説明

腎疾患の治療のための組成物及び方法

本発明は、タンパク尿及び/又は高血圧(例えば、原発性腎疾患に起因するかもしくは他の状態(例えば、糖尿病、糖尿病性腎症、肝疾患)に続発するタンパク尿及び/又は高血圧)を有する対象を治療するための方法、組成物、及びキットに関する。具体的には、本発明は、インドリン(例えば、インダパミド)が抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与される併用療法を伴う方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/211,051号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、タンパク尿及び/又は高血圧(例えば、原発性腎疾患に起因するかもしくは他の状態(例えば、糖尿病、糖尿病性腎症、肝疾患)に続発するタンパク尿及び/又は高血圧)を有する対象を治療するための方法、組成物、及びキットに関する。具体的には、本発明は、インドリン(例えば、インダパミド)が抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与される併用療法を伴う方法に関する。
【背景技術】
【0003】
真性糖尿病は、眼疾患、腎疾患、神経疾患、及び心血管疾患の発症におけるその役割のために、米国における疾病率及び死亡率の主要な要因の1つである。これらの合併症、特に心血管疾患(医療保険支出の約50〜75%)は、真性糖尿病患者にとっての主な出費及び苦痛の原因である。糖尿病の人の約3分の2は、心臓病又は心臓発作が原因で死亡する。糖尿病の男性は2倍高い冠動脈性心疾患の危険に直面しており、また、女性は3〜4倍高い危険性を有している。1994年には、米国の医療費の7分の1が真性糖尿病患者に費やされた。2002年の米国での糖尿病による直接的な医療費の推定額は920億ドルであり、間接的な費用に対してさらに400億ドルかかった。メディケアの資金の約20%が糖尿病患者に費やされている。
【0004】
糖尿病性腎症は、全糖尿病患者の約20〜40%を侵し(American Diabetes Association(2009) Diabetes Care 32:S13−S61;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、透析が必要になる、米国における末期腎疾患(ESRD)の唯一最大の原因である。糖尿病性腎症を発症する危険性は、高血糖の累積的持続期間及び重症度(Wingard et al.(1993) Diabetes Care 16:1022−1025;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ならびに通常真性糖尿病に伴う高血圧の累積的持続期間及び重症度(Raile et al.(2007) Diabetes Care 30:2523−2528;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に直接関係するが、年齢や遺伝的バックグラウンドなどの他の修飾可能でない危険因子もその危険性に影響を及ぼす。このため、アフリカ系アメリカ人の家系の個人は、その高血圧の有病率と重症度の不釣り合いなほどの高さのために、特に高い危険性に曝されている(Lopes et al.(2004) J.Clin.Hypertens.5:393−401;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。高血糖と血圧上昇(BP)の両方の集中的なコントロールは、糖尿病性腎症の発症と重症度を低減させることが明確に示されている。1型糖尿病の個人を対象とした極めて重要な糖尿病合併症及び対照試験(DCCT)(N.Engl.J.Med.(1993) 329:977−986;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)ならびに2型糖尿病の個人を対象とした英国前向き糖尿病研究(UKPDS)(Lancet(1998) 352:837−853;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって、糖尿病性腎症の発症及び悪化を遅延させるための集中的な血糖コントロールの利益が明確に立証された。UKPDSのデータによって、腎症をはじめとする糖尿病合併症の進行を遅延させる上での集中的なBPコントロールの利益も明確に立証された(BMJ(1998) 317:703−713;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0005】
原発性腎疾患による腎損傷と同様に、糖尿病における腎損傷は、糸球体起源のタンパク尿を伴う。腎臓の尿細管は、血漿タンパク質が糸球体濾過障壁を通過するときに、そのようなタンパク質を再吸収することによって、血漿タンパク質を保持する。正常な尿タンパク質排泄は、最大150mg/dである。それゆえに、尿中の異常な量又は種類のタンパク質の検出は、重大な腎疾患又は全身性疾患の初期兆候と考えられる。タンパク尿が起こった場合、これは、サイトカインの放出、腎尿細管間質の炎症、及び進行性線維症によってさらなる腎損傷を引き起こすことがある。糖尿病性腎症は、米国におけるタンパク尿の主な原因であるが、タンパク尿は、タンパク質再吸収に影響を及ぼすか又は糸球体障壁に影響を及ぼす多くの他の疾患状態(例えば、増殖性糸球体腎炎(例えば、免疫グロブリンA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、抗GBM疾患、腎血管炎、ループス腎炎、クリオグロブリン血症関連糸球体腎炎、細菌性心内膜炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、感染後糸球体腎炎、C型肝炎)、及び非増殖性糸球体腎炎(例えば、膜性糸球体腎炎、微小変化型疾患、原発性巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、線維性糸球体腎炎、イムノタクトイド糸球体腎炎、アミロイド症、高血圧性腎硬化症、多発性骨髄腫が原因の軽鎖病、二次性巣状糸球体硬化症))でも起こる。さらに、肥満や高血圧性腎硬化症などの状態は、糸球体過剰濾過を引き起こし、タンパク尿をもたらすことがある。
【0006】
原発性腎疾患及び糖尿病などの状態に続発する腎障害で起こるタンパク尿を治療するための薬理学的レジメンの改良が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タンパク尿及び/又は高血圧[例えば、原発性腎疾患(例えば、巣状分節状糸球体硬化症、糸球体疾患)に起因するか又は他の状態(例えば、糖尿病、糖尿病性腎症、肝硬変、肝疾患)に続発するタンパク尿及び/又は高血圧]を有する対象を治療するための方法、組成物、及びキットに関する。具体的には、本発明は、インドリン(例えば、インダパミド)が抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与される併用療法を伴う方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、タンパク尿及び/又は高血圧を患っているかあるいはその危険に曝されている患者における用途を見出す。
【0008】
タンパク尿を患っているか又はその危険性に曝されている患者における腎保護は、さらなる腎臓損傷を予防するために極めて重要である。同様に、高血圧のコントロールもまた、さらなるタンパク尿やそれに伴う腎臓損傷を予防するために必要である。しかしながら、腎保護及び/又は高血圧の治療に現在利用可能な治療剤の多くは、単独で使用されるものであれ、組み合わせて使用されるものであれ、限られた腎保護しかもたらさない(特に、長期間にわたって、例えば、単一のACE阻害剤もしくは「アルドステロンエスケープ」のために効き目が悪くなるARB剤)か、又は電解質平衡失調などの他の危険な副作用の危険を伴うかのいずれかである。本発明のいくつかの実施形態を開発する過程において行なわれた研究によって、電解質平衡失調又は心不整脈などの望ましくない副作用の危険性が低く、予想外に相乗的な腎保護(例えば、抗タンパク尿)作用をもたらす併用療法が同定された。
【0009】
特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、耐糖能異常、インスリン感受性異常、インスリン産生異常を伴う糖尿病又は糖尿病関連状態の対象の治療における用途を見出す。このような状態及び疾患状態としては、限定するものではないが、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、及び栄養不良関連真性糖尿病が挙げられる。医療分野の当業者であれば、このような対象が腎疾患やタンパク尿の高い危険に曝されていること、ならびにこのような対象が本発明の腎保護併用療法、組成物、方法、及びキットの実施形態から利益を見出すことを理解する。
【0010】
特定の実施形態では、本発明の方法は、限定するものではないが、体液貯留、ナトリウム貯留、及び高血圧(高い血圧)をはじめとする状態又は生理的状態の治療における用途を見出す。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明の併用療法、組成物、方法、及びキットは、限定するものではないが、糖尿病ならびに糖尿病関連疾患(例えば、インスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、及び栄養不良関連真性糖尿病)、糖尿病性腎症、腎症、糸球体疾患、肝疾患、腎疾患、膜性糸球体腎炎、重症心不全、睡眠時無呼吸、ネフローゼ症候群、薬物誘導性腎症、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群、急性溶連菌感染後性糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症とも呼ばれる)、肥満、ならびに微小変化型疾患(MCD)をはじめとする、タンパク尿の原因となるか又はタンパク尿と関連する疾患又は状態を有する対象の治療における用途を見出す。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、タンパク尿について対象を検査し、その後、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象に抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法を投与して、その後、タンパク尿について対象を検査し、その後、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法を投与し、その後、タンパク尿について2回目の検査を行なうことを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、タンパク尿について対象を検査し、その後、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法を投与し、その後、タンパク尿について2回目の検査を行ない、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法の2回目の投与を行なうことを含み、この2回目の投与は、事前の検査結果に依存する形で、用量、持続時間、頻度、又は投与経路が変更される。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、糖尿病ならびに糖尿病関連疾患(例えば、インスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、及び栄養不良関連真性糖尿病)、糖尿病性腎症、腎症、糸球体疾患、肝疾患、腎疾患、膜性糸球体腎炎、重症心不全、睡眠時無呼吸、ネフローゼ症候群、薬物誘導性腎症、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群、急性溶連菌感染後性糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症とも呼ばれる)、肥満、ならびに微小変化型疾患(MCD)などの状態を治療するための医薬品の製造における抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法の使用を含む。
【0014】
本発明の方法は、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法の投与量、製剤、投与経路、又は一時的な投与レジメンによって限定されない。いくつかの実施形態では、インドリン剤(例えば、インダパミド)の投薬量は、1日当たり約0.25mgから最大約2,000mgの範囲であり、疾患標的、患者、及び投与経路によって必然的にバリエーションが生じる。いくつかの実施形態では、投薬は、約0.05mg/日から約20mg/日の範囲で、より好ましくは約0.05mg/日から約5mg/日の範囲で、最も好ましくは1日当たり約0.05mg/kg体重から約0.2mg/kg体重の範囲で経口投与される。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤の投薬量は、1日当たり約2mgから最大約2,000mgの範囲であり、疾患標的、患者、及び投与経路によって必然的にバリエーションが生じる。いくつかの実施形態では、投薬は、約0.05mg/日から約500mg/日の範囲で、より好ましくは約0.05mg/日から約250mg/日の範囲で、最も好ましくは1日当たり約0.05mg/kg体重から約0.2mg/kg体重の範囲で経口投与される。投与経路としては、限定するものではないが、経口、局所、及び非経口(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、髄腔内、動脈内、鼻腔内、又は肺投与)が挙げられる。好ましい実施形態では、投与は経口である。本発明は、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与されるインドリン(例えば、インダパミド)を含む併用療法の投与の一時的な態様によって限定されない。インドリン剤(例えば、インダパミド)ならびに抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)は、同時に又は投与の順序に関係なく順次投与し得る。併用療法は、1日に1回から50回、又はそれより低い頻度(例えば、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、5日おき、1週間に1回、1カ月に1回、3カ月に1回)で投与し得る。