肌症状改善剤、それを含む肌症状改善用のサプリメント、食品、飲料及び医薬
【課題】経口摂取しても安全で、効果の優れた肌症状改善剤、肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品、肌症状改善用飲料及び肌症状改善用医薬、皮膚に塗布しても安全で、肌症状改善効果の優れた皮膚化粧料を提供することにある。
【解決手段】シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品、肌症状改善用飲料、皮膚化粧料。
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【解決手段】シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品、肌症状改善用飲料、皮膚化粧料。
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、天然物由来の肌症状改善剤、それを含む肌症状改善用のサプリメント、食品、飲料及び医薬に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
肌のかさつき、くすみ、しわ等の肌症状を改善するために、従来から各種の天然物由来の成分を配合した美容飲食品や皮膚化粧料が提案されている。
【０００３】
例えば、布渣葉抽出を含む皮膚化粧料及び美容用飲食品（特許文献１）、スフィンゴエミリンを有効成分とする美肌剤（特許文献２）、黒米又は黒米麹の抽出物を配合した美肌組成物（特許文献３）、カウレルパラセモサ藻類抽出からなる細胞賦活剤、皮膚外用剤及び食品（特許文献４）、卵殻膜又はその加水分解物を含有する経口用肌改善剤及び肌改善用食品組成物（特許文献５）、柿の葉又は柿の葉抽出物を含有する肌の乾燥状態の予防又は改善用食品（特許文献６）、ライチ種子エキスを配合した美肌用組成物（特許文献７）、シソ、ラカンの抽出物を含有するストレスによる肌荒れ予防改善剤、化粧料組成物及び飲食品（特許文献８）及びグアガム酵素部分分解物を含有する美肌飲食品用組成物（特許文献９）などが知られている。
【特許文献１】特開２００６−４５０９２公報
【特許文献２】特開２００５−２８１２５７公報
【特許文献３】特開２００４−９９５７８公報
【特許文献４】特開２００４−１０５５９公報
【特許文献５】特開２００３−２４６７４１公報
【特許文献６】特開２００３−１３５０２６公報
【特許文献７】特開２００３−６３９２６公報
【特許文献８】特開２００１−１３９０８３公報
【特許文献９】特開２０００−１２５８２８公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら従来技術の肌症状改善剤や肌症状改善用飲食品は、十分な効果を発揮するとはいえなかった。本発明が解決しようとする課題は、経口摂取しても安全で、効果の優れた肌症状改善剤、肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品、肌症状改善用飲料及び肌症状改善用医薬、皮膚に塗布しても安全で、肌症状改善効果の優れた皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、安全な植物の中から肌症状改善作用を有するものについて鋭意研究を重ねた結果、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）からの抽出物が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００６】
本発明は以下の記載を要旨とするものである。
（１） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
（２） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント。
（３） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用食品。
（４） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用飲料。
（５） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
（６） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の肌症状改善剤は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、優れた肌症状改善作用が発揮される。
【０００８】
また、本発明の肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品及び肌症状改善用飲料は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより、経口摂取しても安全で肌症状を改善することができる。
【０００９】
本発明の皮膚化粧料は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより、皮膚に塗布しても安全で肌症状を改善することができる。
【００１０】
さらに、本発明の肌症状改善用医薬は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、効果的に肌症状の悪化を予防したり改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の肌症状改善剤は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【００１２】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物とは、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）を抽出原料として得られる抽出液はもちろんのこと、該抽出液の希釈液や濃縮液であってもよい。また、抽出液を公知の手段で乾燥した乾燥物であってもよい。
【００１３】
抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）とは、慣用名をブラックコホシュというキンポウゲ科サラシナショウマ属の草木である。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）は、古くから北米のインディアン達によって痛み止めや更年期障害の改善を目的に食され、現在も食用ハーブとして欧米で流通している。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の成分の一つであるシミシフギンは急激なエストロゲンの減少を抑えて、更年期障害の症状を和らげることが知られている。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物の使用については、心臓血管疾患・アテローム性動脈硬化症・骨粗鬆症、月経困難症または月経前症候群および更年期障害の治療および／又は予防、例えば一過性熱感の予防又は軽減のためのエストロゲン型期間選択制薬剤として開示されている（特表2002-506827号公報）。また、肌あれを含む月経前症候群や更年期障害の諸症状改善のためのシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を含む組成物が開示されている（特開2004-262922号公報、特開2004-2335号公報）。しかし、健常人の肌症状を改善する効果については言及されていない。
