説明

脆い非ブロッキング性皮膜を有するエラストマーフィルム

第二のエラストマー重合体フィルム層に接合された第一の脆い重合体フィルム層からなる非ブロッキング性多層エラストマーフィルム。該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、第一の脆い重合体フィルム層を破砕し、非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために、活性化可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムに関し、また、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー材料は、拡張して大きな物体の上または周りに適合させ、次に収縮させて、該物体にぴったりフィットする特性のために、長い間高く評価されてきた。この特性は、数世紀に亘って高く評価されており、欧州における初期の調査の多くは、ラテックスのためにゴムの木を求めることであった。
【0003】
近年、合成重合体エラストマー材料が、天然ゴムの不足を埋め合わせるか、それに代替している。ポリウレタンゴム類、スチレンブロック共重合体類、エチレンプロピレンゴム類、及び他の合成重合体エラストマー類などの化合物類が、当業界で周知である。
【0004】
エラストマー材料は、種々の形状をとることができる。エラストマー類は、糸類、コード類、テープ類、フィルム類、繊維類、及び他の種々の形態として成形することができる。エラストマー材料の形状及び構造は、製品の意図する最終用途によって左右される。例えば、エラストマー類は、活動着などの衣類にしばしば使用され、ぴったり合う適合性を提供する。エラストマー類は、体熱を維持するために意図された防寒用衣類の袖口等において、弾性はあるが効果的な障壁も形成することができる。これらの用途において、エラストマーは、衣類の布地に組み入れられる糸またはフィラメントの形状にあることが最も多い。
【0005】
適合性と遮断性の両方の特性が重要な衣類のタイプの一例は、おむつなどの衛生製品である。エラストマー材料は、例えば、腰部中、脚部開口周り、及び留め具(おむつのため)または側部(パンツ型衣類のため)中で使用されている。これらの領域におけるエラストマー材料は、衣類の全体的な適合性を改善し、また、その衣類の着脱の両方をより容易にする。エラストマー材料は、弾性障壁としても作用し、被着者に対し快適かつ自由な運動を可能としながらも、衣類の封じ込め能力を改善する。
【0006】
衛生製品において、エラストマーは、糸、布地またはフィルムの形状となることができる。エラストマー糸は、製造工程において、多数の中の一成分として適用せねばならないので、これらの糸の使用は、衣類を組立てる際に問題を提起する。また、これらの糸は、弱いので破断し易く、たとえ糸が過剰にあっても、弾性破壊に至る。エラストマー布地は、製造工程において幾分作業し易いが、布地自体は、原材料及び布地それ自体を製造するコストの両方において高価になりがちである。エラストマーフィルムは、糸より製造に使い易く、かつ、製造するのにエラストマー布地より安価である。また、エラストマーフィルムは、糸または布地より強くなり易く、使用に際し破損し難い。
【0007】
しかし、エラストマーフィルムの不便なことは、フィルムを製造するのに使用する重合体類が、本質的に粘着性であったり、べとついたりすることである。これらのエラストマーフィルムを押出して、ロールに巻き取る場合、該エラストマーフィルムは、それ自体粘着または「ブロック」し易く、それによって巻き戻すことが、困難か不可能になる。フィルムが、貯蔵庫内などの暖かい環境中で熟成または貯蔵されると、ブロッキングがより顕著になる。
【0008】
エラストマーフィルムのブロッキング問題を解決するために、多くの試みがなされてきた。通常、シリカまたはタルク等の粉末状無機物質であるアンチブロッキング剤を、該フィルム中に配合することができる。また、アンチブロッキング剤を、押出フィルムの成形時に、その外表面に振り掛けることができる。しかし、ブロッキングを許容水準にまで低減するには、アンチブロッキング剤を大量に添加しなければならないが、これらの高水準の耐ブロッキング性は、フィルムの弾性特性に不利益である。ブロッキングを低減する他の手段は、該フィルムをエンボス加工することなどによって、該フィルム表面を粗面化して、巻き取りフィルムの表面対表面の接触を低減し、かつ、ブロッキングを低減する助けとなる微細なエアポケットを導入することである。残念ながら、この方法も、フィルムのより薄くて弱い部分を生じ易く、これらの部分は、該フィルムを延伸する際に亀裂と破断を蒙る。ブロッキングを低減する他の手段は、剥離ライナーなどの物理的障壁を、巻き取りフィルムの層間でロール中に組み入れることである。次に、巻き取りフィルムを、さらなる加工のために巻き戻す時に、剥離ライナーを除去する。剥離ライナーは、通常、捨てられるけれども、廃棄物と製造業者に対するかなり余分な費用を生じる。エラストマーフィルムのブロッキングを低減するさらなる他の手段は、伸長性または低弾性の非粘着性重合体の非常に薄い外層、「皮膜」または「キャッピング層」とも呼ばれる層を、該エラストマーフィルムの表面に共押出することである。これらの表層のための適切な非粘着性重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類がある。このようなポリオレフィン皮膜は、伸長性であるが、エラストマー材料ではない。ポリオレフィン皮膜は、エラストマーフィルムの全組成の少量部分を構成しているため、全体として、フィルムのエラストマー特性に対する影響が少ない。しかし、これらのポリオレフィン皮膜は、エラストマーフィルムが全体として延伸され、最初に「活性化」されたとき、延伸して、不可逆的に変形する。活性化したエラストマーフィルムに対する伸長力が解かれると、エラストマー性のコア部は、普通のように収縮しようとする。伸長された皮膜は、エラストマー性ではなく、そのかわりに、コア部が収縮する際に、しわになり、微細組織表面を作る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ブロッキングすることなく巻き取り、貯蔵することができるエラストマーフィルムを効果的に製造する要求が残されている。そのようなフィルムは、劣ったエラストマー特性を持たず、過度の廃棄物と製造出費を生じることがなく、活性化後に、魅力的で感じのよい表面組織を与えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ひとつの態様において、本発明は、非ブロッキング性多層フィルムに関する。該非ブロッキング性多層フィルムは、第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とから成り、該第一の脆い重合体フィルム層は、該第二のエラストマー重合体フィルム層の第一表面に接合されている。該非ブロッキング性多層フィルムは、第一の脆い重合体フィルム層を破砕して、該非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために活性化することができる。
【0011】
他の態様において、本発明は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムに関する。該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とから成り、該第一の脆い重合体フィルム層は、第二のエラストマー重合体フィルム層の第一表面に接合されている。該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、第一の脆い重合体フィルム層を破砕して、該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムをエラストマー性とするために活性化されている。