併用療法は、1日間、1週間、1カ月間、1年間、10年間、又は10年よりも長い間、継続し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、各々1つの種類からなる多数の送達ビヒクル(例えば、各々、1つの送達ビヒクル当たり1つの化合物を含む、2種類以上の送達ビヒクル(例えば、丸薬、カプセル剤、錠剤))を用いて組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、単一の送達ビヒクル(例えば、丸薬、カプセル剤、錠剤)中に2種以上の薬剤[例えば、インドリン剤(例えば、インダパミド)及び抗アルドステロン剤]を含む単一の送達ビヒクルを用いて組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、他の治療剤(例えば、他の活性降圧薬(例えば、1以上のβ遮断薬)とさらに組み合わせて単一の送達ビヒクル(例えば、丸薬、錠剤、カプセル剤)中で組み合わせて投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明の併用療法、組成物、方法、及びキットは、タンパク尿及び/又は高血圧を示し、それらが1以上の他の治療[例えば、インドリン(例えば、インダパミド)や本発明の抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)以外の薬剤による治療]による事前の又は継続的な治療にもかかわらず、コントロール不良の状態である患者に使用される。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法、組成物、方法、及びキットは、患者の亜集団(例えば、少数民族及び多数集団(例えば、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アジア人、アメリカ先住民、複数の民族からなる少数集団、地理的祖先で区別される集団、文化、食習慣、気候、環境曝露などで区別される集団))における用途を見出す。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法、組成物、方法、及びキットが用途を見出す患者の亜集団は、共通した地理的祖先を示す一般的なバイオマーカーに基づいて同定される。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、インドリンはインダパミドである。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤は、アルドステロン受容体遮断薬又はアルドステロン合成の阻害剤(例えば、FAD286)などの薬剤である。いくつかの実施形態では、アルドステロン受容体遮断薬は、スピロノラクトン又はエプレレノンなどの薬剤である。いくつかの実施形態では、インドリン及び抗アルドステロン剤を単一の送達ビヒクル中での同時投与用に製剤化する。いくつかの実施形態では、単一の送達ビヒクル(vehicle)を経口投与用に製剤化する。
【0017】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるタンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、又は高血糖症などの状態を治療又は予防するための方法であって、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、インドリンと抗アルドステロン剤は、別々の組成物として投与される。いくつかの実施形態では、インドリンと抗アルドステロン剤は、単一の組成物として投与される。いくつかの実施形態では、インドリンはインダパミドである。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤は、アルドステロン受容体遮断薬又はアルドステロン合成の阻害剤などの薬剤である。いくつかの実施形態では、アルドステロン受容体遮断薬は、スピロノラクトン又はエプレレノンなどの薬剤である。いくつかの実施形態では、インドリンと抗アルドステロン剤は、単一の送達剤中での同時投与用に製剤化される。
【0018】
特定の実施形態では、本発明は、インスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、栄養不良関連真性糖尿病、糖尿病性腎症、腎症、糸球体疾患、肝疾患、腎疾患、膜性糸球体腎炎、重症心不全、ネフローゼ症候群、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群,急性溶連球菌感染後糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症)、肥満、微小変化型疾患(MCD)、心不全、高血圧、肝不全、急性腎不全、慢性腎疾患、鬱血性心不全、タンパク尿腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、アミロイド症、及び/又は薬物誘導性腎疾患などの疾患を有する対象を治療する方法であって、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、インドリンはインダパミドである。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤は、アルドステロン受容体遮断薬又はアルドステロン合成の阻害剤などの薬剤である。いくつかの実施形態では、アルドステロン受容体遮断薬は、スピロノラクトン又はエプレレノンなどの薬剤である。いくつかの実施形態では、インドリンと抗アルドステロン剤は、単一の送達剤中での同時投与用に製剤化される。
【0019】
特定の実施形態では、本発明は、血清カリウムレベルの恒常性、血清尿酸レベルの恒常性、正常な心室リズム、及び/又は正常なQT間隔などの対象における状態を促進する方法であって、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、インドリンはインダパミドであり、かつ抗アルドステロン剤は、アルドステロン受容体遮断薬又はアルドステロン合成の阻害剤などの薬剤である。いくつかの実施形態では、本方法は、タンパク尿の予防もしくは低下、ナトリウム利尿の促進、及び/又は高血圧の予防もしくは軽減などの機能を有する薬剤の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、この薬剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗レニン剤、エンドセリン拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬及び/又は抗炎症薬などの薬剤である。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるタンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、又は高血糖症などの状態を治療するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用を提供する。
【0021】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるタンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、又は高血糖症などの状態を治療又は予防するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用であって、タンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、もしくは高血糖症などの状態を患っているか、又はそのような状態の危険に曝されている対象を用意することと、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法を提供することと、タンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、又は高血糖症などの状態に関連する利益を測定することとを含む使用を提供する。
【0022】
特定の実施形態では、本発明は、インスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、栄養不良関連真性糖尿病、糖尿病性腎症、腎症、糸球体疾患、肝疾患、腎疾患、膜性糸球体腎炎、重症心不全、ネフローゼ症候群、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群、急性溶連菌感染後性糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症)、肥満、微小変化型疾患(MCD)、心不全、高血圧、肝不全、急性腎不全、慢性腎疾患、鬱血性心不全、タンパク尿腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、アミロイド症、又は薬物誘導性腎疾患などの疾患を有する対象の治療のためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用であって、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む該併用療法を投与することを含む使用を提供する。
【0023】
特定の実施形態では、本発明は、血清カリウムレベルの恒常性、血清尿酸レベルの恒常性、正常な心室リズム、又は正常なQT間隔などの対象における状態を促進するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用であって、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む該組成物を投与することを含む使用を提供する。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、インドリンと抗アルドステロン剤とを含む組成物を提供する。
【0025】
さらなる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、関連技術分野の当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】例えば、糖尿病性腎症におけるアルブミン尿のさらなるコントロールのためのインダパミドとスピロノラクトンの併用療法を、チアジド利尿薬と比較する、研究の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本発明を理解しやすくするために、いくつかの用語及び語句を以下に定義する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、限定するものではないが、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類などをはじめとする、特定の治療のレシピエントとなるべき任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。通常、「対象」及び「患者」という用語は、ヒト対象に関して、本明細書において互換的に用いられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「タンパク尿」という用語は、過剰なタンパク質が対象の尿中に存在する状態を指す。ヒト対象では、タンパク尿は、尿検査で診断されることが多い。臨床的には、タンパク尿は、尿タンパク質が24時間採尿中に0.3gを超える量又は少なくとも6時間おいた3回以上の無作為採尿で1リットル当たり1gを上回る濃度(標準的な比濁法で1+から2+)で存在する場合に決定され得る。「タンパク尿」は「アルブミン尿」と同義であると考えられることが多いが、アルブミン尿が、尿中のアルブミンタンパク質の存在を特に指すのに対し、タンパク尿は、アルブミン以外のタンパク質の存在を包含し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「糖尿病を有することが疑われる対象」という用語は、糖尿病もしくは糖尿病関連状態(例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠性糖尿病、前糖尿病、メタボリックシンドローム、シンドロームX)(例えば、多尿症、多渇症、夜間頻尿、疲労、体重減少)を示す1以上の症状を示すか又は(例えば、通常検診時に)糖尿病検査を受けている対象を指す。糖尿病又は糖尿病関連状態を有することが疑われる対象はまた、1以上の危険因子を有し得る。糖尿病又は糖尿病関連状態を有することが疑われる対象は、通常、糖尿病又は糖尿病関連状態の検査を受けたことがない。しかしながら、「糖尿病を有することが疑われる対象」は、予備的診断(例えば、無作為血漿ブドウ糖レベル)は受けたことがあるが、確認検査(例えば、空腹時血漿ブドウ糖レベル、ヘモグロビンHA1C、ブドウ糖負荷試験)を行なったことがないか又は糖尿病のタイプが不明である個人を包含する。「糖尿病を有することが疑われる対象」は、糖尿病と診断されることもあるし、糖尿病でないことが分かることもある。
【0031】
