説明

脱臭器

【課題】筐体内部にこもる熱を低減できる脱臭器を提供すること。
【解決手段】空気の脱臭処理を行う脱臭器であって、この脱臭器1は、空気の吸込口21および吐出口22を有する筐体2と、筐体2内に配置されると共にオゾンを発生させるオゾン発生部42とを含む。そして、筐体2内にて発生したオゾンが筐体2の吐出口から外部に放出される。また、筐体2が複数の吐出口22を有すると共に、これらの吐出口22が筐体2上の相互に異なる面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱臭器に関し、さらに詳しくは、筐体内部にこもる熱を低減できる脱臭器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の脱臭器では、より快適な室内の空気環境を実現するために、その脱臭性能の向上に関するニーズが高まりつつある。また、調和空気の吹出口に開閉可能なルーバーを有する脱臭器では、ルーバーの全閉時にて筐体内熱がこもりやすいという課題がある。ここで、本願の発明に近似する構成を有する従来の脱臭器には、特許文献1に記載される技術が知られている。
【0003】
特許文献1にかかる従来の脱臭器(空気調和機)は、機器本体表面に設けられた吸込口と吹出口との間を連通し、並列に区切られた複数の経路を有する通風路と、前記通風路内に配置され、通過する空気を清浄化するフィルタと、前記並列に区切られた複数の経路のそれぞれに配置された複数の送風手段とを備える。
【0004】
【特許文献1】特開2004−101125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、筐体内部にこもる熱を低減できる脱臭器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明にかかる脱臭器は、空気の脱臭処理を行う脱臭器であって、空気の吸込口および吐出口を有する筐体と、前記筐体内に配置されると共にオゾンを発生させるオゾン発生部とを含み、前記筐体内にて発生したオゾンが前記筐体の吐出口から外部に放出され、且つ、前記筐体が複数の前記吐出口を有すると共に、これらの吐出口が前記筐体上の相互に異なる面に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この脱臭器では、筐体が複数の吐出口を有すると共に、これらの吐出口が筐体上の相互に異なる面に形成されているので、開度調整可能な可変開口部あるいは風向調整可能な開口部によって吐出口が構成されたときに、後述する所望の作用効果が得られる利点がある。
【0008】
また、この発明にかかる脱臭器では、複数の前記吐出口の少なくとも一つが開度調整可能な可変開口部により構成される。
【0009】
この脱臭器では、可変開口部の全閉時にも他の開口部によって空気の流通経路が確保されるので、筐体内部の発熱(例えば、加温手段による発熱)によって筐体内部に熱がこもる事態が防止される利点がある。
【0010】
また、この発明にかかる脱臭器では、前記可変開口部は、脱臭器の設置状態にて水平方向に対して傾斜する前記筐体の面に形成される。
【0011】
この脱臭器では、可変開口部が筐体の傾斜面に形成されているので、水平面あるいは垂直面に吐出口(可変開口部)が形成されている構成と比較して、吐出口の開口面積が広く取れる。これにより、低圧損となるので大風量での運転時における騒音が低減される利点がある。
【0012】
また、この発明にかかる脱臭器では、複数の前記吐出口の少なくとも一つが風向調整可能な開口部により構成される。
【0013】
この脱臭器では、風向調整可能な開口部にて風向を調整することにより、吐出口からのオゾンの吹きつけ方向(風向)を変更できるできる利点がある。
【0014】
また、この発明にかかる脱臭器では、前記風向調整可能な開口部が、脱臭器の設置状態にて水平方向に対して傾斜する前記筐体の面に形成される。
【0015】
この脱臭器では、風向調整可能な開口部が筐体の傾斜面に形成されているので、水平面あるいは垂直面に吐出口(風向調整可能な開口部)が形成されている構成と比較して、吐出口の開口面積が広く取れる。これにより、低圧損となるので大風量での運転時における騒音が低減される利点がある。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる脱臭器では、筐体が複数の吐出口を有すると共に、これらの吐出口が筐体上の相互に異なる面に形成されており、且つ、複数の前記吐出口の少なくとも一つが開度調整可能な可変開口部により構成されるので、可変開口部の全閉時にも他の開口部によって空気の流通経路が確保される。これにより、筐体内部の発熱(例えば、加温手段による発熱)によって筐体内部に熱がこもる事態が防止される利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【実施例】
【0018】
図1および図2は、この発明の実施例にかかる脱臭器を示す斜視図(図1)および側面断面図(図2)である。図3および図4は、図1および図2に記載した脱臭器の吸着脱臭部を示す組立斜視図(図3)および拡大断面図(図4)である。図5および図6は、図1および図2に記載した脱臭器のオゾン脱臭部を示す斜視図(図5)および断面図(図6)である。図7〜図9は、図1および図2に記載した脱臭器の作用を示す説明図である。図10は、図3および図4に記載した吸着脱臭部の加温手段を示す組立斜視図である。図11および図12は、図10に記載した加温手段の作用を示す説明図である。図13および図14は、図5および図6に記載したオゾン脱臭部の紫外線遮断構造を示す説明図である。図15は、オゾンの放出量の設定選択にかかる機能を示す説明図である。図16は、図1および図2に記載した脱臭器の吐出部を示す説明図である。
