説明

肥満の治療のためのペプチド

本発明は、1種または複数のメラノコルチン受容体型をモジュレートするのに有効な新規ペプチド化合物、療法における該化合物の使用、それを必要とする患者への該化合物の投与を含む治療方法、および薬剤の製造における該化合物の使用に関する。本発明の化合物は、肥満の治療ならびに肥満に関連する様々な疾患または状態との関係において特に興味深い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性を改善した1種または複数のメラノコルチン受容体に特異的な新規ペプチド、療法における前記ペプチドの使用、患者への前記ペプチドの投与を含む治療方法、および薬剤の製造における前記ペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、アテローム性動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、変形性関節症、若年死、特定の種類の癌および種々の他の悪性腫瘍等、一般的な疾患の発症の、よく知られている危険因子である。肥満は、運動の減少および生活の質の低下による多大な問題も引き起こす。先進工業国である西欧諸国において、肥満の罹患率は過去数十年間で著しく増大している。これまでのところ利用可能な薬物学的治療はごくわずかしかなく、すなわちシブトラミン(Abbott、セロトニン作動性およびノルアドレナリン機構を介して作用する)、オルリスタット(Roche、腸管からの脂肪取り込みを減少させる)である。肥満は、重篤な、さらには致死的な一般的疾患の極めて高い危険因子の代表であるため、その治療を公衆衛生上の最優先事項とするべきであり、肥満の治療において有用な医薬化合物が必要である。
【0003】
プロオピオメラノコルチン(POMC)は、α-、β-およびγ-メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチドおよび副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ならびにβ-エンドルフィン等の他のペプチドを含むメラノコルチンファミリーのペプチドの前駆体である。POMCは、中枢および末梢神経系のニューロンにおいて、および下垂体において発現する。ACTHおよびα-MSHを含むメラノコルチンペプチドのいくつかは、脳室内(icv)注射によってラットに投与された場合に、食欲抑制活性を有することが示されている[Vergoniら、European Journal of Pharmacology 179、347〜355頁(1990)]。食欲抑制効果は、人工的な環状α-MSH類似体であるMT-IIによっても得られる。
【0004】
5つのメラノコルチン受容体サブタイプであるMC1〜5受容体が同定されている。MC1、MC2およびMC5受容体は主に末梢組織において発現するのに対し、MC3およびMC4受容体は主に中枢に発現する。MC3受容体はいくつかの末梢組織においても発現する。MC3受容体は、エネルギー恒常性に関与していることに加えて、いくつかの炎症性疾患に関与していることも示唆されている。MC5受容体は、外分泌および炎症に関与していることが示唆されている。MC4受容体は、MC4ノックアウトマウスが肥満を発症することから、体重および摂食行動の調節に関与していることが示されており[Huzarら、Cell 88、131〜141頁(1997)]、MC4受容体近傍の一般的な変異株は、体脂肪量、体重および肥満のリスクに関連することが分かっている[Loosら、Nat Genet.、40(6):768〜75頁(2008)]。さらに、マウスを用いた研究により、メラノコルチン受容体アンタゴニストであるアグーチタンパク質およびアグーチ関連タンパク質(AGRP)のマウス脳における過剰発現が、肥満の発症を招くことが示された[Kleibigら、PNAS 92、4728〜4732頁(1995)]。その上、AGRPのC末端断片のicv注射は摂食を増大させ、食物摂取に対するα-MSHの阻害効果と拮抗する。
【0005】
MC4受容体アゴニストは、食欲抑制薬および/またはエネルギー消費亢進薬として作用することができ、肥満または肥満関連疾患の治療において、およびMC4受容体の活性化によって寛解されうる他の疾患、障害または状態の治療において有用となるであろう。一方、MC4受容体アンタゴニストは、虚弱な高齢患者における消耗性(waisting)の悪液質または拒食症、慢性疼痛、ニューロパチーおよび神経性炎症の治療において有用でありうる。
【0006】
多数の特許出願がメラノコルチン受容体モジュレーターとして種々のクラスの非ぺプチド性低分子を開示しており、これに関する例は、WO 03/009850、WO 03/007949およびWO 02/081443である。メラノコルチン受容体モジュレーターとしてのペプチドの使用は、いくつかの特許文献、例えば、WO 03/006620、US 5731,408およびWO 98/27113において開示されている。Hadley [Pigment Cell Res. (1991) 4:180〜185頁]は、脂肪酸と共役した特異的なメラニン親和性ペプチドの効果の延長であって、モジュレーターが可逆的に作用している状態から不可逆的に作用している状態への、共役脂肪酸によって引き起こされる転換によって達成される延長を報告した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 03/009850
【特許文献2】WO 03/007949
【特許文献3】WO 02/081443
【特許文献4】WO 03/006620
【特許文献5】US 5731,408
【特許文献6】WO 98/27113
【特許文献7】WO 98/08871
【特許文献8】WO 97/26265
【特許文献9】WO 99/03861
【特許文献10】WO 00/37474
【特許文献11】WO 99/01423
【特許文献12】WO 00/39088
【特許文献13】WO 00/42026
【特許文献14】WO 02/08209
【特許文献15】WO 97/41097
【特許文献16】WO 97/41119
【特許文献17】WO 97/41120
【特許文献18】WO 00/41121
【特許文献19】WO 98/45292
【特許文献20】WO 99/19313
【特許文献21】WO 00/50414
【特許文献22】WO 00/63191
【特許文献23】WO 00/63192
【特許文献24】WO 00/63193
【特許文献25】WO 00/23425
【特許文献26】WO 00/23415
【特許文献27】WO 00/23451
【特許文献28】WO 00/23445
【特許文献29】WO 00/23417
【特許文献30】WO 00/23416
【特許文献31】WO 00/63153
【特許文献32】WO 00/63196
【特許文献33】WO 00/63209
【特許文献34】WO 00/63190
【特許文献35】WO 00/63189
【特許文献36】WO 97/09040
【特許文献37】WO 00/42023
【特許文献38】WO 00/63208
【特許文献39】WO 00/64884
【特許文献40】WO 2007/009894
【特許文献41】WO 2008/087186
【特許文献42】WO 2008/087187
【特許文献43】WO 2007/009894
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Vergoniら、European Journal of Pharmacology 179、347〜355頁(1990)
【非特許文献2】Huzarら、Cell 88、131〜141頁(1997)
【非特許文献3】Loosら、Nat Genet.、40(6):768〜75頁(2008)
【非特許文献4】Kleibigら、PNAS 92、4728〜4732頁(1995)
【非特許文献5】Hadley、Pigment Cell Res. (1991) 4:180〜185頁
【非特許文献6】Batterhamら、Nature 418、650〜654頁(2002)
【非特許文献7】J. Pharm. Sci. (1977) 66、2
【非特許文献8】Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000
【非特許文献9】WilliamsおよびPolli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38: 48〜59頁
【非特許文献10】、Masters (1991)、Spray-Drying Handbook (第5版; Longman Scientific and Technical、Essex、U.K.)、491〜676頁
【非特許文献11】Broadheadら(1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18: 1169〜1206頁
【非特許文献12】Mumenthalerら(1994) Pharm. Res. 11: 12〜20頁
【非特許文献13】CarpenterおよびCrowe (1988) Cryobiology 25: 459〜470頁
【非特許文献14】Roser (1991) Biopharm. 4: 47〜53頁
【非特許文献15】Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L.編、Marcel Dekker、New York、2000)
【非特許文献16】Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第99巻: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J.編、Marcel Dekker、New York、2000)
【非特許文献17】Stability of Protein Pharmaceuticals、Ahern. T.J. & Manning M.C.、Plenum Press、New York 1992
【非特許文献18】「The Fine Art Of Solid Phase Synthesis」、2002/3 Catalogue、Novabiochem
【非特許文献19】U. Widmer、Synthesis 1983、135頁
【非特許文献20】Y-C. ChengおよびW.H. Prusoff、Biochem. Pharmacol.、22 (1973) 3099〜3108頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、中性pHにおける水溶性を改善した1種または複数のメラノコルチン受容体に特異的な新規ペプチド、療法における前記ペプチドの使用、患者への前記ペプチドの投与を含む治療方法、および薬剤の製造における前記ペプチドの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、特定のペプチド共役体が、1種または複数のメラノコルチン受容体、すなわち、MC1、MC2、MC3、MC4またはMC5に対して高いモジュレート効果を有することを見出した。したがって、第一の実施形態(実施形態1)において、本発明は、式Iの化合物(より詳細には、メラノコルチン受容体アゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物):
R1-R2-C(=O)-R3-S1-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-c[X1-X2-X3-Arg-X4-X5]-Z7-R4 [I]
[式中、
R1は、テトラゾール-5-イルまたはカルボキシを表し、
R2は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアリールから選択される1個または複数の置換基で場合により置換されていてもよい、直鎖、分枝鎖および/または環状C6〜20アルキレン、C6〜20アルケニレンまたはC6〜20アルキニレンを表し、
R3は、存在しないか、あるいは、-NH-S(=O)2-(CH2)3〜5-C(=O)-、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1もしくは2個のアミノ酸残基を含み、少なくとも1個のカルボキシ基を含有するペプチド断片を表し、
ここで、R3の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有してはならず、
S1は、存在しないか、または式IIa〜IIh;
-HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C(=O)- [IIa]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C(=O)]2- [IIb]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C(=O)]3-5- [IIc]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-NH-C(=O)-CH2-CH2-CH2-C(=O)]1-3- [IId]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-NH-C(=O)-CH2-O-CH2-C(=O)]1-3- [IIe]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-C(=O)]1-3- [IIf]
-HN-CH2-CH2-[O-CH2-CH2]2-12-O-CH2-C(=O)- [IIg]
-HN-CH2-CH2-[O-CH2-CH2]4-12-O-CH2-CH2-C(=O)- [IIh]
の1つによるグリコールエーテルベースの構造を表し、
Z1は、存在しないか、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1〜4個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表し、
ここで、Z1の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有してはならず、
Z2は、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、His、D-His、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z3は、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、His、D-His、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z4は、Gly、Ala、β-Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、Hyp、D-Hyp、Ser、D-Ser、ホモSer、D-ホモSer、Thr、D-Thr、Tyr、D-Tyr、Phe、D-Phe、Gln、D-Gln、Asn、D-Asn、2-PyAla、D-2-PyAla、3-PyAla、D-3-PyAla、4-PyAla、D-4-PyAla、HisまたはD-Hisを表し、
但し、残基Z2、Z3およびZ4の1つ以下がHisまたはD-Hisであり、
Z5は、式IIIa、IVa、Va、VIa、VIIa、VIIIa、IXa、Xa、IIIb、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIIIb、IXbまたはXb;
【0011】
【化1】

【0012】
の1つによる構造を表し、
ここで、式IIIa〜VIIIaおよびIIIb〜VIIIb中のnは、0、1、2、3または4であり、
式Va〜VIIIaおよびVb〜VIIIb中のmは、1または2であり、
式IXa、Xa、IXbおよびXb中のkは、0、1、2または3であり、
式I中のZ6は、Ala、D-Ala、Val、D-Val、Leu、D-Leu、Ile、D-Ile、Met、D-Met、Nle、D-Nle、Phe、D-Phe、Tyr、D-Tyr、TrpまたはD-Trpを表し、
X1は、Glu、Asp、Cys、ホモCys、Lys、Orn、DabまたはDapを表し、
X2は、His、Cit、Cgl、Cha、Val、Ile、tBuGly、Leu、Tyr、Glu、Ala、Nle、Met、Met(O)、Met(O2)、Gln、Gln(アルキル)、Gln(アリール)、Asn、Asn(アルキル)、Asn(アリール)、Ser、Thr、Cys、Pro、Hyp、Tic、Aze、Pip、2-PyAla、3-PyAla、4-PyAla、(2-チエニル)アラニン、3-(チエニル)アラニン、(4-チアゾリル)Ala、(2-フリル)アラニン、(3-フリル)アラニンまたはPheを表し、ここで、前記Pheのフェニル部分の1個または複数の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ベンゾイル、メチル、トリフルオロメチルおよびシアノの中から選択される置換基によって場合により独立に置換されていてもよく、
X3はD-Pheを表し、ここで、D-Phe中のフェニル部分の1個または複数の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチルおよびシアノの中から選択される置換基によって場合により独立に置換されていてもよく、
X4は、Trp、2-Nal、(3-ベンゾ[b]チエニル)アラニンまたは(S)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸を表し、
X5は、Glu、Asp、Cys、ホモCys、Lys、Orn、DabまたはDapを表し、
ここで、X1およびX5は結合して、いずれも独立にCysもしくはホモCysであるX1およびX5に由来するジスルフィド架橋を介して、またはX1の側鎖中のカルボン酸とX5の側鎖中のアミノ基との間、もしくはX5の側鎖中のカルボン酸とX1の側鎖中のアミノ基との間に形成されたアミド結合を介してのいずれかで、式Iの化合物を環状にしており、
Z7は、存在しないか、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表し、
ここで、Z7の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有してはならず、
R4はOR’またはN(R’)2を表し、ここで、各R’は、独立に水素を表すか、または1個もしくは複数のヒドロキシで場合により置換されていてもよいC1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニルを表す]
ならびにその薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物に関する。
【0013】
本発明はさらに、療法における本発明の化合物の使用、本発明の化合物を含む医薬組成物、および薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の化合物のさらなる実施形態の中には、下記のものがある。
2. R2が、1個または複数のヒドロキシルで場合により置換されていてもよい、直鎖α,ω-C12〜20アルキレン、α,ω-C12〜20アルケニレンまたはα,ω-C12〜20アルキニレンを表し、
R3が、存在しないか、または-NH-S(=O)2-(CH2)3-C(=O)-、Glu、D-Glu、γ-GluもしくはD-γ-Gluを表し、
Z1が、存在しないか、または、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypもしくはD-Hypから選択される1〜4個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表し、
Z2が、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z3が、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z4が、Gly、Ala、Ser、ホモSer、Thr、Tyr、Phe、Gln、Asn、2-PyAla、3-PyAla、4-PyAlaまたはHisを表し、
Z5が、式IIIa、IVa、Va、VIa、VIIa、VIIIa、IXaまたはXaの1つによる構造を表し、
Z6が、Ala、Val、Leu、Ile、MetまたはNleを表し、
X1がGluまたはAspを表し、
X2が、Hyp、Pro、AzeまたはPipを表し、
X3がD-Pheを表し、
X4がTrpを表し、
X5がLysまたはOrnを表し、
Z7が存在せず、
R4がOR’またはN(R’)2を表し、ここで、各R’は、独立に、水素またはC1〜3アルキルを表す、実施形態1による化合物。
3. R1〜R2が、13-(テトラゾール-5-イル)トリデシル、14-(テトラゾール-5-イル)テトラデシル、15-(テトラゾール-5-イル)ペンタデシル、16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデシル、17-(テトラゾール-5-イル)ヘプタデシルまたは18-(テトラゾール-5-イル)オクタデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
4. R1〜R2が15-(テトラゾール-5-イル)ペンタデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
5. R1〜R2が16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
6. R1〜R2が、13-カルボキシトリデシル、14-カルボキシテトラデシル、15-カルボキシペンタデシル、16-カルボキシヘキサデシル、17-カルボキシヘプタデシル、18-カルボキシオクタデシルまたは19-カルボキシノナデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
7. R1〜R2が、14-カルボキシテトラデシル、16-カルボキシヘキサデシルまたは18-カルボキシオクタデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
8. R1〜R2が14-カルボキシテトラデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
9. R1〜R2が16-カルボキシヘキサデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
10. R1〜R2が18-カルボキシオクタデシルを表す、実施形態1〜2のいずれかによる化合物。
11. R3が存在しない、実施形態1〜10のいずれかによる化合物。
12. R3が-NH-S(=O)2-(CH2)3-C(=O)-を表す、実施形態1〜10のいずれかによる化合物。
13. R3がγ-Gluを表す、実施形態1〜10のいずれかによる化合物。
14. S1が存在しない、実施形態1〜13のいずれかによる化合物。
15. S1が、式IIa、IIbまたはIIcによる構造を表す、実施形態1〜13のいずれかによる化合物。
16. S1が、式IIaによる構造を表す、実施形態1〜13のいずれかによる化合物。
17. S1が、式IIbによる構造を表す、実施形態1〜13のいずれかによる化合物。
18. S1が、式IIcによる構造を表す、実施形態1〜13のいずれかによる化合物。
19. Z1が、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypから選択される1〜4個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
20. Z1が、Gly、Ser、D-Ser、GlnまたはGluから選択される1〜4個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
21. Z1がGlyを表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
22. Z1がGluまたはAspを表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
23. Z1がGluを表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
24. Z1がGly-D-Ser-Gln-Serを表す、実施形態1〜18のいずれかによる化合物。
25. Z2が、Ser、Thr、GlnまたはGlyを表す、実施形態1〜24のいずれかによる化合物。
26. Z2がSerを表す、実施形態1〜24のいずれかによる化合物。
27. Z3が、Gln、AsnまたはSerを表す、実施形態1〜26のいずれかによる化合物。
28. Z3がGlnを表す、実施形態1〜26のいずれかによる化合物。
29. Z4が、His、TyrまたはPheを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
30. Z4が、His、SerまたはTyrを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
31. Z4がHisを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
32. Z4が、Ser、Thr、GlnまたはAsnを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
33. Z4がSerを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
34. Z4がTyrを表す、実施形態1〜28のいずれかによる化合物。
35. Z5が、Dap(ビスカルボキシメチル)、Dab(ビスカルボキシメチル)、Orn(ビスカルボキシメチル)、Lys(ビスカルボキシメチル)またはホモLys(ビスカルボキシメチル)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
36. Z5が、Dap(ビスカルボキシメチル)またはLys(ビスカルボキシメチル)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
37. Z5が、Dap(BCMA)、Dab(BCMA)、Orn(BCMA)、Lys(BCMA)またはホモLys(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
38. Z5が、Dap(BCMA)、β-Dap(BCMA)、Dab(BCMA)、Orn(BCMA)またはLys(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
39. Z5が、式Va、VIa、VIIaまたはVIIIa (式中、mは2である)の1つによる構造を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
40. Z5がβ-Dap(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
41. Z5がDap(ビスカルボキシメチル)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
42. Z5がLys(ビスカルボキシメチル)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
43. Z5がDap(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
44. Z5がDab(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
45. Z5がLys(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
46. Z5がOrn(BCMA)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
47. Z5が、β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)またはLys(ビスカルボキシメチル)-β-Alaを表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
48. Z5がβ-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)を表す、実施形態1〜34のいずれかによる化合物。
49. Z6が、Leu、Ile、NleまたはMetを表す、実施形態1〜48のいずれかによる化合物。
50. Z6がNleを表す、実施形態1〜48のいずれかによる化合物。
51. X1がGluである、実施形態1〜50のいずれかによる化合物。
52. X2がHypである、実施形態1〜51のいずれかによる化合物。
53. X2がProである、実施形態1〜51のいずれかによる化合物。
54. X5がLysである、実施形態1〜52のいずれかによる化合物。
55. Z7が存在しない、実施形態1〜54のいずれかによる化合物。
56. R4がNH2である、実施形態1〜55のいずれかによる化合物。
57. R4がOHである、実施形態1〜55のいずれかによる化合物。
58.中性〜弱塩基性pHにおける溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
59. pH約6〜約10における溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
60. pH約6〜約9における溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
61. pH約6.5〜約8.5における溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
62. pH約6.5〜約7.5における溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
63. pHが約7である場合の溶解性を増大させた、実施形態1〜57のいずれかによる化合物。
64. (2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0015】
【化2】

