説明

缶蓋および飲料缶

【課題】飲料缶の小型化や開口の大型化がなされる場合に生じうるタブの操作性の低下を抑制可能な缶蓋等を提供する。
【解決手段】パネルに開口が形成されるには、(A)に示す第4片部540が上方に引き上げられるとともに図中右方向に押圧される。これにより、第3片部530が図中右方向に移動するとともに、第2片部520が図中下端部を中心として回転する。これによりタブ500は(A)〜(F)のように変形する。その後、タブ500の上面がユーザにより押圧され、(G)に示すように、第3片部530および第4片部540は、仮想線L1よりも第1片部510および第2片部520側に位置するようになる。その後、(G)に示す第2片部520がユーザによって下方から押圧される。これにより、第1片部510の図中左端部がパネルを押圧しパネルに開口が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋および飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
タブによってパネルの一部が押圧されることでスコア線にてパネルの破断が起こり、飲み口として機能する開口が形成される飲料缶が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−82188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで飲料缶の直径が小さい場合、缶蓋に形成される開口(飲み口)とタブとが重なりやすくなり、内部の飲料の流出性能が低下してしまう。このため、飲料缶の直径が小さくなる場合は、タブのサイズも小さくすることが望ましくなる。ところでこの場合、流出性能の低下は抑制可能となるもののタブの操作性は低下してしまう。また飲料缶に形成される開口が大きい場合も上記と同様の問題が起こり得る。ここで飲料缶に取り付けられる缶蓋の大きさには制約があり、開口が大きくなる場合、タブの設置スペースが減るようになる。そしてこの場合、上記と同様、タブが小さくなりタブの操作性が低下する。
本発明の目的は、飲料缶の小型化や開口の大型化がなされる場合に生じうるタブの操作性の低下を抑制可能な缶蓋等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される缶蓋は、外周縁を有し、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、を備え、前記タブは、前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで他方の端部が当該外周縁よりも外側に位置するようになる揺動片と、一端および他端を有し、前記パネルに前記固定片を固定するリベットまたは当該固定片に当該一端が接続され、前記揺動片に当該他端が接続され、当該揺動片が前記一方の端部を中心として前記回転を行う際に伸長するとともに当該回転を行った当該揺動片側への屈曲が可能に構成された接続片と、を有していることを特徴とする缶蓋である。
【0006】
ここで、前記揺動片が前記パネルに対向している状態において、前記接続片は、折り曲げられ当該パネルに沿うように配置されていることを特徴とすることができる。
また、前記折り曲げられ前記パネルに沿うように配置された前記接続片は、当該パネルのうちの前記開口が形成される前記部位に重なるように配置されることを特徴とすることができる。
さらに、前記タブは、一枚の板金により形成され、前記板金の複数箇所にて曲げ加工が施されることで、前記固定片、前記揺動片、および、前記接続片が形成されていることを特徴とすることができる。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶蓋は、外周縁を有し、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、を備え、前記タブは、前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで、他方の端部が、当該外周縁よりも外側に且つ当該固定片よりも上方に位置するようになる揺動片と、前記一方の端部を中心として前記回転を行った前記揺動片と前記固定片とにより支持され、当該固定片および当該揺動片が設けられている側への屈曲が可能な変形片と、を有していることを特徴とする缶蓋である、とすることもできる。
【0008】
ここで、前記変形片は、前記揺動片に接触する一端部と、前記固定片に接触する他端部とを有するとともに、当該一端部と当該他端部との間に、他の部分よりも剛性の低い剛性低下部を有し、当該剛性低下部によって前記屈曲ができるように構成され、前記揺動片が前記固定片との接続部を回転軸として回転し、前記揺動片と前記固定片が予め定められた角度になったとき、前記変形片の前記一端部と前記剛性低下部との距離と、当該変形片の前記他端部と当該剛性低下部との距離と、の和の方が、前記揺動片のうち前記変形片の前記一端部が接触する一端部接触箇所と、前記固定片のうち当該変形片の前記他端部が接触する他端部接触箇所と、の直線距離よりも大きいことを特徴とすることができる。
また、前記固定片および前記揺動片が設けられている側へ屈曲した前記変形片には、前記剛性低下部が設けられている箇所に頂部が形成され、前記固定片および前記揺動片が設けられている側へ前記変形片が屈曲している状態にて、当該揺動片の前記他方の端部がユーザにより上方に引き上げられた際、前記変形片の前記頂部に対して前記揺動片の予め定められた箇所が押し付けられるとともに、当該変形片のうちの、当該頂部と前記他端部との間に位置する第1の部位、当該揺動片のうちの、当該予め定められた箇所と前記一方の端部との間に位置する第2の部位、及び、前記固定片のうちの、当該揺動片が接続される箇所と前記他端部接触箇所との間に位置する第3の部位を三辺とする三角形が前記タブに形成されることを特徴とすることができる。
さらに、前記揺動片が前記パネルに対向している状態において、前記変形片は、折り曲げられ当該パネルに沿うように配置されていることを特徴とすることができる。
【0009】
