説明

脱穀装置

【課題】横移送螺旋による清粒の回収精度を向上させ、選別精度を高める。
【解決手段】扱胴(9)の下側に扱網(10)を配置し、扱網(10)の下側に揺動選別棚(26)の前部から前後方向中間部にわたる部位を臨ませ、選別風を後側上方へ向けて送風する第1唐箕(27)と、揺動選別棚(26)の前部から漏下する処理物が第1唐箕(27)からの選別風で選別された後に流下する第1横移送螺旋(28)と、選別風を後側上方へ向けて送風する第2唐箕(29)と、揺動選別棚(26)の中間部から漏下する処理物が第2唐箕(29)からの選別風で選別された後に流下する第2横移送螺旋(30)と、揺動選別棚(26)の後部から漏下する処理物が流下する第3横移送螺旋(31)とを、揺動選別棚(26)の下方において前側から後側へこの順に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1、特許文献2に例示するように、扱胴の下側に扱網を配置し、扱網の下側に揺動選別棚の前部から前後方向中間部にわたる部位を臨ませ、選別風を後側上方へ向けて送風する第1唐箕と、揺動選別棚の前部および前後方向中間部から漏下する処理物が第1唐箕からの選別風で選別された後に流下する第1横移送螺旋と、揺動選別棚の後部から漏下する処理物が流下する第2横移送螺旋と、揺動選別棚の後端部から漏下する処理物が流下する第3横移送螺旋とを、揺動選別棚の下方において前側から後側へこの順に配置した脱穀装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−82138号公報
【特許文献2】特開平5−244818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常の脱穀作業において、穀稈が扱室に供給されると、扱胴の前部による初期の脱粒作用によって多くの穀粒が脱粒し、揺動選別棚の前部に漏下する。また、扱胴の後部では、脱粒すべき穀粒が少なくなり、藁屑や枝梗付着粒が多く発生して揺動選別棚の前後方向中間部に漏下する。
このため、上述の従来の脱穀装置では、揺動選別棚の前部および中間部に漏下した穀粒と藁屑および枝梗付着粒が、揺動選別棚上での移送行程で混ざり、第1唐箕からの選別風によって選別される際に、藁屑や枝梗付着粒を十分に選別できない。
これによって、穀粒と藁屑および枝梗付着粒が第1横移送螺旋に流下し、穀粒の選別精度が低下する問題があった。
この発明は、上記課題を解決し、脱穀装置の選別精度を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱胴(9)の下側に扱網(10)を配置し、該扱網(10)の下側に揺動選別棚(26)の前部から前後方向中間部にわたる部位を臨ませ、選別風を後側上方へ向けて送風する第1唐箕(27)と、揺動選別棚(26)の前部から漏下する処理物が第1唐箕(27)からの選別風で選別された後に流下する第1横移送螺旋(28)と、選別風を後側上方へ向けて送風する第2唐箕(29)と、揺動選別棚(26)の中間部から漏下する処理物が第2唐箕(29)からの選別風で選別された後に流下する第2横移送螺旋(30)と、揺動選別棚(26)の後部から漏下する処理物が流下する第3横移送螺旋(31)とを、前記揺動選別棚(26)の下方において前側から後側へこの順に配置した脱穀装置とする。
請求項2記載の発明は、前記揺動選別棚(26)の前部に備える第1シーブ(33)の処理物漏下用の間隙を、該揺動選別棚(26)の中間部に備える第2シーブ(34)の処理物漏下用の間隙よりも狭くした請求項1記載の脱穀装置とする。
請求項3記載の発明は、前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、該第1縦移送装置(38)および第2縦移送装置(39)の各移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置とする。
請求項4記載の発明は、前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、前記第1縦移送装置(38)の移送終端部を第2縦移送装置(39)の移送方向中間部に連通させ、該第2縦移送装置(39)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置とする。
請求項5記載の発明は、前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、前記第2縦移送装置(39)の移送終端部を第1縦移送装置(38)の移送方向中間部に連通させ、該第1縦移送装置(38)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置とする。
請求項6記載の発明は、前記扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、該排塵処理室(3)の前側には処理胴(23)を内装した処理室(4)を設け、前記第3横移送螺旋(31)で回収した処理物を前記処理室(4)に供給する第3縦移送装置()を設けた請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置とする。