【0016】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-β-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0017】
【化3】

【0018】
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0019】
【化4】

【0020】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0021】
【化5】

【0022】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0023】
【化6】

【0024】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0025】
【化7】

【0026】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0027】
【化8】

【0028】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Orn(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0029】
【化9】

【0030】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0031】
【化10】

【0032】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dab(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0033】
【化11】

【0034】
[2-(2-{4-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルスルファモイル]ブタノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0035】
【化12】

【0036】
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0037】
【化13】

【0038】
{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0039】
【化14】

【0040】
(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0041】
【化15】

【0042】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0043】
【化16】

【0044】
(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0045】
【化17】

【0046】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Glu-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0047】
【化18】

【0048】
(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0049】
【化19】

【0050】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0051】
【化20】

【0052】
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0053】
【化21】

【0054】
{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0055】
【化22】

【0056】
{2-[2-(2-{2-[2-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-β-Ala-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0057】
【化23】

【0058】
および
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0059】
【化24】

【0060】
からなる群から選択される、実施形態1による化合物。
【0061】
本発明は、上記で概説した本発明の化合物の2つ以上の実施形態の組合せも包含する。
【0062】
本発明の一態様において、本発明の化合物は、メラノコルチン受容体のアゴニスト、とりわけMC4のアゴニストである。本発明の別の態様において、化合物はMC4の選択的アゴニストである。この状況において、選択性は、MC1、MC3および/またはMC5に対する化合物の活性との関係で理解されたい。化合物が、MC1、MC3および/またはMC5アゴニストとしてよりもMC4アゴニストとして著しく強力である場合、該化合物は選択的MC4アゴニストであるとみなされる。MC1、MC3、MC5およびMC4に対する化合物の結合親和性は、それぞれ「アッセイIV」(MC1)、「アッセイVIII」(MC3)および「アッセイIX」(MC5)の名で後述するMC1、MC3またはMC5結合アッセイのKiを、「アッセイV」(MC4)の名で後述するMC4結合アッセイからのKiと比較することによって決定することができる。化合物が、MC1よりもMC4に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より強力である場合、該化合物はMC1に対して選択的MC4アゴニストであるとみなされる。化合物が、MC3よりもMC4に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より強力である場合、該化合物はMC3に対して選択的MC4アゴニストであるとみなされる。化合物が、MC5よりもMC4に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より強力である場合、該化合物はMC5に対して選択的MC4アゴニストであるとみなされる。MC3、MC4およびMC5に対する化合物のアゴニスト効力は、「アッセイII」(MC3およびMC5)、「アッセイX」(MC3)および「アッセイIII」(MC4)において記載されている機能アッセイにおいて決定することができる。化合物が、MC3よりもMC4に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より強力である場合、該化合物はMC3に対して選択的MC4アゴニストであるとみなされる。化合物が、MC5よりもMC4に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より強力である場合、該化合物はMC5に対して選択的MC4アゴニストであるとみなされる。特定の態様において、本発明の化合物は、MC1に対して、MC3に対して、MC5に対して、MC1およびMC3に対して、MC1およびMC5に対して、MC3およびMC5に対して、またはMC1、MC3およびMC5に対して、選択的なMC4アゴニストである。
【0063】
本発明のさらなる態様において、本発明の化合物は、選択的MC3アゴニストおよび選択的MC4アゴニストの両方である。この状況において、化合物が、MC1およびMC5に対するアゴニストとしてよりもMC3およびMC4に対するアゴニストとして著しく強力である場合、該化合物は選択的MC3およびMC4アゴニストであるとみなされる。MC1およびMC3に対する化合物の選択性は、「アッセイIV」において記載されている通りにMC1について決定された結合親和性を、「アッセイVIII」において記載されている通りに決定されたMC3についての結合親和性と比較することによって決定することができる。化合物の結合親和性が、MC1よりもMC3に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より大きい場合、該化合物はMC1に対して選択的MC3アゴニストであるとみなされる。MC3およびMC5に対する化合物の選択性は、「アッセイVIIIおよびIX」において記載されている通りに決定された親和性を比較することによって決定することができる。化合物の結合親和性が、MC5よりもMC3に対して、50倍より、例えば100倍より等、10倍より大きい場合、該化合物はMC5に対して選択的MC3アゴニストであるとみなされる。MC3およびMC5に対する化合物のMC4選択性は、上記で論じた通りに決定される。
【0064】
本発明の化合物は、持続的な効果を発揮しうる、すなわち、該化合物が生物学的活性を発揮する期間が長い。効果は、「アッセイI」において、化合物が、試験動物における24時間〜48時間の期間中の食物摂取量を、ビヒクル処理対照群の動物における同期間中の食物摂取量と比較して著しく減少させる場合、持続的であると定義される。代替として、持続的な効果は、オボアルブミンの存在下での結合について決定されたKiをHSAの存在下で決定されたEC50値と比較する間接的なアルブミン結合アッセイにおいて評価されうる[適切なアッセイ手順の記述については、「薬理学的方法」項のアッセイVII (下記参照)を参照]。
【0065】
本発明の化合物は、メラノコルチン受容体をモジュレートし、したがって、メラノコルチン受容体活性のモジュレーションによって治療されうる疾患または状況の治療に特に適していると考えられる。特に、本発明の化合物は、MC4の活性化による疾患または状況の治療に適していると考えられる。
【0066】
本発明のさらなる態様または実施形態の中には、下記のものがある。
65.IGTから2型糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64 (上記参照)のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
66.非インスリン依存性2型糖尿病からインスリン依存性2型糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
67.肥満を治療するまたは過体重を予防する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
68.食欲を調節する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
69.満腹を誘発する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
70.減量に成功した後の体重増加を予防する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
71.エネルギー消費を亢進させる方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【0067】
本発明のまたさらなる態様または実施形態の中には、下記のものがある。
72.過体重または肥満に関係する疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
73.過食症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
74.アテローム性動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全および若年死のリスクから選択される疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【0068】
本発明の化合物は、肥満または過体重患者における疾患の治療に適しうる。したがって、本発明のまたさらなる態様または実施形態は、下記のものに関する。
75.肥満患者において、2型糖尿病、IGT、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全、若年死のリスク、神経保護、虚血性心疾患または炎症性疾患から選択される疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする肥満患者に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【0069】
本発明のまたさらなる態様または実施形態は、次のものに関する。
76.前記追加の治療活性化合物が、抗糖尿病薬、抗脂質異常症薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、および糖尿病から生じるまたはそれに関連する合併症の治療薬から選択される、実施形態65〜75 (上記参照)のいずれかによる方法。
77.前記実施形態1〜64のいずれかによる化合物が、前記患者に、約0.05mg〜約1000mgの前記化合物を含む単位剤形で投与される、実施形態65〜76のいずれかによる方法。
78.前記実施形態1〜64のいずれかによる化合物が、前記患者に1日1回投与される、実施形態65〜77のいずれかによる方法。
79.前記実施形態1〜64のいずれかによる化合物が、前記患者に週1回投与される、実施形態65〜77のいずれかによる方法。
80.対象においてMC4を活性化する方法であって、前記対象に、有効量の実施形態1〜64のいずれかによる化合物を投与するステップを含む方法。
81.前記実施形態1〜64のいずれかによる化合物が、非経口的に、経口的に、経鼻的に、口腔内にまたは舌下に投与される、実施形態65〜75のいずれかによる方法。
82.前記実施形態1〜64のいずれかによる化合物が、非経口的にまたは舌下に投与される、実施形態65〜75のいずれかによる方法。
【0070】
本発明の別の態様または実施形態は、次のものに関する。
83.実施形態1〜64のいずれかによる化合物と1種または複数の添加剤(excipent)とを含む医薬組成物。そのような医薬組成物中の本発明の化合物は、場合により、1種もしくは複数の追加の治療活性化合物もしくは物質と組み合わせて、および/または1種もしくは複数の薬学的に許容される担体もしくは添加剤と一緒に存在しうる。本発明の医薬組成物は、適宜、約0.1mg〜約500mg、例えば約0.5mg〜約200mg等、約0.05mg〜約1000mgの本発明の化合物を含む単位剤形であってもよい。
【0071】
本発明のまた別の態様または実施形態は、下記のものに関する。
84.療法において使用するための、実施形態1〜64のいずれかによる化合物。
85.耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病への進行を遅延させる; 2型糖尿病からインスリン依存性糖尿病への進行を遅延させる;肥満を治療するまたは過体重を予防する;食欲を調節する;満腹を誘発する;減量成功後の体重再増加を予防する;エネルギー消費を亢進させる;過体重または肥満に関係する疾患または状況を治療する;過食症を治療する;むちゃ食いを治療する;アテローム性動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、IGT、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全、視床下部性(hypthalamic)無月経または若年死のリスクを治療する;あるいは、肥満患者において、2型糖尿病、IGT、脂質異常症(dyspilidemia)、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全、若年死のリスクから選択される疾患または状況を治療するため;神経保護を提供するため、虚血性心疾患に対する効果または抗炎症効果を及ぼすため、および自己免疫疾患、例えば多発性硬化症の治療のための、薬剤の製造における実施形態1〜64のいずれかによる化合物の使用。
【0072】
MC4アゴニストとして作用する本発明の化合物は、インスリン感受性と、薬物乱用(報酬系をモジュレートすることによる)と、出血性ショックとに対して良い影響を有しうる。さらに、MC3およびMC4アゴニストは、解熱作用を有し、いずれも末梢神経再生に関与していることが示唆されている。MC4アゴニストは、ストレス応答を減少させることも既知である。薬物乱用を治療すること、出血性ショックを治療または予防することおよびストレス応答を減少させることに加えて、本発明の化合物は、アルコール乱用を治療すること、脳卒中を治療すること、虚血を治療することおよび神経損傷から保護することにおいても価値あるものでありうる。
【0073】
既に指摘した通り、上記で開示した治療法または指示のすべてにおいて、本発明の化合物は単独で投与されうる。しかしながら、該化合物を、1種または複数の追加の治療活性剤、物質または化合物と組み合わせて、逐次的にまたは同時にのいずれかで投与してもよい。
【0074】
本発明による方法で用いられる場合、本発明の化合物の典型的な投薬量は、1〜3回用量等の単回または複数回用量で投与される、1日当たり体重1kgにつき約0.001〜約100mg、好ましくは体重1kgにつき約0.01〜約10mg、より好ましくは1日当たり体重1kgにつき約0.01〜約5mg、例えば、1日当たり体重1kgにつき約0.05〜約10mgまたは1日当たり体重1kgにつき約0.03〜約5mgの範囲内である。正確な投薬量は、投与頻度および投与方法、治療される対象の性別、年齢、体重および全身状態、治療される状態の性質および重症度、治療される任意の合併症、ならびに当業者に明らかな他の要因によって決まることになる。
【0075】
本発明の化合物は、好都合なことに、当業者に周知の技術を使用して単位剤形に製剤化されうる。1日当たり1〜3回等、1日当たり1回または複数回の経口投与が意図される典型的な単位剤形は、適宜、約0.05〜約1000mg、好ましくは、約0.5〜約200mg等、約0.1〜約500mgの本発明の化合物を含有しうる。
【0076】
本発明の化合物は、例えば1日1回よりも長い間隔の投与によく適していると考えられる化合物を含み、故に、適切に製剤化された本発明の化合物は、例えば、本明細書において開示されている経路の1つ等の適切な投与経路による週2回または週1回投与に適切でありうる。
【0077】
上述した通り、本発明の化合物は、1種または複数の追加の治療活性化合物または物質と組み合わせて投与または適用されてもよく、適切な追加の化合物または物質は、例えば、抗糖尿病薬、抗脂質異常症薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、および糖尿病から生じるまたはそれに関連する合併症の治療薬から選択されうる。
【0078】
適切な抗糖尿病薬は、インスリン、インスリン誘導体もしくは類似体、GLP-1 (グルカゴン様ペプチド-1)誘導体もしくは類似体[参照により本明細書に組み込まれる、WO 98/08871 (Novo Nordisk A/S)において開示されているもの等]、またはエクセナチド(バイエッタ、Eli Lilly/アミリン; AVE0010、Sanofi-Aventis)、タスポグルチド(Roche)、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)、GlaxoSmithKline)、アミリン、アミリン類似体(例えばSymlin(商標)/プラムリンチド)等の他のGLP-1類似体、および経口活性血糖降下薬を含む。
【0079】
適切な経口活性血糖降下薬は、メトホルミン、イミダゾリン;スルホニル尿素;ビグアナイド;メグリチニド;オキサゾリジンジオン;チアゾリジンジオン;インスリン増感剤;α-グルコシダーゼ阻害剤;膵β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する剤、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、WO 97/26265、WO 99/03861およびWO 00/37474 (Novo Nordisk A/S)において開示されているもの等のカリウムチャネル開口薬;オルミチグリニド(ormitiglinide)等のカリウムチャネル開口薬;ナテグリニドまたはBTS-67582等のカリウムチャネル遮断薬;参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれる、WO 99/01423およびWO 00/39088 (Novo Nordisk A/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)において開示されているもの等のグルカゴン受容体アンタゴニスト;参照により本明細書に組み込まれる、WO 00/42026 (Novo Nordisk A/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)において開示されているもの等のGLP-1受容体アゴニスト;アミリン類似体(アミリン受容体に対するアゴニスト); DPP-IV (ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤; PTPアーゼ(タンパク質チロシンホスファターゼ)阻害剤;Hoffmann La RocheによるWO 02/08209において記載されているもの等のグルコキナーゼ活性化剤;グルコース新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素の阻害剤;グルコース取り込みモジュレーター; GSK-3 (グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)阻害剤;抗脂質異常症薬および抗高脂血薬等の脂質代謝を改変する化合物;食物摂取量を低減させる化合物;ならびに、PPAR (ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)アゴニスト、およびALRT-268、LG-1268またはLG-1069等のRXR (レチノイドX受容体)アゴニストを含む。
【0080】
適切な追加の治療活性物質の他の例は、インスリンまたはインスリン類似体;スルホニル尿素、例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド(glicazide)またはグリブリド;ビグアナイド、例えばメトホルミン;およびメグリチニド、例えばレパグリニドまたはセナグリニド/ナテグリニドを含む。
