説明

耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置

【課題】 耕起・整地爪に沿って土塊が掻き上げられて周囲に飛散するのを防止し、耕起・整地爪により掘り起こされて土が上がってくる力を利用して土塊を粉砕し、その粉砕した土壌を耕起溝内に戻して圃場をなだらかに整地し得る耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置を提供する。
【解決手段】 支持板32に平面略扇の骨状または平面略平行の骨状に支持された複数の砕土ロッド33からなる砕土ロッド群34を備え、各砕土ロッド33は、その後端部分が、平面から見て水平方向に略波形状に折り曲げられ、かつ、側面から見て上方側に湾曲され、あるいは地面に当接した際に弾性変形してその地面に沿って上方側に湾曲し得る地面当接部33aを有しており、砕土ロッド群34は、耕起・整地装置1Aに設けられる耕起・整地爪2Aの先端から上方に所定間隔を隔てるとともに、その耕起・整地爪2Aの前方から両側面近傍にかけて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルチベータやサブソイラ等の耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置に関し、特に、圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等により掘り起こされる土塊を破砕するのに好適な耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、田畑等の圃場においては、トラクタ等の走行により地表から数十cm下の地層が硬くなってしまうことが知られている。また、土質によっては水分を含むと通気性が悪くなり、硬い土壌になる畑もある。このように硬い地層が形成されると、作物が地中深くまで根を張ることが阻害され、土壌の通気性や透水性が低減してしまうため、カルチベータ等の耕起用作業機を使って土壌を掘り起こし、硬くなった表土を膨軟にする作業が行われている。
【0003】
上記のような耕起用作業機として、例えば、実公平7−3846号公報等に記載のカルチベータが知られている(特許文献1)。このカルチベータは、地面に差し込まれる複数本の掻爪を有しており、これらをトラクタで牽引することにより、土壌を掘り起こすようになっている。
【0004】
【特許文献1】実公平7−3846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実公平7−3846号公報に記載された発明を含め、従来の耕起用作業機においては、掻爪により掻き上げられた土塊が掻爪に沿って巻き上げられ、隣接する畝や周囲に散乱してしまうという問題がある。この土塊は、作物を収穫する際の妨げとなるものであり、特にトラクタの走行速度を高速にするほど遠くまで散乱してしまうため、高速走行することが困難であった。また、除草剤を散布した後の土壌表面に、除草剤成分を含まない地中の土壌が飛散されると、除草効果が低減し、雑草が生え易くなるという問題もある。さらに、掻爪により土壌を掘り起こした後は、耕起溝が形成されてしまうため、圃場が凸凹になってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、耕起・整地爪に沿って土塊が掻き上げられて周囲に飛散するのを防止し、耕起・整地爪により掘り起こされて土が上がってくる力を利用して土塊を粉砕し、その粉砕した土壌を耕起溝内に戻して圃場をなだらかに整地し得る耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る耕起・整地装置の砕土作業具の特徴は、圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置に補助的に取り付けられる砕土作業具であって、支持板に平面略扇の骨状または平面略平行の骨状に支持された複数の砕土ロッドからなる砕土ロッド群を備えており、前記各砕土ロッドは、その後端部分が、平面から見て水平方向に略波形状に折り曲げられ、かつ、側面から見て上方側に湾曲され、あるいは地面に当接した際に弾性変形してその地面に沿って上方側に湾曲し得る地面当接部を有しており、前記砕土ロッド群は、前記耕起・整地装置に設けられている土壌を掘り起こすための耕起・整地爪の先端から上方に所定間隔を隔てるとともに、その耕起・整地爪の前方から両側面近傍にかけて配置される点にある。
【0008】
