説明

脱硫およびそのための新規なプロセス

金属酸化物および少なくともそれの一部の原子価が低下している促進剤を含有する組成物、ならびにこのような組成物を生成する方法が開示されている。このようにして生成した組成物は脱硫ゾーン内で炭化水素ストリームから硫黄を除去するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素ストリームからの硫黄の除去に関する。本発明の他の面は、分解ガソリンおよびディーゼル燃料といった流体ストリームの脱硫での使用に適する組成物に関する。本発明の更に他の面は、分解ガソリンおよびディーゼル燃料といった流体ストリームからの硫黄分の除去での使用に適する組成物を生成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
よりクリーンな燃焼用燃料の必要性により、ガソリンおよびディーゼル燃料といった炭化水素ストリーム内に存在する硫黄の低下努力は世界的な規模で継続している。このような炭化水素ストリームの硫黄濃度の低下は、大気品質改善のための手段であると考えられている。なぜならば、硫黄は、自動車用触媒コンバーターのような硫黄により傷つきやすい装置の性能に対して悪影響を及ぼすからである。自動車エンジンからの排気中の硫黄酸化物の存在は、同コンバーター内の貴金属触媒の働きを損ね、場合によってはそれに不可逆的な被毒を与える可能性がある。非効率的あるいは被毒を受けたコンバーターからの排気ガスはある程度の未燃炭化水素、非メタン系炭化水素、窒素酸化物および一酸化炭素を含有する。このような排気ガスは、太陽光の触媒作用により地上レベルでのオゾン(より一般的にはスモッグと呼ばれている)を生成する。
【0003】
例えば熱分解ガソリン、ビスブレーカー・ガソリン、コーカー・ガソリンおよび接触分解ガソリン(これらを以後「分解ガソリン」と総称する)のような熱的に処理されたガソリンは部分的にオレフィン類、芳香族類、硫黄および硫黄含有化合物を含有している。例えば自動車ガソリン、レーシング・エンジン用ガソリン、航空ガソリン、舶用ガソリン等のガソリンの大半には少なくとも部分的に分解ガソリンがブレンドされているので、分解ガソリン中の硫黄濃度の低下は、例えば自動車ガソリン、レーシング・エンジン用ガソリン、航空ガソリン、舶用ガソリン等のようなガソリンの大半の硫黄濃度の低下に本質的に寄与する。
【0004】
ガソリン中の硫黄に関する世論の中心論点はその濃度を低下すべきか否かではない。新たに出現しているコンセンサスとは、より低硫黄濃度のガソリンは自動車排気ガス量を低減し、大気品質を改善するということである。従って、これまでの規制は、必要とされる硫黄濃度の低下の程度、低硫黄濃度ガソリンを必要とする地域、そしてそれの実施までの時間に焦点を当てている。
【0005】
自動車の大気汚染に対する影響に関する懸念が続くにつれて、自動車燃料の硫黄濃度低下のために今後更なる努力が要求されるであろうことは明らかである。現行のガソリン製品は約330ppmの硫黄を含有しているが、米環境保護庁は、ガソリン中の硫黄濃度を平均して30ppm未満、最高でも80ppmとの規制を最近発令した。2008年までに、同基準は米国内で販売されるガソリンのどのブレンドに対しても実質的に硫黄濃度30ppmレベルの順守を規制することになろう。
【0006】
低硫黄濃度の自動車用燃料の製造を可能にすることの必要性に加えて、そのためのプロセスも必要とされる。このようなプロセスは、オクタン価(リサーチ法およびモーター法によるオクタン価の両方)を維持するためにこの種の燃料中のオレフィン濃度に対して最少の影響を有することが要求されることになろう。オレフィン類の飽和はオクタン価に大きく影響するので、このようなプロセスが望ましいのである。オレフィン濃度に対するこのような悪影響は、一般的には、分解ガソリンからの除去が最も困難な含硫黄化合物のひとつであるチオフェン系化合物(例えばチオフェン類、ベンゾチオフェン類、アルキル・チオフェン類、アルキル・ベンゾチオフェン類、アルキル・ジベンゾオフェン類等)の除去のための例えば水素化脱硫で通常採用される過酷な条件での処理に起因する。更に、分解ガソリン中の芳香族分が飽和により減少するような条件が採用されるシステムを避ける必要がある。従って、脱硫と同時にオクタン価を維持するプロセスが必要とされる。
【0007】
分解ガソリンからの硫黄除去の必要性に加えて、石油産業にとっては、ディーゼル燃料中の硫黄濃度低下も必要とされる。一般的には、ガソリンに比べてディーゼル燃料からの硫黄除去は遥かに困難である。水素化脱硫によるディーゼル燃料からの硫黄除去では、セタン価は上昇するものの水素消費に起因してコストが高くなる。ここでの水素は、水素化脱硫と芳香族水素化の両方により消費される。
【0008】
従って、分解ガソリンおよびディーゼル燃料の処理のためのより経済的なプロセスを提供するためには、脱硫プロセスは大きな水素消費を伴わないことが必要である。
【0009】
分解ガソリンおよびディーゼル燃料の硫黄濃度を低下させるための成功しかつ経済的に成立するプロセスが欠如している結果、上記炭化水素ストリームの脱硫のための高度に硫黄を除去する一方でオクタン価に対して最小限度に影響するより優れたプロセスが必要とされることは明らかである。
【0010】
これまで炭化水素ストリームからの硫黄除去プロセスに用いられる組成物は、伝統的に固定層に適用される凝集体である。流動層に内包される各種のプロセス上の利点により、炭化水素ストリームは流動層反応器で処理されることもある。流動層反応器は、例えば熱移動効率が高い、圧力損失が少ないといった点で固定層反応器よりは有利である。流動層反応器では一般的に粒子状の反応物が使用される。この粒子状物質の粒径は、一般的には約1〜1000ミクロンである。しかしながら、使用される同反応物は、通常は全ての適用において十分な磨耗抵抗を有していない。従って、上記の炭化水素ストリームから硫黄を除去し、流動層、輸送層、移動層あるいは固定層による反応器で使用可能な十分な磨耗抵抗を有する組成物を見つけ出し、かつこのような組成物を経済的な方法で生成することは、望ましくまた技術および経済に対して著しく貢献することになろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(本発明の概要)
炭化水素ストリームの脱硫に有用な組成物を生成する新規な方法を提供することが望ましい。
また、炭化水素ストリームからの硫黄を除去するプロセスであって水素消費ならびに同ストリームに含有されるオレフィン類および芳香族類の飽和を最少に留めるプロセスを提供することが望ましい。
【0012】
更に、ディーゼル燃料からの硫黄の除去を促進する、組成物に含有される促進剤成分の濃度を上昇することが望ましい。
【0013】
更に、硫黄濃度が約100ppm未満、好ましくは50ppm未満であり、オレフィン類および芳香族類の濃度が脱硫前の分解ガソリンと実質的に同じである脱硫分解ガソリンを提供することが望ましい(上記硫黄濃度は脱硫分解ガソリン質量基準)。更に、脱硫ディーゼル燃料を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第一の態様は、以下の工程を包含する、組成物の新規な製造方法を包含する:
a):1)液体、2)亜鉛含有化合物、3)シリカ含有物質、4)アルミナおよび5)促進剤を混合してそれらの混合物を形成する工程;
b):上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する工程;
c):上記乾燥混合物を焼成して焼成混合物を形成する工程;
d):上記焼成混合物を適切な還元剤を用いて適切な条件下で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する組成物を生成する工程;および
e):上記組成物を回収する工程。
【0015】
本発明の第二の態様は、以下の工程を包含する、組成物の他の新規な製造方法を包含する:
a):1)液体、2)金属含有化合物、3)シリカ含有物質、4)アルミナおよび5)第一促進剤を混合してそれらの混合物を形成する工程;
b):上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する工程;
c):上記乾燥混合物の上あるいは中に第二促進剤を添加して促進剤添加混合物を形成する工程;
d):上記促進剤添加混合物を乾燥して乾燥促進剤添加混合物を形成する工程;
e):上記乾燥促進剤添加混合物を焼成して焼成促進剤添加混合物を形成する工程;