請求項7記載の発明は、前記扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、前記扱胴(9)の後端部を連通口(18)の後端部よりも後方へ延長した請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、扱室(2)の前部で脱粒されて揺動選別棚(26)の前部から漏下する穀粒を主体とした処理物が、第1唐箕(27)からの選別風で選別されて第1横移送螺旋(28)に流下するので、第1横移送螺旋(28)による清粒の回収精度が向上し、選別精度を高めることができる。また、扱室(2)の後部で脱粒されて揺動選別棚(26)の中間部から漏下する処理物も、第2唐箕(29)からの選別風で選別されて第2横移送螺旋(30)に流下するので、この処理物に混在する穀粒を回収することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加え、揺動選別棚(26)の前部に備える第1シーブ(33)の処理物漏下用の間隙を、該揺動選別棚(26)の中間部に備える第2シーブ(34)の処理物漏下用の間隙よりも狭くすることで、この第1シーブ(33)での穀粒選別精度を高め、第1横移送螺旋(28)による穀粒回収率を高めることができる。
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)の各移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させて、回収した穀粒を穀粒貯留装置(14)に貯留することができる。
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、第1縦移送装置(38)の移送終端部を第2縦移送装置(39)の移送方向中間部に連通させ、第2縦移送装置(39)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させたので、第1縦移送装置(38)によって移送される多量の穀粒を、第2縦移送装置(39)によって移送される比較的少量の穀粒に合流させることで、縦移送装置の構造を簡素化できると共に、穀粒の移送能力を高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、第2縦移送装置(39)の移送終端部を第1縦移送装置(38)の移送方向中間部に連通させ、第1縦移送装置(38)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させたので、移送量が多いために搬送能力を高めた第1縦移送装置(38)に、第2縦移送装置(39)からの穀粒を合流させることで、穀粒の縦移送効率を高めることができる。
請求項6記載の発明によれば、上記請求項請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明の効果に加え、扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、排塵処理室(3)の前側には処理胴(23)を内装した処理室(4)を設け、第3横移送螺旋(31)で回収した処理物を処理室(4)に供給する第3縦移送装置(40)を設けたので、揺動選別棚(26)の後部から漏下して第3横移送螺旋(31)に流下した処理物を第3縦移送装置(40)によって処理室(4)に供給して再処理することができ、穀粒の清粒化を促進して選別精度を高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、上記請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明の効果に加え、扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、扱胴(9)の後端部を連通口(18)の後端部よりも後方へ延長したので、扱室(2)内で脱穀した後の排藁の穂先側に刺さり込んだ穀粒を、連通口(18)よりも後側の部位において扱胴(9)後端の扱歯の作用で揺動選別棚(26)上に落とし、穀粒の回収効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】脱穀装置の説明用側面図
【図2】脱穀装置の説明用側面図
【図3】脱穀装置の説明用平面図
【図4】脱穀装置の説明用側面図
【図5】コンバインの説明用平面図
【図6】脱穀装置の説明用側面図
【図7】一部の伝動説明図
【図8】一部の説明用断面図
【図9】脱穀装置の説明用側面図
【図10】脱穀装置の説明用側面図
【図11】コンバインの説明用平面図
【図12】脱穀装置の説明用側面図
【図13】脱穀装置の説明用側面図
【図14】脱穀装置の説明用側面図
【図15】脱穀装置の説明用側面図
【図16】一部の伝動説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施の形態を、コンバインに搭載される脱穀装置を例示して説明する。
(全体レイアウト)
図5に示すように、コンバインは、操縦部11の座席の下側にエンジン12を搭載し、機体の前部に刈取装置13を備え、機体の後部には、脱穀装置1と穀粒貯留装置14を左右に併設して構成する。