【0012】
他の態様において、本発明は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの製造方法に関する。この方法は、多層フィルムを形成するために、第一の脆い重合体フィルム層を、第二のエラストマー重合体層の第一表面に接合する工程を含んでいる。次いで、該多層エラストマーフィルムは、該第一の脆い重合体フィルム層を砕いて、該多層エラストマーフィルムをエラストマー性とするために活性化される。
【0013】
更なる他の態様において、本発明は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの形成方法に関する。この方法は、第一の脆い重合体フィルム層を、第二のエラストマー重合体フィルム層の第一表面に接合して成る非ブロッキング性多層フィルム層を供給することから成る。次いで、該非ブロッキング性多層フィルムは、脆い重合体フィルム層を破砕して、該非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために活性化される。
【0014】
本発明の付加的な態様は、以下の発明の詳細な説明により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者らは、脆い非ブロッキング性重合体を、伸長性重合体皮膜に代えて、エラストマーフィルム層の表面に接合する層として使用することにより、エラストマーフィルムによって受けるブロッキングを著しく減少または除去できることを見出した。1層以上の脆い重合体フィルム層を用いることにより、伸長性ポリオレフィン皮膜の使用を必要とすることがなく、エラストマーフィルム層の表面に微細組織が造られることがない。予期し得ないことに、これらの多層フィルムは、公知の手段によって容易に活性化することができる。つまり、公知の手段によって、脆い重合体フィルム層を破砕して、該多層フィルムをエラストマー性にすることができる。また、予期し得ないことに、1層以上の脆い重合体フィルム層は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムのエラストマー特性をあまり減少させることなく、エラストマーフィルム上の層として使用することができる。さらに、予期し得ないことに、脆い重合体フィルム層は、破砕されているか否かにかかわらず、非ブロッキング多層エラストマーフィルムの引裂強さを向上させる。非ブロッキング多層エラストマーフィルムは、活性化の前後を問わず、ロールに巻き取ることができ、そして、著しくブロッキングすることなしに、長期間にわたって普通の室温で貯蔵することができる。
【0016】
本開示のために、以下の用語は、次の通り定義される。
【0017】
「フィルム」とは、x(長さ)及びy(幅)方向の材料の寸法が、z(厚さ)方向の寸法より実質的に大きいシート状の材料のことをいう。フィルムは、約1μmから約1mmまでの範囲のz方向厚さを有する。
【0018】
名詞としての「積層体」(Laminate)とは、各層が、最も狭いシート材料の幅に亘って実質的に同一の広がりを持つように積み重ねられ、かつ、接合されたシート状材料の層状構造体をいう。これらの層は、フィルム類、布類若しくはシート状の他の材料、またはそれらの組合せから成る。例えば、積層体は、フィルムの層と、2層が通常の使用下に単一のシートとして接合したままであるようにそれらの幅に亘って一緒に接合された布の層とから成る構造体であり得る。積層体は、複合体または被覆材料とも呼ぶことができる。動詞としての「積層する」(Laminate)とは、そのような層状構造体を形成する方法をいう。
【0019】
「共押出」とは、多層重合体フィルムの製造方法を意味する。多層重合体フィルムが共押出法により製造されると、該フィルムの層を構成する各重合体またはポリマーブレンドは、それ自体溶融される。溶融重合体類は、押出ダイ中で層状化され、そして、溶融重合体フィルムの各層は、ダイから実質的に同時に押出される。共押出重合体フィルムにおいて、該フィルムの個々の層は、互いに接合されるが、実質的に混合することがなく、該フィルム内で各層として区別される。これは、各ポリマー成分が混合されて実質的に均一なブレンドまたは重合体の不均質な混合物が形成され、それが単一層として押出されるブレンドされた多成分フィルムとは対照的である。
【0020】
「押出積層」または「押出コーティング」とは、溶融重合体のフィルムを固体基材上に押出し、該重合体フィルムによって該基材を被覆し、かつ、該固体基材と該重合体フィルムとを一緒に接合する方法を意味する。
【0021】
「延伸性」(stretchable)及び「回復性」(recoverable)とは、材料のエラストマー特性を記述するための説明的用語である。「延伸性」とは、該材料が、特定方向への引張力によって、破断することなく、原寸法よりも著しく大きく伸長されることを意味する。例えば、長さ10cmの材料が、引張力により、破断することなく約13cmの長さに伸長できるとき、延伸性であるということができる。「回復性」とは、特定方向への引張力によって破断することなく原寸法よりも著しく大きく伸長された材料が、引張力を解放したとき、その原寸法または原寸法に十分に近い特定の寸法に回復することを意味する。例えば、10cmの長さの材料が、引張力によって破断することなく約13cmの長さに伸長し、そして、約10cmの長さまたは10cmに十分近い特定の長さに回復するとき、回復性であるということができる。
【0022】
「エラストマー性」または「エラストマー」とは、付与する伸長力の方向に、元の寸法の少なくとも約150%に延伸することができ、次に、それらの元の寸法の120%以下に収縮する重合体材料のことをいう。例えば、長さ10cmのエラストマーフィルムは、伸長力下に少なくとも約15cmに延伸し、次に、伸長力が除かれたときに、約12cm以下に収縮すべきである。エラストマー材料は、伸長性かつ回復性である。
【0023】
「伸長性」(Extensible)とは、材料を破断することなく元の寸法の少なくとも約130%に延伸することができるが、著しく回復しないか、あるいは元の寸法の約120%を超えて回復し、従って、前記で定義したエラストマー性ではないことをいう。例えば、長さ10cmの伸長性フィルムは、延伸力下に少なくとも約13cmまで延伸され、次いで、延伸力が解放されたときに、約13cmの長さのままであるか、あるいは約12cmを超える長さに回復する。伸長性材料は、延伸性ではあるが、回復性ではない。
【0024】
「脆い」(Brittle)とは、延伸に対して強い抵抗を有し、破壊または亀裂なしに、元の寸法の110%を超えて延伸できない重合体材料を意味する。例えば、長さ10cmの脆いフィルムは、破砕することなく、延伸力下に約11cmを超えて延伸することができない。脆いフィルムは、延伸力が除かれたとき、回復しないか、僅かにしか回復しない。脆い材料は、延伸性でも回復性でもない。
【0025】
「ブロッキング」とは、固有の粘着性または1以上のフィルム成分のタッキネスのため、ロールに巻き取ったり、折り畳んだり、あるいは表面対表面の親密な接触下に置かれると、それ自体が付着する現象を意味する。ブロッキングは、ASTM D3354「平行プレート法によるプラスチックフィルムのブロッキング荷重」によって定量化することができる。
【0026】
「非ブロッキング」とは、それ自体を親密な接触下に置いたときに、ブロックしない材料を意味する。
