説明

腫瘍性及び線維性疾患の処置における新規な併用療法

本発明は、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)の阻害剤とトロンビン阻害剤との併用投与を含む、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための新規な方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)の阻害剤とトロンビン阻害剤との併用投与を含む、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物、vargatef(3−Z−[1−(4−(N−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メチルカルボニル)−N−メチル−アミノ)−アニリノ)−1−フェニル−メチレン]−6−メトキシカルボニル−2−インドリノン)は、特に、腫瘍性及び線維性疾患、免疫学的成分が関与する免疫疾患若しくは病的状態又は線維性疾患の処置に有益な薬理学的特性を有する革新的な活性成分である。この化合物の化学構造は、下記の式1:
【化1】


で表される。
【0003】
この化合物の塩基形態については、WO01/27081に記載され、モノエタンスルホン酸塩の形態については、WO2004/013099に記載されており、そして様々なさらなる塩形態については、WO2007/141283に示される。免疫学的成分が関与する免疫疾患又は病的状態の処置のためのこの分子の使用は、WO2004/017948に記載されており、腫瘍性疾患の処置のための使用は、WO2004/096224に記載されており、そして線維性疾患の処置のための使用は、WO2006/067165に記載されている。
【0004】
式2:
【化2】


で示されるトロンビン阻害剤のダビガトランは従来技術で公知であり、WO98/37075で最初に開示された。これは、例えば、深部静脈血栓症の術後予防及び卒中予防、特に、心房細動の患者の卒中予防に有用であることが知られている強力なトロンビン阻害剤である。
【0005】
本発明の目的は、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための新規な療法を提供することである。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための新規な方法であって、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式1:
【化3】


で示される化合物(vargatef)と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式2:
【化4】


で示される化合物(ダビガトラン)の併用投与を含む、方法に関する。
【0007】
本発明によれば、化合物1及び2は、単一製剤又は2つの別個の製剤で投与することができる。従って、好ましい一実施態様においては、本発明は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2とを含む、医薬組成物に関する。
【0008】
別の好ましい実施態様においては、本発明は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1を含む一つの医薬組成物と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2を含む第二の医薬組成物とを含む、キットに関する。
【0009】
本発明はさらに、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための方法で使用するための、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1に関し、ここで、前記方法は、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2の使用をさらに含む。
【0010】
本発明はさらに、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための方法で使用するための、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2に関し、ここで、前記方法は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1の使用をさらに含む。
【0011】
本発明はさらに、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための医薬を製造するための、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1の使用に関し、ここで、前記処置は、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2の使用をさらに含む。
【0012】
本発明はさらに、腫瘍性及び線維性疾患の処置のための医薬を製造するための、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2の使用に関し、ここで、前記方法は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1の使用をさらに含む。
【0013】
本発明に関連して、化合物1は、場合により、その互変異性及び薬学的に許容しうる塩の形態で用いられる。薬学的に許容しうる塩は、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、エタンスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩からなる群より選択される。特に好ましい実施態様においては、化合物1は、以下に記載のそのエタンスルホン酸塩(1a):
【化5】


として用いられる。
【0014】
本発明に関連して、特に好ましい式1aの塩は、場合により、式1で示される化合物のモノエタンスルホン酸塩とも称される。本発明は、化合物1の塩の溶媒和物及び水和物の使用を包含する。
【0015】
本発明に関連して、化合物2は、場合により、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及びその薬学的に許容しうる塩の形態で用いられる。特に好ましい実施態様においては、化合物2は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式2a:
【化6】