図1に示すように、前記脱穀装置1には、その上部に、扱室2と排塵処理室3と処理室4を備え、下部には選別室5を備える。
【0009】
(扱室)
図1に示すように、上記扱室2は、前側壁6と後側壁7の間に、多数の扱歯8を備えた扱胴9を軸架し、左側の外側壁には前後方向に沿って扱口を開口して形成する。
【0010】
扱胴9の下部外周には、扱網10を張設する。
この扱口の左外側下部には、脱穀穀稈を扱口から扱室2内へ挿入した状態で後方へ搬送するフィードチェンを配置する。
【0011】
また、前記後側壁7の後方には、フィードチェンの終端部から脱穀後の排藁を引き継いで後方へ搬送する排藁搬送装置15を設ける。この排藁搬送装置15は、排藁の穂先側を係止搬送するラグ式の穂先搬送装置と、排藁の株元側を挟持搬送するチェン式の株元搬送装置を平面視で平行に配置して構成し、後側壁7に連結した支持フレームで支持する。この排藁搬送装置15の終端部は、脱穀装置1の後側に設ける排藁切断装置の上部に臨ませて配置する。また、排藁搬送装置 15の下側には、横断流ファン式の排塵ファン16を設ける。
(排塵処理室)
図1に示すように、前記扱室2の右側後方の部位には、排塵処理胴17を軸架した排塵処理室3を設け、この排塵処理室3の前端部左側の部位を、前記扱室2の後端部右側の部位に、連通口18を介して連通させる。
【0012】
前記排塵処理胴17を排塵処理室3内に軸架する排塵処理胴軸19は、後述する二番処理胴 を軸架する二番処理胴軸と同軸である。
【0013】
この排塵処理胴17における連通口18に臨む部位には、被処理物取り込み用の取込螺旋20を巻き掛け、排塵処理胴17における連通口18よりも後側の部位には、前記取込螺旋20よりもピッチの小さい処理螺旋21を巻き掛ける。尚、前記処理螺旋21に代えて多数の処理歯を設ける構成としてもよい。
【0014】
前記排塵処理胴17の下部外周には、網状または格子状の濾過部材22を配置する。
(処理室)
図1に示すように、前記排塵処理室3の前側には、処理胴23を二番処理胴軸で軸架した処理室4を設ける。
【0015】
この処理胴23には多数の処理歯24を設ける。
【0016】
また、前記処理胴23の下部外周に沿って、多数の濾過孔を有する目抜き鉄板で形成した受樋 25を、処理室4の後部に設ける。
(選別室)
図1に示すように、前記選別室5には、前後方向および上下方向に往復揺動しながら被処理物を選別する揺動選別棚26を設け、この揺動選別棚26の下側において、揺動選別棚26の前部から漏下する処理物が第1唐箕27からの選別風で選別された後に流下する第1横移送螺旋28と、選別風を後側上方へ向けて送風する第2唐箕29と、揺動選別棚26の中間部から漏下する処理物が第2唐箕29からの選別風で選別された後に流下する第2横移送螺旋30と、選別風を後側上方へ向けて送風する第3唐箕37と、揺動選別棚26の後部から漏下する処理物が流下する第3横移送螺旋31とを、前側から後側へこの順に配置する。
【0017】
前記揺動選別棚26は、波板状の移送棚32と、左右方向の多数の板体を前後方向に間隔をおいて配置した前部の第1シーブ33および中間部の第2シーブ34と、後部のストローラック35を備える。前記排塵ファン16は、ストローラック35の上方に配置される。
【0018】
前記第1シーブ33の処理物漏下用の間隙は、第2シーブ34の処理物漏下用の間隙よりも狭く設定する。
前記第1シーブ33の下方から第2シーブ34の下側に亘り、選別網36を配置する。
図10、図11に示すように、前記第1横移送螺旋28の移送終端部には、螺旋式の第1縦移送装置38の基部を接続し、この第1縦移送装置38の先端部は、穀粒貯留装置14の上部内側面に形成した投入口に接続する。
また、前記第2横移送螺旋30の移送終端部には、螺旋式の第2縦移送装置39の基部を接続し、この第2縦移送装置39の先端部は、穀粒貯留装置14の上部内側面に形成した投入口に接続する。
更に、前記第3横移送螺旋31の移送終端部には、螺旋式の第3縦移送装置40の基部を接続し、この第3縦移送装置40の先端部を、処理室4の後端部上方に連通させる。
尚、図4、図5に示すように、前記第1縦移送装置38の移送終端部を第2縦移送装置39の移送方向中間部に連通させ、第2縦移送装置39の移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させてもよい。
また、図6、図8に示すように、前記第1縦移送装置38の移送終端部を第2縦移送装置39の基部の鋳物製の引継部材47に連通させ、第2縦移送装置39の移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させてもよい。
尚、図7、図14に伝動機構を示す。
エンジン12の出力軸からテンション式の脱穀クラッチ48を介してカウンター軸49に伝動し、このカウンター軸49から割プーリ式の第1変速伝動装置50を介して第1唐箕27を駆動する構成とする。前記第1変速伝動装置50を変速作動させる第1電動モータ51を設ける。