【0027】
「皮膜」(Skin)または「皮膜類」とは、重合体フィルムの片面または中心コア重合体フィルムの両面に設けた薄い外層を意味する。例えば、ABAフィルム構造の場合、該A層は、皮膜となる。
【0028】
「コア層」または「コア層類」とは、内層または皮膜ではない重合体フィルム層を意味する。例えば、ABAフィルム構造において、該B層は、コアである。ABCBAフィルム構造において、該B層及びC層は、全てコア層である。
【0029】
「活性化」または「活性化する」とは、エラストマーフィルムまたは積層体を延伸し易くする方法をいう。最も多くの場合、活性化は、エラストマーフィルムの物理的処理、改質または変形である。初めてフィルムを延伸することは、そのフィルムを活性化する1つの手段である。活性化を経たエラストマー材料は、「活性化された」と呼ばれる。活性化の普通の例は、風船を膨らませることである。初めて、風船を膨らませる(「活性化する」)と、風船の材料は、延伸される。風船の材料が、延伸するのが困難であるならば、風船を膨らませる人は、膨らませていない風船をしばしば手で伸ばして、膨張をより容易にする。膨らませた風船を、すぼませて、次に再び膨らませると、「活性化された」風船は、膨らませることがさらに容易になる。
【0030】
「フィルム強度」または「機械的強度」とは、ASTM D−822「薄いプラスチックシートの引張特性」により測定される引張特性である。他に特記しない限り、「フィルム強度」または「機械的強度」とは、具体的に破断引張強さ及び破断伸び(%)を意味する。
【0031】
「引裂強さ」とは、カットにより設けたフィルムのノッチ若しくは孔から出発して該フィルムを引き裂くことができる容易性または困難性を決定するフィルム特性である。
【0032】
多層フィルムの第一の重合体フィルム層(皮膜層)及び本発明の方法において用いられる脆い重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、他のアクリル酸エステル重合体類、ポリエステル類、ポリカーボネート類など、公知技術によりフィルムに形成することができる如何なる通常の押出可能な脆い重合体であってもよい。理論によって制限されることは望まないが、本発明者らは、所望の脆さを示す上で、高度の結晶性を持つ重合体が要求されると確信している。特に好ましいひとつの脆い重合体は、高結晶性ポリスチレンである。例えば、適当なポリスチレン樹脂は、とりわけ、ミシガン州ミドランドのダウケミカル社またはアルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals社から入手することができる。
【0033】
脆い重合体フィルムの他の層を、第二の皮膜層として、多層フィルムと本発明の方法のために使用することができる。本発明のフィルムのコアにおけるエラストマー重合体フィルム上に、2つの脆い重合体フィルム皮膜層が存在すると、これらの皮膜層は、脆い重合体から成る同じ組成(即ち、ABAフィルム)であっても、異なる組成(即ち、ABCフィルム)であってよい。単一の皮膜層または2つの皮膜層を含む非ブロッキング性多層エラストマーフィルムのために、該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの各皮膜層は、該多層フィルムの全重量の約0.5%から20%を構成すべきであり、従って、コア層(単層または複数層)は、該多層フィルムの全重量の約60%から99%を構成すべきである。
【0034】
多層フィルムの第二の重合体フィルム層及び本発明の方法に用いられるエラストマー重合体は、如何なる押出可能なエラストマー重合体であってもよい。そのようなエラストマー重合体の例としては、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類とポリオレフィンブレンド類、エラストマー性ポリアミド類などが挙げられる。エラストマーフィルムは、先に述べた種類のエラストマー重合体の2種以上のブレンドから成るものでもよい。好ましい弾性重合体は、AB、ABA、ABCまたはABCA型ブロック共重合体類などのビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類である。ここで、セグメントAは、ポリスチレン等のアリーレン類から成り、セグメントB及びCは、ブタジエン、イソプレンまたはエチレンブタジエン等のジエン類から成る。これらのブロック共重合体類は、テキサス州ヒューストンのKRATON Polymersまたはルイジアナ州プランケミンのDexco Polymers LPから容易に入手することができる。
【0035】
本発明の非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、フィルムの特性を改良する成分、フィルムの加工助剤、フィルム外観の改良剤などの他の成分を含有してもよい。これらの追加成分は、同じであっても、あるいは存在する各層で異なっていてもよい。例えば、該フィルムを剛性化し、かつ、該フィルムの強度特性を改善するために、ポリスチレン単独重合体または高衝撃性ポリスチレンなどの重合体類を、該フィルムのコア層中のエラストマー重合体とブレンドすることができる。粘度降下用の重合体類及び可塑化剤を、加工助剤として添加することができる。顔料類、染料類、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、発泡剤、熱及び/または光安定剤、並びに無機及び/または有機充填剤などの他の添加剤を添加することができる。各添加剤は、多層フィルムの1以上または全ての層に存在させることができる。
【0036】
図1a〜1dは、本発明の非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの幾つかの可能な実施態様を示している。図1a〜図1dの各図において、10は、脆い重合体フィルム層となり得るA層を表わし、20は、エラストマー重合体フィルム層となり得るB層を表わし、そして、30は、皮膜層である場合に脆い重合体フィルム層、あるいは皮膜層またはコア層である場合にエラストマー重合体フィルム層となり得るC層を表わす。したがって、図1aは、ABフィルム構造を表わし、図1bは、ABAフィルム構造を表わし、図1cは、ABCフィルム構造を表わし、そして、図1dは、ABCBAフィルム構造を表わす。付加的な実施態様及び複数のフィルム層の組み合わせは、当業者であれば、本発明の範囲内にあることを理解することができる。
【0037】
如何なるフィルム形成方法によっても、本発明の非ブロッキング多層エラストマーフィルムを調製することができる。特別の態様において、キャスト共押出法またはブローフィルム共押出法などの共押出法が、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの形成に用いられる。
【0038】
図2は、代表的なキャスト共押出フィルム形成法を示す該略図である。この例のフィルムは、2つ以上の異なる重合体組成からなるAB、ABA、ABC、ABCBA、または他のこのような多層フィルムであり得る。ひとつのエラストマー重合体組成物が慣用のスクリュー式押出機10内で溶融される。押出機12は、他の重合体組成物の溶融に用いられる。追加の押出機14等は、特に3つ以上の重合体組成物が要求されるならば、追加される。溶融重合体組成物は、次に押出機からフィードブロック16に送られ、そこで、多層フィルムへの共押出のために、個々の組成物が整列される。次いで、溶融重合体は、押出ダイ18からウエブ20に押出される。溶融重合体ウエブ20は、冷却ロール30上にキャストされ、そこで、該ウエブは、急速に冷却されてフィルム22を形成する。冷却ロール30は、円滑なフィルムを作る円滑ロールであっても、フィルム表面にパターンを型押するエンボスロールであってもよい。任意のバッキングロール32は、フィルム22の形成において、冷却ロール30を補助する。次いで、フィルム22は、遊びロール34及び36のような任意の装置を通り、それによって、キャスト押出セクションから巻取機40への移送が容易とされ、そして、巻取機に巻き取られ、更なる加工を待つために貯蔵される。
