説明

肯定応答フィードバック方式を利用するパケット無線通信システムにおいてデータ・パケットの再送信を促進する装置およびその方法

フレーム・フォーマット式無線通信システム用の装置および関連方法。送信局のMACレイヤにて具現された装置を用い、該送信局のMACレイヤとRLPレイヤとの間の調整が提供される。同様に、セグメント化RLPフレームの再送信の間にRLPレイヤNAKの生成を低減する装置が受信局に配備される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的に、ハイブリッドARQ(HARQ)または他の肯定応答フィードバック/再送信方式に従うフレーム・フォーマット式または他のパケット・フォーマット式のデータを通信するIS-2000準拠のセル式通信システムなどの無線通信システムに関する。より詳細には本発明は、無線通信システムの複数の論理レイヤにて肯定応答フィードバックおよびパケット・フォーマット方式が実施される場合にパケット再送信を調整する装置およびその方法に関する。また本発明は特に、初期データ伝送速度よりも低いデータ速度にてデータ・フレームが再送信される場合に否定応答要求の生成を更に良好に制御する装置およびその方法に関する。
【0002】
必要に応じて、データ・フレームを更に早期に再送信できるように、各論理レイヤ間の調整が行われる。データ・フレームの配信の失敗の表示が低位側論理レイヤにて検出された場合、失敗した配信の表示が高位側論理レイヤに対して提供され且つデータ再送信が開始される。複数レイヤ間の肯定応答フィードバックは回避される。また、データ速度を低減してデータ・フレームの再送信が行う場合において、単にデータ・フレームの再送信速度が低減されただけでは配信失敗表示(failed delivery indication)が生成されにくくなる。逆方向リンク(reverse link)にて1xEV-DV通信サービスを提供するCDMA-2000セル式通信システムにおいて実現されたときに通信が改善される。再送信されるフレームがセグメント化される場合には更に良好な通信の制御が提供されると共に、RLP再送信とH-ARQ再送信との間の優れた調整が提供される。
【背景技術】
【0003】
現代社会の多くの側面によれば、通信サービスの実施に応じたデータの通信が必要とされる。また、データ通信に対するニーズは、相変わらずであるが、通信技術の進歩により付加的形式の通信サービスの実施が許容されるにつれて高まるであろう。
【0004】
データは、通信システムにより通信される。通信システムは、少なくとも、第1通信局および第2通信局を含む一群の通信局を含む。各通信局は通信チャネルにより相互接続される。データは、各通信局の内の第1の局であって送信局と称される局にて発信される。データは上記送信局により、各通信局の内の少なくとも第2の局であって受信局と称される局に到達すべき通信チャネル上で送信される。上記受信局は自身に対して通信されたデータを検出すると共に、その情報内容を復元すべく作用する。
【0005】
無線通信システムは、各通信局間でデータが通信される無線チャネルを利用する通信システムである。無線チャネルは、無線エア・インタフェース上に規定される無線リンク上に形成される。対照的に有線通信システムは、各通信局間におけるデータの通信を許容する通信チャネルを形成する各通信局間の固定接続すなわち有線接続を必要とする。
【0006】
無線通信システムは、対応する有線通信システムとの比較において一定の場合に該無線通信システムの使用を好都合とする種々の利点を提供する。たとえば概略的に、無線通信システムの物理的インフラストラクチャは、対応する有線通信システムを設置するよりもコストが相対的に低い。故に無線通信システムの初期展開コストは概略的に、対応する有線通信システムのそれよりも少ない。付加的に且つ重要なこととして、無線通信システムは移動通信システムとして実現され得る。移動通信システムにおいては、通信移動性が提供される。すなわち、移動通信システムの各通信局の内の一台以上の局は可動であり、固定位置における動作に限られない。
【0007】
セル式通信システムは、相当レベルの普及を達成したひとつの形式の移動無線通信システムである。種々のセル式通信システムのネットワークは、世界の多くの人口密集地域を包含すべく展開されてきた。電話通信は、セル式通信システムのネットワークにより移動局の使用を介して提供される。すなわち無線通信は、通信システムのネットワーク部分と移動局との間においてセル式通信システムが動作する間に行われることで、通信サービスが実施される。
【0008】
セル式通信システムにより包含される地域は、位置固定基地局(fixed-site base transceiver station)の布置により範囲限定される。基地局の各々はセルと称される通信到達範囲(coverage area)を限定すると共に、全ての基地局の通信到達範囲により限定される各セルの範囲の集合は協働して、当該システムがカバーする地域を画定する。セル式通信システムのネットワーク部分はまた、制御用構成要素、ならびに、PSTN(公衆加入電話網)などの他の通信ネットワーク、または、インターネットなどのPDN(パケット・データ・ネットワーク)との接続を許容する構成要素も含む。
【0009】
データの通信に使用される場合に移動局は通常、その移動局の最も近くに位置された基地局と通信する。すなわち移動局は、その移動局が位置されるセルを範囲限定する基地局と通信する。
【0010】
セル式通信システムは、一連の世代が開発かつ展開されてきた。新世代のシステムは展開されつつあり、他の世代は開発中である。新世代システムの内の幾つかは、第3世代(3G)システムと称される。概略的にこれらのシステムは少なくとも部分的に、パケット式通信方式に基礎を置いている。パケット通信方式において、通信されるべきデータはパケットへとフォーマットされると共に、パケット・フォーマット式データは一連のデータ・パケットの形態で通信されることで、通信サービスに応じたデータの通信が実施される。また、一定の場合には次世代システムと称される付加的システムもまた少なくとも部分的に、たとえばフレーム・フォーマットされるなどのパケット式通信方式に基礎を置く。
【0011】