【0081】
適切な追加の治療活性物質のさらなる例は、チアゾリジンジオンインスリン増感剤、例えば、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS-011/CI-1037もしくはT 174、または、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる、WO 97/41097 (DRF-2344)、WO 97/41119、WO 97/41120、WO 00/41121およびWO 98/45292 (Dr. Reddy’s Research Foundation)において開示されている化合物を含む。
【0082】
適切な追加の治療活性物質のさらなる例は、インスリン増感剤、例えば、GI 262570、YM-440、MCC-555、JTT-501、AR-H039242、KRP-297、GW-409544、CRE-16336、AR-H049020、LY510929、MBX-102、CLX-0940、GW-501516、ならびに、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる、WO 99/19313 (NN622/DRF-2725)、WO 00/50414、WO 00/63191、WO 00/63192およびWO 00/63193 (Dr. Reddy’s Research Foundation)において、ならびにWO 00/23425、WO 00/23415、WO 00/23451、WO 00/23445、WO 00/23417、WO 00/23416、WO 00/63153、WO 00/63196、WO 00/63209、WO 00/63190およびWO 00/63189 (Novo Nordisk A/S)において開示されている化合物を含む。
【0083】
適切な追加の治療活性物質のさらに別の例は、α-グルコシダーゼ阻害剤、例えば、ボグリボース、エミグリテート、ミグリトールまたはアカルボース;グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、例えば、WO 97/09040 (Novo Nordisk A/S)において記載されている化合物;グルコキナーゼ活性化剤;膵β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する作用物質、例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、BTS-67582またはレパグリニドを含む。
【0084】
他の適切な追加の治療活性物質は、抗脂質異常症薬および抗高脂血薬、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコールまたはデキストロサイロキシンを含む。
【0085】
追加の治療活性物質として適切なさらなる作用物質は、抗肥満薬および食欲調節剤を含む。そのような物質は、CART (コカインアンフェタミン調節転写物)アゴニスト、NPY (神経ペプチドY受容体1および/または5)アンタゴニスト、MC3 (メラノコルチン受容体3)アゴニスト、MC3アンタゴニスト、MC4 (メラノコルチン受容体4)アゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、TNF (腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF (コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP (コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、CL-316243、AJ-9677、GW-0604、LY362884、LY377267またはAZ-40140等のβ3アドレナリン作動性アゴニスト、MC1 (メラノコルチン受容体1)アゴニスト、MCH (メラニン細胞凝集ホルモン)アンタゴニスト、CCK (コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、フルオキセチン、セロザットまたはシタロプラム)、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤、5HT (セロトニン)アゴニスト、5HT6アゴニスト、5HT2cアゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、プロラクチンまたは胎盤性ラクトゲン等の成長因子、成長ホルモン放出化合物、TRH (チロトロピン放出ホルモン)アゴニスト、UCP 2または3 (脱共役タンパク質2または3)モジュレーター、化学的脱共役剤、レプチンアゴニスト、DA (ドーパミン)アゴニスト(ブロモクリプチン(bromocriptin)、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPARモジュレーター、RXRモジュレーター、TRβアゴニスト、アドレナリン作動性CNS刺激剤、AGRP (アグーチ関連タンパク質)阻害剤、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる、WO 00/42023、WO 00/63208およびWO 00/64884において開示されているもの等のヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、エキセンジン-4類似体、GLP-1類似体、毛様体神経栄養因子、アミリン類似体、ペプチドYY3〜36 (PYY3〜36) (Batterhamら、Nature 418、650〜654頁(2002))、PYY3-36類似体、NPY Y2受容体アゴニスト、NPY Y4受容体アゴニスト、ならびにNPY Y2およびNPY Y4アゴニストを組み合わせたものとして作用する物質、FGF21およびその類似体、μ-オピオイド受容体アンタゴニスト、オキシントモジュリンまたはその類似体からなる群から選択されうる。
【0086】
さらなる適切な抗肥満薬は、ブプロピオン(抗鬱剤)、トピラメート(抗けいれん薬)、エコピパム(ドーパミンD1/D5アンタゴニスト)およびナルトレキソン(オピオイドアンタゴニスト)、ならびにそれらの組合せである。
【0087】
本発明の方法において、追加の治療活性物質として本発明の化合物と組み合わせて使用するための適切な抗肥満薬の実施形態の中には、レプチンおよびレプチンの類似体または誘導体がある。
【0088】
適切な抗肥満薬の追加の実施形態は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤、例えばシブトラミンである。
【0089】
適切な抗肥満薬の他の実施形態は、リパーゼ阻害剤、例えばオルリスタットである。
【0090】
適切な抗肥満薬のさらに別の実施形態は、アドレナリン作動性CNS刺激剤、例えば、デクスアンフェタミン、アンフェタミン、フェンテルミン、マジンドール、フェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。
【0091】
適切な追加の治療活性化合物の他の例は、抗高血圧薬を含む。抗高血圧薬の例は、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール等のβ遮断薬、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリルおよびラミプリル等のACE (アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミル等のカルシウムチャネル遮断薬、ならびに、ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシンおよびテラゾシン等のα遮断薬である。
【0092】
本発明の使用および方法の特定の実施形態において、本発明の化合物は、上述の適切な追加の治療活性化合物または物質の2種以上と組み合わせて、例えば、メトホルミンおよびグリブリド等のスルホニル尿素;スルホニル尿素およびアカルボース;ナテグリニドおよびメトホルミン;アカルボースおよびメトホルミン;スルホニル尿素、メトホルミンおよびトログリタゾン;インスリンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびメトホルミン;インスリン、メトホルミンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびトログリタゾン;インスリンおよびロバスタチン等と組み合わせて、投与または適用されてもよい。
【0093】
特に、肥満または過体重の治療または予防に関係する、すなわち、過剰な脂肪の減少または予防に関係する目的のために、上記で開示した1種または複数の追加の治療活性化合物または物質と場合により組み合わせた本発明の化合物を投与する場合、減量を達成することまたは体重増加を予防することを目的とした外科的介入と組み合わせて、例えば、肥満症手術の介入と組み合わせてそのような投与を用いることは妥当である。使用頻度の高い肥満症手術の技術の例は、下記のものを含むがこれらに限定されない:胃の一部をステープラーで留めて新たな胃としての働きをする小型の前胃嚢(pre-stomach pouch)を作製する垂直帯胃形成術(「胃の縮小手術」としても知られている);新たな胃としての働きをする小型の前胃嚢が、患者によってサイズ調整できるエラストマー(例えばシリコーン)バンドを使用して作製される、例えば調整可能な胃バンドシステム(スウェーデン式調整可能胃バンド(SAGB)、LAP-BAND(商標)またはMIDband(商標)等)を使用する胃バンディング;および、小型の胃嚢がステープラーデバイスを使用して作成され、遠位小腸に接続され、小腸の上部がY字形に再付着される、胃バイパス手術、例えば「ルーY」バイパス。
【0094】
本発明の状況において用いられる場合、用語「肥満症手術」およびその変形(例えば、「減量手術」、「減量手術の介入」、「減量手術の手順」、「肥満症手術の介入」、「肥満症手術の手順」等)の範囲内である別の技術は、バルーンに似た膨張可能なデバイスを胃に導入し、次いで膨張させる胃内バルーン手術であり、その目的は、胃内に入る体積を減少させて、食物摂取中、通常よりも早い段階で患者に満腹感を生じさせ、それにより、患者による食物摂取量の減少をもたらすことである。
【0095】
上述の技術はすべて、原則として可逆的である。本状況において妥当な、不可逆的で結果として概して使用頻度がより少ないさらなる技術の非限定的な例は、胆膵路転換手術および袖状胃切除術(後者は十二指腸スイッチと併せて用いてもよい)を含み、それらはいずれも、胃の大部分の外科的切除を伴う。
【0096】
(上記で開示した1種または複数の追加の治療活性化合物または物質と場合により組み合わせた)本発明の化合物の投与は、当該の肥満症手術の介入を行う前の期間、および/またはその後の期間に為されうる。多くの場合、肥満症手術の介入が為された後に本発明の化合物の投与を開始することが好適でありうる。
【0097】
肥満の治療は、例えば、WO2007/009894、WO2008/087186およびWO2008/087187において記載されているペプチド部およびアルブミン結合脂肪酸またはアルキルテトラゾール鎖を含む長時間作用型メラノコルチン4受容体アゴニスト(MC4アゴニスト)を使用することによって可能である場合がある。これらの化合物は、酸性残基よりも塩基性残基を多く有し、酸性pHでは良好な水溶性をもたらすが、中性または弱塩基性pHでは難溶性である。6〜9のpHにおける水溶性は、局所忍容性を改善し、MC4アゴニストを、中性〜弱塩基性pHでのみ可溶な他の薬物と組み合わせることを可能にするため、利点と判断される。
【0098】
いくつかの負に荷電した残基をペプチドに(例えば3個のGlu残基をN末端部に)組み込むことは、MC4受容体活性の減少および食物摂取量の不十分な減少をインビボでもたらしたため、中性〜弱塩基性pHにおける溶解性の問題はこのことによってのみ解決されたのではない可能性がある。驚くべきことに、この問題は、(ビス-カルボキシメチル)アミノ基を含有するいくつかの新規合成アミノ酸残基の1つをペプチド中の1つの特定の位置に組み込むことによって解決された。この基は、酸性および塩基性特性の両方を有し、故に、化合物をpH7〜8でより可溶性にするが、MC4受容体においても十分に強力である。本発明の化合物は、負に荷電しており、中性pHにおいて十分に水溶性である。(ビス-カルボキシメチル)アミノ基は中性pHにおいて負に荷電しており、故に、本発明の化合物の水溶性に著しく寄与する。
【0099】
本発明の化合物は、pH7.5において例えば少なくとも0.2mmol/l、少なくとも0.5mmol/l、少なくとも2mmol/l、少なくとも4mmol/l、少なくとも8mmol/l、少なくとも10mmol/lまたは少なくとも15mmol/lの水溶性を有する水溶性MC4受容体アゴニストであってよい。
【0100】
用語「肥満」は、過剰な脂肪組織を意味している。エネルギー摂取量がエネルギー消費量を超えると、過剰なカロリーは脂肪組織に貯蔵され、この正味のプラスのエネルギー収支(net positive balance)が持続すれば、肥満になり、すなわち、バランスを傾ける2つの構成要素があり、片方(摂取量または消費量)の異常が肥満につながりうる。この状況において、肥満は、健康上のリスクを与える任意の程度の過剰な脂肪組織としてとらえるのが最良である。正常個体と肥満個体との間の差異は概算するだけなら可能であるが、肥満によって与えられる健康上のリスクは、おそらく脂肪組織の増大と一続きである。しかしながら、本発明の状況においては、25を上回る体格指数(BMI =体重(キログラム)÷高さ(メートル)の2乗)を有する個体が肥満として扱われる。
【0101】
Cx〜yアルキル(例えばC6〜20アルキル)等における、ラジカルの名称に先行する「Cx〜y」型の接頭辞の使用は、x〜y個の炭素原子を有する指定された型のラジカルを示すことが意図されている。
【0102】
用語「アルキル」は、本明細書において使用される場合、直鎖、分枝鎖および/または環状の飽和一価炭化水素ラジカルを指す。
【0103】
用語「アルケニル」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分枝鎖および/または環状の一価炭化水素ラジカルを指す。
【0104】
用語「アルキニル」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む直鎖、分枝鎖および/または環状の一価炭化水素ラジカルを指し、1個または複数の炭素-炭素二重結合を場合により含んでもよい。
【0105】
用語「アルキレン」は、本明細書において使用される場合、直鎖、分枝鎖および/または環状の飽和二価炭化水素ラジカルを指す。
【0106】
用語「アルケニレン」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分枝鎖および/または環状の二価炭化水素ラジカルを指す。
【0107】
用語「アルキニレン」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む直鎖、分枝鎖および/または環状の二価炭化水素ラジカルを指し、1個または複数の炭素-炭素二重結合を場合により含んでもよい。
【0108】
用語「アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、式-OR’ (式中、R’は上記で示したアルキルである) のラジカルを示すことが意図されている。
【0109】
本状況において、用語「アリール」は、炭素環式芳香環ラジカルまたは縮合芳香環系ラジカルを示すことが意図されており、ここで、該環の少なくとも1つは芳香族である。典型的なアリール基は、フェニル、ビフェニル(biphenylyl)、ナフチル等を含む。
【0110】
用語「ハロゲン」は、元素周期表の第7主族のメンバーを示すことが意図されており、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素(それぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード置換基に対応する)を含む。
【0111】
用語「テトラゾール-5-イル」は、1H-テトラゾール-5-イルまたは2H-テトラゾール-5-イルを示すことが意図されている。
【0112】
本状況において、例外が明確に示されていない限り、3文字アミノ酸コードに基づくペプチド命名法の共通規則があてはまる。手短に述べると、アミノ酸構造の中核となる部分は3文字コード(例えば、Ala、Lys)によって表され、「D-」、それに続く3文字コード(例えば、D-Ala、D-Lys)によってD配置であることが明確に示されていない限り、L配置であると想定される。アミノ基における置換基は、1個の水素原子を置き換えてその名称が3文字コードの前に置かれるのに対し、C末端置換基は、カルボン酸ヒドロキシ基を置き換えてその名称が3文字コードの後にある。例えば、「アセチル-Gly-Gly-NH2」は、CH3-C(=O)-NH-CH2-C(=O)-NH-CH2-C(=O)-NH2を表す。別段の指示がない限り、側鎖中に追加のアミノ基またはカルボキシ基を有するアミノ酸(Lys、Orn、Dap、Glu、Asp等)は、N-2 (α-窒素)原子およびC-1 (C=O)炭素原子において形成されるアミド結合によってそれらの隣接する基と結合される。
【0113】
2個のアミノ酸が架橋されているといわれる場合、2個それぞれのアミノ酸の側鎖中の官能基が反応して共有結合を形成したことを示すことが意図されている。
【0114】
本状況において、用語「アゴニスト」は、当該受容体型を活性化する物質(リガンド)を示すことが意図されている。
【0115】
本状況において、用語「アンタゴニスト」は、アゴニストの効果を遮断、中和または相殺する物質(リガンド)を示すことが意図されている。
【0116】
より詳細には、受容体リガンドは下記の通りに分類されうる。
受容体を活性化する受容体アゴニスト;部分アゴニストも受容体を活性化するが、完全アゴニストよりも有効性が低い。部分アゴニストは、完全アゴニストの効果を部分的に阻害する受容体部分アンタゴニストとして挙動することになる。
アンタゴニストの作用を遮断するが受容体の恒常的活性に影響しない、受容体ニュートラルアンタゴニスト。
アゴニストの作用を遮断し、同時に受容体の恒常的活性を減衰させる、受容体逆アゴニスト。完全逆アゴニストは受容体の恒常的活性を完全に減衰させ、部分逆アゴニストは受容体の恒常的活性をより低い程度まで減衰させることになる。
【0117】
本明細書において使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、ニュートラルアンタゴニストおよび部分アンタゴニスト、ならびに逆アゴニストを含む。用語「アゴニスト」は、完全アゴニストおよび部分アゴニストを含む。
【0118】
本状況において、用語「薬学的に許容される塩」は、患者に有害ではない塩を示すことが意図されている。そのような塩は、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩を含む。酸付加塩は、無機酸および有機酸の塩を含む。適切な無機酸の代表例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸および硝酸等を含む。適切な有機酸の代表例は、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等を含む。薬学的に許容される無機または有機酸付加塩のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれるJ. Pharm. Sci. (1977) 66、2において収載されている薬学的に許容される塩を含む。関連金属塩の例は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩等を含む。アルキル化アンモニウム塩の例は、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩等を含む。
【0119】
本明細書において使用される場合、化合物の「治療有効量」という用語は、所与の疾患および/またはその合併症の臨床徴候を治癒し、軽減しまたは部分的に阻止するのに十分な量を指す。これを実現するのに適当な量は、「治療有効量」と定義される。各目的のための有効量は、疾患または損傷の重症度、ならびに対象の体重および全身状況によって決まることになる。適切な投薬量の決定は、常法通りの実験を使用して、マトリックス値を構築し、該マトリックス中の異なる点を試験することによって達成することができ、これらはすべて訓練を受けた医師または獣医の通常の技術水準の範囲内であることが理解されるであろう。
【0120】
用語「治療」、「治療すること」およびその他の変形は、本明細書において使用される場合、疾患または障害等の状態と闘うことを目的とした患者の管理および看護を指す。該用語は、症状およびその合併症を軽減するため、疾患、障害もしくは状態の進行を遅延させるため、疾患、障害もしくは状態を治癒もしくは解消するため、ならびに/または、状態を予防するため(ここで、予防は、疾患、状態または障害と闘うことを目的とした患者の管理および看護として理解され、症状または合併症の発病を予防するための当該活性化合物の投与を含む)の、当該活性化合物の投与等、患者が罹患している所与の状態の治療の全領域を含むことが意図されている。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトであるが、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギまたはブタ等の他の動物の治療も本発明の範囲内である。
【0121】
本明細書において使用される場合、用語「溶媒和物」は、溶質(この場合には本発明による化合物)と溶媒との間に形成される所定の化学量論の錯体を指す。溶媒和物は、例として、水、エタノールまたは酢酸を含みうる。
【0122】
本状況において使用されるアミノ酸略号は、下記の意味を有する。
【0123】
【表1A】

