説明

脱穀機のささり粒回収装置

【課題】 本発明の課題は、構成を簡単にして、回収効率もより良い効果が期待できるささり粒回収装置を具現せんとするものである。
【解決手段】 本発明は、扱胴8を内装軸架する扱室9の後部にささり粒を回収するささり回収室11を構成して設け、このささり回収室11の内部には前記扱胴8と略同径で扱胴軸と同一軸芯回りに強制回転するささり落し胴12を軸架させてあることを特徴とする。そして、扱室9とささり回収室11との間に構成される仕切壁15において、この仕切壁15と扱胴8外周との隙間が穀稈の通過する搬送経路範囲とそれ以外の非搬送経路範囲とに区分され、非搬送経路範囲内ではその隙間を小さくし、搬送経路範囲内では非搬送経路範囲内での隙間よりもより大きく構成してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀処理後の排ワラ中に混入するささり粒を掻き落して回収する脱穀機におけるささり粒回収装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀処理後の排ワラに対し、突起付きの無端回動体によってその排ワラの稈身方向に作用させながらささり粒を掻き落して回収する構成のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−191758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
脱穀処理後の排ワラ中には多量のささり粒が混在する。脱穀済みの排ワラが扱室終端から送り出されて後方に搬送される時、上記従来のような特別構成のささり粒回収装置によって排ワラ中のささり粒を掻き落し回収するものであるが、これは特殊な装置であるため、構成が複雑化し、回収効率もそれほど期待できるものではない。
【0004】
本発明は、構成を簡単にして、回収効率もより良い効果が期待できるささり粒回収装置を具現せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、扱胴8を内装軸架する扱室9の後部にささり粒を回収するささり回収室11を構成して設け、このささり回収室11の内部には前記扱胴8と略同径で扱胴軸と同一軸芯回りに強制回転するささり落し胴12を軸架させてあることを特徴とする。
【0006】
ささり落し胴は、扱胴と略同径で扱胴軸と同一軸芯回りに回転する構成であるから、扱胴自体を扱室終端より後方に延出させるだけの構成で足りることになり、従来装置のものより簡単に構成することができ、しかも、ささり粒の掻き落し作用が扱室終端から継続して行なえるので、ささり粒のより良い回収効果が期待でき、回収率が向上する。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記扱室9とささり回収室11との間に構成される仕切壁15において、この仕切壁15と扱胴8外周との隙間が穀稈の通過する搬送経路範囲とそれ以外の非搬送経路範囲とに区分され、非搬送経路範囲内ではその隙間を小さくし、搬送経路範囲内では非搬送経路範囲内での隙間よりもより大きく構成してあることを特徴とする。
【0008】
扱室内からささり回収室内への排ワラの通過を妨げず、速やかに通過させることができ、扱室内で発生した排塵処理物は、直接後方のささり回収室内へは流れず、扱室終端の排塵口部から側方の排塵処理室へ速やかに導くことができる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、扱室9の側方に位置して該扱室終端部位に開口された排塵口16からの排塵処理物を受入れ後方に向けて送りながら処理する排塵処理胴32を配置すると共に、該排塵処理胴32の前方には2番物を受入れて処理する2番処理胴30を配設し、前記排塵処理胴の始端部には扱室の排塵口部における連通路34に介入して取り込むスパイラ−形状の取込羽根35を付設してあることを特徴とする。
【0010】
扱室内で発生する処理物のうち、排塵処理物は排塵処理胴室内へ、2番物は2番処理胴室内へそれぞれ振り分け状に送り込んで有効処理することができる。