【0019】
[脱臭器]
この脱臭器1は、室内に設置されて室内のニオイ(室内に広がったニオイ、壁や家具に染み付いたニオイ、常時発生している体臭などのニオイなど)を減少させ、ニオイによる不快感を低減する機能を有する。脱臭器1は、例えば、一般家庭や高齢者施設の居住空間、トイレ、汚物室、廊下、病院の待合室や病室、医院の処置室、ペットホテル、動物病院の待合室や処置室などに設置される。なお、この脱臭器1は、例えば、空気調和機や空気清浄機などに搭載される場合がある(図示省略)。
【0020】
この脱臭器1は、筐体2と、吸着脱臭部(吸着部)3と、オゾン脱臭部(オゾン分解部)4と、送風機5と、制御部6とを有する(図1および図2参照)。筐体2は、樹脂製の部材から成り、床面に立設可能な箱型形状を有する。筐体2は、その側部(設置状態にて床面に垂直な面)に吸込口21を有すると共に、その頂部に吐出口22を有する。また、筐体2の内部には、吸込口21から吐出口22に至る空気通路Rが形成されている。そして、この空気通路R上に吸着脱臭部3、オゾン脱臭部4および送風機5が配置されている。
【0021】
吸着脱臭部3は、空気中の塵およびガス状臭気を吸着する機能を有する。この吸着脱臭部3は、筐体2内の空気通路R上であって、筐体2の吸込口21付近に配置される。なお、空気中の塵とは、例えば、空気中の粗ゴミや煙臭(微粒子)などをいう。空気中のガス状臭気とは、例えば、生ゴミ臭や糞便臭等の硫黄系臭気、汗臭や建材臭等のアルデヒド系臭気、体臭等の脂肪酸系臭気、屎尿臭等のアンモニア臭気などをいう。
【0022】
この吸着脱臭部3は、例えば、集塵フィルタ31、触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33により構成され、これらが積層されて成る三層構造を有する(図2〜図4参照)。また、これらの脱臭フィルタ31〜33は、上流側から集塵フィルタ31、触媒フィルタ32、活性炭フィルタ33の順に配列されて積層されている。
【0023】
集塵フィルタ31は、プリーツ構造を有すると共に、空気中の粗ゴミや煙臭(微粒子)などを捕集する機能を有する。触媒フィルタ32は、空気中のガス状臭気を吸着して分解する機能を有する。この触媒フィルタ32は、例えば、アンモニア吸着特性を有するゼオライトが配合されているフィルタ、ホルムアルデヒド分解特性を有する金属酸化物を含むフィルタなどにより構成される。活性炭フィルタ33は、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残を一時的に溜め込む機能を有する。この活性炭フィルタ33は、例えば、活性炭が充填されたハニカム構造のフィルタ、アルデヒド系臭気の化学的吸着特性を有する薬品が添着されている活性炭、アンモニア等の塩基性臭気の化学的吸着特性を有する薬品が添着されている活性炭などにより構成される。また、この活性炭フィルタ33には、硫黄系臭気の分解作用を有する触媒が添着される。
【0024】
なお、この吸着脱臭部3は、筐体2に対して容易に着脱可能であり、また、脱臭フィルタ31〜33が相互に分離可能に構成されている。このため、集塵フィルタ31を取り出して容易に洗浄できる利点がある。また、集塵フィルタ31は、例えば、ポリプロピレンおよびポリブテンから成る芯鞘構造繊維が熱溶着されて構成され、耐水洗性能が高められている。このため、集塵フィルタ31の交換寿命が長いという利点がある。
【0025】
オゾン脱臭部4は、オゾンにより空気中の臭気を分解する機能を有する(図5および図6参照)。このオゾン脱臭部4は、筐体2内の空気通路R上であって吸着脱臭部3の下流側(筐体2の吐出口22付近)に配置される。また、オゾン脱臭部4は、ケース41と、オゾン発生部42とを含み構成される。ケース41は、紫外線非透過材料(例えば、金属材料)から成る箱型部材であり、空気とオゾンとの反応空間を構成する。また、ケース41は、空気の入口部411および出口部412を有する。オゾン発生部42は、ケース41内にオゾンを発生させる機能を有し、例えば、紫外線ランプにより構成される。このオゾン発生部42は、ケース41の入口部411付近に配置される。
【0026】
また、オゾン脱臭部4内には、光触媒が配置されている。具体的には、ケース41の内壁面等に光触媒(例えば、酸化チタン)が塗布されている。この光触媒に紫外線が照射されるとケース41内に水酸基ラジカルが発生する。この水酸基ラジカルは、オゾンよりも酸化分解力が強いため、オゾンによる分解が困難なアンモニア臭の分解に有効である。
【0027】
なお、紫外線ランプから成るオゾン発生部42は、(1)室内の温度や湿度あるいは気圧等の影響を受け難いのでオゾンの発生量を一定に維持できる、(2)空気中の埃などによる異常放電が生じ難い、(3)窒素酸化物などの有害物質を発生させない、(4)殺菌線ならびに酸化分解力の強い酸素ラジカルを発生するので脱臭に関して高い貢献度を有する点で好ましい。
【0028】
送風機5は、送風により空気通路Rに空気を流通させる機能を有する。この送風機5は、例えば、シロッコファンにより構成され、吸着脱臭部3の下流側かつオゾン脱臭部4の上流側に配置される。
【0029】
制御部6は、後述する吸着脱臭部3の加温手段34の駆動制御、オゾン脱臭部4のオゾン発生部42の駆動制御、送風機5の駆動制御、その他脱臭器1の駆動に必要な制御を行う。
【0030】
[脱臭器の作用]
この脱臭器1では、稼働時にて送風機5が駆動されると、室内の空気が吸込口21から吸い込まれて吸着脱臭部3を通過する(図2、図4および図7参照)。この吸着脱臭部3では、高濃度臭気の脱臭処理が行われて空気中の強いニオイが除去される。具体的には、まず、吸着脱臭部3の集塵フィルタ31にて、空気中の粗ゴミや煙臭などが捕集される。次に、触媒フィルタ32にて、空気中のガス状臭気が吸着されて分解される。次に、活性炭フィルタ33にて、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残が一時的に溜め込まれる。
