説明

肝毒性に関連するHLA対立遺伝子を有していない患者におけるCOX−2依存性障害を治療するためのCOX−2阻害剤の使用

本開示は、患者がCOX−2阻害剤であるルミラコキシブの投与後に肝毒性を発生するリスク状態にあるかどうかを判定するために、好ましくはDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在を決定する方法に関する。さらに、本方法を実施するためのキットの使用も開示する。本開示は、好ましくはDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される1つ又はそれ以上のHLA対立遺伝子のキャリアではない被験者におけるルミラコキシブを用いたシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、COX−2阻害剤であるルミラコキシブの投与後に患者が肝毒性を発生するリスクをヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子の存在を測定する工程によって予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)は、広汎に使用されており、変形性関節症における慢性疼痛並びに関節リウマチにおける疼痛及び炎症に対して十分に確立された治療薬である。全てのNSAIDSについての作用機序は、シクロオキシゲナーゼ経路の阻害によるプロスタグランジン合成の遮断に帰せられる。しかしプロスタグランジン産生の阻害は、例えば、胃の炎症、血管収縮及び腎機能障害などの一般的な副作用を誘発する。
【0003】
ルミラコキシブ(2−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−5−メチル−ベンゼン酢酸)(C1513NOClF)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)−2の強力且つ選択的阻害剤である。ルミラコキシブは、変形性関節症、疼痛及び関節リウマチの徴候及び症状を緩和することに関して非選択的な非ステロイドNSAIDと同様に有効である。ルミラコキシブは、良好な経口バイオアベイラビリティ及び迅速な吸収を有し、投与2時間後には最大血漿濃度に達する(C.M. Rordorff et al., Clin. Pharmacokinet, 44(12), 1247-1266(2005))。血漿からの4時間という短い排出半減期にもかかわらず、ルミラコキシブは炎症組織へ効果的に分布させられ、24時間まで保持される(A. Buvanendran and R. Barkin, Drugs of Today, 43(3), 137-147(2007))。以前のNSAIDSと比較して、ルミラコキシブは、特に胃腸系のための改良された耐性プロフィールも有する(Y. Yuan and R. Hunt, Current Pharm. Design, 13, 2237-2247(2007))。
【0004】
概して安全且つ良好に許容されるが、ルミラコキシブで治療された一部の患者では、血液中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)酵素レベルの上昇が認められた。ALT/ASTレベルにおけるこの上昇は、まれではあるが重篤な肝毒性の副作用を生じさせることがある(Y. Li et al., Drug Metab. Disp., 36, 469-473(2008))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲノムに関する知識の進歩にもかかわらず、遺伝的変異が患者の有害薬物反応への感受性とどのように関連しているかについての明確で再現性のある洞察は欠如している。特定の対立遺伝子(genetic allele)が有害薬物反応への患者の感受性とどのように関連しているかについて明らかにすることは、疾患の改良されたより安全な治療の機会を提供する。当分野においては、患者がルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する感受性を評価するための有用なアプローチに対する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、選択的COX−2阻害剤であるルミラコキシブに応答して患者が肝毒性を発生するリスクを予測する方法を提供する。HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602、及びDRB50101は、ルミラコキシブによって誘導される肝毒性と高度に関連することが見いだされている。そこで、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101は、ルミラコキシブを用いた治療後に肝毒性を発生する患者のリスクを予測するための個別バイオマーカーとして使用できる。
【0007】
従って、本発明は、患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生するリスクを評価する方法を提供する。リスクが確定されると、患者は、ルミラコキシブを用いて治療する(若しくは治療を継続する、若しくは増量して治療を進行する)ことができる(低リスク又は非リスクが決定された場合)、又は患者はルミラコキシブを用いて治療することができない(若しくは治療を中止する、若しくは減量して治療を進行することができる)(高リスクが決定された場合)。そこで、本開示は、ルミラコキシブを用いた治療方法を提供するが、このとき前記治療プロトコルは、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602、及びDRB50101の分析、並びに肝毒性のリスクに基づいて決定される。患者がルミラコキシブに応答して肝毒性を発生するリスクを評価する工程は、DQA10102、DRB11501、DQB10602、又はDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在又は非存在を決定する工程によって遂行できるが、このときHLA対立遺伝子の存在は肝毒性に対するリスクの指標である。好ましくは、HLA対立遺伝子DQA10102の存在又は非存在は、肝毒性のリスクの指標である。
【0008】
対立遺伝子は、生物学的サンプルから調製されたゲノムDNAを用いて対立遺伝子内での領域/ヌクレオチドの直接検出によって検出することができる。これらのバイオマーカーは実施例において説明するように血液から同定されるが、それらを検出できるサンプルは血液には限定されず、他のタイプのサンプル中、例えばバッフィーコート、血清、血漿、リンパ液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、口腔内スワブ、喀痰、又は組織中で検出することができる。さらに又例えば、SNP(一塩基変異多型)、マイクロサテライトマーカー又は他の種類の遺伝子多型であってもよい、対立遺伝子の同等の遺伝マーカーを検出することによっても決定できる。これを言い換えると、対立遺伝子自体ではなく、むしろHLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101対立遺伝子と同一ハプロタイプ上の遺伝マーカーの存在は、患者が肝毒性反応を発生するリスクの指標である。HLAハプロタイプの典型的な同等の遺伝マーカーには、NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によってrs3131294、rs3129868、rs9270986、rs3129900、及びrs3135365として同定された一塩基変異多型が含まれる。
【0009】
さらに本開示の範囲内に含まれるのは、患者がルミラコキシブに応答して肝毒性を発生するリスクを評価するために、患者がHLA対立遺伝子DQA10102を有するかどうかを決定するための方法である。本方法は、被験者から入手した生物学的サンプル由来のHLA対立遺伝子DQA10102の存在を検出する工程を含む。この領域は、当分野において公知である方法、例えば、Luminex xMAP(登録商標)技術の配列特異的プライマー(SSP)タイピング、配列に基づくタイピング(SBT)と組み合わされた配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)ハイブリダイゼーションによって検出できる。
【0010】
別の実施形態では、これらの方法を使用して、患者がHLA対立遺伝子のサブタイプであるDRB11501、DQB10602又はDRB50101のうちの少なくとも1つを有するかどうかを決定することができる。
【0011】
本開示は、ルミラコキシブを用いて治療された被験者における肝毒性への素因(predisposition)又は肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはASTを発生するリスクを同定若しくは予測する方法であって、被験者(例えば、ヒト)から入手した生物学的サンプルを少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含み、このとき前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在が肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはAST、又は前記被験者における肝毒性を発生する増加したリスクの存在若しくは増加した予測の指標であり、前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の非存在は前記被験者における肝毒性の非存在若しくは減少した予測又は肝毒性を発生する減少したリスクの指標である方法にさらに関する。
【0012】
好ましくは、HLA対立遺伝子は、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される。
【0013】
本発明の開示の他の目的、特徴、利点及び態様は、当業者には以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明白になるであろう。しかしながら、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び特定の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示しているが、例示する目的でのみ提供されていると理解すべきである。本明細書に開示した主題の精神及び範囲内に含まれる様々な変化及び変更は、当業者には以下を読むことにより容易に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】全SNPについての全ゲノム関連試験の結果を示す図である(遺伝子の場所によってグラフ表示したp値)。
【図2】全ゲノム関連試験からの−対数10(p値)の観察及び予測分布を示す図である。
