説明

美的透明部品

積層透明部品は、1番表面および2番表面を有する第1板と、3番表面および4番表面を有する第2板と、第1板と第2板との間に配置される中間層とを含む。美的コーティングは、第1または第2板の少なくとも一部分上に堆積される。透明部品は、|a|≧10および|b|≧10によって規定される色を有し、非限定的な一実施形態ではL≧40によって規定される色を有する。本発明の透明部品は、自動車用フロントガラス、サイドライト、バックライトなどに使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2006年5月9日に出願された米国仮出願番号60/798,828、および2006年10月30日に出願された米国仮出願番号60/855,219に対する優先権を主張する。これらの米国仮出願の両方は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、一般に、自動車用フロントガラス、サイドライト、バックライトなどを含むが、これらに限定されない透明部品に関し、特定の一実施形態では、望ましい美的外観を有する積層自動車用透明部品に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.技術的問題点)
現在の自動車市場では、自動車のスタイリングが非常に重視されている。自動車がどのように見えるかは、車両の販売にとって、車両の機械的信頼性または安全格付けと同様に重要であり得る。したがって、自動車メーカーは、車両のスタイリングを強化するためにどのような苦労も惜しまなくなっている。こうしたスタイリングの強化には、より多くの車両の色の選択肢を消費者に与え、さらに、車両に「多色性効果」を与えるために、金属フレークを有する色を提供することを含む。
【0004】
こうしたスタイリングの強化は、一般に、消費者には好評だが、これまでの問題は、車両の塗装仕上げが新しくても、自動車用透明部品(フロントガラス、サイドライト、バックライト、ムーンルーフ、およびサンルーフを含むが、これらに限定されない)は、依然として、通常はグリーン、グレー、または中間色であることである。車両本体の色に適合する色を有する自動車用透明部品を提供し、車両の全体的な美的外観を改善することが望ましい。
【0005】
しかし、より多くの色を自動車用透明部品に組み入れようとする場合、色以外に考慮するべき点にも取り組まなければならない。たとえば、米国では、政府の規制は、乗用車用フロントガラスは、少なくとも70%の視感(可視)光透過率(Lta)がなければならないと要求している。欧州では、要求される最小Ltaは75%である。どの着色フロントガラスも、これらの規格に適合する必要がある。
【0006】
さらに、従来の自動車用フロントガラスは、一般に、フロントガラスを通して車両に入る熱の量を減少させる日照調節機能を提供する。日照調節機能を含む着色フロントガラスを提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、透明部品の色を車両本体の色と調和させる機会を提供する美的透明部品を提供すると好都合である。このような透明部品が、ある程度の日照調節特性も提供すれば、さらに好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
積層透明部品は、1番表面および2番表面を有する第1板と、3番表面および4番表面を有する第2板と、第1板と第2板との間に位置する中間層とを含む。美的コーティングは、第1または第2板の少なくとも一部分上に形成される。透明部品は、|a|および|b|のうちの少なくとも一方が10以上と規定される色を有する。非限定的な一実施形態では、L≧40である。さらに他の非限定的な一実施形態では、Cは、15≦C≦90およびL≧40の範囲を有し得る。
【0009】
別の積層透明部品は、1番表面および2番表面を有する第1ガラス板と、3番表面および4番表面を有する第2ガラス板と、第1ガラス板と第2ガラス板との間に位置する中間層とを含む。透明部品は、第1板の2番表面の少なくとも一部分の上に堆積された美的コーティングをさらに含む。美的コーティングは、層構造H/M/H/M/Hを含むコーティングスタックを含み、ここで、H、HおよびHは、少なくとも1つの高屈折率の材料(1.75を超える屈折率を有する材料)を含む層を表し、MおよびMは金属層を表す。この透明部品は、|a|≧10および|b|≧10のうちの少なくとも1つによって規定される色を有する。非限定的な一実施形態では、L≧40である。さらに他の非限定的な一実施形態では、Cは、15≦C≦90およびL≧40の範囲を有し得る。反射防止コーティングなどの反射コーティングは、第2ガラス板の少なくとも一部分上、たとえば第2板の4番表面の上などに形成され得る。
【0010】
別の積層透明部品は、1番表面および2番表面を有する第1ガラス板と、3番表面および4番表面を有する第2ガラス板と、第1ガラス板と第2ガラス板との間に位置するポリマー中間層とを含む。美的コーティングは、2番表面の少なくとも一部分上に形成される。美的コーティングは、層構造H/M/H/M/Hを含むコーティングスタックを含み、ここで、Hはスズ酸亜鉛を含み、Mは銀を含む。透明部品は、|a|および|b|のうちの少なくとも1つが10以上であることによって規定される色を有する。非限定的な一実施形態では、L≧40である。さらに他の非限定的な一実施形態では、Cは、15≦C≦90およびL≧40の範囲を有し得る。保護用オーバーコートは、美的コーティング上に堆積され得る。保護コーティングは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびこれらの混合物または組合せのうちの少なくとも1つを含む多層コーティングスタックを含み得る。反射防止コーティングなどの反射コーティングは、4番表面の少なくとも一部分上に形成され得る。反射防止コーティングは、1.75を超える屈折率を有する第1層と、第1層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第2層と、第2層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第3層と、第3層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第4層とを含み得る。
【0011】
さらに他の積層透明部品は、第1板と、第2板と、第1板と第2板との間に配置される中間層と、第1板と第2板との間に配置される美的コーティングとを含む。透明部品は、|a|および|b|≧10およびL≧40のうちの少なくとも一方として規定される色を有する。
【0012】
本発明は、以下の図面を参照しながら説明され、図中の類似の参照符号は全体にわたって類似の部品を特定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施形態の説明)
本明細書で使用する場合、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などの空間または方向に関する用語は、図示されている本発明に関連する。しかし、本発明は、様々な向きを取ることができ、したがって、このような用語は限定するものとみなすべきではないと考えるべきである。さらに、本明細書で使用する場合、明細書および特許請求の範囲に使用される寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の数量、反応条件などを表すすべての数字は、あらゆる場合に、「約」という語によって修飾されると考えるべきである。したがって、そうではないと指示されていない限り、以下の明細書および特許請求の範囲に記載されている数値は、本発明によって得ることを求める所望の特性に応じて異なり得る。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするのではなく、各々の数値は、少なくとも、報告された有効数字を考慮し、通常の丸め技術を適用して解釈するべきである。さらに、本明細書に開示するすべての範囲は、開始および終了範囲の値、およびその範囲に含まれるあらゆる部分領域を含むと考えるべきである。たとえば、「1〜10」と記載された範囲は、1の最小値と10の最大値との間の(最小値および最大値を含む)あらゆる部分領域、すなわち、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わる部分領域、たとえば1〜3.3、4.7〜7.5、5.5〜10などを含むと考えるべきである。さらに、本明細書で使用する場合、「上に形成する」、「上に堆積する」、または「上に提供する」という語句は、表面に形成、堆積、または提供されるが、必ずしもこの表面に接触しないことを意味する。