で示されるそのプロドラッグの形態、いわゆるダビガトランエテキシラートで用いられる。
【0016】
特に好ましい化合物2aの薬学的に許容しうる塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩の中から選択される酸付加塩を包含する。塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、安息香酸及び酢酸の塩が特に好ましい。本発明に係る特に重要なものはメタンスルホン酸の塩であり、これは、場合により、本発明の範囲内でメシラートとも称される。
【0017】
化合物2aの酸付加塩、特に、メタンスルホン酸塩は、例えば、WO03/074056に開示されている。メタンスルホン酸塩の特定の多形型I及びII又はその半水和物は、また、従来技術で公知である(WO2005/028468)。本発明は、化合物2aの塩の溶媒和物及び水和物の使用を包含する。
【0018】
本発明の主な焦点は、式1で示される化合物と式2で示される化合物の組み合わせに関するが、本明細書に記載の組み合わせは、また、他の化学療法剤、好ましくは、erbB1受容体(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼの阻害剤と併せてうまく投与することができる。特に好ましい実施態様においては、1及び2の組み合わせは、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式3:
【化7】


で示される化合物(tovok)、と一緒に投与される。
【0019】
式3で示される化合物は、erbB1受容体(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼの、強力で選択的な二重阻害剤である。さらに、3を、EGFR及びHER2に共有結合するように設計したことにより、それが結合する受容体分子を不可逆的に不活性化する。この化合物3、二マレイン酸塩などのその塩、それらの調製、及び3又はその塩を含む医薬製剤、3で処置される適応症、並びに、3を含有する組み合わせは、WO02/50043、WO2005/037824、WO2007/054550及びWO2007/054551に開示されている。
【0020】
本発明に係る併用処置は、腫瘍性疾患の処置に特に有益である。好ましくは、疾患は、固形腫瘍、例えば、泌尿生殖器癌(前立腺癌、腎細胞癌、膀胱癌など)、婦人科癌(卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌など)、肺癌、消化管癌(非転移性若しくは転移性結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞癌、胆管細胞癌など)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、悪性膠芽腫、悪性中皮腫、非転移性若しくは転移性乳癌(例えば、ホルモン抵抗性転移性乳癌)、悪性黒色腫若しくは骨肉腫及び軟部組織肉腫、並びに、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び急性リンパ性白血病などの血液腫瘍から選択される。好ましい実施態様においては、疾患は、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌(例えば、ホルモン抵抗性転移性乳癌)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、悪性膠芽腫、転移性結腸直腸癌、ホルモン感受性若しくはホルモン抵抗性前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、肝細胞癌、腎細胞癌、軟部組織肉腫又は小細胞肺癌である。
【0021】
別の実施態様においては、本発明に係る組み合わせは、下記からなる群より選択される特定の線維性疾患の予防又は治療に有用である:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎及び肺気腫における肺組織の線維化及び再形成;肺線維症、及び線維性成分が関与する肺疾患、例えば、非限定的に、特発性肺線維症(IPF)、巨細胞性間質性肺炎(GIP)、サルコイドーシス、嚢胞性線維症、呼吸窮迫症候群(ARDS)、肉芽腫症、珪肺症、薬物誘発肺線維症(例えば、ブレオマイシン、ビスクロロニトロソウレア、シクロホスファミド、アミオダロン、プロカインアミド、ペニシラミン、金若しくはニトロフラントインなどの薬物により引き起こされる)、珪肺症、石綿症、全身性強皮症;喘息における線維化及び再形成;関節リウマチにおける線維化;ウイルス誘発肝硬変、例えば、C型肝炎;放射線誘発線維症;血管形成術後、再狭窄;腎障害、例えば、慢性糸球体腎炎、シクロスポリン投与患者における腎線維症、及び高血圧に起因する腎線維症;線維性成分が関与する皮膚疾患、例えば、非限定的に、強皮症、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス;過度の瘢痕化。好ましい実施態様においては、疾患は、特発性肺線維症(IPF)である。
【0022】
活性成分1及び2の量を適切な剤形が得られるようにする必要があるが、本発明に係る組成物の活性成分の用量は変更可能である。従って、選択された用量及び選択された剤形は、所望の治療効果、投与経路及び処置期間に依存する。組み合わせに適切な用量範囲は、単一薬剤の最大耐用量〜低用量、例えば、最大耐用量の10分の1である。
【0023】