また、前記カウンター軸49の外側端部から、割プーリ式の第2変速伝動装置52を介して第2唐箕29を駆動する構成とする。前記第2変速伝動装置52を変速作動させる第2電動モータ53を設ける。これにより、第1唐箕27と第2唐箕29を独立して変速させ、各唐箕から送風される選別風の風量を調節することができ、選別精度を高めることができる。例えば、揺動選別棚26上の処理物の層厚を検出するセンサを設け、圃場のコーナー部での旋回時や負荷の小さい作業の際に処理物の層厚が小さくなると、第2唐箕29の風量を減少させて穀粒の3番飛散を防止し、処理物の層厚が大きくなると、第1唐箕27と第2唐箕29の風量を増加させて藁屑の漏下を少なくしながら選別能率を高めることができる。
また、図15、図16に示すように、第1変速伝動装置50と第2変速伝動装置52を連動して変速作動させる構成としてもよい。
また、図9に示すように、前記第2縦移送装置39の移送終端部を第1縦移送装置38の移送方向中間部に連通させ、第1縦移送装置38の移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させてもよい。
また、図10に示すように、前記第1唐箕27を揺動選別棚26の前方に配置し、この第1唐箕27からの選別風を風割54で上下に分割して、揺動選別棚26の上面側と選別網36の上面側とに送風する構成としてもよい。これにより、処理物の移送作用が高まる。
また、図12に示すように、選別網36における第2唐箕29の上側に臨む部位に移送ラック55を設けてもよい。この移送ラック55によって、選別風の作用しにくい部位における移送作用を高め、藁屑の後方移送を促進することができる。
また、図13に示すように、前記第1唐箕27を揺動選別棚26の前方に配置し、この第1唐箕27からの選別風を揺動選別棚26の上面側に送風する構成としてもよい。これにより、処理物の移送作用が高まる。
また、図14に示すように、


(実施例による効果)
以上の構成により、扱室2の前部で脱粒されて揺動選別棚26の前部から漏下する穀粒を主体とした処理物が、第1唐箕27からの選別風で選別されて第1横移送螺旋28に流下するので、第1横移送螺旋28による清粒の回収精度が向上し、選別精度を高めることができる。また、扱室2の後部で脱粒されて揺動選別棚26の中間部から漏下する処理物も、第2唐箕29からの選別風で選別されて第2横移送螺旋30に流下するので、この処理物に混在する穀粒を回収することが可能となる。
また、揺動選別棚26の前部に備える第1シーブ33の処理物漏下用の間隙を、揺動選別棚26の中間部に備える第2シーブ34の処理物漏下用の間隙よりも狭くすることで、この第1シーブ33での穀粒選別精度を高め、第1横移送螺旋28による穀粒回収率を高めることができる。
また、第1横移送螺旋28に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置38と、第2横移送螺旋30に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置39の各移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させて、回収した穀粒を穀粒貯留装置14に貯留することができる。
また、第1横移送螺旋28に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置38と、第2横移送螺旋30に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置39とを設け、第1縦移送装置38の移送終端部を第2縦移送装置39の移送方向中間部に連通させ、第2縦移送装置39の移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させたので、第1縦移送装置38によって移送される多量の穀粒を、第2縦移送装置39によって移送される比較的少量の穀粒に合流させることで、縦移送装置の構造を簡素化できると共に、穀粒の移送能力を高めることができる。
また、第1横移送螺旋28に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置38と、第2横移送螺旋30に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置39とを設け、第2縦移送装置39の移送終端部を第1縦移送装置38の移送方向中間部に連通させ、第1縦移送装置38の移送終端部を穀粒貯留装置14に連通させたので、移送量が多いために搬送能力を高めた第1縦移送装置38に、第2縦移送装置39からの穀粒を合流させることで、穀粒の縦移送効率を高めることができる。
また、扱胴9を内装した扱室2の後部一側に、排塵処理胴17を内装した排塵処理室3の前部を連通口18を介して連通させ、排塵処理室3の前側には処理胴23を内装した処理室4を設け、第3横移送螺旋31で回収した処理物を処理室4に供給する第3縦移送装置40を設けたので、揺動選別棚26の後部から漏下して第3横移送螺旋31に流下した処理物を第3縦移送装置40によって処理室4に供給して再処理することができ、穀粒の清粒化を促進して選別精度を高めることができる。
また、扱胴9を内装した扱室2の後部一側に、排塵処理胴17を内装した排塵処理室3の前部を連通口18を介して連通させ、扱胴9の後端部を連通口18の後端部よりも後方へ延長したので、扱室2内で脱穀した後の排藁の穂先側に刺さり込んだ穀粒を、連通口18よりも後側の部位において扱胴9後端の扱歯の作用で揺動選別棚26上に落とし、穀粒の回収効率を高めることができる。