たとえば、ある基板「上に形成される」コーティング層は、形成されたコーティング層と基板との間に位置する、組成が同じかまたは異なる1つまたは複数の他のコーティング層またはフィルムの存在を排除しない。本明細書で使用する場合、「ポリマー」または「ポリマーの」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー、たとえば、2種類以上のモノマーまたはポリマーから形成されるポリマーを含む。「可視領域」または「可視光」という用語は、380nm〜800nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。「赤外領域」または「赤外線」は、800nmを超え、100,000nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。「紫外領域」または「紫外線」という用語は、300nmから380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。さらに、本明細書に記載されている、発行済み特許および特許出願に限らないすべての文書は、全体的に「引用することにより援用される」と考えるべきである。「美的コーティング」という用語は、基板の美的特性、たとえば、色、陰影、色相、または可視光反射率を強化するが、必ずしも基板の日照調節特性を強化するとは限らないコーティングを意味する。しかし、美的コーティングは、美的以外の特性、たとえば紫外(UV)線吸収または反射および/あるいは赤外(IR)吸収または反射も提供し得る。美的コーティングはまた、製品を通る可視光透過率を単に低下させることによって、ある程度の日照調節効果を提供し得る。以下の説明では、屈折指数は、550ナノメートル(nm)の参照波長の屈折率である。「フィルム」という用語は、所望または選択された組成を有するコーティングの領域を意味する。「層」は、1つまたは複数の「フィルム」を含む。「コーティング」または「コーティングスタック」は、1つまたは複数の「層」から成る。ある数「N」の絶対値は、本明細書では|N|として記載する。「絶対値」とは、符号に関係なく実数の数値を意味する。本明細書に記載するすべての4分の1波長の光学厚さ値は、550nmの参照波長に対して相対的に定義される。
【0014】
以下の説明の目的上、本発明は、自動車用透明部品、特に積層自動車用フロントガラスに対する使用に関して説明される。しかし、本発明は、自動車用フロントガラスに対する使用に限られるのではなく、任意の所望の分野で実施可能であると考えるべきであり、こうした分野としては、積層または非積層の住宅用および/または商業用窓、絶縁ガラスユニット、ならびに/あるいは地上艇、空中艇、宇宙船、水上艇および水中艇用の透明部品、たとえば、いくつか挙げると自動車用フロントガラス、サイドライト、バックライト、サンルーフ、およびムーンルーフがあるが、これらに限定されない。したがって、詳細に開示する例示的な実施形態は、単に本発明の一般的な概念を説明するために提示するのであり、本発明は、これらの特定の例示的な実施形態に限られないと考えるべきである。さらに、代表的な車両用「透明部品」は、材料がこの透明部品を通して見ることができるように十分な可視光透過率を有し得るが、本発明を実施する際に、「透明部品」は、必ずしも可視光に対して透過的である必要はなく、半透明または不透明であり得る(以下で説明する)。本発明の美的コーティングは、積層または非積層(たとえば単一板またはモノリシック)製品の製造に使用することができる。「モノリシック」という用語は、単一の構造用基板または一次板、たとえばガラス板を有することを意味する。「一次板」という用語は、一次支持部材または構造部材を意味する。以下の説明では、例示的な製品(積層あるいはモノリシックに関わらず)は、自動車用フロントガラスとして説明される。
【0015】
本発明の特徴を含む非限定的な透明部品10(たとえば、自動車用フロントガラス)を図1に示す。透明部品10は、可視光、赤外線、または紫外線の任意の所望の透過率または反射率を有し得る。たとえば、透明部品10は、たとえば0%を超えて100%以下、たとえば70%を超える任意の所望の量の可視光透過率を有し得る。米国では、フロントガラスおよびフロントサイドライトの領域の場合、可視光透過率は、一般に70%以上である。リアシートサイドライトおよびリアウィンドウなどのプライバシーの領域の場合、可視光透過率は、フロントガラスの場合より低くあり得、たとえば70%未満である。
【0016】
透明部品10は、第1主面および第2主面を有する第1板12を含む。図示の例では、第1主面は、車両の外側「E」に面し、すなわち外側主面14(1番表面)であり、反対側の第2すなわち内側主面16(2番表面)は、車両の内側「I」に面する。透明部品10は、車両の外側Eに対向する外側(第1)主面20(3番表面)、および内側(第2)主面22(4番表面)を有する第2板18も含む。板表面のこの番号付けは、自動車分野における従来の実施と一致している。第1および第2板12、18は、従来の中間層24を使用するなど、任意の適切な方法で一緒に結合され得る。必須ではないが、従来のエッジシーラントは、任意の所望の方法での積層中、および/または積層した後、積層透明部品10の周囲に適用され得る。セラミックバンドなどの装飾用バンド、たとえば不透明、半透明、または着色バンド26(図2に示されている)は、板12、18のうちの少なくとも一方の表面上、たとえば第1板12の内側主面16の周囲に沿って提供され得る。美的コーティング30は、板12、18の一方の少なくとも一部分、たとえば2番表面16または3番表面20の少なくとも一部分の上に形成される。反射コーティング32は、表面のうちの少なくとも一方の上、たとえば4番表面22の少なくとも一部分上に形成され得る。「反射コーティング」という用語は、透明部品10の可視光反射率に影響を与えるコーティングを意味する。たとえば、反射コーティングは、透明部品10の可視光反射率を減少させるように構成された反射防止コーティング、または透明部品の可視光反射率を増加するように構成された反射コーティングであり得る。
【0017】
本発明の広範囲にわたる実施では、透明部品10の板12、18は、同じ材料であっても異なる材料であってもよい。板12、18は、任意の所望の特性を有する任意の所望の材料を含み得る。たとえば、板12、18のうちの1つまたは複数は、可視光に対して透過的あるいは半透明でよい。「透過的」という用語は、0%を超えて100%までの可視光透過率を有することを意味する。あるいは、1つまたは複数の板12、18は半透明でよい。「半透明」という用語は、電磁エネルギー(たとえば可視光)が通過し得るが、観察者に対向する側の物体が明確には見えないように、このエネルギーを拡散させることを意味する。適切な材料の例としては、プラスチック基板(たとえば、ポリアクリレートなどのアクリルポリマー;ポリアルキルメタクリレート、たとえばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなど;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリアルキルテレフタレート、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど;ポリシロキサン含有ポリマー;あるいはこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、あるいはこれらの任意の混合物);セラミック基板;ガラス基板;あるいは上記の何れかの混合物または組合せが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、板12、18のうちの1つまたは複数は、従来のソーダ石灰シリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、あるいは加鉛ガラスを含み得る。ガラスは、透明ガラスでよい。「透明ガラス」という用語は、染色していないガラスまたは着色していないガラスを意味する。あるいは、ガラスは、染色ガラスあるいは着色ガラスであり得る。ガラスは、焼きなましされたガラスまたは熱処理ガラスでよい。本明細書で使用する場合、「熱処理」という用語は、焼き戻すか、または少なくとも部分的に焼き戻すことを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意のタイプでよく、任意の光学特性、たとえば任意の値の可視透過率、紫外線透過率、赤外線透過率、および/または総太陽熱エネルギー透過率を有する任意の組成のものでよい。「フロートガラス」という用語は、溶融ガラスが溶融金属槽の上方に堆積され、制御可能に冷却されてフロートガラスリボンを形成する従来のフロートプロセスによって形成されるガラスを意味する。このリボンは、次に、必要に応じて切断および/または賦形および/または熱処理される。フロートガラスプロセスの例は、米国特許第4,466,562号および第4,671,155号に記載されている。第1および第2板12、18は各々、たとえば透明フロートガラスでよいか、あるいは染色または着色ガラスでよく、あるいは一方の板12、18が透明ガラス、他方の板12、18が着色ガラスでよい。本発明を限定するわけではないが、第1板12および/または第2板18に適するガラスの例は、米国特許第4,746,347号;第4,792,536号;第5,030,593号;第5,030,594号;第5,240,886号;第5,385,872号;および第5,393,593号に記載されている。第1および第2板12、18は、任意の所望の寸法、たとえば長さ、幅、形状、または厚さでよい。例示的な1つの自動車用透明部品では、第1および第2板は各々、1mm〜10mm厚、たとえば1mm〜5mm厚、または1.5mm〜2.5mm、または1.8mm〜2.3mmでよい。