好ましくは、5〜1000mg、特に好ましくは、10〜500mgの式1で示される化合物が、本発明に係る投薬治療を実施するために1日当たり1回又は複数回投与される。特に、好ましくは、25〜300mg、より好ましくは、50〜200mgの化合物1が、1日当たり1回又は2回、好ましくは、1日当たり2回投与される。
【0024】
好ましくは、50〜500mg、特に好ましくは、75〜400mgの式2aで示される化合物が、本発明に係る投薬治療を実施するために1日当たり投与される。特に、好ましくは、110〜350mg、より好ましくは、220〜300mgの化合物2aが、1日当たり投与される。特に好ましい用量計画では、本発明に係る方法は、50〜200mgの1を1日当たり2回、好ましくは、50、75、100、125、150又は200mgの1を1日当たり2回、及び、110〜150mgの2aを1日当たり2回投与することを含む。
【0025】
前述の用量は、化合物1及び2の遊離塩基に基づく。化合物1及び2がその薬学的に許容しうる塩の形態で用いられる場合、適切な塩の量は、当業者により容易に計算することができる。
【0026】
本発明に係る併用療法のために、成分1及び2を、別々(これらが別々に製剤化されることを意味する)又は一緒(これらが一緒に製剤化されることを意味する)に投与することができる。従って、本発明の組み合わせの一つの要素の投与は、組み合わせの他の要素の投与前に、投与と同時に、あるいは、投与後に行ってもよい。好ましくは、成分1及び2は、様々な製剤で投与される。
【0027】
本明細書で上述したように、本発明は、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1と、また、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2とを含む、医薬組成物に関する。従って、本願の開示全体を通して特に明記しない限り、1及び2の組み合わせに関しては、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2の組み合わせに関するものであることを理解されたい。
【0028】
1及び2の組み合わせの各要素は、経口(口腔又は舌下など)、経腸、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、経皮若しくは皮下注射又はインプラント)、経鼻、経膣、直腸又は局所(例えば、眼内点眼薬)の投与経路で投与することができ、そして、これは、単独で又は一緒に、各投与経路に適する従来の非毒性の薬学的に許容しうる担体、アジュバント及び溶剤を含有する適切な用量単位製剤で製剤化することができる。
【0029】
好ましい実施態様においては、本発明に係る組み合わせの要素1は、経口、経腸、経皮、静脈内、腹膜又は注射により投与され、好ましくは経口投与される。別の好ましい実施態様においては、組み合わせの成分2は、好ましくは、経口投与されるのがよい。2は、好ましくは、例えば、WO03/074056に記載のように、多粒子医薬製剤を用いて投与される。
【0030】
本発明の成分1及び2の投与のための医薬組成物は、用量単位剤形で提供することが有利であり、薬剤分野でよく知られた任意の方法により調製することができる。全ての方法が、活性成分を、一つ以上の補助成分から構成される担体と接触させる工程を包含する。一般的に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体若しくは微粉固体担体又は両方と均一、且つ、密接に接触させ、そして、次に、必要であれば、生成物を所望の剤形に成形することにより調製される。医薬組成物において、活性化合物は、所望の薬理効果を生じるのに十分な量で含有される。
【0031】
活性成分1及び2を別々又は一緒に含有する、経口投与に適切な医薬組成物は、それぞれ所定量の活性成分を含有する、硬質若しくは軟質カプセル剤、錠剤、トローチ剤又はロゼンジ剤などの別々の単位の形態で、あるいは、分散性粉剤又は顆粒剤の形態で、あるいは、水性液体若しくは非水性液体に溶かした液剤又は懸濁剤の形態で、あるいは、シロップ剤又はエリキシル剤の形態で、あるいは、水中油型乳剤又は油中水型乳剤の形態であってもよい。
【0032】
経口使用を目的とする剤形は、医薬製剤及びそのような組成物の製造のための、当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができる。
【0033】
使用する賦形剤は、例えば、(a)不活性希釈剤、例えば、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、α化デンプン、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;(b)造粒剤及び崩壊剤、例えば、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、アルギン酸、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース又はポラクリリンカリウム;(c)結合剤、例えば、微結晶性セルロース又はアラビアゴム;並びに、(d)潤沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸又はタルクであってもよい。
【0034】
