説明

耐引掻性放射線硬化性塗料

本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートを有する耐引掻性の放射線硬化性組成物、および該組成物の製法ならびにそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートを有する耐引掻性放射線硬化性被覆組成物、その製法およびその使用に関する。
【0002】
EP-A1544465には、放射線硬化性アルコキシシリル化アクリレートが記載されている。
【0003】
US5939491およびUS6187863には、特異的なポリシロキサンを有する熱硬化性被覆組成物が記載されている。
【0004】
US6635341およびUS6657001には、放射線硬化性および二重硬化性被覆組成物中の同じポリシロキサンが記載されている。このために、ポリオールの半エステルは、1,2−ジアンヒドリドでシリル化されており、これは合成成分としてポリイソシアネートを含有していてもよい。US6657001には、さらにポリアクリレートポリオール、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびイソシアネートならびにポリシロキサンから成る2K[2成分]系が記載されている。
【0005】
この種の被覆組成物の欠点は、これらが容易に間違って供給される2成分系であるということである。
【0006】
US 2004/214911 A1は、ウレタン基含有ポリシロキサンを記載している。この欠点は、この中に含まれているウレタン基が、大工業的に使用不可能な化学物質である2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートにより導入されていることである。
【0007】
本発明の課題は、放射線硬化性であり、ならびに場合により更に熱硬化性でもあり、かつ高い耐引掻性を有する1成分の結合剤を提供することであった。
【0008】
本発明の課題は、合成成分として次のもの
(a)少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する少なくとも1つの化合物、
(b)少なくとも1つのケイ素原子と少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物、
(c)少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つのラジカル重合可能基を有する少なくとも1つの化合物、
(d)場合により、少なくとも2つのイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物、
(e)場合により、更なる官能基を有さない、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物
(f)場合により、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つの分散基を有する少なくとも1つの化合物
を含有する放射線硬化性、ならびに場合により付加的に熱硬化性でもある結合剤を提供することにより解決された。
【0009】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、化合物(b)不含の匹敵する(メタ)アクリレートよりも高い耐引掻性を有する。
【0010】
本発明による結合剤の合成成分(a)は、少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する化合物である。
【0011】
成分(a)として、少なくとも1.8、有利には1.8〜5、特に有利には2〜4のNCO官能価を有する例えば脂肪族、芳香族および脂環式ジ−およびポリイソシアネート、ならびにそれらのイソシアヌレート、ビウレット、アロファネートおよびウレットジオンが挙げられる。
【0012】
芳香族イソシアネートは、芳香族環系に直接結合している少なくとも1つのイソシアネート基を有するようなものである。
【0013】
脂環式イソシアネートは、脂環式環系に直接結合している少なくとも1つのイソシアネート基を有するようなものである。
【0014】
脂肪族イソシアネートは、直鎖または分枝鎖中に配置されている炭素原子に直接結合しているイソシアネート基を専ら有するものであり、すなわち非環式化合物である。
【0015】
ジイソシアネートは、有利には4〜20個の炭素原子を有するイソシアネートである。通常のジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアネートヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートまたはテトラメチルヘキサンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、1,4−、1,3−または1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−または2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは2,4−または2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンのような脂環式ジイソシアネート、ならびに2,4−または2,6−トルイレンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンまたはそれらの異性体混合物、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロー2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼンまたはジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートである。
【0016】
上記のジイソシアネートの混合物も存在していてよい。ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサンジイソシアネートが有利である。
【0017】
ポリイソシアネートとして、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレットジオンジイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン−またはアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基含有のポリイソシアネート、直線または分枝C4〜C20−アルキレンジイソシアネートのウレトニミン−変性ポリイソシアネート、全部で6〜20個の炭素原子を有する脂環式ジイソシアネートまたは全部で8〜20個の炭素原子を有する芳香族ジイソシアネートまたはこれらの混合物が用いられる。
【0018】
使用可能なジイソシアネートとポリイソシアネートは、ジイソシアネートとポリイソシアネート(混合物)の合計に対して、10〜60質量%、有利には15〜60質量%、特に有利には20〜55質量%のイソシアネート基(NCO基として計算、分子量=42)の含有量を有するのが有利である。
【0019】
脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネートとポリイソシアネートは、例えば、前記の脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネートであるか、またはそれらの混合物であるのが有利である。
【0020】
さらに有利なものは、以下のものである。
1)芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートのイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。この場合に特に有利なものは、相応の脂肪族および/または脂環式イソシアナト−イソシアヌレートおよび特にヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートベースのものである。この場合に存在するイソシアヌレートは、特にトリス−イソシアナトアルキルもしくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレートであり、これはジイソシアネートの環式三量体であるか、または1つ以上のイソシアヌレート環を有する高次同族体との混合物である。イソシアナト−イソシアヌレートは、一般に10〜30質量%、特に15〜25質量%のNCO含有量および3〜4.5の平均NCO官能価を有する。
2)芳香族、脂肪族および/または脂環式により結合したイソシアネート基、有利には脂肪族および/または脂環式により結合した基を有するウレットジオンジイソシアネートならびに特にヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導されたもの。ウレットジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量化生成物である。ウレットジオンジイソシアネートは、調製物中で単独の成分として、または他のポリイソシアネート、特に1)で挙げたものとの混合物中で使用できる。
3)芳香族、脂環式または脂肪族により結合した、有利には脂環式または脂肪族により結合したイソシアネート基を有するビウレット基を有するポリイソシアネート、特にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレットまたはその高次同族体とのそれらの混合物。ビウレット基を有するこれらのポリイソシアネートは、一般に18〜22質量%のNCO含有量と3〜4.5の平均NCO官能価を有する。
4)芳香族、脂肪族または脂環式により結合した、有利には脂肪族または脂環式により結合したイソシアネート基を有するウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネート、例えば、過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートと、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパンのような多価アルコールまたはこれらの混合物との反応により得られるようなもの。これらのウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般に12〜20質量%のNCO含有量と2.5〜3の平均NCO官能価を有する。
5)オキサジアジントリオン基含有のポリイソシアネート、有利には、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。このようなオキサジアジントリオン基含有のポリイソシアネートは、ジイソシアネートと二酸化炭素から製造可能である。
6)ウレトニミン−変性ポリイソシアネート。
【0021】
ポリイソシアネート1)〜6)は、混合物中、場合によりジイソシアネートとの混合物中で使用できる。
【0022】
合成成分(b)として、少なくとも1つのケイソ原子と少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を含有する少なくとも1つの化合物が挙げられる。
【0023】
少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基は、ケイ素原子に直接に結合しているおよび/またはそれが次にケイ素原子に結合する置換基に結合していることができる。
【0024】
1番目の場合に、合成成分は、例えば、シラノール、シリルアミンまたはオルトケイ酸の誘導体である。モル質量は、89(例えば、トリメチルシリルアミンまたはトリメチルシラノール)から数百万まで、オルトケイ酸の場合には有利には数十万であることができる。合成成分は、幾つかのケイ素原子を含有することもでき、その際、ケイ素原子は有利には酸素原子を介して相互に結合している(シリコーン、ポリシロキサン)。これらのポリシロキサンは、線状、有利には環状もしくは架橋して構成されていることができる。
【0025】
それに対して2番目の場合には、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基は、それが次にケイ素原子に結合する置換基に結合していることができる。これは、例えばシラノールと、例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのようなエポキシド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルまたはアクリロニトリルを反応させ、場合により引き続き還元させることにより得ることもできる。ハロゲンシラン、有利にはクロロシランと、少なくとも1つのハロゲンシラン反応性基および少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する化合物とを反応させるその他の可能性もある。ハロゲンシラン反応性基とイソシアネート反応性基が同じであるのが有利である。このような化合物の例は、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−または1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、ペンタエリトリトール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、1,2−プロパンジアミン、エチレンジアミン、2,2−ジメチル−1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、2−エチルヘキサン−1,3−ジアミン、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、o−ヒドロキシエチルトリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールアミン、ジエチルアミノエタノールアミン、ジエチルアミノプロパノールアミン、1,2−プロパノールアミン、1,3−プロパノールアミン、1,4−ブタノールアミン、1,6−ヘキサノールアミンまたはアミノエチルエタノールアミンである。