【0039】
他の実施態様において、押出コーティング法が、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの形成のために用いられる。このような押出コーティング法は、公知である。図3は、代表的な押出コーティング法を示す。重合体フィルム層15は、フィルム形成ダイ18を通って溶融押出され、図示した金属ロール30とゴムロール32との間のニップに落下する。金属ロールは、溶融重合体フィルムを急冷するために冷却することができる。また、金属ロール30は、生成フィルムにエンボスパターンが望まれている場合には、エンボスパターンが彫られていてもよい。非ブロッキング性多層フィルムの他の重合体フィルム層13は、ロール11から巻き戻されて、同様に、金属ロールとゴムロールとの間にニップに導かれる。押出フィルム層15は、本発明の脆い重合体フィルム層またはエラストマー重合体フィルム層のいずれでもよく、逆に、他の重合体フィルム層13は、本発明の他の重合体フィルム層であってもよい。押出フィルム層15及び他のフィルム層13は、各層を接合するためにニップでプレスされる。非ブロッキング性多層フィルム22は、いまやロールに巻き取られるか、あるいは更なる加工に送られる。
【0040】
本発明の非ブロッキング性多層エラストマーフィルムを形成する方法の他の実施態様は、図4に示されている接着剤積層法である。ひとつの重合体フィルム層15がフィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示の金属ロール30とゴムロール32との間のニップに落下させられる。金属ロール30は、溶融重合体フィルムを急冷するために冷却される。また、該金属ロールは、生成フィルムにエンボスパターンが望まれている場合には、エンボスパターンが彫られていてもよい。押出フィルム層を冷却し固化した後に、接着剤接合ステーションに通し、そこで、接着剤をスプレーユニット35などの手段によって、フィルム上に塗付する。あるいは、スプレーユニット35により、入ってくる重合体フィルム層13の上に接着剤をスプレーすることができる。ロール11から送られる非ブロッキング性多層フィルムの他の重合体フィルム層13は、ニップ37に導かれ、各層を接合するために、押出フィルム層15と他のフィルム層13とがプレスされる。押出フィルム層15は、本発明の脆い重合体フィルム層またはエラストマー重合体フィルム層のいずれでもよく、逆に、他の重合体フィルム層13は、本発明の他の重合体フィルム層であってもよい。非ブロッキング性多層フィルム22は、いまやロールに巻き取られるか、あるいは更なる加工に送られる。
【0041】
他の公知の接合方法を、本発明の非ブロッキング性多層フィルムの各重合体層を接合するために用いることができる。このような方法には、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びレーザー接合などが含まれる。各接合法の組み合わせも、本発明の範囲内である。
【0042】
本発明の非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするには、該フィルムを活性化する必要がある。非ブロッキング性多層フィルム上の脆い重合体フィルム層を破壊、破砕または亀裂させて、該皮膜を不連続にし、コア層のエラストマーが皮膜の亀裂が入った箇所の下で延伸できるようにしなければならない。本発明のフィルムは、幾つかの方法によって活性化することができる。例えば、該フィルムを延伸する、折り畳む、刻み目を入れる、波形に皺寄せる、エンボスする、パターン化ロールでカレンダー掛けする、あるいは皮膜層を破壊するように他の方法で変形することが挙げられる。該フィルムを延伸する好ましい手段は、機械方向への配向(MDO)、テンタリング(幅出し)、または漸増的延伸(incremental stretching)などの公知の延伸技術による。該フィルムの特に好ましい活性化法は、米国特許第4,144,008号明細書に記載されているような、該フィルムを噛み合いロール間で漸増的に延伸する方法である。漸増的延伸は、該フィルムを横方向(CD)にのみ延伸可能とするために、皮膜をCDにのみ優先的に破壊できるか、あるいは、該フィルムを機械方向(MD)にのみ延伸できるように、皮膜をMD方向にのみ優先的に破壊できるという利点を有している。該フィルムは、CD及びMDの両方向に活性化することもできる。
【0043】
予期し得ないことに、エラストマー重合体フィルム層の上の脆い重合体フィルム層は、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムを巻取り、普通の貯蔵温度で一定期間貯蔵したとき、該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムがブロッキングするのを防ぐことができることが見出された。このことは、該非ブロッキング性多層エラストマーフィルムが、活性化された状態または活性化されていない状態で貯蔵された場合にも当てはまる。非ブロッキング性多層エラストマーフィルムの穴あけ、該フィルムの印刷、該フィルムの裁断、該フィルムへの付加的な積層、その他の工程などの付加的な加工工程を追加することができることが理解でき、それらは、本発明の範囲内にある。
【0044】
本発明のフィルムは、公知の積層技術によって、基材層に積層することができる。基材層は、他の重合体フィルム、布、または紙などの伸長性のシート状材料であり得る。ひとつの限定されない例において、該基材層は、不織ウエブである。好適な不織ウエブの例としては、スパンボンド、カード、溶融吹き付け、及びスパンレイスド(spunlaced)不織布ウエブが挙げられる。これらの不織布は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリウレタン類、エラストマー類、レーヨン、セルロース、これらの共重合体類、またはこれらのブレンド若しくは混合物などの繊維から成り得る。マットに形成されたセルロース系またはセルロース繊維を含むティッシュ若しくはティッシュ状製品などの紙製品は、本発明の範囲に入る不織繊維ウエブまたは不織材料と考えることができる。不織ウエブは、均質構造である繊維から成るものでもよいし、あるいは、鞘/コア、並列、海島、及び他の公知の二成分形状等の二成分構造から成るものでもよい。不織材料の詳細な説明について、「不織布下塗り及び基準サンプラー(Nonwoven Fabric Primer and Reference Sampler)」、E.A.ヴォーン(Vaughn)著、不織布工業協会、第3版(1992)を参照されたい。そのような不織繊維ウエブは、典型的に約5g/mから75g/mの坪量を有している。本発明の目的のために、不織材料は、約5g/mから20g/mの坪量、または所望のエラストマーフィルムに積層した時に巻き取りフィルムのブロッキングを防止するのに適した他の坪量を有しており、非常に軽いものがよい。しかし、約20g/mから75g/mの坪量を有するより重い不織材料も、得られる積層体または最終用途品において心地よい布状組織等のある特性を達成するために望ましい。
【0045】
