説明

胃保持型製剤の製造法

【課題】本発明は、胃保持型経口固形製剤の新規製造法、および薬剤の制御送達の観点から、胃または上部消化管に保持される医薬固形製剤を提供する。
【解決手段】前記製造方法は、疎水性粉末を含む粉末混合物を準備する工程、この粉末混合物を造粒溶液で過造粒ペーストに過造粒する工程、該ペーストを固形物へと乾燥させる工程を含んでいる。また。前記製剤は、前記製造方法によって得られる製剤である。前記工程では、有効成分を、工程(i)の出発粉末および/または工程(ii)の造粒溶液、好ましくは工程(i)の出発粉末に添加してもよいし、および/または工程(iii)で得た固形物に塗布してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の制御放出のために、胃または上部消化管に保持される新規医薬組成物に関する。本発明は、さらに、これらの製剤の製造法ならびに治療的処置における使用法も提供する。
【背景技術】
【0002】
治療薬は、その投与法に密接に関連した有効性を与える。経口摂取した場合、薬剤は、消化管(GI管)の種々の部分に位置する特定吸収部位と相互作用し、その結果、特定の薬剤が、胃、腸の上部または下部においてのみ吸収される。従って、薬剤がGI管の全長にわたって均一に吸収されないため、吸収率が一定せず、最も有効な治療が可能とならない。しかし、投与法により関係部位のみへの有効成分の制御送達が可能となる場合、治療薬の有効性は大幅に改善しうる。
【0003】
例えば、下記の薬剤の場合、特に胃における滞留時間を延長することが重要であると考えられる:局所的にのみ活性な薬剤(例えば、制酸剤)、胃または上部腸に吸収ウィンドウを有する薬剤(例えば、L−ドーパまたはリボフラビン)、腸または結腸環境において不安定な薬剤(例えば、カプトプリル)、または高pH値において低溶解性を示す薬剤(例えば、ジアゼパムまたはベラパミル)。このような滞留時間は、胃に定着する微生物の処置においても重要と考えられる。というのは、微生物への薬剤の管腔送達を減少させる3つの主要因は、胃排出、胃の酸性度および上皮粘液層であるからである。これらの形態は、胃の状態を監視し確認するためのバイオマーカーを放出するのにも使用しうる。
【0004】
既存の即時放出製剤が、薬剤の繰り返し投与ならびに薬剤血漿レベルの変動という不都合を有する一方で、制御薬剤送達システムが精力的に開発されている。
【0005】
このような制御薬剤送達システムによって、その製剤が一定速度で薬剤を送達し続ける限り、薬剤レベルを特定のウィンドウ内に維持する薬剤送達が可能となる。さらに、必要とされる投与回数を減少させるか、または安全血中レベルを維持するだけでなく、制御放出製剤の摂取に関連した他の利点があり、例えば、副作用の重症度を減少させることもできる。
【0006】
種々の制御放出製剤が開示されており、それらは下記において概説されている:「Gastroretentive drug delivery systems」, Alexander Streubel, Juergen Siepmann & Roland Bodmeier, Expert Opin. Drug Deliv. (2006)3(2):217-233、または「Gastroretentive dosage forms: Overview and special case of Helicobacter Pylori」, J. Control. Rel., 111(2006)1-18, Bardonnetら。それらは、種々の作動形態に基づき、例えば下記のように種々に名づけられている:溶解制御系、拡散制御系、イオン交換樹脂、浸透圧的制御系、分解性マトリックス系、pH依存性配合物、生物付着性形態、低密度系、膨潤形態等。
【0007】
特に低密度系は、いったん胃液と接触すると浮遊し、幽門を通る早期排出を防止することによって、胃への長い滞留時間を可能にする。それらは一般に、生物分解性物質から製造され、該物質は所定時間後に崩壊し、残留製剤が最終的に胃から排出される。薬剤送達システムの浮遊特性は、いくつかの原理に基づくことができ、該原理には、固有低密度や、膨潤またはガス発生による低密度が含まれる。
【0008】
例えば、膨潤系では、複雑な幾何学形状物の展開または膨潤性賦形剤の膨張によって、製剤のサイズが幽門の直径を上回るようにできるだけでなく、製剤の密度も減少させて浮遊特性を付与する。ガス発生系の場合、体液との接触後のデバイス内での二酸化炭素の発生から、低密度が得られる。これらの製剤のいくつかは、既に存在し、一般に、膨潤およびガス発生現象の両方を組み合わせている。それらのいくつかは、Cipro XP(登録商標)、Xatral(登録商標)ODのように、現在、臨床的に試験されているか、または、Glumetza(登録商標)またはProquin XR(登録商標)のように、既に医薬品薬事行政の認可を受けている。しかし、それらは、投与後直ぐに浮遊しないという欠点を有している。これは、系が所望の大きさに達するのに時間を要するためであり、ガス発生過程による発泡製剤である場合には、さらに長い時間を要する。
【0009】
より好都合には、固有低密度系において、浮遊特性が初期および嚥下から与えられ、実質的に遅延時間を与えない。それらは、一般に、空気の閉じ込め、低密度物質の組込み、フォームパウダーの使用、またはそれらの組合せによって付与される。
【0010】
例えば、米国特許第4814179号明細書でDesaiおよびBoltonは、乾燥後の蒸発水分を油分と空気で交換した成形寒天ゲル錠剤を開発した。その製造法は、有効成分の油性組成物および寒天ゲルの水溶液から、エマルジョンを形成する工程を含む。エマルジョンを型に注ぎ、次いで、乾燥させている。
【0011】
KroegelおよびBodmeierは、「Development of a multifunctional matrix drug delivery system surrounded by an impermeable cylinder」、J. Control. Release (1999) 61:43-50において、2つの薬剤マトリックスタブレットを含有する不透過性中空ポリプロピレンシリンダーから成る浮遊デバイスを提示しており、該2つのタブレットのそれぞれが、シリンダーの一端を閉鎖し、それによって、それらの間に空気充填スペースが形成され、その結果として低密度系を形成している。
【0012】
最近、高多孔質ポリプロピレンフォームパウダーおよびマトリックス形成ポリマーを含有する単一ユニットおよび多粒子系が開発されており、それらは、低密度、優れた生体外浮遊挙動、およびさまざまな放出パターンを与えると言われている。例えば、浮遊薬剤を開示しているWO 89/06956が参照され、該薬剤において、多孔質構成成分、例えばフォームまたは中空体は、マトリックス内に配置され、タブレット製剤に任意に圧縮されている。さらに、Streubel, Siepmann & Bodmeier,「Floating matrix tablets based on low density foam powder」、 Eur. J. Pharm. Sci.(2003)18:37-45、またはInt. J. Pharm. (2002)241:279-292も参照され、それは、そのようなマトリックス形成ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリレート、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチ、カラギーナン、グアールガム、アラビアゴム、Eudragit(登録商標)RS、エチルセルロース、またはポリメチルメタクリレート)を示している。
【0013】
空気区画を含有する他の多重単位胃保持型薬剤送達システムが、Iannucelliらによって開示されており、該システムにおいて、各単一ユニットが、アルギン酸カルシウムコアから成り、乾燥工程中に形成される空気区画によって、アルギン酸カルシウムまたはアルギン酸カルシウム/ポリビニルアルコール膜から分離している。両者は優れた生体内および生体外浮揚挙動を示すと言われており、コアおよび膜の両方に薬剤/ポリビニルピロリドンの固体分散物を負荷した場合に、好適な薬剤放出パターンが観察されている。