さらに本発明を飲料缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料缶は、開口を有し飲料を内部に収容した缶胴と、当該缶胴の当該開口を塞ぐ缶蓋とを有し、前記缶蓋は、外周縁を有し、前記缶胴の前記開口に取り付けられるパネルと、前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、を備え、前記タブは、前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで他方の端部が当該外周縁よりも外側に位置するようになる揺動片と、一端および他端を有し、前記パネルに前記固定片を固定するリベットまたは当該固定片に当該一端が接続され、前記揺動片に当該他端が接続され、当該揺動片が前記一方の端部を中心として前記回転を行う際に伸長するとともに当該回転を行った当該揺動片側への屈曲が可能に構成された接続片と、を有していることを特徴とする飲料缶である。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料缶は、開口を有し飲料を内部に収容した缶胴と、当該缶胴の当該開口を塞ぐ缶蓋とを有し、前記缶蓋は、外周縁を有し、前記缶胴の前記開口に取り付けられるパネルと、前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、を備え、前記タブは、前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで、他方の端部が、当該外周縁よりも外側に且つ当該固定片よりも上方に位置するようになる揺動片と、前記一方の端部を中心として前記回転を行った前記揺動片と前記固定片とにより支持され、当該固定片および当該揺動片が設けられている側への屈曲が可能な変形片と、を有していることを特徴とする飲料缶である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲料缶の小型化や開口の大型化がなされる場合に生じうるタブの操作性の低下を抑制可能な缶蓋等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】タブが取り付けられる前のパネルの状態を示した正面図である。
【図3】タブの展開図である。
【図4】タブの正面図、側面図、および背面図を示した図である。
【図5】パネルに開口が形成される際のタブの動きを示した図である。
【図6】タブ、パネル、および容器本体を、飲料缶の側方から眺めた場合の図である。
【図7】飲料缶の他の実施形態を示した図である。
【図8】飲料缶の他の一形態を示した図である。
【図9】図3にて示した第1溝〜第4溝を説明するための図である。
【図10】タブの他の構成例を示した図である。
【図11】第1片部〜第4片部の寸法関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。
本実施形態の飲料缶100は、図1(A)に示すように、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴)200と、容器本体200の開口に取り付けられ容器本体200の開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。ここで、飲料缶100の内部には、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料が充填(収容)されている。なお、図1(A)は、小径の飲料缶100をイメージして描いてあるが、本実施形態に係る構成は、小径の飲料缶100以外にも適用できる。
【0014】
缶蓋300は、円盤状に形成されたパネル400を有している。また缶蓋300には、タブ500がリベット900によって取り付けられている。なお本実施形態における缶蓋300は、飲み口として機能する開口がパネル400に形成された後もタブ500がパネル400に取り付けられた状態を維持するいわゆるステイオンタイプの缶蓋である。また缶蓋300のパネル400には、パネル400に開口が形成される際に生じるパネル400の破断を誘導するスコア線430が形成されている。さらに本実施形態では、パネル400のうち飲み口となる部分がタブ500により覆われている。このため、飲み口となる部分が汚れにくくなっている。
【0015】
ここで本実施形態では、タブ500は、パネル400の中央部(中心)からずれた位置に設けられたリベット900によってパネル400に固定されている。付言すると、タブ500は、パネル400に対して偏心した状態で設けられたリベット900によってパネル400に固定されている。このようにリベット900をパネル400の中央部からずれた位置に設ける場合、パネル400に形成される開口(スコア線430により囲まれている領域)を大きくすることができる。なお本実施形態では、リベット900がパネル400の中央部からずれた位置に設けられた場合を一例に説明するが、リベット900はパネル400の中央部に設けることもできる。
【0016】
また本実施形態では、タブ500が変形可能に設けられており、パネル400に開口が形成される際に、タブ500がユーザにより操作され、図1(B)に示すように、その一部が、円盤状に形成されたパネル400の外周縁410から突出する。その後、タブ500のうち外周縁410から突出した一方の端部が引き上げられることで、タブ500の他方の端部がパネル400を押圧する。これにより、パネル400に形成されたスコア線430においてパネル400の破断が起こり、パネル400に開口が形成される。
【0017】
また本実施形態では、タブ500がユーザにより操作されタブ500の一部が上記のようにパネル400の外周縁410から突出する際、タブ500に形成された溝(後述)の部分でタブ500が屈曲し、タブ500が立体化される(後述)。そしてこの立体化によってタブ500の剛性がさらに高まるようになる。また本実施形態においては、パネル400に開口が形成される前、同図(A)に示すようにパネル400の外周縁410の内側にタブ500が収まっている。このため、パネル400に開口が形成される前においては、飲料缶100の体積は小さくなり、飲料缶100の搬送コスト等の低減が可能となる。
【0018】
また本実施形態では、パネル400に開口が形成される際に、上記のように、タブ500の一部がパネル400の外周縁410から突出するようになるが、この場合、タブ500がパネル400の外周縁410の内側にそのまま収まっている場合に比べ、タブ500の操作性が向上する。付言すると、ユーザはタブ500に指をかけやすくなり、タブ500の操作性が向上する。ここで小径の飲料缶100では、タブ500が小さくなりやすくタブ500の操作性が低下しやすい。本実施形態の構成の場合、小径の飲料缶100であったとしてもタブ500の操作性が低下しにくくなっている。
【0019】
図2は、タブ500が取り付けられる前のパネル400の状態を示した正面図である。