f):上記焼成促進剤添加混合物を適切な還元剤を用いて適切な条件下で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する組成物を生成する工程;および
g):上記組成物を回収する工程。
【0016】
本発明の第三の態様は、以下の工程を包含する、炭化水素ストリームから硫黄を除去する方法を包含する:
a):脱硫された炭化水素ストリームおよび硫化された組成物を生成するために炭化水素ストリームを第一あるいは第二の態様で得られた組成物と脱硫ゾーン内で接触させる工程;
b):上記の脱硫された炭化水素ストリームと硫化された組成物を各々から分離して脱硫炭化水素ストリームと硫化組成物を形成する工程;
c):分離された上記硫化組成物の少なくとも一部を再生ゾーン内で再生することにより同組成物の中および/あるいは上に存在する硫黄の少なくとも一部を除去して再生組成物を形成する工程;
d):上記再生組成物を還元ゾーン内で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する還元組成物を生成する工程−同還元組成物は炭化水素ストリームと接触した際に同ストリームから硫黄を除去する;そしてそれに続く
e):上記還元組成物の少なくとも一部を脱硫ゾーンに循環させる工程。
【0017】
本発明の他の側面、目的および効果は発明の詳細な説明および添付された特許請求の範囲での記載事項により明らかとなろう。
【0018】
(発明の詳細な説明)
本仕様書で使用される「ガソリン」という用語は、沸点が約37.8〜260°Cの範囲内にある炭化水素の混合物、あるいはそのような炭化水素の留分(種類は問わない)を指す。適切なガソリンの例としては、ナフサ、直留ナフサ、コーカー・ナフサ、接触分解ナフサ、ビスブレーカー・ナフサ、アルキル化ガソリン、異性化ガソリン、改質ガソリン等およびこれらのブレンドといった製油所で生産される炭化水素ストリームが挙げられるが、これらに限られない。
【0019】
本仕様書で使用される「分解ガソリン」という用語は、沸点が約37.8〜260°Cの範囲内にある炭化水素の混合物、あるいはそのような炭化水素の留分(種類は問わない)を指す。これらは、より高分子の炭化水素をより低分子の炭化水素に分解する熱プロセスあるいは触媒プロセスの生成物である。適切な熱プロセスの例としては、コーキング、熱分解、ビスブレーキング等およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。適切な接触分解プロセスの例としては、流動接触分解、重質油分解等およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。適切な分解ガソリンの例としては、コーカー・ガソリン、熱分解ガソリン、ビスブレーカー・ガソリン、流動接触分解ガソリン、重質油分解ガソリン等およびこれらのブレンドといった製油所で生産される炭化水素ストリームが挙げられるが、これらに限られない。場合によっては、分解ガソリンは本発明のプロセスでの炭化水素ストリームとして使用される際には、脱硫処理前の段階で精留および/あるいは水素化処理を受けてもよい。
【0020】
本仕様書で使用される「ディーゼル燃料」という用語は、沸点が約148.9〜398.9°Cの範囲内にある炭化水素の混合物、あるいはそのような炭化水素の留分(種類は問わない)を指す。適切なディーゼル燃料の例としては、ライト・サイクル・オイル、ケロシン、ジェット燃料、直留ディーゼル油、水素化ディーゼル油等およびこれらのブレンドが挙げられるが、これらに限られない。
【0021】
本仕様書で使用される「硫黄」という用語は、例えば元素硫黄あるいは炭化水素を含有する流体中(例えば、分解ガソリンあるいはディーゼル燃料)に通常含まれる硫黄化合物といった硫黄を指し、その種類は問わない。本発明のプロセスにおいて通常は炭化水素ストリーム中に存在できる硫黄の例としては、硫化水素、硫化カーボニル(COS)、二硫化カーボニル、(CS)、メルカプタン類(RSH)、有機硫化物類(R−S−R)、有機二硫化物類(R−S−S−R)、チオフェン類、置換チオフェン類、有機三硫化物類、有機四硫化物類、ベンゾチオフェン類、アルキル・チオフェン類、アルキル・ベンゾチオフェン類、アルキル・ジベンゾオフェン類等およびこれらの混合物、ならびに本発明のプロセスでの使用が想定される種類のディーゼル燃料中に通常含まれるより高分子量の上記化合物が挙げられるが、これらに限られない。ここで、Rはアルキル基、シクロアルキル基あるいは炭素数が1〜10の基(その種類は問わない)のことである。
【0022】
本仕様書で使用される「流体」という用語は、気体、液体、蒸気およびこれらの混合物を指す。
【0023】
本仕様書で使用される「気体状の」という用語は、炭化水素を含有する流体(例えば分解ガソリンあるいはディーゼル燃料)が主に気体あるいは蒸気の状態にあることを指す。
【0024】
本仕様書で使用される「磨耗抵抗」という用語は、本発明によって生成された組成物の磨耗抵抗を指す。また、「ダビソン指数(DI)」という用語は、制御された乱流状態下での組成物の粒径減少に対する抵抗の指標を指す。測定されたDIが高いことはその組成物の磨耗抵抗が低いことを意味する。
【0025】
本仕様書で使用される「金属」という用語は、例えば元素金属あるいは金属含有化合物といった金属を指し、その種類は問わない。第一の態様の方法においては、好ましくは亜鉛含有化合物を用いて亜鉛酸化物含有の組成物を生成する。
【0026】
本仕様書で使用される「金属酸化物」という用語は、ある金属の酸化物を指し、その種類は問わない。
【0027】
本仕様書で使用される「金属酸化物」という用語は、金属酸化物あるいはそれの前駆体をも指し、その種類は問わない。
【0028】
金属酸化物は本発明の方法で生成される組成物中に好ましくは約10〜90質量%、より好ましくは約30〜80質量%、最も好ましくは約40〜70質量%の範囲内の濃度で存在することになろう(濃度は本発明の組成物の全質量基準)。
【0029】
本仕様書で使用される「促進剤」という用語は、本発明の組成物に添加された際に炭化水素ストリームの脱硫の促進に貢献する成分を指し、その種類は問わない。このような促進剤は、少なくとも1種類の金属、金属酸化物あるいは金属酸化物の前駆体、あるいは複数の種類の金属の固溶体あるいは合金を含有することができ、ここで同金属成分はニッケル、コバルト、鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、銀、錫、アンチモン、バナジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、ロジウム、レニウムおよびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる。
【0030】
促進剤金属を含有する化合物のいくつかの例として、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属チオシアン酸塩等およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい促進剤金属はニッケルである。
【0031】
原子価が低下した促進剤を含有する本発明の組成物は、硫黄と化学的あるいは物理的に反応する能力を有する組成物のことである。本発明の組成物は、ジオレフィン類およびその他のゴム質を形成する化合物を分解ガソリンから除去することも好ましい。
【0032】
本発明の組成物を生成する工程中で、金属、金属酸化物等およびこれらの組み合わせから選択される促進剤は、最初の段階では金属含有化合物および/あるいは金属酸化物前駆体の形で存在していてもよい。促進剤が最初の段階では金属含有化合物および/あるいは金属酸化物前駆体の形で存在する場合には、このような化合物および/あるいは前駆体は本仕様書により開示される本発明のプロセス工程中に部分的あるいは全面的に同化合物および/あるいは前駆体に対応する金属および/あるいは金属酸化物に転化されることを理解されたい。
【0033】
