説明

肥満または肥満に関連する疾患および障害の治療におけるカプサイシン受容体の活性の阻害

本発明は、カプサイシン受容体の活性を阻害することにより、哺乳動物において、カプサイシン受容体の活性を不活性化または下方制御することから利益を得る疾患または障害を治療する方法を提供する。本発明は、カプサイシン受容体の活性を阻害することにより、哺乳動物における肥満ならびに肥満関連疾患および障害を治療する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ヒトの薬剤の分野、特に、耐糖能異常、インスリン抵抗性、および真性糖尿病のような肥満に関連する疾患および障害の治療におけるものである。より詳細に言うと、本発明は、カプサイシン受容体の活性を調節する化合物を投与することにより、肥満に関連する疾患および障害を治療する方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
肥満およびそれに関連する障害は、非常に深刻で、世界規模の健康問題となっている。肥満およびそれに関連する障害の罹患率は、流行性に増加しており、患者にとって生活の質の大きな低下を伴い、社会にとって莫大な保健医療費を伴う1。予防戦略は、潜在的な糖尿病患者の機能的な能力を温存することだけでなく、かなりの利益の可能性を有する国家的な投資でもあることを証明した2,3。それ故、効果的な介入戦略の実行は、賢明に思われる4
【0003】
肥満誘発性の病態は、インスリン分泌の障害およびインスリン抵抗性の増大の両方の結果としての耐糖能異常の発現に関連する。肥満は、2型糖尿病、1型糖尿病、循環器病、高血圧、限定するものではないが、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、腎臓癌、子宮体癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、子宮頚癌、卵巣癌、胃癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫が含まれる癌、ならびに限定するものではないが、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、不妊症、およびインポテンスまたは勃起機能障害を含む生殖系の障害のような障害のクラスターを伴う。日々の運動と組み合わせて食事中の脂肪を減らすことによって、2型糖尿病を発症するリスクを58%減少させることができると示されている5。この改善は、メトホルミンのような薬理学的な処置の後に得られる利益を超えた。体重減少プログラムは、しかしながら、長期間にわたってしばしば成功せず、患者は体重が戻る傾向があり、集中的なモニタリングの後に彼らの以前の体重に戻る傾向がある。それ故、肥満誘発性障害に対する予防方法として持続的に体重を減少させることは、ますます難しいように思われる。現在、消化管の外科的な転形のみが長期間の成功を証明されている。薬剤的に、体重の減少は難しいことがわかっており;それ故、現在の肥満患者の治療は、肥満による合併症を予防または寛解することに向けられている。現在の通常の治療は十分でなく;それ故、肥満に関連する障害を予防するための代替の方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを投与することにより、哺乳動物におけるカプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することから利益を得る疾患または障害を治療する方法を提供する。
【0005】
本発明は、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを投与することにより、哺乳動物における肥満を治療する方法も提供する。
【0006】
本発明はさらに、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを投与することにより哺乳動物におけるカプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御する、哺乳動物における肥満に関連する疾患および障害を治療するための方法も提供する。
【0007】
本発明はさらに、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、1以上のさらなる活性薬剤と適切な割合で組み合わせて投与することにより、哺乳動物において肥満に関連する疾患および障害を治療するための方法も提供する。1以上のさらなる活性薬剤と組み合わせて用いる場合、化合物の組み合わせは、好ましくは、相乗的な組み合わせである。相乗作用は、単一の薬剤として投与された場合の化合物の相加作用よりも、組み合わせて投与された場合の化合物の効果が大きい場合に起こる。一般的に、相乗効果は、化合物の最適以下の濃度において最も明確に実証される。このようなさらなる活性薬剤は、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬、降圧剤、および肥満もしくは糖尿病の結果のまたは付随した合併症を治療するための薬剤から選択されてよい。
【発明の詳細な説明】
【0008】
本発明は、カプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することにより肥満または肥満に関連する疾患もしくは障害を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、それらを必要とする哺乳動物に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、肥満に関連する疾患または障害が以下から選択される方法を提供する:1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、循環器病、高血圧、インスリン抵抗性、癌、および生殖系の障害。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、前記癌が以下から選択される方法を提供する:大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、腎臓癌、子宮体癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、子宮頚癌、卵巣癌、胃癌、非ホジキンリンパ腫、および多発性骨髄腫。
【0011】
本発明のさらなる実施形態は、前記生殖系の障害が以下から選択される方法を提供する:多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、不妊症、およびインポテンスもしくは勃起機能障害。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、前記直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストが以下から選択される方法を提供する:天然物、合成有機化合物、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体断片、単鎖抗体、および抗体に基づく構築物。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬、および肥満または肥満に関連する疾患もしくは障害の結果のまたは付随した合併症の治療のための薬剤から選択される、さらなる活性薬剤と組み合わせて投与する方法を提供する。
【0014】
本発明のもう1つの実施形態において、製品または現在権利請求している方法において有用な物質を含むキットを提供する。前記製品は、容器およびラベルを含む。適切な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。前記容器は、ガラスまたはプラスチックのような種々の材料から形成されてよい。前記容器には、特異的にカプサイシン受容体の作用を阻害するのに有効な組成物を入れ、無菌の接触口を有していてよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の活性薬剤は、カプサイシン受容体アンタゴニストおよび/またはカプサイシンもしくはアナンダミド中和剤である。容器上のまたは付随したラベルは、前記組成物が肥満および/またはそれに関連する疾患の治療に対して有用であることを示す。製品は、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液のような薬学的に許容可能な緩衝液を含んでなる、第2の容器をさらに含んでよい。他の緩衝液、希釈液、フィルター、針、シリンジ、および使用のための説明が記載された添付文書を含む、商業的な最終消費者の立場から望ましい他の物質がさらに含まれてよい。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、肥満および肥満に関連する疾患に低い程度の炎症が付随する状態を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、それらを必要とする患者に対して投与することを含んでなる方法を提供する。
【0016】