また、織布、メリヤス生地、スクリム、網製品等の他の種類の基材層も、本発明の範囲内である。これらの材料は、エラストマーフィルム層が巻き取りに際しブロッキングを生じるのを防止する保護層として確かに使用することができる。しかし、コスト、入手可能性、及び加工の容易性の点から、不織布が、本発明の方法において、積層体に一般に好ましい。
【0046】
本発明のフィルムは、公知の積層手段によって基材層に積層することができる。これらの積層法は、押出積層、接着剤積層、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、レーザー接合、及びその他の手段を含む。これらの接合法の組み合わせも、本発明の範囲内である。
【0047】
本発明の非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、2以上の前記基材層に積層することもできる。
【0048】
本発明の非ブロッキング性多層エラストマーフィルムは、工程の任意の時点で、1以上の基材層と積層することができる。特に、該フィルムは、該フィルムの活性化の前または後に、基材層に積層することができる。大部分の非エラストマー性基材層の場合において、活性化の前に積層を実施し、次いで、積層体を活性化することが望ましい。あるいは、非ブロッキング性多層エラストマーフィルムを活性化し、活性化した非ブロッキング性多層エラストマーフィルムに基材を積層し、次いで、積層体を、積層体の全ての層が容易に延伸するように、もう一度活性化を行うことができる。活性化したフィルムを非エラストマー性基材に積層し、かつ、積層後の活性化が望ましくない場合には、非エラストマー性基材を、ネッキングしたり、シワにしたり、折り畳んだり、寄せ集めたり、またはその他の処理を行って、第二基材に引裂や傷を与えることなく、積層体の該フィルム成分を延伸できるようにすることができる。
【実施例】
【0049】
下記の実施例は、本発明の様々な特徴を示すために提示するものである。これらの実施例は、本発明を限定することを決して意図するものではない。
【0050】
実施例1
キャスト押出法により、エラストマーフィルムを作製した。該フィルムは、Aが表面層で、Bがコア層の多層ABA構造から成るものであった。該A層は、結晶性ポリスチレン〔NOVA Chemicals製NOVA(登録商標)3900〕から成る。B層は、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)7400〕から成る。該A及びB層は、共押出によりフィルムに形成されたものであって、各A層の厚みが約20μmで、B層の厚みが約80μmであった。このフィルムは、更なる加工に供することなく、巻き取られた。図5は、実施例1の平面図におけるSEM顕微鏡写真を示す。該A(脆い重合体フィルム)層10は、この顕微鏡写真中に目で見ることができる。
【0051】
実施例2
実施例1のエラストマーフィルムを、CD及びMDの両方向に漸増的延伸をすることによって活性化した。用いたCD及びMD漸増的延伸法は、米国特許第5,865,926号明細書に記載されている。該活性化フィルムは、CD及びMDの両方向に手をつかって容易に延伸することができた。図6a及び図6bは、実施例2の漸増的延伸フィルムのSEM顕微鏡写真である。エラストマーフィルム層20上のポリスチレン皮膜10の表面亀裂12は、これらの図面に明瞭に見ることができる。これは、図5に見られる円滑な表面とは鋭い対照をなしている。実際、図6a及び図6bのフィルムにおける表面亀裂は、シャープな協会を有しており、エラストマーのコア層20が亀裂12の間の割れ目から見ることができる。
【0052】
比較例1
キャスト押出法によりエラストマーフィルムを作製した。該フィルムは、多層ABA構造を有しており、2つのA層が表面に、B層がコアにある。該A層は、約80%のLLDPE〔ダウケミカル社製Attane(登録商標)4202〕と約20%のLDPE〔ダウケミカル社製Daw(登録商標)LDPE640)〕から成るものであった。該B層は、約58%のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)4111〕、19%のスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)8508〕、19%のLDPE〔ダウケミカル社製Affinity(登録商標)EG8200〕、及び4%の白色マスターバッチ濃縮物〔Ampacet社製Ampacet(登録商標)7188763〕から成るものであった。A層及びB層は、共押出によってフィルムに成形されたものであり、各A層の厚みが約4μmで、B層の厚みが約65μmであった。このフィルムは、フィルムに形成後、処理することなく、巻き取られた。
【0053】
比較例1のフィルムの一部は、CD方向に延伸することにより活性化した。それゆえ、該活性化フィルムは、CD方向に手で容易に延伸することができた。図7a及び図7bは、比較例1の活性化されていないフィルムと活性化したフィルムの両方のSEM顕微鏡写真を示す。この場合、活性化されていないフィルム皮膜層10は、円滑な表面を有していたが、活性化したフィルム皮膜層10は、明らかに伸長性ポリエチレン皮膜のシワと微細組織(microtexturing;きめ)14を示している。該皮膜は、表面が微細組織となっているが(きめ出しされているが)、該フィルム表面を横断して未だ連続的である。このフィルムの外観は、実施例2の活性化フィルムとは全く異なっており、実施例2の活性化フィルムでは、エラストマーフィルム上のポリスチレン皮膜の表面亀裂が、図6a及び図6bから明瞭に見ることができる。これら両フィルムにおいて、白色マスターバッチ着色剤の粒子が観察されることに留意されたい。
【0054】
比較例2
キャスト押出法により、エラストマーフィルムを作製した。該フィルムは、多層ABA構造を有しており、2つのA層が表面に、B層がコアにある。該A層は、約60%のSISブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)4211A〕と約40%のアンチブロックマスターバッチ〔Polytechs SAS社製AB MB6017−PS;約20%の合成シリカのアンチブロック剤がポリスチレン担体樹脂中に含まれている〕から成り、各A層中の最終的なアンチブロック剤の濃度は、約8%となる。該B層は、約46%のSISブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)4211A〕、21%のSBSブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)7400〕、30%のアンチブロックマスターバッチ〔Polytechs SAS社製AB MB6017−PS;約20%の合成シリカのアンチブロック剤がポリスチレン担体樹脂中に含まれている〕(各B層中での最終濃度は、約6%となる)、及び3%の白色マスターバッチ濃縮物〔Schulman社製Schulman(登録商標)8500〕から成るものであった。A層及びB層は、共押出によってフィルムに形成され、各A層の厚みが約4μmで、B層の厚みが約65μmであった。このフィルムは、更なる加工を行うことなく、巻き取られた。
【0055】
比較例2のフィルムの一部が、CD方向に延伸することによって活性化された。該活性化フィルムは、次いで、CD方向に手によって容易に延伸することができた。該活性化フィルムは、CD及びMDの両方向に手で容易に延伸することができた。図8a及び図8bは、比較例2の活性化されていないフィルムと、活性化されたフィルムの両方のSEM顕微鏡写真を示す。皮膜層10中に示される裂け目16は、押出工程で発生した。この裂け目以外には、活性化されていないフィルム及び活性化したフィルムは、円滑な表面を有しており、実施例2の亀裂または比較例1の微細組織の兆候はなかった。また、アンチブロック剤粒子は、両方の顕微鏡写真に眼で見ることができる。
