説明

脊髄形成異常症候群の治療及び管理のための免疫調節化合物の使用法、及びそれを含む組成物

【課題】 脊髄形成異常症候群を治療、予防且つ/又は管理する方法を開示する。
【解決手段】 具体的な方法は、免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ単独又は第2の活性成分、及び/又は血液若しくは細胞の移植と組み合わせて投与することを含む。具体的な第2の活性成分は、血球生成に影響することが可能である。本発明の方法における使用に好適な医薬組成物、単一単位投与形態及びキットも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.本発明の分野)
本発明は、脊髄形成異常及び関連症候群を治療、予防及び/又は管理する方法であって、免疫調節化合物を単独で、又は知られている治療法と組み合わせて投与することを含む方法に関するものである。本発明は、また、医薬組成物及び投与療法に関するものである。特に、本発明は、免疫調節化合物と、移植療法、及び/又は脊髄形成異常症候群に対する他の標準的な療法との併用を包含する。
【背景技術】
【0002】
(2.本発明の背景)
(2.1.MDSの病理)
脊髄形成異常症候群(MDS)は、別種のグループの造血幹細胞疾患を意味する。MDSは、組織及び成長が阻害された細胞性骨髄(髄鞘発育不全)、末梢血球減少、及び非効果的血球生成に起因する球性白血病への進行への変動的リスクによって特徴づけられる(The Merck Manual 953(第17版、1999)及びListらの論文、1990年、J. Clin. Oncol. 8: 1424)。
【0003】
初期の造血幹細胞傷害は、細胞毒性化学療法、放射線、ウィルス、化学的暴露及び遺伝的素因を含むが、それらに限定されない原因により生じうる。クローン変異が、骨髄を支配し、健康な幹細胞を抑圧する。MDSの初期段階では、血球減少の主原因は、系統的細胞死(枯死)の増加である。疾患が進行し、白血病に変化すると、遺伝子変異が希に発生し、白血病細胞の増殖が健康的な骨髄を圧倒する。疾患過程はそれぞれ異なり、無痛性疾患として挙動する場合もあれば、急性形態の白血病に変化する非常に短い臨床過程で進行的に挙動する場合もある。
【0004】
米国におけるMDSの実際の発生率は知られていない。MDSは、最初は、1976年に異なる疾患と見なされており、毎年1500件の新しい事例が発生するものと推定されていた。その当時は、芽球が5%未満の患者のみが、この疾患を有するものと見なされていた。1999年からの統計では、1年間に13000の新しい事例が推定されており、西半球における最も一般的な白血病の形態である慢性リンパ球性白血病を凌ぐ1年間に約1000の事例が小児において報告されている。発生率が増加しているとの認識は、認知及び診断に対する基準の向上によるものであると言える。この疾患は世界的に見られる。
【0005】
国際的な血液専門家のグループである仏米英(FAB)協同グループは、MDS疾患を5つのサブグループに分類し、それらを急性骨髄性白血病と区別した(Merck Manual 954(第17版、1999年);Bennett J. M.らの論文、Ann. Intern. Med. 1985 Oct., 103(4): 620-5;及びBesa E.C., Med. Clin. North Am. 1992年5月、76(3): 599-617)。患者の骨髄細胞の基本的な三系統形成異常変化が、すべてのサブタイプに認められている。
【0006】
2つのサブグループの難治性貧血症、即ち(1)難治性貧血症(RA)及び(2)ミトコンドリアにおける異常な鉄の蓄積を反映する異常輪形鉄芽球を有する赤血球細胞を15%有するものとして形態学的に定義される輪形鉄芽球(RARS)によるRAは、骨髄における骨髄芽球が5%以下であることによって特徴づけられる。両者は、臨床過程が長期化し、急性白血病への進行の発生率が低い(Besa E.C., Med. Clin. North Am. 1992年5月、76(3): 599-617)。
【0007】
骨髄芽球が5%未満の難治性貧血症の2つのサブグループ、即ち(1)6から20%の骨髄芽球によって定義づけられる過剰の芽球(RAEB)及び(2)骨髄芽球が21から30%の形質転換におけるRAEB(RAEB−T)が存在する。骨芽球の割合が高くなるほど、臨床過程が短くなり、疾患が急性骨髄性白血病に近くなる。初期段階からより進行した段階への患者の遷移は、これらのサブタイプが異なる存在ではなく、単に疾患の段階であることを示している。急性白血病へと進行する、三系統形成異常を伴い、骨髄芽が30%を上回る高齢のMDS患者は、化学療法に対する応答率が新規の急性骨髄性白血病患者より低いため、予後が劣るものと考えられる。最近の世界保健機構(WHO)分類(1999年)は、RAEB−T、又は骨髄芽が20%を上回る患者のすべての事例を、これらの患者が同様の予後成果を有するという理由で急性白血病の範疇に含めることを提案している。しかし、彼らの治療に対する応答は、新規又はより典型的な急性骨髄性若しくは急性非リンパ球性白血病(ANLL)患者より劣る(Id.)。
【0008】
最も分類が困難である第5型のMDSは、慢性骨髄性単球性白血病(CMML)と呼ばれる。このサブタイプは、任意の割合の骨髄芽を有しうるが、1000/dL以上の単球を示す。それを脾腫に対応づけることができる。このサブタイプは、骨髄増殖性疾患と重複し、中間的な臨床過程を有することができる。それは、陰性Ph染色体によって特徴づけられる古典的な慢性骨髄性白血病(CML)と区別される。最近のWHO分類(1999年)は、若年性及び増殖性CMMLを、脾腫を伴い、全WBCが13000を上回るMDS/骨髄増殖性疾患(MPD)によるFABと区別して列記することを提案している。CMMLは、全白血球が13000/mm未満の単球増加症に限定され、三系統形成異常を必要とする(Id. Harris N.L.他、J. Clin. Oncol. 1999年12月、17(12): 3835-49)。最終的に、WHOを含むいくつかの他の国際機関は、del(5q)異常によって特徴づけられる第6の群のMDS患者を示唆した。
【0009】
MDSは、主に高齢者の疾患であり、平均発症年齢は70歳代である。これらの患者の平均年齢は65歳で、年齢の範囲は30歳代前半から80歳以上に及ぶ。その症候群は、小児も含めてあらゆる年齢群に発生しうる。放射線治療を伴う、又は伴わないアルキル化剤による悪性腫瘍治療を乗り切った患者は、MDS又は第2の急性白血病の発生率が高い。約60から70%の患者がMDSに対する明白暴露又は原因を有し、一次MDS患者として分類される。
【0010】
MDSの最も一般的な事例は、一次又は特発性MDSである。しかし、疾患の発症の10から15年間にわたる中間化学物質又は放射線に対する暴露という非特異的履歴が約50%の患者に存在しうる。病原に対するこの関係は証明されていない。ベンゼン、殺虫剤、除草剤及び殺真菌剤を含むが、それらに限定されない化合物は、MDSの可能な原因である(Goldberg H.らの論文、Cancer Res. 1990年11月1日;50(21): 6876-81)。二次MDSは、骨髄損傷を発生させうる化学療法薬に対する既知の暴露の後のMDS又は急性白血病の発生であると記される。これらの薬剤は、暴露後、及びMDS又は急性白血病診断時の染色体異常の高い発生率に対応づけられる。
【0011】
さらに、MDSは、重度の血球減少を伴う合併症に対応づけられる。他の合併症は、血球数の低下を加速させ、輸血必要量を増加させうる骨髄線維症の発生である。急性白血病への移行は、貧血症、出血及び感染の如き合併症の発生を加速させる。
最近、国際MDSリスク分析(IMRA)研究会は、国際予後評価システム(IPSS)に対して、MDS患者における生存率及びAMLリスクを予測する上での不正確さを低減することを提案した。IPSSは、血球減少の数、BM芽球の割合、及び細胞遺伝学的異常に基づく(表1)(Greebergらの論文、Blood 1997, 89: 2079-88)。後者は、良好(正常、Y、del(5q)、del(20q))サブグループ、中間サブグループ及び不良サブグループ(複合又は染色体7異常)に分類される。
【0012】
【表1】