(その他の構成)
図2、図3に示すように、前記第1シーブ33と第2シーブ34に、これらの上面に付着する処理物を削ぎ落とすスクレーパ41を設けてもよい。
【0019】
このスクレーパ41は、第1シーブ33、第2シーブ34の夫々に対して、前後方向のプレート42を左右方向摺動自在に嵌合支持し、これら4枚のプレート42を互いに平行に一体化したものである。各プレート42から左右両側に突出する刃体43を備え、この刃体43を各シーブの上面に摺接させる。これら4枚のプレート42は、電動モータによって背反的に引き操作される2本のワイヤー44によって揺動アーム45を左右に往復揺動させ、この揺動アーム45の揺動によって左右方向に往復摺動する構成とする。前後の揺動アーム45間は、左右の連動ロッド46で連動させる。
【0020】
このスクレーパ41によって、処理物の漏下を促進し、第1横移送螺旋28への穀粒の回収効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 脱穀装置
2 扱室
3 排塵処理室
4 処理室
5 選別室
6 前側壁
7 後側壁
8 扱歯
9 扱胴
10 扱網
11 操縦部
12 エンジン
13 刈取装置
14 穀粒貯留装置
15 排藁搬送装置
16 排塵ファン
17 排塵処理胴
18 連通口
19 排塵処理胴軸
20 取込螺旋
21 処理螺旋
22 濾過部材
23 処理胴
24 処理歯
25 受樋
26 揺動選別棚
27 第1唐箕
28 第1横移送螺旋
29 第2唐箕
30 第2横移送螺旋
31 第3横移送螺旋
32 移送棚
33 第1シーブ
34 第2シーブ
35 ストローラック
36 選別網
37 第3唐箕
38 第1縦移送装置
39 第2縦移送装置
40 第3縦移送装置
41 スクレーパ
42 プレート
43 刃体
44 ワイヤー
45 揺動アーム
46 連動ロッド
47 引継部材
48 脱穀クラッチ
49 カウンター軸
50 第1変速伝動装置
51 第1電動モータ
52 第2変速伝動装置
53 第2電動モータ
54 風割
55 移送ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(9)の下側に扱網(10)を配置し、該扱網(10)の下側に揺動選別棚(26)の前部から前後方向中間部にわたる部位を臨ませ、選別風を後側上方へ向けて送風する第1唐箕(27)と、揺動選別棚(26)の前部から漏下する処理物が第1唐箕(27)からの選別風で選別された後に流下する第1横移送螺旋(28)と、選別風を後側上方へ向けて送風する第2唐箕(29)と、揺動選別棚(26)の中間部から漏下する処理物が第2唐箕(29)からの選別風で選別された後に流下する第2横移送螺旋(30)と、揺動選別棚(26)の後部から漏下する処理物が流下する第3横移送螺旋(31)とを、前記揺動選別棚(26)の下方において前側から後側へこの順に配置した脱穀装置。
【請求項2】
前記揺動選別棚(26)の前部に備える第1シーブ(33)の処理物漏下用の間隙を、該揺動選別棚(26)の中間部に備える第2シーブ(34)の処理物漏下用の間隙よりも狭くした請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、該第1縦移送装置(38)および第2縦移送装置(39)の各移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、前記第1縦移送装置(38)の移送終端部を第2縦移送装置(39)の移送方向中間部に連通させ、該第2縦移送装置(39)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記第1横移送螺旋(28)に流下した処理物を縦移送する第1縦移送装置(38)と、第2横移送螺旋(30)に流下した処理物を縦移送する第2縦移送装置(39)とを設け、前記第2縦移送装置(39)の移送終端部を第1縦移送装置(38)の移送方向中間部に連通させ、該第1縦移送装置(38)の移送終端部を穀粒貯留装置(14)に連通させた請求項1または請求項2記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、該排塵処理室(3)の前側には処理胴(23)を内装した処理室(4)を設け、前記第3横移送螺旋(31)で回収した処理物を前記処理室(4)に供給する第3縦移送装置(40)を設けた請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記扱胴(9)を内装した扱室(2)の後部一側に、排塵処理胴(17)を内装した排塵処理室(3)の前部を連通口(18)を介して連通させ、前記扱胴(9)の後端部を連通口(18)の後端部よりも後方へ延長した請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−31382(P2013−31382A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167887(P2011−167887)
【出願日】平成23年7月31日(2011.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】