【００１４】
抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の抽出部位は特に限定されないが、トリテルペン配糖体類の含有量が多い根茎部が好ましい。
【００１５】
抽出方法は特に限定されないが、例えば抽出溶媒を用いる溶媒抽出法や、超臨界抽出法が挙げられる。
【００１６】
溶媒抽出法に用いる溶媒としては、水若しくは親水性溶媒又はこれらの混合物を挙げることができる。
【００１７】
溶媒抽出法において、抽出溶媒に用いる水は特に限定されるものではないが、例えば水道水、蒸留水、純水、イオン交換水等を挙げることができる。
【００１８】
溶媒抽出法において、抽出溶媒に用いる親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン、１，３−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを挙げることができる。
【００１９】
溶媒抽出法における混合溶媒は、水と親水性溶媒を適宜混合して用いるものであるが、例えば５０％エタノール溶液が、トリテルペン配糖体類を効率よく抽出できるので好ましい。
【００２０】
溶媒抽出法により抽出する場合は、例えば、抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の根茎部を乾燥した後、そのまま、又は粉砕し、抽出溶媒による抽出処理を行えばよい。抽出は室温もしくは加熱下に行えばよい。
【００２１】
超臨界抽出法は、３１℃、７．４ＭＰａ以上の超臨界状態の二酸化炭素流体を用いて抽出する抽出法であり、低温で効率的に有効成分を抽出することができる。
【００２２】
本発明の肌状態改善剤により、悪化の予防若しくは改善される肌症状とは、「しっとり感」、「さっぱり感」、「べたつき感」、「お化粧のノリ」、「かさつき」、「くすみ」、「シミ・ソバカス」、「しわ」、「透明感」、「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」、「張り・弾力」、「べたつき」等である。
【００２３】
肌症状改善剤をサプリメントとするには、公知の方法により剤型化すればよい。本発明の肌症状改善剤をサプリメントとする場合の剤形は特に限定されないが、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、形態に応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を添加して通常使用されている方法によって製造することができる。
【００２４】
肌症状改善剤をサプリメントとして摂取するには、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を乾燥重量として成人一人当たり０．３〜２００ｍｇ摂取すればよい。
【００２５】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を飲料に配合することにより肌症状改善用飲料を製造することができる。飲料としては、例えば果実ジュース、野菜ジュース、麦茶、緑茶、紅茶、コーヒー、ヨーグルト飲料、乳酸菌飲料、低アルコール飲料等を挙げることができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した飲料を飲むことにより、安全に上述の肌症状が予防若しくは改善される。
【００２６】
また、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を食品に配合することにより肌症状改善用食品を製造することができる。食品とは、例えば発酵乳・チーズ・バターなどの乳製品、飴・クッキー・チューインガム・バターケーキなどの菓子、パン類
等を挙げることができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した食品を摂食することにより、安全に上述の肌症状が予防若しくは改善される。
【００２７】
さらに、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより皮膚化粧料を製造することができる。皮膚化粧料とは、例えば、化粧水、乳液、化粧クリーム、ファンデーション、ほお紅、白粉等を挙げることができる。皮膚化粧料は常法に従って調製すればよい。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した皮膚化粧料を用いることにより、上述の肌症状が予防若しくは改善される。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物は天然物由来の成分であり、皮膚に塗布しても安全である。
【００２８】
さらにまた、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分とする肌症状改善用医薬を製造することができる。本発明の肌症状改善用医薬品の剤形は特に限定されないが、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、形態に応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を添加して通常使用されている方法によって製造することができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分とする肌症状改善用医薬を服用することにより、上述の肌症状が予防若しくは改善される。肌症状改善剤用医薬の服用量は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を乾燥重量で成人一人当たり０．３〜２００ｍｇ摂取すればよい。
【００２９】
（製造例１）
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の根茎５．２ｋｇを５０％含水エタノール１０Ｌで抽出し、減圧濃縮した後乾燥し、４４５ｇの抽出物を得た。
【実施例１】
【００３０】
官能検査により、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物の肌症状改善効果を検討した。
【００３１】
乳糖を充填したカプセルをプラセボとし、製造例１で得られたシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物粉末を充填したカプセルを被験物とした。
【００３２】
健常な２０歳代、３０歳代の女性２１名をパネラーとし、プラセボを摂取したプラセボ群を１０名（グループａ）、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を摂取したシミシフーガエキス群（グループｂ）を１１名とした。
【００３３】
シミシフーガエキスは、200ｍｇ／日、１日１回朝食後に２８日間摂取した。プラセボ群、シミシフーガ群とも期間中の暴飲暴食を避け、市販のサプリメント等の摂取は控えさせた。