【図3】DQA10102キャリア(carriers)及びノンキャリア(non-carriers)の症例の平均ピークULN(正常値上限)のALT/ASTレベルを示す図である。
【図4】DQA10102キャリア及びノンキャリアに対して>3×ULNについて計算したカプラン・マイヤー発生率推定値を示す図である。
【図5】DQA10102キャリア及びノンキャリアに対して>5×ULNについて計算したカプラン・マイヤー発生率推定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本開示の遺伝マーカーを説明するために使用する様々な用語の定義を列挙する。これらの定義は、別個に、又は大きな群の一部のいずれかで特定の場合に限定されない限り、本明細書を通して使用される用語に適用される。
【0016】
本明細書で使用する用語「ルミラコキシブ」は、選択的COX−2阻害剤である2−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−5−メチル−ベンゼン酢酸)(C1513NOClF)を意味しており、必要に応じて、それらの医薬的に許容される塩及びそのエステルが含まれる。当業者であれば、ルミラコキシブは、患者に医薬組成物、薬剤、又は他の適切な製剤として投与できることを認識するであろう。
【0017】
本開示の状況における「遺伝マーカー(Genetic marker)」及び「バイオマーカー」は、選択的COX−2阻害剤であるルミラコキシブに応答して肝毒性を発生するリスクを有する被験者から採取されたサンプル中に存在するHLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101及びその関連遺伝子産物(即ち、タンパク質若しくはポリペプチド、mRNA)を意味する。
【0018】
本開示の「タンパク質若しくはポリペプチド」は、それらのあらゆるフラグメント、特に、免疫学的に検出可能なフラグメントを含むことが意図されている。当業者であれば、損傷したタンパク質はフラグメントに分解又は開裂される可能性があることを認識するであろう。さらに、所定のタンパク質若しくはポリペプチドは不活性形で合成され、その後にタンパク質分解(proteolysis)によって活性化できる。特定のタンパク質のそのようなフラグメントは、タンパク質自体の代わりとして検出することができる。
【0019】
本明細書で使用する用語「サンプル」は、被験者から同定、診断、予測、又はモニタリングの目的で入手されるサンプルを意味している。本開示の所定の態様では、そのようなサンプルは選択的COX−2阻害剤であるルミラコキシブの投与後に患者が肝毒性を発生するリスクを予測する目的で入手することができる。好ましい試験サンプルには、血液、血液由来産物(例えば、バッフィーコート、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、口腔内スワブ、喀痰、又は組織サンプルが含まれる。さらに、当業者であれば、一部の試験サンプルは、分画又は精製方法、例えば全血からのDNAの単離後により容易に分析されることを完全に理解するであろう。
【0020】
本明細書で使用する語句「肝毒性を発生する見込み」は、それによって当業者が選択的COX−2阻害剤であるルミラコキシブの投与に応答して被験者が肝毒性を発生するリスクを予測できる方法に関する。この語句は、100%の精度で肝毒性の発生を予測する能力を意味するものではない。その代りに、当業者であれば、この語句が肝毒性を発生する増加した見込みを意味することを理解するであろう。
【0021】
患者は、患者が肝毒性を発生する見込みが、一般集団が肝毒性を発生する見込みより高い場合は、COX−2阻害剤であるルミラコキシブの投与後に肝毒性を発生する「リスク」又は「素因」を有する。患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生する見込みは、一般集団がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生する見込みより少なくとも約1.5倍、より好ましくは少なくとも約2倍、一層より好ましくは少なくとも約3、4、5、6、7、8又は9倍、及び最も好ましくは少なくとも約10倍高い。この見込みは、当分野において公知の任意の方法によって決定できる。
【0022】
本開示の遺伝マーカーの用語「感受性」は、肝毒性及び/又は、前記遺伝マーカーを有するALT及び/又はASTの上昇を備える治療された患者のパーセンテージである。リスク因子の感受性は、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%又は90%である。最も好ましくは、感受性は、少なくとも95%又はそれ以上である。ルミラコキシブを用いた治療の直接的結果であるが、アッセイによっては検出されない肝毒性に苦しんでいる個人は、「偽陰性」である。肝毒性ではなく、アッセイにおいて陰性反応を示す被験者は、「真陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異性」は1−擬陽性率であるが、このとき「擬陽性率」は、陽性反応を示すが治療に関連する肝毒性を有していない被験者の比率であると規定されている。1つの特定の診断方法は1つの状態の確定診断を提供しない可能性があるが、この方法が診断に役立つ積極的な指示を提供できれば十分である。
【0023】
対象の対立遺伝子の「同等の遺伝マーカー」は、対象の対立遺伝子と相関する、即ち対象の対立遺伝子との連鎖不平衡(linkage disequilibriium)を提示する遺伝マーカーを意味する。
【0024】
本明細書で使用する用語「プローブ」は、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101に関連する別の物質を特異的に検出するために有用な任意の物質を意味する。プローブは、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101内の特定領域に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート化オリゴヌクレオチドであってもよい。コンジュゲート化オリゴヌクレオチドは、受容体分子(例えば、抗原に特異的な抗体)に対して高度に特異的であるリガンド(例えば、抗原)を含有する発色団(chromophore)又は分子に共有結合したオリゴヌクレオチドを意味する。プローブは、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101内の特定領域を増幅させるために、他のプライマーと一緒に、PCRプライマーであってもよい。さらに、プローブは、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101又は前記対立遺伝子のタンパク質産物のうちの少なくとも1つを特異的に認識する抗体であってもよい。
【0025】
本明細書で上記で説明したように、本開示は、ルミラコキシブを用いて治療された被験者における肝毒性への素因又は肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはASTを発生するリスクを同定若しくは予測する方法であって、被験者(例えば、ヒト)から入手した生物学的サンプルを少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含み、このとき前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在は肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはAST、又は前記被験者における肝毒性を発生する増加したリスクの存在若しくは増加した予測の指標であり、前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の非存在は前記被験者における肝毒性の非存在若しくは減少した予測又は肝毒性を発生する減少したリスクの指標である方法に関する。
【0026】
好ましくは、HLA対立遺伝子は、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される。
【0027】
さらに、本開示は、ルミラコキシブの投与後にHy’s law症例(>3×ULN ALT/AST及び≧2×ULN血清ビリルビン)を予測するための方法であって、被験者から入手した生物学的サンプルを前記被験者におけるDQA10102、DRB11501、DRB50101及びDQB106の群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含む方法にさらに関する。
【0028】
生物学的サンプルは、血液、血清、血漿、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。検出のために最も好ましいHLA対立遺伝子は、DQA10102である。
【0029】
関連するHLA対立遺伝子には下記が含まれるがそれらに限定されるものではない:
i)DQA1010201(配列番号:1)、DQA1010202(配列番号:2)、DQA1010203(配列番号:3)、DQA1010204(配列番号:4)を含むHLA対立遺伝子DQA10102。DQA10102のアミノ酸配列は、配列番号:5として開示されている。
ii)DRB115010101、DRB115010102(配列番号:6)、DRB1150102(配列番号:7)、DRB1150103(配列番号:8)、DRB1150104(配列番号:9)、DRB1150105(配列番号:10)及びDRB1150106(配列番号:11)を含むHLA対立遺伝子DRB11501。DRB1150101(DRB115010101、15010102)のアミノ酸配列は、配列番号:12として開示されている。
iii)DQB1060201(配列番号:13)及びDQB1060202(配列番号:14)を含むHLA対立遺伝子DQB10602。DQB1060201のアミノ酸配列は、配列番号:15として開示されている。
iv)DRB5010101(配列番号:16)及びDRB5010102(配列番号:17)を含むHLA対立遺伝子DRB50101。DRB5010101のアミノ酸配列は、配列番号:18として開示されている。
【0030】
HLA対立遺伝子の核酸及びアミノ酸配列に関する関連情報は、当業者であれば周知のデータベース、例えばhttp://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/のIMGT/HLAデータベースなどにおいて入手できる。本開示は、新規対立遺伝子が見いだされるにつれて、さらに又追加のDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101も含む。
【0031】
さらに、本開示は、ルミラコキシブの投与後にHy’s law症例(>3×ULN ALT/AST及び≧2×ULN血清ビリルビン)を予測するための方法であって、被験者から入手した生物学的サンプルを前記被験者におけるDQA10102、DRB11501、DRB50101及びDQB10602の群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含む方法にさらに関する。
