説明

脱臭殺菌乾燥装置

【課題】閉鎖空間について、乾燥と共に、高い浄化レベルの脱臭殺菌を効率的に行うことができ、被保管物に対応して好適に保管・管理できる脱臭殺菌乾燥装置を提供すること。
【解決手段】被保管物が収納される閉鎖室10と、その閉鎖室10へ、酸化触媒方式によって脱臭殺菌した清浄空気を供給すべく設けられた脱臭殺菌部20と、閉鎖室10内の空気を熱交換によって冷却する熱交換器30とを備え、閉鎖室10から被処理空気を脱臭殺菌部20へ導入する第1の導入流路15、及び脱臭殺菌部20から吐出される加熱と共に浄化された清浄空気を閉鎖室10へ供給する第1の供給流路26からなる第1の循環空気流路と、閉鎖室10から空気を熱交換器30へ導入する第2の導入流路17、及び熱交換器30を通過して冷却された空気を閉鎖室10へ供給する第2の供給流路40からなる第2の循環空気流路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染物質を含む空気を加熱して触媒の作用で酸化させる酸化触媒方式で、汚染空気の脱臭殺菌を行うと共に、被保管物の乾燥を行う脱臭殺菌乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の検体を扱う病院、医薬品の研究開発のために種々の検体を扱う薬品メーカ或いは大学の医学部や薬学部、介護施設、種々の検体を扱う環境調査施設、運動ジムやプール或いは学校のスポーツ施設、ホテル、さらには一般家庭等のあらゆる環境において、臭い成分、カビ、細菌、ウィルスといった汚染物質によって空気が汚染されることがある。
また、保管される物(被保管物)が乾燥する際に臭気を発生し、空気が汚染されることもある。例えば、病院や介護施設で使用される用品、ペット用品、又は汗を吸った靴や運動用具などが乾燥する際に臭い成分が飛散して空気を汚染する。
このため、エアコン等の空調設備の他に、種々の方式の空気清浄装置や脱臭殺菌装置といった環境を改善する機器が存在する。また、これらの機器とは別に、湿ったものを乾燥するための乾燥装置が存在する。
【0003】
タバコの煙等の浮遊粒子を除去するには、フィルタを内蔵した空気清浄機が用いられている。しかし、このフィルタ方式の空気清浄機にあっては、臭い成分であるガス(有害ガス)については好適に除去できなかった。
有害ガスを除去する方法としては、燃料を燃焼させて有害物質を焼き切るというアフターバーナー方式がある。これには極めて多くの燃料を消費するという問題がある。また、活性炭のような吸着剤を使用する方法もあるが、保守管理に労力と費用がかかる。
【0004】
これに対して、加熱効果及び触媒効果によって効率良く脱臭及び殺菌する酸化触媒方式の脱臭殺菌装置が提案されている(特許文献1参照)。この脱臭殺菌装置では、酸化触媒方式で脱臭する汚染空気の清浄化部(脱臭殺菌部)と熱交換部とが直列に配されている。そして、清浄空気を室内に吐出し、室内で空気を循環させるように設けられている。この脱臭殺菌装置によれば、その装置が設置された室内の脱臭と殺菌を効率良く行うことができる。しかし、この装置は、閉鎖した高い浄化空間を得るものではなく、被保管物を保管又は管理するためのものでない。
また、加熱乾燥機能とオゾン発生器を備えた長靴の脱臭殺菌装置が提案されている(特許文献2参照)。この装置の脱臭は吸着材と活性炭によってなされる。また、単純に加熱乾燥、又は水蒸気殺菌するものであり、温度管理等において長靴専用の装置となっている。
【特許文献1】国際公開番号WO03/051405号公報(第13〜15頁、図25)
【特許文献2】特開2002−172152号公報(第1頁、[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脱臭殺菌乾燥装置に関して解決しようとする問題点は、閉鎖された空間について、乾燥と共に、高い浄化レベルの脱臭殺菌を効率的に行う装置が存在せず、被保管物に対応して好適に保管又は管理できる装置がない点にある。