【0031】
なお、触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33がハニカム構造を有することにより、これらを通過する空気中のガス状臭気が効率的に吸着される。また、触媒フィルタ32では、吸着されたガス状臭気の分解が行われるので、ニオイ成分の蓄積が抑制される。これにより、触媒フィルタ32でのニオイ成分の飽和が遅くなるので、フィルタ(吸着脱臭部3)の交換寿命が延びる利点がある。
【0032】
次に、空気が送風機5を経てオゾン脱臭部4に送られる(図2、図6および図7参照)。このオゾン脱臭部4では、空気中の低濃度臭気の脱臭処理が行われて、吸着脱臭部3にて除去されなかった空気中の微少なニオイが除去される。具体的には、オゾン脱臭部4のケース41内にて、オゾン発生部42により生成されたオゾンと空気とが反応して、空気の脱臭処理が行われる。また、オゾン脱臭部4では、ケース41内の光触媒に紫外線が照射されるとケース41内に水酸基ラジカルが発生する。そして、この水酸基ラジカルにより空気中の臭気が分解されて、空気の脱臭処理が行われる。
【0033】
次に、オゾン脱臭部4を通過した空気が筐体2の吐出口22から室内に放出されて還元される。この空気は、吸着脱臭部3およびオゾン脱臭部4での脱臭処理により、無臭に近い状態となっている。
【0034】
ここで、室内に還元される空気には、低濃度オゾンが含まれている。この低濃度オゾンは、オゾン脱臭部4にて空気に混合され、脱臭処理された空気と共に室内に放出される。この低濃度オゾンにより、室内の壁、ソファ、家具、衣服などに染み付いたニオイが分解される。
【0035】
[脱臭器の効果]
この脱臭器1では、空気中の臭気を吸着して空気の脱臭処理を行う吸着脱臭部3と、オゾンにより空気の脱臭処理を行うオゾン脱臭部4とが設けられ、且つ、吸着脱臭部3およびオゾン脱臭部4にて脱臭処理された空気がオゾン(低濃度オゾン)と共に吐出口22から外部(例えば、室内)に放出される(図7参照)。かかる構成では、吸着脱臭部3(触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33)にて空気中の高濃度臭気が吸着され、オゾン脱臭部4にて空気中の低濃度臭気が吸着された後、この脱臭処理された空気が外部に放出される。これにより、空気の脱臭処理が好適に行われるので、脱臭器1の脱臭性能が向上する利点がある(図8参照)。また、脱臭処理された空気と共に低濃度オゾンが外部に放出されるので、この低濃度オゾンにより、脱臭器1の設置空間(例えば、室内の壁や家具等)に染み付いたニオイが効果的に分解除去される利点がある(図8参照)。また、放出された低濃度オゾンによりニオイのマスキング効果が得られるので、ユーザーが無臭に近い感覚を得られる利点がある。
【0036】
また、この脱臭器1では、吸着脱臭部3の下流側にオゾン脱臭部4が配置されている(図2および図7参照)。かかる構成では、まず、吸着脱臭部3にて空気中の高濃度臭気が吸着されて脱臭処理され、その後に、オゾン脱臭部4にて空気中の低濃度臭気がオゾンにより脱臭処理される。このように、高濃度臭気から低濃度臭気へと段階的に除去が行われることにより、効率的な脱臭処理が実現される利点がある。例えば、低濃度臭気の脱臭処理が先に行われる構成では、高濃度臭気が十分に除去されない。
【0037】
また、この脱臭器1では、吸着脱臭部3が空気中のガス状臭気を吸着して分解する触媒フィルタ32を有する(図3および図4参照)。かかる構成では、吸着されたガス状臭気が触媒フィルタ32により分解されるので、ガス状臭気の蓄積が抑制される。これにより、フィルタ(吸着脱臭部3)の交換寿命が延びる利点がある。また、かかる構成では、送風を連続的に行いつつ臭気を分解できるので、臭気の分解にあたり送風を停止する必要がある構成(図示省略)と比較して、室内の脱臭が効率的に行われる。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。特に、かかる構成では、室内の壁などに染みついたニオイや体臭のように常時発生し続けるニオイが効果的に分解される。
【0038】
また、この脱臭器1では、吸着脱臭部3が触媒フィルタ32の下流側に活性炭フィルタ33を有する(図3および図4参照)。かかる構成では、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残が活性炭フィルタ33に一時的に溜め込まれるので、ガス状臭気の分解残が漏れなく吸着される。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある(図8および図9参照)。
【0039】
また、この脱臭器1では、オゾン脱臭部4が光触媒とこの光触媒に紫外線を照射する紫外線ランプ(オゾン発生部42)を有し、光触媒により空気中の臭気の分解が行われるので、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある(図8および図9参照)。
【0040】
[加温手段]
なお、この脱臭器1では、吸着脱臭部3が触媒フィルタ32を加温する加温手段34を有することが好ましい(図2、図3参照)。この加温手段34は、例えば、コードヒータ、シーズヒータなどにより構成され、触媒フィルタ32に対して直接的にあるいは中間部材(伝熱部材342)を介して間接的に接触するように配置されている。
【0041】