【0026】
ケイ素原子を有する化合物(b)の場合には、これらの化合物は、例えば以下の置換基を有することができる:トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル。
【0027】
2個のケイ素原子を有する一般的な化合物(b)は、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシリラジド、ヘキサメチルジシリルアセタミド、N,N’−ビス[トリメチルシリル]ウレアまたはヘキサメチレンジシロキサンである。
【0028】
有利な1実施態様では、合成成分(b)は反応性官能基を有する少なくとも1つの有機ポリシロキサンであり、その際、ポリシロキサンは以下の式(I)
【化1】

または式(II)
【化2】

[式中、
mは少なくとも1であり、
m’は0〜50であり、
oは、0〜50であり、
5は、OHおよびケイ素原子に結合している一価の炭化水素基から成るグループから選択され、
6は、以下の式(III):
(III) R7−O−Z
(式中、
7は、アルキレン、オキシアルキレンまたはアルキレンアリールであり、かつ
Zは、水素または、−OH、−COOH、−NCO、エステルのようなカルボキシレート、カーボネートおよび無水物、第一級アミン、第二級アミン、アミド、カルバメートおよびエポキシ官能基から成るグループから選択される官能基を含有する単位である)
の構造を有する]
の構造を有する。
【0029】
有利には、有機ポリシロキサンには、o+mの合計が2または3であるか、またはo+m'の合計が2または3が当てはまる。
【0030】
種々の基R5が同じまたは異なっていてよいことが示唆される。基R5が同じ1価の炭化水素基である場合が有利である。
【0031】
1価の炭化水素基とは、専ら炭素と水素を含有する有機基を意味する。
【0032】
炭化水素基は、脂肪族、芳香族、環式または非環式であることができ、かつ1〜24個(芳香族基の場合は6〜24個)の炭素原子を含有し、有利には脂肪族、特に有利には1〜12個の炭素原子を有するもの、とりわけ有利には1〜4個の炭素原子、特に1〜2個の炭素原子を有するものであり、極めて有利には1個の炭素原子を有するものである。
【0033】
任意に、かつ僅かに有利には、炭化水素基は、ヘテロ原子、通常は酸素で置換されていることができる。
【0034】
1価の炭化水素基の例は、アルキル−、アルコキシ−、アリール−、アルカリール−またはアルコキシアリール基である。
【0035】
アルキレンとは、C2〜C25の炭素鎖の長さを有する非環式または環式アルキレン基を意味する。適切なアルキレン基の例は、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−へキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンまたは2,2−ジメチル−1,4−ブチレンである。
【0036】
オキシアルキレンとは、少なくとも1つの酸素原子を含有していて、かつC2〜C25、有利にはC2〜C4の炭素鎖の長さを有するアルキレン基を意味する。適切なオキシアルキレン基の例は、1−オキサ−1,3−プロピレン、1,4−ジオキサ−1,6−ヘキシレン、1,4,7−トリオキサ−1,9−ノニレン、1−オキサ−1,4−ブチレン、1,5−ジオキサ−1,8−オクチレン、1−オキサ−1,5−オエンチレン、1−オキサ−1,7−ヘプチレン、1,6−ジオキサ−1,10−デシレン、1−オキサ−3−メチル−1,3−プロピレン、1−オキサ−3−メチル−1,4−ブチレン、1−オキサ−3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、1−オキサ−3,3−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,4−ジオキサ−3,6−ジメチル−1,6−へキシレン、1−オキサ−2−メチル−1,3−プロピレンおよび1,4−ジオキサ−2,5−ジメチル−1,6−へキシレンである。
【0037】
有利なオキシアルキレン基は、トリメチルオールプロパンモノアルキルエーテル、ペンタエリトリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ポリエトキシ化アリルアルコールおよびポリプロポキシ化アリルアルコールと会合したようなものである。
【0038】
アルキレンアリールとは、少なくとも1つのアリール基、有利にはフェニルを含有し、かつC2〜C25のアルキレン炭素鎖の長さを有する非環式アルキレン基を意味する。アリール基は、場合により置換されていてよい。適切な置換基は、ヒドロキシル、ベンジル、カルボン酸および脂肪族基を含むことができる。適切なアルキレンアリール基の例には、スチレンと3−イソプロペニル−α,α−ジ−メチルベンジルイソシアネートが含まれる。
【0039】
式(I)と(II)は、図式であり、所望の場合に使用できるブロックではあるが、カッコ内の部分が必要なブロックであることを明示することを意図したものではない。多くの場合に、化合物は多少なりとも任意であり、特に1つ以上のシロキサン単位が使用される場合、かつ混合物が使用される場合にはそうである。このような場合に、1個以上のシロキサン単位が使用され、かつブロックを形成することが望ましい場合には、第一にオリゴマーが形成され、次にこれらはブロック化合物を形成するために結合する。道理にかなった反応体の選択により、交互構造を有する化合物または交互構造のブロックを使用できる。
【0040】
本発明の有利な実施態様では、ZはOH−官能基を含有する単位である。ZがOH−官能基を含有する場合には、Zの少なくとも1部は、以下の構造:
(IV) R8−(−CH2−OH)p
[式中、
pは1、2または3であることができ、かつ
8は、p価の有機ラジカルである]
を有する基であるのが有利である。
【0041】
特に有利であるのは、
p=2であり、R8
【化3】

(式中、R9はC1〜C4アルキルである)
であるか、または
p=3であり、R8
【化4】

である。
【0042】
Zが式(IV)の基である場合には、m=2であり、かつpが2であるのが有利である。
【0043】
本発明のもう1つの実施態様では、ZはCOOH−官能基を含有する単位である。ZがCOOH−官能基を含有する基である場合には、有機ポリシロキサンが以下の構造:
【化5】

[式中、
mは少なくとも1であり、
m’は0〜50であり、
oは、0〜50であり、
5は、N、OH、およびケイ素原子に結合した一価の炭化水素基から成るグループから選択され、
10は、以下の式(X)の構造:
(X) R7−O−Y
(式中、R7はアルキレン、オキシアルキレンまたはアルキレンアリールであり、かつ
Yは、水素、モノヒドロキシ置換アルキレンまたはオキシアルキレンであるか、または式(IV)の構造を有し、その際、p、R8、R9は上記の通りである)
を有する]
を有するポリシロキサンポリオールであるのが有利である。
【0044】
成分(c)として、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つのラジカル重合可能な基を有する化合物が用いられる。
【0045】
イソシアネートに対して反応性の基は、例えば、−OH、−SH、−NH2および−NHR1であり、その際、R1は、水素であるか、または1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。
【0046】
成分(c)は、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドグリコール酸またはメタクリルアミドグリコール酸のモノエステルであるか、または有利には2〜20個の炭素原子と少なくとも2個のヒドロキシ基を有するジオールもしくはポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール、ソルビトール、162〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜400のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオールまたは238〜458のモル質量を有するポリエチレングリコールのビニルエーテルである。さらに、アミノアルコール、例えば、2−アミノエタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノールまたは2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−メルカプトエタノールとの(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミド、またはエチレンジアミンまたはジエチレントリアミンのようなポリアミノアルカン、またはビニル酢酸も使用できる。
【0047】
さらに、2〜10の平均OH−官能価を有する不飽和ポリエーテロールまたはポリエステロールまたはポリアクリレートポリオールも適切である。
【0048】
アミノアルコールとのエチレン性不飽和カルボン酸のアミドの例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N−ヒドロキシメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルクロトンアミド、例えば、N−ヒドロキシメチルクロトンアミドまたは、N−ヒドロキシアルキルマレインイミド、例えば、N−ヒドロキシルエチルマレインイミドである。
【0049】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノおよびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリチルモノ−、−ジ−、および−トリ−(メタ)アクリレートならびに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドが有利に使用される。特に有利なものは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレートおよび3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレートである。
【0050】
任意の成分(d)として、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基、例えば、−OH、−SH、−NH2または−NHR2(その際、R2は相互に独立に水素、メチル、エチル、イソ−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを意味する)を有する化合物が用いられる。
【0051】
これらは、2〜20個の炭素原子を有する炭化水素ジオールのようなジオールまたはポリオール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジ−メチルエタン−1,2−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオールなど、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような短鎖ジカルボン酸とのそれらのエステル、ジオールとホスゲンを反応させるか、またはジアルキル−もしくはジアリールカーボネートとのエステル交換により製造されるそれらのカーボネート、または脂肪族ジアミン、例えばメチレン−およびイソプロピリデン−ビス−(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン、1,2−、1,3−または1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)など、ジチオールまたは多官能価アルコール、第二級または第一級アミノアルコール、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンなど、またはチオアルコール、例えばチオエチレングリコール。
【0052】
さらに、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,2−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジペンタエリトリート、ジトリメチロールプロパン、エリトリトールおよびソルビトール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノールまたは2−(2−アミノエトキシ)−エタノール、ビスフェノールAまたはブタントリオールも考えられる。
【0053】
さらに、2〜10の平均OH−官能価を有する不飽和ポリエーテロールまたはポリエステロールまたはポリアクリレートポリオールならびに例えばポリエチレンイミンのようなポリアミン、または例えば、ポリ−N−ビニルホルムアミドの遊離アミン基含有ポリマーも適切である。
【0054】
