巻取管Tの種別情報を検出することができる限り、センサ部2を自動ワインダWのどこに設置してもよい。
【0040】
検出装置AD7の具体例としては、巻取管Tの色を検出するカラーセンサ又は巻取管Tの形状を検出するエリアセンサ、巻取管Tに接触しながら巻取管Tの形状を読取るセンサ等が考えられる。検出装置AD7が巻取管Tの検出をおこなうときは、玉揚動作のために巻取ユニットU上に玉揚台車ADが停止したときでもよいし、玉揚台車ADが巻取ユニットU間を走行しているときでもよい。
【0041】
巻取管Tの種別情報が色情報である場合、検出装置AD7としてカラーセンサを用いる。カラーセンサの種類は、巻取管Tの色を検出することができる限り特に限定はない。
【0042】
カラーセンサにより色を検出する必要があることから、巻取管Tの表面の検出部を着色する必要がある。着色する個所としては、巻取管Tの先端側の円周面、巻取管Tの基端側の円周面、巻取管Tの先端側及び基端側の円周面、または、巻取管Tの全円周面が考えられる。但し、巻取管Tの着色個所は前記に限定されない。着色の方法として、巻取管Tが樹脂製の場合、色付の樹脂を用いることや、巻取管Tが紙製の場合、紙に色を塗ることが考えられる。他に着色する方法として、カラーシールを巻取管Tに貼付してもよい。
【0043】
玉揚台車ADへのカラーセンサの設置については、巻取管Tの検出部の色を検出することができる限り、特に限定はない。例えば、巻取管Tの先端部又は基端部のいずれか一方が着色されている場合、1個のカラーセンサを着色部に応じて巻取管Tの先端部又は基端部を調べることができるように玉揚台車ADに設置する。巻取管Tの先端部及び基端部の両方が着色されている場合、2個のカラーセンサを巻取管Tの先端部及び基端部の両方を調べることができるように設置する。カラーシールを用いる場合も、同様にカラーセンサを設置するとよい。巻取管Tの全面を着色している場合、巻取管Tの色を調べることができるように1個以上のカラーセンサを設置する。
【0044】
図3は、カラーセンサの設置の一実施の形態を示す模式図である。但し、カラーセンサの設置の仕方は前記に限定されない。
【0045】
巻取管Tの種別情報が形状情報である場合、検出装置AD7としてエリアセンサを用いる。エリアセンサの種類については、巻取管Tの形状を検出することができる限り特に限定はない。また、玉揚台車ADへのエリアセンサの設置については、巻取管Tの形状を検出することができる限り、特に限定はない。
【0046】
センサ部からの検出信号に基づいて巻取管Tの正誤を判定する判定部の具体例としては、繊維機械に用いられる制御装置が考えられる。本実施の形態においては、自動ワインダWの制御装置WC又は玉揚制御装置AD8を判定部3として用いる。もちろん、制御装置WC又は玉揚制御装置AD8と別個独立の装置を判定部3として用いてもよい。
【0047】
巻取管Tが間違っていた場合にエラー表示が表示される部分としては、本実施の形態において、自動ワインダWの表示部D又はユニット表示部UDが考えられる。もちろん、表示部D又はユニット表示部UDと別個独立の装置を表示手段として用いてもよい。
【0048】
次に、本発明に係る巻取管判別手段1を用いての巻取管Tの正誤を判別する方法について、図4に記載のフローチャート図を用いて説明する。
【0049】
センサ部2としてカラーセンサを用いる場合について説明する。まず、種別情報として用いる色に関するデータをカラーセンサのアンプ部に入力し、判定部として使用する制御装置WCに、どの巻取ユニットUにどの色の巻取管Tが用いられるかについてのデータを入力する。
【0050】
より具体的には、20錘の巻取ユニットUを有する自動ワインダWにおいて、1番から10番の巻取ユニットUをAグループとしてストレート形の巻取管T、1番から20番の巻取ユニットUをBグループとして傾斜角5度57分のコーン形の巻取管Tを用いる場合について説明する。まず、ストレート形巻取管の種別情報として赤色をストレート形の巻取管Tの表面の適当な位置に付し、傾斜角5度57分のコーン形巻取管の種別情報として青色を傾斜角5度57分のコーン形の巻取管Tの表面の適当な位置に付す。このように着色されていることから、赤色または青色をカラーセンサで検出することにより、赤色を着色された巻取管Tがストレート形であり、青色を着色された巻取管Tが傾斜角5度57分のコーン形であると判別することが可能となる。
【0051】