本明細書で使用される場合、「糖尿病と診断された対象」という用語は、検査を受けて、糖尿病又は糖尿病関連状態(例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠性糖尿病、前糖尿病、メタボリックシンドローム、シンドロームX)(例えば、200mg/dL以上の無作為血漿ブドウ糖レベル、2回の別々の機会に生じる110mg/dL以上の空腹時血漿ブドウ糖レベル、又は2回の別々の機会のブドウ糖負荷(75g)の2時間後の200mg/dL以上の血漿ブドウ糖)を有することが分かった対象を指す。糖尿病は、限定するものではないが、無作為血漿ブドウ糖レベル、空腹時血漿ブドウ糖レベル、ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベル、グリコシル化ヘモグロビン(GHb)レベルの測定をはじめとする、任意の好適な方法を用いて診断し得る。「予備的診断」とは、提示されている症状(例えば、多尿症、多渇症、夜間頻尿、疲労、体重減少)のみに基づく診断である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「初期診断」という用語は、血漿ブドウ糖レベル(例えば、無作為血漿ブドウ糖レベル)の上昇を明らかにする初期の糖尿病診断の検査結果を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「糖尿病の危険に曝されている対象」という用語は、糖尿病又は糖尿病関連状態を発症する1以上の危険因子を有する対象を指す。危険因子としては、限定するものではないが、肥満(特に、中心性肥満又は腹部肥満)、民族性、性別、年齢、遺伝的素因、食習慣、生活習慣(特に、座りがちな生活習慣)、及び続発性糖尿病を引き起こし得る疾患又は状態(例えば、グルココルチコイドによる治療、クッシング症候群、末端肥大症、褐色細胞腫、手術、他の内分泌障害)が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「対象の糖尿病を特徴付ける」という用語は、限定するものではないが、血漿ブドウ糖レベル(無作為、空腹時、又はブドウ糖チャレンジ時);HbA1cレベル;グリコシル化ヘモグロビン(GHb)レベル;微量アルブミンレベル又はアルブミン対クレアチニン比(ACR);インスリンレベル;C−ペプチドレベル;インスリン、島細胞、又はグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)に対する抗体;抗GAD65抗体のレベル(例えば、成人の潜伏性自己免疫性糖尿病の指標として)をはじめとする、対象の糖尿病又は糖尿病関連疾患の1以上の特性を同定することを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「予後診断を与える」という用語は、糖尿病の存在が対象の将来の健康に与える影響に関する情報(例えば、予想される疾病率又は死亡率、糖尿病になる可能性、及び糖尿病関連合併症の危険性)を提供することを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「非ヒト動物」という用語は、限定するものでないが、脊椎動物、例えば、齧歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ目の動物、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類などをはじめとする、全ての非ヒト動物を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「真核生物」という用語は、「原核生物」と区別できる生物を指す。この用語は、通常の真核生物の特徴(例えば、核膜で区切られ、中には染色体がある真核の存在、膜結合オルガネラの存在)、及び真核生物に一般に観察される他の特徴を示す細胞を有する、全ての生物を包含することを意図している。したがって、この用語には、限定するものではないが、真菌、原生動物、及び動物(例えば、ヒト)のような生物が含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、人工的環境及び人工的環境内で生じるプロセス又は反応を指す。インビトロ環境は、限定するものではないが、試験管及び細胞培養からなり得る。「インビボ」という用語は、天然の環境(例えば、動物又は細胞)及び天然の環境内で生じるプロセス又は反応を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、その最も広範な意味において使用される。1つの意味において、任意の源から得られる検体又は培養物、ならびに生物学的試料(biological)を包含することが意図される。生物学的試料は、(ヒトを含む)動物から得られてもよく、かつ流体、固体、組織、及び気体を包含していてもよい。生物学的試料としては、血漿、血清などの血液製剤が挙げられる。しかしながら、このような例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものとみなされるべきでない。
【0040】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な化合物(例えば、本明細書に記載されるようなインドリンと抗アルドステロン化合物の組合せ)の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用又は投薬で投与することができ、かつ特定の製剤もしくは投与経路に限定されないか、又は限定されることを意図しない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「共投与」という用語は、少なくとも2種の薬剤(例えば、本明細書に記載されるようなインドリンと抗アルドステロン)又は治療を対象に投与することを指す。いくつかの実施形態では、2種以上の薬剤/治療の共投与は同時に行なわれる。他の実施形態では、第1の薬剤/治療を第2の薬剤/治療の前に投与する。当業者は、様々な薬剤/治療の製剤及び/又は投与経路が様々であり得ることを理解する。共投与のための適切な投薬量は当業者により容易に決定され得る。いくつかの実施形態では、薬剤/治療を共投与するとき、それぞれの薬剤/治療を、その単独投与に適切な投薬量よりも少ない投薬量で投与する。したがって、共投与は、薬剤/治療の共投与により、既知の有害な恐れのある(例えば、毒性のある)薬剤の必要投薬量が減る実施形態において特に望ましい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、インビトロ、インビボ又はエクスビボでの診断用途又は治療用途に特に好適な組成物をなす活性剤と担体(不活性又は活性)との組合せを指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水型又は水/油型エマルジョン)、及び様々な種類の湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物は安定剤及び防腐剤を含むこともできる。担体、安定剤及び補助剤の例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,第15版,Mack Publ.Co.,Easton,PA(1975)を参照されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象に投与されたときに、本発明の化合物又はその活性代謝物もしくは残留物を提供することができる本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸又は塩基)を指す。当業者には知られているように、本発明の化合物の「塩」は、無機又は有機の酸及び塩基に由来するものであってもよい。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。それ自体は薬学的に許容されるものではないが、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において、シュウ酸などの他の酸を利用してもよい。
【0045】
塩基の例として、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、及び式NWの化合物(式中、WはC1−4アルキルである)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
塩の例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などが挙げられるが、これに限定されるものではない。塩の他の例として、Na、NH、NW(式中、WはC1−4アルキル基である)などの好適なカチオンと化合した本発明の化合物のアニオンが挙げられる。
【0047】
治療用途では、本発明の化合物の塩は薬学的に許容されるものであることが想定される。しかしながら、薬学的に許容されない酸及び塩基が、例えば、薬学的に許容される化合物の調製又は精製における用途を見出す場合もある。
【0048】
本明細書で使用される場合、「該化合物を対象に投与するための説明書」という用語、及びその文法的等価物には、タンパク尿及び/又は高血圧の治療用キットに含まれる組成物を使用するための説明書(例えば、投与量、投与経路、患者特有の性質を治療方針と関連付けるための治療医師用の決定木を提供するもの)が含まれる。本発明のインドリン及び/又は抗アルドステロン併用療法(例えば、本明細書に提示したもの)をキットにパッケージングすることができ、このキットには、化合物を対象に投与するための説明書が含まれてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「肥満」という用語は、理想体重を超過している状態を指し、その場合、理想体重の決定は、限定するものではないが、身長、年齢、性別、及び体格をはじめとする、多数の因子を考慮に入れる。いくつかの実施形態では、「肥満した」とは、肥満度指数(BMI)が30以上であることと定義される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「肥満度指数」又は「BMI」という用語は、人の体重(単位はキログラム(kg))をその身長(単位はメートル(m))の2乗で割ったものと定義される。BMIは全体の脂肪含量と強く相関するが、当業者は、非常に筋肉の発達した人々の中には、過度の危険性がなくBMIが高い者がいる可能性があることを理解する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「糖尿病」又は「糖尿病関連状態」という用語は、血糖症のコントロールに影響を及ぼす代謝的又は内分泌的な疾患、状態(condition)、又は状態(state)を指す。糖尿病又は糖尿病関連状態は、インスリンに対する感受性又はインスリンの産生に影響を及ぼし得る。糖尿病又は糖尿病関連疾患もしくは糖尿病関連状態の例としては、限定するものではないが、インスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、及び栄養不良関連真性糖尿病が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「浮腫」という用語は、皮膚の下に、又は1以上の体腔に体液が異常に蓄積することを指す。全身に広がる浮腫の原因が、多臓器における及び末梢における浮腫を引き起こすことがある。例えば、重症心不全(例えば、鬱血性心不全)は、肺水腫、胸水症、腹水症及び末梢浮腫を引き起こすことがあり、これらの結果の最後のものは、それほど深刻でない原因から生じることもある。臓器特異的な浮腫の種類として、脳浮腫、肺水腫、胸水症、角膜浮腫、眼窩周囲浮腫、皮膚浮腫、粘液水腫、足浮腫、及びリンパ浮腫が挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「鬱血性心不全」という用語は、心臓が血液の循環を適切に維持することができないポンプ機能の平衡失調を指す。ニューヨーク心臓協会のCHFの機能分類では、クラスIは、通常の身体活動が症状によって制限されない患者を表す。クラスIIは、通常の身体活動が、疲労、呼吸困難、又は他の症状をもたらすときに生じる。クラスIIIは、通常の身体活動の著しい制限を特徴とする。クラスIVは、安静時の又は任意の身体活動による症状によって定義される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「インドリン」という用語は、インドリン部分を含む化合物、特に、利尿及び/又は降圧機能を有する化合物を指す。インドリンの例としては、限定するものではないが、1−[(tert−ブチルイミノ)メチル]−2−(3−インドリル)インドリンHCl及びその誘導体;1−ヒドロキシアルカンアミンピラノ(3,4−B)インドール誘導体(例えば、PCT出願PCT/US1979/000256号を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる);ならびにインドリン及びiso−インドリン系中の3−スルファモイル−4−クロロベンズアミド(例えば、インダパミド[4−クロロ−N−(2−メチル−2,3−ジヒドロインドール−1−イル)−3−スルファモイル−ベンズアミド])が挙げられる。いくつかの実施形態では、インドリン化合物は、式I

の化合物として記載され、ここで、R1は低級アルキルであり、R2は水素又は低級アルキルであり、R3及びR4は、各々独立に、水素、低級アルキルハロ、ニトロ、トリフルオロメチル又は低級アルコキシであり、R5及びR6は、各々独立に、水素もしくは低級アルキルであるか又はR5及びR6は、窒素原子とともに、ピロール−1−イル、ピペリジノもしくはモルホリノ環を形成し、R7は水素又は低級アルキルであり、Alk1及びAlk2は、各々独立に、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖低級アルキレンであり、かつXはオキサ又はチア、及び治療的に許容されるその酸付加塩である。上記の化合物は利尿薬であり、これらは降圧作用も有する。これらを単独で又は他の利尿薬とともに使用し得る。これらの化合物を含む薬学的組成物及びこれらの化合物を調製するプロセスも記載されている。
【0055】
本明細書で使用される場合、「抗アルドステロン剤」又は「アルドステロン拮抗薬」という用語は、アルドステロンの作用又は機能(例えば、生理学的作用又は機能、生化学的作用又は機能、分子作用又は機能)に拮抗する薬剤を指す。抗アルドステロン剤としては、限定するものではないが、スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノン、抗アルドステロン抗体、カンレノ酸カリウム、カルボラクトン(例えば、スピロレノン)、プロゲスチン類似体(例えば、ドロスピレノン)、メスペリノン(mesperinone)及びB型ナトリウム利尿ペプチドとトルバプタンによるパソプレッシン2受容体拮抗作用との組合せも挙げられる。
【0056】
本発明は、タンパク尿及び高血圧[例えば、原発性腎疾患(例えば、巣状分節状糸球体硬化症、糸球体疾患)に起因するか又は他の状態(例えば、糖尿病、糖尿病性腎症、肝硬変、肝疾患)に続発するタンパク尿及び/又は高血圧]の危険に曝されているか又はこれらを患っている対象を治療するための方法、組成物、及びキットに関する。具体的には、本発明は、インドリン(例えば、インダパミド)が抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン及び/又はエプレレノン)と組み合わせて投与される併用療法を伴う方法に関する。
【0057】
タンパク尿は、以下で詳細に記載するような、多くの疾患及び状態によって引き起こされる。尿タンパク質損失は、糖尿病患者の疾病率の主な原因である糖尿病性腎症の発症及び進行のよく見られる特徴である。最適な血圧コントロールは、糖尿病性腎症の進行を遅延させるが、ほとんどの場合、様々な機構を介してさらなる利益をもたらす複合的な投薬を必要とする。本発明のいくつかの実施形態の開発過程において行なわれた研究により、例えば、タンパク尿を予防又は治療することで腎保護をもたらす併用療法が同定された。いくつかの実施形態では、インドリン剤(例えば、インダパミド)と抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン、エプレレノン)とを含む併用療法は、例えば、従来のチアジド利尿薬と比較して、タンパク尿(例えば、アルブミン尿)の優れた低減をもたらす。本発明は、任意の特定の機構に限定されるものではなく、かつこの機構の理解は本発明を実施するために必要なものでないが、そのような腎保護作用は、本発明の併用療法の実施形態が単独で投与される場合でも、他の治療に付加される(例えば、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系を遮断する第一選択薬に付加される)場合でも、血圧変化とは無関係に生じることが想定される。