また、本発明において、前記砕土ロッド群の地面当接部は、前記耕起・整地爪の両側面近傍からさらに後方にまで延設されることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明において、前記各砕土ロッドは、その地面当接部からさらに前側部分にまで平面略波形状に形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る耕起・整地装置の砕土作業具の特徴は、圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置に補助的に取り付けられる砕土作業具であって、耕起・整地装置に設けられている土壌を掘り起こすための耕起・整地爪の前方に回転自在に軸支される籠状ローラを備えており、前記籠状ローラは、回転軸を支える円板と、この円板に略円柱の骨状に支持される複数の砕土ロッドとを有しており、前記籠状ローラは、下側の前記砕土ロッドが地表面に接地し得る程度に前記耕起・整地爪の先端から上方に所定間隔を隔てて配置され、かつ、前記耕起・整地爪によって掘り上げられる土塊を前記耕起・整地爪との間で粉砕するように配置される点にある。
【0011】
また、本発明に係る耕起・整地装置の特徴は、圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置であって、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の砕土作業具を当該請求項で特定した所定の位置に取り付けた点にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耕起・整地爪に沿って土塊が掻き上げられて周囲に飛散するのを防止し、耕起・整地爪により掘り起こされて土が上がってくる力を利用して土塊を粉砕し、その粉砕した土壌を耕起溝内に戻して圃場をなだらかに整地し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る耕起・整地装置の砕土作業具およびこれを取り付けた耕起・整地装置の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本第1実施形態の砕土作業具を備えた耕起・整地装置1Aを示す斜視図であり、図2はその側面図である。
【0014】
本第1実施形態の耕起・整地装置1Aは、いわゆる中耕用のカルチベータとして機能するものであり、複数の耕起・整地装置1Aを1セットとして図示しないトラクター等に牽引式あるいは直装式で連結される。本第1実施形態の耕起・整地装置1Aは、主として、土壌を掘り起こすための中耕爪等から構成される複数の耕起・整地爪2Aと、土塊を破砕するための砕土作業具3Aと、これら耕起・整地爪2Aおよび砕土作業具3Aを支持する支持フレーム4Aと、この支持フレーム4Aに設けられる補助輪5と、トラクター等に接続するための図示しないトップリンクを備えた接続フレーム6と、この接続フレーム6に前記支持フレーム4Aを取り付けるリンク機構7とを有している。
【0015】
つぎに、各構成部についてより詳細に説明する。耕起・整地爪2Aは、地面に差し込まれて土壌を掘り起こして膨軟させる役割を果たすものであり、図1および図2に示すように、爪のような鋭利状に形成されている。また、本第1実施形態では、3本の耕起・整地爪2Aを進行方向に対して前後方向および左右方向に位置をずらして配置し、畝間を万遍なく掘り起こせるようになっている。また、畝間の中心近傍の土壌はトラクタの走行によって特に硬くなるため、左右方向の中央に配置される耕起・整地爪2Aは他の耕起・整地爪2Aよりも長いものが取り付けられ、より深く耕起するようになっている。
【0016】
砕土作業具3Aは、耕起・整地爪2Aの先端側上方に補助的に配置され、この耕起・整地爪2Aによって掘り起こされた土塊を上から押さえ付け、飛散を防止するとともに破砕する役割を果たす。図1から図4に示すように、砕土作業具3Aは、地表からの衝撃を吸収する渦巻バネ31と、この渦巻バネ31の後端部に取り付けられる支持板32と、この支持板32に支持される多数の砕土ロッド33からなる砕土ロッド群34とを有している。
【0017】
各砕土ロッド33は、地表面の段差によって受ける衝撃を吸収し、耕起・整地爪2Aの上下動に追従し得る程度の弾性力を有する弾性部材によって構成されている。各砕土ロッド33は、平面から見て略扇の骨状を形成するように支持板32に固定されている。また、各砕土ロッド33は、平面から見て水平方向に略波形状に折り曲げられており、地面に当接する面積および土塊を粉砕する面積を大きくとっている。さらに、各砕土ロッド33の後端部分は、側面から見て上方側に湾曲されており、地面当接部33aが形成されている。この地面当接部33aによって砕土ロッド33の後端部が地中に潜ってしまわないようにし、地表面において掻き上げられる土塊を粉砕し得る作用を発揮する。このような砕土ロッド33から構成される砕土ロッド群34は、耕起・整地爪2Aの先端の鋭利部分から上方に所定間隔を隔てて配置されている。この高さ間隔は耕起・整地爪2Aを地中に所望の深さまで差し込んだ際に、砕土ロッド33が地表面に配置され得る程度に設定される。また、各砕土ロッド33の地面当接部33aは、耕起・整地爪2Aの前方から両側面近傍を囲み、さらに後方にまで延設されている。