この場合、経口使用の製剤は、硬質ゼラチン又はHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル剤の形態であってもよく、このカプセル剤では、活性成分1又は2は、別々又は一緒に、不活性固体希釈剤、例えば、α化デンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されるか、あるいは、ペレット製剤にして分注される。これらは、また、軟質ゼラチンカプセル剤の形態であってもよく、このカプセル剤では、活性成分は、水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、中鎖脂肪酸トリグリセリド又はオリーブ油と混合される。
【0035】
錠剤、カプセル剤又はペレット剤は、コーティングされていなくてもよいが、あるいは、これらを、消化管における崩壊及び吸収を遅延させるために公知の技術でコーティングすることができ、これにより、長期間にわたって遅延作用又は持続作用が得られる。例えば、セルロースアセテートフタレート若しくはヒドロキシプロピルセルロースアセテートスクシネートなどの時間遅延材料又はエチルセルロース若しくはアンモニオメタクリル酸コポリマー(B型)などの徐放性材料を使用することができる。
【0036】
本発明に係る経口投与のための液体剤形は、水などの当技術分野で通常使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容しうる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤を包含する。このような不活性希釈剤に加えて、組成物は、また、佐剤、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、並びに、甘味剤、香味剤、芳香剤及び保存剤を含有することができる。
【0037】
本発明に係る水性懸濁剤は、通常、活性物質1及び2を、別々又は一緒に、水性懸濁剤の製造に適切な賦形剤との混合物で含有する。このような賦形剤は、(a)懸濁化剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴム;(b)下記に示すものであることができる分散剤又は湿潤剤、(b.1)天然リン脂質、例えば、レシチン、(b.2)アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、(b.3)エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、(b.4)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸モノエステル、又は(b.5)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステルであってもよい。
【0038】
水性懸濁剤は、また、一つ以上の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル;一つ以上の着色剤;一つ以上の香味剤;及び一つ以上の甘味剤、例えば、スクロース又はサッカリンを含有してもよい。
【0039】
本発明に係る油性懸濁剤は、活性成分1及び2を、別々又は一緒に、植物油、例えば、ラッカセイ(ピーナッツ)油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油中に、又は流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁させて製剤化することができる。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。甘味剤及び香味剤を添加して、口当たりの良い経口調製物を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化剤を添加して調製することができる。
【0040】
分散性粉末剤及び顆粒剤は、本発明に係る水性懸濁剤の調製に適切な製剤である。これらの製剤では、活性成分1及び2は、別々又は一緒に、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び一つ以上の保存剤との混合物で存在する。分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び保存剤の適切な例は、本明細書で上述したようなものである。例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤などの追加の賦形剤が、また、存在してもよい。賦形剤の適切な例は、本明細書で上述したようなものである。
【0041】
本発明の医薬組成物は、また、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、オリーブ油若しくはラッカセイ(ピーナッツ)油などの植物油、又は流動パラフィン若しくはその混合物などの鉱油であってもよい。
【0042】
適切な乳化剤は、(a)天然のゴム、例えば、アラビアゴム及びトラガカントゴム(b)天然のリン脂質、例えば、大豆及びレシチン(c)脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンオレイン酸モノエステル、(d)前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステルであってもよい。乳剤は、また、甘味剤及び香味剤を含有してもよい。
【0043】
本発明に係るシロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤化することができる。このような製剤は、また、保存剤、香味剤及び着色剤を含有してもよい。
