脱色剤に安定な酸性および塩基性色素を利用した、毛髪を淡色化すると同時に着色する組成物
【課題】部類2の毛髪脱色剤を含むある種の染料組成物は、1段階で毛髪を7段階まで脱色すると同時にさまざまな色調を染着する。
【解決手段】前記染料は、アゾ、トリアリールメタン、チアジンまたはニトロ染料の脱色剤に安定な誘導体である。不活性化または弱活性化化学基は、これらの染料の芳香族環上にあるか、または結合した発色団中心および助色団に関してオルトおよび/またはパラ位に結合するとき、アルカリ性の脱色剤中で染料の安定性を増大させる。オルトおよび/またはパラ位に不活性化置換基または弱活性化置換基がないか、またはこの位置に強力な活性化基があると、染料分子は脱色剤による攻撃を受けやすくなり、最終的にはこれらの染料は分解される。これらの不活性化性で保護性の化学基は、ニトロ、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、スルホン、アルキルまたは芳香族基であってもよいが、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルアミド基であってはならない。
【解決手段】前記染料は、アゾ、トリアリールメタン、チアジンまたはニトロ染料の脱色剤に安定な誘導体である。不活性化または弱活性化化学基は、これらの染料の芳香族環上にあるか、または結合した発色団中心および助色団に関してオルトおよび/またはパラ位に結合するとき、アルカリ性の脱色剤中で染料の安定性を増大させる。オルトおよび/またはパラ位に不活性化置換基または弱活性化置換基がないか、またはこの位置に強力な活性化基があると、染料分子は脱色剤による攻撃を受けやすくなり、最終的にはこれらの染料は分解される。これらの不活性化性で保護性の化学基は、ニトロ、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、スルホン、アルキルまたは芳香族基であってもよいが、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルアミド基であってはならない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年3月19日に出願された仮出願番号60/277080号の特典を請求する。
【0002】
本発明は一般的に、1段階で毛色を7段階も淡色化し、同時にさまざまな色調を染着することができ、脱色処理によって生じた暖色性を中和するか、または淡色化した毛髪にその他の所望する明るい色を添加する毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
天然の毛髪の色は毛髪繊維の皮質全体に包埋したメラニン顆粒から生じる。このような色素の2つの一般的な種類は、ユーメラニン(褐色がかった黒)およびフェオメラニン(赤みがかったオレンジ色)である。これら2種類の色素の組合せの比率および濃度によって、毛髪に特徴的な天然の濃淡がもたらされる。暗色の毛髪ではユーメラニンの濃度が高く、一方赤い毛髪ではフェオメラニンが優勢である。淡色の金髪では両方とも量が少ない。
【0004】
ヒトの毛髪の暗さ(明るさ)を表現するために、10段階の尺度を任意に割り当てる。黒髪は1段階に、中間的な褐色の毛髪は5段階に、淡色の金髪は10段階に指定され、間に微妙ないくつかの差違が指定された。
【0005】
毛髪の脱色は、メラミン色素顆粒を脱色剤によって徐々に破壊し、その結果により淡色化した毛髪の色を生じる化学的方法である。メラミン色素はすべて同速度で淡色化されるとは限らない。ユーメラニンはフェオメラニンよりも容易に破壊される。この特性のため、脱色時に暗色の毛髪はメラミン色素が優先的に破壊され、赤い色素の視覚的な増強が引き起こされ、脱色した毛髪に所望しない暖色の赤みがかったオレンジ色または「けばけばしい」色調がもたらされる。この暖色性を中和するため、ほとんどいつもくすんだ性質の毛髪着色剤を脱色処理中または処理後に適用する。
【0006】
化学的組成物および強度に基づいて、毛髪脱色剤は部類1および部類2と称する2つの群に分類される。
【0007】
部類1の脱色剤は、毛髪を酸化して脱色するための主要な酸素発生剤としてアルカリ性の過酸化水素溶液を使用した液体またはクリームをベースとした組成物で、通常毛髪着色方法と組み合わせる。使用直前に過酸化物をアンモニアなどのアルカリ化剤と混合し、得られた液体またはクリームを毛髪に30分から60分間塗布する。このような組成物は、使用した過酸化水素の濃度に応じてせいぜい4段階まで毛髪を淡色化することができる。たとえば、段階6の毛髪は良好な条件下では段階10まで淡色化することが可能である。
【0008】
部類2の脱色剤は一般的に粉末組成剤で、クリーム状のものもあり、補助剤または活性酸素の増進供給剤としての過硫酸塩(アンモニア、カリウム、ナトリウム)、およびアルカリ源としてのケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとする。また、使用直前にこれらを過酸化水素溶液と混合して、毛髪に塗布できる実用可能なクリームを形成する。過酸化水素自体を固形の粉末脱色剤に取り込ませることも可能で、実用可能なクリームを実現するために必要なことは、水を粉末に添加することだけである。湿潤薬およびその他の品質改良剤を含有することが可能な脱色油と称する第3の別に包装した成分を使用時に脱色粉末および過酸化物に添加することも極めて多い。
【0009】
部類2の脱色剤は、部類1の脱色剤では到達できない7段階の引き上げを達成することができる。通常、4段階を上回る引き上げを所望するとき、たとえば5段階引き上げるとき、または暗色を淡色の金髪まで引き上げるときはいつでも部類2の脱色剤を使用する。さまざまな程度の脱色で曝露される暖かい色調が下にあるので、一般的に暖かみを中和し好ましい自然な様子を毛髪に与える調色方法を毛髪の淡色化と共に行う。調色方法自体はかなり繊細な方法である。調色液は3種類の色調、青緑、青および青紫に分けられ、一般的にくすんだ、または灰色がかった色調として知られている。これらの色調または組合せは、淡色方法の間に曝露される下地のスペクトルを中和するために必要である。たとえば、明るい褐色の毛髪は脱色によって黄色い下地の色が曝露される。したがって、色の法則に従って、青紫をベースとした調色液は黄色がかった色調を中和し、プラチナ色または銀色の金髪の色度を生じる。調色液の濃度は、色の染着によって段階引き上げが遮蔽されないように調節しなければならない。同様に、中間的な褐色の毛髪はかなりの量のオレンジ色の下地が現れるので、かなりの量の青をベースとした調色剤が必要である。暗色の毛髪では、脱色すると赤みがかったオレンジ色の下地が現れるので、青緑色の調色液が必要である。
【0010】
通常は、毛髪に明るい色を染着することが望まれる。しかし、毛髪には暗色の色素があるので、まず毛髪を淡色に脱色しないでそれを実施することができない。したがって、第1段階で部類2の粉末脱色剤で毛髪を淡色化し、次に第2段階で明るい色に色づけする2段階方法を実施するのが慣習である。
【0011】
部類1の脱色剤は、酸化的永久着色剤として知られているもののほとんどを占める。それらには酸化的染料が含まれる。いくつかは、直接、分散、酸性または塩基性染料、またはそれらの組合せを含むことが可能である。この部類の脱色剤の一般的なアルカリ性過酸化物環境は、数種類の染料を残存させるために十分穏和である。したがって、毛髪色素の限定された淡色化および色の染着は、約1時間で完了する同時方法である。
【0012】
部類2の脱色剤では、媒質はほとんどの染料にまったく許容されない。より強いアルカリと強い酸化的条件を組み合わせると、共同作用的に作用して短時間の内にこれらの染料を破壊してしまう。部類1の脱色剤に耐えられる着色剤の豊富さとは異なり、粉末脱色剤中において安定で、同時に毛髪を効果的に着色することができる現在確認されている染料はほんのわずかである。
【0013】
染料は一般的にアリール環または発色団と称する不飽和化学基、たとえば(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)または(−N=N−)を含有する複合構造から成る。助色団と呼ばれる(−OH)または(−NH2)などの弱塩基性基がアリール環に結合して、発色団によって生じる色の増強を補助することが多い。アリール環に添加するほとんどの化学基は環が受けることが可能な求電子置換の方法に影響を及ぼす。電子を吸引する基は、一旦ベンゼンに結合すると非置換のベンゼンよりも反応性の少ない環にするので不活性基と呼ばれ、一方電子を供与するその他のものは結合した環がベンゼンよりも活性化するので活性化基と呼ばれる。活性化基には水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2、−NHR、−NR2)、アルコキシ基(−OCH3、−OC2H5など)およびアルキルアミド(−NHCOR)が含まれる。不活性化基には、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、カルボキシ基(−COOH、−COOR)、スルホン基(−SO3H)、またはハライド基(−F、−Cl、−Br、−I)が含まれる。活性化基は、アリール環上の攻撃をそれらのオルト位およびパラ位に生じるように引き起こすので、オルト、パラ配向性であるが、一方(ハロゲンを除く)不活性化基は化学的攻撃がこれらの基に関してメタの位置に生じるのでメタ配向性である。
【0014】
構造に基づいて、染料は以下の化学的種類に分類される。アクリジン、アントラキノン、アジン、アゾ、シアニン、ホルマザン、インダミン、インジゴイド、ニトロ、オキサジン、フタロシアニン、キノフタロン、スチルベン、チアジン、チアゾール、トリアリールメタン、およびキサンテンである。
【0015】
トリアリールメタン染料は、構造番号(1)に描いて示した中心のメタン炭素原子が、中心のメタン炭素に関してパラ位を1級、2級または3級アミノ基または水酸基または両者の組合せで置換することが可能な3個のアリール核に結合した基本骨格の周りに形成されている。構造番号(1)に付け加えた単一の文字、X、YおよびZはすべて、末端アリール系、ナフチル系またはそれらの組合せであることが可能である。この基本計画に基づいて、トリアリールメタン染料は以下の通りに分類することができる。A)トリフェニルメタン染料、構造番号(1)のX、YおよびZはすべてアリール誘導体である。B)ジフェニルナフチルメタン染料、構造番号(1)のX、YまたはZの1個はナフチル基で、残りの基はフェニル基である。およびC)ジナフチルフェニルメタン染料、構造番号(1)の2個の環がナフチル基で、残りの基はフェニル基である。
【0016】
芳香族環に酸性基がなければ、トリアリールメタン染料は陽イオンまたは塩基性染料と称する。スルホン酸基が存在すると酸性特性または陰イオン特性ならびに水溶性がもたらされる。トリアリールメタン分類のすべてにおいて、アリール核のいくつかまたはすべては中心のメタン原子に対してパラ位が助色団x1、y1またはz1で置換されており、したがってx1、y1またはz1は構造番号(2)のように水酸基、アミノ酸またはその両方である。助色団がアミノ基の場合、1級アミノ(−NH2)、2級アミノ(−NHR1)または3級アミノ(−NR2)であってよく、R1およびR2は同一または異なっていてよく、いずれもアルキル、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アルキル−シアノ、ハロゲン、フェニル、またはナフチル置換基であることが可能である。
【0017】
トリフェニルメタン染料は、トリアリールメタン型の染料の大半を占める。これらの染料の色素体系は、sp2が混成した中心の炭素原子とその炭素原子に結合した芳香族環に位置するパラ−アミノ基またはパラ−水酸基に関与する共鳴混成体から成る。