肥満は、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を超える場合、正のエネルギーバランスの結果として起こる。通常の条件下で、過剰なエネルギーは脂肪として蓄えられる。例えばレプチンおよびインスリンのような末梢由来のいくつかの因子がこの過程により影響されると考えられており、いくらか知られている。これらの因子は、食物摂取の過程(および、おそらくエネルギー消費)に影響を及ぼすことができ、エネルギーバランスを中立に戻すことができる。このエネルギーバランスを調節する正常なフィードバックシステムは、肥満およびそれに関連する障害を予防する保護システムである。しかしながら、哺乳動物は、肥満誘発性疾患および障害の結果として、このフィードバックシステムを容易に無効にし得る。肥満誘発性障害は、例えばグルコースまたは脂質ホメオスタシスのような他のホメオスタシスのシステムの不安定化と関連づけられ、最終的に、インスリン分泌の減少およびインスリン抵抗性の増大と付随した耐糖能異常へと導かれる。肥満誘発性障害の根底にある正確なメカニズムは、完全には理解されていない。
【0017】
肥満誘発性の病態は、低い程度の炎症状態と関連しているように思われる6〜8。それ故、インスリン抵抗性および糖血症の制御の程度(またはHbA1C)は、C反応性タンパク質(第1相の炎症のマーカー)の増加レベルと関連する9,10。いくつかの炎症マーカーは、ピマ・インディアン11における体脂肪率と関連することが示されており、それ故、炎症は、肥満ならびにそれに関連する疾患および障害の原因においてある役割を有する可能性があると示す。
【0018】
組織障害後または炎症の間に放出または産生されるいくつかの因子は、多様な求心性の知覚神経と相互作用することができる。これらの因子には、脂質、水素イオン、熱、ATP、セロトニン、ブラジキニン、神経成長因子、およびアナンダミドが含まれる。それらは、細胞膜における種々の受容体(限定するものではないが、TRPV1、CB1、PG、もしくはP2X3が含まれる)またはイオンチャネル(限定するものではないが、ASICS(酸感受性イオンチャネル)が含まれる)と相互作用し、および/またはカルシウムの細胞流入および付随する神経線維の活性化を刺激する細胞内メッセンジャーおよび酵素(限定するものではないが、ATPおよびPKCが含まれる)の状態における変化を誘導する。これらの因子は、全て相乗的に作用することができ、直接的または間接的な活性化を介してカプサイシン受容体に最も関与し、障害に対して迅速且つ十分な反応を提供する。外因性のバニロイド、カプサイシンは、カプサイシン受容体を介して神経線維のこの部分集合に選択的に結合することが示されている。
【0019】
カプサイシン感受性の神経は、侵害刺激13、満腹14、および温度15に関する末梢からの求心性のシグナルを伝える知覚神経線維である。AδおよびC繊維型の求心性知覚神経は、共に痛覚に関与し、熱感受性であり、外因性のバニロイド、カプサイシンに反応することができる。カプサイシンは、それ故、これらの線維の役割を研究するための薬理学的な手段として用いられてきた。
【0020】
実験哺乳動物におけるカプサイシン感受性神経の役割を研究するためにカプサイシンを使用すること、特に痛みにおけるそれらの役割の研究は、数十年間行われている。約40年前、カプサイシン、すなわち赤唐辛子の辛味成分は、主要な求心性神経の部分集合であるAδおよびC繊維型を選択的に活性化することが示された。これが起こるメカニズムは、当時は分からなかった。哺乳動物にカプサイシンを全身的に投与することにより、神経細胞への陽イオンの流入、脱分極、興奮性の増加、および活動電位の発生による急性の刺激が起こる。これは、求心性の効果、ならびに血管作動性および炎症誘発性のペプチド(例えば、CGRP、ソマトスタチン、およびサブスタンスP)の放出からなる遠心性のシグナルを誘発する。これらのシグナルの大きさは、神経線維との相互作用の根底となる刺激/傷害の程度に関連する。カプサイシンによる受容体の刺激がカルシウムの流入を引き起こすという事実は、高用量で投与した場合に、カプサイシンを神経毒にする。神経毒性の用量で投与されたカプサイシンは、カプサイシン感受性神経の永久の(新生児の実験哺乳動物に投与した場合)または一過性および可逆的な脱感作(成体の哺乳動物に与えた場合)を誘発する。脱感作された状態は、正常または病気の状態の実験哺乳動物におけるカプサイシン感受性神経の役割の研究を可能にする。脱感作の状態は、しかしながら、因子が状態の起こりうる変化の原因となることを除外しない。受容体、イオンチャネル、細胞内物質、または細胞外因子は、カプサイシン感受性神経と相互作用するための電位を伴い、単独または組み合わせて、理論的に脱感作の効果に対する原因となりうる。
【0021】
多数の直接的なカプサイシン類似体が同定されている(例えば、レシニフェラトキシン、RTX16,17またはオルバニル(olvanil)18,19、およびカンナビノイド20)。カプサイシン受容体の間接的な活性化は、例えば細胞内PKC21を介しても起こすことができ、それ故、これに限定するものではないが、PKC活性化因子を含む化合物は、間接的なカプサイシンアゴニストであると考えられる。カプサイシンアンタゴニストは、同定もされている(例えばカプサゼピンまたはルテニウムレッド)が、インビトロの実験においてはわずかな機能性しか持たない。最近、カプサイシン受容体アンタゴニストN-(4-t-ブチルフェニル)-4-(3-クロロピリジン-2-イル)テトラヒドロピラジン-1(2H)-カルボキサミド (BCTC)は、カプサイシンに仲介された痛覚過敏、炎症性の痛覚過敏または異痛症、および神経傷害後の痛覚過敏を阻害することに対して効果的があると示されている22,23。通常のエネルギーバランスにおけるカプサイシン感受性神経の役割は、カプサイシン脱感作を用いた実験的研究によって示されている。カプサイシン感受性神経は、食物摂取14、温度調節15、ならびに変化したインスリン分泌24およびインスリン感受性25を介したグルコースのホメオスタシスに影響を与えることが見出された。肥満およびそれに関連する障害である2型糖尿病の実験動物モデルにおいて、我々は最近、カプサイシンまたはRTXによる脱感作は、血糖値およびHbA1C26,27を含む糖血症の制御、異脂肪血症27、血漿ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)の活性28、インスリン分泌29、およびインスリン感受性30を改善することを示している。これらの発見は、カプサイシン感受性神経のシステムが肥満または肥満に関連する障害の間に活動しすぎていることを示す。カプサイシン感受性神経の下方制御は、肥満および肥満に関連する障害の新規の薬理学的治療法になり得る。
【0022】
カプサイシンが、特異的な受容体であるカプサイシン受容体に結合することは示されている。この受容体は、バニロイド受容体1(VR1)または一過性受容体チャネルバニロイド1(TRPV1)とも呼ばれており、何年か前にクローン化され、説明された31,32。カプサイシン受容体は、末梢の求心性知覚神経の膜および視床下部、海馬、および黒質のような種々の脳の領域において見られる33。前記受容体は、マスト細胞、ケラチン合成細胞、白血球、およびマクロファージのような非神経性細胞においても見られる34。カプサイシン受容体に対する内因性のリガンドはまだ同定されていないが、脂肪酸およびアナンダミドのようなエイコサノイドプールに由来するリガンドが納得のいくように示されている35
【0023】
2つの研究グループがカプサイシン受容体を欠くノックアウトマウスを作成し、特徴付けた。前記マウスは、化学または温度の感受性に対するそれらの反応においてひどく欠損しており36、前記マウスは、急性の侵害熱刺激に対する反応を含む広範な行動性試験において正常に思われたにもかかわらず、カラゲナン誘発性の熱痛覚過敏を発生する能力が完全に欠損していた37。これらのデータは、カプサイシン受容体が侵害性の熱刺激に対する炎症性の感作に対して必要とされること、侵害性の熱の正常な感覚に対して十分な代替のメカニズムが存在することを示す。
【0024】
糖不耐性は、正常なマウスに高脂肪食を与えることによって誘発される可能性があり、早期の段階においては、単にグルコースの有効性の減少によって説明されるが、長期の摂食の後には不十分な初期のインスリン分泌が重要である38
【0025】
本発明は、カプサイシン受容体ノックアウトマウスにおける驚くべき発見であって、高脂肪食の一定期間の後の耐糖能異常の状態がカプサイシン受容体を欠くマウスにおいて改善されたこと、およびこれは、グルコースに対する増強されたインスリンの反応と関連することを詳細に説明する。それ故、カプサイシン受容体は、グルコース刺激によるインスリン分泌を減少させることを部分的に介して、高脂肪誘発性の糖不耐性を媒介することに関与する。従って、カプサイシン受容体作用を消す、遮断する、または拮抗することは、肥満の結果を回復させ、従って、肥満およびそれに関連する障害に対する新規の治療として用いることができる。
【0026】
糖耐性は、刻々と変化し得るが39、正常な個体においては一般的に一定である。肥満または肥満に関連する障害においては、インスリン分泌またはインスリン感受性の減少が原因である糖不耐性が存在する。世界保健機構の基準によると、糖不耐性(IGT)は、標準的な経口糖負荷試験(OGTT)の後の2時間血漿グルコース値が7.8および11.0mMの間であることによって特徴付けられる。
