説明

肥満防止のための乳幼児用栄養組成物

本発明は、ある種の栄養組成物を、0〜36カ月の月齢の乳幼児に与えることにより、後年での肥満を防止する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3歳未満の年齢の非肥満の乳幼児に、特定の栄養組成物を与えることにより、後年での肥満を防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
母乳で育てることは、乳幼児に栄養を与える好ましい方法である。しかしながら、母乳で育てることが不可能又は望ましくないという状況がある。このような場合、乳幼児用調合乳は良い代替物である。現代の乳幼児用調合乳の組成物は、成長及び発達の早い乳幼児の特別な栄養所要量の多くを満たすように適合している。
【0003】
今もなお乳幼児用調合乳の構成に対して改善の余地があると思われる。例えば、乳児用調合乳の成分が後年での肥満に与える影響についてはあまり知られていない。本発明は、そのような将来の健康に関する。
【0004】
WO2005063050は、満期産児又は早期産児にかかわらず、乳幼児に、DHA源及びARAを含む栄養調合乳を与えることによって、乳幼児の除脂肪体重を増やし、脂肪体重を減らす方法を記載している。WO2006057551は、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤を含む乳児栄養物、そのような乳児栄養物を調製する方法、並びに子供の肥満及び子供時代の肥満がもたらす2次疾患の治療及び/又は予防のための乳幼児用栄養物の使用に関する。WO03005836は、十分な濃度及び割合の中鎖脂肪酸及びオメガ多価不飽和脂肪酸を有する、乳幼児、小児及び成人用栄養のための規定食製品を記載している。このような規定食製品を消費することは、発育中の個人が肥満になるのを防止する効果があり、減量又は体脂肪量を減らそうとしている個人(例えば肥満の個人)の体脂肪量を減らすのに効果がある。WO2006069918は、乳幼児に組成物が100kcalにつき2.25g未満のタンパク質を含有するような量のタンパク質を含む栄養組成物を与えることにより、乳幼児の最初の数カ月に成長因子様インスリン1(IGF−1)の循環濃度を継続して減らす方法を記載している。IGF−1は成長の栄養調節の重要な制御点であることが知られているので、これにより後年で肥満を発症する危険を減らす方法が得られる。Aillaud等は、2006、Progress in Lipid research 45:203〜206において、過剰な脂肪細胞の発達におけるn−6多価不飽和脂肪酸の役割及び肥満との関係について論じている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幼年期の間は、体脂肪、特に皮下脂肪は、適切な体温を維持するため、及びエネルギーを保存するために重要な機能を果たしている。したがって、乳幼児の体脂肪量を全体的に減らすことは望ましくない、なぜならこれによって健康な成長及び発達が阻害されてしまう恐れがあるからである。よって、本発明の主な目的は、幼年期における正常な身体組成、成長及び発達の維持を保証し、しかも後年で(すなわち幼年期後)、好ましくは青年期及び/又は成人期の間に過剰な体脂肪量の蓄積を減らす、乳幼児に与える栄養物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、脂肪成分内のリノール酸(LA)が比較的に少なく、リノール酸/αリノレン酸(LA/ALA)比が低い栄養物を生後まもなく与えることによって、後年における脂肪の蓄積が減り、特に内臓脂肪の蓄積が減ることを実験的に証明した。このような実験においては、生後まもなくマウスに特定栄養物(LAが少なく、LA/ALA比が低い)を与える一方で、対照群には該特定栄養物を与えなかった。後年期間においてこれら動物群には、飽和脂肪が高い同一の規定食を与えた。驚くことに、幼年期の段階において成長及び全体脂肪量に対する効果は観察されなかったが、幼年期にこの実験用栄養物を与えたマウスは、対照群と比較して、青年期及び成体期の段階において全体脂肪量の減少、特に内臓脂肪量の減少が観察された。実験の結果は、後年、特に36カ月よりも上の月齢、すなわち幼年期(3〜12歳)、青年期(13〜18歳)、及び成人期(18歳よりも上)における肥満の発症に本発明の乳幼児用栄養組成物が影響を及ぼすことを示している。
【0007】
したがって本発明は、36カ月よりも上の月齢のヒト乳幼児の肥満の発症を防止するための、言い換えれば後年での肥満の発症を防止するための方法であって、脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含み、該脂質成分が、リノール酸(LA)及びαリノレン酸(ALA)をLA/ALA重量比2〜7の間で、全脂肪酸に対して15重量%未満のLAと、全脂肪酸に対して少なくとも1重量%のALAとを含む栄養組成物を36カ月未満の月齢の乳幼児に与えることを含む方法に関する。
【0008】
ある特定の権限に対して、本発明は、脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含み、該脂質成分が、(i)リノール酸(LA)及びαリノレン酸(ALA)をLA/ALA重量比2〜7の間で、(ii)全脂肪酸に対して15重量%未満のLAと、(iii)全脂肪酸に対して少なくとも1重量%のALAとを含む組成物を、肥満防止のために36カ月未満の月齢の(非肥満の)乳幼児に与えるための栄養組成物の製造に使用することとしても記載している。本発明は好ましくは、36カ月未満の月齢の非肥満のヒトに、このヒトが36カ月より上の月齢に達したときに障害特に肥満を発症するのを防止するために与える組成物であって、該組成物が脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含み、該脂質成分が、リノール酸(LA)及びαリノレン酸(ALA)をLA/ALA重量比2〜7の間で、全脂肪酸に対して15重量%未満のLAと、全脂肪酸に対して1重量%を超えるALAとを含む組成物として記載している。
【0009】
さらに本発明者らは、後年での肥満を防止するために、LAが少なく、LA/ALA比が低い乳幼児用栄養物を開発することにより、LA及びLAから生合成されるアラキドン酸(AA)などのn−6長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)の、脳などの神経組織及び網膜細胞内への生体利用性、組込みが損なわれる恐れがあることを認識した。LA及び特にAAは、脳リン脂質の重要な前駆体であり、したがって乳幼児、特に視覚体系、脳、知能及び認知技能(後年において)の発達のためには最も重要である。低LAの副作用を防ぐために、細胞膜形成を刺激すること、脳及び他の神経組織内でも細胞膜の発達をサポートする成分を含むことが重要である。したがって本発明は、後年(幼年期の後)で過剰な体脂肪量の蓄積を減らし、(i)リン脂質、(ii)スフィンゴ脂質、(iii)コレステロール、及び/又は(iv)ウリジン及びコリンから選択される少なくとも1つを含む低LA栄養物を提供する。現在の低LA調合乳にこの成分を含めることによって、細胞膜へ組み込まれるPUFA、特にn−6PUFAの生体利用性が向上し、及び/又はn−6(LC−)PUFAの酸化が低減する。ウリジン及びコリンを混合することにより、リン脂質の形成が増加する。したがって、このような成分の1種又は複数を含めると脳の最適な発達を優位に促すが、これは本発明のLA組成物に含めた場合に細胞1個当たりの細胞膜リン脂質の量が増えるからである。本発明のさらなる目的は、低インスリン反応を付与する低LA調合乳を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、肥満防止のために36カ月未満の月齢の(非肥満の)乳幼児に与えるための栄養組成物を製造するための、脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含む組成物の使用であって、該脂質成分が、