【0018】
中間層24は、任意の所望の材料でよく、1つまたは複数の層を含み得る。中間層24は、ポリマーまたはプラスチック材料、たとえばポリビニルブチラール、可塑化ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタレートなどを含む多層熱可塑性プラスチック材料でよい。適切な中間層の材料は、たとえば、米国特許第4,287,107号および第3,762,988号に開示されているが、限定するものと解釈するべきではない。中間層24は、第1および第2板12、18を一緒に固定し、エネルギーの吸収を提供し得、ノイズを減少させ得、積層構造の強度を増加させ得る。中間層24は、たとえば、米国特許第5,796,055号に記載されているような吸音材料または音減衰材料でもよい。中間層24は、日照調節コーティングを層上に形成するか、または層内に組み込むか、あるいは着色材料を含めて、太陽エネルギー透過率を減少させ得る。
【0019】
美的コーティング30は、製品10に美的特性を提供する。当業者であれば理解するように、物体の色はきわめて主観的である。観察される色は、照明条件および観察者の好みに左右される。色を定量的基礎に基づいて評価するため、いくつかの色配列システムが開発されている。International Commission on Illumination(CIE)が採用した色を指定する1つのこうした方法は、主波長(DW)および刺激純度(Pe)を使用する。特定の色に対するこれらの2つの基準値の数値は、当該色のいわゆる三刺激値X、Y、Zから色座標xおよびyを計算して決定され得る。色座標は、次に、1931 CIE色度図上にプロットされ、CIE出版物第15.2号で確認されているように、CIE規格C光源の座標と数値的に比較される。この比較は、ガラスの色の刺激純度および主波長を規定するための図に色空間位置を提供する。
【0020】
別の色配列システムでは、色は、色相および明度に関して特定される。このシステムは、一般に、CIELAB色システムと呼ばれる。色相は、赤色、黄色、緑色、および青色などの色を識別する。明度、または明度値は、明るさまたは暗さの程度を識別する。L、aおよびbとして識別されるこれらの特性の数値は、三刺激値(X、Y、Z)から計算される。Lは色の明るさまたは暗さを示し、その色が存在する明度の面を表し、aは、赤色(+a)緑色(−a)軸上の色の位置を示し、bは、黄色(+b)青色(−b)軸上の色の位置を示する。CIELAB系の直角座標を円筒極座標に変換する場合、結果として得られる表色系は、明度(L)、および色相角(H°)およびクロマ(C)に関して色を特定するCIELCH表色系として公知である。Lは、CIELAB系のように色の明るさまたは暗さを指示する。クロマ、すなわち彩度または輝度は、色の強度または透明度(すなわち、鮮明さ対不鮮明さ)を識別し、色空間の中心から測定された色までのベクトル距離である。色のクロマが低い、すなわちその輝度が少なければ少ないほど、色は、いわゆる中間色に近くなる。CIELAB系に関しては、C=(a*2+b*21/2である。色相角度は、赤色、黄色、緑色、および青色などの色を識別し、a,b座標からCIELCH色空間の中心を通って延在するベクトルの、赤色(+a)軸から反時計方向に測定した角度の測定値である。
【0021】
色は、これらの表色系の何れかで特徴付けられ得、当業者は、等価なDWおよびPe値;L、a、b値;およびL、C、H°値を、観察されるガラスまたは複合透明部品の透過率曲線から計算することができると考えるべきである。色の計算の詳細な説明は、米国特許第5,792,559号に記載されている。本明細書では、色は、CIELAB系(L)を使用して特徴付けられる。しかし、これは、単に説明しやすくするためであり、開示された色は、上記のような任意の従来のシステムによって規定することができると考えるべきである。
【0022】
本発明の非限定的な一実施形態では、美的コーティング30は、コーティングされた製品10の日照調節特性に影響し得ないか、あるいはごくわずかに影響し得る。非限定的な一実施形態では、美的コーティング30は、−40≦a≦50、たとえば−40≦a≦45、たとえば−40≦a≦40、たとえば−30≦a≦40、たとえば−20≦a≦40、たとえば−20≦a≦30によって規定される色空間内の反射色を透明部品10に与えることができる。別の非限定的な実施形態では、|a|は10以上である。すなわち、aは、a原点から10単位以上である。たとえば、aは、正の領域で10〜50の範囲、負の領域で−10〜−50の範囲であり、すなわち、10≦|a|≦50、たとえば20≦|a|≦50、たとえば30≦|a|≦50、たとえば40≦|a|≦50である。
【0023】
非限定的な一実施形態では、美的コーティング30は、−75≦b≦40、たとえば−60≦b≦30、たとえば−50≦b≦30、たとえば−40≦b≦25、たとえば−30≦b≦20、たとえば−20≦b≦10、たとえば−10≦b≦5の範囲のbを提供することができる。別の非限定的な実施形態では、|b|は10以上、すなわちb原点から10単位以上である。たとえば、0≦|b|≦80であり、たとえば20≦|b|≦80、たとえば30≦|b|≦80、たとえば40≦|b|≦80、たとえば50≦|b|≦80、たとえば60≦|b|≦80、たとえば70≦|b|≦80である。
【0024】
非限定的な一実施形態では、透明部品10は、15≦C≦90、たとえば20≦C≦90、たとえば30≦C≦90、たとえば40≦C≦90、たとえば50≦C≦90、たとえば60≦C≦90、たとえば70≦C≦90、たとえば80≦C≦90によって規定される色を有する。
【0025】
別の非限定的な実施形態では、|a|または|b|の一方は10以上の値を有し、|a|または|b|の他方は、0〜10の値を有し得る。
【0026】
美的コーティングは、30≦L≦60、たとえば40≦L≦60、たとえば50≦L≦60の範囲、たとえば40以上のLを提供することができる。
【0027】
上記の非限定的な実施形態では、美的コーティング30は、板12、18の一方の少なくとも一部分上に形成された。しかし、美的コーティング30は、この位置に限る必要はないと考えるべきである。別の非限定的な実施形態では、美的コーティング30は、プラスチックまたはポリマーフィルム(たとえばPET)上に形成され得、このフィルムは、中間層24内に埋め込まれ得る。
【0028】
非限定的な一実施形態では、美的コーティング30は、1つまたは複数の金属層、および誘電コーティング材料の1つまたは複数の層を含む。非限定的な一実施形態では、金属層は、金、銅、銀、アルミニウム、またはこれらの混合物、合金、もしくは組合せからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み得る。
【0029】
本発明に使用される例示的な誘電材料としては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニア、チタニア、炭素(一般に、当業者に「ダイヤモンド状炭素」またはDLCとして公知である)、および酸化物、窒化物、または1つもしくは複数の金属の酸窒化物(たとえば酸窒化ケイ素)、亜鉛およびスズ材料(スズ酸亜鉛が挙げられるが、これに限定されない)、ならびにケイ素およびアルミニウム材料、または任意の1つまたは複数の上記材料を含む任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
美的コーティング30は、美的コーティング30の特性、たとえば屈折率、光触媒活性、および当業者に公知である類似の特性に影響を与える1つまたは複数の添加物またはドーパントを含み得る。ドーパントの例としては、ナトリウム、ニッケル、遷移金属および上記の任意の1つまたは複数を含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
