説明

肥満治療用のMCHアンタゴニスト

本発明は、メラニン濃縮ホルモン(MCH)用のアンタゴニストを使用して、肥満、代謝障害、摂食障害(例えば、過食症)および糖尿病を治療する方法だけでなく、メラニン濃縮ホルモン(MCH)用のアンタゴニストである新規化合物を開示している。他の局面では、本発明は、このようなMCHアンタゴニストを含有する医薬組成物だけでなく、このような化合物を調製する方法に関する。本発明の化合物は、一般に、式(I)の構造を有し、この場合、置換基は、本明細書中で定義したとおりである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、メラニン濃縮ホルモン(MCH)用のアンタゴニスト、および代謝障害および摂食障害におけるそれらの使用、MCHレセプタモジュレーター活性を有する新規化合物、1種またはそれ以上のこのようなモジュレーターを含有する医薬組成物、このようなモジュレーターを調製する方法およびこのようなモジュレーターを使用して肥満、糖尿病および関連障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
MCH(環状ペプチド)は、一昔前に、硬骨魚類で最初に確認され、この場合、それは、体色変化を調節すると思われている。さらに最近では、MCHは、哺乳動物における摂食挙動の制御因子として、その潜在的な役割について、研究課題となっている。Shimadaら、Nature,396巻(1998年12月17日)、670〜673ページで報告されているように、MCHが欠乏したマウスは、体重が減少し、低摂食(食物摂取の低下)が原因で、痩せた。彼らの発見に照らして、MCHのアンタゴニストは、肥満の治療に有効であり得ることが提案された。米国特許第5,908,830号は、糖尿病または肥満を治療する組合せ療法が開示されており、これには、代謝速度増大剤および摂食挙動変性剤の投与が関与しており、後者の一例は、MCHアンタゴニストである。さらに、MCHレセプタアンタゴニストはまた、鬱病および/または不安を治療する際に有用であり得る。Borowksy et al.,Nature Medicine,8,pp.825−830(2002年8月1日)。ムスカリンアンタゴニストとして作用する置換ベンジル−ピペラジンは、米国特許第5,883,096号、米国特許第5,889,006号、米国特許第6,037,352号、米国特許第6,043,255号、米国特許第6,288,068号および米国特許第6,498,168号で開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
1実施態様では、本発明は、治療方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする患者に、構造式Iで表わされるMCHアンタゴニスト活性を有する化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物、異性体またはラセミ混合物の治療有効量を投与する工程を包含する:
【0004】
【化16】

ここで、
Arは、アリール、R11−置換アリール、ヘテロアリール、R11−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはR11−置換ヘテロアラルキルである;
は、−C(O)−アリール、−O−アルキル、ハロ、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、R10−置換ヘテロアラルキル、アルキル、R10−置換アルキル、アラルキル、R10−置換アラルキル、
【0005】
【化17】

である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
は、水素またはアルキルである;
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、
【0006】
【化18】

である;
は、水素、アルキル、R10−置換アルキルまたはアルケニルである;
は、水素であるか、またはRは、1個〜3個の置換基であり、各Rは、別個に、アルキルまたはR10−置換アルキルから選択される;
は、水素、アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)N−アルキル、−C(O)N−アリールまたは−C(O)Rである;
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである;
10は、1個〜4個の部分であり、各R10は、同一または異なり得、そして各R10は、別個に、アルコキシ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル−、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−NC(O)R、−NC(O)OR、−NC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択されるか、または隣接炭素上の2個のR10部分は、一緒に結合して、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基を形成できる;そして
11は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシまたはハロである。
【0007】
本発明はまた、代謝障害(例えば、肥満)および摂食障害(例えば、過食症)を治療するための、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物、異性体またはラセミ混合物を含有する医薬組成物に関する。1局面では、本発明はまた、肥満を治療する医薬組成物に関し、これは、式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の肥満治療量と薬学的に受容可能な担体とを含有する。
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、構造式Iで表わされる1種またはそれ以上の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の使用に関し、ここで、種々の部分は、上記のとおりである。
【0009】
本発明の1局面は、以下の構造を有する式Iの少なくとも1種の化合物で、代謝障害、摂食障害または糖尿病を治療する方法である:
【0010】
【化19】

は、−C(O)−アリール、−O−アルキル、ハロ、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、R10−置換ヘテロアラルキル、アルキル、R10−置換アルキル、アラルキル、R10−置換アラルキル、
【0011】
【化20】

である;
およびRは、水素、アルキルまたはアリールである;
は、水素またはアルキルである;
は、水素であるか、またはRは、置換基であり、該置換基は、別個に、アルキルまたはR10−置換アルキルから選択される;
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである;そして
10は、上で定義したとおりである。
【0012】
上記治療方法のさらに他の局面では、式Iの化合物が使用され、ここで、
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、アラルキル、R10−置換アラルキル、ヘテロアラルキルまたはR10−置換ヘテロアラルキルである;
は、水素である;
は、メチルである;
は、水素またはメチルである;
は、
【0013】
【化21】

である;
は、−C(O)Rである;そして
は、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである。
【0014】
上記治療方法のさらに他の局面は、式Iの前記化合物が以下の構造を有する方法を包含する:
【0015】
【化22】

ここで、
は、以下からなる群から選択される:
【0016】
【化23】

、RおよびRは、メチルである;
は、−C(O)Rである;
は、
【0017】
【化24】

である;
12は、エチル、プロピル、ブチルまたはシクロプロピルメチル
である。
【0018】
上記治療方法の他の局面は、式Iの化合物を使用する工程を包含し、ここで、Rは、以下である:
【0019】
【化25】

式Iの他の実施態様は、式Iの化合物が実施例1〜20からなる群から選択される治療方法を包含する。
【0020】
請求発明の他の実施態様は、式Iの化合物で治療する方法を包含し、ここで、前記摂食障害は、過食症であり、ここで、前記代謝障害は、肥満である。
【0021】
他の実施態様は、肥満に関連した障害を治療する方法であって、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する。肥満に関連した障害の特定の例には、II型糖尿病、インシュリン抵抗、高脂血症または高血圧症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
他の実施態様は、摂食障害を治療する方法を包含し、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に以下を投与する工程を包含する:
一定量の第一化合物であって、該第一化合物は、請求項1に記載の式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である;
第二化合物であって、該第二化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬であり、該抗肥満薬および/または食欲抑制薬は、βアゴニスト、スリオミメティック(thryomimetic)薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニストからなる群から選択される;
ここで、該第一および第二化合物の量は、所望の効果を生じる。
【0023】
本発明の他の実施態様は、以下の構造を有する式Iの化合物である:
【0024】
【化26】