典型的には、通常の酸化状態にある促進剤は本発明の方法により生成される本発明の組成物の金属酸化物部分と結合する。促進剤での酸素原子の多くは、原子価が低下した促進剤を形成するために還元されなければならない。従って、本発明の組成物中に存在する促進剤は、少なくとも部分的には原子価が低下した促進剤として存在しなければならない。理論に拘泥することを望むものではないが、原子価が低下した促進剤は硫黄を化学吸着、切断あるいは除去できると考えられている。従って、促進剤での酸素原子の多くは還元されるか、あるいは促進剤の酸化状態は原子価ゼロの金属である。例えば、もしニッケルが促進剤金属である場合には、酸化ニッケル(NiO)を用いることができ、また原子価が低下したニッケル(促進剤金属)は金属ニッケル(Ni)あるいは非量論的な酸化ニッケル(NiO(1−x)、ここでxは0<x<1)である。もしタングステンが促進剤金属である場合には、酸化タングステン(WO)を用いることができ、また原子価が低下したタングステン(促進剤金属)は酸化タングステン(WO)、金属タングステン(W)あるいは非量論的な酸化タングステン(WO(3−y)、ここでyは0<y<3)である。
【0034】
促進剤は脱硫条件下で上記組成物と接触した際に炭化水素ストリームから硫黄を除去するであろう量で存在することが好ましい。最も高い脱硫活性を発揮するためには、本発明の組成物中に存在する全促進剤量のうち、好ましくは少なくとも約10質量%、より好ましくは少なくとも約40質量%、最も好ましくは少なくとも約80質量%、が原子価が低下した状態である。最も高い脱硫活性を発揮するためには、原子価が低下した状態の促進剤は、一般的には本発明の組成物中に約1〜60質量%、好ましくは約5〜40質量%、より好ましくは約8〜20質量%の範囲内の濃度で存在する(濃度は本発明の組成物の全質量基準)。促進剤が2種類の金属からなる場合には、これらの金属は20:1〜1:20の比率で存在すべきである。
【0035】
本発明による組成物を生成する際に使用しその中に含有されるシリカ含有物質はシリカの形で存在していてもよいし、また1種類あるいは複数種類のシリカ含有物質の形で存在していてもよい。
【0036】
適切なシリカ含有物質はどのようなものでも組成中に存在してよい。このようなシリカ含有物質の例として、ケイ藻岩、発泡真珠岩、コロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ等およびこれらの組み合わせが挙げられる。更に、シリカに転化可能なケイ素化合物も使用してよい。このようなケイ素化合物の例として、ケイ酸、ケイ酸アンモニウム等およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
より好ましいシリカ含有物質は粉砕された発泡真珠岩である。本仕様書で使用される「真珠岩」という用語は、ケイ質火山岩の岩石分類学上の用語であり、これは世界中のある種の地域で天然に産する。これの他の火山性鉱物との違いはある温度にまで加熱すると元の容積の4〜20倍に膨張することである。粉砕された真珠岩は約871.1°Cを越える温度に加熱されると粗真珠岩中の化合水により膨張する。化合水は加熱過程で蒸発し、加熱下で軟化した粒子内に無数の微小な泡を発生する。ガラス質に封入された泡は系を軽量にする。発泡真珠岩は密度が40kg/m(2.5lbs/ft)ほどにも低い空隙率を向上する粉体にまで粉砕できる。
【0038】
発泡真珠岩の典型的な元素分析値を以下に示す。ケイ素:33.8%、アルミニウム:7%、カリウム:3.5%、ナトリウム:3.4%、カルシウム:0.6%、マグネシウム:0.2%、鉄:0.6%、微量の他の元素:0.2%、酸素:47.5%(バランス)および化合水:3%。
【0039】
発泡真珠岩の典型的な物理性状を以下に示す。軟化点:871.1〜1093°C(1600〜2000°F)、融点:1260〜1343°C(2300〜2450°F)、pH:6.6〜6.8および比重:2.2〜2.4。
【0040】
本仕様書で使用される「粉砕された発泡真珠岩」あるいは「ミルで粉砕された発泡真珠岩」という用語は、最初にミルで処理されて粒径が約20〜500ミクロンにまで粉砕され、次いで火炎で約871.1°Cまで加熱され、最後にハンマーミルで粉砕された発泡真珠岩のことを指す。特定の理論に拘泥することを望むものではないが、粉砕された発泡真珠岩の形状は本発明の方法により生成した最終組成物の活性に影響を及ぼすと考えられている。
【0041】
本発明の方法により生成した組成物は、アルミナ、アルミン酸塩およびこれらの組み合わせの群から選ばれるアルミニウム含有物質を含有する。アルミナは同組成物の生成に用いることができる。同組成物の生成のためのアルミナはどのようなものでも市場から入手可能な適切なアルミニウム含有物質であって焼成により少なくとも部分的にはアルミン酸塩に転化され得るものを使用できる。このような物質の例として、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、コロイド状アルミナ溶液、水和アルミナ、解膠アルミナおよびアルミナ水和物の脱水によって得られるアルミナ化合物が挙げられるが、これらに限られない。最も高い活性および脱硫率のために好ましいアルミナは、例えばベーマイトあるいは擬似ベーマイトのような水和アルミナである。このような組成物が高温にさらされると(例えば焼成期間中に)、アルミナは少なくとも部分的に、好ましくは大部分、アルミン酸塩(好ましくはアルミン酸亜鉛)に転化できる。
【0042】
アルミニウム含有物質は、本発明の方法で生成する組成物中に好ましくは約1.0〜30質量%、より好ましくは約5〜25質量%、最も好ましくは約10〜22質量%の範囲内の濃度で存在することになろう(濃度は同組成物の全質量基準)。
【0043】
シリカ含有物質は、本発明の方法で生成する組成物中に好ましくは約10〜40質量%、より好ましくは約12〜35質量%、最も好ましくは約15〜30質量%の範囲内の濃度で存在することになろう(濃度は同組成物の全質量基準)。
【0044】
同組成物は、顆粒形状、押出形状、錠剤形状、球形、ペレット形状あるいは微小球形といった粒状で存在できる。このような粒子の望ましい形状は流動可能な微小球形である。
【0045】
本発明の第一の実施態様によれば、このような組成物は以下の本発明の方法により生成できる。
【0046】
本発明の方法においては、組成物は一般的には以下の工程により生成できる。まず、適切な割合の液体、亜鉛含有化合物、シリカ含有物質、アルミナおよび促進剤を適切な方法あるいは手順により混合する。このような方法あるいは手順は上記の成分を緊密に混合し、これらの液体、亜鉛含有化合物、シリカ含有物質、アルミナおよび促進剤からなる実質的に均一な混合物を形成するものから任意に選ばれる。本仕様書で使用される「混合する」という用語は、これらの成分を混合することを指し、その順序および/あるいは組み合わせ(あるいは類似の組み合わせ)を問わない。このような成分の望ましい分散体を得るために、同組成物成分を混合するいかなる適切な手段でも採用できる。適切な混合手段の例として、混合用タンブラー(回転式混合機)、静止式の棚型あるいは桶型混合機、ユーロスター・ミキサー(回分式あるいは連続式)、インパクト・ミキサー等が挙げられるが、これらに限られない。本発明の組成物の成分の混合用としては現時点ではユーロスター・ミキサーの使用が好ましい。
【0047】
上記液体として、金属含有化合物、シリカ含有物質、アルミナおよび促進剤を分散可能ないかなる溶剤でも使用できる。好ましくは、同液体は水、エタノール、アセトンおよびこれらのどの2種類以上の組み合わせの群から選ばれる。
【0048】
本発明の第一の実施態様により組成物を生成する際に用いる金属含有化合物(好ましくは亜鉛含有化合物)は金属酸化物の形でもよいし、あるいは本仕様書に記載される生成条件下で金属酸化物に転化可能な1種類あるいは複数種類の金属化合物の形でもよい。適切な金属化合物の例として、金属硫化物、金属硫酸塩、金属水酸化物、金属硝酸塩等およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。金属含有化合物は粉末状の金属酸化物の形をしているのが好ましい。
【0049】
上記の組成物成分は、湿状、練状、ペースト状、スラリー状等から選ばれる形をとり得る混合物を形成するために混合される。同混合物はスラリー状であることが好ましい。次いで、同混合物は顆粒形状、押出形状、錠剤形状、球形、ペレット形状あるいは微小球形からなる群から選ばれる粒状に成型される。
【0050】