【0018】
なお、本第1実施形態では、砕土ロッド33の形状につき、土塊に当接する面積を十分に広く確保して砕土効果を高める目的で地面当接部33aから前方にかけても平面略波形状に形成されているが、これに限る必要はなく、図5に示すように、少なくとも地面当接部33aが平面略波形状であれば、前方部分が直線状に形成された砕土作業具3Bを使用してもよい。また、本第1実施形態では、砕土ロッド群34が平面略扇の骨状となるように各砕土ロッド33を支持板32に支持させているが、平面略平行の骨状に支持させてもよい。また、本第1実施形態では、除草効果を併せる目的で地面当接部33aを後方にまで延設させているが、砕土効果の点からは少なくとも耕起・整地爪2Aの両側面近傍にかけて配置されていればよい。
【0019】
さらに、本第1実施形態では、地面当接部33aを予め側面から見て上方側に湾曲させているが、これに限られるものではなく、地面に当接した際に弾性変形してその地面に沿って上方側に湾曲し得る程度の弾性部材によって構成されていれば、略直線状の砕土ロッド33を使用してもよい。
【0020】
支持板32は各砕土ロッド33を支持するものであり、その端部を上方側に折り曲げられ、各砕土ロッド33の幅と数を備えた櫛歯状スリット部32aが形成されている。そして、その櫛歯状スリット部32aに各砕土ロッド33を挿通させ、支持板32と固定板32bとの間で狭持してボルトBにより固定している。
【0021】
また、渦巻バネ31は下端部を支持板32にボルトBで固定され、上端側の渦巻状のバネ部分を支持フレーム4Aに適当な締め付け力によってボルト締めされている。
【0022】
つぎに、支持フレーム4Aは、耕起・整地爪2Aおよび砕土作業具3Aを支持する役割を果たすものであり、各耕起・整地爪2Aの前後方向および左右方向における支持位置を適宜調節し得るようになっている。また、補助輪5は、定規車とも呼ばれ、耕起・整地装置1Aが牽引された際にスムーズで安定した走行が可能となるように補助するものである。この補助輪5は支持フレーム4Aに設けられた軸支フレーム51に回動自在に軸支されている。なお、本第1実施形態では、支持フレーム4Aに対する軸支フレーム51の固定角度を適宜調節することで、地表面から支持フレーム4Aまでの高さを所定値に設定できるようになっている。
【0023】
また、リンク機構7は、耕起・整地装置1Aが地面から受ける上方向の押圧力を緩衝する役割を果たすものであり、接続フレーム6に略水平に固定される固定ブラケット71と、この固定ブラケット71の両端部に回動自在に軸支される一対の回動ブラケット72,72とを有している。そして、これら回動ブラケット72,72の下端部に支持フレーム4Aが揺動自在に軸支され、全体として平行リンク機構を構成している。また、本第1実施形態では、各回動ブラケット72,72を橋渡しするように引張バネ73が設けられており、この引張バネ73が支持フレーム4Aを初期位置に復帰させる方向に付勢している。
【0024】
つぎに、本第1実施形態における砕土作業具3Aおよびこれを取り付けた耕起・整地装置1Aによる作用を説明する。
【0025】
まず、耕起・整地装置1Aにより圃場の耕起作業を行う場合、各耕起・整地爪2Aが畝と畝の間に位置するように配置する。このとき、各耕起・整地爪2Aの先端が所定の深さまで地中に差し込まれ、各砕土ロッド33が耕起・整地爪2Aの先端から所定の高さに配置される。そして、耕起・整地爪2Aが所定の深さまで差し込まれた状態で、各砕土ロッド33の地面当接部33aが適当な弾性力を持って地面に当接する。また、この地面当接部33aは、側面から見て上方に湾曲されているため、地中に埋もれてしまうことがなく、地表面に沿って移動する。
【0026】
つづいて、トラクタを走行させると耕起・整地装置1Aが畝に沿って牽引される。これにより、耕起・整地爪2Aが土壌を掘り起こしながら土塊を掻き上げる。このとき、砕土ロッド群34は、その弾性力と渦巻バネ31の弾性力により、耕起・整地爪2Aの上下動や地面の凹凸に追従して地表面を移動する。このため、砕土ロッド群34は、耕起・整地爪2Aによって上方に掘り起こされ、あるいは耕起・整地爪2Aに沿って巻き上げられて上方に持ち上げられる土の力を利用して、その土塊を上から押さえ付けることにより耕起・整地爪2Aとの間で粉砕し、土塊が周囲に飛散するのを防止する。さらに、掘り起こした土壌や粉砕した土塊を耕起溝内へと叩き落とすため、耕起作業後の圃場をなだらかに整地することができる。
【0027】