代表的な第3世代通信システムの動作パラメータは、CDMA 2000動作規格(operating specification)と称される動作規格に示される。CDMA 2000動作規格に示された動作パラメータによれば、パケット式データ通信サービスが提供される。CDMA 2000システムにおいて高速データ通信サービスを実施するために、高速データ通信サービスに関する更なる動作パラメータも公表されている。たとえば1xEV-DVデータ通信方式は動作パラメータを提供し、これに従い、CDMA 2000通信システムに関連して高速データ通信サービスが実施され得る。高速データ通信サービスはいずれの方向にも、すなわち、ネットワーク部分から移動局へ、ならびに、移動局からネットワーク部分へと実施される。
【0012】
既存のバージョンの動作規格は、RLP(無線リンク・プロトコル)論理レイヤおよびMAC(媒体アクセス制御)レイヤもしくはサブレイヤなどの論理レイヤに関して通信システムを定義している。RLPフォーマットされたデータ・パケットもしくはフレームは、RLPレイヤで形成され、MACレイヤフォーマットはMACレイヤにて実施される。両方のレイヤは、データ・フレームを再送信するか否かを決定するために肯定応答フィードバック方式(feedback acknowledgment scheme)を利用する。RLPレイヤはNAK式再送信方式を利用すると共に、MACレイヤはH-ARQ方式を利用する。
【0013】
さらに、上記の動作規格は逆方向パケット・データ・チャネル(R-PDCH)を定義する。このチャネル上では、2つの異なる形式の送信が許容される。第1に、自律式送信(autonomous transmission)が定義される。自律式送信においては、最小限に制御された“常時接続(always on)”データ接続が提供される。移動局が自律式送信に従って動作するとき、該移動局は所定データ速度までのデータ速度にてデータを通信することが許容される。スケジュール式送信(scheduled transmission)も定義される。スケジュール式送信において基地局などのネットワーク部分は、ピーク・データ速度以下で、移動局が自律式送信よりも次に高い速度で送信することが許容される時点を決定する。たとえば5〜10ミリ秒の比較的に短いフレーム長の通信に加え、通信の遅延動作を改善すべく戻りリンクに対してはハイブリッドARQ(H-ARQ)も利用されることで、送信電力制御の不正確さに依るフレーム・エラー率が低減される。
【0014】
たとえば移動局がデータを通信するとき、該移動局は常に、発呼設定手順の間に指定されるたとえば9.6kbpsのデータ速度以下のデータ速度にて伝送することが自律的に許容される。スケジュール式送信に対し、移動局は伝送に対する承諾を要求し、ネットワーク部分は速度指定を含む許可で答える。すると移動局は、許容された所要時間の間において且つ許容されたデータ速度にて、データの伝送が許容される。
【0015】
自律式およびスケジュール式送信は両者ともに、同一形式のH-ARQ肯定応答フィードバック・メカニズムを使用する。H-ARQ方式は、複数のARQ“チャネル”の属性とおよび同期された肯定応答を示す。エンコーダ・パケット(encoder packet)の再送信は、選択された回数まで実施される。逆方向リンク用H-ARQ手順を用いると、通信システムの移動局と基地局との間におけるMACサブレイヤにては対称的H-ARQメカニズムが提供される。
【0016】
既存のバージョンの動作規格に示された既存の通信方式によるひとつの問題は、データ・パケットまたはフレームの再送信の間における肯定応答フィードバックに関連する。RLPフォーマットされたフレームは、最初に分割(セグメント化)されていない形態で高いデータ速度にて通信されてから、セグメント化された形態にて更に低いデータ速度で再送信される。更に低いデータ速度にて再送信される場合、データ・フレームの再送信が進行中であるにも関わらず、受信局を構成する基地局は、低データ速度におけるデータの再送信により引き起こされるタイムアウトによって、データの配信失敗を示すことがある。
【0017】
さらに、複数レイヤ間の肯定応答フィードバックの故に、該複数レイヤ間で肯定応答フィードバックを通信するために過剰なエア・リソース(air resource)が使用される。複数レイヤ間のフィードバックは、無線リソースの重複かつ浪費である。
【0018】
そこで、肯定応答フィードバック方式に従うデータの再送信に対して更に良好な制御を実現する様式が提供されれば好適であろう。
パケット通信システムにおけるデータの再送信に関するこの背景事情に鑑み、本発明による相当の改良が為されたのである。
【発明の開示】
【0019】
したがって、本発明は好適には、IS-2000準拠のセル式通信システムなどの無線通信システムにおけるパケット・データの通信を促進する装置およびその方法を提供する。フレーム・フォーマット式または他のパケット・フォーマット式のデータは、H-ARQ、または、他の肯定応答/再送信方式に従い通信される。
本発明の実施例の作用によれば、無線通信システムの複数の論理レイヤにて肯定応答フィードバックおよびパケット・フォーマット方式が実施される場合にフレーム再送信を連携調整する方法が提供される。
【0020】
また、本発明の実施例の作用によれば、最初のデータ伝送速度より低いデータ速度でデータ・フレームが伝送される場合に否定応答要求の生成を更に良好に制御する方法が提供される。
【0021】
本発明のひとつの形態においては、各論理レイヤ間の調整が提供され、且つ、必要に応じて更に早期の再送信が可能となる。低位側論理レイヤにてデータ・フレームの配信失敗の表示が検出されたとき、そこでこの配信失敗の表示を形成するメッセージが形成される。メッセージは高位側の論理レイヤに対して提供され、データ再送信が開始される。したがって複数レイヤ間での肯定応答フィードバックを利用するという必要性が回避される。
【0022】
本発明の別の形態において、データの再送信する際にデータをセグメント化して、セグメント化した部分の状態で再送信する場合でも、配信失敗表示が生成される可能性は低い。すなわち、セグメント化されないデータが最初に伝送されてから低データ速度にてセグメント化された形態で再送信される場合において、データの再送信速度が単に低いだけで、配信失敗表示が生成されにくくなる。データの配信失敗の不正確な表示が行われにくくなることから、通信性能は改善されると共に通信システムにおける無線リソースは更に良好に利用される結果となる。