【0044】
1及び2を別々又は一緒に含有する医薬組成物は、無菌の注射可能な水性若しくは油性懸濁剤又は液剤の形態であってもよい。懸濁剤は、本明細書で上述したような適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、公知の方法に従って製剤化することができる。適切な無菌の注射可能な調製物は、また、非毒性の非経口的に許容しうる希釈剤又は溶媒に溶かした無菌の注射可能な液剤又は懸濁剤、例えば、1,3−ブタン−ジオール溶液であってもよい。使用することができる適切な許容可能な溶剤及び液剤の例は、水、リンゲル液及び生理食塩液である。さらに、無菌の固定油を、通常、溶媒又は懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、合成モノ−又はジグリセリドなどの任意の無菌の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、本発明に係る注射剤の調製に使用される。
【0045】
1及び2を別々又は一緒に含有する、本発明に係る非経口投与のための調製物は、無菌の水性若しくは非水性液剤、懸濁剤又は乳剤を包含する。
【0046】
本発明に係る調製物のための適切な非水性液剤又は溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油及びトウモロコシ油などの植物油、ゼラチン、並びに、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。このような用量剤形は、また、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの佐剤を含有してもよい。これらは、例えば、細菌保持フィルターによる濾過、組成物への滅菌剤の組み込み、組成物の照射又は組成物の加熱により滅菌することができる。これらは、また、使用直前に滅菌水又は他のいくつかの無菌の注射可能な媒体で再構成することができる、無菌の固体組成物の形態で製造することができる。
【0047】
本発明の組み合わせの要素1及び2は、また、直腸投与のために坐剤の形態で投与することができる。このような組成物は、活性成分を、常温で固体であるが、直腸温度では液体であるため、直腸で溶解し活性成分を徐放する適切な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。このような材料は、ココアバター、硬性脂肪及びポリエチレングリコールである。
【0048】
本発明に係るバッカル、経鼻又は舌下投与のための組成物は、当技術分野で公知の標準的な賦形剤で調製することができる。
【0049】
局所投与のために、本発明の組み合わせの要素1及び2は、別々又は一緒に、液体又は半液体調製物で製剤化することができる。適切な調製物の例は、糊膏剤、ローション剤、塗布剤;例えば、歯磨き剤を含むクリーム剤、軟膏、ゼリー剤又はペースト剤などの水中油型乳剤若しくは油中水型乳剤;点滴剤などの液剤又は懸濁剤である。
【0050】
好ましい実施態様においては、活性成分1又はその薬学的に許容しうる塩は、カプセル殻及びカプセル製剤を含む、例えば、硬質ゼラチンカプセル又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルなどのカプセル剤の形態で製剤化され、ここで、カプセル製剤は、活性成分1又はその薬学的に許容しうる塩の懸濁剤、好ましくは、担体及び増粘剤を含む粘性懸濁剤、より好ましくは、担体が脂質(脂溶性)担体である粘性懸濁剤を含む。
【0051】
化合物2は、好ましくは、例えば、WO03/074056に記載のような多粒子医薬製剤を使用して投与される。WO03/74056の図1は、適切なペレットの断面による、好ましい医薬組成物の構造概略図を示す。このペレットのほぼボール状/球状の核領域は、薬学的に許容しうる有機酸、好ましくは、酒石酸を含有するか又は酒石酸で構成される。次に、活性物質を含有する層から酸の核を分離する層、いわゆる分離層がくる。分離層は、球状殻の形状でもある活性物質層により囲まれていてもよく、活性物質層は、ペレットの摩耗抵抗及び保存安定性を改善する被膜により囲まれていてもよい。
【0052】
本発明で好ましく使用されるこの種類のペレット製剤の調製は、連続した部分工程を特徴とする。最初に、核を薬学的に許容しうる有機酸から調製する。本発明の範囲内においては、酒石酸を使用して核を調製する。次に、このように得られた核材料に、分離用懸濁液を噴霧することにより、いわゆる分離された酒石酸核にする。続いて調製したダビガトラン懸濁液を、被膜方法を用いて一回以上の方法工程で、これらの被膜核上に噴霧する。次に、このように得られた活性物質ペレットを適切なカプセルに充填する。
【0053】
下記の実験の部は、本発明により使用される特に好ましい医薬製剤の調製を要約する。
【0054】
実験の部
A)1を含む剤形の好ましい実施例:
下記の錠剤は、1の場合の医薬組成物を示す。
【0055】
全ての実施例の活性物質は、3−Z−[1−(4−(N−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メチルカルボニル)−N−メチル−アミノ)−アニリノ)−1−フェニル−メチレン]−6−メトキシカルボニル−2−インドリノン−モノエタンスルホン酸塩である。
【0056】
実施例1
活性物質50mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表1】

