説明

腫瘍の可視化、組織工学、および癌化学療法におけるフッ化炭水化物およびそれらの使用

本発明は、細胞外のフッ素化複合糖質の形成に有用であるフッ素含有単糖類に関する。細胞外のフッ素化複合糖質を形成する方法は、細胞をフッ素含有単糖類と接触させ、細胞がフッ素含有単糖類またはその誘導体をこの細胞の表面に内在化させる条件の下で、該細胞を培養する、各工程を有してなる。また本発明は、フッ素NMRを使用した細胞撮像におけるフッ素含有単糖類の使用にも関する。本発明はさらに、癌および炎症性疾患の治療におけるフッ素含有単糖類の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つの態様は、フッ素含有単糖類に関する。本発明の別の態様は、少なくとも1つのフッ素含有単糖類を含むオリゴ糖類および多糖類に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞表面を装飾する分子は、それらの全体の物理的特性を管理し、さらに相互作用、認識、および機能の生物学的媒介物質として機能する。近年、細胞表面へ系統的に非天然分子を融合させる方法が新たに出現してきており、示される官能基全体にわたる強力な制御を提供している(非特許文献1〜3)。このような進歩は、自然界では見られない官能性および化学反応性の導入を提供している。後者は、ケトンおよびアジドのような直交官能基が細胞表面に示された、複数の事例において的確に実証されている(非特許文献4〜6)。実際に、この戦略は、生きた動物の細胞表面の修飾へ拡張されている。(非特許文献7〜8)。これらの場合の大部分では、最終的な表面接着は、最初に発現したアジドによるStaudingerライゲーションのためのO−カルボキシメチルアリールホスフィン、または細胞表面発現したケトンによる、オキシムおよびヒドラゾン形成のそれぞれのためのアミノオキシ化合物またはヒドラジドのような、バイオ直交反応による第2の外因性試薬の共有結合反応に由来している。
【0003】
フルオロカーボンの水および炭化水素との非混和性
興味深いことに、フルオロアルキル基による細胞の装飾は、疎水性および疎油性の両方である非共有的に相互作用する表面を提供する。水性および有機媒体の両方におけるフッ素化材料の不溶性は、容易に合理化される。水性溶媒では、疎水性効果は、非混和性の説明に十分である。無極性有機溶媒では、非電解質の溶解性のHildebrandおよびScottの理論を用いることができる(非特許文献9)。
【化1】