【0023】
代表的実施形態においては、1xEV-DV通信サービスを提供するセル式通信システムであるCDMA 2000において優れた通信が提供される。セグメント化フレームが再送信されるときに、通信の更に良好な制御が提供される。また、RLP伝送およびH-ARQ伝送の間における優れた調整が提供される。
【0024】
データのフォーマットがRLP(無線リンク・プロトコル)レイヤなどの高位側論理レイヤにて実施されてから、MAC(媒体アクセス制御)サブレイヤなどの低位側論理レイヤに対して提供される。MACまたは他の低位のフォーマットが実施されると共に、その結果生じたフレームは送信局により受信局へと通信される。MACまたは他の低位の各論理レイヤにおける通信は、特にH-ARQフィードバック方式などの肯定応答フィードバック方式に従い実施される。
【0025】
低位側論理の送信局に対しては、送信が成功したまたは失敗した旨のいずれかのH-ARQ表示が返信され、そこで検出される。送信局の低位側論理レイヤにて具現された検出器による表示の検出に応じて、ステータス応答生成器はステータス応答メッセージを生成する。ステータス応答メッセージはRLPまたは他の高位側論理レイヤに対して提供され、受信表示を迅速に表示する。データの配信失敗が表示されたとき、RLPまたは他の上位側論理レイヤは再送信手順を開始する。このデータは再び低位側論理レイヤに対して提供され、データは受信局に対して再送信される。
【0026】
受信局は、受信局に対するデータの配信に関係付けられた期間を計時する再送信タイマを利用する。送信局により受信局に対して通信されるデータは、自律式送信モードまたはスケジュール式送信モードで通信される。データの再送信は、データの初期伝送よりも低いデータ速度にて行ってよい。データがセグメント化された形態で受信されたと受信局が判断し低いデータ速度で再送信されたことが示されたとき、セグメント化された部分は再シーケンス化バッファにおいてバファリングされ、且つ、後に続くデータの再送信を要求すべき時点を決定するために再シーケンス化バッファ・タイマが用いられる。再シーケンス化バッファ・タイマがタイムアウトする期間内においてデータのセグメント化部分が検出されないなら、データのセグメント化部分の配信失敗を表すNAK表示が送信局に対して返信される。これにより、低いデータ速度におけるデータの再送信に対する適応が為される。データが低い伝送速度にて再送信されたとしても、データの配信失敗を表すNAK表示は不要である。
【0027】
これにより、優れた通信方法および無線リソースの優れた用法が提供される。複数レベルにおける肯定応答フィードバックの複数レベル送信が回避される。また、再送信データの配信失敗に関する間違った表示が行われにくくなる。
【0028】
したがって、これらのおよび他の形態においては、無線通信システムのための装置およびその方法が提供される。無線通信システムは、データを受信局に対して送信する送信局を有する。データは、上位側論理レイヤにて上位側データ・フレームへとフォーマットされる。上位側データ・フレームは低位側論理サブレイヤに対して提供される。このサブレイヤで上位側データ・フレームは、少なくとも一個の低位側フレームへと更にフォーマットされる。低位側論理レイヤは、H-ARQフィードバック方式に従い動作可能である。受信局が少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したとき、送信局による上位側データ・フレームの再送信が促される。低位側論理サブレイヤにては、H-ARQ検出器が具現される。H-ARQ検出器は、受信局により送信局に対して返信されたH-ARQ表示すなわち肯定応答を検出する。低位側論理サブレイヤにては、H-ARQステータス応答生成器が具現される。応答生成器は、H-ARQ検出器により為された検出の表示を受信し得る。H-ARQステータス応答生成器は、上位側論理レイヤに対して配信されるH-ARQステータス応答メッセージを生成する。このメッセージは、受信局が少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したことを表すH-ARQ表示をH-ARQ検出器が検出した時点を上位側論理レイヤに対して通知する。上位側論理レイヤはH-ARQステータス応答メッセージの受信に応じて選択的に動作することで上位側データ・フレームを低位側論理サブレイヤに対して再び提供し得る。
【0029】
同様に、これらのおよび他の形態においては、無線通信システムのための更なる装置および関連方法が提供される。受信局は、再送信タイマを備える。再送信タイマは第1期間を計時する。この第1期間は、少なくとも一個の低位側フレームを受信局が受信することを少なくとも予測したときに開始される。送信局は、最初は選択的に、少なくとも一個の低位側フレームをセグメント化部分の状態で第2の低データ速度にて送信する。セグメント化部分の状態における少なくとも一個の低位側フレームの受信が促進される。再送信タイマ・リセット器は、第2の低データ速度で再送信された低位側フレームのセグメント化部分の受信が検出されたことの表示を受信し得る。再送信タイマ・リセット器は、低位側フレームがセグメント化された部分の状態で再送信されるときに再送信タイマのリセットを引き起こす。
【0030】
以下に簡潔に要約される本発明およびその有効範囲は、本発明の現在における好適な実施例に関する詳細な説明、添付図面、および、添付の各請求項から更に完全に理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
最初に図1を参照すると、概略的に10と示される無線通信システムは、フレーム・フォーマット式データまたは他のパケット・フォーマット式データの通信を提供する。この通信システムは複数の移動局を有するマルチユーザ通信システムを形成し、その移動局が示されている。データは、たとえばリアルタイムVoIP(ヴォイス・オーバー・インターネット・プロトコル)通信サービスなどを含む、通信サービスの実施に応じて通信される。
