説明

腎疾患の予防及び治療のための方法及び組成物

本発明は、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を、腎疾患を予防又は治療するために或いは腎機能を改善するために十分な量で含んでなる、腎疾患を予防又は治療するための、そして腎機能を改善するための組成物、並びに腎疾患を予防及び治療するための或いは腎機能を改善するためのこのような組成物を、腎疾患に敏感な又はそれを病む、或いは腎機能に傷害がある動物に投与することを含んでなる方法を提供する。好ましい態様において、本組成物を一つ又はそれより多い食物成分と混合して、特に老年のイヌにおける腎疾患を予防又は治療するために、そして腎機能を改善するために有用な食物組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、その開示が、本明細書中に参考文献として援用される、2005年8月17日に出願された、米国特許仮出願60/709,071号への優先権を主張するものである。
【0002】
発明の背景
本発明は、一般的に腎疾患と戦い、そして腎機能を改善するための組成物及び方法に、そして特に腎疾患を予防及び治療するための、そして腎臓の機能を改善するための食物組成物の使用に関する。
【0003】
従来の技術の説明
好気性呼吸中の活性酸素種又はフリーラジカルの産生が、動物の加齢及び死を促進する酸化障害となることが1956年から推論されている(Beckman,K.,et al.,“The Free Radical Theory of Aging Matures,”Phys.Rev.,78:547−581(1998))。活性酸素種は、細胞のDNA(Cutler,R.,“Antioxidants and aging”, Am.J.Clin.Nutr.,53:373S−379S(1991)並びに脂質及びタンパク質(Tylicki,L.,et al.“Antioxidants:A Possible Role in Kidney Protection,”Kid.Bl.Press.Res.,26:303−314(2003))を直接損傷することを含む各種の機構によって加齢を起こす。好気性呼吸が起こるミトコンドリア中でしばしば産生されるフリーラジカルは、ミトコンドリアDNA、タンパク質、及び脂質を損傷する、例えば、米国特許出願公開US2003/0060503号。
【0004】
活性酸素種が、腎疾患を起こすことにおいて役割を演じることができることも更に推論されている(Ongajooth L.,et al.“Role of Lipid Peroxidation,Trace Elements and Antioxidant Enzymes in Chronic Renal Disease Patients,”J.Med.Assc.Thai.,79:791−800(1996))。この腎不全の増加を説明するために、いくつかの機構、例えばHasselwander,et al.“Oxidative Stress in Chronic Renal Failure,”Free Rad.Res.29:1−11(1998);Shah,S.,“The Role of Reactive Oxygen Metabolites in Glomerular Disease,”Annu.Rev.Physiol.,57:245−62(1995))が提案されているが、しかし今日までの科学的研究は、抗酸化物質治療が、腎疾患を持つものに対して利益があるか否かは決定的ではない。いくつかの研究は、各種の抗酸化物質の補充が、腎疾患のための保護における役割があることを示している、例えばKedziora−Kornatowska et al,“Effect of Vitamin E and Vitamin C Supplementation on Antioxidative State and Renal Glomerular Basement Membrane Thickness in Diabetic Kidney”,Nephron Exp.Nephrol.,95:el34−el43(2003)。他の研究は、抗酸化性栄養補助食品の潜在的な自動酸化促進特性を注記し、腎疾患を緩和するために抗酸化性栄養補助食品を推奨するための十分な実験的証拠が、いまだにないことを結論している、例えばTylicki。
【0005】
然しながら、腎疾患及び腎機能に関する多年の研究及び開発にも関わらず、腎疾患及び不良な腎機能は、主要な健康上の問題のままである。従って、腎疾患を予防及び治療するための、そして腎機能を改善するための新しい方法並びに組成物に対する必要性が存在する。
【0006】
発明の概要
従って、腎疾患を予防及び治療するための組成物並びに方法を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
腎機能を改善するための組成物及び方法を提供することが、本発明のもう一つの目的である。
老年の動物の腎疾患を予防及び治療するための、そして腎機能を改善するための方法を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0008】
腎疾患を予防及び治療するための食物組成物を提供することが、本発明のもう一つの目的である。
腎疾患を予防及び治療するために有用である組成物の組合せ並びに装置を含有するキットの形態の製造の物品を提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0009】
腎疾患によって起こされる罹病率及び死亡率を減少することが、本発明の更なる目的である。
これらの、そして他の目的は、腎疾患を予防又は治療するための、そして腎機能を改善するための新規な組成物及び方法を使用して達成される。本組成物は、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を、腎疾患を予防又は治療するために、或いは腎機能を改善するために十分な量で含んでなる。一つ又はそれより多い食物成分及び組成物を含んでなる食物組成物が好ましい。この方法は、このような組成物を、腎疾患に敏感な又はそれに罹患している動物に投与すること、又は組成物を腎機能の低下を、特に加齢による低下を体験しつつある動物に投与することを含んでなる。本組成物の構成成分(少なくとも二つの抗酸化物質及び/又はミトコンドリア補因子)及び一つ又はそれより多い所望による食物成分、並びに腎臓薬物を含んでなるキットも、更に提供される。
【0010】