美的コーティング30は、上記の所望の色、および反射率値を達成する任意の厚さでよい。当業者であれば理解するように、美的コーティング30の特定の厚さは、所望の色および反射率を達成するために選択された材料(単数または複数)に応じて変動し得る。さらに、美的コーティング30は、このコーティングを上に堆積する全体の表面にわたって均一の厚さである必要はない。たとえば、美的コーティング30は、コーティングされた表面上に知覚される色の差、たとえばレインボー効果を与えるために、不均一または異なる厚さでよい。(たとえば、より高い領域およびより低い領域の厚さを有する)。
【0032】
前部自動車用透明部品(たとえば、フロントガラス、およびフロントサイドライト)に使用する場合、透明部品10は、70%以上、たとえば72%以上、または75%以上のLtaを有し得る。前部以外の視界パネル(たとえば、「プライバシーガラス」の場合、Ltaは、75%未満、たとえば70%未満、または65%未満でよい。
【0033】
透明部品10(たとえば、積層自動車用透明部品)に、美的に望ましい光沢または輝きを与えるため、透明部品10は、8%〜50%、たとえば8%〜30%、たとえば8%〜25%、たとえば8%〜20%、たとえば15%〜25%、たとえば16%〜20%、たとえば9%〜19%の範囲の可視光反射率を有し得る。当業者が理解するように、積層品の場合、反射率は、一般に、積層品の外側の反射率に関して規定される。「外側反射率」という用語は、美的コーティング30が内面、例えば、2番表面または3番表面に設けられた場合の外面(1番表面)の反射率を意味する。
【0034】
美的コーティング30は、任意の従来の方法で堆積され得、たとえば、従来の化学蒸着(CVD)および/または物理蒸着(PVD)法があるが、これらに限定されない。CVDプロセスの例は、噴霧熱分解を含む。PVDプロセスの例としては、電子ビーム蒸着および真空スパッタリング(たとえば、マグネトロンスパッタ蒸着(MSVD))が挙げられる。その他のコーティング方法もまた使用され得、たとえばゾル−ゲル堆積があるが、これに限定されない。非限定的な一実施形態では、導電コーティング30は、MSVDで蒸着され得る。MSVDコーティングデバイスおよび方法の例は、当業者によって十分に理解され、たとえば米国特許第4,379,040号;第4,861,669号;第4,898,789号;第4,898,790号;第4,900,633号;第4,920,006号;第4,938,857号;第5,328,768号;および第5,492,750号に記載されている。
【0035】
本発明を実施する際に美的コーティング30内に組み込むことが可能な例示的なコーティングスタック34a〜34cは、図2〜4に示されている。
【0036】
図2に示す例示的な非限定的コーティングスタック34aは、基板の主面の少なくとも一部分(たとえば、第1板12の2番表面16)上に堆積された基層または第1誘電層40を含む(板12は、図2に示さない)。第1誘電層40は、反射防止材料および/または誘電材料の1つまたは複数のフィルムを含み得、たとえば金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物があるが、これらに限定されない。第1誘電層40は、可視光に対して透過的である。本発明の実施では、第1層40は、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む。本明細書で使用する場合、屈折率に関する「低」および「高」という用語は、コーティングスタックの材料に関する相対的な用語であり得る。たとえば、コーティングスタックの場合、「高」屈折率の材料は、「低」屈折率の材料(すなわち、スタック内の材料の最低相対屈折指数を有する材料)より大きい屈折率を有する任意の材料でよい。非限定的な一実施形態では、「低」屈折率の材料は、1.75以下の屈折率を有する材料であり、「高」屈折率の材料は、1.75を超える屈折率を有する材料である。低屈折率の材料の非限定的な例としては、シリカ、アルミナ、およびこれらの混合物または組合せが挙げられる。高屈折率の材料の非限定的な例としては、ジルコニア、チタニア、スズ酸亜鉛、および酸化亜鉛が挙げられる。非限定的な一実施形態では、第1層40は、亜鉛/スズ合金酸化物を含む。亜鉛/スズ合金酸化物は、亜鉛およびスズのカソードからマグネトロンスパッタリング真空蒸着によって得られ、亜鉛およびスズを10重量%〜90重量%の亜鉛および90重量%〜10重量%のスズの割合で含み得る。基層40に使用可能な1つの適切な金属合金酸化物は、スズ酸亜鉛である。「スズ酸亜鉛」という用語は、ZnSn1−X2−x(式1)の組成物を意味し、ここで「x」は、0を超えて1未満の範囲で変化する。たとえば、「x」は0を超え得、0を超えて1未満の任意の分数または少数でよい。たとえば、x=2/3である場合、式1は、Zn2/3Sn1/34/3であり、より一般的には「ZnSnO」と記述される。スズ酸亜鉛含有フィルムは、フィルム中の主要量で、1つまたは複数の形式の式1を有し得る。非限定的な一実施形態では、基層40はスズ酸亜鉛を含み、50Å〜600Å、たとえば100Å〜600Å、または150Å〜500Å、または200Å〜500Å、または300Å〜500Å、または400Å〜500Åの範囲の厚さを有する。第1誘電層40として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。別の非限定的な実施形態では、基層は多層構造でよい。たとえば、基層40は、上記のスズ酸亜鉛層、および別の層、たとえば、酸化亜鉛層をこのスズ酸亜鉛層上に含み得る。酸化亜鉛層は、10Å〜600Å、たとえば20Å〜500Å、または30Å〜300Å、または50Å〜300Å、または80Å〜300Å、または100Å〜200Åの範囲の厚さを有し得る。
【0037】
第1熱および/または放射線反射フィルムまたは層46は、第1誘電層40上に堆積され得る。第1反射層46は、反射金属を含み得、たとえば、金属金、銅、銀、あるいはこれらの混合物、合金、または組合せがあるが、これらに限定されない。非限定的な一実施形態では、第1反射層46は、25Å〜300Å、たとえば30Å〜300Å、または50Å〜200Å、または70Å〜200Å、または100Å〜200Å、または90Å〜170Åの範囲、または150Åの厚さを有する金属銀層を含む。第1反射層46として使用可能なその他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0038】
第1プライマーフィルム48は、第1反射層46上に堆積され得る。第1プライマーフィルム48は、スパッタリングプロセスまたは後続の加熱プロセス中に第1反射層46の分解または酸化を防止するために、堆積プロセスで犠牲になり得る酸素捕捉材料、たとえば、チタンでよい。酸素捕捉材料は、第1反射層46の材料の前に酸化されるように選択され得る。チタンを第1プライマーフィルム48として使用する場合、チタンは、下にある層46の酸化前に、二酸化チタンに酸化されることが好ましい。非限定的な一実施形態では、第1プライマーフィルム48は、5Å〜50Å、たとえば10Å〜40Å、または15Å〜25Åの範囲、または20Åの厚さを有するチタンである。プライマーフィルム48として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0039】
第2誘電層50は、第1反射層46上(たとえば、第1プライマーフィルム48上)に堆積され得る。第2誘電層50は、1つまたは複数の金属酸化物含有フィルムまたは金属合金酸化物含有フィルム、たとえば第1誘電層40に関して上で説明したフィルムを含み得る。図示の非限定的な実施形態では、第2誘電層50は、たとえばスズ酸亜鉛(Zn0.95Sn0.051.05)を含むがこれに限定されない少なくとも1つの高屈折率の材料を含み、100Å〜1500Å、たとえば200Å〜1500Å、または400Å〜1500Å、または500Å〜1500Å、または600Å〜1000Åの厚さを有する。第2誘電層50として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。別の非限定的な実施形態では、第2誘電層50は、多層構造でよい。たとえば、第2誘電層50は、上記のスズ亜鉛層、ならびに少なくとも1つの他の層、たとえば酸化亜鉛層をこのスズ亜鉛層の上および/または下に含み得る。酸化亜鉛層(単数または複数)は、10Å〜600Å、たとえば20Å〜500Å、または30Å〜300Å、または50Å〜300Å、または80Å〜300Å、または100Å〜200Åの範囲の厚さを有し得る。
【0040】
第2熱および/または放射線反射層58は、第2誘電層50上に堆積され得る。第2反射層58は、第1反射層46に関して上に記載された1つまたは複数の任意の反射材料を含み得る。非限定的な一実施形態では、第2反射層58は、25Å〜30Å、たとえば30Å〜300Å、または50Å〜200Å、または70Å〜200Å、または100Å〜200Å、または90Å〜170Åの範囲、または130Åの厚さを有する銀を含む。第2反射層58として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0041】