【0032】
代表的実施形態において無線通信システムは、CDMA 2000動作規格に示された動作プロトコルに概略的に従い動作するセル式通信システムを形成する。但し通信システムは、他の形式の通信システムも表している。以下においてはCDMA 2000準拠通信システムにおける実施形態に関して本発明の実施例の例示的動作が記述されるが、他の実施形態では本発明の実施例は他の形式の通信システムにおいて同様に実施される。
【0033】
通信サービスを実施するために、通信システムのネットワーク部分と、通信システムにおいて動作可能な移動局との間ではデータが通信される。このネットワーク部分により移動局に対してデータが通信されるとき、データは逆方向リンク16上に定められた逆方向リンク・チャネル上で通信される。また、移動局によりネットワーク部分に対してデータが通信されるべき場合、データは逆方向リンク18上に定められた逆方向リンク・チャネル上で通信される。
【0034】
上記のネットワーク部分は、本例では基地局を含む無線アクセス・ネットワークを含み、その基地局(BTS)22が示されている。各基地局は、通信システムがカバーする地域の全体から選択された箇所に位置され、この地域内では、移動局による且つ移動局に対する通信が許容される。通信システムの各基地局は、セルを画定する。また移動局は概略的に、この移動局が位置するセルを画定する基地局と通信する。移動局12および基地局22は、通信サービスを実施するために通信セッションの間においてフレーム・フォーマット式データが通信されるという任意の群の通信局を表している。
【0035】
ここで、通信システム10を形成するCDMA 2000準拠通信システムは、更に順方向リンクならびに逆方向リンクの双方上で1xEV-DV高速データ通信サービスを提供する。移動局にて発信されたデータが基地局に対して伝達される場合における、通信システムの例示的動作が記述する。ある形態においては、順方向リンク通信に対して類似動作が同様に実施される。
【0036】
通信システムのネットワーク部分の無線アクセス・ネットワークは、基地局用コントローラ24または他の制御用構成要素も含んでいる。基地局用コントローラは、このコントローラに連結された基地局22の動作を含め、無線アクセス・ネットワークを種々の態様で制御する。
【0037】
一方、基地局用コントローラ24は、通信システムのネットワーク部分の無線アクセス・ネットワークと該ネットワーク部分の他の部分との間のゲートウェイを形成するゲートウェイ(GWY)28に連結される。ここではゲートウェイ28は無線アクセス・ネットワークを、パケット・データ・ネットワーク(PDN)32および公衆加入電話網(PSTN)34に対して接続する。パケット・データ・ネットワークおよび公衆加入電話網に、対応ノード(CN)38が連結される。この対応ノードは、移動局12などの移動局を以てまたは該移動局により通信サービスを実施する通信セッションの間におけるデータ通信の最終的な発信元もしくは宛先を形成する任意のデータ・ソースまたはターゲットを表している。
【0038】
たとえば移動局に対する通信のために対応ノードで発信されたデータは通信システムのネットワーク部分を介して基地局へとルーティングされ、且つ、この基地局はそのデータを移動局へと送信する。また、対応ノードに対する通信のために例えば移動局にて発信されたデータは基地局により検出された逆方向リンク・チャネル上で送信されると共に、その後、通信システムのネットワーク部分を介して対応ノードへとルーティングされる。
【0039】
このように、例えば1xEV-DV通信サービスに従ったデータの通信は、フレーム・フォーマット式、さもなければパケット・フォーマット式である。すなわち通信サービスは、データの連続的なフレームの通信により実施される。また、データのフレームがうまく配信されずデータ・フレームが再送信され得る場合を少なくとも示すために、フィードバックが提供されるという肯定応答フィードバック方式が利用される。
【0040】
逆方向リンク通信の間、データは移動局により逆方向リンク・チャネル上で基地局に対して通信される。データのフレームは逆方向リンク・チャネル上で基地局に対して送信され、基地局にて検出される。データ・フレームが基地局に対してうまく配信されない場合には、移動局に対してH-ARQフィードバック方式に従ってデータ・フレームの配信失敗の表示が返信される。フォーマットおよびフィードバックは、従来はRLP(無線リンク・プロトコル)レイヤおよびMAC(媒体アクセス制御)レイヤで実施されることから、移動局に対しては、各レイヤ毎の複数のフィードバックが返信される。
【0041】
移動局は、基地局に対するデータ・フレームの配信失敗の場合にデータの迅速な再送信を容易にする、概略的に46で示された装置を含む。装置46は、本例ではたとえば処理回路機構により実行可能なアルゴリズムなどを含む、任意の所望の様式で実施される機能構成要素で形成されるものとして示される。代表的実施形態において上記装置は、RLP(無線リンク・プロトコル)論理レイヤの下位に位置するMAC(媒体アクセス制御)レイヤにて実現される。
【0042】
装置46は、先に送信されたデータ・フレームの配信失敗を表すH-ARQ表示を検出すべく動作するH-ARQ検出器52を含む。検出器52により行われた検出の表示は、H-ARQステータス応答生成器54に対して提供される。H-ARQ検出器と共にMACレイヤにて具現された上記ステータス応答生成器はまた、ここにライン56上に示されるメッセージであって、先に送信されたフレームの配信失敗を表すべくRLPレイヤに提供されるメッセージを生成する様にも動作する。このメッセージがRLPレイヤに対して配信されたとき、RLPフォーマット化フレームが再びMACレイヤに提供されてMACレイヤでフォーマットされた後、基地局へと再送信される。配信失敗を表すH-ARQ表示がMACレイヤで検出されたことがRLPレイヤに対して直ちに知らされることから、RLPレイヤも更に迅速にRLPフォーマット化フレームの再送信を開始する。故に、上記の様にしなければ、RLPレイヤはフレームの配信失敗を表すNAK(否定応答)または他の表示の配信を待機する必要があったところ、この必要性が除かれる。優れた通信、ならびに、無線通信システムに割当てられた無線リソースの更に効率的な利用が可能である。