粒状への成型(好ましくは噴霧乾燥を用いて)が完了すれば、分散剤を任意の方法で使用でき、またそれは好ましくはスラリー状の混合物の噴霧乾燥を加速する能力を有するいかなる種類でも適切な化合物から選ぶことができる。特に、これらの成分は、流体媒体中の固形分粒子の堆積、沈殿、沈降、凝集、付着および凝結の防止に有用である。適切な分散剤の例として、縮合リン酸塩、スルホン化されたポリマーおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。本仕様書で使用される「縮合リン酸塩」という用語は、複数のリン原子を含有しリン−酸素−リン結合を有する脱水されたリン酸塩を指し、その種類は問わない。特定の適切な分散剤の例として、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、スルホン化されたスチレン無水マレイン酸ポリマーおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。このような分散剤成分は一般的には約0.01〜10質量%の範囲内の濃度に添加される(上記濃度は全成分質量基準)。好ましい分散剤成分濃度は一般的には約0.1〜8質量%の範囲内にある。
【0051】
好ましい噴霧乾燥組成物を生成するために酸成分を添加してよい。一般的には、同酸成分中の酸として有機酸あるいは硝酸のような鉱酸を使用してよい。同酸成分が有機酸の場合には、カルボン酸の使用が好ましい。同酸成分が鉱酸の場合には、硝酸あるいはリン酸の使用が好ましい。これらの酸の混合物も使用できる。一般的には、同酸は水で希釈して水性の酸溶液を形成する。同酸成分中の酸濃度は一般的には約0.01〜20容量%の範囲内にある(濃度は全酸成分容量基準)。
【0052】
一般的には、噴霧乾燥された物質の平均粒径は約10〜1000ミクロン、好ましくは約20〜150ミクロンの範囲内にある。
【0053】
本仕様書で使用される「平均粒径」という用語は、RO−TAP(登録商標)Testing Sieve Shaker(米国オハイオ州メンターのW.S.Tyler Inc.社製)あるいは同等の篩を用いて測定された値を指す。測定される物質は、標準的な8インチ径のステンレス鋼製枠で支持され底部がパンとなっている篩上に設置される。その後、同物質は約10分間振とうされ、次いで各篩上に残留する物質質量が測定される。各篩上に残留する物質の割合を、特定の篩上に残留する物質質量を当初の試料質量で割ることにより求める。この値を用いて平均粒径を計算する。
【0054】
上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する。ここでいう乾燥条件としては、約65.5〜550°C、好ましくは約87.8〜210°C、最も好ましくは約93.3〜176.7°Cの範囲内の温度を用いることができる。更に、ここでの乾燥条件としては、一般的には約0.5〜60時間、好ましくは約1〜40時間、最も好ましくは約1.5〜20時間の範囲内の乾燥時間を用いることができる。更に、ここでの乾燥条件としては、一般的には約大気圧、すなわち約101kPa(すなわち約14.7ポンド/平方インチの絶対圧(psia))〜1.03MPa(すなわち約150psia)の範囲内の圧力、好ましくは約大気圧〜689kPa(すなわち約100psia)の範囲内の圧力、最も好ましくは約大気圧を用いることができる(ただし、望ましい温度が維持されるとの条件下で)。当業界の専門家には公知のどのような乾燥方法でも用いることができる。例えば、空気乾燥、加熱乾燥等およびこれらの組み合わせを用いることができる。好ましくは、加熱乾燥を用いる。
【0055】
上記乾燥混合物を焼成して焼成混合物を形成する。好ましくは、同焼成混合物を例えば酸素あるいは空気が存在する酸化性雰囲気で焼成する。ここでいう焼成条件としては、約204.4〜815.5°C、好ましくは約426.7〜815.5°C、より好ましくは約482.2〜760°Cの範囲内の温度を用いることができる。更に、ここでの焼成条件としては、一般的には約48kPa〜5.17MPa(すなわち約7〜750psia)、好ましくは約48kPa〜3.10MPa(すなわち約7〜450psia)、最も好ましくは約48kPa〜1.03MPa(すなわち約7〜150psia)の範囲内の圧力を用いることができ、また一般的には約1〜60時間、好ましくは約1〜20時間、最も好ましくは約1〜15時間の範囲内の乾燥時間を用いることができる。本発明のプロセスにおいては、焼成によりアルミナを少なくとも部分的にはアルミン酸塩に転化できる。
【0056】
上記焼成混合物を適切な還元剤(好ましくは水素)を用いて還元して、原子価が実質的に低下した(好ましくは実質的にゼロ原子価の)促進剤を含有する組成物を生成する。このような実質的にゼロ原子価の促進剤は、ここで開示されるプロセスにより、分解ガソリンやディーゼル燃料のような炭化水素ストリームから硫黄を除去するに十分な濃度で存在する。
【0057】
ここでの還元条件としては、約37.8〜815.5°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力、また原子価が低下した促進剤を生成するに十分な還元時間を用いることができる。
【0058】
次いで、上記組成物を回収する。
【0059】
本発明の第二の実施態様によれば、組成物は以下の工程を包含する本発明の方法により生成できる:
a):1)液体、2)金属含有化合物、3)シリカ含有物質、4)アルミナおよび5)第一促進剤を混合してそれらの混合物を形成する工程、
b):上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する工程、
c):上記乾燥混合物の上あるいは中に第二促進剤を添加して促進剤添加混合物を形成する工程、
d):上記促進剤添加混合物を乾燥して乾燥促進剤添加混合物を形成する工程、
e):上記乾燥促進剤添加混合物を焼成して焼成促進剤添加混合物を形成する工程、
f):上記焼成促進剤添加混合物を適切な還元剤を用いて適切な条件下で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する組成物を生成する工程、および
g):上記組成物を回収する工程。
【0060】
本発明の組成物の生成においては、同組成物は一般的には以下の工程により生成できる。まず、適切な割合の液体、金属含有化合物、シリカ含有物質、アルミナおよび第一促進剤を適切な方法あるいは手順により混合する。このような方法あるいは手順は上記の成分を緊密に混合し、これらの液体(上記の)、金属亜鉛含有化合物、シリカ含有物質、アルミナおよび促進剤からなる実質的に均一な混合物を形成するものから任意に選ばれる。このような成分の望ましい分散剤を得るために、上記の組成物成分を混合するいかなる適切な手段でも採用できる。
【0061】
上記金属含有化合物での金属は亜鉛、マンガン、銀、銅、カドミウム、錫、ランタン、スカンジウム、セリウム、タングステン、モリブデン、鉄、ニオビウム、タンタル、ガリウム、インジウム、およびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる。同金属は好ましくは亜鉛である。
【0062】
本発明の組成物を生成する際に用いる金属含有化合物は、金属酸化物の形でもよいし、あるいは本仕様書に記載される生成条件下で金属酸化物に転化可能な1種類あるいは複数種類の金属化合物の形でもよい。適切な金属化合物の例として、金属硫化物、金属硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩等およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。金属含有化合物は粉末状の金属酸化物の形をしているのが好ましい。
【0063】
上記の組成物成分は、湿状、練状、ペースト状、スラリー状等から選ばれる形をとり得る混合物を形成するために混合される。同混合物はスラリー状であることが好ましい。次いで、同混合物は緻密化、押出成型あるいは噴霧乾燥により、前述したように顆粒形状、押出形状、錠剤形状、球形、ペレット形状あるいは微小球形からなる群から選ばれる粒状に成型される。
【0064】
次いで、上記混合物を前述の乾燥条件下で乾燥して乾燥混合物を形成する。
【0065】
次いで、金属含有化合物、シリカ含有物質およびアルミナ(あるいはアルミン酸塩)からなる上記乾燥混合物に第二促進剤を添加する。上述の焼成条件によれば、状況次第では上記乾燥混合物を第二促進剤を添加する前に焼成してもよい。
【0066】
