説明

腫瘍検出装置

【課題】悪性腫瘍の有無を正確に検出することができる腫瘍検出装置の提供。
【解決手段】本発明に係る腫瘍検出装置は、生体内部の生体画像を取得する画像取得手段
1と、前記生体画像に基づいて腫瘍の疑いがある部位を抽出する抽出手段2と、前記生体
内部に良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と、悪性腫瘍の光吸収帯の第2
の波長を有する第2の光を照射する照射手段3と、前記照射手段3に基づく前記生体内部
からの出射光を検出する検出手段4と、前記出射光の前記第1及び第2の波長における光
強度変化を解析して、前記部位の細胞組織の種類を判定する判定手段5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪性腫瘍の早期発見に用いることができる腫瘍検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内の腫瘍を非侵襲的に測定する技術として、例えば、超音波エコーで得た生
体組織形態画像と、該生体組織に光照射/光音響信号の検出で得たヘモグロビン等の濃度
分布画像とを重ね、形態学的構造、又は、ヘモグロビンなどの濃度の分布等により前記生
体組織が腫瘍であるかどうかを判別する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−218684公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、光照射を用いて生体内を画像化する技術は、生体は、屈折率の異なる微
小領域の集合体で構成されているため、生体内に入った光が強い散乱を起こす性質があり
、空間分解能が低くなるという問題がある。更に、反射光の検出結果から位置情報を演算
する場合に、正しい情報を得るためには、数多くのデータを複雑なアルゴリズムで演算す
る必要がある。更に、光音響を用いた技術は、通常、音響信号の検出にマイクロフォン或
いはPZT等の圧電振動子が用いられる。しかしながら、生体に損傷を与えないレベルの
音響信号は非常に微弱であり、繰り返し測定による加算平均化等の処理を施しても、十分
に信号検出能が得られないという問題がある。更に、形態学的構造、ヘモグロビンの濃度
分布においても、腫瘍かどうかを判別する点が過去の結果、経験等にどうしても依存され
てしまうため、正確に、悪性腫瘍のみを検出するには限界がある。
そこで、本発明は、悪性腫瘍の有無を正確に検出することができる腫瘍検出装置を提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る腫瘍検出装置は、超音波を送受信させて生体内部の生体画像を取得する画
像取得手段と、前記生体画像に基づいて腫瘍の疑いがある部位を抽出する抽出手段と、前
記生体内部に良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と、悪性腫瘍の光吸収帯
の第2の波長を有する第2の光を照射する照射手段と、前記照射手段に基づく前記生体内
部からの出射光を検出する検出手段と、前記出射光の前記第1及び第2の波長における光
強度変化を解析して、前記部位の細胞組織の種類を判定する判定手段と、を備えたことを
特徴する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、悪性腫瘍の有無を正確に検出することができる腫瘍検出装置が提供さ
れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の図面の記載
において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。また、図面は模
式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものと異なる
。更に、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0007】
図1は、本発明の一実施形態に係る腫瘍検出装置全体の概略構成を示すブロック図であ
る。
【0008】
本発明の一実施形態に係る腫瘍検出装置は、図1に示すように、超音波を送受信させて
生体内部の生体画像を取得する画像取得手段1と、前記生体画像に基づいて腫瘍の疑いが
ある関心部位を抽出する抽出手段2と、前記生体画像を取得した前記生体内部に良性腫瘍
の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と、悪性腫瘍の光吸収帯の第2の波長を有する
第2の光を照射する照射手段3と、前記照射手段3に基づく前記生体内部からの出射光を
検出する検出手段4と、前記出射光の前記第1及び第2の波長における光強度変化を解析
して、前記関心部位の細胞組織の種類を判定する判定手段5と、を備えている。
【0009】
画像取得手段1は、生体50に超音波を送受信する超音波送受信部10と、超音波送受
信部10で受信した信号を解析して生体50内部の生体画像を演算する第1演算回路11
とを備えている。
【0010】
抽出手段2は、画像取得手段1で取得した生体画像に基づいて腫瘍の疑いがある関心部
位を抽出する第2演算回路12で構成されている。第2演算回路12による生体画像の解