【0014】
最後に、空気区画を含有するいくつかの他のビーズ配合物が、系内への気泡および空気充填中空スペースの組込みによって開発されている。これらは、「Effect of matrix composition and process conditions on casein-gelatin beads floating properties」、Bulgarelliら、Int. J. Pharm.(2000)198:157-165、および「Gastroretentive delivery systems: hollow beads」、Talukder et Fassihi、Drug Dev. Ind. Pharm.(2004)30:405-412に開示されている。しかし、浮遊特性は胃の充填状態に依存する。
【0015】
大部分の前記組成物は、特定の賦形剤、例えば、前もって製造されたフォーム生成物(例えば、ポリプロピレンフォーム)によって、製剤に空気を組み込んでいる。
【0016】
さらに、前記の技術的解決法は、あらゆるタイプの有効成分に適用できず、あらゆる負荷率に適合せず、実施するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4814179号明細書
【特許文献2】国際公開第89/06956号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Alexander Streubel、Juergen SiepmannおよびRoland Bodmeier、「Gastroretentive drug delivery systems」、 Expert Opin. Drug Deliv. (2006)3(2):217-233
【非特許文献2】Bardonnetら、「Gastroretentive dosage forms: Overview and special case of Helicobacter Pylori」、J. Control. Rel., 111(2006)1-18
【非特許文献3】KroegelおよびBodmeier、「Development of a multifunctional matrix drug delivery system surrounded by an impermeable cylinder」、J. Control. Release(1999)61:43-50
【非特許文献4】Streubel、Siepmannおよび Bodmeier、「Floating matrix tablets based on low density foam powder」、 Eur. J. Pharm. Sci.(2003)18:37-45またはInt. J. Pharm. (2002)241:279-292
【非特許文献5】Bulgarelliら、「Effect of matrix composition and process conditions on casein-gelatin beads floating properties」、Int. J. Pharm.(2000)198:157-165
【非特許文献6】Talukder et Fassihi、「Gastroretentive delivery systems: hollow beads」、Drug Dev. Ind.Pharm.(2004)30:405-412
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、向上した放出特性および生物学的利用能を与える他の固有持続放出製剤が、現在も必要とされている。
【0020】
特に、適切な大きさに達するまでに幽門から排出される既存の膨潤性製剤の場合のように、あらゆる早期排出を避けるために、胃液中で直ぐに浮遊する製剤が必要とされている。さらに、該製剤は、薬剤の長時間放出、薬剤のより優れた生物学的利用能および最適化治療有効性のために、胃により長くとどまるべきである。
【0021】
さらに、多くの持続放出技術が既に存在するが、特定有効成分の投与のためにのみ設計されているので、種々の薬剤の、種々の可能濃度での送達に好適な、持続放出製剤を提供することが現在も必要とされている。
【0022】
最後に、既存製剤の技術の複雑性を考慮して、工業規模で容易に製造できるシステムが今も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の1つの局面は、下記の工程を含む胃保持型経口固形製剤の製造法に関する:
(i) 疎水性粉末を含む粉末混合物を準備する工程;
(ii) この粉末混合物を、造粒溶液で過造粒ペーストに過造粒する工程;
(iii) 該ペーストを固形物へと乾燥させる工程。
【0024】
1つの実施形態によれば、本発明は、有効成分を、工程(i)の出発粉末および/または工程(ii)の造粒溶液、好ましくは工程(i)の出発粉末に添加し、および/または工程(iii)で得た固形物に塗布する方法を提供する。
【0025】
他の実施形態によれば、本発明は、ペーストをコアに塗布する方法を提供する。
【0026】
他の実施形態によれば、本発明は、結合剤を、工程(i)の出発物質および/または工程(ii)の造粒溶液と共に、好ましくは工程(i)の出発粉末に、添加する方法を提供する。
【0027】
他の実施形態によれば、本発明は、工程(iii)の前に、工程(ii)の過造粒ペーストを混練する工程(iv)をさらに含む方法を提供する。
【0028】
他の実施形態によれば、本発明は、乾燥工程(iii)の前に、工程(ii)または(iv)で得られた組成物を成形する工程(va)、または(ii)または(iv)で得られたペーストをコアにコーティングする工程(Vb)をさらに含む方法を提供する。
【0029】
他の実施形態によれば、本発明は、工程(ii)における溶液:粉末の比が、少なくとも0.2:1、好ましくは約0.3:1〜約3:1、より好ましくは約0.7:1〜約2:1である方法を提供する。
【0030】
他の実施形態によれば、本発明は、造粒溶液が、水溶液、有機溶媒、疎水性液体、好ましくは水である方法を提供する。
【0031】
他の実施形態によれば、本発明は、疎水性粉末が、疎水性微粉末および脂質賦形剤から成る群から選択される1種またはそれ以上の高親油性賦形剤を含む方法を提供する。
【0032】
他の実施形態によれば、本発明は、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤が、タルク、疎水性シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよび脂肪酸、好ましくは、タルク、ステアリン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される方法を提供する。
【0033】
他の実施形態によれば、本発明は、製剤が下記の物質を含む方法を提供する:
− 0.01〜90%、好ましくは40〜90%の有効成分;
− 1〜60%、好ましくは5〜50%の親油性賦形剤;および、
− 任意に、1〜20%、好ましくは2〜10%の結合剤。
【0034】
他の実施形態によれば、本発明は、製剤が、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する方法を提供する。
【0035】
他の実施形態によれば、本発明は、製剤が、該製剤の容積の10〜80%、好ましくは20〜70%の気孔率を有する方法を提供する。
【0036】