上記の場合、カラーセンサが巻取管Tの検出部の赤色及び青色を認識して検出することができるように、検出部に付される赤色及び青色のRGB比に関するデータをカラーセンサのアンプ部に入力する。その結果、データ入力を受けたカラーセンサは、巻取体Tの検出部に付された赤色または青色を読取ることができるようになる。また、巻取管Tの検出部に前記2色以外の色が付されている場合及び巻取管Tが貯留されていない場合、カラーセンサは「その他の色」として検出する。
【0052】
制御装置WCには、Aグループの1番から10番の巻取ユニットUに検出部が赤色の巻取管T、Bグループの11番から20番の巻取ユニットUに検出部が青色の巻取管Tを使用することが正しい旨のデータを入力する。
【0053】
センサ部としてカラーセンサを用いた場合における、図4に記載の各工程(S1からS5)について説明する。S1は、巻取管Tの検出部の色を検出する工程である。S1においてカラーセンサは、巻取管Tの検出部の検出したRGB比を予め入力されているRGB比と照合し、巻取管Tの色を、赤色、青色又はその他の色と検出する。その後カラーセンサは、検出した色情報を検出信号として制御装置WCへと送信する。なお、巻取ユニットUと玉揚台車AD間の信号の送受信で、どの巻取ユニットUのストッカーSに貯留されている巻取管Tをカラーセンサが調べたかが分かる。前記巻取ユニットUの位置情報も、玉揚台車ADから制御装置WCに位置信号として送信される。
【0054】
S2は制御装置WCが、カラーセンサから受信した色に関する受信信号、及び、どの巻取ユニットUのストッカーSに貯留されている巻取管Tをカラーセンサが調べたかに関する位置信号と、予め制御装置WCに入力されていた情報を照合し、正しい巻取管Tが貯留されているかどうかを判定する工程である。具体的には、受信信号が赤色及び1番の巻取ユニットUである場合、制御装置WCは、正しい巻取管Tが貯留されていると判定する。反対に、受信信号が青色又はその他の色、及び、1番の巻取ユニットUである場合、制御装置WCは、間違った巻取管Tが貯留されていると判定する。
【0055】
巻取管Tが正しいと判定される場合、S3において制御装置WCは玉揚台車ADに玉揚動作を開始させる。
【0056】
反対に、巻取管Tが間違っていると判定される場合、S4において制御装置WCは、間違っている巻取管Tが貯留されている巻取ユニットUの番号等をエラー表示として、その表示部Dに表示し、作業員に問題を知らせる。又は、S4の他の例として、制御装置WCは、間違っている巻取管Tが貯留されている巻取ユニットUのユニット表示部UDにエラー表示を表示し、作業員に問題を知らせるようにしてもよい。エラー表示を表示する表示部の他の実施の形態として、巻取ユニットUに設置される点灯する警報ランプ等が考えられる。
【0057】
巻取管Tに問題がある場合、S5において、制御装置WCは、玉揚台車ADに玉揚動作を開始させない。図4においては、S5はS4の後とされているが、S5をS4と同時又はS4よりも先としてもよい。
【0058】
次に、センサ部がエリアセンサである場合について説明する。まず、検出対象の形状に関するデータを種別情報としてエリアセンサのアンプ部に入力し、判定部として使用する制御装置WCに、どの巻取ユニットUにどの形状の巻取管Tが用いられるかについてのデータを入力する。
【0059】
より具体的には、20錘の巻取ユニットUを有する自動ワインダWにおいて、1番から10番の巻取ユニットUをAグループとしてストレート形の巻取管T、11番から20番の巻取ユニットUをBグループとして傾斜角5度57分のコーン形の巻取管Tを用いる場合について説明する。そして、種別情報として形状が用いられることから、形状をエリアセンサで検出することにより、ストレート形の巻取管Tはストレート形であり、傾斜角5度57分のコーン形の巻取管Tは傾斜角5度57分のコーン形であると判別することができるようになる。
【0060】
上記の場合、エリアセンサが巻取管Tのストレート形又は傾斜角5度57分のコーン形を認識して検出することができるように、ストレート形及び傾斜角5度57分のコーン形に関するデータをエリアセンサのアンプ部に入力する。その結果、情報の入力を受けたエリアセンサは、巻取管Tの形状としてストレート形又は傾斜角5度57分のコーン形を検出することができるようになる。また、巻取管Tの形状が前記の二つの形状以外である場合及び巻取管Tが貯留されていない場合、エリアセンサは「形状を認識できない」として検出する。
【0061】
