説明

耐火ガラスブロック、その製造方法及びガラスブロック壁面構造

【課題】簡単な構造で所望の耐火性を有し、かつ軽量化を図ることができる耐火ガラスブロックと、その製造方法及び壁面構造を提供する。
【解決手段】本発明の耐火ガラスブロック1は、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光部となるガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化された中空ブロック体1aを備え、透光部1b外面の額縁1cに囲繞された凹部1dを覆う樹脂フィルム3と、樹脂フィルム3と凹部1dとの空間に充填された透光性断熱ゲル2により断熱層4が設けられてなる。また、本発明の製造方法は、中空ブロック体1aの凹部1dに透光性断熱ゲル2を充填する充填工程と、凹部1dを樹脂フィルム3で覆うフィルム被覆工程とを有し、中空ブロック体1aの透光部1bの外面に断熱層4を形成するものである。さらに、本発明の壁面構造は、耐火ガラスブロック1の相互間に目地材を備えてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用ガラスブロックに関し、透光性断熱ゲルの断熱層が形成された耐火ガラスブロック、その製造方法及びガラスブロック壁面構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にガラスブロック壁には、中空の建築用ガラスブロックが用いられている。このガラスブロックは、一対の有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成形体を、互いの開放端縁で熔着一体化させることによって作製され、表裏面の双方に額縁に囲まれた透光面を有する中空の建築材料であり、建物の外壁や内壁、あるいはベランダ等に広く使われている。
【0003】
従来、建築基準法に定める耐火性能が必要とされる建築物の壁体には、コンクリートや繊維混入珪酸カルシウム板等が使用されている。しかし、これらの材料で構成された壁体は、透光性を有しない。近年、耐火性能を必要とする壁体にも採光性はもちろんのこと、建築物自体の意匠性を向上させるため、断熱性や遮音性に優れたガラスブロックを使用したいという要望が増加している。
【0004】
しかし、通常のガラスブロックは、火災の際に、火災側(加熱側)の透光面に熱衝撃によってクラックが発生し、さらに、クラックが伸展し、透光面が脱落する。続いて、非加熱側の透光面にも同様にクラックが発生するため、貫通孔が生じやすかった。そのため、火炎や煙を遮ることができず、建築基準法に定める「耐火30分」の耐火性能を満たすことができなかった。この「耐火30分」の耐火性能を満たすためには、壁体の片面をISO834規格の昇温曲線に準じて30分間昇温しても、延焼の原因となる亀裂や貫通孔を生じないことと、非加熱面の温度が、自然発火しにくい160℃以下であることが必要である。
【0005】
従来技術としては、例えば、特許文献1には、一対の有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体が、互いの開放端縁で封着一体化されてなり、内部に断熱ゲルが充填され、封着部に断熱ゲルの崩落防止材が設けられたものが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、中空部を有する2個のガラスブロックを、互いの透光面を対向させ、間隔を設けて配置し、断熱結合材によって結合一体化してなり、2個のガラスブロックと断熱結合材とに囲まれた空間部を有し、空間部に遮熱材料が配置されたものが提案されている。
【特許文献1】特開2004−68386号公報
【特許文献2】特開2004−76438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のガラスブロックは、一般的に製造・販売されるガラスブロックを使用することが困難であったり、断熱結合材を用いて結合一体化させたり、崩落防止材や遮熱板を用いたりと、構造が複雑であった。