かかる構成では、脱臭器1の稼働時にて加温手段34により触媒フィルタ32が加温される。これにより、触媒フィルタ32に吸着されたガス状臭気の分解が促進されるので、脱臭器1の脱臭性能が向上する利点がある。また、かかる構成では、送風を停止することなくガス状臭気の分解が促進されるので、常時連続的に発生し続ける臭気が効果的に分解処理される。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。また、これにより、触媒フィルタ32におけるガス状臭気の蓄積が抑制されるので、フィルタ(吸着脱臭部3)の交換寿命が延びる利点がある。
【0042】
また、上記の構成では、加温手段34が湾曲可能な構造を有すると共に触媒フィルタ32上(触媒フィルタ32の上流側あるいは下流側)に引き回されて配置されることが好ましい(図3参照)。例えば、加温手段34がコードヒータから成り、触媒フィルタ32の略全域に渡って蛇行するように配置される。かかる構成では、一本あるいは少ない本数の加温手段(コードヒータ)34により触媒フィルタ32の略全域を加温することが可能である。これにより、簡素な加温手段34にて触媒フィルタ32を効果的に加温して、脱臭器1の脱臭性能を向上させ得る利点がある。
【0043】
なお、上記の構成では、加温手段34の蛇行間隔(蛇腹配置にかかるピッチ)が通風の妨げとならないように適宜規定されることが好ましい。
【0044】
また、上記の加温手段34は、触媒フィルタ32に密着させられて配置されることが好ましい(図10参照)。例えば、加温手段34が剛性を有するヒータフレーム341により保持され、このヒータフレーム341によって加温手段34が直接的あるいは間接的に触媒フィルタ32に付勢される構成が好ましい。かかるヒータフレーム341は、例えば、複数の爪部(図示省略)を有しており、これらの爪部により加温手段34を湾曲させた状態で保持して触媒フィルタ32に押し付ける。かかる構成では、加温手段34および触媒フィルタ32間の密着度が高められるので、触媒フィルタ32の加温が効率的に行われる。これにより、触媒フィルタ32によるガス状臭気の分解性能が向上する利点がある。
【0045】
また、かかる構成では、加温手段34と触媒フィルタ32との間に、熱伝導特性を有する伝熱部材342が挟み込まれて配置されることが好ましい(図10参照)。すなわち、加温手段34が伝熱部材342を介して触媒フィルタ32に密着させられて配置される。かかる伝熱部材342は、例えば、金属製あるいはポリプロピレン製のメッシュ材により構成される。かかる構成では、伝熱部材342を介してコードヒータ34から触媒フィルタ32への効率的な伝熱が実現される。これにより、触媒フィルタ32の加温が効率的に行われるので、触媒フィルタ32によるガス状臭気の分解性能が向上する利点がある。また、伝熱部材342の介在により加温手段34と触媒フィルタ32との直接的な摩擦接触が抑制されるので、コードヒータ34の断線が効果的に抑制される利点がある。
【0046】
なお、上記の構成において、加温手段34がシーズヒータから成る構成(図示省略)では、伝熱部材342を介することなく加温手段34が触媒フィルタ32に対して直接的に接触するように配置されても良い。これにより、より効率的な伝熱が行われるので、触媒フィルタ32の分解作用がより活性化される利点がある。
【0047】
また、上記の構成では、加温手段34が触媒フィルタ32の上流側に配置されることが好ましい(図4および図10参照)。これにより、加温手段34の熱が触媒フィルタ32(さらには活性炭フィルタ33)に対して効率的に伝達されるので、触媒フィルタ32によるガス状臭気の分解性能が向上する利点がある。
【0048】
また、上記の構成では、触媒フィルタ32の下流側に活性炭フィルタ33が隣接して配置されることが好ましい(図2〜図4参照)。かかる構成では、加温手段34の熱が触媒フィルタ32を介して活性炭フィルタ33に伝達されるので、触媒フィルタ32と共に活性炭フィルタ33も加温される。これにより、活性炭フィルタ33の再生が行われる利点がある。また、かかる構成では、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残が活性炭フィルタ33に一時的に溜め込まれるので、ガス状臭気の分解残が漏れなく吸着される。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。
【0049】
また、上記の構成では、加温手段34が略円形の断面形状を有することが好ましい(図4参照)。かかる構成では、加温手段34が触媒フィルタ32上に配置されたときの通風抵抗が小さい(通風の妨げとなり難い構造)。これにより、空気の流通を適正に維持しつつ、触媒フィルタ32の加温を行い得る利点がある。
【0050】
また、上記の構成では、触媒フィルタ32の温度上昇が10[℃]以内となるように触媒フィルタ32の加温が行われることが好ましい。これにより、加温による室内の温度上昇が無視できる程度に低減される利点がある。なお、より大きな温度上昇にて触媒フィルタ32が加温される場合には、筐体2が熱交換構造を有することが好ましい。
【0051】
[サーモコントロール脱臭]
一般に居住空間の臭気には、一時的に発生する高濃度の臭気と連続的に発生している低濃度の臭気とがある。ここで、高濃度の臭気に対しては、大風量にて送風を行うことにより、脱臭フィルタ(触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33)にて臭気を吸着して脱臭処理する方式が好ましい。これにより、臭気の濃度が短時間にて所定のレベルまで低減されるので、一時的に発生する強いニオイを早急に除去したいというニーズに対応できる。
【0052】