【0013】
(2.2.MDSの治療)
現行のMDSの治療は、疾患過程の特定のフェーズを支配する疾患の段階及びメカニズムに基づく。骨髄移植は、予後不良又は末期のMDSの患者に用いられてきた(Epstein及びSleaseの論文、1985、Surg. Ann. 17: 125)。しかし、この種の治療は、侵襲的手順を含むために提供者及び被移植者にとって苦痛であり、被移植者に対して、特に同種間移植及び関連する移植片対宿主病(GVHD)効果による重度で、さらには致命的な併発症を引き起こしうる。したがって、GVHDのリスクは、移植しなければ致命的な疾患の患者に対する骨髄移植の利用を制限するものである。さらに、たいていの患者が高齢者であり、若いMDS患者は提供者と合致する場合が少ないため、骨髄移植の利用が制限されている。
【0014】
MDSの治療に対する他のアプローチは、被移植者における血球生成を刺激する造血成長因子又はサイトカインの使用である(Dexterの論文、1987、J. Cell Sci. 88: 1;Mooreの論文、1991、Annu. Rev. Immunol. 9: 159;及びBesa E.C.の論文、Med. Clin. North Am. 1992年5月、76(3): 599-617)。後に増殖及び分化して、成熟循環血球を生成する系統特異性前駆細胞を少数の自己再生幹細胞に生じさせる血球形成のプロセスは、少なくとも一部に特定ホルモンによって規制されることが示された。これらのホルモンは、集合的に造血成長因子として知られている(Metcalfの論文、1985、Science 229: 16;Dexterの論文、1987、J. Cell Sci. 88: 1;Golde及びGassonの論文、1988、Scientific American、7月:62;Tabbara及びRobinsonの論文、1991、Anti-Cancer Res. 11: 81;Ogawaの論文、1989、Environ. Health Presp. 80: 199;及びDexterの論文、1989、Br. Med. Bull. 45: 337)。最も特徴のある成長因子としては、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げられる。造血前駆細胞の増殖及び分化の誘発とは別に、当該サイトカインは、成熟造血細胞の移動に影響を与えることを含めて、成熟血球のいくつかの機能を活性化させることも示された(Stanleyらの論文、1976、J. Exp. Med. 143-631;Schraderらの論文、1981、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78: 323;Mooreらの論文、1980、J. Immunol. 125: 1302;Kurlandらの論文、1979、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76: 2326;Handman及びBurgess、1979、J. Immunol. 122: 1134;Vadasらの論文、1983、Blood 61: 1232;Vadasらの論文、1983、J. Immunol. 130: 795;及びWeibartらの論文、1986、J. Immunol. 137: 3584)。
【0015】
残念なことに、造血成長因子は、多くの臨床環境において有効性が証明されていない。組換えヒトGM−CSF及びG−CSFで治療されたMDS患者の臨床試験により、これらのサイトカインは、治療患者における顆粒球形成を回復させることが可能であるが、その効果は、ヘモグロビン又は血漿計数の向上がほとんど又はまったくない顆粒球又は単球系統に限定される(Schusterらの論文、1990、Blood 76 (Suppl.1): 318a)。当該患者を組換えヒトEPOで治療すると、ヘモグロビンの継続的増加及び必要輸血量の減少が達成されたのは、25%未満の患者にすぎなかった(Besaらの論文、1990、76 (Suppl.1): 133a;Hellstormらの論文、1990、76 (Suppl.1): 279a;Bowenらの論文、1991、Br. J. Haematol. 77: 419)。したがって、MDSの安全且つ効果的な治療及び管理方法が依然として必要である。
【0016】
(2.3.サリドマイド、及び疾患の治療に有用な他の化合物)
サリドマイドは、Thalomid(登録商標)という商品名で販売され、化学的にα−(N−フタルイミド)グルタルイミド又は2−(2,6−ジオキソ−3−ピペリジニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンと命名されたラセミ化合物である。サリドマイドは、本来は、悪阻を治療するために1950年代に開発されたが、催奇形効果のため、使用されなくなった。米国では、サリドマイドは、らいの血節性紅斑の皮膚発現の急性治療に対して承認された(Physician's Desk reference、1154-1158(第56版、2002年))。それを妊婦に投与すると、先天性異常を引き起こしうるため、サリドマイドの販売は厳密に制限されている(Id.)。サリドマイドは、慢性移植片対宿主病、リウマチ様関節炎、サルコイドーシス、いくつかの炎症性皮膚病及び炎症性腸疾患の如き他の疾患の治療についても検討されたことが報告されている。全体的に、Koch, H.P.の論文、Prog. Med. Chem. 22: 165-242(1985)を参照されたい。また、Moller, D.R.らの論文、J. Immunol. 159: 5157-5161 (1997)、Vasiliauskas, E.A.らの論文、Gastroenterology 117: 1278-1287 (1999)、Ehrenpreis, E.D.らの論文、Gastroenterology 117: 1271-1277 (1999)を参照されたい。さらにサリドマイドを他の薬剤と組み合わせて、心臓及び脳の閉塞に伴う虚血/駆散を治療できると言われている。参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,643,915号を参照されたい。
【0017】
最近になって、サリドマイドが、様々な疾患状態、エイズにおけるカヘキシー及びエイズにおける日和見感染において免疫調節及び抗炎症効果を発揮することが確認された。サリドマイドの生理学的目標を定めるための試験において、その薬剤は、神経毒性、催奇形、単球/マクロファージによるTNF−α生成の抑制、及び高レベルのTNF−αに伴う付随炎症性毒性、並びに血管形成及び血管新生の阻害を含む、その鎮静効果を除く広範な生物学的活性を有することが確認された。
また、様々な皮膚科的症状、潰瘍性結腸炎、クローン病、ベーチェット症候群、全身紅斑性狼瘡、アフタ性潰瘍及び狼瘡において有益な効果が確認された。インビボモデルにおけるサリドマイドの抗血管形成特性が報告されている(D'Amatoらの論文、「サリドマイドは血管形成阻害剤」、1994年、PNAS、USA 91: 4082-4085)。
【0018】
サリドマイドの最も治療的に有意な潜在的用途の1つは癌の治療にある。難治性多発性骨髄腫、脳腫瘍、乳癌、直腸癌及び前立腺癌、黒色腫、中皮腫並びに腎細胞癌等の様々な癌の治療において該化合物が調査された。例えば、Singhal, Sらの論文、New England J. Med. 341(21): 1565-1571 (1999)、及びMarx, G.M.らの論文、Proc. Am. Soc. Clin. Oncology 18: 454a (1999)を参照されたい。サリドマイドを使用して、ドキソルビシンによって生じるラットの慢性心筋症の発生を防ぐことも可能であることが報告されている(Costa, P.T.らの論文、Blood 92 (10: suppl. 1): 235b (1998))。特定の癌の治療におけるサリドマイドの使用に関する他の報告書は、未分化星状細胞腫の治療におけるカルボプラチンとの併用を含む(McCann, J.らの論文、Drug Topics 41-42(1999年6月21日))。サリドマイドとデキサメタソンとの併用は、補助的な治療としてヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、シプロフロキサシン及び非吸収性抗真菌剤をも投与された多発性骨髄腫に罹患している患者の治療に有効であったことが報告されている(kropff, M.H.の論文、Blood 96 (11 第1部): 168a (2000)、及びMunshi, N.らの論文、Blood 94 (10 第1部): 578a (1999)を参照)。サリドマイドを含む他の化学療法の組合せは、国際出願第PCT/US01/15326号(R. Govindarjan及びA. Zeitlan)及び国際出願第PCT/US01/15327号(J.B. Zeldisら)に開示されている。
【0019】
サリドマイドより治療安全性及び効果がより大きい化合物を提供するために、研究者は、そのうちのいくつかがサリドマイドの誘導体である多くの他の化合物の調査を開始した。例えば、Marriott, J.B.らの論文、Expert Opin. Biol. Ther. 1(4): 1-8 (2001)、G.W. Mullerらの論文、Journal of Medicinal Chemistry 39 (17): 3238-3240 (1996)、及びG.W. Mullerらの論文、Bioorganic & Medicinal chemistry Letters 8: 2669-2674 (1998)を参照されたい。例としては、米国特許第6,281,230号及び6,316,471号(ともにG.W. Mullerら)に記載されている置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミン及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
LPS刺激PBMCによるTNF−α生成を強力に阻害する能力について選択された一群の化合物の調査が行われた(L.G. Corralら、Ann. Rheum. Dis. 58: (Suppl I)1107-1113 (1999))。IMiSs(商標)又は免疫調節薬と呼ばれるこれらの化合物は、TNF−αの強力な阻害のみならずLPS誘発単球IL1β及びIL12生成の顕著な阻害を示す。LPS誘発IL6は、また、部分的ではあるが、IMiSs(商標)によって阻害される。これらの化合物は、LPS誘発IL10の強力な刺激剤であり、IL10レベルを200から300%増加させる(Id.)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
多くの当該化合物は、治療薬としての将来性を示したが、それらの作用及び効果のメカニズムはまだ調査段階にある。さらに、MDS及びその関連疾患を治療するための治療薬の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(3.本発明の要旨)
本発明は、脊髄形成異常症候群(「MDS」)を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。本発明は、MDSを管理する(例えば緩解時間を延ばす)方法であって、そのような管理を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法をも包含する。
【0023】
本発明の一実施態様は、1以上の免疫調節化合物と、造血成長因子、サイトカイン、癌化学療法、幹細胞移植及び他の移植法の如き、MDSを治療、予防又は管理するのに現在用いられている従来の療法との併用を包含する。
本発明は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む、MDSの治療、予防及び/又は管理での使用に好適な医薬組成物、単一単位投与形態及びキットをさらに包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(4.本発明の詳細な説明)
本発明の第1の実施態様は、MDSを治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。本実施態様は、難治性貧血症、輪状鉄芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球が形質転換している難治性貧血症、及び慢性骨髄性白血病の如きMDSの特定のサブタイプの治療、予防又は管理を包含する。
【0025】
本明細書に用いられるように、「脊髄形成異常症候群」又は「MDS」という用語は、非効率的な血球生成、進行性血球減少、急性白血病への進行のリスク、又は細胞骨髄の組織及び成熟障害(骨髄造血不全)のうちの1つ以上を特徴とする造血幹細胞疾患を意味する。「脊髄形成異常症候群」又は「MDS」という用語は、特に指定のない限り、難治性貧血症、環状鉄芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球が形質転換している難治性貧血症、及び慢性骨髄性単球性白血病を含む。
【0026】
本発明の他の実施態様は、MDSを管理する方法であって、そのような管理を必要とする患者に対して予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法をも包含する。
本発明の他の実施態様は、免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を包含する。
【0027】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む単一単位投与形態も本発明に包含される。
本発明の他の実施態様は、免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物又はプロドラッグ、及び第2の活性又はデキサメタソン又は使用説明を含む医薬組成物を備えたキットを包含する。本発明は、単一単位投与形態を備えたキットをさらに包含する。
【0028】
本発明の一実施態様は、MDSを治療、予防且つ/又は管理する方法であって、そのような治療、予防及び/又は管理を必要とする患者に対して治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び治療又は予防有効量の第2の活性剤を投与することを含む方法を包含する。
【0029】
第2の活性剤は、造血成長因子、サイトカイン、抗癌剤、抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、シクロスポリンの如き免疫抑制剤、MDSに対する従来の療法、又は例えばPhysician's Desk reference 2002に見られる他の化学療法剤であることが好ましい。好ましい抗癌又は癌化学療法剤は、枯死誘発剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗血管形成化合物、微小管安定化剤、アルキル化剤、及び他の知られている従来の癌化学療法剤である。最も好ましい第2の活性薬剤は、血液生成に影響を与え、又はそれを高めることが可能である。第2の活性薬剤は大分子(例えばタンパク質)又は小分子(例えば合成無機、有機金属又は有機分子)でありうる。特定の第2の活性薬剤の例としては、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、イマチニブ(Glivec(登録商標))、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、イリノテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、ビンブラスチン、イソトレチノイン及び13−シス−レチン酸が挙げられるが、それらに限定されない。本発明は、原生、天然及び組換えタンパク質の使用をも包含する。本発明は、その基礎となるタンパク質の薬理活性の少なくとも一部をインビボで発揮する天然タンパク質の変異体及び誘導体(例えば改質形態)をさらに包含する。変異体の例としては、タンパク質の天然形態における対応する残基と異なる1以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。「変異体」という用語には、その天然形態(例えば非グリコシル化形態)に通常存在する炭水化物成分が欠如したタンパク質も包含される。誘導体の例としては、ペギル化誘導体、及びIgG1又はIgG3をタンパク質又は当該タンパク質の活性部位に融合することによって形成されるタンパク質の如き融合タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Penichet, M.L.及びMorrison, S.L.の論文、J. Immunol. Methods 248: 91-101(2001)を参照されたい。本明細書に開示されているタンパク質、並びにその薬理活性変異体、誘導体及び融合体の排泄を引き起こすワクチンも本発明に包含される。
【0030】
理論に制限されることなく、免疫調節化合物及びタンパク質は、MDSの治療又は管理において増補的又は相乗的に作用しうると考えられる。また、特定のタンパク質は、いくつかの免疫調節化合物に伴う特定の悪影響を低減又は除去することによって、より多量の免疫調節化合物を患者に投与すること、及び/又は患者コンプライアンスを高めることができるものと考えられる。さらに、いくつかの免疫調節化合物は、いくつかのタンパク質ベースのMDS療法に伴う特定の悪影響を低減又は除去することによって、より多量のタンパク質を患者に投与すること、及び/又は患者コンプライアンスを高めることができるものと考えられる。
【0031】
本発明の他の実施態様は、MDSにかかっている患者への化学療法剤又は癌若しくはMDSの治療に使用する治療薬の投与に伴う悪影響を転換、低減又は回避する方法であって、それを必要とする患者に対して治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。
【0032】
不可避的白血病性形質転換がMDSの特定の段階で生じると、末梢血液幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄の移植が必要でありうる。免疫調節化合物と、MDSにかかっている患者に対する幹細胞の移植とを併用すると、特異的且つ予想外の相乗効果が得られるものと考えられる。特に、理論に制限されることなく、免疫調節化合物は、移植療法と同時に与えられると付加的又は相乗的効果をもたらすことができる免疫調節活性を発揮するものと考えられる。免疫調節化合物は、移植療法と連係して機能して、移植の侵襲的手順に伴う合併症、及び移植片対宿主病(GVHD)のリスクを低減することが可能である。したがって、本発明は、MDSを治療、予防且つ/又は管理する方法であって、移植療法の前、最中又は後に、患者(例えばヒト)に対して免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。
【0033】
本発明は、1以上の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、第2の活性成分、及び/又は移植療法のための血液若しくは細胞を含む医薬組成物、単一単位投与形態及びキットをも包含する。例えば、該キットは、それぞれMDS患者を治療するのに使用される本発明の1以上の化合物、移植のための幹細胞及び免疫抑制剤、抗生物質又は他の薬剤を含有することができる。
【0034】
(4.1.免疫調節化合物)
本発明の化合物は、商業的に購入されるか、又は本明細書に開示されている特許若しくは特許公報に記載されている方法に従って調製されうる。さらに、光学的に純粋な化合物は、知られている分割剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて、非対称的に合成又は分割されうる。本発明に使用される化合物としては、ラセミ、立体異性的にリッチ又は立体異性的に純粋である免疫調節化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、包接化合物又はプロドラッグを挙げることができる。
【0035】
本明細書に用いられているように、特に指定のない限り、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物の水和物を含む。
本発明に使用される好ましい化合物は、分子量が約1000g/mol未満の小さい有機分子であり、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖又は他の巨大分子ではない。
【0036】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定のない限り、「免疫調節化合物」及び「IMiDs(商標)」(Celgene Corporation)という用語は、TNF−α、LPS誘発単球IL1β及びIL12を顕著に阻害し、IL6生成を部分的に阻害する小さい有機分子を包含する。具体的な免疫調節化合物について以下に述べる。
【0037】
TNF−αは、急性炎症を通じてマクロファージ及び単球によって生成される炎症性サイトカインである。TNF−αは、細胞内の広範囲のシグナル伝達事象に関与する。TNF−αは、癌のなかで病理学的役割を果たしうる。理論に制限されることなく、本発明の免疫調節化合物が発揮する生物学的効果の1つは、TNF−αの合成の抑制である。本発明の免疫調節化合物は、TNF−α mRNAの分解を促進する。
【0038】
さらに、理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物は、T細胞の強力な共同刺激因子であり、投与依存的に細胞増殖を著しく増強させることもできる。本発明の免疫調節化合物は、また、CD4+T細胞部分集合体に対するよりもCD8+細胞部分集合体に対する方がより大きい共同刺激効果を有することができる。加えて、該化合物は、好ましくは、抗炎症特性を有し、T細胞の共同刺激を効率的に行う。
【0039】
免疫調節化合物の具体的な例としては、米国特許第5,929,117号に開示されている化合物の如き置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体;米国特許第5,874,448号及び5,955,476号に記載されている化合物の如き1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン;米国特許第5,798,368号に記載されている、四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン;米国特許第5,635,517号、6,476,052号、6,555,554号及び6,403,613号に開示されている化合物を含むが、それらに限定されない1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン(例えばサリドマイドの4−メチル誘導体);米国特許第6,380,239号に記載されている、4又は5位がインドリン環で置換された1−オキソ及び1,3−ジオキソイソインドリン(例えば4−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4−カルバモイルブタン酸);米国特許第6,458,810号に記載されている、2位が2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルで置換されたイソインドリン−1−オン及びイソインドリン−1,3−ジオン(例えば2−(2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシ−5−フルオロピペリジン−5−イル)−4−アミノイソインドリン−1−オン);米国特許第5,698,579号及び5,877,200号に開示されている非ポリペプチド環式アミド群;アミノサリドマイド、並びにアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝物質、誘導体及び前駆体、及び米国特許第6,281,230号及び6,316,471号に記載されている化合物の如き置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミド及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドール;並びに2001年10月5日に出願された米国特許出願第09/972,487号、2001年12月21日に出願された米国特許出願第10/032,286号、及び国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO02/059106号)に記載されている化合物の如きイソインドールイミド化合物が挙げられるが、それらに限定されない。ここに特定されている特許及び特許出願の各々のすべてが参照により本明細書に組み込まれている。免疫調節化合物は、サリドマイドを含まない。
【0040】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,635,517号に記載されているベンゾ環にアミノが置換された1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それに限定されない。これらの化合物は、構造Iを有する。
【化1】