【0004】
単純なレベルで、溶解パラメータδは、無極性液体にどの程度混和性があるのかを決定する。2つの無極性液体の混合物内の成分の部分的なモル自由エネルギーは、混合エントロピと混合熱との和によって与えられ、式中、x1およびx2はそれぞれのモル分率であり、φ1およびφ2は容積比率であり、δ1およびδ2は溶解パラメータである。δは(ΔEv/v)1/2によって与えられ、式中、ΔEvは純粋成分の気化エネルギーであり、vは温度Tにおけるモル体積である。δ1=δ2である場合、混合熱は存在せず、2つの液体は理想溶液を形成する。δの差異が大きくなると、相分離が生じる。δの小さな差異は、部分的な混和性をもたらす。フルオラス液体は、δの値が小さいことを特徴とし、分子間相互作用が非常に低い傾向にあることを示す。故に、これらの液体は、大部分の有機溶媒内および水内で独立した相を形成する。
【0005】
したがって、フルオロアルキル修飾を用いることで、これらの基の不活性およびバイオ直交非共有結合特性を活用することができる。この戦略は、ペプチドおよびタンパク質のデザイン研究において成功裏に用いられ、生物学的システム内の非共有会合の制御に対する強力なツールとして新たに出現している(非特許文献10〜16)。
【0006】
シアル酸を含有するグリカンの生合成および細胞表面発現
複数の細胞表面の脂質(例、ガングリオシド)、および大部分の細胞表面のタンパク質および多数の分泌タンパク質は、シアル酸含有のグリカンを組み込む。これらの付加されたオリゴ糖類は、細胞間の認識、通信、接着、および分泌タンパク質の寿命に大きく関わっているものと考えられている。糖タンパク質は、グリカンが、アスパラギン残基のγ窒素原子に付着しているか、またはセリンまたはスレオニン残基のβ酸素原子に付着しているかどうかによって、N結合型またはO結合型の2つのカテゴリに分類される。
【0007】
糖タンパク質のタンパク質部分の構造は遺伝的に符合化されるが、グリコシル化パターンは、小胞体およびゴルジ体内の共同および翻訳後の糖転移酵素によって管理される。しかし、これらの酵素は存在する量がしばしば限られるので、これらの細胞器官を通る全てのタンパク質が、最大限グリコシル化されるわけではない。これは、糖タンパク質の構造に著しい微小不均一性をもたらす。
【0008】
糖タンパク質上のシアル酸残基は、シアル酸が、更なる修飾無しに負電荷を有するために一般的に取り込まれる唯一の単糖類であることから、特に重要な認識要素である。したがって、異なるシアル化がされたタンパク質および脂質によって装飾された細胞は、非共有相互作用のための大幅に異なるサイトを示す。実際に、このように異なる細胞は、しばしば異なる表現型を呈する。この事実は、同一組織における未変換の細胞とは別のシアル化がされた多数の転移腫瘍に見られる細胞によって劇的に示される(非特許文献17)。
【0009】
シアル酸含有糖タンパク質および糖脂質の生合成は、常にシアリル化のステップを含み、このステップでは、シアル酸(N−アセチルノイラミン酸;Neu5Ac;Sia)残基は、CMP−Neu5Acから、タンパク質または脂質へ前に付着したペンダント糖類へ移送される(図1を参照のこと)。このプロセスはシアル酸転移酵素によって触媒され、そのうちの18種の哺乳類がクローン化されている。これらは、合成される結合によって、Siaα2−6Gal、Siaα2−3Gal、Siaα2−8Sia、およびSiaα2−6GalNAcの4つの一般的なカテゴリに分類される(非特許文献18)。既知のシアル酸転移酵素は、グリコシルアクセプタにして厳密な基質特異性を有するが、それらはドナーにおける構造的な多様性に極めて寛容である。
【0010】
シアル酸転移酵素のためのCMP−Neu5Ac基質は、グルコースから、共通中間体UDP−GlcNAcを経て、脊椎動物内で生合成される(図1)。この中間体は、二官能性酵素UDP−GlcNAc2−エピメラーゼ/ManNAcキナーゼによって、ManNAc−6−リン酸塩に変換される。シアル酸骨格は、ホスホエノールピルビン酸塩の3つ炭素を、Neu5Ac−9−リン酸塩合成酵素によって、ManNAc−6−リン酸塩に添加することによって生成される。Neu5Ac−9−リン酸塩ホスファターゼによってリン酸基を除去し、CMP−Neu5Ac合成酵素によってCTPからCMP基を移送することでプロセスが完了する。最後のステップは細胞の核内で生じるため、CMP−Neu5Acの、ゴルジ体への再配置を支援する輸送体が必要である。(ゴルジ体では、CMP−Neu5Acは、シアル酸転移酵素の基質として機能する。)
糖タンパク質および糖脂質への非天然シアル酸類似物の組み込み
1992年に、Werner Reutterの研究所は、N−プロパノイル D−グルコサミンおよびN−プロパノイル D−マンノサミンのどちらも、生体内(ラット)で、対応するN−プロパノイルシアル酸に変換され、この修飾された非天然シアル酸が、細胞表面の糖タンパク質に続いて示されることを実証した(非特許文献7)。この発見以来、複数のグループでは、その、一見すると無差別な性質の生合成経路を用いて、細胞を、修飾糖タンパク質および糖脂質を示すように誘導している。
【0011】
Bertozziは、この戦略を活用して、化学反応度は高いがバイオ直交反応度を有する官能基を含有した修飾シアル酸を細胞表面分子上に示した。例えば、彼女の研究所では、N−レブリノイルマンノサミンおよびN−2−アゼドアセチルマンノサミンが、生体内で、対応する修飾シアル酸にそれぞれ変換され、細胞表面に示されることを実証した(非特許文献5〜6)。前者のケトン基および後者のアジド基は、次いで、ヒドラゾンの形成によって、またはStaudingerライゲーションによってそれぞれ誘導体化することができる。いずれの場合においても、細胞上に、それ以外の反応性を示すものがないので、これは、共有結合様態で選択的に細胞表面を標識化する方法を提供する。
【0012】
類似の方法を使用して、細胞表面に非天然ポリシアル酸を示している(非特許文献19)。
【0013】
シアリル酸の生合成機構の基質特異性が調査されている(非特許文献20)。その結果は、5つ以下の線状炭素を有するアシル基を持つマンノサミンは、この経路を経て細胞表面に効果的に発現するが、より長い鎖または分岐鎖がその発現を大幅に減じることを示している。中間体の蓄積を解析することによって、経路内の最も少ない無差別酵素がManNAc−6−キナーゼであることが分かった。
【0014】
この理解によって、非天然シアル酸類似物を細胞表面分子に組み込むための戦略が改良され、それによって、修飾マンノサミンではなく修飾シアル酸が細胞に添加される。この戦略を使用することで、経路内の最も選択的な酵素がバイパスされたので、さらに多様な一連の修飾が許容される。この方法により、最高で7つの線状炭素のN−アシル基を持つシアル化複合糖質、またはアリールアジドであっても細胞表面に発現させることができる。
【0015】
細胞表面に修飾シアル酸を発現させるための現在の技術における主たる制約は、細胞上の全てのシアル化グリカンの中で、修飾残基の分布に関する情報がほとんど無いことである。これは、選択性がほとんどまたは全く存在しないということなので、N結合型およびO結合型の糖タンパク質および糖脂質は、同程度まで修飾されるものと推定される。修飾シアル酸残基の不均一な表示は、修飾細胞によって呈されるあらゆる表現型の機構の綿密な分子レベルでの研究を複雑にする。細胞表面分子の中の修飾シアル酸の分布を分類する、および/またはグリコカリックス上の個々の分子または複数種の分子を特異的に修飾する単純な方法が必要である。
【0016】
疾病過程における細胞接着
細胞同士の接着、およびフィブロネクチンまたはコラーゲンのような細胞外マトリクス(ECM)の分子への細胞の接着は、適切な組織構成および機能にとって重要である。それ故、多数の疾患プロセスが細胞の接着性の変化と関連づけられており、このプロセスには、多発性硬化症、炎症性腸疾患、ベーチェット病、関節炎、骨盤内炎症性疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、甲状腺の炎症性疾患、真性糖尿病、紅斑性狼瘡のような腫瘍転移、心臓血管系疾患、および種々の他の炎症性疾患、川崎病、免疫性血小板減少紫斑病、壊死性全腸炎、腎炎、アテローム性動脈硬化症、乾癬、痛風およびサルコイドーシスが挙げられる(非特許文献21〜32)。
【0017】
一部の細胞種(例、好中球またはマクロファージのような貪食白血球)は、血流から逃れて病原体攻撃のサイトに移動する(しばしば細胞内深くに埋設される)ために、その細胞種の接着特性において刺激変化を受けなければならない。血管の内皮細胞と下層の基底膜との間の通路による、白血球の係留、ローリング、活性化、制止、および最終的な管外溢出のプロセスには、白血球および内皮細胞双方上の細胞表面の糖タンパク質間の複雑な一連の相互作用が介在する。係留およびローリングには、セレクチンとシアル化糖タンパク質との相互作用が介在すると考えられ、一方で、制止および管外溢出には、主としてインテグリンとECM成分との相互作用、および炎症によって誘導されたICAM−1またはVCAM−1分子が介在すると考えられる(非特許文献33)。このプロセスは、これらの接着分子が動的で相互依存するシグナリングに関わっているという事実によって複雑になる。例えば、インテグリンは、細胞外の結合パートナに対する親和性を調節する「インサイドアウト」のシグナリング、および細胞の接着に対する反応を制御する「アウトサイドイン」のシグナリングに関与する(非特許文献34〜35)。
【0018】
白血球機能、ひいては炎症に対する細胞接着の中心性により、炎症性疾患に対するプロセス内の工程を可能な限り抑える分子の開発に多大な努力が注がれている。さらに、腫瘍転移は、白血球類似の接着糖タンパク質の腫瘍細胞による獲得に少なくとも部分的に起因し、細胞が他の組織に侵入できるようになるものと思われる(非特許文献36)。したがって、接着を阻害する分子には、癌化学療法における用途も見出すことができる。
【非特許文献1】Luchansky, S. J.; Goon, S.; Bertozzi, C. R. "Expanding the diversity of unnatural cell-surface sialic acids" ChemBioChem 2004, 5, 371-4
【非特許文献2】Kiick, K. L.; Saxon, E.; Tirrell, D. A.; Bertozzi, C. R. "Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation" Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2002, 99, 19-24
【非特許文献3】Oetke, C.; Brossmer, R.; Mantey, L. R.; Hinderlich, S.; Isecke, R.; Reutter, W.; Keppler, O. T.; Pawlita, M. "Versatile biosynthetic engineering of sialic acid in living cells using synthetic sialic acid analogues" J. Biol. Chem. 2002, 277, 6688-95
【非特許文献4】Saxon, E.; Bertozzi, C. R. "Cell surface engineering by a modified Staudinger reaction" Science 2000, 287, 2007-10
【非特許文献5】Yarema, K. J.; Mahal, L. K.; Bruehl, R. E.; Rodriguez, E. C.; Bertozzi, C. R. "Metabolic delivery of ketone groups to sialic acid residues - Application to cell surface glycoform engineering" J. Biol. Chem. 1998, 273, 31168-79
【非特許文献6】Lemieux, G. A.; Bertozzi, C. R. "Chemoselective ligation reactions with proteins, oligosaccharides and cells" Trends Biotechnol. 1998, 16, 506-13
【非特許文献7】Kayser, H.; Zeitler, R.; Kannicht, C.; Grunow, D.; Nuck, R.; Reutter, W. "Biosynthesis of a Nonphysiological Sialic-Acid in Different Rat Organs, Using N-Propanoyl-D-Hexosamines as Precursors" J. Biol. Chem. 1992, 267, 16934-8
【非特許文献8】Prescher, J. A.; Dube, D. H.; Bertozzi, C. R. "Chemical remodelling of cell surfaces in living animals" Nature 2004, 430, 873-7
【非特許文献9】Scott, R. L. "The Solubility of Fluorocarbons" J. Am. Chem. Soc. 1948, 70, 4090-3
【非特許文献10】Bilgicer, B.; Kumar, K. "De novo design of defined helical bundles in membrane environments" Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2004, 101, 15324-9
【非特許文献11】Bilgicer, B.; Fichera, A.; Kumar, K. "A coiled coil with a fluorous core" J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4393-9
【非特許文献12】Marsh, E. N. G. "Towards the nonstick egg: designing fluorous proteins" Chem. Biol. 2000, 7, R153-R7
【非特許文献13】Tang, Y.; Ghirlanda, G.; Vaidehi, N.; Kua, J.; Mainz, D. T.; Goddard, W. A.; DeGrado, W. F.; Tirrell, D. A. "Stabilization of coiled-coil peptide domains by introduction of trifluoroleucine" Biochemistry 2001, 40, 2790-6
【非特許文献14】Tang, Y.; Ghirlanda, G.; Petka, W. A.; Nakajima, T.; DeGrado, W. F.; Tirrell, D. A. "Fluorinated coiled-coil proteins prepared in vivo display enhanced thermal and chemical stability" Angew. Chem., Int. Ed. 2001, 40, 1494-1496
【非特許文献15】Tang, Y.; Tirrell, D. A. "Biosynthesis of a highly stable coiled-coil protein containing hexafluoroleucine in an engineered bacterial host" J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 11089-90
【非特許文献16】Niemz, A.; Tirrell, D. A. "Self-association and membrane- binding behavior of melittins containing trifluoroleucine" J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 7407-13
【非特許文献17】Alper, J. "Glycobiology - Turning sweet on cancer" Science 2003, 301, 159-60
【非特許文献18】Angata, T.; Varki, A. "Chemical diversity in the sialic acids and related alpha-keto acids: An evolutionary perspective" Chem. Rev. 2002, 102, 439-69
【非特許文献19】Samuel, J.; Bertozzi, C.R.c “Chemical Tools for the study of polysialic acid” Trends in Glycoscience and Glycotechnology 2004, 16, 305-318
【非特許文献20】Jacobs, C. L.; Goon, S.; Yarema, K. J.; Hinderlich, S.; Hang, H. C.; Chai, D. H.; Bertozzi, C. R. "Substrate specificity of the sialic acid biosynthetic pathway" Biochemistry 2001, 40, 12864-74
【非特許文献21】Ezzat, S.; Asa, S. L. "The molecular pathogenetic role of cell adhesion in endocrine neoplasia" J. Clin. Path. 2005, 58, 1121-5
【非特許文献22】Murakami, Y. "Involvement of a cell adhesion molecule, TSLC1/IGSF4, in human oncogenesis" Cancer Sci. 2005, 96, 543-52
【非特許文献23】Swart, G. W. M.; Lunter, P. C.; van Kilsdonk, J. W. J.; van Kempen, L. "Activated leukocyte cell adhesion molecule (ALCAM/CD166): Signaling at the divide of melanoma cell clustering and cell migration?" Cancer Metastasis Rev. 2005, 24, 223-36
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【非特許文献28】Brauer, P. R. "MMPs - Role in cardiovascular development and disease" Front. Biosci. 2006, 11, 447-78
【非特許文献29】Kanwar, J. R. "Anti-inflammatory immunotherapy for multiple sclerosis/experimental autoimmune encephalomyelitis (EAE) disease" Curr. Med. Chem. 2005, 12, 2947-62
【非特許文献30】Danese, S.; Semeraro, S.; Marini, M.; Roberto, I.; Armuzzi, A.; Papa, A.; Gasbarrini, A. "Adhesion molecules in inflammatory bowel disease: Therapeutic implications for gut inflammation" Dig. Liver Dis. 2005, 37, 811-8
【非特許文献31】Al-Mutawa, S. A.; Hegab, S. M. "Behcet's disease" Clin. Exp. Med. 2004, 4, 103-31
【非特許文献32】Szekanecz, Z.; Koch, A. E. "Therapeutic inhibition of leukocyte recruitment in inflammatory diseases" Curr. Opin. Pharm. 2004, 4, 423-8
【非特許文献33】Luster, A. D.; Alon, R.; von Andrian, U. H. "Immune cell migration in inflammation: present and future therapeutic targets" Nat. Immunol. 2005, 6, 1182-90
【非特許文献34】Ginsberg, M. H.; Partridge, A.; Shattil, S. J. "Integrin regulation" Curr. Opin. Cell Biol. 2005, 17, 509-16
【非特許文献35】Kinashi, T. "Intracellular signalling controlling integrin activation in lymphocytes" Nat. Rev. Immunol. 2005, 5, 546-59
【非特許文献36】Kannagi, R.; Izawa, M.; Koike, T.; Miyazaki, K.; Kimura, N. "Carbohydrate-mediated cell adhesion in cancer metastasis and angiogenesis" Cancer Sci. 2004, 95, 377-84
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の1つの態様は、フッ素含有単糖類に関する。本発明の別の側面は、少なくとも1つのフッ素含有単糖類を含むオリゴ糖類および多糖類に関する。特定の実施形態では、このフッ素含有単糖類は、シアル酸生合成経路の一部である。特定の実施形態では、このフッ素含有単糖類は、マンノサミンまたはシアル酸である。
【0020】
本発明の別の態様では、細胞外のフッ素化複合糖質を形成するための方法を提供し、その方法は、細胞をフッ素含有単糖類と接触させる工程と、細胞が前記フッ素含有単糖類を内在化し、前記フッ素含有単糖類またはその誘導体を含む複合糖質を、細胞の表面に、細胞外的に発現させる条件の下で、この細胞を培養する工程とを含む。特定の実施形態では、この細胞外のフッ素化膜結合型複合糖質が細胞接着を減じる。本発明の別の側面は、フッ素磁気共鳴映像法を使用した細胞の撮像における発明的化合物の使用に関する。本発明のさらに別の側面は、癌(例、腫瘍転移)および炎症性疾患の治療における発明的化合物の使用に関する。
【0021】
定義
本願明細書にて定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照することにより組み込まれた文書における定義、および/または定義された用語の一般的な意味に対して優先されることを理解されたい。
【0022】
本願明細書および請求項に使用される単数形(不定冠詞:「a」および「an」)は、特に明示されている場合を除き、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されたい。
【0023】
本願明細書および請求項で使用する「および/または」という成句は、そのように結合した要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合では結合的に存在し、他の場合では分離的に存在することを意味するものと理解されたい。「および/または」とともに列記された複数の要素は、同じように解釈、すなわち、要素のうちの「1つ以上」がそのように結合しているものとして解釈されたい。特に定義された要素に関係するかしないかに関わらず、「および/または」の節によって特に識別された要素以外に、状況に応じて他の要素が存在する場合がある。したがって、非限定的な例として、「〜を含む」のような非限定の語と関連して使用された場合には、「Aおよび/またはB」という記述は、1つの実施の形態では、Aのみ(状況に応じてB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(状況に応じてA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AとBの両方(状況に応じて、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0024】
明細書および請求項で使用する「または」は、上記で定義した「および/または」と同じ意味を有するものと理解されたい。例えば、列記項目を「または」または「および/または」で区切ることは、包括的である、すなわち、複数の要素またはリスト内の要素のうちの少なくとも1つを含むだけでなく、2つ以上を含み、状況に応じて、列記されていない項目をも含むものと解釈されたい。「〜のうちの1つのみ」または「〜のうちの1つだけ」、あるいは、請求項で使用される場合の「〜から成る」のような、上記とは異なる関係を明確に示す用語のみが、複数の要素またはリスト内の要素のうちの1つだけを含むことを示すことになる。一般的に、本願明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、「〜のうちの1つだけ」のような排他的な用語が後にある場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではなくどちらか一方」)を示すものとして解釈されたい。請求項で使用される場合の、「〜のみから実質的に成る」は、特許法の分野において使用されるような一般的な意味を有するものとする。
【0025】
明細書および請求項で使用する、1つ以上の要素を有する列記項目を参照した際の「少なくとも1つの」という成句は、列記項目のいずれか1つ以上から選択した少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも列記項目内に具体的に列記されたあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、列記項目の要素のいかなる組み合わせをも除外しないものと理解されたい。本定義は、「少なくとも1つの」という成句が参照する列記項目で特定された要素以外の要素が、特定された要素に関係するかしないかに関わらず、状況に応じて存在する場合があることも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、あるいは「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施の形態では、Aを、少なくとも1つ、状況によっては1つ以上を含み、Bが存在しない(および状況によってはB以外の要素を含む)こと、別の実施形態では、Bを、少なくとも1つ、状況によっては1つ以上を含み、Aが存在しない(および状況によってはA以外の要素を含む)こと、さらに別の実施形態では、Aを、少なくとも1つ、状況によっては1つ以上を含み、Bを、少なくとも1つ、状況によっては1つ以上を含む、(および状況によっては他の要素を含む)ことなどを指すことができる。
【0026】
また、特に、異なって明示される場合を除き、2つ以上の工程または作用を含む、本願明細書に請求されたあらゆる方法において、本方法の工程または作用の順序は、必ずしも本方法の工程または作用が列挙された順序に限定されるものではないと理解されたい。
【0027】
添付の請求項および明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「包含する」、「伴う」、「保持する」、「〜から構成される」などのような全ての移行句は、非限定である、すなわちそれらを含むがそれらに限定されないことを意味するものと理解されたい。米国特許庁の特許審査便覧セクション2111.03に記載されているように、「〜から成る」、「〜から実質的に成る」という移行句のみ、それぞれ限定または一部限定移行句とする。
【0028】
本願明細書で使用する「結合する」という用語は、あらゆる疎水性、非特異性、または、特異性相互作用を伴うことができ、「生物学的に結合する」という用語は、相互の親和性または結合能力を呈する対応する対の分子間の相互作用、一般的に特異性または非特異性の結合または相互作用を指す。生物学的な結合は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモンなどを含む複数対の分子間に生じる相互作用の種類を定義する。具体的な例には、タンパク質/炭水化物、抗体/抗原、抗体/ハプテン、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/アビジン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/共同因子、タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクタ、核酸(例、DNAおよび/またはRNA)の相補ストランド、タンパク質/核酸、阻害剤/誘導剤、リガンド/受容体、ウイルス/リガンドなどが挙げられる。
【0029】
本願明細書で使用する「生物学的実体」とは、生物学的源から少なくとも部分的に導出される実体である。生物学的実体の非限定的な例には、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、オリゴヌクレオチドであり、DNAおよび/またはRNAを含むことができる)、脂肪酸、炭水化物、糖、ホルモン、酵素、受容体、脂質、ウイルス、細菌、細胞などが挙げられる。ある場合では、生物学的実体は、再生能力(自己再生となり得る)を有するもの、すなわち、生物学的実体は細胞(例、バクテリア)またはウイルスである。特定の場合では、生物学的実体は「病原体」であり、すなわち、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、鶏肉、霊長類、ラット、マウスなどの対象に導入された際に疾患を生じさせることができる実体である。
【0030】
本願明細書で使用する「生物学的認識要素」は、例えば種に特異的に結合することによって、バクテリア、細胞、ウイルスなどのような、生物学的実体および/または生物学的実体上に存在する種と相互作用することができる実体である。ある場合では、相互作用は、特定の相互作用となる場合がある。例えば、実体はその種と相互作用することができ、実体のその種に対する親和性は、実体の生物学的実体に存在する他の種、または類似した生物学的実体に存在する他の種に対する親和性よりも大きくなる。例えば、生物学的認識要素は、例えばタンパク質に結合することによって、バクテリアまたは細胞の表面に発現するタンパク質と相互作用することができ、一方で、生物学的認識要素は、バクテリアまたは細胞および/または他の細菌または細胞に他の類似したタンパク質とは相互作用しない(および/またはより少ない親和性で相互作用する)。
【0031】
特定の場合では、生物学的認識要素は、生物学的実体と特異的に相互作用するものであり、すなわち、生物学的認識要素は、他の生物学的実体よりもはるかに大きな程度で、特定の実体(または生物学的実体種類)と相互作用する。生物学的実体に存在することができる種の非限定的な例には、例えば細胞表面の受容体、酵素、構造タンパク質などのタンパク質が挙げられる。他の例には、特定の受容体および脂質(例、リン脂質)が挙げられる。生物学的認識要素の一例は炭水化物であり、タンパク質をバクテリアまたは細胞の表面に特異的に結合することができる。炭水化物の例には、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類が挙げられる。生物学的認識要素の他の非限定的な例には、グリコサミノグリカン、糖脂質、タンパク質、抗体、糖タンパク質、およびレクチンが挙げられる(すなわち、炭水化物を結合することができ、場合によっては細胞凝集をもたらす)。さらに、生物学的実体に結合することができる炭水化物の非限定的な例には、マンノース(大腸菌またはサルモネラ菌に結合することができる)、フコース(緑膿菌を結合することができる)、シアル酸(インフルエンザウイルスを結合することができる)、ヘパリン(単純ヘルペスウイルスを結合することができる)、Lewis基抗原(ヘリコバクターピロリを結合することができる)が挙げられる。多くの場合において、これらの相互作用は、性質上、多価である。ある場合では、炭水化物を特異的に選択して特定の生物学的エンティティに結合することができる。このような炭水化物の非限定的な例には、Ratner他が述べているものが挙げられる(参照することによりその全体が組み込まれる、Ratner, D.M. "Probing Protein-Carbohydrate Interactions with Microarrays of Synthetic Oligosaccharides" ChemBioChem 2004, 5, 379-383)。
【0032】
本願明細書で使用する「炭水化物」(または同等に「糖」)は、糖類(単糖類、オリゴ糖類、および多糖類を含む)および/または、例えばカルボニル基の還元によって、カルボン酸への1つ以上の末端基の酸化によって、水素原子、アミノ基、チオール基、または類似したヘテロ原子基による1つ以上のヒドロキシ基の置換によるなどして、1つ以上の単糖類から導出された分子(オリゴマまたはポリマーを含む)である。また「炭水化物」という用語は、これらの化合物の誘導体も含む。炭水化物の非限定的な例には、アロース(「All」)、アルトロース(「Alt」)、アラビノース(「Ara」)、エリトロース、エリトルロース、フルクトース(「Fru」)、フコサミン(「FucN」)、フコース(「Fuc」)、ガラクトサミン(「GalN」)、ガラクトース(「Gal」)、グルコサミン(「GlcN」)、グルコサミニトール(「GlcN−ol」)、グルコース(「Glc」)、グリセルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシプロパナール、グリセロール(「Gro」)、プロパン−1,2,3−トリオール、グリセロン(「1,3−ジヒドロキシアセトン」)、1,3−ジヒドロキシプロパノン、グロース(「Gul」)、イドース(「Ido」)、リキソース(「Lyx」)、マンノサミン(「ManN」)、マンノース(「Man」)、プシコース(「Psi」)、キノボース(「Qui」)、キノボサミン、ラムニトール(「Rha−ol」)、ラムノサミン(「RhaN」)、ラムノース(「Rha」)、リボース(「Rib」)、リブロース(「Rul」)、シアル酸(「Sia」または「Neu」)、ソルボース(「Sor」)、タガトース(「Tag」)、タロース(「Tal」)、酒石酸、エリトラル/トレアル酸剤、トレオース、キシロース(「Xyl」)、またはキシルロース(「Xul」)が挙げられる。ある場合では、炭水化物は、ペントース(すなわち、5つの炭素を有する)またはヘキソース(すなわち、6つの炭素を有する)となる場合があり、場合によっては、炭水化物は、例えば上述したものを含む、ペントースおよび/またはヘキソース単位を含むオリゴ糖類となる場合がある。
【0033】
「単糖類」とは、1つの糖類単位を含む炭水化物または炭水化物誘導体である。同様に、「二糖類」、「三糖類」、「四糖類」、「五糖類」などは、それぞれ、2つ、3つ、4つ、5つなどの糖類単位を有する。本願明細書で使用する「オリゴ糖類」は、1〜20の糖類単位を有し、糖類単位は、例えばあらゆる好適なヒドロキシ部分などを使用して、αまたはβ結合を通じて、あらゆる好適な構成で結びつけることができる。オリゴ糖類は、直鎖状、または場合によっては分岐状となる場合がある。本願明細書で使用する「多糖類」は、一般的に少なくとも4〜20の糖類単位を有する。例えば、多糖類は、少なくとも25の糖類単位、少なくとも50の糖類単位、少なくとも75の糖類単位、少なくとも100の糖類単位などを有することができる。ある場合では、炭水化物は多量体であり、すなわち2つ以上の糖類鎖を備える。
【0034】
本発明のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87の内表紙の周期表に従って識別される。
【0035】
本願明細書で使用する場合、接頭辞の「フッ化」は、後述するようにアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはアシル部分を指し、水素の一部または全てがフッ素で置換される。特定の実施形態では、約80%を超える水素が、フッ素で置換される。特定の実施形態では、約90%を超える水素が、フッ素で置換される。特定の実施形態では、約95%を超える水素が、フッ素で置換される。特定の実施形態では、約100%の水素が、フッ素で置換される。特定の実施形態では、アルキル部分に適用される接頭辞の「フッ化」は、例えば「−(CH2n(CF2mCF3」で表されるアルキル基であり、式中、nは1から10の整数であり、mは1から10の整数である。
【0036】
「パーフルオロアルキル」という用語は、当技術分野で認識されており、全ての水素がフッ素に置換されたアルキル基を指す。例えば、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチルは、パーフルオロアルキル基である。
【0037】
「ヘテロ原子」という用語は、当技術分野で認識されており、炭素または水素以外のあらゆる要素の原子を指す。例示的なヘテロ原子には、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄、およびセレニウムが挙げられる。
【0038】
「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基のラジカルを指し、直鎖状アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む。特定の実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その主鎖内に30以下の炭素原子(例、直鎖の場合はC1〜C30、分岐鎖の場合はC3〜C30)、および好ましくは20以下の炭素原子を有する。同様に、好適なシクロアルキル類は、それらの環状構造内に4〜10の炭素原子を、好ましくは環状構造内に5つ、6つ、または7つの炭素を有する。
【0039】
炭素の数が特に指定されている場合を除き、本願明細書で使用する「低級アルキル」は、上記に定義したように、アルキル基を意味するが、その主鎖構造内に、1から10の炭素原子を、より好ましくは1から6つの炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、類似した鎖長を有する。
【0040】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、長さ、および、可能な置換において、上述したアルキルと類似する不飽和脂肪族基を指すが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重の炭素間結合を含有する。
【0041】
「アラルキル」という用語は、当技術分野で認識されており、アリール基(例、芳香族または複素環式芳香族化合物基)で置換したアルキル基を指す。
【0042】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、当技術分野で認識されており、長さ、および、可能な置換において、上述したアルキルと類似する不飽和脂肪族基を指すが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含有する。
【0043】
「アリール」という用語は、当技術分野で認識されており、0から4つのヘテロ原子を含むことができる5、6、および7員の単環芳香族基を含み、この基は、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどである。環状構造内にヘテロ原子を有するアリール基は、「アリールヘテロ環」または「複素環式芳香族化合物」とも称される場合がある。芳香族環は、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または複素環式芳香族化合物部分、−CF3、−CNなどの、上述したような置換基と、1つ以上の環の位置において置換することができる。また「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接した環に共通である(環は、「融合環」である)2つ以上の環状の環を有する多環環系統のラジカルを含み、その環のうちの少なくとも1つが芳香族であり、例えば、他の環状の環は、シクロアルキル類、シクロアルケニル類、シクロアルキニル類、アリール類、および/またはヘテロシクリル類となる場合があり、ラジカルは芳香族環上にある。
【0044】
オルトメタ、およびパラという用語は、当技術分野で認識されており、それぞれ1,2−、1,3−、および1,4−二置換ベンゼン類を指す。例えば、1,2−ジメチルベンゼンと、オルト−ジメチルベンゼンという名前は同義である。
【0045】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロアリール」、または「複素環基」という用語は、当技術分野で認識されており、3から約10員の環状構造、代替的には、3から約7員の環状構造を指し、その環状構造は1つから4つのヘテロ原子を含む。ヘテロ環は多環となる場合もある。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサンテン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンのようなラクタム、スルタム、スルトンなどが挙げられる。複素環は、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または複素環式芳香族化合物部分、−CF、−CNなどの、上述したような置換基で、1つ以上の環の位置において置換することができる。
【0046】
「多環式」または「多環基」という用語は、当技術分野で認識されており、2つ以上の炭素が2つの隣接した環に共通である(例えば、環が「融合環」である)2つ以上の環(例、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を指す。非隣接の原子を通じて結びつけられた環は、「架橋された」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または複素環式芳香族化合物部分、−CF、−CNなどの、上述したような置換基で置換することができる。
【0047】
「炭素環」という用語は、当技術分野で認識されており、環の各原子が炭素である芳香族または非芳香族環を指す。
【0048】
本願明細書で使用する「アミノ」という用語は、−NH2を意味し、「ニトロ」という用語は、−NO2を意味し、「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Br、または−Iを表し、「チオール」という用語は、−SHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味し、「スルホニル」という用語は、−SO2を意味し、「有機金属系」という用語は、金属原子(水銀、亜鉛、導線、マグネシウム、またはリチウムなど)、またはジフェニルメチルシリル基のような炭素原子に直接結合される半金属(シリコン、砒素、またはセレニウムなど)を指す。
【0049】
「アミン」および「アミノ」という用語は、当技術分野で認識されており、非置換および置換両方のアミンを指し、例えば次のような一般式で表すことができる部分である。
【化2】