【0124】
【表1B】

【0125】
【表1C】

【0126】
【表1D】

【0127】
【表1E】

【0128】
【表1F】

【0129】
【表1G】

【0130】
【表1H】

【0131】
【表1I】

【0132】
医薬組成物
既に述べた通り、本発明の一態様は、本発明の化合物を含む医薬組成物(製剤)を提供する。そのような製剤の適切な実施形態は、多くの場合、本発明の化合物を、例えば10-1mg/ml〜100mg/ml等、10-3mg/ml〜200mg/mlの濃度で含有する。本発明のそのような製剤におけるpHは、典型的には2.0〜10.0の範囲となる。製剤は、緩衝系、保存剤、等張化剤、キレート剤、安定剤および/または界面活性剤をさらに含みうる。本発明の一実施形態において、医薬製剤は、水性製剤、すなわち水を含む製剤であり、本状況における用語「水性製剤」は、一般に少なくとも50重量% (w/w)の水を含む製剤を示すと解釈されうる。そのような製剤は、典型的には液剤または懸濁剤である。水性液剤の形態の本発明の水性製剤は、一般に少なくとも50% (w/w)の水を含む。同様に、水性懸濁剤の形態の本発明の水性製剤は、一般に少なくとも50% (w/w)の水を含む。
【0133】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物(製剤)は、医師または患者が使用前に溶媒および/または賦形剤を添加することによる再構成を意図されているフリーズドライ(すなわち凍結乾燥)製剤であってもよい。
【0134】
さらなる実施形態において、本発明の医薬組成物(製剤)は、事前に溶解することなく使用できる状態である乾燥製剤(例えばフリーズドライまたは噴霧乾燥)であってもよい。
【0135】
さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物の水溶液と緩衝剤とを含む医薬組成物(製剤)に関し、ここで、本発明の化合物は、0.1〜100mg/ml以上の濃度で存在し、製剤は約2.0〜約10.0のpHを有する。
【0136】
本発明の別の実施形態において、製剤のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9および10.0からなるリストから選択される値を有する。
【0137】
さらなる実施形態において、本発明の緩衝化医薬組成物中の緩衝剤は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸およびアスパラギン酸からなる群から選択される1種または複数の緩衝物質を含みうる。これらの特定の緩衝剤の各1つが本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0138】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される保存剤、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサール(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウムおよびクロルフェネシン(chlorphenesine) (3p-クロルフェノシキプロパン-1,2-ジオール)からなる群から選択される1種または複数の保存剤を含みうる。これらの特定の保存剤の各1つが本発明の代替的な実施形態を構成する。本発明のさらなる実施形態において、保存剤は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する。本発明のそのような医薬組成物のさらに別の実施形態において、保存剤は、0.1mg/ml〜5mg/mlの範囲の濃度で、5mg/ml〜10mg/mlの範囲の濃度で、または10mg/ml〜20mg/mlの範囲の濃度で存在する。医薬組成物における保存剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、この点においてはRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000を参照する。
【0139】
本発明のさらなる実施形態において、製剤は、張性調整剤、すなわち、本発明の液体製剤(とりわけ水性製剤)または再構成したフリーズドライ製剤の張性(浸透圧)を、一般に得られる最終液体製剤が等張または実質的に等張となるような所望のレベルに調整する目的で添加される物質をさらに含む。適切な張性調整剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖および糖アルコール(例えばマンニトール)、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファンまたはスレオニン)、アルジトール[例えば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオールまたは1,3-ブタンジオール]、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400)ならびにそれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0140】
例えば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプンまたはカルボキシメチルセルロース-ナトリウムを含む、モノ-、ジ-もしくは多糖、または水溶性グルカン等の任意の糖を使用してもよく、一実施形態において、スクロースが用いられうる。糖アルコール(モノ-、ジ-、オリゴ-または多糖に由来するポリオール)は、例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトールおよびアラビトールを含む。一実施形態において、用いられる糖アルコールはマンニトールである。上述した糖または糖アルコールは、個々にまたは組み合わせて使用されうる。糖または糖アルコールが液体組成物(製剤)に可溶であり、本発明の方法を使用して達成される安定化作用に悪影響を及ぼさない限り、使用される量に定められた制限はない。一実施形態において、糖または糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。
【0141】
さらなる実施形態において、張性調整剤は、1mg/ml〜7mg/ml、8mg/ml〜24mg/ml、または25mg/ml〜50mg/ml等、1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。具体的に上述した張性調整剤のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、本発明の実施形態を構成する。医薬組成物における張性調整剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000を参照する。
【0142】
本発明の医薬組成物(製剤)のさらに別の実施形態において、製剤は、キレート剤をさらに含む。適切なキレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸およびアスパラギン酸の塩、ならびにそれらの混合物から選択されうる。キレート剤の濃度は、適宜、0.1mg/ml〜2mg/mlまたは2mg/ml〜5mg/ml等、0.1mg/ml〜5mg/mlの範囲内となる。具体的に上述したキレート剤のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、本発明の実施形態を構成する。医薬組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000を参照する。
【0143】
本発明の医薬組成物(製剤)の別の実施形態において、製剤は、安定剤をさらに含む。医薬組成物における安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000を参照する。
【0144】
より詳細には、本発明の特に有用な組成物は、その治療活性成分が液体医薬製剤における貯蔵中に凝集体形成を呈する可能性があるオリゴ-またはポリペプチドを含む、安定化液体医薬組成物を含む。「凝集体形成」が意味するのは、可溶性のまま、またはオリゴ-もしくはポリペプチド分子間の物理的相互作用の結果として溶液から沈殿する大型の可視的な凝集体のままであってもよいオリゴマーの形成である。用語「貯蔵中」Iは、液体医薬組成物または製剤が、調製された時点で直ちに対象に投与されることは一般にないということを指す。むしろ、液体形態、凍結状態もしくは後の液体形態への再構成用の乾燥形態、または対象への投与に適した他の形態のいずれであっても、調製後に貯蔵のために包装される。「乾燥形態」が意味するのは、液体医薬組成物または製剤を、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;例えば、WilliamsおよびPolli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38: 48〜59頁を参照)によって、噴霧乾燥[例えば、Masters (1991)、Spray-Drying Handbook (第5版; Longman Scientific and Technical、Essex、U.K.)、491〜676頁; Broadheadら(1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18: 1169〜1206頁;ならびにMumenthalerら(1994) Pharm. Res. 11: 12〜20頁を参照]によって、または風乾[例えば、CarpenterおよびCrowe (1988) Cryobiology 25: 459〜470頁;ならびにRoser (1991) Biopharm. 4: 47〜53頁を参照]によって乾燥させた場合に得られる生成物である。液体医薬組成物の貯蔵中のオリゴ-またはポリペプチドによる凝集体形成は、そのペプチドの生物学的活性に悪影響を与え、医薬組成物の治療有効性の喪失をもたらしうる。さらに、凝集体形成は、オリゴ-またはポリペプチド含有医薬組成物が注入システムを使用して投与される場合、管、膜またはポンプの閉塞等の他の問題を引き起こしうる。
【0145】
本発明の医薬組成物は、組成物の貯蔵中のオリゴ-またはポリペプチドによる凝集体形成を低下させるのに十分な量のアミノ酸基剤をさらに含みうる。「アミノ酸基剤」が意味するのは、任意の所与のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかで存在するアミノ酸またはアミノ酸の組合せである。アミノ酸の組合せが使用される場合、アミノ酸のすべてがそれらの遊離塩基形態で存在してもよく、すべてがそれらの塩形態で存在してもよく、または一部がそれらの遊離塩基形態で存在する一方でその他はそれらの塩形態で存在してもよい。一実施形態において、本発明の組成物を調製するのに使用されるアミノ酸は、アルギニン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸等の荷電した側鎖を有するアミノ酸である。特定のアミノ酸(例えば、メチオニン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファンまたはスレオニン、およびそれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、L、Dまたはそれらの混合物)またはこれらの立体異性体の組合せは、該特定のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかで存在する限り、本発明の医薬組成物中に存在してよい。一実施形態において、アミノ酸のL-立体異性体が使用される。本発明の組成物は、これらのアミノ酸の類似体を用いて製剤化されてもよい。「アミノ酸類似体」が意味するのは、本発明の液体医薬組成物の貯蔵中のオリゴ-またはポリペプチドによる凝集体形成を低下させるという所望の効果を喚起する、天然に存在するアミノ酸の誘導体である。適切なアルギニン類似体は、例えば、アミノグアニジン、オルニチンおよびN-モノエチル-L-アルギニンを含む。適切なメチオニン類似体はエチオニンおよびブチオニンを含み、適切なシステイン類似体はS-メチル-L-システインを含む。アミノ酸自体と同様に、アミノ酸類似体は、それらの遊離塩基形態またはそれらの塩形態のいずれかで本発明の組成物に組み込まれる。本発明のさらなる実施形態において、アミノ酸またはアミノ酸類似体は、オリゴ-またはポリペプチドの凝集を防止しまたは遅延させるのに十分な濃度で組み込まれる。
【0146】
本発明の特定の実施形態において、メチオニン(または別の硫黄含有アミノ酸またはアミノ酸類似体)は、治療薬として作用するオリゴ-またはポリペプチドが、メチオニン残基からメチオニンスルホキシドへの酸化を起こしやすい少なくとも1個のメチオニン残基を含むペプチドである場合、そのような酸化を阻害するために本発明の組成物に組み込まれうる。用語「阻害する」は、この状況において、メチオニン酸化種の経時的な蓄積の最小化を指す。メチオニン酸化の阻害は、その適正な分子形態のオリゴ-またはポリペプチドの保持の増大をもたらす。メチオニンの任意の立体異性体(LまたはD)またはそれらの組合せを使用することができる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が規制機関に許容されるものとなるように、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量であるべきである。典型的には、これは、メチオニンがスルホキシド化された(sulfoxidated)オリゴ-またはポリペプチドの形態がわずか約10%〜約30%しか存在しないことを意味する。概して、これは、添加されたメチオニン対メチオニン残基の比率が、約10:1〜約100:1等、約1:1〜約1000:1の範囲となるように、メチオニンを組成物に組み込むことによって達成されうる。
【0147】
本発明のさらなる実施形態において、製剤は、高分子量ポリマーおよび低分子量化合物から選択される安定剤をさらに含む。故に、例えば、安定剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースおよびその誘導体(例えば、HPC、HPC-SL、HPC-LまたはHPMC)、シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノール等の硫黄含有物質、ならびに種々の塩(例えば塩化ナトリウム)等の物質から選択されうる。具体的に上述した安定剤のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、本発明の実施形態を構成する。
【0148】
本発明の医薬組成物は、その中の治療活性オリゴ-またはポリペプチドの安定性をさらに増強する追加の安定剤をさらに含みうる。本発明の状況において特に興味深い安定剤は、メチオニンおよびペプチドをメチオニン酸化から保護するEDTA;ならびに、界面活性剤、とりわけ、ポリペプチドを凝集または凍結-解凍もしくは機械的せん断に関連する分解から保護する非イオン性界面活性剤を含むがこれらに限定されない。
【0149】
したがって、本発明のさらなる実施形態において、医薬製剤は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤を含む。その例は、エトキシ化ヒマシ油、ポリグリコール化(polyglycolyzed)グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、Pluronic (登録商標) F68、ポロキサマー188および407等のポロキサマー、トリトンX-100)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル化およびアルコキシル化誘導体(ツイン、例えば、ツイン20、ツイン40、ツイン80およびブリッジ35)等のポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体、モノグリセリドまたはそのエトキシ化誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(例えば、ホスファチジル-セリン、ホスファチジル-コリン、ホスファチジル-エタノールアミン、ホスファチジル-イノシトール、ジホスファチジル-グリセロールおよびスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えばジパルミトイルホスファチジン酸)およびリゾリン脂質の誘導体(例えば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン、およびエタノールアミン、コリン、セリンまたはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、ならびにリゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルキルエステルおよびアルキルエーテル誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ならびに、極性頭部基、すなわち、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、および正に荷電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルスレオニンの修飾体、ならびに、グリセロリン脂質(例えばケファリン)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、鶏卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えばタウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム等)、長鎖脂肪酸(例えばオレイン酸またはカプリル酸)およびその塩、アシルカルニチンおよび誘導体、リシン
、アルギニンもしくはヒスチジンのNα-アシル化誘導体、またはリシンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンと中性または酸性アミノ酸との任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と2個の荷電したアミノ酸との任意の組合せを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS (ドキュセートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS (ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸またはその誘導体、胆汁酸およびその塩ならびにグリシンまたはタウリン抱合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート)、カチオン性界面活性剤(第四級アンモニウム塩基) (例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド)、非イオン性界面活性剤(例えばドデシルβ-D-グルコピラノシド)、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの順次付加により得られる四官能性ブロックコポリマーであるポロキサミン(例えばテトロニック)を含む。界面活性剤は、イミダゾリン誘導体およびその混合物から選択することができる。具体的に上述した界面活性剤のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、本発明の実施形態を構成する。
【0150】
医薬組成物における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000を参照する。
【0151】
本発明の医薬組成物(製剤)中に追加の成分が存在してもよい。そのような追加の成分は、例えば、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、増量剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチンまたは他のタンパク質)および両性イオン種(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リシンまたはヒスチジン等のアミノ酸)を含みうる。そのような追加の成分は、当然ながら、本発明の医薬製剤の全体の安定性に悪影響を与えてはならない。
【0152】
本発明による化合物を含有する医薬組成物は、そのような治療を必要とする患者の、いくつかの部位、例えば局所的部位(例えば、皮膚および粘膜部位)に、吸収を副行路で置き換える(bypass)部位に(例えば、動脈内、静脈内または心臓内への投与を介して)、および吸収が関与する部位(例えば、皮膚内、皮膚下、筋肉内または腹部内)に投与されうる。
【0153】
本発明による医薬組成物の、それを必要とする患者への投与は、いくつかの投与経路を介するものであってもよい。これらは、例えば、経舌、舌下、口腔、口内、経口、胃および腸内、経鼻、経肺(例えば、細気管支および肺胞またはそれらの組合せによって
)、表皮、真皮、経皮、経膣、経直腸、眼内(例えば結膜を介して)、尿管内(uretal)ならびに腸管外を含む。
【0154】
本発明の組成物は、種々の剤形で、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、マイクロ乳剤、多重乳剤、泡沫剤、膏薬、ペースト剤、硬膏剤、軟膏剤、錠剤、コーティング錠、リンス剤(rinse)、カプセル剤(例えば、硬ゼラチンカプセル剤または軟ゼラチンカプセル剤)、坐剤、経直腸カプセル剤、点滴剤、ゲル剤、スプレー剤、散剤、エアゾール剤、吸入剤、点眼剤、眼軟膏剤、眼リンス剤、膣ペッサリー、膣リング、膣軟膏剤、注射液剤、インサイチュ変質液剤(transforming solution)(例えば、インサイチュゲル化、インサイチュ硬化、インサイチュ沈殿またはインサイチュ結晶化)、輸液または移植片の形態で投与されうる。
【0155】
本発明の組成物は、本発明の化合物の安定性をさらに増強し、バイオアベイラビリティを増大させ、溶解性を増大させ、有害作用を低下させ、当業者に周知の時間療法を達成し、患者コンプライアンスを向上させるため、またはそれらの任意の組合せのために、例えば、共有結合、疎水性もしくは静電相互作用、薬物担体、薬物送達系または高度な薬物送達系を介してさらに配合され、または結合されうる。担体、薬物送達系および高度な薬物送達系の例は、ポリマー、例えばセルロースおよび誘導体;多糖、例えばデキストランおよび誘導体、デンプンおよび誘導体;ポリ(ポリビニルアルコール);アクリレートおよびメタクリレートポリマー;ポリ乳酸およびポリグリコール酸ならびにそれらのブロックコポリマー;ポリエチレングリコール;担体タンパク質、例えばアルブミン;ゲル、例えば当業者に周知であるブロックコポリマー系等の熱ゲル化系(thermogelling system);ミセル;リポソーム;マイクロスフェア;ナノ粒子;液晶およびその分散;脂質-水系における相挙動が当業者に周知であるL2相およびその分散;高分子ミセル;多重乳剤(自己乳化、自己マイクロ乳化);シクロデキストリンおよびその誘導体;ならびにデンドリマーを含むがこれらに限定されない。
【0156】
本発明の組成物は、例えば、すべて当業者に周知のデバイスである定量吸入器、ドライパウダー吸入器またはネブライザーを使用し、本発明の化合物の経肺投与のための固体、半固体、粉末および溶液の形成において有用である。
【0157】
本発明の組成物は、制御放出、持続放出、長期、遅延または緩徐放出薬物送達系の形成において有用である。故に、本発明の組成物は、当業者に周知である非経口制御放出および持続放出系(いずれの種類の系も、必要とされる投与回数を数倍減少させる)の形成において価値がある。
【0158】
特に価値があるのは、皮下投与のための制御放出および持続放出系である。本発明の範囲を限定するものではないが、有用な制御放出系および組成物の例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、高分子ミセル、マイクロスフェア、ナノ粒子を含有するものである。
【0159】
本発明の組成物に有用な制御放出系を生成する方法は、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧均質化、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、マイクロスフェアを生成するための溶媒蒸発、押出および超臨界流体プロセスを含むがこれらに限定されない。この状況においては、一般的にHandbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L.編、Marcel Dekker、New York、2000)およびDrugs and the Pharmaceutical Sciences、第99巻: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J.編、Marcel Dekker、New York、2000)を参照する。
【0160】
非経口投与は、シリンジ、例えばペンデバイスの形態のシリンジを利用して、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射によって実施されうる。代替として、非経口投与は、注入ポンプを利用して実施できる。さらなる選択肢は、経鼻または経肺スプレーの形態の液体(典型的には水性)溶液または懸濁液である本発明の組成物の投与である。さらに別の選択肢として、本発明の医薬組成物を、経皮投与(例えば、無針注射によって、またはイオントフォレーシスパッチ等のパッチ剤を介して)または経粘膜(例えば口腔内)投与に適合させることができる。
【0161】
用語「安定化製剤」は、物理的安定性を向上させた、化学的安定性を向上させた、または物理的および化学的安定性を向上させた製剤を指す。用語「物理的安定性」は、オリゴ-またはポリペプチドを含有する製剤の状況において、熱機械応力への曝露ならびに/または疎水性の表面および界面等の不安定化している界面および表面との相互作用の結果として生物学的に不活性かつ/または不溶性の凝集体を形成する、ペプチドの傾向を指す。水性タンパク質製剤の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジまたはバイアル)内に充填した製剤を、機械/物理的応力(例えばかき混ぜ)に、異なる温度で種々の期間にわたって曝露した後、目視検査および/または混濁測定を利用して評価される。製剤の目視検査は、暗い背景で、鋭く集光された光下で実施される。製剤の濁度は、混濁度を、例えば0〜3のスケールでランク付けする視覚スコア (ここで、混濁を示さない製剤が視覚スコア0に相当し、一方、昼光下で目視できる混濁を示す製剤が視覚スコア3に相当する) によって特徴付けられる。製剤は、一般に、昼光下で目視できる混濁を示す場合、凝集に対して物理的に不安定であると分類される。代替として、製剤の混濁は、当業者に周知の単純な混濁測定によって評価されうる。水性オリゴ-またはポリペプチド製剤の物理的安定性は、ペプチドの立体配座状態の分光因子(spectroscopic agent)またはプローブを使用することによって評価することもできる。プローブは、好ましくは、オリゴ-またはポリペプチドの非天然配座異性体と優先的に結合する低分子である。この種類の低分子分光プローブの一例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイド原線維の検出に広く使用されている蛍光色素である。原線維の存在下、他の配置である可能性もあるが、チオフラビンTは、原線維形態と結合すると、約450nmにおける新たな励起極大および約482nmにおける増強発光を生み出す。結合しなかったチオフラビンTは、当該波長において本質的に非蛍光性である。
【0162】
ペプチド構造における天然状態から非天然状態への変化のプローブとして、他の低分子を使用してよい。例は、ポリペプチドの露出された疎水性パッチと優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、概して、ポリペプチドの三次構造内にその天然状態で埋め込まれているが、ポリペプチドがアンフォールドまたは変性し始めるにつれて露出する。そのような低分子分光プローブの例は、アントラセン(antrhacene)、アクリジン、フェナントロリン等の芳香族疎水性色素である。他の分光プローブは、疎水性アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン等のコバルト錯体等、アミノ酸の金属錯体である。
【0163】
医薬製剤の「化学的安定性」という用語は、本明細書において使用される場合、元の分子と比較して潜在的に低い生物学的効力および/または潜在的に向上した免疫原性を有する化学分解生成物の形成につながる、オリゴ-またはポリペプチド構造における化学共有結合変化を指す。出発分子の種類および性質ならびにそれが曝露される環境に応じて、種々の化学分解生成物が形成されうる。当業者には周知であるように、化学分解の排除を完全に回避することはほぼ確実に不可能であり、オリゴ-またはポリペプチド製剤の貯蔵および使用中に、化学分解生成物の量が次第に増大するのをしばしば見ることができる。一般的に遭遇する分解過程は、脱アミド化、つまり、グルタミニルまたはアスパラギニル残基中の側鎖アミド基が加水分解されて遊離カルボン酸を形成する過程である。他の分解経路には、出発物質の2個以上の分子がアミド基転移および/またはジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合して、共有結合したダイマー、オリゴマーまたはポリマー分解生成物の形成につながる、より高分子量の変換生成物の形成が関与する(例えば、Stability of Protein Pharmaceuticals、Ahern. T.J. & Manning M.C.、Plenum Press、New York 1992を参照)。(例えばメチオニン残基の)酸化は、化学分解のもう一つの変形として述べることができる。製剤の化学的安定性は、異なる環境条件への曝露後、種々の時点で化学分解生成物の量を測定することによって評価されうる(ここで、分解生成物の形成は、多くの場合、例えば温度を上昇することによって加速しうる)。各個々の分解生成物の量は、多くの場合、分子のサイズおよび/または電荷に応じて、種々のクロマトグラフ技術(例えばSEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を使用する分解生成物の分離によって決定される。
【0164】
よって、上記で概説した通り、「安定化製剤」は、物理的安定性を向上させた、化学的安定性を向上させた、または物理的および化学的安定性を向上させた製剤を指す。概して、医薬組成物(製剤)は、使用期限日に達するまで、(推奨用途および貯蔵条件を遵守した)使用および貯蔵中、安定でなくてはならない。
【0165】
本発明の医薬組成物(製剤)は、好ましくは、2週間超にわたる使用および2年超にわたる貯蔵の間、より好ましくは、4週間超にわたる使用および2年超にわたる貯蔵の間、望ましくは、4週間超にわたる使用および3年超にわたる貯蔵の間、最も好ましくは、6週間超にわたる使用および3年超にわたる貯蔵の間、安定であるべきである。
【0166】
本明細書において引用されている、刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、それらの全体が各参考文献が参照により個々におよび具体的に組み込まれることが示され、本明細書においてその全体が(法が許す最大限の範囲で)説明されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
表題および副題は、本明細書において、便宜上使用されているに過ぎず、本発明を何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【0168】
本明細書における任意のすべての例または例示的な言葉(「例えば(for instance)」、「例えば(for example)」「例えば(e.g.)」および「等」を含む)の使用は、単に本発明をより明らかにすることが意図されているに過ぎず、別段の指示がない限り、本発明の範囲に制限をかけるものではない。本明細書中のいかなる言葉も、任意の特許請求されていない要素が本発明の実践において必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0169】
本明細書における特許文献の引用および組み込みは、便宜上為されているに過ぎず、そのような特許文献の妥当性、特許性および/または権利行使可能性についてのいかなる見解も反映していない。
【0170】
本発明は、適用法が許す限り、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙されている主題のすべての修正形態および均等物を含む。
【0171】
(実施例)
用いられる略号のリスト
AcOH 酢酸
BCMA [ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル
Bn ベンジル
BSA ウシ血清アルブミン
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCM ジクロロメタン
Dde N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル]
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA エチルジイソプロピルアミン
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EGTA グリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(エチレングリコール四酢酸)
FCS ウシ胎仔血清
Fmoc 9H-フルオレン-9-イルメチルオキシカルボニル
HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HEPES 2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HSA ヒト血清アルブミン
IBMX 3-イソブチル-1-メチルキサンチン
MC1 メラノコルチン受容体サブタイプ1 (メラノコルチン受容体1とも表示される)
MC2 メラノコルチン受容体サブタイプ2 (メラノコルチン受容体2とも表示される)
MC3 メラノコルチン受容体サブタイプ3 (メラノコルチン受容体3とも表示される)
MC4 メラノコルチン受容体サブタイプ4 (メラノコルチン受容体4とも表示される)
MC5 メラノコルチン受容体サブタイプ5 (メラノコルチン受容体5とも表示される)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
α-MSH メラニン細胞刺激ホルモンのα形態
MTX メトトレキサート
NEt3 トリエチルアミン
NMP N-メチルピロリジン-2-オン
OSuエステル 2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PEI ポリエチレンイミン
PyBOP (ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TSTU O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
【0172】
本発明のすべての化合物は、当業者によって、標準的なカップリングおよび脱保護ステップを使用して合成することができる。特殊なビルディングブロックの非標準的な手順および合成については後述する。ペプチド合成のための標準的な略号を含む必要な器具および合成法についての記述は、「The Fine Art Of Solid Phase Synthesis」、2002/3 Catalogue、Novabiochemにおいて見ることができる。
【0173】
一般的手順
Applied Biosystemsペプチド合成機ABI-433Aでのペプチド合成
ペプチドは、Fmoc戦略に従い、0.25mmolまたは1.0mmolスケールでApplied Biosystems 433ペプチド合成機において、NMP中のFmoc保護アミノ酸(4当量)、HOBt (4当量)、HBTU (4当量)およびDIPEA (8当量)、ならびにFmoc保護基の脱保護のUVモニタリングを用いる、メーカーによって供給されるFastMoc UVプロトコールを使用して合成する。Fmoc保護アミノ酸の脱保護にはNMP中のピペリジンを使用する。
【0174】
樹脂からの切断および側鎖脱保護
固相ペプチド合成を完了した後、樹脂をDCMで広範囲に洗浄する。次いで、樹脂をDCM-トリイソプロピルシラン-水-メルカプトエタノール(92.5:2.5:2.5:2.5)の予混合溶液で洗浄する。濾過後、TFA-トリイソプロピルシラン-水-メルカプトエタノール(92.5:2.5:2.5:2.5;樹脂1mmol当たり少なくとも40ml)の混合物を添加し、混合物を3時間かき混ぜた後、樹脂を排出し、濾液を収集する。樹脂をTFA-トリイソプロピルシラン-水-メルカプトエタノール(92.5:2.5:2.5:2.5)で洗浄し、濾液を収集する。合わせた濾液に、氷冷ジエチルエーテル(10×切断混合物の体積)を添加し、得られた沈殿物を濾過除去し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。
【0175】
精製および定量
粗ペプチドを、水とMeCNまたはN-メチルホルムアミドとの適切な混合物に溶解し、C18シリカゲルを含有するカラム上での逆相分取HPLC (Watersデルタプレップ4000またはGilson)によって精製する。溶離は、0.1% TFAを含有する水中のMeCNの増加勾配を用いて実施する。該当する画分を分析用HPLCまたはUPLCによって確認する。純粋な標的ペプチドを含有する画分を混合し、減圧下で濃縮する。得られた溶液を分析し(HPLC、LCMS)、化学発光窒素特異的HPLC検出器(Antek 8060 HPLC-CLND)を使用して、または280nmにおけるUV吸光度を測定することによって生成物を定量する。生成物をガラスバイアルに分注する。バイアルにMilliporeガラスファイバー前置フィルターで蓋をする。3日間フリーズドライすることにより、ペプチドトリフルオロ酢酸塩が白色固体として得られる。
【0176】
以下に収載する実施例において、Rt値は保持時間であり、質量値は、質量分析(MS)検出器によって検出し、下記のUPLC-MSまたはHPLC-MSデバイス(LCMS)の1つを使用して得たものである。
LCMS (システム1)
WatersマイクロマスLCTプレミアXE質量分析計;エレクトロスプレー; m/z = 100〜m/z = 2000;ステップ0.1amu; WatersアクイティーUPLC BEH C18、1.7μm、2.1mm×50mm;水/0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル; 5%→95%アセトニトリル直線的勾配を4.0分間;流量0.4ml/分。
LCMS (システム2)
Sciex API-3000クアドルポールMS、エレクトロスプレー、m/z = 300〜m/z = 2000;カラム: Waters XTerra (登録商標) MS C18 5μm 3.0×50mm;水/0.05% TFAを含有するアセトニトリル;勾配: 5%→90%アセトニトリルを0〜7.5分;流量1.5ml/分。
LCMS (システム3)
Sciex API-100クアドルポールMS、エレクトロスプレー、m/z = 300〜m/z = 2000;カラム: Waters XTerra (登録商標) MS C18 5μm 3.0×50mm;水/0.05% TFAを含有するアセトニトリル;勾配: 5%→90%アセトニトリルを0〜7.5分;流量1.5ml/分。
【0177】
ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸の調製
【0178】
【化25】