このために、特に適切なものは、脂環式ジオール、例えば、ビス−(4−ヒドロキシ−シクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオールまたはノルボルナンジオールである。
【0055】
任意の成分(e)は、更なる官能基を有さないイソシアネートに対して反応性の基を有する化合物である。
【0056】
このための例は、モノアルコールであり、この中でも、アルカノールが有利であり、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロパンジオールモノメチルエーテル、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)および2−エチルヘキサノールが有利である。
【0057】
任意の成分(f)は、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つの分散基を有する化合物である。
【0058】
このような化合物は、一般式
RG−R3−DG
[式中、
RGは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を意味し、
DGは、少なくとも1つの分散基を意味し、かつ
3は、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、脂環式または芳香族基である]
により示される。
【0059】
RGの例は、−OH、−SH、−NH2または−NHR2であり、その際、R2は先に挙げた意味を有するが、しかしそこで使用された基とは異なっていてよい。
【0060】
DGは、イオンであるか、非イオンであることができる。
【0061】
1番目の場合に、DGの例は、−COOH、−SO3Hまたは−PO3Hならびに、これに任意の対イオンが結合できるそれらのアニオン形である。例えば、Li+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジ−イソ−プロピル−エチル−アンモニウム、ベンジルジメチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ヒドロキシエチル−ジメチルアンモニウム、ヒドロキシエチル−ジエチルアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウム、N,N’−ジメチルピペラジニウム、モノホリニウムまたはピリジニウムである。
【0062】
3は、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,4−ブチレン、1,3−ブチレン、1,6−へキシレン、1,8−オクチレン、1,12−ドデシレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレンまたは1,4−シクロへキシレンである。
【0063】
成分(f)が例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、メルカプトコハク酸、グリシン、イミノ二酢酸、サルコシン、アラニン、β−アラニン、ロイシン、イソロイシン、アミノ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシピバリン酸、乳酸、ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシデカン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、エチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アミノナフタレンカルボン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、アミノプロパンスルホン酸ならびにそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩であるのが有利であり、特に前記モノヒドロキシカルボン酸およびモノヒドロキシスルホン酸ならびにモノアミノカルボン酸およびモノアミノスルホン酸が有利である。
【0064】
前記の酸の製造に関しては、既に塩でない場合には、完全または部分的に、有利にはアルカリ金属塩またはアミン、好ましくは第三級アミンで中和される。
【0065】
化合物(f)は、少なくとも1つのイソシアネート基に対して反応性の基と、カチオン性であるか、またはカチオン基に転換可能な少なくとも1つの親水性基を含有することができ、かつこれは例えば、EP-A1582166の特に5頁42行目〜8頁22行目と9頁19行目〜15頁34行目に記載されているようなものであるか、またはEP-A1531820の特に3頁21行目〜4頁57行目またはDE-A14203510の特に3頁49行目〜5頁35行目に記載されているものである。これらの文献は、本開示内容の範囲内に参照して明確に取り入れることとする。
【0066】
化合物(f)は、イソシアネート基に対して反応性の基少なくとも1つと、アニオン性であるか、またはアニオン基に転換可能な少なくとも1つの親水性基を含有することができ、かつこれらは例えば、EP-A1703255の特に3頁54行目〜4頁38行目に記載されているようなものであるか、DE-A119724199の特に3頁4行目〜30頁、DE-A14010783の特に3欄、3行目〜40行目、DE-A14113160の特に3欄63行目〜4欄4行目およびEP-A2548669の特に4頁50行目〜5頁6行目に記載されているようなものである。これらの文献は、本開示内容の範囲内に参照して明確に取り入れることとする。
【0067】
DGが非イオン性化合物である場合には、化合物(f)は少なくとも1つイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つの非イオン性親水基を含有することができ、かつこれらは例えば、EP-A2754713の特に3頁31行目〜51行目、EP-A2206059の特に8頁33行目〜9頁26行目、EP-A2486881の特に2頁42行目〜54行目、EP-A1540985の特に4頁43行目〜58行目、EP-A1728785の特に4頁55行目〜5頁54行目、EP-A1959115の特に4頁23行目〜46行目、DE-A119958170の特に4頁22行目〜48行目およびDE-A110007820の特に4頁10行目〜5頁12行目に記載されているようなものである。これらの文献は、本開示内容の範囲内に参照して明確に取り入れることとする。
【0068】
親水性物質(f)が少なくとも1つのイソシアネート基に対して反応性である基と少なくとも1つの非イオン性親水性基を含有している化合物であるのが有利である。
【0069】
特に有利な親水性物質は、適切な出発分子のアルコキシ化により得られるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0070】
1価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを製造するために適切な出発分子は、一般式
11−O−H
のチオール化合物、モノヒドロキシ化合物、または
一般式
1213N−H
の第二級モノアミンである
(式中、R11、R12およびR13は、相互に独立にそれぞれC1〜C18−アルキル、場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基により中断されているC2〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール、C5〜C12−シクロアルキルまたは酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する5員〜6員のヘテロ環を意味するか、またはR12とR13は一緒になって場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基により中断された不飽和、飽和または芳香族環を形成し、その際、前記の基はそれぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/またはヘテロ環により置換されていてもよい)。
【0071】
11は、C1〜C4−アルキル、すなわち、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであるのが有利であり、R11はメチルであるのが特に有利である。
【0072】
適切な1価の出発分子の例は、飽和モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、異性体のメチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはテトラヒドロフルフリルアルコール;アリルアルコール、1,1−ジメチル−アリルアルコールまたはオレインアルコールのような不飽和アルコール、フェノール、異性体のクレゾールまたはメトキシフェノールのような芳香族アルコール、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシナミルアルコールのようなアラリファチックアルコール;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチルヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンのような第二級モノアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールのような複素環式第二級アミン、および2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、2−ジブチルアミノエタノール、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノールまたは1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノールのようなアミノアルコールである。
【0073】
アルコキシ化反応に適切であるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシランおよび/またはスチレンオキシドであり、これはどの順序でも、またはアルコキシ化反応での混合物中で使用できる。
【0074】
アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物であるのが有利であり、特にエチレンオキシドであるのが有利である。
【0075】
ポリエーテルアルコールはポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールをベースとするのが有利であり、それらの製造では、先にあげた種類の飽和脂肪族アルコールまたは脂環式アルコールが出発分子として使用される。アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコールの使用下に製造されるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールをベースとするようなものがとりわけ有利である。メタノールから出発するポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが特に有利である。
【0076】
1価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、統計平均で通常は分子あたり5〜35個、有利には7〜30個、特に有利には7〜25個、とりわけ有利には10〜22個のアルキレンオキシド単位を有し、特に10〜22個のエチレンオキシド単位を有する。
【0077】
有利なポリエーテルアルコールは、式
11−O−[−Xi−]k−H
[R11は、先に挙げた意味を有し、
kは、5〜35、有利には7〜30、特に有利には7〜25および特に10〜22の整数であり、かつ
各Xiは、相互に独立にi=1〜kであり、相互に独立に−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−および−CHPhCH2−O−から成るグループから選択され、
有利には−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−および−CH(CH3)−CH2−O−から成るグループから選択され、かつ
特に有利には−CH2−CH2−O−である(PhはフェニルおよびVinはビニルを表す)]の化合物である。
【0078】
ポリエーテルアルコールは、アニオン性またはカチオン性基、例えば、カルボキシレート基、スルホネート基またはアンモニウム基を有する少量の更なるイソシアネートに反応性の化合物を親水性合成成分として含有することができる。しかし、これはあまり有利ではない。
【0079】
これらのポリウレタンは、成分(a)、(c)および(d)を相互に反応させることにより得られる。
【0080】
この場合に、(a)中の反応性イソシアネート基3モル当たりのモル組成(a):(b):(c)は、通常以下の通りである:
(b)イソシアネートに対して反応性の基に対して、0.1〜2.25mol、有利には0.2〜2.0mol、特に有利には0.3〜1.8mol、とりわけ0.5〜1.5molである。
(c)イソシアネートに対して反応性の基に対して、0.75〜2.9mol、有利には1.0〜2.8mol、特に有利には1.2〜2.7mol、とりわけ1.5〜2.5molである。
【0081】
場合により、さらに(a)中の反応性イソシアネート基3モル当たりの成分(d)、(e)および(f)は、以下の量で存在することができる:
(d)イソシアネートに対して反応性の基に対して0〜2.0mol、有利には0〜1.5mol、特に有利には0.1〜1.0mol、とりわけ有利には0.5〜1.0、