本仕様書で使用される「第一促進剤」および「第二促進剤」という用語は、異なったタイミングで同混合物に添加される促進剤成分を区別するために用いる。両成分は同一の元素(すなわちニッケル)を含有していてもよいし、異なった元素(すなわち第一促進剤はニッケル、第二促進剤はコバルト)を含有していてもよい。総合して、第一促進剤および第二促進剤は、第二の実施態様で回収された組成物中に存在する促進剤成分を含有している。
【0067】
担体の中あるいは上に促進剤を添加するために当業界の専門家には公知のどのような適切な手段あるいは方法を採用することにより第二促進剤を乾燥混合物の中あるいは上に添加できる。
【0068】
促進剤を添加する好ましい方法は含浸であり、ここでは担体を含浸するためにその種類を問わない通常型湿式含浸技術(すなわち、担体物質内の細孔を元素添加用溶液で実質的に全面的にあるいは部分的に満たす)が使用される。この好ましい方法では、望ましい濃度で促進剤を含有する含浸用溶液を用いて最終的には促進剤が添加された混合物を形成する。同混合物はその後乾燥および焼成(これによりアルミナを少なくとも部分的にアルミン酸塩に転化できる)処理、次いで水素のような還元剤で還元処理が可能である。
【0069】
適切な含浸用溶液は金属含有化合物を溶解して形成する溶液により構成されており、この金属含有化合物は金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩といった金属塩の形が好ましくこれを水、アルコール、エステル、エーテル、ケトンおよびこれらの組み合わせた溶剤中に溶解する。このような溶液での溶剤に対する金属促進剤の質量比は好ましくは約1:1〜4:1、より好ましくは1.5:1〜3:1の範囲内にある。粒子状物質は、水に溶解した硝酸ニッケル六水和物を含有する溶液によりニッケル成分を含浸することが好ましい。
【0070】
乾燥混合物に第二促進剤を添加(好ましくは含浸により)した後、生成した促進剤添加混合物は、上述したように乾燥条件下で乾燥して乾燥促進剤添加混合物を形成し、更に上述したように次いで焼成条件下で焼成して焼成促進剤添加混合物を形成する。上記焼成促進剤添加混合物は上述したように次いで還元剤を用いて適切な条件下で還元でき、これにより組成物を生成する。上記組成物は次いで回収できる。
【0071】
本発明の第三の態様は、炭化水素ストリームから硫黄を除去するための新規の方法を包含する。同方法は以下の工程を包含する:
a):脱硫された炭化水素ストリームおよび硫化された組成物を生成するために炭化水素ストリームを第一あるいは第二の態様で得られた組成物と脱硫ゾーン内で接触させる工程、
b):上記の脱硫された炭化水素ストリームと硫化された組成物を各々から分離して脱硫炭化水素ストリームと硫化組成物を形成する工程、
c):分離された上記硫化組成物の少なくとも一部を再生ゾーン内で再生することにより同組成物の中および/あるいは上に存在する硫黄の少なくとも一部を除去して再生組成物を形成する工程、
d):上記再生組成物を還元ゾーン内で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する還元組成物を生成する工程−同還元組成物は炭化水素ストリームと接触した際に同ストリームから硫黄を除去する、そしてそれに続く
e):上記還元組成物の少なくとも一部を脱硫ゾーンに循環させる工程。
【0072】
工程a)において、脱硫された炭化水素ストリームは、当業界の専門家には公知のどのような方法ででも第一あるいは第二の態様で得られた組成物と脱硫ゾーン内で接触できる。
【0073】
上記脱硫ゾーンは、そこで炭化水素ストリームが脱硫できるのであればその種類は問わない。適切な脱硫ゾーンの例として、固定層、移動層、流動層、輸送層等による反応器が挙げられる。現時点では、流動層あるいは固定層による反応器の採用が好ましい。
【0074】
工程a)での脱硫ゾーンの運転条件は以下の項目を包含する:全圧、温度、質量基準の時間当たりの空間速度および水素流量。これらの条件は、本発明の組成物の存在下で炭化水素ストリームを脱硫して脱硫炭化水素ストリームと硫化組成物を形成できる条件から選ばれる。
【0075】
全圧は約103kPa〜10.33MPa(約15ポンド/平方インチの絶対圧(psia))〜1500psia)の範囲内から選ぶことができる。しかしながら、現時点では全圧は約344kPa〜3.44MPa(すなわち約50〜500psia)の範囲内から選ぶことが好ましい。
【0076】
一般的には、温度は炭化水素ストリームを実質的に蒸気相あるいは気相に維持できる温度から選ぶべきである。このような温度は約37.8〜537.8°Cの範囲内から選ぶことができるが、現時点では分解ガソリンを処理する場合には約204.4〜426.7°Cの範囲内、またディーゼル燃料を処理する場合には約260〜482.2°Cの範囲内にあることが好ましい。
【0077】
質量基準の時間当たりの空間速度(WHSV)は、脱硫ゾーン内に存在する組成物量(ポンド)に対する脱硫ゾーンに送られる炭化水素ストリームの標準状態の温度および圧力(STP)での流量(ポンド/時間)の数値比で定義される。本発明の実際の運転においては、WHSVは約0.5〜50hrs−1の範囲内から選ぶべきであり、約1〜50hrs−1の範囲内から選ぶのが好ましい。
【0078】
適切な炭化水素ストリーム(硫黄含有炭化水素から構成され、あるいは実質的にこれのみにより構成される)はどのようなものでも本発明の組成物と接触する原料として使用できる。このような炭化水素ストリームとしては、分解ガソリン、ディーゼル燃料およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる硫黄含有炭化水素から構成され、あるいは実質的にこれのみにより構成されるものが好ましい。
【0079】
硫黄は炭化水素ストリーム中に約10ppm未満〜50,000ppmの濃度で存在できる(濃度は炭化水素ストリーム質量基準)。炭化水素ストリームが分解ガソリンの場合は、硫黄は分解ガソリン中に約10,000ppmまでの濃度で存在できる(濃度は分解ガソリン質量基準)。炭化水素ストリームがディーゼル燃料の場合は、硫黄はディーゼル燃料中に約10〜50,000ppmの範囲内の濃度で存在できる(濃度はディーゼル燃料質量基準)。
【0080】
本仕様書で使用される「硫黄」あるいは「ppmw硫黄」という用語は、炭化水素ストリーム中の硫黄含有炭化水素に存在する原子硫黄(原子量は約32)濃度を指し(濃度は炭化水素ストリーム全質量基準)、例えば有機硫黄化合物のような硫黄化合物の原子質量あるいは原子量基準の濃度のことではない。
【0081】
本発明のプロセスの原料として適する分解ガソリンあるいはディーゼル燃料は、部分的にオレフィン類、芳香族類、硫黄、パラフィン類およびナフテン類を含有する組成物である。
【0082】
分解ガソリン中にはオレフィン類は一般的には約10〜35質量%の濃度で存在する(濃度は分解ガソリン全質量基準)。ディーゼル燃料にはオレフィン類は事実上存在しない。
【0083】
分解ガソリン中には芳香族類は一般的には約20〜40質量%の濃度で存在する(濃度は分解ガソリン全質量基準)。ディーゼル燃料中には芳香族類は一般的には約10〜90質量%の濃度で存在する(濃度はディーゼル燃料全質量基準)。
【0084】
本発明のプロセスでの脱硫工程を実施する際には、炭化水素ストリームは気相あるいは蒸気相の状態で存在することが好ましい。しかしながら、本発明の実際の実施では、このような炭化水素ストリームの全面的な気相あるいは蒸気相での状態は必須条件ではない。
【0085】
同脱硫工程を実施する際には、現時点では、本発明の組成物の存在下で処理される炭化水素ストリーム中のオレフィン類あるいは芳香族類の物理的あるいは化学的な反応を抑制する薬剤等の物質の使用が好ましい。このような物質として水素が好ましい。
【0086】
脱硫ゾーンでの水素流は、一般的に、炭化水素ストリームに対する水素のモル比率として約0.1〜10、好ましくは0.2〜3の範囲内にある。
【0087】
望ましいのであれば、分解ガソリンあるいはディーゼル燃料の脱硫において、メタン、二酸化炭素、煙道ガス、窒素等およびこれらの混合物のような希釈剤を用いてもよい。従って、本発明を実施する際には、炭化水素ストリーム(例えば、分解ガソリンあるいはディーゼル燃料−ただしこれらに限られない)を望ましい程度まで脱硫するために高純度の水素は必須ではない。
【0088】
流動層反応器システムを採用する際には、現時点では約10〜1000ミクロンメートルの範囲内の粒径を有する組成物の使用が好ましい。更に、同組成物の粒径は約20〜500ミクロンメートルの範囲内が好ましく、約30〜400ミクロンの範囲内がより好ましい。本発明の脱硫プロセスの実施のために固定層反応器システムを採用する際には、同組成物は一般的には約0.79〜12.7mm(約1/32〜1/2インチ)の範囲内の粒径、好ましくは約0.79〜6.35mm(約1/32〜1/4インチ)の範囲内の粒径を有する。