【0027】
ここで用いられる場合、「治療すること」または「治療」は、疾患、状態、または障害と闘うことを目的とした、患者の管理および看護を意味する。治療には、症状もしくは合併症の発症を予防するために本発明の化合物を投与すること、症状もしくは合併症を軽減すること、または疾患、状態、もしくは障害を除去することが含まれる。耐糖能異常を治療することには、それ故、標準的な経口糖負荷試験後の血糖の上昇を、できる限り、改善したインスリン分泌および/またはインスリン感受性と付随して阻害することが含まれる。
【0028】
ここで用いられる場合、「肥満」という用語は、脂肪組織の過剰を意味する。この文脈において、肥満は、健康リスクを与える程度の過剰な体脂肪蓄積として最もよく表される。正常な個体および肥満の個体の間の区別は近似にすぎないが、肥満によって与えられる健康リスクは、おそらく体脂肪蓄積の増加との連続体である。しかしながら、本発明においては、肥満度指数(BMI=体重(kg)を身長(m)の2乗で割る)が25以上の個体を肥満と見なす。
【0029】
ここで用いられる場合、「関連する障害」という用語には、限定するものではないが、1型糖尿病、2型糖尿病、循環器病、癌、および病因が肥満に由来するまたは関連する他の疾患状態が含まれる。
【0030】
ここで用いられる場合、「低い程度の炎症」という用語は、急性の炎症において見られるよりずっと低い程度の炎症マーカーのわずかな増加によって特徴付けられる状態を意味する。炎症マーカーには、限定するものではないが、C反応性タンパク質、血清アミロイドAタンパク質、白血球数、サイトカイン(例えばIL-6、IL-8、およびTNF-α)、および神経ペプチド(例えばCGRP)が含まれる。肥満および炎症の関係性に関するさらなる情報として、RamosらによるSurgery, 134(2), pp. 329-335 (2003)の論文およびそこで引用されている参考文献を参考にしてよい。
【0031】
「投与すること」または「投与」という用語は、ここで用いられる場合、カプサイシン受容体アンタゴニストまたはカプサイシンもしくはカプサイシン類似体に対する抗体(直接型および間接型共に)を体内に導入するための方法であって、前記物質がカプサイシン受容体またはカプサイシンもしくはカプサイシン類似体と相互作用できるようにする方法を指す。好ましい投与経路で、物質が体循環に導入されるであろう。非限定的な例には、経口投与、ならびに経皮、皮下、静脈内、および筋肉内の投与が含まれる。
【0032】
本発明において用いられる活性薬剤は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与され、ボーラスとしてもしくは一定の時間にわたる持続的な注入による静脈内投与、または筋肉内、腹腔内、脳内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、眼内、病巣内、経口、局所、もしくは肺(すなわち吸入により)への投与、または徐放による投与のような既知の方法により投与される。
【0033】
「治療的に有効な」量は、哺乳動物に治療的利益を与えるのに必要な活性薬剤の少なくとも最小量であるが、毒性量より少ない。もう1つの方法で述べると、治療的に有効な量は、糖不耐性の状態の哺乳動物において改善を誘導し、寛解させ、または引き起こす量である。
【0034】
「キャリア」は、ここで用いられる場合、使用される量及び濃度においてそれらに暴露されても細胞または哺乳動物に対して無毒である、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤が含まれる。しばしば、生理学的に許容可能なキャリアは、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容可能なキャリアの例には、リン酸、クエン酸、および他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオンを形成する塩;および/またはツイーン(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびプルロニクス(PLURONICS;登録商標)のような非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0035】
「併用療法」、「併用して」、「組み合わせて」等の用語は、ここで用いられる場合、単一の医薬製剤であって、本発明のカプサイシン受容体アンタゴニストまたはカプサイシンもしくはカプサイシン類似化合物に対する抗体および他の活性薬剤を含んでなる製剤を投与すること、ならびにそれぞれの活性薬剤を別々の医薬製剤として投与することを意味する。別々の用量の製剤が用いられる場合、本発明の化合物および他の活性薬剤は、本質的に同時、すなわち同時に、または別々にずらした時間、すなわち連続的に投与され得る。異なる製剤の場合、投与経路は、それぞれの薬剤で同じまたは異なってよい。個々の薬剤に対して既知または考えられる投与経路は、本発明の実施に対して許容可能である。
【0036】
「哺乳動物」という用語は、ここで用いられる場合、哺乳類として分類される動物を意味し、ヒト、家庭内の農場および動物園の動物、ならびにスポーツまたはコンパニオンの動物等が含まれる。本発明の好ましい実施形態において、前記哺乳動物はヒトである。
【0037】
「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、および全てのヒト型抗体が含まれる。
【0038】
「モノクローナル抗体」という用語は、ここで用いられる場合、実質的に相同な抗体の集合から得られた抗体、すなわち、前記集合を構成する個々の抗体が、少数存在し得る自然発生の突然変異を除いて同一であることを意味する。
【0039】
「抗体断片」という用語は、無処理の抗体の一部、好ましくは、無処理の抗体の抗原結合領域または可変領域を意味する。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)1、およびFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多選択性の抗体が含まれる。
【0040】
「Fv」という用語は、完全な抗原認識部位および結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、密接で、非共有結合性の会合による1つの重鎖および1つの軽鎖可変領域の二量体からなる。それぞれの可変領域の3つの相補性決定領域(CDRs)が相互作用してVH-VL二量体の表面における抗原結合部位を決定するのは、この構造においてである。集合的に、6のCDRが抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変領域(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識し、結合する能力を有するが、完全な抗体よりも結合力が低い。
【0041】
Fab断片は、軽鎖の定常領域および重鎖の第1の定常領域(CHI)も含む。Fab断片は、ヒンジ部位に由来する1以上のシステインを含む重鎖CHI領域のカルボキシ末端における数個の残基の付加によりFv断片と異なる。Fab’-SHは、ここでは、定常領域のシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’を意味する。F(ab’)2抗体断片は、本来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片のペアとして産生される。抗体断片の他の化学的な共役も既知である。
【0042】
抗体のパパイン分解により、2つの同一の抗原結合断片、いわゆるFab断片を産生し、それぞれ単一の抗原結合部位および残りのFc断片(容易に結晶化する能力を示す命名)を生成する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2断片を産生し、これは抗原を架橋結合することもできる。
【0043】
脊椎動物に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常領域のアミノ酸配列に基づく2つの明確な異なる型、いわゆるカッパおよびラムダに分類することができる。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、異なるクラスに分類することができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラスであるIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかは、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgA 、およびIgA2のようなサブクラス(アイソタイプ)にさらに分類されてもよい。
【0044】