【0018】
トリアリールメタンは、アルデヒド合成、ヒドロール合成およびケトン合成などのいくつかの経路によって合成することができる。アルデヒド法では、異なるアルデヒドを適切な芳香族アミン、フェノールまたはナフトールと反応させ、さまざまなアミノ誘導体またはヒドロキシ誘導体を形成することができる。ヒドロール法およびケトン法では、ジアリールヒドロールまたはジアリールケトンを適切な芳香族アミンまたはフェノールと反応させ、さまざまなこれらの染料を形成することができる。フェノールフタレインおよびスルホンフタレイン染料誘導体の場合、無水フタル酸および無水スルホ安息香酸環式誘導体を含む無水芳香族とフェノールまたは安息香酸誘導体とを縮合することによって合成を実施する。
【0019】
したがってそれらの化学成分を基にして、トリアリールメタン染料は少なくとも5種類の亜集団に分類することができる。
【0020】
このような第1の亜集団には、1個の芳香族環のみがパラアミノ助色団を含むモノアミノ誘導体が含まれる。構造番号(3)で示したフクソンイミン塩酸塩、CAS番号84215−84−9が例である。
【0021】
第2の亜集団には、2個の芳香族環がパラアミノ基を含有するジアミノ誘導体が含まれる。構造番号(4)に示したCI Basic Green 4、CI42000、CAS番号569−64−2が例である。
【0022】
第3の亜集団には、3個すべての芳香族環がパラアミノ助色団を含有するトリフェニルメタンのトリアミノ誘導体が含まれ、構造番号(5)に示したCI Basic Red 9、CI42500、CAS番号569−61−9が例である。
【0023】
第4の亜集団には、パラアミノ基およびパラ水酸基が別々の芳香族環に存在するアミノヒドロキシ誘導体が含まれ、その例は構造番号(6)に示したCI Mordant Violet 11、CI43550である。
【0024】
第5の亜集団には、ヒドロキシ誘導体が含まれ、1個または複数のパラ水酸基が1個または複数の環に存在する。これらには、構造番号(7)に示したCI Mordant Blue 3、CI43820、CAS番号3564−18−9などの一般的なイオン体ならびに非イオン体が含まれる。非イオン体はpH依存性のラクトンおよびスルトントリフェニルメタン誘導体である。低pHでは、この染料は中心の炭素原子が共鳴構造に関わることができないので無色の非イオン性ラクトンまたはスルトン型である。アルカリpHでは、この染料はイオン化して、ラクトンまたはスルトン環が開環し、色の安定したトリフェニルメタンイオンを生じる。この分類の要素には、フタレインおよびスルホンフタレインファミリーが含まれる。フタレインには、構造番号(8)に示したフェノールフタレイン、CAS番号81−90−3が含まれ、スルホンフタレインには構造番号(9)に示したフェノールレッド、CAS番号143−74−8が含まれる。
【0025】
アゾ染料は、1個または複数個のアゾ(−N=N−)基が存在することが特徴で、トリアリールメタン染料の場合のように一般にアミノ(−NH−)および水酸(−OH)基などの助色団を伴う。これらの合成の第1段階はジアゾニウムイオンまたはジアゾ成分の形成で、構造番号(10)に示したように、ニトロソ化(nitrosating)剤がアミノ基が窒素、または硫黄含有環に結合したアリールアミンまたは複素環アミンなどのベンゼン様成分を攻撃するジアゾ化結合反応による。複素環ジアゾ成分の例には、構造番号(11)に示した2−アミノベンゾチアゾールおよびその置換体、[構造番号(12)に示した]2−アミノ−5−ニトロチアゾールおよびその置換体、[構造番号(13)に示した]3−アミノベンズイソチアゾールおよびその置換体、[構造番号(14)に示した]チオフェンおよびその置換体が含まれる。ジアゾ成分は強力な求電子試薬なので、結合成分と呼ばれる求核中心を有する化合物を容易に攻撃してアゾ染料を形成することができる。このような結合成分には、その他のアリールアミンならびにフェノール、ナフトールおよびケト−エノール化合物(アセトアセトアリールアミド、ピリドン、ピラゾロン、アミノピラゾール)が含まれる。異なるジアゾおよび結合成分を使用することによって形成したさまざまなアゾ染料のいくつかの例を以下に示す。
構造番号(15)は、アリールアミン−ジアゾ成分とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Basic Orange 2)の例である。
構造番号(16)は、アリールアミン−ジアゾ成分とナフトール結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(FD&C Red#40)の例である。
構造番号(17)は、ベンゾチアゾールジアゾ成分(6−ニトロ−2−アミノベンゾチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Disperse Blue 156)の例である。
構造番号(18)は、ニトロチアゾールジアゾ成分(2−アミノ−5−ニトロチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料の例である。
構造番号(19)は、ベンゾチアゾールジアゾ成分(5−ニトロ−3−アミノベンゾチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Disperse Blue 148)の例で、一方構造番号(20)はチオフェンジアゾ成分とアリールアミン結合成分を結合することによって形成された他のアゾ染料である。
【0026】
チアジン型の染料は、三環縮合系の一部である中心発色団チアジン環周辺を基礎としており、外側の成分がベンゼンまたはナフタレン核であることが可能である。助色団が硫黄原子に対してメタに導入されるとき、青いチアジン染料が得られる。メチレンブルー[C.I.Bacic Blue 9、構造番号(21)]が例である。
【0027】
ニトロ染料は、ベンゾイドまたはナフトール環上の水酸基またはアミノ基などの電子供与置換基に1個または複数のニトロ基が結合して存在することが特徴である。ニトロ染料は、たいてい黄色および褐色の範囲の色調を生じる。2−アミノ−5−ニトロフェノール[構造番号(22)]が例である。
【0028】
本発明者による以前の米国特許第5688291号では、1段階組成物を開示しており、分類2脱色剤の分散アゾおよびアントラキノン化合物を利用して、毛髪を7段階まで淡色化すると同時に異なる色を染着した。本発明は、毛髪を直接染着し、染着の増大およびより生き生きとした色をもたらすその他の種類の染料から成る組成物、いわゆる特定の化学成分を含有する酸性および塩基性着色剤を開示する。これらの酸性および塩基性着色剤は、アゾ、トリアリールメタン、チアジン、およびニトロといった化学的種類に属し、部類2脱色剤と共に使用して毛髪を7段階まで淡色化し、1段階で明るい色を染着することができる。これらはすべて染料分子の発色団および/または助色団中心に対してオルト位および/またはパラ位に不活性化基または弱活性化基を有するという独特の特性を備える。
【0029】
1995年12月12日に発行されたChanの米国特許第5474578号は、一時的に毛髪の色を消失するための方法を開示している。この方法では、後にアルカリ性過酸化水素と反応することによって脱色または「色を消失させる」トリアリールメタン染料を含む組成物を使用する。この特許は、本明細書で開示した発明の教示とは完全に反対の方法で、アルカリ性過酸化水素(部類1脱色剤)に対する公知の不安定性を利用することによってトリアリールメタン染料を使用することを教示しているが、実施例5〜7においてトリアリールメタン染料の中はアルカリ性過酸化水素によって脱色できないものがあることを教示している。前述のように、および当業者が公知のように、部類1の脱色剤中で安定な染料は、部類2の脱色剤中で安定である必要性はない。この点を明らかにするために、Chanの特許‘578の実施例5〜7で指定された染料を以下に説明したより強力な脱色剤系(部類2の脱色剤)で試験した。すべて脱色され、不安定であることがわかった。
【0030】
1993年8月3日に発行されたMillerの米国特許第5232494号は、ポリメチン染料および脱色剤によって脱色されるアゾ染料を含有する第1の消去可能な染色組成物および色素および化学的攻撃に耐性のキサンチン染料を含有する第2の染色組成物を含むマーカーなどのインク用の2種類の染色組成物から成る系を開示している。また、当業者が公知のように、染料は異なる基質で同じ挙動はしない。毛髪のケラチン繊維はセルロースでできた紙繊維とはまったく異なっている。また、第2の染色組成物と共に使用される脱色系には、整髪産業で毛髪を脱色するために使用するには希な薬剤が含まれ、このような薬剤には、硫化水素、次亜塩素酸ナトリウムが含まれ、好ましい薬剤は硫化ナトリウムであった。過酸化水素もまた記載されているが、部類1の脱色剤系の範囲内である。Millerの特許‘494で記載された消去可能なインク系において化学的攻撃に対する耐性が高いキサンチン染料Acid Red 52およびAcid Red 87を以下に説明した脱色系で試験したところ、これらは不安定であることがわかった。
【0031】
効果的な着色剤を組み入れた部類2の脱色剤の利点は歴然としている。第1に、1段階製品は、毛髪の淡色化および着色過程の時間を著しく減少させ、このことは客および美容院の技師のいずれにも魅力的な特徴である。第2に、従来の2段階塗布における皮膚と反応性の化学物質(アルカリ性、過酸化物、酸化染料)との接触時間が長いことによる頭皮刺激の機会を減少させる。および第3に、1段階塗布は、他の化学的処理の必要性を排除するので損傷が著しく減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明では、毛髪を7段階まで淡色化すると同時に効果的にさまざまな色調を染着することができる部類2の毛髪脱色剤(過硫酸塩ベース)による1段階方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これは、本発明で脱色剤中で安定であることが確認されたアゾ、トリアリールメタン、チアジンまたはニトロ染料を脱色組成物誘導体に含めることによって実現する。予想外であるが、本発明によって、染料分子の特定の部位にある種の化学基が位置する染料のみがこれらの染料に脱色安定性をもたらされていることが発見された。本明細書では、不活性化基または弱活性化化学基は、これらの染料の芳香族環に位置する、または結合した発色団中心および助色団群に関してオルトおよび/またはパラ位に結合したとき、アルカリ性脱色媒質中で残存するこれらの染料を増加させることが明らかになった。対照的に、オルトおよび/またはパラ位に位置する不活性化置換基または弱活性化置換基がないか、またはこれらの位置に強い活性化基が存在すると、染料分子は脱色剤によって攻撃を受けやすくなり、最終的にこれらの染料は分解してしまう。これらの不活性化保護化学基は、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、アルキル基または芳香族基であることが可能であるが、アミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアルキルアミド基ではない。本発明のこれらの目的およびその他の目的は、詳細な説明および添付したクレームを参照すると明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明を実施するための最良の形態をここで説明するが、この説明はクレームの範囲および精神によって判断されるように本発明を限定するものではない。本発明の目的を実現するために、すなわち4段階を上回って毛髪を淡色化し、同時に毛髪に色を添加する1段階脱色を生じるために、トリアリールメタン、アゾ、チアジンおよびニトロの種類の染料に属する何百もの着色剤について3種類の特性、1)部類2の脱色剤の媒質における安定性、2)着色能力、および3)染着した色の寿命を試験した。