ここで、
は、以下からなる群から選択される:
【0025】
【化27】

、RおよびRは、メチルである;
は、−C(O)Rである;
は、
【0026】
【化28】

である;
12は、エチル、プロピル、ブチルまたはシクロプロピルメチル
である。
【0027】
式Iのさらに他の好ましい実施態様は、実施例1〜20からなる群から選択される化合物を包含する。
【0028】
特に明記しない限り、本明細書および請求の範囲を通じて、以下の定義を適用する。これらの定義は、用語が単独で使用されているか他の用語と併用されているかとは無関係に、適用される。それゆえ、「アルキル」との定義は、「アルキル」だけでなく、「アルコキシ」、「シクロアルキル」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0029】
上記に使用される場合、および本明細書全体を通して、以下の用語は、そうでないことが示されない限り、以下の意味を有するものと理解される。
【0030】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2個〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2個〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2個〜約6個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」とは、鎖中に約2個〜約6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適当なアルケニル基の非限定的な例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニルおよび3−メチルブタ−2−エニルが挙げられる。
【0031】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適当なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。このアルキル基は、そのエーテル酸素を介して、隣接部分に結合している。適当なアルコキシ基の非限定的な例には、プロポキシ、エトキシおよびブトキシが挙げられる。
【0032】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。「置換アルキル」との用語は、このアルキル基が、1個またはそれ以上の置換基で置換され得ることを意味し、この置換基は、同一または異なり得、各置換基は、別個に、R10から選択される。さらに、R、R、R、R、RおよびR11がアルキルであるとき、該アルキル基は、必要に応じて、アルキル、アルキルヘテロアリール、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキレニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、トリフルオロメチル、YN−、YN−アルキル−、YC(O)N−、YNC(O)−およびYNS(O)−からなる群から選択される基で置換され得、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、別個に、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択されるか、または隣接炭素上の2個の置換基は、一緒に結合して、メチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成できる。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0033】
「アルキレン」とは、2個の炭素原子上に遊離原子価を共通して有するアルカンジイル基を意味する。非限定的な例には、メチレン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0034】
「アリール」とは、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、これは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。アリールの定義には、縮合アリール(例えば、インデニル、ナフタレニル、アントラセニルおよびインドリニル)が含まれる。縮合アリールは、その環の飽和部分または不飽和部分のいずれかを介して、親部分に結合できる。このアリール基は、非置換であるか、その環上にて、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置換でき、各々は、別個に、R10またはR11から選択される。さらに、R、RおよびRがアリールであるとき、該アリール基は、必要に応じて、アルキル、アルキルヘテロアリール、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキレニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、トリフルオロメチル、YN−、YN−アルキル−、YC(O)N−、YNC(O)−およびYNS(O)−からなる群から選択される基で置換され得、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、別個に、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択されるか、または隣接炭素上の2個の置換基は、一緒に結合して、メチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成できる。適当なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。「アリール」基はまた、1個またはそれ以上の炭素原子および1個またはそれ以上の酸素原子を組み合わせることによって、その芳香環上の2個の隣接炭素を結合することにより、置換できる(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)。
【0035】
「アラルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に記述したとおりであるアリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフテニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介している。「置換アラルキル」とは、そのアラルキル基が同一または異なり得る1個またはそれ以上の置換基で置換され得ることを意味し、各置換基は、別個に、R10から選択される。
【0036】
「アラルケニル」とは、アリールおよびアルケニルが先に記述したとおりであるアリール−アルケニル基を意味する。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含有する。適当なアラルケニル基の非限定的な例には、2−フェネテニルおよび2−ナフチレテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介している。
【0037】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルキルは、その環上にて、この環上の利用できる水素を1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置き換えることにより、必要に応じて置換でき、各々は、別個に、アルコキシ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル−、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−NC(O)R、−NC(O)OR、−NC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rから選択されるか、または隣接炭素上の2個のR10部分は、一緒に結合して、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基を形成できる。適当な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適当な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0038】
「シクロアルケニル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、これは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する。好ましいシクロアルケニル環は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルケニルは、その環上にて、この環上の利用できる水素を1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置き換えることにより、必要に応じて置換でき、各々は、別個に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。適当な一環式シクロアルケニルの非限定的な例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどが挙げられる。適当な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、ノルボルニレニルがある。
【0039】
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0040】
「ハロアルキル」とは、上で定義したアルキルであって、ここで、そのアルキル上の1個またはそれ以上の水素原子は、上で定義したハロ基で置き換えられている。
【0041】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なヘテロアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。「ヘテロアラルキル」は、必要に応じて、その環上にて、この環上の利用できる水素を1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置き換えることにより、必要に応じて置換でき、各々は、別個に、R10またはR11から選択される。
【0042】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有し、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含有する。この「ヘテロアリール」は、その環上にて、この環上の利用できる水素を1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置き換えることにより、必要に応じて置換でき、各々は、別個に、R10またはR11から選択される。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化される。さらに、RおよびRがヘテロアリールであるとき、該ヘテロアリール基は、必要に応じて、アルキル、アルキルヘテロアリール、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキレニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、トリフルオロメチル、YN−、YN−アルキル−、YC(O)N−、YNC(O)−およびYNS(O)−からなる群から選択される基で置換され得、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、別個に、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択されるか、または隣接炭素上の2個の置換基は、一緒に結合して、メチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成できる。適当なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、トリアゾリルなどが挙げられる。
【0043】
「ヘテロシクリル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクリル環は、約5個〜約6個の環原子を含有する。そのヘテロシクリル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このシクロアルキルは、その環上にて、この環上の利用できる水素または任意の窒素上の水素を、適当には、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置き換えることにより、必要に応じて置換でき、各々は、別個に、アルコキシ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル−、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−NC(O)R、−NC(O)OR、−NC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rから選択されるか、または隣接炭素上の2個のR10部分は、一緒に結合して、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基を形成できる。このヘテロシクリルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な一環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0044】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、アルコキシ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル−、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−NC(O)R、−NC(O)OR、−NC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rから選択されるか、または隣接炭素上の2個のR10部分は、一緒に結合して、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基を形成できる。