「単鎖Fv」抗体断片は、抗体のVHおよびVL領域を含んでなり、これらの領域は単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドはさらに、VHおよびVL領域の間にポリペプチドリンカーを含んでなり、それにより、sFvが抗原結合のための望ましい構造を形成することを可能にする。「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質の結合特異性を免疫グロブリン定常領域のエフェクター機能と結合する(「接着」)、抗体様分子を指す。構造的に、前記イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識および結合部位以外の望ましい結合特異性を有するアミノ酸配列の融合を含んでなり(すなわち、異種性)、イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常領域配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、もしくはUgG4サブタイプ、IgA (IgA-1およびIgA-2を含む)、IgE、IgD、またはIgMのような免疫グロブリンから得られてよい。
【0045】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を意味し、該断片は、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変領域(VL)と連結された重鎖可変領域(VH)を含んでなる(VH-VL)。同一の鎖上の2つの領域を対にするには短すぎるリンカーを用いることにより、前記領域は他の鎖の相補領域と対になり、2つの抗原結合部位が生じる。
【0046】
「カプサイシン受容体アンタゴニスト」は、カプサイシン受容体と結合することにより(直接的アンタゴニスト)、または興奮、すなわちカルシウムの細胞内への流入を引き起こすことなく活性化刺激を遮断することにより(間接型アンタゴニスト/アロステリックアンタゴニスト)、内因性カプサイシン受容体リガンド、カプサイシンもしくはカプサイシン類似体の生物学的活性を、部分的または完全に拮抗し、遮断し、または阻害する化合物である。アゴニスト活性(カルシウムの細胞内への流入の刺激)がない受容体アンタゴニストである化合物の例は、RTXのハロゲン化類似体43,44、ジアリールピペラジンおよび関連化合物45、N-(3-アクリルオキシ-2-ベンジルプロピル)-N '-[4-(メチルスルホニルアミノ)ベンジル]-チオ尿素類似体46 KJM429 [N-(4-tert-ブチルベンジル)-N'-[4- (メチルスルホニルアミノ)ベンジル]チオ尿素]およびJYL1421 [N-(4- tertブチルベンジル)- N'-[3-フルオロ-4-(メチルスルホニルアミノ)ベンジル]チオ尿素]47 N-(4- クロロベンジル) -N'-(4-ヒドロキシ-3-ヨード-5-メトキシベンジル)チオ尿素(IBTU)48、非環式フェネチルチオカルバメート誘導体49、尿素誘導体およびその他50〜52、アミン誘導体53、ピリジン誘導体54、尿素およびアミド誘導体55,56 、BCTC22 23、N-アルキルグリシン57、SB-366791 (N-(3-メトキシフェニル)-4-クロロシンナミド)58等である。限定するものではないが、前記例に含まれる化合物は、本発明の種々の実施形態と一致する。
【0047】
直接的なカプサイシン受容体アンタゴニストまたは間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストは、現在権利請求している方法において有用な化合物であり、限定するものではないが、天然物、合成有機化合物、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体断片、単鎖抗体、および抗体に基づく構築物が含まれる。
【0048】
受容体結合およびカプサイシン受容体の分析における当業者の現在のレベルは、通常の技術者の理解力の範囲内で、カプサイシン受容体アンタゴニストをうまく評価している。カプサイシン受容体アンタゴニストを同定するためのいくつかの決まったアプローチがある。ある基本的なスキームには、受容体結合分析に続く受容体を有する細胞へのカルシウム流入の測定が含まれる。これは、決まった放射性の結合方法を用いることにより行われる。特徴付けは、VR1受容体を発現している細胞(クローン細胞株または後根神経節細胞)における機能的な試験であって、アゴニストによって刺激されたカルシウムの細胞流入を阻害するかどうかを評価するための試験(例えば、カプサイシン、低pH、または上昇させた温度(45℃より高い))を用いて行うこともできる。カルシウム流入の測定は、蛍光カルシウム色素(例えばFURA-2)、放射性カルシウムを用いて、またはパッチクランプ技術によってなされ得る。結合する、またはそれら自身がカルシウムの細胞流入を刺激しない化合物はアンタゴニストとして考えられる。このような化合物のインビトロの効果は、げっ歯類の足におけるカプサイシンの足底内への投与により誘発された痛み/痛覚過敏を相殺する能力のような、種々の痛みに関連する試験によって評価されてよい。
【0049】
細胞に基づく試験は、間接的なカプサイシン受容体アゴニストを同定するために用いることができ、従って、アンタゴニストを同定するためにも用いることができる。
【0050】
抗体に基づくカプサイシン受容体アンタゴニストは、権利請求した方法とも一致する。抗カプサイシン受容体抗体は、種々の周知の方法によって産生されてよく、伝統的な抗血清産生およびモノクローナル抗体技術が含まれる。上記で述べた修飾された抗体形態は、確立された技術を用いて作られてよい。一度産生されると、抗体は、カプサイシン受容体アンタゴニスト活性について上記で述べた方法で調べられる。
【0051】
カプサイシンまたはその直接的もしくは間接的な類似体の中和剤は、本発明の他の側面を表す。この実施形態において、カプサイシンまたはその直接的もしくは間接的な類似体は、中和されるか生物学的に不活化され、その結果として、受容体に影響を与えることができなくなる。この適用に適した薬剤は、カプサイシンまたはその直接的もしくは間接的な類似体に特異的に結合し、好ましくは、カプサイシン受容体よりも高い結合定数を有する。
【0052】
抗体または抗体に基づく薬剤は、よく確立された技術を用いて意図的に製造できるため、好ましい。
【0053】
イムノアドヘシン(Fc融合構築物であって、エンブレル(ENBREL:登録商標)と類似であり、カプサイシン受容体の可溶性リガンド結合領域がヒトFcと融合したもの)も、本発明のこの側面と一致する。
【0054】
投与量および製剤
適切な直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストは、肥満ならびに他の関連疾患および障害を治療するために、化合物単独でまたは医薬製剤の形態で許容可能なキャリアと混合して患者に投与することができる。肥満ならびに他の関連疾患および障害を治療する当業者は、そのような治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に対して、前記化合物を投与する用量および経路を容易に決定することができる。本発明の医薬組成物に対する用量および望ましい薬物濃度は、想定した特定の使用に依存して変化してよい。動物実験は、ヒトの治療に対して効果的な用量の決定に対する信頼できる手引きを提供する。
【0055】
投与経路には、限定するものではないが、経口、口腔内、直腸、経皮、頬、鼻腔内、肺、皮下、筋肉内、皮内、舌下、結腸内、小室内、静脈内、または腸管投与が含まれてよい。前記化合物は、許容可能な薬学実務に基づいた投与の経路に従って処方される(Fingl et al., in The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ch. 1, p.1, 1975; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co, Easton, PA, 1990)。
【0056】
本発明の薬学的に許容可能な直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニスト組成物は、錠剤、カプセル(徐放または時間放出製剤がそれぞれ含まれる)、ピル、散剤、顆粒剤、エリキシル、インサイチューゲル、ミクロスフェア、結晶性錯体、リポソーム、ミクロエマルジョン、チンキ、懸濁液、シロップ、エアロゾルスプレー、および乳濁液のような複数の剤形で投与することができる。本発明の組成物は、経口、静脈(ボーラスもしくは輸液)、腹腔内、皮下、経皮、または筋肉内の形態で投与することもでき、使用される全ての剤形は、薬学分野における当業者にとって周知である。前記組成物は単独で投与されてよいが、一般的に、選択した投与経路および標準的な薬学実務に基づいて選択された薬学的キャリアと共に投与されるであろう。
【0057】
本発明の組成物の用量は、もちろん既知の因子に依存して変化してよく、例えば、特定の薬剤の薬力学的特徴ならびにその投与方法および投与経路;患者の種、年齢、性別、健康、医学的な状態、および体重;症状の性質および程度;併用する治療の種類;治療の頻度;投与経路、患者の腎臓および肝臓の機能;および望まれる効果である。医師または獣医師は、疾患の状態の進行を予防し、対抗し、または抑止するために必要な薬剤の有効量を決定および処方することができる。