【0032】
特異的HLA対立遺伝子自体に加えて、特異的対立遺伝子のいずれかと相関する遺伝マーカーを使用すると、ルミラコキシブの投与に応答して患者が肝毒性を発生するリスクを予測することができる。そこで、関連する、即ち連鎖不平衡又は遺伝子連鎖に起因する遺伝マーカーを使用すると、対象のHLAの存在を指示することができる。結果として、これらのマーカー(同等の遺伝マーカー)の存在は、対象のHLA対立遺伝子の存在の指標であり、これは今度は肝毒性に対するリスクの指標である。HLA DQA10102及びDRB11501ハプロタイプは、例えば、NCBIデータベースによってrs3131294、rs3129868、rs9270986、rs3129900、及びrs3135365であると同定された一塩基変異多型などの同等の遺伝マーカーの存在によって指示される。
【0033】
同等の遺伝マーカーは、HLA対立遺伝子、マイクロサテライトマーカー、及びSNPマーカーを含む任意のマーカーであってもよい。好ましくは、有用な同等の遺伝マーカーは、対象のHLA対立遺伝子から約200kb又はそれ未満である。より好ましくは、同等の遺伝マーカーは、対象のHLA対立遺伝子から100kb又はそれ未満である。
【0034】
本開示の特定の遺伝マーカーの存在を検出するための多数の方法及びデバイスは、当業者には周知である。HLA対立遺伝子の遺伝マーカーの存在は、そのマーカー又はその中の特定領域の直接検出によって決定できる。対立遺伝子検出のためのゲノムDNAは、当分野において周知の方法、例えば、Gentra Systems(Qiagen社、カリフォルニア州)からのPUREGENE DNA(登録商標)精製システムによって患者の生物学的サンプルから調製できる。対象の遺伝マーカー内の領域の検出には、その領域内のセンス又はアンチセンス鎖いずれかに所在するヌクレオチドを試験する工程を含む。
【0035】
特定の領域を検出するためには、当分野において公知の方法、例えば配列特異的プライマーPCR(SSP)タイピング、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、又は配列に基づくタイピング(SBT)を使用できる。用語「遺伝マーカーの存在」は、特異的遺伝子のmRNA、cDNA又はポリペプチド発現産物を含むがそれらに限定されない特異的遺伝子の存在又は量を意味する。同様に、同等の遺伝マーカーは、当分野において公知の任意の方法によって検出できる。
【0036】
さらに、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在は、PCRから入手したゲノムDNAから、配列特異的プローブ、例えばTaqman、Beacons、Scorpionsからの加水分解プローブ;又はハイブリダイゼーションプローブを用いて検出できる。検出のためには、配列特異的プローブは、それらが対象のHLA対立遺伝子のためのゲノムDNAに特異的に結合するように設計される。これらのプローブは、直接検出のために標識できる、又は前記プローブに特異的に結合する第2の検出可能な分子と接触させることができる。PCR産物は、さらにDNA結合剤によって検出することもできる。
【0037】
前記PCR産物は次に、当分野において利用できる任意のDNAシークエンシングによって引き続いてシークエンシングすることができる。
【0038】
又は、前記HLA対立遺伝子の存在は任意のシークエンシング、例えば、サンガー法に基づく(Sanger-based)シークエンシング、ダイレクトシークエンシング又は新世代若しくは次世代シークエンシングなどによって検出することができるがそれらに限定されない(Shendure J. and Ji, H., Nature Biotechnology(1998), Vol.26, Nr10, pages1135-1145)。
【0039】
1つの実施形態では、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在は、ハイブリダイゼーションアッセイを使用して検出される。ハイブリダイゼーションアッセイでは、遺伝マーカーの存在又は非存在は、サンプル由来の核酸が相補的核酸分子、例えばオリゴヌクレオチドプローブへハイブリダイズする能力に基づいて決定される。様々なハイブリダイゼーションアッセイを利用することができる。一部では、対象の配列へのプローブのハイブリダイゼーションは、結合プローブを可視化することによって、例えばノーザン又はサウザンアッセイによって直接的に検出される。これらのアッセイでは、DNA(サウザン)又はRNA(ノーザン)が単離される。次にDNA又はRNAは、ゲノム内及びアッセイ下にあるマーカーのいずれの近くでもない場所でまれに(infrequrntly)切断する一連の制限酵素を用いて切断される。次にDNA又はRNAは、アガロースゲル上で分離され、膜に移される。標識されたプローブは、例えば放射性ヌクレオチド若しくは結合剤(例えば、SYBR(登録商標)Green)を組み入れることによって、低、中又は高ストリンジェンシー条件下で膜と接触させられる。未結合プローブは除去され、結合の存在は、標識されたプローブを視認することによって検出される。
【0040】
対立遺伝子をアッセイする、検出する、測定する、同定する、及び/又は決定する様々な方法は、当分野において公知である。そのような方法には、例えばDNA増幅技術、例えばPCR及びその変形、ダイレクトシークエンシング、配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(SSO)、配列特異的プライマータイピング(SSP)、又は配列に基づくタイピング(SBT)が含まれるがそれらに限定されるものではない。
【0041】
配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピングは、PCR標的増幅、ビーズ上に固定化された配列特異的オリゴヌクレオチドのパネルへのPCR産物のハイブリダイゼーション、発色によるプローブ結合増幅産物の検出を使用し、その後にデータ分析を行う。
【0042】
当業者は、所望の配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)ハイブリダイゼーションは、例えば、One Lambda社(カリフォルニア州カノガ・パーク)によって提供されるLABType(登録商標)SSO DQA1/DQB1タイピング試験キット又はLuminex(登録商標)テクノロジー(Luminex Corporation社、テキサス州)と組み合わせたLifecodes HLA−DQAタイピングキット(Tepnel Life Sciences社)などの様々な市販で入手できるキットを使用して実行できる。LABType(登録商標)SSOは、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)プローブ及びHLA対立遺伝子を同定するための色分けされたマイクロスフェアを使用するリバースSSO(rSSO)DNAタイピング溶液である。標的DNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅させられ、次にビーズプローブアレイを用いてハイブリダイズさせられる。このアッセイは、96ウエルPCRプレートの単一ウエル内で行われる;そこで、96例のサンプルを一度に処理することができる。
【0043】
配列特異的プライマー(SSP)タイピングは、DNAに基づくHLAタイピングのための配列特異的プライマーを使用するPCRに基づく技術である。SSP法は、標的配列に対する完全にマッチした配列を備えるプライマーだけが制御されたPCR条件下で増幅産物を生じさせるという原理に基づいている。対立遺伝子配列特異的プライマー対は、単一対立遺伝子又は1群の対立遺伝子に特異的である標的配列を選択的に増幅させるように設計される。PCR産物は、アガロースゲル上で視認できる。全サンプル中に存在する非対立遺伝子配列に適合する対照プライマー対は、PCR増幅の効率を検証するための内部PCRコントロールとして機能する。当業者であれば、本明細書に記載した配列特異的プライマーを用いた高分解能遺伝子タイピングは、例えば、Olerup SSP(商標)キット(Qiagen社、カリフォルニア州)若しくは(Invitrogen社)若しくはAllset及び(商標)Gold DQA1低分解能SSP(Invitrogen社)などの様々な市販で入手できるキットを使用して実施することができる。
【0044】
配列に基づくタイピングは、PCR標的増幅に基づいており、その後にPCR産物のシークエンシング及びデータ分析が行われる。
【0045】
別の実施形態では、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在は、RNAレベルを測定する工程によって決定される。対象のHLA対立遺伝子は、PCRに基づくアッセイ又は逆転写酵素(reverse-transcriptase)PCR(RT−PCR)を使用して検出できる。RT−PCRでは、RNAは、逆転写酵素を使用してcDNAに酵素的に変換させられる。cDNAは次に、PCR反応のための鋳型として使用される。PCR産物は、ゲル電気泳動法及びDNA特異的染色を用いた染色又は標識されたプローブへのハイブリダイゼーションを含むがそれらに限定されない任意の適切な方法によって検出することができる。さらなる態様では、競合的鋳型の標準化された混合物を用いた定量的RT−PCRを利用できる。
【0046】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのHLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101の存在は、ポリペプチド遺伝子発現産物を測定する工程によって決定される。本開示の好ましい態様では、遺伝子発現は、遺伝子の1つによってコードされる1つ又はそれ以上のポリペプチドの量を同定する工程によって測定される。本発明の主題は、遺伝子発現が検出又は測定される方法には限定されない。
【0047】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのHLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101の存在が、当分野において公知の任意の方法を使用して遺伝子の1つによってコードされるタンパク質又はポリペプチド発現産物を検出する工程によって決定される。サンプル中のポリペプチド又はタンパク質に関しては、イムノアッセイデバイス及び方法がしばしば使用される。これらのデバイス及び方法は、様々なサンドイッチ、競合的、又は非競合的アッセイフォーマットにおいて、対象の分析物の存在又は量に関連するシグナルを生成するために標識された分子を利用できる。さらに、所定の方法及びデバイス、例えばバイオセンサー及び光学イムノアッセイを使用すると、標識された分子を必要とせずに分析物の存在又は量を決定することができる。
