説明

腫瘍性疾患及び炎症を治療するための医薬製品

特定の実施形態において、フラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含んでいる活性剤組合せを含んでいる医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含んでいる医薬製剤及び機能性食品、並びに、腫瘍性疾患及び炎症の治療方法が、開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年5月26日に出願された米国仮出願(この出願は参照により本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、フラボノイドとトコトリエノールを含んでいる組成物、並びに、癌及び炎症を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌は、米国における死亡の心疾患に続く第二の主要な原因であり(Boring, C. C. et al., 1993, CA Cancer J. Clin. 43:7)、アメリカ人の3人に1人が発症し、アメリカ人の4人に1人が癌で死亡する。癌は、腫瘍細胞とその周囲の環境(これは、その近接する正常な細胞を包含する)の間のコミュニケーションの崩壊と見なすことができる。シグナルは、成長促進性及び成長抑制性のいずれも、組織内の細胞間でごく普通に交換されている。通常、細胞は、促進性シグナルの不在下では分裂せず、同様に、細胞は、抑制性シグナルの存在下では、分裂を停止する。癌性又は腫瘍性の状態では、細胞は、これらのシグナルを「無効にする」能力及び正常な細胞が増殖しない条件下で増殖する能力を獲得する。
【0004】
妨げられない細胞増殖に加えて、細胞は、腫瘍増殖を起こすためには幾つかの形質を獲得しなければならない。例えば、腫瘍発生の初期において、細胞は、宿主の免疫系から逃れなければならない。さらに、腫瘍塊が増大するにつれて、腫瘍は、栄養を供給し且つ代謝廃物を除去するために、血管系を獲得しなければならない。さらに、細胞は、近接組織に侵入する能力を獲得しなければならず、最後には、細胞は、多くの場合、遠隔部位に転移する能力を獲得する。
【0005】
乳癌は、西側世界の女性に発症する悪性疾患の最も一般的な形態であり、40歳〜45歳における最大の死亡原因である。
【0006】
北アメリカの女性における、乳癌のリスクが3倍〜4倍増大することに関連する特徴には以下のものがある:(1)乳癌を患った一親等の女性家族(母親及び姉妹)がいること、(2)前乳癌(prior breast cancer)、(3)未経産であること、(4)最初の妊娠時に30歳を超えていること、及び、(5)早発初経又は遅発閉経(Sattin, R. W. et al., 1985, JAMA 253:1908)。国際的な研究により、脂肪及びアルコールの1人当たりの消費量(Schatzkin A. et al., 1987, N. Engl. J. Med. 316:1169)と乳癌の罹患率(Carroll,K. K., 1980, J. Env.Pathol. Tox. 3:253-271)の間に正の相関があることが示された。幾つかの研究により、新鮮な果物と野菜の消費及びビタミンEが、乳癌を包含する癌の発生のリスクの低減と関連付けられた(Steinmetz, K. A. et al., 1991, Cancer Causes Control 2:427-442)。この保護的な効果は、概して、そのような食品中に存在しているビタミンCとβ-カロテンの抗酸化能に起因すると考えられてきたが、それは、フラボノイド及び柑橘類リモノイドなどのような別の植物化学物質成分(phytochemical constituent)にも関連し得る。リモノイド、フラボノイド若しくはトコトリエノールを単独で使用するか、又は、互いに若しくは癌化学療法薬と組合せて使用することは、腫瘍性疾患の予防及び治療に関しては、これまで報告されていない。
【0007】
本発明は、多くの異なった柑橘類リモノイド(例えば、限定するものではないが、リモニン、ノミリン、リモニングルコシド又はグルコシド混合物など)、フラボノイド(例えば、ノビレチン又はタンゲレチンなど)及びトコトリエノール(例えば、α-トコトリエノール、γ-トコトリエノール又はδ-トコトリエノールなど)を提供する。
【0008】
本発明の組成物及び方法で予防及び/又は治療することが可能な癌としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:ヒトの肉腫及び癌腫、例えば、癌腫、例えば、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉種、軟骨腫、血管肉腫、内皮腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫;白血病、例えば、急性リンパ性白血病及び急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病及び赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病及び慢性リンパ球性白血病);並びに、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病及び非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、及び、H鎖病。該癌の特定例については、以下の段落で説明する。