【0041】
(式中、X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、Rは、水素原子又は低級アルキル、特にメチルである)。具体的な免疫調節化合物としては、
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-6-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-7-アミノイソインドリン;
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;及び
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,281,230号、6,316,471号、6,335,349号及び6,476,052号並びに国際特許出願第PCT/US97/13375(国際公開第WO98/03502号)に記載されている化合物の如き置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミド及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソインドールの群に属する。代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化2】

【0043】
(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、
(i)R、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つは、−NHRであり、R、R、R及びRの残りは水素原子であり、
は、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンジル又はハロであり、
は、X及びYがC=Oである場合は水素原子以外であるという前提で、(i)R、R、R及びRの各々は、フルオロであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つはアミノである)。
【0044】
この群を代表する化合物は、以下の式の化合物である。
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチルである)。個別の実施態様において、本発明は、これらの化合物の鏡像異性的に純粋な形態(例えば光学的に純粋な(R)又は(S)鏡像異性体)の使用を包含する。
【0045】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第US2003/0096841号及びUS2003/0045552号、並びに国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO02/059106号)に開示されているイソインドールイミドの群に属する。代表的な化合物は、式IIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である。
【化4】

【0046】
(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、他方は、CH又はC=Oであり、
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’又は(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
は、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、又は(C〜C)アルキニルであり、
及びR3’は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、又はC(O)ORであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、又は(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、又は(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリール、又は(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであり、或いはR基は結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成することが可能であり、
nは、0又は1であり、
は、キラル−炭素中心を示す)。
【0047】
式IIの具体的な化合物において、nが0である場合は、Rは、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(S)NHR、又は(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
は、H又は(C〜C)アルキルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−NH−C(O)O−R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)R、又はC(O)ORであり、他の可変のものは、同じ定義を有する。
【0048】
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、H又は(C〜C)アルキルである。
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、(C〜C)アルキル又はベンジルである。
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、CHOCH、CHCHOCH、又は
【化5】

である。
【0049】
式IIの化合物の他の実施態様において、Rは、
【化6】

である。
(式中、Qは、O又はSであり、Rは、出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)R又はC(O)ORであり、或いはRは、隣接して出現するものを統合して、二環式アルキル又はアリール環を形成することが可能である)。
【0050】
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、C(O)Rである。
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル、アリール、又は(C〜C)アルキル−ORである。
式IIの他の具体的な化合物において、ヘテロアリールは、ピリジル、フリル又はチエニルである。
式IIの他の具体的な化合物において、Rは、C(O)ORである。
式IIの他の具体的な化合物において、C(O)NHC(O)のHを(C〜C)アルキル、アリール又はベンジルで置換することが可能である。
【0051】
この群の化合物のさらなる例としては、[2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル]-アミド;(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル;4-(アミノメチル)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン;N-(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-アセトアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}シクロプロピル-カルボキサミド;2-クロロ-N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}アセトアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-3-ピリジルカルボキサミド;3-{1-オキソ-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-2-イル}ピペリジン-2,6-ジオン;2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-1,3-ジオン;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}プロパンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-3-ピリジルカルボキサミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}ヘプタンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-2-フリルカルボキサミド;{N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)カルバモイル}メチルアセテート;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)ペンタンアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-2-チエニルカルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;及びN-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0052】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第US2002/0045643、国際公開第WO98/54170号及び米国特許第6,395,754号に開示されているイソインドールイミドの群に属する。代表的な化合物は、式IIIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である。
【化7】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、他方は、CH又はC=Oであり、
Rは、H又はCHOCOR’であり、
(i)R、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つは、ニトロ又は−NHRであり、R、R、R及びRの残りは水素原子であり、
は、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり、
R’は、R−CHR10−N(R)であり、
は、m−フェニレン又はp−フェニレン又は−(C2n)−であり、nは0から4の値を有し、
及びRの各々は、互いに独立に、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、或いはR及びRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又は−CHCHCHCH−であり、Xは、−O−、−S−又は−NH−であり、
10は、水素原子、炭素原子数が8のアルキル、又はフェニルであり、
は、キラル−炭素中心を示す)。
【0053】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化8】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、
(i)R、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つは、−NHRであり、R、R、R及びRの残りは水素原子であり、
は、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり、
は、m−フェニレン又はp−フェニレン又は−(C2n−)であり、nは0から4の値を有し、
及びRの各々は、互いに独立に、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、或いは、R及びRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又は−CHCHXCHCH−であり、Xは、−O−、−S−又は−NH−であり、
10は、水素原子、炭素原子数が8のアルキル、又はフェニルである)。
【0054】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化9】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、
、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つは、ニトロ又は保護アミノであり、R、R、R及びRの残りは水素原子であり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである)。
【0055】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化10】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、
(i)R、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシであり、或いは(ii)R、R、R及びRの1つは、−NHRであり、R、R、R及びRの残りは水素原子であり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、又はCO−R−CH(R10)NRであり、R、R、R及びR10の各々は、本明細書に定められており、
は、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである)。
【0056】
化合物の具体的な例は、以下の式の化合物である。
【化11】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり、
は、m−フェニレン、p−フェニレン又は−(C2n−)であり、nは0から4の値を有し、
及びRの各々は、互いに独立に、水素原子、又は炭素原子数が1から8のアルキルであり、R及びRは一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又は−CHCHCHCH−であり、Xは、−O−、−S−又は−NH−であり、
10は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、又はフェニルである)。
【0057】
本発明の最も好ましい免疫調節化合物は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−イソインドリン−1,3−ジオン及び3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンである。標準的な合成法(例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,635,517号を参照)によりそれらの化合物を得ることが可能である。それらの化合物は、Celgene Corporation (ニュージャージー州Warren)から入手可能である。4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化12】

【0058】
化合物3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化13】

【0059】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,874,448号及び5,955,476号に記載されている化合物の如き1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化14】

(式中、Yは、酸素原子又はHであり、
、R、R及びRの各々は、互いに独立に、水素原子、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、炭素原子数が1から4のアルコキシ、又はアミノである)。
【0060】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化15】

(式中、R、R、R及びRの各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、又は炭素原子数が1から4のアルコキシである)。
【0061】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,403,613号に開示されている1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化16】

(式中、
Yは、酸素原子又はHであり、
及びRの第1の基は、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、R及びRの第2の基は、第1の基と独立に、水素原子、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
は、水素原子、アルキル又はベンジルである)。
【0062】
該化合物の具体的な例は、以下の式の化合物である。
【化17】