析は、生体画像上のコントラスト差により、周辺に比べてエコーレベルが低い領域(生体
画像において黒い領域、以下、低エコー領域という)の有無を解析する。
【0011】
図2は、抽出手段2の解析方法を説明するための参考生体画像である。
【0012】
画像取得手段1により取得した生体画像を、エコーレベルが高い領域Hc(生体画像に
おいて白い領域、以下、高エコー領域という)と、低エコー領域Lcとの境界線を検出し
て、低エコー領域Lcを抽出する。ここで、高エコー領域Hcは、超音波のエコーレベル
が高い領域であり、低エコー領域Lcは、エコーレベルが低い領域である。特に、乳癌等
の腫瘍の場合は、周辺の乳腺と比較すると、超音波のエコーレベルが低く、その周辺のコ
ントラストと異なることが多い。そのため、超音波測定における生体画像において、低エ
コー領域Lcは、腫瘍の疑いがある関心部位として抽出することができる(図2中点線部
)。
【0013】
また、超音波測定における生体画像においては、腫瘍とその周辺においては、組織形状
の違いから画像上のテクスチャーが異なることが多い。そのため、超音波測定による生体
画像上のテクスチャーの違いにより、周辺と異なる領域を解析し、その領域を腫瘍の疑い
がある関心部位として抽出しても良い。
【0014】
なお、抽出手段2で抽出された関心部位は、現段階では何の組織か断定することが出来
ない。この時点では、抽出されたこの関心部位は、脂肪細胞良性腫瘍(嚢胞、腺腫など)
、悪性腫瘍(硬癌、充実腺管癌など)のいずれかに分類される。
【0015】
なお、抽出手段2での関心部位の抽出は、コントラストやテクスチャーの違いだけでは
関心部位が抽出できない場合がある。前述した超音波測定は、生体の組織毎の音響インピ
ーダンスの違いから画像のコントラスト差を発生させる方法である。しかしながら、腫瘍
によっては周りの正常組織と音響インピーダンスが近い値のものが存在する場合がまれに
存在する。この場合には、超音波測定における生体画像上のコントラスト差やテクスチャ
ーの違いでは抽出することが出来ない。また、腫瘍を形成しないタイプの乳癌も同様に超
音波測定の生体画像上ではコントラスト差やテクスチャーの違いからは抽出されない場合
が存在する。
【0016】
このように、生体画像上のコントラスト差やテクスチャーの違いから関心部位が抽出さ
れない場合は、生体画像上の皮膚近傍の界面に発生する境界線の断絶の有無と、生体画像
内の後方エコー領域における高エコー領域の有無をそれぞれ解析する。
【0017】
図3は、生体画像上の皮膚近傍の界面に発生する境界線の断絶の有無の解析を説明する
ための参考生体画像である。
【0018】
境界線の断絶の有無の解析は、生体画像上の皮膚近傍に発生する線状高エコー部60、
61の横方向に対するエコーレベルの変化によって判断する
図3(a)に示す線状高エコー部60は、その横方向において、エコーレベルの変化が
少ない。なお、図3(b)に示す線状高エコー部61は、その横方向において、エコーレ
ベルの変化が大きい(特に、B近傍)。この場合において、図3(b)に示すように、横
方向におけるエコーレベルの変化が大きい場合には、生体画像上の皮膚近傍の界面に発生
する境界線の断絶が有ると判断する。
【0019】
図4は、生体画像内の後方エコー領域における高エコー領域の有無の解析を説明するた
めの参考生体画像である。生体画像内の後方エコー領域Cにおける高エコー領域の有無の
解析は、後方エコー領域C内のコントラスト差を解析し、周辺に比べてエコーレベルが高
い部分の有無を解析する。
【0020】
このように、生体画像の皮膚近傍の界面に発生する境界線の断絶と、後方エコー領域C
に高エコー部がある場合には、その間の領域を関心部位として判断して抽出する(図5中
点線領域)。
【0021】
このように、生体画像上の皮膚近傍の界面に発生する境界線の断絶及び後方エコー領域
における高エコー領域の存在の有無を評価し、両方存在する場合は、その間の領域を関心
部位として判断するのは以下の理由による。
【0022】
腫瘍は、その周辺の生体の組織と音響インピーダンスが同じである場合でも、その腫瘍
の存在する領域の周辺は、正常細胞と比べると何らかの影響が発生する。例えば、腫瘍は
、生体内の栄養素を吸収し、肥大化していく。この肥大化は、周りの正常細胞の配置状態
に応力を与え、その配置状態に変化を与える。そのため、腫瘍の周辺に位置する部分の状
況を解析することで、音響インピーダンスが周りの生体細胞のものと同じ腫瘍においても
、その存在を検出することができる。
【0023】
なお、上述したように、ここで抽出された関心部位は、乳腺に対してコントラストが無
いことから脂肪は除外され、良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類に分類される。
【0024】
照射手段3は、光信号発信部13と、光源部14と、光合波部15と、光導波部16と
、光照射部17とで構成されている。
【0025】
光信号発信部13は、生体に照射する光の波長、強度等を制御する信号を発信する機能
を備えており、例えば、信号発信器で構成されている。
【0026】
光源部14は、光信号発信部13から発信された信号を検出して、良性腫瘍の光吸収帯