本発明の他の、そして更なる目的、特徴及び利益は、当業者にとって容易に明白となるものである。
発明の詳細な説明
定義
用語“動物”は、腎疾患又は腎機能の低下が起こりつつある又はそれを病んでいる可能性のある(特に加齢による)、ヒト又は、鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒクリン(hicrine)、マウス、ヒツジ、及びブタの動物を含む他の動物を意味する。
【0011】
用語“腎臓薬物”は、腎疾患を予防又は治療するために有用ないずれもの化合物、組成物、又は薬物を意味する。
用語“組合せて”は、一つ又はそれより多い本発明の組成物及び化合物(例えば、腎臓薬物又は組成物の構成成分)が、(1)食物組成物と一緒に、又は(2)同一又は異なった頻度で、同一又は異なった投与経路を使用して、ほぼ同一時間に又は周期的に、別個に、動物に投与されることを意味する。“周期的に”は、具体的な組成物、食物組成物、及び化合物に対して受容可能な、組成物、食物組成物、及び化合物の投与計画で投与され、そして食物組成物が、特定の動物のために適当なように日常的に動物に投与又は給餌されることを意味する。“ほぼ同一時間”は、一般的に、組成物、組成物の構成成分、腎臓薬物、及び食物組成物が、同時に、又は約72時間内に互いに投与されることを意味する。これに関連して、具体的には、腎臓薬物が処方された期間で投与され、そして組成物が不定期に投与される投与スキームが含まれる。
【0012】
用語“伴侶動物”は、ペットとして、ヒトの飼い主によって飼われているいずれかの種の個々の動物、或いは個々の動物が、もっぱら又は部分的に伴侶として飼育されているか否かを問わず、イヌ(Canis familiaris)及びネコ(Felis domesticus)を含むペットとして広く飼いならされた各種の種のいずれかの個々の動物を意味する。
【0013】
用語“老年”は、動物のライフステージである。小型及び普通の飼育犬、並びにネコにおいて、“老年”段階は、約7歳で始まる。大型の飼育犬(成犬として50ポンド(22.7kg)より多い体重のイヌ)において、“老年”段階は約5歳で始まる。
【0014】
用語“腎機能を改善する”は、組成物を投与していない、又は方法を使用していない動物の腎機能との比較によって決定されるように、腎機能を改善するために有効な期間組成物が動物に投与されるか、又は方法が使用されることを意味する。
【0015】
用語“抗酸化物質”は、フリーラジカルと反応し、そしてそれを中和することが可能な物質を意味する。このような物質の例は、ベータ−カロテン、セレン、補酵素Q10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール、ダイズイソフラボン、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、N−アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンC、及びアルファ−リポ酸を含む。一つ又はそれより多い有用なレベルの抗酸化物質を含有する食物の例は、制約されるものではないが、イチョウ、緑茶、ブロッコリ、柑橘果肉、ブドウ絞り粕、トマト絞り粕、ニンジン、ほうれん草、及び各種の果実及び野菜料理を含む。
【0016】
本発明は、本明細書中に記載される特定の方法論、プロトコル、及び試薬に、これらが変更することができるために、制約されない。更に、本明細書中で使用される用語は、特定の態様を記載する目的のためのみのものであり、そして本発明の範囲を制約する意図はない。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数の表記は、文脈が明確に他に指示しない限り、複数への言及を含み、例えば“宿主細胞”は、複数のこのような宿主細胞を含む。
【0017】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語並びにいずれもの略語は、本発明の分野の当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと同様な又は等価ないずれもの方法及び物質を、本発明の実施において使用することができるが、好ましい方法、装置、及び物質は、本明細書中に記載されている。
【0018】
本明細書中で記述される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、本発明と共に使用することができる、その中に報告されている化合物及び方法論を記載し、そして開示する目的のために本明細書中に参考文献として、法律が許す範囲で援用される。然しながら、本明細書中の記載が、従来の発明によるこのような開示が先行するために、本発明に権利が与えられないことへの承認として解釈されるべきではない。
【0019】
本発明
一つの側面において、本発明は、腎疾患を予防及び治療するための、そして腎機能を改善するための組成物を提供する。本組成物は、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を、腎疾患を予防又は治療するために、或いは腎機能を改善するために十分な量で含んでなる。本発明は、特に老年の動物において、動物への本組成物の投与によって腎機能を変化させることができ、そして本組成物により腎機能を変化させることにより、腎疾患を予防又は治療することができ、そして腎機能を改善することができるという、新規な発見に基づいている。理論によって束縛されるものではないが、組成物が腎疾患の予防及び治療において有効である場合、これが、動物の酸化性ストレスを減少するためであると信じられる。
【0020】
本組成物は、少なくとも約100ppmの一つ又はそれより多い抗酸化物質及び/又は少なくとも約25ppmの一つ又はそれより多いミトコンドリア補因子を含んでなる。本組成物は、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子を、動物の健康に対して有害ではない量で、例えば、動物に好ましくない毒性の効果を起こさない量で含有する。ある態様において、本組成物は、抗酸化物質である少なくとも一つの成分及びミトコンドリア補因子である少なくとも一つの成分を含んでなる。
【0021】