排塵処理胴の始端部に設けられたスパイラ−形状の取込羽根が扱室の排塵口部における連通路に介入して作用するので、排塵物の取込みが確実で詰りの発生をなくし、良好に排出処理することができ、脱穀性能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
要するに、請求項1の本発明によれば、扱胴そのものを扱室終端より後方に延出するだけの簡単な構成で、ささり粒を確実に掻き落して回収することができ、従来装置のものに増して回収率の向上を図ることができるに至った。
【0012】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、脱穀済の排ワラを扱室内からささり回収室内へ速やかに通過させることができ、扱室内で発生した排塵処理物は、直接後方のささり回収室内へは流れず、扱室終端の排塵口から側方の排塵処理室へ速やかに導くことができる。
【0013】
更に、請求項3の本発明によれば、請求項1又は請求項2の発明効果を奏するものでありながら、扱室内で発生する処理物のうち、排塵処理物は排塵処理胴室内へ、2番物は2番処理胴室内へそれぞれ振り分け状に送り込んで有効処理することができ、特に、排塵処理胴の始端部に設けられたスパイラ−形状の取込羽根が扱室の排塵口部内に介入して作用するので、排塵物の取込みが確実で詰りの発生がなく、良好に排出処理することができて脱穀性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀部(脱穀機)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部5が設置され、その後方にはグレンタンク6が装備されている。
【0015】
つぎに、脱穀部4の構成につき説明する。扱歯7付の扱胴8を内装軸架した扱室9の下半周部に沿って受網10を張設している。扱室9の後方部には、排ワラ中のささり粒を掻き落して回収するささり回収室11を構成して設け、このささり回収室11には前記扱胴と略同径で扱胴軸と同一軸芯回りに強制回転するささり落し胴12を内装軸架させてある。ささり落し胴12は、実施例では前記扱胴8と一体構成としてあり、該扱胴を扱室終端より後方に長く延出させるだけの構成とすることができる。そして、このささり落し胴12の外周には前記扱歯7の植付密度よりも大きい密度でもって植設するささり落し歯13を設けている。つまり、扱室9の始端から中仕切壁14間における扱胴前方部(L1)の扱歯密度よりも、扱室の中仕切壁14から扱室終端の後仕切壁15間における排塵口部16に対応する部分(L2)の扱歯密度が大きく(L1<L2)なるようにし、更に、排塵口部16の密度とささり回収室11の密度はほぼ同じ(L2=L3)か、又は、ささり回収室の方が密(L2<L3)になるよう構成している。排塵口部では扱歯を密植して排塵処理室内への送塵能力を大きくしてあり、しかも、ささり回収室でも密植にしてささり落し効果をアップするようにしている。
【0016】
扱室9終端の後仕切壁15を構成するに、つまり、扱室9とささり回収室11との間に構成される下側仕切壁15a(受網側),奥側仕切壁15b(穂先側),上側仕切壁15c(扱胴カバ−側)において、この仕切壁と扱胴外周との隙間が穀稈の通過する搬送経路範囲aとそれ以外の非搬送経路範囲b+cとに区分され、非搬送経路範囲内ではその隙間X2をできるだけ小さくし、搬送経路範囲内では隙間X1が非搬送経路範囲内での隙間X2よりもできるだけ大きくなるように構成してある。
【0017】
扱室9の前側板17、中仕切壁14、後仕切壁15、ささり回収室11の後側板18間にわたって前後方向の第一フレ−ム19で連結保持し、第二フレ−ム20はフイ−ドチエン21側の側板下方に設置し、前側板17、中仕切壁14、後仕切壁15間にわたって連結している。中仕切壁14と後仕切壁15とは濾過可能な排塵口16を有する排塵格子枠22を介して連結構成し、後仕切壁15は吸引フアンケ−シング23前方の補強板24によって強固に連結している。ささり回収室11のささり落し胴12に対応する下方部分は下方に大きく開放してあり、そして、この開放部分には穀稈の穂先がささり落し歯13の作用により下方へ逃げないように該穀稈の穂先側を受けてガイドするガイド杆27が設けられ、後仕切壁15から斜め後方に向けて突設されている。