一方、小風量にて送風が行われることにより触媒フィルタ32が吸着された臭気を分解することが好ましい。これにより、臭気の分解が効率的に行われる。また、このとき、触媒フィルタ32が加温されて臭気の分解が促進されることが好ましい。触媒フィルタ32の加温は、例えば、上記の加温手段34により行われる。
【0053】
上記の観点から、この脱臭器1では、空気中の臭気の濃度に応じて送風機5の出力および加温手段の出力が設定変更されることが好ましい(図11および図12参照)。これにより、空気中の臭気の濃度に応じて脱臭処理が効率的に行われる利点がある。なお、臭気の濃度は、例えば、筐体2の吸込口21に設置されたガスセンサ(図示省略)により検出される。
【0054】
例えば、空気中の臭気の濃度が所定の閾値よりも大きい場合には、送風機5が大風量にて運転され、空気中の臭気の濃度が所定の閾値よりも小さい場合には、送風機5が小風量(大風量での運転時よりも小さい風量)にて運転されることが好ましい。かかる構成では、大風量での運転時には臭気の吸着をメインとした脱臭処理が行われ、小風量での運転時には吸着された臭気の分解をメインとした脱臭処理が行われる。これにより、空気中の臭気の濃度に応じたより好適な脱臭処理が可能となる利点がある。なお、送風機5の風量(大風量および小風量)は、脱臭器1が設置される室内の広さや脱臭器の仕様に応じて適宜規定されることが好ましい。
【0055】
また、上記の構成では、送風機5の風量が所定の閾値よりも小さい場合(小風量での運転時)に、加温手段34により触媒フィルタ32が加温されることが好ましい。これにより、触媒フィルタ32に吸着された臭気の分解が促進されるので、脱臭器1の脱臭性能が効果的に向上する利点がある。
【0056】
図11は、上記の脱臭処理にかかる性能試験の結果を示す表である。図11では、縦軸が空気中における臭気(ホルムアルデヒド)の対数濃度logC[ppm]を示しており、横軸が脱臭器1の運転時間t[分]を示している。また、実線は、触媒フィルタ32が加温手段34により加温される場合を示しており、破線は、触媒フィルタ32の加温が行われない場合を示しており、一点鎖線は、触媒フィルタ32が設置されていない(吸着脱臭部3が集塵フィルタ31および活性炭フィルタ33のみを有する)場合が示されている。
【0057】
この性能試験では、まず、脱臭器1の運転開始前にて、空気中の臭気の濃度が所定の閾値na以上にある。このため、運転開始当初は、大風量にて送風機5が駆動され、臭気の吸着をメインとした脱臭処理が行われる。これにより、臭気の濃度が一定値まで迅速に低減される。このとき、加温手段34がOFFにされており、触媒フィルタ32の加温が行われない。次に、臭気の濃度が所定の閾値na以下となったときに大風量から小風量への切換が行われ、触媒フィルタ32に吸着された臭気の分解をメインとした脱臭処理が行われる。これにより、ニオイ成分が分解されて触媒フィルタ32の吸着力が回復する利点がある。。また、このとき、加温手段34により触媒フィルタ32の加温が行われて臭気の分解が促進される。
【0058】
試験結果に示すように、空気中の臭気の濃度に応じて送風機5の風量が切り替えられることにより、空気の脱臭処理が短時間にて効率的に行われることが分かる。また、小風量時にて、触媒フィルタ32が加温されることにより、吸着された臭気の分解が効果的に促進されることが分かる。具体的には、触媒フィルタ32の加温が行われる場合には、加温が行われない場合と比較して、臭気の分解時間が大幅に(約50[%])短縮されていることが分かる。
【0059】
[オゾン脱臭部]
また、この脱臭器1では、オゾン脱臭部4のケース41内における空気の流入方向と流出方向とが異なる直線上にあることが好ましい(図5および図6参照)。すなわち、ケース41内では、空気の流入方向と流出方向とが一直線上にないように構成される。かかる構成では、ケース41内に流入した空気が入口部411から出口部412に向かって流路を曲げて通過していくので、空気がケース41内を直線的に通過する構成(図示省略)と比較して、空気とオゾンとの反応が良好に行われる。これにより、オゾン脱臭部4での脱臭処理が効果的に行われるので、脱臭器1の脱臭性能が向上する利点がある。
【0060】
例えば、オゾン脱臭部4では、ケース41の入口部411における空気の流れ方向(流入方向)と、出口部412における空気の流れ方向(流出方向)とが略直交するように構成される(図6参照)。具体的には、ケース41が直方体の箱型形状を有すると共に、入口部411がケース41の底面に形成され、出口部412がケース41の側面に形成されている。これにより、ケース41内にて、空気の流入方向と流出方向とが一直線上にないように構成されている。なお、出口部412は、ケース41の3つ側面に対してそれぞれ形成されている(図5参照)。
【0061】
[邪魔体]
また、この脱臭器1では、オゾン脱臭部4がケース41内に流入した空気を撹拌する邪魔体44を有する(図5および図6参照)。邪魔体44は、例えば、リブ状構造を有しており、ケース41の入口部411であって空気の流路上に配置される。また、ケース41の入口部411の下流側には、複数の邪魔体44が配置されている。かかる構成では、ケース41の入口部411の下流側にて邪魔体44に空気が衝突して、ケース41内(オゾン発生部42付近)に乱流が形成される。これにより、ケース41内での空気とオゾンとの反応が促進されるので、脱臭器1の脱臭性能が向上する利点がある。また、かかる邪魔体44は、その構造が簡素なのでその小型化が可能であり、また、撹拌用ファン(図示省略)のような駆動源が不要という利点がある。
【0062】
また、邪魔体44がリブ状構造を有する構成では、そのリブ状部分にフィン441が形成されることが好ましい(図5および図6参照)。かかるフィン441によりケース41内に乱流が効率的に形成されて、ケース41内での空気とオゾンとの反応が促進される。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。