他の実施形態によれば、本発明は、有効成分が、下記から成る群から選択される方法を提供する:AIDS補助薬、アルコール依存症用製剤、アルツハイマー病管理薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、鎮痛薬、麻酔薬、制酸薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗嘔吐薬、解毒薬、線維症治療薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗感染症薬、抗微生物薬、抗腫瘍薬、抗精神病薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、食欲増進薬、食欲減退薬、生物学的応答調節物質、生物学的製剤、血液改質剤、骨代謝調節剤、心保護薬、心血管治療薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、嚢胞性線維症管理薬、脱臭剤、診断薬、栄養補助食品、利尿薬、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、勃起不全治療薬、脂肪酸、胃腸薬、ゴーシェ病管理薬、痛風製剤、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症管理薬、催眠薬、低カルシウム血症管理薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、レボカルニチン欠乏症管理薬、肥満細胞安定化薬、片頭痛製剤、乗物酔い製剤、多発性硬化症管理薬、筋弛緩薬、麻薬解毒剤、麻薬、ヌクレオシド類似体、非ステロイド性抗炎症薬、肥満管理薬、骨粗鬆症製剤、分娩誘発薬、副交感神経遮断薬、副交感神経様作用薬、ホスフェート結合剤、ポルフィリン症薬、精神治療薬、放射線不透性物質、向精神薬、硬化薬、鎮静薬、鎌状赤血球貧血管理薬、禁煙補助薬、ステロイド、興奮薬、交感神経遮断薬、交感神経様作用薬、トゥレット症候群薬、振せん製剤、尿路薬、膣製剤、血管拡張薬、眩暈薬、体重減少薬、ウィルソン病管理薬、およびそれらの混合物;より好ましくは、下記から成る群から選択される:硫酸アバカビル、アバカビルスルフェート/ラミブジン/ジドブジン、アセタゾラミド、アシクロビル、アルベンダゾール、アルブテロール、アルダクトン、アロプリノールBP、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、アンプレナビル、アルテスネート、アトバクオン、アトバクオンおよび塩酸プログアニル、アトラクリウムベシレート、硫酸バリウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベルラクトンベタメタゾンバレレート、ベタイン、次サリチル酸ビスマス、塩酸ブプロピオン、塩酸ブプロピオンSR、炭酸カルシウム、カルベジロール、カスポファンギン酢酸塩、カルバマゼピン、セファクロル、セファゾリン、セフタジジム、セフロキシム、クロラムブシル、クロロキン、クロルプロマジン、シメチジン、塩酸シメチジン、シプロフロキサシン、シサトラクリウムベシレート、プロピオン酸クロベタゾール、コトリモキサゾール、コルホスセリルパルピテート、デキストロアンフェタミンスルフェート、ジオキシン、ジヒドロキシアルテミシニン、ドキシサイクリン、マレイン酸エナラプリル、エポプロステノール、エソメプラキソールマグネシウム、プロピオン酸フルチカゾン、フロセミド、ガバペンチン、グリタゾン、ヒドロタルサイトヒドロクロロチアジド/トリアムテレン、ラミブジン、ラモトリジン、レボドパ、炭酸リチウム、ロメフロキサシン、ロサルタンカリウム、マグネシウムアルミネートモノハイドレートメルファラン、メルカプトプリン、メフロキン、メサラジン、メトホルミン、モルフィン、ムピロシンカルシウムクリーム、ナブメトン、ナラトリプタン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、オバイン、硝酸オキシコナゾール、塩酸パロキセチン、ペフロキサシン、ピロキシカム、プラゾシン、プロクロルペラジン、塩酸プロシクリジン、ピリメタミン、ラニチジンクエン酸ビスマス、塩酸ラニチジン、レパグリニド、ロフェコキシブ、塩酸ロピニロール、マレイン酸ロシグリタゾン、キシナホ酸サルメテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、炭酸水素ナトリウム、滅菌チカルシリンジソジウム/クラブラン酸カリウム、シメチコン、シンバスタチン、スピロノラクトン、スタチン、塩化サクシニルコリン、スマトリプタン、チオグアニン、塩酸チロフィバン、塩酸トポテカン、トラマドール、トラニルシプロミンスルフェート、塩酸トリフロペラジン、塩酸バラシクロビル、ビノレルビン、ザナミビル、ジドブジン、ジドブジンまたはラミブジン、対応するそれらの塩、およびそれらの混合物。
【0037】
本発明の他の態様は、前記特許請求の範囲のいずれか一項に記載の方法によって得られる製剤に関する。
【0038】
本発明の他の態様は、APIを含んでおり、内在する気孔を有し、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する一体構造経口固形製剤に関する。
【0039】
本発明の他の態様は、一体構造コア、および/またはAPIを含む少なくとも1つの外層を有して成り、内在する気孔を有し、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する経口固形製剤に関する。
【0040】
他の実施形態によれば、本発明は、一体構造経口製剤であって、それにおいて、一体構造コアおよび/または少なくとも1つの外層が、該製剤の容積の10〜80%、好ましくは20〜70%の気孔率を有する一体構造経口固形製剤を提供する。
【0041】
他の実施形態によれば、本発明は、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤および任意に他の補助剤を含む経口固形製剤を提供する。
【0042】
他の実施形態によれば、本発明は、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤が、疎水性微粉末および脂質賦形剤から成る群から選択される経口固形製剤を提供する。
【0043】
他の実施形態によれば、本発明は、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤が、タルク、疎水性シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸から成る群から選択される経口固形製剤を提供する。
【0044】
他の実施形態によれば、本発明は、APIが、組成物の全重量の約0.1%〜約90%、好ましくは約30%〜約80%、より好ましくは約50%〜約80%の量で存在する経口固形製剤を提供する。
【0045】
他の実施形態によれば、本発明は、さらに、膨潤性賦形剤、ガス発生剤、生体接着剤またはそれらの組合せからなる群から選択された1種またはそれ以上を含む経口固形製剤を提供する。
【0046】
他の実施形態によれば、本発明は、膨潤性賦形剤が下記から成る群から選択される経口固形製剤を提供する:ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(分子量2,000〜2,000,000を有する)、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、キトサン、マンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガム、カラギーナン、アミラーゼ、アルギン酸およびその塩、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸コポリマー、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、および一般的なセルロース誘導体、一般的な超多孔質ヒドロゲル、ならびにそれらの混合物。
【0047】
他の実施形態によれば、本発明は、ガス発生剤が、酸と任意に組み合わせた炭酸水素ナトリウムから成る群から選択される経口固形製剤を提供する。
【0048】
他の実施形態によれば、本発明は、成形錠剤、多重単位系、またはマイクロカプセル製剤の、経口固形製剤を提供する。
【0049】
他の実施形態によれば、本発明は、下記のような溶解度を示す経口製剤を提供する:USP II型法バスケット10 Mesh(150rpm)およびシンカーを使用した場合、pH1.2の0.1N HCl溶液1000mL中での溶解度が、2時間後に80%以下、好ましくは2時間後に70%以下、より好ましくは2時間後に60%以下。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、造粒過程中の、湿潤剤添加による造粒粒子の発生、および過造粒状態(液滴状態)を、比較して示す図である。