(e)イソシアネートに対して反応性の基に対して0〜0.5mol、有利には0〜0.3mol、特に有利には0〜0.2mol、とりわけ有利には0〜0.2mol、ならびに
(f)イソシアネートに対して反応性の基に対して0〜0.5mol、有利には0〜0.3mol、特に有利には0〜0.2mol、とりわけ有利には0〜0.2mol、
但し、イソシアネートに対して反応性の基はイソシアネート基の数を上回らない。
【0082】
本発明による化合物は、500〜5000、有利には500〜3000g/molの範囲内のモル質量を有するのが有利である。
【0083】
未硬化化合物のガラス転移温度は、有利には−80℃〜100℃の範囲内、有利には−60℃〜25℃の範囲内にあるのが有利である。
【0084】
イソシアネート基含有化合物とイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物から成る付加物の形成は、通常、場合により高温で任意の順序で成分を混合することにより行われる。
【0085】
この場合に、有利には幾つかの工程でイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物をイソシアネート基含有化合物に添加するのが有利である。
【0086】
イソシアネート基含有化合物を予め装入し、かつイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物を添加するのが特に有利である。特にイソシアネート基含有化合物(a)を予め装入し、かつその後で(b)を添加するのが有利である。続いて、場合により更なる所望の成分を添加することができる。
【0087】
通常、5〜100℃、有利には20〜90℃の間、特に有利には40〜80℃の間、とりわけ60〜80℃の間の温度で反応を実施する。
【0088】
この場合に、水不含の条件下に操作するのが有利である。
【0089】
この場合に水不含とは、反応系内での水含有量が5質量%未満である、有利には3質量%未満、特に有利には1質量%未満を意味する。
【0090】
反応は少なくとも1つの適切な不活性ガスの存在で、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素またはこのようなものの存在で実施するのが有利である。反応は、不活性溶剤の存在で、例えば、アセトン、イソブチル−メチルケトン、トルエン、キシレン、ブチルアセテートまたはエトキシエチルアセテートの存在でも実施できる。しかし、溶剤の不在で反応を実施するのが有利である。
【0091】
さらに、本発明のもう1つの対象は、次のもの
(A)本発明の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、
(B)場合により、エチレン性不飽和基と2000g/molを上回る平均モル質量Mnを有する少なくとも1つのポリマー、
(C)場合により、エチレン性不飽和基と2000g/mol未満の平均モル質量Mnを有する少なくとも1つの化合物、
(D)少なくとも1つの光開始剤および
(E)場合により、更なる塗料添加剤
を有する放射線硬化ならびに場合により付加的に熱硬化性被覆組成物を提供することである。
(B)に関して:
ポリマーとして適切なものは、例えば、エチレン性不飽和化合物のポリマーであるが、(A)とは異なる2000g/mol以上のモル質量を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエポキシドまたはポリウレタンも適切である。
【0092】
例えば、実質的にポリオール、特にジオールとポリカルボン酸、特にジカルボン酸から成る不飽和ポリエステル樹脂も用いられ、その際、エステル化成分のうちの1つは、共重合可能なエチレン性不飽和基を有する。この成分は、例えばマレイン酸、フマル酸または無水マレイン酸である。
【0093】
特にラジカル重合により得られるようなエチレン性不飽和化合物のポリマーが有利である。
【0094】
ラジカル重合されたポリマーとは、特に40質量%以上まで、特に有利には60質量%以上までがアクリルモノマー、特にC1〜C8−、有利にはC1〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、特に有利にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートまたはn−ブチル(メタ)アクリレートから合成されたポリマーである。
【0095】
エチレン性不飽和基として、ポリマーは例えばビニルエーテルおよび/または特に(メタ)アクリル基を含有する。これらは、例えば、ポリマー中で(メタ)アクリル酸とエポキシド基を反応させることにより(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートをコモノマーとして併用して)ポリマーに結合させることができる。
【0096】
エポキシド(メタ)アクリレートは、エポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られる。エポキシドとして、例えば、エポキシ化オレフィン、芳香族グリシジルエーテルまたは脂肪族グリシジルエーテル、有利には芳香族または脂肪族グリシジルエーテルのものが用いられる。
【0097】
エポキシ化オレフィンは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン、有利にはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン、特に有利にはエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエピクロロヒドリン、とりわけ有利にはエチレンオキシドおよびエピクロロヒドリンであることができる。
【0098】
芳香族グリシジルエーテルは、例えば、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジ−グリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノン−ジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン)(CAS-No.[13446-85-0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メンタン異性体)(CAS-No.[66072-39-7])、フェノールベースのエポキシノボラック(CAS-No.[9003-35-4])およびクレゾールベースのエポキシノボラック(CAS-No.[37382-79-9])である。
【0099】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシドエーテル、1,6−ヘキサン−ジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS-No.[27043-37-4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS-No.[16096-30-3])および水素化ビスフェノールA(2,2―ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパンのジグリシジルエーテル(CAS-No.[13410-58-7])である。
【0100】
エポキシド(メタ)アクリレートとエポキシドビニルエーテルは、有利には2000〜20000g/mol、特に有利には2000〜10000g/mol、とりわけ有利には2000〜3000g/molの数平均モル質量Mnを有する;(メタ)アクリルまたはビニルエーテル基の含有量は、エポキシド(メタ)アクリレートまたはビニルエーテルエポキシド1000g当たり有利には1〜5、特に有利には2〜4である(標準物質としてポリエステル、溶出剤としてテトラヒドロフランを使用し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。
【0101】
同様に、ポリウレタンが有利である。これらは、不飽和基として同様に(メタ)アクリル基を含有し、これは例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとイソシアネート基の反応によりポリウレタンに結合する。
【0102】
このようなウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシアルキルビニルエーテルおよび場合により、ジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミンまたはジチオールまたはポリチオールのような連鎖延長剤との反応により得られる。乳化剤の添加なしに水中で分散可能なウレタン(メタ)アクリレートは、更にイオン性および/または非イオン性親水性基を含有し、これは例えばヒドロキシカルボン酸のような合成成分によりウレタン中に混入される。
【0103】
結合剤として使用可能なポリウレタンは、合成成分として実質的に次のもの:
(a)少なくとも1つの有機脂肪族、芳香族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、
(c)少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基を有する少なくとも1つの化合物、および
(d)場合により、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物
を含有する。
【0104】
これらのポリウレタンは、成分(a)、(c)および(d)を相互に反応させることにより得られる。
【0105】
その場合に、(a)中の反応性イソシアネート基3モル当たりのモル組成(a):(c):(d)は、通常以下の通りである:
(c)イソシアネートに対して反応性の基1.5〜3.0mol、有利には2.0〜2.9mol、特に有利には2.0〜2.5mol、とりわけ2.0〜2.3molである。
(d)イソシアネートに対して反応性の基0〜1.5mol、有利には0.1〜1.0mol、特に有利には0.5〜1.0mol、とりわけ0.7〜1.0molである。
【0106】
ポリウレタンを水性系で使用する際には、実質的に存在する全てのイソシアネート基が消費されるのが有利である。
【0107】
イソシアネート基含有化合物とイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物から成る付加物の形成は、通常、場合により高温で任意の順序で成分を混合することにより行われる。
【0108】
この場合に、有利には幾つかの工程でイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物をイソシアネート基含有化合物に添加するのが有利である。
【0109】
イソシアネート基含有化合物を予め装入し、かつイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物を添加するのが特に有利である。特にイソシアネート基含有化合物(a)を予め装入し、かつその後で(b)を添加するのが有利である。続いて、場合により更なる所望の成分を添加することができる。
【0110】
通常、5〜100℃、有利には20〜90℃の間、特に有利には40〜80℃の間、とりわけ60〜80℃の間の温度で反応を実施する。
【0111】
この場合に、水不含の条件下に操作するのが有利である。
【0112】
この場合に水不含とは、反応系内での水含有量が5質量%未満である、有利には3質量%未満、特に有利には1質量%未満を意味する。
【0113】
反応は少なくとも1つの適切な不活性ガスの存在で、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素またはこのようなものの存在で実施するのが有利である。
【0114】
反応は、不活性溶剤の存在で、例えば、アセトン、イソブチル−メチルケトン、トルエン、キシレン、ブチルアセテートまたはエトキシエチルアセテートの存在でも実施できる。しかし、溶剤の不在で反応を実施するのが有利である。
【0115】
ウレタン(メタ)アクリレートは、有利には2000〜20000g/mol、特に有利には2000〜10000g/mol、とりわけ有利には2000〜3000g/molの数平均モル質量Mnを有する(テトラヒドロフランおよび標準物質としてポリエステルを使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。
【0116】
ウレタン(メタ)アクリレートは、有利にはウレタン(メタ)アクリレート1000g当たり(メタ)アクリル基1〜5mol、特に有利には2〜4molの含有量を有する。
【0117】
ウレタンビニルエーテルは、有利にはウレタンビニルエーテル1000g当たりビニルエーテル基1〜5mol、特に有利には2〜4molの含有量を有する。
【0118】
本発明の有利な実施態様では、ウレタン(メタ)アクリレートまたはウレタンビニルエーテル、有利にはウレタンアクリレートは、合成成分として少なくとも1つの脂環式イソシアネート、すなわち、少なくとも1つのイソシアネート基が脂環式に結合した化合物、特に有利にはIPDIを含有している。
【0119】
さらに有利な実施態様では、WO00/39183の4頁、3行目〜10頁、19行目に記載されているような化合物が使用されるので、その開示は本明細書の構成要素である。このような化合物の中で、合成成分としてアロファネート基を有する少なくとも1つの(シクロ)脂肪族イソシアネートおよび少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを有する化合物、とりわけ有利にはWO00/39183の24頁目の表1中、製品番号1〜9が特に有利である。