制御装置WCには、Aグループの1番から10番の巻取ユニットUにストレート形の巻取管T、Bグループの11番から20番の巻取ユニットUに傾斜角5度57分のコーン形の巻取管Tを使用することが正しい旨のデータを入力する。
【0062】
センサ部としてエリアセンサを用いた場合における、図4に記載の各工程(S1からS5)について説明する。S1は、巻取管Tの形状を検出する工程である。S1においてエリアセンサは、巻取管Tの形状を予め入力されている形状と照合し、巻取管Tの形状を、ストレート形、傾斜角5度57分のコーン形又は「形状を認識できない」と検出する。その後エリアセンサは、検出した形状に関する情報を検出信号として制御装置WCへと送信する。なお、巻取ユニットUと玉揚台車AD間の信号の送受信で、どの巻取ユニットUの巻取管Tをエリアセンサが調べたかが分かる。前記巻取ユニットUの位置情報も、玉揚台車ADから制御装置WCに位置信号として送信される。
【0063】
S2は制御装置WCが、エリアセンサから受信した形状に関する検出信号、及び、どの巻取ユニットUの巻取管Tをエリアセンサが調べたかに関する位置信号と、予め制御装置WCに入力されていた情報を照合し、正しい巻取管Tが貯留されているかどうかを判定する工程である。具体的には、受信信号がストレート形及び1番の巻取ユニットUである場合、制御装置WCは、正しい巻取管Tが貯留されていると判定する。反対に、受信信号が傾斜角5度57分のコーン形又は「形状を認識できない」、及び、1番の巻取ユニットUである場合、制御装置WCは、間違った巻取管Tが貯留されていると判定する。
【0064】
巻取管Tが正しいと判定される場合、S3において制御装置WCは玉揚台車ADに玉揚動作を開始させる。
【0065】
反対に、巻取管Tが間違っていると判断される場合、S4において制御装置WCは、間違っている巻取管Tが貯留されている巻取ユニットUの番号等をエラー表示として、その表示部Dに表示し、作業員に問題を知らせる。又は、S4の他の例として、制御装置WCは、間違っている巻取管Tが貯留されている巻取ユニットUのユニット表示部UDにエラー表示を表示し、作業員に問題を知らせるようにしてもよい。エラー表示を表示する表示部の他の実施の形態として、巻取ユニットUに設置される点灯する警報ランプ等が考えられる。
【0066】
巻取管Tに問題がある場合、S5において、制御装置WCは、玉揚台車ADに玉揚動作を開始させない。図4においては、S5はS4の後とされているが、S5をS4と同時又はS4よりも先としてもよい。
【0067】
但し、上記の二つの判断方法は、一例に過ぎず、他の方法を用いてもよい。例えば、玉揚台車ADの玉揚制御装置AD8が上記に記載した制御装置WCの役割を果たしてもよい。問題がない場合、玉揚制御装置AD8が玉揚台車ADに玉揚動作を開始させる。問題がある場合、玉揚制御装置AD8が、処理結果を制御装置WCに送信し制御装置WCの表示部Dにエラー表示を表示させるようにしてもよく、又は、処理結果を直接問題のある巻取ユニットUに送信しユニット表示部UDにエラー表示を表示させるようにしてもよい。
【0068】
次に実施例に基づき、本発明に係る玉揚台車ADを説明する。
【実施例】
【0069】
ある巻取ユニットUの巻取パッケージPが満巻になると、玉揚台車ADは巻取パッケージPが満巻となったその巻取ユニットUに向かって走行し、その真上に停止する。
【0070】
玉揚台車ADが停止すると巻取管判別手段1は、玉揚動作の前にストッカーSに貯留されている巻取管Tの検出部の色又は巻取管Tの形状を検出する(S1)。検出の結果巻取管Tが間違っていると判定される場合(S2)、巻取管判別手段1は、玉揚台車ADに玉揚動作を開始させない(S5)。
【0071】
上記から巻取管判別手段1を備える自動ワインダWは、間違っている巻取管Tを巻取ユニットUに装着しようとすることがないことが分かる(S5)。その結果、装着ミスの発生を未然に防ぐことができる。
【0072】
また、巻取管判別手段1により巻取管Tが間違っていると判断される場合(S2)、自動ワインダWの制御装置WCの表示部Dに、どの巻取ユニットUの巻取管Tが間違っているかがエラー表示として表示される(S4)。その結果、自動ワインダWの作業員は表示部Dの表示に従い、間違っている巻取管Tを正しい巻取管Tと交換することができる。
【0073】
玉揚台車ADが巻取ユニットU間を走行中に巻取管判別手段1によりある巻取管Tが間違っていると判断される場合(S1及びS2)も、どの巻取ユニットUの巻取管Tが間違っているかが表示される(S4)。その結果、自動ワインダの作業員は表示部Dの表示に従い、間違っている巻取管Tを正しい巻取管Tと交換することができる。