【0045】
「ヘテロアラルケニル」とは、ヘテロアリール−アルケニル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルケニルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含有する。適当なヘテロアラルケニル基の非限定的な例には、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。その親部分への結合は、このアルケニルを介している。
【0046】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0047】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルが挙げられる。
【0048】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介している。
【0049】
「アラルコキシ」は、アラルキル−O−基を意味する。適切なアラルコキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシがある。親部分への結合は、エーテル酸素を介している。
【0050】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0051】
「アルコキシカルボニルアルキレニル」は、アルキル−O−CO−アルキレニル基を意味する。適切なアルコキシカルボニルアルキレニル基の非限定的な例には、エトキシカルボニルメチレニルおよびメトキシカルボニルメチレニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0052】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0053】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例には、ベンジルオキシカルボニルがある。親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0054】
「アルキルヘテロアリール」とは、そのヘテロアリールおよびアルキルが先に記述したとおりであるアルキル−ヘテロアリール基を意味する。親部分への結合は、ヘテロアリールを介している。
【0055】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分への結合は、イオウを介している。
【0056】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例には、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、イオウを介している。
【0057】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例には、ベンジルチオがある。親部分への結合は、イオウを介している。
【0058】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルフィニルを介している。
【0059】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0060】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0061】
「ヘテロアラルキルチオ」は、ヘテロアラルキル−S−基を意味し、ここで、ヘテロアラルキル基は、先に記述したとおりである。親部分への結合は、イオウを介している。
【0062】
「ヘテロアリールスルフィニル」は、ヘテロアリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルフィニルを介している。
【0063】
「ヘテロアリールスルホニル」は、ヘテロアリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0064】
「ヘテロアリールチオ」は、ヘテロアリール−S−基を意味し、ここで、ヘテロアリール基は、先に記述したとおりである。親部分への結合は、イオウを介している。
【0065】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適当なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0066】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0067】
「患者」は、ヒトおよび他の動物の両方を含む。
【0068】
「必要に応じて置換された」との用語は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。本明細書中の教本、図式、実施例、構造式および表における満たされていない原子価を有するヘテロ原子は、水素原子またはそれらの原子価を満たす原子を有すると想定されることもまた、留意すべきである。
【0069】
「少なくとも1種の」化合物または「1種またはそれ以上の化合物」との用語は、1〜3種の化合物、好ましくは、1種の化合物を意味する。
【0070】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の置換基または式Iにおいて、1回より多く現れるとき、各出現例でのその定義は、いずれの他の出現例でのその定義とも無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容される。
【0071】
式Iの化合物は、本発明の範囲内にて、ラセミ混合物または鏡像異性的に純粋な化合物として、投与できる。
【0072】
本明細書中で使用する「組成物」との用語は、特定量で特定の成分を含有する生成物だけでなく、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含すると解釈される。
【0073】
式Iの化合物は、塩、溶媒和物およびプロドラッグの形状で形成でき、これらは、本発明の範囲内である。本明細書中での式Iの化合物の言及は、特に明記しない限り、それらの塩、溶媒和物およびプロドラッグの言及を含むと理解される。本発明の化合物の溶媒和物はまた、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0074】
「溶媒和物」とは、1種またはそれ以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0075】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本発明の範囲内にあると考えられる。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式Iの化合物またはその塩および/または溶媒和物を生じる。プロドラッグの論述は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987) Volume 14 of the A.C.S.Symposium Seriesおよびin Bioreversible.Carriers in Drug Design,(1987) Edward B.Roche著、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0076】
「塩」との用語は、本明細書中で使用するとき、無機酸および/または有機酸で形成された酸性塩だけでなく、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩基を意味する。それに加えて、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されないが))または酸性部分(例えば、カルボン酸(これに限定されないが))の両方を含有するとき、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する「塩」との用語に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学的に受容可能な)塩が好ましいものの、他の塩もまた、有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中にて、一定量(例えば、当量)の酸または塩基と反応させることに続いて、凍結乾燥することにより、形成され得る。
【0077】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン塩酸、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書中で言及したもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(これはまた、トシレートとしても知られている)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。さらに、塩基性医薬品化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適当と一般に考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1) 1〜19;P.Gould,Intemational J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびin The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.on their website)で論述されている。これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0078】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を備えた塩(例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(これは、N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンで形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)など。
【0079】
このような酸塩および塩基塩の全ては、本発明の範囲内で、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形状と等価であると考えられる。
【0080】
式Iの化合物、その塩および溶媒和物は、それらの互変異性形状(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在し得る。このような互変異性形状の全ては、本明細書中では、本発明の一部であると考慮される。
【0081】
本発明の化合物(これらの化合物の塩および溶媒和物だけでなく、これらのプロドラッグの塩およびプロドラッグを含めて)の全ての立体異性体(例えば、種々の置換基上の非対称炭素が原因で存在し得るもの)は、鏡像異性体(これは、非対称炭素なしで存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体およびジアステレオマー形状を含めて、本発明の範囲内であると考慮される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含み得ないか、例えば、ラセミ体として混合され得るか、他の全ての立体異性体または他の選択した立体異性体であり得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsにより定義されるSまたはR立体配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」などの用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体またはラセミ体の塩および溶媒和物にも、同様に適用すると解釈される。
【0082】
式Iの化合物は、肥満の治療に有用な非常に選択的で非常に親和性のメラニン濃縮ホルモン(MCH)レセプタアンタゴニストであり得る。
【0083】
本発明の1局面は、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の治療有効量を哺乳動物に投与することにより、MCHが媒介する疾患または病気に罹った哺乳動物(例えば、ヒト)を治療する方法である。
【0084】
「有効量」または「治療有効量」とは、MCHが媒介する疾患または病気に罹った哺乳動物(例えば、ヒト)を治療してそれにより所望の治療効果を生じるのに有効な本発明の化合物の量を記載することを意味する。
【0085】
好ましい投薬量は、約0.001〜100mg/体重1kg/日の式Iの化合物である。式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩の特に好ましい投薬量は、約0.01〜30mg/体重1kg/日である。
【0086】
本発明のさらに他の局面は、肥満を治療する方法に関し、該方法は、このような治療が必要な患者に、治療有効量の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0087】
本発明のさらに他の局面は、摂食障害および代謝障害(例えば、過食症および拒食症)を治療する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0088】
本発明の他の局面は、高脂血症を治療する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0089】
本発明の他の局面は、セリュライトおよび脂肪の蓄積を治療する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0090】
本発明の他の局面は、II型糖尿病を治療する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0091】
このMCH亜型に対する本発明の化合物の「直接」効果に加えて、体重減少の恩恵を受ける疾患および病気(例えば、インシュリン抵抗、弱くなったグルコース耐性、II型糖尿病、高血圧症、高脂血症、心臓病、胆石、ある種の癌、および睡眠時無呼吸)がある。
【0092】