【0063】
また、邪魔体44のフィン441は、例えば、邪魔体44に形成された略円弧状の突起部あるいは切欠部から成ることが好ましい。かかる構成では、ケース41内に流入した空気が邪魔体44のフィン441に当たることにより、ケース41内に立体的な渦が発生する。これにより、ケース41内での空気とオゾンとの反応が促進されて、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。
【0064】
また、邪魔体44の上流側には、空気の流れを整流する整流部413が配置されることが好ましい(図5および図6参照)。整流部413は、例えば、ハニカム構造を有するフィルタにより構成され、オゾン脱臭部4のケース41の入口部411に配置される。かかる構成では、整流部413が邪魔体44の上流側にて空気を整流するので、邪魔体44での空気の偏りが低減される。これにより、ケース41内に良好な空気の渦が形成され、ケース41内での空気とオゾンとの反応が促進されて、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。
【0065】
[ガイド部]
また、この脱臭器1では、ケース41内の空気をガイドしてケース41内に渦流を発生させるガイド部43が配置されることが好ましい(図5および図6参照)。このガイド部43は、例えば、くの字状、コの字状あるいは断面三角形状に湾曲あるいは屈折した板状部材から成り、その内側面をオゾン発生部42に向けつつケース41の天井部に対して固定設置される。かかる構成では、ケース41内の空気がガイド部43によりガイドされて、ケース41内に渦流が発生するので、ケース41内での空気とオゾンとの反応が促進される。これにより、脱臭器1の脱臭性能がさらに向上する利点がある。
【0066】
なお、オゾン発生部42が紫外線ランプから成る構成では、上記のガイド部43に光触媒が塗布されることが好ましい。これにより、ケース41内における空気中の臭気の分解が促進される。特に、ガイド部43が湾曲あるいは屈折した板状部材から成る構成では、紫外線ランプ(オゾン発生部42)の紫外線がガイド部43の光触媒に当たるようにガイド部43の向きを調整することが可能である。かかる構成では、ケース41の平坦な天井部に光触媒が塗布されている構成と比較して、ガイド部43の光触媒に対して紫外線ランプの紫外線が効率的に照射される。これにより、空気中の臭気の分解が促進されるので、空気の脱臭処理が効率的に行われる利点がある。また、ガイド部43がオゾン発生部42側(内側)に湾曲あるいは屈折した構造を有することにより、ケース41外部への紫外線の漏れが低減される。
【0067】
[紫外線遮断構造]
また、この脱臭器1では、オゾン発生部42が紫外線ランプから成る構成において、オゾン脱臭部4がケース41内からの紫外線の漏出を抑制する紫外線遮断構造413、414をケース41の入口部411および出口部412に有することが好ましい(図5、図6、図13および図14参照)。この紫外線遮断構造413、414は、例えば、ハニカム構造(あるいはコルゲート構造)を有する紫外線吸収素材がケース41の入口部411および出口部412に配置され、且つ、この紫外線吸収素材のハニカム構造の目がオゾン発生部(紫外線ランプ)42からの紫外線の照射方向に対して傾斜するように構成される。すなわち、オゾン発生部42からの紫外線が紫外線吸収素材のハニカム構造の目を素通りしない構成が採られる。
【0068】
かかる構成では、紫外線遮断構造413、414により紫外線が遮断されて、オゾン脱臭部4(ケース41)からの紫外線の漏出が抑制される。これにより、紫外線による人体への悪影響あるいは筐体2等の劣化が抑制される利点がある。また、紫外線遮断構造413、414が上記のようなハニカム構造を有する構成では、例えば、紫外線遮断構造が折り曲げられた金属板等から成るラビリンス構造を有する構成(図示省略)と比較して、空気が通過しやすい点で好ましい。これにより、オゾン脱臭部4における空気の流通が確保される利点がある。
【0069】
なお、筐体2の吐出口22からはオゾン脱臭部4の出口部412が見えないように、筐体2の吐出口22とオゾン脱臭部4の出口部412との位置関係が規定されている。これにより、筐体2外部への紫外線の漏れが確実に抑制される利点がある。
【0070】
[オゾン発生量の確保]
一般にて、紫外線ランプ(例えば、水銀ランプ)などから成るオゾン発生部42では、初期段階にてオゾンの発生量が多く、使用時間の増加に伴ってオゾンの発生量が減少する傾向にある。そこで、この脱臭器1では、オゾンの発生量(あるいはオゾンの放出量)を確保するために、オゾン発生部42の駆動時間の調整が行われることが好ましい。例えば、オゾン発生部42である紫外線ランプの累積点滅回数が所定の既定値以下の場合には、紫外線ランプの点滅サイクル(ON/OFFデューティー比)にかかるOFF時間が長く設定され、紫外線ランプの累積点滅回数が所定の既定値を越えた場合には、点滅サイクルのOFF時間が短くなるように設定されることが好ましい。これにより、紫外線ランプの寿命が延びるので、オゾンの発生量が長期間安定的に確保される利点がある。なお、かかる構成では、点滅駆動によっても必要十分なオゾンを生成し得る紫外線ランプが採用される必要がある。
【0071】
[送風機の配置]
また、この脱臭器1では、送風機5が、吸着脱臭部3の下流側かつオゾン脱臭部4の上流側に配置されると共に、空気の吸込口(吸着脱臭部3側にある入口)よりも小さい空気の吐出口(オゾン脱臭部4側にある出口)を有することが好ましい。すなわち、送風機5は、大きな吸入口を吸着脱臭部3側に向けると共に、小さな吐出口をオゾン脱臭部4側に向けて配置される。なお、かかる送風機5には、例えば、シロッコファンがある。