【0057】
実施例1a
活性物質75mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表2】

【0058】
実施例2
活性物質100mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表3】

【0059】
実施例3
活性物質125mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表4】

【0060】
実施例4
活性物質150mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表5】

【0061】
実施例5
活性物質200mgを含有する軟質ゼラチンカプセル剤
【表6】

【0062】
実施例6
下記の表は、さらなる本発明に係る医薬組成物を示す。D、E及びFは錠剤であり、Gは、加熱/冷却高剪断ミキサー中、活性物質を、微結晶性セルロース及びマクロゴール6000と一緒に熱溶融−造粒した後、圧縮して錠剤を製造することができる。得られた顆粒と他の賦形剤とをさらに混合する工程を経た後、錠剤を従来の打錠機で製造する。あるいは、これは、経口顆粒剤としてサシェに直接調剤することができる。
【0063】
錠剤D及びFは、成分の直接混合、その後の従来の打錠機での圧縮により製造することができる。あるいは、これは、押出成型しペレットにした後、硬質カプセルに充填することができる。
【0064】
錠剤Eは、コポビドン水溶液を用いて、製剤原料とラクトース一水和物及び微結晶性セルロースを一緒に湿式造粒して製造することができる。クロスポビドン、コロイドシリカ及びステアリン酸マグネシウムを用いて、さらなる混合工程を経た後、錠剤を、従来の打錠機で圧縮する。
【0065】
【表7】