【0035】
これらの染料をスクリーニングするために使用した試験方法は、3段階から成る。第1に、試験する染料を表1に示したように1重量%の濃度で脱色粉末に取り込ませた。この染料の濃度は任意に選択し、実用的に適用する染料の範囲に限定したわけではない。脱色剤に安定な染料は、0.01%未満の濃度で使用することができる。染料−脱色剤粉末ブレンド20gをプラスチックのボウルで12%過酸化水素溶液40gと混合した。この混合物は使用した染料の色を呈した。ブラシを使用して、脱色剤混合物を天然の白い、および中間的な茶色のヒト毛髪見本に塗布し、アルミニウムホイルで包み、乾燥機で45℃で10分間インキュベート(ヘアドライヤーの作用を模擬)した。ボウルに残存する混合物の不安定性に関連した色の変化をモニターした。第2に、乾燥機で処理した毛髪見本の色の染着が顕著であれば、およびホイルおよびボウルの両方に認識できるほどの色の分解が認められれば、もう1組の見本を同じボウルの混合物で処理し、台上で少なくとも30分間熟成させた。これは、経験を積んだ使用者が通常の脱色剤塗布を完了するために必要な平均時間を模擬することを目的とする。したがって、得られた第2の組では、許容できると考えられる染料の順に第1段階とほぼ同程度の色染着が実現するだろう。第3に、一旦染料が色沈着および脱色剤中における安定性に関して許容できると判断されたならば、繰り返し洗浄における色の耐久性を評価した。これは、処理した見本にシャンプーおよび乾燥を10回繰り返すことによって実施した。10回洗浄した後、元の色の強さの50%以上が残存すれば、着色は十分であると考えられる。
【0036】
【表1】
【0037】
驚くことではないが、試験した染料の大部分が少なくとも前述の基準の1つすらも満たすことができなかった。1段階で完全に作用する脱色剤および着色剤を生成する努力が何十年もなされてきたが、成功例は非常に限られている。最終的な結果は常に同じであった。部類1の脱色剤媒質中でうまくいった染料は、部類2の脱色剤媒質中ではうまくいかなかった。
【0038】
本発明では、部類2の脱色剤系で非常にうまくいった小数の着色剤を同定した。これらの着色剤は、化学的に4種類の染料、トリアリールメタン、アゾ、チアジンおよびニトロ染料に属する。これらの詳細にわたる研究から得られた驚くべき発見は、前記に概略した条件下で脱色剤中で安定であることがわかった染料はすべて共通の特性を備えており、すなわちこれらの染料の発色団系の成分に関してオルトまたはパラ位における芳香族環上のある種の化学基の存在である(アゾ染料のアゾ基、トリアリールメタン染料の中心のメタン炭素および末端のパラ位の助色団、チアジン染料のチアジン環の結合した窒素原子および硫黄原子、およびニトロ染料の結合したニトロ−水酸基またはニトロ−アミノ基)。これらの化学的成分はまた、それらが結合した芳香族環に不活性化またはほんの弱い活性化の影響を及ぼす。アミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアルキルアミド基などの強力な活性化種はなかった。不活性化基には、ニトロ基、ハライド基、シアノ基、カルボキシル基およびスルホン基が含まれ、一方弱活性化基にはアルキル基およびアリール基が含まれる。これらのオルトまたはパラ位の基は、種類に応じて、脱色剤の強力な酸化的環境から発色団成分を保護する。
【0039】
この開示をいかなる理論に限定することなく、攻撃基が隣接するオルト位から離れて配向するようにこれらのメタ配向性基のメタ配向性効果と組み合わせて、隣接する発色団をより非反応性にする部位不活性化を含むいくつかの要素によってこれらの基で発色団を保護することが可能である。さらに、弱活性化基の場合のように立体効果が役割を果たす可能性がある。この場合、良好な基が存在するだけで、化学的攻撃から発色団を物理的に遮蔽することが可能である。
【0040】
これらの研究から得られた他の予期しなかった発見は、トリアリールメタン脱色剤安定染料では、最初の合成段階中に芳香族アルデヒドまたは無水芳香族が寄与する助色団のないメソ環は、これらの染料に脱色剤安定性をもたらすために不可欠な役割を果たすことである。中心炭素に対してオルト位において不活性化基(電子吸引基)または弱活性化基でこの環を置換することが脱色剤系における染料の安定性に必要である。トリアリールメタン環(特にメソ環)上の置換基の数が多くなるにつれて、脱色剤中で安定になる。トリアリールメタンは(立体的な制限がないと仮定すれば)理論的に、3個の周囲の環の中心炭素元素に対してオルト位に6個までの置換基を有することができる。明解にデータを解釈するために、メソ環上に位置するオルト置換基はA1置換基で標識し、一方両助色団環上に位置する置換基はA2で標識した[構造番号(23)]。4個までのオルト置換基が可能で、助色団S1およびS2のオルト位に位置するものをBで標識した。助色団S1およびS2は、アミノ基または水酸基のいずれかで、同一であるか、異なることが可能である。より複雑なトリアリールメタン染料では、3級アミノ助色団の一部である他の芳香族環はまた、助色団のオルト置換基をもたらすことが可能である。
【0041】
表2にいくつかのトリアリールメタン染料を挙げ、脱色剤中の染料の安定性と全発色団系のオルト置換基の数および位置との関係を示す。前記に概要を述べた方法に従って、これらの染料の試験を表1に挙げた脱色剤粉末組成物で実施した。安定性の評価は主観的に行い、安定性の格付けは0から10までの尺度に基づき、10では安定性が優れており(脱色剤中で分解が最小限で1時間以上色が残存した)、0ではすぐに分解され、色が消失した。5未満に格付けされた安定性は、その染料が脱色剤系で着色剤として有用ではないことを意味する。5以上に格付けされれば、その染料は脱色剤系で使用可能であることを意味する。染料は利用できれば色指数名および番号で示し、または商標名およびCAS番号で示す。
【0042】
表2のデータから結論づけられるように、トリアリールメタン染料の安定性はオルト置換基の数、種類および位置に左右される。染料の安定性はこれらのオルト置換基の数につれて増大する。たとえば、両方の助色団を保護する4個のB置換基があり、中心の炭素原子を保護する2個のA1置換基がある染料は2個だけのB置換基および2個のA1置換基を有する染料よりも安定である[たとえば、構造番号(34)と(38)とを比較すること]。A1置換基を1個も持たない染料は安定ではないことがわかった。A1置換基を2個のみ有する染料はわずかに安定であるが、その安定性はB置換基によって著しく増強される[構造番号(33)および(34)]。A置換基もB置換基も有さない染料はまったく安定ではない。A2置換基はA1置換基を支持する役割のみを果たす[たとえば構造番号(31a)と(34)とを比較すること]。環により多くの基が付加されればされるほど、比例的に安定性が増大し、したがって3個の芳香族環すべてに最も多く置換基がある染料が最も安定である。たとえば、メソ環が不活性化基で置換されたテトラブロモフェノールブルー[構造番号(38)]は両方のオルト位ならびにパラ位から中心の炭素に安定性がもたらされ、非常に安定である。
【0043】
ところが、アルキル、カルボキシ、ハライド、スルホン、およびニトロ置換基は脱色剤中におけるトリアリールメタン染料の安定性を増大させるが、オルトヒドロキシ(−OH)置換基はこれらの染料の安定性を減少させ、脱色剤中での分解を速めることが発見された[構造番号(30)と(35)とを比較すること]。
【0044】
【表2】
【0045】
表3から5はそれぞれ、アゾ、チアジンおよびニトロ染料の試験結果を示す。アゾ染料では、染料安定性を決定する主要な要因はジアゾ成分の置換特性にある。結合成分の置換は、このことについては小さな役割しか果たさず、たいていはオルト水酸基が隣接するアゾ基と水素結合を形成する位置にある場合である。アゾ結合に対してオルトまたはパラに位置するジアゾ成分上の不活性化基は安定性を増大させるが、一方活性化基またはいかなる基もない場合は、染料は脱色剤の攻撃を非常に受けやすくなる[構造番号(39)から(49)を参照のこと]。不活性化基の中で、このことに関してニトロ基が最も強く最も効果的である。メチル基などの弱活性化基は、オルト位に位置するときわずかに効果があるが、パラ位に位置するスルホン基などの弱不活性化基の作用を増大させることができる[構造番号(55)と(63)とを比較すること]。トリアリールメタンのメソ環に見られるように、ジアゾ成分上の電子吸引置換基の数が多くなればなるほど安定性はさらに増大する(構造番号64)。
【0046】
【表3】
【0047】
チアジン染料は比較的数が少ないので、少数の染料のみを試験に使用した。チアジン環自体は、おそらく縮合環配置のため保護されていないトリアリールまたはアゾ対照物よりも化学的攻撃に耐性であるようである。それにもかかわらず、助色団に関するオルト置換基は表4に示したように染料安定性を増大させる。
【0048】
【表4】
【0049】
前述のように、ニトロ型の染料の発色団は1個または複数の水酸基またはアミノ基と結合した1個または複数のニトロ基の存在の結果である。試験した染料(表5)のほとんどは脱色剤に不安定なのはおそらく、置換基のバランスが活性化および不安定化基に有利であるからであろう。強力なアミノ基または水酸基の活性化が同じ芳香族環上のニトロ基の強力な不活性化と競合するとき、活性化基は置換の順番を決定することは有機化学では確立された事実である。もちろん、複数の活性基が同一環上に存在するとき、不安定化効果はより著しくなる。これは、ニトロ染料の非常に多くの場合に生じる[構造番号(70)から(76)]。安定であることがわかった非常にわずかの染料は、成分のバランスが不活性化ニト染料に有利なものである。たとえば、構造番号(77)および(78)は分子当たり2個の不活性化ニトロ基および1個のみの活性化水酸基を含有する。ニトロ基の1個は、水酸基に対してオルトで、もう1つはパラである。
【0050】
【表5】
【0051】
以下に、特定の実施例を引用して、本発明の適用を例示する。
【実施例1】
【0052】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を青色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 2.0
の組成の粉末を12%過酸化水素溶液と1:2の比で混合し(粉末1部:過酸化物2部)、なめらかなクリームを生成し、天然の褐色の人毛標本に塗布し、次いでアルミホイルで包み、乾燥機内に45℃で15分間置いた。結果:毛髪は淡色化し、紺青色の色度に着色した。
【実施例2】
【0053】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を青紫色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 1.5
Acid Red 94(632−69−9) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、青紫に着色した。Acid Red 94はfluorone染料(CI番号45440)で、一般名はローズベンガルである。以下のその他のいくつかの実施例でもまた使用した。Acid Red 94の構造を構造番号(78)に示す。
【実施例3】
【0054】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を紫色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
ブロモクレゾールグリーン(62625−32−5) 1.0
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、紫に着色した。