【0074】
巻取管判別手段1により貯留されている巻取管Tが正しいと判断される場合(S2)、玉揚動作が開始される(S3)。
【0075】
上記より本発明に係る繊維機械によれば、確実に巻取管の正誤を判別することができる。
【0076】
また、本発明に係る繊維機械は、巻取ユニットに間違った巻取管を装着することがないことから、巻取管の装着を失敗することはない。その結果、繊維機械の運転効率を高めることができる。
【0077】
さらに、本発明に係る繊維機械は、巻取管が間違っている旨を表示部に表示することできる。その結果、作業員はエラー表示の表示に従い、間違っている巻取管を正しい巻取管と交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る自動ワインダの一実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1に記載の自動ワインダの概略正面図である。
【図3】カラーセンサの設置の一実施の形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る繊維機械による巻取管の正誤を判別する方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0079】
1 巻取管判別手段
2 センサ部
3 判定部
AD 玉揚台車
AD1 糸拾いレバー
AD2 糸寄せレバー
AD3 オープナー
AD4 チャッカー
AD5 車輪
AD6 駆動モータ
AD7 検出装置
AD8 玉揚制御装置
W 自動ワインダ
WC 制御装置(表示部Dを含む)
D 表示部
R レール
U 巻取ユニット
UC ユニット制御装置(ユニット表示部UDを含む)
UD ユニット表示部
B 給糸ボビン
Y 糸
P 巻取パッケージ
a 糸捕捉位置
b 待機位置
c 玉揚待機位置
d 導入位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻取るための巻取管を貯留しておくストッカーを備える巻取ユニットが複数並設されている繊維機械において、ストッカーに貯留されている巻取管が前記ストッカーを備える巻取ユニットに対応しているか否かの正誤を判別する、巻取管判別手段を設けたことを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
前記巻取管には該巻取管が用いられるべき巻取ユニットに対応する種別情報が付されており、前記巻取管判別手段が、前記種別情報を検出するセンサ部と該センサ部からの検出信号に基づいて前記巻取管の正誤を判定する判定部からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項3】
前記センサ部が巻取ユニットに沿って走行し満巻パッケージと空の巻取管とを自動交換する玉揚台車に搭載されていることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械。
【請求項4】
前記巻取管の種別情報が巻取管の表面に付された色情報であり、前記センサ部がカラーセンサであることを特徴とする請求項2または3に記載の繊維機械。
【請求項5】
前記巻取管の種別情報が巻取管の形状情報であり、前記センサ部がエリアセンサであることを特徴とする請求項2または3に記載の繊維機械。
【請求項6】
前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断されるときに、前記玉揚台車による玉揚動作が中止されるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の繊維機械。
【請求項7】
前記巻取管判別手段により巻取管が巻取ユニットに対応していないと判断されるときに、エラー表示が表示されるようにしたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の繊維機械。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−204207(P2007−204207A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24417(P2006−24417)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】