【0050】
式中、R50、R51、およびR52は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R61、またはR50およびR51を表し、付着するN原子とともに、環状構造内に4つから8つの原子を有するヘテロ環を完成し、R61は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を表し、mは、ゼロまたは1から8の整数である。他の実施形態では、R50およびR51(および、状況に応じてR52)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R61を表す。したがって、「アルキルアミン」という用語は、上記に定義したように、置換または非置換アルキルを付着させたアミン基を含み、すなわちR50およびR51のうちの少なくとも1つはアルキル基である。
【0051】
「アシル」という用語は、C(=O)R62を指し、式中、R62は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルである。
【0052】
「アシルアミノ」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分である。
【化3】

【0053】
式中、R50は、上記に定義したとおりであり、R54は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R61であり、式中、mおよびR61は上記に定義したとおりである。
【0054】
「アミド」という用語は、アミノ置換カルボニルとして当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を含む。
【化4】

【0055】
式中、R50およびR51は、上記に定義したとおりである。本発明におけるアミドの特定の実施形態は、不安定になり得るイミドを含まない。
【0056】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄ラジカルを付着させた、上記に定義したアルキル基のことである。特定の実施形態では、「アルキルチオ」部分は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH2m−R61のうちの1つによって表され、式中、mおよびR61は上記に定義したとおりである。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0057】
「カルボキシル」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を含む。
【化5】

【0058】
式中、X50は、結合か、または酸素または硫黄を表し、R55は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R61、または薬学的に許容可能な塩を表し、R56は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R61を表し、式中、mおよびR61は上記に定義したとおりである。X50が酸素であり、R55またはR56が水素ではない場合、この式は「エステル」を表す。X50が酸素であり、R55が上記に定義したとおりである場合、本願明細書では、その部分をカルボキシル基と称し、特にR55が水素である場合には、この式は「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、R56が水素である場合、この式は「ギ酸塩」を表す。概して、上述の式の酸素原子を硫黄と置換した場合、この式は「チオールカルボニル」基を表す。X50が硫黄であり、R55またはR56が水素ではない場合、この式は「チオールエステル」を表す。X50が硫黄であり、R55が水素である場合、この式は「チオールカルボン酸」を表す。X50が硫黄であり、R56が水素である場合、この式は「チオールギ酸塩」を表す。一方、X50が結合であり、R55が水素でない場合、上述の式は「ケトン」基を表す。X50が結合であり、R55が水素である場合、上述の式は「アルデヒド」基を表す。
【0059】
「カルバモイル」という用語は、−O(C=O)NRR’を指し、式中、RおよびR’は、独立してH、脂肪族基、アリール基、またはヘテロアリール基である。
【0060】
「オキソ」という用語は、カルボニル酸素(=O)を指す。
【0061】
「オキシム」および「オキシムエーテル」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を含む。
【化6】

【0062】
式中、R75は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、または−(CH2m−R61である。RがHである場合には、この部分は「オキシム」であり、Rがアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、または−(CH2m−R61である場合には、「オキシムエーテル」である。
【0063】
「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、当技術分野で認識されており、酸素ラジカルを付着させた、上記に定義したアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合した2つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルとする、そのアルキルの置換基は、アルコキシルか、または−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2m−R61のうちの1つで表すことができるようなアルコキシルに類似し、式中、mおよびR61は上述したとおりである。
【0064】
「スルホネート」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を指す。
【化7】

【0065】
式中、R57は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0066】
「サルフェート」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を含む。
【化8】

【0067】
式中、R57は、上記に定義したとおりである。
【0068】
「スルホンアミド」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を含む。
【化9】

【0069】
式中、R50およびR56は、上記に定義したとおりである。
【0070】
「スルファモイル」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を指す。
【化10】

【0071】
式中、R50およびR51は、上記に定義したとおりである。
【0072】
「スルホニル」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を指す。
【化11】

【0073】
式中、R58は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールのうちの1つである。
【0074】
「スルホキシド」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる部分を指す。
【化12】

【0075】
式中、R58は、上記に定義したとおりである。
【0076】
「ホスホリル」という用語は、当技術分野で認識されており、概して次のような式で表すことができる。
【化13】

【0077】
式中、Q50は、SまたはOを表し、R59は、水素、低級アルキル、またはアリールを表す。例えばアルキルの置換に用いる場合には、ホスホリルアルキルのホスホリル基は、次のような一般式で表すことができる。
【化14】

【0078】
式中、Q50およびR59は、それぞれ独立して上記に定義したとおりであり、Q51は、O、S、またはNを表す。Q50がSである場合、ホスホリル部分は「ホスホロチオエート」である。
【0079】
「ホスホラミダイト」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる。
【化15】

【0080】
式中、Q51、R50、R51、およびR59は、上記に定義したとおりである。
【0081】
「ホスホンアミダイト」という用語は、当技術分野で認識されており、次のような一般式で表すことができる。
【化16】