(i)リノール酸(LA)及びαリノレン酸(ALA)をLA/ALA重量比2〜7の間で、
(ii)全脂肪酸に対して15重量%未満のLAと、
(iii)全脂肪酸に対して少なくとも1重量%のALAと
を含み、該組成物が、
(a)全脂肪に対して0.5〜20重量%のリン脂質と、
(b)全脂肪に対して0.5〜20重量%のスフィンゴ脂質と、
(c)全脂肪に対して0.005〜10重量%のコレステロールと、
(d)該組成物の乾燥重量に対して0.035〜1重量%のコリン及び本発明の組成物の乾燥重量に対して0.001〜0.1重量%のウリジンと
からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む組成物の使用を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、脂質、タンパク質、消化性炭水化物(例えば、本発明の低LA組成物)及びコレステロールを含む組成物の、後年での循環器疾患、アテローム性動脈硬化症及び/又は血液中のコレステロール値の防止のために、36カ月未満の月齢の乳幼児に与えるための栄養組成物を製造するための使用を提供する。
【0012】
肥満
本発明の組成物は、36カ月未満、好ましくは18カ月未満、さらに好ましくは12カ月未満、さらにより好ましくは6カ月の月齢の非肥満のヒトの乳幼児に与える。好ましくは本発明の組成物は、36カ月未満、好ましくは18カ月未満、さらに好ましくは12カ月未満、さらにより好ましくは6カ月の月齢の過体重ではないヒトに与える。乳幼児が肥満及び/又は過体重であるかないかは、医師によって適切に決定することができる。通常、36カ月未満の月齢の非肥満の乳幼児は、性別に基づく身長対体重が95パーセンタイル未満、さらに好ましくは85パーセンタイル未満である。性別に基づく身長対体重パーセンタイルは、2000年に疾病管理予防センター(Center for Disease Control and Prevention(CDC))が発行している。
【0013】
同様に、36カ月より上の月齢のヒト対象が肥満及び/又は過体重であるかないかは、医師によって及び/又はCDC発行の性別に基づく身長対体重パーセンタイルから容易に決定することができる。
【0014】
健康に関する問題は、肥満の特別な形態、すなわち中心性肥満と特に関連している。組成物は、後年での中心性肥満を防止するために使用することが好ましい。「中心性肥満」という用語は、内臓脂肪量の増加を伴う状態を指す。ウエスト周りが、成人男性で102cmを超え、成人女性で88cmを超えた場合、中心性肥満の兆候がある。3〜19歳の年齢の子供達に対する、年齢別及び性別に基づくウエスト周りの適当なカットオフは、Taylor等、2000 Am J Clin Nutr 72;490〜495に見出すことができる。
【0015】
低LA組成物
本明細書において、LAはリノール酸(18:2 n6)を指し、ALAは、αリノレン酸(18:3 n3)を指し、LC−PUFAは、脂肪アシル鎖に少なくとも20個の炭素原子を含み、2個以上の不飽和結合を有する長鎖多価不飽和脂肪酸及び/又は長鎖多価不飽和脂肪アシル鎖を指し、DHAは、ドコサヘキサエン酸(22:6 n3)を指し、EPAは、エイコサペンタエン酸(20:5 n3)を指し、ARAは、アラキドン酸(20:4、n6)を指し、DPAは、ドコサペンタエン酸(22:5 n3)を指し、DHGLAは、ジホモガンマリノレン酸(20:3 n6)を指す。中鎖脂肪酸(MCFA)は、鎖長が6、8、又は10の炭素原子を有する脂肪酸及び/又はアシル鎖を指す。MCFAはまた、中鎖トリグリセリド(MCT)を指してもよい。
【0016】
本発明者らは、低LA/ALA比を有し、LAが少ない特定の組成物が肥満、特に中心性肥満の発症を防止することを発見した。特に(i)LA/ALA重量比2〜7と、(ii)低LA含有量(全脂肪酸に対して<15重量%)とを含む栄養組成物を与えることによって、後年で肥満が減少した。
【0017】
本発明の組成物は脂質を含む。LAは、健康な成長及び発達を促進するため十分な量、しかも後年で肥満の発症を防止するためできるだけ低い量で存在すべきである。したがって組成物は、全脂肪酸に対して15重量%未満、好ましくは5〜14.5重量%の間、さらに好ましくは6〜12重量%の間のLAを含む。本発明の組成物は、組成物の全乾燥重量に対して好ましくは1.5〜5重量%のLAを含む。例えばインスタント調合乳のような液体形態の場合、LA含有量は、液体組成物100mlにつき、0.2〜0.55gの間が好ましい。LAは本発明の組成物中の全カロリーの4〜8%の間であることが好ましい。
【0018】
ALAは、乳幼児の健康な成長及び発達を促進するのに十分な量で存在すべきである。したがって本発明の組成物は、全脂肪酸に対して少なくとも1.0重量%を含む。好ましくは、組成物は、全脂肪酸に対して少なくとも1.6重量%、さらに好ましくは少なくとも2.0重量%のALAを含む。組成物は好ましくは、全脂肪酸に対して10重量%未満、さらに好ましくは5.0重量%未満のALAを含む。組成物の全乾燥重量に対して、本発明の組成物は、好ましくは少なくとも0.10重量%のALA、さらに好ましくは0.10〜0.8重量%の間のALAを含む。例えばインスタント調合乳のような液体形態の場合、ALA含有量は、好ましくは液体組成物100mlにつき少なくとも30mgのALA、好ましくは100mlにつき50〜150mgの間のALAである。
【0019】
LA/ALA重量比は、肥満、特に中心性肥満を防止するために良いバランスが取れていると同時に、正常な成長及び発達を保証すべきである。本発明者らは、適切な比を発見した。本発明の組成物は、LA/ALA重量比2〜7の間、さらに好ましくは3〜6の間、さらにより好ましくは4〜5.5の間、さらにより好ましくは4〜5の間を含む。脂質成分は、全脂肪酸に対して15重量%未満のLA及びLA/ALA重量比2〜7を含む。
【0020】
MCFA&LC−PUFA
また、n−3LC−PUFAは、後年で肥満及び中心性肥満の両方を減らすことが発見され、MCFAは、後年で一般的な肥満しか減らさないことが発見された。この発見は、さらに最適な組成物の開発を可能にし、この最適な組成物は、MCFAを過剰量ではなく、すなわち脂肪酸の全重量に対して3〜50重量%の間で含み、及び/又はn−6LC−PUFAを含み、しかもn−6LC−PUFA/n−3LC−PUFAの比が低いLC−PUFAを含むことが好ましい。
【0021】
中鎖脂肪酸(MCFA)は、6、8、又は10個の炭素原子の鎖長を有する脂肪酸及び/又はアシル鎖である。本発明者らは、MCFAが、後年で脂肪量を減らす効果があることも発見した。LAは、必須脂肪酸であり、これは体内で合成できないことを意味する。本発明の組成物は、比較的LA含有量が低いので、本発明の組成物に含まれるLAがエネルギー(脂肪の酸化により)に変換されないこと、よって同化を促進する目的に利用できないことが重要である。本発明の低LA組成物におけるLAの酸化を低減するため、MCFAを適切に添加することができる。MCFAは、脂肪として蓄積されないで容易に血流中に動員されてエネルギーを付与し、LAの酸化を低減する。したがって本発明の組成物は、好ましくは全脂肪酸に対して少なくとも3重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、さらにより好ましくは15重量%のMCFAを含む。