また、特許文献1のガラスブロックでは多量の断熱ゲルの充填が必要であり、特許文献2のガラスブロックではガラスブロックを2個使用するので、軽量化が図れなかった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で所望の耐火性を有し、かつ軽量化を図ることができる耐火ガラスブロック、その製造方法及びガラスブロック壁面構造を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明の耐火ガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光部となるガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化された中空ブロック体を備え、該中空ブロック体の少なくとも一方の透光部の外面に形成された額縁と、該額縁に囲繞された凹部を覆う樹脂フィルムと、該樹脂フィルムと凹部との空間に充填された透光性断熱ゲルにより断熱層が設けられてなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の耐火ガラスブロックは、底部が透光部となるガラス成形体の外面に額縁が形成されており、ガラス成形体の一対が互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体を形成してなるものを対象とするものである。
【0011】
本発明の耐火ガラスブロックは、中空ブロック体の透光部の全表面積に対して、額縁により囲繞された凹部の面積が占める割合が70%〜90%であり、この凹部に透光性断熱ゲルを、例えば1〜2mmの厚みで充填した断熱層を形成し、これに樹脂フィルムを貼り付け覆うことで、透光性断熱ゲルを保護し、火災時には効果的に遮熱を行うことができ、他方、火災時以外には衝撃により割れたガラス破片を保持し、安全並びに防犯効果を有するものである。
【0012】
また、本発明では、断熱層の透光性断熱ゲルは、質量%で、珪酸ソーダが60〜80%、珪酸カリが15〜35%、エチルアルコールが1〜10%、アクリルシリコーン樹脂が0.5〜5%であることが、耐火ガラスブロックの耐火性能及び透光性(透視性を含む)を確保するうえで好ましい。
【0013】
本発明で使用する透光性断熱ゲルとしては、珪酸ソーダは、粘性が高いもの(JISに規定する1号珪酸ソーダ)を使用する。低コストではあるが、加熱時には低密度の発泡部分であるホットスポットが発生し易く、単体では耐火性能を満足できない。このため、高密度の発泡断熱層を形成する珪酸カリ(1Kカリ)を混合することで、ホットスポットの発生を抑制し、「耐火30分」の性能を実現することができる。また、エチルアルコールやアクリルシリコーン樹脂には、脱水や重合作用により、ガラスブロック表面に断熱ゲルを定着させる効果がある。
【0014】
さらに、本発明では、樹脂フィルムは、ポリエステルフィルムまたはポリカーボネイトフィルムで、厚みが50〜150μmあることが、衝撃により割れたガラス片を確実に保持することができる点で安全上望ましい。
【0015】
本発明で樹脂フィルムとして、市販の耐衝撃性の高いポリエステル製やポリカーボネイト製のフィルムを用いると、火災以外の時には人体や飛来物の衝突、ガラスの打ち破りといった衝撃に有効であり、また日射調整、紫外線カット機能を有するものであれば、室内への日射熱を遮蔽し、冷房負荷の低減や、室内調度品の劣化を抑えるといった、ガラスブロックのみでは達成し得ない効果を持たせることができる。
【0016】
さらに、透光性断熱ゲルは、主に乾燥脱水によりゲル化しているため、吸湿・吸水すると軟化を起こし易い。このため、樹脂フィルムで覆うことにより保護することで、軟化による形状変化や衝撃による剥離を防止する効果を持たせる。また紫外線カット機能を有するフィルムを用いれば、透光性断熱ゲルに含まれる有機物の劣化を抑制し、長期間に亘り初期の耐火性能を持続することが可能であり望ましい。
【0017】
なお、建築用ガラスブロックを損傷させることなく取り扱い施工し、かつ安定した性能を発揮させるために、中空ブロック体の側面を発泡性塗料や弾性シート等の保護材により保護しておくことが好ましい。
【0018】
本発明に係る建築用ガラスブロックの製造方法は、有底無蓋の箱型形状を有し、透光部となる底部の外面に額縁が形成されたガラス成形体を成形する成型工程と、少なくとも一方に該ガラス成形体を配置し、対となるガラス成形体の互いの開放端縁で溶着一体化して中空ブロック体を形成する溶着工程と、該中空ブロック体の透光部外面の額縁に囲繞された凹部に透光性断熱ゲルを充填する充填工程と、額縁に囲繞された凹部を樹脂フィルムで覆うフィルム被覆工程とを有し、中空ブロック体の透光部の外面に断熱層を形成することを特徴とするものである。
【0019】
本発明で成型工程としては、プレス成型、鋳込み成型等により有底無蓋の箱型形状を有し、透光部となる底部の外面に額縁が形成されたガラス成形体を成形するものである。