【0043】
基地局もまた、本発明の実施例の装置46を含む。上記基地局にて具現された装置46もまた、たとえば処理回路機構により実行可能なアルゴリズムにより任意の所望の様式で実現される機能構成要素で形成される。装置46は逆方向リンク通信の間に、データ・フレームの配信失敗を表すフィードバック表示を上記移動局に対して返信する時点を制御すべく動作する。上記装置は、再送信データ・フレームを分割した部分が、最初のデータ伝送のデータ速度と比較して低減されたデータ速度で伝送された時点を検出する。
【0044】
基地局にて具現された再送信タイマ58に対しては、第1タイムアウトが組み合わされる。この再送信タイマは、第1タイムアウト期間により表される期間内にデータ・フレームがうまく配信されないときに、移動局に対して返信されるべきNAK表示を開始すべく動作する。このように、データの再送信の際にデータが部分部分に分割されて送信される場合には、再送信は非常に低減されたデータ速度で実施される場合もある。上記の装置は、上記通信システムの動作の間にデータが再送信された場合にデータを分割した各部(セグメント化部分)をバファリングする再シーケンス化バッファ62を含む。上記の装置は、再送信タイマ・リセット器64も含む。この再送信タイマ・リセット器は、再送信されたデータ・フレームのセグメント化部分の上記のバッファにおけるバッファリングの表示を受信すべく連結される。またリセット器は再送信タイマに連結されることで、再送信データのセグメント化部分が基地局に対して配信され、ここで再シーケンス化バッファに記憶されるときに、再送信タイマのリセットを引き起こす。また上記の装置は、第2期間を計時すべく動作する再シーケンス化バッファ・タイマ66も含む。もし再シーケンス化バッファ・タイマがタイムアウトし且つ再送信データのセグメント化部分が基地局に対してうまく配信されないとき、所定の表示が再送信要求を開始する再送信要求生成器72に対して供給される。この表示は、データ・フレームのセグメント化部分であって欠落した単一もしくは複数のセグメント化部分が基地局に対して再び再送信されるべきことを移動局に対して示すために、再送信されるべき単一もしくは複数のセグメント化部分を示す再送信要求を示す。再送信タイマがリセットされることから、再送信の伝送速度が単に著しく低下しただけでは、データの配信失敗を表すNAK表示の不適切な生成が行われない。また、上記再シーケンス化バッファ・タイマおよび再送信要求生成器が使用されることから、上記基地局に対してうまく配信されたセグメント化部分の再送信は行われない。
【0045】
図2は、図1に示された無線通信システムの各部を構成する移動局12および基地局22を示している。それぞれ76および78で示された2つの論理レイヤすなわちRLPレイヤおよびMACレイヤが示される。またここでも、装置46の逆方向リンク通信に従い使用されるH-ARQ検出器52およびH-ARQステータス応答生成器54は、移動局のMACレイヤ78-12において具現して示される。
【0046】
図2はまた、基地局から移動局などへのH-ARQ表示の通信を表す矢印82も示している。更に、移動局および基地局の各レイヤ間のデータ通信は矢印84に表され、且つ、各レイヤ間における肯定応答および否定応答の通信はセグメント86により表される。応答生成器54により生成されたメッセージは、移動局のMACレイヤおよびRLPレイヤ間に延在するセグメント86により表される。このメッセージがRLPレイヤに対して配信されたとき、該RLPレイヤは可及的速やかに、その後の再送信を開始する。この動作を通し、上記基地局と上記移動局との間においてRLP同士間(peer-to-peer RLP)でNAK制御フレームが通信される必要はない。
【0047】
代わりに、MACレイヤにてはH-ARQ伝送のステータスが提供され、且つ、伝送が成功もしくは完全に失敗した旨のいずれかの表示が、RLPレイヤすなわちRLP送信器(RLP transmitter)まで受け渡される。伝送を行うRLPレイヤが伝送失敗の表示を受信すると、このRLPレイヤは直ちに、失敗したRLPフレームの再送信を開始する。換言すると、RLP再送信はもはや基地局すなわちRLP受信器(RLP receiver)からの否定応答によりトリガされるのではなく、伝送を行うMACレイヤ78-12にて形成されたNAK通知により直接的にトリガされる。
【0048】
送信側(すなわち本例では移動局)では、MACがRLPフレームの伝送ステータスをレポートするために、RLPレイヤは、MACサブレイヤに対して受け渡したRLPフレームに対するRLPシーケンス番号を表示する。上記MACサブレイヤは、各H-ARQチャネルの物理レイヤSDUへとカプセル化されたRLPフレームの全てに対して、RLPシーケンス番号を追跡記録する。すなわち上記MACレイヤは各RLPシーケンス番号を、H-ARQチャネルID、サブパケットIDなどのH-ARQ情報と関係付ける。次にMACサブレイヤは、受信器からACKを受信した後、または、許容される再送信を尽くしてH-ARQ動作を完了した後で、RLPフレームの伝送ステータスをRLPレイヤに対して表示する。上記MACレイヤからのH-ARQ伝送ステータス表示により、RLPレイヤ76-12は失敗したフレームの再送信を開始する。上記RLPレイヤはまた、その伝送バッファから、うまく送信できたフレームに対するメモリを解放する。これにより、無線スペクトルの使用効率が高められ、すなわち無線エア・インタフェース上を送信されるRLPのNAK表示が相当に少なくなりまたは多くならないだけでなく、伝送局のスループット・メモリ効率も高められる。
【0049】
逆方向リンク通信の間において受信側(すなわち本例では基地局側)では、上記MACレイヤ動作およびH-ARQ動作は従前通りである。すなわち、通常のH-ARQのACK/NAKプロトコルが習用様式で実施される。但し、RLP受信器すなわちRLPレイヤ76-22にては、RLPフレームが欠落したと検出されたときにRLPは、NAK制御フレームを送信器に対して送信する前に、DELAY_DETECTION_WINDOWタイマまたは再送信タイマを始動し且つ再送信フレーム・データの続きを待機する。送信器は失敗したフレームの再送信を自動的に開始するので、再送信されるフレームはタイマが満了してNAK制御フレームが送信される前に到達し、エア・インタフェースを介して送信器に対して返信されるRLPのNAKフレームは少なくなりまたは多くはならない。送信器は、エア・リンクが良好であり且つH-ARQにおけるACK/NAKが確実であれば、NAK制御フレームの送信を停止すべく構成される。