そこで本発明の目的は、閉鎖された空間について、乾燥と共に、高い浄化レベルの脱臭殺菌を効率的に行うことができ、被保管物に対応して好適に保管又は管理できる脱臭殺菌乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、被保管物が収納される閉鎖された空間を形成する閉鎖室と、該閉鎖室へ、被処理空気を加熱して該空気中の汚染物質を触媒の作用で酸化させる酸化触媒方式によって脱臭殺菌した清浄空気を供給すべく設けられた脱臭殺菌部と、該脱臭殺菌部から吐出された清浄空気を含む前記閉鎖室内の空気を熱交換によって冷却する熱交換器とを備える脱臭殺菌乾燥装置であって、前記閉鎖室から被処理空気を前記脱臭殺菌部へ導入する第1の導入流路、及び前記脱臭殺菌部から吐出される加熱と共に浄化された清浄空気を前記閉鎖室へ供給する第1の供給流路からなる第1の循環空気流路と、前記閉鎖室から空気を前記熱交換器へ導入する第2の導入流路、及び前記熱交換器を通過して冷却された空気を前記閉鎖室へ供給する第2の供給流路からなる第2の循環空気流路とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記被保管物をより効果的に乾燥させるべく、前記脱臭殺菌部で被処理空気を加熱する他に、前記閉鎖室から吸気した空気を加熱して該閉鎖室へ戻す空気加熱循環手段を備えることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記第1の供給流路と前記第2の供給流路とが合流されて一体化された部位であって、前記閉鎖室の全体へ下部から循環空気が均一に供給されるべく、該閉鎖部の下側に整流版によって仕切られた整流室が設けられ、前記閉鎖室から前記第1の導入流路への導入口が、該閉鎖室の上部に設けられたことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記整流室が、前記空気加熱循環手段の前記閉鎖室への流路を兼ねることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記熱交換器は、上方から下方へ流れる清浄空気と、下方から上方へ流れる外気とによって熱交換がなされることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記閉鎖室内で実質的に水平方向の横風循環空気流を発生させるべく、横風発生部が設けられたことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態によれば、前記横風発生部が前記閉鎖室の一方の側部に設けられたことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の脱臭殺菌乾燥装置によれば、酸化触媒方式であるために効率よく脱臭殺菌ができると共に、閉鎖室へ脱臭殺菌部及び熱交換器を通過させた空気を平行して循環させて供給する構成になっている。このため、閉鎖された空間について、乾燥と共に、高い浄化レベルの脱臭殺菌を効率的に行うことができ、被保管物に対応して好適に保管又は管理できるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の脱臭殺菌乾燥装置にかかる最良の形態の一例を添付図面と共に詳細に説明する。図1は本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置を示す正面図である。図2はその中央部の断面図である。また、図3は右側面図であり、図4は平面図である。なお、図1では、熱交換器30の外気の排出口32を、説明のため変位して示してある(二点鎖線で図示)。また、図3では、熱交換器30の冷却用の送風機39を、説明のため変位して示してある(二点鎖線で図示)。
【0013】
この脱臭殺菌乾燥装置は、基本構成として、被保管物が収納される閉鎖された空間を形成する閉鎖室10と、その閉鎖室10へ、被処理空気を加熱してその空気中の汚染物質を触媒の作用で酸化させる酸化触媒方式によって脱臭殺菌した清浄空気を供給すべく設けられた脱臭殺菌部20と、脱臭殺菌部20から吐出された清浄空気を含む前記閉鎖室内の空気を熱交換によって冷却する熱交換器30とを備える。なお、熱交換器30は両側部にそれぞれ配設されている。また、12は外側ケースであり、前面には開閉部13(図2参照)が設けられている、この開閉部13は、大きな被保管物の出し入れも容易に行えるように、例えば両側に開く扉で構成されている。
【0014】
15は第1の導入流路であり、閉鎖室10から被処理空気を脱臭殺菌部20へ導入する流路となっている。図中、空気の流れを実線の矢印で示してある。