【0048】
タンパク質又はポリペプチドの存在又は量は、一般には特異的抗体を使用して特異的結合を検出する工程によって決定される。任意の適切なイムノアッセイ、例えば酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合的結合アッセイなどを利用できる。抗体のタンパク質又はポリペプチドへの特異的免疫学的結合は、直接的又は間接的に検出できる。直接的標識には、抗体に付着した蛍光若しくは発光タグ、金属、染料、放射性核種(radionucleides)などが含まれる。間接的標識には、当分野において周知の様々な酵素、例えばアルカリホスファターゼ、過酸化水素などが含まれる。
【0049】
タンパク質又はポリペプチドに対して特異的な固定化抗体の使用も又、本開示によって企図されている。抗体は、様々な固体支持体、例えば磁性若しくはクロマトグラフィーマトリックス粒子、アッセイ場所(例えば、マイクロタイターウエル)の表面、固体基質材料(例えば、プラスチック、ナイロン、紙)片などの上に固定化できる。アッセイストリップは、固体支持体上の1アレイ内に抗体又は複数の抗体をコーティングする工程によって調製できる。このストリップは、次に試験サンプル内に浸漬することができ、次に例えば着色スポットなどの測定可能なシグナルを生成するために洗浄及び検出工程を通して迅速に処理することができる。
【0050】
当業者であれば、本方法の遺伝子の分析は、他の遺伝子配列を分析することとは別個に、又は同時に実施できることを理解するであろう。本開示のさらなる態様では、例えば、cDNA、mRNA、cRNA、それらのポリペプチド及びフラグメントなどの遺伝子産物の配列に対応するプローブが公知の位置で特異的にハイブリダイズ又は結合することのできるアレイが提供される。
【0051】
さらなる態様では、本開示は、被験者において、前記被験者がルミラコキシブの投与後に肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定するために、HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602及び/又はDRB50101を検出するための少なくとも1つのプローブを含有するキットを使用する方法を提供する。これらのプローブは、HLA対立遺伝子遺伝マーカー(DQA10102、DRB11501、DQB10602又はDRB50101)内の特定の領域に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート化オリゴヌクレオチド;前記HLA対立遺伝子遺伝マーカー内の特定領域を増幅させるために、他のプライマーと一緒に、PCRプライマー;HLA対立遺伝子遺伝マーカー及び/又は前記HLA対立遺伝子遺伝マーカーのタンパク質産物を認識する抗体であってもよい。場合により、本キットは、一般集団内で提示される任意の対立遺伝子であってもよい内部対照対立遺伝子を標的とするプローブを含有することができる。内部対照対立遺伝子の検出は、本キットの性能を保証するように設計される。
【0052】
本開示のさらなる態様は、被験者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって:
(i)前記被験者から入手した生物学的サンプル中の肝毒性の存在又は予測の指標である少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在に関するデータを受け取る工程と、
ii)前記受け取ったデータが、前記被験者が前記HLA対立遺伝子のキャリアではないことを指示する場合は前記被験者にルミラコキシブを投与する工程と、を含む方法を提供する。
【0053】
さらなる実施形態では、本開示は、被験者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって:
(i)前記被験者から入手した生物学的サンプル中の肝毒性の存在又は予測の指標である少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在をアッセイする工程と、
ii)前記被験者が1つ又はそれ以上の前記HLA対立遺伝子のキャリアではない場合に前記被験者にルミラコキシブを投与する工程と、を含む方法をさらに提供する。
【0054】
好ましくは、前記被験者はヒトであり、前記生物学的サンプルは、正常組織、体液及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0055】
さらに、前記HLA対立遺伝子の1つ又はそれ以上は、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される。好ましくは、HLA対立遺伝子は、DQA10102である。
【0056】
本開示は、シクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって、ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する被験者にルミラコキシブを投与する工程による方法をさらに提供するが、このとき前記減少した素因又はリスクは、上記に規定した方法によって同定される。
【0057】
又は、被験者におけるCOX−2依存性障害を治療するための方法は、さらに又:
i)前記被験者から入手した生物学的サンプル中の肝毒性の存在又は素因の指標であるHLA対立遺伝子の存在の指標である少なくとも1つの同等の遺伝マーカーの存在に関するデータをアッセイする、又は受け取る工程と、
ii)前記被験者が前記同等の遺伝マーカーのキャリアではない場合に前記被験者にルミラコキシブを投与する工程とによって実施することができる。
【0058】
本開示は、シクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって、ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する被験者にルミラコキシブを投与する工程による方法をさらに提供するが、このとき前記減少した素因又はリスクは、上記に規定した方法によって同定される。
【0059】
ルミラコキシブは、驚くべきことにCOX−1を有意に阻害することなくCOX−2を阻害する5−アルキル置換2−アリルアミノフェニル酢酸のクラスの化合物及び誘導体である。そのような非ステロイド抗炎症薬は、驚くべきことに通常は伝統的抗炎症薬と関連している望ましくない副作用、例えば胃腸及び腎臓の副作用を有しておらず、1999年3月11日に公開された国際公開第99/11605号に記載されている。
【0060】
例えばルミラコキシブなどのCOX−2阻害剤は、例えば、1998年4月23日に公開された国際公開第98/16227号で言及されたように、哺乳動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療するために特に有用である。好ましくは、シクロオキシゲナーゼ−2依存性障害は、炎症性障害、変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の)、関節リウマチ、難治性変形性関節症、強直性脊椎炎、痛風、急性痛風、歯痛、術後歯痛、術後疼痛、整形外科学疼痛、腰痛、咽頭痛、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹、三叉神経痛、内臓痛、筋骨格疼痛、線維筋痛、月経困難症、腎及び肝疝痛、偏頭痛、頭痛、癌関連痛、ピレシス(pyresis)、神経変性疾患、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、喘息、狼瘡及び乾癬、腫瘍(neoplasia)、特にプロスタグランジンを産生する、若しくはシクロオキシゲナーゼを発現する、良性及び癌性腫瘍の両方、腫瘍(growths)及びポリープを含む腫瘍、特に上皮細胞由来腫瘍、皮膚、胃腸、基底細胞、扁平上皮細胞、結腸、肝臓、膀胱、膵臓、卵巣、前立腺、子宮頸部、肺若しくは乳房の癌又は黒色腫、年齢関連性黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫を含む血管形成媒介性眼疾患である。
【0061】
最も好ましくは、シクロオキシゲナーゼ−2依存性障害は、変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の)、関節リウマチ、難治性変形性関節症、強直性脊椎炎、腰痛、歯痛、術後歯痛、内臓痛、筋骨格疼痛、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹、三叉神経痛、線維筋痛、月経困難症からなる群より選択される。
【0062】
ルミラコキシブは、約25mg〜約1,200mg、好ましくは約100mg〜約400mgの用量で投与すべきである。ルミラコキシブは、好ましくは、2002年3月14日に公開された国際公開第02/20090号に記載されたように、錠剤の形態で投与される。
【0063】
錠剤は、任意の用量、好ましくは約25mg〜約1,200mgの用量を有することができる。より好ましくは、錠剤は、約100mg〜約400mg、最も好ましくは約100mg、約200mg又は約400mgのルミラコキシブを含有する。
【0064】
その他の製剤、例えば経口液体製剤、例えば飲料溶液、又は非経口製剤、局所用製剤若しくは点眼剤又は任意の他の眼科用調製物も又使用できる。
【0065】
ルミラコキシブのための用法/用量は、好ましくは1日1回であるがそれには限定されず、さらに又1日2回(bid)であってもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、障害が変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の変形性関節症)又は難治性変形性関節症である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約100mg、1日1回約200mg又は1日1回約400mgの用量で投与すべきである。
【0067】
さらなる実施形態では、障害が月経困難症である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約200mg又は1日1回約400mgで投与すべきである。
【0068】
さらなる実施形態では、障害が急性痛風である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約200mg又は1日1回約400mgで投与すべきである。
【0069】
さらなる実施形態では、障害が急性疼痛を生じさせる場合は、投与すべき用量は1日1回約400mgである。
【0070】
以下の態様も又、本開示に含まれる:
患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する際に使用するためのルミラコキシブであって、前記患者は前記患者において存在するHLA遺伝子における遺伝的多型に基づいて選択され、前記遺伝的多型はルミラコキシブの肝毒性の存在又は予測の指標であり、ルミラコキシブは前記多型のノンキャリアである患者に投与すべきであるルミラコキシブ。