【0009】
炎症は、典型的には、(1)発赤、(2)腫脹、(3)熱及び(4)疼痛を伴っている。炎症の第5番目の可能性のある徴候は、患部の機能喪失である。損傷により複雑な一連のイベント(そのうちの多くは同時に起こり、さまざまな手段で相互に関連している)が引き起こされるが、微小血管が炎症の誘発において重要な様式で関与していることが知られている。実際には、炎症は、体の重要な防御機構の1つであり、一般に、以下の3つの相を有すると考えられている:変性相、血管相、及び、治癒相。「Klein, "Defense Reactions in Action", Immunology, The Science of Self-Nonself Discrimination, Chapter 14, 577-84 (1982)」を参照されたい。この開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、フラボノイドとトコトリエノールの組合せを用いて腫瘍性疾患及び/又は炎症を予防及び治療するための組成物及び方法に関する。フラボノイドは、植物性食品、特に、オレンジ、グレープフルーツ及びタンジェリンの中に遍在的に(unbiquitiously)見いだされるポリフェノール化合物である。トコトリエノールは、ヤシ油の中に存在していて、不飽和側鎖を有するビタミンEの形態である。
【0011】
本発明の目的は、腫瘍性疾患及び/又は炎症を治療及び/又は予防するための、フラボノイドとトコトリエノールを含んでいる医薬成分、製剤又は機能性食品を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、フラボノイドとトコトリエノールを含んでいる医薬成分、製剤又は機能性食品を投与することによる、腫瘍性疾患及び/又は炎症の治療方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、フラボノイド及びトコトリエノールを利用することにより腫瘍性疾患及び/又は炎症を治療するための、医薬成分、製剤又は機能性食品(ここで、該医薬成分、製剤又は機能性食品は、低濃度のシネフリンを含む)及び方法である。
【0014】
本発明の上記目的のうちの幾つかは、本発明により達成することが可能である。本発明は、特定の実施形態では、ポリメトキシル化フラボノイド及びトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含んでいる活性剤組合せを含んでいる医薬成分に関し、ここで、該医薬成分は、柑橘類の果実から単離されたエッセンスオイル、柑橘類の果実から単離された果皮油、柑橘類の果実から単離された果皮、特性除去された(decharacterized)柑橘類の果実及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0015】
特定に実施形態では、本発明は、約75:25〜約95:5の比率のフラボノイドとトコトリエノールを含んでいる活性剤組合せを含んでいる医薬成分及び製薬上許容される少なくとも1種類の賦形剤を含んでいる医薬製剤又は機能性食品に関する。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示した医薬成分、製剤又は機能性食品を投与することにより腫瘍性疾患及び/又は炎症を治療する方法に関する。
【0017】
用語「エッセンスオイル」は、果汁を蒸発させた後で残留している油溶性成分(例えば、フラクション)を示している。
【0018】
用語「果皮油」は、柑橘類の果実の果皮から単離された油を示している。
【0019】
用語「果皮」は、柑橘類の果実の果皮であり、ここで、該果実は、本発明の目的のためには、例えば、乾燥させたものであってよいか、切り刻まれたものであってよいか、又は、ペレット化されたものであってよい。
【0020】
用語「柑橘類の果実」は、ミカン属(genus Citrus)の果実を示し、ここで、ミカン属の果実としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、グレープフルーツ(例えば、ピンクグレープフルーツ、レッドピール(red peel)グレープフルーツ)及び、特に、シトラス・アウランチウム(citrus aurentium)などを挙げることができる。
【0021】