(式中、R及びRの第1の基は、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、炭素原子数が1から4のアルコキシ、各アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
及びRの第2の基は、第1の基と独立に、水素原子、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、炭素原子数1から4のアルコキシ、アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるアルキルアミノ、各アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から4のアルキル、又はベンジルである)。他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【0063】
【化18】

(式中、R及びRの第1の基は、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、炭素原子数が1から4のアルコキシ、各アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
及びRの第2の基は、第1の基と独立に、水素原子、ハロ、炭素原子数が1から4のアルキル、炭素原子数1から4のアルコキシ、アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるアルキルアミノ、各アルキルが炭素原子数1から4のアルキルであるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から4のアルキル、又はベンジルである)。
【0064】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,380,239号に記載されている、4又は5位がインドリン環で置換された1−オキソ及び1,3−ジオキシイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である。
【化19】

(式中、(nが0でなく、RがRと同じでない場合は)Cで示される炭素原子は、キラルの中心を構成し、X及びXの一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数が1から6のアルキル、又はNH−Zであり、X及びXの他方は水素原子であり、R及びRの各々は、互いに独立に、水素原子又はNH−Zであり、Rは、水素原子、炭素原子数が1から6のアルキル、ハロ又はハロアルキルであり、Zは、水素原子、アリール、炭素原子数が1から6のアルキル、ホルミル、又は炭素原子数が1から6のアシルであり、nは、0、1又は2の値を有し、Xがアミノであってnが1又は2である場合は、R及びRはともにヒドロキシではないことを前提とする)。さらなる代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【0065】
【化20】

(式中、nが0でなく、RがRでない場合は、Cで示される炭素原子は、キラルの中心を構成し、X及びXの一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数が1から6のアルキル、又はNH−Zであり、X及びXの他方は水素原子であり、R及びRの各々は、互いに独立に、水素原子又はNH−Zであり、Rは、炭素原子数が1から6のアルキル、ハロ又は水素原子であり、Zは、水素原子、アリール、又は炭素原子数が1から6のアルキル若しくはアシルであり、nは、0、1又は2の値を有する)。
【0066】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である。
【化21】

(式中、nが0でなく、RがRでない場合は、Cで示される炭素原子は、キラルの中心を構成し、X及びXの一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数が1から6のアルキル、又はNH−Zであり、X及びXの他方は水素原子であり、R及びRの各々は、互いに独立に、水素原子又はNH−Zであり、Rは、炭素原子数が1から6のアルキル、ハロ又は水素原子であり、Zは、水素原子、アリール、又は炭素原子数が1から6のアルキル若しくはアシルであり、nは、0、1又は2の値を有する)。該化合物の具体的な例は、以下の式の化合物である。
【0067】
【化22】

(式中、X及びXの一方は、ニトロ又はNH−Zであり、X及びXの他方は水素原子であり、
及びRの各々は、互いに独立に、水素原子又はNH−Zであり、
は、炭素原子数が1から6のアルキル、ハロ又は水素原子であり、
Zは、水素原子、フェニル、炭素原子数が1から6のアシル、又は炭素原子数が1から6のアルキルであり、
nは、0、1又は2の値を有し、
及びXの一方がニトロであって、nが1又は2である場合は、R及びRは、ヒドロキシ以外であり、且つ
−CORと−(CHCORとが異なる場合は、Cで示される炭素原子は、キラルの中心を構成することを前提とする)。他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【0068】
【化23】

(式中、X及びXの一方は、炭素原子数が1から6のアルキルであり、
及びRの各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり、
は、炭素原子数が1から6のアルキル、ハロ又は水素原子であり、
Zは、水素原子、フェニル、炭素原子数が1から6のアシル、又は炭素原子数が1から6のアルキルであり、
nは、0、1又は2の値を有し、
−CORと−(CHCORとが異なる場合は、Cで示される炭素原子は、キラルの中心を構成する)。
【0069】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節剤としては、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,458,810号に記載されている、2位が2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルで置換されたイソインドリン−1−オン及びイソインドリン−1,3−ジオンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である。
【化24】