パネル400は、上記のとおり円盤状に形成されている。より具体的に説明すると、パネル400は、円盤状の基板405を備えるとともに、この基板405の周囲に、曲げ加工が施された外周縁410を有している。
【0020】
ここで本実施形態では、上記外周縁410と容器本体200の上縁部(不図示)とが互いに接触した状態で、この外周縁410および上縁部に対しいわゆる巻き締め加工が施される。これにより、パネル400が容器本体200の上縁部に固定される。またパネル400には、タブ500がパネル400に固定される際に押しつぶされ上述したリベット900となる突出部(ニップル)420が形成されている。ここでこの突出部420は、パネル400の中心部から外れた箇所に設けられている。
【0021】
また本実施形態では、パネル400の表面に、略C字状のスコア線430が形成されている。このスコア線430は、パネル400の表面に形成された溝により形成されており、パネル400の破断を誘導する役割を果たす。付言すると、スコア線430は、パネル400の破断が予定されている破断予定線として捉えることができる。またスコア線430は、パネル400の図中右側に位置する領域に、一端部431および他端部432を有するとともに、パネル400の図中左側に位置する領域側に膨らむように形成され、さらに、パネル400の図中左側に位置する領域に頂部433Aを有している。
【0022】
また本実施形態では、一端部431および他端部432が互いに離れた状態で設けられることによって、一端部431と他端部432との間には、スコア線430が設けられていない不連続部が設けられた状態となっている。この不連続部が設けられることによって、後述する舌片部がパネル400から離脱せず舌片部がパネル400に取り付いたままの状態となる。さらに本実施形態では、他端部432から一端部431に向かってスコア線430が進行していく際に、頂部433Aと突出部420との間をスコア線430が通過するようになっている。
【0023】
ここで本実施形態では、パネル400に開口が形成される際には、タブ500によって、パネル400のうちのスコア線430により囲まれている領域が押圧される。そしてこの押圧により、まず、スコア線430のうち、突出部420と頂部433Aとの間に位置する部位(符号2Aに示す部位)にてパネル400の破断が発生する。その後、この部位から頂部433Aを経て一端部431までパネル400の破断が進行する。そしてこの破断によりパネル400に舌片部が形成される。その後、この舌片部がタブ500により押圧されこの舌片部は飲料缶100の内部に進入する。これによって、パネル400に開口が形成される。
【0024】
タブ500についてさらに詳細に説明する。
図3は、タブ500の展開図である。図4は、タブ500の正面図、側面図、および背面図を示した図である。詳細には、図4(A)が正面図であり、図4(B)が側面図であり、図4(C)が背面図である。
本実施形態におけるタブ500は、アルミニウムで構成された一枚の板金の複数箇所にて曲げ加工が施され、また、折り畳まれることで形成されている。図3は、曲げ加工が施される前のタブ500の状態を示している。ここで曲げ加工が施される前のタブ500は、図3に示すように、略長方形状に形成されるとともに、タブ500には、長手方向における一端部から他端部に向かって、順に、第1片部510、第2片部520、第3片部530、第4片部540、第5片部550が設けられている。
【0025】
ここで第1片部510〜第4片部540の各々は、矩形状に形成されるとともに角部が丸みを帯びた状態で形成されている。また第5片部550は、略矩形状に形成されるとともに幅寸法が、第1片部510〜第4片部540の幅寸法よりも小さくなっている。また、本実施形態におけるタブ500では、タブ500の剛性を部分的に低下させるため、第1片部510と第2片部520との間、第2片部520と第3片部530との間、第3片部530と第4片部540との間、第4片部540と第5片部550との間に、第1溝561、第2溝562、第3溝563、第4溝564がそれぞれ設けられている。
【0026】
また、第1片部510には、タブ500がパネル400に取り付けられる際に、パネル400に設けられた突出部420(図2参照)が通される貫通孔511が形成されている。また第1片部510には、貫通孔511の周囲に、略U字状に形成されたスリット512が形成されている。
【0027】
またタブ500の第2片部520にも、貫通孔521が形成されている。この貫通孔521は、第1溝561にてタブ500が曲げられタブ500が折り畳まれた際に、第1片部510の貫通孔511に対峙するように配置されている。このため本実施形態では、第1片部510の貫通孔511に通された上記突出部420が、貫通孔521によって露出するようになる。そして本実施形態では、露出したこの突出部420を押し潰すことでリベット900が形成され、パネル400に対しタブ500が固定される。なお、上記の図1(A)は、貫通孔521を通じて突出部420を押し潰しリベット900を形成した後の状態を示している。
【0028】
さらに説明すると、本実施形態では、露出した突出部420を押し潰すことでリベット900が形成され、パネル400に対して固定片の一例としての第1片部510が固定される。なおこの第1片部510は、図1(B)に示すように、パネル400のうちスコア線430により囲まれている領域(開口が形成される部位)に重なるように設けられている。
【0029】
また本実施形態では、図3に示すように、第3片部530と第4片部540との接続部に楕円状の貫通孔531が形成されている。ここで貫通孔531が形成されている部分は、第3溝563にてタブ500が曲げられタブ500が折り畳まれた際に、切り欠き状の部位となる(図1(A)参照)。また本実施形態では、第5片部550にも、パネル400に設けられた突出部420(図2参照)が通される貫通孔551が形成されている。
【0030】
ここで本実施形態では、パネル400に対してタブ500を固定する前に、図3にて示した形状の板金に対して曲げ加工を行い、折り畳まれた状態のタブ500を作成する。具体的に説明すると、図4(B)に示すように、第1片部510と第2片部520とが対向するように、第1溝561にて曲げ加工を行い。また、第3片部530と第4片部540とが対向するように、第3溝563にて曲げ加工を行い、環状に形成され且つ折り畳まれた状態のタブ500を作成する。なお図4(B)では図示を省略しているが、第5片部550は、第1片部510と第2片部520との間に配置される。