用語「特性除去された果実(decharacterized fruit)」は、果汁を抽出した後の果実を示している。その特性除去された果実は、例えば、ドロドロの状態(マッシュ)又はプレスケーキの形態であり得る。用語「トーマプレスケーキ(Tomah presscake)」は、米国特許第5,320,861号及び米国特許第5,320,861号に記載されている特に好ましいプレスケーキを示し、慣習的な方法で作られたプレスケーキ内に存在しているよりも高レベルの望ましい植物化学物質(phytochemical)を含んでいる。特に、「トーマプレスケーキ」の形態にある特性除去されたクランベリー果実は、慣習的な方法で作られたプレスケーキ中に見られるよりも高レベルのアントシアニン類、フェノール酸類及びプロアントシアニジン類を含んでいる。例えば、アントシアニン含有量は、典型的には、天然クランベリー果実中に存在しているアントシアニンの30%以上であり、フェノール酸含有量は、典型的には、天然クランベリー果実中に存在しているフェノール酸の8%以上であり、プロアントシアニジン含有量は、典型的には、天然クランベリー果実中に存在しているプロアントシアニジンの60%以上である。
【0022】
用語「単離された(isolated)」は、その天然状態からの組成物又は化合物の除去又は変化を示している。
【0023】
用語「フラボノイド」は、限定するものではないが、ポリメトキシル化フラボノイドを包含する。用語「フラボノイド」は、本発明の誘導体中に見られる芳香族、酸素含有、ヘテロ環式顔料の群のいずれかの構成要素を示し、例えば、以下の化学的亜群の構成要素を包含する:(1)カテキン類、(2)ロイコアントシアニジン類及びフラバノン類、(3)フラバニン類(flavanins)、フラボン類及びアントシアニン類、並びに、(4)フラボノール類。好ましい実施形態では、フラボノイドとしては、例えば、プロアントシアニジン、フラバン-3-オール、アントシアニン又はフラバノールなどがある。フラボノイドとしては、例えば、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ノビレチン及び/又はタンゲレチンなどを挙げることができる。
【0024】
用語「トコトリエノール」は、本発明の果実誘導体中に測定可能なレベルで存在している、いずれかのトコフェロール(T)化合物又はトコトリエノール(T3)化合物、例えば、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール又はそれらの組合せを示している。
【0025】
用語「医薬成分」は、場合により製薬上許容される賦形剤と組み合わせて医薬製剤又は剤形を提供することが可能な、治療用組成物を意味する。
【0026】
用語「医薬製剤」は、少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤と組み合わされた医薬成分を意味する。該製剤は、いずれかの許容される形態(例えば、錠剤又はカプセル剤)で、いずれかの許容される経路(例えば、経口経路)により投与することができる。
【0027】
用語「機能性食品」は、本発明の目的のためには、本明細書で開示されているようなフラボノイド及びトコトリエノールを強化又は増強したいずれかの食用又は飲用の食品又は食事成分(例えば、ジュース、パン製品、アップルソースなど)である。そのような機能性食品は、例えば、固体、液体、半固体又はそれらを組み合わせたものであることができる。用語「機能性食品」には、さらにまた、食用及び飲用の栄養補助食品も包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
特定の実施形態では、本発明は、ポリメトキシル化フラボノイド及びトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含んでいる活性剤組合せを含んでいる医薬成分に関し、ここで、該医薬成分は、柑橘類の果実から単離されたエッセンスオイル、柑橘類の果実から単離された果皮油、柑橘類の果実から単離された果皮、特性除去された柑橘類の果実及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0029】
特定の実施形態では、該活性剤組合せは、フラボノイド及びトコトリエノールを、以下の比率で含んでいる:約90:10の比率;約80:20の比率;又は、約95:5の比率。
【0030】
特定の実施形態では、本発明の医薬成分は、約50%〜約90%のフラボノイド及びトコトリエノール;約60%〜約80%の該活性剤組合せ;又は、約70%の該活性剤組合せを含んでいる。
【0031】
特定の実施形態では、該医薬成分は、約1%未満のシネフリン;約0.5%未満のシネフリン;又は、0.1%未満のシネフリンを含む。
【0032】
本発明のフラボノイドは、ポリメトキシル化フラボノイドであり得る。特定の実施形態では、該フラボノイドは、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ノビレチン、タンゲレチン及びそれらの組合せからなる群から選択される構成要素を含んでいる。
【0033】
本発明のトコトリエノールは、例えば、α-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0034】
特定の実施形態では、本発明は、フラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含んでいる活性剤組合せを含んでいる医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含んでいる医薬製剤又は機能性食品に関する。
【0035】