【0058】
本発明の併用療法、組成物、及び方法の実施形態は、既存の治療及び単剤(例えば、インドリン単剤、抗アルドステロン単剤)の投与に優る数々の予想外の利益をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、タンパク尿を著しく低下させる。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、どちらかの薬剤単独(例えば、インドリン単剤、抗アルドステロン単剤)の投与と比較した場合、タンパク尿低下において相乗的な効果をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、他の組合せ(例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)とアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)との組合せ;ACE阻害剤と利尿薬;ARBと利尿薬;ACE阻害剤と抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン);ARBと抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン);ACE阻害剤とカルシウムチャネル遮断薬;ACE阻害剤とβ遮断薬;ARBとβ遮断薬)と比較して、タンパク尿低下の促進をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、どちらかの単剤(例えば、インドリン単剤、抗アルドステロン単剤)を単独投与したときに生じる副作用と比較した場合、望ましくない副作用をより少なくする。このような副作用としては、限定するものではないが、心臓イオンチャネルに対する作用、血清カリウムレベルに対する作用、血清マグネシウムレベルに対する作用、血清尿酸レベルに対する作用が挙げられる。
【0059】
心臓及び循環系に対するアルドステロンレベルの上昇の有害作用のために、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系を阻害しようとして、ACE阻害剤やARB剤を使用することになった。しかしながら、実験的証拠や臨床的観察から、ACE阻害がアルドステロンレベルを一過性にしか低下させないことが示された。このいわゆる「アルドステロンエスケープ」現象は、使用する用量に関係なく、ACE阻害剤とARBを単独で又は組み合わせて用いて治療するにもかかわらず起こる。アルドステロンエスケープの機構は不明であるが、不十分なACE阻害と多数のアルドステロン放出経路の存在とに関係がある可能性がある。同様の現象は、ACE阻害剤によるアンジオテンシンII産生阻害時に起こり、「アンジオテンシン再活性化」と呼ばれている。これらの現象は両方とも、患者の予後不良と関連付けられている。注目すべきことに、アルドステロンエスケープは、アンジオテンシン再活性化よりも頻繁に起こると報告されている。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、アルドステロンエスケープ又はアンジオテンシン再活性化を誘発することなく、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系を阻害する。
【0060】
本発明の併用療法、組成物、及び方法の実施形態はさらに、薬物誘導性心不整脈(例えば、下記のようなトルサード・ド・ポワント)の危険性を低下させる利益をもたらす。単剤として使用される場合、インダパミドは、トルサード・ド・ポワント(TdP)として知られる、長いQT間隔を伴う頻脈性不整脈の一形態の発生率を増加させる。本発明は、任意の特定の機構に限定されるものではなく、かつこの機構の理解は本発明を実施するために必要なものでないが、アルドステロン拮抗薬は、再分極を促進し、QT間隔を短縮し、それにより、内向きのNa電流やCa2+電流の阻害に対する主な作用によってTdPの危険性を低下させることが想定される。それゆえに、本発明のいくつかの実施形態の開発過程において、抗アルドステロン剤のスピロノラクトン及び/又はエプレレノンをインダパミドと組み合わせることが、インダパミドの使用によるTdPの危険性を緩和するのに役立つことが想定された。さらに、低カリウム血症や低マグネシウム血症は、心室再分極を遅らせ、QTを延長し、それによりTdPを起こしやすくする。インダパミドによって誘発されるこれらの電解質平衡異常は、抗アルドステロン剤との組合せによってさらに緩和された。
【0061】
A.タンパク尿
タンパク尿とは、尿中に過剰な血清タンパク質が存在することを指す。タンパク尿を引き起こすと考えられる3つの主な機構があり、これらは、1)糸球体疾患;2)血清中のタンパク質の量の増加による溢流性タンパク尿;及び3)近位尿細管(ファンコーニ)での低再吸収である。タンパク尿は簡単な尿検査で診断されることが多いが、尿が薄い場合、この検査は、ネフローゼ域のタンパク尿ですら偽陰性を生じる可能性がある。試験紙上の試薬であるブロモフェノール・ブルーがアルブミンに極めて特異的であるため、尿中のタンパク質がグロブリン又はベンス・ジョーンズタンパク質から主に構成されている場合にも偽陰性は起こり得る。従来、尿試験紙によるタンパク質検査は、タンパク質電気泳動の具体的な要求に応じて、24時間採尿検査におけるタンパク質の総量、及び異常グロブリンを測定することで定量される。あるいは、尿中のタンパク質濃度をスポット尿試料中のクレアチニンレベルと比較することもある。これは、タンパク質/クレアチニン比(PCR)と呼ばれる。タンパク尿は、>45mg/mmolのタンパク質:クレアチニン比(これは、>30mg/mmolのアルブミン:クレアチニン比と等価である)と定義することができ、非常に高レベルのネフローゼ症候群の場合、PCRは>100mg/mmolである。
【0062】
タンパク尿は、腎(腎臓)損傷の兆候であり得る。血清タンパク質は尿からすぐに再吸収されるので、過剰なタンパク質の存在は、吸収不全か、濾過障害かのいずれかを示す。糖尿病患者は、ネフロンの損傷を患い、タンパク尿を発症することがある。米国におけるタンパク尿の最も一般的な原因は糖尿病であり、タンパク尿と糖尿病を有する全ての人において、根本的なタンパク尿の病因は、2つのカテゴリー、すなわち、糖尿病性タンパク尿とそれ以外のものに分けられるべきである。
【0063】
重度のタンパク尿の場合、全身低タンパク血症が発症することがあり、これによって膠質浸透圧低下が起こる。膠質浸透圧低下の症状としては、腹水症、浮腫、及び水胸症を挙げることができる。
【0064】
糸球体起源のタンパク尿は全身性血管疾患の発現であり、それゆえ、有害な心血管転帰を伴う。実験的及び臨床的証拠によって、タンパク尿の重症度と慢性腎疾患の加速的進行及び結果として生じる腎不全の関連が裏付けられる。糸球体毛細管基底膜から尿腔にタンパク質が漏れ出した後、腎尿細管上皮細胞によるタンパク質の取込み、単球走化性タンパク質−1やRANTESなどのサイトカインの放出、結果として起こる腎尿細管間質における炎症、進行性線維症が生じ、それにより腎疾患の進行が加速する。さらに、最近の証拠から、補体アナフィラトキシンC3aは、タンパク尿糸球体と尿細管間質性損傷の重要なメディエーターであり、上皮表現型から間葉系細胞の表現型特性及び機能特性への腎尿細管上皮細胞の移行を誘導し得ることが示唆されている。
【0065】
タンパク尿は、限定するものではないが、ネフローゼ症候群(すなわち、腎実質性腎不全);子癇前症;子癇;毒性腎病変;膠原血管病(例えば、全身性エリテマトーデス);脱水症;膜性糸球体腎炎、巣状分節状糸球体腎炎、及び微小変化型疾患(リポイドネフローゼ)などの糸球体疾患;激しい運動;ストレス;良性起立性(体位性)タンパク尿;巣状分節状糸球体硬化症(FSGS);IgA腎症(すなわち、ベルジェ病);IgM腎症;膜性増殖性糸球体腎炎;膜性腎症;サルコイドーシス;アルポート症候群;真性糖尿病;薬物(例えば、NSAID、ニコチン、ペニシラミン、金及び他の重金属、ACE阻害剤、抗生物質、麻酔薬、特にヘロイン);ファブリー病;感染症(例えば、HIV、梅毒、肝炎、溶連菌感染後感染);アミノ酸尿症;ファンコーニ症候群;高血圧性腎硬化症;間質性腎炎;鎌状赤血球病;ヘモグロビン尿症;多発性骨髄腫;臓器拒絶反応;エボラ出血熱;爪・膝蓋骨症候群;家族性地中海熱;HELLP症候群;ウェゲナー肉芽腫症;ならびに1型糖原病をはじめとする状態の特徴であり得る。
【0066】
B.インダパミド
インダパミドは、チアジド、ループ利尿薬、炭酸脱水酵素阻害剤及びカリウム保持性利尿薬[例えば、トリアムテレン、アミロリド又はアルドステロン受容体拮抗薬(例えば、スピロノラクトン及びエプレレノン)]という部類に属する利尿薬とは異なる独特の構造を有する利尿薬である。インダパミドの米国商標名はロゾール(Lozol)である。インダパミドは、米国以外ではナトリリックスとして市販されている。インダパミドは、インドリンという降圧薬/利尿薬の部類に属している。その分子は、極性のあるスルファモイルクロロベンズアミド部分と脂溶性のメチルインドリン部分の両方を含む。これは、チアジド環系を有さず、かつスルホンアミド基を1つしか含まないという点でチアジドとは化学的に異なっている。インダパミドの化学名は、4−クロロ−N−(2−メチル−1インドリニル)−3−スルファモイルベンズアミドである。
【0067】
遠位尿細管でのナトリウムと塩化物の再吸収を阻害するという点で、インダパミドは腎臓作用がチアジド利尿薬と似ている。結果として、インダパミドは、チアジド利尿薬と似た利尿特性を示す。さらに、チアジドと同様、インダパミドの投与は、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高カルシウム血症及び高尿酸血症を伴う。しかしながら、インダパミドの異なる、独特の構造は、チアジドと比較して、腎臓外の作用に顕著な差をもたらし、そのような作用としては、限定するものではないが、カルシウムチャネル拮抗活性;組織レニン−アンジオテンシン系の遮断;アドレナリン作動系の阻害、それによる血漿カテコールアミンレベルの低下;及び内皮依存的な血管弛緩の亢進による血管反応性の改善(内皮依存的な血管弛緩の阻害によって血管反応性を損なうチアジドとは対照的である)が挙げられる。それゆえに、インダパミドの使用は、チアジド利尿薬に優るいくつかの利点をもたらし、そのような利点としては、限定するものではないが、透析を行なっている無尿患者に見られるような腎機能の欠如となって現われる降圧作用;(チアジド利尿薬とは対照的な)望ましくない糸球体濾過率(GFR)及び腎血漿流量の低下の欠如;降圧作用とは無関係なタンパク尿状態における効果的なタンパク尿の低下;ならびにメタボリックシンドロームの危険性を増加させる可能性があるチアジドとは対照的な、メタボリックシンドロームの危険性の増加の欠如(Ames et al.(1996) Am.J.Cardiol.77:12B−16B;その全体が参照により本明細書に組み込まれる);ならびにGFRが30ml/分未満の場合でも有用であることが挙げられる。
【0068】
C.抗アルドステロン剤
アルドステロンレベル上昇の心血管系に対する有害作用が記載されており(Hollenberg(2004) Kidney Int.66:1−9,その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、アルドステロンがこの経路の下流の標的であるので、ACEI又はARB剤を用いたレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の阻害によって、アルドステロン放出が十分に損なわれると広く考えられた。しかしながら、RAAS阻害は、使用される用量とは無関係に起こる「アルドステロンエスケープ」現象のために、アルドステロンレベルを一過性にしか低下させず(Sato et al.(2003) Am.J.Hypertens.16:781−788;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、この「アルドステロンエスケープ」現象には、腎症を有する全2型糖尿病患者の40%もが侵される可能性がある(Sato et al.(2003) Hypertension 41:64−68;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。この機構は、不十分なACE阻害とアルドステロン放出をもたらす多数の経路の存在とに関係している可能性がある。Schjoedtらは、ロサルタン1日100mgが約3分の1の対象において最初の数カ月間だけアルドステロンを抑制し、その後、血漿アルドステロンがベースライン値にまで戻ることを、腎症を有する1型糖尿病患者で示した(Schjoedt et al.(2004) Diabetologia 47:1936−1939;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。これらの患者におけるアルドステロンエスケープは、約9カ月間にわたってアルドステロンエスケープを経験していない3分の2の患者と比較して、GFRの低下速度の倍加を伴った(Schjoedt et al.(2004) Diabetologia 47:1936−1939;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。Yonedaらは、バルサルタンやカンデサルタンの場合に、糖尿病対象の約22%を侵す、同様の「エスケープ」を観察した(Yoneda et al.(2007) Am.J.Hyperten.20:1329−1333;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、これらの薬剤単独によるRAAS遮断がアルドステロンの有害作用を消失させるには不十分であることが明白である。
【0069】