【0056】
ここに述べた具体的な例示と実施態様は、本来典型的なもののみであって、請求の範囲によって適宜される本発明を限定することを意図するものではない。更なる実施態様及び実施例は、この明細書の観点から、当業者であれば明らかであり、請求している本発明の範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1a】図1aは、本発明の多層エラストマーフィルムの可能な構造を示す断面図である。
【図1b】図1bは、本発明の多層エラストマーフィルムの可能な構造を示す断面図である。
【図1c】図1cは、本発明の多層エラストマーフィルムの可能な構造を示す断面図である。
【図1d】図1dは、本発明の多層エラストマーフィルムの可能な構造を示す断面図である。
【図2】図2は、代表的なキャスト押出法を示す該略図である。
【図3】図3は、代表的な押出コーティング法を示す該略図である。
【図4】図4は、代表的な接着剤積層法を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の未活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図6a】図6a、本発明の活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図6b】図6bは、本発明の活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図7a】図7aは、伸長性ポリオレフィン皮膜を持つ比較の未活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図7b】図7bは、伸長性ポリオレフィン皮膜を持つ比較の活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図8a】図8a、アンチブロック剤を含有する比較の未活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【図8b】図8bは、アンチブロック剤を含有する比較の活性化フィルムの顕微鏡写真を示す。
【符号の説明】
【0058】
10 脆い重合体フィルム層(図1a〜図1d)
20 エラストマー重合体フィルム層(図1a〜図1d)
30 脆い重合体フィルム層またはエラストマー重合体フィルム層(図1a〜図1d)
10 図2において、押出機
11 ロール
12 押出機
13 他の重合体フィルム層
14 押出機
15 押出フィルム層
16 フィードブロック
18 押出ダイ
20 溶融重合体ウエブ
22 フィルム
30 冷却ロール
32 バックロール
34 遊びロール
35 スプレーユニット
36 遊びロール
37 ニップ
40 巻取機
10 ポリスチレン皮膜(図5、図6a及び図6b)
10 皮膜層(図7a、図7b、図8a及び図8b)
12 亀裂(図6a及び図6b)
14 微細組織(図7b)
16 裂け目(図8a及び図8b)
20 エラストマーフィルム層(図6b)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の脆い重合体フィルム層及び第二のエラストマー重合体フィルム層から成る非ブロッキング性多層フィルムであって、第一の脆い重合体フィルム層が第二のエラストマー重合体フィルム層の第一表面に接合され、かつ、非ブロッキング性多層フィルムが、第一の脆い重合体フィルム層を破砕し、非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために、活性化可能であることを特徴とする非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項2】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、共押出により接合されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項3】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、押出コーティングにより接合されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項4】
第一の脆い重合体フィルム層が、第二のエラストマー重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項3記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項5】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、第一の脆い重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項3記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項6】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項7】
第一の脆い重合体フィルム層を破砕して、非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために、更に該非ブロッキング性多層フィルムが活性化されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項8】
非ブロッキング性多層フィルムが延伸により活性化されている請求項7記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項9】
非ブロッキング性多層フィルムが、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により延伸されている請求項8記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項10】
第一の脆い重合体フィルムが、ポリスチレン、アクリレート重合体類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる脆い重合体から成る請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項11】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成る請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項12】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンドから成る請求項10記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項13】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、多層エラストマー重合体フィルム層から成る請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項14】
脆い重合体から成る第三の重合体フィルム層が、更に該非ブロッキング性多層フィルムに、第二のエラストマー重合体フィルムの第二表面で接合されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項15】