本発明はまた、医薬組成物に関し、該医薬組成物は、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と、少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する。
【0093】
本発明はまた、肥満を治療する医薬組成物に関し、該医薬組成物は、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の肥満を治療する量と、少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する。
【0094】
本発明のさらに他の局面は、式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と、下記のような他の化合物との組み合わせである。
【0095】
従って、本発明の範囲内には、肥満を治療する方法が含まれ、該方法は、哺乳動物(ヒトの男性または女性)に以下を投与する工程を包含する:
a.第一量の第一化合物であって、該第一化合物は、式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である;および
b.一定量の第二化合物および/または必要に応じて、薬学的に受容可能な担体、ビヒクルまたは希釈剤であって、該第二化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)であり、ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる。
【0096】
本発明の他の局面は、キットであり、該キットは、以下を含む:
a.第一単位剤形での第一量の式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物および薬学的に受容可能な担体、ビヒクルまたは希釈剤;
b.第二単位剤形での一定量の抗肥満薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)および薬学的に受容可能な担体、ビヒクルまたは希釈剤;および
c.該第一および第二剤形を含有させる手段であって、ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる。
【0097】
好ましい抗肥満薬および/または食欲抑制薬は、(単独で、またはそれらの任意の組み合わせで)、上記組み合わせ方法、組み合わせ組成物および組み合わせキットにおいて、以下である:フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、フェンテルミン、コレシストキニンA(本明細書中の以下で、CCK−Aと呼ばれる)アゴニスト、モノアミン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経作用性薬剤、セロトニン作用性薬剤(例えば、デキシフェンフルラミンまたはフェンフルラミン)、ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラノサイト刺激ホルモンレセプターアゴニストもしくは模倣物、メラノサイト刺激ホルモンアナログ、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、OBタンパク質(本明細書中の以下で、「レプチン」と呼ぶ)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニストまたはGIリパーゼインヒビターもしくは減少物質(例えば、オーリスタット)。他の有用な食欲抑制薬としては、ボンベシンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロンもしくはそのアナログ、糖質コルチコイドレセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタアゴニスト、グリコーゲン様ペプチド1レセプターのアゴニスト(例えば、Exendin)ならびに毛様体神経栄養因子(例えば、Axokine)が挙げられる。
【0098】
本発明の別の局面は、糖尿病を治療する方法であり、この方法は、哺乳動物(例えば、ヒトの女性または男性)に以下を投与する工程を包含する:
a.一定量の第一化合物であって、この第一化合物は、式Iの化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である;および
b.一定量の第二化合物であって、この第二化合物は、アルドース還元酵素阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、ソルビトール脱水素酵素阻害薬、プロテインチロシン脱リン酸酵素1B阻害薬、ジペプチジルタンパク質分解酵素阻害薬、インシュリン(経口用生物学的利用可能インシュリン調製物を含む)、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γ配位子(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドおよびクロルプロパミドであり、ここで、ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる。
【0099】
本発明はまた、組み合わせ医薬組成物に関し、この組成物は、以下を含有する:治療有効量の組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
第一化合物であって、該第一化合物は、式Iの化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である;
第二化合物であって、該第二化合物は、アルドース還元酵素阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、ソルビトール脱水素酵素阻害薬、プロテインチロシン脱リン酸酵素1B阻害薬、ジペプチジルタンパク質分解酵素阻害薬、インシュリン(経口用生物学的利用可能インシュリン調製物を含む)、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γ配位子(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドまたはクロルプロパミドである;および必要に応じて、薬学的なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤。
【0100】
本発明の別の局面は、キットであり、このキットは、以下を含む:
a.第一単位剤形である一定量の式Iの化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物
b.第二単位剤形である一定量のアルドース還元酵素阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、ソルビトール脱水素酵素阻害薬、プロテインチロシン脱リン酸酵素1B阻害薬、ジペプチジルタンパク質分解酵素阻害薬、インシュリン(経口用生物学的利用可能インシュリン調製物を含む)、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γ配位子(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドまたはクロルプロパミド、および薬学的に受容可能な担体、ビヒクルまたは希釈剤;および
c.該第一および第二剤形を含有させる手段であって、ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる。
【0101】
好ましくは、この医薬製剤は、単位剤形である。このような剤形では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含有する適当なサイズの単位用量に細分される。
【0102】
単位用量の製剤中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg〜約1000mg、好ましくは、約1mg〜約50mg、さらに好ましくは、約1mg〜約25mgで変えられるか調整され得る。
【0103】
使用する実際の投薬量は、患者の要件および治療する病気の重症度に依存して、変わり得る。特定の状況に適当な投薬量の決定は、当該技術の範囲内である。便宜上、全毎日投薬量は、必要に応じて、その日に、分割して少しずつ投与され得る。
【0104】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および体格だけでなく治療する症状の重症度のような要因を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な推奨毎日投薬レジメンは、1回〜4回の分割用量で、約1mg/日〜約300mg/日、好ましくは、1mg/日〜50mg/日の範囲であり得る。
【0105】
本発明で記述した化合物から医薬組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの粉末および錠剤は、約5%〜約70%の活性成分から構成され得る。適当な固体担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセル剤は、経口投与に適当な固体投薬形状として使用できる。
【0106】
座剤を調製するためには、低溶融性ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物)が、まず、溶融され、その活性成分は、攪拌により、その中で均一に分散される。溶融した均一混合物は、次いで、好都合な大きさにした鋳型に鋳込まれ、冷却され、それにより、固化する。
【0107】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例としては、非経口注入用に、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得る。
【0108】
液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0109】
吸入に適当なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能な担体(例えば、不活性圧縮気体)と組み合わせられ得る。
【0110】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれか用の液状製剤に転化するように向けられた固形製剤も含まれる。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0111】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形状をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0112】
好ましくは、この化合物は、経口投与される。
【0113】
好ましくは、この医薬製剤は、単位剤形である。このような形状では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の各活性成分を含有する単位用量に細分される。
【0114】
式Iの化合物は、以下の調製および実施例において、以下の反応図式で示した溶液相合成または固相合成のいずれかを使用して、当業者に公知の方法によって、生成できる。
【実施例】
【0115】
(合成)
本明細書中で開示した発明は、以下の調製例および実施例で例示されるが、これらは、添付の請求の範囲で規定された本発明の範囲を限定するとは解釈すべきではない。代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかであり得る。
【0116】
NMRデータを提示する場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、1H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得、括弧で示したヘルツにおいて、プロトン数、多重度および結合定数と共に、MeSiからのppmダウンフィールドとして報告される。LC/MSを提示する場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラムを使用して、実行した:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配流れ:0分−水中で10%CHCN、5分−水中で95%CHCN、7分−水中で95%CHCN、7.5分−水中で10%CHCN、9分。保持時間および観測した親イオンを示す。
【0117】
以下の溶媒および試薬は、それらの括弧内の略語で呼ばれ得る:
CHCNは、アセトニトリルを意味する;
MeOHは、メタノールを意味する;
TFAは、トリフルオロ酢酸を意味する;
DCEは、ジクロロエタンを意味する;
Dppfは、ジフェニルホスフィノフェロセンを意味する;
DCMは、ジクロロメタンを意味する;
DIEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味する;
DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドを意味する;
DMSOは、メチルスルホキシドを意味する;
9−BBNは、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンを意味する;
EDCLは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する;
HOBTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味する;
Bocは、ブトキシカルボニルを意味する;
NMRは、核磁気共鳴スペクトルを意味する;
LCMSは、液体クロマトグラフィー質量スペクトルを意味する;
AcOEtまたはEtOAcは、酢酸エチルを意味する;
HRMSは、高解像度質量分析法を意味する;
室温またはrt(周囲)は、約25℃を意味する;
NaBH(OAc)は、トリアセトキシホウ水素化ナトリウムを意味する。
【0118】
本発明の範囲内の代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかとなる。
【0119】
(実験例)
以下の実施例は、本発明の化合物の一部を説明するが、これらは、本明細書中で開示した発明を限定するものとは解釈されない。
【0120】
Ia型の化合物は、スキーム1に従って、調製される:
(スキーム1)
【0121】
【化29】