【００３４】
二重盲検の並行２群間比較試験で官能検査を行った。被験物は摂取開始日（月曜日）から２８日間毎朝継続摂取させた。摂取開始日および摂取期間中の毎水曜日と土曜日にアンケート（図１参照）を実施した。その結果を図２〜図７に示す。
【００３５】
朝の肌の印象の「しっとり感」、「さっぱり感」、「べたつき感」において、シミシフーガエキス群(グループb)の摂取前後で有意なスコア改善が確認されたが、プラセボ群(グループa)に変化は確認されなかった。更に「しっとり感」については、摂取最終日のシミシフーガエキス群(グループb)の値がプラセボ群(グループa)と比較して有意に改善された。
【００３６】
肌の経時変化の「かさつき」、「毛穴」、「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」、「ベタつき」において、シミシフーガエキス群(グループb)で摂取前と比較して有意なスコア改善が確認されたが、プラセボ群(グループa)に変化は確認されなかった。更に「かさつき」、「ベタつき」については、摂取20日目以降のシミシフーガエキス群(グループb)の値がプラセボ群(グループa)と比較して有意に改善された。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明の肌症状改善剤、それを含むサプリメント、食品、飲料及び医薬は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、優れた肌症状改善作用が発揮されるので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】アンケート。
【図２】「顔全体の感触」、「しっとり感」、「さっぱり感」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図３】「べたつき感」、「お化粧のノリ」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図４】「かさつき感」、「くすみ」、「毛穴」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図５】「シミ・ソバカス」、「しわ」、「透明感」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図６】「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図７】「張り・弾力」、「べたつき」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、天然物由来の肌症状改善剤、それを含む肌症状改善用のサプリメント、食品、飲料及び医薬に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
肌のかさつき、くすみ、しわ等の肌症状を改善するために、従来から各種の天然物由来の成分を配合した美容飲食品や皮膚化粧料が提案されている。
【０００３】
例えば、布渣葉抽出を含む皮膚化粧料及び美容用飲食品（特許文献１）、スフィンゴエミリンを有効成分とする美肌剤（特許文献２）、黒米又は黒米麹の抽出物を配合した美肌組成物（特許文献３）、カウレルパラセモサ藻類抽出からなる細胞賦活剤、皮膚外用剤及び食品（特許文献４）、卵殻膜又はその加水分解物を含有する経口用肌改善剤及び肌改善用食品組成物（特許文献５）、柿の葉又は柿の葉抽出物を含有する肌の乾燥状態の予防又は改善用食品（特許文献６）、ライチ種子エキスを配合した美肌用組成物（特許文献７）、シソ、ラカンの抽出物を含有するストレスによる肌荒れ予防改善剤、化粧料組成物及び飲食品（特許文献８）及びグアガム酵素部分分解物を含有する美肌飲食品用組成物（特許文献９）などが知られている。
【特許文献１】特開２００６−４５０９２公報
【特許文献２】特開２００５−２８１２５７公報
【特許文献３】特開２００４−９９５７８公報
【特許文献４】特開２００４−１０５５９公報
【特許文献５】特開２００３−２４６７４１公報
【特許文献６】特開２００３−１３５０２６公報
【特許文献７】特開２００３−６３９２６公報
【特許文献８】特開２００１−１３９０８３公報
【特許文献９】特開２０００−１２５８２８公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら従来技術の肌症状改善剤や肌症状改善用飲食品は、十分な効果を発揮するとはいえなかった。本発明が解決しようとする課題は、経口摂取しても安全で、効果の優れた肌症状改善剤、肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品、肌症状改善用飲料及び肌症状改善用医薬、皮膚に塗布しても安全で、肌症状改善効果の優れた皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、安全な植物の中から肌症状改善作用を有するものについて鋭意研究を重ねた結果、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）からの抽出物が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００６】
本発明は以下の記載を要旨とするものである。
（１） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
（２） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント。
（３） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用食品。
（４） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用飲料。
（５） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
（６） シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の肌症状改善剤は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、優れた肌症状改善作用が発揮される。
【０００８】
また、本発明の肌症状改善用サプリメント、肌症状改善用食品及び肌症状改善用飲料は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより、経口摂取しても安全で肌症状を改善することができる。
【０００９】
本発明の皮膚化粧料は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより、皮膚に塗布しても安全で肌症状を改善することができる。
【００１０】