【0020】
また、本発明で中空ブロック体を形成する溶着工程としては、少なくとも一方に外面に額縁が形成されたガラス成形体と、同様の開口寸法を有するガラス成形体との対を、それら互いの開放端縁を向かい合わせてバーナー等で加熱・軟化させ、溶着一体化して中空ブロック体を形成するものである。
【0021】
また、本発明で中空ブロック体の透光部外面の額縁に囲繞された凹部に透光性断熱ゲルを充填する充填工程としては、凹部に透光性断熱ゲルを塗布するのも、樹脂フィルムで覆われた凹部に断熱ゲルを注入するもの等が可能である。
【0022】
また、本発明で額縁に囲繞された凹部を樹脂フィルムで覆うフィルム被覆工程としては、透光部外面の額縁にのみ接着するもの、凹部に充填された断熱ゲルに接着するもの、額縁及び透光性断熱ゲルの双方に接着するものなどが可能である。また、中空ブロック体の透光部外面に額縁としてガラス部分の面積を10〜30%残したことで、市販の樹脂フィルムを効率良く接着させることができる。一般に市販の樹脂フィルムはガラスに対する接着性を考慮して製造されており、これを用いれば、特別な樹脂フィルムを開発する必要が無く経済的である。
【0023】
本発明では、このような凹部に透光性断熱ゲルを充填する充填工程と、額縁に囲繞された凹部を樹脂フィルムで覆うフィルム被覆工程とにより、中空ブロック体の透光部の外面に断熱層を形成するものである。
【0024】
なお、建築用ガラスブロックを損傷させることなく取り扱い施工し、かつ安定した性能を発揮させるために、中空ブロック体の側面を発泡性塗料や弾性シート等の保護材で保護する側面保護工程を設けておくことが好ましい。
【0025】
本発明に係るガラスブロック壁面構造は、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光部となるガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化された中空ブロック体を備え、該中空ブロック体の少なくとも一方の透光部の外面に形成された額縁と、該額縁に囲繞された凹部を覆う樹脂フィルムと、該樹脂フィルムと凹部との空間に充填された透光性断熱ゲルにより断熱層が設けられてなる複数の耐火ガラスブロックと、該耐火ガラスブロックの相互間に配設される目地材とを備えることを特徴とするものである。
【0026】
本発明のガラスブロック壁面構造で、建築用ガラスブロックの相互間に配設される目地材としては、モルタル、化粧目地材、あるいはシリコーン系シーリング材等が使用可能である。また、ガラスブロック壁面を構成する場合、建築物等の躯体に、金属製の枠体を取り付けておき、そこに本発明の建築用ガラスブロックを施工する形態のものや、予め本発明の建築用ガラスブロックをフレームに組み込んでパネルにしたものを建築物等の躯体に据え付けるもの等が可能である。
【0027】
なお、本発明のガラスブロック壁面構造は、従来からの施工方法による、モルタルや補強筋を用いたものでもよい。また、本発明のガラスブロック壁面には、従来のガラスブロックやガラスブロック壁面を併用したものであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る建築用の耐火ガラスブロックは、透光性断熱ゲルを用いた断熱層をガラスブロックの外表面に設けることで、薄い断熱層であっても効果的に遮熱を行うことが可能で、壁体の片面をISO834の昇温曲線に準じて30分間昇温しても、延焼の原因となる有害な亀裂や貫通孔を生じず、非加熱面側の表面温度を120℃前後にすることが可能である。
【0029】
また、本発明の耐火ガラスブロックは、透光部の表面積に占める断熱層の割合を70%〜90%にすることにより、火災時の加熱に対して、ガラスブロック周辺部と中央部分の温度上昇勾配が近似するため、温度差(熱膨張差)によるクラックの発生を抑制する効果がある。クラックの発生が遅くなれば、加熱された空気がガラスブロック中空内部に流入することが無く、対流による熱移動を抑え、非加熱面側の表面温度上昇を遅延させる効果がある。
【0030】
さらに、本発明の耐火ガラスブロックは、樹脂フィルムにより、火災以外の時には人体や飛来物の衝突、ガラスの打ち破りといった衝撃に対する優れた耐衝撃性、耐貫通性を有するものであり、また日射調整、紫外線カット機能を有するものであれば、室内への日射熱を遮蔽し、冷房負荷の低減や、室内調度品の劣化を抑えるといった、ガラスブロックのみでは成しえない効果を持たせることができる。
【0031】