特定の実施形態では、本発明の医薬製剤又は機能性食品は、柑橘類の果実から単離されたエッセンスオイル、柑橘類の果実から単離された果皮油、柑橘類の果実から単離された果皮、特性除去された柑橘類の果実及びそれらの組合せからなる群から選択された医薬成分を含んでいる。
【0036】
特定の実施形態では、本発明の製剤の医薬成分は、腫瘍性疾患及び/若しくは炎症のリスクを有しているか又は腫瘍性疾患及び/若しくは炎症に罹患しているヒト被検者を治療するのに有効量で存在している。
【0037】
特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、髄腔内投与、経口投与、直腸内投与、局所投与又は吸入による投与に適している。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、錠剤、カプセル剤、溶液剤、液剤、懸濁剤又は乳剤の形態である。
【0039】
本発明が機能性食品の形態である特定の実施形態では、該機能性食品は、食用又は飲用の組成物、例えば、食料品の形態、例えば、咀嚼可能な若しくは食用の棒状物、菓子製品 (例えば、チョコレートバー)、クッキー、ジュース飲料、焼成品若しくは疑似焼成品(例えば、ブラウニー)、ビスケット、ドロップ又はチューインガムの形態である。咀嚼可能な又は食用の好ましい棒状物には、チョコレートバー及びブラウニーなどがある。そのような食品は、上記で記載したようなフラボノイドとトコトリエノールの利益を提供し且つ空腹又は疲労を軽減するという利益も提供するので、有益である。そのような機能性食品は、スポーツ又は他の形態の運動に関わっている人々にとって特に有用であり得る。
【0040】
該機能性食品は、さらにまた、例えば、バター、マーガリン、パン、ケーキ、ミルクセーキ、アイスクリーム、ヨーグルト及び別の発酵乳製品の形態であることもできる。
【0041】
該機能性食品は、さらにまた、肉、サラダ又は別の食品に振りかけるパウダーの形態であることもできる。それらは、キャンディーバー、シリアル、ヘルスバー及び別の食料品などの固体食品の中に組み入れてもよい。
【0042】
該機能性食品の別の形態は、穀類のフレーク又はミューズリーなどの朝食用シリアルであり得る。
【0043】
特定の実施形態では、本発明の医薬製剤又は機能性食品は、単位用量当たり、約60mgのトコトリエノール及び約560mgのフラボノイド;単位用量当たり、約10mg〜約80mgのトコトリエノール及び約150mg〜約750mgのフラボノイド;又は、単位用量当たり、約30mgのトコトリエノール及び約270mgのフラボノイドを含有する。
【0044】
本発明の方法では、該活性剤の1日用量は、例えば、約60mgのトコトリエノール及び約560mgのフラボノイド;約10mg〜約80mgのトコトリエノール及び約150mg〜約750mgのフラボノイド;又は、約30mgのトコトリエノール及び約270mgのフラボノイドであり得る。
【0045】
本発明の方法では、該フラボノイド及び該トコトリエノールは、同じ剤形若しくは機能性食品に入れて投与することが可能であるか、又は、別々の剤形若しくは機能性食品に入れて投与することが可能である。さらに、該フラボノイド及び該トコトリエノールは、同じ投与経路で投与することが可能であるか、又は、異なった投与経路で投与することが可能である。
【0046】
本発明の医薬製剤は、経口投与、舌下投与、吸入投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経皮投与、局所投与又は直腸内投与用の製剤として調製することができる。経口用製剤は、例えば、錠剤、ゲルカプセル剤、散剤及び顆粒剤などの形態、並びに、経口用溶液剤若しくは懸濁剤、舌下剤形及び口腔内剤形であり得る。
【0047】
錠剤又はゲルカプセル剤の形態にある固体組成物を調製する場合、微粉化されているか又は微粉化されていない活性成分に、希釈剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、デンプン、リン酸二カルシウム)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、崩壊剤(crumbling agent)(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース)、流動性促進剤(flow agent)(例えば、シリカ又はタルク)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、トリベヘン酸グリセリル又はフマル酸ステアリルナトリウム)から構成され得る製薬用賦形剤の混合物を添加する。
【0048】
該製剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80又はポロキサマー188などの湿潤剤又は界面活性剤を添加することができる。
【0049】
該錠剤は、さまざまな技術(直接打錠、乾式造粒、湿式造粒、ホットメルト)で調製することができる。
【0050】
該錠剤は、コーティングを施さなくてもよいか、(例えば、ショ糖で)コーティングしてもよいか、又は、さまざまなポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)若しくは別の適切な材料でコーティングしてもよい。