【実施例4】
【0055】
トリアリールメタン染料およびニトロ染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を緑色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Basic Blue 77 1.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、緑色に着色した。Basic Blue 77染料はまた、商標名SEVRONとして市販されているトリアリールメタン染料である。
【実施例5】
【0056】
アゾ染料およびニトロ染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を赤みがかった金色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
Acid Orange 8(5850−86−2) 0.8
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.2
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、金色がかった赤に着色した。
【実施例6】
【0057】
実施例5と同様の染料を含有するが、比率が異なる調合物によって、1段階で褐色の毛髪をオレンジ色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 0.3
Acid Orange 8(5850−86−2) 1.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.7
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、オレンジ色に着色した。
【実施例7】
【0058】
アゾ染料およびチアジン染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を赤銅色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 97.5
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
Acid Orange 8(5850−86−2) 1.0
Basic Blue 24(6586−05−6) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、赤銅色に着色した。
【実施例8】
【0059】
ニトロ染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を黄色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 99.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 1.0
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、黄色に着色した。
【実施例9】
【0060】
ニトロおよびトリアリールメタン染料を含有する調合物によって、1段階で黒色の毛髪を暗色の金髪に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 99.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 0.4
Acid Red 94(632−69−9) 0.4
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.2
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、暗色の金髪に着色した。
【実施例10】
【0061】
実施例9と同様の染料を含有するが、比率が異なる調合物によって、褐色の毛髪を白金色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 0.2
Acid Red 94(632−69−9) 0.2
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.1
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、白金色に着色した。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】構造番号(1)〜(6)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図2】構造番号(7)〜(15)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図3】構造番号(16)〜(22)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図4】構造番号(23)〜(26)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図5】構造番号(27)〜(30)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図6】構造番号(31)〜(35)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図7】構造番号(36)〜(40)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図8】構造番号(41)〜(45)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図9】構造番号(46)〜(49)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図10】構造番号(50)〜(56)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図11】構造番号(57)〜(63)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図12】構造番号(64)〜(76)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図13】構造番号(77)〜(78)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年3月19日に出願された仮出願番号60/277080号の特典を請求する。
【0002】
本発明は一般的に、1段階で毛色を7段階も淡色化し、同時にさまざまな色調を染着することができ、脱色処理によって生じた暖色性を中和するか、または淡色化した毛髪にその他の所望する明るい色を添加する毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
天然の毛髪の色は毛髪繊維の皮質全体に包埋したメラニン顆粒から生じる。このような色素の2つの一般的な種類は、ユーメラニン(褐色がかった黒)およびフェオメラニン(赤みがかったオレンジ色)である。これら2種類の色素の組合せの比率および濃度によって、毛髪に特徴的な天然の濃淡がもたらされる。暗色の毛髪ではユーメラニンの濃度が高く、一方赤い毛髪ではフェオメラニンが優勢である。淡色の金髪では両方とも量が少ない。
【0004】
ヒトの毛髪の暗さ(明るさ)を表現するために、10段階の尺度を任意に割り当てる。黒髪は1段階に、中間的な褐色の毛髪は5段階に、淡色の金髪は10段階に指定され、間に微妙ないくつかの差違が指定された。
【0005】
毛髪の脱色は、メラミン色素顆粒を脱色剤によって徐々に破壊し、その結果により淡色化した毛髪の色を生じる化学的方法である。メラミン色素はすべて同速度で淡色化されるとは限らない。ユーメラニンはフェオメラニンよりも容易に破壊される。この特性のため、脱色時に暗色の毛髪はメラミン色素が優先的に破壊され、赤い色素の視覚的な増強が引き起こされ、脱色した毛髪に所望しない暖色の赤みがかったオレンジ色または「けばけばしい」色調がもたらされる。この暖色性を中和するため、ほとんどいつもくすんだ性質の毛髪着色剤を脱色処理中または処理後に適用する。
【0006】
化学的組成物および強度に基づいて、毛髪脱色剤は部類1および部類2と称する2つの群に分類される。
【0007】
部類1の脱色剤は、毛髪を酸化して脱色するための主要な酸素発生剤としてアルカリ性の過酸化水素溶液を使用した液体またはクリームをベースとした組成物で、通常毛髪着色方法と組み合わせる。使用直前に過酸化物をアンモニアなどのアルカリ化剤と混合し、得られた液体またはクリームを毛髪に30分から60分間塗布する。このような組成物は、使用した過酸化水素の濃度に応じてせいぜい4段階まで毛髪を淡色化することができる。たとえば、段階6の毛髪は良好な条件下では段階10まで淡色化することが可能である。
【0008】
部類2の脱色剤は一般的に粉末組成剤で、クリーム状のものもあり、補助剤または活性酸素の増進供給剤としての過硫酸塩(アンモニア、カリウム、ナトリウム)、およびアルカリ源としてのケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとする。また、使用直前にこれらを過酸化水素溶液と混合して、毛髪に塗布できる実用可能なクリームを形成する。過酸化水素自体を固形の粉末脱色剤に取り込ませることも可能で、実用可能なクリームを実現するために必要なことは、水を粉末に添加することだけである。湿潤薬およびその他の品質改良剤を含有することが可能な脱色油と称する第3の別に包装した成分を使用時に脱色粉末および過酸化物に添加することも極めて多い。
【0009】
部類2の脱色剤は、部類1の脱色剤では到達できない7段階の引き上げを達成することができる。通常、4段階を上回る引き上げを所望するとき、たとえば5段階引き上げるとき、または暗色を淡色の金髪まで引き上げるときはいつでも部類2の脱色剤を使用する。さまざまな程度の脱色で曝露される暖かい色調が下にあるので、一般的に暖かみを中和し好ましい自然な様子を毛髪に与える調色方法を毛髪の淡色化と共に行う。調色方法自体はかなり繊細な方法である。調色液は3種類の色調、青緑、青および青紫に分けられ、一般的にくすんだ、または灰色がかった色調として知られている。これらの色調または組合せは、淡色方法の間に曝露される下地のスペクトルを中和するために必要である。たとえば、明るい褐色の毛髪は脱色によって黄色い下地の色が曝露される。したがって、色の法則に従って、青紫をベースとした調色液は黄色がかった色調を中和し、プラチナ色または銀色の金髪の色度を生じる。調色液の濃度は、色の染着によって段階引き上げが遮蔽されないように調節しなければならない。同様に、中間的な褐色の毛髪はかなりの量のオレンジ色の下地が現れるので、かなりの量の青をベースとした調色剤が必要である。暗色の毛髪では、脱色すると赤みがかったオレンジ色の下地が現れるので、青緑色の調色液が必要である。
【0010】
通常は、毛髪に明るい色を染着することが望まれる。しかし、毛髪には暗色の色素があるので、まず毛髪を淡色に脱色しないでそれを実施することができない。したがって、第1段階で部類2の粉末脱色剤で毛髪を淡色化し、次に第2段階で明るい色に色づけする2段階方法を実施するのが慣習である。
【0011】
部類1の脱色剤は、酸化的永久着色剤として知られているもののほとんどを占める。それらには酸化的染料が含まれる。いくつかは、直接、分散、酸性または塩基性染料、またはそれらの組合せを含むことが可能である。この部類の脱色剤の一般的なアルカリ性過酸化物環境は、数種類の染料を残存させるために十分穏和である。したがって、毛髪色素の限定された淡色化および色の染着は、約1時間で完了する同時方法である。