26は第1の供給流路であり、脱臭殺菌部20から吐出された加熱と共に浄化された清浄空気を閉鎖室10へ供給する流路となっている。図中、空気の流れを実線の矢印で示してある。
以上の第1の導入流路15と第1の供給流路26によって、第1の循環空気流路が構成されている。なお、各流路は、空気が好適に通過できる通路であればよく、本形態のようなダクトに限定されない。
【0015】
17は第2の導入流路であり、閉鎖室10から空気を熱交換器30へ導入する流路となっている。図中、空気の流れを一点鎖線の矢印で示してある。
また、40は第2の供給流路であり、熱交換器30を通過して冷却された清浄空気を、閉鎖室へ供給する流路となっている。図中、空気の流れを一点鎖線の矢印で示してある。
以上の第2の導入流路17と第2の供給流路40によって、第2の循環空気流路が構成されている。なお、各流路は、空気が好適に通過できる通路であればよく、本形態のようなダクトに限定されない。
【0016】
このように酸化触媒方式の脱臭殺菌部20を用いたことで、閉鎖室10内の脱臭殺菌が好適にしかも効率的にできる。空気の脱臭殺菌が好適になされるため、被保管物を適正に保管できる。空気が循環されるため、装置外部に臭気や雑菌が漏れることを防止でき、本装置の設置場所の環境を向上できる。
そして、脱臭殺菌部20では空気が浄化されると共に加熱され、その加熱された空気が第1の供給流路26を介して直接的に閉鎖室10へ供給される。このため、収納物(被保管物)を乾燥するように好適に加熱できる。従って、被保管物の乾燥を促進できる。
また、空気が循環されるため、浄化効率を高めることができる。これは、清浄化した空気をさらに清浄化することを繰り返すためである。また、エネルギーロスも少なく、消費エネルギーを低減できる。
【0017】
16は第1の送風機であり、第1の導入流路15から脱臭殺菌部20へ被処理空気を送り、且つ、脱臭殺菌部20から第1の供給流路26介して閉鎖室10へ清浄空気を吐出させる。この第1の送風機16によって、閉鎖室10と脱臭殺菌部20を循環する空気流を発生させている。
27は第2の送風機であり、第2の導入流路17を介して閉鎖室10から熱交換器30へ空気を送り、且つ、熱交換器30から第2の供給流路40を介して閉鎖室10内へ清浄空気を吐出させる。この第2の送風機27は、一対の熱交換器30のそれぞれに配設されている。本形態では、熱交換器30の上部で空気を導入する入口室31へ送風するように接続・配置されている。この第2の送風機27によって、閉鎖室10と熱交換器30を循環する空気流を発生させている。
これらの送風機としては、シロッコファンを用いているが、循環する空気流を発生することができれば、他の送風手段であってよい。また、送風機の配設位置や設置数もこれに限定されるものではなく、循環空気流を適切に発生できるように設定すればよい。
【0018】
41は整流室であり、第1の供給流路26と第2の供給流路40とが合流されて一体化された部位であって、閉鎖室10の全体へ下部から循環空気が均一に供給されるべく、閉鎖室10の下側に整流板42によって仕切られて設けられている。図2に示すように、整流板42は波板状に形成され、且つ多数の通気孔47が設けられている。これにより、表面積が広くなって通気抵抗を低減すると共に、空気の流れを好適に均一化することができる。
また、閉鎖室10から第1の導入流路15への導入口11が、その閉鎖室10の上部に設けられている。
このように空気の流路が設けられていることで、加熱空気の上昇性に逆らわず、閉鎖室10内で空気を下方から上方へ好適に送ることができる。空気流を均一化できるため、脱臭効率や殺菌効率(浄化効率)及び乾燥効率を高めることができる。また、菌等が沈降堆積することを防止でき、殺菌効率及び脱臭効率を高めることができる。
【0019】
60はヒータ付送風機であり、被保管物をより効果的に乾燥させるべく、脱臭殺菌部20で被処理空気を加熱する他に、閉鎖室10から吸気した空気を加熱してその閉鎖室10へ戻す空気加熱循環手段の構成として設けられている。図中、空気の流れを白抜きの矢印で示してある。
61は吸気口であり、閉鎖室10から空気をヒータ付送風機60へ導入するための導入口となっている。後述する横風発生室55の閉鎖室10との隔壁に開口されている。また、前述した整流室41が、この空気加熱循環手段の閉鎖室10への流路を兼ねている