第2プライマーフィルム60は、第2反射層58上に堆積され得る。第2プライマーフィルム60は、第1プライマーフィルム48に関して上で説明した任意の材料でよい。非限定的な一実施形態では、第2プライマーフィルムは、5Å〜50Å、たとえば10Å〜25Å、または15Å〜25Åの範囲、または20Åの厚さを有するチタンを含む。第2プライマーフィルム60として使用可能なその他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0042】
第3誘電層62は、第2反射層58上(たとえば、第2プライマーフィルム60上)に堆積され得る。第3誘電層62もまた、1つまたは複数の金属酸化物含有層または金属合金酸化物含有層、たとえば第1および第2誘電層40、50に関して上で述べた層を含み得る。非限定的な一実施形態では、第3誘電層62は、少なくとも1つの高屈折率の材料、たとえば金属合金酸化物含有層、たとえばスズ酸亜鉛層(ZnSnO)を含み、100Å〜1500Å、たとえば200Å〜1500Å、または400Å〜1500Å、または500Å〜1500Å、または600Å〜1000Å、または100Å〜800Å、または200Å〜700Å、または300Å〜600Å、または550Å〜600Åの範囲の厚さを有する。別の非限定的な実施形態では、第3誘電層62は、多層構造でよい。たとえば、第3誘電層62は、上で説明したスズ亜鉛層、および少なくとも1つの層、たとえば酸化亜鉛層をこのスズ亜鉛層の上および/または下に含み得る。酸化亜鉛層(単数または複数)は、10Å〜600Å、たとえば20Å〜500Å、または30Å〜300Å、または50Å〜300Å、または80Å〜300Å、または100Å〜200Åの厚さを有し得る。
【0043】
したがって、コーティング34aは、一般にH/M/H/M/Hと記述され得、ここで、H、HおよびHは、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む層を表し、MおよびMは金属層を表す。理解されるとおり、H、HおよびHは、同じ層であっても異なる層であってもよく、MおよびMは、同じ層であっても異なる層であってもよい。
【0044】
図3に示すコーティング34bは、図2のコーティングに類似するが、第3誘電層62上に堆積される第3熱および/または放射線反射層70をさらに含む。第3反射層70は、第1および第2反射層に関して上で述べた任意の材料でよい。非限定的な一実施形態では、第3反射層70は銀を含み、25Å〜300Å、たとえば30Å〜300Å、または50Å〜300Å、または50Å〜200Å、または70Å〜200Å、または100Å〜200Å、または90Å〜170Åの範囲、または120Åの厚さを有する。第3反射層70として使用され得る他の材料は、類似の厚さ範囲を有し得る。
【0045】
第3プライマーフィルム72は、第3反射層70上に堆積され得る。第3プライマーフィルム72は、第1プライマーフィルムまたは第2プライマーフィルムに関して上で説明した任意のプライマー材料でよい。非限定的な一実施形態では、第3プライマーフィルムはチタンであり、5Å〜50Å、たとえば10Å〜25Åの範囲、または20Åの厚さを有する。第3プライマーフィルム72として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0046】
第4誘電層74は、第3反射層上(たとえば、第3プライマーフィルム72上)に堆積され得る。第4誘電層74は、1つまたは複数の金属酸化物含有層または金属合金酸化物含有層、たとえば第1、第2、または第3誘電層40、50、62に関して上で説明した材料から構成され得る。非限定的な一実施形態では、第4誘電層74は、少なくとも1つの高屈折率の材料、たとえば金属合金酸化物層、たとえばスズ酸亜鉛層(ZnSnO)を含む。スズ亜鉛層は、50Å〜600Å、たとえば100Å〜600Å、または150Å〜500Å、または200Å〜500Å、または300Å〜500Å、または400Å〜500Åの範囲の厚さを有し得る。第4誘電層74として使用可能な他の材料は、類似の厚さ範囲を有し得る。
【0047】
したがって、コーティング34bは、一般にH/M/H/M/H/M/Hと表され得、ここで、H、H、HおよびHは、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む層を表し、M、MおよびMは金属層を表す。理解されるとおり、H、H、HおよびHは同じかあるいは異なってよく、M、MおよびMは同じであっても異なっていてもよい。
【0048】
図4に示すコーティング34cも、図2のコーティングに類似するが、第3誘電層62上に堆積する低屈折率層76を含む。非限定的な一実施形態では、低屈折率層76は、シリカおよび/またはアルミナを含み、100Å〜800Å、たとえば200Å〜800Å、または200Å〜600Åの範囲の厚さを有する。層76として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。第4高屈折率層78は、低屈折率層76上に形成される。非限定的な一実施形態では、第4高屈折率層78はスズ酸亜鉛を含み、100Å〜800Å、たとえば100Å〜700Å、または200Å〜700Åの範囲の厚さを有し得る。層78として使用可能な他の材料は、同様の厚さ範囲を有し得る。
【0049】
したがって、コーティング34cは、一般に、H/M/H/M/H/L/Hとして表され、ここで、H、H、HおよびHは、少なくとも1つの高屈折率の材料(同じであっても異なってもよい)を含む層を表し、Lは、少なくとも1つの低屈折率の材料を含む層を表し、MおよびMは、金属層を表し、同じであっても異なっていてもよい。
【0050】
図1に示すように、保護用オーバーコート80は、下にある層、たとえば反射防止層を処理時に機械的および化学的な攻撃から保護するのを促進するために、美的コーティング30の一番外側の誘電層上に堆積され得る。保護コーティング80は、周囲の酸素が、加熱または屈曲の際などに、美的コーティング30の下にある層内に通過するのを防止または減少させるための酸素障壁コーティング層でよい。保護コーティング80は、任意の所望の材料、または材料の混合物でよい。非限定的な一実施形態では、保護コーティング80は、1つまたは複数の金属酸化物材料を有する層を含み得、たとえば、アルミニウム、ケイ素、またはこれらの混合物があるが、これらに限定されない。たとえば、保護コーティング80は、0重量%〜100重量%のアルミナおよび/または100重量%〜0重量%のシリカ、または5重量%〜95重量%のアルミナおよび95重量%〜5重量%のシリカ、または10重量%〜90重量%のアルミナおよび90重量%〜10重量%のシリカ、または15重量%〜90重量%のアルミナおよび85重量%〜10重量%のシリカ、または50重量%〜75重量%のアルミナおよび50重量%〜25重量%のシリカ、または50重量%〜70重量%のアルミナおよび50重量%〜30重量%のシリカ、または35重量%〜100重量%のアルミナおよび65重量%〜0重量%のシリカ、または70重量%〜90重量%のアルミナおよび30重量%〜10重量%のシリカ、または75重量%〜85重量%のアルミナおよび25重量%〜15重量%のシリカ、または88重量%のアルミナおよび12重量%のシリカ、または65重量%〜75重量%のアルミナおよび35重量%〜25重量%のシリカ、または70重量%のアルミナおよび30重量%のシリカ、または60重量%〜75重量%未満のアルミナ、および25重量%を超えて40重量%までのシリカを含む単一コーティング層でよい。他の材料、たとえばアルミニウム、クロム、ハフニウム、イットリウム、ニッケル、ホウ素、リン、チタン、ジルコニウム、および/またはこれらの酸化物も、たとえば保護コーティング80の屈折率を調節するために存在し得る。非限定的な一実施形態では、保護コーティング80の屈折率は、1〜3、たとえば1〜2、たとえば1.4〜2、たとえば1.4〜1.8の範囲でよい。
【0051】
非限定的な一実施形態では、保護コーティング80は、シリカおよびアルミナコーティングの組合せである。保護コーティング80は、2つのカソード(たとえば、1つのケイ素および1つのアルミニウム)から、あるいはケイ素およびアルミニウムを含む単一カソードからスパッタリングされ得る。このケイ素/アルミニウム酸化物の保護コーティング80は、SiAl1−x1.5+x/2と記述され得、ここでxは、0を超えて1未満の間で変化し得る。
【0052】