【0082】
式中、Q51、R50、R51、およびR59は、上記に定義したとおりであり、R60は、低級アルキルまたはアリールを表す。
【0083】
類似した置換をアルケニルおよびアルキニル基に行って、例えば、アミノアルケニル類、アミノアルキニル類、アミドアルケニル類、アミドアルキニル類、イミノアルケニル類、イミノアルキニル類、チオアルケニル類、チオアルキニル類、カルボニル置換アルケニル類またはアルキニル類を生成することができる。
【0084】
「セレノアルキル」という用語は、当技術分野で認識されており、置換セレノ基を付着させたアルキル基を指す。アルキル上で置換することができる例示的な「セレノエーテル」は、−Se−アルキル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニル、およびーSe−(CH2m−R61のうちの1つから選択され、式中、mおよびR61は上述したとおりである。
【0085】
トリフリル、トシル、メシル、およびノナフリルという用語は、当技術分野で認識されており、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、およびノナフルオロブタンスルホニル基を指す。トリフレート、トシラート、メシラート、およびノナフレートという用語は、当技術分野で認識されており、それぞれトリフルオロメタンスルホン酸塩エステル、p−トルエンスルホン酸塩エステル、メタンスルホン酸塩エステル、およびノナフルオロブタンスルホン酸塩エステル官能基およびその基を含有する分子を指す。
【0086】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、およびメタンスルホニルを表す。当業の有機化学者が用いる略語のより包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の第一版に見られ、このリストは一般的に、Standard List of Abbreviationsという標題の表に示されている。
【0087】
各表現(例、アルキル、m、n)の定義は、いずれかの構造内に2回以上現れた場合、同じ構造内の他の場所の定義とは無関係であるものとする。
【0088】
本発明の組成物に含有される特定の化合物は、特定の幾何学的または立体異性形態で存在することができる。さらに本発明のポリマーは、光学活性の場合もある。本発明は、シスおよびトランス異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、および他のそれらの混合物を含む、そのような全ての化合物を、本発明の範囲内にあるものとして、考慮する。更なる不斉炭素原子は、アルキル基のような置換基内に存在させることができる。全てのこのような異性体、ならびに、その混合物は、本発明に含まれることを意図している。
【0089】
例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体が望まれる場合は、不斉合成によるか、またはキラル補助基による導出によって調製することができ、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を開裂して純粋な所望のエナンチオマーを提供する。別様には、分子が、アミノのような塩基性官能基、またはカルボキシルのような酸性官能基を含有している場合、ジアステレオマー塩は、光学活性の酸または塩基で形成され、その後にジアステレオマーを分解し、したがって、当技術分野で既知である分別晶析またはクロマトグラフィ手段、およびそれに続く純粋なエナンチオマーの採収によって形成される。
【0090】
「置換」または「〜で置換した」という語は、このような置換は、置換原子および置換基の許容結合価に従っており、置換によって、例えば再構成、環化、除去、または他の反応などによって形質転換を自発的に受けない、安定した化合物が得られるという、暗黙の条件を含む。
【0091】
また「置換した」という用語は、全ての許容される有機化合物の置換基を含むことも意図する。広範な側面では、許容される置換基は、鎖状および環状、分岐および非分岐、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族の有機化合物を含む。例示的な置換基には、例えば本願明細書に記載のものが挙げられる。許容される置換基は、1つ、あるいは、それ以上、および、同一または異なる適切な有機化合物であることができる。本発明の目的を達成するために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/または、ヘテロ原子の原子価を満たす本願明細書に記載の有機化合物のあらゆる許容される置換基を有することができる。本発明は、有機化合物の許容される置換基によるいずれかの方法に限定することを意図しない。
【0092】
本願明細書で使用する「保護基」という成句は、潜在的に反応性のある官能基を、不要な化学変換から保護する一時的な置換基を意味する。このような保護基の例には、それぞれカルボン酸のエステル類、アルコール類のシリルエーテル類、およびアルデヒド類およびケトン類のアセタール類およびケタール類が挙げられる。保護基化学の分野は再調査されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。発明的化合物の保護形態は、本発明の範囲内に含まれる。
【0093】
「薬学的に許容可能な塩」または「塩」という用語は、1つ以上の化合物の塩を指す。化合物の好適な薬学的に許容可能な塩は、例えば化合物の塩を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、炭酸などのような薬学的に許容可能な酸の溶液と混合することによって形成することができる、酸添加塩を含む。化合物が1つ以上の酸性部分を担持している場合、薬学的に許容可能な塩は、化合物の溶液を、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、アルキルアミンなどのような薬学的に許容可能な塩基の溶液で処理することによって形成することができる。
【0094】
「薬学的に許容可能な酸」という用語は、実質的な毒性を呈さない無機または有機酸剤を指す。薬学的に許容可能な酸の例には、これに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、炭酸などが挙げられる。
【0095】
本願明細書で使用する「患者」という用語は、一般的には哺乳類またはヒト指し、治療、観察、および/または実験の対象になり得る、または対象となっている動物である。この用語が化合物または薬剤の投与とともに使用される場合には、この対象は、治療、観察、および/またはその化合物または薬剤の投与の対象である。
【0096】
本願明細書で使用する「治療上有効量」という用語は、細胞培養、組織系、動物、またはヒトにおいて、治療されている疾患、状態、または障害の症状の緩和を含む、研究者、獣医、臨床医、または医師が求めている、生物学的または薬物的反応を誘発する活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0097】
「組成物」という用語は、特定の量の特定の成分を含む製品、および直接的または間接的に特定の量の特定の成分の組み合わせによって得られるあらゆる製品を包含することを意図する。
【0098】
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、化合物の所望の剤形を調製するために用いる媒体を指す。薬学的に許容可能なキャリアには、1つ以上の溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散体または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、潤滑油などが挙げられる。Remington's Pharmaceutical Sciences, Fifteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1975)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, Third Edition, A. H. Kibbe ed. (American Pharmaceutical Assoc. 2000)には、医薬組成物の調製に使用される種々の担体、およびその調製のための既知の手法が記載されている。
【0099】
本願明細書において本発明の複数の実施形態を図とともに説明しているが、当業者は、機能を実行するための機構、および/または本願明細書に記述された結果および/または1つ以上の利点を得るための様々な他の手段を容易に想定されよう。また、そのような変形および/改良のそれぞれは、本発明の範囲内にあるものとみなされる。さらに一般的に言えば、当業者は、本願明細書に記述された全てのパラメータ、寸法、材料、および配置は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または配置は、本発明の教示を用いた単一または複数の特定の(一つ、あるいは複数の)用途に依存するものであると容易に理解されよう。当業者は、単に所定の実験のみを用いて、本願明細書に記載された本発明の特定の実施形態には多くの同等物があることを認識または確認することが可能であろう。したがって、実施形態は、一例として示されたものに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲で、本発明が特に記述および主張されたものとは異なって実行される場合もあると理解されたい。本発明は、本願明細書に記載された個々の特性、系、物品、物質、キット、および/または方法に関する。加えて、このような特性、系、物品、物質、キット、および/または方法が互いに矛盾していなければ、2つ以上のこのような特性、系、物品、物質、キット、および/または方法のあらゆる組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0100】
代謝前駆体の合成
1つの実施の形態では、フッ素化基質は、C2位置でのマンノサミンの制御フッ素化を通じて、シアル酸生合成経路に導入することができる。特定の実施形態では、このフッ素化は、N−フルオロアシル側鎖の形態である。化合物は、結合試薬としてHBTUを使用したアミノ基のアシル化によるルーチン形態で調製し、Ac2Oを使用してさらに過アセチル化した。図2は、細胞膜を越える能力に対する調製および試験、およびその後に細胞溶解物の細胞質画分を分析することによって、対応するシアル酸への変換に対して調製および試験を行った、または行うことができる基質を示す。膜画分の加水分解および蛍光標識化によって、これらの誘導体をタンパク質および脂質の細胞表面部分へ付加する細胞機構の能力を確認することができる。全ての化合物は、遊離およびパーアセチルの両方の形態で合成した、または合成することができる。過アセチル化した誘導体が容易に細胞膜を越え、したがって高効率に組み込まれることは以前に示されている(Jacobs, C. L.; Yarema, K. J.; Mahal, L. K.; Nauman, D. A.; Charters, N. W.; Bertozzi, C. R. In Applications of Chimeric Genes and Hybrid Proteins Pt B 2000; Vol. 327, p 260-75)。マンノサミンのシアル酸への変換のための生合成経路におけるボトルネックとなるステップは、ManNAc6−キナーゼによるC6での水酸基のリン酸化である。この酵素の比較的厳しい構造的要件のため、特定の実施形態では、非天然シアル酸は、供給実験時に直接使用される。修飾シアル酸は、化学的に調製するか、またはN−アセチル−D−マンノサミンおよびピルビン酸塩の可逆的縮合を触媒するシアル酸アルドラーゼ(E.C.4.1.3.3)によるN−アシルマンノサミンの酵素の変換によって調製することができる(Lin, C. C.; Lin, C. H.; Wong, C. H. "Sialic acid aldolase-catalyzed condensation of pyruvate and N-substituted mannosamine: A useful method for the synt
hesis of N-substituted sialic acids" Tetrahedron Lett. 1997, 38, 2649-52)。後者の方法を使用して、2の状態から3つの工程を通じて23〜35%の収量で、フッ素化シアル酸5e〜j(過アセチル化したカルボン酸のメチルエステル)を得た。これらの化合物は、次いでシアロ糖抱合体として細胞表面に組み込むための試験を行った。
【0101】
細胞質画分のESI−MS解析
フッ素化N−アシルマンノサミン4a、4b、4d、4e、および4gの細胞膜を越える能力、および以降の対応するシアル酸への変換を受ける能力は、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI−MS)解析を使用して精査した。3つ細胞系統、Jurkat(ATTC TIB−152)、HL−60(ATCC CCL−240)、HeLa(ATCC CCL−2)を調査した。簡潔に述べると、細胞(通常20mLの培養基内に5×105細胞/mL)を、200μMの化合物で36〜48時間処理し、次いで細胞質画分を、細胞のペレット化、洗浄、およびその後の凍結融解サイクルによって誘導される溶解によって回収した。単離したものを、次いで3000MWの遮断フィルタを通過させ、濃縮して、CH3CN/H2Oの線形勾配を使用したVydac C4(2.1mm×150mm、5μ)カラムを使用して、ESI−MSによって分析した。化合物5a、5b、および5dは容易に検出され、基準の標準品の混注によってそれらの同一性が確認されたが、フッ素化シアル酸5eおよび5gは、細胞質内に検出されなかった。図3は、化合物4bおよび4dによって培養された細胞のESI−MSデータを示す。
【0102】
シアル酸は、Jurkat細胞の細胞質内に大量に蓄積しない。一方で、この構造を通り抜ける流量は、細胞につき108〜1010個のシアル酸で細胞表面を満たすのに十分な量である。最初の結果では、シトソル内のフッ素化シアル酸を検出することができない潜在的な理由として、(1)フッ素化マンノサミンは、対応するシアル酸に変換されないこと、または(2)後の工程で、生合成変換によって得られたシアル酸がより速い割合で消費されるので、シトソル内の定常状態濃度が低くなること、の2つが示された。これらの可能性は、シアル酸を直接供給することによって得られるデータに照らして後述する。
【0103】
フッ素化シアル酸の細胞表面発現
細胞質画分内のシアル酸類似物の存在は、これらの分子の細胞表面発現を反映していないので、細胞表面のシアル糖抱合体へのシアル酸の組み込みに対する信頼性の高い分析法を確立することに注力した。これらの実験では、シアル酸の下流の複数の生合成ステップの全体的な作用、すなわち、活性化、処理、およびタンパク質および脂質への取り付け、および最終的に膜への良好な輸送を分析する。上述のように、マンノサミンの6つの誘導体を調製および試験した。シアル酸生合成経路(ManNAc6−キナーゼ)における最も厳しいステップをバイパスするために、供給実験で直接使用するフッ素化シアル酸も調製した。シアル酸は、マンノサミンの酵素の対応するシアル酸への変換によって、上述したとおりに合成した。フッ素含有シアル酸は、過アセチル化したメチルエステル形態でJurkat、HeLa、およびHL−60細胞に供給した。それは、ReutterとBertozziは、この形態でシアル酸を外因的に添加することによって、広範囲の誘導体の効率的な組み込みが得られることを独立して示しているからである。N−アシル鎖上のフッ素化の程度は、単一末端のトリフルオロメチル基から−C1117基まで様々に変えられた。
【0104】
細胞表面へのシアル酸の組み込みを視覚化して定量化するために、1,2−ジアミノ−4,5−メチレンジオキシベンゼン(DMB)を、α−ケト酸を標識化するための蛍光試薬として使用した(図4)(Hara, S.; Yamaguchi, M.; Takemori, Y.; Furuhata, K.; Ogura, H.; Nakamura, M. "Determination of Mono-O-Acetylated N-Acetylneuraminic Acids in Human and Rat Sera by Fluorometric High-Performance Liquid-Chromatography" Anal. Biochem. 1989, 179, 162-6)。簡潔に述べると、膜画分は、所与の化合物(通常200μM、最大900μM)で3日間培養した後に得られた。膜ペレットは、次いで2MのAcOHを用いて80℃で加水分解し、その後DMBと反応させて、対応するキノキサリノン誘導体を生成した。サンプルは、蛍光検出器を使用してHPLCによって分析した。保持時間は(基準試料との比較によって)識別情報を提供し、LC ESI−MSは分子構造を確認し、ピークの積分は膜由来のシアル酸の相対量に関する定量的情報を提供する。
【0105】
図5は、このように試験されたマンノサミンおよびシアル酸誘導体をカタログ化した図である。複数のグループは、アシル鎖長の限度およびこの経路によって許容される官能基を調査した。マンノサミン誘導体内のアシル鎖への末端ペンタフルオロエチルまたはトリフルオロメチル基の導入は、炭化水素の対応部分と比較して、組み込みを著しく減少させるのに十分な場合があった。しかし、シアル酸誘導体は、容易に組み込まれた。特定の化合物は、かなり高い組み込み効率を示し、例えば、HeLa細胞の表面にある総シアル酸の75%が5gにより置き換えられた。
【0106】
これに対して、誘導体5iをHL60またはJurkat細胞で培養した場合には、組み込みが5%未満であることが観察された。シアル酸の下流のステップである、核内のCMP活性、またはゴルジへの移送、あるいはシアル酸転移酵素の作用のうちの1つが損なわれているものと考えられる。3日間の培養の後に、細胞溶解物の細胞質画分から化合物を分離することができたので、JurkatまたはHL60細胞における5iの膜通過が減少しなかったことを確認した(図6)。
【0107】
低シアル化細胞におけるNeu5Acの非天然シアル酸による置換
細胞系統HL60−IおよびBJA−B K20(それぞれ親HL60およびヒトB細胞リンパ腫(BJA−B)の変異体)は、UDP−GlcNAc 2−エピメラーゼが欠乏しており、主に非シアル化Lewis−Xの発現を含む、複合糖質のシアリル化の大域的抑制を示す(Keppler, O. T.; Hinderlich, S.; Langner, J.; Schwartz-Albiez, R.; Reutter, W.; Pawlita, M. "UDP-GlcNAc 2-epimerase: A regulator of cell surface sialylation" Science 1999, 284, 1372-6)。これらの低シアル化細胞系統を用いることで、フッ素化前駆体の組み込みを調査し、フッ素化した細胞表面上のシアル酸の総割合を評価した。HL60−IおよびBJA−B K20細胞系統は、フッ素化シアル酸5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)、および5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)の代謝ホストとして機能した(図8)。LC ESI−MSを使用することで、核細胞系統の表面の両方の誘導体の組み込みが明白に確認された。これに対して、未処理の細胞は、Neu5Acしか含有していなかった。これらの細胞内の内因性シアル酸は、細胞あたり約1×109個の分子のレベルで発現し、それぞれの細胞では約4〜5×10個である。
【0108】
さらに、100倍の量のシアリルLewis−X(sLex)を発現する細胞系統HL60−IIにおける非天然シアル酸の組み込みの程度の試験を行ったところ、全体的に高い程度のシアリル化が見られ、K88(BJA−Bのサブクローン)も、シアリル化の増加を呈した。いずれの細胞系統においても、フッ素化シアル酸5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)、および5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)は、同じく容易に組み込まれ、外因的に添加されたシアル酸が、ゴルジ体内のシアル酸転移酵素作用に効率的に加わっていることを示している。細胞表面の総シアル酸(基質5gを使用)のおよそ75%は、これらの細胞系統を使用してフッ素化した。まとめると、これらのデータは、多数のCF3基を哺乳類細胞の表面に導入できることを示唆している。
【0109】
コラーゲンおよびフィブロネクチンへの標識化細胞の接着
フッ素化炭水化物によって標識化した細胞のフィブロネクチンおよびコラーゲンへの接着能力も調査した。5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)、および5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)で表面上に装飾したHL60の接着性を、未処理細胞の接着性(図9)と比較した。代表的な実験では、細胞を、天然または非天然シアル酸(200μM)で72時間培養した。接着を定量化するために、96ウェルプレートを、フィブロネクチンまたはコラーゲン(PBS中10μg/ml)によって4℃で16時間コーティングし、その後に1%のBSAで4時間処理して非特異性の接着サイトをブロックした。最初に、培養後に回収した細胞を、無血清媒体内で2時間懸濁した。96ウェルプレートのウェルのそれぞれにおいて、100μLに1×106個の細胞を導入して、37℃で1時間接着させた。インテグリン活性化を開始させて、HL60細胞のフィブロネクチンへの接着を刺激するために、それぞれのウェルは、1nMのホルボールエステルPMA、または100nMのタプシガルギンを含有した。遊離した細胞はPBSで洗浄することによって洗い流し、細胞に蛍光エステラーゼ基質カルセイン−AMを添加し、その後にマイクロタイタ蛍光プレートリーダにおいて520nmでの発光を測定して定量化した。データセットには、両側スチューデントt検定を行って比較し、Pが0.05以下になる結果のみを有意であるとみなした。細胞を5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)の存在下で72時間培養した場合のフィブロネクチンへの接着は、未処理の細胞と比較して減少した。さらに、5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)で処理したHL60細胞の接着は、未処理の細胞と比較して、著しく(ほぼ70%)減少した。この変化は、HL60細胞をN−プロパノイル−マンノサミン(4d)の存在下で培養した場合に観察したものとは逆であった。細胞を4dで培養した場合には、接着は130%を超えて増加する(Villavicencio-Lorini, P.; Laabs, S.; Danker, K.; Reutter, W.; Horstkorte, R. "Biochemical engineering of the acyl side chain of sialic acids stimulates integrin-dependent adhesion of HL60 cells to fibronectin" J. Mol. Med. 2002, 80, 671-7、およびHorstkorte, R.; Rau, K.; Laabs, S.; Danker, K.; Reutter, W. "Biochemical engineering of the N-acyl side chain of sialic acid leads to increased calcium influx from intracellular compartments and promotes differentiation of HL60 cells" FEBS Lett. 2004, 571, 99-102)。膜結合型のシアル酸の糖抱合体画分を加水分解し、1,2−ジアミノ−4,5−メチレンジオキシベンゼン(DMB)を使用して誘導体化して、フッ素化した対応物によって置換されたシアル酸の総量を評価した。これらの結果は、フッ素化した炭水化物が真核細胞の接着特性を変化させる能力を示す。
【0110】
EおよびPセレクチンでコートしたプレートへの標識化細胞の接着