化合物1(ここで、Halは、ハロ(好ましくは、ブロモまたはヨード)である)は、WO 00/66558および米国特許第6,391,865号に従って、調製される。化合物1は、パラジウム触媒の存在下にて、スズ酸ビニル2(この場合、Zは、結合またはアルキレン基である)で処理されて、オレフィン3が得られる。これは、4でハイドロボレーションにかけられ、得られたボランは、パラジウム触媒の存在下にて、ハロゲン化アルキル5(この場合、ArおよびZが先に定義したように一緒になってR基を形成するように、Arは、先に定義したように、アリールまたはヘテロアリールである)で処理されて、1bが得られる。
【0122】
Ibの化合物は、スキーム2に従って、調製できる:
(スキーム2)
【0123】
【化30】

化合物1は、パラジウム触媒の存在下にて、ボランまたはボロン酸誘導体6(ここで、Lは、H、またはホウ素上の種々の配位子(例えば、アルキル、OHまたはアルコキシ)である)で処理されて、Iaが得られる。
【0124】
本発明の化合物は、上記方法に従って、直接調製できる。あるいは、本発明の1つの化合物は、当業者に周知の官能基操作により、本発明の他の化合物に変換できる。例えば、R
【0125】
【化31】

であり、そしてRが、boc基である化合物については、このboc基は、酸(例えば、TFA)で処理することにより除去でき、そのN−H誘導体(R=H)が得られ、下記のようにして、周知方法を使用して、新たなR基が導入できる。
【0126】
(中間体の調製)
調製A:1−第三級ブトキシカルボニル−4−{4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)−メチルピペラジン−1−イル}−ピペリジン
【0127】
【化32】