本発明の組成物及び方法において使用するために適した抗酸化物質及びミトコンドリア補因子は、制約されるものではないが、ビタミンE、L−カルニチン、α−リポ酸、及びビタミンCを含む。ビタミンEは、制約されるものではないが、いずれものトコフェロール又はトコトリエノール化合物、そのいずれもの鏡像異性体又はラセミ体、及びビタミンE活性を有するこのような化合物のいずれもの混合物を含む、動物による消費のために適したいずれもの形態であることができる。ビタミンEは、異なった形態のいずれか一つ又は混合物、或いは動物による消化後にビタミンE活性を示す、酢酸、コハク酸、パルミチン酸ビタミンE等、を含むエステルのようなその各種の誘導体として投与することができる。L−カルニチンは、そのままで、或いは塩、例えば塩酸、フマル酸及びコハク酸塩、アセチル化カルニチン、等のような各種のカルニチンの誘導体のいずれかの形態で投与することができる。α−リポ酸は、そのまま、リポ酸誘導体、例えば米国特許第5,621,117号に記載されているように、又はそのラセミ混合物、塩、エステル又はアミドとして、投与することができる。一つの態様において、DL−α−リポ酸が使用される。ビタミンCは、アスコルビン酸、例えばL−アスコルビン酸として、又はリン酸カルシウム塩、コレステリル塩、及びアスコルビン酸−2−一リン酸のようなその各種の誘導体として投与することができる。ビタミンCの塩は、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩及び鉄塩を含む。エステルは、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸等の誘導体を含む。ビタミンC又はその誘導体は、いずれもの物理的形態、例えば、液体、半固体、固体又は動物による摂取後ビタミンC活性を示す熱に安定な形態であることができる。各種の態様において、組成物は、少なくとも二つ、少なくとも三つ、又は全ての四つのビタミンE、ビタミンC及びα−リポ酸を含んでなる。
【0022】
もう一つの側面において、本発明は、腎疾患を予防及び治療するための、及び/又は腎機能を改善するための食物組成物を提供する。食物組成物は、一つ又はそれより多い食物成分を、腎疾患を予防又は治療するために、或いは腎機能を改善するために十分な量の抗酸化物質及びミトコンドリア補因子と混合されて含んでなる。一般的に、食物組成物は、一つ又はそれより多い食物成分並びに少なくとも約100ppmの一つ又はそれより多い抗酸化物質及び/又は少なくとも約25ppmの一つ又はそれより多いミトコンドリア補因子を含んでなる。いくつかの態様において、食物組成物は、一つ又はそれより多い食物成分、並びに抗酸化物質及びミトコンドリア補因子を、少なくとも約500ppmのビタミンE、少なくとも約40ppmのビタミンC、少なくとも約100ppmのL−カルニチン、及び少なくとも約25ppmのα−リポ酸の量で含んでなる。好ましくは、本組成物は、一つ又はそれより多い食物成分、並びに約500ppmないし約1500ppmのビタミンE、約40ないし約150ppmのビタミンC、約125ないし約400ppmのL−カルニチン、及び約25ないし約200ppmのα−リポ酸を含んでなる。ネコの食物において、α−リポ酸の濃度は、存在する場合、少なくとも約25ppmである。イヌの食物の場合、α−リポ酸の濃度は、存在する場合、少なくとも約50ppmである。一つの態様において、食物組成物は、更に少なくとも約1重量%のトマト絞り粕、乾燥ほうれん草、乾燥ニンジン、乾燥柑橘果肉、及び乾燥ブドウ絞り粕の少なくとも一つを含んでなる。
【0023】
ある態様において、本食物組成物は、一つ又はそれより多い食物成分を、抗酸化物質である少なくとも一つの成分及びミトコンドリア補因子である少なくとも一つの成分と混合されて含んでなる。
【0024】
本発明において有用である食物成分は、動物による消費のために適したいずれもの食物成分を含む。典型的な食物成分は、制約されるものではないが、脂肪、炭水化物、タンパク質、繊維、栄養バランス剤(ビタミン、ミネラル、及び微量元素など)、並びにこれらの混合物を含む。当業者は、動物のための食事の要求、例えば、動物の種類、年齢、大きさ、体重、健康、及び役割に基づいて、典型的な食物のための食物成分の量及び種類を選択することができる。
【0025】
食物組成物の食物成分の部分は、いずれもの特定の食物成分を100%含むことができ、食物成分の混合物を各種の比率で含むこともできる。好ましい態様において、食物組成物は、約0%ないし約50%の脂肪、約0%ないし約75%の炭水化物、約0%ないし約95%のタンパク質、約0%ないし約40%の食物繊維、及び約0%ないし約15%の一つ又はそれより多い栄養バランス剤の量の食物成分の組合せを含んでなる。
【0026】
脂肪及び炭水化物の食物成分は、動物脂肪、魚油、植物油、肉、肉副産物、穀物、他の動物又は植物源、及びこれらの混合物のような各種の供給源から得られる。穀物は、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、及びコメを含む。
【0027】
タンパク質の食物成分は、植物、動物、又は両方のような各種の供給源から得られる。動物タンパク質は、肉、肉副産物、乳製品、及びタマゴを含む。肉は、家禽、魚、及びウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、等のような動物からの肉を含む。肉副産物は、肺、腎臓、脳、肝臓、胃、及び腸を含む。タンパク質の食物成分は、更に遊離アミノ酸及び/又はペプチドを含むこともできる。好ましくは、タンパク質の食物成分は、肉、肉副産物、乳製品、又はタマゴを含んでなる。
【0028】
繊維食物成分は、植物繊維源、例えばセルロース、ビート果肉、落花生外殻、及びダイズ繊維のような各種の供給源から得られる。
栄養バランス剤は、当業者にとって既知の各種の供給源、例えばビタミン及びミネラル栄養補助食品並びに食物成分から得られる。ビタミン及びミネラルは、欠乏症を回避し、そして健康を維持するために必要な量で含むことができる。これらの量は、当技術において容易に入手可能である。米国学術研究会議(NRC)は、農場動物のためのこのような栄養素の推奨量を与えている。例えば、Nutrient Requirements of Swine(10th Rev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1998),Nutrient Requirements of Poultry(9th Rev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1994),Nutrient Requirements of Horses(5th Rev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1989)を参照されたい。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌ及びネコのためのこのような栄養素の推奨量を与えている。American Feed Control Officials,Inc.,Official publication,pp.129−137(2004)を参照されたい。一般的に食物添加物として有用なビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシン、及びパントテン酸を含む。食物添加物として有用なミネラル及び微量元素は、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、塩化物、鉄、セレン、ヨウ素、及び鉄を含む。