【0022】
本発明者らは、MCFAが中心的脂肪を優先することなく、体内の脂肪沈着を低減することを発見した。したがって、本発明の低LA及び低LA/ALAの組成物は、全脂肪酸に対して、50重量%未満、さらに好ましくは40重量%未満、さらに好ましくは25重量%未満のMCFAを含むことが有利である。
【0023】
本発明の組成物は、LC−PUFAを含むことが好ましい。本発明者らは、LC−PUFAは、後年で肥満、さらに好ましくは中心性肥満を低減することを発見した。さらに好ましくは、本発明の組成物は、n−3LC−PUFA、さらにより好ましくはEPA、DPA及び/又はDHA、さらにより好ましくはDHAを含む。これらn−3LC−PUFAは、肥満を低減することが発見された。
【0024】
DHA、DPA及び/又はEPAの低濃度はすでに効果的で、正常な成長及び発達は重要なので、本発明の組成物中n−3LC−PUFAの濃度は好ましくは、全脂肪酸含有量の15重量%を超えず、好ましくは10重量%を超えず、さらにより好ましくは5重量%を超えない。本発明の組成物は、好ましくは全脂肪酸含有量の少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、さらに好ましくは少なくとも0.75重量%のn−3LC−PUFAを含む。同じ理由で、EPA含有量は、好ましくは全脂肪酸の5重量%を超えず、さらに好ましくは1重量%を超えないが、好ましくは全脂肪酸の少なくとも0.025重量%、さらに好ましくは少なくとも0.05重量%である。DHA含有量は、好ましくは全脂肪酸の5重量%を超えず、さらに好ましくは1重量%を超えないが、好ましくは全脂肪酸の少なくとも0.1重量%である。DPA含有量は、好ましくは全脂肪酸含有量の1重量%を超えず、さらに好ましくは0.5重量%を超えないが、好ましくは全脂肪酸の少なくとも0.01重量%である。好ましくはn−3LC−PUFA単細胞油源として、藻類油、真菌油及び/又は微生物油を使用することが好ましいが、それはこれらの油源は、EPA/DHA比が低く、抗肥満作用が増加するからである。さらに好ましくは、本発明の組成物は、魚油(さらに好ましくはマグロ油)を含む。魚油は、EPA濃度がより高く、EPAはさらなる抗肥満作用を有するエイコサノイドの前駆体であるので、これは有利である。
【0025】
n−6脂肪酸族、特にアラキドン酸(AA)及びその前駆体としてのLAは、n−3脂肪酸族、特にDHA及びEPA及びこれらの前駆体としてのALAに対抗するので、本発明の組成物は比較的低量のAAを含む。n−6LC−PUFA含有量は、好ましくは全脂肪酸に対して5重量%を超えず、さらに好ましくは0.8重量%を超えず、さらに好ましくは0.75重量%を超えず、さらにより好ましくは0.5重量%を超えない。AAは、最適な機能性膜、特に神経組織膜のために乳幼児には重要であるため、n−6LC−PUFAの量は、好ましくは全脂肪酸に対して少なくとも0.02重量%、さらに好ましくは少なくとも0.05重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは少なくとも0.25重量%である。本発明の組成物は好ましくは全脂肪酸に対して1重量%未満のAAを含む。AAの存在は、LAを少なく含む組成物で有利であるがこれはAAがLAの欠乏を修復するからである。AAが好ましくは低量で存在することが6カ月未満の月齢の乳幼児に与える栄養物に有益である。なぜならこのような乳幼児にとって、乳幼児用調合乳は通常は唯一の栄養源であるからである。
【0026】
本発明の乳児用栄養物のn−6LC−PUFA/n−3LC−PUFAの重量比は、後年での肥満を防止するためには低いことが好ましい。組成物は好ましくは、1.5未満、さらに好ましくは1.0未満、さらにより好ましくは0.6未満のn−6LC−PUFA/n−3LC−PUFAの重量比を含む。
【0027】
LA、ALA、MCFA及び/又はLC−PUFAは、遊離脂肪酸として、トリグリセリドの形態で、ジグリセリドの形態で、モノグリセリドの形態で、リン脂質の形態で、又は上記の1種又は複数の混合物として提供されるのが好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、トリグリセリドの形態で及び/又はリン脂質の形態で、さらにより好ましくはリン脂質の形態でのLC−PUFAを含有する。なぜならリン脂質の形態のLC−PUFAは、細胞膜により良く組み込まれるからである。本発明の組成物は、トリグリセリドの形態でのMCFAを含有することが好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、リンシード油(アマニ油)、菜種油(ナタネ油、低エルカ酸菜種油及びキャノーラ油を含めて)、サルビア油、荏の油、パースレーン油、コケモモ油、海沙棘(sea buckthorn)油、大麻油、高オレインひまわり油、高オレインベニバナ油、オリーブ油、魚油、微生物油、クロフサスグリ油、エキウム油、バター脂肪、ココナッツ油及びパーム核油からなる群から選択される好ましくは少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種の脂質源を含む。本発明の組成物は好ましくは、リンシード油、菜種油、ココナッツ油、高オレインひまわり油、バター脂肪及び魚油からなる群から選択される少なくとも1種の、好ましくは2種の脂質源を含む。
【0029】
表1は、本発明の組成物の脂質成分の好ましい性質を示すものである。
【表1】

【0030】
リン脂質、コレステロール及びスフィンゴ脂質
LAは必須脂肪酸であり、n−6LC−PUFAは、重要な細胞膜成分(神経組織細胞膜を含めて)であるため、本発明の組成物中に存在する少量のLA及び任意選択でn−6LC−PUFAは、できるだけ効率的に神経組織細胞膜に組み込まれるのが好ましい。これは、コレステロール、リン脂質及び/又はスフィンゴ脂質を含めた脂質細胞膜成分を本発明の低LA組成物に提供することによって実現することができる。このような成分の存在により、LA及びn−6LC−PUFAを含めたPUFAの細胞膜への組込みが増加し、よって酸化が防止される。
【0031】
本発明で使用される場合のリン脂質という用語は、特にグリセロリン脂質を指す。グリセロリン脂質は、グリセロール骨格部分の炭素1位及び炭素2位上のヒドロキシ基にエステル結合した脂肪酸と、エステル結合を介してグリセロールの炭素3と結合した負に帯電したリン酸基と、任意選択で、リン酸基に結合したコリン基(ホスファチジルコリンの場合)、セリン基(ホスファチジルセリンの場合)、エタノールアミン基(ホスファチジルエタノールアミンの場合)、イノシトール基(ホスファチジルイノシトールの場合)又はグリセロール基(ホスファチジルグリセロールの場合)とによって形成される一群の脂質である。本発明の組成物は、好ましくはホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール及び/又はホスファチジルエタノールアミン、さらに好ましくは少なくともホスファチジルコリンを含有する。
【0032】
好ましいリン脂質源は、特にPC源は、大豆レシチン、卵の脂質及び/又はバターミルクの脂肪である。したがって本発明の組成物は、好ましくは大豆レシチン、卵の脂質及び/又はバターミルクの脂肪、さらに好ましくは大豆レシチン及び/又はバターミルクの脂肪を含む。
【0033】