【0058】
一般的な指導によると、活性成分の1日の経口用量は、示された効果のために用いる場合、体重当り約0.001〜1000 mg/kgの範囲であり、好ましくは体重当り1日に0.01〜100 mg/kgの間であり、最も好ましくは約0.6〜20 mg/kg/日である。静脈内投与では、示された効果のために用いる場合、1日の活性成分の用量は、一定速度の注入の間、kg体重当り0.001 ng 〜 100.0 ng /minであってよい。このような一定の静脈内注入は、好ましくは、kg体重当り0.01 ng 〜 50 ng/ mmの速度で投与されてよく、最も好ましくはkg体重当り0.1 ng 〜 10.0 mg/ mmで投与されてよい。本発明の組成物は、単一の一日量で投与されてよく、または全一日量を1日に2、3、もしくは4回に分け、分包量で投与してもよい。本発明の組成物は、デポー製剤により投与されてもよく、望んだ通りの日/週/月の期間にわたって薬剤の徐放が可能となるであろう。
【0059】
本発明の組成物は、適切な鼻腔内の媒体の局所的な使用を介して鼻腔内の形態で、または経皮パッチを用いて経皮経路を介して投与することができる。経皮デリバリーシステムの形態で投与される場合、薬剤投与は、もちろん、間欠投与よりも薬物治療の間にわたって持続的であろう。
【0060】
前記組成物は、典型的に、適切な薬学的希釈剤、賦形剤、または担体(ここでは集合的に薬学的な担体を意味する)であって、意図された投与形態、すなわち経口錠剤、カプセル剤、エリキシル、噴霧剤を用いてまたは用いないで生産されたエアロゾルスプレー、およびシロップ、ならびに通常の薬学実務に関して適切に選択されたものとの混合物として投与される。
【0061】
例えば、錠剤またはカプセルの形態で経口投与するために、活性薬剤成分は、限定するものではないが、ラクトース、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、およびソルビトールのような経口的な、無毒の、薬学的に許容可能な、不活性なキャリアと併用することができ;液体の形態で経口投与するために、経口の薬剤性分は、限定するものではないが、エタノール、グリセロール、および水のような、経口的な、無毒の、薬学的に許容可能な不活性なキャリアと併用することができる。さらに、所望の場合または必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に混和することもできる。適切な結合剤には、限定するものではないが、デンプン、ゼラチン、限定するものではないが、グルコースもしくはβ-ラクトースのような天然糖、コーン甘味料、アラビアゴム、トラガカントゴム、もしくはアルギン酸ナトリウムのような天然および合成ゴム、カルボキシメチルセロース、ポリエチレングリコール、およびワックスが含まれる。これらの剤形で用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウムが含まれる。崩壊剤には、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガムが含まれる。
【0062】
本発明の組成物は、スモールユニラメラベシクル、ラージユニラメラベシクル、およびマルチラメラベシクルのようなリポソームまたは混合性ミセルの輸送システムの形態で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成することができる。
【0063】
プロドラッグは、医薬の多数の望ましい特性(すなわち、溶解性、バイオアベイラビリティー、製造等)を増強することが知られているが、本発明の化合物は、プロドラッグの形態で輸送されてよい。それ故、本発明は、現在権利請求している化合物のプロドラッグ、その輸送方法、およびそれを含んでなる組成物を包含するように意図されている。
【0064】
本発明の組成物は、標的薬物キャリアとしての可溶性ポリマーと共役してよい。そのようなポリマーには、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジン、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、またはポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノールが含まれてよい。さらに、本発明の組成物は、薬物の徐放を達成するために有用である生物分解性のポリマーの分類であって、例えばポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリ酢酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性のブロック共重合体と併用されてよい。
【0065】
投与に適した剤形(医薬組成物)は、製剤単位当り、約0.1mg〜約500mgの活性成分が含まれてよい。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて約0.5〜95重量%の量で存在する。
【0066】
ゼラチンカプセルには、活性成分およびラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸のような粉末のキャリアが含まれてよい。圧縮錠剤を作るために、同様の希釈剤を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は共に、数時間にわたって薬物の持続的な放出を提供するために、徐放生成物として製造されてよい。圧縮錠剤は、不快な味を隠すため、および空気から錠剤を保護するために糖衣またはフィルムコーティングされてよく、消化管における選択的な崩壊のために腸溶コーティングされてよい。
【0067】
経口投与のための液体製剤には、患者の許容性を高めるために、着色剤およびフレーバー剤が含まれてよい。
【0068】
一般的に、水、適切な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、関連する糖溶液、およびプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールは、非経口的な溶液に対する適切なキャリアである。非経口的な投与のための溶液には、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適切な安定剤、および必要な場合は緩衝物質が含まれる。亜硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸のような抗酸化剤を単独または組み合わせて用いることが、安定剤として適している。クエン酸およびその塩ならびにEDTAナトリウムも用いられる。加えて、非経口的な溶液には、塩化ベンザルコニウム、メチルまたはプロピルパラベン、およびクロロブタノールのような保存剤が含まれてよい。
【0069】
適切な薬学的キャリアは、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Edition, Mack Publishing Company, 1995において述べられており、当該分野において標準的な参考文献である。
【0070】
本発明の化合物の投与のための代表的な有用な薬剤剤形は、以下のように説明できる:
カプセル剤
多数の単位カプセルは、100mgの粉末の活性成分、150mgのラクトース、50mgのセルロース、および6mgのステアリン酸マグネシウムで、標準的な2つの硬ゼラチンカプセルを充填することにより調製できる。
【0071】
軟ゼラチンカプセル
ダイズ油、綿実油、およびオリーブオイルのような消化可能な油中における活性成分の混合物を調製し、容積形ポンプを用いてゼラチン中に注入し、活性成分を100mg含む軟ゼラチンカプセルを形成する。前記カプセルは、洗浄し、乾燥するべきである。
【0072】
錠剤
錠剤は、通常の手法により、例えば製剤単位が、100mgの活性成分、0.2mgのコロイド状二酸化ケイ素、5mgのステアリン酸マグネシウム、275mgの微結晶性セルロース、11mgのデンプン、および98.8mgのラクトースとなるように調製されてよい。適切なコーティングは、嗜好性または吸収遅延を増大させるために適用されてよい。
【0073】
注射剤
注射による投与に適した非経口的な組成物は、例えば1.5重量%の活性成分を10容積%のプロピレングリコールおよび水中で撹拌することにより調製されてよい。前記溶液は、塩化ナトリウムにより等張にし、滅菌するべきである。
【0074】
懸濁液
水性懸濁液は、経口および/または非経口的な投与のために、例えば100mgの微細な活性成分、20mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液、U.S.P.、および0.025mLのバニリンまたは他の味のよいフレーバー剤を含み、各5mLになるように調製することができる。
【0075】
生物分解性微小粒子
注射による投与に適した徐放性で非経口的な組成物は、例えば、適切な生物分解性ポリマーを溶媒に溶解し、該ポリマー溶液に活性成分を混和させるように加え、マトリックスから溶媒を除去し、その結果として、マトリックス中に分配した活性成分とポリマーとのマトリックスを形成することにより、調製されてよい。