これによれば、空気を加熱して好適に循環することができ、被保管物をより短時間に効率よく乾燥することができる。なお、この空気加熱循環手段は、高い乾燥能力が要求されない場合は運転をさせなくても良いのは勿論である。例えば、循環空気が50℃まで加熱されて相対湿度が20%以下になった際には運転を停止するなどの制御を行えばよい。
【0020】
また、熱交換器30は、図1及び図3に示すように、上方から下方へ流れる清浄空気と、下方から上方へ流れる外気とによって熱交換がなされるように形成されている。図中、清浄空気の流れを一点鎖線で示し、外気の流れを二点鎖線で示している。なお、図1及び図2に示すように、閉鎖室10から第2の導入流路17への導入口18が、その閉鎖室10の上部の左右側部に設けられている。
また、外気は、熱交換器30の下部に設けられた冷却用送風機39によって送風される。本形態では、この冷却用送風機39として軸流ファンが用いられているが、他の送風手段を用いてもよいのは勿論である。
【0021】
このように、清浄空気と外気とを反対方向から流すことで、加熱された清浄空気を好適に冷却することができる。これにより、閉鎖室10内の温度を上昇させることなく、被保管物を好適に保管できる。そして、加熱されて水分を多く含んだ空気を冷却する際に、空気中の水分を凝集させて水滴を発生させ、除湿することができる。このため、循環空気を乾燥でき、被保管物の乾燥を好適に促進できる。また、外気を下部で吸い込み上部で開放することで、床に沈降堆積し易い菌を含む微粒子が再飛散するような事態を防止できる。
なお、熱交換の方法としては、水冷や冷凍機等を用いることもできるが、製造コストが高くなる。
また、45はドレンであり、空気中の水分が冷却・凝集されて発生した水滴を排出する排出口となっている。
【0022】
50は横風発生部であり、閉鎖室10内で実質的に水平方向の横風循環空気流を発生させる。図中、空気の流れを点線の矢印で示してある。図5に示すように、本形態の横風発生部50は、閉鎖室10の一方の側部に設けられている。51は横風用の送風機であり、横風発生室55内で閉鎖室10と連通する開口である吐出口52(図1参照)に配設されている。この横風用の送風機51は、例えば軸流ファンが用いられ、水平方向へ空気を吐出する。また、53は吸入口であり、横風発生室55と閉鎖室10とが連通する開口である。これによれば、図5に示すように横風発生室55内で空気流が反転すると共に、閉鎖室10でも実質的に反転し、実質的に水平方向の横風循環空気流を発生させることができる。
この横風発生部50によれば、横風で閉鎖室内の空気を好適に撹拌することができる。このため、脱臭効率や殺菌効率(浄化効率)及び乾燥効率を高めることができる。また、一方の側部に設けられたことで、適度の空気流を発生することができ、効率よく撹拌できる。
【0023】
次に、各部の構成の詳細について説明する。
先ず、脱臭殺菌部20について説明する。
22は加熱部であり、第1の送風機16によって送られる被処理空気を加熱する。
24は酸化触媒部であり、加熱部22の下流に設けられ加熱された汚染空気を触媒の作用によって脱臭する部分となっている。
この加熱部22と間隔をおいて3重に配された酸化触媒部24とがセットで設けられ、汚染空気を清浄化する脱臭殺菌部20が構成されている。
21は脱臭殺菌部ケースであり、加熱部22と酸化触媒部24を収容するケーシングとなっている。また、21aは断熱材である(図2参照)。
なお、高い脱臭殺菌性能が要求される場合には、加熱部22と酸化触媒24とを適宜組み合わせて、複数段に配することで対応できる。
【0024】
本形態例の加熱部22では、脱臭装置に導入された汚染空気が280℃〜330℃程度に加熱されるように設定されている。
また、本形態例の加熱部22は、セラミック体によって形成したボビン23の外周に、つる巻き状のニクロム線等からなるヒータ線を螺旋状に巻回した形態となっている。そのヒータ線が巻回されたボビン23は、図1の図面上において軸心が奥行き方向に延びるように、脱臭殺菌部ケース21内で水平に固定されている。従って、処理される汚染空気は、脱臭殺菌部ケース21内でボビン23の上下の空間を通過する間に所定の温度まで過熱される。なお、ヒータ線の温度自体はより高温に達しており、それによっても臭い成分の分解がなされ、空気中に存在する細菌及びウィルスは加熱殺菌される。