【0050】
図3は、通信サービスを実現するためのデータフレーム通信の間に実行される送信手順を例示した方法を示す図であり、その全体が92で示される。
第1に、ブロック94により示されるように、逆方向リンク通信に対し、送信器すなわち移動局における全てのRLP変数が初期化される。次に、判断ブロック96により示されるように、送信器が有効か否かが決定される。もし有効でなければ、ブロック98へと続く“NO”分岐が選ばれて動作は停止する。その他の場合にはブロック102へと“YES”分岐が選ばれ、RLPレイヤは、送信の準備ができた、新たなデータまたは再送信データをチェックする。再送信パケットに対しては、更に高い優先度が与えられる。
【0051】
次にブロック104に示されるように、RLPレイヤはMACレイヤに対し、RLPシーケンス番号(SEQ)を伴うフレームを送信する。RLPレイヤは、セグメント化フレームについて、各セグメント化部分に関係付けられたセグメント・シーケンス番号(S_SEQ)も受け渡す。
【0052】
判断ブロック106においては、H-ARQチャネルにおけるパケットが肯定応答(ACKED)されたか否かに関する決定が為される。もしそうであればブロック108に続く“YES”分岐が選ばれ、送信ステータスがRLPシーケンス番号により示され、且つループは判断ブロック96に戻される。
【0053】
逆に、もし判断ブロック106で“NO”分岐が選ばれた場合、ブロック112により表されたH-ARQ再送信カウントが進められる。次に判断ブロック114により示されるように、H-ARQ再送信が尽くされたか否かに関する決定が為される。もしそうであれば、ブロック108に続く“YES”分岐が選ばれる。もしそうでければ、“NO”分岐によりブロック104に戻る。動作は、適切に継続される。
【0054】
図4は、移動局12のRLPレイヤ76-12およびMACサブレイヤ78-12を示している。ここでは、方法92により実施される処理手順が示される。RLPレイヤは、RLPフレーム116および118をMACサブレイヤ78-12に対して受け渡す。関係付けられたシーケンス番号も受け渡される。上記MACサブレイヤは両方のRLPフレームを、送信のためにコード化されたひとつの物理的チャネルSDUへと多重化する。物理レイヤARQ手順の後でMACサブレイヤ78は、データ・インスタンス(SR_ID=1)、すなわちシーケンス番号3および4を備えるRLPフレームの送信ステータスを通知する。
【0055】
これにより、MACサブレイヤからのフィードバックにより、RLP送信器すなわちRLPレイヤ76-12において、このRLPレイヤは、RLP受信器(図2に示されたRLPレイヤ76-22)からのNAK制御フレームを待機せずに再送信手順の続きを開始する。同様に、MAC送信器78-12においてこのMACレイヤは、各物理レイヤSDUへと多重化されたデータ・ブロックの全てのRLPシーケンス番号を追跡記録する必要がある。伝送の終了時に、ステータスはRLPレイヤへと受け渡される。上記MACレイヤとRLPレイヤとの間における基本要素すなわち要求および応答を下記に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
図5は、図1に示された無線通信システムの動作の間におけるスケジュール式および自律式送信パターン122を概略的に示している。パケット・データのトラフィックが概ねバースト的であるときのパケット・データ送信パターンが示される。RLPフレームは、セグメント化された形態もしくはセグメント化されない形態で配信される。もしセグメント化されていない高いデータ速度にて(スケジュール式で)送信された大きなRLPフレームが喪失し、且つ移動局が、基地局の負荷または速度要求遅延のために、同一データ速度でRLPフレームを再送信し得ないならば、再送信RLPフレームは自律モードにてセグメント化されて伝送され得る。上記図において、ブロック124は低いデータ速度における自律式送信を表し、且つ、ブロック126は高いデータ速度におけるスケジュール式送信を表している。
【0058】
たとえばRLPフレームは、10msのフレーム長によりピーク・データ速度(1.2Mbps)にて送信されるが、自律モードでは例えばエンコーダ・パケット毎に192ビットで再送信され、セグメント化データ・ブロックを再送信するには64回の再送信が必要とされる。コード化に引き続くエンコーダ・パケットはまた、順方向/逆方向パケット・データ・チャネル上の入力ビットであって、情報ビットと、フレーム品質表示ビットと、テール・ビット(tail bits)とから成る入力ビットも含む。これにより、物理レイヤSDUが形成される。通常、RLP送信タイマは、往復時間と、遅延時間を処理する要因とをプラスして設定される。もし往復遅延が150msであり且つ要因が100msであれば、再送信タイマは250msである。但し、10msフレーム長による64個のセグメント化フレームを伝送するために必要とされる時間は、640msである。この故に、第2回目のRLP伝送に対するセグメント化再送信を送信器が依然として行っている間に、RLP受信器は第3回目のRLP伝送を要求してしまう。
【0059】
再送信フレームがエア・リソースの制限のために分割(セグメント化)されるときは常に、効率的な再送信方式が必要とされる。
【0060】
図6は、セグメント化された部分部分のデータの再送信と、セグメント化RLPフレームの再送信の間において不必要なRLP NAKを制限する本発明の実施例の装置の動作とを示している。この図の上側部分は再シーケンス化バッファにて受信されたフレームを示し、且つ、同図の下側部分はサブ再シーケンス化バッファにて受信された各フレーム134を示している。
【0061】