【0076】
ここで引用された、出版物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個々におよび特異的に本明細書の一部として援用されると示された場合ならびにここで全体が公表された場合と同様の範囲で(法律で許容される最大の範囲で)、本明細書の一部として援用される。ここで明確に示さない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、可能なバリエーションでの上記要素の任意の組み合わせは、本発明に包含される。
【0077】
本発明の記述に関する「1つの」および「その」という用語、ならびに同様の用語の使用は(特に特許請求の範囲に関して)、ここで示さない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含していると解釈されるべきである。
【0078】
「含んでなる」、「有する」、「含む」、および「包含する」という用語は、他に断らない限り、制限のない用語(すなわち、「限定するものではないが、含む」の意)として解釈されるべきであり、「成る」、「実質的に含んでなる」、「本質的に成る」というフレーズを包含するように読まれるべきである(すなわち、ある特定の成分を「含んでなる」組成物の開示がなされた場合、本発明は、関連する部分において、本質的に前記成分から成ることにより特徴付けられる他の同一の組成物および(独立に)単独で前記成分からなる組成物も提供すると理解されるべきである)。
【0079】
ここでの数値範囲の列挙は、他に示さない限り、単に、前記範囲内にあるそれぞれ別々の値を個々に言及する簡略表記法として取り扱うように意図されており、それぞれ別々の値は、ここで個々に列挙されているように本明細書中に組み込まれる。他に示さない限り、ここで提供される全ての正確な数値は、対応する近似値を代表する(すなわち、ある特定の因子または測定値に関して提供される全ての正確な代表値は、適切な場合、「約」によって修飾される対応する近似の測定値も提供すると考えられる。
【0080】
ここで述べられる全ての方法は、ここで示さない限りまたは文脈で明らかに矛盾しない限り、適切な順序で行うことができる。
【0081】
ここで述べられたいくつかのおよび全ての例、または代表的な語(すなわち、「〜のような」)の使用は、単に、本発明をより明らかにすることを意図しており、権利請求しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中において、権利請求していない要素を示した場合に、本発明の実行に必須であるとして解釈すべき語はない。
【0082】
ここでの特許文書の引用および援用は、単に便宜上なされ、そのような特許文書の妥当性、特許性、および/または実施可能性の見解を示すものではない。
【0083】
本発明の好ましい実施形態は、ここで述べられている。そのような好ましい実施形態のバリエーションは、上述の内容を読むことで当業者にとって明らかになるであろう。本発明者は、適切な場合にそのようなバリエーションを用いることを当業者に期待し、本発明者は、ここで明確に記載したもの以外についても本発明が実施されることを意図している。従って、適切な法律によって許容される場合、この発明には、これに従属する請求項において列挙された対象物質の変種および均等物が全て含まれる。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、例証する目的のためのみに提供され、何らかの方法で本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
上記で述べたように使用されるカプサイシン受容体(VR1)アンタゴニストBCTC(上記参照)は、WO 02/08221において述べられているように合成されてよい。
【0085】
例1
実験動物:オスのカプサイシン受容体(VR1)ノックアウトマウス(n=11)(系統名:B6.129S4-Trpv1tm1Jul、系統番号:003770)およびオスの対照マウス(n=8)をジャクソンラボラトリーズ(Jackson Laboratories), Bar Harbor, ME, U.S.から購入した。前記マウスを、5週齢のときにデンマークへ輸送し、それから29週齢まで、デンマーク、ノボノルディスクA/S社のMalovアニマルユニットで、正常な日光サイクル(午前6時に照明を付け、午後6時に消す)の外界の調節された条件下に保たれた。マウスは、グループに分けられ(ケージごとに1グループ)、標準的なケージ(ユーロスタンダードタイプIV, テクニプラスト(Techniplast), スキャンバー(Scanbur), デンマーク)に入れられ、酸性化(0.4%クエン酸)水道水および標準的な固形飼料(アルトロミン(Altromin), Brogaarden Aps, デンマーク)を自由に利用できるようにした。ケージには、巣作り用の材料として木製のウール(Brogaarden, デンマーク)が供給され、ベッドを作る材料はポプラチップ(Brogaarden, デンマーク)であり、酸性化した水のボトルも同様に、1週間に2回交換した。11週齢の時に、固形飼料を高脂肪食に変えた(Research Diet Prod. No. D12309, Research Diet Inc, New Brunswick, U.S.)。
【0086】
経口糖負荷試験(OGTT)
15週間高脂肪食を与えた後、OGTTを行った。マウスは、OGTTの前18時間は絶食した。空腹時血糖を以下に述べるように測定した後、500 mg/mlの濃度のグルコース(Sygehus apotekerne, デンマーク)を胃管栄養法により経口的に与えた(2 g/kg po)。血糖を測定するための血液試料は、意識のあるマウスの尾の先端の毛細血管から得た。血液をヘパリン処理した5μlのキャピラリーチューブに集め、直ちに250 μlのEBIO緩衝液(EBIO, エッペンドルフ, ドイツ)に懸濁した。前記実験に続いて、グルコースオキシダーゼ法(EBIO, エッペンドルフ, ドイツ)を用いてグルコースを測定した。血糖曲線下面積(AUC)は、台形法によって測定した。2つの群の平均値は、スチューデントのt-検定法を用いて比較した。Pが0.05より小さい場合、統計学的に有意差があると考えた。
【0087】
図1は、15週間高脂肪食を与えたオスのカプサイシン受容体(VR1)ノックアウトマウスまたは対照マウスにおける、2 g/kgの経口糖負荷試験(OGTT)の後の0〜120分間の血中血糖曲線を示す。オスの対照マウス(三角形)は、経口糖負荷後のグルコースレベルにおいて著しい増加を示し、グルコース負荷から120分後の血糖レベルにおいても、ベースライン(0分における空腹時血糖値)以上に上昇しており、血液からのグルコース消失の遅延(すなわち、耐糖能異常)を示す。オスのVR1ノックアウトマウス(四角形)は、比較すると血中グルコースの減弱した上昇を示し、120分後の血中糖レベルはベースライン(0分における空腹時血糖値)に戻っており、それ故、OGTT後の正常なマウス(高脂肪食を与えない)における血糖レベル、すなわち正常な糖耐性に似ている。
【0088】
計算された血糖曲線下面積(b)の群平均は、120分間の試験の間、全体的な血糖レベルが、対照マウス(平行線を引いた棒グラフ)と比較してVR1ノックアウトマウス(塗りつぶした棒グラフ)において、非常に統計学的に有意な減少を示し、15週間高脂肪食を与えた後、対照群と比較してVR1ノックアウトマウスにおいて、糖不耐性が有意にはっきりしないことを証明する。カプサイシン受容体の下方制御は、それ故、耐糖能異常およびそれに関連する疾患の予防および治療における薬理学的なアプローチとなり得る。
【0089】
グルコース(ip)誘導性の初期のインスリン分泌
高脂肪食を18週間与えた後、グルコースを腹腔内に注射することにより、マウスのインスリン分泌を試験した。マウスは試験前の18時間、絶食させた。500 mg/mlの濃度のグルコース(Sygehus apotekerne, デンマーク)を、注射によって腹腔内に投与した(2 g/kg i.p.)。腹腔内投与のグルコースに対する初期のインスリン反応の評価は、暴露後2分、意識のあるマウスの尾の先端の毛細血管からの血液を約70μl、ヘパリン処理した100μlのキャピラリーチューブに採取ことにより試験される。これらのチューブを遠心分離し(4000 rpm/min/ 4℃)、15μlの血漿を保存し、自家製のELISAを用いた試験まで−20℃で保存した。2つの群の2分における血漿インスリンレベルの平均値は、前記群の分散間の統計学的な有意差によるノンパラメトリックなマン-ホイットニー(Mann-Whitney)U-検定によって比較した。Pが0.05より小さい場合、統計学的に有意差があると考えられる。
【0090】