この加熱部22としては、汚染空気を所定の温度まで加熱できるものであれば、本形態に限定されるものではない。例えば、自らがサーモスタット機能を有するヒータ装置(シーズヒータ)等を使用することもできる。
【0025】
酸化触媒部24は、加熱部22で加熱された汚染空気を酸化触媒の作用によって脱臭する。本実施例では、ブロック状に形成されたセラミック体に、触媒が担持されて設けられた触媒ブロック25によって構成されている。
触媒ブロック25は、脱臭殺菌部ケース21の長手方向(図1の図面上では左右方向)へ多数の矩形孔が貫通するハニカム状のセラミック体を母体として形成されている。具体的には、多孔質コージライト等のセラミックからなる担体(セラミック体)にγアルミナを塗布し、表面に白金、パラジウム、ロジウムなどの触媒を分散させてコーティングしたものを使用している。
なお、酸化触媒部24としては、セラミック体の代わりに、アルミニウム合金などの金属性のワイヤ状の担体に同様に触媒を分散させてコーティングしたものを使用してもよい。また、通気性のある多孔質のセラミックの担体に触媒を担持させたものを使用してもよい。
【0026】
次に、熱交換器30について説明する。
この熱交換器30は、図3に示すように、熱交換器のケース33と、そのケース33に内包されて外側に放熱用のフィンを備え内側に吸熱用のフィンを備える複数の筒体35とから形成されている。本形態では、一対の熱交換器30、30のそれぞれに、3本の上下方向に開通する筒体35が並列に配設されている。
この筒体35の外側35aを外気が通過して内側35bを清浄空気が通過するように各空気流路に接続されている。
このように熱交換器30が設けられることで、清浄空気を好適に冷却して閉鎖室10内へ供給することができる。
【0027】
以下、本発明の熱交換器30の筒体35にかかる最良の形態の一例を添付図面と共に詳細に説明する。図6は本発明の筒体35を示す正面図である。また、図7はその筒体35のフィンの配置を平面的且つ断面的に見た状態の説明図であり、図8及び図9は図7のフィンと隣接する段のフィンの配置を説明する説明図である。また、図10は図9の左下角部を拡大して断面として説明する拡大図である。
【0028】
36は筒材であり、金属材で矩形の筒状に形成されている。その断面形状は、矩形の枠状となっている。そして、図6〜9に示すように、37a、38a、38cは熱交換用のフィンであり、筒材36の外部36aに金属材で形成されて設けられている。これらの熱交換用のフィン37a、38a、38cは、筒材36の各辺から四方に張り出すように延出された形状となっている。また、図7〜9に示すように、筒材36の内部36bにおいても、金属材で形成された熱交換用のフィン37b、37bが設けられている。
ここで金属材とは、樹脂材等の他の素材と比較して熱伝導率が高い材料であって、構造材として一定の強度を有するものであれば、特に限定されることはない。例えば、アルミニウム材、ステンレススチール材、鉄鋼材、銅材等を適宜選択的に用いればよい。
【0029】
また、図7〜9に示すように、熱交換用のフィン37a、37bは、第1の金属板状体37によって形成されている。これに対して熱交換用のフィン38a、38b、38cは、第2の金属板状体38によって形成されている。
この金属板状体37、38が、筒材36の各側壁36cに設けられたスリット39に差し込まれて固定されることで所定の位置に設けられている。なお、筒材36と金属板状体37、38は、スポット的な溶接などの固定手段によって、所定の強度を得て適切に固定することができる。
スリット39は、プレス打ち抜き等によって透孔状に形成される。このスリット39は、金属板状体37、38が好適且つ容易に嵌まる程度に、金属板状体37、38の厚さ及び幅に対して所定のクリアランスを設けて形成されている。
【0030】
そして、図10に示すように、被膜70によってスリット39と金属板状体37、38との間が気密されている。この被膜70は、適宜な塗材(耐熱塗料)やメッキによって形成できる。この耐熱塗料等によって形成された被膜70によれば、その耐熱塗料等が隙間に入り込むことで好適且つ容易に気密できる。なお、気密をするためのみの場合には、金属板状体37、38が嵌ったスリット39の部分のみで外面のみに被膜70を形成すればよい。