フッ素化した炭水化物で標識化した細胞のEおよびPセレクチンへの接着能力は、類似した静的接着アッセイを用いて調査した。5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)、および5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)で表面上に装飾したHL60の接着性を、未処理細胞の接着性(図10)と比較した。図10は、それぞれ(a)E−セレクチン(ヒトCD62E)でコート、(b)P−セレクチン(ヒトCD62P)でコーティングしたプレートへの、HL60細胞の接着を示す。5−N−トリフルオロプロピル−Neu(5e)、および5−N−トリフルオロブチル−Neu(5g)で表面上に装飾したHL60の接着性を、未処理細胞の接着性(図9)と比較した。代表的な実験では、細胞を、天然または非天然シアル酸で72時間培養し、PBSで洗浄し、その後EおよびPセレクチンでコーティングしたプレートへ接着させた。1時間後、遊離した細胞をPBSで洗浄して除去し、次いで細胞の数をカルセイン−AMの添加および蛍光計数によって定量化した。これらの結果も、フッ素化した炭水化物が真核細胞の接着特性を変化させる能力を示す。
【0111】
類似体の組み込みおよび培養細胞表面での発現に対する構造的範囲
細胞表面に発現するように外因的に添加された非天然シアル酸類似物の場合、これらは、細胞膜を横断し、アセチル基およびカルボン酸エステルのエステラーゼ加水分解を受け、核に入り、CTPとのCMP−Neu5Acシンセターゼ触媒反応を受け、核からERおよび/またはゴルジへ移送しなければならず、また、得られた修飾CMP−シアル酸類似物は、少なくとも1つのシアル酸転移酵素のための基質でなければならない。注目すべきことに、この経路は、構造的な変化に対する許容性が非常に高い。特定の実施形態では、ノイラミン酸のC5アミノ基において直鎖フッ素化アルキル酸(例、最高5炭素の長さ)によってアシル化された類似物は、それらが細胞表面に現れることによって示されるように、生合成経路を通り抜けることができる。これらの類似物の一部は、すでに類似物を表面に提示する細胞の接着特性を変化させるのに十分である。
【0112】
細胞表面に発現させるべき5位において修飾されたシアル酸の能力は、複数の研究所によって研究されている。利用可能なデータは、5位にあるアルカノイル基の長さが6〜7炭素に達した時には、アリールエステルが効率的に発現されるが、細胞表面の提示が急激に減少することを示唆している。他の位置における修飾の適合性、およびアミドではない5位置の修飾に関してはほとんど知られていない。従って、特定の実施形態では、図10に示される化合物の組み込み(すなわち、5位および9位において修飾した化合物)を評価して、培養したHeLa、Jurkat、およびHL60細胞における組み込みの程度を判断することができる。
【0113】
化合物5lは、ノイラミン酸の単純なアシル化、その後のカルボン酸のメチル化および過アセチル化によって調製することができる。化合物5mは、フルオラスアルキル化剤14を使用して合成することができる(図10を参照のこと)。この場合、シアル酸エチルエステルを用いて、14とメチルエステルとの間の既知の反応を回避しなければならないことに留意されたい。
【0114】
化合物5n〜tは、9位置の水酸基が種々のチオフルオロアルキル部分によって置換されたフルオロアルキルスルフィドである。これらの材料は、図10に示されるように、必須のヨウ化フルオロアルキルによる適度な塩基性条件下でのアルキル化、その後のアセチル化によって、既知のチオール15から調製することができる(Martin, R.; Witte, K. L.; Wong, C. H. "The synthesis and enzymatic incorporation of sialic acid derivatives for use as tools to study the structure, activity, and inhibition of glycoproteins and other glycoconjugates" Bioorg. Med. Chem. 1998, 6, 1283-92)。化合物5uは、フルオロアルキル化試薬14を使用して既知のアミン16から調製される、9位のフルオロアルキル化アミンである(Fitz, W.; Rosenthal, P. B.; Wong, C. H. "Synthesis and inhibitory properties of a thiomethylmercuric sialic acid with application to the x-ray structure determination of 9-O-acetylsialic acid esterase from influenza C virus" Bioorg. Med. Chem. 1996, 4, 1349-53)。この場合、16は、最初にエチルエステルに変換して(図5、ステップg)、14による副反応を回避することができる。最終的なアセチル化は、5uを提供することができる。化合物5v〜bbは、アミン16のアシル化、その後の完全アセチル化によって調製することができる。
【0115】
各化合物は、HL60またはHeLa細胞で培養することができ、細胞表面は、後述するDMB−ESI−MS法を使用して、非天然シアル酸の組み込みをアッセイすることができる。化合物は、静的細胞接着アッセイで評価することができる(下記参照)。一連の化合物のそれぞれ(すなわち、5n〜tおよび5u〜bb)は、合成して組み込みを評価することができる。
【0116】
フッ素化シアル酸を発現した細胞内の静的接着の測定
特定の実施形態では、上述した96ウェルプレート内の静的アッセイを用いて、フッ素化シアル酸を発現する細胞の接着特性を評価することができる。例えば、図10に示される化合物で処理した細胞は、最初に、外因的に供給された前駆体の発現レベルを記録することができる。特定の実施形態では、フッ素化されたシアル酸の総細胞表面が約10%を越えるそれらの細胞は、接着アッセイに使用することができる(図12)。
【0117】
細胞は、天然またはフッ素化シアル酸(200〜900μM)で72時間培養することができる。接着の定量化には、フィブロネクチン、コラーゲン、E−またはP−セレクチンでコーティングした96ウェルプレートを用いることができる。細胞は、約1時間の、(ホルボールエステルPMAまたは、HL60の場合はタプシガルギンを用いて)刺激状態下、および非刺激状態下(HeLa)で、プレートへ接着させることができる。遊離した細胞は、PBSで穏やかに洗浄することによって除去することができ、細胞は、蛍光エステラーゼ基質カルセイン−AMを添加し、その後にマイクロタイタ蛍光プレートリーダにおいて520nmでの発光を測定して定量化する。細胞は、また、図12に示されるように、プレート上へ装填する前に予め標識化することもできる。厳密なスチューデント t-検定をデータセットに行って、平均値の差異の統計的有意性を評価することができる。これらのアッセイは、特定の分子への静的接着に関する情報を提供するが、せん断流条件下の接着の研究も行うことができる(下記参照)。
【0118】
変化した接着の仮定機構
フッ素化シアル酸を発現する細胞の、コラーゲンまたはフィブロネクチンでコーティングした表面への接着の減少の根底にある機構は、また知られていない。基本的には、この変化は、フッ素化前駆体による培養によって誘導された細胞表面でのインテグリンの発現変化または活性変化によるか、または、シアル酸がフッ素化する際の、インテグリンでコーティングした細胞間の結合の差異によるものとされるか、あるいはその両方による可能性がある。さらに、糖タンパク質の結合相互作用は、結合パートナ間の接触領域内にフッ素化基が存在することによる分子間力の変化、またはフッ素化基の存在によって誘導された糖タンパク質構造内の配座の変化、といった少なくとも2つの異なる機構によって変化する可能性がある。同様に、フッ素化細胞のセレクチンでコーティングした表面への接着の変化は、シアリルLewis−Xまたは他のシアル化炭水化物のいずれかが異なって発現した場合、またはフッ素化シアリルLewis−X−セレクチン結合が、野生型とは異なる場合に生じることが予想され得る。また、フッ素化された場合に、糖タンパク質が異なって硫酸化されることもあり得る。これらの課題に対処するために、モデルフッ素化炭水化物のそれらと同属のレクチンへの生体外結合、および接着分子の細胞表面への発現の両方を評価することができる。
【0119】
局在化および分布に関するフッ素化細胞表面の特性化:細胞表面の修飾シアル酸の検出
N結合型タンパク質グリカン、O結合型タンパク質グリカン、および糖脂質の3種類の細胞表面構造は、自然にシアル化されることが知られている。しかし、少数の修飾シアル酸による細胞表面の総装飾量は特定されているが、シリアル化分子の種類の中の修飾の分布は未知である。この情報は、フッ素化シアル酸を示す細胞が呈するいかなる表現型を分子レベルで理解するのにも重要である。
【0120】
修飾シアル酸による細胞表面の総修飾量の特定は容易である。簡潔に述べると、修飾細胞を別個の膜成分に分画し、次いでこれらを酸加水分解して、遊離修飾シアル酸を生成し、それを、その1,2−ジアミノ−4,5−メチレン−ジオキシベンゼン(DMB)誘導体として比色測定的に定量化する(Hara, S.; Takemori, Y.; Yamaguchi, M.; Nakamura, M.; Ohkura, Y. "Fluorometric High-Performance Liquid-Chromatography of N-Acetylneuraminic and N-Glycolylneuraminic Acids and Its Application to Their Microdetermination in Human and Animal Sera, Glycoproteins, and Glycolipids" Anal. Biochem. 1987, 164, 138-45)。検出されたシアル酸の構造は、HPLC−ESI−MS解析によって、合成標準物質と比較して確認される(上記参照)。
【0121】
シアル酸フッ素化の腫瘍転移への影響
本発明の1つの実施の形態は、フッ素化シアル酸で処理された細胞の生体外接着性の観察された変化と、免疫反応および腫瘍転移を含む重要な生物学的機能の著しい変化をもたらす動物における細胞の接着の変化との相関に関し、発明的化合物の重要な医薬的用途を提案する。腫瘍転移の場合は、細胞が、癌性の形質転換時に、シアル化炭水化物のそれらの細胞表面発現を増加させることが知られているので、特に興味深い。
【0122】
特定の実施形態では、腫瘍転移に関するフッ素化シアル酸の影響は、生体外のローリング、遊走、および浸潤アッセイ、ならびに、転移についてのマウスのモデルにおける生体内によっての、2つのレベルで評価される。いずれの場合においても、確立されたアッセイ法を使用することで、これまでに研究された他の化合物と直接比較できるようになる。
【0123】
細胞のローリング、遊走、および浸潤の生体外アッセイ
白血球のローリングは、生体外フローアッセイによって測定することができる(Thoma, G.; Patton, J. T.; Magnani, J. L.; Ernst, B.; Ohrlein, R.; Duthaler, R. O. "Versatile functionalization of polylysine: Synthesis, characterization, and use of neoglycoconjugates" J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 5919-29、および、Thoma, G.; Kinzy, W.; Bruns, C.; Patton, J. T.; Magnani, J. L.; Banteli, R. "Synthesis and biological evaluation of a potent E-selectin antagonist" J. Med. Chem. 1999, 42, 4909-13)。天然の内皮細胞を培養して、平行プレートフローセル上に単層を形成し、天然の多形核好中球(PMN)を含有する溶液が(シリンジポンプによって)その層を通過する。フローセルは、位相コントラストモードで動作し、CCDカメラを取り付けた倒立ステージ顕微鏡上に配置される。ビデオレコーダは、後に解析のための細胞のローリング事象を記録する。この手法は、ローリングの外因性阻害剤の評価に使用されていたが、本件の場合では、最初にPMNを適切な前駆体で培養して、これらの細胞をフッ素化シアル酸で装飾する。細胞表面への炭水化物の発現は、上述したように、DMBアッセイによって定量化する。
【0124】
細胞遊走は、Chemicon International社製の市販のキットを使用して測定することができる。簡潔に述べると、付着した培養細胞は、トリプシンによって培養皿から分離し、次いでタイプIコラーゲンまたはウシ血清アルブミンでコーティングしたBoydenチャンバ内で培養する。フィルタを介して成功裏に移動した細胞は、染色されて溶解後に比色測定的に定量化される。遊走は、コラーゲンでコーティングしたフィルタを通過した細胞による吸収度から、BSAでコーティングした陰性対照を通過した細胞による吸収度を差し引いたものとみなされる。本発明の場合、細胞は、フッ素化シアル酸または陰性対照(N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac、または遊走測定前のビヒクル単独)の存在下で培養することができる。特定の実験では、HeLaおよび分化したHL60細胞を用いることができる。それは、これらの細胞内のフッ素化炭水化物の効率的な細胞表面発現が示されたからである。しかし、このアッセイは、一般的なものであり、他の付着細胞系統とともに用いることができる。
【0125】
腫瘍細胞の浸潤容量は、BD Biosciences社製の市販のキットを使用して評価することができる。そのシステムは、Boydenチャンバ内のコーティングがBD Materigelマトリクス(非浸潤細胞を通過させない細胞外の基底膜をモデル化する、市販の細胞外マトリクス調製品)であることを除いて、遊走の研究に用いられているものに類似している。チャンバには、化学遊走物質媒体(10%の胎児のウシ血清)を充填し、試験細胞を接種する。培養後、成功裏にマトリクスを通過した細胞を染色して定量化する。特定の実施形態では、本アッセイにおいて浸潤が示されることが知られており、また、動物全体の比較に用いることができるモデルであるので、一般に使用される浸潤性腫瘍細胞系統、MDA−MB−231(ヒト乳腺腺癌)が用いられる(下記参照)。培養されたMDA−MB−231細胞は、フッ素化シアル酸前駆体で培養することができ、細胞表面の炭化水素の発現は、浸潤アッセイを行う前にDMBアッセイによって定量化する。
【0126】
腫瘍転移の生体内アッセイ
腫瘍転移へのフッ素化炭水化物の影響の評価は、複数の因子によって複雑になる。マウスモデルにおける転移の時間枠は4〜6週であるが、細胞表面の炭水化物の交代は、約数日となる可能性が高いので、動物内に移植前にフッ素化炭水化物前駆体で転移腫瘍細胞系統を培養することによって有用な情報が提供される可能性は低い。したがって、相当な量のフッ素化炭水化物が、実験期間中に細胞表面に残存する可能性は低い。さらに、腫瘍成長は、標識化された腫瘍細胞の画分を希釈する。
【0127】
したがって、腫瘍を移植した動物全体をフッ素化シアル酸で処理することが、より良好な方法である。この手法には、医学的に有用であることが立証され得る治療プロトコルを模倣するという、更なる長所がある。これまでに行われてきた細胞培養作業は、化合物は、細胞レベルでは基本的に毒性がないことを示しているが、全ての動物内の化合物の毒性に関する利用可能な情報は存在しない。
【0128】
研究すべき1つの系統は、4T1転移乳癌モデルである(Aslakson, C. J.; Miller, F. R. "Selective Events in the Metastatic Process Defined by Analysis of the Sequential Dissemination of Subpopulations of a Mouse Mammary-Tumor" Cancer Res. 1992, 52, 1399-405)。ヌードBALB/cマウスを最初に用いて、転移の時間を減少させ、また、あらゆる潜在する免疫学的な合併症を減じる。この研究は、正常なマウスにおいて繰り返すことができる。転移モデルは、4T1細胞系統のルシフェラーゼ発現クローンである4T1−luc12Bに基づいている。マウスの乳房脂肪体へのこれらの細胞の同所導入は、3〜6週間にわたって、肺、肝臓、骨、および脳内での転移を形成する原発腫瘍を生成する。
【0129】
例えばXenogen IVIS 200 Biophotonic Imagerを使用した、マウスの生物発光撮像によって、腫瘍の成長および転移を観察できるようになる。化学発光は、ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞内でしか生じないので、非常にノイズが少なく、したがって高感度である。Xenogen機器によって、二次元および疑似三次元撮像ができるようになり、後者は、介在組織内の発色団の吸収によって変化した放射光のスペクトルに依存し、深さにも依存する。マウスにおけるフッ素化シアル酸の最適な適用量は、最終的には経験的に決定しなければならない。しかし、Bertozziの研究所では、生きたマウスに、70%のDMSO水溶液に溶解した修飾過アセチル化マンノサミン前駆体を、1日1回300mg・kg−1で7日間腹腔内注入することによって、アジド修飾シアル酸の満足な細胞表面発現を示した。その研究では、血漿エステラーゼは、過アセチル化前駆体を使用したという事実にもかかわらず、組み込みを減少させなかったことも示した。
【0130】
1つの実験では、最初の研究において、10匹のマウスに4T1−luc12Bを同所注入することができる。半分は、化合物5d(過アセチル化トリフルオロプロピオニルノイラミン酸メチルエステル)で、実験期間中継続的に治療することができる。対照動物は、同じ計画で、70%のDMSO水溶液で治療する。動物は撮像することができ、転移腫瘍の数およびサイズが記録される。また選択された治療動物は、19F MRIによる撮像にも送られる(下記参照)。
【0131】
研究は、MDA−MB−231−luc−D3H1ルシフェラーゼ発現ヒト乳腺腺癌系統で繰り返すことができる(Jenkins, D. E.; Hornig, Y. S.; Oei, Y.; Dusich, J.; Purchio, T. "Bioluminescent human breast cancer cell lines that permit rapid and sensitive in vivo detection of mammary tumors and multiple metastases in immune deficient mice" Breast Cancer Res. 2005, 7, R444-R54)。この研究によって、生体内転移研究と、生体外浸潤アッセイとを直接比較することができる(上記参照)。
【0132】
19F MRIを使用した、フッ素化前駆体を有する細胞の生体内局在の視覚化
1Hおよび19F磁気共鳴映像法(MRI)を用いて、細胞表面に発現するフッ素化前駆体の分布を視覚化することができる(Mason, R. P. "Transmembrane pH gradients in vivo: Measurements using fluorinated vitamin B6 derivatives" Curr. Med. Chem. 1999, 6, 481-99; Mason, R. P.; Bansal, N.; Babcock, E. E.; Nunnally, R. L.; Antich, P. P. "A Novel Editing Technique for F-19 Mri - Molecule-Specific Imaging" Magn. Reson. Imaging 1990, 8, 729-36、および、Mason, R. P.; Rodbumrung, W.; Antich, P. P. "Hexafluorobenzene: A sensitive F-19 NMR indicator of tumor oxygenation" NMR Biomed. 1996, 9, 125-34)。生物学的システム内にほとんどノイズが存在しないので、19F MRIの使用は特に有用であった(Venkatasubramanian, P. N.; Shen, Y. J.; Wyrwicz, A. M. "In-Vivo F-19 One-Dimensional Chemical-Shift Imaging Study of Isoflurane Uptake in Rabbit Brain" NMR Biomed. 1993, 6, 377-82; Wolf, W.; Presant, C. A.; Waluch, V. "F-19-MRS studies of fluorinated drugs in humans" Adv. Drug Deliv. Rev. 2000, 41, 55-74、および、Yu, J. X.; Kodibagkar, V. D.; Cui, W. N.; Mason, R. P. "F-19: A versatile reporter for non-invasive physiology and phar
macology using magnetic resonance" Curr. Med. Chem. 2005, 12, 819-48)。通常は骨および歯に見られる固体フッ化物は、非常に短いT2緩和時間値を有し、それによる信号は、ごくわずかである。この手法は、核の局所環境に対して極めて高感度であり、MR機器は、フッ素チャネルの使用に容易に適合される。上述のモデル細胞系統(4T1転移乳癌モデル)は、300mg・kg-1で投与されたフッ素化前駆体の最終結果に従う、最初のモデルとして機能する。
【0133】
MR測定は、同調型1H/19Fコイルを備えた4.7T水平ボアのVarian Unity INOVAシステム上で行うことができ、陽子およびフッ素の両方が逐次的に捕捉される。トリフルオロメチルの存在またはより高レベルのフッ素化は、信号対雑音(SNR)比の増加に有用である。始めに化学シフトの選択的撮像モードが用いられるが、後の研究には、緩和時間に依存する画像を含めることができる。組織および全血からのフッ素化炭水化物前駆体の間隙率は、未だに確立されておらず、また、MR手法の感度が低レベルであるので、上述のように高用量値が出発点としての役目を果たす。さらに、このレベル(300mg/kg)で毎日連続的に投与することで、細胞表面へのフッ素化シアル酸の適切なレベルが確保される。最後の用量は、撮像を行う24時間前に投与することができる。Neu5Acのレベルでの表面へのフッ素化シアル酸の発現という前提に基づくと、腫瘍内の19F核の濃度は、1つのCF3基での置換に対して0.6〜6mMになると推定される(19Fの評価は、108〜109個の細胞を含有する5mLの用量における、個々の細胞ごとの109個のシアル酸基に基づく)。画像は、TR=100ms、TE=2〜3ms、TH=15mm、MA=16×16、およびFOV=160mmの初期値で、予め確立した二次元パルスシーケンスによって取得することができる。フッ素化シアル酸(2〜5mM)で満たしたエッペンドルフチューブ(1.5mL)をマウスと同時に撮像して、パルスシーケンスのパラメトリック制御を最適化する。このように16×16のフォーマット内に得られた画像は、256×256画素にゼロ充填される。それぞれの選択的なMR画像に対しては、閾値を定めて限度を確立し、細胞から生じた信号がこの閾値を上回ればその信号は信頼性が高いものである。この値の下限は、(SB+2σB)の形を取り、両パラメータ(SB:平均バックグラウンド信号、σB:標準偏差)は、動物の体外の広い領域内で評価される。
【0134】
4T1−luc12B、4T1ルシフェラーゼ発現クローンによる生物発光撮像(BLI)によって、腫瘍の成長および転移を直接観察できるようになる。一方で、MR画像は、組織分布、および有意なフッ素カバレッジを有する細胞集団の転移能に関する情報を提供する。転移細胞、非転移腫瘍細胞、および正常な細胞における19Fの組み込みの程度は、BLIとMRIとを比較することによって比較することができる。組み合わせることで、非侵襲的撮像によって抗転移能およびフッ素カバレッジを評価する強力かつ独特な方法を提供することができる。
【0135】
乳癌抑制モデル
特定の実施形態では、生体内胸部腫瘍転移を阻害する発明的化合物の能力は、生後5〜6週のメスのヌードBalb/Cマウスを用いて判断することができる。各実験は、対照群(未処理、またはビヒクル治療したもの)、および治療群から成り、マウスは各群で5から10匹である。試験化合物は、70%のDMSO水溶液に溶解して、1日1回300mg/kgで7日間腹腔内注入することによって投与することができる。マウスのルシフェラーゼ発現(4T1)またはヒトの(MDA−MB−231)腫瘍異種移植片の同所注入は、新規薬剤の転移抑制活性を調査するための優れたツールを示している。各マウス内の腫瘍は、植設後に毎週撮像することができる。動物の体重も同時に測定することができる。
【0136】
本発明の化合物
本発明の1つの実施の形態は、構造式Iによって表される化合物であって、
【化17】