【0051】
該錠剤は、マトリックスを調製するか又はコーティングを用いることにより、即時放出、遅延放出又は持続放出とすることができる。
【0052】
該ゲルカプセル剤は、ソフト又はハードとすることが可能であり、また、フィルムでコーティングするか又は別の方法を用いて、即時活性又は持続活性又は遅延活性を示すようにすることが可能である(例えば、腸溶性の形態)。
【0053】
経口用製剤は、液体製剤又半固体製剤(例えば、シロップ剤又はエリキシル剤の形態の調製物)として調製することも可能であり、甘味料(好ましくは、ノンカロリーの甘味料)、防腐剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン並びに矯味矯臭剤及び適切な着色剤と一緒に活性成分を含ませることができる。
【0054】
水分散性の散剤又は顆粒剤には、分散剤、湿潤剤又は懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン)及び甘味剤又は風味増強剤との混合物として活性成分を含有させることができる。
【0055】
直腸内投与については、直腸温で溶融する結合剤(例えば、カカオバター又はポリエチレングリコール)を用いて調製される坐剤を使用する。
【0056】
非経口投与又は鼻腔内投与には、薬理学的に適合性の分散剤及び/又は可溶化剤(例えば、プロピレングリコール)を含んでいる水性懸濁剤、等張食塩水液又は注射可能な無菌溶液を使用する。
【0057】
かくして、静脈内に注射可能な水溶液を調製するために、アルコール(例えば、エタノール)又はグリコール(例えば、ポリエチレングリコール又はプロピレングリコール)などの共溶媒及び親水性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80又はポロキサマー188)を用いることができる。筋肉内投与用の注射可能な油性溶液を調製するために、活性成分は、トリグリセリド又はグリセロールエステルを用いて溶解させることができる。
【0058】
局所投与には、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、経皮貼付剤及びスプレー剤を用いることができる。経皮投与には、スプレー剤及び活性成分がアルコール溶液であり得るリザーバ形態又は多層貼付剤を用いることができる。
【0059】
吸入による投与には、エアゾール剤、例えば、トリオレイン酸ソルビタン又はオレイン酸、及び、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フレオン代替品又は生物学的に適合性の他の任意の噴射剤ガスを含んでいるエアゾール剤を使用する。活性成分を単独で含んでいるか又は活性成分を賦形剤と組合せて含んでいる粉末形態の系を用いることも可能である。
【0060】
該活性成分は、さらにまた、場合により1種類以上の支持体又は添加剤を用いて、マイクロカプセル又はミクロスフィアの形態に製剤することも可能である。
【0061】
長期治療の場合に有用な持続放出形態のうちで、インプラントを使用することが可能である。それらは、油性懸濁液の形態又は等張な媒体中のミクロスフィアの懸濁液の形態に調製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含有する活性剤組合せを含む医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含む医薬製剤であって、前記医薬成分が、腫瘍性疾患のリスクを有しているか又は腫瘍性疾患に罹患しているヒト被検者を治療するのに有効な量で存在する、前記製剤。
【請求項2】
フラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含有する活性剤組合せを含む医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含む医薬製剤であって、前記医薬成分が、炎症のリスクを有しているか又は炎症に罹患しているヒト被検者を治療するのに有効な量で存在する、前記製剤。
【請求項3】
前記医薬成分が、柑橘類の果実から単離されたエッセンスオイル、柑橘類の果実から単離された果皮油、柑橘類の果実から単離された果皮、特性除去された柑橘類の果実及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記製剤が、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、髄腔内投与、経口投与、直腸内投与、局所投与又は吸入による投与に適している、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記製剤が、経口投与に適している、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤が、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、溶液剤、液剤、懸濁剤又は乳剤の形態である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