の第1の波長を有する第1の光を発生させる第1の光源14aと、悪性腫瘍の光吸収帯の
第2の波長を有する第2の光を発生させる第2の光源14bとを備えている。光源14a
、14bとしては、半導体レーザ(LD)、発光ダイオード(LED)、固体レーザ、ガ
スレーザ等の発光素子が好適に用いられる。なお、ここでいう良性腫瘍の光吸収帯の第1
の波長は、例えば、980nmの波長帯である。また、ここでいう悪性腫瘍の光吸収帯の
第2の波長は、例えば、760nmの波長帯である。
【0027】
光合波部15は、複数個(本実施形態では2個)の光源部14で発生した第1及び第2
の光を同一光軸上に重ね合わせる機能を備えており、例えば、コリメートレンズ及び、直
角プリズム又はダイクロイックプリズムで構成されている。
【0028】
光導波部16は、光合波部15で合波された第1及び第2の光を生体50まで導くため
のものであり、例えば、効率のよい光伝播を行うために光ファイバや薄膜光導波路で構成
されているが、直接空間伝播することも可能である。
【0029】
光照射部17は、光導波部16の端部で構成されており、光導波部16から伝播された
光を生体50に直接、又は、間接的に接触させて照射する。
【0030】
検出手段4は、光検出部18と、光導波部19と、光解析部20とを備えている。
【0031】
光検出部18は、光照射部17からの光照射に基づく生体50からの出射光を直接的に
接触させて、又は、間接的に検出する。光検出部18は、例えば、複数の光ファイバの端
部で構成されている。
【0032】
光導波部19は、光検出部18で検出した出射光を後述する光解析部20まで導くため
のものであり、例えば、効率のよい光伝播を行うために光ファイバや薄膜光導波路で構成
されているが、直接空間伝播することも可能である。
【0033】
超音波送受信部10、光照射部17及び光検出部18で測定部30を構成している。
【0034】
図6に、測定部30における具体的な構成の断面構成図を示す。
【0035】
超音波送受信部10は、図6に示すように、バッキング部材51と、バッキング部材5
1上に設けられ、所望のスペース52を有し、2次元方向に配列された複数のチャンネル
53とで構成されている。複数のチャンネル53は、バッキング部材51上に設けられた
複数の圧電素子54と、圧電素子54上に設けられた音響整合層55と、音響整合層55
上に設けられた音響レンズ56とを備える。なお、バッキング部材51と圧電素子54と
の間、圧電素子54と音響整合層55との間、及び音響整合層55と音響レンズ56との
間は、図示しないエポキシ樹脂系接着剤により接着、固定されている。
【0036】
圧電素子54は、例えば、ジルコンチタン酸鉛(PZT)系圧電セラミック材料やリラ
クサ系単結晶材料からなる圧電体54aと、この圧電体54aの両面に形成された第1の
電極54b及び第2の電極54cとで構成されている。
【0037】
音響整合層55は、例えば、圧電素子54から音響レンズ56にかけて、音響インピー
ダンスが徐々に減少するように、圧電素子54の第2の電極54c上に設けられ、音響イ
ンピーダンスが25℃で10〜15MRaylsの第1音響整合層(図示せず)、第1音
響整合層上に設けられ、音響インピーダンスが25℃で2.7〜8.0MRaylsの第
2音響整合層(図示せず)、第2音響整合層上に設けられ、かつ、音響レンズ56と接触
し、音響インピーダンスが25℃で1.6〜2.5MRaylsであり第3音響整合層(
図示せず)の3層構造で構成されている。
【0038】
また、複数のチャンネル53には圧電素子54の駆動タイミングを制御する制御回路(
図示せず)と、圧電素子54に受信された受信信号を増幅するためのアンプ回路を含む信
号処理回路(図示せず)とが接続されている。また、圧電素子54の第1及び第2の電極
54b、54cには、延出された信号線及びアース線(図示せず)が接続されており、こ
れらは、音響レンズ56と反対側の方向に延出され、制御回路(図示せず)に接続されて
いる。
【0039】
このような構成の超音波送受信部10において、圧電素子54の第1の電極54bと第
2の電極54cとの間に電圧を印加して、圧電体54aを共振させることにより各チャン
ネル53の音響整合層55、音響レンズ56を通して、生体50内に超音波を送信する。
生体50内に送信された超音波を、生体50から受信する場合には、各チャンネル53の
音響レンズ56、音響整合層55を通して受信された超音波を各チャンネル53の圧電体
54aを振動させて、この振動を電気信号に変換して第1演算回路11に伝送される。な
お、図示はしていないが、スペース52内には、例えば、低音響インピーダンス、高減衰
性のシリコーンゴムのような比較的に柔らかい樹脂を充填して超音波送受信部10の機械
的な強度を保持してもよい。
【0040】
光導波部16及び光照射部17は、図6に示すように、超音波送受信部10のスペース
52に、例えば、単数配置された構成を備えている。
【0041】
光検出部18及び光導波部19は、図6に示すように、超音波送受信部10のスペース
52に、例えば、複数配置された構成を備えている。
【0042】
光解析部20は、光検出部18で検出された光の第1及び第2の波長の光強度変化を解
析する。光解析部20で解析された光強度変化情報は、後述する判定手段5に出力される