【0031】
ここで折り畳みがなされタブ500が完成した後は、図4(A)に示すように、第2片部520に形成された貫通孔521が、第5片部550に形成された貫通孔551に対峙するようになる。また、第5片部550に形成された貫通孔551と、第1片部510に形成された貫通孔511(図4(C)参照)とが重なるようになる。
【0032】
そして本実施形態では、タブ500がパネル400に取り付けられるが、この取り付けに際しては、まず、第1片部510に形成された貫通孔511および第5片部550に形成された貫通孔551の両者に対して、パネル400の突出部420が通される。付言すると、タブ500がパネル400に取り付けられる際には、まず、図4(C)に示す第1片部510および第4片部540がパネル400に対向するようにタブ500が配置される。その後、第1片部510の貫通孔511および第5片部550の貫通孔551に対して、パネル400の突出部420が通される。
【0033】
ここで本実施形態では、第1片部510の貫通孔511および第5片部550の貫通孔551に通された突出部420が、第2片部520に形成された貫通孔521によって露出するようになる。そして本実施形態では、露出したこの突出部420を押し潰すことで上記のリベット900を形成する。これにより、図1(A)にて示しようにタブ500がパネル400に固定される。なお上記では説明を省略したが、タブ500の剛性を高めるため、本実施形態では、タブ500の外周縁に対してカール加工(曲げ加工)が施されており、図4(A)〜(C)に示すように、タブ500の外周縁にカール部580が形成されている。
【0034】
次に、パネル400に開口が形成される際のタブ500の動きについて説明する。
図5は、パネル400に開口が形成される際のタブ500の動きを示した図である。まず、本実施形態では、パネル400に開口が形成される前、タブ500は、図5(A)に示すように、厚み方向において押し潰され略平板状となっており、また、パネル400に沿うように配置されている。なおこの際、タブ500は、図1(A)に示したように、パネル400の外周縁410の内側に収められた状態となっている。
【0035】
パネル400に開口が形成される際には、まず、図5(A)に示した状態にて、第4片部540とパネル400との間に、ユーザの指が挿入され、第4片部540が上方に引き上げられる。付言すると、貫通孔531によって形成された上記切り欠き状の部位(図1(A)参照)に対してユーザの指がかけられ第4片部540が上方に引き上げられる。これにより、図5(B)に示すように、第4片部540が図中下端部を中心として回転しパネル400から離れる方向(上方)に変位する。
【0036】
そしてこの第4片部540の変位によって、第3片部530が図中右方向に移動する。そして、この第3片部530の移動によって、第2片部520も、図中下端部を中心として回転しパネル400から離れる方向に変位する。付言すると、揺動片の一例としての第2片部520は、図中下端部を中心として揺動可能に設けられており、第3片部530の図中右方向への移動によって図中下端部を中心として同図では時計回り方向に回転する。さらに説明すると、第4片部540と第2片部520とは第3片部530によって連動可能に設けられ、第4片部540が図中下端部を中心として回転すると第2片部520も図中下端部を中心として回転するようになる。これにより、同図(B)に示すように、タブ500は、略平行四辺形の形状を有するようになる。
【0037】
そして、第4片部540がユーザにより更に上方に引き上げられると、第4片部540がパネル400から更に離れ、第2片部520もパネル400から更に離れるようになる。これにより、同図(C)に示すように、タブ500は、略長方形の形状を有するようになる。その後、ユーザによって第4片部540が図5(C)における右方向に押圧され、同図(D)〜(F)に示すように、第4片部540が、パネル400(第1片部510)に接近するように回転する。
【0038】
また、第4片部540の上記回転によって、第3片部530が図中右方向に移動するとともに図中下方向に移動する。また第3片部530のこの移動によって、パネル400が設けられている側に向かって第2片部520の一端部が移動するように、第2片部520が回転する。そして、これらの動作によって、図1(B)に示すように、第3片部530および第2片部520(図1(B)では不図示)が、パネル400の外周縁410から突出する。
【0039】
付言すると本実施形態におけるタブ500では、第4片部540がユーザにより上方に引き上げられることで、折り畳まれた状態にあり且つパネル400に沿うように設けられた第3片部530および第4片部540が伸長するようになり、この伸長によって、第2片部520が押圧される。そしてこの押圧によって、第2片部520がパネル400の外周縁410から突出する。なお本実施形態における第5片部550、第4片部540、および第3片部530は、一端がリベット900に接続され、他端が揺動片の一例としての第2片部520に接続された接続片として捉えることができる。なお本実施形態では、このように、接続片の一端がリベット900に接続された場合を一例に説明したが、この一端は固定片の一例としての第1片部510に接続するようにしてもよい。
【0040】
その後、本実施形態では、タブ500の上面(第3片部530および第4片部540)(図5(F)の符号5A参照)がユーザにより押圧され、図5(G)に示すように、第3片部530および第4片部540は、第2片部520の端部527(第3片部530に接続されている側の端部)と、第1片部510の端部517(第4片部540に接続されている側の端部)とを結ぶ仮想線L1よりも、第1片部510および第2片部520側に位置するようになる。これにより、図5(G)に示すように、三角形となる部位がタブ500に形成される。付言すると、第2片部520の一部と、第1片部510と、第4片部540とによって、三角形となる部位がタブ500に形成される。さらに説明すると、タブ500はトラス構造を有するようになる。
【0041】
その後、本実施形態では、図5(G)にて示す第2片部520がユーザによって下方から押圧される。これにより、第1片部510の図中右端部(第2片部520に接続されている側の端部)が上方に持ち上げられるとともに、この持ち上げによって、第1片部510の図中左端部(端部517)がパネル400を押圧する。付言すると、本実施形態では、リベット900(図1(B)参照)が支点となり、第1片部510の右端部が上方に持ち上げられた際に、第1片部510の左端部が下方に向かって移動する。これによりパネル400がタブ500により押圧され、パネル400に開口が形成される。