【0089】
更に現時点では、組成物グラム当たり約1〜1000平方メートル(m/g)の範囲内の表面積、好ましくは約1〜800m/gの範囲内の表面積を有する組成物の使用が好ましい。
【0090】
脱硫された炭化水素ストリームと硫化された組成物は当業界の専門家には公知のどのような適切な方法により各々から分離でき、これにより脱硫炭化水素ストリームと硫化組成物を形成する。
【0091】
このような方法の例として気固分離のためのサイクロン、沈降室、衝突装置等のような装置の使用およびこれらの組み合わせが挙げられる。分離は炭化水素ストリームの脱硫ゾーンからの流出を内包できるが、これに限られない。脱硫された気体状の分解ガソリンあるいは脱硫された気体状のディーゼル燃料は次いで回収でき、好ましくは液化される。このような脱硫された炭化水素ストリームの液化は当業界の専門家には公知のどのような方法ででも実施できる。
【0092】
硫黄は本発明の脱硫プロセスによって処理された脱硫炭化水素ストリーム中に約500ppm未満の濃度、好ましくは約150ppm未満の濃度、より好ましくは約50ppm未満の濃度で存在する(濃度は炭化水素ストリーム質量基準)。
【0093】
本発明の脱硫プロセスの運転において、望ましいのであれば、ストリッパー・ユニットを硫化された組成物の再生の上流および/あるいは下流に設置してよい。このストリッパーは硫化された組成物から炭化水素を部分的に、好ましくは全面的に、除去することになろう。更に、同ストリッパーは、再生された組成物を還元ゾーンに送る前の段階でシステムから酸素および二酸化炭素も除去することになろう。このストリッピング操作は、全圧、温度およびストリッピング剤の分圧を含む1セットの条件下で実施される。
【0094】
ストリッパーが設置された場合には、それは約172kPa〜3.44MPa(約25〜500psia)の範囲内の全圧で運転されるのが好ましい。
【0095】
このストリッパーの運転温度は、37.8〜537.8°Cの範囲内から選ぶことができる。
【0096】
ストリッピング剤は硫化された組成物からの炭化水素の除去を促進する組成物である。ストリッピング剤は好ましくは窒素である。硫化された組成物は硫黄をその中に(例えば同組成物の細孔内に)、あるいはその上に(例えば、同組成物の表面上に)保持できる。
【0097】
再生ゾーンの運転条件は以下の項目を包含する:全圧および脱硫剤の分圧。全圧は、一般的には、約172〜344kPa(約25〜50psia)の範囲内から選ばれる。
【0098】
脱硫剤の分圧は一般的には、全圧の約1〜25%の範囲内から選ばれる。
【0099】
脱硫剤は気体状の硫黄含有化合物や酸素含有化合物(例えば二酸化硫黄)を生成すると同時に、存在する可能性のあるどのような種類の炭化水素堆積物の焼却をも促進する組成物である。再生ゾーンでの使用に適する脱硫剤は酸素含有気体であり、この中には例えば空気が含まれるがこれに限られない。
【0100】
この再生ゾーンの温度は一般的には約37.8〜815.5°Cの範囲内、好ましくは約426.7〜648.9°Cの範囲内にある。
【0101】
この再生ゾーンは、そこで脱硫あるいは硫化された組成物の再生が実施できるどのような容器でもよい。
【0102】
上記の再生された組成物は次いで還元ゾーン内で還元剤(例えば水素、しかしこれに限られない)の存在下で還元され、同組成物中の促進剤を少なくとも部分的に還元して原子価が低下した促進剤を含有する還元組成物を生成し、ここで開示される本発明のプロセスにより炭化水素ストリームから硫黄を除去する。
【0103】
本発明を実施する際には、脱硫された組成物の還元は一般的には約37.8〜815.5°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力で実施される。このような還元操作は促進剤を望ましい度合いまで還元するに十分な時間をかけて実施される。このような促進剤は好ましくは組成物の表層に分布される。このような還元操作は一般的には約0.01〜20時間の範囲内の時間で実施される。
【0104】
再生組成物の還元が完了すれば、それを少なくとも部分的に脱硫ゾーンに循環させる。
【0105】
本発明のプロセスを実施する際には、脱硫、再生、還元および任意的に再生の上流および/あるいは下流に採用されるストリッピングからなる工程は、単一のゾーンあるいは容器内で実施してもよいし、複数のゾーンあるいは容器内で実施してもよい。
【0106】
本発明のプロセスを固定床反応器で実施する際には、脱硫、再生、還元および任意的に再生の上流および/あるいは下流に採用されるストリッピングからなる工程は単一のゾーンあるいは容器内で実施する。
【0107】
脱硫された分解ガソリンはガソリン・ブレンドの処方に従って商用に適したガソリン製品を製造するために使用できるし、また低硫黄分解ガソリンが望まれる分野でも使用できる。
【0108】
脱硫されたディーゼル燃料はディーゼル燃料ブレンドの処方に従ってディーゼル燃料製品を製造するために使用できる。
【0109】
実施例I(本発明の実施例)
ニッケルを促進剤として含有する酸化亜鉛/アルミナ/真珠岩組成物を調製した。56gのアルミナ(Vista Dispal)を118.43gの脱イオン水に添加し、20分間混合した。次いで、43.6gの担体(真珠岩を硝酸で処理し、次いでアルミナ、酸化亜鉛およびカオリン粘土を添加して調製)を上記の水/アルミナ混合物に5分間かけて添加し、更に5分間混合した。この混合物を混合物#1と称する。
【0110】
一方、0.03gの硝酸を473.73gの脱イオン水に添加し、5分間混合した。次いで、55.6gの真珠岩(Silbrico Sil−Kleer#27−M)を上記の硝酸溶液に5分間かけて添加し、更に20分間混合した。次いで、198gの硝酸ニッケルを上記の真珠岩溶液に5分間かけて添加し、更に15分間混合した。この混合物を混合物#2と称する。
【0111】
次いで、混合物#2を混合物#1に注ぎ、10分間混合した。次いで、204.8gの酸化亜鉛を上記の混合物に5分間かけて添加し、更に15分間混合した。この酸化亜鉛混合物を噴霧乾燥し、次いで炉内で乾燥した。
【0112】
87.5gの硝酸ニッケル六水和物と13.75gの脱イオン水からなる混合物を100gの上記の酸化亜鉛混合物に超音波ノズルを使用して含浸した。上記の含浸混合物を150°Cの温度で1時間乾燥し、次いで635°Cの温度で1時間焼成した。これにより生成した組成物のダビソン指数(DI)は10.3であった。
【0113】
実施例II
実施例Iで調製した組成物の脱硫活性を以下の手順でテストした。10gの調製された同物質を、1/2インチ径、12インチ長の石英管に入れた。同管には同組成物層を保持するための不活性充填物としてのガラス・フリットを下部1/3の部分の上側に配した。
【0114】
反応器は各反応サイクル期間中398.9°Cの温度と15psiaの圧力に保った。水素流量は130立方センチメートル(標準状態)/分(sccm)であり、これは130sccmの窒素で希釈されていた。ディーゼル燃料のモデル流体は13.4mL/時の流量でポンプにより反応器中を上昇させた。このような条件を以後「反応条件」と称する。
【0115】
ディーゼル燃料原料は硫黄を135ppm含有していた。同硫黄化合物は4、6−ジメチルジベンゾチオフェンであった。同化合物は立体障害を引き起こすので最も脱硫が困難な硫黄含有化合物である。
【0116】
サイクル1を開始する前に、上記組成物を300sccmの流量で流れる水素により398.9°Cの温度で1時間還元した。このような条件を以後「還元条件」と称する。各反応サイクル時間は4時間であり、原料を流し始めてから1、2、3および4時間後に生成物中の硫黄濃度(ppm)を測定した。
【0117】
反応サイクルが完了後、同組成物に398.9°Cの温度で180sccmの窒素を15分間吹き付けた。次いで温度を537.8°Cまで上昇し、この温度で同組成物を120sccmの空気と180sccmの窒素で2時間再生した。次いで温度を398.9°Cまで下降し、同試料に窒素を15分間吹き付けた。このような条件を以後「再生条件」と称する。サイクル2をサイクル1と同様に還元条件下(すなわち同組成物の398.9°Cの温度で300sccmの水素による1時間の処理、で開始した。