【0071】
患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療するための薬剤の製造におけるルミラコキシブの使用であって、前記患者は患者において存在するHLA遺伝子における遺伝的多型に基づいて選択され、前記遺伝的多型はルミラコキシブの肝毒性の存在又は予測の指標であり、ルミラコキシブは前記多型のノンキャリアである患者に投与すべきである使用。
【0072】
遺伝的多型又はHLA対立遺伝子は、好ましくはDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101の1つ又はそれ以上からなる群より選択される。ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する際に使用するためのルミラコキシブであって、前記減少した素因又はリスクは、請求項1から14のいずれかに規定した方法によって同定される使用。
【0073】
ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療するための薬剤を製造するためのルミラコキシブの使用であって、前記減少した素因又はリスクは、請求項1〜11のいずれかに規定した方法によって同定される使用。
【0074】
患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害の治療において使用するためのルミラコキシブであって、前記患者はDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択されるHLA対立遺伝子の1つ又はそれ以上のキャリアではない使用。
【0075】
ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療するための薬剤を製造するためのルミラコキシブの使用であって、前記減少した素因又はリスクは、請求項1〜11のいずれかに規定した方法によって同定される使用。
【0076】
患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2媒介性障害を治療するための薬剤の製造におけるルミラコキシブの使用であって、前記患者はDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択されるHLA対立遺伝子の1つ又はそれ以上のキャリアではない使用。好ましくは、HLA対立遺伝子は、DQA10102である。好ましくは、患者若しくは被験者は、好ましくはヒトである。
【0077】
さらなる実施形態では、肝機能モニタリングは、好ましくはベースライン時及びその後1カ月毎に実施しなければならない。
【0078】
全患者は、治療を開始する前にベースライン時肝機能検査を受けなければならない。>1.5×ULNトランスアミナーゼ値を備える患者は、ルミラコキシブを用いた療法を開始してはならない。30日間を超える治療が必要とされる場合は、肝機能検査を1カ月間隔で繰り返さなければならず(以下の対応策を参照されたい)、処方を継続する前に患者を精査しなければならない。>5×ULN AST/ALTレベルが発生したら、ルミラコキシブ療法を中止しなければならない。>3×ULN AST/ALTレベルが検出されたら、ルミラコキシブを継続することはできるが、肝機能検査を7日間毎に繰り返さなければならない。再検査後に>3×ULN AST/ALTレベルが持続したら、ルミラコキシブを中止しなければならない。
【0079】
ルミラコキシブは、肝疾患と一致する臨床的又は検査室の徴候及び/又は症状(例えば、黄疸)が発生したら中止しなければならない。
【0080】
又は、本発明の予測の方法、並びに治療及び使用の方法は、さらに又COX−2阻害剤としてのナプロキセンにも当てはまる。
【0081】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態の詳細は、上記の添付の説明に規定されている。本明細書に記載したものと類似又は同等である任意の方法及び材料は本開示の実践又は試験において使用できるが、以下では好ましい方法及び材料について記載する。本開示のその他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び特許請求の範囲から明白になるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形には、その内容が明白に他のことを指示しない限り、複数の指示対象が含まれる。他に特に規定しない限り、本明細書で使用する技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書で言及する全ての特許及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0082】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより十分に例示するために提示される。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本明細書に開示した主題の範囲を限定するとは決して見なされてはならない。
【実施例1】
【0083】
探索的全ゲノム関連分析
最初のケース対照探索的全ゲノム関連試験は、臨床試験、性別、人種、年齢±2歳(可能な場合)及び国(可能な場合)に基づいて176例の対照に適合させた、>5×ULN ALT/ASTを備える41例のルミラコキシブ治療群患者を用いて実施した。ゲノムDNAサンプルは、41例の罹患患者及び176例の対照患者から入手した。PCRは、一般プロトコル出版物2−6600−30WP Rev B 2006とともにGenomiPhi V2 DNA増幅キット(GE Healthcare社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用して実施し、MyCycler(BioRad社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)上で実行した。定量プロトコルは、GenomiPhi V2増幅産物の希釈率が1:10の代わりに1:5であるように修正した。SpectraMax M2プレートリーダー(Molecular Devices社、カリフォルニア州サニーベール)を用いて蛍光を測定した後、Genome−Wide SNPアレイ6.0キット(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)を使用してマイクロアレイ遺伝子タイピングを実施した。apt−プローブセット−遺伝子型においてBirdseedアルゴリズム(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて84%より高い初回コール率を備えるチップを遺伝子タイピングした。
【0084】
分析の結果は、図1に示した。関連するSNPの大きなピークは、最も有意な結果(p=2.8×10−10)を生じさせたrs9270986を備える染色体6上で観察された。このピークより下方にあるSNPの大多数は拡張されたMHC領域内に所在しており、最も有意な所見はMHCクラスII領域にマッピングされた。全7つのSNPは、最も有意な全試験に渡る所見(p=0.0075)を産生したrs9270986を用いた多重比較について補正した(表1)後でも依然として統計的有意であった(p<0.05)。
【表1】

【0085】
p値の観察及び予測分布の比較(図2)は、全ゲノム分析からの有意な所見の大多数がMHC領域内で発生することを示している。
【実施例2】
【0086】
上昇した肝酵素値(>3×ULN ALT及び/又はAST)を備える症例の独立セットにおける反復試験
反復試験を全ゲノムスキャンにおける最も有意なSNP上で実施した。この分析は、上記に記載した適合基準を用いて大まかには4:1ベースで症例に適合させた98例のTARGET症例及び405例の対照の独立セット上で実施した。これらの98症例は、残りの利用可能な>3×ULN ALT/ASTを備える全TARGETルミラコキシブ受容者を含んでいた。全ゲノム関連試験から上方2つのSNPについての反復試験の結果を表2に示した。
【表2】

【実施例3】
【0087】
関連するHLA対立遺伝子の遺伝子精細マッピング及び検出
遺伝子精細マッピング(genetic fine mapping)試験は、MHCクラスII領域内で原因となる可能性がある多型を同定するために企画した。HLA対立遺伝子の遺伝子タイピングは、HLA−DRB1、HLA−DRB3−5、HLA−DQA1、及びHLA−DQB1に対して実施した。>3×ULN ALT/ASTを備える計139例の患者及び581例の適合した対照をケース対照分析に使用した。>3×ULN ALT/ASTを備える139症例は、全ゲノム関連分析及び反復分析において記載した上記の分析で使用した全症例の総計であった。それらは、TARGET試験から遺伝薬理学的分析のために利用可能な全症例を占めている。2症例はHLA対立遺伝子のための遺伝子タイピングが成功せず、利用可能な137症例がHLA分析のために残った。これらのうち、76症例は>3×であるが≦5×のULN値を有し、61例は>5×のULN値を有した。581例の対照は、さらに又以前の分析のために使用された全対照の総計であった。これらのうち4例はHLA対立遺伝子のための遺伝子タイピングが成功せず、利用可能な577症例がHLA分析のために残った。最も有意な所見を表3に示した。4つの対立遺伝子が高度に有意な関連を生じたが、HLA−DRB11501対立遺伝子が最も有意な関連を有していた(p=6.8×10−25)。遺伝子及び対立遺伝子のこのセットは、極めて明確に特徴付けられたハロタイプの一部であった(DRB11501−DQB10602−DRB50101−DQA10102)。
【表3】

【0088】
3.1−HLA対立遺伝子DQA10102の検出
ゲノムDNAサンプルは、ルミラコキシブを用いた治療後に正常値上限(ULN)の3倍又はそれ以上高い上昇した肝酵素値を有する患者137例及び577例の適合対照から入手した。ゲノムDNAは、Gentra systems PUREGENE D−50K DNA単離キット(Qiagen社、カリフォルニア州)を用いて各患者の血液から採取した。
【0089】
抽出したゲノムDNAの低分解能遺伝子タイピングは、Luminex xMAP(登録商標)テクノロジーと組み合わせたロット番号003を有するLABType(登録商標)配列特異的オリゴヌクレオチドDQA1/DQB1タイピング試験キット(One Lambda社、カリフォルニア州カノガ・パーク)を製造業者の取扱説明書に従って使用して実施した。追加の遺伝子型試験は、ロット番号Y46を有するOlerup配列特異的プライマーDQA1試験キット(Geno Vision社、ペンシルベニア州ウェストチェスター)を用いて任意の残っている識別されていないDNAを対象に実施した。