【0120】
さらに適切な放射線硬化性化合物は、平均して1〜5個、特に2〜4個、とりわけ有利には2〜3個の(メタ)アクリル基、さらに有利には2個の(メタ)アクリル基を含有したカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0121】
カーボネート(メタ)アクリレートの数平均分子量Mnは、有利には2000〜3000g/molである(標準物質としてポリスチレン、溶剤としてテトラヒドロフランを用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。
【0122】
カーボネート(メタ)アクリレートは、炭酸エステルと多価の、有利には2価アルコール(ジオール、例えばヘキサンジオール)を反応させ、引き続き遊離OH−基を(メタ)アクリル酸でエステル化するか、またはEP-A92269に記載されているように(メタ)アクリル酸エステルとエステル交換することにより簡単な方法で得られる。これらは、ホスゲン、尿素誘導体と多価アルコール、例えば2価アルコールを反応させることによっても得られる。
【0123】
似た方法で、ビニルエーテルカーボネートは、ヒドロキシアルキルビニルエーテルと炭酸エステルならびに場合により2価アルコールを反応させることによっても得られる。
【0124】
ポリカーボネートポリオールの(メタ)アクリレートまたはビニルエーテル、例えば前記ジオールまたはポリオールのうちの1つと炭酸エステルならびにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートまたはビニルエーテルから成る反応生成物も考えられる。適切な炭酸エステルは、例えば、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートまたは1,3−プロピレンカーボネート、炭酸ジメチルエステル、炭酸ジエチルエステルまたは炭酸ジブチルエステルである。
【0125】
適切なヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレートならびにペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリレート、−ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートである。
【0126】
適切なヒドロキシ基含有ビニルエーテルは、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルおよび4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0127】
特に有利なカーボネート(メタ)アクリレートは、式I:
【化6】

[式中、RはHまたはCH3を表し、XはC2〜C18−アルキレン基を表し、かつnは1〜5の整数、有利には1〜3を表す]
のようなものである。
【0128】
Rは有利にはHを表し、かつXは有利にはC2〜C10−アルキレン基、例えば、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレンまたは1,6−ヘキシレンを表し、特に有利にはC4〜C8−アルキレンを表す。とりわけ有利にはXはC6−アルキレンを表す。
【0129】
取り上げられている化合物は、脂肪族カーボネート(メタ)アクリレートであるのが有利である。
【0130】
(C)に関して:
本発明による被覆組成物は、低分子量のエチレン性不飽和化合物も含有できる(反応性希釈剤)。
【0131】
これに関連して、低分子化合物とは2000g/molを下回る数平均分子量を有する化合物であると解釈される(標準物質としてポリスチレンを使用するゲル透過クロマトグラフィーにより測定)。
【0132】
これらの化合物は、例えば2000g/molよりも少ないモル質量を有する(B)で挙げたようなものであることができ、例えば、モル質量340g/mol、有利には500g/mol、特に有利には750〜2000g/molまでを有するエポキシド(メタ)アクリレート、モル質量300g/mol、有利には500g/molおよび特に有利には750〜2000g/molまでを有するウレタン(メタ)アクリレート、またはモル質量170g/mol、有利には250g/molかつ特に有利には500〜2000g/molまでを有するカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0133】
更に例えば、単に1つの共重合可能なエチレン性不飽和基を有するラジカル重合可能な化合物を用いることもできる。
【0134】
例えば、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテルおよび2〜20個、有利には2〜8個の炭素原子と1個または2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素ならびに(メタ)アクリル酸も挙げることができる。
【0135】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、C1〜C10−アルキル基を有するようなもの、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが有利である。
【0136】
特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適切である。
【0137】
1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えば、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネートおよびビニルアセテートである。
【0138】
ビニル芳香族化合物として、例えば、ビニルトルエン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンおよび有利にはスチレンが用いられる。
【0139】
ニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0140】
適切なビニルエーテルは、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテルおよびビニルオクチルエーテルである。
【0141】
2〜20個、有利には2〜8個の炭素原子と、1個または2個のオレフィン性二重結合を有する非芳香族炭化水素として、ブタジエン、イソプレンならびにエチレン、プロピレンおよびイソブチレンが挙げられる。
【0142】
幾つかのエチレン性不飽和基を有するラジカル重合可能な化合物を用いるのが有利である。
【0143】
この場合に、これらは特に(メタ)アクリレート化合物であり、有利にはそれぞれアクリレート化合物、すなわち、アクリル酸の誘導体である。
【0144】
有利な(メタ)アクリレート化合物は2〜20個、有利には2〜10個およびとりわけ有利には2〜6個の共重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含有する。
【0145】
(メタ)アクリレート化合物として(メタ)アクリル酸エステルおよび特に多価アルコールのアクリル酸エステル、特にヒドロキシル基の他に更なる官能基を有さないか、または場合によってはエーテル基を含有するようなものが挙げられる。このようなアルコールの例は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールのような二官能価アルコールおよびそれらの高縮合された代表物、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシ化フェノール性化合物、例えば、エトキシ化もしくはプロポキシ化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能価および高官能価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタントリオール、ソルビトール、マンニトールおよび相応のアルコキシ化アルコール、特にエトキシ化アルコールおよびプロポキシ化アルコールが挙げられる。
【0146】
アルコキシ化生成物は、公知の方法で前記アルコールとアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドおよびビニルオキシランを任意の順番で反応させることにより、混合物として有利にはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび特に有利にはエチレンオキシドを反応させることによりが得られる。有利には、ヒドロキシ基1つ当たりのアルコキシ化度は、0〜10である。すなわち、ヒドロキシル基1molは、有利には10molまでのアルキレンオキシドでアルコキシ化できる。
【0147】
ビニルエーテル基含有のポリエーテルアルコールは、それに応じて例えばヒドロキシアルキルビニルエーテルとアルキレンオキシドの反応により得られる。
【0148】
(メタ)アクリル酸基含有のポリエーテルアルコールは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとポリエーテルアルコールのエステル交換反応により、ポリエーテルアルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化により、または(c)で記載されているようなヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの使用により得ることができる。
【0149】
有利なポリエーテルアルコールは、106〜2000の間のモル質量、有利には106〜898、特に有利には238〜678の間のモル質量を有するポリエチレングリコールである。
【0150】
さらに、ポリエーテルアルコールとして162〜2000の間のモル質量を有するポリ−THFならびに134〜1178の間のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオールが使用可能である。
【0151】
(メタ)アクリレート化合物として、さらにポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられ、その際、これはポリエステロールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0152】
ポリエステルポリオールは、例えばUllmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 第4版、第19巻、62〜65頁から公知である。2価のアルコールと2価のカルボン酸の反応により得られるポリエステルポリオールを使用するのが有利である。遊離ポリカルボン酸の代わりに、低級アルコールの相応のポリカルボン酸無水物または相応のポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物をポリエステルポリオールの製造に使用できる。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、アラリファチック、芳香族または複素環であることができ、場合により、例えばハロゲン原子により置換されている、かつ/または非置換であってよい。このための例として以下ものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体の脂肪酸、それらの異性体および水素化生成物ならびにエステル化可能な誘導体、例えば、無水物またはジアルキルエステル、例えば、上記の酸のC1〜C4−アルキルエステル、有利にはメチル−、エチル−またはn−ブチルエステルを使用できる。一般式HOOC−(CH2y−COOHのジカルボン酸が有利であり、その際、yは1〜20の数、有利には2〜20の偶数、特に有利にはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸である。
【0153】
ポリエステロールを製造するための多価アルコールとして、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタノンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、162〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜1178のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール、134〜898のモル質量を有するポリ−1,2−プロパンジオール、106〜458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルトが用いられる。
【0154】
一般式HO−(CH2x−OHのアルコールが有利であり、その際、xは1〜20の数、有利には2〜20の偶数である。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオールおよびドデカン−1,12−ジオールが有利である。さらにネオペンチルグリコールが有利である。
【0155】
さらにポリカーボネートジオールも用いられ、これは例えば、ホスゲンと、ポリエステルポリオールの合成成分として挙げた過剰の低分子量アルコールとの反応により得ることができる。
【0156】