図2は、グルコース(2g/kg)の腹腔内投与後2分の血漿インスリンレベルの群平均値を示す。VR1ノックアウトマウス(塗りつぶした棒グラフ)は、対照マウス(平行線を引いた棒グラフ)と比較して、糖負荷後2分における有意に高い血漿インスリンレベルを示す。これは、VR1ノックアウトマウスが、対照マウスほど容易に高脂肪食誘発性耐糖能異常に発展しないことを示す。グルコースに対する反応においてインスリンを分泌する能力を維持することは、高脂肪食VR1ノックアウトマウスにおける正常な糖耐性を部分的に説明することができる。これは、カプサイシン受容体の活性の不活化または下方制御が、障害性の初期のインスリン分泌の予防または治療における新規の薬理学的アプローチとして有用な可能性があることを示唆する。
【0091】
例2
実験動物:オスのツッカー肥満ラット(n=19)を、チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories), U.S.から購入した。6週齢の時、ラットをデンマークへ運び、それから9月齢まで、デンマーク、ノボノルディスクA/S社のMalovアニマルユニットで、正常な日光サイクル(午前6時に照明を付け、午後6時に消す)の外界の調節された条件下に保たれた。ラットは実験の終わりまで、ケージ当り3匹のラットのグループで標準的なケージに入れられ(ユーロスタンダードタイプ IV, テクニプラスト(Techniplast), スキャンバー, デンマーク)、酸性化(0.4%クエン酸)水道水および標準的な固形飼料(アルトロミン, Brogaarden Aps, デンマーク)を自由に利用できるようにした。ケージには、巣作り用の材料として木製のウール(Brogaarden, デンマーク)が供給され、ベッドを作る材料はポプラチップ(Brogaarden, デンマーク)であり、酸性化した水のボトルも同様に、1週間に2回交換した。
【0092】
経口糖負荷試験(OGTT)およびグルコース誘発性インスリン分泌
6月齢の時、カプサイシン受容体アンタゴニスト(BCTC)が経口投与された後、OGTTがまもなく行われた。ラットはOGTTの前18時間絶食させた。空腹時血糖および血漿インスリンを以下に述べるように測定した。−30分において、15 mg/kgのBCTC(n=10)または溶媒(n=9)を胃管栄養法によって経口的に与えた。ラットは、0時間までケージに残し、血糖をOGTTに従って評価した。簡単に言うと、500 mg/mlの濃度のグルコース(Sygehus apotekerne, デンマーク)を胃管栄養法により経口的に与えた(2 g/kg po)。血糖および血漿インスリンを、グルコース投与後30、60、および120分後に測定した。血糖および血漿インスリンの測定のための血液試料は、意識のあるラットの尾の先端の毛細血管から得た。血糖の測定のための血液は、ヘパリン処理した5μlのキャピラリーチューブに採取し、直ちに250μlのEBIO緩衝液(EBIO, エッペンドルフ, ドイツ)に懸濁した。実験の後、グルコースオキシダーゼ法(EBIO, エッペンドルフ, ドイツ)を用いてグルコースを測定した。
【0093】
血漿インスリンの分析のための血液は、意識のあるラットの尾の先端の毛細血管からの約70μlの血液をヘパリン処理した100μlのキャピラリーチューブに採取することにより得た。これらのチューブを遠心分離し(4000 rpm/min/ 4℃)、15μlの血漿を保存し、自家製のELISAを用いた試験まで−20℃で保存した。
【0094】
図3は、カプサイシン受容体アンタゴニストであるBCTCの経口投与後の血糖曲線(a)および血漿インスリン曲線(b)であって、6月齢のオスのツッカー肥満ラットに対する−30分およびそれに続く時間0における2 g/kg腹腔内投与の経口糖負荷試験(OGTT)後の曲線を示す。溶媒で処理されたラット(四角形)は、経口的な糖負荷後にグルコースレベルの著しい増加を示し、血中からのグルコース消失の遅延、すなわち耐糖能異常を示唆する。BCTCで処理したラットは(三角形)は、血糖(a)の減弱した上昇を示し、それ故、改善した経口糖耐性を示す。溶媒で処理したラット(四角形)は、さらに、グルコース誘導性インスリン反応の減少(b)を示すが、BCTCで処理したラットは、経口糖負荷の後、かなり高いレベルの血漿中インスリンを示す(b)。これは、カプサイシン受容体アンタゴニストBCTCで処理した後のツッカーラットにおける経口糖耐性の改善が、インスリン分泌の改善によって部分的に媒介されていることを示唆する。これらのデータは、それ故、カプサイシン受容体が、耐糖能異常および障害されたグルコース誘導性インスリン分泌と関連があることを確証させる。
【0095】
カプサイシン受容体の下方制御は、それ故、耐糖能異常およびそれに関連する障害の予防および治療、ならびに障害された初期のインスリン分泌の予防または治療における薬理学的アプローチとなり得る。
【0096】
腸間膜脂肪組織における炎症マーカーの測定
9月齢において、同じラットで腸間膜の炎症メディエータを再び試験した。ラットは18時間絶食し、15 mg/kgのBCTC(n=10)または溶媒(n=9)を胃管栄養法により経口的に与えた。処理後1時間において、ラットをイソフルランで麻酔し、断頭した。腸間膜脂肪組織を素早く除去し、10倍容積の予め冷却したRNAlater(シグマ-アルドリッチ,USA)に移し、−20℃で保管した。遺伝子発現パターンにおける領域間の影響を防ぐために、0.5〜1gの組織をTRIゾール試薬(1 ml/100mg 組織) (TRIzol; インビトロゲン社製)中で均質化した。トータルRNAは、キアゲン(Qiagen)プロトコル(Qiagen RNeasy Mini handbook, 2001)に従って200mlのホモジネートから抽出した。第一の鎖であるcDNAは、製造者のプロトコル(インビトロゲン社)に従って、スーパースクリプトIII逆転写酵素およびランダムヘキサマープライマーを用いて合成した。未知の試料のcDNAは、ヌクレアーゼが存在しない水中で(キアゲン社製)1:12に希釈した。PCR効率の計算のための検量線を作成するために、それぞれのcDNAプールからのサンプルを混合し、1:6、1:12、1:24、1:48、1:96、1:192、および1:384に希釈し、ここでは、100%(±1%)のPCR効率ならびに0.99および1の間のR2のみが許容される。PCR増幅混合物(25μl)には、12.5μlの2×Platinum Quantitative PCR SuperMix-UDG (インビトロゲン社製)、0.625 μlの逆方向プライマー (20 μM)、0.625 μlの順方向プライマー(20 μM)、0.625 μl のプローブ(10 μM) (プローブライブラリー エキシコン(Exiqon) A/S, デンマーク)、および5 μlの希釈したcDNA鋳型が含まれていた。リアルタイム定量的PCRは、MX3000P PCRマシーン(ストラタジーン(Stratagene), USA)を用いて、以下のサイクリングパラメータを用いて行った: 95℃で10分間のポリメラーゼ活性化、95℃で30秒間および60℃で60秒間の40サイクルの増幅。増幅の後、単位複製配列をゲル電気泳動(E-ゲル、インビトロゲン社
製)で確認した。
【0097】
iNOSおよびF4/80の相対的な遺伝子の発現は、標準物質として溶媒を用いて、定量的RT-PCR比較Ct法(Applied Biosystems. User Bulletin #2. ABI PRISM 7700 配列決定システム, 1997)により測定した。発現データを基準化するために、36B4を内標準として用いた。それぞれの遺伝子のイントロン架橋に対して、プローブライブラリー エキシコン A/S社 (http://www.probelibrary.com/)からのパブリックドメインプライマーデザインソフトウェアを用いてプライマーを設計した。プライマーおよびプローブ番号は以下の通りである:36B4 受付番号 X15096.1 センス (5’gtgtttgacaatggcagcat 3’), アンチセンス (5’acagacgctggccacatt 3’)、およびプローブRat#16。iNOS 受付番号 NM012611.2 センス(5’ accatggagcatcccaagta 3’), アンチセンス(5’cagcgcataccacttcagc 3’)、およびプローブRat#71。F4/80 受付番号 XM236797.2 センス (5’ggacttctccaagcctatcgt 3’), アンチセンス(5’cctctcagacttctgctttgg 3’)およびプローブRat#26。
【0098】
図4は、9月齢のツッカー肥満ラットの腸間膜脂肪組織中のiNOSおよびF4/80の遺伝子発現におけるBCTCの影響を示す。BCTCで処理されたラット(塗りつぶした棒グラフ)は、
BCTC(15 mg/kg)を経口投与された後1時間のiNOS(a)およびF4/80の両方において有意に低いレベルを示した。これは、BCTCが、組織において低い程度の炎症を減少させることにより、経口糖耐性の改善および誘導性インスリン放出の改善を媒介し、これはカプサイシン受容体に拮抗することにより媒介されることを示唆する。
【0099】
これは、カプサイシン受容体の活性を不活化することまたは下方制御することが、低いレベルの炎症が肥満および肥満に関連する障害と付随している状態の治療に対する新規の薬理学的アプローチとして有用であり得ることを示す。
【0100】
図1および図2は、カプサイシン受容体(VR1)を欠損しているマウスが高脂肪食を摂取した数週間後に耐糖能異常に発展しないことを示し、このことは保持されたグルコースに対する初期のインスリン反応により部分的に説明できることを示す。