本発明に係る建築用ガラスブロックの製造方法は、中空ブロック体の透光部外面の額縁に囲繞された凹部に透光性断熱ゲルを充填する充填工程と、額縁に囲繞された凹部を樹脂フィルムで覆うフィルム被覆工程とを有し、中空ブロック体の透光部の外面に断熱層を形成するものであるので、上記の効果を発揮する耐火ガラスブロックを効率よく短期間に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の耐火ガラスブロック、及びこれを用いたガラスブロック壁の施工方法と耐火性能について説明する。
【実施例1】
【0033】
実施例1として、耐火ガラスブロック1は、図1(A)、(B)に示すように、190×190×95mmの中空ブロック体1aの透光部1b外面には、額縁1cに囲繞された180×180×1mmの凹部1dが形成されており、凹部1dには透光性断熱ゲル2が充填され、その断熱ゲル2が住友3M社製飛散防止用の樹脂フィルム3「SCLAR150」で覆われて断熱層4が形成されているものである。この耐火ガラスブロック1は、透光部1bの全表面積に対して、凹部1dの面積が占める割合が89%になっている。
【0034】
次に、耐火ガラスブロック1の製造方法について説明する。
【0035】
まず、耐火ガラスブロック1には190×190×95mmの中空ブロック体1aを使用する。この中空ブロック体1aの透光部1bの表面には、額縁1cに囲繞された180×180×1mmの凹部1dが形成されている。この凹部1dに、質量%で、珪酸ソーダ 65%、珪酸カリ 32%、エチルアルコール 2%、アクリルシリコーン樹脂1%を順次混合し作成した透光性断熱ゲル2を充填する。この中空ブロック体1aを乾燥炉へ投入し、炉内温度70〜90℃で約2〜3時間乾燥させる。中空ブロック体1aを乾燥炉から取り出して、しばらく中空ブロック体1aの温度を降温させた後、中空ブロック体1aの透光性断熱ゲル2が塗布された表面に水を霧吹きで吹きかけ、ガラスブロックサイズより10mm前後大きめに切断した厚さが50μm〜150μmの範囲内の、例えば100μmである住友3M社製飛散防止用の樹脂フィルム「SCLAR150」を貼り付ける。これを再度乾燥炉へ戻し樹脂フィルムを額縁1c及び透光性断熱ゲル2の双方に定着させて断熱層4が形成された後、樹脂フィルムの余分な部分を切断して完成となる。
【0036】
完成した耐火ガラスブロック1は、一般のガラスブロックと同様に、目地にモルタルを用いて積み上げる方法で施工を行い、耐火試験用の壁面を形成した。
【0037】
耐火ガラスブロック1を用いた耐火試験用の壁面と、比較例として一般のガラスブロック用いた耐火試験用の壁面を、ISO834の昇温曲線に準じて30分間昇温し、試験を行った。その結果、一般のガラスブロックを用いたものでは、加熱開始から5分後にクラックが発生、非加熱面側の表面温度が上昇し、加熱開始から15分後には表面温度が160℃を超える部分が発生した。耐火ガラスブロック1を用いたものは、加熱開始から20分後にクラックが発生、非加熱面側の表面温度の上昇が早まるが、30分後の表面温度は160℃を超える部分が無く、「耐火30分」の耐火性能を満足するものであると考えられる。
【0038】
また、本実施例のガラスブロック壁は、図2に示すように、躯体31に取り付けられた金属製の枠体32内にすべり材33とエキスパンション材34とアンカーピース35とがセットされており、これらを介して枠体32内に、中空ブロック体1aの透光部1b外面に額縁1cに囲繞された180×180×1mmの凹部1dが形成されており、凹部1dに充填された透光性断熱ゲル2が樹脂フィルム3で覆われて断熱層4が形成されている複数の耐火ガラスブロック1が積み上げられ、アンカーピース35の穴に挿入し固定されて約620mm以下の間隔で配筋され径5.5mmのステンレス製筋の2本をつなぎ筋で溶接したはしご状の縦力骨36、横力骨37(2本の筋の間隔は50mmと35mmの2種類がある)がガラスブロック1間に配筋されて、充填されたモルタル38で目地内に固定されている。この目地部の表面には化粧目地材39が充填され、枠体32と取り合う部分にはシリコーン系シーリング材40が配設されている。このガラスブロック壁は、軽量の耐火ガラスブロック1を構成する中空ブロック体1aの外面に形成された断熱層4による高い断熱・耐火性能と、樹脂フィルム3により火災以外の時には人体や飛来物の衝突、ガラスの打ち破りといった衝撃に対する優れた耐衝撃性、耐貫通性を有するものであり、また日射調整、紫外線カット機能を有するものであれば、室内への日射熱を遮蔽し、冷房負荷の低減や、室内調度品の劣化を抑えることができる従来にない耐火壁面になっている。