【図2】図2は、本発明の固形製剤の密度を測定する試験の写真を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に従って作製した多孔質固形製剤番号1および番号2の、拡大顕微鏡写真を示す図である。
【図4】図4は、USP IIに従って、シンカーを150rpmで使用して、35℃の温度での、0.1N HCl媒質(pH=1.2)1000mL中における、実施例1の製剤番号1の溶解プロフィールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
造粒法は、工業的に、特に医薬品製剤の調製において、広く使用されている。実際、成分は粉末として入手可能な場合が多いので、それらを加工する必要があり、特に、他の固体賦形剤と混合する必要がある。造粒することにより、粉末ブレンドの流れ特性が向上し、粉末を取り扱うことによって生じる粉塵形成を減少させることができ、圧縮に必要な凝集性を与えることが既知である。湿式造粒、溶融造粒、流動層造粒、乾燥混合、液体結合剤添加、または高粘度結合剤添加は、当業者に既知の造粒法の例である。
【0052】
例えば湿式造粒を行なうために、低粘度(一般に水)を有し、場合によって結合剤を含有する液体溶媒を、流動層中または高剪断ミキサーもしくはインペラミキサー中の原料粉末に添加し、それによって固体粒子が互いに結合し、凝集物および顆粒を形成することができる。
【0053】
造粒現象について示した図1では、造粒溶液の量の増加に伴って、固体粒子間の架橋が形成され、粒子間空隙が一旦充満されると飽和に達し(段階IV)、最終的に、過造粒状態になり、固体系が液体に変化する。各段階は含水量の漸進的増加を表わし、凝集メカニズムは、空気−液体−固体の三相段階(この場合、造粒段階は、ペンジュラー(Pendular)域(I)、ファニキュラー(Fanicular)域(II)である)から、液体−固体の二相段階(この場合、造粒段階は、キャピラリー(Capillary)域(III)および液滴域(IV)状態である)へと、漸次的に変化する。従って、造粒パラメーターは、製造工程のあらゆる設計および操作段階で厳密に制御されて、物質が臨界造粒点に達すると直ちに、回復不能な状態になるのを防ぐ。過造粒は、活性物質の損失に関係するので、医薬工業において慎重に回避されている。
【0054】
本発明は、造粒液体を蒸発乾固した後に、得られた過造粒物質が、有利な固有低密度および固有高気孔率を示すという驚くべき発見に基づいている。
【0055】
従って、今まで不用物質と考えられていた物質が、その蒸発乾固後の固有低密度および高開放気孔率を考慮すると、浮遊持続放出製剤を製造する上で実際に有用であると考えられる。これらの有利な特徴は、過造粒現象による物質内部への空気の組込み(直接的に、空気として、または間接的に、閉じ込められた水の蒸発による)から得られる。従って、最終固形製剤は、向上した特性を有する。
【0056】
本発明の最初の態様は、有効成分(API)を含んで成り、内在する開放気孔および低密度の両方を有する一体構造固形製剤に関する。
【0057】
好適なAPIの例は、1種またはそれ以上の下記に関係する任意物質であってよいが、それらに限定されない:AIDS補助薬、アルコール依存症用製剤、アルツハイマー病管理薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、鎮痛薬、麻酔薬、制酸薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗嘔吐薬、解毒薬、線維症治療薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗感染症薬、抗微生物薬、抗腫瘍薬、抗精神病薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、食欲増進薬、食欲減退薬、生物学的応答調節物質、生物学的製剤、血液改質剤、骨代謝調節剤、心保護薬、心血管治療薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、嚢胞性線維症管理薬、脱臭剤、診断薬、栄養補助食品、利尿薬、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、勃起不全治療薬、脂肪酸、胃腸薬、ゴーシェ病管理薬、痛風製剤、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症管理薬、催眠薬、低カルシウム血症管理薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、レボカルニチン欠乏症管理薬、肥満細胞安定化薬、片頭痛製剤、乗物酔い製剤、多発性硬化症管理薬、筋弛緩薬、麻薬解毒剤、麻薬、ヌクレオシド類似体、非ステロイド性抗炎症薬、肥満管理薬、骨粗鬆症製剤、分娩誘発薬、副交感神経遮断薬、副交感神経様作用薬、ホスフェート結合剤、ポルフィリン症薬、精神治療薬、放射線不透性物質、向精神薬、硬化薬、鎮静薬、鎌状赤血球貧血管理薬、禁煙補助薬、ステロイド、興奮薬、交感神経遮断薬、交感神経様作用薬、トゥレット症候群薬、振せん製剤、尿路薬、膣製剤、血管拡張薬、眩暈薬、体重減少薬、ウィルソン病管理薬、およびそれらの混合物。
【0058】
従って、好適な有効成分は、限定するものではないが、下記から選択される1種またはそれ以上の物質であってよい:硫酸アバカビル、アバカビルスルフェート/ラミブジン/ジドブジン、アセタゾラミド、アシクロビル、アルベンダゾール、アルブテロール、アルダクトン、アロプリノールBP、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、アンプレナビル、アルテスネート、アトバクオン、アトバクオンおよび塩酸プログアニル、アトラクリウムベシレート、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベルラクトンベタメタゾンバレレート、ベタイン、塩酸ブプロピオン、塩酸ブプロピオンSR、カルベジロール、カスポファンギン酢酸塩、カルバマゼピン、セファクロル、セファゾリン、セフタジジム、セフロキシム、クロラムブシル、クロルプロマジン、シメチジン、塩酸シメチジン、シプロフロキサシン、シサトラクリウムベシレート、プロピオン酸クロベタゾール、コトリモキサゾール、コルホスセリルパルピテート、デキストロアンフェタミンスルフェート、ジヒドロキシアルテミシニン、ジオキシン、ドキシサイクリン、マレイン酸エナラプリル、エポプロステノール、エソメプラキソールマグネシウム、プロピオン酸フルチカゾン、フロセミド、ガバペンチン、グリタゾン、ヒドロクロロチアジド/トリアムテレン、ラミブジン、ラモトリジン、レボドパ、炭酸リチウム、ロメフロキサシン、ロサルタンカリウム、メルファラン、メルカプトプリン、メサラジン、メトホルミン、モルフィン、ムピロシンカルシウムクリーム、ナブメトン、ナラトリプタン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、オバイン、硝酸オキシコナゾール、塩酸パロキセチン、ペフロキサシン、ピロキシカム、プラゾシン、プロクロルペラジン、塩酸プロシクリジン、ピリメタミン、ラニチジンクエン酸ビスマス、塩酸ラニチジン、レパグリニド、ロフェコキシブ、塩酸ロピニロール、マレイン酸ロシグリタゾン、キシナホ酸サルメテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、滅菌チカルシリンジソジウム/クラブラン酸カリウム、シメチコン、シンバスタチン、スピロノラクトン、スタチン、塩化サクシニルコリン、スマトリプタン、チオグアニン、塩酸チロフィバン、塩酸トポテカン、トラマドール、トラニルシプロミンスルフェート、塩酸トリフロペラジン、塩酸バラシクロビル、ビノレルビン、ザナミビル、ジドブジン、ジドブジンまたはラミブジン、対応するそれらの塩、またはそれらの混合物。
【0059】