ラクトンベースのポリエステルジオールも適切であり、その際、これはラクトンのホモ−または混合ポリマーであり、有利には末端にヒドロキシル基を有する適切な二官能価の出発分子のラクトンとの付加物である。ラクトンとして、有利には一般式HO−(CH2z−COOHの化合物から誘導されるものが用いられ、その際、zは1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C1〜C4−アルキル基により置換されていてもよい。例としては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸またはピバロラクトンならびにこれらの混合物である。適切な出発成分は、例えばポリエステルポリオールの合成成分として挙げた二価の低分子アルコールである。ε−カプロラクトンの相応のポリマーが特に有利である。低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールは、ラクトンポリマーを製造するための出発物質として使用できる。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の化学当量の重縮合物を相応して使用できる。
【0157】
ポリエステル(メタ)アクリレートは幾つかの工程で、または1工程で例えばEP 279303に記載されているように、アクリル酸、ポリカルボン酸、ポリオールから製造できる。
【0158】
本発明による被覆組成物(固形分に対して、すなわち溶剤の存在なしで)は、通常以下のように構成される:
(A)成分Aを少なくとも20質量%、有利には少なくとも30質量%、特に有利には少なくとも50質量%、とりわけ有利には少なくとも60質量%、特に少なくとも75質量%、かつ特に少なくとも80質量%、かつ100質量%まで、有利には98質量%まで、特に有利には95質量%まで、とりわけ有利には90質量%まで、特に85質量%まで、
(B)場合により、成分Bを70質量%まで、有利には50質量%まで、特に有利には25質量%まで、とりわけ有利には10質量%まで、特に5質量%まで、および特に0質量%、
(C)場合により、成分Cを50質量%まで、有利には25質量%まで、特に有利には10質量%まで、とりわけ有利には5質量%まで、特に0質量%、
但し、合計は常に100質量%であるものとする。
【0159】
被覆組成物(場合により溶剤を含有している)は、25℃で0.02〜100Pasの粘度を有するのが有利である(回転式粘度計中で測定)。
【0160】
放射線硬化性組成物は、更なる成分を含有できる。特に光開始剤、レベリング剤および 安定剤が適切である。屋外で使用する場合、すなわち日中の光に直接曝される塗料に使用する場合には、該組成物は特に紫外線吸収剤とラジカルスカベンジャーを含有する。
【0161】
熱による後硬化のための反応促進剤として、スズオクトエート、亜鉛オクトエート、ジブチルスズラウレートまたはジアザ[2.2.2]ビシクロオクタンが使用できる。
【0162】
被覆組成物として使用する際に、該組成物は結合剤の固形分に対して通常0.1〜10.0質量%、有利には0.5〜7.0質量%の光開始剤を含有する。
【0163】
光開始剤(D)は、例えば当業者に公知の光開始剤、例えば、"Advanced in Polymer Science"、第14巻、Springer Berlin 1974またはK.K. Dietiker, Chemistry and Technology of UV-and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints、第3巻;Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P. K. T. Oldring(Eds)、SITA Technology Ltd, Londonに挙げられている光開始剤であることができる。
【0164】
例えば、EP-A 7508、EP-A 57474、DE-A 19618720、EP-A 495751またはEP-A 615980に記載されているようなモノ−またはビスアシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF AG社のLucirin(R) TPO)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(BASF AG社のLucirin(R) TPO L)、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Ciba Spezialitaetenchemie社 のIrgacure(R)819)、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(Ciba Spezialitaetenchemie社 のIrgacure(R) 184)、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Ciba Spezialitaetenchemie社 のIrgacure(R) 2959)、フェニルグリオキシル酸およびそれらの誘導体またはこれらの光開始剤の混合物が用いられる。挙げられる例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、β−メチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジ−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソ−プロピルチオキサントン、2,4−ジ−クロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソ−ブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾイン−エチルエーテル、ベンゾイン−ブチルエーテル、ベンゾイン−イソ−プロピルエーテル、7−H−ベンゾイン−メチルエーテル、ベンズ[デ]アントラセン−7―オン、1−ナフトアルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o−メトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリル−ホスフィン、ベンズ[ベンザ]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えば、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンおよび2,3−ブタンジオンを用いることができる。
【0165】
DE-A 19826712、DE-A 19913353またはWO 98/33761に記載されているようなフェニルグリオキサル酸エステルタイプの非黄変、または低黄変の光開始剤も適切である。
【0166】
更なる被覆添加剤(E)は例えば次のものである:
−レオロジー調整剤:
レオロジー調整剤として、通常かつ公知の化合物と混合物が用いられ、それらを用いて材料混合物、有利には被覆剤、粘着剤またはシーラント、特に被覆剤、構造粘性を調節できる。
【0167】
有利には、レオロジー調整剤は、尿素誘導体;架橋ポリマーミクロ粒子;無機層状ケイ酸塩;ケイ酸;イオン性および/または会合基を有する合成ポリマー;セルロース誘導体;デンプン誘導体;水素化ヒマシ油;過塩基性スルホネート;およびポリウレタンベースの会合性シックナーから成るグループから選択される。
【0168】
無機層状ケイ酸塩は、ケイ酸マグネシウムアルミニウムおよびモンモリロナイトタイプのナトリウム−マグネシウム層状ケイ酸塩およびナトリウム−マグネシウム−フッ素−リチウム−層状ケイ酸塩から成るグループから選択され;ケイ酸(B)は、ナノスケールの熱分解法二酸化ケイ素およびゾルゲル法を用いて製造された二酸化ケイ素から成るグループから選択され;合成ポリマー(B)は、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸コポリマーまたはエチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびそれらの誘導体ならびにポリアクリレートから成るグループから選択され;およびポリウレタンベースの会合性シックナーは、疎水性変性エトキシ化ポリウレタンから選択される(これに関しては、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998,"Verdickungsmittel", 599〜600頁、およびJohan Bieleman, Willey-VCHによる教書"Lackadditive", Weinheim, New York, 1988, 51〜59および65頁を参照のこと)。
【0169】
特許出願DE 19841842A1の4頁45行目〜5頁4行目に記載されているような粉末スラリーの構造粘性挙動を調節するためのイオン性および非イオン性シックナーの組合せ、またはポリウレタンベースの会合性シックナーとポリウレタンベースの湿潤剤の組合せを使用するのが有利である。
【0170】
尿素誘導体またはこれらを含有する混合物を使用するのが特に有利であり、これらは例えば、特許出願WO 94/22968、EP 0276501 A1、EP 0249201 A1、WO 97/12945、DE 19924170 A1、第2欄3行目〜第7欄24行目、DE 19924171 A1、2頁44行目〜5頁53行目、DE 19924172 A1、2頁44行目〜3頁32行目、DE 10042152 A1、2頁の段落[0010]〜6頁の段落[0066]およびDE 10126647 A12頁の段落[0009]〜6頁の段落[0066]に記載されている。
【0171】
レオロジー調整剤の含有量は同様に極めて広く変化可能である。この含有量はそれぞれ使用されるレオロジー調整剤の性質と、調節しようとする構造粘性の性能に応じて合わせことができる。レオロジー調整剤は、従来技術に記載されているように通常かつ公知の有効量で使用される。一般的に、これらは本発明による混合物に対してそれぞれ0.1〜40質量%、特に0.5〜30質%である。
【0172】
光安定剤
紫外線吸収剤は、紫外線を熱エネルギーに変換する。公知の紫外線吸収剤は、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、シンナムエステルおよびオキサルアニリドである。
【0173】
ラジカルスカベンジャーは、中間的に形成されたラジカルを結合する。重要なラジカルスカベンジャーは、HALS(Hindered Amine Light Stabilizers)として公知である立体障害アミンである。
【0174】
屋外での用途に関して、紫外線吸収剤とラジカルスカベンジャーの含有量は、放射線硬化性化合物の100質量部に対して、全部で有利には0.1〜5質量部であり、特に有利には0.5〜4質量部である。
【0175】
更なる添加剤
更なる添加剤は、着色顔料および/または効果顔料、分子分散可溶性染料;透明充填剤、例えば、二酸化ケイ素、二酸化アルミニウムまたは二酸化ジルコニウムベースのナノ粒子、またはRoempp Lexikon"Lacke und Druckfarben", Gortg Thieme Verlag, Stuugart, 1998、250〜252頁に記載されている化合物;抗酸化剤;低沸点および高沸点("長鎖")有機溶剤、例えば、脂肪族、芳香族および/または脂環式炭化水素、酢酸またはプロピオン酸のアルキルエステル、アルカノール、ケトン、グリコールエーテルおよび/またはグリコールエステル;脱気剤;消泡剤;湿潤剤、例えば、シロキサン、フッ素化合物、カルボン酸半エステル、リン酸エステル、ポリアクリル酸およびそれらのコポリマーまたはポリウレタン;乳化剤、特に非イオン性乳化剤、例えば、アルコキシ化アルカノールおよびポリオール、フェノールおよびアルキルフェノール、またはアニオン性乳化剤、例えば、アルコキシ化アルカノールおよびポリオール、フェノールおよびアルキルフェノールのアルカンカルボン酸、アルカンスルホン酸およびスルホン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;スリップ剤;重合阻害剤;易熱性ラジカル開始剤;粘着促進剤、例えばトリシクロデカンジメタノール;流れ調整剤;フィルム形成助剤、例えばセルロース誘導体;難燃剤;腐食剤;流動化剤;ワックス;乾燥剤;殺生剤および艶消剤から成るグループから選択される。
【0176】
適切な成分の例は、特許出願DE 19924171 1A、5頁48行目〜9頁32行目、DE 10042152 A1、7頁の段落[0071]〜11頁の段落[0093]およびDE 10154030 A1、第11欄の段落[0064]〜第12欄の段落[0071]から公知である。
【0177】
本発明による混合物中の更なる添加剤の含有量は、著しく広い範囲で変化可能であり、かつそれぞれ使用される成分の性質に合わせることができる。成分は、通常かつ公知の有効量で使用するのが有利である。
【0178】
通常、放射線硬化性組成物は、放射線硬化性化合物の他に、他の化学反応により硬化をもたらす化合物を含有する。例えば、ヒドロキシ基またはアミン基と架橋するポリイソシアネートが用いられる。
【0179】
放射線硬化性組成物は、水不含および溶剤不含の形で、溶液としてまたは分散液として存在できる。
【0180】
水不含および溶剤不含の放射線硬化性組成物または水溶液または水性分散液であるのが有利である。
【0181】
水不含および溶剤不含の放射線硬化性組成物が特に有利である。
【0182】
放射線硬化性組成物は、熱可塑性的に変形可能であり、かつ押出成形可能である。
【0183】
上記放射線硬化性組成物は、トップコートを形成する。コート厚さ(乾燥および硬化後)は、有利には10〜100μmである。
【0184】
同様に、少なくとも1つの本発明による被覆組成物を使用する支持体の被覆方法を開示する。