【0118】
実施例Iの組成物を2反応サイクルでテストし、サイクル1の終了後再生処理を実施した。結果を表Iに示す。同表において、1,2,3および4時間処理後の生成物の硫黄濃度を質量ppmで示している。
【表1】

【0119】
実施例III(コントロール例)
ニッケルを通常の湿式含浸法を用いて70gの担体(真珠岩を硝酸で処理し、次いでアルミナ、酸化亜鉛およびカオリン粘土を添加して調製)に2段で含浸した。各段での含浸は74.3gの硝酸ニッケル六水和物と7gの脱イオン水の混合物を用いて実施した。第一段の含浸が完了後、同組成物を150°Cの温度で1時間乾燥し、次いで第二段の含浸が完了後、同組成物を150°Cの温度で1時間乾燥し更に635°Cの温度で1時間焼成した。これにより生成した組成物のDI値は12.2であった。
【0120】
実施例IV
実施例IIIで調製した組成物の脱硫活性を実施例IIに記載される手順でテストした。同組成物を2反応サイクルでテストし、その結果を表IIに示す。同表において、1,2,3および4時間処理後の生成物の硫黄濃度を質量ppmで示している。
【表2】

【0121】
実施例III(コントロール例)
ニッケルを通常の湿式含浸法を用いて85gの担体(実施例IおよびIII記載)に1段で含浸した。含浸は74.3gの硝酸ニッケル六水和物と7gの脱イオン水の混合物を用いて実施した。同含浸組成物を150°Cの温度で1時間乾燥し、635°Cの温度で1時間焼成した。これにより生成した組成物のDI値は14.7であった。
【0122】
実施例VI
実施例Vで調製した組成物の脱硫活性を実施例IIに記載される手順でテストした。同組成物を2反応サイクルでテストし、その結果を表IIIに示す。同表において、1,2,3および4時間処理後の生成物の硫黄濃度を質量ppmで示している。
【表3】

【0123】
これらの結果に基づくならば、実施例Iで調製した組成物は、実施例IIIおよびVで調製した組成物に比べて優れてはいないとしても全く同等に硫黄を除去した。
【0124】
実施例VII
ニッケルを促進剤として含有する酸化亜鉛/アルミナ/真珠岩組成物を調製した。685gの蒸留水を1007.5gの硝酸ニッケル六水和物と混合した。次いで、146gのアルミナ(Condeal Disperal)を上記混合物に添加した。一方、150gの真珠岩(Silbrico Sil−Kleer#27−M)を575gの酸化亜鉛と混合した。この混合物を上記のアルミナ含有混合物に添加した。その結果生成した組成物を上記実施例に開示される手順で乾燥し焼成した。
【0125】
本発明を説明の目的で詳細に記載した。この記載事項は本発明をこれに限定すると考えるべきではなく、本発明の精神および範囲内の全ての変更・修正をも包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を包含する、組成物の製造方法:
(a):1)液体、2)亜鉛含有化合物、3)シリカ含有物質、4)アルミナおよび5)促進剤を混合してそれらの混合物を形成する工程;
(b):上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する工程;
(c):上記乾燥混合物を焼成して焼成混合物を形成する工程;
(d):上記焼成混合物を適切な還元剤を用いて適切な条件下で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する組成物を生成する工程;および
(e):上記組成物を回収する工程。
【請求項2】
該組成物が炭化水素ストリームと脱硫条件下で接触した際にそれから硫黄を除去するように該焼成混合物を該工程(d)で還元することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
該促進剤がニッケル、コバルト、鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、銀、錫、アンチモン、バナジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、ロジウム、レニウムおよびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる金属を含有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
該促進剤がニッケルを含有していていることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
該シリカ含有物質が粉砕された発泡真珠岩の形をしていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
該工程(a)からの混合物が湿状、練状、ペースト状あるいはスラリー状の形をしていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
該工程(a)からの混合物がスラリー状の形をしていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
該工程(a)からの混合物を該工程(b)に送る前に粒状化することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
該工程(a)からの混合物を該工程(b)に送る前に顆粒形状、押出形状、錠剤形状、球形、ペレット形状あるいは微小球形のいずれかの形状に粒状化することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
該工程(a)からの混合物を該工程(b)で噴霧乾燥により該乾燥混合物を形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
該混合物を該工程(b)で約65.5〜550°Cの範囲内の温度で乾燥することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
該乾燥混合物を該工程(c)で約204.4〜815.5°Cの範囲内の温度で焼成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
該焼成混合物を該工程(d)で約37.8〜815.5°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力、そして原子価が低下した促進剤を生成するに十分な還元時間で還元することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
該焼成工程(c)で該アルミナを少なくとも部分的にアルミン酸塩に転化することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法により製造された組成物。
【請求項16】
以下の工程を包含する、組成物の製造方法:
(a):1)液体、2)金属含有化合物、3)シリカ含有物質、4)アルミナおよび5)第一促進剤を混合してそれらの混合物を形成する工程;
(b):上記混合物を乾燥して乾燥混合物を形成する工程;
(c):上記乾燥混合物の上あるいは中に第二促進剤を添加して促進剤添加混合物を形成する工程;
(d):上記促進剤添加混合物を乾燥して乾燥促進剤添加混合物を形成する工程;
(e):上記乾燥促進剤添加混合物を焼成して焼成促進剤添加混合物を形成する工程;
(f):上記焼成促進剤添加混合物を適切な還元剤を用いて適切な条件下で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する組成物を生成する工程;および
(g):上記組成物を回収する工程。
【請求項17】
該第一促進剤がニッケル、コバルト、鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、銀、錫、アンチモン、バナジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、ロジウム、レニウムおよびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる金属を含有していることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
該第一促進剤がニッケルを含有していることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