【0018】
扱室9の上方部を覆う扱胴カバ−25は、扱胴軸方向に平行な軸芯P回りに揺動開閉可能に構成している。フイ−ドチエン21の上側に対設する挟持レ−ル21aは扱胴カバ−25側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。26は脱穀後の排ワラを搬送する排ワラ搬送装置である。
【0019】
前記扱室9のフイ−ドチエン21側とは反対側一側には2番処理胴30を内装軸架した2番処理室31を並設している。また、前記2番処理胴30の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴32を内装軸架した排塵処理室33を構成して設けている。2番処理胴30の外周に2番処理刃30aを、排塵処理胴32の外周には排塵処理刃32aを植設している。扱室終端の排塵口16から排塵処理室33始端への連通路34には、排塵処理胴の始端部に固着されたスパイラ−形状の取込羽根35が介入するように設けて、排塵処理室内への排塵物の取込みが容易に行なえるようにしている。前記排塵口16からは前方の扱室受網10より排塵物の濾過効率を上げつつ排塵処理室33へ送塵するため、ワラ屑発生が多い条件下でも排塵処理室への連通部でのオ−バフロ−や詰りがなく、また、処理物が後方のささり回収室へ押し流されてささり落し機能を阻害することもなくなる。
【0020】
排塵処理室33のケ−シング33a内面に送塵リ−ド板36を設置してあり、前記ケ−シング33a内面で送塵リ−ド板36の上方には複数の切刃37を設置し排塵処理胴32の排塵処理刃32aに臨ませている。前記切刃37は切刃フレ−ム38に装着しカセット式で着脱できるように構成しておくとよい。排塵口16から連通路34を経て排塵処理室33内へ取り込まれた排塵処理物は、送塵リ−ド板36により処理室内を後方へ向けて円滑に送塵されると共に、切刃36により切断され細かくこなされながら処理されることになる。
【0021】
排塵処理胴受枠40は、機体後方側で選別室側より着脱可能となるよう構成している。排塵処理胴受枠40のささり回収室11に面した部位に分離板41を設置してあり、分離板41の上方でささり落し胴12により落下した処理物が分離板41下方へ落下しないように構成している。排塵処理胴受枠40の分離板41上方部分は塞ぎ、下方部分は排塵処理室からの濾過を可能とするよう目抜濾過穴40aを設けた構成としている。また、前記分離板41は、ささり落し胴12により除去されたささり粒等が上方に持ち上がり、再び搬送中の穀稈にささり込むのを防止している。更に、分離板下方の排塵処理胴からの濾過物が搬送中の穀稈の穂先に乗りかかりロスが増大化するのを抑制している。
【0022】
ささり回収室11の後側板18には排塵処理胴受枠40が容易に着脱できるよう切欠部18aを設けている。後側板18と分離板41との間には両者を連結する連結プレ−ト42を設置して、そのプレ−ト42の一辺42aを穀稈の穂先通過部位としている。この連結プレ−ト42は後側板18の切欠部18aを塞ぐ役目をすると共に、後側板自体の強度メンバ−ともなり得る。
【0023】
扱室9の受網10に対応する部位及び排塵口16に対応する部位の扱胴カバ−25側には、揺動可変調節可能な送塵調節弁45と戻しリ−ド板46が設けられ、それぞれが独立して可変調節できるように構成されている。送塵調節弁45は、支軸45aを支点として揺動自在であり、送塵調整ダイヤル45bにより長穴45cの範囲内揺動調整してロックする構成としている。戻しリ−ド板46は、処理物を前方側へ戻す方向にガイド刷る構成であり、支軸46aを支点として揺動自在で、戻しリ−ド調整ダイヤル46bにより長穴46cの範囲内揺動調整してロックする構成としている。
【0024】