【0179】
ブロモ酢酸tert-ブチルエステル(313.3ml、2.16mol)、DIPEA (179.5ml、1.08mol)およびヨウ化カリウム(25.9g、216mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(730ml)中のグリシンベンジルエステルp-メチルベンゼンスルホン酸塩(72.95g、216mmol)の溶液に引き続き添加した。得られた混合物を、窒素下室温で3日間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、残留物をジクロロメタン(300ml)および炭酸ナトリウムの5%水溶液(300ml)で希釈した。有機相を別の炭酸ナトリウムの5%水溶液(300ml)で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。溶媒を真空蒸発させた。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル混合物(2:1)を使用するシリカゲル(200g、Fluka 60)に通して濾過した。溶媒の真空除去後、精製過程を2回繰り返した。溶媒を蒸発させて、ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸ベンジルエステルを粘性の黄色液体として得た。
収量: 58.19g (68%)
1H NMRスペクトル (300MHz, CDCl3): δ 7.49〜7.38 (m, 5H); 5.15 (s, 2H); 3.69 (s, 2H); 3.54 (s, 4H); 1.44 (s, 18H)。
【0180】
パラジウム炭素(10%、15g)を、メタノール(440ml)中のビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸ベンジルエステル(58.19g、148.8mmol)の脱気溶液に添加し、反応混合物を435psiで24時間水素化した。混合物をセライトのパッドに通して濾過した。手順を追加で3回繰り返した。濾液を合わせ、真空蒸発させて、表題化合物を黄色固体として得た。残留物を、-20℃のヘキサンから4回再結晶させた(recrystalized)。固体を濾過除去し、真空乾燥させて、ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸を得た。
収量: 25.7g (57%)
融点: 76〜82℃
1H NMRスペクトル (300MHz, CDCl3): δ 3.48 (s, 2H); 3.47 (s, 4H); 1.47 (s, 18H)。
【0181】
Fmoc-Lys(ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル))-OHの調製
【0182】
【化26】