【0137】
式中、Yは、−Hまたは−CHX6−CH27であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、−R1、−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、−NHC(=O)R5、−SR6、および−SC(=O)R7から成る群から独立して選択され、Zは、−Hまたは−COOMであり、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、およびフルオロヘテロアラルキルから成る群から独立に選択されるか、または、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7のうちのいずれか2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、Iによって表される化合物の任意の立体中心での立体化学的配置は、R、S、またはこれらの配置の混合物であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、またはR7のうちの少なくとも1つが、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択されることを条件とする、化合物、または薬学的に許容可能なその塩に関する。
【0138】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−Hである。
【0139】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−COOHである。
【0140】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Yは、Hである。
【0141】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Yは、−CH(OR)−CH27である。
【0142】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Yは、−CH(OR)−CH2OR2である。
【0143】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、または−NHC(=O)R5である。
【0144】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)R3または−NHC(=O)R5である。
【0145】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5である。
【0146】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であり、R5は、フルオロアルキルである。
【0147】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、水素である。
【0148】
本発明の1つの実施の形態は、構造式式IIによって表される化合物であって、
【化18】

【0149】
式中、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、W1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、R2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0150】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキルである。
【0151】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、パーフルオロアルキルである。
【0152】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3である。
【0153】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0154】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CHである。
【0155】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0156】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CH3である。
【0157】
本発明の別の実施形態は、構造式IIIによって表される化合物であって、
【化19】

【0158】
式中、Zは、−RFまたは−C(=O)RFであり、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、W1、W2、W3、W4、およびW5は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、R2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0159】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−−C(=O)RFである。
【0160】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−RFである。
【0161】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキルである。
【0162】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、パーフルオロアルキルである。
【0163】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3である。
【0164】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHである。
【0165】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OC(=O)CH3である。
【0166】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、−Hである。
【0167】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、−CHである。
【0168】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)RFであり、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHであり、Mは、−Hである。
【0169】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)Rであり、Rは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHであり、Mは、−CHである。
【0170】
本発明の別の実施形態は、構造式IVによって表される化合物であって、
【化20】

【0171】
式中、Zは、−RFまたは−C(=O)R3であり、W1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、R2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびR3の2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、Xは、−RF、−ORF、−OC(=O)RF、−NHRF、−NHC(=O)RF、SRF、および−SC(=O)RFから成る群から選択され、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択される化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0172】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)R3である。
【0173】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−RFである。
【0174】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0175】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−C(=O)CH3である。
【0176】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、−Hである。
【0177】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、−CH3である。
【0178】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Mは、−CH2CH3である。
【0179】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、R2およびR3は、それぞれアルキルである。
【0180】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、R2およびR3は、それぞれ−CH3である。
【0181】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルである。
【0182】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Xは、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFである。
【0183】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであり、Xは、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFである。
【0184】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Xは、−S(CH22CF3、−S(CH23CF3、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHCH2715、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、および−NHC(=O)CH265から選択される。
【0185】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−CH2715である。
【0186】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−CH2715であり、Xは、−OC(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−C(=O)CH3であり、Mは、−CH2CH3である。
【0187】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)CHであり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CHであり、Mは、−CH3であり、Xは、−S(CH22CF3、−S(CH23CF3、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265である。
【0188】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)CHであり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mは、−CH2CH3であり、Xは、−NHCH2715である。
【0189】
本発明の別の実施形態は、上記構造式I、II、III、またはIVの組成物のうちの少なくとも1つを含む多糖類およびオリゴ糖類に関する。
【0190】
医薬組成物
構造式I、II、III、またはIVの化合物およびそれらの薬学的に許容可能な塩は、抗癌剤のような抗増殖剤として、または抗炎症剤として使用される際、これらは、単独で、または標準的な薬務に従った医薬組成物の薬学的に許容可能な担体または希釈剤と組み合わせて対象の哺乳類に投与することができる。この化合物は、経口的または非経口的に投与することができる。非経口投与には、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮下、および局所が挙げられる。
【0191】
したがって、本発明は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体(添加剤)および/または希釈剤とともに調剤された、治療上有効量の上述の化合物(構造式I〜IV)のうちの1つ以上を含む、薬学的に許容可能な組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、固体または液体状で投与するために特別に調剤することができ、(1)例えば無菌の溶液または懸濁液として、または徐放性製剤として、例えば皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射による非経口投与、および(2)例えば水薬(水溶液、非水溶液、あるいは懸濁液)、タブレット(例、口内、舌下、および体内吸収を目標としたもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌部へ塗布するためのペーストなどの経口投与に適合させたものを含む。本発明の化合物の好適な投与方法は、非経口投与(静脈内)である。
【0192】
上述のように、本化合物の特定の実施形態は、アミノまたはアシルアミノのような塩基性官能基を含むことができ、したがって、薬学的に許容可能な酸との薬学的に許容可能な塩を形成することができる。この点で、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的毒性のないの、無機および、有機酸添加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクルまたは剤形の製造プロセス時にその場で調製するか、または精製した遊離塩基形態の本発明の化合物を好適な有機または無機酸剤と別々に反応させて、その後の精製中に塩を単離させて形成することによって調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸、硝酸、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パレミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシラート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。例えば、Bergeらの"Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照のこと。
【0193】
薬学的に許容可能な本発明の化合物の塩には、従来の非毒性の塩または、例えば非毒性の有機または無機酸剤由来の本化合物の第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の非毒性の塩には、塩酸塩、臭化水素酸、硫黄酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸剤に由来するもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、2−アセチルサリチル酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルフォン酸、蓚酸、イソチオン酸などのような有機酸剤から調製された塩が挙げられる。
【0194】
他の場合には、本発明の化合物は、1つ以上の酸性官能基を含むことができるので、薬学的に許容可能な塩基を有する薬学的に許容可能な塩を形成することができる。これらの場合には、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的毒性のない、無機および有機塩基添加塩を指す。これらの塩も同様に、投与ビヒクルまたは剤形の製造プロセス時に原位置で調製するか、または精製した遊離塩基形態の本発明の化合物を、薬学的に許容可能な金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩のような好適な塩基、アンモニア、または薬学的に許容可能な有機一次、二次または、三次アミンと別々に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ金属土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。塩基添加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、前掲Bergeらの文献を参照のこと)。
【0195】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、などの湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、可溶化剤、緩衝剤、および酸化防止剤も本組成物内に含めることができる。
【0196】
薬学的に許容可能な酸化防止剤の例には、これに限定されないが、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫化水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリセロール、メルカプト酢酸ナトリウム、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムのような水溶性酸化防止剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、α−トコフェロールのような油溶性酸化防止剤が挙げられる。
【0197】
薬学的に許容可能な緩衝剤の例には、これに限定されないが、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、歯石酸塩、およびリンゴ酸塩が挙げられる。
【0198】
薬学的に許容可能な可溶化剤の例には、これに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(ポリソルベート80を含む)、ステアリン酸ポリオキシエチレン類、ベンジルアルコール、エチルアルコール、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、グリセリン、シクロデクストリン、およびポロキサマ類が挙げられる。
【0199】
薬学的に許容可能な錯化剤の例には、これに限定されないが、シクロデクストリン類(α、β、γ)、特に、2−ヒドロキシプロピル−β、ジメチルβ、2−ヒドロキシエチルβ、3−ヒドロキシプロピルβ、トリメチルβのような置換βシクロデクストリン類が挙げられる。
【0200】
薬学的に許容可能な金属キレート剤の例には、これに限定されないが、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)およびその塩、エチレングリコールビス2アミノエチルエーテル四酢酸(EGTA)およびその塩、NTA(ニトリロ酢酸)およびその塩、ソルビトールおよびその塩、酒石酸およびその塩、N−ヒドロキシイミノ二酢酸およびその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸およびその塩、1−および3−プロパンジアミンテトラ酢酸およびそれらの塩、1−および3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸およびそれらの塩、グルコン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびその塩、およびリン酸およびその塩が挙げられる。
【0201】
これらの製剤を調製する方法または組成物は、本発明の化合物を、担体および、状況に応じて、1つ以上の副成分と会合させる工程を含む。概して、製剤は、本発明の化合物を、液体担体(液剤)、凍結乾燥した後の液体担体(滅菌水などで還元する粉末製剤)、または微粉化した固体担体、あるいはその両方と均一かつ密接に会合させ、その後必要に応じて製品を成形またはパッケージすることによって調製される。
【0202】
非経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、1つ以上の無菌等張性の水溶液または非水溶液、分散体、懸濁剤または乳剤、または使用直前に無菌の注射可能な溶液または分散体に再構成することができる無菌粉末と組み合わせた、1つ以上の本発明の化合物を含み、糖類、アルコール類、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、キレート剤、製剤を、組成物を対象となる投与を受ける者の血液と等張にさせる溶質、あるいは、懸濁化剤または増粘剤とを含むことができる。実施例では、活性成分は、溶液内で許容可能な担体と混合され、次いで凍結乾燥されて乾燥粉末を得る。乾燥粉末は、単位剤形でパッケージされ、次いで、非経口投与のために水または通常の生理食塩水のような滅菌溶液を粉末に加えることによって再構成される。
【0203】
本発明の医薬組成物に用いることができる好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被膜材料を使用することにより、また、分散体の場合には必要な粒度を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって保持することができる。
【0204】
またこれらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような補助剤を含有することができる。本発明の化合物への微生物の作用は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの種々の抗菌および抗真菌性剤を含有させることによって予防することができる。糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を化合物内に含めることが望ましい場合もある。加えて、注射可能な医薬品の形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような、吸収を遅延させる作用剤を含有させることによってもたらすことができる。
【0205】
一部の事例では、薬剤の影響を長引かせるために、皮下または筋肉注射による薬剤の吸収を減速させることが望ましい。これは、難水溶性である結晶またはアモルファス材料の液体懸濁剤を使用することによって達成することができる。薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、その溶解速度はその結晶サイズおよび結晶形態に依存する。別様には、非経口投与の薬剤形態の吸収遅延は、その薬剤を油ビヒクル内に溶解または懸濁することによって達成される。
【0206】
「非経口投与」および「非経口的に投与する」という成句は、本願明細書で使用する場合、腸内および局所的投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、これに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄膜下、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊椎内、および胸骨内の注射および注入を含む。
【0207】
「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」、および「末梢的に投与される」という成句は、本願明細書で使用する場合、化合物、薬剤、または他の材料が中枢神経系への直接投与以外で、患者の体内に入り、よって、代謝および他の類似の過程(例えば皮下投与)を受けるような、化合物、薬剤、または他の材料の投与を意味する。
【0208】
本発明の製剤は、棚に保管することができる製剤、および患者への直接投与に使用される製剤を含む。特に、本発明の医薬組成物および製剤は、患者への直接投与に好適なものよりも高濃度の形態で提供される。
【0209】
本発明の化合物が医薬品としてヒトおよび動物に投与される場合には、それ自体を投与するか、または、例えば薬学的に許容可能な担体と組み合わせた0.1から99%(より好ましくは10から30%)の活性成分を含有する医薬組成物として投与することができる。
【0210】
本発明の医薬組成物の活性成分の適用量レベルは、患者に害を与えることなく、特定の患者、組成物、および投与方法に対する所望の治療反応の達成に効果的である活性成分の量が得えられるように変化させることができる。
【0211】
選択された適用量レベルは、用いられる本発明の特定の化合物またはその塩の活性、投与経路、投与時間、用いられている特定の化合物の排泄または代謝率、吸収率または程度、治療期間、用いられた特定の化合物と組み合わせて使用した他の薬剤、化合物、および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態、および以前の病歴、および医術において既知の因子などを含む、種々の因子に依存する。
【0212】
専門の医師または獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に判断および処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果およびを達成するために、必要とされる量よりも少ないレベルで、医薬組成物に用いられる本発明の組成物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで適用量を徐々に増加させることができる。
【0213】
概して、本発明の化合物の好適な量は、治療効果をもたらすのに安全かつ効果的な最小用量である。このような有効量は、一般的に、上述の因子に依存する。
【0214】
本発明の化合物は、単独で投与することが可能であるが、この化合物は、医薬品製剤(組成物)として投与することが好ましい。
【0215】
本治療を受ける患者は、霊長類、特にヒト、およびウマ、ウシ、ブタ、およびヒツジのような他の哺乳類、および一般的な家禽およびペットを含む、治療が必要なあらゆる動物である。
【0216】
1つ以上の他の活性化合物を上述の製剤に添加して、製剤を併用療法に提供することができる。
【0217】
組成物および製剤
また本発明は、上述の化合物のうちのいずれか1つと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物も提供する。
【0218】
1つの実施の形態では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、構造式Iの化合物とを含む医薬組成物であって、
【化21】