第三の重合体フィルム層と該非ブロッキング性多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項14記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項16】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に第三の基材層に接合されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項17】
第三の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成る請求項16記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項18】
第三の基材層と該非ブロッキング性多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項16記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項19】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に複数の基材層と接合されており、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成る請求項16記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項20】
非ブロッキング性多層フィルムが、穴あけ加工されている請求項1記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項21】
第一の脆い重合体フィルム層及び第二のエラストマー重合体フィルムから成る非ブロッキング性多層フィルムであって、第一の脆い重合体フィルム層が第二のエラストマー重合体フィルムの第一表面に接合され、かつ、非ブロッキング性多層フィルムが、第一の脆い重合体フィルム層を破砕し、非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために、活性化されていることを特徴とする非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項22】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、共押出により接合されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項23】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、押出コーティングにより接合されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項24】
第一の脆い重合体フィルム層が、第二のエラストマー重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項23記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項25】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、第一の脆い重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項23記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項26】
第一の脆い重合体フィルム層と第二のエラストマー重合体フィルム層とが、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項23記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項27】
非ブロッキング性多層フィルムが、延伸により活性化されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項28】
非ブロッキング性多層フィルムが、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により延伸されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項29】
第一の脆い重合体フィルム層が、ポリスチレン、アクリレート重合体類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる脆い重合体から成る請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項30】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成る請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項31】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンドから成る請求項30記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項32】
第二のエラストマー重合体フィルム層が、多層エラストマー重合体フィルム層から成る請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項33】
脆い重合体から成る第三の重合体フィルム層が、更に該非ブロッキング性多層フィルムに、第二のエラストマー重合体フィルムの第二表面で接合されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項34】
第三の重合体フィルム層と該非ブロッキング性多層フィルム層とが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項33記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項35】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に第三の基材層に接合されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項36】
第三の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成る請求項35記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項37】
第三の基材層と該非ブロッキング性多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項35記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項38】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に複数の基材層と接合されており、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成る請求項35記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項39】
非ブロッキング性多層フィルムが、穴あけ加工されている請求項21記載の非ブロッキング性多層フィルム。