【0012】
部類2の脱色剤では、媒質はほとんどの染料にまったく許容されない。より強いアルカリと強い酸化的条件を組み合わせると、共同作用的に作用して短時間の内にこれらの染料を破壊してしまう。部類1の脱色剤に耐えられる着色剤の豊富さとは異なり、粉末脱色剤中において安定で、同時に毛髪を効果的に着色することができる現在確認されている染料はほんのわずかである。
【0013】
染料は一般的にアリール環または発色団と称する不飽和化学基、たとえば(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)または(−N=N−)を含有する複合構造から成る。助色団と呼ばれる(−OH)または(−NH2)などの弱塩基性基がアリール環に結合して、発色団によって生じる色の増強を補助することが多い。アリール環に添加するほとんどの化学基は環が受けることが可能な求電子置換の方法に影響を及ぼす。電子を吸引する基は、一旦ベンゼンに結合すると非置換のベンゼンよりも反応性の少ない環にするので不活性基と呼ばれ、一方電子を供与するその他のものは結合した環がベンゼンよりも活性化するので活性化基と呼ばれる。活性化基には水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2、−NHR、−NR2)、アルコキシ基(−OCH3、−OC2H5など)およびアルキルアミド(−NHCOR)が含まれる。不活性化基には、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、カルボキシ基(−COOH、−COOR)、スルホン基(−SO3H)、またはハライド基(−F、−Cl、−Br、−I)が含まれる。活性化基は、アリール環上の攻撃をそれらのオルト位およびパラ位に生じるように引き起こすので、オルト、パラ配向性であるが、一方(ハロゲンを除く)不活性化基は化学的攻撃がこれらの基に関してメタの位置に生じるのでメタ配向性である。
【0014】
構造に基づいて、染料は以下の化学的種類に分類される。アクリジン、アントラキノン、アジン、アゾ、シアニン、ホルマザン、インダミン、インジゴイド、ニトロ、オキサジン、フタロシアニン、キノフタロン、スチルベン、チアジン、チアゾール、トリアリールメタン、およびキサンテンである。
【0015】
トリアリールメタン染料は、構造番号(1)に描いて示した中心のメタン炭素原子が、中心のメタン炭素に関してパラ位を1級、2級または3級アミノ基または水酸基または両者の組合せで置換することが可能な3個のアリール核に結合した基本骨格の周りに形成されている。構造番号(1)に付け加えた単一の文字、X、YおよびZはすべて、末端アリール系、ナフチル系またはそれらの組合せであることが可能である。この基本計画に基づいて、トリアリールメタン染料は以下の通りに分類することができる。A)トリフェニルメタン染料、構造番号(1)のX、YおよびZはすべてアリール誘導体である。B)ジフェニルナフチルメタン染料、構造番号(1)のX、YまたはZの1個はナフチル基で、残りの基はフェニル基である。およびC)ジナフチルフェニルメタン染料、構造番号(1)の2個の環がナフチル基で、残りの基はフェニル基である。
【0016】
芳香族環に酸性基がなければ、トリアリールメタン染料は陽イオンまたは塩基性染料と称する。スルホン酸基が存在すると酸性特性または陰イオン特性ならびに水溶性がもたらされる。トリアリールメタン分類のすべてにおいて、アリール核のいくつかまたはすべては中心のメタン原子に対してパラ位が助色団x1、y1またはz1で置換されており、したがってx1、y1またはz1は構造番号(2)のように水酸基、アミノ酸またはその両方である。助色団がアミノ基の場合、1級アミノ(−NH2)、2級アミノ(−NHR1)または3級アミノ(−NR2)であってよく、R1およびR2は同一または異なっていてよく、いずれもアルキル、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アルキル−シアノ、ハロゲン、フェニル、またはナフチル置換基であることが可能である。
【0017】
トリフェニルメタン染料は、トリアリールメタン型の染料の大半を占める。これらの染料の色素体系は、sp2が混成した中心の炭素原子とその炭素原子に結合した芳香族環に位置するパラ−アミノ基またはパラ−水酸基に関与する共鳴混成体から成る。
【0018】
トリアリールメタンは、アルデヒド合成、ヒドロール合成およびケトン合成などのいくつかの経路によって合成することができる。アルデヒド法では、異なるアルデヒドを適切な芳香族アミン、フェノールまたはナフトールと反応させ、さまざまなアミノ誘導体またはヒドロキシ誘導体を形成することができる。ヒドロール法およびケトン法では、ジアリールヒドロールまたはジアリールケトンを適切な芳香族アミンまたはフェノールと反応させ、さまざまなこれらの染料を形成することができる。フェノールフタレインおよびスルホンフタレイン染料誘導体の場合、無水フタル酸および無水スルホ安息香酸環式誘導体を含む無水芳香族とフェノールまたは安息香酸誘導体とを縮合することによって合成を実施する。
【0019】
したがってそれらの化学成分を基にして、トリアリールメタン染料は少なくとも5種類の亜集団に分類することができる。
【0020】
このような第1の亜集団には、1個の芳香族環のみがパラアミノ助色団を含むモノアミノ誘導体が含まれる。構造番号(3)で示したフクソンイミン塩酸塩、CAS番号84215−84−9が例である。
【0021】
第2の亜集団には、2個の芳香族環がパラアミノ基を含有するジアミノ誘導体が含まれる。構造番号(4)に示したCI Basic Green 4、CI42000、CAS番号569−64−2が例である。
【0022】
第3の亜集団には、3個すべての芳香族環がパラアミノ助色団を含有するトリフェニルメタンのトリアミノ誘導体が含まれ、構造番号(5)に示したCI Basic Red 9、CI42500、CAS番号569−61−9が例である。
【0023】
第4の亜集団には、パラアミノ基およびパラ水酸基が別々の芳香族環に存在するアミノヒドロキシ誘導体が含まれ、その例は構造番号(6)に示したCI Mordant Violet 11、CI43550である。
【0024】
第5の亜集団には、ヒドロキシ誘導体が含まれ、1個または複数のパラ水酸基が1個または複数の環に存在する。これらには、構造番号(7)に示したCI Mordant Blue 3、CI43820、CAS番号3564−18−9などの一般的なイオン体ならびに非イオン体が含まれる。非イオン体はpH依存性のラクトンおよびスルトントリフェニルメタン誘導体である。低pHでは、この染料は中心の炭素原子が共鳴構造に関わることができないので無色の非イオン性ラクトンまたはスルトン型である。アルカリpHでは、この染料はイオン化して、ラクトンまたはスルトン環が開環し、色の安定したトリフェニルメタンイオンを生じる。この分類の要素には、フタレインおよびスルホンフタレインファミリーが含まれる。フタレインには、構造番号(8)に示したフェノールフタレイン、CAS番号81−90−3が含まれ、スルホンフタレインには構造番号(9)に示したフェノールレッド、CAS番号143−74−8が含まれる。
【0025】
アゾ染料は、1個または複数個のアゾ(−N=N−)基が存在することが特徴で、トリアリールメタン染料の場合のように一般にアミノ(−NH−)および水酸(−OH)基などの助色団を伴う。これらの合成の第1段階はジアゾニウムイオンまたはジアゾ成分の形成で、構造番号(10)に示したように、ニトロソ化(nitrosating)剤がアミノ基が窒素、または硫黄含有環に結合したアリールアミンまたは複素環アミンなどのベンゼン様成分を攻撃するジアゾ化結合反応による。複素環ジアゾ成分の例には、構造番号(11)に示した2−アミノベンゾチアゾールおよびその置換体、[構造番号(12)に示した]2−アミノ−5−ニトロチアゾールおよびその置換体、[構造番号(13)に示した]3−アミノベンズイソチアゾールおよびその置換体、[構造番号(14)に示した]チオフェンおよびその置換体が含まれる。ジアゾ成分は強力な求電子試薬なので、結合成分と呼ばれる求核中心を有する化合物を容易に攻撃してアゾ染料を形成することができる。このような結合成分には、その他のアリールアミンならびにフェノール、ナフトールおよびケト−エノール化合物(アセトアセトアリールアミド、ピリドン、ピラゾロン、アミノピラゾール)が含まれる。異なるジアゾおよび結合成分を使用することによって形成したさまざまなアゾ染料のいくつかの例を以下に示す。
構造番号(15)は、アリールアミン−ジアゾ成分とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Basic Orange 2)の例である。
構造番号(16)は、アリールアミン−ジアゾ成分とナフトール結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(FD&C Red#40)の例である。
構造番号(17)は、ベンゾチアゾールジアゾ成分(6−ニトロ−2−アミノベンゾチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Disperse Blue 156)の例である。
構造番号(18)は、ニトロチアゾールジアゾ成分(2−アミノ−5−ニトロチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料の例である。
構造番号(19)は、ベンゾチアゾールジアゾ成分(5−ニトロ−3−アミノベンゾチアゾール)とアリールアミン結合剤の複合によって形成されたアゾ染料(C.I.Disperse Blue 148)の例で、一方構造番号(20)はチオフェンジアゾ成分とアリールアミン結合成分を結合することによって形成された他のアゾ染料である。
【0026】
チアジン型の染料は、三環縮合系の一部である中心発色団チアジン環周辺を基礎としており、外側の成分がベンゼンまたはナフタレン核であることが可能である。助色団が硫黄原子に対してメタに導入されるとき、青いチアジン染料が得られる。メチレンブルー[C.I.Bacic Blue 9、構造番号(21)]が例である。
【0027】
ニトロ染料は、ベンゾイドまたはナフトール環上の水酸基またはアミノ基などの電子供与置換基に1個または複数のニトロ基が結合して存在することが特徴である。ニトロ染料は、たいてい黄色および褐色の範囲の色調を生じる。2−アミノ−5−ニトロフェノール[構造番号(22)]が例である。
【0028】
本発明者による以前の米国特許第5688291号では、1段階組成物を開示しており、分類2脱色剤の分散アゾおよびアントラキノン化合物を利用して、毛髪を7段階まで淡色化すると同時に異なる色を染着した。本発明は、毛髪を直接染着し、染着の増大およびより生き生きとした色をもたらすその他の種類の染料から成る組成物、いわゆる特定の化学成分を含有する酸性および塩基性着色剤を開示する。これらの酸性および塩基性着色剤は、アゾ、トリアリールメタン、チアジン、およびニトロといった化学的種類に属し、部類2脱色剤と共に使用して毛髪を7段階まで淡色化し、1段階で明るい色を染着することができる。これらはすべて染料分子の発色団および/または助色団中心に対してオルト位および/またはパラ位に不活性化基または弱活性化基を有するという独特の特性を備える。
【0029】