【0029】
本組成物及び本食物組成物は、当業者にとって既知のビタミン、ミネラル、充填剤、嗜好性促進剤、結合剤、芳香剤、安定剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、緩衝液、塩、被覆剤、等のような添加成分を含有することができる。安定剤は、保存剤、共力剤(synergists)及び金属イオン捕捉剤、包装用ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、及び湿潤剤のような組成物の有効期間を増加する傾向がある物質を含む。乳化及び/又は増粘剤の例は、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエーテル、及び加工デンプンを含む。それぞれの組成物の構成成分、食物成分、及び他の成分の具体的な量は、特定の構成成分、及び組成物中に含まれる成分;動物の種類;動物の年齢、体重、一般的健康状態、性別、及び食事;動物の消費速度;治療されている腎疾患の種類;等のような各種の因子に依存するものである。従って、構成成分及び成分の量は、広く変化することができ、そして本明細書中に記載される好ましい比率から逸脱することができる。
【0030】
食物組成物は、当業者にとって既知の慣用的な食物調製法を使用して、缶詰された又は湿った形態で調製することができる。典型的には、粉砕された動物のタンパク質組織が、魚油、穀類子実、バランス成分、特別な目的の添加剤(例えば、ビタミン及びミネラル混合物、無機塩、セルロース及びビート果肉、充填剤、等)及び加工のために十分な量の水のような他の成分と混合される。これらの成分は、成分のブレンド中の加熱に適した容器中で混合される。混合物の加熱は、いずれかの適した方法、例えば直接水蒸気注入、又は熱交換器を備えた容器を使用して行われる。最後の成分の添加後、混合物を約10℃ないし約100℃(約50°Fないし約212°F)の温度に加熱する。これらの範囲外の温度は受容可能であるが、しかし他の加工補助を使用することなくては商業的に非実用的であるかもしれない。適当な温度に加熱された場合、物質は典型的には濃厚な液体の形態であるものである。濃厚な液体を缶に入れる。蓋をし、そして容器を気密的に密封する。次いで密封された缶を、内容物を滅菌するために設計された慣用的な機器に入れる。滅菌は、使用される温度及び組成物及び同様な因子に依存するが、通常約110℃(約230°F)より高い温度で適当な時間加熱することによって達成される。本発明の組成物は、調製の前、最中、又は後で食物組成物に加えることができる。
【0031】
食物組成物は、当業者にとって既知の慣用的な方法を使用して乾燥形態で調製することができる。典型的には、動物タンパク質、植物タンパク質、穀物、等のような乾燥成分を、粉砕し、そして一緒に混合する。次いで脂肪、油、動物タンパク質、水、等を含む水分又は液体成分を、乾燥混合物に加え、そして混合する。次いで混合物をキブル又は同様な乾燥断片に加工する。キブルは、しばしば乾燥及び湿潤成分の混合物を、高い圧力及び温度の機械的仕事にかけ、そして小さい開口部を通して押出し、そして回転ナイフでキブルに切断する押出法を使用して成形される。次いで湿ったキブルを乾燥し、そして所望により、例えば芳香剤、脂肪、油、粉末、等を含むことができる一つ又はそれより多い局所的な被覆剤で被覆する。キブルは、更に、押出しではなく、パン生地状物からベーキング法を使用して製造することもでき、ここにおいてパン生地状物は、乾燥−加熱加工の前に金型に入れられる。食物組成物は、米国特許第5,339,771号及び5,419,283号中に開示されているもののような、乾燥食物及び玩具のために先に記載したものと同様な、押出し又はベーキング法を使用したおやつの形態であることができる。本発明の組成物は、調製の前、最中、又は後に食物組成物に加えることができる。
【0032】
おやつは、例えば非食事時間中に、動物を食事に誘うために動物に与えられる組成物、例えばイヌのための骨型おもちゃを含む。おやつは、本組成物が一つ又はそれより多い栄養素を含んでなる栄養的なものであることができ、或いは、そして食物様組成物を有することができる。非栄養的おやつは、非毒性であるいずれもの他のおやつを包含する。組成物又は構成成分は、おやつ上に被覆されるか、おやつ中に組込まれるか又は両方である。本発明のおやつは、乾燥食物のために使用されたものと同様な押出し又はベーキング法によって調製することができる。組成物を既存のおやつの形態の外部に被覆するか、又は組成物を既存のおやつの形態に注入するかのいずれかのために、更に他の工程も使用することができる。
【0033】
本発明の組成物に対する全ての重量及び濃度は、全ての構成成分及び成分が混合された後の組成物の重量に基づく。
