説明

脆性材料のカッチング装置

【課題】切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置を提供する。
【解決手段】脆性材料10に応用されるカッチング装置17に関するものであり、カッチング装置は切開ルート11に沿って冷却効果を提供する冷源18と、入射方向を経由して切開ルートに沿って加熱効果16を提供する熱源19とを備えてなり、その中熱源の第1の出力端が冷源の第2の出力端内に設置され、これにより加熱効果が切開ルートに沿い、第1の冷却効果に追随して脆性材料を切開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脆性材料のカッチング装置に関し、特に冷却効果及び加熱効果を提供する脆性材料のカッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話及び液晶テレビジョン産業が澎湃発展したので、液晶ガラス基板の大幅需要及びLCD液晶ガラス基板に要する低熱応力加工に応ずるために、熱破裂レーザ・カッチング法が次第に伝統のダイヤ刀切開研磨及び過去のレーザ溶切法に取って代り、次世代の光電産業液晶ガラス加工の主流となった。熱破裂レーザ・カッチング法が過去のレーザ溶切法と違うところは熱破裂の原理を応用してカッチングする点にあり、レーザ加熱が均一及び熱影響区が狭小なため、加速度が速い外、その切開面が斉一と熱残留応力が低いとの利点は、レーザ溶切法及び伝統ダイヤ刀切開研磨法の及ばない所である。
【0003】
目前市場で熱破裂切開に用いられる光源は10.6μm波長のCO気体レーザと、1.064μm波長のYAG固体レーザの2種がある。安定したレーザ光源が光学レンズ組を経過することにより、熱場をガラス基板上に発生させ、これに続き適当な冷却効果を加えると共に、基板エッジにイニシアル・クラックを発生させる。
【0004】
該クラックは熱冷場を経由して十分大きな応力強度因子場(Stress intensity factor field)を生ずることにより等速成長して最後に切開結果を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板エッジのイニシアル・クラックに必要な熱破裂応力は順序を提供すると共に・基板表面切開ルートで開始された貫通孔にイニシアル・クラックを提供して任意の簍空形状を有する基板を順利に得ることができない。
【0006】
このように、目前熱破裂レーザ・カッチング法は、上記の欠点があるので、本発明出願人は先行技術問題の上記欠点の改善にかんがみ、鋭意試験と研究とを重ねた結果、ついに本発明の「脆性材料のカッチング装置」を案出した。
【0007】
本発明は切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
該カッチング装置は該切開ルートに沿って冷却効果を提供する冷源と、該切開ルートに沿って加熱効果を提供する熱源とを備えてなり、その中該加熱効果は該切開ルートに沿って該冷却効果に追随して該脆性材料を切開する。
【0009】
上記アイデアに基づき、該切開ルートは脆性材料上の貫通孔に開始する。
【0010】
上記アイデアに基づき、前記切開ルートは該脆性材料の表面上において密閉ルートを備える。
【0011】
上記アイデアに基づき、該冷却効果は切開ルートに沿って該脆性材料に引張り応力を発生させる。
【0012】
上記アイデアに基づき、該加熱効果は該切開ルートに沿って該脆性材料に圧応力を発生させる。
【0013】
本発明は別に他種の、切開ルートに沿ってガラス基板を切開するカッチング装置を提供する。該カッチング装置は該切開ルートに沿って冷却範囲を提供する冷源と、入射方向に該切開ルートに沿って加熱範囲を提供する熱源とを備えてなり、その中該冷却範囲は該切開ルート上において該加熱範囲に巻回することにより該ガラス基板を切開する。
【0014】
上記アイデアに基づき該熱源は凸レンズにより、フォーカシングする前に、レーザビームに加熱効果を発生させる。
【0015】
上記アイデアに基づき、前記冷源は水、空気及び窒素ガスの中の一つを提供する。
【0016】
本発明は別に他種の、切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置を提供する。該カッチング装置は該切開ルートに沿って第1の冷却効果を提供する冷源と、入射方向を経由して該切開ルートに沿って加熱効果を提供する熱源とを備えてなり、その中、該熱源の第1の出力端は該冷源の第2の出力端内に位置しており、もって該加熱効果が該切開ルートに沿って該第1の効果に追随して該脆性材料を切開する。