これによれば、筒材36の内部36bと外部36aとの間のリークが防止され、脱臭殺菌性能及び熱交換効率を向上できる。
また、筒体35の外部については、放熱フィン(熱交換用のフィン37a、38a、38c)を含めてその表面の一部又は全面に、カーボンナノチューブを含有する被膜を形成してもよい。例えば、カーボンナノチューブを塗料に混ぜて塗布すればよい。これによれば、気密と同時に熱交換効率が向上し、熱交換器を小型化できる。
【0031】
また、金属板状体37、38には、図7〜10に示すように、それぞれ所定の寸法以上に差し込まれるのを防止して好適に固定させるよう、ストッパ形状としての段部37e、37eが形成されている。
また、第2の金属板状体38は、断面矩形に形成された筒材36の内部36bを、一方の外面側から反対の外面側へ突き抜けて、架け渡される形状となっている。すなわち、対向する側壁36c、36cを貫くように形成されている。これに対して第1の金属板状体37は、第2の金属板状体38に干渉することのない程度に筒材36の内部36b内に突き出る形状となっている(図8及び図9参照)。
【0032】
図6に示す筒体35では、その筒体35の長手軸方向に複数(多数)段にわたって熱交換のためのフィンが設けられている。さらに詳細には、第1の金属板状体37が四枚一組でフィンの一つの段を構成する部分(図7参照)と、第1の金属板状体37の二枚と第2の金属板状体38の一枚とが一組でフィンの一つの段を構成する部分(図8及び図9参照)とが設けられている。図6の形態例では、図7に示すフィンの段が二段続いた後に、図8又は図9に示すフィンの段が一段入る構成になっている。
このように、第2の金属板状体38を用いない段を多く設けたのは、通気抵抗を低減するためである。第2の金属板状体38は、筒材36の内部36bを横断しており、空気流を乱して伝熱効率を高めるために配置されている。しかしながら、通気抵抗を増大させて処理風量を低下させるようにも作用する。このため、使用条件に対応させて通気抵抗を下げたい場合は、本形態例のように適宜、第2の金属板状体38を用いない段を多く設置すればよい。
なお、図8及び図9に示すように、第1の金属板状体37の二枚と第2の金属板状体38の一枚とが一組でフィンの一つの段を構成する部分は、段ごとにその配置を角度90°ずらしてある。これにより、筒材36の内部36bを偏りなく空気が通過でき、熱交換性能を向上できる。
【0033】
また、金属板状体37、38は、図6に示すように、筒材36の長手軸方向に傾斜した状態に固定されている。これは、筒材36の各側面に固定される金属板状体37、38の全てにおいて、同様である。
このように傾斜しているのは、所定の容積内でより大きな表面積を得ると共に空気の流れを複雑にして熱交換性能を向上させるためである。また、その際の通気抵抗の上昇を抑制して効率良く送風するためでもある。
さらに、熱交換性能を向上させるよう、放熱フィン(熱交換用フィン37a、38a、38c)については、その外縁にスリット状の切り込み部37f、38fが形成されている。なお、吸熱フィン(熱交換フィン37b、38b)についても同様であるが、各フィン37a、37b、38a、38b、38cには、熱交換性能を向上させるため適宜にスリット状或いは、矩形状又は円形状等の透孔を設けてもよい。
また、通気抵抗を下げるために、例えば、図9に示すように内側の熱交換用フィン38bに円形の孔38gを設けてもよい。
【0034】
さらに、図8〜10に示すように、筒材36の内側角部であって、第1の金属板状体37(37b)と第2の金属板状体38(38b)とで囲まれる部分が、矩形の空きスペース43となっている。この空きスペース43は、熱交換器の筒材36の全長に渡って形成されている。また、筒材36の4つの内側角部にそれぞれ形成されている。この空きスペース43の存在によって、各内側角部に筒材36の長手方向の気流が生じることになる。これによって、空気の攪拌がバランス良く好適になされ、熱交換性能を向上できる。
【0035】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。例えば、滅菌性能を高めるために、紫外線方式やオゾン発生方式の殺菌装置を併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかる脱臭殺菌乾燥装置の一形態を示す正面図である。