【0183】
DCM (50mL)中のクロロギ酸ベンジル(8.8ml、61.3mmol)の溶液を、0℃のDCM (250mL)中の、Fmoc-Lys(Boc)-OH (50g、53.6mmol)、DIPEA (27ml、78mmol)およびDMAP (650mg、5.3mmol)の撹拌溶液に滴下添加した。混合物を0℃で24時間撹拌し、次いでこれを5%クエン酸水溶液および水(200mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。残留物をDCM (30mL)に溶かし、濾過し(S3)、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル3:1)によって精製した。生成物を含有する画分を真空蒸発させた。得られた固体を酢酸エチルから再蒸発させて、Fmoc-Lys(Boc)-OBnを白色非晶質粉末として得た。
収量: 49.0g (82%)。
1H NMRスペクトル (300MHz, CDCl3): δ 7.79 (d, J=7.3Hz, 2H); 7.62 (d, J=7.3Hz, 2H); 7.48〜7.29 (m, 9H); 5.44 (d, 1H); 5.21 (dd, 2H); 4.62〜4.33 (m, 3H); 4.24 (t, 1H); 3.20〜2.97 (m, 2H); 1.97〜1.61 (m, 2H); 1.57〜1.38 (m, 11H); 1.41〜1.15 (m, 2H)。
【0184】
上記のFmoc-Lys(Boc)-OBn (31.32g、54mmol)を無水DCM (60mL)に溶解し、ジオキサン中の塩化水素の溶液(2.1M、205mmol、55mL)を添加した。反応混合物を室温で10時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。固体残留物を風乾させた。この粗生成物を、さらに精製することなく使用した。LC/MS分析は、反応の完了を立証した。反応は2つのバッチで為された。
【0185】
粗製のFmoc-Lys-OBn HCl塩(50.8g、102mmol)を乾燥DMF (250mL)に溶解し、DIPEA (87ml、510mmol)およびブロモ酢酸tert-ブチル(45mL、306mmol)を溶液に添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、DMFを減圧下で(50℃にて)除去した。残留物を水(500mL)に懸濁させ、DCM (3×500mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶離ヘキサン/酢酸エチル9:1〜7:3)によって精製して、Fmoc-Lys(ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル))-OBnを淡黄色油として得た。混合画分のクロマトグラフィーを繰り返した。
収量: 54.24g (77%)。
1H NMRスペクトル (300MHz, CDCl3): δ 7.76 (d, J=7.2Hz, 2H); 7.60 (d, J=6.6Hz, 2H); 7.45〜7.23 (m, 9H); 5.51 (d, 2H); 5.17 (dd, 2H); 4.44〜4.30 (m, 2H); 4.20〜3.95 (m, 2H); 3.41 (s, 4H); 2.65〜2.58 (m, 3H)、1.96〜1.30 (m, 6H)、1.45 (s, 18H)。
【0186】
Fmoc-Lys(ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル))-OBn (54.24g、79mmol)をメタノール(500mL)に溶解した。パラジウム炭素(5wt%、3.35g)を溶液に添加した。懸濁液を水素雰囲気下室温で撹拌した。3時間後、混合物をセライトに通して濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM/メタノール95:5)によって精製して、表題化合物Fmoc-Lys(ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル))-OHを白色固体として得た。
収量: 31.4g (67%)。
融点: 51〜52℃。
1H NMRスペクトル (300MHz, CDCl3): δ 7.76 (d, J=7.3Hz, 2H); 7.60 (d, J=6.6Hz, 2H); 7.39 (t, J=7.3Hz, 2H); 7.30 (t, J=7.4Hz, 2H); 5,67 (d, J=7.2Hz, 1H); 4.31〜4.53 (m, 3H); 4.17〜4.26 (m, 1H); 3.54 (s, 1H); 2.64〜2.91 (m, 2H); 1.44 (s, 18H)、1.19〜1.99 (m, 6H)。
【0187】
(S)-2-Fmoc-アミノ-3-{2-[ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ]アセチルアミノ(aetylamino)}プロピオン酸の調製
【0188】
【化27】

【0189】
乾燥THF (60ml)中のビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸(1.0g、3.3mmol)に、DIPEA (0.84ml、4.9mmol)およびTSTU (1.78g、4.9mmol)を添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチル(75ml)と水中5%クエン酸(75ml)との混合物によって分割した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空除去した。得られた粗製のビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステルは、さらなる合成に十分純粋であった。
【0190】
THF (50mL)中の(S)-3-アミノ-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)プロピオン酸(Fmoc-Dap-OH; 1.0g、3.06mmol)に、DIPEA (0.52mL、3.06mmol)およびビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(2.43g、6.12mmol)を添加し、混合物を3時間撹拌した後、溶媒を真空除去した。粗生成物を分取HPLCに供して、1.2g (64%収率)の(S)-2-Fmoc-アミノ-3-{2-[ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ]アセチルアミノ}プロピオン酸を得た。
【0191】
16-(3-カルボキシ-プロパン-1-スルホニルアミノ)-16-オキソ-ヘキサデカン酸tert-ブチルエステルの調製
【0192】
【化28】

【0193】
ヘキサデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(5.14g、15.0mmol)を、DCM (30ml)およびMeCN (30ml)に溶解した。カルボニルジイミダゾール(2.51g、15.45mmol)を添加し、混合物を2時間撹拌した。DCM (30ml)中の(4-スルファモイル)酪酸メチルエステル(2.72g、15.0mmol)の溶液を添加し、続いてDBU (2.69ml、18mmol)を添加した。混合物を終夜撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残留物を、0.2Mのクエン酸緩衝水溶液pH4.5 (緩衝液の調製: 0.2molのクエン酸および0.35molのNaOHを1リットルの水に溶解した)で処理した。20分後、得られた沈殿物を濾過によって収集し、水(150ml)で洗浄した。
【0194】
この生成物を、MeOH (70ml)およびTHF (20ml)に溶解した。1MのNaOH水溶液(13ml、13mmol)をゆっくり添加し、混合物を撹拌した。40分後、新たに1回分の1MのNaOH水溶液(14.3ml、14.3mmol)をゆっくり添加した。混合物を終夜撹拌し、次いで、水(150ml)と0.2Mのクエン酸緩衝水溶液pH4.5 (150ml)との混合物に注ぎ入れた。1時間後、得られた沈殿物を濾過によって収集し、水(100ml)で洗浄し、乾燥させて、粗製の表題化合物を得た。アセトン(300ml)からの再結晶により、2.44g (33%収率)の16-(3-カルボキシ-プロパン-1-スルホニルアミノ)-16-オキソ-ヘキサデカン酸tert-ブチルエステルを得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.23 (m, 20H)、1.39 (s, 9H)、1.48 (m, 4H)、1.84 (m, 2H)、2.16 (t, J 7Hz, 2H)、2.24 (t, J 7Hz, 2H)、2.38 (t, J 7Hz, 2H)、3.37 (m, 3.33ppmの水のピークと部分的に重複する)。
【0195】
環化ステップを含む合成手順の典型的な例は、下記の通りである。
【0196】
(実施例1)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0197】
【化29】

【0198】
実施例1のステップA:保護ペプチド樹脂Fmoc-c[Glu-Hyp(tBu)-D-Phe-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Lys]-NH-Rinkリンカー-ポリスチレン
合成は、MultiSynthTech合成機を使用して実施した。Fmoc-RinkアミドAM樹脂(10.56g、7.5mmol; 4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシアセトアミドノルロイシルアミノメチルポリスチレン樹脂; 200〜400メッシュ; 0.71mmol/g; Novabiochem 01-64-0038)を焼結ガラス反応器に投入し、NMP (105ml)中で膨潤させた。5分後に樹脂を排出した。
【0199】
Fmocの除去
樹脂を、NMP中20%ピペリジンの溶液(105ml)で3分間処理した。樹脂を排出し、手順を2回繰り返した。樹脂をNMP (105ml)で6回洗浄した。
【0200】
Fmoc-Lys(Mtt)-OHによるアシル化
別個のフラスコ中、NMP (30ml)およびDCM (52.5ml)中のFmoc-Lys(Mtt)-OH (14.06g、22.5mmol)に、HOBtの溶液(NMP中1M、22.5ml)を添加した後、DIC (3.48ml、22.5mmol)を滴下添加した。20分後、溶液を樹脂に添加し、混合物を20分間かき混ぜた後、DIPEA (7.97ml、45mmol)を添加した。混合物を100分間かき混ぜた後、樹脂を排出し、NMP (105ml)で4回洗浄した。
【0201】
Fmoc-Trp(Boc)-OHによるアシル化
Fmoc基は、上述した通りに除去した。
【0202】
別個のフラスコ中、NMP (30ml)およびDCM (52.5ml)中のFmoc-Trp(Boc)-OH (11.85g、22.5mmol)に、HOBtの溶液(NMP中1M、22.5ml)を添加した後、DIC (3.48ml、22.5mmol)を滴下添加した。20分後、溶液を樹脂に添加し、混合物を20分間かき混ぜた後、DIPEA (7.97ml、45mmol)を添加した。混合物を100分間かき混ぜた後、樹脂を排出し、NMP (105ml)で4回洗浄した。
【0203】
同様の手順を使用して、下記のアミノ酸を連続して樹脂に付着させた: Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-D-Phe-OH、Fmoc-Hyp(tBu)-OHおよびFmoc-Glu(2-フェニルイソプロピルオキシ)-OH。
【0204】
LysおよびGluの選択的側鎖脱保護
樹脂を、DCM中の2% TFAおよび3%トリイソプロピルシランの溶液(110ml)とともに10分間振とうし、排出した。手順を6回繰り返した。樹脂を、DCM (105ml)で4回、DCM中10% DIPEA (105ml)で2回およびDCM (105ml)で6回洗浄した。
【0205】
GluによるLysの側鎖環化
別個のフラスコ中、NMP (42ml)およびDCM (57ml)中のPyBOB (11.71g、22.5mmol)に、HOBtの溶液(NMP中1M、22.5ml)を添加した。この混合物、続いてDIPEA (7.71ml、45mmol)を樹脂に添加し、混合物を16時間かき混ぜた。樹脂を排出し、NMP (105ml)で4回およびDCM (105ml)で10回洗浄し、真空乾燥させた。
【0206】
実施例1のステップB:自動ペプチド合成
ステップAによって得た保護ペプチド樹脂Fmoc-c[Glu-Hyp(tBu)-D-Phe-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Lys]-NH-Rink AMリンカー-ポリスチレン(0.25mmol)を、ABI-433Aペプチド合成システム上の反応槽に投入し、下記の酸を連続して樹脂に付着させた: Fmoc-Nle-OH、Fmoc-Lys(Dde)-OH、Fmoc-His(Trt)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸および16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカン酸(WO 2007/009894に記載されている合成手順によって入手可能)。
【0207】
実施例1のステップC: Lys側鎖における固相アシル化および生成物の単離
樹脂をヒドラジン水和物(DMF中2%、3×3分)で引き続き処理した後、樹脂をNMP (5×)で洗浄した。
【0208】
別のフラスコ中、NMP (3ml)中のビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸(379mg、1.25mmol;上述した合成手順によって入手可能)に、TSTU (376mg、1.25mmol)およびDIPEA (214μL、1.25mmol)を添加した。混合物を1時間撹拌した後、これを樹脂に移した。反応混合物を3時間かき混ぜた。混合物を濾過し、樹脂をNMP (5×)およびDCM (6×)で洗浄した。生成物を樹脂から切断し、一般的手順の名で記載した通りに精製して、ペプチドトリフルオロ酢酸塩を白色固体として得た。窒素特異的HPLC検出器(上記参照)に基づき、得られた生成物の収率は、TFAを含まないペプチドの72mgに相当する0.0337mmol (13%)であった。
LCMS (システム1):保持時間= 2.16分; ((M+2)/2) = 1068.0
【0209】
(実施例2)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-β-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0210】
【化30】

【0211】
ペプチド[2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ]アセチル-Gly-Ser-Gln-His-β-Dap-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2は、実施例1について記載したステップAおよびステップBの手順と同様に調製した。β-Dap残基を導入するために、Boc-Dap(Fmoc)-OHを使用した。樹脂からの切断、エーテル沈殿および精製は、上述した一般的手順と同様に行った。次いで、β-Dap残基の遊離窒素原子におけるN-アシル化を下記の方式で実施した。
【0212】
液相N-アシル化およびtert-ブチル基の除去
小型試験管中、ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ酢酸(20mg、0.065mmol)およびTSTU (20mg、0.065mmol)をNMP (0.6ml)と混合した。DIPEA (0.027ml、0.156mmol)を添加して、帯黄色溶液を得た。管に蓋をし、2時間振とうした。次いで、得られた黄色OSuエステル溶液を、後述するアシル化に使用した。
【0213】
試験管中、ペプチド[2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ]アセチル-Gly-Ser-Gln-His-β-Dap-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2のTFA塩(0.026mmol)をNMP (1.2ml)に溶解した。DIPEA (0.029ml、0.169mmol)を添加した。得られた無色透明溶液に、OSuエステル溶液(0.6ml)を添加した。管に蓋をし、振とうした。LCMSは、3時間後に反応の完了を示した。22時間振とうした後、反応混合物をジエチルエーテル(40ml)に滴下した。得られた沈殿物を遠心分離によって収集し、ジエチルエーテル(40ml)で再度洗浄した。液相を遠心分離によって除去した。これにより、粘着性の白〜帯黄色の残留物を得た。TFA (9ml)中のトリイソプロピルシラン(0.5ml)およびエタンジチオール(ethandithiol) (0.5ml)の予混合溶液を、粘着性の残留物に添加した。得られた無色透明溶液を80分間撹拌し、次いで濃縮して、液体残留物(約2ml)を得た。液体をジエチルエーテル(40ml)で処理して、白色沈殿物を得た。沈殿物を遠心分離によって収集し、ジエチルエーテル(40ml)で再度洗浄し、乾燥させて、白色固体を得た。HPLC精製およびフリーズドライにより、標的ペプチドを白色固体として得た。得られた生成物TFA塩の収率は、塩を含まないペプチドの23mg (13%)に相当するものであった。
LCMS (システム1):保持時間= 2.03分; ((m+2)/2) = 1047.0
【0214】
(実施例3)
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0215】
【化31】

【0216】
ペプチド(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2は、実施例1について記載したステップAおよびステップBの手順と同様に調製した。樹脂からの切断およびエーテル沈殿を、上述した一般的手順と同様に行って、粗製のペプチドTFA塩を得た。次いで、Lys側鎖における還元的アルキル化を下記の方式で実施した。
【0217】
グリオキサル酸による液相還元的ジアルキル化
粗ペプチド(0.25mmolのRink AM樹脂から)を、MeOH (8.5ml)、N-メチルホルムアミド(5ml)、水(3.4ml)および0.2Mのクエン酸緩衝液pH4.5 (4.5ml、0.9mmol;緩衝液の調製:クエン酸0.2MおよびNaOH 0.35M)の混合物に溶解した。グリオキサル酸一水和物(0.212g、2.3mmol)およびMeOH (0.6ml)中のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.057g、0.91mmol)の新しく調製した溶液を添加した。混合物を約24時間撹拌した。LCMSは、N,N-ジアルキル化の完了を示した。混合物を減圧下で濃縮して、液体残留物を得た。これを水で希釈し、TFA (0.25ml)で酸性化した。HPLC精製およびフリーズドライにより、標的ペプチドを白色固体として得た。得られた生成物TFA塩の収率は、塩を含まないペプチドの50mg (8%)に相当するものであった。
LCMS (システム2):保持時間= 2.14分; ((m+2)/2) = 1263.4
【0218】
代替として、Lys(ビスカルボキシメチル)残基は、Fmoc-Lys(ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル))-OH(上述した合成手順によって入手可能)を使用して導入されうる。
【0219】
(実施例4)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0220】
【化32】

【0221】
該化合物は、実施例1について記載したステップAおよびステップBの手順と同様に調製した。Dap(BCMA)残基を、(S)-2-Fmoc-アミノ-3-{2-[ビス(tert-ブトキシカルボニルメチル)アミノ]アセチルアミノ}プロピオン酸(上述した合成手順によって入手可能)を使用して導入した。得られたペプチドTFA塩の収率は、塩を含まないペプチドの56mg (11%)に相当するものであった。
LCMS (システム1):保持時間= 2.29分; ((m+2)/2) = 1022.0
【0222】
(実施例5)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0223】
【化33】

【0224】
保護ペプチド樹脂[2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ]アセチル-Gly-Ser(tBu)-Gln(Trt)-Ser(tBu)-Lys(Dde)-Nle-c[Glu-Hyp(tBu)-D-Phe-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Lys]-NH-Rink AMリンカー-ポリスチレンは、実施例1について記載したステップAおよびステップBの手順と同様に調製した。樹脂を、ヒドラジン水和物(DMF中2%、3×3分)で引き続き処理した後、樹脂をNMP (5×)で洗浄した。次いで、Lys側鎖における固相還元的ジアルキル化を下記の方式で実施した。樹脂を、NMP/MeOH/酢酸7:3:1中のグリオキサル酸(10当量)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(15当量)の溶液で16時間処理した。樹脂からの切断、精製およびフリーズドライにより、ペプチドを白色固体として得た。得られた生成物TFA塩の収率は、塩を含まないペプチドの45mg (9%)に相当するものであった。
LCMS (システム1):保持時間= 2.24分; ((m+2)/2) = 1014.5
【0225】
(実施例6)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0226】
【化34】