スピロノラクトンは、遠位皮質尿細管のアルドステロン感受性ナトリウムチャネルの競合拮抗薬である(Horisberger et al.(1987) Ren.Physiol.10:198−220;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。そのナトリウム利尿作用のために、スピロノラクトンは、ACEI又はARB剤をはじめとする他の降圧薬と組み合わせて使用されたときにさらなる効果をもたらす効果的な降圧薬である。スピロノラクトンは、他の利尿薬に通常付随する低カリウム血症を相殺するのに比類ない効果があり、かつ高アルドステロン症の状態(Lim et al.(2001) J.Hypertens.19:353−361;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、又はより穏やかな利尿が必要とされる腹水症のような浮腫性疾患(Gines et al.(1992) Drugs 43:316−332;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に有効である場合がある。スピロノラクトンは、画期的なRALES試験で示されたように、進行性鬱血性心不全(CHF)の患者において大幅な延命効果をもたらすことも示されている(Pitt et al.(1999) New Engl.J.Med.341:709−717;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。高カリウム血症又は抗アンドロゲン作用をはじめとする副作用が、感受性のある患者の一部にとって問題になることがあるが、ほとんどの場合、利益がやはりこれらのリスクを上回る(Sica(2007) Curr.Drug Saf.2:71−77;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。血清カルシウムや尿酸レベルに対する効果は、ごくわずかであるように見える(Garca et al.(1991) J.Clin.Pharmacol.31:455−461;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、血管系に対するアルドステロンの有害作用と、腎実質損傷を引き起こすアルドステロン誘導性血管損傷の発症に対する炎症及び線維化の役割を考慮すると、スピロノラクトンは、動物モデルで以前に示されたような、抗炎症特性及び抗線維化特性を有する可能性もある(Han et al.(2006) 70:111−120;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0070】
ACEIの投与にもかかわらず「アルドステロンエスケープ」を示す糖尿病性腎症患者にスピロノラクトンを添加すると、さらなるBP降下とは無関係にアルブミン尿が改善される(Sato et al.,(2003) Hypertension 41:64−68;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。同様の利益は、かなりの顕性アルブミン尿を示す非糖尿病患者(Sato et al.2005) Am.J.Hypertens.18:44−49;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)及びネフローゼ域のタンパク尿を示す糖尿病患者(Schjoedt et al.(2006) Kidney Int.70:536−542;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)においても示されている。スピロノラクトンをシラザプリル又はそれらの組合せと比較したRachmaniらの研究では、スピロノラクトンのアルブミン尿低下作用は、ACEIのアルブミン尿低下作用よりも有意に大きく、かつ一緒に使用した場合、ACEIに付加的であった(Rachmani et al.(2004 Diabet.Med.21:471−475;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。高カリウム血症の悪化やGFRの低下が潜在的な有害作用であり得るものの、スピロノラクトンは、以前にACEI又はARBのいずれかによる治療を受けた糖尿病患者のアルブミン尿を低下させるのにさらなる利益を有する(ven den Meiracker et al.(2006) J.Hypertens.24:2285−2292;Saklayen et al.(2008) J.Investig.Med.56:714−719;Davidson et al.(2008) Endocr.Pract.14:985−992;Preston et al.(2009) Hypertens.53:754−760;それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、Furumatsuらは、さらなるBP変化とは無関係に、ACEIとARB剤の両方による2剤療法を既に受けている非糖尿病患者で使用した場合、スピロノラクトンがやはりタンパク尿の大幅な付加的低下(1年後に58%低下)をもたらすことを示した(Furumatsu et al.(2008) Hypertens.Res.31:59−67;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本発明のいくつかの実施形態の開発過程で行なわれた研究以前には、スピロノラクトンは、ACEI又はARB剤からの可能な限りの保護を受けていない相当な割合の患者においてアルブミン尿を大幅に低下させ、かつ糖尿病性腎症の進行を遅延させると考えられた。しかしながら、特に、カリウムレベルやGFRに対する有害作用の可能性に関して、既存のACEI又はARB治療に対するスピロノラクトンの追加の効果は知られていなかった。
【0071】
さらなる抗アルドステロン剤(別名、アルドステロン拮抗薬)としては、限定するものではないが、エプレレノン、カンレノン、抗アルドステロン抗体、カンレノ酸カリウム、カルボラクトン(例えば、スピロレノン)、プロゲスチン類似体(例えば、ドロスピレノン)、メスペリノン及びB型ナトリウム利尿ペプチドとトルバプタンによるパソプレッシン2受容体拮抗作用との組合せも挙げられる。
【0072】
D.心不整脈、トルサード・ド・ポワント、及び突然死
文字通り点のねじれ(twisting of points)を意味するトルサード・ド・ポワントは、等電位線の周囲のQRS群の振幅の段階的な変化とねじれを特徴とする多形性心室頻拍(VT)の独特の形態である。心室性不整脈(torsade)は、先天性又は後天性であり得るQT間隔の延長と関連がある。これは通常、自然に収まるが、頻繁に再発し、悪化して持続性のVT及び心室細動になることもある。
【0073】
心室性不整脈は、QRS群の形態が1心拍ごとに変化する多形性VTと定義される。心拍数は、150拍/分(bpm)から250bpmの範囲であることができる。最初の報告には、プラスから正味のマイナスになってまた元に戻るというQRSベクトルの形態の規則正しい変化が記載された。これは、象徴的にトルサード・ド・ポワント、すなわち、等電位軸周囲の「点のねじれ」と命名されたが、それは、これが、原著者にバレエにおけるトルサード・ド・ポワントの動きを連想させたからである。ほとんどの症例が多形を示すが、軸の変化には規則性がないことがある。この定義では、QT間隔が顕著に(通常は600msec又はそれより長くまで)増加することも要求される。QT間隔の延長と関連がない多形性VTの症例は、一般的なVTとして扱われる。心室性不整脈は通常、持続的ではなく一気に起こる。したがって、心電図記録は通常、患者のベースラインQT延長を示す。
【0074】
律動障害の根本的な理由は、活動電位の第3相の遅延である。この遅延は、hERGカリウムチャネルによってもたらされる。心筋線維内でのこの再分極期間の延長と再分極時間の不均一性は律動不整を発生させる。起因となる電気生理学的機構は、撃発活動又はリエントリーであり得る。
【0075】
6つの遺伝的変異が現在認識されている。遺伝型LQT1とLQT2は緩徐型カリウムチャネルを有し、一方、LQT3はナトリウムチャネルの欠陥を示す。治療モダリティは、もうすぐ、個人の遺伝型に基づいて行なわれる可能性がある。
【0076】
心室性不整脈とQT間隔延長の間の関連は長い間知られていたが、細胞及びイオンレベルで関わる機構は、最近の約10年間でより明確になった。後天性と先天性の両方の長QT症候群の根本にある異常は、QT間隔に影響を及ぼす再分極時のイオン電流フローに見られる。様々な研究から、再分極の延長が、正の脱分極電流の内向き流に関与するイオンチャネルの不活性化を遅延させるという考えが支持されている。これがさらなる再分極の遅延をもたらし、心室性不整脈の誘発事象である早期後脱分極(EAD)を引き起こす。以下の相を記載する。
【0077】
・第1相:正常な心臓細胞で活動電位が最初に立ち上がる間に、陽イオン(Na及びCa++)の正味の流入が速やかに起こり、これによって、細胞膜が脱分極する。この後、一過性の外向きカリウム電流(Ito)が速やかに生じ、その一方で、陽イオン(Na、Ca++)の流入速度が低下する。これが、再分極の最初の部分、すなわち第1相を表す。
【0078】
・第2相はプラトーを特徴とし、その独特の特色は心臓の再分極である。内向きに流れる正の電流と外向きに流れる正の電流は、この段階の間にほぼ等しくなる。
【0079】
・再分極の第3相は、内向きの正の電流が減衰する一方で、外向きに移動する遅延整流カリウム電流(IK)が活性化されることによりもたらされる。Ca++とNa電流の緩徐な不活性化が生じた場合、この内向きの「窓」電流は、第2相及び第3相の間の単発又は繰返しの脱分極(すなわち、EAD)を引き起こすことがある。これらのEADは、体表面ECG上に病的なU波として現われ、閾値に達したときに、心室性頻脈性不整脈を誘発する可能性がある。
【0080】
これらの再分極の変化は、全ての心筋細胞で起こるものではない。心室の深部心内膜領域と(M細胞からなる)心筋中間層が再分極の延長とEADをより起こしやすく、それは、他の領域が短い又は正常な周期を有し得るのに対し、これらの領域は、遅延整流カリウム電流(IKr)があまり速くないからである。心筋細胞における再分極のこうした不均一性は、撃発活動の拡大を促進するが、これは、リエントリー機構によってEADにより開始され、現在、心室性不整脈の持続の原因であると考えられている。
【0081】
心室性不整脈は致死的不整脈であり、正常な構造の心臓を有する患者の突然心臓死として現われる場合がある。
【0082】
男女とも、補正QT間隔は、アフリカ出身者よりもヨーロッパ出身者の方が長く、これにより、アフリカ出身者の後天性心室性不整脈に対する感受性がより低いことが説明される。女性は男性よりも心室性不整脈が発症しやすいが、それは、女性の方がQT間隔が長いからである。心室性不整脈は、新生児から86歳までの幅広い年齢層の患者で起こる。若年齢で起こる場合、原因は通常、先天性の長QT症候群によるものである。年を取ってからの場合、原因は通常、後天性の長QT症候群によるものである。
【0083】
心室性不整脈の患者は、通常、動悸、目まい、及び失神の再発性発作を示す。しかしながら、突然心臓死は最初の発作で起こることもある。吐き気、冷や汗、息切れ、及び胸痛が起こる場合もあるが、非特異的であり、また、何らかの形態の頻脈性不整脈によって生じることもある。
【0084】
全ての利尿薬の中で、インダパミドは、TdPの最も高いリスクと関連することが知られている(Sander,Guillory et al.(2002) Am.J.Geriatr.Cardiol.11:197−202;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。

【0085】
インダパミドは、正常な電解質の存在下でQT間隔延長とトルサード・ド・ポワント(TdP)をもたらすことが示されている(Letsas,Alexanian et al.(2006) Int.J.Cardiol.112:373−374;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。再分極の遅延、QT間隔の延長及びそれによるTdPになりやすい傾向を引き起こすインダパミドの主な作用は、イオン電流に対する直接的な電気生理学的作用である。特に、インダパミドは、遅延整流K電流(IK)の遅い成分を遮断する(Turgeon,Daleau et al.(1994) Circ.Res.75:879−886;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0086】
E.疾患状態及び状態
i.糖尿病
本発明は、例えば、耐糖能異常、インスリン感受性異常、インスリン産生異常を伴う糖尿病又は糖尿病関連状態の対象の治療における用途を見出す。このような状態及び疾患状態としては、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、及び栄養不良関連真性糖尿病が挙げられる。このような患者は、以下に記載するような、腎機能障害や腎疾患の発症率と重症度の増加の危険に曝され、かつ/又はそれらの増加を経験する。
【0087】
ii.糖尿病性腎症
本発明のいくつかの実施形態は、糖尿病患者性腎症における用途を見出す。キンメルスティール−ウィルソン症候群及び結節性糸球体腎炎としても知られる糖尿病性腎症は、腎臓糸球体の毛細血管の血管症によって引き起こされる進行性腎疾患である。これは、ネフローゼ症候群とびまん性糸球体硬化症を特徴とする。これは、長期にわたる真性糖尿病が原因であり、多くの西欧諸国において、透析の第1の適応症である。
【0088】
この症候群は、(通常、発症から15年未満の)慢性糖尿病の患者に見られ、そのため、患者は通常、高齢(50歳から70歳)である。この疾患は進行性であり、初期病変から2年又は3年後に死をもたらすことがあり、男性でより頻度が高い。糖尿病性腎症は、米国における慢性腎不全と末期腎疾患の最も一般的な原因である。1型糖尿病と2型糖尿病の人は両方とも危険にさらされている。この危険は、血中ブドウ糖レベルのコントロールが悪い場合により高い。さらに、一旦腎症が発症すれば、その血圧コントロールが悪い患者で、最も高い割合の進行が見られる。血中コレステロールレベルの高い患者も、より高い危険に曝されている。
【0089】
糖尿病性腎症の経過において最も早期の検出可能な変化は、糸球体の肥厚である。この段階で、腎臓は、正常よりも多くの血清アルブミン(血漿タンパク質)を尿中に産生し始めることがあり(アルブミン尿)、「微量アルブミン尿」と呼ばれる。糖尿病性腎症の進行に伴って、ますます多くの糸球体が結節性糸球体硬化症により破壊される。尿中に排泄されるアルブミンの量は増加し、通常の尿検査技術で検出され得る。この段階で、腎生検は糖尿病性腎症を示す。
【0090】
糸球体硬化症によって誘発される腎不全は、体液濾過障害やその他の腎機能障害を引き起こす。血圧が上昇し(高血圧)、体内での体液貯留と血漿膠質浸透圧の低下によって、浮腫が生じる。他の合併症は、腎動脈の動脈硬化症とタンパク尿であり得る。
【0091】
その初期の過程の全体を通して、糖尿病性腎症は無症状である。症状は後期に発症し、尿中の大量のタンパク質の排泄の結果であるか、又は腎不全による可能性がある。症状としては、限定するものではないが、浮腫、食欲不振、吐き気、嘔吐、不快感、疲労、頭痛、頻繁に起こるしゃっくり、及び全身性掻痒が挙げられる。最初の検査所見の異常は、陽性の微量アルブミン尿検査である。ほとんどの場合、通常の尿検査でタンパク尿が示されたときに、診断が疑われる。特に血中ブドウ糖のコントロールが悪い場合、尿検査で尿中ブドウ糖が示されることもある。血清クレアチニンとBUNは、腎臓損傷の進行に伴って増加することがある。