【0219】
式中、Yは、−Hまたは−CHX6−CH27であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、−R1、−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、−NHC(=O)R5、−SR6、および−SC(=O)R7から成る群から独立して選択され、Zは、−Hまたは−COOMであり、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、およびフルオロヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、または、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7のうちのいずれか2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、Iによって表される化合物の任意の立体中心での立体化学的配置は、R、S、またはこれらの配置の混合物であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、またはR7のうちの少なくとも1つが、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択されることを条件とする、医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0220】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−Hである。
【0221】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−COOHである。
【0222】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Yは、Hである。
【0223】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Yは、−CH(OR2)−CH27である。
【0224】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Yは、−CH(OR2)−CH2OR2である。
【0225】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、または−NHC(=O)R5である。
【0226】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)R3または−NHC(=O)R5である。
【0227】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5である。
【0228】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であり、R5は、フルオロアルキルである。
【0229】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、水素である。
【0230】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、構造式IIの化合物とを含む医薬組成物であって、
【化22】

【0231】
式中、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、W1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、RおよびRは、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびR3の2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0232】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキルである。
【0233】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、パーフルオロアルキルである。
【0234】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3である。
【0235】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0236】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CHである。
【0237】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Rは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0238】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Rは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CHである。
【0239】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、構造式IIIの化合物とを含む医薬組成物であって、
【化23】

【0240】
式中、Zは、−RFまたは−C(=O)RFであり、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、Zは、−RFまたは−C(=O)RFであり、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、W1、W2、W3、W4、およびW5は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、RおよびRは、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびR3の2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0241】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)RFである。
【0242】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−RFである。
【0243】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキルである。
【0244】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、パーフルオロアルキルである。
【0245】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3である。
【0246】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHである。
【0247】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OC(=O)CH3である。
【0248】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、−Hである。
【0249】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、−CHである。
【0250】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)RFであり、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHであり、Mは、−Hである。
【0251】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)RFであり、RFは、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5は、それぞれ−OHであり、Mは、−CHである。
【0252】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、構造式IVの化合物とを含む医薬組成物であって、
【化24】

【0253】
式中、Zは、−RFまたは−C(=O)R3であり、W1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、RおよびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびR3の2つが一緒になって−(CH2n−となり、nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、Xは、−RF、−ORF、−OC(=O)RF、−NHRF、−NHC(=O)RF、SRF、および−SC(=O)RFから成る群から選択され、RFは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択される医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0254】
特定の実施形態では、本発明は、上述の組成物および付帯定義に関し、Zは、−RFである。
【0255】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OHである。
【0256】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−C(=O)CH3である。
【0257】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、−Hである。
【0258】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、−CH3である。
【0259】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Mは、−CH2CH3である。
【0260】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、R2およびR3は、それぞれアルキルである。
【0261】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、R2およびR3は、それぞれ−CH3である。
【0262】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルである。
【0263】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Xは、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFである。
【0264】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、RFは、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであり、Xは、−NHR、−NHC(=O)RF、または−SRFである。
【0265】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Xは、−S(CH22CF3、−S(CH23CF、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHCH2715、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、および−NHC(=O)CHから選択される。
【0266】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−CH2715である。
【0267】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−CH2715であり、Xは、−OC(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−C(=O)CHであり、Mは、−CH2CH3である。
【0268】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mは、−CH3であり、Xは、−S(CH22CF3、−S(CH23CF3、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265である。
【0269】
特定の実施形態では、本発明は、上述の医薬組成物および付帯定義に関し、Zは、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4は、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mは、−CH2CH3であり、Xは、−NHCH2715である。
【0270】
本発明の方法
1つの実施の形態では、本発明は、細胞接着を減じる方法であって、
細胞をフッ素含有単糖類と接触させ、
細胞がフッ素含有単糖類を内在化し、フッ素含有単糖類またはその誘導体を細胞の表面に含む複合糖質を細胞外に発現させる条件の下で、細胞を培養する、
各工程を有してなる方法を提供する。
【0271】
特定の実施形態では、本発明は上述の方法に関し、フッ素含有単糖類は上述の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の上述の医薬組成物のうちのいずれか1つのである。
【0272】
特定の実施形態では、本発明は上述の方法に関し、細胞は、細胞は、B細胞、T細胞、顆粒球、メラノーマ細胞、乳癌細胞、リンパ腫細胞、骨肉腫細胞、白血病細胞、扁平上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、卵巣癌細胞、膵癌細胞、および線維肉腫細胞から成る群から選択される。
【0273】
1つの実施の形態では、本発明は、哺乳類の器官の全体または一部を撮像する方法であって、
哺乳類に検出可能な量のフッ素含有単糖類またはその組成物を投与する工程と、
哺乳類に核磁気共鳴映像法を施す工程と、を含む方法を提供する。
【0274】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、器官は、肝臓、腎臓、心臓、皮膚、脳、眼、膵臓、胃、腸、甲状腺、肺、直腸、子宮、頸部、前立腺、胸部、精巣、脳幹、または膀胱である。
【0275】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類は、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、またはウシである。
【0276】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類は、ヒトである。
【0277】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、フッ素含有単糖類またはその組成物の投与方法は、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻である。
【0278】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、投与方法は、静脈内である。
【0279】
特定の実施形態では、本発明は上述の方法に関し、フッ素含有単糖類は上述の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の上述の医薬組成物のうちのいずれか1つである。
【0280】
1つの実施の形態では、本発明は、炎症を治療する方法であって、治療上有効量の上述の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の上述の医薬組成物のうちのいずれか1つを、治療を必要とする哺乳類に投与する工程を含む方法を提供する。
【0281】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、炎症は、肺系統、消化管系統、筋骨格系統、生殖器系、中枢神経系、または泌尿器系統の炎症である。
【0282】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、炎症は、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、膵臓組織、甲状腺組織、肺、大腸組織、直腸組織、肛門組織、肝臓組織、皮膚、骨、卵巣組織、子宮組織、頸部組織、胸部、前立腺、精巣の組織、脳、脳幹、髄膜組織、腎臓、または膀胱内に位置する。
【0283】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、炎症は、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、胸部、肺、卵巣、または前立腺内に位置する。
【0284】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、炎症は、心臓血管系疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎、関節リウマチ、多発性硬化症、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、アレルギー性鼻炎(花粉症)、骨盤内炎症性疾患、甲状腺の炎症性疾患、真性糖尿病、紅斑性狼瘡、川崎病、免疫性血小板減少紫斑病、壊死性全腸炎、腎炎、アテローム性動脈硬化症、乾癬、痛風、および類肉腫症によって生じる。
【0285】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類は、ヒトである。
【0286】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、化合物の投与方法は、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻である。
【0287】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、投与方法は、静脈内である。
【0288】
1つの実施の形態では、本発明は、癌を治療する方法であって、治療上有効量の上述の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の上述の医薬組成物のうちのいずれか1つを、治療を必要とする哺乳類に投与する工程を含む方法を提供する。
【0289】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、癌は、造血系統、免疫系、内分泌系、肺系統、消化管系統、筋骨格系統、生殖器系、中枢神経系、または泌尿器系統の癌である。
【0290】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、癌は、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、膵臓組織、甲状腺組織、肺、大腸組織、直腸組織、肛門組織、肝臓組織、皮膚、骨、卵巣組織、子宮組織、頸部組織、胸部、前立腺、精巣の組織、脳、脳幹、髄膜組織、腎臓、または膀胱内に位置する。
【0291】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、癌は、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、胸部、肺、卵巣、または前立腺内に位置する。
【0292】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、癌は、乳癌、多発性骨髄腫、前立腺癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、腎細胞癌、悪性黒色腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、大腸癌、脳腫瘍、腎臓癌、頭頚部癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、または骨髄異形成症候群である。
【0293】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類の癌は、乳癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、黒色腫、多発性骨髄腫、肺癌、卵巣癌、または前立腺癌である。
【0294】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類は、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、またはウシである。
【0295】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、哺乳類は、ヒトである。
【0296】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、化合物の投与方法は、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻である。
【0297】
1つの実施の形態では、本発明は上述の方法に関し、投与方法は静脈内である。
【0298】
参照による組み込み
本願明細書に引用される全ての米国特許および米国公開の特許出願書は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。
【0299】
等価物
当業者は、単に所定の実験を用いて、本願明細書に記載された本発明の特定の実施形態には多くの等価物があることを認識または確認することが可能であろう。このような等価物は、添付の請求項に包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】シアル酸含有糖タンパク質および糖脂質の生合成を示す。対応するシアル酸を生成する最初の3つのステップは、細胞質内で行われる。シアル酸は、次いで核内でCMPの形態に活性化されてゴルジに移送されるが、ゴルジではシアル酸転移酵素がシアル酸をタンパク質および脂質に付着させる。
【図2】置換マンノサミンおよびノイラミン酸の合成を示す。テトラアセチル化された化合物4、および対応するN−アシルノイラミン酸5の過アセチル化したメチルエステルは、供給実験時に使用した。条件:(a)HBTU、DIEA/DMF、RCO2H、0℃−>室温;(b)アルドラーゼ、Na−ピルビン酸塩、37℃、3日;(c)Ac2O、ピリジン(0.2M)、室温、16時間;(d)AcCl、CH3OH、室温、12時間。カッコ内に記された収量は、4に対しては2つの工程((a)および(b))、および5に対しては2から開始した3つの工程((b)、(d)、(d))を通じてのものである。下線を付した番号の化合物は、未調製である。
【図3】外因的に添加されたマンノサミンの誘導体の、対応するシアル酸への変換を示す。Jurkat細胞の細胞質画分は、a)4bおよびb)4dによる培養の36時間後に、LC ESI−MSによって分析した。縦座標は、総イオン電流の相対強度を表す。
【図4】非天然細胞表面シアル酸の可視化スキームを示す。非天然シアル酸誘導体によって培養された細胞は、加水分解を行い、その後DMBによって標識化される。同一の形式で標識化した基準の標準品との比較により、蛍光検出器を使用してHPLC上の保持時間を確立する。ピーク下の領域の積分は、異なるシアル酸の相対量の定量法を提供する。非天然官能基は、C5アミノ官能基上のR群の一部である。示されたHPLCのトレースは、N−アセチルノイラミン酸(R=CH3)のものである。
【図5】細胞表面への組み込みに対する試験を行った化合物の構造を示す。化合物4e、4g、5e、5g、および5i_aは、シアロ糖抱合体の形態で細胞表面にエスコートして付加した。他の化合物は、最小限しか組み込まれなかったか、または全く組み込まれなかった。組み込みは、組み込まれていない時には全ての化合物が細胞質画分内に見られるので、プラズマ細胞膜を越えて拡散する能力の関数ではなかった。シトソル内に見られ、細胞表面に発現した化合物は、遊離形態(化合物4に対してはテトラヒドロキシル、化合物5に対してはペンタヒドロキシルカルボン酸塩の形態)であることに留意されたい。
【図6】5i(JurkatまたはHL60)の細胞の培養結果、すなわち、最小限の組み込みを示す(総シアル酸の3%未満)。しかしながら、どちらの場合も、細胞質画分の検査により、5iの存在が明らかになった。非天然シアル酸の膜の通路は損なわれない。
【図7】Jurkat、HL60、およびHeLa細胞表面への化合物5eおよび5gの発現を示す。DMB複合体の蛍光ベースの検出は、膜画分の加水分解および標識化を行うことによって達成した。左側のピークはNeu5Acであり、右側は非天然フッ素化シアル酸である。(a)化合物5eは、Jurkat細胞内に効率的に組み込まれる。(b)LC ESI−MSは、5eの量および同一性を確認する。(c)HL60(Jurkatではない)での4gの培養による5gの細胞表面発現。(d)HeLa細胞における4gの培養による5gの細胞表面発現。色の着いてないピークは、DMBのみの未知の分解生成物である。注:細胞表面から単離した全ての材料は、ペンタヒドロキシルカルボン酸塩の形態である。
【図8】5gで処理した、UDP−GlcNAc2エピメラーゼ活性が不足したHL60−Iの処理は、ほぼ75%の細胞表面のシリアル化が外因的に添加した5gに由来することを示すグラフを表す。シアル酸組成物(Neu5Ac(左);5g(右))は、DMB標識化および蛍光HPLC検出を使用して視覚化した。他のピークは、過剰なDMBへの分解によるものと考えられる。
【図9】(a)は、タプシガルジン(Tg)の存在下で、フィブロネクチンでコーティングしたプレートへのHL60細胞の接着を示す。細胞は、化合物とともに72時間培養し、PBSで洗浄し、次いでプレートに接着させた。1時間後、遊離した細胞は、PBSで洗浄することによって除去し、次いで細胞の数をカルセイン−AMの添加および蛍光計数によって定量化した。(b)は、(a)のアッセイと類似しているが、化合物4aおよび4dによるものである((b)のデータは、Horstkorte, R.; Rau, K.; Laabs, S.; Danker, K.; Reutter, W. "Biochemical engineering of the N-acyl side chain of sialic acid leads to increased calcium influx from intracellular compartments and promotes differentiation of HL60 cells" FEBS Lett. 2004, 571, 99-102のものを用いた)。
【図10】HL60細胞のプレートへの接着を示す。[a]はE−セレクチン(ヒトCD62E)でコーティングしたプレートの場合、[b]はP−セレクチン(ヒトCD62P)でコーティングしたプレートの場合である。細胞は、化合物5eおよび化合物5gとともに72時間培養され、PBSで洗浄し、次いでプレートに接着させた。1時間後、遊離した細胞は、PBSで洗浄することによって除去し、次いで細胞の数をカルセイン−AMの添加および蛍光計数によって定量化した。
【図11】本発明の選択された修飾シアル酸を示す。
【図12】フッ素化シアル酸類似物の提案された合成を示す。a.DowexH+、MeOH;b.TsCl、ピリジン;c.AcSK、DMF;d.NaOMe、MeOH;e.NaN3、DMF;f.SnCl2、MeOH;g.NaOEt、EtOH;h.RfCH2COCl、ピリジンまたは14;i.Ac2O、ピリジン;j.RfCH2I、NaHCO3。Rf=フルオロアルキル。
【図13】静的細胞接着アッセイの特定の実施形態の概略図である。
【図14】種々のN−アシルマンノサミンを示す。
【図15】炭水化物の組み込みおよび細胞表面への発現を示す。
【図16】HL60細胞におけるSiaC43の蛍光ベースの検出を示す。
【図17】HeLa細胞におけるSiaC53およびManC53の蛍光ベースの検出を示す。
【図18】HL60およびJurkat細胞におけるSiaC53の蛍光ベースの検出を示す。
【図19】HL60細胞およびシトソルにおけるSiaC67の蛍光ベースの検出を示す。
【図20】本発明のマンノサミンおよびシアル酸の組み込みの割合を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iによって表される化合物であって、
【化1】