【0090】
これらのゲノムDNAサンプルの分析に基づくと、本試験は、>3×ULN ALT及び/又はASTについて、HLA対立遺伝子DQA10102に対する感受性及び特異性は、各々73.7%及び69.2%であることを示している。
【0091】
3.2−HLA遺伝子DRB11501
ゲノムDNAサンプルの検出は、ルミラコキシブを用いた治療後に基準値上限(ULN)の3倍又はそれ以上高い上昇した肝酵素値を有する患者137例及び577例の適合対照から入手した。ゲノムDNAは、Gentra systems PUREGENE D−50K DNA単離キット(Qiagen社、カリフォルニア州)を用いて各患者の血液から採取した。抽出したゲノムDNAの高分解能遺伝子タイピングは、LABType(登録商標)配列特異的オリゴヌクレオチドDRB1高規定タイピング試験キット、ロット番号002(One Lambda社、カリフォルニア州カノガ・パーク)を用いて実施した。これらのゲノムDNAサンプルの分析に基づくと、本試験は、>3×ULN ALT及び/又はASTについて、HLA対立遺伝子DRB11501に対する感受性及び特異性は、各々64.2%及び80.8%であることを示している。
【0092】
3.3−HLA対立遺伝子DQB10602の検出
ゲノムDNAサンプルは、ルミラコキシブを用いた治療後に基準値上限の3倍又はそれ以上高い上昇した肝酵素値を有する患者137例及び577例の適合対照から入手した。ゲノムDNAは、Gentra systems PUREGENE D−50K DNA単離キット(Qiagen社、カリフォルニア州)を用いて各患者の血液から採取した。HLA−DQB1遺伝子タイピングは、Luminex xMAP(登録商標)テクノロジーと組み合わせてLABType SSO DQA1/DQB1タイピング試験キット、ロット番号003(One Lambda社)を製造業者の取扱説明書に従って使用して実施した。その他の不明確さは、GenovisionからのOlerup SSP(商標)キットであるDQB1 03、04、05、06のロット番号V55、K42、X15、V26を用いて解決した。DQB106の不明確さは、Genovision(Qiagen社)からのOlerup SSP(商標)DQB106、ロット番号V26を使用して解決した。対立遺伝子の名称を指定するためには、Genovision Helmberg SCOREソフトウエアを使用した。これらのゲノムDNAサンプルの分析に基づくと、本試験は、>3×ULN ALT及び/又はASTについて、HLA対立遺伝子DQB10602に対する感受性及び特異性が各々62.0%及び80.8%であることを示している。
【0093】
3.4−HLA対立遺伝子DRB50101の検出
ゲノムDNAサンプルは、ルミラコキシブを用いた治療後に基準値上限の3倍又はそれ以上高い上昇した肝酵素値を有する患者137例及び577例の適合対照から入手した。ゲノムDNAは、Gentra Systems PUREGENE D−50K DNA単離キット(Qiagen社、カリフォルニア州)を用いて各患者の血液から採取した。HLA−DRB3、4、5遺伝子タイピングは、Luminex xMAP(登録商標)テクノロジーと組み合わせてLABType(登録商標)SSO DRB3、4、5タイピング試験キット、ロット番号007(One Lambda社)を製造業者の取扱説明書に従って使用して実施した。不明確さは、さらにOlerup SSP(商標)キットDRB3、B4、B5、ロット番号Y16、Y01、X51を使用して解決した。まれなケースでは、追加の不明確さは、IMGMインハウス配列に基づくタイピング(SBT)試験を使用して解決した。対立遺伝子DRB50101を同定するための高分解能遺伝子タイピングは、Genovision(Qiagen社、カリフォルニア州)からのOlerup SSP(商標)DRB5、ロット番号X51を製造業者の取扱説明書に従って使用して続行した。対立遺伝子の名称を指定するためには、Genovision Helmberg SCOREソフトウエアを使用した。不明確さを解決するためのシークエンシングは、IHWG技術マニュアル(国際組織適合性研究グループ(International Histocompatibility Working Group))に従って使用した。これらのゲノムDNAサンプルの分析に基づくと、本試験は、>3×ULN ALT及び/又はASTについて、HLA対立遺伝子DRB50101に対する感受性及び特異性は、各々64.2%及び80.1%であることを示している。
【0094】
3.5−患者が肝毒性を発生するリスクとHLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101との間の相関
罹患患者及び適合対照は、大規模の52週間国際多施設、層別、無作為化対照、二重盲験、ダブルダミー、平行群臨床試験から同定した。大多数の患者には、毎日1回400mg用量のルミラコキシブを投与した。患者は、ルミラコキシブの投与後のULNの3倍又はそれ以上の上昇した肝酵素の臨床測定値に基づいて罹患症例であると同定した。患者は、ルミラコキシブの投与後にULNの3倍未満の上昇した肝酵素の臨床測定値に基づいて対照症例と同定し、対照患者は臨床試験、国(可能な場合)、性別、人種及び年齢(2歳の範囲内、可能な場合)に基づいて罹患症例と適合させた。計137症例及び577例の適合対照を分析のために使用した。
【0095】
137例の罹患患者及び577例の対照患者から入手したゲノムDNAサンプルをHLA分析のために使用した。ゲノムDNAを抽出し、上述したように遺伝子タイピングした。HLA対立遺伝子DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101の各々を各ゲノムDNAサンプル内で独立して分析した。
【0096】
HLA対立遺伝子DQA10102は、ルミラコキシブを用いて治療されて1.2×10−18のp値を有する患者において、肝毒性と強度の関連を有すると証明された。DQA10102の対立遺伝子頻度は、罹患患者については42.7%及び対照患者については17.4%であった。ルミラコキシブを用いた治療に応答した肝毒性の発生に関連するHLA対立遺伝子DQA10102についての感受性、特異性、陽性予測値及び陰性予測値は、各々73.7%、69.2%、6.1%及び98.98%であり、本試験についての相対リスクは6.0であった。そのような感受性及び高い陰性予測値を考えると、HLA対立遺伝子DQA10102のタイピングは、ルミラコキシブ誘導性肝毒性に対する高リスク患者を同定する際に使用できる。
【0097】
HLA対立遺伝子DRB11501は、ルミラコキシブを用いて治療されて6.8×10−25のp値を有する患者において、肝毒性と強度の関連を有すると証明された。DRB11501の対立遺伝子頻度は、罹患患者については35.4%及び対照患者については10.5%であった。ルミラコキシブを用いた治療に応答した肝毒性の発生に関連するHLA対立遺伝子DRB11501についての感受性、特異性、陽性予測値及び陰性予測値は、各々64.2%、80.8%、8.3%及び98.82%であり、本試験についての相対リスクは7.0であった。そのような感受性及び高い陰性予測値を考えると、HLA対立遺伝子DRB11501のタイピングは、ルミラコキシブ誘導性肝毒性に対する高リスク患者を同定する際に使用できる。
【0098】
HLA対立遺伝子DQB10602は、ルミラコキシブを用いて治療されて1.1×10−22のp値を有する患者において肝毒性と強度の関連を有すると証明された。DQB10602の対立遺伝子頻度は、罹患患者については34.3%及び対照患者については10.5%であった。ルミラコキシブを用いた治療に応答した肝毒性の発生に関連するHLA対立遺伝子DQB10602についての感受性、特異性、陽性予測値及び陰性予測値は、各々62.0%、80.8、8.0%及び98.74%であり、本試験についての相対リスクは6.4であった。そのような高い陰性予測値を考えると、HLA対立遺伝子DQB10602のタイピングは、ルミラコキシブ誘導性肝毒性に対する高リスク患者を同定する際に使用できる。
【0099】
HLA対立遺伝子DRB50101は、ルミラコキシブを用いて治療されて1.6×10−20のp値を有する患者における肝毒性と強度の関連を有すると証明された。DRB50101の対立遺伝子頻度は、罹患患者については32.1%及び対照患者については10.0%であった。ルミラコキシブを用いた治療に応答した肝毒性の発生に関連するHLA対立遺伝子DRB50101についての感受性、特異性、陽性予測値及び陰性予測値は、各々64.2%、80.1%、8.0%及び98.81%であり、本試験についての相対リスクは6.7であった。そのような感受性及び高い陰性予測値を考えると、HLA対立遺伝子DRB50101のタイピングは、ルミラコキシブ誘導性肝毒性に対する高リスク患者を同定する際に使用できる。
【0100】
3.6−HLA DQA10102、DRB11501、DQB10602、及びDRB50101と同等の遺伝マーカー
HLA対立遺伝子DQA10102及びDRB11501と同等の遺伝マーカーを試験するために、(NCBIデータベースによって)rs9270986であると同定された一塩基変異多型を、>3×ULN ALT及び/又はASTを有する134症例及び566例の適合対照において患者がルミラコキシブに応答して発生する肝毒性との関連について分析した。これらは、Affymetrix 6.0アレイを用いて上手く遺伝子タイピングされた全患者を表している。rs9270986は、染色体6上の位置32682038(アクセッション番号NT_007592上の位置23432310)でHLA−DRB1及びHLA−DQA1遺伝子間に所在する一塩基変異多型である。
【0101】
SNP rs9270986は、ルミラコキシブを用いて治療されて3.6×10−18のp値を有する患者において肝毒性と強度の関連を有すると証明された。このマーカーのマイナー対立遺伝子頻度は、罹患患者については37.3%及び対照患者については13.8%であった。ルミラコキシブを用いた治療に応答した肝毒性の発生に関連するSNP rs9270986についての感受性、特異性、陽性予測値及び陰性予測値は、各々66.4%、75.0%、6.7%、98.80%であり、本試験についての相対リスクは5.6であった。そのような感受性及び高い陰性予測値を考えると、SNP rs9270986の検出は、ルミラコキシブ誘導性肝毒性に対する高リスク患者を同定する際に使用できる。
【0102】
3.7−増加したULN閾値を備える患者におけるDQA10102マーカーの性能
表4は、ULN ALT/ASTの増加する閾値に渡ってDQA10102対立遺伝子(即ち、感受性)を有する症例のパーセンテージを比較している。DQA10102対立遺伝子に対する感受性は、>3×ULN患者については73.7%であり、ULN閾値が増加するにつれて向上し、>20×の症例(8例中8例がDQA10102対立遺伝子を有する)については100%に達する。このデータは、肝酵素上昇の重度が増加するにつれてマーカーの性能が向上することを指示している。
【表4】