【0185】
支持体の被覆は、通常当業者に公知の方法により行われ、その際、少なくとも1つの本発明による被覆組成物またはこれを含有する塗料調合物を被覆すべき支持体上に所望の厚さで塗布し、かつ場合により加熱下に被覆組成物の揮発性成分を除去する。この操作は、所望の場合に、1回または数回繰り返す。支持体への塗布は、公知の方法、例えば、スプレー塗布、ヘラ塗り、ナイフ塗布、ハケ塗り、ローリング塗布、ローラー塗布または流し込みにより行うことができる。被覆厚さは、一般に約3〜1000g/m2および有利には10〜200g/m2の範囲内である。
【0186】
さらに、支持体を塗布する方法も開示するが、この方法は本発明による被覆組成物またはこれを含有する塗料調合物を、場合により一般的な更なる塗料添加剤および熱硬化性樹脂と混合し、支持体の上に塗布し、かつ場合により乾燥させ、酸素含有雰囲気または有利には不活性ガス下に電子ビームまたはUV露光により、場合により乾燥温度の高さまでの温度で硬化させ、引き続き160℃までの温度、有利には60〜160℃の間で熱処理する。
【0187】
支持体の被覆方法は、まず本発明による被覆組成物または塗料調合物を160℃までの温度で、有利には60〜160℃の間で熱処理し、かつ引き続き酸素下または不活性ガス下に電子ビームまたはUV露光で硬化することにより実施してもよい。
【0188】
支持体上で形成されたフィルムの硬化は、所望の場合に専ら熱により行うことができる。しかし、一般的かつ有利には、被覆を高エネルギー放射と熱の両方を照射することにより硬化する。
【0189】
場合により、被覆材料の幾つかの層を上下に重ねる場合には、各被覆工程の後に熱および/または放射線硬化を行うことができる。
【0190】
放射線硬化用の放射源として適切なものは、例えば、低圧、中圧および高圧水銀ランプならびに蛍光灯、パルスランプ、メタルハライドランプ、光開始剤なしに放射線硬化が可能である電子フラッシュ装置またはエキシマーエミッターである。放射線硬化は、高エネルギー放射の作用、すなわち紫外線または昼光、有利にはλ=200〜700nm、特に有利にはλ=200〜500nm、とりわけ有利にはλ=250〜400nmの波長範囲内の光を放射することにより、または高エネルギーエレクトロン(電子ビーム;150〜300keV)で照射することにより行われる。放射源として、例えば高圧水銀ランプ、レーザー、パルスランプ(フラッシュライト)、ハロゲンランプまたはエキシマーエミッターが使用される。架橋に十分である放射線量は、紫外線硬化の場合には、通常80〜3000mJ/cm2の範囲内である。
【0191】
自明ながら、幾つかの放射源、例えば、2〜4種類を硬化に使用できる。
【0192】
これらは、種々の波長範囲で放射してもよい。
【0193】
熱硬化に加えてまたは熱硬化の代わりに、硬化をNIR放射により行うことができる。その際、NIR放射とは、ここでは760nm〜2.5μmの波長範囲内、有利には900〜1500nmの波長範囲内の電磁放射線を意味する。
【0194】
照射は、場合により専ら酸素の不在下に、例えば不活性雰囲気下に実施できる。不活性ガスとして、有利には窒素、希ガス、二酸化炭素または燃焼ガスが適切である。さらに、照射は被覆組成物を透明な媒体で覆うことにより行うことができる。透明な媒体は、例えば、プラスチックフィルム、ガラスまたは液体、例えば水である。DE-A 119957900に記載されているような方法で照射するのが特に有利である。
【0195】
本発明のもう1つの対象は、支持体を被覆する方法であり、その際、該方法は
i)支持体を予め記載したような被覆組成物で被覆し、
ii)フィルム形成するために、光開始剤および/または熱開始剤が実質的にフリーラジカルを何も形成しない条件下に被覆組成物の揮発成分を除去し、
iii)場合により、工程)iiで形成されたフィルムを高エネルギー放射線で照射し、その際にフィルムを前硬化させ、かつ引き続き前硬化フィルムで被覆した物品を場合により機械加工するか、または前硬化フィルムの表面を他の支持体と接触させ、かつ
iv)該フィルムを熱により後硬化させる。
【0196】
この場合に、工程iv)とiii)は任意の順番で実施できる。すなわち、フィルムを初めに熱硬化させ、かつ次に高エネルギー放射で硬化することができる。
【0197】
本発明による被覆材料は、特に木、紙、布、革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物性材料、例えば、セメントブロックおよび繊維セメントスラブ、または金属もしくは被覆金属のような支持体を被覆するため、有利にはプラスチックまたは金属を被覆するために適切であり、これは例えばフィルムの形であってよい。
【0198】
特に有利には、本発明の被覆組成物は、外部用被覆剤として、または外部用被覆剤中で適切である。すなわち、昼光に曝されるような用途において、有利には建築物または建築物部材;内部用被覆剤、交通標識、車両および飛行機の被覆剤において適切である。特に本発明の被覆組成物は自動車のクリアコート剤およびトップコート剤として、またはクリアコート剤およびトップコート剤中で使用される。
【0199】
フィルム中で使用される場合には、特殊な支持体が有利である:
支持体層は、有利には熱可塑性ポリマー、特にポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルクロリド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合物から成る。
【0200】
更にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂またはポリウレタン、それらのブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー、これらのブレンドが挙げられる。
【0201】
ABS、AES、AMMA、ASA、EP、EPS、EVA、EVAL、HDPE、LDPE、MABS、MBS、MF、PA、PA6、PA66、PAN、PB、PBT、PBTP、PC、PE、PEC、PEEK、PEI、PEK 、PEP、PES、PET、PETP、PF、PI、PIB、PMMA、POM、PP、PPS、PS、PSU、PUR、PVAC、PVAL、PVC、PVDC、PVP、SAN、SB、SMS、UF、UPプラスチック(DIN 7728に従った略語)および脂肪族ポリケトンが有利に挙げられる。
【0202】
特に有利な支持体は、PP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン(これは選択的にイソタクチック、シンジオタクチックまたはアタクチックであることができ、かつ選択的に無配向であるか、または一軸または二軸延伸により配向させておくことができる)、SAN(スチレン−アクリロニトリルコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PBT(ポリ(ブチレンテレフタレート))、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルエステル−コポリマー)およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー)ならびにそれらの物理的混合物(ブレンド)である。特に有利にはPP、SAN、ABS、ASAならびにABSもしくはASAと、PAまたはPBTまたはPCとのブレンドを挙げることができる。
【0203】
きわめて有利には、ASA、特にDE 19651350によるもの、およびASA/PCブレンドが挙げられる。同様に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)または耐衝撃性PMMAが有利である。
【0204】
層の厚さは、有利には50μm〜5mmまでである。特に有利には、特に支持体層をバックインジョクション成形する場合には、厚さは100〜1000μm、特に100〜500μmである。
【0205】
支持体層のポリマーは、添加剤を含有していてもよい。特に充填剤または繊維が用いられる。支持体層は着色してもよいので、同時に着色層としても利用できる。
【0206】
本発明のもう1つの対象は、放射線硬化性または二重硬化性被覆組成物における本発明によるウレタン(メタ)アクリレートの使用である。
【0207】
"二重硬化"または"多重硬化"という用語は、本明細書の範囲内では、2つ、または2つ以上のメカニズムにより行われる硬化プロセスを意味し、その中でも、例えば、放射線硬化、湿分硬化、化学硬化、酸化硬化および/または熱硬化から選択され、有利には、放射線、湿分、化学および/または熱硬化から選択され、より有利には、放射線、化学および/または熱硬化から選択され、きわめて有利には放射線硬化と化学硬化から選択される。
【0208】
本明細書中で使用されるppmとパーセンテージのデータは、特記されない限り質量パーセントおよび質量ppmを意味する。
【0209】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0210】
実施例
例1:
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート400部、シロキサンテトラオール(US 6187863の実施例2により製造)23.5部、ヒドロキシエチルアクリレート182部およびメタノール17部から、ウレタンアクリレートを製造した。安定化は、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.3部とKerbit(R) TBK0.6部を用いて達成された。成分(メタノール無し)を合わせ、かつ40℃で撹拌した。粘度を下げるために、ヘキサンジオールジアクリレート268部を添加した。触媒としてジブチルスズジラウレート0.1部を添加した後に、発熱反応が生じ、この後に60℃で2時間撹拌した。
【0211】
NCO値は、1.2%であった。次にメタノールを加え、かつ反応を60℃で3時間以上続けた。NCO値は0まで落ちた。次に僅かに濁った生成物をIRとゲル浸透クロマトグラフィーによりキャラクタリゼーションした。
【0212】
比較例1:
例1の方法を繰り返したが、しかしシロキサンテトラオールの代わりにデカンジオールを使用した。
【0213】
例1と比較例1から製造された樹脂に、Ciba Specialitaetenchemie社から市販されている光開始剤Darocure(R)1173 4質量%をそれぞれ添加しながら、ディソルバーまたは撹拌機を用いて強く撹拌しながら被覆剤を製造した。200μmのスロットサイズを有する箱形のドクターブレードを用いてフィルムを清潔なガラス板上で製造した。フィルムの硬化は、2個のUVランプを備えたIST被覆装置中、10m/分のコンベアベルト速度で行った。照射されたUV線量は約1800mJ/cm2であった。
【0214】
気温調節室中で24時間貯蔵した後に、この被覆剤の振り子硬度、エリクセンカッピングおよび耐引掻性をスコッチブライト試験により測定した。耐引掻性を測定するために、黒く着色した清潔なガラス板上にフィルムを載せた。これは相応する応力を与えた後の光沢の低下を測定することにより、耐引掻性の測定を可能にした。
【0215】
表1:例1と比較例1の塗料の試験結果
【表1】

1)20゜〜60゜の測定角度および250gもしくは750gの負荷重量におけるスコッチブライト処置後のデルタ光沢、10往復行程(DS)。
2)ケーニッヒによる振り子硬度、DIN 53157, ISO 1522。
3)エリクセン−カッピング、DIN 53156, ISO 1520。
【0216】
スコッチブライト試験は、以下のように行う:試験体はシリンダーに固定した3×3cmサイズのシリコンカーバイド改質繊維フリース(Scotch Brite SUFN, 3M ドイツ、41453ノイス)である。このシリンダーは、フリースを指定された負荷重量で被覆に押し当て、かつ空気の作用により被覆上を動く。振れの移動距離は7cmである。指定された往復行程の回数の後に、DIN 67530 ISO 2813に倣って、加圧の中央領域にて指定角度で光沢を測定した(6重の測定)。
【0217】
デルタ光沢は、引掻の負荷による光沢の減少を表す。すなわち、デルタ光沢値が低いほど、耐引掻性が良くなる。例1と比較例1により製造された被覆の場合に、硬度と弾性がほぼ同じである限りは、シロキサン成分の添加により耐引掻性が著しく改善された。
【0218】
例2:
イソプロピリデンジシクロヘキサノールを例1からの2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリシロキサン中に60℃で撹拌しながら大まかに分散させた。この懸濁液に、イソシアネート、ヒドロキノンモノメチルエーテル、1,6−ジ−tert−ブチル−パラ−クレゾールおよびブチルアセテートを添加した。ジブチルスズジラウレートを添加した後に、バッチが温まった。内部温度75℃で、反応混合物のNCO−値が実質的に変わらなくなるまで数時間撹拌した。次に、0%のNCO値が達成されるまでメタノールの添加を行った。
【0219】
イソプロピリジンジシクロヘキサノール 44.28g(35mol% OH)
2−ヒドロキシエチルアクリレート 63.80g(55mol% OH)
ポリシロキサン 14.13g(5.6mol% OH)
Basonat(R) Hl 100 BASF AG社製 72.38g(37.5mol% NCO)
Basonat(R) HB 100 BASF AG社製 69.35g(37.5mol% NCO)
Vestanat(R) T 1890 Degussa社製 60.70g(25mol% NCO)
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.164g(固体で0.05%)