【0017】
上記アイデアに基づき、該熱源の第1の出力端は該冷源の第2の出力端に設置されることにより、該冷源を更に該切開ルートに沿わせて加熱効果に追随した第2の冷却効果を提供する。
【0018】
上記アイデアに基づき、凸レンズを透過したレーザビームは、該熱源の第1の入力端に入力され、そして第1の出力端に出力してフォーカシングする前に該加熱効果が発生するカッチング装置において、該冷源は第2の入力端があり、且つ該第2の入力端は該冷却物質を該第2の出力端に伝送し、該第1の出力端は該冷却物質を伝送する第1の表面があり、該第2の出力端は該冷却物質を伝送する第2の表面がある。
【0019】
上記アイデアに基づき、該入射方向が該第1の表面及び該第2の表面に投影してそれぞれ発生した第1の投影量及び第2の投影量はいずれも該入射方向に指向する外、該第1の投影量が該入射方向と挟む第1の角度は該第2の投影量が該入射方向と挟む第2の角度よりも小さい。
【0020】
上記アイデアに基づき、該第1の入力端と該第1の表面との間には該冷却物質の流動方向を導引するスレッドがあり、これにより該切開ルート上において、該冷却物質をレーザビームに保持巻回させることができる。
【0021】
上記アイデアに基づき、該熱源の第1の入力端と該冷源の間には少なくとも一弾性素子が接続されており、これにより該冷源の該第2の出力端を該入射方向上において該熱源の該第1の出力端に相対して移動させ、該第1の冷却効果と該加熱効果との間の一相対強度を調整することができる。
【0022】
上記アイデアに基づき、該切開ルートは該脆性材料の一表面上において一密閉ルートを備える。
【0023】
上記アイデアに基づき、該冷却効果は切開ルートに沿って該脆性材料に一引張り応力を発生させる。
【0024】
上記アイデアに基づき、該加熱効果は該切開ルートに沿って該脆性材料に一圧応力を発生させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施例の脆性材料のカッチング装置について説明する。しかしながら、実際の配置及び実行の方法は必ずしも説明された内容に符合するとは限らず、当業者は本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しない状況下で種種の変化及び改修を行うことができる。
【0027】
図1は本発明の好適な実施例における脆性材料カッチング装置の見取図である。その中、カッチング装置17は切開ルート11に沿って脆性材料10を切開するが、切開ルート11は貫通孔13に始まり、且つ密閉ルート14を備える。カッチング装置17は主として、切開ルート11に沿って冷却効果15を提供して脆性材料10に引張り応力を発生させる冷源18と、切開ルート11に沿って冷却効果11に追随した加熱効果16を提供することにより、脆性材料10に圧応力を発生させる熱源19とを備えてなる。
【0028】
該引張り応力及び該圧応力により、イニシアル・クラックが該貫通孔13に発生し、ひいては脆性材料10において該密閉ルート14に対応する簍空形状が発生する。
【0029】
図2は本発明の実施例における脆性材料カッチング装置の見取図である。カッチング装置17は切開ルート11に沿ってガラス基板から選択された脆性材料10を切開するが、切開ルート11は貫通孔13に始まり、且つ密閉ルート14を備える。カッチング装置17は主として、切開ルート11に沿って冷却範囲20を提供し、冷却効果15を発生させることにより脆性材料に引張り応力を発生させる冷源18と、切開ルート11に沿って加熱範囲21を提供し、加熱効果を発生させることにより脆性材料10に圧応力を発生させる熱源19と、を備えてなり、その中、冷却範囲20は切開ルート11上において加熱範囲21に巻回しているので、加熱効果16は切開ルート11に沿い、該冷却効果15に追随して脆性材料10を切開する。
【0030】
該引張り応力及び圧応力により、イニシアル・クラックが貫通孔13に発生し、ひいては脆性材料10において密閉ルート14に対応する簍空形状が発生する。そして該イニシアル・クラックの成長方向を導引するために、その中カッチング装置17を簡易に実施するために、熱源19は凸レンズ22により、レーザ・ビーム23がフォーカシングする前に加熱範囲20を発生させ、冷源18は水、空気及び窒素ガスの中の1つを提供することにより、冷却範囲20を発生させる。