また、本第1実施形態では、耕起・整地爪2Aの後方にまで延設された地面当接部33aによって圃場に生えた雑草を除去することも可能である。また、砕土ロッド33は、地面当接部33aから前方にまで平面略波形状に形成されているので砕土可能な面積が平面的に広がっており、前方に掻き飛ばされた土塊をより広い範囲にわたって粉砕し、飛散を防止し得る。さらに、補助輪5が耕起・整地装置1Aの地表面からの高さを規制するとともに、リンク機構7によって地面から受ける衝撃を吸収して緩衝するため、耕起・整地装置1Aの破損を防止する。また、支持フレーム4Aに対する耕起・整地爪2Aの左右取付位置を適宜調節することで、様々な圃場において使用し得るようになっている。
【0028】
以上のような本第1実施形態によれば、
1.耕起・整地爪2Aにより掻き上げられる土壌の飛散を防止して、周囲の作物の損傷を防止するとともに、耕起作業における走行速度を上げることができる。
2.耕起・整地爪2Aにより掘り起こされて持ち上げられる土の力を利用して土塊を粉砕して、ふっくらと軟らかな土壌に仕上げて通気性や透水性を向上させることができる。
3.耕起作業と同時に耕起溝を埋め立て、迅速かつ容易に凹凸の無いなだらかな圃場に整地することができる。
4.地中の土壌を飛散させないため、除草剤を散布した後の圃場で耕起・整地作業を行っても除草剤を含む土壌を上から覆ってしまうことがなく、除草効果を維持することができる。
5.固くて大きな土塊を粉砕するため、作物等の収穫作業を円滑に進めることができる
等の効果を奏することができる。
【0029】
つぎに、本発明に係る耕起・整地装置1Bの第2実施形態について図面を用いて説明する。
【0030】
図6は、本第2実施形態の耕起・整地装置1Bを示す斜視図である。なお、本第2実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0031】
本第2実施形態の耕起・整地装置1Bは、サブソイラ等と呼ばれる種類のものであり、耕起・整地爪2Bが深耕に使用するのに好適な形状に形成されている。具体的には、図6に示すように、耕起・整地爪2Bは、斜め下方向に延設される犂柱21と、この犂柱21の下端部に設けられる水平爪22とから構成されている。
【0032】
犂柱21は、前端縁部が鋭利に形成されており、土壌を掘り起こしやすくなっている。また、犂柱21は、支持フレーム4Bに対して上下方向にスライド自在に構成されており、固定ピン21aによって固定され、深耕する深さを調節し得るようになっている。水平爪22は、爪の向きが略水平方向に固定されており、その後端部にはウィング23が設けられている。このウィング23は、上下方向および左右方向の向きを調節し得るようになっている。そして、本第2実施形態における砕土作業具3Aは、耕起・整地爪2Bの先端部にある水平爪22から上方に所定間隔を隔てるように配置され、砕土ロッド群34が犂柱21を前方から左右に分岐して両側面にかけて犂柱21を包囲するように配置されている。なお、本第2実施形態において、支持フレーム4Bの前端部には、支持アーム81を介して円盤コールタ8が軸支されている。
【0033】
以上の構成により、耕起・整地爪2Bを地中に差し込んでトラクタを走行させると、水平爪22が心土を粉砕するとともに、犂柱21に沿って土壌が掘り起こされて土塊を掻き上げる。このとき、砕土ロッド群34は、耕起・整地爪2Bの前方においてその移動に追従して地表面に沿って移動するため、耕起・整地爪2Bにより掘り起こされて持ち上げられる土の力を利用して土塊を上から押さえ付け、耕起・整地爪2Bとの間で粉砕するとともに、周囲に飛散するのを防止する。また、掘り起こした土壌や粉砕した土塊を耕起溝内へと叩き落として埋めるため、圃場をなだらかに整地する。
【0034】
また、本第2実施形態では、水平爪22の後端部に設けられたウィング23が、水平爪22の通過経路に沿って空隙を形成し、土壌の排水性を向上させるようになっている。また、犂柱21の前方に設けられた円盤コールタ8は、地表面と当接して案内溝を形成する。これにより、この案内溝に沿って犂柱21が前方に牽引されるため、土壌を掘り起こす際の抵抗が低減されるようになっている。
【0035】
以上のような本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、深耕用のサブソイラ等においても、掘り起こされた土壌の飛散を防止するとともに、土塊を砕土することができる。
【0036】
つぎに、本発明に係る耕起・整地装置1Cの第3実施形態について図面を用いて説明する。
【0037】
図7は、本第3実施形態の耕起・整地装置1Cを示す斜視図である。なお、本第3実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0038】