該焼成促進剤添加混合物が該工程(g)で炭化水素ストリームと脱硫条件下で接触した際にそれから硫黄を除去するように該混合物を該工程(f)で還元することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
該金属含有化合物が亜鉛、マンガン、銀、銅、カドミウム、錫、ランタン、スカンジウム、セリウム、タングステン、モリブデン、鉄、ニオビウム、タンタル、ガリウム、インジウム、およびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる金属を含有していることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項21】
該金属含有化合物がニッケルを含有していることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
該第二促進剤がニッケル、コバルト、鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、銀、錫、アンチモン、バナジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、ロジウム、レニウムおよびこれらの任意の二種類以上の組み合わせからなる群から選ばれる金属を含有していることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項23】
該第二促進剤がニッケルを含有していていることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
該シリカ含有物質が粉砕された発泡真珠岩の形をしていることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項25】
該工程(a)からの混合物が湿状、練状、ペースト状あるいはスラリー状の形をしていることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項26】
該工程(a)からの混合物がスラリー状の形をしていることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
該工程(a)からの混合物を該工程b)に送る前に粒状化することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項28】
該工程(a)からの混合物を顆粒形状、押出形状、錠剤形状、球形、ペレット形状あるいは微小球形のいずれかの形状に粒状化することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項29】
該工程(a)からの混合物を該工程b)で噴霧乾燥により該乾燥混合物を形成することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項30】
該混合物および該促進剤添加混合物を各々該工程(b)および(e)で約65.5〜550°Cの範囲内の温度で乾燥することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項31】
該乾燥促進剤添加混合物を該工程(e)で約204.4〜815.5°Cの範囲内の温度で焼成することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項32】
該焼成促進剤添加混合物を該工程(g)で約37.4〜815.5°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力、そして原子価が低下した促進剤を生成するに十分な還元時間で還元することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項33】
該焼成工程(e)で該アルミナを少なくとも部分的にアルミン酸塩に転化することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項34】
該工程(b)からの該混合物を該工程(c)で促進剤を添加する前の段階で焼成することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項35】
該乾燥混合物を約204.4〜815.5°Cの範囲内の温度で焼成することを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項16記載の方法により製造された組成物。
【請求項37】
以下の工程を包含する、炭化水素ストリームから硫黄を除去する方法:
(a):脱硫された炭化水素ストリームおよび硫化された組成物を生成するために炭化水素ストリームを第一あるいは第二の態様で得られた組成物と脱硫ゾーン内で接触させる工程;
(b):上記の脱硫された炭化水素ストリームと硫化された組成物を各々から分離して脱硫炭化水素ストリームと硫化組成物を形成する工程;
(c):分離された上記硫化組成物の少なくとも一部を再生ゾーン内で再生することにより同組成物の中および/あるいは上に存在する硫黄の少なくとも一部を除去して再生組成物を形成する工程;
(d):上記再生組成物を還元ゾーン内で還元して、原子価が低下した促進剤を含有する還元組成物を生成する工程−同還元組成物は炭化水素ストリームと接触した際に同ストリームから硫黄を除去する;そしてそれに続く
(e):上記還元組成物の少なくとも一部を脱硫ゾーンに循環させる工程。
【請求項38】
該炭化水素ストリームが分解ガソリン、ディーゼル燃料およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる燃料から構成されていることを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項39】
該工程(a)での脱硫を約37.8〜537.8°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力、そして該ストリームから硫黄を除去するに十分な時間で実施することを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項40】
該工程(c)での再生を約37.8〜815.5°Cの範囲内の温度、約68.9kPa〜10.33MPa(約10〜1500psia)の範囲内の圧力、そして分離された該硫化組成物から硫黄の少なくとも一部を除去するに十分な時間で実施することを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項41】
該工程(c)において該再生ゾーン内で空気を再生剤として使用することを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項42】
該工程(c)からの再生組成物を該工程(d)において該再生ゾーン内で水素を使用して約37.8〜815.5°Cの範囲内の温度、約103kPa〜10.33MPa(約15〜1500psia)の範囲内の圧力、そして該再生組成物内の促進剤の原子価を低下するに十分な還元時間で還元することを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項43】
該工程(b)からの分離された該硫化組成物を該工程(c)に送る前にストリッピングすることを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項44】
該工程(c)からの該再生組成物を該工程(d)に送る前にストリッピングすることを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項45】
請求項38記載の方法で生成する分解ガソリン製品。
【請求項46】
請求項38記載の方法で生成するディーゼル燃料製品。

【公表番号】特表2006−528547(P2006−528547A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521156(P2006−521156)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/023128
【国際公開番号】WO2005/010124
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(503054111)コノコフィリップス カンパニー (12)
【Fターム(参考)】