(式中、
で示される炭素原子は、キラルの中心を構成し、
Xは、−C(O)−又は−CH−であり、
は、炭素原子数が1から8のアルキル、又は−NHRであり、
は、水素原子、炭素原子数が1から8のアルキル、又はハロゲンであり、
は、水素原子、
非置換の炭素原子数が1から8のアルキル、又は、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数が1から8のアルキル、
炭素原子数が3から18のシクロアルキル、
非置換フェニル、又は、炭素原子数が1から8のアルキル、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換されたフェニル、
非置換ベンジル、又は、炭素原子数が1から8のアルキル、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換されたベンジル、又は−CORであり、
は、水素原子、
非置換の炭素原子数が1から8のアルキル、又は、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数が1から8のアルキル、
炭素原子数が3から18のシクロアルキル、
非置換フェニル、又は、炭素原子数が1から8のアルキル、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換されたフェニル、又は
非置換ベンジル、又は炭素原子数が1から8のアルキル、炭素原子数が1から8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数が1から4のアルキルアミノで置換されたベンジルである)。
【0070】
本発明の化合物は、商業的に購入するか、或いは本明細書に開示されている特許又は特許公報に記載されている方法に従って調製することが可能である。さらに、光学的に純粋な組成物は、知られている分割剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて非対称的に合成又は分割されうる。
【0071】
本明細書に用いられるように、且つ特に指定がない限り、「医薬として許容し得る塩」という用語は、その用語が示唆する化合物の無毒性酸及び塩基添加塩を包含する。許容される無毒性酸添加塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボリン酸(embolic acid)及びエナント酸を含む、当該技術分野で知られている有機及び無機酸又は塩基から誘導された塩が挙げられる。
【0072】
本質的に酸性である化合物は、様々な医薬として許容し得る塩基と塩を形成することが可能である。当該酸性化合物の医薬として許容し得る塩基添加塩を調製するのに使用できる塩基は、無毒性塩基添加塩、即ち特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、及びカルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウム塩を含むがそれらに限定されない、薬理学的に許容されるカチオンを含む塩を形成する塩基である。好適な有機塩基としては、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リジン及びプロカインが挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】
本明細書に用いられるように、且つ特に指定がない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で加水分解、酸化或いは反応して、化合物を与えることが可能である化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバミン酸塩、生加水分解性炭酸塩、生加水分解性ウレイド及び生加水分解性リン酸塩類似体の如き生加水分解生成分を含む本発明の免疫調節化合物の誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO、−ONO又は−ONO成分を含む本発明の免疫調節化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、典型的には、1 Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982(Manfred E. Wolff編、第5版、1995)及びDesign of Prodrugs(H. Bundgaard編、Elselvier、New York 1985)に記載されている方法の如きよく知られている方法を用いて調製されうる。
【0074】
本明細書に用いられるように、且つ特に指定がない限り、「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバミン酸塩」、「生加水分解性炭酸塩」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性リン酸塩」は、それぞれ1)化合物の生体活性に干渉せず、吸収、作用の持続又は作用の開始といったようなインビボでの化合物の有利な特性を与えることが可能であり、或いは2)生物学的に不活性であるが、生物学的活性化合物にインビボで変換される化合物のアミド、エステル、カルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド又はリン酸塩を意味する。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(アセトキシメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル及びピバロイルオキシエチルエステル等)、ラクトニルエステル(フタリジル及びチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチル及びイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル等)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル及びアシルアミノアルキルエステル(アセトアミドメチルエステル等)が挙げられるが、それらに限定されない。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるが、それらに限定されない。生加水分解性カルバミン酸塩の例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式及び複素環式芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0075】
本発明の様々な免疫調節化合物は、1以上のキラル中心を含み、鏡像異性体のラセミ混合物又はジアステレオ異性体の混合物として存在しうる。本発明は、当該化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、並びにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、等量又は不等量の本発明の特定の免疫調節化合物の鏡像異性体を含む混合物を本発明の方法及び組成物に使用することができる。これらの異性体は、キラルカラム又はキラル分割剤の如き標準的な技術を用いて、非対称的に合成又は分割されうる。例えば、Jacques, J.らの論文、「鏡像異性体、ラセミ体及び分解能」(Wiley-Interscience(ニューヨーク)、1981)、Wilen, S.H.らの論文「四面体」、33: 2725(1977)、Eliel, E.L.の論文、「炭素化合物の立体化学」(McGraw-Hill(ニューヨーク州)、1962)、及びWilen, S.H.の論文、「分割剤の表及び光学分割」、268頁(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame press(インディアナ州Notre Dame),1972)を参照されたい。
【0076】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定のない限り、「立体異性的に純粋」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含む、その化合物の他の立体異性体を実質的に有さない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、その化合物の反対の鏡像異性体を実質的に有さないことになる。2つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオ異性体を実質的に有さないことになる。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、約80重量%を上回るその化合物の1つの立体異性体、及び約20重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、より好ましくは約90重量%を上回るその化合物の1つの立体異性体、及び約10重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、さらにより好ましくは約95重量%を上回るその化合物の1つの立体異性体、及び約5重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、最も好ましくは約97重量%を上回るその化合物の1つの立体異性体、及び約3重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含む。本明細書に用いられているように、且つ特に指定のない限り、「立体異性的にリッチ」という用語は、約60%を上回る、好ましくは約70%を上回る、より好ましくは約80%を上回る、化合物の1つの立体異性体を含む組成物を意味する。本明細書に用いられているように、且つ特に指定のない限り、「鏡像異性的に純粋」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。同様に、「鏡像異性的にリッチ」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的にリッチな組成物を意味する。
【0077】
示した構造とその構造に与えられた名称との間に差がある場合は、示した構造により大きな重みが与えられることに留意されたい。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太線又は点線で示されていない場合は、その構造又は構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含するものと解釈される。
【0078】
(4.2.第2の活性剤)
1以上の第2の活性成分を、本発明の免疫調節化合物とともに本発明の方法及び組成物に使用することが可能である。好ましい実施態様において、第2の活性剤は、血球生成のプロセスに影響を与え、又はそれを向上させることが可能である。特定の第2の活性剤は、また、インビトロ又はインビボでの細胞における対象とする赤血球前駆体の分裂及び分化を刺激する。
【0079】
第2の活性剤は、大分子(例えばタンパク質)又は小分子(例えば合成無機物、有機金属又は有機分子)でありうる。第2の活性剤としては、造血成長因子、サイトカイン、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤、免疫抑制剤、及び本明細書に記載されている他の療法剤が挙げられるが、それらに限定されない。特定の薬剤としては、G−CSF、GM−CSF、EPO、デキサメタソン、トポテカン、ペントキシフィリン、イリノテカン、シプロフロキサシン、ビノレルビン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、イソトレチノイン、13−シス−レチン酸、12−O−テトラデカノイルホルボル−13アセテート(TPA)、5−AZA2’−デオキシシチジン、9−ニトロカンプ−トテシン、トランスレチン酸、アミフォスチン、アムホテリシンB及びリポソームアムホテリシンB、抗CD−20モノクロナル抗体、抗チモサイルグロブリン(ATG)、三酸化砒素、アザシチジン、ベバシズマブ、ビスマスモノクロナル抗体、ブリオスタチン、ブスルファン、カスポファンギンアセテート、セロコキシブ、クラドリビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、シトシン、ダウノルビシン、デプシペプチド、エトポシド、ファレシトランスフェラーゼ阻害剤、フラボピリドール、Flt3リガンド、フルダラビン、ゲンツズマブオゾゴミシン(ミロタルグ)、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、イマチニブ(Glivec(登録商標))、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ヒト化モノクロナル抗VEGF抗体、イダルビシン、ロイコボリン、メルファラン、ミトキサントロン、モノクロナル抗体ABX−CBL、モノクロナル抗体CD52、ミコフェノラートモフェチル、オブリメルセン、オメガ−3脂肪酸、ペントスタチン、酪酸フェニル、PR1白血病ペプチドワクチン、モンタニド、プロテアソーム阻害剤、フェニル酪酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、テモゾロミド、チモグロブリン、トロキサチル、腫瘍壊死因子受容体IgGキメラ、及びイットリウムY90ヒト化モノクロナル抗体M195が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の具体的な実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン及び/又はデキサメタソンと組み合わせて使用される。
【0080】
本発明は、原生、天然及び組換えタンパク質の使用をも包含する。本発明は、それらのベースとなるタンパク質の薬理学的活性の少なくとも一部をインビボで発揮する天然タンパク質の変異体及び誘導体(例えば改造形態)をさらに包含する。変異体の例としては、タンパク質の天然形態における対応する残基と異なる1以上のアミノ酸残基を1以上有するタンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。「変異体」という用語には、タンパク質の天然形態(非グリコシル化形態)に通常存在する炭水化物成分が欠如したタンパク質も包含される。誘導体の例としては、ペギル化誘導体、及びIgG1又はIgG3をタンパク質又は対象のタンパク質の活性部分に融合することによって形成されたタンパク質の如き融合タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Penichet, M.L.及びMorrison, S.L., J. Immunol. Methods 248: 91-101(2001)を参照されたい。
【0081】
G−CSFの組換え及び変異形態は、いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,810,643号、4,999,291号、5,528,823号及び5,580,755号に記載されているように調製されうる。GM−CSFの組換え及び変異形態は、いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,391,485号、5,393,870号及び5,229,496号に記載されているように調製されうる。実際、特定の化学療法に伴う症状の治療のためのG−CSF及びGM−CSFの組換え形態が現在米国で販売されている。フィルグラスチンとして知られているG−CSFの組換え形態が、Neupogen(登録商標)という商品名で米国にて販売されている。Neupogen(登録商標)は、MDS患者における顆粒球、多くは好中球の分裂及び成熟を刺激するとともに、EPOと組み合わせてエリスロイド応答を高めることが知られている(Physician's Desk Reference, 587-592(第56版、2002年))。また、サルグラモスチムとして知られているGM−CSFの組換え形態が、Leukine(登録商標)という商品名で米国にて販売されている。Leukine(登録商標)は、初期の骨髄及びマクロファージ前駆細胞の分裂及び成熟を刺激することが知られており、顆粒球を増加させることが報告されている(Physicians' Desk Reference, 1755-1760 (第56版、2002年)。エポエチンアルファとして知られているEPOの組換え形態が、Epogen(登録商標)という商品名で米国にて販売されている。Epogen(登録商標)は、対象とする赤血球前駆細胞の分裂及び成熟を刺激することによって赤血球細胞生成を刺激するのに使用される。Epogen(登録商標)は、単独で投与された場合に20から26%のMDS患者に有効であり、G−CSF又はGM−CSFと組み合わせた場合に48%もの患者に有効であることが報告されている(Physicians' Desk Reference, 582-587 (第56版、2002年)。
【0082】
G−CSF、GM−CSF及びEPOの如き成長因子又はサイトカインは、ワクチンの形態で投与されうる。例えば、G−CSF及びGM−CSFの如きサイトカインを排泄する、又はその排泄を引き起こすワクチンを本発明の方法、医薬組成物及びキットに使用することが可能である。例えば、Emens, L.Aらの論文、Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1): 77-84 (2001)を参照されたい。
【0083】
本発明の免疫調節化合物と組み合わせて投与又は使用することが可能である他の化合物としては、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、2002年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/380,842号、及び2002年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/380,843号に開示されている化合物が挙げられる。
【0084】
(4.3.治療及び管理方法)
本発明の方法は、様々な種類のMDSを予防、治療且つ/又は管理する方法を包含する。本明細書に用いられているように、特に指定のない限り、「予防」という用語には、MDSに伴う症状の抑制又は回避が含まれるが、それに限定されない。MDSに伴う症状としては、貧血症、血小板減少症、好中球減少症、血球減少症、二重血球減少症(2つの欠乏細胞系統)及び汎血球減少(3つの欠乏細胞系統)が挙げられるが、それに限定されない。本明細書に用いられるように、特に指定のない限り、「治療」という用語は、MDSの症状の発症の後の組成物の投与を意味するのに対して、「予防」とは、特にMDSの危険性のある患者に対して症状が発症する前に投与することを意味する。本明細書に用いられるように、且つ特に指定のない限り、「管理」という用語は、MDSにかかっていた患者におけるMDSの再発を防止すること、MDSにかかっていた患者が緩解状態にとどまる時間を延ばすこと、及び/又はMDSにかかる危険性のある患者におけるMDSの発生を防ぐことを包含する。
【0085】
本発明は、一次及び二次MDSの患者を治療又は予防する方法を包含する。本発明は、以前にMDSの治療を受けた患者、並びに以前にMDSの治療を受けたことのない患者を治療する方法をさらに包含する。MDSの患者は、種々の臨床的症状及び多様な臨床的事象を有するため、患者をその予後に応じて段階分けし、重症度及び段階に応じて治療に取り組むことが必要であることが明らかになった。実際、本発明の方法及び組成物を、難治性貧血症(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、過剰芽球を伴うRA(RAEB)、形質転換におけるRAEB(RARB−T)、又は慢性骨髄性単球性白血病(CMML)を含むが、それらに限定されない1以上のMDSの患者に対する様々な段階の治療に用いることが可能である。本発明は、また、上記のMDSに対するIPSSを使用して診断された患者を治療することを想定する(Greenbergらの論文、Blood 1997 (89): 2079-88)。
【0086】
本発明に包含される方法は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物又はプロドラッグを、MDSに罹患している、又は罹患する可能性の高い患者(例えばヒト)に投与することを含む。具体的な患者群は、高齢者、例えば60歳以上の患者、並びに35歳以上の患者を含む。MDS又は白血病の家族性病歴を有する患者も予防療法の好ましい候補である。
【0087】
本発明の一実施例において、本発明の免疫調節化合物は、約0.10から約150mg/日の量を単一又は分割した日用量で経口投与される。特定の実施態様において、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン(Actimid(商標))は、1日当たり約0.1から約1mg、或いは1日おきに約5mgの量を投与される。3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(Revimid(商標))は、好ましくは、1日当たり約5から25mg、或いは1日おきに約25から約50mgの量を投与されうる。
【0088】
(4.3.1 第2の活性剤との併用療法)
本発明の特定の方法は、1)本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び2)第2の活性剤又は活性成分を投与することを含む。本発明の免疫調節化合物の例は本明細書に開示されており(例えばセクション4.1参照)、第2の活性剤の例も本明細書に開示されている(例えばセクション4.2参照)。
【0089】
患者に対する免疫調節化合物及び第2の活性剤の投与は、同一又は異なる投与経路によって同時又は順次に行われうる。特定の活性剤に対して採用される特定の投与経路の適合性は、活性剤自体(例えば血流に浸入する前に分解することなく経口投与できるかどうか)、及び治療されている疾患に依存することになる。免疫調節化合物の好ましい投与経路は経口投与である。本発明の第2の活性剤又は成分の好ましい投与経路は、当業者に知られている。例えば、Physicians' Desk Reference, 1755-1760 (第56版、2002年)を参照されたい。
【0090】