【0072】
かかる構成では、送風機5が広い吸い込み面積にて吸着脱臭部3側から空気を吸い込むので、吸着脱臭部3にて広い範囲での空気の吸い込みが可能となる。すると、吸着脱臭部3の脱臭フィルタ31〜33を大型化できるので、室内の空気を効率的に吸い込んで脱臭処理できる。これにより、空気の効率的な脱臭処理が可能となる利点がある。
【0073】
また、送風機5が狭い吐き出し面積にてオゾン脱臭部4側に空気を吐き出すので、オゾン脱臭部4のオゾン発生部42周辺に集中的に空気を供給できる。これにより、空気とオゾンとの反応が効率的に行われて、脱臭性能が向上する利点がある。また、オゾン発生部42の小型あるいは少数化が可能となる利点がある。
【0074】
[オゾンの放出量の設定選択]
また、この脱臭器1では、上記のように、オゾン脱臭部4の出口にて空気中のオゾンが低濃度に調整されて空気と共に室内へ放出される。このとき、オゾンの放出量が風量に応じて切り替えられることが好ましい。例えば、脱臭器1の稼働時にて送風機5の回転数(風量)が取得されており、送風機5の回転数が所定の閾値(例えば、大風量および小風量にかかる閾値)を越えた場合に、オゾン発生部42の点灯時間(例えば、点灯のON/OFF時間比)が所定の設定パターンに従って切り替えられる。また、点灯時間の切り替えは、制御部6により自動的に行われる。
【0075】
例えば、大風量での運転時には、室内に還元される空気の容積が大きいため、オゾン発生部42の点灯時間が長め(例えば、連続点灯)に設定されて、オゾンの発生量が多くなるように制御される。逆に、小風量での運転時には、室内に放出されるオゾンの量を規格値(例えば、労働衛生基準の0.1[ppm]あるいはIEC空気清浄機規格の0.05[ppm]など)以下とするために、オゾン発生部42の点灯時間が短め(点滅点灯)に設定される。
【0076】
ここで、この脱臭器1では、オゾンの発生量(オゾン発生部42の点灯時間)が風量に応じて切り替えられる構成において、オゾンの発生量の切り替えにかかる設定パターンが複数かつ選択可能に設けられていることが好ましい(図15参照)。例えば、設定パターンAでは、オゾンの放出量(大風量、中風量および小風量での各運転時におけるオゾンの放出量)が設定パターンBよりも高めに設定されており、逆に、設定パターンCでは、オゾンの放出量が設定パターンBよりも低めに設定されている。そして、これらの設定パターンがユーザーにより任意に選択あるいは変更可能に設けられている。かかる構成では、例えば、脱臭器1が設置された部屋の環境(温湿度や広さなど)、オゾン臭に対する個人差(オゾン臭が気になるかどうか)などに応じて、ユーザーが設定パターンを切り替えて室内へのオゾン放出量を任意に調整できる。これにより、より快適な空気環境が提供される利点がある。なお、オゾンの放出量の設定パターンA〜Cは、ユーザーが手動により行い得る。
【0077】
[放出されるオゾン濃度の規制]
また、この脱臭器1では、筐体2の吐出口22から放出されるオゾンの濃度が0.01[ppm]以上0.02[ppm]以下に規制されることが好ましい。すなわち、放出されるオゾンの濃度が所定の範囲内にあるように規制される。これにより、放出されるオゾンの濃度が適正に(低濃度オゾンとなるように)調整される利点がある。
【0078】
ここで、この脱臭器1では、放出されるオゾンがオゾン脱臭部4にて生成される。このため、放出されるオゾンの濃度がオゾン脱臭部4のオゾン発生部42の駆動制御により調整される。例えば、風量に応じてオゾン発生部42の出力(紫外線ランプの点灯時間)が制御されて、オゾンの発生量が調整される(例えば、小風量の場合には、紫外線ランプの点灯時間を短くする制御が行われる)。また、オゾン脱臭部4の各出口部412にオゾンを分解してオゾンの通過を制限するオゾン分解触媒413が配置され、このオゾン分解触媒413の作用を加味して放出されるオゾン濃度が規制される。
【0079】
[ルーバー]
低濃度オゾンは、マスキング効果を有するのみならず、室内に滞留することにより室内の壁などに染み付いたニオイ成分と接触してニオイ成分を分解する。したがって、室内にてニオイの元が特定される場合には、このニオイの元に対して直接的に低濃度オゾンが吹き付けられることが好ましい。このため、この脱臭器1では、空気の吐出口22にルーバー(フラップ)23が配置されており、空気の吹き出し方向(風向き)が変更可能に構成されている。かかる構成では、ルーバー23の向きを変化させることによりニオイの元に対して直接的に低濃度オゾンを吹き付け得るので、室内の消臭効果を効率的に高め得る利点がある。
【0080】
ここで、この脱臭器1では、筐体2の吐出口22は、開度の調整が可能な可変開口部221と、一定の開度を有する通常開口部222とから成ることが好ましい(図1、図および図16参照)。この可変開口部221は、上記のルーバー23の姿勢により開度の変更が可能であり、全閉状態とすることもできる(図16(c)参照)。
【0081】
かかる構成では、ルーバー23の全開時には、主として可変開口部221側から空気が吐き出される(図16(a)参照)。また、ルーバー23が半分開放された状態では、ルーバー23が抵抗となって可変開口部221および通常開口部222の双方から空気が吐き出される(図16(b)参照)。また、ルーバー23の全閉時には、通常開口部222から空気が吐き出される(図16(c)参照)。
【0082】
かかる構成とすれば、ルーバー23の全閉時にも空気の流通経路が確保されるので、筐体2内部の発熱(例えば、加温手段34による発熱)によって筐体2内部に熱がこもる事態が防止される利点がある。また、ルーバー23の開放時にも、可変開口部221および通常開口部222の双方から空気が吐き出されるので、可変開口部221のみから空気が吐き出される構成(図示省略)と比較して、ルーバー23を前方(人のいる方向)に向けたときの風速が低減される。これにより、風が人に直接当たったときの不快感が低減される利点がある。