【0227】
該化合物は、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム3):保持時間= 3.98分; ((m+2)/2) = 1018.5
【0228】
(実施例7)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0229】
【化35】

【0230】
該化合物は、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間= 2.07分; ((m+2)/2) = 1039.5
【0231】
(実施例8)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Orn(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0232】
【化36】

【0233】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間= 2.07分; ((m+2)/2) = 1061.0
【0234】
(実施例9)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0235】
【化37】

【0236】
該化合物は、実施例2について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム3):保持時間=4.25分; ((m+2)/2) = 1047.3
【0237】
(実施例10)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dab(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0238】
【化38】

【0239】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.07分; ((m+2)/2) = 1054.0
【0240】
(実施例11)
[2-(2-{4-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルスルファモイル]ブタノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0241】
【化39】

【0242】
該化合物は、ビルディングブロック、4-(N-(16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイル)スルファモイル)酪酸(WO 2007/009894に記載されている合成手順によって入手可能)を使用することにより、実施例2について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.16分; ((m+2)/2) = 1121.5
【0243】
(実施例12)
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0244】
【化40】

【0245】
該化合物は、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム2):保持時間=5.08分; ((m+2)/2) = 1299.3
【0246】
(実施例13)
{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0247】
【化41】

【0248】
該化合物は、ビルディングブロック、ヘキサデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(U. Widmer、Synthesis 1983、135頁に記載されている合成手順によって入手可能)を使用することにより、実施例4について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.07分; ((m+2)/2) = 1028.0
【0249】
(実施例14)
(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0250】
【化42】

【0251】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.21分; ((m+2)/2) = 1239.6
【0252】
(実施例15)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0253】
【化43】

【0254】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.20分; ((m+2)/2) = 1043.0
【0255】
(実施例16)
(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0256】
【化44】

【0257】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=1.98分; ((m+2)/2) = 1264.7
【0258】
(実施例17)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Glu-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0259】
【化45】

【0260】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.08分; ((m+2)/2) = 1083.0
【0261】
(実施例18)
(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0262】
【化46】

【0263】
該化合物は、ビルディングブロック、オクタデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(U. Widmer、Synthesis 1983、135頁に記載されている合成手順によって入手可能)を使用することにより、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.24分; ((m+2)/2) = 1179.1
【0264】
(実施例19)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0265】
【化47】

【0266】
該化合物は、実施例2について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.28分; ((m+2)/2) = 1060.0
【0267】
(実施例20)
(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0268】
【化48】

【0269】
該化合物は、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム2):保持時間=5.08分; ((m+2)/2) = 1299.3
【0270】
(実施例21)
{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0271】
【化49】

【0272】
該化合物は、実施例1について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.24分; ((m+2)/2) = 1024.0
【0273】
(実施例22)
{2-[2-(2-{2-[2-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-β-Ala-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0274】
【化50】

【0275】
該化合物は、ビルディングブロック、イコサン二酸モノ-tert-ブチルエステル(U. Widmer、Synthesis 1983、135頁に記載されている合成手順によって入手可能)を使用することにより、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム2):保持時間=5.35分; ((m+2)/2) = 1308.2
【0276】
(実施例23)
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【0277】
【化51】

【0278】
該化合物は、実施例3について記載した手順と同様に調製した。
LCMS (システム1):保持時間=2.31分; ((m+2)/2) = 1031.5
【0279】
(実施例24)
水中における化合物の溶解性データ
1mg/mlの化合物を含有するH2O中のストック溶液から、8〜11アリコートを取り出し、HAc/NaOHで個々にpH調整して、全pH範囲を網羅する。室温で3日間インキュベーション後、試料を20.000gで20分間遠心分離し、pHを測定し、UV検出(e(280nm)=5500M-1cm-1)による上清中の含有量の定量化によって溶解性を決定する。
【0280】
【表2】

【0281】
【表3】

【0282】
【表4】

【0283】
【表5】

【0284】
【表6】

【0285】
【表7】

【0286】
【表8】

【0287】
【表9】

【0288】
【表10】

【0289】
【表11】

【0290】
【表12】

【0291】
【表13】

【0292】
【表14】

【0293】
【表15】

【0294】
【表16】

【0295】
【表17】

【0296】
【表18】

【0297】
【表19】

【0298】
【表20】

【0299】
【表21】

【0300】
【表22】

【0301】
【表23】

【0302】
薬理学的方法
アッセイ(I) -不断給餌ラットモデルを使用する、MC4類似体での食欲に対する有効性試験の実験プロトコール
実験には、M&B Breeding and Research Centre A/S、DenmarkのTAC:SPRD @molラットまたはウィスター系ラットを使用する。ラットは、実験開始時には200〜250gの体重を有する。ラットは実験開始の少なくとも10〜14日前に到着し、このときの体重は180〜200gである。各用量の化合物を8匹のラット群において試験する。8匹のラットのビヒクル群を各試験セットに含める。
【0303】
動物が到着したら、日中は消灯し、夜間は点灯することを意味する逆転した明/暗相(午前7:30に消灯、午後7:30に点灯)で個々に飼育する。ラットは一般に光が除去されると食物摂取を開始し、夜の間にその1日分の食物摂取量の大部分を食べるので、この設定は、食物摂取の開始時刻を、光のスイッチがオフになる午前7:30へ変化させる。10〜14日の馴化期間中、ラットは食物および水を自由に摂取することができる。この期間中に、動物は少なくとも3回処理される。実験はラットのホームケージ内で行う。投薬の直前に、ラットを体重により種々の処置群(n 8)に無作為化する。ラットに、体重に応じて1〜3mg/kgの溶液を、午前7:00〜午前7:45の間に、腹腔内(ip)、経口(po)または皮下(sc)投与によって投薬する。投薬時刻を各群について記録する。投薬後、ラットをホームケージに戻し、そこで食物および水に自由に摂取させる。食物消費量を、最初の7時間は毎時、次いで24時間後、時折48時間後に、個々に記録する。実験セッションの終わりに、動物を安楽死させる。
【0304】
個々のデータはMicrosoftエクセルシートに記録する。異常値についてのグラブス統計評価試験を適用した後、異常値を除外し、GraphPadプリズムプログラムを使用して結果を図表により提示する。
【0305】
【表24】

【0306】
【表25】

【0307】
アッセイ(II) - AlphaScreen (商標) cAMP検出キットを使用する、メラノコルチン受容体3および5 (MC3およびMC5) cAMP機能アッセイ
MC3およびMC5受容体についてのcAMPアッセイは、MC3およびMC5受容体をそれぞれ安定に発現している細胞(HEK293またはBHK細胞のいずれか)に対して実施する。受容体をPCRによってcDNAからクローニングし、pcDNA3発現ベクターに挿入する。1mg/mlのG418を使用して、安定なクローンを選択する。
【0308】
約80〜90%集密の細胞を、PBSで3回洗浄し、バーセン液でプレートから取り出し、PBS中で希釈する。次いで、それを1300rpmで2分間遠心分離し、上清を除去する。細胞を刺激緩衝液(5mMのHEPES、0.1%のオボアルブミン、0.005%のTween (商標) 20および0.5mMのIBMX、pH7.4)で2回洗浄し、次いで、刺激緩衝液に1×106または2×106細胞/mlの最終濃度まで再懸濁させる。25μlの細胞懸濁液を、25μlの試験化合物または参照化合物(すべて刺激緩衝液中で希釈したもの)を含有するマイクロタイタープレートに添加する。プレートを、低速振とうに設定したプレートシェーカー上で室温(RT)にて30分間インキュベートする。抗cAMPを加えた25μlのアクセプタービーズ、2分後に、細胞溶解緩衝液中のビオチン化cAMPを加えた1ウェル当たり50μlのドナービーズを添加することにより、反応を停止させる。次いで、プレートをプラスチックで密封し、30分間振とうし、終夜静置させ、その後、Alpha (商標)マイクロプレートリーダーで計数する。
【0309】
Windows (登録商標)プログラムGraphPad (商標)プリズム(GraphPad (商標) Software、USA)を使用する用量/応答曲線の非線形回帰分析(6点最小)によって、EC50値を算出する。すべての結果をnMで表現する。
【0310】
MC3機能cAMPアッセイにおいてアンタゴニスト活性を測定するために、MC3受容体を3nMのα-MSHで刺激し、潜在的アンタゴニストの量を増大させることによって阻害する。アンタゴニストのIC50値は、MC3刺激を50%阻害する濃度と定義される。
【0311】
アッセイ(III) -メラノコルチン受容体4 (MC4) cAMPアッセイ
MC4受容体を発現しているBHK細胞を、潜在的MC4アゴニストで刺激し、Flash Plate (登録商標) cAMPアッセイ(NEN (商標) Life Science Products、カタログ番号SMP004)を使用してcAMPの刺激の程度を測定する。
【0312】
MC4受容体をコードするcDNAをBHK570/KZ10-20-48にトランスフェクトし、MC4受容体を発現している安定なクローン用に選択することによって、MC4受容体発現BHK細胞を生成する。MC4受容体cDNAおよびMC4受容体を発現しているCHO細胞株は、Euroscreen (商標)から購入できる。細胞を、DMEM、10%のFCS、1mg/mlのG418、250nMのMTXおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシン中で成長させる。
【0313】
約80〜90%集密の細胞を、PBSで3回洗浄し、バーセン液でプレートから取り出し、PBS中で希釈する。次いで、それを1300rpmで2分間遠心分離し、上清を除去する。細胞を刺激緩衝液で2回洗浄し、刺激緩衝液に2×106細胞/mlの最終濃度まで再懸濁させる(その消費量: 96ウェルマイクロタイタープレート当たり7ml)。50μlの細胞懸濁液を、50μlの試験化合物または参照化合物(すべて、PBS、0.1%のHSAおよび0.005%のツイン中で希釈したもの)を含有するフラッシュプレートに添加する。混合物を5分間振とうし、次いで室温で25分間静置させる。1ウェル当たり100μlの検出ミックス(検出ミックス 11mlの検出緩衝液+ 100μl (約2μCi)のcAMP [125I]トレーサー)の添加により、反応を停止させる。次いで、プレートをプラスチックで密封し、30分間振とうし、終夜(または2時間)静置させ、次いで、トップカウンター(2分/ウェル)で計数する。アッセイ手順および緩衝液は、概してフラッシュプレートキットプロトコール(Flash Plate (登録商標) cAMPアッセイ(NEN (商標) Life Science Products、カタログ番号SMP004))において記載されている通りである。しかしながら、cAMP標準は、刺激緩衝液中ではなく、0.1%のHSAおよび0.005%のTween (商標) 20を加えたPBS中で希釈される。
【0314】
Windows (登録商標)プログラムGraphPad (商標)プリズム(GraphPad Software、USA)を使用する用量/応答曲線の非線形回帰分析(6点最小)によって、EC50値を算出する。すべての結果をnMで表現する。
【0315】
アッセイ(IV) -メラノコルチン受容体1 (MC1)結合アッセイ
MC1受容体を安定に発現しているBHK細胞膜に対して、MC1受容体結合アッセイを実施する。アッセイは、総体積250μl: 25μlの125NDP-α-MSH (最終濃度で22pM)、25μlの試験化合物/対照および200μlの細胞膜(25μg/ml)中で実施する。試験化合物をDMSOに溶解する。放射活性標識リガンド、膜および試験化合物を、緩衝液: 25mMのHEPES、pH7.4、0.1mMのCaCl2、1mMのMgSO4、1mMのEDTA、0.1%のHSAおよび0.005%のTween (商標) 20中で希釈する。代替として、HSAをオボアルブミンで代用してよい。試料を、Costar丸底(round-botton)マイクロタイタープレート中、30℃で90分間インキュベートする。Packardハーベスターフィルターメイト上での濾過によってインキュベーションを終了させる。ポリエチレンイミン(polyetylenimine)で前処理したPackardユニフィルター-96 GF/Bフィルター(PerkinElmer 6005277)に通す急速濾過を行う。フィルターを氷冷0.9% NaClで8〜10回洗浄する。プレートを約55℃で30分間風乾させ、50μlのマイクロシント0 (Packard、カタログ番号6013616)を各ウェルに添加する。プレートをトップカウンター(1分/ウェル)で計数する。
【0316】
Windows (登録商標)プログラムGraphPad (商標)プリズム(GraphPad Software、USA)を使用する結合曲線の非線形回帰分析によって、データを分析する。
【0317】
【表26A】