【0103】
さらに、ULN ALT/ASTの平均ピークレベルが匹敵する場合は、DQA10102ノンキャリアはキャリアに比較して低い平均ピークULN ALT/AST値を有する(ノンキャリアの5.1対キャリアの8.6)[共変量としての人種について調整した、平均対数の比較(ピークULN ALT/AST)に対してp=0.023](図3)。これらをまとめると、これらの結果は、最も重度の症例が対立遺伝子キャリア状態とより強度に関連することを示している。
【0104】
これに一致するのは、Hy’s law症例についての所見である。TARGET試験では、分析のためにDNAを入手可能なHy’s law症例が3例あった。これらの全3症例は、DRB11501、DRB50101及びDQA10102対立遺伝子に対してヘテロ接合性であった(表5)。
【表5】

【0105】
3症例中2例はDQB10602対立遺伝子に対してヘテロ接合性であったが、第3症例は密接に関連するDQB10601対立遺伝子のキャリアであった。
【0106】
肝臓損傷のタイプにおいてDQA10102キャリア(ホモ接合性及びヘテロ接合性)とノンキャリアとの間に差があるかどうかを決定するために、さらなる分析を実施した。このデータは表6に示した。>3×ULN ALT/AST患者についてのデータは、肝臓損傷のタイプに関してキャリアとノンキャリアとの間に差があることを指示していた。計76.0%のDQA10102キャリアは肝細胞性肝臓損傷を有して21.0%は混合型肝臓損傷を有していたが、47.2%のDQA10102ノンキャリアは肝細胞性肝臓損傷を有して47.2%は混合型肝臓損傷を有していた(p=0.0015)。これらのデータは、肝臓損傷のタイプがDQA10102キャリアとノンキャリアとの間で異なることを強く示唆している。
【表6】

【0107】
3.8−TARGET試験における肝酵素(ALST/AST)上昇率:
TARGET試験からのルミラコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン及びルミラコキシブDQA10102陰性患者についてのULN ALT/AST率を表7に示した。ルミラコキシブ群に比較して、ルミラコキシブDQA10102陰性患者についての比率は相当大きく減少し、他のNSAIDに匹敵していた。ナプロキセン及びイブプロフェン群は各々2例のHy’s law症例を有していたが、ルミラコキシブ群中のDQA10102陰性患者は1例も有していなかった(DNAを備える3例のHy’s law症例中3例がDQA10102対立遺伝子を有していた)。TARGETのルミラコキシブ群では9例のHy’s law症例が報告されたが、薬理遺伝学分析には3例だけを使用した。残りの症例中5例ではDNA又はインフォームドコンセントが得られず、第6例は遺伝子タイピングに成功しなかった。
【表7】

【0108】
カプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)発生率推定値は、>3×ULN(図4)及び>5×ULN(図5)のALT/AST上昇に対してDQA10102キャリア及びノンキャリアについて計算した。DQA10102キャリアは、13週間後に発生率の劇的増加を示したが、これは自己免疫に基づく肝毒性がルミラコキシブへの曝露の数週間後までは臨床的に明白ではないことを示唆している。これは13週間後に激増を示さず、本試験を通して一貫したより緩やかな勾配を示すノンキャリアとは対照的である。ノンキャリアは、同様にイブプロフェン患者と顕著に類似する発生率を有する。カプラン・マイヤー発生率推定値におけるこれらの差は、肝毒性の機序がDQA10102キャリアとノンキャリアとの間で異なることを示唆している。
【実施例4】
【0109】
>3×ULN ALT/ASTを備える全TARGET症例を用いたさらなる探索的全ゲノム分析
全ゲノム分析は、>3×ULN ALT/AST症例の全サンプルを用いて繰り返した。最初に利用できた139症例及び581例の対照中、5症例及び15例の対照はAffymetrixマイクロアレイ上での遺伝子タイピングが失敗した、又はHLA遺伝子タイピングが失敗し、分析に利用可能な134症例及び566例の対照が残った。上位5つの最も有意なSNPについての結果を表8に示した。初期全ゲノム分析に類似して、全上位SNPはMHC領域内にある。
【表8】

【0110】
本明細書に記載した試験は、MHCクラスII領域内における多型性とルミラコキシブ誘導性肝毒性との間の関連について明白かつ強力な証拠を提供する。探索的全ゲノム関連試験を開始し、その後に症例及び対照の独立セットにおいて反復試験を実施し、最後に関連するHLA対立遺伝子の同定によって完結すると、本試験は、極めて高レベルの統計的信頼性を達成する関連結果(6.8×10−25)を生じさせた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルミラコキシブを用いて治療された被験者における肝毒性への素因又は肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはASTを発生するリスクを同定若しくは予測する方法であって、被験者から入手した生物学的サンプルを少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含み、前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在は肝毒性及び/又は上昇したALT若しくはASTの存在若しくは増加した予測又は前記被験者において肝毒性を発生する増加したリスクの指標であり、前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子の非存在は前記被験者における肝毒性の非存在若しくは減少した予測又は肝毒性を発生する減少したリスクの指標である方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子は、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのHLA対立遺伝子は、DQA10102である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記被験者は、ヒトである、請求項1から3に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的サンプルは、血液、血液由来産物(例えば、バッフィーコート、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、口腔内スワブ、喀痰、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ルミラコキシブの投与後にHy’s law症例(>3×ULN ALT/AST及び≧2×ULN血清ビリルビン)を予測するための方法であって、被験者から入手した生物学的サンプルを前記被験者におけるDQA10102、DRB11501、DRB50101及びDQB10602の群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする工程を含む方法。
【請求項7】
前記HLA対立遺伝子の存在は、前記対立遺伝子をコードする核酸と特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを使用することによって決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記HLA対立遺伝子の存在は、サンガー法に基づくシークエンシング、ダイレクトシークエンシング、又は新世代シークエンシング若しくは次世代シークエンシングによって検出される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記HLA対立遺伝子の存在は、配列特異的プライマー(SSP)タイピング、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、配列に基づくタイピング(SBT)、DNA増幅法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析、又は逆転写PCRによって検出される、請求項1から7に記載の方法。
【請求項10】
シークエンシングは、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、配列特異的プライマー(SSP)タイピング、DNA増幅法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析、又は逆転写PCRの後に実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記HLA対立遺伝子の存在は、ハイブリダイゼーションアッセイを使用して検出される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記HLA対立遺伝子は、酵素結合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、又は競合的結合アッセイを用いてタンパク質若しくはポリペプチド産物を測定する工程によって検出される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記HLA対立遺伝子は、前記対立遺伝子の同等の遺伝マーカーについてアッセイする工程によって決定され、前記同等対立遺伝子の存在は、前記HLA対立遺伝子の存在の指標である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記同等の遺伝マーカーは、NCBIデータベースによってrs3131294、rs3129868、rs9270986、rs3129900、及びrs3135365であると同定された一塩基変異多型である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定するためにHLA対立遺伝子DQA10102の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブの使用。
【請求項16】
患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定するためにHLA対立遺伝子DRB11501の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブの使用。
【請求項17】
患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定するためにHLA対立遺伝子DQB10602の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブの使用。
【請求項18】
患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定するためにHLA対立遺伝子DRB50101の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブの使用。