【0083】
また、上記の構成では、筐体2が凸状部を有すると共にこの凸状部に吐出口22が形成されることが好ましい(図1および図2参照)。かかる構成では、筐体2が凸状部(凸状形状)を有するので、平坦部に吐出口が形成されている構成(図示省略)と比較して、吐出口22の開口面積が広く取れる。これにより、低圧損となるので大風量での運転時における騒音が低減される利点がある。なお、同様に、筐体2が凹状部を有すると共にこの凹状部に吐出口22が形成されても良い(図示省略)。
【0084】
また、上記の構成では、筐体2の凸状部の斜面のうち筐体2の吸込口21側の斜面に可変開口部221が形成されており、この斜面とは異なる側の斜面に通常開口部222が形成されていることが好ましい(図1および図2参照)。かかる構成では、通常開口部222から放出された空気がショートカットして吸込口21に吸い込まれる事態が防止される。これにより、脱臭処理された空気が適正に室内に還元される利点がある。
【0085】
また、上記の構成では、可変開口部222が風向調整可能な(筐体2の吐出口22から吹き出される空気の吹き出し方向を調整可能な)構造を有することが好ましい。例えば、可変開口部222がルーバーにより構成される。かかる構成では、風向調整可能な開口部にて風向を調整することにより、吐出口からのオゾンの吹きつけ方向(風向)を変更できるできる利点がある。また、かかる構成では、可変開口部222にて風向を調整することにより、室内中から筐体2内に吸い込まれようとする空気の流れが筐体2から吹き出された空気に乗って室内に押し戻される事態が抑制される。これにより、室内および脱臭器1間における空気の循環が効率化されるので、脱臭器1の脱臭性能が向上する利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明にかかる脱臭器は、筐体内部にこもる熱を低減できる点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の実施例にかかる脱臭器を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例にかかる脱臭器を示す側面断面図である。
【図3】図1および図2に記載した脱臭器の吸着脱臭部を示す組立斜視図である。
【図4】図1および図2に記載した脱臭器の吸着脱臭部を示す拡大断面図である。
【図5】図1および図2に記載した脱臭器のオゾン脱臭部を示す斜視図である。
【図6】図1および図2に記載した脱臭器のオゾン脱臭部を示す断面図である。
【図7】図1および図2に記載した脱臭器の作用を示す説明図である。
【図8】図1および図2に記載した脱臭器の作用を示す説明図である。
【図9】図1および図2に記載した脱臭器の作用を示す説明図である。
【図10】図3および図4に記載した吸着脱臭部の加温手段を示す組立斜視図である。
【図11】図10に記載した加温手段の作用を示す説明図である。
【図12】図10に記載した加温手段の作用を示す説明図である。
【図13】図5および図6に記載したオゾン脱臭部の紫外線遮断構造を示す説明図である。
【図14】図5および図6に記載したオゾン脱臭部の紫外線遮断構造を示す説明図である。
【図15】オゾンの放出量の設定選択にかかる機能を示す説明図である。
【図16】図1および図2に記載した脱臭器の吐出部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 脱臭器
2 筐体
21 吸込口
22 吐出口
221 可変開口部
222 通常開口部
23 ルーバー
3 吸着脱臭部
31 集塵フィルタ
32 触媒フィルタ
33 活性炭フィルタ
34 加温手段(コードヒータ)
341 ヒータフレーム
342 伝熱部材
4 オゾン脱臭部
41 ケース
411 入口部
412 出口部
413 オゾン分解触媒、整流部、紫外線遮断構造
42 オゾン発生部
43 ガイド部
44 邪魔体
441 フィン
5 送風機
6 制御部
R 空気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の脱臭処理を行う脱臭器であって、
空気の吸込口および吐出口を有する筐体と、前記筐体内に配置されると共にオゾンを発生させるオゾン発生部とを含み、前記筐体内にて発生したオゾンが前記筐体の吐出口から外部に放出され、且つ、
前記筐体が複数の前記吐出口を有すると共に、これらの吐出口が前記筐体上の相互に異なる面に形成されていることを特徴とする脱臭器。
【請求項2】
複数の前記吐出口の少なくとも一つが開度調整可能な可変開口部により構成される請求項1に記載の脱臭器。
【請求項3】
前記可変開口部は、脱臭器の設置状態にて水平方向に対して傾斜する前記筐体の面に形成される請求項2に記載の脱臭器。
【請求項4】
複数の前記吐出口の少なくとも一つが風向調整可能な開口部により構成される請求項1〜3のいずれか一つに記載の脱臭器。
【請求項5】
前記風向調整可能な開口部が、脱臭器の設置状態にて水平方向に対して傾斜する前記筐体の面に形成される請求項4に記載の脱臭器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−44435(P2007−44435A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234819(P2005−234819)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】