好ましくは、有効成分は、下記から成る群から選択される1種またはそれ以上のAPIである:抗細菌薬または抗生物質(例えば、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、ロメフロキサシン、キノロン、セファクロルまたは医薬的に許容されるそれらの塩);鎮痛薬(例えば、トラマドール、モルフィンまたは医薬的に許容されるそれらの塩);制酸薬(例えばシメチコン);および抗糖尿薬(例えばメトホルミンまたは医薬的に許容されるその塩)。これらの薬剤は、上部腸および胃で吸収された際に、より高い治療効果を示す。
【0060】
最も好ましいAPIは、尿路感染または疾患に有利な治療効果を与える物質(例えば、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、オフロキサシンまたは医薬的に許容されるそれらの塩);または抗糖尿病薬(例えばメトホルミンまたは任意の医薬的に許容されるその塩)である。
【0061】
特定の薬剤を投与するために設計される既存の持続放出システムと異なり、本発明の固形製剤は、好都合にも、治療効果を与える任意の好適な有効成分(API)と組み合わせることができる。本発明は、狭い吸収ウィンドウを特徴とする広範囲の分子の経口送達に理想的であり、種々の物理化学的特性および分子の大きさを有する水溶性分子および水に対して低溶性の分子に特に有効である。
【0062】
本発明の医薬組成物における有効成分の量は、治療有効量である。本発明の製剤は、既存の持続放出製剤と比較して、高用量の薬剤負荷を可能にし、治療有効量は、一般に、組成物の重量に基づいて約0.01〜約90%、好ましくは約40〜約90%、より好ましくは約50〜約85%である。より高いまたはより低い重量パーセントの有効成分が、医薬組成物に存在しうるものと理解される。本明細書において使用される「治療有効量」は、それを必要とする患者を有利に治療するのに有効な、本発明の医薬組成物における有効成分の量を意味する。
【0063】
本発明の固形製剤に固有な特性は、1種またはそれ以上の親油性賦形剤を過造粒し、次に、乾燥することによって生じる。
【0064】
賦形剤に関連して、本明細書において使用される「親油性」は、配合に一般に使用される任意の低溶性成分を意味するものとし、低水溶性または水不溶性の成分を一般に包含する。限定するものではないが、一般的な低水溶性の例は、1mg/L未満である。
【0065】
好適な親油性賦形剤は特に限定されない。なぜなら、本発明は、想定外に、広範囲の種々の賦形剤またはそれらの混合物の過造粒により、固有の低密度および高気孔率を示す物質を提供できるからである。好ましくは、これらの親油性賦形剤は、水分子に全く結合できず、疎水性も有する。そのような賦形剤は、多くの場合無極性かまたは低い極性を示し、これは、賦形剤が水との静電的相互作用(例えばKeesom力)を有していないことを意味する。
【0066】
これらの賦形剤は特に限定されないが、例えば、疎水性微粉末(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム)、ならびに一般的な脂質賦形剤(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、特にステアリン酸、または室温で固体の任意の脂肪酸、またはそれらの混合物)を挙げることができる。疎水性シリカ、タルクおよび脂肪酸が特に好ましい。
【0067】
疎水性シリカは、高度の分散性を必要とする多くの用途に有用な物理的特性を有し、そのような用途は、トナー組成物における使用、粘着防止剤としての使用、接着調節剤としての使用、およびポリマー充填剤としての使用を包含する。未処理シリカ粒子は、未処理シリカ粒子の表面におけるシラノール基の存在により親水性である。従って、種々の程度の疎水性がシリカ処理の結果として得られ、そのような処理は、例えば、官能性無極性基をシリカ表面に導入する試薬を使用して、粒子の親水性を減少させる処理である。
【0068】
タルクは、式HMg(SiOまたはMgSi10(OH)で表わされる水和珪酸マグネシウムから成る鉱物である。粉末形態(loose form)において、タルクはタルカム粉末として既知であり、化粧品において、潤滑剤として、製紙における充填剤としてだけでなく、食品および製剤添加剤として、用途を有する。
【0069】
親油性物質は、一般に、粉末または「微粉末」(impalpable dust)として提供される。粉末の大きさd50は、一般に10nm〜500μm、好ましくは10〜50nm、最も好ましくは10〜20nmである。例えば、粉末の大きさ15nmを有するタルクと疎水性シリカとの混合物は、特に好適であることが見出された。親油性賦形剤の量は、一般に、組成物の重量に基づいて約0.01〜約90%、好ましくは約1〜約60%、より好ましくは約5〜約50%である。しかも、約5〜40%、さらに約20%以下の比率は、多量の有効成分を製剤に負荷することを可能にし、さらに最終製剤の浮遊性に固有特性を与える。
【0070】
最後に、付加的補助剤を本発明の製剤の組成に組み込んでよく、該補助剤は、任意の下記成分を包含する:結合剤、希釈剤、潤滑剤、帯電防止剤、および任意に他の補助剤、例えば、持続放出剤、ゲル化剤、崩壊剤、界面活性剤。過造粒現象によって浮遊物質を生じさせるのは、主として1種またはそれ以上の親油性賦形剤によるので、補助剤はどのようなタイプであってもよい。特に有用な補助剤は、過造粒工程後に一旦乾燥すると、構造内に気孔を形成し、それによって最終製剤により高い気孔率を与える補助剤である。そのような補助剤の例は、例えば、膨潤性賦形剤、ゲル化剤、崩壊剤または希釈剤である。
【0071】
本発明の枠組みにおいて、「結合剤」という用語は、粒子間の結合を強化する任意の賦形剤を意味し、下記の物質を包含するが、それらに限定されない:セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、結晶セルロース、デンプンまたはアルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、プルラン、デキストリン、アカシア、増粘剤、賦形剤等、およびそれらの組合せ。PVPが好ましい結合剤である。組成物に使用される結合剤の量は、広範囲に変化させることができ、例えば1〜20wt%、好ましくは2〜10wt%である。
【0072】
本発明の枠組みにおいて、「希釈剤」という用語は、配合成分との化学反応を受けずに配合物を希釈する働きをする任意の賦形剤を意味する。本発明の希釈剤は、結晶質または非晶質の、不活性の担体または媒体を一般に包含する。そのような希釈剤の例は、糖の誘導体、例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトールおよびそれらの混合物などである。加水分解デンプン(マルトデキストリン)を、好ましくは少量で、使用することができる。
【0073】
賦形剤の特定の例は、同時に、結合剤および崩壊剤であってよい。
【0074】
他の賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical excipients、第2版、1994、American Pharmaceutical Association, Washington, ISBN 091730668, Wade A., Weller PJ.に記載されている。
【0075】
高気孔率および低密度を有する過造粒物質を与えることを可能にするのは1種またはそれ以上の親油性賦形剤であるので、製造されるAPI含有固体投与システムは種々の製剤であってよい。
【0076】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、APIが、固有の低密度および高気孔率を有する製剤に分散される。投与される1種またはそれ以上の有効成分の固体粉末を、造粒工程の前に、親油性賦形剤と(好ましくは結合剤とともに)、直接的に混合する。または、液体APIを使用してもよく、直接的に添加するかまたは湿潤溶媒に添加される。
【0077】