単位用量当たり、約10mg〜約80mgのトコトリエノールと約150mg〜約750mgのフラボノイドを含んでいる、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項8】
単位用量当たり、約30mgのトコトリエノールと約270mgのフラボノイドを含んでいる、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項9】
単位用量当たり、約60mgのトコトリエノールと約560mgのフラボノイドを含んでいる、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項10】
食用の固体又は液体を含み;且つフラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含有する活性剤組合せを含む医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含む機能性食品であって、前記医薬成分が、腫瘍性疾患のリスクを有しているか又は腫瘍性疾患に罹患しているヒト被検者を治療するのに有効な量で存在する、前記機能性食品。
【請求項11】
食用の固体又は液体を含み;且つフラボノイドとトコトリエノールを約75:25〜約95:5の比率で含有する活性剤組合せを含む医薬成分及び少なくとも1種類の製薬上許容される賦形剤を含む機能性食品であって、前記医薬成分が、炎症のリスクを有しているか又は炎症に罹患しているヒト被検者を治療するのに有効な量で存在する、前記機能性食品。
【請求項12】
前記医薬成分が、柑橘類の果実から単離されたエッセンスオイル、柑橘類の果実から単離された果皮油、柑橘類の果実から単離された果皮、特性除去された柑橘類の果実及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項13】
一食当たり、約10mg〜約80mgのトコトリエノールと約150mg〜約750mgのフラボノイドを含んでいる、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項14】
一食当たり、約30mgのトコトリエノールと約270mgのフラボノイドを含んでいる、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項15】
一食当たり、約60mgのトコトリエノールと約560mgのフラボノイドを含んでいる、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項16】
咀嚼可能な若しくは食用の棒状物、菓子製品、クッキー、ジュース飲料、ピューレ、焼成品若しくは疑似焼成品、ビスケット、ドロップ又はチューインガムの形態にある、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項17】
ブラウニー又はチョコレートバーの形態にある、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項18】
バター、マーガリン、パン、ケーキ、ミルクセーキ、アイスクリーム、ヨーグルト又は別の発酵乳製品の形態にある、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項19】
パウダー又はシリアルの形態にある、請求項10又は11に記載の機能性食品。
【請求項20】
腫瘍性疾患のリスクを有しているか又は腫瘍性疾患に罹患しているヒト被検者を治療する方法であって、有効量の請求項1又は3〜9のいずれかに記載の医薬製剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
炎症のリスクを有しているか又は炎症に罹患しているヒト被検者を治療する方法であって、有効量の請求項2〜9のいずれかに記載の医薬製剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
腫瘍性疾患のリスクを有しているか又は腫瘍性疾患に罹患しているヒト被検者を治療する方法であって、有効量の請求項10又は12〜19のいずれかに記載の機能性食品を投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
炎症のリスクを有しているか又は炎症に罹患しているヒト被検者を治療する方法であって、有効量の請求項11〜19のいずれかに記載の機能性食品を投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2008−500322(P2008−500322A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514160(P2007−514160)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001420
【国際公開番号】WO2005/115376
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(503400259)ケージーケー シナジャイズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】