一実施態様において、第2の活性剤は、静脈又は皮下投与され、約1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50から約200mgの量を1日に1回又は2回投与される。第2の活性剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理されているMDSの種類、MDSの重症度及び段階、本発明の免疫調節化合物、及び患者に対して同時に投与される任意の追加的な活性剤の量に依存することになる。特定の実施態様において、第2の活性剤は、GM−CSF、G−CSF、EPO、トランスレチン酸、デキサメタソン、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、又はそれらの組合せである。GM−CSFは、2時間にわたって約60から約500mcg/mの量を静脈投与され、或いは約5から約12mcg/m/日の量を皮下投与される。G−CSFは、最初に約1mcg/kg/日の量を皮下投与され、全顆粒球計数の増加に応じて調整されうる。維持投与量は、皮下投与で300(より小さい患者の場合)又は480mcgである。EPOは、10000ユニットの量を1週間に3回皮下投与される。
【0091】
(4.3.2 移植療法との使用)
さらに他の実施態様において、本発明は、MDSを治療、予防且つ/又は管理する方法であって、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを移植療法と併用して投与することを含む方法を包含する。本明細書の他の個所で論述しているように、MDSの治療は、疾患の段階及びメカニズムに基づく。不可避的な白血病転換がMDSのある段階で生じると、末梢血液幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄の移植が必要になりうる。本発明の免疫調節化合物と移植療法を併用すると、特異的且つ予期しない相乗効果がもたらされる。特に、本発明の免疫調節化合物は、MDSの患者において、移植療法と同時に与えると、付加的又は相乗的な効果をもたらすことができる免疫調節活性を発揮する。本発明の免疫調節化合物は、移植療法と連係して機能して、移植の侵襲的な手順に伴う合併症、及び関連する移植片体宿主病(GVHD)のリスクを低減することが可能である。本発明は、MDSを治療、予防且つ/又は管理する方法であって、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄を移植する前、最中又は後に患者(例えばヒト)に対して投与することを含む方法を包含する。本発明での使用に好適な幹細胞の例は、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれている、2002年4月12日に出願されたR. Haririらによる米国仮特許出願第60/372,348号に開示されている。
【0092】
(4.3.3.繰返し療法)
特定の実施態様において、本発明の予防又は治療剤は、患者に繰り返し投与される。繰返し療法は、一定期間にわたって第1の薬剤を投与した後に、その薬剤及び/又は第2の薬剤を一定期間にわたって投与し、この順次的投与を繰り返すことを含む。繰返し療法は、1以上の療法に対する抵抗の発生を低減し、療法の1つの副作用を回避又は低減することが可能であり、且つ/又は治療の効果を高める。
特定の実施態様において、予防又は治療剤は、約16週間のサイクルで、毎日約1回又は2回投与される。1つのサイクルは、治療又は予防剤の投与、及び少なくとも1週間又は3週間の休止を含むことが可能である。投与サイクルの数は、約1から約12サイクル、より典型的には約2から約10サイクル、より典型的には約2から約8サイクルである。
【0093】
(4.4.医薬組成物及び単一単位投与形態)
医薬組成物は、個別の単一単位投与形態の調製に使用されうる。本発明の医薬組成物及び投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む。本発明の医薬組成物及び投与形態は、1以上の賦形剤をさらに含むことが可能である。
【0094】
本発明の医薬組成物及び投与形態は、1以上の追加的な活性成分を含むことも可能である。結果的に、本発明の医薬組成物及び投与形態は、本明細書に開示されている活性成分(例えば本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び第2の活性成分)を含む。任意の追加的な活性成分の例は、本明細書に開示されている(例えばセクション4.2参照)。
【0095】
本発明の単一単位投与形態は、患者に対する経口、粘膜(例えば経鼻、舌下、腔口、頬又は直腸)、又は非経口(例えば皮下、静脈、大量注射、筋肉内又は動脈内)、或いは経皮(transdermal)又は経皮(transcutaneous)投与に好適である。投与形態の例としては、錠剤、キャプレット、軟弾性ゼラチンの如きカプセル、カシェ剤、トローチ、糖衣錠、分散液、坐薬、粉末、煙霧剤(例えば経鼻スプレー又は吸入剤)、ゲル、懸濁液(例えば水性又は非水性懸濁液、水中油エマルジョン又は油中水液体エマルジョン)溶液及びエリキシルを含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体投与形態、患者に対する非経口投与に好適な液体投与形態、並びに患者に対する非経口投与に好適な液体投与形態を提供するように復元できる無菌固形物(例えば結晶又は非結晶固形物)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0096】
本発明の投与形態の組成、形状及び種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変わることになる。例えば、疾患の急性治療に使用される投与形態は、同じ疾患の慢性治療に使用される投与形態よりも1以上の活性成分をより多く含有することができる。同様に、非経口投与形態は、同じ疾患を治療するのに使用される経口投与形態よりも1以上の活性成分をより少なく含有することができる。本発明に包含される具体的な投与形態が互いに異なるこれら及び他の様式は、当業者に容易に理解されるであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、ペンシルバニア州Easton(1990)を参照されたい。
【0097】
典型的な医薬組成物及び投与形態は、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、製薬業の当業者によく知られており、好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書に提示されている。特定の賦形剤が、医薬組成物又は投与形態への導入に好適であるかどうかは、その投与形態が患者に投与される様式を含むが、それに限定されない、当該技術分野でよく知られている様々な因子に依存する。例えば、錠剤の如き経口投与形態は、非経口投与形態での使用に適さない賦形剤を含有することができる。特定の賦形剤の適合性は、投与形態における具体的な活性成分にも依存しうる。例えば、乳糖の如きいくつかの賦形剤によって、又は水に接触した場合に、いくつかの活性成分の分解が加速されうる。一級又は二級アミンを含む活性成分は、当該加速された分解の影響を特に受けやすい。結果的に、本発明は、乳糖及び他の単糖又は二糖類を含有していてもごくわずかしか含まない医薬組成物及び投与形態を包含する。本明細書に用いられているように、「無乳糖」という用語は、乳糖が存在しているとしても、その量は、活性成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分なものであることを意味する。
【0098】
本発明の無乳糖組成物は、当該技術分野でよく知られており、例えばU.S. Pharmacopia (USP) 25-NF20 (2002)に列記されている賦形剤を含むことが可能である。概して、無乳糖組成物は、医薬として適用可能且つ医薬として許容し得る量の活性成分、バインダ/充填剤及び潤滑剤を含む。好ましい無乳糖投与形態は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0099】
本発明は、水はいくつかの化合物の分解を促進させうるため、活性成分を含む無水医薬組成物及び投与形態をさらに包含する。例えば、水を(例えば5%)添加することは、保存寿命、又は調合物の経時的安定性等の特性を決定づけるために長期保存を刺激する手段として医薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen、Drug Stability: Principles & Practice、第2版、ニューヨーク州ニューヨークMarcel Dekker、1995年、379-80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速させる。したがって、調合物の製造、処理、梱包、保管、出荷及び使用時に水分及び/又は湿気に触れることが多いため、調合物に対する水の影響は、極めて大きいと言える。
【0100】
本発明の無水医薬組成物及び投与形態は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は湿度条件を用いて調製されうる。乳糖、及び一級又は二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び投与形態は、製造、梱包及び/又は保管時に水分及び/又は湿気との接触が想定される場合は、無水であることが好ましい。
【0101】
無水医薬組成物は、その無水特性が維持されるように調製、保管されるべきである。よって、無水組成物は、それらを好適な調合キットに含むことができるように、水との接触を防止することが知られている材料を使用して梱包されるのが好ましい。好適な梱包の例としては、気密密封箔、プラスチック、単位投与容器(例えばバイアル)、ブリスタ包装及びストリップ包装が挙げられるが、それらに限定されない。
【0102】
本発明は、活性成分が分解する速度を低減する1以上の化合物を含む医薬組成物及び投与形態を包含する。本明細書において「安定剤」と称する当該化合物としては、アスコルビン酸の如き酸化防止剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0103】
賦形剤の量及び種類と同様に、投与形態における活性剤の量及び具体的な種類は、患者に投与される経路を含むが、それらに限定されない要因に応じて異なることもある。しかし、本発明の典型的な投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを約0.10から約150mg含む。典型的な投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150又は200mg含む。特定の実施態様において、好ましい投与形態は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン(Actimid(商標))を約1、2、5、10、25又は50mg含む。特定の実施態様において、好ましい投与形態は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(Revimid(商標))を約5、10、25又は50mg含む。典型的な投与形態は、第2の活性成分を1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50から約200mg含む。勿論、第2の活性成分の具体的な量は、使用される具体的な薬剤に、治療又は管理されているMDSの種類、並びに患者に対して同時に投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の追加的な活性剤の量に依存することになる。
【0104】
(4.4.1 経口投与形態)
経口投与に好適である本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば咀嚼性錠剤)、キャプレット、カプセル及び液体(例えば香味シロップ)を含むが、それらに限定されない個別の投与形態として提供されうる。当該投与形態は、所定量の活性成分を含有し、当業者によく知られている製薬方法で調製されうる。概略的に、Remington's Pharmaceutical Science、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
【0105】
本発明の典型的な経口投与形態は、均質混和剤中の活性成分と少なくとも1つの賦形剤とを従来の医薬調合技術に従って混合させることによって調製される。賦形剤は、投与に望まれる製剤の形態に応じて広範な形態をとることができる。例えば、経口液体又は噴霧投与形態での使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤及び着色剤が挙げられるが、それらに限定されない。固形経口投与形態(例えば粉末、錠剤、カプセル及びキャプレット)での使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダ及び崩壊剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0106】
錠剤及びカプセルは、投与が容易であるために、最も有利な経口投与形態であり、その場合は固形賦形剤が採用される。望まれる場合は、水性又は非水性技術によって錠剤にコーティングすることが可能である。当該投与形態は、製薬方法のいずれかによって調製されうる。概して、医薬組成物及び投与形態は、活性成分と、液体担体、細かく分割された固体担体、又はその両方とを均一且つ均質に混合し、次いでその生成物を必要に応じて所望の形に成形することによって調製される。
【0107】
例えば、錠剤を圧縮又は成形によって調製することが可能である。場合によっては賦形剤と混合された粉末又は顆粒の如き自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって、圧縮錠剤を調製することが可能である。加湿された粉末状化合物と不活性な液体希釈剤との混合物を好適な機械で成形することによって成形錠剤を製造することが可能である。
【0108】
本発明の経口投与形態に使用できる賦形剤の例としては、バインダ、充填剤、崩壊剤及び潤滑剤が挙げられるが、それらに限定されない。医薬組成物及び投与形態での使用に好適なバインダとしては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、アカシアの如き天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末状トラガカント、ガーガム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば第2208、2906及び2910)、微結晶セルロース、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0109】
微結晶セルロースの好適な形態としては、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、ペンシルバニア州(Marcus Hook)から入手可能)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。具体的なバインダは、AVICEL RC−581として販売されている微結晶セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水又は低水分賦形剤又は添加剤としては、AVICEL−PH−103(商標)及び1500LMが挙げられる。
【0110】
本明細書に記載されている医薬組成物及び投与形態での使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末状セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の医薬組成物におけるバインダ又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は投与形態の約50から約99重量%存在する。
【0111】
水性環境に曝されると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物に崩壊剤が使用される。過大量の崩壊剤を含有する錠剤は、保管時に崩壊することがあり、過小量の崩壊剤を含有する錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、活性成分の放出を不利に変化させるほど過大でもなく過小でもない十分量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口投与形態を形成するべきである。使用される崩壊剤の量は、調合物の種類によって異なり、当業者にとって容易に区別可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5から約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1から約5重量%の崩壊剤を含む。
【0112】
本発明の医薬組成物及び投与形態に使用できる崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
本発明の医薬組成物及び投与形態に使用できる潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化油(例えば落花生湯、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる潤滑剤としては、例えば、シロイドシリカゲル(W. R. Grade Co.(メリーランド州Baltimore)製AEROSIL200)、合成シリカの凝集噴霧剤(Degussa Co.(テキサス州Plano)により市販)、CAB−O−SIL(Cabot Co.(マサチューセッツBoston)が販売する発熱性二酸化シリコン製品)、及びそれらの混合物が挙げられる。潤滑剤は、使用されるとしても、典型的には、それらが導入される医薬組成物又は投与形態の約1重量%未満の量で使用される。
本発明の好ましい固形経口投与形態は、本発明の免疫調節化合物、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド無水シリカ及びゼラチンを含む。
【0114】
(4.4.2 遅延放出投与形態)
本発明の活性成分は、当業者によく知られている徐放手段又は送達デバイスによって投与されうる。例としては、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,845,770号、3,916,899号、3,536,809号、3,598,123号、並びに4,008,719号、5,674,533号、5,059,595号、5,591,767号、5,120,548号、5,073,543号、5,639,476号、5,354,556号及び5,733,566号に記載されている活性成分が挙げられるが、それらに限定されない。当該投与形態は、例えば、様々な割合で所望の放出プロフィルを提供するヒドロプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリックス、ゲル、浸透膜、浸透圧システム、多層塗膜、微粒子、リポソーム、微小球、又はそれらの組合せを使用して、1以上の活性成分遅延放出又は徐放を提供するのに使用されうる。本明細書に記載されている徐放性調合物を含む、当業者に知られている好適な徐放性調合物を、本発明の活性成分とともに使用するために容易に選択することが可能である。したがって、本発明は、徐放に向けて構成された錠剤、カプセル、ゲルカップ及びキャプレットを含むが、それらに限定されない経口投与に好適な単一単位投与形態を包含する。
【0115】
すべての徐放性医薬製品は、非徐放性製品と比較して薬物療法を向上させるという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された徐放性製剤の使用は、最短時間で状態を治癒又は抑制するのに最小量の薬物を採用することによって特徴づけられる。徐放性調合物の利点としては、薬物の活性の増強、投与頻度の低減、患者コンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、徐放性調合物を使用して、作用の発生時間、又は薬物の血中濃度の如き他の特徴に影響することができるため、副作用(例えば悪影響)の発生に影響することができる。
【0116】
たいていの徐放性調合物は、所望の治療効果を即座にもたらす一定量の薬剤(活性成分)を最初に放出し、別の量の薬剤を徐々に且つ連続的に放出して、長期間にわたってこの治療又は予防効果のレベルを維持するように設計される。体内でこの一定の薬剤レベルを維持するために、代謝され、体内から排泄される薬剤の量に匹敵する速度で薬剤を投与物から放出させなければならない。活性成分の徐放は、pH、温度、酵素、水又は他の生理的条件又は化合物を含むが、それらに限定されない様々な条件によって刺激されうる。
【0117】
(4.4.3 非経口投与形態)
非経口投与形態は、皮下、静脈内(大量注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、それらに限定されない様々な経路によって患者に投与されうる。それらの投与は、典型的には、汚染物質に対する患者の自然の防御を回避するため、非経口投与形態は、好ましくは、無菌であるか、又は患者への投与に先立って滅菌することが可能である。非経口投与の例としては、注射に向けて用意された溶液、医薬として許容し得る注射用媒体に溶解又は懸濁するように用意された乾燥製品、注射に向けて用意された懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0118】
本発明の非経口投与形態を提供するのに使用できる好適な媒体は、当業者によく知られている。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液を含むが、それらに限定されない水性媒体;エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを含むが、それらに限定されない水和性媒体;並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを含むが、それらに限定されない非水性媒体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0119】
本明細書に開示されている1以上の活性成分の溶解度を高める化合物を本発明の非経口投与形態に導入することが可能である。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を使用して、本発明の免疫調節化合物及びその誘導体の溶解度を高めることが可能である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0120】
(4.4.4 局所及び粘膜投与形態)