本発明の組成物は、好ましくは全脂質に対して0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、さらにより好ましくは4〜8重量%のリン脂質を含む。また本発明者らによって発見されたように、リン脂質及び/又はスフィンゴ脂質及び/又はコレステロールを含む組成物の経口投与は、食後のインスリン反応(実施例2を参照)を低減させるというさらなる利点を有する。高いインスリン濃度は、脂肪組織へのグルコースの取込みを刺激し、脂肪組織量を増加させることになる。乳幼児の高インスリン濃度は、少なくとも部分的にはグルコースの取込みの増加によって、内臓脂肪細胞の増殖増加も招く。したがって、後年で肥満を低減することを目的とする本発明の乳幼児用組成物は、好ましくはリン脂質、スフィンゴ脂質及び/又はコレステロール、さらに好ましくはリン脂質を含む。
【0034】
本発明の組成物は好ましくは、全脂質に対して0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、さらにより好ましくは4〜8重量%のスフィンゴ脂質を含む。本発明のスフィンゴ脂質という用語は、アミノアルコールスフィンゴシンを有する糖脂質を指す。スフィンゴシン骨格は、エタノールアミン、セリン又はコリンの骨格などの(通常は)荷電した頭部基にO結合している。この骨格は、脂肪酸アシル基とアミド結合もしている。スフィンゴ脂質は、スフィンゴミエリン、セラミド及びスフィンゴ糖脂質を含む。本発明の組成物は、スフィンゴミエリン及び/又はスフィンゴ糖脂質を含有することが好ましい。スフィンゴ糖脂質は、1−ヒドロキシル位でのβ−グリコシド結合で結合されている1種又は複数の糖残基を有するセラミドである。スフィンゴ糖脂質は、セレブロシド、グロボシド及びガングリオシドへとさらに再分割し得る。セレブロシドは、1−ヒドロキシル位で単一のグルコース又はガラクトースを有する一方で、ガングリオシドは、少なくとも3種の糖を有し、そのうちの1種がシアル酸でなければならない。スフィンゴミエリンは、セラミドの1−ヒドロキシ基とエステル結合したホスホリルコリン又はホスホロエタノールアミンの分子を有する。本発明の組成物はガングリオシドを含有することが好ましい。
【0035】
組成物は、好ましくはスフィンゴ脂質、さらに好ましくはスフィンゴミエリン及び/又はガングリオシドを含む。本発明の組成物は、好ましくはGM3及びGD3からなる群から選択される少なくとも1種のガングリオシドを含む。
【0036】
本発明の組成物は、好ましくは全脂質に対して0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、さらにより好ましくは4〜8重量%の(スフィンゴ脂質+リン脂質)を含む。
【0037】
食事性コレステロールは、脂肪酸アシル鎖(リン脂質、遊離脂肪酸、ジグリセリド及びトリグリセリド)の鎖延長の刺激によって脂質代謝を調整する。必須脂肪酸からそのLC−PUFAサクセサーへの変換に影響を与えることにより、必須細胞膜のビルディングブロックの生成が増し、よって脳内の神経細胞膜の合成及び作用が増す。その結果、エネルギー代謝への必須脂質の使用が減少する。さらにコレステロールは、細胞膜に不可欠なビルディングブロックであり、細胞膜の合成を増加させるのに必要である。したがって、コレステロールは、本発明調合乳の低LAの副作用を防止するために、本発明の低LA組成物中に含めるのが有利である。
【0038】
さらに、幼年時代の食事性コレステロールは、内因性のコレステロール合成を阻害し、濃度を下げるために内因性コレステロール合成のプログラムを作成する。その結果、後年での血中コレステロールの減少が実現することになる。これにより、青年期及び成人期で血中LDLコレステロール値が落ち、血中HDLコレステロール値が上がることになる。したがって本発明はまた、脂質、タンパク質、消化性炭水化物及びコレステロールを含む組成物を、後年での循環器疾患、アテローム性動脈硬化症及び/又は血液中の高コレステロール値の防止のために、36カ月未満の月齢の乳幼児に与えるための栄養組成物の製造に使用することを提供する。この栄養組成物は、本出願書類に記載の栄養必要量の少なくとも一部を有することが好ましく、例えば本明細書記載の非消化性オリゴ糖、ラクトース及び/又は脂質成分を有利に含む。
【0039】
好ましいコレステロール源は、乳脂肪、バターミルクの脂肪、バターゼラム脂肪及び卵の脂質である。したがって本発明の組成物は、バターミルクの脂肪、バターゼラム脂肪及び/又は卵の脂質を含むことが好ましい。本発明の組成物は、好ましくは全脂肪に対して少なくとも0.005重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.01重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.05重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%のコレステロールを含む。コレステロールの量は、好ましくは全脂質に対して10重量%を超えず、さらに好ましくは5重量%を超えず、さらにより好ましくは全脂質の1重量%を超えない。コレステロールの量は、全脂質に対して0.5〜0.7重量%であることが最も好ましい。
【0040】
コレステロールの量は、好ましくは全脂肪に対して1重量%を超えず、さらに好ましくは0.5重量%を超えない。
【0041】
ウリジン及びコリン
或いは本発明の低LA組成物は、ウリジン源及びコリンを含む。本発明の低LA組成物を受け取るヒトにおいて、細胞膜合成の改善は、好ましくはホスファチジルコリン又は脳内の他の主要な細胞膜リン脂質の2種の主要前駆体、すなわちウリジン源及びコリンを提供することにより実現する。ウリジンは、代謝によりシチジン、次いでCTPへリン酸化され、コリンは代謝によりホスホコリンになる。その結果、CTP及びホスホコリンにより、リン脂質生合成の経路の中で重要なステップであるCDP−コリン形成が起こる。したがってウリジン源及びコリンの組合せがリン脂質生合成を刺激する。ウリジン及びコリンを補給することによって起こるリン脂質合成の増加は、アラキドン酸及び他のLC−PUFAが脳内の主要リン脂質へ組み込まれるのを促進するので、本発明の低LA組成物の副作用に対抗するのに特に適切となる。
【0042】
組成物は、好ましくはウリジン源及びコリンを含む。コリンは塩化コリンとして添加するのが好ましい。本発明の組成物は、塩化コリンを含むのが好ましい。本発明の組成物は、好ましくは組成物の乾燥重量に対して少なくとも0.035重量%、さらに好ましくは少なくとも0.045重量%のコリンを含む。本発明の組成物は、好ましくは本発明の組成物の全乾燥重量に対して1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満のコリンを含む。コリンの存在は、コリンが脂肪を酸化して、除脂肪量の増加をもたらし、血液中の脂肪の細胞への排除を向上するというさらなる利点を有する。コリンは、優れたメチルドナーであるというさらなる利点を有する。幼年期など早い成長の段階において、十分な量のメチルドナーは、分化及び調節を維持するために重要であり、DNAのメチル化を介して適切な代謝の刷り込みをもたらす。適切な代謝の刷り込みは、後年での肥満を防止するために重要である。したがって、本発明の組成物はコリンを含むことが好ましい。
【0043】