【図2】図1の脱臭殺菌乾燥装置の中央部の断面図である。
【図3】図1の脱臭殺菌乾燥装置の右側面図である。
【図4】図1の脱臭殺菌乾燥装置の平面図である。
【図5】図1の脱臭殺菌乾燥装置の側部部分斜視図である。
【図6】熱交換器の筒体の一形態を示す正面図である。
【図7】筒体に設けられたフィンの一の段の配置を示す説明図である。
【図8】筒体に設けられたフィンの別の段の配置を示す説明図である。
【図9】筒体に設けられたフィンのさらに別の段の配置を示す説明図である。
【図10】図9の一部を拡大して説明する拡大図である。
【符号の説明】
【0037】
10 閉鎖室
11 導入口
15 第1の導入流路
17 第2の導入流路
20 脱臭殺菌部
22 加熱部
24 酸化触媒部
26 第1の供給流路
30 熱交換器
40 第2の供給流路
41 整流室
42 整流板
50 横風発生部
60 ヒータ付送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保管物が収納される閉鎖された空間を形成する閉鎖室と、
該閉鎖室へ、被処理空気を加熱して該空気中の汚染物質を触媒の作用で酸化させる酸化触媒方式によって脱臭殺菌した清浄空気を供給すべく設けられた脱臭殺菌部と、
該脱臭殺菌部から吐出された清浄空気を含む前記閉鎖室内の空気を熱交換によって冷却する熱交換器とを備える脱臭殺菌乾燥装置であって、
前記閉鎖室から被処理空気を前記脱臭殺菌部へ導入する第1の導入流路、及び前記脱臭殺菌部から吐出される加熱と共に浄化された清浄空気を前記閉鎖室へ供給する第1の供給流路からなる第1の循環空気流路と、
前記閉鎖室から空気を前記熱交換器へ導入する第2の導入流路、及び前記熱交換器を通過して冷却された空気を前記閉鎖室へ供給する第2の供給流路からなる第2の循環空気流路とを備えることを特徴とする脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項2】
前記被保管物をより効果的に乾燥させるべく、前記脱臭殺菌部で被処理空気を加熱する他に、前記閉鎖室から吸気した空気を加熱して該閉鎖室へ戻す空気加熱循環手段を備えることを特徴とする請求項1記載の脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項3】
前記第1の供給流路と前記第2の供給流路とが合流されて一体化された部位であって、前記閉鎖室の全体へ下部から循環空気が均一に供給されるべく、該閉鎖部の下側に整流版によって仕切られた整流室が設けられ、
前記閉鎖室から前記第1の導入流路への導入口が、該閉鎖室の上部に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項4】
前記整流室が、前記空気加熱循環手段の前記閉鎖室への流路を兼ねることを特徴とする請求項3記載の脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項5】
前記熱交換器は、上方から下方へ流れる清浄空気と、下方から上方へ流れる外気とによって熱交換がなされることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項6】
前記閉鎖室内で実質的に水平方向の横風循環空気流を発生させるべく、横風発生部が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の脱臭殺菌乾燥装置。
【請求項7】
前記横風発生部が前記閉鎖室の一方の側部に設けられたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の脱臭殺菌乾燥装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−50092(P2007−50092A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237043(P2005−237043)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(501484138)株式会社山岸工業 (7)
【出願人】(504362547)株式会社美須弥工業 (5)
【Fターム(参考)】