【0031】
図3は本発明の好適実施例における脆性材料カッチング装置の見取り図である。図において、切開ルート11は貫通孔13に始まり、密閉ルート14を備える。カッチング装置17は主として切開ルート11に沿って冷却範囲20を提供して第1の冷却効果151及び第2の冷却効果152を発生させることにより、脆性材料10に引張り応力を発生させることにより、脆性材料10に引張り応力を発生させる冷源18と、切開ルート11に沿って加熱範囲21を提供して加熱効果16を発生させることにより、脆性材料に圧応力を発生させる熱源19と、を備えてなり、その中熱源19の第1の出力端191は冷源18の第2の出力端181内に位置して冷却範囲20を切開ルート11上において加熱範囲21に巻回させるので、第2の冷却152は切開ルート11に沿って該加熱効果16を追随し、そして加熱効果16は第1の冷却効果151に追随して該脆性材料10を切開する。
【0032】
該引張り応力及び圧応力により、イニシアル・クラックが貫通孔13に発生し、ひいては脆性材料10において密閉ルート14に対応する簍空形状が発生する。
【0033】
図4は本発明の好適な実施例における脆性材料カッチング装置の断面見取図である。カッチング装置は主として熱源19と冷源18とを備えてなり、カッチング装置17を簡易的に実施するために、熱源19の第1の入力端39は凸レンズ22を透過するレーザビーム23を接受し、このレーザビーム23は熱源19の第1の出力端191に出力すると共に、入射方向33を経由して切開ルート11に沿って加熱効果16を提供できる加熱範囲21を脆性材料10に提供し、そして冷源18の第2の入力端40は接取された水、空気及び窒素ガスのその中の1つの冷却物質42を冷源18の第2の出力端181に出力することにより、切開ルート11に沿い、脆性材料10において冷却効果15を提供できる冷却範囲20を生ずる。
【0034】
カッチング装置17において、熱源19の出力端191は冷却物質42を伝送するための第1の表面36を有するのに対応して、冷源18の第2の出力端181も冷却物質42を伝送するための第2の表面37を有している。そして第1の表面36及び第2の表面37が恊同的に冷却物質42の流量を調整できるために、好適には入射方向33が第1の表面36及び第2の表面37に投影してそれぞれ発生した第1の投影量35及び第2の投影量34はいずれも入射方向に指向する。そして第1の投影量35及び入射方向33により挟まれた第1の角度は投影量34及び該入射方向により狭まれた第1の角度よりも小さいことにより、冷却物質42が第2の出力端181に出力する前に遭遇する可能がある阻力を低下する。この外に、熱源19が有する第1の入力端39と第1の表面36との間には冷却物質42の流動方向を導引するスレッド44があるので、更に冷却物質42を、切開ルート11においてレーザビーム23に保持巻回させることができる。これにより該加熱範囲で発生した冷却効果16を、切開ルート11に沿って冷却範囲20で発生した冷却効果15に追随させることができる。本発明は更に、熱源19の第1の入力端と冷源18との間に少なくとも一弾性素子38が接続されており、これにより冷源18の第2の出力端181を入射方向33において熱源19の第1の出力端に対応して移動させ、冷却効果15と加熱効果16との間の相対強度を調整する。
【0035】
要するに、本発明は確実に、カッチング装置の冷源及び熱源により脆性材料上において切開ルートに沿い、冷却効果に追随して加熱効果を加え、脆性材料の簍空形状を形成する切開過程に要する速度及び効率が先行技術に比べて顕著に向上され、技術がきわめて簡単、製造コストが極めて低く応用性が極めて高い脆性材料カッチング装置を提供する。
【0036】
以上の説明は好適な実施例を利用して本発明をより具体的に説明したが本発明の技術的思想は当然これに限定されず、添付特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、置換等はいずれもの本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明の脆性材料カッチング装置における一好適な実施例の見取図である。