もう一つの側面において、本発明は、一つ又はそれより多い腎臓薬物を更に含んでなる本発明の組成物及び食物組成物を提供する。本発明において有用な腎臓薬物は、腎疾患と戦うために有用であることが当業者にとって既知であるいずれもの腎臓薬物である。好ましい薬物は、米国特許第(USPN)6,589,748号に記載されているもののようなリソソーム活性化化合物、USPN6,784,159号に記載されているもののようなトリテルペンサポニン、USPN6,599,876号及び米国特許出願第(USPAN)20020028762に記載されているもののようなアクチビン阻害剤、USPN6,492,325号に記載されているもののようなインテグリン受容体阻害剤及びTGF阻害剤、USPN6,458,767号に記載されているもののようなTGF活性化阻害剤、並びにUSPN5,723,441号に記載されているようなインスリン様成長因子(IGF)を含む。最も好ましい薬物は、変換酵素(ACE)阻害剤、アンドロゲン、エリスロポエチン(erythropoiten)、及びカルシトリオールを含む。アンジオテンシン及びエンドセリンは、進行性腎損傷に寄与する特異的腎臓内効果を持つ強力な全身性血管収縮剤である。これらの血管収縮剤の効果を緩和するために、各種の腎臓薬物が使用される。アンジオテンシン変換酵素阻害剤(エナラプリル−Enacard及びVasotec並びにベナゼプリル−Lotensin)は、蛋白尿症の重度の軽減及び腎不全の進行の緩徐を伴っている。ACE阻害剤エナラプリル(Enacard、Vasotec)は、糸球体及び全身性高血圧、蛋白尿症、並びに糸球体及び細尿管間質性病変を抑制する。アンジオテンシン遮断剤及びエンドセリン阻害剤は、腎疾患において有利な効果を有する。バソペプチド(vasopeptide)阻害剤は、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、及びブラジキニンの分解に関係する酵素である、ACE及び中性のエンドペプチダーゼの両方を阻害する薬剤である。これらの腎臓薬物は、アンジオテンシンIIの産生を減少し、そして血管拡張剤の集積を増加する。全身性高血圧を持つ腎疾患動物は、アムロジピン(Norvasc)のようなカルシウムチャンネル遮断剤に反応する。尿毒症性胃炎(食道炎、胃炎、胃潰瘍及び出血)は、H2受容体アンタゴニスト(シメチジン−Tagamet、ファモチジン−Pepcid)、プロトンポンプ遮断剤(オメプラゾール−Prilosec)、細胞保護剤(ミソプロストール−Cytotec)、及び嘔吐中心に影響する制吐剤(クロルプロマジン−Thrazine、ペルクロルペラジン−Compazine、メトクロプラミド−Reglan)で治療される。アンドロゲン又はタンパク質同化ステロイド(スタノゾール−Winstrol−V)は、慢性腎不全に伴う貧血の治療において使用される。組換えヒト(又は他の種類)エリスロポエチン(erythropoiten)(Epoetin alfa、Epogen、Procrit)を使用するホルモン置換療法は、腎不全に伴う重度の貧血の治療のために選択される。リン酸結合剤(水酸化アルミニウム−Amphojel、炭酸アルミニウム−Basaljel)は、高リン酸血症及び二次性腎性副甲状腺機能亢進症を制御するために使用される。カルシトリオール(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール)(Rocaltol)及びビタミンD類似体は、副甲状腺ホルモン(PTH)のカルシウム非依存性抑制を起こす。リン酸塩結合剤、カルシトリオール及び関連する化合物の投与は、慢性の腎不全におけるPTHによって起こされる多システム毒性を防止するために推奨されている。カリウム欠乏及び低カリウム血症は、慢性の腎不全を持つネコにおいて普通である。グルコン酸カリウム(Tumil K、RenaKare、Kolyum)又はクエン酸カリウムの形態のカリウムの経口補充が推奨される。全体論的な(ホリスティックな)腎臓薬物及び組成物も、更に本発明に含まれる。好ましい全体論的な(ホリスティックな)腎臓薬物は、クランベリー抽出物及びマンノースを含む。クランベリー抽出物は、腎機能の長期の低下に対する普通の危険因子である尿路感染症の罹患率を減少させると称される。腎臓薬物は、典型的な小分子医薬、小さいタンパク質、大分子タンパク質及び分子、並びに抗体を含み、そして更に腎疾患を予防するために設計されたワクチンを含む。抗体は、ポリクローナル及びモノクローナルな抗体、並びにFv、Fab、Fab’、F(ab’)2のような免疫グロブリンの断片、又は抗体と相互作用し、そして天然の抗体と同じ生物学的機能を行う、他の抗原結合抗体サブシークエンスを含む。腎臓薬物は、腎臓薬物のために適当ないずれかの方法を使用して、そして腎疾患を治療又は予防するために十分であることが当業者に知られている量で動物に投与される。
【0034】
更なる側面において、本発明は、腎疾患を予防及び治療するための、及び/又は腎機能を改善するための方法を提供する。一つの方法は、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を含んでなる、腎疾患を予防又は治療する量の組成物を、組合せて投与することを含んでなる。この方法は、加齢、生体異物又は病原体によって起こされる腎疾患に敏感な又はそれを病む動物に特に適用可能である。もう一つの側面において、本発明は、腎機能を改善する量の組成物を動物に投与することによって、腎機能を改良するための方法を提供する。この方法は、加齢による腎機能の低下を体験しつつある、加齢した及び老年の動物に特に適用可能である。本発明のこれらの側面を達成するための他の方法は、本組成物を、一つ又はそれより多い食物組成物を含んでなる食物組成物と組合わせて投与することを含んでなる。好ましい態様において、本組成物及び本食物成分は、本組成物及び本食物成分の混合物を含んでなる食物組成物中で投与される。好ましい態様において、動物は、ネコ又はイヌである。一つの態様において、動物は、作業用イヌ、齧歯類の制御のために飼育されている農場のネコ、ペットのイヌ、及びペットのネコのような伴侶動物である。もう一つの態様において、動物は、老年の動物である。ある態様において、この方法は、少なくとも一つの成分が抗酸化物質であり、そして少なくとも一つの成分がミトコンドリア補因子である組成物を、動物に投与することを含んでなる。この方法は、老年の又は他の動物の尿中のアルブミンの量を減少するために利益がある。尿中のアルブミンの中程度の増加、又は微量アルブミン尿は、腎臓の糸球体の疾病の初期の指標と考えられる。いずれかの特定の理論に束縛されるものではないが、上記の利益が、抗酸化物質及び/又はミトコンドリア補因子の動物の食事、特に老年の動物の食事への添加の生理学的な効果から得られ、そしてこれらの効果が、毒性のフリーラジカルの産生、及びこれによって起こされる損傷の軽減に関係していることが信じられる。この方法は、腎機能の年齢に関連した低下を遅延、抑止又は逆転する。このような効果は、腎機能を改善すると考えられる。
【0035】
一つの態様において、この方法は、少なくとも約500ppm、例えば約500ないし約1500ppmのビタミンE;少なくとも約100ppm、例えば約125ないし約400ppmのL−カルニチン;少なくとも約25ppm、例えば約25ないし約200ppmのα−リポ酸;そして少なくとも約40ppm、例えば約40ないし約150ppmのビタミンCを含んでなる食物組成物を、動物に、特に老年の動物に投与することを含んでなる。このような組成物は、所望により更に、少なくとも約1重量%のトマト絞り粕、乾燥ほうれん草、乾燥ニンジン、乾燥柑橘果肉、及び乾燥ブドウ絞り粕の少なくとも一つを含んでなる。