あるいは、保護コーティング80は、金属酸化物材料の個々に形成された層によって形成される多層コーティングでよく、たとえば、1つの金属酸化物含有層(たとえば、シリカおよび/またはアルミナ含有第1層)が、別の金属酸化物含有層(たとえば、シリカおよび/またはアルミナ含有第2層)上に形成された二重層があるが、これに限定されない。多層保護コーティングの個々の層は、所望の任意の厚さでよい。
【0053】
保護コーティング80は、任意の所望の厚さでよい。非限定的な一実施形態では、保護コーティング80は、50Å〜50,000Å、たとえば50Å〜10,000Å、または100Å〜1,000Å、または100Å〜500Å、または100Å〜400Å、または200Å〜300Åの範囲、または250Åの厚さを有するケイ素/アルミニウム酸化物コーティング(SiAl1−X1.5+x/2)である。さらに、保護コーティング80は、不均一な厚さでよい。「不均一な厚さ」という語句は、保護コーティング80の厚さが、一定の単位面積上で変化し得、たとえば、保護コーティング80は、高い場所または領域および低い場所および領域を有し得ることを意味する。
【0054】
別の非限定的な実施形態では、保護コーティング80は、第1層と、第1層上に形成された第2層とを含み得る。特定の非限定的な一実施形態では、第1層は、アルミナ、またはアルミナおよびシリカを含む混合物もしくは合金を含み得る。たとえば、第1層は、少なくとも5重量%のアルミナ、たとえば少なくとも10重量%のアルミナ、または少なくとも15重量%のアルミナ、または少なくとも30重量%のアルミナ、または少なくとも40重量%のアルミナ、または50重量%〜70重量%のアルミナ、または70重量%〜100重量%のアルミナおよび30重量%〜0重量%のシリカ、または90重量%〜100重量%のアルミナおよび10重量%〜0重量%のシリカを有するシリカ/アルミナの混合物を含み得る。非限定的な一実施形態では、第1層は、0Åを超えて1ミクロンまでの範囲、たとえば50Å〜100Å、または100Å〜250Å、または101Å〜250Å、または100Å〜150Å、または100Åを超えて125Åまでの範囲の厚さを有し得る。第2層は、シリカ、またはシリカおよびアルミナを含む混合物もしくは合金を含み得る。たとえば、第2層は、少なくとも40重量%のシリカ、たとえば少なくとも50重量%のシリカ、または少なくとも60重量%のシリカ、または少なくとも70重量%のシリカ、または少なくとも80重量%のシリカ、または80重量%〜90重量%のシリカ、および10重量%〜20重量%のアルミナ、または85重量%のシリカおよび15重量%のアルミナを有するシリカ/アルミナの混合物を含み得る。非限定的な一実施形態では、第2層は、0Åを超えて2ミクロンまで、たとえば50Å〜5,000Å、または50Å〜2,000Å、または100Å〜1,000Å、または300Å〜500Å、または350Å〜400Åの範囲の厚さを有し得る。適切な保護コーティングの非限定的な例は、たとえば米国特許出願第10/007,382号;第10/133,805号;第10/397,001号;第10/422,094号;第10/422,095号;および第10/422,096号に記載されている。
【0055】
透明部品10は、たとえば、第2板18の4番表面22上に反射コーティング32をさらに含み得る。非限定的な一実施形態では、反射コーティング32は、比較的高屈折率の材料および低屈折率の材料の交互の層を含む反射防止コーティングである。上記のとおり、「高」屈折率の材料は、「低」屈折率の材料の屈折率より高い屈折率を有する任意の材料でよい。非限定的な一実施形態では、低屈折率の材料は、1.75以下の屈折率を有する材料である。反射防止コーティング32は、たとえば、1.75以下の屈折率を有する第1金属合金酸化物層86(第1層)と、第1層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第2金属酸化物層88(第2層)と、第2層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第3金属合金酸化物層90(第3層)と、第3層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する金属酸化物の上層92(第4層)とを有する、図5に示すような多層コーティングであり得るが、本発明を限定しない。あるいは、反射防止コーティング32は、たとえば、1.75を超える屈折率を有する第1金属合金酸化物層86(第1層)と、第1層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第2金属酸化物層88(第2層)と、第2層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第3金属合金酸化物層90(第3層)と、第3層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する金属酸化物の上層92(第4層)とを有する、図5に示すような多層コーティングであり得るが、本発明を限定しい。非限定的な一実施形態では、第4層92(上の低屈折率層)は、シリカまたはアルミナ、あるいはこれらの混合物または組合せを含み、第3層90(上の高屈折率層)は、スズ酸亜鉛またはジルコニア、あるいはこれらの混合物または組合せを含み、第2層88(下の低屈折率層)は、シリカまたはアルミナ、あるいはこれらの混合物または組合せを含み、第1層86(下の高屈折率層)は、スズ酸亜鉛またはジルコニア、あるいはこれらの混合物または組合せを含む。
【0056】
当業者が理解するとおり、コーティング層の厚さは、様々な方法で指定され得る。たとえば、層の実際の物理的な厚さが指定され得る。あるいは、層の光学厚さが指定され得る。当該分野で一般的であるように、本明細書で使用する場合、材料の「光学厚さ」は、材料の屈折率で除算した材料の厚さとして定義される。したがって、参照波長550nmに対して屈折率2を有する材料の四分の一波長光学厚さ(QWOT)は、0.25×(550nm÷2)ということになり、68.75nmに等しい。別の例として、参照波長550nmに対して屈折率1.75を有する材料の0.33QWOTは、0.33×[0.25×(550nm÷1.75)]、すなわち25.93nmに等しい。逆に、屈折率2.2および厚さ50nmを有する材料は、波長550nmに基づいて、[(50nm÷550nm)×2.2]÷0.25、すなわち0.8QWOTである。周知のとおり、2つの材料の四分の一波長光学厚さは同じであり得るが、層の実際の物理的厚さは、材料の異なる屈折率のために異なる場合がある。本明細書、および以下の実施例で使用する場合、QWOT値は、参照波長550nmに関して規定される値である。
【0057】
非限定的な一実施形態では、上層92は、材料、たとえばシリカを含み、0.7〜1.5四分の一波長(QWOT)、たとえば0.71〜1.45四分の一波長、または0.8〜1.3四分の一波長、または0.9〜1.1四分の一波長の範囲の厚さを有する。上記のとおり、「四分の一波長」という用語は、[(物理層の厚さ)・4・(屈折率)]/(光の参照波長)を意味する。この説明では、光の参照波長は550nmである。この非限定的な実施形態では、上の高屈折率層90の厚さは、以下の式によって規定される:[−0.3987・(上層の四分の一波長値)]−[1.1576・(上層の四分の一波長値)]+2.7462。したがって、上層92が0.96四分の一波長である場合、上の高屈折率層90は、[−0.3987・(0.96)]−[1.1576・(0.96)]+2.7462=1.2675四分の一波長になる。下の低屈折率層88は、以下の式によって規定される:[2.0567・(上層の四分の一波長値)]−[3.5663・(上層の四分の一波長値)]+1.8467。下の高屈折率層86は、以下の式によって規定される:[−2.1643・(上層の四分の一波長値)]+[4.6684・(上層の四分の一波長値)]−2.2187。特定の非限定的な一実施形態では、反射防止コーティング32は、0.96四分の一波長(88.83nm)のシリカの上層92と、1.2675四分の一波長(84.72nm)のスズ酸亜鉛の層90と、0.3184四分の一波長(29.46nm)のシリカの層88と、0.2683四分の一波長(17.94nm)のスズ酸亜鉛の層86とを含む。他の非限定的な実施形態では、層86、88、および90の四分の一波長値は、上記の式の値から±25%、たとえば±10%、たとえば±5%だけ変化し得る。
【0058】
他の適切な反射防止コーティングは、米国特許第6,265,076号、第2欄第53行〜第3欄第38行;および実施例1〜3、ならびに米国特許第6,570,709号、第2欄第64行〜第5欄第22行;第8欄第12行〜第30行;第10欄第65行〜第11欄第11行;第13欄第7行〜第14欄第46行;第16欄第35行〜第48行;第19欄第62行〜第21欄第4行;実施例1〜13;および表1〜8に開示されている。
【0059】