この実施形態の1つの利点は、造粒による高多孔質製剤の製造において、API粉末が、特に疎水性有効成分の場合に、親油性賦形剤に加えて補足的に出発物質を与えることである。そのような場合、APIは、親油性賦形剤の役割もする。さらに、APIは、体への一定した制御放出プロフィールを示す最終製剤に均一に分散される。また、APIは、親水性であってもよい。これは、適切な親油性賦形剤およびその量が使用されることを条件として、製剤の最終特性に影響を与えない。
【0078】
他の実施形態によれば、APIは、製剤の有利な固有特性を有するコアの周りの外層、または最終的に1種またはそれ以上の付加的層に含有される。
【0079】
それによって、薬剤の放出を、製剤の構造ならびに使用される成分および/または補助剤のタイプに依存して、持続させるかまたは制御することができる。
【0080】
他の実施形態において、1つのAPIを製剤内部に分散させ、もう1つは外層に存在させてもよい。好ましくは、外層におけるAPIは、即時放出形態である。1つの例は、コアにおける抗生物質(例えばシプロフロキサン)、および即時放出外層におけるベンズイミダゾール(例えばオメプラゾール)を有する製剤である。
【0081】
さらに、APIが親油性賦形剤と共に分散され処理される好ましい実施形態によれば、高気孔率および低密度を付与された得られる過造粒物質を使用して、固形製剤の全体またはコアを製造しうる。実際に、これらの種々の実施形態により、この物質を含む任意の経口製剤は、必要とされる浮遊特性を有する。
【0082】
胃における胃液への浮遊能力は、一般に、1.004未満の密度を有するデバイスによって得られる。本発明の方法によって製剤に付与される密度は、配合、過造粒工程の実施の程度、および造粒溶液の乾燥前に過造粒物質へ導入した空気の量に依存して、約1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満である。好ましくは、本発明の製剤は、約0.6、より好ましくは約0.4の密度を有する。図3の写真は、物質の構造内に形成された多くの気孔による、多孔質過造粒乾燥物質の固有低密度を示す。
【0083】
密度は、本発明の経口固形製剤を、pH=1.2の液体、または水、または胃液、または既知密度の任意の他の液体に沈めることによって測定できる。固形製剤を、初期位置において、フレキシブルインジケーター下に(図2における水平矢印および定規による)沈め、それによって生じる偏差を下記の式に用いて、経口固形製剤の密度が算出される:
【0084】
【数1】

【0085】
[式中、ρは錠剤密度(単位:kg/m);ρは液体密度(単位:kg/m);mは錠剤重さ(単位:kg);δは錠剤の存在によって誘発される粉末偏差(単位:m);Lはトラス長さ(単位:m);wはトラス幅(単位:m);hはトラス厚さ(単位:m);Eは固体の弾性率(ヤング率,単位:Pa)である]。
【0086】
気孔率は、製剤の見掛け容積と実容積の比較から算出しうる。先の密度計算は見掛け容積V(ペレットにおける気孔の容積を含むマトリックスの容積)を与え、ヘリウムピクノメーターを使用する別の測定は実容積V(気孔の容積を含まない)を与える。従って、気孔の容積はV=V−Vによって得られる。気孔率は、比率V/Vによって得られる。気孔率は、製剤の全容積の10〜80%、好ましくはその容積の20〜70%であってよい。
【0087】
固有の低密度および高気孔率を有する物質は、一体構造であってもよく、一体構造とは、一貫して均一な構造を意味する。これは図3の写真において観察でき、該構造は、粒子または顆粒から構成されず、単一体として存在する。
【0088】
本発明の製剤は、膨潤性賦形剤、ガス発生剤および/または生体接着剤をさらに含んでいてもよい。該製剤は、固有低密度を有するので、好都合にも、嚥下後すぐに胃で浮遊し、従って、付加的賦形剤の使用に頼らない。しかも、該賦形剤は、胃におけるシステムの滞留時間を増加させ、従って、投与された薬剤の生物学的利用能を向上させることができる。
【0089】
膨潤性賦形剤は、一旦胃液と接触することにより、大きさが増す。嚥下直後に製剤が浮遊能力を有することにより、膨潤性賦形剤が、幽門を通って早期排出されることなく所望の大きさに徐々に達することが可能となる。従って、本発明に使用できる好適な膨潤性賦形剤の膨潤速度は限定されない。該賦形剤は、下記から成る群から選択しうる:ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(分子量2,000〜2,000,000を有する)、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、キトサン、マンナン、ガラクトマンナン、ガム、キサンタンガム、カラギーナン、アミラーゼ、アルギン酸およびその塩、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸コポリマー、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、および一般的なセルロース誘導体、一般的な超多孔質ヒドロゲル、ならびにそれらの混合物。
【0090】
好ましくは、それらは、固有の低密度および高気孔率を有するコアを囲む外層として有用であり、任意に、放出される有効成分がその中に分散していてもよい。
【0091】
層は、浮力を増加させるためにガス発生剤をさらに含有してもよい。該ガス発生剤は、水性媒質と接触した際に、非毒性ガスを発生し、医薬品製剤の密度をさらに減少させ、付加的浮遊特性を与えて、胃における滞留時間を延長させる。ガス発生剤の例は、個々にまたは酸と組み合わせて使用される炭酸水素ナトリウムである。
【0092】
生体接着剤を固形製剤の外層に組み込んでもよく、それは医薬品製剤を胃または上部消化管の粘膜に配置し付着させることを可能にする。
【0093】
本発明は、胃液のような酸性媒質における増加した溶解性を有する経口固形製剤を提供する。好ましくは、組成物は、下記のような溶解プロフィールを示す:塩酸0.1N緩衝液pH1.2において、US薬局方II型法を150rpmで使用し、メッシュの代わりにシンカーを使用して、2時間後に80%以下、好ましくは2時間後に70%以下、より好ましくは60%以下。シンカーは、USP標準を本発明の浮遊製剤の場合に適合させ、液体への該製剤の浸漬を確実にするために使用される。従って、この特徴は、放出される薬剤の生物学的利用能の向上を可能にする。
【0094】
本発明の他の態様は、本発明の固形製剤の製造法を提供することである。本発明の固形製剤に固有な特性は、一部または全部の成分と少なくとも1つの親油性賦形剤との粉末混合物の過造粒工程、それに続く乾燥工程によって付与される。
【0095】
方法の第一工程は、粉体の親油性賦形剤を含む前記粉末混合物を準備する工程である。粉末混合物は、結合剤をさらに含有してもよい。それらを所望の比率で混合し、最後にドライブレンドして、均質粉末混合物を得る。この場合、混合容器の壁への親油性賦形剤の付着を防止するように、回転速度を適合させるのが好ましい。好ましくは、固有低密度および高多孔質物質に有効成分を分散させる場合、有効成分も、他の補助剤を任意で含有する粉末混合物に添加する。
【0096】
方法の第二工程は、湿潤溶液、好ましくは水溶液を用いた前記混合物の造粒が、過造粒状態に達するまで行われ、さらにこの時点後も過造粒状態が継続される工程である。好適な装置は、当業者に周知の任意の装置であり、例えばインペラ付き高剪断ミキサーである。任意に、チョッパーを剪断ミキサーの装置に対して、好都合に適合させて、過造粒状態に達する前に最大凝集物を破壊してもよい。
【0097】
特に好適な水溶液は水であるが、任意の水溶液を使用しうる。任意の他の一般的造粒液、例えば有機溶媒または室温で液体の疎水性物質も好適である。
【0098】
湿潤溶液は、一部または全部の結合剤、および/または一部または全部のAPI(それが水溶性である場合)、および/または一部または全部の界面活性剤(存在する場合)を含むことができる(これは好ましくはないが)。溶液:粉末の重量比は、粉末混合物の全溶解度に強く依存し、一般に0.3より高く、概して約0.3:1〜約3:1、好ましくは約0.7:1〜約2:1である。従来の造粒は、かなり低い液体:粉末比、一般に0.1:1〜0.3:1で行なわれていることに注目することが重要である。そのような低比率は一般的造粒法において過造粒を避けるために使用されるが、過造粒は、まさしく、本発明の方法において求められるものである。