【図2】図2は本発明の脆性材料カッチング装置における他の一好適な実施例の見取図である。
【図3】図3は本発明の脆性材料に応用したカッチング装置の更に他の好適な実施例の見取図である。
【図4】図4は本発明の脆性材料カッチング装置の断面見取図である。
【符号の説明】
【0038】
10…脆性材料、11…切開ルート、13…貫通孔、14…密閉ルート、15…冷却効果、16…加熱効果、17…カッチング装置、18…冷源、19…熱源、20…冷却範囲、21…加熱範囲、22…凸レンズ、23…レーザビーム、33…入射方向、34…第2の投影量、35…第1の投影量、36…第1の表面、37…第2の表面、38…弾性素子、39…第1の入力端、40…第2の入力端、42…冷却物質、44…スレッド、151…第1の冷却効果、152…第2の冷却効果、181…第2の出力端、191…第1の出力端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置であって、
前記切開ルートに沿って冷却効果を提供する冷源と、
入射方向を経由して該切開ルートに沿って加熱効果を提供する熱源と、
を備えてなり、その中
前記熱源の第1の出力端が前記冷源の第2の出力端内に設置され、これにより前記加熱効果が前記切開ルートに沿い、該第1の冷却効果に追随して前記脆性材料を切開するカッチング装置。
【請求項2】
前記熱源の前記第1の出力端は前記冷源の前記第2の出力端内に設置され、これにより該冷源はさらに該切開ルートに沿って前記加熱効果に追随した第2の冷却効果を提供する請求項1記載のカッチング装置。
【請求項3】
凸レンズを透過したレーザビームは前記熱源の第1の入力端に入力された後、前記第1の出力端に出力してフォーカシングの前に加熱効果を生じ、そして冷源が有する前記第2の入力端は冷却物質を前記第2の出力端に伝送し、該第1の出力端は該冷却物質を伝送するための第1の表面を有し、そして該第2の出力端は該冷却物質を伝送するための第2の表面を有してなり、その中:
該入射方向が該第1の表面と該第2の表面とに投影してそれぞれ発生した第1の投影量及び第2の投影量はいずれも該入射方向に指向すると共に、該第1の投影量と該入射方向とにより挟まれた第1の角度は、該第2の投影量と該入射方向とにより挟まれた第2の角度よりも小さく;
該第1の入力端と該第1の表面との間には該冷却物質の流動方向を導引するスレッドがあり、これにより前記切開ルート上において、該冷却物質を該レーザビームに保持巻回させ、又は
前記熱源の第1の入力端と前記冷源との間には少なくとも一弾性素子が接続されており、これにより該入射方向上において、該冷源の該第2の出力端を該熱源の該第1の出力端に対応して移動させ、該第1の冷却効果と該加熱効果との間の相対強度を調整する
請求項1記載のカッチング装置。
【請求項4】
前記切開ルートは前記脆性材料上の貫通孔に始まり、
前記切開ルートは該脆性材料上において密閉ルートを包含し、
前記切開ルートは該脆性材料に引張り応力を発生させ、又は
前記加熱効果は該切開ルートに沿って該脆性材料に圧応力を発生させる
請求項1記載のカッチング装置。
【請求項5】
切開ルートに沿って脆性材料を切開するカッチング装置であって、
前記切開ルートに沿って冷却効果を提供する冷源と
前記切開ルートに沿って加熱効果を提供し、当該加熱効果が該切開ルートに沿って該冷却効果に追随して該脆性材料を切開する熱源と、
を備えてなるカッチング装置。
【請求項6】
切開ルートに沿ってガラス基板を切開するカッチング装置であって、
前記切開ルートに沿って冷却範囲を提供する冷源と
前記切開ルートに沿って加熱範囲を提供し、当該冷却範囲が該切開ルート上において、前記ガラス基板を切開する熱源と、
を備えてなるカッチング装置。
【請求項7】
前記熱源は凸レンズによりレーザビームに、フォーカシングする前に該加熱効果を発生させ、及び/又は
前記冷源は水、空気及び窒素ガスの中の一つを提供する、
請求項6記載のカッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34982(P2009−34982A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1104(P2008−1104)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(508007880)財團法人國家実験研究院 (2)
【Fターム(参考)】