【0042】
タブ500の動きについてさらに説明する。
図6は、タブ500、パネル400、および容器本体200を、飲料缶100の側方から眺めた場合の図である。
上記では説明を省略したが、本実施形態では、パネル400の外周縁410が、パネル400の基板405よりも上方に位置している。付言すると、パネル400は、外周縁410の内側が窪んだ状態となっている。そして本実施形態では、タブ500は、外周縁410よりも下方且つ内側に位置する基板405の表面に取り付けられている。
【0043】
ここで本実施形態では、タブ500がユーザにより操作された際、上記のとおり、まず、第4片部540とパネル400との間にユーザの指が挿入され、第4片部540が上方に引き上げられる。また上記のとおり、第4片部540がユーザによってさらに押圧される。これにより、図6(A)に示すように、タブ500は、略平行四辺形の形状を有するようになる。また本実施形態では、このようにタブ500が略平行四辺形となった際に、第2片部520がパネル400の外周縁410に突き当たり、第2片部520の移動が規制される。また本実施形態では、第2片部520がパネル400の外周縁410に突き当った際、第2片部520の端部527が、パネル400の外周縁410よりも外側に且つ第1片部510よりも上方に位置する状態となる。
【0044】
また本実施形態では、タブ500の第2片部520が、図6(A)のようにパネル400の外周縁410に突き当たった状態において、第3片部530の長さL3と第4片部540の長さL4との和の方が、第2片部520の端部527と第1片部510の端部517との距離(直線距離)L2よりも、大きくなっている。付言すると、第3片部530の長さL3と第4片部540の長さL4との和の方が、図5(G)にて示した仮想線L1の長さよりも大きくなっている。
【0045】
さらに説明すると、第3片部530の端部から剛性低下部の一例としての第3溝563(図6(A)参照)までの距離L3と、第4片部540の端部から第3溝563までの距離L4との和の方が、第2片部520の端部527(一端部接触箇所の一例)と第1片部510の端部517(他端部接触箇所の一例)との距離L2よりも、大きくなっている。このため本実施形態では、第2片部520がパネル400の外周縁410に突き当たり第2片部520の移動が規制された際、第3片部530および第4片部540の移動も規制されるようになる。付言すると、第3片部530の第2片部520への接近、および、第4片部540の第1片部510への接近が規制されるようになる。
【0046】
さらに説明すると、第1片部510と第2片部520を2辺とする三角形を想定した場合、この三角形の底辺の長さよりも、第3片部530の長さL3と第4片部540の長さL4との和の方が大きくなっている。このため、第1片部510と第2片部520とのなす角度が大きくならない限り、第3片部530および第4片部540の移動がなされない状態となる。この結果、上記のとおり、第2片部520がパネル400の外周縁410に突き当たり第2片部520の移動が規制された際、第3片部530および第4片部540の移動も規制される。そしてこれにより、進行していたタブ500の変形が一旦停止する。
【0047】
その後、本実施形態では、タブ500の上面がユーザにより上方から押圧され、図6(B)に示すように、第4片部540が第1片部510に接近し、第3片部530が第2片部520に接近するようになる。そしてこの場合、第2片部520の端部527が、第3片部530により上方から押圧され、第2片部520は弾性変形を行う。より詳細には、第2片部520の端部527が下方に向かって変位するようになり、第2片部520は、上側に向かって凸となるように反る。
【0048】
また本実施形態では、第2片部520の端部527の下方への変位によって、第2片部520の他方の端部528(第1片部510に接続されている側の端部、図6(B)参照)が上方に変位するようになる。そしてこの変位によって、第1片部510の端部518(第2片部520に接続されている側の端部)が持ち上げられ、この端部518も上方に変位するようになる。付言すると、第1片部510も弾性変形を行うようになる。
【0049】
そしてこのように第1片部510および第2片部520が弾性変形を行うと、第1片部510と第2片部520とのなす角度が大きくなり、第2片部520の端部527と第1片部510の端部517との距離L2が大きくなる。そして距離L2が大きくなる結果、本実施形態では、この距離L2と、上述した、長さL3と長さL4との和とが等しくなる。そしてこのように、距離L2と、長さL3と長さL4との和とが等しくなると、第2片部520に向けての第3片部530が移動し、および、第1片部510に向けての第4片部540が移動していく。
【0050】
これにより、図6(C)に示すように、第2片部520の端部527と第1片部510の端部517とを結ぶ仮想線L1よりも、第1片部510および第2片部520が設けられている側に、第3片部530および第4片部540が位置するようになる。その後、本実施形態では、タブ500の上面のユーザによる押圧が解除される。そしてタブ500に対するユーザの押圧が解除されると、弾性変形を行っていた第1片部510および第2片部520は、図6(C)に示すようにもとの状態に復元する。
さらに説明すると、第3片部530および第4片部540が仮想線L1(図6(C))を超えると、それ以降、第3片部530および第4片部540の端部の距離L2は減少することができるようになる。これにより、第1片部510および第2片部520に弾性変形を発生させていた力が働かなくなる。このため、第1片部510および第2片部520は、それぞれ変形前に復元しようとする力が働き、これが第1片部510および第2片部520の端部の距離L2を減少しようとする力となる。すると、第3片部530および第4片部540の端部の距離L2は減少させられ、第3片部530および第4片部540のなす角は小さくなる方向に力が働き、図6(C)に示すように、第3片部530は第2片部520に、第4片部540は第1片部510に、それぞれ近づくようになる。なおこのとき、タブ500の上面は下方側に屈曲しており、タブ500は図6(A)に示す状態に戻りにくくなっている。