なお、送塵調節弁45と戻しリ−ド板46との関係において、別実施例(図16)で示すように、送塵調節弁45の揺動角を戻しリ−ド板46の揺動角よりも大きくし、一定以上送塵弁を揺動操作しても戻しリ−ド板が作動しないように牽制手段を設けておくこともできる。その牽制手段は送塵調節弁45側の揺動調節ア−ム45dと戻しリ−ド板46側の揺動調節ア−ム46dを連結ロッド48で連結し、この連結ロッド48に設けた遊動孔48aの範囲内では戻しリ−ド板が作動しない構成としている。49は付勢スプリングを示す。通常、送塵調節弁は扱胴軸に対し略直角を標準として「送り」、「絞り」の両方向の調節があり、条件適応性の面から作動調節角が大きい。これに対し、戻しリ−ド板は、標準は絞り最大角を標準とするのが性能的に望ましく、条件適応性からリ−ド角を小さくする調整もされてもよいが、排塵口(連通路)幅の関係や戻しリ−ド角の最小値が扱胴に対し直角程度であるため、どうしても送塵調節角は小さくなる。従って、上記牽制手段は有効となる。また、倒伏刈り等の悪条件下での倒伏作業の場合、穀稈の引き抜かれにより、扱室内に多量のワラ屑が発生すると、排塵処理室内への連通口部で持ち回りが発生して過負荷が生じる。このような時には、戻しリ−ド板46は処理物を戻す側にガイドしないように角度調節(むしろ、送り側に角度調節)するとよい。例えば、副変速を倒伏作業に切り替えたときには、その切り替えに連動して戻しリ−ド板の角度調節ができるように構成しておくと便利である。
【0025】
また、ささり回収室11に対応する上方の扱胴カバ−25側にも戻しリ−ド板47を付設している。悪条件下でささり回収室にワラ屑等が入り込み、ささり落し胴外周部を持ち回った場合、搬送中の穀稈株元にワラ屑や穀粒が乗りかかり、ささり回収に支障をきたす。かかる場合には戻しリ−ド板27が有効に作用し、ワラ屑等がささり回収室の前部側に送塵されることになり、また、ささり回収室に前方からのワラ屑が浸入するのを防止できることになるので、ささり回収効率の低下を招かない。
【0026】
前記扱胴カバ−25の構成において、該扱胴カバ−25の内面側には、扱室9の前側板17および後仕切壁15とささり回収室11の後側板18に対応する前仕切板50、後仕切壁15c、後仕切板51が補強パイプ52を介して連結保持されている。扱室側の前側板17及び後側板18に対する扱胴カバ−側の前仕切り板50と後仕切板51とは、扱胴カバ−閉時に密着する構成としてワラ屑の吹き出しを防止してあり、排塵口側の後仕切壁15cは、上記したように、扱胴カバ−閉時に扱胴外周と僅かの隙間を保つように構成している。
【0027】
なお、前記扱胴カバ−側の後仕切壁15cは、図5に示すように、前後方向に移動調節可能に設け、排塵処理負荷が増大すると、後方に移動調節して排塵処理を速やかにし、負荷の軽減を図るようにしている。後仕切壁15cの後方への移動調節により、選別部のチャフシ−ブを閉じ側に作動させるよう関連構成することもできる。過負荷の場合にはチャフシ−ブ69を閉じることで、グレンシ−ブ上へのワラ屑の落下を防ぐことができる。また、後仕切壁15cは、この仕切壁高さ(扱歯とのラップ代)を上下に変更できるように構成することもできる。過負荷の場合には、後仕切壁と扱歯とのラップ代を少なくすることで、上記のような前後調節と同じ効果を発揮することができる。
【0028】
次に、排ワラ搬送装置の伝動及び支持構成について説明する。扱胴軸8aから排ワラ搬送装置26を回転駆動するための排ワラギヤケ−ス53を扱胴軸8aの上方部位に配設している。この排ワラギヤケ−ス53は、該ケ−ス内のギヤ伝動機構を介して排ワラ穂先搬送装置26b始端側のスプロケット54と、排ワラ株元搬送装置26aの中間スプロケット55を回転駆動するよう連動連結してあり、左右の排ワラ支持フレ−ム58aと58b間にわたって連繋する排ワラ支持フレ−ム58cに連結保持させている。排ワラ株元搬送装置26aは、図18に示すように、始端側の排ワラチエンレ−ル56が中間スプエット軸55aを支点として上下動する構成であり、該装置26aの始端側が挟持レ−ル57に対し排ワラ搬送量に応じて上下回動することになる。