【0066】
製剤Hは、懸濁活性の液体のフィルミックス(fillmix)として調製する。均一にした後、硬質又は軟質ゼラチンカプセルのいずれかに充填する。製剤Iは、経口粉剤である。
【0067】
B)2を含む剤形の好ましい実施例:
下記のセクションでは、2の好ましい剤形のための製造方法を記載する。
【0068】
B.1−スターターペレットの調製
従来の皿形鏡板(dished end)及び攪拌子付、混合容器中、480kgの水を50℃に加熱し、120kgのアカシア(アラビアゴム)を、撹拌しながら添加する。溶液が透明になるまで一定温度で撹拌を続ける。溶液が透明になったら(通常、1〜2時間後)、600kgの酒石酸を撹拌しながら添加する。酒石酸の添加は、一定温度で撹拌しながら行う。添加が終了した後、混合物をさらに約5〜6時間撹拌する。
【0069】
噴霧及び紛体供給ユニット付の無孔水平パンをゆっくり回転させながら(3回転/分)、そこに1000kgの酒石酸を添加する(例えば、Driamat 2000/2.5)。噴霧を開始する前に、酸試料を篩分析に供する。対象の酸は、粒径0.4〜0.6mmの酒石酸粒子である。
【0070】
このようにして得られた酒石酸粒子上に、上記方法により得られた酸ゴム溶液を噴霧する。噴霧の間、空気の供給量を1000m3/時間に、温度を35〜75℃に調整する。差圧は2mbarであり、パンの回転速度は9回転/分である。ノズルは、充填物から350〜450mm離れて配置する必要がある。
【0071】
下記の工程と交互に、酸ゴム溶液を噴霧する。約4.8kgの酸ゴム溶液を粒径0.4〜0.6mmの酒石酸粒子上に噴霧し、そして溶液を分散させた後、約3.2kgの酒石酸粉末を湿った酒石酸粒子上に散布する。対象の酒石酸粉末は、粒径<50ミクロンの酒石酸微粒子からなる。合計で、800kgの酒石酸粉末が必要である。前記酒石酸粉末を散布、分散した後、生成物の温度が約40℃になるまで噴霧材料を乾燥させる。これに続いて、酸ゴム溶液を噴霧する。
【0072】
これらのサイクルを、酸ゴム溶液がなくなるまで繰り返す。このプロセスが終了したら、酸ペレットをパン内、3rpmで240分間乾燥させる。乾燥後の固化の防ぐために、間欠プログラムを1時間ごとに3rpmで3分間行う。この場合、パンを、3rpmで3分間を1時間のインターバルで回転させた後、静置することとする。次に、酸ペレットを乾燥機に移す。その後、酸ペレットを60℃で48時間かけて乾燥させる。最後に、粒径分布を篩分析で決定する。直径0.6〜0.8mmの粒径のものを生成物とする。この画分が>85%を占めるようにする。
【0073】
B.2−スターターペレットの分離
分離用懸濁液を調製するために、666.1(347.5)kgのエタノールを混合容器に入れ、そして約600rpmで撹拌しながらヒドロキシプロピルメチルセルロース(33.1(17.3)kg)を添加し、そして溶解させる。次に、同条件下で、0.6(0.3)kgのジメチコンを添加する。使用直前に、再度撹拌しながらタルク(33.1(17.3)kg)を添加し、懸濁させる。
【0074】
1200(600)kgの酸ペレットをコーティング装置(例えば、GS-Coater Mod. 600/Mod. 1200)に注ぎ、そして回転パン中、連続噴霧プロセスにより上記の分離用懸濁液を噴霧し、このプロセスは、1200kgの混合物の場合では、32kg/時間の噴霧速度で、又は、600kgの混合物の場合では、21kg/時間の噴霧速度で数時間行う。ペレットは、また、最大70℃で空気を供給しながら断続的に乾燥させる。
【0075】
GS Coaterが空になった後、分離スターターペレットを篩により分画する。直径≦1.0mmの生成物画分を保存し、これを次に使用する。
【0076】
B.3−ダビガトランエテキシレート2a懸濁液の調製
1200リッターのプロペラ撹拌子付混合容器中、26.5kgのヒドロキシプロピルセルロースを720kgのイソプロパノールに添加し、そして混合物が完全に溶解するまで撹拌する(約12〜60時間;およそ500rpm)。溶液が透明になったら、132.3kgのダビガトランエテキシレートメタンスルホン酸塩(多形型I)を撹拌しながら添加し(400rpm)、混合物をさらに約20〜30分間撹拌する。次に、21.15kgのタルクを一定撹拌速度で添加し、そして同じ速度でさらに約10〜15分間撹拌を続ける。上記の工程は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0077】
生成した任意の塊を、UltraTurrax撹拌器を用いてホモジナイズし粉砕する(約60〜200分間)。懸濁液の温度は、全製造プロセスを通して30℃を超えないようにする。
【0078】
沈殿が生じないようにするために、さらなるプロセスの準備が整うまで懸濁液を撹拌する(およそ400rpm)。
【0079】
懸濁液を30℃未満で保存する場合、最大48時間以内にさらなるプロセスを行う必要がある。例えば、懸濁液を製造し、そして22℃で保存する場合、さらなるプロセスを60時間以内に行う必要がある。
【0080】
B.4−ダビガトランエテキシレート活性物質ペレットの調製
無孔容器付の水平パンを使用する(GS Coater Mod. 600)。流動床法とは異なり、「トップスプレー」法により、懸濁液を、回転パン中、ペレットの流動床上に噴霧する。これは、直径1.4mmのノズルを通して噴霧される。
【0081】
乾燥空気を、いわゆる浸漬羽根(immersion blade)によりペレットベットに導入し、そして塗布装置の背面の開口部から放出させる。
【0082】
水平パンにB.2で得られた酒石酸ペレット320kgを投入し、そしてペレットベットを加熱する。生成物の温度が43℃になったら、噴霧を開始する。上述のB.3に従って調製した懸濁液900kgを、まず20kg/時間の噴霧速度で2時間噴霧し、その後、24kg/時間で噴霧する。懸濁液は常に撹拌する。供給される空気の温度は最大75℃である。供給される空気量は約1900m3/時間である。
【0083】
次に、水平パン中(5回転/分)、少なくとも30℃、最大で50℃の空気流入温度で、そして、500m3/時間の空気流入量で、約1〜2時間かけてペレットを乾燥させる。
【0084】
次に、このようにして得られた325kgのペレットを水平パン中に再度装填し、そして43℃に加熱する。上述のB.3に従って調製した懸濁液900kgを、まず20kg/時間の噴霧速度で2時間噴霧し、その後、24kg/時間で噴霧する。懸濁液は常に撹拌する。供給される空気の温度は最大75℃である。供給される空気量は約1900m3/時間である。
【0085】
次に、水平パン中(5回転/分)、少なくとも30℃、最大で50℃の空気流入温度で、そして、500m3/時間の空気流入量で、そして約1〜2時間かけてペレットを乾燥させる。
【0086】
次に、乾燥ペレットを1.6mmのメッシュサイズの振動ふるいに通し、そしてさらなる処理に必要になるまで乾燥剤を入れた容器で保存する。
【0087】
B.5−2を含む製剤例
次に、以下の製剤例を、B.4に従って得られた活性物質ペレットをヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに充填することにより得る:
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式1:
【化8】