なおタブ500の上面に位置する部位(第3片部530および第4片部540)は、揺動片の一例としての第2片部520と固定片の一例としての第1片部510との間に設けられるとともに第2片部520および第1片部510により支持され、この第2片部520および第1片部510が設けられている側への屈曲が可能な変形片として捉えることができる。
【0051】
さらに説明すると、本実施形態では、タブ500の上面に対する押圧が解除された際、タブ500の上面が下側に屈曲する状態となるとともに、第3片部530の長さL3(図6(C)参照)と第4片部540の長さL4との和の方が、仮想線L1の長さよりも大きい状態となる。このため、タブ500は、図6(A)に示す状態に戻りにくくなる。
【0052】
その後、本実施形態では、上記のとおり、第2片部520のうちのパネル400の外周縁410から突出している部分が、ユーザにより下方から押圧される。これにより、第1片部510の端部518(図6(C)参照)が上方に変位する。そしてこの変位によって、第1片部510の端部517(図中左端部)がパネル400を押圧する。付言すると、上記のとおり、リベット900が支点となり、第1片部510の端部518が上方に持ち上げられた際に、第1片部510の端部517が下方に向かって移動する。これによりパネル400がタブ500により押圧され、パネル400に開口が形成される。
【0053】
なお本実施形態では、第2片部520のうちの外周縁410から突出している部分がユーザにより下方から押圧された際、図6(C)に示すように、タブ500の上面に形成された屈曲部の頂部に対して第2片部520が押し付けられる。またこのとき、この頂部と第4片部540の図中左端部との間に位置する第1の部位、第2片部520のうちの上記頂部に押し付けられた箇所と端部528との間に位置する第2の部位、および、第1片部510のうちの端部518と端部517との間に位置する第3の部位を三辺とする三角形がタブ500に形成される。
【0054】
また本実施形態では、第2片部520のうちのパネル400の外周縁410から突出している部分がユーザにより下方から押圧された際、第2片部520は、外周縁410の内側に向かって(反時計まわり方向に)回転しようとするが、この回転は、第2片部520と第1片部510との間に配置された第4片部540によって規制される。付言すると、上記突出している部分がユーザにより下方から押圧された際、第2片部520はパネル400の内側方向に倒れようとするが、第2片部520のこの倒れは第4片部540により規制される。
【0055】
なお、ユーザによってタブ500が操作される前においては、図5(A)に示すように、第4片部540は、第2片部520と第1片部510との間ではない箇所に配置される。またこの状態において、第4片部540は、パネル400に沿うように配置されている。タブ500が操作される前に、第4片部540が第2片部520と第1片部510との間に配置されていると、タブ500(缶蓋300)の厚みが増すおそれがあるが、本実施形態の構成とした場合には、このような厚みの増加が抑制される。
【0056】
また、第2片部520のうちのパネル400の外周縁410から突出している上記部分がユーザにより下方から押圧された際、第4片部540の端部545(図6(C)参照)が第2片部520の面上(裏面上)をスライドするように、第4片部540は変位しようとする。付言すると、端部545が端部527に近づくように第4片部540は変位しようとする。ところで本実施形態では、この変位は、端部545と端部527との間に位置する第3片部530によって規制される。
【0057】
ところで、図1(A)等にて示した飲料缶100は、上記のとおり、小径の飲料缶100をイメージして描いている。ここでこのような小径の飲料缶100において、径の大きい飲料缶100に用いられるタブ500を用いた場合、パネル400に形成される開口とタブ500とが重なる領域が大きくなり、内部の飲料の流出性能が低下してしまう。このため、飲料缶100の直径が小さくなる場合においてはタブ500のサイズも小さくすることが望ましくなる。ところでこの場合、流出性能の低下は抑制可能となるが、タブ500が小さくなるためタブ500の操作性が低下する。
【0058】
また、飲料缶100に形成される開口が大きい場合も上記と同様の問題が起こり得る。ここで飲料缶100に取り付けられるパネル400の大きさには制約があり、開口が大きくなる場合は、タブ500の設置スペースが減るようになる。そしてこの場合は、上記と同様、タブ500のサイズが小さくなりタブ500の操作性が低下する。またこの場合、開口(舌片部)と重なるようにタブ500を設ければ、より大きいタブ500を用いることが可能となるが、この場合は、上記と同様、流出性能の低下が起きてしまう。
【0059】
ここで、本実施形態における構成を採用した場合は、飲料が飲まれる際には図1(B)に示す状態となり、流出性能の低下が抑制可能となる。また本実施形態における構成を採用した場合、タブ500を大きくしたとしても、飲料が飲まれる際には、タブ500と開口との重なりが小さくなるため、流出性能の低下を抑えつつタブ500の大型化を図ることができるようになる。
【0060】
なお上記では、パネル400の外周縁410を利用することで第2片部520の下方への移動を規制したが、外周縁410以外を利用して、第2片部520の下方への移動を規制することもできる。
例えば、図7(飲料缶100の他の実施形態を示した図)の(A)に示すように、パネル400の表面に突起470を形成し、この突起470に対し第2片部520が接触するようにすることで、第2片部520の下方の移動を規制することができる。なお本実施形態では、パネル400に突起470を形成したが、タブ500に突起470を形成してもよい。また例えば同図(B)に示すように、第2片部520の厚みを増すことで、第2片部520の下方への移動を規制することもできる。なお同図(B)では、カール部580の厚みを増すことで、第2片部520の厚みを増加させている。
【0061】
なお上記では、第2片部520の下方への移動を規制する場合(第2片部520とパネル400とのなす角度が予め定められた角度となった際に第2片部520の移動が規制される場合)を説明したが、第2片部520の下方への移動を規制しない構成とすることもできる。この場合、タブ500の上面がユーザにより押圧された際、図8(飲料缶100の他の一形態を示した図)に示すように、側面視にてタブ500は略直線状となる。
【0062】