さらに、本発明の肌症状改善用医薬は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、効果的に肌症状の悪化を予防したり改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の肌症状改善剤は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【００１２】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物とは、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）を抽出原料として得られる抽出液はもちろんのこと、該抽出液の希釈液や濃縮液であってもよい。また、抽出液を公知の手段で乾燥した乾燥物であってもよい。
【００１３】
抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）とは、慣用名をブラックコホシュというキンポウゲ科サラシナショウマ属の草木である。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）は、古くから北米のインディアン達によって痛み止めや更年期障害の改善を目的に食され、現在も食用ハーブとして欧米で流通している。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の成分の一つであるシミシフギンは急激なエストロゲンの減少を抑えて、更年期障害の症状を和らげることが知られている。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物の使用については、心臓血管疾患・アテローム性動脈硬化症・骨粗鬆症、月経困難症または月経前症候群および更年期障害の治療および／又は予防、例えば一過性熱感の予防又は軽減のためのエストロゲン型期間選択制薬剤として開示されている（特表2002-506827号公報）。また、肌あれを含む月経前症候群や更年期障害の諸症状改善のためのシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を含む組成物が開示されている（特開2004-262922号公報、特開2004-2335号公報）。しかし、健常人の肌症状を改善する効果については言及されていない。
【００１４】
抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の抽出部位は特に限定されないが、トリテルペン配糖体類の含有量が多い根茎部が好ましい。
【００１５】
抽出方法は特に限定されないが、例えば抽出溶媒を用いる溶媒抽出法や、超臨界抽出法が挙げられる。
【００１６】
溶媒抽出法に用いる溶媒としては、水若しくは親水性溶媒又はこれらの混合物を挙げることができる。
【００１７】
溶媒抽出法において、抽出溶媒に用いる水は特に限定されるものではないが、例えば水道水、蒸留水、純水、イオン交換水等を挙げることができる。
【００１８】
溶媒抽出法において、抽出溶媒に用いる親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン、１，３−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを挙げることができる。
【００１９】
溶媒抽出法における混合溶媒は、水と親水性溶媒を適宜混合して用いるものであるが、例えば５０％エタノール溶液が、トリテルペン配糖体類を効率よく抽出できるので好ましい。
【００２０】
溶媒抽出法により抽出する場合は、例えば、抽出原料となるシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の根茎部を乾燥した後、そのまま、又は粉砕し、抽出溶媒による抽出処理を行えばよい。抽出は室温もしくは加熱下に行えばよい。
【００２１】
超臨界抽出法は、３１℃、７．４ＭＰａ以上の超臨界状態の二酸化炭素流体を用いて抽出する抽出法であり、低温で効率的に有効成分を抽出することができる。
【００２２】
本発明の肌状態改善剤により、悪化の予防若しくは改善される肌症状とは、「しっとり感」、「さっぱり感」、「べたつき感」、「お化粧のノリ」、「かさつき」、「くすみ」、「シミ・ソバカス」、「しわ」、「透明感」、「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」、「張り・弾力」、「べたつき」等である。
【００２３】
肌症状改善剤をサプリメントとするには、公知の方法により剤型化すればよい。本発明の肌症状改善剤をサプリメントとする場合の剤形は特に限定されないが、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、形態に応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を添加して通常使用されている方法によって製造することができる。
【００２４】
肌症状改善剤をサプリメントとして摂取するには、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を乾燥重量として成人一人当たり０．３〜２００ｍｇ摂取すればよい。
【００２５】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を飲料に配合することにより肌症状改善用飲料を製造することができる。飲料としては、例えば果実ジュース、野菜ジュース、麦茶、緑茶、紅茶、コーヒー、ヨーグルト飲料、乳酸菌飲料、低アルコール飲料等を挙げることができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した飲料を飲むことにより、安全に上述の肌症状が予防若しくは改善される。
【００２６】
また、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を食品に配合することにより肌症状改善用食品を製造することができる。食品とは、例えば発酵乳・チーズ・バターなどの乳製品、飴・クッキー・チューインガム・バターケーキなどの菓子、パン類
等を挙げることができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した食品を摂食することにより、安全に上述の肌症状が予防若しくは改善される。
【００２７】
さらに、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合することにより皮膚化粧料を製造することができる。皮膚化粧料とは、例えば、化粧水、乳液、化粧クリーム、ファンデーション、ほお紅、白粉等を挙げることができる。皮膚化粧料は常法に従って調製すればよい。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合した皮膚化粧料を用いることにより、上述の肌症状が予防若しくは改善される。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物は天然物由来の成分であり、皮膚に塗布しても安全である。
【００２８】