式中、
Yは、−Hまたは−CHX6−CH27であり、
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、−R1、−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、−NHC(=O)R5、−SR6、および−SC(=O)R7から成る群から独立して選択され、
Zは、−Hまたは−COOMであり、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、
1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、およびフルオロヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、または、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7のうちのいずれか2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、
Iによって表される化合物の任意の立体中心での立体化学的配置は、R、S、またはこれらの配置の混合物であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、またはR7のうちの少なくとも1つが、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択されることを条件とする、
化合物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
Zが、−Hであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが、−COOHであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、Hであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、−CH(OR2)−CH27であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yが、−CH(OR2)−CH2OR2であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OC(=O)R3または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびXが、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であり、R5が、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Mが、水素であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
構造式IIによって表される化合物であって、
【化2】

式中、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、
1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である、
化合物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項13】
Fが、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Fが、パーフルオロアルキルであることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項17】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項18】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項19】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項20】
構造式IIIによって表される化合物であって、
【化3】

式中、
Zは、−RFまたは−C(=O)RFであり、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、
1、W2、W3、W4、およびW5は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である、
化合物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項21】
Zが、−C(=O)RFであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Zが、−RFであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
Fが、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
Fが、パーフルオロアルキルであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項25】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項26】
1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項27】
1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OC(=O)CH3であることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項28】
Mが、−Hであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項29】
Mが、−CH3であることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項30】
Zが、−C(=O)RFであり、RFが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであり、Mが、−Hであることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、−C(=O)RFであり、RFが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであり、Mが、−CH3であることを特徴とする請求項20に記載の化合物。
【請求項32】
構造式IVによって表される化合物であって、
【化4】

式中、
Zは、−RFまたは−C(=O)R3であり、
1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、
Xは、−RF、−ORF、−OC(=O)RF、−NHRF、−NHC(=O)RF、−SRF、および−SC(=O)RFから成る群から選択され、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択される、
化合物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項33】
Zが、−C(=O)R3であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
Zが、−RFであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項35】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項36】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−C(=O)CHであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項37】
Mが、−Hであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項38】
Mが、−CH3であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項39】
Mが、−CH2CH3であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項40】
2およびR3が、それぞれアルキルであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項41】
2およびR3が、それぞれ−CH3であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項42】
Fが、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項43】
Xが、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項44】
Fが、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであり、Xが、−NHR、−NHC(=O)RF、または−SRFであることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項45】
Xが、−S(CH22CF3、−S(CH23CF、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHCH2715、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項46】
Zが、−CH2715であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項47】
Zが、−CH2715であり、Xが、−OC(=O)CHであり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−C(=O)CH3であり、Mが、−CH2CH3であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項48】
Zが、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CHであり、Mが、−CH3であり、Xが、−S(CH22CF3、−S(CH23CF3、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項49】
Zが、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mが、−CH2CH3であり、Xが、−NHCH2715であることを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項50】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、
構造式Iの化合物と、
【化5】

を含む医薬組成物であって、
式中、
Yは、−Hまたは−CHX6−CH27であり、
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、−R1、−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、−NHC(=O)R5、−SR6、および−SC(=O)R7から成る群から独立して選択され、
Zは、−Hまたは−COOMであり、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、
1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、およびフルオロヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、または、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7のうちのいずれか2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、
Iによって表される化合物の任意の立体中心での立体化学的配置は、R、S、またはこれらの配置の混合物であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、またはR7のうちの少なくとも1つが、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択されることを条件とする、
医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項51】
Zが、−Hであることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
Zが、−COOHであることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項53】
Yが、Hであることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項54】
Yが、−CH(OR2)−CH27であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項55】
Yが、−CH(OR2)−CH2OR2であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項56】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OR2、−OC(=O)R3、−NHR4、または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項57】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OC(=O)R3または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項58】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項59】
1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7が、独立して−OC(=O)CH3または−NHC(=O)R5であり、R5は、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項60】
Mが、水素であることを特徴とする請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項61】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、
構造式IIの化合物と、
【化6】

を含む医薬組成物であって、
式中、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、
1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である、
医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項62】
Fが、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項63】
Fが、パーフルオロアルキルであることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項64】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項65】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項66】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項67】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項68】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CHであることを特徴とする請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項69】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、
構造式IIIの化合物と、
【化7】

を含む医薬組成物であって、
式中、
Zは、−RFまたは−C(=O)RFであり、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択され、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から選択され、
1、W2、W3、W4、およびW5は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5である、
医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項70】
Zが、−C(=O)RFであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項71】
Zが、−RFであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項72】
Fが、フルオロアルキルであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項73】
Fが、パーフルオロアルキルであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項74】
Fが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項75】
1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項76】
1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OC(=O)CH3であることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項77】
Mが、−Hであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項78】
Mが、−CHであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項79】
Zが、−C(=O)Rであり、RFが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであり、Mが、−Hであることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項80】
Zが、−C(=O)RFであり、RFが、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2CF2CF2CF3、または−CH2CH2(CF27CF3であり、W1、W2、W3、W4、およびW5が、それぞれ−OHであり、Mが、−CH3であることを特徴とする請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項81】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、
構造式IVの化合物と、、
【化8】

を含む医薬組成物であって、
式中、
Zは、−RFまたは−C(=O)R3であり、
1、W2、W3、およびW4は、−OR2および−OC(=O)R3から成る群から独立して選択され、
Mは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、
2およびR3は、それぞれ存在ごとに、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから成る群から独立して選択されるか、またはR2およびRの2つが一緒になって−(CH2n−となり、
nは、それぞれ存在ごとに独立して1、2、3、4、または5であり、
Xは、−RF、−ORF、−OC(=O)RF、−NHRF、−NHC(=O)RF、−SRF、または−SC(=O)RFから成る群から選択され、
Fは、フルオロアルキル、フルオロシクロアルキル、フルオロヘテロシクロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロヘテロアリール、フルオロアラルキル、フルオロヘテロアラルキル、フルオロアシル、およびフルオロカルボニルから成る群から選択される、
医薬組成物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項82】
Zが、−C(=O)R3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
Zが、−RFであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項84】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OHであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項85】
1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−C(=O)CH3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項86】
Mが、−Hであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項87】
Mが、−CH3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項88】
Mが、−CH2CH3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項89】
2およびR3が、アルキルであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項90】
2およびR3が、それぞれCH3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項91】
Fが、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項92】
Xが、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項93】
Fが、フルオロアルキル、フルオロアリール、またはフルオロアラルキルであり、Xが、−NHRF、−NHC(=O)RF、または−SRFであることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項94】
Xが、−S(CH22CF3、−S(CH23CF、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHCH2715、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項95】
Zが、−CH2715であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項96】
Zが、−CH2715であり、Xが、−OC(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−C(=O)CHであり、Mが、−CH2CH3であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項97】
Zが、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mが、−CHであり、Xが、−S(CH22CF3、−S(CH23CF3、−S(CH24CF3、−SCH2CF2CF3、−SCH2(CF22CF3、−SCH2(CF23CF3、−SCH2(CF24CF3、−NHC(=O)(CH22CF3、−NHC(=O)CH2CF2CF3、−NHC(=O)CH2(CF22CF3、−NHC(=O)(CH22(CF22CF3、−NHC(=O)CH2(CF23CF3、−NHC(=O)CH2(CF27CF3、または−NHC(=O)CH265であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項98】
Zが、−C(=O)CH3であり、W1、W2、W3、およびW4が、それぞれ−OC(=O)CH3であり、Mが、−CH2CH3であり、Xが、−NHCH2715であることを特徴とする請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項99】
細胞接着を減じる方法であって、
前記細胞をフッ素含有単糖類と接触させ、
前記細胞が前記フッ素含有単糖類を内在化し、前記フッ素含有単糖類またはその誘導体を前記細胞の表面に含む複合糖質を細胞外に発現させる条件の下で、前記細胞を培養する、
各工程を有してなる方法。
【請求項100】
前記フッ素含有単糖類が、請求項1〜49に記載の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の請求項50〜99に記載の医薬組成物のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記細胞が、B細胞、T細胞、顆粒球、メラノーマ細胞、乳癌細胞、リンパ腫細胞、骨肉腫細胞、白血病細胞、扁平上皮癌細胞、子宮頸癌細胞、卵巣癌細胞、膵癌細胞、および線維肉腫細胞から成る群から選択されることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項102】
哺乳類の器官の全体または一部を撮像する方法であって、
前記哺乳類に検出可能な量のフッ素含有単糖類またはその組成物を投与し、
前記哺乳類に核磁気共鳴映像法を施す、
各工程を有してなる方法。
【請求項103】
前記器官が、肝臓、腎臓、心臓、皮膚、脳、眼、膵臓、胃、腸、甲状腺、肺、直腸、子宮、頸部、前立腺、胸部、精巣、脳幹、または膀胱であることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記哺乳類が、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、またはウシであることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記哺乳類が、ヒトであることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記フッ素含有単糖類またはその組成物の投与方法が、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻であることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項107】
前記投与方法が、静脈内投与であることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項108】
前記フッ素含有単糖類が、請求項1〜49に記載の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の、請求項50〜99に記載の医薬組成物のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項109】
治療上有効量の請求項1〜49に記載の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の請求項50〜99に記載の医薬組成物のうちのいずれか1つを、治療を必要とする哺乳類に投与する工程を含む、炎症を治療する方法。
【請求項110】
前記炎症が、肺系統、消化管系統、筋骨格系統、生殖器系、中枢神経系、または泌尿器系統の炎症であることを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記炎症が、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、膵臓組織、甲状腺組織、肺、大腸組織、直腸組織、肛門組織、肝臓組織、皮膚、骨、卵巣組織、子宮組織、頸部組織、胸部、前立腺、精巣の組織、脳、脳幹、髄膜組織、腎臓、または膀胱内に位置することを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記炎症が、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、胸部、肺、卵巣、または前立腺内に位置することを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記炎症が、心臓血管系疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎、関節リウマチ、多発性硬化症、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、アレルギー性鼻炎(花粉症)、骨盤内炎症性疾患、甲状腺の炎症性疾患、真性糖尿病、紅斑性狼瘡、川崎病、免疫性血小板減少紫斑病、壊死性全腸炎、腎炎、アテローム性動脈硬化症、乾癬、痛風、および類肉腫症によって生じることを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記哺乳類が、ヒトであることを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記化合物の投与方法が、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻であることを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項116】
前記投与方法が、静脈内であることを特徴とする請求項109に記載の方法。
【請求項117】
治療上有効量の請求項1〜49に記載の化合物のうちのいずれか1つ、または治療上有効量の請求項50〜99に記載の医薬組成物のうちのいずれか1つを、治療を必要とする哺乳類に投与する工程を含む、癌を治療する方法。
【請求項118】
前記癌が、造血系統、免疫系、内分泌系、肺系統、消化管系統、筋骨格系統、生殖器系、中枢神経系、または泌尿器系統の癌であることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記癌が、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、膵臓組織、甲状腺組織、肺、大腸組織、直腸組織、肛門組織、肝臓組織、皮膚、骨、卵巣組織、子宮組織、頸部組織、胸部、前立腺、精巣の組織、脳、脳幹、髄膜組織、腎臓、または膀胱内に位置することを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記癌が、哺乳類の脊髄組織、リンパ組織、胸部、肺、卵巣、または前立腺内に位置することを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記癌が、乳癌、多発性骨髄腫、前立腺癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、腎細胞癌、悪性黒色腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、大腸癌、脳腫瘍、腎臓癌、頭頚部癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、または骨髄異形成症候群であることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項122】
前記哺乳類の癌が、乳癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、黒色腫、多発性骨髄腫、肺癌、卵巣癌、または前立腺癌であることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記哺乳類が、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、またはウシであることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項124】
前記哺乳類が、ヒトであることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項125】
前記化合物の投与方法が、吸入、経口、静脈内、舌下、眼球、経皮、直腸、膣、局所的、筋肉内、動脈内、髄膜下、皮下、口内、または経鼻であることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項126】
前記投与方法が、静脈内であることを特徴とする請求項117に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−530311(P2009−530311A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500605(P2009−500605)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/064060
【国際公開番号】WO2007/106886
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(303043726)トラスティーズ オブ タフツ カレッジ (26)
【Fターム(参考)】