(工程1)
CHCl(40mL)中のS−乳酸メチル(5.0g)を、−70℃で、無水トリフルオロメタンスルホン酸(7.6mL)および2,6−ルチジン(7.8mL)と共に撹拌した。冷却を取り除き、その混合物を0.5時間撹拌し、そして2N HClで洗浄した。その有機相を、水(60mL)中の(S)−メチル 4−ブロモベンジルアミン(9.0g)およびKCO(11.2g)に加えた。この混合物を、室温で、20時間撹拌し、その有機相を分離し、KCOで乾燥し、蒸発させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(これは、EtO−CHClを使う)にかけて、濃厚オイルとして、所望生成物(7.50g)を得た。
【0128】
(工程2)
工程1の生成物(7.5g)を、還流状態で、1,2−ジクロロエタン(40mL)および塩化クロロアセチル(5.0mL)中にて、5時間加熱し、次いで、蒸発させ、得られた残留物を、次の工程で、直接使用した。
【0129】
(工程3)
工程2の生成物をDMSO(80ml)、水(10ml)に溶解し、氷浴で冷却し、そしてNaI(8g)を加えた。濃NHOH溶液(15mL)を加え、その混合物を、室温に到達するにつれて、20時間撹拌した。水(200mL)を滴下し、そして固形物を集め、水で洗浄し、そして70℃/5mmで乾燥して、ジケトピペラジンを得、これは、次の工程に適当である。
【0130】
(工程4)
工程3の生成物(6.8g)、1,2−ジメトキシエタン(60mL)およびNaBH(3.4g)の混合物に、N下にて、BF.OEt(6.8mL)を滴下し、その混合物を、100℃で、10時間加熱した。室温まで冷却した後、CHOH(20mL)を滴下し、続いて、濃HCl(30mL)を加えた。この混合物を、100℃で、1時間加熱し、冷却し、過剰な2N NaOHで塩基化し、そしてEtOAcで抽出した。その有機層をKCOで乾燥し、そして蒸発させて、1−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−2−メチル−ピペラジン(5.85g)を得、これは、次の工程で適当であった。
【0131】
(工程5)
工程4の生成物を、室温で、N−Boc−4−ピペリジノン(4.32g)、HOAc(1.15mL)、CHCl(80mL)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(NaBH(OAc))(8.3g)と共に、20時間撹拌した。その後、その反応物を過剰のNaCO水溶液でゆっくりとクエンチし、そして0.5時間撹拌した。その有機層を分離し、そしてシリカゲルのパッドで濾過し、10:1のCHCl−EtOで洗浄して、全ての生成物を溶出した。その濾液を蒸発させ、そしてEtO(100mL)に溶解した。これに、HCLの4M 1,4−ジオキサン(10mL)水溶液を滴下した。固形物を集め、EtOで洗浄し、CHClおよび過剰のNaOH水溶液と共に撹拌した。その有機相をKCOで乾燥し、そして蒸発させて、1−第三級ブトキシカルボニル−4−{4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)−メチルピペラジン−1−イル}−ピペリジン(5.45g)を得た。
【0132】
調製B:1−第三級ブトキシカルボニル−4−{4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)−メチルピペラジン−1−イル}−4−メチルピペリジン
【0133】
【化33】

CHCl(15mL)中の調製A、工程4の生成物(1.0g)、4−第三級ブチルオキシカルボニル−4−ピペリジノン(0.77g)およびTiCl(1.0g)を、室温で、20時間撹拌し、還流状態で3時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。これに、シアン化ジメチルアルミニウムの1Mトルエン溶液4.2mLを加え、得られた混合物を、室温で、5日間撹拌した。この混合物をCH2Cl2と水との間で分配し、水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(これは、10;1のCHCl−メタノールで溶出する)にかけて、0.72gの所望生成物を得た。
【0134】
調製C:4−{4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)、5(R)−ジメチルピペラジン−1−イル}−ピペリジン(C−1)および4−{4−[1(R)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)、5(R)−ジメチルピペラジン−1−イル}−ピペリジン(C−2)
【0135】
【化34】

(工程1)
4−ブロモベンズアルデヒド(1.14g、6.15mmol)および4−ベンジル−(2R,6R)−ジメチルピペラジンe(1.20g、5.85mmol)のDCM(8mL)溶液をチタン(IV)イソプロポキシド(1.90mL、6.25mmol)で処理し、そして室温で、48時間撹拌する。この溶液をTHF(8mL)で希釈し、そして室温で、3N臭化メチルマグネシウム(EtO(5mL、15mmol)中)で処理する。次いで、その反応物を、40℃で、45分間撹拌し、次いで、NHCl飽和水溶液に注ぎ、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。その残留物をシリカゲル(これは、94:6のヘキサン/AcOEtで溶出する)で精製して、溶出順序で、260mgの異性体1および1.28gの異性体2を得る。
【0136】
(工程2)
工程1から得た異性体1(260mg、0.67mmol)のDCE(1.5mL)溶液を、0℃で、クロロギ酸1−クロロエチル(91μL、0.84mmol)で処理し、次いで、2時間還流する。濃縮後に得られた残留物をMeOH(3mL)で処理し、45分間還流し、次いで、濃縮する。その残留物を1N NaOH水溶液に吸収し、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮して、183mgの生成物C−1を得る。類似の様式で、異性体C−2を調製する。
【0137】
調製D:1−第三級ブトキシカルボニル−2−メチル−4−{4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)−メチルピペラジン−1−イル}−ピペリジン
【0138】
【化35】

(工程1)
7−メチル−1、4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸第三級ブチルエステル)(これは、prepared according to the method of Beak at al.(J.Org.Chem.1993、58、1109−1117)の方法に従って、調製した)0.52gの酢酸6mLおよび濃HCl(2.5mL)溶液を、室温で、一晩撹拌した。その混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1N水酸化ナトリウムで洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、0.29gの黄色オイルを得た。これをエーテル15mLに溶解し、そして1N NaOH(5mL)およびboc無水物72g(2.57mmol)で処理した。この混合物を、室温で、3時間撹拌し、次いで、エーテルで希釈し、そして1N NaOH、水およびブラインで希釈した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、ヘキサン中の20%酢酸エチルで溶出する)で精製して、ジアステレオマーの混合物として、0.18gの1−第三級ブトキシカルボニル−2−メチル−4−オキソ−ピペリジンを得た。
【0139】
(工程2)
調製A、工程4から得た1−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−2−メチル−ピペラジン(0.104g)を、調製A、工程5で記述された先の工程から得られた1−第三級ブトキシカルボニル−2−メチル−4−オキソ−ピペリジン0.075gで処理して、1−第三級ブトキシカルボニル−2−メチル−4−4−[1(S)−(4−ブロモフェニル)−エチル]−3(R)−メチルピペラジン−1−イル}−ピペリジンを得た。
【0140】
(実験例)
(実験1)
【0141】
【化36】