1995年12月12日に発行されたChanの米国特許第5474578号は、一時的に毛髪の色を消失するための方法を開示している。この方法では、後にアルカリ性過酸化水素と反応することによって脱色または「色を消失させる」トリアリールメタン染料を含む組成物を使用する。この特許は、本明細書で開示した発明の教示とは完全に反対の方法で、アルカリ性過酸化水素(部類1脱色剤)に対する公知の不安定性を利用することによってトリアリールメタン染料を使用することを教示しているが、実施例5〜7においてトリアリールメタン染料の中はアルカリ性過酸化水素によって脱色できないものがあることを教示している。前述のように、および当業者が公知のように、部類1の脱色剤中で安定な染料は、部類2の脱色剤中で安定である必要性はない。この点を明らかにするために、Chanの特許‘578の実施例5〜7で指定された染料を以下に説明したより強力な脱色剤系(部類2の脱色剤)で試験した。すべて脱色され、不安定であることがわかった。
【0030】
1993年8月3日に発行されたMillerの米国特許第5232494号は、ポリメチン染料および脱色剤によって脱色されるアゾ染料を含有する第1の消去可能な染色組成物および色素および化学的攻撃に耐性のキサンチン染料を含有する第2の染色組成物を含むマーカーなどのインク用の2種類の染色組成物から成る系を開示している。また、当業者が公知のように、染料は異なる基質で同じ挙動はしない。毛髪のケラチン繊維はセルロースでできた紙繊維とはまったく異なっている。また、第2の染色組成物と共に使用される脱色系には、整髪産業で毛髪を脱色するために使用するには希な薬剤が含まれ、このような薬剤には、硫化水素、次亜塩素酸ナトリウムが含まれ、好ましい薬剤は硫化ナトリウムであった。過酸化水素もまた記載されているが、部類1の脱色剤系の範囲内である。Millerの特許‘494で記載された消去可能なインク系において化学的攻撃に対する耐性が高いキサンチン染料Acid Red 52およびAcid Red 87を以下に説明した脱色系で試験したところ、これらは不安定であることがわかった。
【0031】
効果的な着色剤を組み入れた部類2の脱色剤の利点は歴然としている。第1に、1段階製品は、毛髪の淡色化および着色過程の時間を著しく減少させ、このことは客および美容院の技師のいずれにも魅力的な特徴である。第2に、従来の2段階塗布における皮膚と反応性の化学物質(アルカリ性、過酸化物、酸化染料)との接触時間が長いことによる頭皮刺激の機会を減少させる。および第3に、1段階塗布は、他の化学的処理の必要性を排除するので損傷が著しく減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明では、毛髪を7段階まで淡色化すると同時に効果的にさまざまな色調を染着することができる部類2の毛髪脱色剤(過硫酸塩ベース)による1段階方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これは、本発明で脱色剤中で安定であることが確認されたアゾ、トリアリールメタン、チアジンまたはニトロ染料を脱色組成物誘導体に含めることによって実現する。予想外であるが、本発明によって、染料分子の特定の部位にある種の化学基が位置する染料のみがこれらの染料に脱色安定性をもたらされていることが発見された。本明細書では、不活性化基または弱活性化化学基は、これらの染料の芳香族環に位置する、または結合した発色団中心および助色団群に関してオルトおよび/またはパラ位に結合したとき、アルカリ性脱色媒質中で残存するこれらの染料を増加させることが明らかになった。対照的に、オルトおよび/またはパラ位に位置する不活性化置換基または弱活性化置換基がないか、またはこれらの位置に強い活性化基が存在すると、染料分子は脱色剤によって攻撃を受けやすくなり、最終的にこれらの染料は分解してしまう。これらの不活性化保護化学基は、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、アルキル基または芳香族基であることが可能であるが、アミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアルキルアミド基ではない。本発明のこれらの目的およびその他の目的は、詳細な説明および添付したクレームを参照すると明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明を実施するための最良の形態をここで説明するが、この説明はクレームの範囲および精神によって判断されるように本発明を限定するものではない。本発明の目的を実現するために、すなわち4段階を上回って毛髪を淡色化し、同時に毛髪に色を添加する1段階脱色を生じるために、トリアリールメタン、アゾ、チアジンおよびニトロの種類の染料に属する何百もの着色剤について3種類の特性、1)部類2の脱色剤の媒質における安定性、2)着色能力、および3)染着した色の寿命を試験した。
【0035】
これらの染料をスクリーニングするために使用した試験方法は、3段階から成る。第1に、試験する染料を表1に示したように1重量%の濃度で脱色粉末に取り込ませた。この染料の濃度は任意に選択し、実用的に適用する染料の範囲に限定したわけではない。脱色剤に安定な染料は、0.01%未満の濃度で使用することができる。染料−脱色剤粉末ブレンド20gをプラスチックのボウルで12%過酸化水素溶液40gと混合した。この混合物は使用した染料の色を呈した。ブラシを使用して、脱色剤混合物を天然の白い、および中間的な茶色のヒト毛髪見本に塗布し、アルミニウムホイルで包み、乾燥機で45℃で10分間インキュベート(ヘアドライヤーの作用を模擬)した。ボウルに残存する混合物の不安定性に関連した色の変化をモニターした。第2に、乾燥機で処理した毛髪見本の色の染着が顕著であれば、およびホイルおよびボウルの両方に認識できるほどの色の分解が認められれば、もう1組の見本を同じボウルの混合物で処理し、台上で少なくとも30分間熟成させた。これは、経験を積んだ使用者が通常の脱色剤塗布を完了するために必要な平均時間を模擬することを目的とする。したがって、得られた第2の組では、許容できると考えられる染料の順に第1段階とほぼ同程度の色染着が実現するだろう。第3に、一旦染料が色沈着および脱色剤中における安定性に関して許容できると判断されたならば、繰り返し洗浄における色の耐久性を評価した。これは、処理した見本にシャンプーおよび乾燥を10回繰り返すことによって実施した。10回洗浄した後、元の色の強さの50%以上が残存すれば、着色は十分であると考えられる。
【0036】
【表1】
【0037】
驚くことではないが、試験した染料の大部分が少なくとも前述の基準の1つすらも満たすことができなかった。1段階で完全に作用する脱色剤および着色剤を生成する努力が何十年もなされてきたが、成功例は非常に限られている。最終的な結果は常に同じであった。部類1の脱色剤媒質中でうまくいった染料は、部類2の脱色剤媒質中ではうまくいかなかった。
【0038】
本発明では、部類2の脱色剤系で非常にうまくいった小数の着色剤を同定した。これらの着色剤は、化学的に4種類の染料、トリアリールメタン、アゾ、チアジンおよびニトロ染料に属する。これらの詳細にわたる研究から得られた驚くべき発見は、前記に概略した条件下で脱色剤中で安定であることがわかった染料はすべて共通の特性を備えており、すなわちこれらの染料の発色団系の成分に関してオルトまたはパラ位における芳香族環上のある種の化学基の存在である(アゾ染料のアゾ基、トリアリールメタン染料の中心のメタン炭素および末端のパラ位の助色団、チアジン染料のチアジン環の結合した窒素原子および硫黄原子、およびニトロ染料の結合したニトロ−水酸基またはニトロ−アミノ基)。これらの化学的成分はまた、それらが結合した芳香族環に不活性化またはほんの弱い活性化の影響を及ぼす。アミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアルキルアミド基などの強力な活性化種はなかった。不活性化基には、ニトロ基、ハライド基、シアノ基、カルボキシル基およびスルホン基が含まれ、一方弱活性化基にはアルキル基およびアリール基が含まれる。これらのオルトまたはパラ位の基は、種類に応じて、脱色剤の強力な酸化的環境から発色団成分を保護する。
【0039】
この開示をいかなる理論に限定することなく、攻撃基が隣接するオルト位から離れて配向するようにこれらのメタ配向性基のメタ配向性効果と組み合わせて、隣接する発色団をより非反応性にする部位不活性化を含むいくつかの要素によってこれらの基で発色団を保護することが可能である。さらに、弱活性化基の場合のように立体効果が役割を果たす可能性がある。この場合、良好な基が存在するだけで、化学的攻撃から発色団を物理的に遮蔽することが可能である。
【0040】
これらの研究から得られた他の予期しなかった発見は、トリアリールメタン脱色剤安定染料では、最初の合成段階中に芳香族アルデヒドまたは無水芳香族が寄与する助色団のないメソ環は、これらの染料に脱色剤安定性をもたらすために不可欠な役割を果たすことである。中心炭素に対してオルト位において不活性化基(電子吸引基)または弱活性化基でこの環を置換することが脱色剤系における染料の安定性に必要である。トリアリールメタン環(特にメソ環)上の置換基の数が多くなるにつれて、脱色剤中で安定になる。トリアリールメタンは(立体的な制限がないと仮定すれば)理論的に、3個の周囲の環の中心炭素元素に対してオルト位に6個までの置換基を有することができる。明解にデータを解釈するために、メソ環上に位置するオルト置換基はA1置換基で標識し、一方両助色団環上に位置する置換基はA2で標識した[構造番号(23)]。4個までのオルト置換基が可能で、助色団S1およびS2のオルト位に位置するものをBで標識した。助色団S1およびS2は、アミノ基または水酸基のいずれかで、同一であるか、異なることが可能である。より複雑なトリアリールメタン染料では、3級アミノ助色団の一部である他の芳香族環はまた、助色団のオルト置換基をもたらすことが可能である。
【0041】
表2にいくつかのトリアリールメタン染料を挙げ、脱色剤中の染料の安定性と全発色団系のオルト置換基の数および位置との関係を示す。前記に概要を述べた方法に従って、これらの染料の試験を表1に挙げた脱色剤粉末組成物で実施した。安定性の評価は主観的に行い、安定性の格付けは0から10までの尺度に基づき、10では安定性が優れており(脱色剤中で分解が最小限で1時間以上色が残存した)、0ではすぐに分解され、色が消失した。5未満に格付けされた安定性は、その染料が脱色剤系で着色剤として有用ではないことを意味する。5以上に格付けされれば、その染料は脱色剤系で使用可能であることを意味する。染料は利用できれば色指数名および番号で示し、または商標名およびCAS番号で示す。
【0042】
表2のデータから結論づけられるように、トリアリールメタン染料の安定性はオルト置換基の数、種類および位置に左右される。染料の安定性はこれらのオルト置換基の数につれて増大する。たとえば、両方の助色団を保護する4個のB置換基があり、中心の炭素原子を保護する2個のA1置換基がある染料は2個だけのB置換基および2個のA1置換基を有する染料よりも安定である[たとえば、構造番号(34)と(38)とを比較すること]。A1置換基を1個も持たない染料は安定ではないことがわかった。A1置換基を2個のみ有する染料はわずかに安定であるが、その安定性はB置換基によって著しく増強される[構造番号(33)および(34)]。A置換基もB置換基も有さない染料はまったく安定ではない。A2置換基はA1置換基を支持する役割のみを果たす[たとえば構造番号(31a)と(34)とを比較すること]。環により多くの基が付加されればされるほど、比例的に安定性が増大し、したがって3個の芳香族環すべてに最も多く置換基がある染料が最も安定である。たとえば、メソ環が不活性化基で置換されたテトラブロモフェノールブルー[構造番号(38)]は両方のオルト位ならびにパラ位から中心の炭素に安定性がもたらされ、非常に安定である。
【0043】
ところが、アルキル、カルボキシ、ハライド、スルホン、およびニトロ置換基は脱色剤中におけるトリアリールメタン染料の安定性を増大させるが、オルトヒドロキシ(−OH)置換基はこれらの染料の安定性を減少させ、脱色剤中での分解を速めることが発見された[構造番号(30)と(35)とを比較すること]。