【0036】
本組成物は、いずれもの適した方法を使用して、好ましくは動物に組成物を給餌することによって動物に投与される。
この方法は、本組成物を各種の形態で動物に投与することによって達成される。例えば、一つ又はそれより多い組成物の構成成分及び食物成分は、別個の容器中にあり、そして投与の直前に混合される。一つの態様において、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子を、一つの容器中で混合し、そして得られた組成物を、投与の直前に食物成分と、例えば組成物を食物成分中で撹拌するか、又は組成物をその上に散布することによって混合する。もう一つのものにおいて、一つ又はそれより多い組成物の構成成分を、製造中に食物成分と混合し、そして残りの組成物の構成成分をこのような食物成分と、投与の直前に混合する。更なるものにおいて、本組成物は、投与の前に食物成分に適用される振掛け製剤(好ましくはビタミン及びミネラルを含有する)の構成成分である。もう一つのものにおいて、本組成物は、一つ又はそれより多い食物成分と混合され、そしてこのような混合物は、投与の前に他の食物成分と混合される。更なるものにおいて、本組成物は、製造過程中に、又は食物組成物が製造された後に食物成分上に被覆される。もう一つのものにおいて、本組成物は経口的に投与され、そして食物組成物は、動物に給餌される。
【0037】
本組成物は、経口投与のためのいずれもの適した形態、例えば錠剤、丸薬、懸濁液、溶液(恐らく飲用水と混合され)、乳液、カプセル、粉末、シロップ及び美味な食物組成物(ヒトのための菓子又は動物のためのおやつ若しくは香り付きおやつ)を使用して経口的に投与される。好ましい態様において、本組成物の構成成分及び本食物成分は、動物による消費のための食物の形態の投与のために適した食物組成物を調製するために使用される製造過程中に混合される。
【0038】
更なる方法は、本発明の組成物又は食物組成物を、一つ又はそれより多い腎臓薬物と組合わせて投与することを含んでなる。典型的には、健康管理の専門家、例えば医師及び獣医師は、動物の腎疾患を診断し、そして疾患を治療するために、腎臓薬物(動物の腎疾患を予防又は治療するために有用ないずれかの薬物)を処方する。動物は、症状が治まり、そして疾病が治癒したと考えられるまで、腎臓薬物が投与される。一般的に、腎臓薬物は、疾病が治癒したと考えられた後には、投与されない。腎臓薬物の投与は、動物が腎疾患の再発を有した場合にのみ再開される。本発明において、本組成物及び腎臓薬物は、治療中組合わせて動物に投与される。腎臓薬物の投与の停止後、本組成物は、疾病の再発の予防のために動物に投与される。もう一つの態様において、本組成物は、腎臓薬物の使用が停止された後にのみ、疾病の再発を予防するために動物に投与される。
【0039】
腎機能を評価するいずれもの適した診断方法を、改善が起こったか否かを決定するために使用することができる。一つの態様において、腎機能は、組織又は生体流体中の一つ又はそれより多い生物マーカーのレベル(諸レベル)によって評価される。本明細書中の特に有用な診断方法は、尿中のアルブミン含有量の測定を含んでなる。尿中の上昇したアルブミンのレベル、特に微量アルブミン尿として知られる、僅かにないし中程度に上昇したレベルは、例えば初発性腎疾患において起こるような腎機能の低下の指標である。
【0040】
更なる側面において、本発明は、腎疾患を予防又は治療する量の組成物、或いは腎機能を改善する量の組成物を動物に投与するための、単一包装中の別個の容器中の抗酸化物質及びミトコンドリア補因子を含んでなる群から選択される少なくとも一つの成分、並びに抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも一つの異なった成分を含んでなるキットを提供する。
【0041】
一つの態様において、本キットは、更に別個の包装中の一つ又はそれより多い食物成分を含んでなる。この態様において、本組成物又は個々の組成物の構成成分は、食物成分と、得られた混合物を動物に投与する直前に混合される。一般的に、本キットは、少なくとも約100ppmの一つ若しくはそれより多い抗酸化物質及び/又は少なくとも25ppmの一つ若しくはそれより多いミトコンドリア補因子を、本組成物の構成成分を動物に供給するために十分な量で含有する。一つの態様において、本キットは、少なくとも約500ppmのビタミンE、少なくとも約40ppmのビタミンC、少なくとも約100ppmのL−カルニチン、及び少なくとも約25ppmのα−リポ酸を含有する。
【0042】
他の態様において、本キットは、更に、別個の包装中の一つ又はそれより多い腎臓薬物を含んでなる。
他の態様において、本キットは、更に、別個の包装中の、動物の腎機能を測定し、そして腎疾患の存在及び重度を評価するための一つ又はそれより多い腎臓診断装置を含んでなる。本発明において有用な腎臓診断装置は、動物の腎機能を測定し、そして腎疾患の存在及び重篤度を評価するために適したいずれかの装置を含む。好ましい診断方法は、血清尿素窒素(SUN)、クレアチニンレベル、尿比重、及びDNA損傷を含み、それはUSPN6,589,748号、USPN6,447,989号及びUSPAN20050026225に記載されているもののようなアルブミンに対する尿分析、並びにコメットトレイルアッセイを含む。診断方法は、(1)上昇した血液尿素窒素濃度、上昇した血清クレアチニン濃度、高リン酸血症、高カリウム血症又は低カリウム血症、代謝性アシドーシス及び低アルブミン血症のような血液マーカー、(2)尿濃縮能障害、蛋白尿、円柱尿(cylinduria)、腎性血尿、不適当な尿pH、不適当な尿糖濃度、及びシスチン尿のような尿マーカー、(3)大きさ、形状、位置及び密度のような物理的、画像的、及び診断的マーカー、(4)WO2004113570A2中に開示されているものなどの一塩基遺伝子多形(SNP)、(5)腎疾患の指標である遺伝子プロフィール、(6)腎疾患の指標であるプロテオミクスプロフィール、及び(7)腎疾患の指標である代謝性プロフィールを含む既知の技術に基づいている。これらの方法に基づくこれらの診断方法及び装置(例えば、試験紙、ELISAアッセイ、コメットアッセイ)は、科学者及び健康管理専門家のような当業者にとって普通に入手可能であり、そして多くは、例えば、尿中の小量のアルブミン(“微量アルブミン尿”)を検出するヘスカ社の(フォルトコリンズ シプロラド)E.R.D.−HealthScreen尿試験は、消費者にとって入手可能である。