【請求項19】
前記HLA対立遺伝子の検出は、前記患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であることを指示する、請求項14から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記HLA対立遺伝子は、前記対立遺伝子の同等の遺伝マーカーについてアッセイする工程によって検出され、前記同等対立遺伝子の存在は、前記HLA対立遺伝子の存在の指標である、請求項14から19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記同等の遺伝マーカーは、NCBIデータベースによってrs3131294、rs3129868、rs9270986、rs3129900、及びrs3135365であると同定された一塩基変異多型である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
内部対照対立遺伝子を検出するための第2プローブを含む、請求項7から21のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項23】
各プローブは、オリゴヌクレオチドである、請求項7から11、13から22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
各プローブは、抗体である、請求項12に記載の使用。
【請求項25】
前記キットは、患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定する目的でHLA対立遺伝子DQA10102の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブを含む、請求項1から15、19から24に記載の方法又は使用のいずれかに適合するキットの使用。
【請求項26】
前記キットは、患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定する目的でHLA対立遺伝子DRB11501の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブを含む、請求項1から14、16、19から24に記載の方法又は使用のいずれかに適合するキットの使用。
【請求項27】
前記キットは、患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定する目的でHLA対立遺伝子DQB10602の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブを含む、請求項1から14、17、19から24に記載の方法又は使用のいずれかに適合するキットの使用。
【請求項28】
前記キットは、患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であるかどうかを決定する目的でHLA対立遺伝子DRB50101の1つの領域を検出するための少なくとも1つのプローブを含む、請求項1から14、18から24に記載の方法又は使用のいずれかに適合するキットの使用。
【請求項29】
前記HLA対立遺伝子の検出は、前記患者がルミラコキシブの投与に応答して肝毒性を発生することに感受性であることを指示する、請求項25から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記HLA対立遺伝子は、前記対立遺伝子の同等の遺伝マーカーについてアッセイする工程によって検出され、前記同等対立遺伝子の存在は、前記HLA対立遺伝子の存在の指標である、請求項25から29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記同等の遺伝マーカーは、NCBIデータベースによってrs3131294、rs3129868、rs9270986、rs3129900、及びrs3135365であると同定された一塩基変異多型である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記キットは、前記HLA対立遺伝子又は前記同等の遺伝マーカーの第2の領域を検出するための第2プローブをさらに含む、請求項25から31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記キットは、内部対照対立遺伝子を検出するためのプローブをさらに含む、請求項25から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
各プローブは、オリゴヌクレオチドである、請求項25から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
被験者におけるシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって:
(i)前記被験者から入手した生物学的サンプル中のDQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される少なくとも1つのHLA対立遺伝子の存在に関するデータを受け取る工程であって、前記HLA対立遺伝子は肝毒性の存在又は予測の指標である工程と、
ii)前記受け取ったデータが、前記被験者が前記HLA対立遺伝子のキャリアではないことを指示する場合は前記被験者にルミラコキシブを投与する工程とを含む方法。
【請求項36】
前記被験者は、ヒトである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的サンプルは、血液、血液由来産物(例えば、バッフィーコート、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、口腔内スワブ、喀痰、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項35から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記HLA対立遺伝子のいずれか1つ又はそれ以上は、DQA10102、DRB11501、DQB10602及びDRB50101からなる群より選択される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記HLA対立遺伝子は、DQA10102である、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ルミラコキシブに応答して肝毒性を発生する減少した素因又はリスクを有する被験者にルミラコキシブを投与することによりシクロオキシゲナーゼ−2依存性障害を治療する方法であって、前記減少した素因又はリスクは、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項15から34のいずれか一項に記載の使用によって同定される方法。
【請求項41】
前記シクロオキシゲナーゼ−2依存性障害は、炎症性障害、変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の)、関節リウマチ、難治性変形性関節症、強直性脊椎炎、痛風、歯痛、術後歯痛、術後疼痛、整形外科学疼痛、腰痛、咽頭痛、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹、三叉神経痛、内臓痛、筋骨格疼痛、線維筋痛、月経困難症、腎及び肝疝痛、偏頭痛、頭痛、癌関連痛、ピレシス、神経変性疾患、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、喘息、狼瘡及び乾癬、新生組織形成、特にプロスタグランジンを産生する、若しくはシクロオキシゲナーゼを発現する、良性及び癌性腫瘍の両方、腫瘍及びポリープを含む新生組織形成、特に上皮細胞由来新生組織形成、皮膚、胃腸、基底細胞、扁平上皮細胞、結腸、肝臓、膀胱、膵臓、卵巣、前立腺、子宮頸部、肺若しくは乳房の癌又は黒色腫、年齢関連性黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫を含む血管形成媒介性眼疾患から選択される、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記障害は、変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の変形性関節症)、関節リウマチ、難治性変形性関節症、強直性脊椎炎、痛風、腰痛、歯痛、術後歯痛、内臓痛、筋骨格疼痛、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹、三叉神経痛、線維筋痛、月経困難症からなる群より選択される、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
投与すべき前記ルミラコキシブの用量は、約25mg〜約1,200mgである、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ルミラコキシブの用量は、約100mg〜約400mgである、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記障害が変形性関節症(例えば、膝関節、股関節、脊椎及び肩関節の変形性関節症)又は難治性変形性関節症である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約100mg、1日1回約200mg又は1日1回約400mgの用量で投与すべきである、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記障害が月経困難症である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約200mg又は1日1回約400mgで投与すべきである、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記障害が急性痛風である場合は、ルミラコキシブは、1日1回約200mg又は1日1回約400mgで投与すべきである、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記障害が急性疼痛を生じさせる場合は、投与すべき用量は1日1回約400mgである、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−500630(P2012−500630A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523980(P2011−523980)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054415
【国際公開番号】WO2010/022211
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】