本第3実施形態の耕起・整地装置1Cは、培土機とも呼ばれるものであり、耕起・整地爪2Cが培土作業に好適な形状に形成されている。具体的には、図7に示すように、進行方向の先端部を下方に凹状に湾曲させた培土用湾曲部24を形成しており、この培土用湾曲部24から左右両側の後方に拡開するように、一対の培土板25,25が設けられている。このため、一対の培土板25,25によって形成される先端下部が鋭利状に形成されている。また、耕起・整地爪2Cは培土アーム26を介して支持フレーム4Aに支持されている。
【0039】
一方、砕土作業具3Aは、培土板25,25の下端から上方に所定間隔を隔てるように配置されている。そして、砕土ロッド群34は、耕起・整地爪2Cの前方から培土用湾曲部24を経て左右に分岐し、さらに耕起・整地爪2Cの両側面たる培土板25,25の近傍にまで延設されている。
【0040】
なお、本第3実施形態では、耕起・整地爪2Cとの干渉を回避するため、中央付近の砕土ロッド33を短めに形成し、若干上方へ屈曲させている。しかしながら、上述した砕土作用や土壌の飛散防止作用を重視するのであれば、他の砕土ロッド33と同じ高さに配置して地表面に当接させることが好ましい。
【0041】
以上の構成により、耕起・整地爪2Cを地中に差し込んでトラクタを走行させると、培土用湾曲部24が土壌を掘り起こすとともに、その土壌を培土板25,25に沿って上方へせり上げて左右両側へ送り出す。このとき、各砕土ロッド33の地面当接部33aは、耕起・整地爪2Cの前方においてその移動に追従して地表面に沿って移動するため、耕起・整地爪2Cにより掘り起こされて持ち上げられる土の力を利用して土塊を上から押さえ付け、耕起・整地爪2Cとの間で粉砕するとともに、周囲に飛散するのを防止する。また、掘り起こした土壌や粉砕した土塊を耕起溝内へと叩き落として埋めるため、圃場をなだらかに整地する。そして、耕起・整地爪2Cの両側には、掘り起こされた土壌が盛土され、畝が形成されるようになっている。
【0042】
以上のような本第3実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、培土作業をする場合であっても、掘り起こされた土壌の飛散を防止するとともに、土塊を砕土することができる。
【0043】
つぎに、本発明に係る耕起・整地装置1Dの第4実施形態について図面を用いて説明する。
【0044】
図8は、本第4実施形態の耕起・整地装置1Dを示す斜視図である。なお、本第4実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0045】
本第4実施形態の耕起・整地装置1Dの特徴は、砕土作業具3Dとして、籠状ローラ35を使用する点にある。具体的には、図8に示すように、砕土作業具3Dは、略円柱の籠状に形成される籠状ローラ35と、この籠状ローラ35を支持フレーム4Aに軸支するためのローラアーム36とから構成されている。籠状ローラ35は、回転軸を支える一対の円板35b,35bと、これら円板35b,35bに略円柱の骨状に支持される複数の砕土ロッド35aとを有しており、耕起・整地爪2Aの先端から上方に所定間隔を隔てて配置されている。そして、籠状ローラ35の下端部に位置される砕土ロッド35aが耕起・整地爪2Aの前方近傍で地表面に当接するように配置されている。また、ローラアーム36は、籠状ローラ35が地表面から受ける力によって上下動し得るように揺動自在に支持されている。なお、バネ等の付勢部材によって籠状ローラ35が地表面に当接する方向にローラアーム36を付勢するようにしてもよい。
【0046】
以上の構成により、耕起・整地爪2Aを地中に差し込んでトラクタを走行させると、耕起・整地爪2Aが土壌を掘り起こしながら土塊を掻き上げる。このとき、籠状ローラ35は、自重によって常に砕土ロッド35aを地表面に当接させ、耕起・整地爪2Aの前方においてその上下動に追従する。そして、回転されながら下側の砕土ロッド35aを次々と地表面に当接させるため、耕起・整地爪2Aにより掘り起こされて持ち上げられる土の力を利用して土塊を上から押さえ付け、耕起・整地爪2Aとの間で粉砕するとともに、周囲に飛散するのを防止する。また、掘り起こした土壌や粉砕した土塊を耕起溝内へと叩き落として埋めるため、圃場をなだらかに整地する。
【0047】
以上のような本第4実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、籠状ローラ35により砕土効果を向上させることができる。
【0048】
なお、本発明に係る砕土作業具3A,3B,3Dおよびこれらを取り付けた耕起・整地装置1A〜1Dは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0049】