(工程1)
化合物1(これは、上記のようにして調製した)885mg(1.9mmol)のトルエン20mL溶液を、トリブチルビニルスズ722mg(2.3mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)44mg(0.04mmol)で処理した。トリブチルビニルスズ0.5mgおよびトルエン20mLを追加し、その溶液をさらに72時間還流した。冷却した後、その混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物を中圧フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン1Lで溶出し、続いて、ジクロロメタン中の5%メタノール1Lで溶出する)で精製して、915mgの粗化合物2を得、これを、工程2にて、直接使用した。
【0142】
(工程2)
工程1の生成物のTHF(20ml)溶液に、THF中の0.5M 9−BBN(7.6mL)を加え、その混合物を、還流状態で、4時間加熱した。他の0.5M 9−BBN(7.6mL)を加え、この混合物を、還流状態で、さらに4時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物を、KPO(806mg、3.8mmol)の水3mL溶液、5−ブロモ−ベンゾ[1,3]ジオキソール458mg(2.3mmol)のDMF(3mL)溶液および塩化パラジウム(II)−dppf錯体78mg(0.09mmol)で処理した。得られた混合物を、還流状態で、一晩加熱し、室温まで冷却し、そして酢酸エチルで希釈した。この溶液を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物を中圧フラッシュクロマトグラフィー(これは、3:1の酢酸エチル:ヘキサン4Lで溶出する)で精製して、化合物3(380mg)を得た。
【0143】
(工程3)
boc−保護化合物3(380mg)を、ジクロロメタン10mL中にて、室温で、3時間にわたって、トリフルオロ酢酸1.1mLと共に撹拌した。真空下にて溶媒を除去し、その残留物をジクロロメタンに溶解し、そして10%水酸化ナトリウムで洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、359mgの遊離アミンを得、これを、精製することなく、使用した。このアミン26mg(57.9mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、3−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸4(22mg、115.8mmol)、EDCl(22mg、115.8mmol)、HOBT(16mg、115.8mmol)およびDIEA(0.1mL)を加えた。得られた混合物を、室温で、一晩撹拌し、水および10%水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、100%酢酸エチルで溶出する)で精製して、19mg(収率54%)の5を得た。NMR:高解像度質量分析法:C3546Sの計算値604.3209。実測値:604.3212。類似の方法を使用して、以下の化合物を調製した:
【0144】
【化37】

(実験2)
【0145】
【化38】

(工程1)
1−クロロ−4−ビニル−ベンゼン6(297mg、2.1mmol)のTHF(2mL)溶液を、THF中の0.5M 9−BBN(8.6mL)で処理し、その混合物を、還流状態で、4時間加熱した。冷却した後、その溶液を、臭化物1(250mg、0.54mmol)(DMF(2mL)中)、3M KPO水溶液0.75mlおよび塩化パラジウム(lI)−dppf錯体87mg(.12mmol)で処理した。その混合物を、還流状態で、一晩加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン中の5〜28%アセトンで溶出する)で精製して、138mgの化合物7を得た。
【0146】
(工程2)
工程1の生成物10mg(0.023mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸で処理することにより、続いて、実験1、工程3で記述されているように、得られたアミンを3−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸4で処理することにより、化合物8に変換された。その生成物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、100%酢酸エチルで溶出する)で精製して、9.4mgの化合物8を得た。NMR。高解像度質量分析法:C3445SClの計算値594.2921。実測値:594.2916。
【0147】
類似の様式で、以下の化合物を調製した:
【0148】
【化39】

(実験3)
【0149】
【化40】

(工程1)
化合物1(299mg、0.64mmol)のDMF(2ml)溶液を、4−ピリジルボロン酸158mg(1.28mmol)、KPO(407mg、1.92mmol)(水0.65mL中)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)37mg(0.032mmol)で処理した。その混合物を、80℃で、一晩加熱し、室温まで冷却し、ジエチルエーテルで希釈し、10%水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトで濾過し、そして真空下にて濃縮した。その残留物を中圧フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン中の30%〜50%アセトンで溶出する)で精製して、121mgの化合物9を得た。
【0150】
(工程2)
工程1の生成物をトリフルオロ酢酸で処理し、続いて、実験1、工程3で記述されているように、3−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸4とカップリングした。その生成物を含エーテルHClで処理して、その塩酸塩として、86mgの化合物10を得た。NMR LCMS 高解像度質量分析法:C3141Sの計算値533.2950。実測値:533.2944 LCMS(M+1)=533.1(3.81分間)。類似の方法を使用して、以下の化合物を調製した:
【0151】
【化41−1】

【0152】
【化41−2】

【0153】
【化41−3】

(実験4)
【0154】
【化42】

化合物1(975mg、2.1mmol)をTFAで処理し、得られたN−H化合物を、実験1、工程3で記述されているように、酸4で処理して、573mgのアミド11を得る。化合物11(50mg、0.094mmol)、3−シアノフェニルボロン酸12(28mg、0.187mmol)、塩化ビス−トリフェニルホスフィンパラジウム3.3mg(0.004mmol)および1.4M KPO(0.2mL(0.28mmol)のDMF(1mL)溶液を、80℃で、一晩撹拌した。冷却した後、その混合物をエーテルで希釈し、10%水酸化ナトリウムおよび水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させる。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、100%酢酸エチルで溶出する)で精製して、生成物を得る。HRMS C3341Sの計算値:557.2950、実測値:557.2950。LCMS:LCMS(M+1)=558(4.77分間)。
【0155】
(MCHレセプタ結合アッセイ)
4℃で15分間にわたって細胞を5mM HEPESに溶解することにより、MCHレセプタを発現するCHO細胞に由来の膜を調製した。細胞溶解物を遠心分離(12.5000×g、15分間)、そのペレットを5mM HEPESで再懸濁した。各96ウェルプレート(Microlite,Dynex Technologies)に対して、結合緩衝液(25mM HEPES、10mM MGCl、10mM NaCl、5mM MnCl、0.1% BSA)中にて、4℃で、15分間にわたって、細胞膜1mgを小麦胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)10mgでインキュベートした。この膜/ビーズ混合物を遠心分離し(1500×g、3.5分間)、その上澄み液を吸引し、そのペレットを結合緩衝液10mlで再懸濁した。次いで、この遠心分離、吸引および再懸濁を繰り返した。次いで、この膜/ビーズ混合物(100l)を96ウェルプレート(これは、50lの500pM[125I]−MCH(NEN)および50mlの適当な濃度の化合物(4×所望最終濃度)を含有する)に加えた。その結合反応において、1M MCHを含有させることにより、非特異的結合を決定した。この結合反応物を、室温で、2時間インキュベートした。次いで、TOPCOUNTマイクロプレートシンチレーションカウンタ(Packard)で分析した。データを分析し、GraphPad Primを使用して、Ki値を決定した。
【0156】
式Iの化合物は、MCHレセプタ拮抗活性を示し、これは、障害(例えば、肥満および過食症、および糖尿病だけでなく、摂食障害一般)を治療する医薬活性と相関している。
【0157】
本発明の化合物について、約6nM〜約25nMの範囲のMCHレセプタ結合活性(Ki値)が観察された。
【0158】
以下の表では、他の化合物の結果が見え、この場合、これらの化合物は、6nM〜10nMのKi値について「A」、10nMより大きく15nMより小さいKi値について「B」、そして15nMより大きいKi値について、「C」の評点を付ける。
【0159】
請求した化合物の好ましい実施態様には、実施例16および20が挙げられ、これらは、6に等しいKi値を有する。
【0160】
(表−MCHレセプタ活性)
【0161】
【表1−1】