で示される化合物と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式2:
【化9】


で示される化合物とを含む医薬組成物。
【請求項2】
その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい2が、2つの別個の製剤で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
その互変異性体の形態であってもよい1が、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、エタンスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩からなる群より選択される、その薬学的に許容しうる塩の一つの形態で存在する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
その互変異性体の形態であってもよい化合物1が、そのエタンスルホン酸塩(1a):
【化10】


として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
化合物2が、その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式2a:
【化11】


で示されるそのプロドラッグの形態で用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
2aが、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩及び酢酸塩の中から選択される、その薬学的に許容しうる塩の一つの形態で用いられる、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
2aが、そのメタンスルホン酸塩の形態で用いられる、請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい、式3:
【化12】


で示される化合物をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
その互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物1を含む一つの医薬組成物と、そのプロドラッグ並びにその互変異性体及び薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい化合物2を含む別の医薬組成物とを含むキット。
【請求項10】
腫瘍性及び線維性疾患の処置のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
固形腫瘍、泌尿生殖器癌、婦人科癌、肺癌、消化管癌、頭頸部癌、悪性膠芽腫、悪性中皮腫、非転移性若しくは転移性乳癌、悪性黒色腫若しくは骨肉腫及び軟部組織肉腫、並びに、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び急性リンパ性白血病などの血液腫瘍から選択される疾患の処置のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍性及び線維性疾患の処置のための医薬を製造するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
疾患が、固形腫瘍、泌尿生殖器癌、婦人科癌、肺癌、消化管癌、頭頸部癌、悪性膠芽腫、悪性中皮腫、非転移性若しくは転移性乳癌、悪性黒色腫若しくは骨肉腫及び軟部組織肉腫、並びに、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び急性リンパ性白血病などの血液腫瘍から選択される、請求項12に記載の使用。

【公表番号】特表2012−526766(P2012−526766A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510279(P2012−510279)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056503
【国際公開番号】WO2010/130757
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】