例えば、前述した各実施形態では、砕土作業具3A,3Dを1つの耕起・整地爪2A,2B,2Cにしか設置していないが、これに限られるものではなく、全ての耕起・整地爪2A,2B,2Cに対して設けるようにしてもよい。また、除草用タインや鎮圧用ローラを、各耕起・整地爪2A,2B,2Cの後方に別途設けるようにしてもよい。これにより、除草用タインは、耕起後の土壌から雑草を除去するし、鎮圧用ローラは、耕起後の土壌を粉砕しつつ鎮圧する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る耕起・整地装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本第1実施形態の耕起・整地装置を示す側面図である。
【図3】本第1実施形態の砕土作業具を示す斜視図である。
【図4】本第1実施形態の砕土作業具を示す側面図である。
【図5】本第1実施形態の砕土作業具の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本第2実施形態の耕起・整地装置を示す斜視図である。
【図7】本第3実施形態の耕起・整地装置を示す斜視図である。
【図8】本第4実施形態の耕起・整地装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B,1C,1D 耕起・整地装置
2A,2B,2C 耕起・整地爪
3A,3B,3D 砕土作業具
4A,4B 支持フレーム
5 補助輪
6 接続フレーム
7 リンク機構
8 円盤コールタ
21 犂柱
21a 固定ピン
22 水平爪
23 ウィング
24 培土用湾曲部
25 培土板
26 培土アーム
31 渦巻バネ
32 支持板
32a 櫛歯状スリット部
32b 固定板
33 砕土ロッド
33a 地面当接部
34 砕土ロッド群
35 籠状ローラ
35a 砕土ロッド
35b 円板
36 ローラアーム
51 軸支フレーム
71 固定ブラケット
72 回動ブラケット
73 引張バネ
81 支持アーム
B ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置に補助的に取り付けられる砕土作業具であって、
支持板に平面略扇の骨状または平面略平行の骨状に支持された複数の砕土ロッドからなる砕土ロッド群を備えており、
前記各砕土ロッドは、その後端部分が、平面から見て水平方向に略波形状に折り曲げられ、かつ、側面から見て上方側に湾曲され、あるいは地面に当接した際に弾性変形してその地面に沿って上方側に湾曲し得る地面当接部を有しており、
前記砕土ロッド群は、前記耕起・整地装置に設けられている土壌を掘り起こすための耕起・整地爪の先端から上方に所定間隔を隔てるとともに、その耕起・整地爪の前方から両側面近傍にかけて配置されることを特徴とする耕起・整地装置の砕土作業具。
【請求項2】
請求項1において、前記砕土ロッド群の地面当接部は、前記耕起・整地爪の両側面近傍からさらに後方にまで延設されることを特徴とする耕起・整地装置の砕土作業具。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記各砕土ロッドは、その地面当接部からさらに前側部分にまで平面略波形状に形成されていることを特徴とする耕起・整地装置の砕土作業具。
【請求項4】
圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置に補助的に取り付けられる砕土作業具であって、
耕起・整地装置に設けられている土壌を掘り起こすための耕起・整地爪の前方に回転自在に軸支される籠状ローラを備えており、
前記籠状ローラは、回転軸を支える円板と、この円板に略円柱の骨状に支持される複数の砕土ロッドとを有しており、
前記籠状ローラは、下側の前記砕土ロッドが地表面に接地し得る程度に前記耕起・整地爪の先端から上方に所定間隔を隔てて配置され、かつ、前記耕起・整地爪によって掘り上げられる土塊を前記耕起・整地爪との間で粉砕するように配置されることを特徴とする耕起・整地装置の砕土作業具。
【請求項5】
圃場において土壌の中耕や深耕、培土作業等に使用する耕起・整地装置であって、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の砕土作業具を当該請求項で特定した所定の位置に取り付けたことを特徴とする耕起・整地装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−13(P2007−13A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180171(P2005−180171)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000222978)東洋農機株式会社 (27)
【Fターム(参考)】