好ましい実施形態において本発明は、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び/又は塩基の形でウリジンを含む。組成物は、好ましくは本発明の組成物の乾燥重量に対して0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.002〜0.05重量%、最も好ましくは0.002〜0.025重量%のウリジンを含む。組成物は、ヌクレオチドの形態のウリジンを含むのがさらに好ましい。ウリジンは、好ましくはヌクレオチドの一リン酸、二リン酸又は三リン酸の形態で、さらに好ましくはヌクレオチドの一リン酸の形態である。ウリジンヌクレオチドは、単量体、二量体又は重合体(RNAを含めて)であってよい。ヌクレオチドは、好ましくは遊離酸として又は塩の形態で、さらに好ましくはモノナトリウム塩として存在する。本発明の組成物は、好ましくはウリジン5’−一リン酸及び/又はその塩(まとめてUMPと略す)、特にそのモノナトリウム塩を含む。組成物は、好ましくは本発明の組成物の乾燥重量の0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.002〜0.05重量%、最も好ましくは0.002〜0.025重量%のUMPを含む。UMPは、ヌクレオチド混合物中の組成物へ添加するのが好ましい。
【0044】
本発明の組成物は、UMP源として酵母RNAを含有することが好ましい。組成物はUMP及びコリンを含むことが好ましい。組成物はウリジン源、コリン及びリン脂質を含むことが好ましい。組成物は、UMP、コリン及びリン脂質を含むことが好ましい。この組合せは、細胞膜の形成をもさらに刺激し、よって本発明の低LA組成物に含有するのに特に適している。
【0045】
非消化性オリゴ糖
上ですでに述べたように、高い血中インスリン濃度は、脂肪組織内のグルコースの取込みを刺激し、脂肪組織量の増加をもたらす。乳幼児における高いインスリン濃度は、部分的にはグルコース取込みの増加により、含脂肪細胞の増殖増加を招き、後年で肥満になる確率が増すことになる。
【0046】
したがって本発明は、低インスリン濃度を維持することが好ましい。発酵させることができる(特にガラクトオリゴ糖)非消化性オリゴ糖(NDO)には、血中インスリン抑制効果があり、その結果、後年での肥満の可能性を低減するのに役立つことが判明した。
【0047】
さらに、母乳を与えている状況と比較して、哺乳瓶からの授乳の場合、乳幼児はより多くのカロリーを摂取することも認識された。本発明において示唆している脂質成分の組成特性に加えて、カロリー摂取量を減らすことにより、効果をさらに改善することができる。しかし栄養組成物の調乳量を制限することは、乳幼児に対して実現可能な選択肢ではない。本発明者らは、この目的で本発明の組成物が非消化性オリゴ糖を含むと有利であることを発見した。
【0048】
このような非消化性オリゴ糖、好ましくはガラクトオリゴ糖の発酵は、さらに腸内アセテートの形成をもたらすが、この腸内アセテートは取り込まれ、血液の循環及び肝臓に入り、よって脂質の伸長前駆体として有利に働き及び/又はLAからAAへの変換を有利に刺激する。
【0049】
したがって本発明の組成物は、本発明の脂質成分及び発酵可能な非消化性オリゴ糖を含むことが好ましい。本発明の脂質成分と非消化性オリゴ糖との組合せは、後年での肥満を相乗的に減少させる。本発明の組成物は、2〜60の間のDPを有する非消化性オリゴ糖を含むことが好ましい。組成物は、インスリン耐性の発現を防止することが好ましい。非消化性オリゴ糖は、フルクトオリゴ糖(イヌリンなど)、ガラクトオリゴ糖(トランスガラクトオリゴ糖など)、グルコオリゴ糖(ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、及びシクロデキストリンオリゴ糖など)、アラビノオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フコオリゴ糖、アラビノガラクトオリゴ糖、グルコマンノオリゴ糖、ガラクトマンノオリゴ糖、オリゴ糖を含むシアル酸及びウロン酸オリゴ糖からなる群から選択されるのが好ましい。本発明の組成物は、好ましくはフルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及び/又はガラクツロン酸オリゴ糖、さらに好ましくはガラクトオリゴ糖、最も好ましくはトランスガラクトオリゴ糖を含む。好ましい実施形態において、組成物は、トランスガラクトオリゴ糖及びフルクトオリゴ糖の混合物を含む。本発明の組成物は、DPが2〜10のガラクトオリゴ糖及び/又はDPが2〜60のフルクトオリゴ糖を含むことが好ましい。ガラクトオリゴ糖は、トランスガラクトオリゴ糖、ラクト−N−テトラオース(LNT)、ラクト−N−ネオテトラオース(neo−LNT)、フコシルラクトース、フコシル化したLNT及びフコシル化したneo−LNTからなる群から選択されるのが好ましい。特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、トランスガラクトオリゴ糖([ガラクトース]−グルコース;式中、nは1〜60の整数、すなわち2、3、4、5、6、....、59、60;好ましくは、nは2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される)を与えることを含む。トランスガラクトオリゴ糖(TOS)は、例えばVivinal(商標)の商標(Borculo Domo Ingredients、オランダ)で販売されている。トランスガラクトオリゴ糖の単糖類はβ結合しているのが好ましい。フルクトオリゴ糖は、DP又は平均DPが2〜250、さらに好ましくは10〜100である、β結合しているフルクトース単位の鎖を含むNDOである。フルクトオリゴ糖は、イヌリン、レバン及び/又はポリフルクタンの混合種を含む。特に好ましいフルクトオリゴ糖は、イヌリンである。組成物中の使用に適したイヌリンフルクトオリゴ糖もまた、例えばRaftiline(登録商標)HP(Orafti)からすでに市販されている。ウロン酸オリゴ糖は、ペクチン分解から得るのが好ましい。したがって本発明の組成物は、DPが2〜100のペクチン分解生成物を含むのが好ましい。ペクチン分解生成物は、リンゴペクチン、ビートペクチン及び/又はかんきつペクチンから調製するのが好ましい。組成物は、トランスガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖及びペクチン分解生成物を含むことが好ましい。トランスガラクトオリゴ糖:フルクトオリゴ糖:ペクチン分解生成物の重量比は、好ましくは20〜2:1:1〜3、さらに好ましくは12〜7:1:1〜2である。
【0050】
ラクトース
インスリン感受性の維持は、本発明の組成物内に低血糖炭水化物、好ましくはラクトースを含むことによりさらに改善することができる。したがって、本発明の組成物は、本発明の脂質成分に加えて、非消化性オリゴ糖及び/又はラクトースを含むことが好ましい。本発明の組成物は、好ましくは消化性炭水化物成分を含み、該消化性炭水化物成分中の少なくとも35重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%がラクトースである。本発明の組成物は、本発明の組成物の乾燥重量100gにつき、好ましくは少なくとも25g、好ましくは少なくとも40gラクトース/100gを含む。
【0051】
加水分解したタンパク質