【0043】
他の態様において、キットは、更に本発明の組成物及び方法の使用が、腎疾患を予防又は治療し、或いは腎機能を改善するものであることの情報を含んでなる。
本発明のキットは、組成物、組成物の構成成分、食物組成物、食物成分、腎臓薬物、及び腎臓診断装置を、各種の組合せのいずれかで含有する。例えば、一つのキットは、一つ又はそれより多い食物成分及び本組成物の混合物を含んでなる食物組成物を、腎臓診断装置又は腎臓薬物、或いは両方と組合せて含んでなる。もう一つのキットは、別個の包装中の組成物の構成成分、及び一つ又はそれより多い別個の包装中の一つ又はそれより多い食物成分を、別個の包装中の腎臓薬物又は腎臓診断装置を伴って、或いは伴わずに含有する。多くのこのような組合せは、当業者によって構築することができる。
【0044】
もう一つの側面において、本発明は、一つ又はそれより多い組成物、組成物の構成成分、食物組成物、食物成分、及び腎臓薬物を混合し、そして投与するための情報又は指示、並びに本発明の腎臓診断装置を使用するための情報又は指示を伝達するための手段を提供する。伝達手段は、情報又は指示を含有する文書、デジタル記憶媒体、光記憶媒体、音声提示、或いは視覚表示を含んでなる。好ましくは、伝達方法は、このような情報又は指示を含有する、表示されたウェブサイト又はパンフレット、製品ラベル、包装挿入物、広告、或いは視覚表示である。有用な情報は、(1)組成物、組成物の構成成分、食物組成物、食物成分、及び腎臓薬物を混合し、そして投与するための方法及び技術、(2)腎臓診断装置を使用するための情報、(3)もしあれば、本発明を他の薬物と組合わせて使用することによって起こる副作用の詳細、及び(4)彼等が、本発明及びその使用について質問がある場合に使用するための動物のための連絡先の情報、の一つ又はそれより多くを含む。有用な指示は、用量、投与量及び頻度、並びに投与経路を含む。伝達手段は、本発明を使用する利益を動物に指導し、そして動物に本発明を投与するための認可された方法を伝達するために有用である。
【0045】
本組成物、本方法、及び本キットは、腎疾患に敏感な、又はそれを病む動物の罹病率及び死亡率を減少するため、そして腎機能の改善のために、特に加齢した、そして老年の動物のために有用である。
【0046】
実施例
本発明は、その好ましい態様の以下の実施例によって更に例示することができるが、しかし、これらの実施例が、例示の目的のためのみに含まれ、そして他に具体的に示されない限り、本発明の範囲を制約することを意図していないことは理解されるものである。
【0047】
実施例1
全てが8歳より上の48匹の老年犬から得た尿の試料を、まずヘスカ社、フォルトコリンズ社から商業的に入手可能な微量アルブミン尿試験キットを使用してアルブミン含有量について分析した。次いでイヌを、それぞれ24匹のイヌを有する対照群及び試験群の二つの群に分けた。対照群に、最低1年間、成犬のための栄養摂取のためのアメリカ飼料検査官協会(AAFCO)の推奨に合致して処方された食物をその唯一の栄養源として給餌した。試験群に、最低1年間、強化された、しかし他の面では実質的に同一の、ビタミンE、ビタミンC、L−カルニチン及びDL−α−リポ酸のレベルが強化された食物を給餌した。更に、強化された食物は、1%のトマト絞り粕、1%の乾燥ほうれん草、1%の乾燥ニンジン、1%の乾燥柑橘果肉及び1%の乾燥ブドウ絞り粕を含有していた。対照及び強化食物の成分は、表1に記載された点を除き同一であった。強化食物中のトマト絞り粕、乾燥ほうれん草、乾燥ニンジン、乾燥柑橘果肉及び乾燥ブドウ絞り粕で、対照食物中のトウモロコシを置換えた。
【0048】
【表1】

【0049】
少なくとも1年後、尿の試料をそれぞれのイヌから採取し、そしてアルブミンについて試験した。対照群の一匹のイヌを研究の経過観察中に失った。検体が少なくとも1年後に入手可能でない場合、次の利用可能な検体をその時点の前(イヌが1年より前に死亡した場合)又は後(6ヶ月より多くない間隔)のいずれかに採用した。
【0050】
Heska微量アルブミン尿アッセイは、尿中の非常に低い濃度のアルブミンの存在を試験し、そして、先に記述したように、微量アルブミン尿は、腎臓糸球体疾患の初期の表示であると考えられる。結果を、色尺度に対する分類(なし、僅か、中程度、重度)で読取った。
【0051】
増加したレベルの抗酸化物質又はミトコンドリア補因子を含まない対照食物で給餌されたイヌは、腎性の微量アルブミン尿について、試験食物で給餌されたイヌより悪い可能性があった。対照群の23匹中では全部で9匹のイヌの、しかし試験群の24匹では5匹のイヌだけ重篤度が悪化した。更に試験群の3匹のイヌは、実際に重篤度の減少を示し、一方対照群の1匹のイヌのみがこのような減少を示した。
【0052】
更に、表2に示すように、McNemar検定を使用して分析した場合、試験前に正常な範囲であった対照動物の完全に50%が、試験後の試験では非正常範囲とされた。試験群において、試験前の試験では正常範囲とされたイヌの23%のみが、試験後の試験では非正常範囲とされた。
【0053】
【表2】

【0054】
本明細書において、本発明の典型的な好ましい態様が開示され、そして具体的な用語が使用されているが、これらは、一般的な、そして説明的な意味のみで使用され、そして制約の目的のためではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲において記載されている。明らかに本発明の多くの改変及び変更は、上記の教示に照らして可能である。従って、特許請求の範囲の範囲内で、具体的に記載されたとおり以外の方法で本発明を実行することができることは理解されることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を、腎疾患を予防又は治療するために、又は腎機能を改善するために十分な量で含んでなる組成物。
【請求項2】
ビタミンE、L−カルニチン、α−リポ酸、及びビタミンCを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも約500ppmのビタミンE、少なくとも約100ppmのL−カルニチン、少なくとも約25ppmのα−リポ酸、及び少なくとも約40ppmのビタミンCを含んでなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