さらにまた、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分とする肌症状改善用医薬を製造することができる。本発明の肌症状改善用医薬品の剤形は特に限定されないが、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、形態に応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を添加して通常使用されている方法によって製造することができる。シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分とする肌症状改善用医薬を服用することにより、上述の肌症状が予防若しくは改善される。肌症状改善剤用医薬の服用量は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を乾燥重量で成人一人当たり０．３〜２００ｍｇ摂取すればよい。
【００２９】
（製造例１）
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）の根茎５．２ｋｇを５０％含水エタノール１０Ｌで抽出し、減圧濃縮した後乾燥し、４４５ｇの抽出物を得た。
【実施例１】
【００３０】
官能検査により、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物の肌症状改善効果を検討した。
【００３１】
乳糖を充填したカプセルをプラセボとし、製造例１で得られたシミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物粉末を充填したカプセルを被験物とした。
【００３２】
健常な２０歳代、３０歳代の女性２１名をパネラーとし、プラセボを摂取したプラセボ群を１０名（グループａ）、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を摂取したシミシフーガエキス群（グループｂ）を１１名とした。
【００３３】
シミシフーガエキスは、200ｍｇ／日、１日１回朝食後に２８日間摂取した。プラセボ群、シミシフーガ群とも期間中の暴飲暴食を避け、市販のサプリメント等の摂取は控えさせた。
【００３４】
二重盲検の並行２群間比較試験で官能検査を行った。被験物は摂取開始日（月曜日）から２８日間毎朝継続摂取させた。摂取開始日および摂取期間中の毎水曜日と土曜日にアンケート（図１参照）を実施した。その結果を図２〜図７に示す。
【００３５】
朝の肌の印象の「しっとり感」、「さっぱり感」、「べたつき感」において、シミシフーガエキス群(グループb)の摂取前後で有意なスコア改善が確認されたが、プラセボ群(グループa)に変化は確認されなかった。更に「しっとり感」については、摂取最終日のシミシフーガエキス群(グループb)の値がプラセボ群(グループa)と比較して有意に改善された。
【００３６】
肌の経時変化の「かさつき」、「毛穴」、「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」、「ベタつき」において、シミシフーガエキス群(グループb)で摂取前と比較して有意なスコア改善が確認されたが、プラセボ群(グループa)に変化は確認されなかった。更に「かさつき」、「ベタつき」については、摂取20日目以降のシミシフーガエキス群(グループb)の値がプラセボ群(グループa)と比較して有意に改善された。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明の肌症状改善剤、それを含むサプリメント、食品、飲料及び医薬は、シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することにより、安全性が高く、優れた肌症状改善作用が発揮されるので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】アンケート。
【図２】「顔全体の感触」、「しっとり感」、「さっぱり感」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図３】「べたつき感」、「お化粧のノリ」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図４】「かさつき感」、「くすみ」、「毛穴」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図５】「シミ・ソバカス」、「しわ」、「透明感」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図６】「吹き出物」、「肌のかたさ」、「肌のキメ」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【図７】「張り・弾力」、「べたつき」のアンケートの平均値の１ヶ月の経時変化を示すグラフ、横軸は日数を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
【請求項２】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント。
【請求項３】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用食品。
【請求項４】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用飲料。
【請求項５】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項６】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【請求項１】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善剤。
【請求項２】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用サプリメント。
【請求項３】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用食品。
【請求項４】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする肌症状改善用飲料。
【請求項５】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項６】
シミシフーガ ラセモサ（Cimicifuga racemosa）抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肌症状改善用医薬。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００７−２３８５０９（Ｐ２００７−２３８５０９Ａ）
【公開日】平成１９年９月２０日（２００７．９．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−６３７２７（Ｐ２００６−６３７２７）
【出願日】平成１８年３月９日（２００６．３．９）
【出願人】（０００００００５５）アサヒビール株式会社 (535)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月２０日（２００７．９．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月９日（２００６．３．９）
【出願人】（０００００００５５）アサヒビール株式会社 (535)
【Ｆターム（参考）】
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