【0101】
図3は、別の糖不耐性のオスの肥満ツッカーラットにおいて、カプサイシン受容体アンタゴニスト(BCTC)の経口投与により経口糖耐性が改善され得ることを示し、これが経口グルコースに対する反応におけるインスリン分泌の改善と関連することを示す。図4は、局所的な炎症がBCTCの投与後に肥満のツッカーラットにおいて減少することを示し、耐糖能異常の改善が低い程度の炎症の減少に関連することを示す。
【0102】
肥満または肥満に関連する疾患および障害においてカプサイシン受容体の活性を阻害することは、それ故、新しい薬理学的アプローチとして有望であると考えられる。
【0103】
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【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】図1aは、15週齢の高脂肪食を与えられたオスのカプサイシン受容体(VR1)ノックアウトマウスおよび対照マウスそれぞれにおける、2 g/kg経口投与の経口糖負荷試験(OGTT)の後の0〜120分の血糖曲線を示す。
【図1b】図1bは、図1aにおける血糖の曲線下面積を示す。
【図2】図2は、オスのVR1ノックアウトマウスおよび対照マウスそれぞれに、グルコース(2g/kg)を腹腔内投与した2分後の血漿インスリンレベルの群平均を示す。
【図3a】図3aは、21週齢のツッカー(Zucker)肥満ラットにおける2 g/kg経口投与の経口糖負荷試験(OGTT)の後の、−30分〜120分の血糖曲線および血漿インスリン曲線をそれぞれ示す。カプサイシン受容体アンタゴニストであるBCTCは、−30分において経口投与(15 mg/kg)され、糖負荷は0分に行われた。
【図3b】図3bは、21週齢のツッカー(Zucker)肥満ラットにおける2 g/kg経口投与の経口糖負荷試験の後の、−30分〜120分の血糖カーブおよび血漿インスリンカーブをそれぞれ示す。カプサイシン受容体アンタゴニストであるBCTCは、−30分において経口投与(15 mg/kg)され、糖負荷は0分に行われた。
【図4a】図4aは、胃管栄養法によってカプサイシン受容体アンタゴニストであるBCTC(15 mg/kg)を経口投与された1時間後の、9月齢のツッカー肥満ラットの腸間膜脂肪組織における炎症マーカーiNOSおよびF4/80の相対的なレベルを示す。
【図4b】図4bは、胃管栄養法によってカプサイシン受容体アンタゴニストであるBCTC(15 mg/kg)を経口投与された1時間後の、9月齢のツッカー肥満ラットの腸間膜脂肪組織における炎症マーカーiNOSおよびF4/80の相対的なレベルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することにより哺乳動物における肥満を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、それを必要とする哺乳動物に対して投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
前記カプサイシン受容体アンタゴニストが直接的なカプサイシン受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプサイシン受容体アンタゴニストが間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
カプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することにより哺乳動物における肥満に関連する疾患または障害を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、それを必要とする哺乳動物に対して投与することを含んでなる方法。
【請求項5】
前記カプサイシン受容体アンタゴニストが直接的なカプサイシン受容体アンタゴニストである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カプサイシン受容体アンタゴニストが間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、前記肥満に関連する疾患または障害が以下から選択される方法:1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常、循環器病、高血圧、インスリン抵抗性、癌、および生殖系の障害。
【請求項8】
前記肥満に関連する疾患または障害が2型糖尿病である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記肥満に関連する疾患または障害が1型糖尿病である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記肥満に関連する疾患または障害が耐糖能異常である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記肥満に関連する疾患または障害が循環器病である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記肥満に関連する疾患または障害が高血圧である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記肥満に関連する疾患または障害が癌である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記癌が以下から選択される方法:大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、腎臓癌、子宮体癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、子宮頚癌、卵巣癌、胃癌、非ホジキンリンパ腫、および多発性骨髄腫。
【請求項15】
前記肥満に関連する疾患または障害が生殖系の障害である、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記生殖系の障害が以下から選択される方法:多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、不妊症、およびインポテンスまたは勃起機能障害。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法であって、前記直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストが以下から選択される方法:天然物、合成有機化合物、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体断片、単鎖抗体、および抗体に基づく構築物。
【請求項18】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
カプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することにより、治療を必要とする哺乳動物において肥満または肥満に関連する疾患もしくは障害を治療するためのキットであって、直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを含んでなるキット。
【請求項20】
前記哺乳動物がヒトである、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記肥満に関連する疾患または障害がインスリン抵抗性である、請求項7に記載の方法。
【請求項22】
カプサイシン受容体の活性を不活化または下方制御することにより肥満または肥満に関連する疾患および障害を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体アンタゴニストを、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬、および肥満または肥満に関連する疾患もしくは障害の結果として生じるまたはそれらに付随する合併症の治療のための薬剤から選択されるさらなる活性薬剤と組み合わせて、それらを必要とする哺乳動物に対して投与することを含んでなる方法。
【請求項23】
低い程度の炎症が肥満および肥満に関連する障害に付随する状態を治療するための方法であって、治療的に有効な量の直接的または間接的なカプサイシン受容体を、それを必要とする患者に対して投与することを含んでなる方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2008−508190(P2008−508190A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521794(P2007−521794)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000502
【国際公開番号】WO2006/007851
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】