1,6−ジ−tert−ブチル−パラ−クレゾール 0.328g(固体で0.1%)
ブチルアセテート 176.43g(固形物63%)
ジブチルスズジラウレート 0.066g(固体で0.02%)
メタノール 2.05g(5mol% OH)
Basonat(R) Hl 100 BASF社製:ヘキサメチレンジイソシアネートベースのポリイソシアネート(イソシアヌレート)、NCO含有量:21.5〜22.5%(DIN EN ISO 11909)
Basonat(R) HB 100 BASF社製:ヘキサメチレンジイソシアネートベースのポリイソシアネート(ビウレット)、NCO含有量:22〜23%(DIN EN ISO 11909)
Vestanat(R) T 1890 Degussa社製:イソホロンジイソシアネートベースのポリイソシアネート(イソシアヌレート)、NCO含有量:11.7〜12.3%(DIN EN ISO 11909)。
【0220】
上記の方法により得られたウレタンアクリレートは、次の特性を有する:
ガラス転移温度Tg=22.0℃、
粘度η=10.7Pa・s/RT(23℃の温度でコーン粘度計とプレート粘度計において測定)、
二重結合の密度=1.68mol/kg(100%の形で)。
【0221】
例3:ウレタンアクリレート含有被覆調合物の製造
例2で記載したウレタンアクリレート100部をCiba社のIrgacure(R) (市販の光開始剤)4部と混合し、かつディソルバーまたは撹拌機を用いて強く混合した。
【0222】
清潔なガラス板上もしくはボンダー(Bonder)金属板上で、ドクターブレード(清潔なガラス板上のスロットサイズ:400μm;ボンダー金属板上でのスロットサイズ:200μm)を用いてクリアコートフィルムの製造を行った。
【0223】
はじめに、湿ったフィルムを室温で15分間空気にさらし、かつ引き続き100℃で20分間乾燥させた。このフィルムの硬化を2個のUVランプ(高圧水銀ランプType M 400 U2HおよびType M 400 U2HC)を備えたIST被覆装置(Type M 40 2×1−R−IR−SLC−So inert)中で、窒素雰囲気(含有量(O2)≦500 ppm)下に10m/分のコンベアベルト速度で行った。放射線線量は約1900mJ/cm2であった。
【0224】
機械的安定性の測定は、後硬化したフィルムを気温調節室中で24時間貯蔵した後に行った。この場合に、試験体はケーニッヒによる振り子減衰(DIN 53157, ISO 1522)、エリクセンカッピング(DIN 53156, ISO 1520)および鉛筆硬度に関して測定した。
【0225】
【表2】

【0226】
例4
イソプロピリデンジシクロヘキサノール79.70gを2−ヒドロキシエチルアクリレート63.03g、ペンタエリトリトールトリアクリレートとテトラアクリレートとの混合物(UCB社製PETIA)296.01gおよび下記のシロキサンジオール28.11gと60℃で撹拌しながら大まかに混合した。この懸濁液に、BASF AG社製のBasonat(R) Hl 100238.84g、Bayer Material Science AG社製のDesmodur(R) W 126.09g、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.435g、1,6−ジ−tert−ブチル−パラ−クレゾール0.896gおよびMEK(=メチルエチルケトン)381.53gを加えた。ジブチルスズジラウレート0.174gを添加した後に、バッチが温まった。内部温度75℃で、反応混合物のNCO−値が実質的に変わらなくなるまで7.5時間撹拌した。次に、メタノール7.69gとグリコール酸17.36gの添加を行い、かつ0%のNCO値が達成されるまで更に撹拌した。
【0227】
UCB社製のPETIA:約9mol/kgの二重結合含有量と100〜115mgKOH/gのOH価を有するペンタエリトリトール−トリアクリレートとペンタエリトリトール−テトラアクリレートの混合物、
シロキサンジオール:アリルアルコールプロポキシレート(M=151.1g/mol、OH価=371mgKOH/g)114gとヒドリド末端ポリジメチルシロキサン(M=400〜500g/mol)93.26gの反応混合物(ヒドロシリル化)。
【0228】
BASF社製のBasonat(R) HI 100:ヘキサメチレンジイソシアネートベースのポリイソシアネート(イソシアヌレート)、NCO含有量:21.5〜22.5%(DIN EN ISO 11909)
Bayer Material Science AG社製のDesmodur(R)W:NCO含有量≧31.8%を有するジシクロヘキシルメタンジイソシアネート。
【0229】
上記の方法により得られたウレタンアクリレートは次の特性を有した:
ガラス転移温度Tg=−3.9℃、
粘度η=1.1Pa・s/RT(23℃の温度でコーン−プレート粘度計において測定)、
二重結合の密度=2.6mol/kg(100%の形)
酸価AN=16.12mgKOH/g(100%の形)。
【0230】
例5:ウレタンアクリレート含有の被覆調合物2の製造
例4で得られたシリコーン変性ウレタンアクリレート145質量部、
Ciba Spezialitaetenchemie社製のHALS光安定剤Tinuvin 152(MEK中50%)2質量部、
Ciba Spezialitaetenchemie社製のTinuvin(R)400 1.8質量部、
BASF AG社製のLutensol(R) AT 1.4質量部、
トリエチルアミン 2.2質量部および
光開始剤(Ciba Spezialitaetenchemie社製のIrgacure(R) 184/トリフェニルホスフィンオキシド5:1)から成る混合物4質量部
を合わせ、かつ撹拌しながら脱イオン水96質量部とゆっくり混合し、かつその後に、もう1度脱イオン水96質量部と混合した。混合の後、1μm Cunoフィルターを通して濾過した。
【0231】
Tinuvin(R) 152:Ciba Spezialitaetenchemie社製の光開始剤、1個のトリアジン基と2個の立体障害環状アミノエーテル基を有する、
Ciba Spezialitaetenchemie社製のTinuvin(R) 400:2−(4−((2−ヒドロキシ−3−ウンデシルオキシプロピル)オキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−(4−((2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの混合物、
Lutensol AT 50=BASF AG社製の界面活性剤、
Ciba Spezialitaetenchemie社製のIrgacure(R) 184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンをベースとする市販の光開始剤、
この後に溶剤を室温で24時間蓋を開けながら撹拌して蒸発させた。濾過の後に、Baysilone(R)Al 3468 0.2質量部(Bayer AG社製の流れ調整剤)とAcrysol RM-8W(Rohm & Haas社製のPURシックナー)1.0質量部で混合物を完全なものにし、かつ再度1μmのCunoフィルターを通して濾過した。
【0232】
塗料試験のためにクリアコートを通常のKTL−プレート上に水平に塗布した。その際、はじめに通常の水性サーフェーサーを塗布し、その後に黒い水性ベースコート(80℃で10分間前乾燥させた)を塗布した。
【0233】
はじめにクリアコートを熱により60℃で10分間、80℃で6分間、155℃で15分間乾燥させ、その後に酸素欠乏(1% O2)雰囲気中、IST Metz GmbH社製のIST UV装置内で1.5J/cm2(Polytec社製のLight Bug ILD 390C)で照射した。クリアコートの乾燥フィルム層の厚さは40μmであった。
【0234】
被覆は極めて滑らかな表面(ミラー光学)を有し、更に被覆の層厚が厚い場合にも著しいポッピングが無かった(80μm以上の幅)。更に、クリアコートは極めて化学的に安定であり、飛石耐性であり、堅く、耐引掻性であり、かつ結露に対して安定であった。詳細には、以下の試験結果が得られた:
ダイムラークライスラー勾配オーブン
硫酸 48℃
水酸化ナトリウム溶液 52℃
樹木樹脂 >75℃
脱イオン水 >75℃
VDA 飛石612−427
特性値1.5−錆の度合い0.5
硬度(フィッシャースコープ−押込み硬さ)
25.6mNで122N/mm2、相対的弾性エネルギー63%
耐引掻性、AMTEC 実験室用洗浄装置
80%残留光沢
耐引掻性クロックメーター9μm
87%残留光沢
結露試験(一定条件、240時間)
吹き付け度:量=0、大きさ=0。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成成分として、次のもの:
(a)少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する少なくとも1つの化合物、
(b)少なくとも1つのケイ素原子と少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物、
(c)少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つのラジカル重合可能基を有する少なくとも1つの化合物、
(d)場合により、少なくとも2つのイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの化合物、
(e)場合により、更なる官能基を有さないイソシアネートに対して反応性の基1つを有する少なくとも1つの化合物、
(f)場合により、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基と少なくとも1つの分散基を有する少なくとも1つの化合物
を含有する放射線硬化性ならびに場合により更に熱硬化性である結合剤。
【請求項2】
成分(c)の量は、成分(a)のイソシアネート基に対して少なくとも25mol%である、請求項1に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項3】
イソシアネート(a)は、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである、請求項1または2に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項4】
合成成分(b)は反応性官能基を有する少なくとも1つの有機ポリシロキサンであり、その際、ポリシロキサンは以下の式(I):
【化1】

または式(II)
【化2】

[式中、
mは少なくとも1であり、
m’は0〜50であり、
oは、0〜50であり、
5は、OHおよびケイ素原子に結合している一価の炭化水素基から成るグループから選択され、
6は、以下の式(III):
(III) R7−O−Z
(式中、
7は、アルキレン、オキシアルキレンまたはアルキレンアリールであり、かつ
Zは、水素または−OH、−COOH、−NCO、エステルのようなカルボキシレート、カーボネートおよび無水物、第一級アミン、第二級アミン、アミド、カルバメートおよびエポキシ官能基から成るグループから選択される官能基を含有する単位である)
の構造を有する]
の構造を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項5】
o+mが合計2または3であるか、またはo+m'が合計2または3である、請求項4に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項6】
少なくとも1つの化合物(f)は、合成成分として存在する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項7】
少なくとも1つの化合物(f)は、式
RG−R3−DG
[式中、
RGは、少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を意味し、
DGは、少なくとも1つの分散基を意味し、かつ
3は、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、脂環式または芳香族基である]
により示される、請求項6に記載の放射線硬化性結合剤。
【請求項8】
次のもの
(A)請求項1から7までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、
(B)場合により、エチレン性不飽和基と2000g/molを上回る平均モル質量Mnを有する少なくとも1つのポリマー、
(C)場合により、エチレン性不飽和基と2000g/mol未満の平均モル質量Mnを有する少なくとも1つの化合物、
(D)少なくとも1つの光開始剤および
(E)場合により、一般的な更なる塗料添加剤
を有する放射線硬化性ならびに場合により更に熱硬化性である被覆組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の被覆組成物で被覆された支持体。
【請求項10】
放射線硬化性ならびに場合により更に熱硬化性である被覆組成物における請求項1から7までのいずれか1項に記載の結合剤の使用。

【公表番号】特表2008−521981(P2008−521981A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543753(P2007−543753)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012674
【国際公開番号】WO2006/058680
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】