【0099】
好ましい造粒法によれば、水溶液が滴下される。次に、混合物が過造粒状態になるまで、混合が継続される。造粒は、好ましくは、過造粒物質の素材への空気の組込みを可能にするのに充分に速い(インペラ)回転速度、好ましくは150〜1500rpmで行なわれるが、より遅いまたはより速い速度が適している場合もある。従って、回転速度が最も速ければ、固形製剤に対して、内因的に最も低い密度が付与される。回転速度および湿潤液添加速度は、互いに適合させることができる。より遅い添加速度でのより速い回転速度は、より多くの空気を組み込ませる。
【0100】
一般に、得られたペーストが、トルクへの抵抗として約4〜約8%を示したら造粒工程が達成される。これは、一般に、造粒中にトルクを監視する中で、ピークが現れた直後か、または一旦湿潤溶液の臨界量に達し、さらに行われる混練工程の直後である。
【0101】
この造粒液の臨界量は、一般に、出発物質の重量の約80wt%に対応する。次に、粒子系に液体を完全充填して、粗い顆粒にする。液体飽和は、この時点で100%である(図1、S5参照)。この最後の段階において、ピーク出現期間後に、系は懸濁液に変化する。
【0102】
この懸濁液は、臨界点後にさらに造粒液を添加すると共にさらに流動性になり、これによって、適切な粘度を有する過造粒物質を与えるように適合させることができる。
【0103】
所望の稠度の過造粒ペーストを得るため、および追加量の空気を素材に組み込むために、得られた物質をさらに混練してもよい。これは、より高い気孔率、従ってより低い密度を、最終浮遊物質に与えるために、好都合に行なわれる。例えば、物質を150〜1500rpmの速度で混練しうるが、より遅いまたはより速い速度が適している場合もある。
【0104】
方法の最後の工程は、最終的に、全組成物の約3%の最大含水量まで造粒溶液を蒸発乾固する工程である。ペーストは固体に変化する。これは、凍結乾燥法によるか、または当業者に既知の他の任意従来法によって行なうことができる。
【0105】
得られた最終物質の気孔率を高めるために、乾燥工程前の任意の段階で、ガス発生剤を添加することは特に興味深いことであり、それによってペーストにさらに空気が組み込まれる。
【0106】
従来法による単一もしくは多重単位系またはマイクロカプセルを製造するために、さらなる処理工程を行なってもよい。例えば、規定の表面特性を有し、コーティングまたは輸送に適している場合、得られた生成物を、形および大きさの均一な球体にすることができる。
【0107】
特に、造粒工程後および水溶液の蒸発乾固工程前に、得られた物質を、好適に成形して最終系を得、これを直接的にタブレットまたはビーズの形態に乾燥させることができる。
【0108】
製造工程を促進するために、付加的補助剤(例えば、潤滑剤、帯電防止剤または流動促進剤)を、初期粉末混合物に、製造中に、または製造工程の最後に、組成物に添加することができる。
【0109】
本発明の枠組みにおいて、「潤滑剤」という用語は、タブレット成形ダイ(その中でタブレットが圧縮によって形成される)からのタブレットの取り出しを容易にし、粉末または顆粒における組成物の流動性を向上させる任意の賦形剤を意味する。潤滑剤の例は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびベヘン酸グリセリルならびにそれらの混合物である。
【0110】
従って、本発明の固形製剤は、工業規模で容易に操作できる方法によって製造できる。
【実施例】
【0111】
本発明による固形製剤の製造
下記の組成(100gのバッチ)の2種類の固形製剤を、本発明に従って製造した。製剤番号1は親水性APIを含んでおり、製剤番号2は疎水性APIを含んでいる。製剤番号1および番号2の構造の拡大写真が、図3に示されている。
【0112】
【表1】

【0113】
APIおよび他の賦形剤の粉末を、剪断ミキサー4M8造粒機に一緒に装填し、150rpmで2分30秒間ブレンドした。水を10mL/分の速度で添加することによって、造粒を1000rpmの回転速度で開始した。水80mLの導入(従って、溶液:粉末比0.8)後に、過造粒に達し、得られたペーストを、トルクへの抵抗として4〜8%を示すまで、1500rpmで2分30秒間さらに混練した。次に、得られた物質をパラフィン油で潤滑にしたセルで成形した。最後に、乾燥による重量減少によって3%未満の残留湿気が測定されるまで、最終乾燥工程を通風炉において60℃で行なった。
【0114】
製剤番号1は、実容積V=0.32952cm、および見掛け容積V=0.7404cmである。従って、気孔率は0.5549であり、製剤の全容積の約55%以上である。
【0115】
作製した固形製剤の溶解度を、下記を使用して測定した:日本シンカーシステム、溶解試験distek UPS II型装置;媒質:EP胃媒質1000mL、pH1.2、無酵素;回転速度150rpm;および投与UV PC 2401シマズ分光光度計。試験は1120分にわたって35℃±0.5℃で行なわれ、図4の溶解プロフィールを示した。試験の最後に浮力を調査し、2つの製剤は、それらの外見および浮力において変化しなかった。
【0116】
前記の結果から、放出が長期間にわたって有効に維持されるので、固形製剤は既存製剤と比較して向上した溶解プロフィールを示すことが明らかである。さらに、シンカーの使用は、製剤が胃液中に浮遊する代わりに水性媒質に沈められるので、実際の生体内条件より厳しい応力条件を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃保持型経口固形製剤を製造する方法であって、
(i) 疎水性粉末を含む粉末混合物を準備する工程と;
(ii) この粉末混合物を、造粒溶液で過造粒ペーストに過造粒する工程と;
(iii) 該ペーストを固形物へと乾燥させる工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1において、有効成分を、工程(i)の出発粉末および/または工程(ii)の造粒溶液、好ましくは工程(i)の出発粉末に添加し、
および/または工程(iii)で得た固形物に塗布する方法。
【請求項3】
請求項1または2において、ペーストをコアに塗布する方法。
【請求項4】
請求項1または2において、結合剤を、工程(i)の出発物質および/または工程(ii)の造粒溶液と共に、好ましくは工程(i)の出発粉末に、添加する方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、工程(iii)の前に、工程(ii)の過造粒ペーストを混練する工程(iv)をさらに含む方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、乾燥工程(iii)の前に、工程(ii)または(iv)で得られた組成物を成形する工程(va)、または(ii)または(iv)で得られたペーストをコアにコーティングする工程(Vb)をさらに含む方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、工程(ii)における溶液:粉末の比が少なくとも0.2:1、好ましくは約0.3:1〜約3:1、より好ましくは約0.7:1〜約2:1である方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、造粒溶液が、水溶液、有機溶媒、疎水性液体、好ましくは水である方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、疎水性粉末が、疎水性微粉末および脂質賦形剤から成る群から選択される、好ましくは、タルク、疎水性シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよび脂肪酸、好ましくは、タルク、ステアリン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤を含む方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、製剤が、
− 0.01〜90%、好ましくは40〜90%の有効成分;