更に、一つ又はそれより多い食物成分を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記食物成分が、脂肪、炭水化物、タンパク質、繊維、栄養バランス剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物を含んでなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの成分が抗酸化物質であり、そして少なくとも一つの成分がミトコンドリア補因子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
腎疾患を予防又は治療する量の、或いは腎機能を改善する量の、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも二つの成分を、動物に投与することを含んでなる、腎疾患を予防又は治療するための、或いは腎機能を改善するための方法。
【請求項10】
前記成分が、ビタミンE、L−カルニチン、α−リポ酸、及びビタミンCを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記成分が、少なくとも約500ppmのビタミンE、少なくとも約100ppmのL−カルニチン、少なくとも約25ppmのα−リポ酸、及び少なくとも約40ppmのビタミンCを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物と組合せて、前記組成物を動物に投与することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
更に、一つ又はそれより多い食物成分と組合せて、前記組成物を動物に投与することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記食物成分並びに抗酸化物質及び/又はミトコンドリア補因子が、食物成分並びに抗酸化物質及び/又はミトコンドリア補因子の混合物を含んでなる食物組成物中で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物と組合せて、前記組成物を動物に投与することを含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、混合物を動物に給餌する直前に食物成分と混合される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、食物組成物を調製するために使用される製造過程中に食物成分と混合される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記食物成分が、脂肪、炭水化物、タンパク質、繊維、栄養バランス剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記動物が、老年の動物である、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記動物が、ネコ又はイヌである、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも一つの成分が抗酸化物質であり、そして少なくとも一つの成分がミトコンドリア補因子である、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
単一の包装中の別個の容器中に、抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも一つの成分、並びに抗酸化物質及びミトコンドリア補因子からなる群から選択される少なくとも一つの異なった成分を、腎疾患を予防又は治療するために、或いは腎機能を改善するために十分な量で含んでなる、腎疾患を予防又は治療する量の組成物、或いは腎機能を改善する量の組成物を動物に投与するためのキット。
【請求項23】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物を含んでなる、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
更に、動物の腎機能を測定し、そして腎疾患の存在及び重篤度を評価するための一つ又はそれより多い腎臓診断装置を含んでなる、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
更に、一つ又はそれより多い食物成分を含んでなる、請求項22に記載のキット。
【請求項26】
更に、一つ又はそれより多い腎臓薬物を含んでなる、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
更に、動物の腎機能を測定し、そして腎疾患の存在及び重篤度を評価するための一つ又はそれより多い腎臓診断装置を含んでなる、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
更に、組成物の使用が、腎疾患を予防又は治療するものであることの情報を含んでなる、請求項22に記載のキット。
【請求項29】
少なくとも一つの成分が抗酸化物質であり、そして少なくとも一つの異なった成分がミトコンドリア補因子である、請求項22に記載のキット。
【請求項30】
一つ又はそれより多い組成物、組成物の構成成分、食物組成物、食物成分、及び腎臓薬物を混合し、そして投与するための、並びに本発明の腎臓診断装置を使用するための情報又は指示を伝達するための手段であって、該情報又は指示を含有する文書、デジタル記憶媒体、光記憶媒体、音声提示、又は視覚表示を含んでなる上記手段。
【請求項31】
表示されたウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、包装挿入物、広告、又は視覚表示からなる群から選択される、請求項30に記載の手段。

【公表番号】特表2009−504766(P2009−504766A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527133(P2008−527133)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032126
【国際公開番号】WO2007/022344
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】