組成物は、加水分解したカゼイン及び/又は加水分解したホエータンパク質を含むことが好ましい。原型のカゼイン及び原型のホエータンパク質を含む組成物を与えた場合と比較して、タンパク質が加水分解したカゼイン及び加水分解したホエーを含む組成物を与えた場合には、食後のインスリン及びグルコースの両濃度が減少する結果となることが判明した。インスリン及びグルコースの両濃度の増加は、調合乳を与えた乳幼児におけるインスリン耐性の一形態を示し、これは後年において肥満が発症する原因と見られている。本発明の組成物は、2〜30の鎖長のアミノ酸を有するペプチドを、タンパク質の乾燥重量に対して少なくとも25重量%含むことが好ましい。2〜30の間の鎖長のアミノ酸を有するペプチドの量は、例えばde Freitas等、1993、J.Agric、Food Chem.41:1432〜1438に記載されているように求めることができる。ウシのカゼインのアミノ酸組成物はヒトの乳タンパク質に見られるアミノ酸組成物とさらに類似しており、ホエータンパク質は、容易に消化され、ヒト乳の中により多い割合で含まれるので、本発明の組成物は好ましくはカゼイン加水分解物及び/又はホエータンパク質加水分解物、さらに好ましくはカゼイン加水分解物及びホエータンパク質加水分解物を含む。組成物は、好ましくは、全タンパク質重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは100重量%のタンパク質加水分解物を含む。本発明の組成物は、好ましくはタンパク質の加水分解の程度が5〜25%の間、さらに好ましくは7.5〜21%の間、最も好ましくは10〜20%の間であるタンパク質を含む。加水分解の程度は、酵素加水分解により分解されているペプチド結合の割合(%)として定義され、100%が存在する潜在ペプチド結合のすべてである。
【0052】
カゼイン
カゼインが存在するのは有利であるが、これはカゼインは、胃の中で凝乳を形成することにより胃内容排出時間を増加させ、満腹感を高めるからである。満腹の誘発は非常に望ましいことである。これは上記を参照されたい。よって本発明の組成物はカゼインを含むことが好ましい。組成物が液体形態、例えばインスタントの液体である場合、該組成物は好ましくは100mlにつき少なくとも0.5gのカゼイン、好ましくは100mlにつき0.5〜5gの間のカゼインを含む。本発明の組成物は、乾燥重量に対して、少なくとも4重量%のカゼインを含むことが好ましい。カゼインは、そのまま及び/又は加水分解していない状態が好ましい。
【0053】
カルシウム
本発明の組成物は、カルシウムを含むのが好ましい。食事性カルシウムの増加は、含脂肪細胞の細胞内カルシウム濃度を減少させ、これによって後期の脂肪細胞分化及び脂質の充填が減少する。カルシウムは、対陰イオンとして炭酸塩、水酸化物、塩化物、リン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩及び/又はクエン酸塩と共に添加することが好ましい。組成物は、組成物の乾燥重量に対して、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.25重量%、最も好ましくは少なくとも0.4重量%のカルシウムを含む。組成物は、組成物の乾燥重量に対して、好ましくは5重量%未満、好ましくは2重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満のカルシウムを含む。
【0054】
栄養組成物
本発明の組成物は、特に36カ月未満の月齢の乳幼児、特に24カ月未満の月齢の乳幼児、さらにより好ましくは18カ月未満の月齢の乳幼児、最も好ましくは12カ月未満の月齢の乳幼児に1日の栄養所要量を提供するのに適している。したがって本発明の組成物は、脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含み、脂質成分が好ましくは全カロリーの35〜55%を付与し、タンパク質成分が好ましくは全カロリーの5〜15%を付与し、消化性炭水化物成分が好ましくは全カロリーの30〜60%を付与する。本発明の組成物は、好ましくは全カロリーの40〜50%を提供する脂質成分と、全カロリーの6〜12%を提供するタンパク質成分と、全カロリーの40〜50%を提供する消化性炭水化物成分とを含むことが好ましい。液体形態、例えばインスタントの液体の場合、組成物は、好ましくは100ml当たり2.1〜6.5g、より好ましくは100ml当たり3.0〜4.0gの脂質を含む。乾燥重量に対して、本発明の組成物は好ましくは12.5〜40重量%、さらに好ましくは19〜30重量%の脂質を含む。
【0055】
飽和脂肪酸の量は、全脂肪酸に対して好ましくは58重量%未満、さらに好ましくは45重量%未満である。一価不飽和脂肪酸の濃度は、全脂肪酸重量に対して、17〜60%の範囲であることが好ましい。
【0056】
本発明の組成物は、ヒトの母乳ではない。本発明の組成物は、好ましくは(i)野菜の脂質及び/若しくは動物(非ヒト動物)の脂肪、並びに/又は(ii)野菜タンパク質及び/若しくは動物(非ヒト動物)の乳タンパク質を含むことが好ましい。動物の乳タンパク質の例は、牛乳からのホエータンパク質及び山羊乳からのタンパク質である。本発明の組成物は、好ましくはプロテアーゼ阻害剤を含まず、好ましくはトリプシン阻害剤、キモトリプシン阻害剤又はエラスターゼ阻害剤を含まない。本発明の組成物は、ヒト乳ではない。
【0057】
本発明の組成物は、全タンパク質に対して、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%の非ヒト乳から抽出したタンパク質を含む。本発明の組成物は、全タンパク質に対して、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%の牛乳から抽出したタンパク質を含む。本発明の組成物は、グリコマクロペプチド濃度を低下させた酸ホエー及び/又はスウィートホエーを含む。本発明の組成物は、β−カゼイン及び/又はα−ラクタルブミンから抽出したタンパク質を含むことが好ましい。本発明の組成物は、好ましくはカゼイン及びホエータンパク質を、10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20のカゼイン:ホエー重量比で含む。本発明で使用される場合、タンパク質という用語は、タンパク質、ペプチド及び遊離アミノ酸の和を指す。本発明の組成物は、好ましくは1.5〜3.0g/100kcal、好ましくは1.8〜2.25g/100kcalの間、さらにより好ましくは1.8〜2.0g/100kcalの間のタンパク質を含む。
【0058】
本発明の組成物は、液体形態で与えることが好ましい。乳幼児のカロリー必要量を満たすために、該組成物は、好ましくは50〜200kcal/100ml液体、さらに好ましくは60〜90kcal/100ml液体、さらにより好ましくは60〜75kcal/100ml液体を含む。このカロリー密度は、水とカロリー消費量との最適な比率を保証する。本発明の組成物のモル浸透圧濃度は、好ましくは150〜420mOsmol/lの間、さらに好ましくは260〜320mOsmol/lの間である。低モル浸透圧濃度は、胃腸のストレスを減少させる狙いがある。ストレスは肥満を誘発する可能性がある。
【0059】
組成物は、Brookfield粘度計で、20℃、せん断速度100s−1で測定した場合の粘度が35cps未満である液体形態であることが好ましい。組成物は、水で溶いて液体を形成することができる粉末形態、又は水で薄めることになっている液体濃縮形態が適切である。
【0060】
組成物が液体形態である場合、一日当たりの好ましい授乳量は、約80〜2500mlの範囲内、さらに好ましくは一日につき約450〜1000mlである。
【0061】
乳幼児