【0044】
【表2】
【0045】
表3から5はそれぞれ、アゾ、チアジンおよびニトロ染料の試験結果を示す。アゾ染料では、染料安定性を決定する主要な要因はジアゾ成分の置換特性にある。結合成分の置換は、このことについては小さな役割しか果たさず、たいていはオルト水酸基が隣接するアゾ基と水素結合を形成する位置にある場合である。アゾ結合に対してオルトまたはパラに位置するジアゾ成分上の不活性化基は安定性を増大させるが、一方活性化基またはいかなる基もない場合は、染料は脱色剤の攻撃を非常に受けやすくなる[構造番号(39)から(49)を参照のこと]。不活性化基の中で、このことに関してニトロ基が最も強く最も効果的である。メチル基などの弱活性化基は、オルト位に位置するときわずかに効果があるが、パラ位に位置するスルホン基などの弱不活性化基の作用を増大させることができる[構造番号(55)と(63)とを比較すること]。トリアリールメタンのメソ環に見られるように、ジアゾ成分上の電子吸引置換基の数が多くなればなるほど安定性はさらに増大する(構造番号64)。
【0046】
【表3】
【0047】
チアジン染料は比較的数が少ないので、少数の染料のみを試験に使用した。チアジン環自体は、おそらく縮合環配置のため保護されていないトリアリールまたはアゾ対照物よりも化学的攻撃に耐性であるようである。それにもかかわらず、助色団に関するオルト置換基は表4に示したように染料安定性を増大させる。
【0048】
【表4】
【0049】
前述のように、ニトロ型の染料の発色団は1個または複数の水酸基またはアミノ基と結合した1個または複数のニトロ基の存在の結果である。試験した染料(表5)のほとんどは脱色剤に不安定なのはおそらく、置換基のバランスが活性化および不安定化基に有利であるからであろう。強力なアミノ基または水酸基の活性化が同じ芳香族環上のニトロ基の強力な不活性化と競合するとき、活性化基は置換の順番を決定することは有機化学では確立された事実である。もちろん、複数の活性基が同一環上に存在するとき、不安定化効果はより著しくなる。これは、ニトロ染料の非常に多くの場合に生じる[構造番号(70)から(76)]。安定であることがわかった非常にわずかの染料は、成分のバランスが不活性化ニト染料に有利なものである。たとえば、構造番号(77)および(78)は分子当たり2個の不活性化ニトロ基および1個のみの活性化水酸基を含有する。ニトロ基の1個は、水酸基に対してオルトで、もう1つはパラである。
【0050】
【表5】
【0051】
以下に、特定の実施例を引用して、本発明の適用を例示する。
【実施例1】
【0052】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を青色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 2.0
の組成の粉末を12%過酸化水素溶液と1:2の比で混合し(粉末1部:過酸化物2部)、なめらかなクリームを生成し、天然の褐色の人毛標本に塗布し、次いでアルミホイルで包み、乾燥機内に45℃で15分間置いた。結果:毛髪は淡色化し、紺青色の色度に着色した。
【実施例2】
【0053】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を青紫色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 1.5
Acid Red 94(632−69−9) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、青紫に着色した。Acid Red 94はfluorone染料(CI番号45440)で、一般名はローズベンガルである。以下のその他のいくつかの実施例でもまた使用した。Acid Red 94の構造を構造番号(78)に示す。
【実施例3】
【0054】
トリアリールメタン染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を紫色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
ブロモクレゾールグリーン(62625−32−5) 1.0
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、紫に着色した。
【実施例4】
【0055】
トリアリールメタン染料およびニトロ染料を含有する調合物によって1段階で褐色の毛髪を緑色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Basic Blue 77 1.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、緑色に着色した。Basic Blue 77染料はまた、商標名SEVRONとして市販されているトリアリールメタン染料である。
【実施例5】
【0056】
アゾ染料およびニトロ染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を赤みがかった金色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
Acid Orange 8(5850−86−2) 0.8
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.2
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、金色がかった赤に着色した。
【実施例6】
【0057】
実施例5と同様の染料を含有するが、比率が異なる調合物によって、1段階で褐色の毛髪をオレンジ色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
Acid Red 94(632−69−9) 0.3
Acid Orange 8(5850−86−2) 1.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.7
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、オレンジ色に着色した。
【実施例7】
【0058】
アゾ染料およびチアジン染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を赤銅色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 97.5
Acid Red 94(632−69−9) 1.0
Acid Orange 8(5850−86−2) 1.0
Basic Blue 24(6586−05−6) 0.5
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、赤銅色に着色した。
【実施例8】
【0059】
ニトロ染料を含有する調合物によって、1段階で褐色の毛髪を黄色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 99.0
Acid Yellow 24(605−69−6) 1.0
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、黄色に着色した。
【実施例9】
【0060】
ニトロおよびトリアリールメタン染料を含有する調合物によって、1段階で黒色の毛髪を暗色の金髪に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 99.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 0.4
Acid Red 94(632−69−9) 0.4
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.2
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、暗色の金髪に着色した。
【実施例10】
【0061】
実施例9と同様の染料を含有するが、比率が異なる調合物によって、褐色の毛髪を白金色に着色する。
重量%
表1の脱色組成物 98.0
テトラブロモフェノールブルー(4430−25−5) 0.2
Acid Red 94(632−69−9) 0.2
Acid Yellow 24(605−69−6) 0.1
の組成の粉末を実施例1と同様の方法で調製して塗布した。結果:毛髪は淡色化し、白金色に着色した。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】構造番号(1)〜(6)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図2】構造番号(7)〜(15)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図3】構造番号(16)〜(22)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図4】構造番号(23)〜(26)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図5】構造番号(27)〜(30)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図6】構造番号(31)〜(35)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図7】構造番号(36)〜(40)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図8】構造番号(41)〜(45)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図9】構造番号(46)〜(49)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図10】構造番号(50)〜(56)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図11】構造番号(57)〜(63)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図12】構造番号(64)〜(76)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【図13】構造番号(77)〜(78)の公知染料の化学構造式を示す図面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を同時に淡色化し、着色するための組成物であって、
過硫酸塩およびケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとするアルカリ性の脱色剤、および
分子が少なくとも1個の発色団を有し、前記発色団は(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)および(−N=N−)から成る不飽和化学基を含有するアリール環または複合構造から成るものである、染料であって、この染料はアゾ、トリアリールメタン、チアジン、およびニトロの化学的種類に属する酸性および塩基性着色剤であり、そしてこの染料がアゾ、チアジンまたはニトロの化学的種類に属するものであるときは、この染料は発色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた少なくとも1個の不活性化基、または発色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有するものであり、この染料がトリアリールメタンの化学的種類に属するものであるときは、この染料はトリアリールメタン分子の中心炭素原子に対してオルトに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた不活性化基であるか、またはアルキル基およびアリール基から選ばれた弱活性化基である、少なくとも2個の基を有するものである、染料