【0029】
右側の排ワラ支持フレ−ム58aは、2番揚穀装置66の揚穀筒66aを介して排塵処理室33の上方で右側板側に配置し、後仕切壁15、後側板18を支持している。左側の排ワラ支持フレ−ム58bは、ささり回収室の後側板18を支持すると共に、これより後方に延長されて排ワラ支持フレ−ム58d,58eを介して排ワラ支持フレ−ム58aと連結されるようになっている。排ワラ支持フレ−ム58d,58eには排ワラ搬送装置26の支持部材59を連結している。
【0030】
扱室8の下側には揺動可能に架設した揺動選別装置Yを設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕61と、1番移送螺旋62と、2番移送螺旋63と、その上方に吸引排塵フアン64を設けて選別室を構成している。なお、1番揚穀装置65は1番移送螺旋62で回収された穀物を揚送してグレンタンク6内に収容する。また、2番揚穀装置66は2番移送螺旋63で回収された2番処理物を2番処理室31内へ還元するようになっている。
【0031】
そして、揺動選別装置Yは、扱室からの脱穀処理後の処理物、つまり、被処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚67、クリンプ網68、チャフシ−ブ69、ストロ−ラック70の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ69の下方にグレンシ−ブ71を配置して一体的に設け、前記唐箕61及び吸引排塵フアン64による選別風と揺動との共同作用によって扱室9から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。また、前記ささり回収室11の下方には、ささり粒やワラ屑等の処理物を受け入れてふるい選別しながら後方に排塵処理する排塵ラック板72を設けて揺動選別装置Yと一体的に揺動するよう構成している。
【0032】
なお、前記チャフシ−ブ69は、複数枚の帯板状のシ−ブ板を等間隔に配置して上部を枢着し、下部が円弧状の長孔に沿って揺動開閉するようにして相互の選別間隔の開度調節ができる構成としている。
【0033】
以上のように構成された刈取脱穀装置についてその作用を説明する。
まず、圃場の穀稈は、前進する機体の前部位置にある刈取部3によって刈取られ、上方に搬送されて、フィ−ドチエン21に受け継がれてのち脱穀部4に供給される。そして、穀稈は、株元をフィ−ドチエン21に挾持されて搬送されながら穂先部分が扱室9内に供給されて、回転している扱胴8より脱穀作用を受ける。扱室内での脱穀済の排ワラは、更に、ささり落し胴12の作用を受けてささり粒が掻き落されると共に、フイ−ドチエン21から排ワラ搬送装置26に受け渡されて搬送処理される。
【0034】
このようにして処理された脱穀処理物は、回転している扱胴8によって持ち回りされて、更に、脱粒処理作用を受け、受網10から漏下して選別室の揺動選別装置Yに達し揺動選別作用を受ける。
【0035】
この場合、扱室内で脱穀処理された処理物は、受網10から漏下し、移送棚67及びクリンプ網68上に落下して揺動移送されながらふるい選別され、このクリンプ網68の網目から漏下するものは下方のグレンシ−ブ71上に落下し、クリンプ網68の網目を抜けきらない処理物及び扱室後部の排塵口16から落下する処理物は、なおも後方へ揺動移送されてチャフシ−ブ69に達し、チャフシ−ブ69を構成している複数枚のシ−ブ板相互間にある選別間隔を漏下しながら風選作用を受ける。また、チャフシ−ブ69から下方に漏下するものは下方のグレンシ−ブ71上に落下し、該グレンシ−ブ71によりふるい選別されこの網目を漏下しながら風選作用を受ける。このとき、唐箕61は、起風した選別風を選別室内に吹き込みながら選別し、吸引排塵フアン64による吸引作用によって選別される。
【0036】