【0162】
【表1−2】

【0163】
【表1−3】

【0164】
【表1−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
代謝障害、摂食障害または糖尿病を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物、異性体またはラセミ混合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法:
【化1】

ここで、
Arは、アリール、R11−置換アリール、ヘテロアリール、R11−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはR11−置換ヘテロアラルキルである;
は、−C(O)−アリール、−O−アルキル、ハロ、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、R10−置換ヘテロアラルキル、アルキル、R10−置換アルキル、アラルキル、R10−置換アラルキル、
【化2】

である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
は、水素またはアルキルである;
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、
【化3】

である;
は、水素、アルキル、R10−置換アルキルまたはアルケニルである;
は、水素であるか、またはRは、1個〜3個の置換基であり、各Rは、別個に、アルキルまたはR10−置換アルキルから選択される;
は、水素、アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)N−アルキル、−C(O)N−アリールまたは−C(O)Rである;
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである;
10は、1個〜4個の部分であり、各R10は、同一または異なり得、そして各R10は、別個に、アルコキシ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル−、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−NC(O)R、−NC(O)OR、−NC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択されるか、または隣接炭素上の2個のR10部分は、一緒に結合して、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基を形成できる;そして
11は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシまたはハロである、
方法。
【請求項2】
式Iの前記化合物が、以下の構造を有する、請求項1に記載の治療方法:
【化4】

は、−C(O)−アリール、−O−アルキル、ハロ、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、R10−置換ヘテロアラルキル、アルキル、R10−置換アルキル、アラルキル、R10−置換アラルキル、
【化5】

である;
およびRは、水素、アルキルまたはアリールである;
は、水素またはアルキルである;
は、水素であるか、またはRは、置換基であり、該置換基は、別個に、アルキルまたはR10−置換アルキルから選択される;
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである;そして
10は、上で定義したとおりである、
方法。
【請求項3】
式Iの化合物を使用する請求項1に記載の治療方法であって、ここで、
は、アリール、R10−置換アリール、ヘテロアリール、R10−置換ヘテロアリール、アラルキル、R10−置換アラルキル、ヘテロアラルキルまたはR10−置換ヘテロアラルキルである;
は、水素である;
は、メチルである;
は、水素またはメチルである;
は、
【化6】

である;
は、−C(O)Rである;そして
は、ヘテロアリールまたはR10−置換ヘテロアリールである、
方法。
【請求項4】
式Iの化合物を使用する請求項3に記載の治療方法であって、ここで、
は、
【化7】

である、方法。
【請求項5】
式Iの前記化合物が、以下の構造を有する、請求項1に記載の治療方法:
【化8】

ここで、
は、以下からなる群から選択される:
【化9】

、RおよびRは、メチルである;
は、−C(O)Rである;
は、
【化10】

である;
12は、エチル、プロピル、ブチルまたはシクロプロピルメチルである、
方法。
【請求項6】
式Iの前記化合物が、以下からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の治療方法:
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【化11−4】

【請求項7】
前記摂食障害が、過食症である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記代謝障害が、肥満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記摂食障害が、過食症である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記摂食障害が、肥満である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
肥満に関連した障害を治療する方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に、請求項1に記載の式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
前記肥満に関連した障害が、II型糖尿病、インシュリン抵抗性、高脂血症または高血圧症の少なくとも1種である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
摂食障害を治療する方法であって、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に以下を投与する工程を包含する:
一定量の第一化合物であって、該第一化合物は、請求項1に記載の式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、第一化合物;
第二化合物であって、該第二化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬であり、該抗肥満薬および/または食欲抑制薬は、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニストからなる群から選択される、第二化合物;
ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる、
方法。
【請求項14】
次式の化合物:
【化12】

ここで、
は、以下からなる群から選択される:
【化13】

、RおよびRは、メチルである;
は、−C(O)Rである;
は、
【化14】

である;
12は、エチル、プロピル、ブチルまたはシクロプロピルメチル
である、
化合物。
【請求項15】
以下:
【化15−1】

【化15−2】

【化15−3】

【化15−4】

からなる群から選択される、化合物:
【請求項16】
医薬組成物であって、該医薬組成物は、以下の治療有効量を含有する:
第一化合物であって、該第一化合物は、請求項15に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、第一化合物;
第二化合物であって、該第二化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬であり、該抗肥満薬および/または食欲抑制薬は、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニストからなる群から選択される、第二化合物;および
薬学的に受容可能な担体。
【請求項17】
医薬組成物であって、該医薬組成物は、以下の治療有効量を含有する:
第一化合物であって、該第一化合物は、請求項15に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、第一化合物;
第二化合物であって、該第二化合物は、アルドース還元酵素阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、ソルビトール脱水素酵素阻害薬、プロテインチロシン脱リン酸酵素1B阻害薬、ジペプチジルタンパク質分解酵素阻害薬、インシュリン、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドおよびクロルプロパミドからなる群から選択される、第二化合物;および
薬学的に受容可能な担体。
【請求項18】
少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、請求項15に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を含有する、医薬組成物。
【請求項19】
請求項15に記載の少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する医薬組成物を製造する方法。

【公表番号】特表2007−521286(P2007−521286A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517746(P2006−517746)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020763
【国際公開番号】WO2005/005419
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】