なお図8のように、タブ500が略直線状となる場合、第2片部520が下方から押圧されパネル400に開口が形成される際に、第3片部530および第4片部540が上方に向かって変位するおそれがある。付言すると、タブ500の上面に、図6(C)に示したような屈曲部が形成されていない場合、第3片部530および第4片部540が上方に向かって変位しやすくなる。そして第3片部530および第4片部540が上方に変位してしまうと、図6(A)の状態に戻ることとなり、パネル400に開口を形成することが困難となる。
【0063】
このため、図8のように、外周縁410や突起470などを設けない構成とすることも可能ではあるが、外周縁410や突起470などを設けることで第2片部520の下方への移動を規制し、タブ500の上面に屈曲部が形成される構成とした方がより好ましくなる。付言すると、外周縁410や突起470などを設けることで、第2片部520の端部527(図6参照)がある一定位置よりも下方に位置しないようにし、仮想線L1(図6(C)参照)の長さの方を、第3片部530の長さL3と第4片部540の長さL4との和よりも小さくしておくことが好ましくなる。
また、図11に示すように、第1片部510の長さをA、第2片部520の長さをB、第3片部530の長さをC、第4片部540の長さをDとした場合、以下の、(1)式および(2)式を満足することが望ましい。
(1)A+D=B+C
(2)A+B>C+D
【0064】
図9は、図3にて示した第1溝561〜第4溝564を説明するための図である。なお図9では、第1溝561を一例に説明する。
同図(A)に示すように、第1溝561は、断面形状がU字状となるように形成することができる。また同図(C)に示すように断面形状が三角形となるように形成することもできる。また断面形状を三角形とした場合、同図(B)に示すように、先端部に曲率を付与することもできる。また上記では、タブ500に溝(第1溝561〜第4溝564)を形成した場合を一例に説明したが、同図(D)、(E)に示すように、タブ500の一部が凹むようにタブ500を変形させるようにしてもよい。なお同図(D)は、断面形状がU字状の凹みを形成した場合を示し、同図(E)は、断面形状が三角形の凹みを形成した場合を示している。
【0065】
また上記では、第1片部510〜第5片部550が平坦に形成されているが、図10(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように、第2片部520〜第4片部540に曲率を付与し第2片部520〜第4片部540を湾曲させるようにしてもよい。ここで図10に示す構成例では、第3片部530が設けられている側に向かって膨らむように(凸となるように)第2片部520は湾曲している。また、第2片部520から離れる方向に向かって膨らむように第3片部530は湾曲している。また、第1片部510が設けられている側に向かって膨らむように第4片部540は湾曲している。なお本実施形態では、第2片部520〜第4片部540を湾曲させる場合を一例に説明するが、第1片部510および第5片部550も湾曲させることができる。
【0066】
ここで本実施形態では、パネル400に開口が形成される際にタブ500の第2片部520が上方に持ち上げられるが、このとき、第2片部520には、同図の矢印10Aに示す曲げモーメントが働く。付言すると、下側に向かって凸となるように第2片部520を湾曲させる曲げモーメントが働くようになる。
【0067】
ところでこの場合に、第2片部520が下側に向かって凸となるように湾曲してしまうと、第2片部520から第1片部510に荷重が伝達されにくくなり、第1片部510がパネル400を押圧する際の押圧荷重が小さくなる。そしてこの場合、パネル400に開口を形成する際に要するタブ500の操作荷重が増加する。このため本実施形態では、第3片部530が設けられている側(上側)に向かって膨らむように第2片部520を予め湾曲させておくことで、下側に向かって凸となるように第2片部520が湾曲することを抑制している。この場合、第2片部520からの荷重が第1片部510に伝達されやすくなり、パネル400に開口を形成する際に要するタブ500の操作荷重が小さくなる。
【0068】
また本実施形態では、上記のとおり、第2片部520から離れる方向に向かって膨らむように第3片部530は湾曲している。ここで、第2片部520が上方に持ち上げられた際、図10の矢印10Bに示すように、第3片部530には、軸方向の圧縮応力がかかる。この圧縮応力により、第3片部530と第4片部540のなす角は小さくなろうとする方向に力が働く。そのため、第3片部530と第4片部540の接続部10Yは、第2片部520を押込む方向の力となる。
また、第2片部520から離れる方向に向かって膨らむように第3片部530が湾曲していると、例えば第3片部530が平坦に形成されている場合に比べ、第2片部520に向かって膨らむ湾曲が第3片部530に生じにくくなる。第2片部520に向かって膨らむ湾曲が第3片部530に生じると、第2片部520にも湾曲(図10中、下方向に向かって凸となる湾曲)が生じやすくなる。そしてこの場合、ユーザからの操作荷重が第1片部510に伝達されにくくなり、開口を形成する際の操作荷重の増加を招いてしまうおそれがある。
【0069】
また本実施形態では、第2片部520がユーザにより上方に持ち上げられた際、第4片部540にも矢印10Cに示すような軸方向の圧縮応力がかかる。そしてこの場合、この圧縮応力は、第4片部540の曲率を大きくさせる(曲率半径を小さくさせる)応力となると言うこともできる。また本実施形態における第4片部540は、上記のように、第1片部510が設けられている側に向かって膨らむように湾曲している。このため本実施形態では、第4片部540に軸方向の圧縮応力が作用し第4片部540の曲率が大きくなった際、第4片部540は、第1片部510や第2片部520により密着するようになる。そしてこの場合は、第4片部540が平坦に形成されている場合に比べ、第4片部540が第2片部520等から離れにくくなる。そしてこの場合、タブ500が、図6(C)に示した状態から図6(A)に示した状態に戻りにくくなる。
【符号の説明】
【0070】
100…飲料缶、200…容器本体(缶胴)、300…缶蓋、400…パネル、410…外周縁、500…タブ、510…第1片部、520…第2片部、530…第3片部、540…第4片部、550…第5片部、563…第3溝、900…リベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁を有し、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、
を備え、
前記タブは、