本発明の一実施例では、装飾バンド26は、透明部品10の色を強化または強調する色を有するセラミックエナメル材料である。自動車業界の当業者に理解されるとおり、従来のシェードバンドは、一般に黒色である。しかし、本発明の実施例では、装飾バンド26は、透明部品10の色を補完する任意の所望の色でよい。装飾バンド26を製造するために使用される材料は、オイル、フリット(ボロシリケートフリットなど)、および所望の色の顔料を含み得る。この材料は、板の1つの表面上に配置され、加熱して溶解され、材料を板に結合して装飾バンド26を形成し得る。装飾バンド26の例示的な色としては、いくつか挙げると、白色、黄色、青色、赤色、茶色、金色、銀色、および緑色があるが、これらに限定されない。さらに、企業のロゴ、スポーツチームの名称、個人名、または装飾的なデザインを含むが、これらに限定されないデザインまたはその他の装飾的な記号は、装飾バンド26に形成され得る。
【0060】
以下の非限定的な実施例は、本発明を具体的に示す。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
表Iに記載する構造を有する積層品を作製した。ガラスは、ペンシルバニア州、ピッツバーグのPPG Industries,Inc.が市販しているSTARPHIRE(登録商標)ガラスであった。コーティング層を、従来のMSVD技術で塗布した。表Iを参照すると、Si85Al15コーティングは、このコーティングをスパッタリングしたカソードの組成を表すことが分かるはずである。詳細には、Si85Al15は、85重量%Siおよび15重量%Alから成るカソードを酸素雰囲気中でスパッタリングして、ケイ素およびアルミニウム酸化物コーティングを形成したことを意味する。ZnOコーティングは、スパッタリング特性を改善するために、10重量%Snを有する亜鉛カソードからスパッタリングした。すべてのTiO層はTiカソードからスパッタリングし、Ti金属層として蒸着した。このTi金属層は、その後、ガラスを屈曲させてフロントガラスを形成するために加熱すると酸化された。
【0062】
【表1】

6つの製品を作製し、色特性を測定した。6つの製品の結果を以下の表IIに記載する。
【0063】
【表2】

これらの製品は、美的に満足な青色を有していた。
【0064】
(実施例2)
この実施例では、コンピュータで作製された積層品を、ニュージャージー州、プリンストンのFTG Software Associatesが市販しているWINFILMソフトウェアを使用して設計した。
【0065】
製品は、表IIIに記載する構造を有する。
【0066】
【表3】

コンピュータで作製された製品は、WINFILMソフトウェアで決定された場合に、表IVに記載された色特性を有していた。
【0067】
【表4】

この製品は、美的に満足な赤色を有していた。
【0068】
(実施例3)
表Vに記載する構造を有する積層品を作製した。ガラスは、ペンシルバニア州、ピッツバーグのPPG Industries,Inc.から市販されている2.1mmのCLEARガラスであった。コーティング層を、従来のMSVD技術で塗布した。ZnOコーティングを、スパッタリング特性を改善するために、10重量%のSnを有する亜鉛カソードからスパッタリングした。すべてのTiO層をTiカソードからスパッタリングし、Ti金属層として蒸着した。このTi金属層は、その後、ガラスを屈曲させてフロントガラスを形成するために加熱すると酸化された。
【0069】
【表5】

6つの製品を作製し、色特性を測定した。6つの製品の結果を以下の表VIに記載する。
【0070】
【表6】

これらの製品は、美的に満足な青色を有していた。
【0071】
図6および7は、本発明の美的コーティング30に達成可能な色空間を示す。特に、図6の線A内の領域は、本発明の美的コーティング30に達成可能で、2つの銀反射層を含む色空間を表し、図7の線A内の領域は、本発明の美的コーティング30に達成可能で、3つの銀反射層を含む色空間を表す。図6および7は、視角が変化する場合の本発明のコーティングの反射色の変化、すなわち色ずれも示す。詳細には、図6および7に示す色座標は、コーティング面に対して垂直、すなわち直角な視角に基づいている。本明細書で使用する場合、垂直視角は、0°視角として指示される。コーティングの視角が変化すると、クロマ(C)および/または色相角(H°)が変化し、以下で詳細に説明するように、視角が90°に近づくと、Cは0に近づく。図6および7の線Aと線Bとの間に入るコーティングは、最大の色ずれ、特に、30°を超えるH°の変化を特徴とする色ずれ(大きい色ずれ)を示す。線Bと線Cとの間に入るコーティングは、それほどではない色ずれを示し、15°〜30°の範囲のH°の変化を特徴とする(中程度の色ずれ)。線C内に入るコーティングは、最少量の色ずれを示し、15°未満のH°の変化を特徴とする(小さい色ずれ)。引き続き図6を参照すると、線Dは、視角が0°から増加して90°に近づく場合の、本発明の非限定的な二重銀コーティングの色座標における変化を表す。詳細には、この特定のコーティングの場合、コーティングは、青緑色を有し、0°の視角で約32のCを有することが分かる。視角が変化すると、クロマおよび色相角が変化する。詳細には、視角が増加すると、コーティングの色は赤紫色に変化し(色相角は、30°より大きく変化する)、Cは0に近づく。
【0072】
(実施例4)
この実施例では、コンピュータで作製された積層品は、ニュージャージー州、プリンストンのFTG Software Associatesが市販しているWINFILMソフトウェアを使用して設計された。
【0073】
この製品は、表VIIに記載する構造を有する。
【0074】
【表7】

このコンピュータで作製された積層品は、WINFILMソフトウェアによって決定された場合、表VIIIに記載する色特性を有していた。酸化物に関して表VIIIに記載された値はQWOTであり、銀層に関する値はナノメートル単位である。
【0075】
【表8】

当業者は、上記の説明に開示されている概念から逸脱せずに、本発明に修正を加えることができることを容易に理解する。したがって、本明細書に詳細に説明する特定の実施形態は、単に具体的に示すためであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲には、本開示の完全な広さ、およびそのあらゆる等価なものが与えられるべきである。添付の特許請求の範囲は、本発明の様々な局面を説明し、本開示の一部を構成する。しかし、理解されるように、本発明は、添付の特許請求の範囲に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の特徴を組み込む積層自動車用フロントガラスの側断面図(原寸に比例していない)である。
【図2】本発明の第1の例示的な美的コーティングの側断面図(原寸に比例していない)である。
【図3】本発明の第2の例示的な美的コーティングの側断面図(原寸に比例していない)である。
【図4】本発明の第3の例示的な美的コーティングの側断面図(原寸に比例していない)である。
【図5】本発明の反射防止コーティングの側断面図(原寸に比例していない)である。
【図6】本発明のコーティングされた製品の非限定的な一実施形態に関するaおよびbの値のグラフである。
【図7】本発明のコーティングされた製品の別の非限定的な実施形態に関するaおよびbの値のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層透明部品であって、
1番表面および2番表面を有する第1板と、
3番表面および4番表面を有する第2板と、
前記第1板と第2板との間に位置する中間層と、
前記第1または第2板の少なくとも一部分上に堆積される美的コーティングと
を含み、
前記透明部品が、
|a|および|b|のうちの少なくとも一方が10以上である
ことによって規定される色を有する透明部品。
【請求項2】
前記透明部品が、
≧44
によって規定される色を有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項3】
前記透明部品が、
40≦L≦60;
10≦|a|≦50;および
10≦|b|≦80
によって規定される色を有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項4】
前記透明部品が、
40≦L≦60;および
15≦C≦90
によって規定される色を有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項5】
前記透明部品が、
40≦L≦60;
|a|≧10、および
|b|≧10
によって規定される色を有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項6】
前記板のうちの一方の少なくとも一部分上に堆積される反射コーティングをさらに含む、請求項1に記載の透明部品。
【請求項7】
前記美的コーティングが、