再送信フレームのひとつのセグメントが受信されたとき、RLP受信器すなわち図2に示されたRLPレイヤ76-22は、欠落RLPフレームについて再送信タイマを停止し、且つ、欠落フレームに対する全てのセグメント化フレームを再シーケンス化すべく使用される再シーケンス化バッファを始動せねばならない。セグメント化データ・フレーム・フォーマットが使用される場合、フレームは (セグメント化)されたフレームとなることを銘記されたい。サブ再シーケンス化バッファに対するNAK処理手順が開始されるが、これはRLP再シーケンス化バッファのそれと同様である。図6においては、RLPフレーム番号3に対し、再送信のためにNAKが送信される。再送信タイマが満了する前に、セグメント化サブパケット3-1が到達する。サブパケット3-1は、S_SEQフィールド(セグメント・シーケンス番号)がゼロに設定されたセグメント化フレームである。受信器は、残りの各セグメントを待機すべくサブ再シーケンス化バッファを始動させる。セグメント3-2(S_SEQ=20)、3-4(S_SEQ=60)および3-5(S_SEQ=80)など、全てが到達する。但し、セグメント3-3(S_SEQ=40)は、遅延検出時間枠の満了時に到達しない。するとRLP受信器は欠落セグメント3-3が喪失したことを宣言し、且つ、このセグメントに対する再送信を要求すべくNAK制御フレームが送出される。これにより、不必要なRLP NAK表示の生成を低減する方法が提供される。
【0062】
好適な記述は発明を実施するための好適な例であり、且つ、発明の有効範囲は必ずしもこの記述により制限されるべきでない。本発明の有効範囲は、各請求項により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例が動作可能である無線通信システムの機能ブロック図である。
【図2】図1に示された無線通信システムの各部、および、本発明の実施例の動作に従う無線通信システムの動作の間に生成される信号の論理レイヤ表現である。
【図3】本発明の実施例の方法の動作手順を列挙する動作フローチャートである。
【図4】本発明の実施例に従い動作可能な送信局のRLPレイヤおよびMACサブレイヤでそれぞれフォーマットされたデータ間の代表的関係を示す図である。
【図5】図1に示された通信システムの代表的動作の間における代表的な伝送パターンを示す図である。
【図6】本発明の実施例の動作に従うデータ・フレームのセグメント化された部分の代表的な通信を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信局に対してデータを送信する送信局を有し、且つ前記データは上位側論理レイヤにて上位側データ・フレームへとフォーマットされ、該上位側データ・フレームは低位側論理サブレイヤに対して提供され、該低位側論理サブレイヤにて前記上位側データ・フレームは少なくとも一個の低位側フレームへと更にフォーマットされ、前記低位側論理レイヤはH-ARQフィードバック方式に従い動作可能な無線通信システムにて、前記受信局が前記少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したときに前記送信局による前記上位側データ・フレームの再送信を促進する装置であって、
該装置は、
前記低位側論理サブレイヤにおいて設けられ、前記受信局から前記送信局に対して返信されたH-ARQ表示を検出するH-ARQ検出器と、
前記送信局の前記低位側論理サブレイヤにて設けられ、前記H-ARQ検出器により為された検出の表示を受信して、前記上位側論理レイヤに対して配信されるH-ARQステータス応答メッセージを生成するH-ARQステータス応答生成器と、を備え、
該H-ARQステータス応答生成器は、前記受信局が少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したことを表すH-ARQ表示を前記H-ARQ検出器が検出したことを、前記送信局の該上位側論理レイヤに対して通知して、前記上位側論理レイヤを前記H-ARQステータス応答メッセージの受信に応じて選択的に動作させ、前記上位側データ・フレームを前記低位側論理サブレイヤに対して再び提供させる、
無線通信システムにおける前記装置。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムにて、前記受信局が前記少なくとも一個の低位側フレームをセグメント化された状態で受信するのを促進するための前記受信器用の装置であって、
前記受信局は、該受信局において前記少なくとも一個の低位側フレームの受信が検出されことにより開始する第1期間を計時する再送信タイマを備え、
前記送信局は選択的に、最初は前記少なくとも一個の低位側フレームをセグメント化された状態で第2の低いデータ速度にて送信し、
前記装置は、前記第2の低いデータ速度において再送信された前記低位側フレームのセグメント化された部分を受信したことを検出した表示を受信して、前記低位側フレームがセグメント化された状態で再送信されたとき、前記再送信タイマのリセットを引き起こす再送信タイマ・リセット器、を備える、
前記装置。
【請求項3】
前記受信局は、該受信局に配信されたときに前記低位側フレームの前記セグメント化された部分をバファリングする再シーケンス化バッファを更に備える、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記受信局は、前記低位側フレームが再送信されたときそのセグメント化された部分の受信が検出されたことにより開始する第2期間を計時する再シーケンス化バッファ・タイマを更に備える、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記再シーケンス化バッファ・タイマによる前記第2期間は前記再送信タイマにより計時される前記第1期間に実質的に対応する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記セグメント化された部分の各セグメントに対してセグメント識別子が組み合わされ、且つ、
前記受信局は欠落セグメント検出器を更に備え、該検出器は、前記再シーケンス化バッファがタイムアウトしたときに、どのセグメント化部分が前記再シーケンス化バッファにおいて配信およびバッファリングに失敗したのかを特定する、請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記受信局は、前記再シーケンス化バッファのタイムアウトの表示を受信する再送信要求生成器を更に備え、