内臓脂肪を含めた脂肪細胞は、生後36カ月、並びに(さらに制限すると)思春期の間に増殖する。脂肪細胞の量は、後年における肥満の度合いの重要な決定因子である。したがって、本発明の組成物は生後3年間乳幼児に与える。生後12カ月における脂肪細胞(内臓)の増殖が優勢である(出生時の脂肪細胞の増殖が最大限である)ことが判明した。したがって本発明の組成物は、生涯のこの時期の乳幼児に与えることが特に好ましい。したがって本発明の組成物は、有利には0〜24カ月のヒト、さらに好ましくは0〜18カ月のヒト、さらに好ましくは0〜12カ月のヒトに与えられる。本発明は、後年における肥満を防止することを特に目的とするのもので、肥満の治療ではない。したがって本発明の組成物は、好ましくは肥満又は小児肥満を患っていない乳幼児、特に非肥満の乳幼児、さらに好ましくは過体重でない乳幼児に与える。本発明の組成物は、乳幼児に経口で与えるのが好ましい。
【0062】
応用
本発明の組成物は、36カ月未満の月齢のヒトの肥満を防止するための方法に関する。本発明はまた、36カ月の月齢を超えた月齢での肥満の発症を防止すること、特に8歳を超えた年齢、特に15歳を超えた年齢、さらに特には18歳を超えた年齢での肥満を防止することを目的とする。
【0063】
該組成物は、好ましくは肥満、さらに好ましくは中心性肥満(すなわち肥満)を防止するのに使用するが、これは特に中心性肥満は、心臓血管疾患、高血圧及び糖尿病などの健康障害に関連するからである。
【0064】
本明細書及びその特許請求の範囲において、「含む」という動詞及びその活用形は、この単語に続く項目は含まれ、しかも具体的に述べられていない項目は除外されないということを意味するために、非限定的な意味で使用されている。さらに、不定冠詞「a」又は「an」である要素を言及する場合、文脈からその要素が1個及び唯一である必要性が明確でない限り、その要素が複数存在する可能性は排除されない。したがって不定冠詞「a」又は「an」は、通常「少なくとも1つ」という意味である。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
成人脂肪組織への食事性脂質のプログラミング効果
C57/BL6母獣の仔を、生後2日目で1匹の母獣につき6匹の仔(4M及び2F)の組に統一した。生後2日目以後は、母獣には離乳まで実験用規定食を与えた。マウス乳の脂質成分は、規定食の脂肪成分を反映している。離乳後、オスのマウスは2匹対で家に入れ、42日目まで実験用規定食を与え、42日目にラード及び過剰なコレステロール(1%)を含有する同じ規定食をすべての仔に与えた。
【0066】
使用した実験用規定食は、1)LC−PUFA規定食(マグロ魚油)、2)低LA、低LA/ALA規定食(バターオイル、キャノーラ油含有量が少なく、Trisun80含有量が高く、ヤシ油なし)、3)MCFA規定食、4)対照用規定食(同様量のキャノーラ油、ココナッツ油及びヤシ油)であった。規定食の脂肪酸組成を表2に示す。42日目にすべてのマウスは、脂質10重量%(ラード脂肪3重量%及びコレステロール1重量%)を含む「カフェテリア食」に切り替え、98日目まで与えた。マウスの体重は週に2回測定した。実験全体の期間を通じて、週に一度、食物摂取量を求めた。身体組成(すなわち、体脂肪量(FM)及び除脂肪量(FFM))を求めるため、通常の麻酔状態で、PIXImus imager(GE Lunar、Madison、WI、アメリカ)を用いた濃度測定法により、生後6、10及び14週間後、42、70及び98日後にそれぞれDEXAスキャン(二重エネルギーX線吸収測定法)を実行した。14週の週齢でオスのマウスを屠殺し、血漿、精巣上体の脂肪、腎脂肪、膵臓、肝臓及び腎臓を解剖し、重さを測定した。
【0067】
【表2】

【0068】
結果:実験期間の間、各グループ間で成長及び食物摂取への影響は観察されなかった(データは表示していない)。さらに体脂肪の発達(DEXAで求めた)は、42日目(食事介入期間の終了日)では違いがなかった。しかし、その後42日目から98日目までの間、カフェテリア食(飽和脂肪酸を多く含む)を用いてすべてのグループを処置した結果、実験最終日(98日目)には、身体組成で明白な違いが生まれた。表3を参照されたい。生後まもなく仔に与えたのがLC−PUFA、MCFA又は低LA、低LA/ALAの規定食の場合、対照用の規定食と比べて、体脂肪量が減少した。さらに生後まもなくの食習慣が、体脂肪の分配に著しい影響を与えた。98日目の成体マウスにおける皮下脂肪:内臓脂肪(精巣上体脂肪及び腎臓脂肪でそれぞれ測定)の比率は、対照グループと比較して、LC−PUFAグループでは、14%増加し、低LAグループでは32%増加したが、MCFAグループでは増加しなかったことが示された。表3を参照されたい。これはLC−PUFAを多く含み、並びに/又は低LA及び/若しくは低LA/ALAの食事を生まれてまもなく取ることにより、明らかに後年で内臓脂肪量が減少していることを示す。よって、このような脂肪組成物により、身体が後年でより健康な体脂肪組成を得るようにプログラムされ及び/又は刷り込みがなされることが結論づけられる。よって、このような体脂肪組成物が、後年で肥満を防止するように、身体にプログラム及び/又は刷り込みを行うことが結論づけられる。
【0069】
【表3】

【0070】
(実施例2)
リン脂質がインスリン感受性を有利に影響
栄養組成物:余分にリン脂質を添加した(0.2g/100ml)完全な乳幼児用調合乳を、原料として市販のバターミルク/バターゼラムの濃縮物であるLactalisを用いて生成した。同等の組成物を有するが、リン脂質が添加されていない乳幼児用調合乳を対照として使用した。リン脂質の濃度は、実験用調合乳の全脂質に対して約6.3重量%、及び対照用調合乳の全脂質に対して約0.75重量%であった。実験用組成物は、全脂質に対して約1.4重量%のスフィンゴミエリン、全脂質に対して約4重量%のコレステロールを含んでいた。対照用調合乳中のスフィンゴミエリン及びコレステロールの量はごくわずかであった。
【0071】
実験法:20匹のオスの成体ウィスターラット(実験開始時には10週)を個々に家に入れた。4時間の絶食期間後、10匹に2mlの組成物を与えた。3種の異なる組成物を、交差するような様式で試験した(実験は1週間ごとに分離した)。i)標準の乳幼児用調合乳、ii)リン脂質を含む調合乳。その後血液サンプル(200μl)をヘパリン処置し、冷却した試験管に、食後t=0、5、10、15、30、60に採取した。その後、血漿を遠心分離(10分間、5000rpm)で分離して、分析時まで−20℃で保存した。血漿のインスリンを放射性免疫測定法(RIA、Linco Research)により、製造者の指示通り以下の調整を行い測定した。すべてのアッセイ量を4分の1に減らした。
【0072】
結果:インスリンの曲線下面積(AUC)は、標準の調合乳を与えたラットよりもリン脂質を含む調合乳を与えたラットの方が低かった(表4)。リン脂質、スフィンゴ脂質及び/又はコレステロールを含む調合乳を与えることにより、食後のインスリン濃度及び速度がヒト乳で事前に観察されたものとより似通ったものとなった。インスリン濃度の減少は、後年における肥満、特に中心性肥満の防止に効果があると言われているインスリン感受性の増加を示す。
【0073】
【表4】

【0074】
(実施例3)
血糖/インスリン及び非消化性オリゴ糖
動物及び処置:第1日目に、オスの成体ウィスターラット(n=7)に、胃カニューレを介してGOS繊維の投入物、セルロース投入物又は水を与えた。一日の繊維摂取量の50%と等しい6mlの食物塊を与えた。使用したGOS繊維は、Elix’or(Borculo Domo)製のトランスガラクト−オリゴ糖であった。繊維は水中に溶解した。約24時間後(第2日目に)は経口耐糖試験を行い、食後の糖及びインスリンの経過を、炭水化物投入物(2g/体重kg)を胃内に注射してから120分間監視した。この目的で、血液サンプルは、頸静脈管を介して何度も取った。第1日目の胃内への水又は水中セルロース溶液の注射を対照として用いた。GOS繊維調製物は、消化性炭水化物(主にラクトース)50%からなるので、2種の対照用注射は、これを修正するために炭水化物と共に投与した。