【0092】
腎生検で診断が確認されるが、経時的なタンパク尿の進行や目の網膜検査での糖尿病性網膜症の存在が確認された、単純明快な症例の場合は、必ずしもその必要はない。
【0093】
標準治療には、ACE阻害剤及び/又はARB剤の投与が含まれる。しかしながら、ONTARGET研究(Yusuf et al.(2008) New Engl.J.Med.358:1547−1559;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)による併用療法によって、血清クレアチニンの増加や推定GFRの需要増の誘発をはじめとする、主要な腎臓転帰が悪化することがある。
【0094】
糖尿病性腎症は徐々に進行し続ける。慢性腎不全の合併症は、糖尿病が原因となって起こる場合の方が、他の疾患が原因で起こる場合よりも早期に現われる可能性が高く、かつ急速に進行する。透析を開始した後又は移植をした後でも、糖尿病の人は、糖尿病でない人よりも悪くなる傾向がある。起こり得る合併症としては、限定するものではないが、低血糖症、急速に進行する慢性腎不全、末期の腎疾患、高カリウム血症、重症高血圧、血液透析の合併症、腎移植の合併症、他の糖尿病合併症の共存、腹膜炎(腹膜透析が用いられる場合)、及び感染の増加が挙げられる。
【0095】
iii.肝不全
本発明のいくつかの実施形態は、肝不全の患者における用途を見出す。肝不全とは、肝臓が正常な生理機能の一部としてのその正常な合成及び代謝機能を果たすことができないことである。2つの形態として、急性肝不全と慢性肝不全が挙げられる。急性肝不全では、肝性脳症(混乱、昏迷及び昏睡)が、肝機能障害の最初の症状(例えば、黄疸)の4週間以内に生じる。慢性肝不全は通常、肝硬変(それ自体、限定するものではないが、過剰なアルコール摂取、B型肝炎、C型肝炎、又は自己免疫、遺伝的原因及び代謝の原因(例えば、鉄もしくは銅の過剰摂取又は非アルコール性脂肪肝疾患)をはじめとする因子によって引き起こされる)との関連で生じる。
【0096】
iv.高血圧
本発明のいくつかの実施形態は、多くの異なる疾患及び状態によって生じ得る高血圧の患者における用途を見出す。高血圧は、血圧が上昇する慢性的な病状である。これはまた、高い血圧と呼ばれるか、又はHT、HTNもしくはHPNと省略される。「高血圧」という語は、それだけで、通常は全身性動脈性高血圧を指す。高血圧は、本態性(原発性)又は二次性のいずれかとして分類することができる。本態性又は原発性高血圧は、医学的原因が不明であることを示す。二次性高血圧は、高い血圧が、腎疾患又は腫瘍(例えば、副腎腺腫もしくは褐色細胞腫)などの、別の状態の結果であることを示す。2003年のアメリカ心臓協会分類によって、正常血圧、前高血圧、高血圧(ステージI及びII)、ならびに孤立性収縮期高血圧を定義するための血圧基準が推奨されており、孤立性収縮期高血圧は、高齢者の間で頻発する。これらの測定は、2回以上の外来診察時に適切に測定された、座って行なわれた血圧測定の平均値に基づいている。50歳を超える高齢者では、血圧が、一貫して、少なくとも140mmHg(収縮期)又は90mmHg(拡張期)である場合、高血圧が存在するとみなす。様々な薬剤が、高血圧(収縮期及び/又は拡張期高血圧)のコントロールに使用されており、例えば、インダパミドは収縮期高血圧に有効である。
【0097】
v.心不全
特定の実施形態では、本発明の方法は、その重い症状が肺水腫である鬱血性心不全(CHF)の治療における用途を見出す。CHFは、心臓が血液循環を適切に維持することができないポンプ機能の平衡失調である。CHFは、右心室不全及び左心室不全として分類することができる。右心室不全が全身静脈圧の上昇を引き起こすのに対し、左心室不全は、大動脈や全身循環への前向きの流入が低下することで二次的に起こる。さらに、心不全は、収縮機能障害と拡張機能障害に細かく分けることができる。収縮機能障害が、収縮障害のある拡張型左心室を特徴とするのに対し、拡張機能障害は、弛緩する能力及び血液を受け取りかつ押し出す能力に障害のある正常又は無傷の左心室で生じる。ニューヨーク心臓協会のCHFの機能分類では、クラスIは、通常の身体活動が症状によって制限されない患者を表す。クラスIIは、通常の身体活動が、疲労、呼吸困難、又は他の症状をもたらすときに生じる。クラスIIIは、通常の身体活動の著しい制限を特徴とする。クラスIVは、安静時の又は任意の身体活動による症状によって定義される。CHF及び/又は肺水腫は、冠動脈疾患(例えば、左心室筋の損失に続発するもの)、進行中の虚血、拡張期の心室コンプライアンスの低下、高血圧、心臓弁膜症、先天性心疾患、他の心筋症、心筋炎、感染性心内膜炎、妊娠、及び甲状腺機能亢進症によって引き起こされ得る。CHFは、多くの場合、心虚血又は不整脈、心感染症又は心外感染症、肺動脈塞栓、肉体的ストレス又は環境ストレス、薬物療法の変更もしくは服薬不履行、無分別な食事(dietary indiscretion)、又は医原性の容量過負荷によって引き起こされる。
【0098】
vi.浮腫
特定の実施形態では、本発明の方法は、皮膚の下に、又は1以上の体腔に体液が異常に蓄積することである浮腫の治療における用途を見出す。全身に広がる浮腫の原因は、多臓器における及び末梢における浮腫を引き起こすことがある。例えば、重症心不全(例えば、上記のような、CHF)は、肺水腫、胸水症、腹水症及び末梢浮腫を引き起こすことがあり、これらの結果の最後のものは、それほど深刻でない原因から生じることもある。臓器特異的な浮腫の種類としては、脳浮腫、肺水腫、胸水症、角膜浮腫、眼窩周囲浮腫、皮膚浮腫、粘液水腫、足浮腫、及びリンパ浮腫が挙げられる。
【0099】
vii.腎疾患(腎症)
多くの疾患は、血液を濾過する腎臓内の小さな単位である糸球体を攻撃することによって、腎機能を侵す。糸球体疾患には、種々の遺伝的及び環境的な原因を有する多くの状態が含まれるが、これは2つの主なカテゴリー、すなわち、糸球体腎炎(この場合、老廃物と余分な体液を血液から分離するフィルターの役割を果たす腎臓の膜組織の炎症がある)及び糸球体硬化症(この場合、腎臓内の小さい血管の瘢痕化と硬化がある)に分類される。糸球体腎炎と糸球体硬化症の原因は異なるが、これらは両方とも腎不全を引き起こす可能性がある。
【0100】
腎症の種類としては、限定するものではないが、薬物誘導性腎症、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群、急性溶連菌感染後性糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性腎症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症とも呼ばれる)、及び微小変化型疾患(MCD)が挙げられる。
【0101】
腎不全の病期は、急性腎不全、慢性腎疾患、及び完全な腎不全(末期の腎疾患又はESRDと呼ばれることもある)に分類される。
【0102】
F.併用療法の方法
タンパク尿関連状態(例えば、腎機能障害)の解消又は予防は、大きな臨床的課題である。本発明の組成物及び方法は、併用療法のアプローチを効果的に施すことによって、この問題を改善する手段を提供する。しかしながら、従来の併用療法を本発明の組成物と組み合わせて利用し得ることに留意すべきである。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、インドリン剤と抗アルドステロン剤とを含む併用療法を、従来の治療の前に、後に、又はこれらと組み合わせて使用し得る。
【0103】
併用療法において本発明の方法及び組成物を用いて対象を治療するために、「標的」細胞を本明細書に記載の組成物及び少なくとも1つの他の薬剤と接触させる。これらの組成物は、細胞に対する治療効果を有するのに有効な組合せ量で提供される。このプロセスは、細胞を多数の薬剤又は因子と同時に接触させることを含み得る。これは、細胞を両方の薬剤を含む単一の組成物もしくは薬理学的製剤と接触させることによるか、又は細胞を2つの別々の組成物もしくは製剤と同時に接触させることによって達成され得、その場合、一方の組成物には、例えば、発現コンストラクトが含まれ、もう一方には治療剤が含まれる。
【0104】
あるいは、インドリン(例えば、インダパミド)治療を、分から週の範囲の間隔で、第2の薬剤(例えば、抗アルドステロン剤)の前後に投与してもよい。インドリン剤(例えば、インダパミド)と抗アルドステロン剤を細胞に別々に適用する実施形態では、通常、インドリン剤(例えば、インダパミド)と抗アルドステロン剤が細胞に対して有利に組み合わされた効果をなおも発揮することができるように、各々の送達時間と送達時間の間に長い時間が経過しないことを保証する。このような例では、細胞を、約12〜24時間の間隔で、より好ましくは約6〜12時間の間隔で両方のモダリティと接触させ、わずか約12時間の遅延時間が最も好ましいことが想定される。しかしながら、いくつかの状況では、それぞれの投与の間に数日(2〜7日)から数週(1〜8週間)が経過する場合に、治療期間を大幅に延長することが望ましいこともある。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の治療的組成物又は他の薬剤の2以上の投与を利用する。インドリン剤(例えば、インダパミド)を「A」、抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン)を「B」とした場合、以下に例示するように、様々な組合せを利用し得る:
A/B/A、B/A/B、B/B/A、A/A/B、B/A/A、A/B/B、B/B/B/A、B/B/A/B、
A/A/B/B、A/B/A/B、A/B/B/A、B/B/A/A、B/A/B/A、B/A/A/B、B/B/B/A、
A/A/A/B、B/A/A/A、A/B/A/A、A/A/B/A、A/B/B/B、B/A/B/B、B/B/A/B。
【0106】
他の組合せが想定される。その場合もやはり、所望の治療効果を達成するために、所望の治療転帰(例えば、タンパク尿の減少、血圧の低下)を促進するのに有効な組合せ量で両方の薬剤を細胞に送達する。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の1以上の化合物及び追加の活性剤を、化合物が他の薬剤と一緒に作用して、それ以外の形で投与された場合に得られる利益と比べて強化された利益をもたらすことができるような順序及び時間間隔で対象(より典型的にはヒト)に投与する。例えば、追加の活性剤は、共製剤によって共投与するか、同時に投与するか、又は異なる時点で任意の順序で順次投与することができるが、同時に投与しない場合、所望の治療的又は予防的効果をもたらすように十分に近い時間内で投与すべきである。いくつかの実施形態では、化合物と追加の活性剤は、重なる時にそれらの効果を発揮する。各々の追加の活性剤は、任意の適当な形態で、かつ任意の好適な経路で、別々に投与することができる。他の実施形態では、化合物は、追加の活性剤の投与の前に、投与と同時に、又は投与の後に投与される。
【0108】
様々な例では、化合物と追加の活性剤は、約1時間未満の間をおいて、約1時間おいて、約1時間から約2時間おいて、約2時間から約3時間おいて、約3時間から約4時間おいて、約4時間から約5時間おいて、約5時間から約6時間おいて、約6時間から約7時間おいて、約7時間から約8時間おいて、約8時間から約9時間おいて、約9時間から約10時間おいて、約10時間から約11時間おいて、約11時間から約12時間おいて、24時間以上おかずに、又は48時間以上おかずに投与される。他の例では、化合物と追加の活性剤は同時に投与される。さらに他の例では、化合物と追加の活性剤は、共製剤によって同時に投与される。
【0109】
他の例では、化合物と追加の活性剤は、約2日から約4日おいて、約4日から約6日おいて、約1週間おいて、約1週間から2週間おいて、又は2週間よりも長く間をおいて投与される。
【0110】
特定の例では、インドリン剤(例えば、インダパミド)と抗アルドステロン剤(及び任意で追加の活性剤)は、周期的に対象に投与される。サイクリング治療は、一定期間の第1の薬剤の投与と、それに次ぐ一定期間の第2の薬剤及び/又は第3の薬剤の投与と、この順次投与の繰返しを含む。サイクリング治療は、種々の利益をもたらすことができ、例えば、これらの治療のうちの1つもしく複数に対する耐性の発生を低下させ、これらの治療のうちの1つもしくは複数の副作用を回避もしくは軽減し、かつ/又は治療の効力を改善することができる。
【0111】
他の例では、本発明のいくつかの実施形態の1以上の化合物及び任意で追加の活性剤は、約3週間未満、約2週間に1回、約10日間に1回、又は約1週間に1回のサイクルで投与される。1回のサイクルは、1サイクルごとに約90分間、1サイクルごとに約1時間、1サイクルごとに約45分間、1サイクルごとに約30分間又は1サイクルごとに約15分間かけて注入することによって、第1の活性剤及び任意で第2の活性剤を投与することを含むことができる。各サイクルは、少なくとも1週間の休止、少なくとも2週間の休止、少なくとも3週間の休止を含むことができる。投与されるサイクルの数は、約1〜約12サイクル、より典型的には約2〜約10サイクル、及びより典型的には約2〜約8サイクルである。
【0112】
複数の治療を対象に同時に投与ことができる。すなわち、個々の用量の追加の活性剤を、別々にではあるけれども、本発明の化合物が、追加の活性剤と一緒に作用することができるような時間間隔で投与する。例えば、1つの要素を、2週間に1回又は3週間に1回投与することができる他の要素と組み合わせて週に1回投与する。すなわち、投与レジメンは、治療が同時に又は同じ日に投与されない場合でも、並行して実行される。
【0113】
G.投薬量
本発明は、特定の投薬量のインドリン剤(例えば、インダパミド)と抗アルドステロン剤(例えば、スピロノラクトン)に限定されない。併用療法投薬形態のいくつかの実施形態を表2に示す。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤と最大1.25mgのインダパミドの組合せは、限定するものではないが、顕著な腎疾患もしくは心不全を伴わない高血圧;肝不全に伴う腹水症;及び/又は軽度の心不全をはじめとする特定の疾患状態及び/又は状態の治療の主な適応となる。いくつかの実施形態では、抗アルドステロン剤と2.5〜5mgインダパミドの組合せは、限定するものではないが、ステージ3〜5の慢性腎疾患に伴う浮腫もしくは高血圧、及び/又は中程度もしくは重度の心不全に伴う浮腫もしくは高血圧をはじめとする疾患及び/又は状態の治療に用いられる。

【実施例】
【0114】