該再送信要求生成器は、前記再シーケンス化バッファのタイムアウトと、前記欠落セグメント検出器による少なくとも一個の欠落セグメントの検出とに応じてNAK再送信要求を生成する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記NAK再送信要求は前記再送信タイマにより検出可能な欠落フレーム表示から成る、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記低位側論理サブレイヤはMAC(媒体アクセス制御)レイヤから成り、且つ、前記H-ARQ検出器および前記H-ARQステータス応答レイヤは上記MACレイヤにて設けられる、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記上位側論理レイヤはRLP(無線リンク・プロトコル)レイヤから成り、且つ、前記H-ARQステータス応答メッセージは前記H-ARQステータス応答生成器から前記RLPレイヤに対して配信される、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記H-ARQステータス応答メッセージは更に、前記受信局が前記少なくとも一個の低位側フレームの受信が成功したことを表すべく生成される、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記H-ARQステータス応答メッセージは更に、前記H-ARQ検出器により受信された前記H-ARQ表示がどの上位側データ・フレームと関係付けられるのかを特定する、請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記上位側論理レイヤにより形成された前記上位側データ・フレームはフレーム・シーケンス番号を備え、且つ、
前記H-ARQステータス応答メッセージは前記フレーム・シーケンス番号の表示を含む、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記上位側データ・フレームはRLP(無線リンク・プロトコル)フレームから成り、且つ、前記フレーム・シーケンス番号はRLPシーケンス番号から成る、請求項13記載の装置。
【請求項15】
受信局に対してデータを送信する送信局を有する無線通信システムにおける通信方法であって、前記データは上位側論理レイヤにて上位側データ・フレームへとフォーマットされ、該上位側データ・フレームは低位側論理サブレイヤに対して提供され、該低位側論理サブレイヤにて前記上位側データ・フレームは少なくとも一個の低位側フレームへと更にフォーマットされ、前記低位側論理レイヤはH-ARQフィードバック方式に従い動作可能である通信方法にて、前記受信局が少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したとき前記送信局による前記上位側データ・フレームの再送信を促進する方法であって、
該方法は、
前記受信局により前記送信局に対して返信されたH-ARQ表示を前記低位側論理サブレイヤにて検出する段階と、
前記上位側論理レイヤに対して配信されることによって、前記検出する段階において、前記受信局が前記少なくとも一個の低位側フレームの適切な受信に失敗したことを表すH-ARQ表示を検出したことを前記上位側論理レイヤに対して通知するH-ARQステータス応答メッセージ、を生成する段階と、
前記H-ARQステータス応答メッセージを前記上位側論理レイヤに対して配信する段階と、
を備える方法。
【請求項16】
前記配信する段階の間における前記H-ARQステータス応答メッセージの配信に応じて前記上位側データ・フレームを前記低位側論理サブレイヤに対して再び提供する段階を更に備えて成る、請求項15記載の方法。
【請求項17】
受信局に対してデータを送信する送信局を有する無線通信システムにおける通信方法であって、前記データは上位側論理レイヤにて上位側データ・フレームへとフォーマットされ、該上位側データ・フレームは低位側論理サブレイヤに対して提供され、該低位側論理サブレイヤにて前記上位側データ・フレームは一個の低位側フレームへと更にフォーマットされ、上記低位側論理レイヤはH-ARQフィードバック方式に従い動作可能である通信方法にて、前記少なくとも一個の上位側フレームのセグメント化された部分の受信を促進する方法であって、
ここに、前記受信局は、欠落した上位フレームが該受信局において検出されたときに開始する第1期間を計時する第1再送信タイマを備え、前記送信局は選択的に、最初は少なくとも一個の上位側フレームを第1データ速度にて送信し、且つ、必要に応じて前記少なくとも一個の上位側フレームのセグメント化された部分を第2の低いデータ速度にて再送信し、
該方法は、
前記第2の低いデータ速度における前記上位側データ・フレームの再送信が上記受信局にて受信されたことを検出する段階と、
上記少なくとも一個の上位側フレームがセグメント化された状態で再送信されるときに第1再送信タイマをリセットする段階と、
を備える方法。
【請求項18】
前記受信局に配信されたときに前記少なくとも一個の上位側フレームの前記セグメント化された部分をバファリングする段階と、
再送信の間に上記セグメント化された部分が欠落したと検出されたときに、上記少なくとも一個の上位側フレームの各セグメント化部分に対して開始する個々の期間を計時する段階とを更に備えて成る、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−531335(P2007−531335A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518799(P2006−518799)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/021364
【国際公開番号】WO2005/004374
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】