本発明の局所及び粘膜投与形態としては、噴霧剤、煙霧剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に知られている他の形態が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Remington's Pharmaceutical Science、第16及び18版、Mack Publishing、ペンシルバニア州Easton(1980 & 1990)、及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第4版、Lea & Febiger、フィラデルフィア(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに好適な投与形態を洗口液又は経口ゲルとして調合することが可能である。
【0121】
本発明に包含される局所及び粘膜投与形態を提供するのに使用できる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、製薬業界の当業者によく知られており、所定の医薬組成物又は投与形態が適用される特定の組織に依存する。この事実を考慮すると、典型的な賦形剤としては、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及び無毒で医薬として許容し得る溶液、エマルジョン又はゲルを形成するそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。望まれる場合は、加湿剤又は湿潤剤を医薬組成物及び投与形態に添加することが可能である。当該追加的な成分の例は当該技術分野でよく知られている。例えば、Remington's Pharmaceutical Science、第16及び18版、Mack Publishing、ペンシルバニア州Easton(1980 & 1990)を参照されたい。
【0122】
医薬組成物又は投与形態のpHを調節して、1以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張度を調節して、送達を向上させるが可能である。ステアリン酸塩の如き化合物を医薬組成物又は投与形態に添加して、送達を向上させるように、1以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させることも可能である。この点において、ステアリン酸塩は、調合物の脂質媒体として、乳化剤又は界面活性剤として、且つ送達促進剤又は浸透促進剤として機能することが可能である。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調節することが可能である。
【0123】
(4.4.5 キット)
典型的には、本発明の活性成分は、同時に、又は同一の投与経路で患者に投与されないのが好ましい。したがって、本発明は、医療実務者によって使用されると、患者に対する適切な量の活性成分の投与を簡潔化することが可能であるキットを包含する。
本発明の典型的なキットは、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ若しくは包接化合物の投与形態を含む。本発明に包含されるキットは、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフラキサシン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13−シス−レチン酸、又はそれらの薬理学的に活性な変異体若しくは誘導体、或いはその組合せの如き追加的な活性成分をさらに含む。追加的な活性成分の例としては、本明細書に開示されている活性成分(例えばセクション4.2参照)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0124】
本発明のキットは、活性成分を投与するのに使用されるデバイスをさらに含むことが可能である。当該デバイスの例としては、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ及び吸入器が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明のキットは、移植用細胞又は血液、並びに1以上の活性成分を投与するのに使用できる医薬として許容し得る媒体をさらに含むことが可能である。例えば、活性成分が、非経口投与に向けて復元しなければならない固体形態で提供される場合は、キットは、活性成分を溶解させて、非経口投与に好適である無粒子の無菌溶液を形成することができる好適な媒体の密封容器を含むことが可能である。医薬として許容し得る媒体としては、注射用水USP、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液を含むが、それらに限定されない水性媒体、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを含むが、それらに限定されない水和性媒体、並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを含むが、それらに限定されない非水性媒体が挙げられるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0125】
(5. 実施例)
以下の試験は、本発明の範囲を制限することなくそれをさらに例示することを意図したものである。
MDSの患者の骨髄血漿において、成長阻害サイトカインTNF−αの過剰生成が実証されている。これは、TNF−αが、その疾患におけるエリスロイド前駆体の重要な陰性調節剤であることを暗示している。それを受けて、本発明の免疫調節化合物についての試験を行う。
【0126】
(5.1. 薬理学的及び毒性試験)
一連の非臨床的薬理学的及び毒性試験を実施して、被験者における本発明の免疫調節化合物の臨床評価を裏付ける。これらの試験は、特に注記のない限り、試験設計のための国際的に認定された指針に従い、且つ研究所業務実施基準(GLP)の規定に準拠して実施した。
【0127】
サリドマイドとの活性比較を含めて、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの薬理学的特性をインビトロ試験で特徴づける。試験は、様々なサイトカインの生成に対する3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン又はサリドマイドの影響を調べるものである。全試験において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、サリドマイドよりも少なくとも50倍強力であった。加えて、イヌにおける3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの安全性薬理試験を実施し、霊長類における3つの繰返し投与毒性試験の一部として、ECGパラメータに対する3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの影響をさらに調べた。この試験の結果について以下に述べる。
【0128】
(5.2. サイトカイン生成の変調)
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンによるヒトPBMC及びヒト全血のLPS刺激に続くTNF−α生成の阻害をインビトロで調べた(Mullerらの論文、Bioorg. Med. Chem. Ltss. 9: 1625-1630、1999)。PBMC及びヒト全血のLPS−刺激に続くTNF−αの生成を阻害するための3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンのIC50は、それぞれ〜100nM(25.9ng/mL)以下及び〜480nM(103.6ng/mL)以下である。対照的に、サリドマイドは、PBMCのLPS−刺激に続くTNF−αの生成を阻害するためのIC50が〜194μM(50.2μg/mL)以下であった。
【0129】
インビトロ試験は、サリドマイドと類似しているが、それより50から2000倍強力である3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの薬理学的活性プロフィルを示唆している。3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの薬理学的効果は、受容体開始栄養信号(例えばIGF−1、VEGF、シクロオキシゲナーゼ−2)に対する細胞応答の阻害剤としてのその作用、及び他の活性から導かれる。結果として、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、炎症性サイトカインの生成を抑制し、接着分子及び枯死阻害性タンパク質(例えば、cFLIP、cIAP)を下方制御し、死滅受容体開始プログラム化細胞死に対する感度を向上させ、血管形成応答を抑制する。それらの試験は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、リガンド誘発Aktリン酸化を絶やすことによってAML細胞におけるVEGFに対する分裂促進応答を排除し、前臨床モデルにおけるMDS対正常骨髄前駆体の形成を選択的に抑制することを示すものである。
【0130】
(5.3. MDS患者における臨床試験)
(プロトコル)
後に血液応答についての評価を受けるMDSの患者に対して、16週間にわたって、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン及び3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの如き本発明の免疫調節化合物を1日当たり約0.1mgから約25mg投与する。国際予後評価システム(IPSS)規定のリスク群(即ちIPSS低及び中間I対IPSS中間II及び高)に従って、白血病に転換するMDSサブタイプの確率によって階層化された同齢集団において応答速度を評価する。
【0131】
例えば、15人の患者が第1の同齢集団に登録され、1日当たり25mgの3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンによる治療を受ける。後に16週間までにエリスロイド応答(重度又は軽度の応答)を経験する患者の数を調べる。応答が確認されない場合は、効果が欠如しているため試験を終了する。しかし、4人以上の患者が応答する場合は、有望な臨床的活性があるため、試験を終了させる。中間の場合(1、2又は3人の患者が応答する場合)は、10人の患者よりなる第2の同齢集団を登録する。第2の同齢集団による治療の終了後に25人の患者のうち4人以上の患者が応答する場合は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは有望な臨床活性を有するものと結論づけられる。
【0132】
(臨床試験)
血球輸血依存(8週間に4単位を上回る)又は症候性貧血症(Hgb<10g/dl)を伴うMDS患者における3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの緩解潜在性について臨床試験を行った。患者は、毎日25mgの経口投与で、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンによる連続治療を受けた。16週間の治療の後に、IWG基準に従って応答を評価した。治療を受けた15人の患者のうち、11人の患者が、毒性について評価可能であり、9人の患者が応答(8週間を上回る療法)について評価可能であり、3人の患者が、胆石症、自己免疫溶血性貧血症、又は患者の拒絶により早めに(2週間未満で)治療を打ち切った。患者の平均年齢は78歳で、年齢幅は51から82歳であった。MDSの患者のFABタイプは、RA[4人]、RARS[4人]、RAEB[6人]及びRAEB−T[1人]を含み、対応するIPSS範疇では11人の患者が低/中間−1であり、4人の患者が中間−2/高である。第3級一般毒性基準を上回ること、又は白血球及び血小板計数が50%減少すること[9人]、及び第3級疲労「1人」によって特徴づけられる骨髄抑制により、最初の10人の患者では投与量を10mgに減らすことが必要であった。それに続くすべての患者は、毎日10mgの経口投与を開始した。第1、2級薬物関連有害効果は、25mgの投与量に限定され、痒み症又は疥癬頭皮「6人」及び筋肉痛[1人]を含んでいた。9人の評価可能な患者のうちの6人(66%)が、IPSS低/中間−1の6/7(86%)の患者を含めて、血液的恩恵(二系統、1人)を受けた。血液応答には、RBC輸血依存[4人]、50%を上回るRBC輸血量の低下[1人]1.5gを上回るHgbの増加[1人]、及び1つの小さい血小板応答(30000/μLを上回る増加)が含まれていた。細胞遺伝的応答について評価可能な5人の患者のうち、3人の患者が、完全又は部分的な(50%を上回る異常分裂中期の低下)緩解を達成した。応答は、芽球比率の正常化[1人]、BM細胞形成異常のレベルの低下、及びBM多分化前駆体(CFU−GEMM)及び赤血球破壊(BFU−E)形成の50%から40倍を上回る向上に対応づけられるものであった。枯死指標の変化との相関、血管形成特徴(細胞/血漿VEGF、微小血管密度)、サイトカイン生成、及び増殖率(Ki67)が進められている。この試験の結果は、低/中間−1リスクMDSの患者において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンが、顕著な赤血球形成及び細胞遺伝的緩解活性を有することを示している。臨床的恩恵は、低/中間−1の疾患の患者において最も大きく、細胞形成異常の消散に対応づけられる。枯死指標の増加、CFCの回復、及び核型異常の抑制は、該化合物が脊髄形成異常クローンの消滅を促すことを示唆する。これらのデータに基づいて、さらなる被験者を治療するためにこの試験を拡大した。日毎経口投与量としての10mgを用いた治療は、最小限の骨髄抑制に対して十分に許容されるものである。
【0133】
(拡大試験)
この臨床試験を少なくとも8週間にわたって、さらなる16人のMDS患者に拡大した。IPSSに応じて、これらの患者のうちの13人を低又は中間−1リスク患者として分類し、3人の患者を中間−2又は高リスク患者として分類した。FAB分類によれば、難治性貧血症(RA)又は輪状鉄芽球を伴うRA(RARS)の患者が11人、過剰芽球を伴うRA(RAEB)又は過剰芽球が形質転換しているRA(RAEB−T)の患者が5人であった。3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの開始投与量は、第1の13人の患者に対しては1日当たり25mgとし、残りの3人の患者に対しては1日当たり10mgとした。開始投与量の25mgが投与されたすべての患者は、8週間の治療が終了するまでに投与量を減らす必要があった。少なくとも8週間のモニタリングを完了したこれら16人の患者のうち、9人の患者が、国際MDS作業部会基準によって評価される赤血球応答を達成した。赤血球応答は、7人の以前は輸血依存性であった患者における輸血非依存性、輸血依存性貧血症の1人の患者における血中ヘモグロビン濃度の2g/dLを上回る増加、及び1人の輸血依存患者におけるRBC輸血必要量の50%を上回る減少からなるものであった。したがって、16人の患者のうちの8人に重度の赤血球応答が発生し、1人の患者に軽度の赤血球応答が認められた。赤血球応答を示した9人の患者全員が、低又は中間−1リスク患者であった。1人の患者は、軽度の血小板応答をも有していた。加えて、ベースラインにおいて、異常核型を伴う8人の患者のうち5人に完全細胞遺伝的応答が発生した。完全細胞遺伝的応答を示したこれら5人の患者は、いずれもDel5q31−33異常を有しており、それは、MDSに対する良好な予後因子であることがわかった。実際、5q症候群でこの試験に加わった5人の患者全員が、完全細胞遺伝的応答及び赤血球大応答を達成した。この試験により、この療法は、脊髄形成異常前駆体に対する枯死指標の増加、及び正常な造血前駆体細胞の回復と関連していることも示された。
【0134】
(5.4.MDS患者における繰り返し療法)
上述したように、本発明の免疫調節化合物をMDSの患者に繰り返し投与することが可能である。繰り返し療法は、一定期間にわたって第1の薬剤を投与した後に、その薬剤及び/又は第2の薬剤を一定期間にわたって投与し、この順次的投与を繰り返すことを含む。繰返し療法は、1以上の療法に対する抵抗の発生を低減し、療法の1つの副作用を回避又は低減させることが可能であり、且つ/又は治療の効果を高める。
【0135】
(実施例1)
具体的な実施態様において、予防又は治療薬を約16週間のサイクルで、毎日1回又は2回投与する。1つのサイクルは、治療又は予防薬の投与、及び少なくとも1、2又は3週間の休止を含む。投与サイクルの数は、約1から約12サイクル、より典型的には約2から約10サイクル、より典型的には約2から約8サイクルである。
【0136】
(実施例2)
試験の目的は、MDSの患者における3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの経口投与の効果及び安全性を評価することである。患者は、16週間(4サイクル)又は24週間(6サイクル)にわたって、4週間のサイクルで28日間毎に21日間にわたり10mg/d又は15mg/dの化合物を投与される。被験者群は、ベースライン(試験治療の初日)から8週間内に少なくとも2単位のRBCを投与された血球輸血依存性貧血症を伴う低又は中間のリスク1MDS(国際予後評価システム)の患者を含む。血液試験モニタリングに加えて、3サイクルの終了後と6サイクルの終了後に、ベースラインにおいて細胞発生分析による骨髄吸引液/生検組織を得る。骨髄安全性及び効果データを吟味して、試験全体にわたる便益対リスクを評価する。その試験では、国際MDS作業部会基準に従って、血球輸血依存及び重度のエリスロイド応答が吟味される。さらに、その試験では、5q欠失細胞発生異常;血漿、好中球、骨髄及び細胞発生応答;並びに8週間の期間にわたって血球輸血必要量が50%以上100%未満の軽度のエリスロイド応答を伴う患者のサブグループにおける血球輸血依存が認められる。その試験では、さらに、有害事象、血液試験、血清化学現象、TSH、検尿、尿又は血清妊娠試験、生命兆候、ECG及び物理的検査をモニタする。
【0137】
(実施例3)
試験の目的は、MDSの患者において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの経口投与の効果及び安全性を偽薬+標準治療の効果及び安全性と比較することである。患者は、16週間(4サイクル)又は24週間(6サイクル)にわたって4週間のサイクルで治療を受ける。被験者群は、ベースライン(試験治療の初日)から8週間内に少なくとも2単位のRBCを投与された血球輸血依存性貧血症を伴う低又は中間のリスク1MDS(国際予後評価システム)の患者を含む。安全及び効果を評価する試験のための来診は、4週間毎に行われ、血液試験モニタリングは2週間毎に実施される。3サイクルの終了後と6サイクルの終了後に、ベースラインにおいて細胞発生分析による骨髄吸引液/生検組織を得る。骨髄の所見、安全性及び効果データを吟味して、試験全体にわたる便益対リスクを評価する。化合物の投与による継続治療の延長試験は、6サイクルの療法から臨床的便益を引き出す患者に対して、且つ偽薬の対象として無作為に選択された被験者が該療法に乗り換える機会を提供するために利用可能である。
【0138】
本明細書に記載されている本発明の実施態様は、本発明の範囲の抽出標本にすぎない。本発明の全範囲は、添付の特許請求の範囲を参照すればより深く理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊髄形成異常症候群を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
脊髄形成異常症候群を管理する方法であって、そのような管理を必要とする患者に対して、予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
脊髄形成異常症候群を治療、予防又は管理する方法であって、そのような治療、予防又は管理を必要とする患者に対して治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び治療又は予防有効量の少なくとも1つの第2の活性成分を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
前記患者は、Del5q31−33異常を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の活性成分は、血球生成を向上させることが可能である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の活性成分は、サイトカイン、造血成長因子、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤又は免疫抑制剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の活性成分は、エタネルセプト、イマチニブ、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、イリノテカン、ビンブラスチン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13−シス−レチン酸、又はそれらの薬理学的活性変異体若しくは誘導体である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記脊髄形成異常症候群は、難治性貧血症、環状鉄芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球を伴う難治性貧血症、過剰芽球が形質転換している難治性貧血症、又は慢性骨髄性単球性白血病である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記脊髄形成異常症候群は、一次的又は二次的である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫調節化合物の前記立体異性体は、鏡像異性体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫調節化合物は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫調節化合物は、鏡像異性的に純粋である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫調節化合物は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節化合物は、鏡像異性的に純粋である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫調節化合物は、式(I)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法
【化1】