【請求項40】
非ブロッキング性多層フィルムの製造方法であって、
a)脆い重合体から成る第一の重合体フィルム層を、エラストマー重合体から成る第二の重合体フィルム層の第一表面に接合して、多層フィルムを形成する工程;及び
b)第一の重合体フィルム層を破砕して、該多層フィルムをエラストマー性とするために、該多層フィルムを活性化する工程;
を含むことを特徴とする非ブロッキング性多層フィルムの製造方法。
【請求項41】
第一の重合体フィルム層と第二の重合体フィルム層とが、共押出により接合されている請求項40記載の製造方法。
【請求項42】
第一の重合体フィルム層と第二の重合体フィルム層とが、押出コーティングにより接合されている請求項41記載の製造方法。
【請求項43】
第一の重合体フィルム層が、第二の重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項42記載の製造方法。
【請求項44】
第二の重合体フィルム層が、第一の重合体フィルム層の上に押出被覆されている請求項42記載の製造方法。
【請求項45】
第一の重合体フィルム層と第二の重合体フィルム層とが、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項40記載の製造方法。
【請求項46】
非ブロッキング性多層フィルムが、延伸により活性化されている請求項40記載の製造方法。
【請求項47】
非ブロッキング性多層フィルムが、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により延伸されている請求項46記載の製造方法。
【請求項48】
第一の重合体フィルムが、ポリスチレン、アクリレート重合体類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる脆い重合体から成る請求項40記載の製造方法。
【請求項49】
第二の重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成る請求項40記載の製造方法。
【請求項50】
第二の重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンドから成る請求項49記載の製造方法。
【請求項51】
第二の重合体フィルム層が、多層エラストマー重合体フィルム層から成る請求項40記載の製造方法。
【請求項52】
脆い重合体から成る第三の重合体フィルム層が、更に該多層フィルムに、第二の重合体フィルムの第二表面で接合されている請求項40記載の製造方法。
【請求項53】
第三の重合体フィルム層と該多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項52記載の製造方法。
【請求項54】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に第三の基材層に接合されている請求項40記載の製造方法。
【請求項55】
第三の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成る請求項54記載の製造方法。
【請求項56】
第三の基材層と該多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項54記載の製造方法。
【請求項57】
非ブロッキング性多層フィルムを更に複数の基材層と接合することからなり、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成る請求項54記載の製造方法。
【請求項58】
非ブロッキング性多層フィルムを穴あけ加工することを含む請求項40記載の製造方法。
【請求項59】
非ブロッキング性多層フィルムの製造方法であって、
a)脆い重合体から成る第一の重合体フィルム層が、エラストマー重合体から成る第二の重合体フィルム層の第一表面に接合した非ブロッキング性多層フィルム層を供給する工程;及び
b)該脆い重合体フィルム層を破砕して、該非ブロッキング性多層フィルムをエラストマー性とするために、該非ブロッキング性多層フィルムを活性化する工程;
を含むことを特徴とする非ブロッキング性多層フィルムの製造方法。
【請求項60】
第一の重合体フィルム層と第二の重合体フィルム層とが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項59記載の製造方法
【請求項61】
非ブロッキング性多層フィルムが、延伸により活性化されている請求項59記載の製造方法。
【請求項62】
非ブロッキング性多層フィルムが、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により延伸されている請求項61記載の製造方法。
【請求項63】
第一の重合体フィルムが、ポリスチレン、アクリレート重合体類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる脆い重合体から成る請求項59記載の製造方法。
【請求項64】
第二の重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成る請求項59記載の製造方法。
【請求項65】
第二の重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンドから成る請求項64記載の製造方法。
【請求項66】
第二の重合体フィルム層が、多層エラストマー重合体フィルム層から成る請求項59記載の製造方法。
【請求項67】
脆い重合体から成る第三の重合体フィルム層が、更に該多層フィルムに、第二の重合体フィルムの第二表面で接合されている請求項59記載の製造方法。
【請求項68】
第三の重合体フィルム層と該多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項67記載の製造方法。
【請求項69】
非ブロッキング性多層フィルムが、更に第三の基材層に接合されている請求項59記載の製造方法。
【請求項70】
第三の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成る請求項69記載の製造方法。
【請求項71】
第三の基材層と該多層フィルムとが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項69記載の製造方法。
【請求項72】
非ブロッキング性多層フィルムを更に複数の基材層と接合することからなり、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成る請求項69記載の製造方法。
【請求項73】
非ブロッキング性多層フィルムを穴あけ加工することを含む請求項59記載の製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2008−540192(P2008−540192A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511476(P2008−511476)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018903
【国際公開番号】WO2006/124889
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(503183488)クロペイ プラスチック プロダクツ カンパニー、インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】