/M/H/M/H
を含むコーティングスタックを含み、
、HおよびHが、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む層を表し、MおよびMが金属層を表す、請求項1に記載の透明部品。
【請求項8】
前記美的コーティングが、
/M/H/M/H/M/H
を含むコーティングスタックを含み、
、H、HおよびHが、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む層を表し、M、MおよびMが金属層を表す、請求項1に記載の透明部品。
【請求項9】
前記美的コーティングが、
/M/H/M/H/L/H
を含むコーティングスタックを含み、
、H、HおよびHが、少なくとも1つの高屈折率の材料を含む層を表し、MおよびMが金属層を表し、Lが、少なくとも1つの低屈折率の材料を含む層を表す、請求項1に記載の透明部品。
【請求項10】
前記透明部品が、少なくとも70%のLtaを有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項11】
前記美的コーティングが2番表面上にある、請求項1に記載の透明部品。
【請求項12】
前記反射コーティングが、前記4番表面上にある反射防止コーティングである、請求項6に記載の透明部品。
【請求項13】
前記反射防止コーティングが、1.75を超える屈折率を有する第1層と、前記第1層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第2層と、前記第2層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第3層と、前記第3層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第4層とを含む、請求項12に記載の透明部品。
【請求項14】
前記美的コーティング上に堆積された保護用オーバーコートを含み、前記保護用オーバーコートが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の透明部品。
【請求項15】
前記金属層の各々が、金、銅、銀、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む混合物、合金、または組合せから選択される金属を含む、請求項7に記載の透明部品。
【請求項16】
前記高屈折率の材料の各々が、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、およびこれらの混合物または組合せから選択される、請求項7に記載の透明部品。
【請求項17】
低屈折率の材料の各々が、シリカ、アルミナ、およびこれらの混合物または組合せから選択される、請求項9に記載の透明部品。
【請求項18】
前記板のうちの少なくとも1つの周囲の少なくとも一部分に位置する装飾バンドをさらに含み、前記装飾バンドが、前記透明部品の前記色を補完するように選択される色を有する、請求項1に記載の透明部品。
【請求項19】
前記装飾バンドが、装飾的記号および/または装飾的デザインのうちの少なくとも一方を含む、請求項18に記載の透明部品。
【請求項20】
積層透明部品であって、
(a)1番表面および2番表面を有する第1ガラス板と、
(b)3番表面および4番表面を有する第2ガラス板と、
(c)前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に配置された中間層と、
(d)2番表面の少なくとも一部分上に堆積される美的コーティングであって、前記美的コーティングが、
/M/H/M/H
を含むコーティングスタックを含み、
、HおよびHが、1.75を超える屈折率を有する少なくとも1つの材料を含む層を表し、MおよびMが金属層を表し、
前記透明部品が、
|a|≧10;および
|b|≧10
によって規定される色を有する美的コーティングと、
(e)前記4番表面の少なくとも一部分上に形成された反射防止層と
を含む積層透明部品。
【請求項21】
前記透明部品が、
≧40
によって規定された色を有する、請求項20に記載の透明部品。
【請求項22】
、HおよびHの各々が、ジルコニア、チタニア、スズ酸亜鉛、およびこれらの混合物または組合せから選択される、請求項20に記載の透明部品。
【請求項23】
およびMの各々が、金、銀、銅、あるいはこれらのうちの少なくとも1つを含む混合物、合金、または組合せから選択される、請求項20に記載の透明部品。
【請求項24】
前記反射防止コーティングが、1.75を超える屈折率を有する第1層と、前記第1層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第2層と、前記第2層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第3層と、前記第3層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第4層とを含む、請求項20に記載の透明部品。
【請求項25】
前記透明部品が少なくとも70%のLtaを有する、請求項20に記載の透明部品。
【請求項26】
前記美的コーティング上に堆積された保護用オーバーコートを含み、前記保護用オーバーコートが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の透明部品。
【請求項27】
前記板のうちの少なくとも1つの周囲の少なくとも一部分に位置する装飾バンドをさらに含み、前記装飾バンドが、前記透明部品の前記色を補完するように選択される色を有する、請求項20に記載の透明部品。
【請求項28】
前記装飾バンドが、装飾用記号および/または装飾用デザインのうちの少なくとも一方を含む、請求項27に記載の透明部品。
【請求項29】
積層乗物用透明部品であって、
(a)1番表面および2番表面を有する第1ガラス板と、
(b)3番および4番表面を有する第2ガラス板と、
(c)前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に配置されたポリマー中間層と、
(d)2番表面の少なくとも一部分上に堆積された美的コーティングであって、前記美的コーティングが、
/M/H/M/Hを含むコーティングスタックを含み、
、HおよびHの各々がスズ酸亜鉛を含み、MおよびMの各々が銀を含み、
前記透明部品が、
≧40;
|a|≧10;および
|b|≧10
によって規定された色を有する美的コーティングと、
(e)前記美的コーティング上に堆積された保護用オーバーコートであって、前記保護コーティングが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびこれらの混合物または組合せのうちの少なくとも1つを含む多層コーティングスタックを含む保護コーティングと、
(f)前記4番表面の少なくとも一部分上に形成された反射防止コーティングであって、
前記反射防止コーティングが、1.75を超える屈折率を有する第1層と、前記第1層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第2層と、前記第2層上に堆積され、1.75を超える屈折率を有する第3層と、前記第3層上に堆積され、1.75以下の屈折率を有する第4層とを含む反射防止コーティングと
を含む積層乗物用透明部品。
【請求項30】
美的透明部品であって、
第1主面および第2主面を有する少なくとも1つの基板と、
前記第1主面の少なくとも一部分上に形成された美的コーティングと、
前記第2主面の少なくとも一部分上に形成された反射コーティングと
を含み、
前記透明部品が、|a|≧10および|b|≧10によって規定された色を有する美的透明部品。
【請求項31】
前記透明部品が、
≧40によって規定された色を有する、請求項30に記載の透明部品。
【請求項32】
積層透明部品であって、
第1板と、
第2板と、
前記第1板と第2板との間に位置する中間層と、
前記第1板と第2板との間に位置する美的コーティングと
を含み、
前記透明部品が、
(a)|a|≧10および|b|≧10、ならびに(b)L≧40のうちの少なくとも一方
によって規定される色を有する、積層透明部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−536607(P2009−536607A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510139(P2009−510139)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/068417
【国際公開番号】WO2007/134015
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】