【0075】
結果:GOS繊維での前処理によって、インスリン分泌量は明らかに減少し、AUC値の増分はかなり低かった(p<0.05)。血糖値は有意に影響されなかった。セルロース又は水での前処理は、インスリン分泌を和らげなかった。表5参照。
【0076】
【表5】

【0077】
(実施例4)
乳幼児用栄養物
乳幼児用栄養物は、全カロリーの48%を付与する脂質成分と、全カロリーの8%を付与するタンパク質成分と、全カロリーの44%を付与する消化性炭水化物成分とを含み、(i)脂質成分が、全脂肪酸に対して14重量%のLA、2.6重量%のALA、3.7重量%のMCFA、0.2重量%のDHA、0.05重量%のEPA、0.02重量%のDPA、0.35重量%のAA、0.03重量%のDHGLAを含む。組成物は、全脂肪に対して約0.75重量%の大豆リン脂質及び>0.005重量%のコレステロールを含み、(ii)炭水化物成分が、50.9gラクトース/100g粉末と、DP2〜6のガラクト−オリゴ糖5.22g及びDP7〜60のフルクト−オリゴ糖0.58gを含み、(ii)タンパク質成分がカゼインを含む牛乳タンパク質を含む。さらに組成物は、乾燥重量100g当たり73mgのコリン及び5.6mgのUMPを含む。組成物は乾燥重量100g当たり364mgのカルシウムを含む。組成物は、EUガイドライン準拠のビタミン及びミネラルを含む。本乳幼児用栄養物の包装ラベルには、この栄養物が肥満の発症を防止すると表示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満防止のために36カ月未満の月齢の非肥満乳幼児に与えるための栄養組成物を製造するための、脂質、タンパク質及び消化性炭水化物の各成分を含む組成物の使用であって、該脂質成分が、
(i)リノール酸(LA)及びαリノレン酸(ALA)を、LA/ALA重量比2〜7の間で、
(ii)全脂肪酸に対して15重量%未満のLAと、
(iii)全脂肪酸に対して少なくとも1重量%のALAと
を含み、該組成物が、
(a)全脂肪に対して0.5〜20重量%のリン脂質と、
(b)全脂肪に対して0.5〜20重量%のスフィンゴ脂質と、
(c)全脂肪に対して0.005〜10重量%のコレステロールと、
(d)該組成物の乾燥重量に対して0.035〜1重量%のコリン及び該組成物の乾燥重量に対して0.001〜0.1重量%のウリジンと
からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む上記組成物の上記使用。
【請求項2】
前記組成物が、コリンと、ウリジン源及びリン脂質とを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ウリジン源がウリジン一リン酸である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
後年での肥満の発症を防止するため、及び/又は前記乳幼児が36カ月を超える年齢に達したときに肥満が発症することを防止するための、請求項1から3までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物が、
(i)全脂肪酸に対して3〜50重量%の中鎖脂肪酸(MCFA)、並びに/又は
(ii)n−6長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)及びn−3LC−PUFAを1.5未満の重量比で、全脂肪酸に対して0.02〜0.8重量%のn−6LC−PUFAと、全脂肪酸に対して少なくとも0.2重量%のn−3LC−PUFAと
をさらに含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記脂質成分が全カロリーの35〜55%を付与し、タンパク質成分が全カロリーの5〜15%を付与し、及び消化性炭水化物成分が全カロリーの30〜60%を付与する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物が60〜90kcal/100mlを付与する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ヒトが12歳を超える年齢に達したときに肥満が発症することを防止するための、請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記栄養組成物が、12カ月未満の月齢の乳幼児に与えられる、請求項1から8までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物が、組成物の乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%の、少なくとも1種の可溶性、非消化性オリゴ糖をさらに含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物が、フルクトオリゴ糖(イヌリンなど)、ガラクトオリゴ糖(トランスガラクトオリゴ糖など)、グルコオリゴ糖(ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、及びシクロデキストリンオリゴ糖など)、アラビノオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フコオリゴ糖、アラビノガラクトオリゴ糖、グルコマンノオリゴ糖、ガラクトマンノオリゴ糖、オリゴ糖を含むシアル酸及びウロン酸オリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の可溶性、非消化性オリゴ糖を、少なくとも0.5重量%含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記組成物がガラクトオリゴ糖を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記組成物がフルクトオリゴ糖をさらに含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記組成物が、組成物の乾燥重量に対して少なくとも0.3重量%のカルシウムを含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
36カ月未満の月齢の乳幼児に与えるための前記栄養組成物が、後年での循環器疾患、アテローム性動脈硬化症及び/又は血液中の高コレステロール値の防止のためである、請求項1から14までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
脂質、タンパク質、消化性炭水化物及びコレステロールを含む組成物の使用であって、後年での循環器疾患、アテローム性動脈硬化症及び/又は血液中の高コレステロール値の防止のために、36カ月未満の月齢の乳幼児に与えるための栄養組成物を製造するための上記使用。

【公表番号】特表2009−521214(P2009−521214A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547136(P2008−547136)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/NL2006/050329
【国際公開番号】WO2007/073193
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508186727)エヌ.ヴィ.ニュートリシア (5)
【Fターム(参考)】