− 1〜60%、好ましくは5〜50%の親油性賦形剤;および、任意に、
− 1〜20%、好ましくは2〜10%の結合剤とを含む方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、製剤が、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、製剤が、該製剤の容積の10〜80%、好ましくは20〜70%の気孔率を有する方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項において、有効成分が、AIDS補助薬、アルコール依存症用製剤、アルツハイマー病管理薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、鎮痛薬、麻酔薬、制酸薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗嘔吐薬、解毒薬、線維症治療薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗感染症薬、抗微生物薬、抗腫瘍薬、抗精神病薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、食欲増進薬、食欲減退薬、生物学的応答調節物質、生物学的製剤、血液改質剤、骨代謝調節剤、心保護薬、心血管治療薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、嚢胞性線維症管理薬、脱臭剤、診断薬、栄養補助食品、利尿薬、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、勃起不全治療薬、脂肪酸、胃腸薬、ゴーシェ病管理薬、痛風製剤、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症管理薬、催眠薬、低カルシウム血症管理薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、レボカルニチン欠乏症管理薬、肥満細胞安定化薬、片頭痛製剤、乗物酔い製剤、多発性硬化症管理薬、筋弛緩薬、麻薬解毒剤、麻薬、ヌクレオシド類似体、非ステロイド性抗炎症薬、肥満管理薬、骨粗鬆症製剤、分娩誘発薬、副交感神経遮断薬、副交感神経様作用薬、ホスフェート結合剤、ポルフィリン症薬、精神治療薬、放射線不透性物質、向精神薬、硬化薬、鎮静薬、鎌状赤血球貧血管理薬、禁煙補助薬、ステロイド、興奮薬、交感神経遮断薬、交感神経様作用薬、トゥレット症候群薬、振せん製剤、尿路薬、膣製剤、血管拡張薬、眩暈薬、体重減少薬、ウィルソン病管理薬、およびそれらの混合物から成る群と;より好ましくは、硫酸アバカビル、アバカビルスルフェート/ラミブジン/ジドブジン、アセタゾラミド、アシクロビル、アルベンダゾール、アルブテロール、アルダクトン、アロプリノールBP、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、アンプレナビル、アルテスネート、アトバクオン、アトバクオンおよび塩酸プログアニル、アトラクリウムベシレート、硫酸バリウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベルラクトンベタメタゾンバレレート、ベタイン、次サリチル酸ビスマス、塩酸ブプロピオン、塩酸ブプロピオンSR、炭酸カルシウム、カルベジロール、カスポファンギン酢酸塩、カルバマゼピン、セファクロル、セファゾリン、セフタジジム、セフロキシム、クロラムブシル、クロロキン、クロルプロマジン、シメチジン、塩酸シメチジン、シプロフロキサシン、シサトラクリウムベシレート、プロピオン酸クロベタゾール、コトリモキサゾール、コルホスセリルパルピテート、デキストロアンフェタミンスルフェート、ジオキシン、ジヒドロキシアルテミシニン、ドキシサイクリン、マレイン酸エナラプリル、エポプロステノール、エソメプラキソールマグネシウム、プロピオン酸フルチカゾン、フロセミド、ガバペンチン、グリタゾン、ヒドロタルサイトヒドロクロロチアジド/トリアムテレン、ラミブジン、ラモトリジン、レボドパ、炭酸リチウム、ロメフロキサシン、ロサルタンカリウム、マグネシウムアルミネートモノハイドレートメルファラン、メルカプトプリン、メフロキン、メサラジン、メトホルミン、モルフィン、ムピロシンカルシウムクリーム、ナブメトン、ナラトリプタン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、オバイン、硝酸オキシコナゾール、塩酸パロキセチン、ペフロキサシン、ピロキシカム、プラゾシン、プロクロルペラジン、塩酸プロシクリジン、ピリメタミン、ラニチジンクエン酸ビスマス、塩酸ラニチジン、レパグリニド、ロフェコキシブ、塩酸ロピニロール、マレイン酸ロシグリタゾン、キシナホ酸サルメテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、炭酸水素ナトリウム、滅菌チカルシリンジソジウム/クラブラン酸カリウム、シメチコン、シンバスタチン、スピロノラクトン、スタチン、塩化サクシニルコリン、スマトリプタン、チオグアニン、塩酸チロフィバン、塩酸トポテカン、トラマドール、トラニルシプロミンスルフェート、塩酸トリフロペラジン、塩酸バラシクロビル、ビノレルビン、ザナミビル、ジドブジン、ジドブジンまたはラミブジン、対応するそれらの塩、またはそれらの混合物から成る群とから選択される方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって得られる製剤。
【請求項15】
有効成分を含んでおり、内在する気孔を有し、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する一体構造経口製剤固形製剤。
【請求項16】
有効成分を含む一体構造コア、および/または有効成分を含む少なくとも1つの外層を有しており、内在する気孔を有し、1未満、好ましくは0.9未満、より好ましくは0.8未満の密度を有する経口固形製剤。
【請求項17】
請求項15または16において、一体構造コアおよび/または少なくとも1つの外層が、該製剤の容積の10〜80%、好ましくは20〜70%の気孔率を有する一体構造経口固形製剤。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか一項において、1種またはそれ以上の高親油性賦形剤および任意に他の補助剤を含む経口固形製剤であって、好ましくは、高親油性賦形剤が疎水性微粉末および脂質賦形剤から成る群から選択される、経口固形製剤。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか一項において、有効成分が、組成物の全重量の約0.1%〜約90%、好ましくは約30%〜約80%、より好ましくは約50%〜約80%の量で存在する経口固形製剤。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか一項において、pH1.2の0.1N HCl溶液1000mL中で、USP II型法バスケット10 Mesh(150rpm)およびシンカーを使用して、2時間後に80%以下、好ましくは2時間後に70%以下、より好ましくは2時間後に60%以下の溶解度を示す経口製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522873(P2011−522873A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513066(P2011−513066)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005889
【国際公開番号】WO2009/150514
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510323716)ユニベルシテ・ドゥ・ラ・メディテラネ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LA MEDITERRANEE
【Fターム(参考)】