を含む組成物。
【請求項2】
前記染料分子はさらに、水酸基およびアミノ基から選ばれた、少なくとも1個の助色団を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記染料は助色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた、少なくとも1個の不活性化基を有する請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はニトロ基である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はハライド基である請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はシアノ基である請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はカルボキシル基である請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はスルホン基である請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記染料は助色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有する請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記弱活性化基はアルキル基である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記弱活性化基はアリール基である請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記染料はアゾ染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記染料はトリアリールメタン染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記染料はチアジン染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記染料はニトロ染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルカリ性の脱色剤は過硫酸アンモニウムを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルカリ性の脱色剤はさらに過硫酸カリウムを含む請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
毛髪を同時に1段階で淡色化し、着色する方法であって、
過硫酸塩およびケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとするアルカリ性の脱色剤粉末および適合する染料を含む組成物を提供し、過酸化水素溶液中で前記組成物を混合してクリームを生成し、前記クリームを毛髪に塗布して淡色化し、着色する段階を含み、
前記染料の分子が少なくとも1個の発色団を有し、前記発色団は(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)および(−N=N−)から成る不飽和化学基を含有するアリール環または複合構造から成るものであって、この染料は、アゾ、トリアリールメタン、チアジンおよびニトロの化学的種類に属する酸性および塩基性着色剤であり、そしてこの染料がアゾ、チアジンまたはニトロの化学的種類に属するものであるときは、この染料は発色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基およびハライド基から選ばれた、少なくとも1個の不活性化基、または発色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有するものであり、この染料がトリアリールメタンの化学的種類に属するものであるときは、この染料はトリアリールメタン分子の中心炭素原子に対してオルトに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた不活性化基であるか、またはアルキル基およびアリール基から選ばれた弱活性化基である、少なくとも2個の基を有するものである、
毛髪を同時に1段階で淡色化し、着色する方法。
【請求項1】
毛髪を同時に淡色化し、着色するための組成物であって、
過硫酸塩およびケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとするアルカリ性の脱色剤、および
分子が少なくとも1個の発色団を有し、前記発色団は(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)および(−N=N−)から成る不飽和化学基を含有するアリール環または複合構造から成るものである、染料であって、この染料はアゾ、トリアリールメタン、チアジン、およびニトロの化学的種類に属する酸性および塩基性着色剤であり、そしてこの染料がアゾ、チアジンまたはニトロの化学的種類に属するものであるときは、この染料は発色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた少なくとも1個の不活性化基、または発色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有するものであり、この染料がトリアリールメタンの化学的種類に属するものであるときは、この染料はトリアリールメタン分子の中心炭素原子に対してオルトに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた不活性化基であるか、またはアルキル基およびアリール基から選ばれた弱活性化基である、少なくとも2個の基を有するものである、染料
を含む組成物。
【請求項2】
前記染料分子はさらに、水酸基およびアミノ基から選ばれた、少なくとも1個の助色団を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記染料は助色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた、少なくとも1個の不活性化基を有する請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はニトロ基である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はハライド基である請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はシアノ基である請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はカルボキシル基である請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記不活性化基はスルホン基である請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記染料は助色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有する請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記弱活性化基はアルキル基である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
助色団のオルトまたはパラに位置する前記弱活性化基はアリール基である請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記染料はアゾ染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記染料はトリアリールメタン染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記染料はチアジン染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記染料はニトロ染料である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルカリ性の脱色剤は過硫酸アンモニウムを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルカリ性の脱色剤はさらに過硫酸カリウムを含む請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
毛髪を同時に1段階で淡色化し、着色する方法であって、
過硫酸塩およびケイ酸塩および/または炭酸塩をベースとするアルカリ性の脱色剤粉末および適合する染料を含む組成物を提供し、過酸化水素溶液中で前記組成物を混合してクリームを生成し、前記クリームを毛髪に塗布して淡色化し、着色する段階を含み、
前記染料の分子が少なくとも1個の発色団を有し、前記発色団は(>C=C<)、(>C=N−)、(>C=O)、(−N=O)および(−N=N−)から成る不飽和化学基を含有するアリール環または複合構造から成るものであって、この染料は、アゾ、トリアリールメタン、チアジンおよびニトロの化学的種類に属する酸性および塩基性着色剤であり、そしてこの染料がアゾ、チアジンまたはニトロの化学的種類に属するものであるときは、この染料は発色団のオルトまたはパラに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基およびハライド基から選ばれた、少なくとも1個の不活性化基、または発色団のオルトまたはパラに位置する、アルキル基およびアリール基から選ばれた、少なくとも1個の弱活性化基を有するものであり、この染料がトリアリールメタンの化学的種類に属するものであるときは、この染料はトリアリールメタン分子の中心炭素原子に対してオルトに位置する、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン基、およびハライド基から選ばれた不活性化基であるか、またはアルキル基およびアリール基から選ばれた弱活性化基である、少なくとも2個の基を有するものである、
毛髪を同時に1段階で淡色化し、着色する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−186520(P2007−186520A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38943(P2007−38943)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−572978(P2002−572978)の分割
【原出願日】平成14年3月18日(2002.3.18)
【出願人】(503340715)ラヴァン、ガード、インク (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−572978(P2002−572978)の分割
【原出願日】平成14年3月18日(2002.3.18)
【出願人】(503340715)ラヴァン、ガード、インク (1)
【Fターム(参考)】
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