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態及び態様を示し、かつこれらをさらに説明するために提供されており、その範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0115】
実施例1
抗アルドステロン剤と組み合わせたインダパミドの抗タンパク尿作用
以下の症例研究は、米国カリフォルニア州サウスロサンゼルスのマーティン・ルーサー・キングJr.マルチサービス外来診療所の糖尿病腎臓病専門クリニック(Diabetes and Nephrology specialty clinics at Martin Luther King Jr.Multi−Service Ambulatory Clinic in South Los Angeles,CA,USA)で観察された。
【0116】
67歳のヒスパニックの男性は、糖尿病性腎症と高血圧を示していた。この患者をロサルタン1日100mg、メトプロロール1日75mg及びアムロジピン1日10mgで治療した。患者のアルブミン尿は、クレアチニン1グラム当たり1800mgであった。患者をスピロノラクトン25mgとインダパミド1.25mgの組合せで治療すると、クレアチニン1グラム当たりアルブミン930mgにまでアルブミン尿が減少した(48%の低下)。
【0117】
46歳のヒスパニックの男性は、糖尿病性腎症と高血圧に続発する、推定GFRが32ml/分の慢性腎疾患を示し、重度のタンパク尿を伴っていた。ベースライン尿アルブミンはクレアチニン1グラム当たり8グラムであったが、患者は、ロサルタン1日100mgで治療を受けていた。患者をインダパミド1.25mgとスピロノラクトン25mgの組合せでさらに治療すると、それにより、8カ月間でクレアチニン1グラム当たりアルブミン3.4グラムにまでアルブミン尿が57.5%減少した。
【0118】
肝硬変、浮腫及び慢性低血圧(収縮期血圧90〜100mmHg)を有する57歳のヒスパニックの男性は、糖尿病性腎症に続発する慢性腎疾患を発症していた。この患者の推定GFRは27ml/分であり、クレアチニン1グラム当たりの尿中アルブミンは1970mgであった。スピロノラクトン25mgと組み合わせたインダパミド1.25mg錠の半分で9カ月間、毎日治療した後、アルブミン尿は、クレアチニン1グラム当たりアルブミン566mgにまで低下した(71%の低下)。タンパク尿の低下は、血圧やGFRが変化しない状態でも起こった。
【0119】
61歳のフィリピン人は、糖尿病性腎症と高血圧を示していた。この患者をベナゼプリル1日20mgと徐放性ジルチアゼム1日240mgで治療した。患者のアルブミン尿は、クレアチニン1グラム当たり418mgであった。患者をスピロノラクトン25mgとインダパミド0.625mgの組合せで治療すると、クレアチニン1グラム当たりアルブミン82mgにまでアルブミン尿が減少した(80%の低下)。
【0120】
アルコール性肝疾患を有する44歳のヒスパニックの男性は、スピロノラクトン1日200mgで長期間にわたる治療を受けていた。この患者は、慢性糸球体腎炎(おそらくIgA腎症)に続発する高血圧と慢性タンパク尿性と血尿性腎疾患を示していた。患者のアルブミン尿は、クレアチニン1グラム当たり2606mgであった。高血圧と浮腫用に、インダパミド1日2.5mgを開始した。治療1カ月後、アルブミン尿は、患者の血圧が160/100mmHgの場合でも、クレアチニン1グラム当たり1081mgにまで減少した(58.5%の低下)。
【0121】
糖尿病性腎症を有する64歳のヒスパニックの女性は、リシノプリル40mg、ベラパミルER 240mg及びインダパミド0.625mgを服用していたものの、クレアチニン1グラム当たりのアルブミン尿が1346mgであった。スピロノラクトン25mgを追加すると、2カ月以内に、彼女のアルブミン尿はクレアチニン1グラム当たり258mgに減少した(81%の低下)。
【0122】
上記の症例は、抗アルドステロン剤とインダパミドの組合せの抗タンパク尿作用の代表例である。全身の血圧が上昇した状態で続く場合であっても、有益な効果がしばしば見られた。本発明は、任意の特定の機構に限定されるものではなく、かつこの機構の理解は本発明を実施するために必要なものでないが、いくつかの実施形態では、本発明の併用療法が、併用療法の抗タンパク尿作用に寄与する全身作用ではなく、局所的な血行力学的作用又は直接的な糸球体作用を発揮することが想定される。
【0123】
実施例2
チアジド様利尿薬メトラゾンとスピロノラクトンとの組合せによってタンパク尿は低下しない
ステージ4〜5の慢性腎疾患の患者で効果的な2つのチアジド様利尿薬は、メトラゾンとインダパミドである。本発明のいくつかの実施形態を開発する過程で、メトラゾンとスピロノラクトンとの組合せではなく、インダパミドとスピロノラクトンとの組合せが、タンパク尿を低下させることができることが思いがけなく発見された。以下の症例研究は、メトラゾンとスピロノラクトンによる併用療法がタンパク尿を低下させることができないことを示している。
【0124】
62歳のヒスパニックの男性は、糖尿病性腎症に続発するステージ4の慢性腎疾患を示していた。この患者の尿アルブミンは、ACEIとペントキシフィリンで治療されていながらも、過去2年間、クレアチニン1グラム当たり3.5〜4.1gの範囲であった。スピロノラクトン25mgとメトラゾン2.5mgの組合せを用いた2カ月を超える治療で、アルブミン尿を低下させることができなかった。治療終了時の尿アルブミン/クレアチニン比は4.3であった。
【0125】
実施例3
インダパミドとスピロノラクトンの組合せによる高尿酸血症の緩和
症例1.77歳のナイジェリア人男性には、5年間の糖尿病と高血圧の既往歴があった。以下は、経時的な臨床及び実験プロファイルである。
【0126】
0日目:血清カリウム5.2mmol/L、クレアチニン2.3mg/dL、血中尿素窒素46mg/dL、グリコシル化ヘモグロビン8.2%、LDL 143。
【0127】
13日目:患者は、夜間頻尿を起こしたためクリニックを受診した。この患者をステージ4の慢性腎疾患(1分間当たり推定GFR30ml)と診断した。腎疾患の原因は、過去に非ステロイド系抗炎症薬を過剰摂取し、慢性尿細管間質性疾患と腎瘢痕化が生じたことであると考えられた。微量アルブミン尿[尿アルブミン対クレアチニン比=91μg/mg(正常<30μg/mg)]の存在により、背景にある糖尿病性腎症の可能性が出てきた。患者は、高血圧用の長時間作用型ニフェジピン:朝60mg、就寝前30mgと、ヒドロクロロチアジド朝25mgによる治療を受けていた。患者の脈拍数は毎分95回、血圧は142/82mmHg、体重は74.4kgであり、足浮腫が見られた。ニフェジピンとヒドロクロロチアジドを中止した。患者は、インダパミド毎朝2.5mg、ロサルタン1日50mg及びテラゾシン就寝時2mgを使用し始めた。
【0128】
25日目:臨床検査で、血清カリウム4.1mmol/L、クレアチニン2.6mg/dL、尿素窒素36mg/dL、尿酸7.5mg/dLが明らかになった。
【0129】
34日目:足浮腫は軽減、脈拍毎分58回、血圧150/90mmHg、体重74.2kg。スピロノラクトン毎朝12.5mgを追加した。
【0130】
62日目:血中尿素窒素46mg/dL、血清クレアチニン2.6mg/dL、カリウム4.8mmol/L、尿酸6mg/dL。尿中微量アルブミン対クレアチニン比は、35μg/mgであった(6週間前のベースラインから61%の低下)。
【0131】
69日目:体重73kg。脈拍毎分72回、血圧147/86mmHg。患者は臨床的に改善し、浮腫はさらに軽減していた。
【0132】
症例2.II型真性糖尿病、糖尿病性腎症、アルブミン尿、高コレステロール血症、高血圧を有する43歳のアフリカ系アメリカ人の男性が、コントロールできない高血圧(147/84mmHg)と浮腫(0日目)のためにプライマリーケアクリニックを受診した。患者は、フェロジピン1日10mgとアテノロール1日100mgとで治療を受けていた。
【0133】
2カ月:この患者は、ベナゼプリル1日10mgとロサルタン1日50mgを使用し始めた。血中尿素窒素19mg/dL、血清クレアチニン19mg/dL、尿酸8.7mg/dL、尿アルブミン対クレアチニン比1220mg/グラム。
【0134】
3カ月:BPは131/72であった。
【0135】
3.5カ月:患者は腎臓専門医による診察を受けた。血圧は125/81mmHgであった。ベナゼプリルを中止した。
【0136】
4カ月:カリウム4.0、ブドウ糖118、TG 340、LDL 133。
【0137】
5カ月:血圧は168/108mmHgであった。アテノロールを中止した。患者は、長時間作用型ジルチアゼム1日300mgを使用し始めた。ロサルタンを1日100mgに増量し、インダパミド1日1.25mgを追加した。
【0138】
6カ月:血圧は145/93mmHgであった。スピロノラクトン25mgを開始した。
【0139】
7.5カ月:EKG:QTc 441ms、左脚前枝ブロック;カリウム4.4。
【0140】
9.5カ月:血圧は138/79mmHgであった。目立った浮腫はなかった。カリウム4.3、尿酸8.2mg/dL、血中尿素窒素19、クレアチニン1.5、尿アルブミン対クレアチニン比326mg/グラム(73%減)。特筆すべきことに、通常は尿酸の著しい増加と関連するインダパミドを追加したにもかかわらず、ベースライン値から0.5mg/dL減少した。
【0141】
症例3.糖尿病性腎症、高血圧及び27ml/分の推定GFRを示す60歳のヒスパニックの男性は無症候性高尿酸血症を有しており、ベースライン血清尿酸レベルは10.3mg/dLであった。この患者は、高血圧とタンパク尿用のロサルタン1日100mgで治療を受けているところであった。患者は、血圧の最適なコントロール用に、インダパミド1日1.25mgとスピロノラクトン1日25mgを使用し始めた。3カ月後、血清尿酸の範囲は6.4〜7.2mg/dLであった(30%〜38%の減少)。
【0142】
症例4.糖尿病性腎症、高血圧及び2束ブロックを有する56歳のヒスパニックの女性は、以下のベースライン血清値を示していた。尿酸7.5mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、SUN 36mg/dL、尿アルブミン対クレアチニン比1015mg/g。患者は、高血圧とタンパク尿用に、ロサルタン1日100mgとアムロジピン1日5mgで治療を受けていた。患者は、時間0で高血圧用にインダパミド1日1.25mgを使用し始めた。治療9カ月後、血清クレアチニンと尿素窒素は変化していなかったが、血清尿酸は7.0mg/dLとなった。2週間後、患者は、スピロノラクトン1日25mgを使用し始め、血圧の最適なコントロール用に、アムロジピン用量を1日10mgに増量した。このような治療の2週間後、血清クレアチニン、尿素窒素は概して変化していなかったが、血清尿酸は6.1mg/dLとなった(約13%減)。インダパミドとスピロノラクトンの組合せを用いると、尿アルブミン対クレアチニン比は、140mg/gに低下した(86%減)。
【0143】
実施例4
糖尿病性腎症におけるアルブミン尿のさらなるコントロールのためのインダパミド+スピロノラクトン併用療法対チアジド利尿薬の臨床研究
微量アルブミン尿又は顕性アルブミン尿が確認されている幅広い糖尿病対象において、一定の血圧(BP)目標を標的としながらタンパク尿を低下させることに対する、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)治療に追加したときの、インダパミド−スピロノラクトン組合せ対ヒドロクロロチアジド(HCTZ)の効力を比較するために、6カ月間の前向き非盲検無作為化予備研究を記載する。対象は、米国カリフォルニア州サウスロサンゼルスのマーティン・ルーサー・キングJr.マルチサービス外来診療所の糖尿病腎臓病専門クリニックから動員される。MLK−MACCは、約70%のヒスパニックと25%のアフリカ系アメリカ人からなるサウスロサンゼルスのスラム街の、所得が低くかつ教育水準が低い個人の巨大コミュニティとして機能している。1型又は2型糖尿病と、微量アルブミン尿又は顕性アルブミン尿の確かな証拠(少なくとも2回の連続した測定で尿クレアチニン1g当たり30mg以上)とを有する男性又は女性の成人対象で、ACE阻害剤又はARB剤で既に治療を受けている者を登録する。
【0144】
選択される包含/除外基準:
包含
・年齢18〜70歳(18歳と70歳を含む)
・1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病と診断されている
・最短で1週間、最長で6カ月間の間隔をおいて行なわれた少なくとも2回の連続的な測定で、微量アルブミン尿(尿クレアチニン1グラム当たり≧30mg)又は顕性アルブミン尿(尿クレアチニン1グラム当たり≧300mg)が確認されている
・安定した用量(すなわち、少なくとも1カ月間、用量の変更が行なわれていない)のACEI又はARB剤のいずれかによる過去の治療
・ベースライン収縮期BP≧130mmHg又は拡張期BP≧80mmHg
・少なくとも30mL/分の確立されたGFR
・HbA1cレベル<10.0%
【0145】
除外
・ACEIとARB剤の両方を用いた治療に対する何らかの禁忌又は既知の不耐性がある対象
・チアジド、インダパミド、又はスピロノラクトンを用いた治療に対する禁忌又は不耐性がある対象
・平均して≧160mmHgの収縮期BP又は≧100mmHgの拡張期BP
・現在の用量のACEI又はARBで体位性低血圧の症状がある対象
・糖尿病性又は高血圧性腎症以外の原因(例えば、糸球体腎炎、閉塞性尿路疾患など)に帰せられる腎機能障害の既知の病歴又は臨床的な疑い
・血清カリウムレベル<3.0mEq/L、又は>6.0mEq/L;ナトリウムレベル>150mEq/L、カルシウムレベル>11.5mg/dL、活発な痛風の既往歴、頻繁な痛風発作、又は尿酸レベル>10mg/dL
・ACRの信頼できるベースライン評価を提供するように安全かつ効果的にウォッシュアウトすることができないインダパミド、チアジド又はカリウム保持性利尿薬を現在服用している対象
【0146】
転帰:
主要転帰:朝の尿試料から得られた、尿クレアチニン1グラム当たりの尿タンパク質のmgの比として表される、アルブミン−クレアチニン比(ACR)のベースラインからの変化
【0147】
二次転帰:ベースラインからの変化:
・収縮期血圧及び拡張期血圧
・血清クレアチニン、及びMDRD式と血清シスタチンCレベルの両方に基づく推定GFR(eGFR)
・血清Na、K、Ca++、尿酸レベル
・高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)、インターロイキン−6(IL−6)、酸化LDL(oxLDL)
・臨床的有害事象
【0148】
他の変数:肥満度指数(BMI);HbA1c;LDL−コレステロール;(錠剤数で決定した場合の)薬物治療コンプライアンス
【0149】
研究手順:
ベースライン評価:スクリーニングには、病歴、バイタルサイン及び人体測定、CBC、完全な化学検査パネル(電解質、BUN、血清クレアチニン、MDRD式と血清シスタチンCとに基づく推定GFR、肝トランスアミナーゼ、カルシウム、尿酸を含む)、HbA1c、空腹時脂質プロファイル、通常の尿検査、及びスポット尿試料に基づく尿アルブミン−クレアチニン比(ACR)の測定が含まれる。このスクリーニングに基づいて適格であることが明らかになった対象は、確認のために、1週間以内にACRが繰り返し行なわれるべきである(又はそれまで、過去6カ月以内にACR測定が行なわれた)。
【0150】
導入期:重度の高血糖症又は高脂血症がACRに及ぼし得る潜在的な影響を最小限に抑えるために、条件を満たす対象は全て、最大3カ月の持続期間の導入期を経験する。その目的は、推奨される指針に従って血糖コントロール及び脂質コントロールを改善することである。同様に、糸球体と尿細管間質を損傷するアテローム性動脈硬化性及び炎症性プロセスの結果として、高脂血症は腎機能障害の一因とされている。それゆえに、導入期間は、1)食事や生活様式の変更+経口薬及び/又はインスリンを用いた、少なくとも<8.0%へのブドウ糖コントロール、ならびに2)食事や生活様式の変更+HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン)及び/又はエゼチミブを用いた、<100mg/dLへのLDL−コレステロールのコントロールを目標とする。さらに、導入期間は、ACEI又はARB治療をはじめとする、対象の併用療法のコンプライアンスを強調する機会でもある。これらの目標を達成するために最大3カ月が容認され、かつこれらの目標を達成するために治療の用量設定に必要な経過観察の頻度は、治験責任医師の裁量によるものとされる。既にこれらの目標を確実に達成している対象は、ベースライン訪問と無作為化に進んでもよい。これらの目標の両方ともを3カ月後に確実に達成できない対象は脱落させるが、後日、その時の両方の目標を達成することができる場合は、もう1度スクリーニングを受けてもよい。
【0151】
無作為化:導入期間を通過した条件を満たす対象を無作為化し、それまでの治療に加えて、インダパミドとスピロノラクトンの組合せか、又はHCTZのいずれかを受容させる。
【0152】
治験薬、用量設定、及び救援治療:この非盲検治験における全ての治験薬は、高血圧をコントロールするものとしてFDAに承認されているので、ベースライン時に3ヶ月分として十分な量、及び2ヶ月おきに、個々の処方薬(詰め替えをしない)を対象に与える。未使用の薬は全て、研究コーディネーターに提示され、コンプライアンスを決定するために2、4、及び6カ月の各訪問時に数えなければならず、これらの各訪問時にさらに3カ月分の十分な供給を提供し、対象が十分な供給を受けることを保証する。対象の予備試験ACEI又はARB剤及び全ての他の併用療法のコンプライアンスも、これらの訪問時に精査する。全ての他の降圧薬の用量は、体位性低血圧の症状を回避するために用量低下を必要するものでない限り、研究期間中の全体を通して一定であり続けるべきである。割り当てられた治験薬のための段階的な用量設定アルゴリズムを全ての対象に適用する。治療は、無作為化の後、段階1の用量で開始される。BPが1カ月訪問時に≧130/80mmHgのままである場合、対象は、段階2の用量に増量される。インダパミド−スピロノラクトン群に無作為化された対象の場合、段階1は、インダパミド1日1回1.25mgとスピロノラクトン1日1回25mgとからなり、段階2は、インダパミド1日1回2.5mgとスピロノラクトン1日1回25mgとからなる。チアジド群に無作為化された対象の場合、段階1はHCTZ 1日1回12.5mgからなり、段階2はHCTZ 1日1回25mgからなる。段階2の用量で治療した後、BPが2カ月訪問時に≧130/80mmHgのままである場合、BPが<130/80mmHgにコントロールされるまで、対象に、1日2回、0.1mgから始め、忍容される場合、1日2回、0.3mgまで増量するクロニジン、及び/又は就寝前1mgから始め、忍容される場合、就寝前3mgまで増量するグアンファシンをさらに処方する。クロニジン及び/又はグアンファシンの用量設定は、必要な場合、予定されている訪問よりも頻繁に行なわれてもよい。全ての他の併用降圧薬のコンプライアンスは、訪問のたびに強化する。BP<130/80mmHgを、段階2の用量+最大限忍容される用量のクロニジン及び/又はグアンファシンで達成することができない(薬物治療コンプライアンスは十分である)場合、対象を研究から脱落させる。<130/80mmHgのBPが確実に達成されたら、研究の残りについて、体位性低血圧の症状が起こらない限り、全ての降圧薬の用量を、その時点以降、一定に保つ(下記参照)。その後、BPが、薬物治療コンプライアンスの不履行以外の理由で、任意の時点において、再び≧130/80mmHgに上昇した場合は、非薬理学的な対策を通じた食事中のナトリウム制限や体重コントロールに関して徹底的なカウンセリングを適用する。万が一、平均BPが、容易には改善できない理由(例えば、薬物治療コンプライアンスの不履行)又は特定できない理由のために、>140/90mmHgに上昇した場合、対象を研究から脱落させる。
【0153】
試験期間中の任意の時点で、対象が、容易には改善できない理由(例えば、誤投薬)で体位性低血圧の症状を経験した場合(特に、<100mmHgの収縮期BPで裏付けられる場合)、降圧薬の用量低下は、以下の順序に従う:1)体位性低血圧の症状が消失するまで、全ての中枢作用性薬剤(すなわち、クロニジン及び/又はグアンファシン)あるいは全ての併用カルシウムチャネル遮断薬の用量を徐々に減らし:2)これらの薬剤の中止にもかかわらず、症状が持続する場合、末梢浮腫もしくはCHFの既往歴のない対象については、1度に1段階ずつ治験薬の投薬量を減らし、又は末梢浮腫もしくはCHFの既往歴のある対象については、体位性低血圧の症状が消失するまで、対象のACEIもしくはARB剤の用量を半減し:3)対象の治験薬又はACEI/ARB剤の完全な中止にもかかわらず、症状が持続する場合、対象を試験から脱落させるべきである。

導入期間中の訪問の頻度及び臨床検査は、ブドウ糖及び脂質の上昇の重症度によって、治験責任医師の裁量で予定が決められてもよい。導入期間は、合計で3カ月を超えてはならない。
導入期間を必要としない対象については、スクリーニングで得られるパラメータをベースライン測定値として代用してもよい。
出産の可能性のある女性に対してのみ
【0154】
データ解析:
データは、包括解析(ITT)パラダイムと完了した対象のみからなる評価可能例のみの解析(PP)パラダイムの両方によって解析する。ITT解析については、試験を完全な形で完了することができない無作為化対象由来のデータを、無作為化後の分かっている最後の値に基づく前回の観測値を代入する(last−value−carried−forward)(LVCF)アプローチを用いて代入する。非正規分散を適切な方法を用いて変換するか又は同等のノンパラメトリック検定を用いて解析する。
【0155】
研究の重要な転帰パラメータ(ACR、収縮期BP及び拡張期BP、クレアチニン、両方の方法を用いたeGFR、電解質、ならびに臨床的有害事象)の解析を各々、共分散分析(ANCOVA)の反復測定によって解析して、未補正解析としての、ならびに年齢、性別、自己申告の民族性(ヒスパニックとアフリカ系アメリカ人とその他)、BMIの変化、HbA1cの変化、LDL−コレステロールの変化、そして最も重要な、収縮期BP及び拡張期BPの変化の分散の補正後の、経時的な群間差(ベースラインに対して補正される、群×時間相互作用)を決定する。BP応答の変動によるバイアスは、このプロトコルが全対象に対して同じBP目標(すなわち、<130/80mmHg)を設定するという事実によって軽減されるが、いかなる影響も正常血圧の範囲内で説明するために、結果をやはりBPで補正する。
【0156】
さらに、対象をa)性別;b)民族性(アフリカ系アメリカ人とヒスパニック);c)微量アルブミン尿と顕性アルブミン尿(300mg/クレアチニン1グラムを上回る者と下回る者);d)eGFR(60mL/分を上回る者と下回る者);及びe)ベースラインBP(130/80mmHgを上回る者と下回る者)に基づいてサブグループに階層化し、その後、個別に解析して、研究の重要な転帰における群間差が、これらの特定サブグループにおいてより顕著であるか、それともあまり顕著でないかを決定する。多変量補正は全て、適当な線形回帰モデルを用いて行なう。統計的有意はp<0.05とする。
【0157】
上の明細書で述べられた全ての刊行物及び特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及びシステムの様々な修正及びバリエーションは、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者に明白になるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態との関連で記載されているが、特許請求された本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、医療分野の当業者には明白な本発明を実施するための記載された様式の様々な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるタンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、及び高血糖症からなる群から選択される状態を治療するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用。
【請求項2】
対象におけるタンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、及び高血糖症からなる群から選択される状態を治療又は予防するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用であって、
a)タンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、及び高血糖症からなる群から選択される状態を患っているか又はそのような状態の危険に曝されている対象を用意することと、
b)インドリンと抗アルドステロン剤とを含む前記併用療法を提供することと、
c)タンパク尿、アルブミン尿、ナトリウム貯留、低カリウム血症、高カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症、及び高血糖症からなる群から選択される状態に関連する利益を測定することと、を含む使用。
【請求項3】
対象におけるインスリンシグナル伝達障害、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、メタボリックシンドローム、メタボリックシンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、リーベン症候群、CHAOS、栄養不良関連真性糖尿病、糖尿病性腎症、腎症、糸球体疾患、肝疾患、腎疾患、膜性糸球体腎炎、重症心不全、ネフローゼ症候群、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、アルポート症候群、急性溶連菌感染後糸球体腎炎(PSGN)、細菌性心内膜炎、HIV誘導性腎症、糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、膜性腎症(膜性糸球体症)、肥満、微小変化型疾患(MCD)、心不全、高血圧、肝不全、急性腎不全、慢性腎疾患、鬱血性心不全、タンパク尿腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、アミロイド症、及び薬物誘導性腎疾患からなる群から選択される疾患を治療するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用。
【請求項4】
対象における血清カリウムレベルの恒常性、血清尿酸レベルの恒常性、正常な心室リズム、及び正常なQT間隔からなる群から選択される状態を促進するためのインドリンと抗アルドステロン剤とを含む併用療法の使用。
【請求項5】
インドリンと抗アルドステロン剤とを含む組成物。
【請求項6】
前記インドリンがインダパミドである、請求項5に記載の組成物又は請求項1、2、3、もしくは4に記載の使用。
【請求項7】
前記抗アルドステロン剤が、アルドステロン受容体遮断薬及びアルドステロン合成の阻害剤からなる群から選択される、請求項1、2、3、もしくは4に記載の使用又は請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルドステロン受容体遮断薬が、スピロノラクトン及びエプレレノンからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物又は使用。
【請求項9】
前記インドリン及び前記抗アルドステロン剤が、単一の送達ビヒクル中で同時投与されるよう製剤化されている、請求項1、2、3、もしくは4に記載の使用又は請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記単一の送達ビヒクルが経口投与用に製剤化されている、請求項9に記載の組成物又は使用。
【請求項11】
前記併用療法が2以上の送達ビヒクルにより提供される、請求項1、2、3、又は4に記載の使用。
【請求項12】
タンパク尿の予防又は軽減、ナトリウム利尿の促進、及び高血圧の予防又は軽減からなる群から選択される機能を有する薬剤をさらに含む、請求項5に記載の組成物又は請求項1、2、3、もしくは4に記載の併用療法。
【請求項13】
前記薬剤が、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗レニン剤、エンドセリン拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、酸化窒素供与体、神経節遮断薬、αメチルドーパ、α2遮断薬及び抗炎症剤からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物又は使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−522006(P2012−522006A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502286(P2012−502286)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/028841
【国際公開番号】WO2010/111599
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508188444)
【Fターム(参考)】