このようにして、処理物は、揺動選別作用と選別風による風選作用との共同作用を受けながら選別されて、1番物(精粒)、2番物、排塵物とに選別分離され、1番物はグレンシ−ブ71にてふるい選別された後、1番移送螺旋62の受樋内に落下して収集されて機外に取り出され、2番物は2番移送螺旋63から2番揚穀装置66によって揚穀されて2番処理室31内に還元され、そして、2番処理胴30によって前方に移送されつつ2番処理作用を受け、排塵物は吸引排塵フアン64によって吸塵され機外に排出されると共に、ストロ−ラック70に達したワラ屑は棚先から機外に排出される。
【0037】
一方、選別室に漏下せず扱室9に残留して持ち回られている未処理物は、排塵処理胴32の取込羽根35によって連通路34から排塵処理室33内に取り込まれ、排塵処理胴32による再処理を受け、チャフシ−ブ69及びストロ−ラック70部分に落下して前述の各処理物と合流して選別処理されるものである。
【0038】
また、ささり回収室11から下方に落下する回収物は、排塵ラック板72上に受けられ、この排塵ラック板72によってふるい選別され、ささり粒は、チャフシ−ブ69、グレンシ−ブ71を経て1番受樋内に回収される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀機の切断側面図
【図3】同上要部の縦断正面図
【図4】脱穀機の要部の斜視図
【図5】脱穀機要部の切断側面図
【図6】脱穀機要部の平面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の切断背面図
【図9】脱穀機の一部の切断正面図
【図10】排塵処理胴受枠の側面図
【図11】同上正面図
【図12】脱穀機の要部の側面図
【図13】同上要部の縦断正面図
【図14】扱胴カバ−の内面図
【図15】脱穀機の要部の平面図
【図16】同上一部の平面図
【図17】脱穀機の要部の平面図
【図18】排ワラ搬送装置の一部の背面図
【図19】脱穀機の要部の平面図
【図20】同上要部の右側面図
【図21】同上要部の左側面図
【図22】同上要部の背面図
【符号の説明】
【0040】
4 脱穀部(脱穀機) 7 扱歯
8 扱胴 9 扱室
11 ささり回収室 12 ささり落し胴
13 ささり落し歯 15 後仕切壁
16 排塵口 30 2番処理胴
31 2番処理室 32 排塵処理胴
33 排塵処理室 34 連通路
35 取込羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴8を内装軸架する扱室9の後部にささり粒を回収するささり回収室11を構成して設け、このささり回収室11の内部には前記扱胴8と略同径で扱胴軸と同一軸芯回りに強制回転するささり落し胴12を軸架させてあることを特徴とする脱穀機のささり粒回収装置。
【請求項2】
請求項1において、前記扱室9とささり回収室11との間に構成される仕切壁15において、この仕切壁15と扱胴8外周との隙間が穀稈の通過する搬送経路範囲とそれ以外の非搬送経路範囲とに区分され、非搬送経路範囲内ではその隙間を小さくし、搬送経路範囲内では非搬送経路範囲内での隙間よりもより大きく構成してあることを特徴とする脱穀機のささり粒回収装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、扱室9の側方に位置して該扱室終端部位に開口された排塵口16からの排塵処理物を受入れ後方に向けて送りながら処理する排塵処理胴32を配置すると共に、該排塵処理胴32の前方には2番物を受入れて処理する2番処理胴30を配設し、前記排塵処理胴の始端部には扱室の排塵口部における連通路34に介入して取り込むスパイラ−形状の取込羽根35を付設してあることを特徴とする脱穀機のささり粒回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−34152(P2006−34152A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217263(P2004−217263)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】