(式中、X及びYの一方は、C=Oであり、X及びYの他方は、C=O又はCHであり、Rは、水素原子、又は低級アルキルである。)。
【請求項16】
前記免疫調節化合物は、鏡像異性的に純粋である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫調節化合物は、式(II)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法:
【化2】

(式中、
X及びYの一方は、C=Oであり、他方はCH又はC=Oであり、
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’又は(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
は、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、又は(C〜C)アルキニルであり、
及びR3’は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)R又はC(O)ORであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、又は(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、又は(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリール、又は(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであり、或いはR基は結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成し、
nは、0又は1であり、
は、キラル−炭素中心を示す。)
【請求項18】
前記免疫調節化合物は、鏡像異性的に純粋である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫調節化合物は、置換スチレンのシアノ又はカルボキシ誘導体、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、及び四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫調節化合物は、鏡像異性的に純粋である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
脊髄形成異常症候群を治療、予防又は管理する方法であって、そのような治療、予防又は管理を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄を患者に移植する前、最中又は後に投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
脊髄形成異常症候群にかかっている患者における第2の活性成分の投与に伴う悪影響を低減又は回避する方法であって、そのような低減又は回避を必要とする患者に対してある量の第2の活性成分及び治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項23】
前記第2の活性成分は、血球生成を向上させることが可能である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の活性成分は、サイトカイン、造血成長因子、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤又は免疫抑制剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の活性成分は、エタネルセプト、イマチニブ、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、イリノテカン、ビンブラスチン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン及び13−シス−レチン酸、又はそれらの薬理学的活性変異体若しくは誘導体、又はそれらの組合せである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
脊髄形成異常症候群を治療、予防又は管理するのに有効な量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び担体を含む、医薬組成物。
【請求項27】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び第2の活性成分を含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記第2の活性成分は、血球生成を向上させることが可能である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記第2の活性成分は、サイトカイン、造血成長因子、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤又は免疫抑制剤である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記第2の活性成分は、エタネルセプト、イマチニブ、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、イリノテカン、ビンブラスチン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13−シス−レチン酸、又はそれらの薬理学的活性変異体若しくは誘導体、又はそれらの組合せである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び血球生成を向上させることが可能である第2の活性成分を含む、単一単位投与形態。
【請求項32】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及び第2の活性成分を含み、前記第2の活性成分は、サイトカイン、造血成長因子、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤又は免疫抑制剤である、単一単位投与形態。
【請求項33】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ、及びエタネルセプト、イマチニブ、抗TNF−α抗体、インフリキシマブ、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、イリノテカン、ビンブラスチン、デキサメタソン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13−シス−レチン酸、又はそれらの薬理学的活性変異体若しくは誘導体、或いはそれらの組合せを含む、単一単位投与形態。
【請求項34】
前記投与形態は、患者に対する静脈又は皮下投与に好適である、請求項31、32又は33に記載の単一単位投与形態。
【請求項35】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物と、
臍帯血、胎盤血、末梢血液幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄とを備えたキット。
【請求項36】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物と、
サイトカイン、造血成長因子、抗癌剤、抗生物質、プロテアソーム阻害剤及び免疫抑制剤からなる群から選択された第2の活性成分を含む医薬組成物と、
臍帯血、胎盤血、末梢血液幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄とを備えたキット。
【請求項37】
前記医薬組成物又は前記単一単位投与形態を投与するためのデバイスをさらに含む、請求項35又は36に記載のキット。
【請求項38】
患者における脊髄形成異常症候群を治療、予防又は管理する方法であって、
(a)前記患者がDel5q31−33異常を有するかどうかを判断すること、及び
(b)前記患者に対して治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物若しくはプロドラッグ投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2007−532641(P2007−532641A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508313(P2007−508313)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011630
【国際公開番号】WO2005/110408
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】