【0039】
上記のガラスブロック壁を施工する場合、躯体31に取り付けられた金属製の枠体32内にすべり材33とエキスパンション材34とアンカーピース35とをセットし、このアンカーピース35の穴に縦力骨36となる50mm幅の筋を挿入し固定する。次に、内面にガーネット2が樹脂膜層3で保持された耐火ガラスブロック1を目地部にモルタル38を充填しながら積み上げて、横力骨37となる35mm幅の筋を縦力骨36の2本の筋の間に挿入する。この作業を繰り返してガラスブロック壁を施工していく。このブロック積みの作業が終了した後、目地部に化粧目地材39を充填し、枠体32と取り合う部分にはシリコーン系シーリング材40を充填し、ガラスブロック壁の施工を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ガラスブロック以外の陶器、セラミックスその他の透明材からなる中空部が減圧されたブロック及びこのような中空ブロックを用いた壁にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】断熱層が形成された本発明の耐火ガラスブロックの説明図であって、(A)は斜視図、(B)は部分断面図。
【図2】本発明のガラスブロック壁面の一部破断斜視説明図。
【符号の説明】
【0042】
1 耐火ガラスブロック
1a 中空ブロック体
1b 透光部
1c 額縁
1d 凹部
2 透光性断熱ゲル
3 樹脂フィルム
4 断熱層
31 躯体
32 枠体
33 すべり材
34 エキスパンション材
35 アンカーピース
36 縦力骨
37 横力骨
38 モルタル
39 化粧目地材
40 シーリング材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光部となるガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化された中空ブロック体を備え、該中空ブロック体の少なくとも一方の透光部の外面に形成された額縁と、該額縁に囲繞された凹部を覆う樹脂フィルムと、該樹脂フィルムと凹部との空間に充填された透光性断熱ゲルにより断熱層が設けられてなることを特徴とする耐火ガラスブロック。
【請求項2】
断熱層は、透光部の表面積に占める割合が70%から90%であることを特徴とする請求項1に記載の耐火ガラスブロック。
【請求項3】
断熱層の透光性断熱ゲルは、質量%で、珪酸ソーダが60〜80%、珪酸カリが15〜35%、エチルアルコールが1〜10%、アクリルシリコーン樹脂が0.5〜5%であることを特徴とする請求項1に記載の耐火ガラスブロック。
【請求項4】
樹脂フィルムは、ポリエステルフィルムまたはポリカーボネイトフィルムで、厚みが50〜150μmあることを特徴とする請求項1に記載の耐火ガラスブロック。
【請求項5】
有底無蓋の箱型形状を有し、透光部となる底部の外面に額縁が形成されたガラス成形体を成形する成型工程と、少なくとも一方に該ガラス成形体を配置し、対となるガラス成形体の互いの開放端縁で溶着一体化して中空ブロック体を形成する溶着工程と、該中空ブロック体の透光部外面の額縁に囲繞された凹部に透光性断熱ゲルを充填する充填工程と、額縁に囲繞された凹部を樹脂フィルムで覆うフィルム被覆工程とを有し、中空ブロック体の透光部の外面に断熱層を形成することを特徴とする耐火ガラスブロックの製造方法。
【請求項6】
有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光部となるガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化された中空ブロック体を備え、該中空ブロック体の少なくとも一方の透光部の外面に形成された額縁と、該額縁に囲繞された凹部を覆う樹脂フィルムと、該樹脂フィルムと凹部との空間に充填された透光性断熱ゲルにより断熱層が設けられてなる複数の耐火ガラスブロックと、該耐火ガラスブロックの相互間に配設される目地材とを備えるガラスブロック壁面構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−7987(P2008−7987A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177585(P2006−177585)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】