【0318】
【表26B】

【0319】
【表26C】

【0320】
アッセイ(V) -メラノコルチン受容体4 (MC4)結合アッセイ
ヒトMC4受容体を発現している組換えBHK細胞とのインビトロ125NDP-α-MSH結合(濾過アッセイ)
アッセイは、5mlのミニソーブ(minisorb)バイアル(Sarstedt、55.526番)中または96ウェルフィルタープレート(Millipore MADVN 6550)中、ヒトMC4受容体を安定に発現しているBHK細胞を使用して実施する。膜は、20mMのHEPES pH7.1、5mMのMgCl2および1mg/mlのバシトラシン中で均質化し、Sorvall RC 5Bプラス、SS-34ローター中、15000rpm、4℃で10分間遠心分離した凍結または新鮮細胞から調製した。上清を廃棄し、ペレットを緩衝液に再懸濁させ、均質化し、さらに2回遠心分離した。最終ペレットを上述した緩衝液に再懸濁させ、タンパク質濃度を測定し、緩衝液で14〜17mg/mlに調整し、膜調製物をアッセイまで-80℃に保った。アッセイは、さらに調製することなく、この細胞膜懸濁液の希釈物に対して直接実行した。BHK細胞膜をアッセイまで-80℃に保ち、アッセイは、さらに調製することなく、この細胞膜懸濁液の希釈物に対して直接実行する。懸濁液を希釈して最大10%の特異的結合を得る、すなわち、約50〜100倍希釈物を得る。アッセイは、総体積200μl: 50μlの細胞懸濁液、50μlの125NDP-α-MSH (最終濃度で≒79pM)、50μlの試験化合物、および混合して25℃で2時間インキュベートした50μlの結合緩衝液(pH7) [結合緩衝液: 25mMのHEPES、pH7.0、1mMのCaCl2、1mMのMgSO4、1mMのEGTA、0.02%のバシトラシン、0.005%のTween (商標) 20および0.1%のHSAまたは0.1%のオボアルブミン(Sigma、カタログ番号A-5503)]中で実施する。試験化合物をDMSOに溶解し、結合緩衝液中で希釈する。放射性標識リガンドおよび膜を結合緩衝液中で希釈する。2×100μlの氷冷0.9% NaClでの希釈によってインキュベーションを停止させる。Cobra II自動ガンマカウンターを使用して、フィルター上で保持されている放射活性を計数する。
【0321】
Windows (登録商標)プログラムGraphPad (商標)プリズム(GraphPad Software、USA)を使用する結合曲線の非線形回帰分析によって、データを分析する。
【0322】
アッセイ(VI) -エネルギー消費量の評価
M&B Breeding and Research Centre A/S、DenmarkのTAC:SPRDラットまたはウィスター系ラットを使用する。少なくとも1週間の馴化後、ラットを個々に代謝チャンバー(オキシマックスシステム、Columbus Instruments、Columbus、Ohio、USA;システムは毎日較正する)に入れる。測定中、動物は水は自由に摂取できるが、チャンバーに食物は提供されない。明:暗サイクルは12時間:12時間とし、6:00に光のスイッチをオンにする。動物がチャンバー内で少なくとも約2時間過ごした後(すなわち、ベースラインエネルギー消費量に達したら)、試験化合物またはビヒクルを投与(po、ipまたはsc)し、試験化合物の作用時間を証明するために記録を続ける。各動物についてのデータ(酸素消費量、二酸化炭素産生量および流速)を、10〜18分ごとに計22時間(2時間の順応(ベースライン)および20時間の測定)収集する。流入空気中におけるO2およびCO2含有量の変化の補正を、それぞれ10〜18分サイクルで行う。
【0323】
代謝体重[(kg体重) 0.75]当たりの酸素消費量および二酸化炭素産生量、ならびに動物1匹当たりの熱について、データを算出する。酸素消費量(VO2)は、興味深い主要なエネルギー消費量パラメーターとして扱われる。
【0324】
アッセイ(VII) -アルブミンとの結合の評価
試験化合物を機能アッセイ(アッセイIII)および結合アッセイ(アッセイV)において試験し、ここで、アッセイIIIはHSAを含有し、アッセイVはオボアルブミンを含有する。アッセイIIIからEC50値を、アッセイVからKi値を決定する。次いで、EC50/Ki比を算出する。アルブミン結合がない場合、EC50/Ki比は1以下となる。アルブミンとの結合が強くなるにつれて、比率は高くなり、故に、アルブミン結合試験化合物について、EC50/Ki比は、≧10、例えば≧100等、≧1となる。
【0325】
アッセイ(VIII) -メラノコルチン受容体3 (MC3)結合アッセイ
ヒトMC3受容体を安定に発現しているBHK細胞膜に対して、MC3受容体結合アッセイを実施する。ヒトMC3受容体をPCRによってクローニングし、pcDNA3発現ベクターにサブクローニングする。ヒトMC3受容体を安定に発現している細胞は、発現ベクターをBHK細胞にトランスフェクトし、G418を使用してMC3クローン用に選択することによって発生する。グルタマックス、10%のFCS、1%のペニシリン/ストレプトマイシンおよび1mg/mlのG418を加えたDMEM中、37℃かつ5%のCO2で、BHK MC3クローンを培養する。
【0326】
下記の手法で調製した膜調製物に対して、結合を実施する。
細胞をPBSですすぎ、バーセン液とともに約5分間インキュベートした後、集菌する。細胞をPBSで洗い、細胞懸濁液を2800×Gで10分間遠心分離する。ペレットを20mlの緩衝液(20mMのトリスpH7.2 + 5mMのEDTA + 1mg/mlのバシトラシン(Sigma B-0125))に再懸濁させ、ガラス-テフロンホモジナイザーで10回、低速で均質化する。細胞懸濁液を、4℃、4100×Gで20分間遠心分離する。ペレットを緩衝液に再懸濁させ、膜を緩衝液中1mg/mlのタンパク質濃度に希釈し、アリコートにし、使用するまで-80℃に保つ。
【0327】
アッセイは、100μlの体積で実施する。下記の順序で、25μlの試験化合物、25μlの125I-NDP-α-MSH (約60000cpm/ウェル、最終濃度で約0.25nM)および50μlの膜(30μg/ウェル)を混合し、Costar丸底ウェルマイクロタイタープレート(カタログ番号3365)中でインキュベートする。試験化合物をDMSOまたはH2Oに溶解する。放射性リガンド、膜および試験化合物を、緩衝液; (25mMのHEPES pH7.4、1mMのCaCl2、5mMのMgSO4、0.1%のオボアルブミン(Sigma A-5503)、0.005%のツイン-20および5%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(97%、Acros organics、コード297561000)中で希釈する。アッセイ混合物を20〜25℃で1時間インキュベートする。Packardハーベスターフィルターメイト196上での濾過によってインキュベーションを終了させる。0.5%のポリエチレンイミンで1時間前処理したPackardユニフィルター-96 GF/Bフィルターに通す急速濾過を行う。フィルターを氷冷0.9% NaClで8〜10回洗浄する。プレートを55℃で30分間風乾させ、50μlのマイクロシント0 (Packard)を添加する。PackardトップカウントNXTを使用して、フィルター上で保持されている放射活性を計数する。
【0328】
結果;ウィンドウズプログラムGraphPadプリズム、GraphPad software、USAを使用する結合曲線の非線形回帰分析(6点最小)によって、IC50値を算出する。Ki値は、チェン-プルソフ式[Y-C. ChengおよびW.H. Prusoff、Biochem. Pharmacol.、22 (1973) 3099〜3108頁]に従って算出した。
【0329】
アッセイ(IX) -メラノコルチン受容体5 (MC5)結合アッセイ
ヒトMC3受容体を安定に発現しているBHK細胞膜に対して、MC5受容体結合アッセイを実施する。ヒトMC5受容体をPCRによってクローニングし、pcDNA3発現ベクターにサブクローニングする。ヒトMC5受容体を安定に発現している細胞は、発現ベクターをBHK細胞にトランスフェクトし、G418を使用してMC5クローン用に選択することによって作製する。グルタマックス、10%のFCS、1%のペニシリン/ストレプトマイシンおよび1mg/mlのG418を加えたDMEM中、37℃かつ5%のCO2で、BHK MC5クローンを培養する。
【0330】
下記の手法で調製した膜調製物に対して、結合を実施する。
細胞をPBSですすぎ、バーセン液とともに約5分間インキュベートした後、集菌する。細胞をPBSで洗い流し、細胞懸濁液を2800×Gで10分間遠心分離する。ペレットを20mlの緩衝液(20mMのトリスpH7.2 + 5mMのEDTA + 1mg/mlのバシトラシン(Sigma B-0125))に再懸濁させ、ガラス-テフロンホモジナイザーで10回、低速で均質化する。細胞懸濁液を、4℃、4100×Gで20分間遠心分離する。ペレットを緩衝液に再懸濁させ、膜を緩衝液中1mg/mlのタンパク質濃度に希釈し、アリコートにし、使用するまで-80℃に保つ。
【0331】
アッセイは、100μlの体積で実施する。下記の順序で、25μlの試験化合物、25μlの125I-NDP-α-MSH (約60000cpm/ウェル、最終濃度で約0.25nM)および50μlの膜(10μg/ウェル)を混合し、Costar丸底ウェルマイクロタイタープレート、カタログ番号3365中でインキュベートする。試験化合物をDMSOまたはH2Oに溶解する。放射性リガンド、膜および試験化合物を、緩衝液; (25mMのHEPES pH7.4、1mMのCaCl2、5mMのMgSO4、0.1%のオボアルブミン(Sigma A-5503)、0.005%のツイン-20および5%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(97%、Acros organics、コード297561000)中で希釈する。アッセイ混合物を20〜25℃で1時間インキュベートする。Packardハーベスターフィルターメイト196上での濾過によってインキュベーションを終了させる。0.5%のポリエチレンイミンで1時間前処理したPackardユニフィルター-96 GF/Bフィルターに通す急速濾過を行う。フィルターを氷冷0.9% NaClで8〜10回洗浄する。プレートを55℃で30分間風乾させ、50μlのマイクロシント0 (Packard)を添加する。PackardトップカウントNXTを使用して、フィルター上で保持されている放射活性を計数する。
【0332】
結果:ウィンドウズプログラムGraphPadプリズム、GraphPad software、USAを使用する結合曲線の非線形回帰分析(6点最小)によって、IC50値を算出する。Ki値は、チェン-プルソフ式[Y-C. ChengおよびW.H. Prusoff、Biochem. Pharmacol.、22 (1973) 3099〜3108頁]に従って算出した。
【0333】
アッセイ(X) - FlashPlate (登録商標) cAMP検出キットを使用するメラノコルチン受容体3 (MC3) cAMP機能アッセイ
MC3含有BHK細胞を、潜在的MC3アゴニストで刺激し、FlashPlate (登録商標) cAMPアッセイ、カタログ番号SMP004、NEN (商標) Life Science Productsを使用してcAMPの刺激の程度を測定する。
【0334】
BHK/hMC3クローン5細胞
MC3受容体をコードするcDNAをBHK570にトランスフェクトし、hMC3受容体を発現している安定なクローン用に選択することによって、細胞を生成させる。細胞を、DMEM、10%のFCS、1mg/mlのG418および1%のペニシリン/ストレプトマイシン中で成長させる。
【0335】
約80〜90%集密の細胞をPBSで洗浄し、バーセン液でプレートから取り出し、PBS中で希釈する。1300rpmで5分間遠心分離後、上清を除去し、細胞を刺激緩衝液に2×106細胞/mlの最終濃度まで再懸濁させる。50μlの細胞懸濁液を、50μlの試験化合物または参照化合物(すべて、DMSOに溶解し、0.1%のHSA (Sigma A-1887)および0.005%のツイン20中で希釈したもの)を含有するフラッシュプレートに添加する。混合物を5分間振とうし、次いで室温で25分間静置させる。1ウェル当たり100μlの検出ミックス(検出ミックス 11mlの検出緩衝液+ 100μl (約2μCi)のcAMP [125I]トレーサー)により、反応を停止させる。次いで、プレートをプラスチックで密封し、30分間振とうし、終夜(または2時間)静置させ、次いで、トップカウンター、2分/ウェルで計数する(概して、キットプロトコールにおいて記載されているアッセイ手順に準ずるが、cAMP標準は、刺激緩衝液中ではなく、0.1%のHSAおよび0.005%のツイン20中で希釈されることに留意されたい)。
【0336】
結果
ウィンドウズプログラムGraphPadプリズム、GraphPad software、USAを使用する用量-応答曲線の非線形回帰分析(6点最小)によって、EC50値を算出する。結果をnMで表す。Emax値は、hMC3cAMPアッセイにおけるNDP-α-MSH最大刺激の% (最大NDP-α-MSH刺激100%)として算出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによる化合物:
R1-R2-C(O)-R3-S1-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-c[X1-X2-X3-Arg-X4-X5]-Z7-R4 [I]
[式中、
R1は、テトラゾール-5-イルまたはカルボキシを表し、
R2は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアリールから選択される1個または複数の置換基で場合により置換されていてもよい、直鎖、分枝鎖および/または環状C6〜20アルキレン、C6〜20アルケニレンまたはC6〜20アルキニレンを表し、
R3は、存在しないか、あるいは、-NH-S(O)2-(CH2)3〜5-C(O)-、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1もしくは2個のアミノ酸残基を含み、少なくとも1個のカルボキシ基を含有するペプチド断片を表し、
ここで、R3の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有してはならず、
S1は、存在しないか、または式IIa〜IIh;
-HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C( O)- [IIa]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C( O)]2- [IIb]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-C( O)]3-5- [IIc]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-NH-C( O)-CH2-CH2-CH2-C( O)]1-3- [IId]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-NH-C( O)-CH2-O-CH2-C( O)]1-3- [IIe]
-[HN-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-C( O)]1-3- [IIf]
-HN-CH2-CH2-[O-CH2-CH2]2-12-O-CH2-C( O)- [IIg]
-HN-CH2-CH2-[O-CH2-CH2]4-12-O-CH2-CH2-C( O)- [IIh]
の1つによるグリコールエーテルベースの構造を表し、
Z1は、存在しないか、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1〜4個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表し、
ここで、Z1の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有せず、
Z2は、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、His、D-His、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z3は、Gly、β-Ala、Ser、D-Ser、Thr、D-Thr、His、D-His、Asn、D-Asn、Gln、D-Gln、Glu、D-Glu、Asp、D-Asp、Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、HypまたはD-Hypを表し、
Z4は、Gly、Ala、β-Ala、D-Ala、Pro、D-Pro、Hyp、D-Hyp、Ser、D-Ser、ホモSer、D-ホモSer、Thr、D-Thr、Tyr、D-Tyr、Phe、D-Phe、Gln、D-Gln、Asn、D-Asn、2-PyAla、D-2-PyAla、3-PyAla、D-3-PyAla、4-PyAla、D-4-PyAla、HisまたはD-Hisを表し、
但し、残基Z2、Z3およびZ4の1つ以下がHisまたはD-Hisであり、
Z5は、式IIIa、IVa、Va、VIa、VIIa、VIIIa、IXa、Xa、IIIb、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIIIb、IXbまたはXb;
【化1】

の1つによる構造を表し、
ここで、式IIIa〜VIIIaおよびIIIb〜VIIIb中のnは、0、1、2、3または4であり、
式Va〜VIIIaおよびVb〜VIIIb中のmは、1または2であり、
式IXa、Xa、IXbおよびXb中のkは、0、1、2または3であり、
式I中のZ6は、Ala、D-Ala、Val、D-Val、Leu、D-Leu、Ile、D-Ile、Met、D-Met、Nle、D-Nle、Phe、D-Phe、Tyr、D-Tyr、TrpまたはD-Trpを表し、
X1は、Glu、Asp、Cys、ホモCys、Lys、Orn、DabまたはDapを表し、
X2は、His、Cit、Cgl、Cha、Val、Ile、tBuGly、Leu、Tyr、Glu、Ala、Nle、Met、Met(O)、Met(O2)、Gln、Gln(アルキル)、Gln(アリール)、Asn、Asn(アルキル)、Asn(アリール)、Ser、Thr、Cys、Pro、Hyp、Tic、Aze、Pip、2-PyAla、3-PyAla、4-PyAla、(2-チエニル)アラニン、3-(チエニル)アラニン、(4-チアゾリル)Ala、(2-フリル)アラニン、(3-フリル)アラニンまたはPheを表し、ここで、前記Pheのフェニル部分の1個または複数の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ベンゾイル、メチル、トリフルオロメチルおよびシアノの中から選択される置換基によって場合により独立に置換されていてもよく、
X3はD-Pheを表し、ここで、D-Phe中のフェニル部分の1個または複数の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチルおよびシアノの中から選択される置換基によって場合により独立に置換されていてもよく、
X4は、Trp、2-Nal、(3-ベンゾ[b]チエニル)アラニンまたは(S)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸を表し、
X5は、Glu、Asp、Cys、ホモCys、Lys、Orn、DabまたはDapを表し、
ここで、X1およびX5は結合して、いずれも独立にCysもしくはホモCysであるX1およびX5に由来するジスルフィド架橋を介して、またはX1の側鎖中のカルボン酸とX5の側鎖中のアミノ基との間、もしくはX5の側鎖中のカルボン酸とX1の側鎖中のアミノ基との間に形成されたアミド結合を介してのいずれかで、式Iの化合物を環状にしており、
Z7は、存在しないか、または天然もしくは非天然アミノ酸に由来する1〜3個のアミノ酸残基を含むペプチド断片を表し、
ここで、Z7の側鎖は、アミノ、グアニジノ、イミダゾリル、または中性pHで正に荷電した他の塩基性基を含有せず、
R4はOR’またはN(R’)2を表し、ここで、各R’は、独立に水素を表すか、または1個または複数のヒドロキシで場合により置換されていてもよいC1〜6アルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルを表す]
ならびにその薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物。
【請求項2】
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2;
【化2】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-β-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化3】

(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化4】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化5】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化6】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化7】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化8】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Orn(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化9】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化10】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dab(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化11】

[2-(2-{4-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルスルファモイル]ブタノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化12】

(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化13】

{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化14】

(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化15】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化16】

(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化17】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Glu-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化18】

(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-His-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化19】

(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化20】

(2-{2-[2-(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-β-Ala-Lys(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化21】

{2-[2-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-Ser-Gln-Ser-Lys(BCMA)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化22】

{2-[2-(2-{2-[2-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル-Gly-D-Ser-Gln-Ser-Ser-Gln-His-Lys(ビスカルボキシメチル)-β-Ala-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化23】

および
(2-{2-[16-(テトラゾール-5-イル)ヘキサデカノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル-Gly-Ser-Gln-Tyr-Dap(ビスカルボキシメチル)-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2
【化24】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
非インスリン依存性2型糖尿病からインスリン依存性2型糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項4】
肥満を治療するまたは過体重を予防する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項5】
食欲を調節する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項6】
満腹を誘発する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項7】
減量に成功した後の体重増加を予防する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項8】
過体重または肥満に関係する疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項9】
過食症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項10】
アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全および若年死のリスクから選択される疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項11】
肥満患者において、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全および若年死のリスクから選択される疾患または状況を治療する方法であって、それを必要とする肥満患者に、有効量の請求項1または2に記載の化合物を、1種または複数の追加の治療活性化合物と場合により組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項12】
前記追加の治療活性化合物が、抗糖尿病薬、抗脂質異常症薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、および糖尿病から生じるまたはそれに関連する合併症の治療薬から選択される、請求項3から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の化合物と1種または複数の添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項14】
療法において使用するための、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項15】
耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病への進行を遅延させる; 2型糖尿病からインスリン依存性糖尿病への進行を遅延させる;肥満を治療するまたは過体重を予防する;食欲を調節する;満腹を誘発する;減量成功後の体重再増加を予防する;エネルギー消費を亢進させる;過体重または肥満に関係する疾患または状況を治療する;過食症を治療する;むちゃ食いを治療する;アテローム性動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、IGT、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全、視床下部性無月経または若年死のリスクを治療する;あるいは、肥満患者において、2型糖尿病、IGT、脂質異常症、冠動脈性心疾患、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、癌、性機能不全、若年死のリスクから選択される疾患または状況を治療するため;神経保護を提供するため、虚血性心疾患に対する効果または抗炎症効果を及ぼすため、および自己免疫疾患、例えば多発性硬化症の治療のための、薬剤の製造における請求項1または2に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−509862(P2012−509862A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536897(P2011−536897)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065721
【国際公開番号】WO2010/060901
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511099685)
【Fターム(参考)】