前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、
前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで他方の端部が当該外周縁よりも外側に位置するようになる揺動片と、
一端および他端を有し、前記パネルに前記固定片を固定するリベットまたは当該固定片に当該一端が接続され、前記揺動片に当該他端が接続され、当該揺動片が前記一方の端部を中心として前記回転を行う際に伸長するとともに当該回転を行った当該揺動片側への屈曲が可能に構成された接続片と、
を有していることを特徴とする缶蓋。
【請求項2】
前記揺動片が前記パネルに対向している状態において、前記接続片は、折り曲げられ当該パネルに沿うように配置されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
【請求項3】
前記折り曲げられ前記パネルに沿うように配置された前記接続片は、当該パネルのうちの前記開口が形成される前記部位に重なるように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶蓋。
【請求項4】
前記タブは、一枚の板金により形成され、
前記板金の複数箇所にて曲げ加工が施されることで、前記固定片、前記揺動片、および、前記接続片が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の缶蓋。
【請求項5】
外周縁を有し、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、
を備え、
前記タブは、
前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、
前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで、他方の端部が、当該外周縁よりも外側に且つ当該固定片よりも上方に位置するようになる揺動片と、
前記一方の端部を中心として前記回転を行った前記揺動片と前記固定片とにより支持され、当該固定片および当該揺動片が設けられている側への屈曲が可能な変形片と、
を有していることを特徴とする缶蓋。
【請求項6】
前記変形片は、前記揺動片に接触する一端部と、前記固定片に接触する他端部とを有するとともに、当該一端部と当該他端部との間に、他の部分よりも剛性の低い剛性低下部を有し、当該剛性低下部によって前記屈曲ができるように構成され、
前記揺動片が前記固定片との接続部を回転軸として回転し、当該揺動片と当該固定片が予め定められた角度になったとき、
前記変形片の前記一端部と前記剛性低下部との距離と、当該変形片の前記他端部と当該剛性低下部との距離と、の和の方が、
前記揺動片のうち前記変形片の前記一端部が接触する一端部接触箇所と、前記固定片のうち当該変形片の前記他端部が接触する他端部接触箇所と、の直線距離よりも大きいことを特徴とする請求項5記載の缶蓋。
【請求項7】
前記固定片および前記揺動片が設けられている側へ屈曲した前記変形片には、前記剛性低下部が設けられている箇所に頂部が形成され、
前記固定片および前記揺動片が設けられている側へ前記変形片が屈曲している状態にて、当該揺動片の前記他方の端部がユーザにより上方に引き上げられた際、
前記変形片の前記頂部に対して前記揺動片の予め定められた箇所が押し付けられるとともに、当該変形片のうちの、当該頂部と前記他端部との間に位置する第1の部位、当該揺動片のうちの、当該予め定められた箇所と前記一方の端部との間に位置する第2の部位、及び、前記固定片のうちの、当該揺動片が接続される箇所と前記他端部接触箇所との間に位置する第3の部位を三辺とする三角形が前記タブに形成されることを特徴とする請求項6記載の缶蓋。
【請求項8】
前記揺動片が前記パネルに対向している状態において、前記変形片は、折り曲げられ当該パネルに沿うように配置されていることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の缶蓋。
【請求項9】
開口を有し飲料を内部に収容した缶胴と、当該缶胴の当該開口を塞ぐ缶蓋とを有し、
前記缶蓋は、
外周縁を有し、前記缶胴の前記開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、
を備え、
前記タブは、
前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、
前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで他方の端部が当該外周縁よりも外側に位置するようになる揺動片と、
一端および他端を有し、前記パネルに前記固定片を固定するリベットまたは当該固定片に当該一端が接続され、前記揺動片に当該他端が接続され、当該揺動片が前記一方の端部を中心として前記回転を行う際に伸長するとともに当該回転を行った当該揺動片側への屈曲が可能に構成された接続片と、
を有していることを特徴とする飲料缶。
【請求項10】
開口を有し飲料を内部に収容した缶胴と、当該缶胴の当該開口を塞ぐ缶蓋とを有し、
前記缶蓋は、
外周縁を有し、前記缶胴の前記開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルに開口が形成される際にユーザにより操作されるタブと、
を備え、
前記タブは、
前記パネルのうちの前記開口が形成される部位に少なくとも一部が重なるように設けられ、当該パネルに固定された固定片と、
前記固定片に一方の端部が接続して設けられるとともに当該一方の端部を中心に揺動可能に設けられ、前記パネルに対向して配置されるとともに前記外周縁の内側に収められ、当該一方の端部を中心として回転することで、他方の端部が、当該外周縁よりも外側に且つ当該固定片よりも上方に位置するようになる揺動片と、
前記一方の端部を中心として前記回転を行った前記揺動片と前記固定片とにより支持され、当該固定片および当該揺動片が設けられている側への屈曲が可能な変形片と、
を有していることを特徴とする飲料缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−184028(P2012−184028A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48979(P2011−48979)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】