【0043】
判定手段5は、第3演算回路21で構成されている。
【0044】
第3演算回路21では、光解析部20から出力された光強度変化情報を解析して、前記
関心部位の細胞(正常細胞、良性腫瘍、悪性腫瘍のいずれか)を判定する。
【0045】
具体的には、光検出部18で検出した光の第1の波長における光強度変化が大きい(詳
しくは照射時よりも光強度が小さい)場合には、抽出した関心部位は「良性腫瘍」と判断
され、光検出部18で検出した光の第2の波長における光強度変化が大きい(詳しくは照
射時よりも光強度が小さい)場合には、抽出した関心部位は「悪性腫瘍」と判断される。
また、光検出部18で検出した光の第1及び第2の波長における光強度変化がいずれも小
さい場合には、抽出した関心部位は、「脂肪」と判断される。
【0046】
なお、ここでいう「光強度変化が大きい」、「光強度変化が小さい」とは、測定者個人
毎に、また、測定部位毎によっても大きく変動する。そのため、良性腫瘍及び悪性腫瘍そ
れぞれの光強度変化を、生体50とは異なるサンプルにて予め測定、ないし、生体50自
身の脂肪、良性腫瘍及び悪性腫瘍が存在しない部分において、その光強度の変化量を予め
測定して、それを基準値とすることで個人差のばらつきを考慮して、その基準値を上回る
光強度変化が検出された場合には「光強度変化が大きい」として、その基準値を下回る光
強度変化が検出された場合には「光強度変化が小さい」としてそれぞれ定義してもよい。
さらに良性腫瘍と悪性腫瘍の両者で吸収が起こり、その吸収の大小によって両者を区別す
ることができる波長も存在する。
【0047】
以上の方法により光強度変化を解析することで、前記抽出した関心部位の細胞組織が判
定される。
【0048】
判定された関心部位の細胞組織は、例えば、関心部位が抽出された生体画像上に文字と
して腫瘍検出装置の内又は外部に取り付けられた表示部22に、腫瘍検査結果として表示
される。
【0049】
また、図1に示すように、光解析部20に接続され、光検出部18で検出された生体5
0からの出射光の第1及び第2の波長における光強度の時間的変化を検出し、その時間的
変化を相殺するように、光源部14の光源14a、14bの第1及び第2の光の強度を調
整する光強度調整部23を設けても良い。
【0050】
なお、本発明の実施形態に係る腫瘍検出装置では、前述した光合波部15、及び、光強
度調整部23に関しては必須の構成ではないが、本実施形態においては、本構成を備えた
ほうがより高精度に腫瘍を検出できることは言うまでもない。
【0051】
次に、本実施形態に係る腫瘍判定プロセスを説明する。図7は、本実施形態に係る腫瘍
判定プロセスを説明するプロセスフロー図である。
【0052】
図7に示すように、最初に、画像取得手段1により生体画像を取得する(S100)。
次に、取得した生体画像上のコントラスト差、又は、テクスチャーの違い等を用いて、腫
瘍の疑いがある関心部位の有無を解析する(第1の解析手段:S101)。この第1の解
析手段において、生体画像に関心部位が有ると判断した場合は、良性腫瘍、悪性腫瘍の各
々の組織の光学定数を関心部位にあてはめ、下記に示す拡散方程式または、モンテカルロ
シュミレーションなどの統計的な手法を用いて光検出手段で検出される光強度の理論値を
計算する(理論値算出手段:S102)。
【0053】
理論値算出手段S102の一例を下記に示す。図8から図10に、理論値算出手段S1
02を説明するための説明図を示す。なお、これら図中は、説明を分かりやすくするため
Excelテスト版とは添字を変えている。座標方向は、図8に倣う)

周囲組織(添字1)の中に着目組織(添字2)が存在し,それぞれの方程式は
【数1】

【数2】

【0054】
Dは拡散係数,φは光強度[W/mm2],μaは吸収係数[mm-1],Sは光源に対応する項で,
単位体積,単位時間あたりの放射エネルギー[W/mm3](着目組織にはS無し)である。拡
散係数Dは以下の式で表す。
【数3】

【数4】

【0055】
gは非等方散乱パラメータ[無次元]と称する係数,μsは散乱係数[mm-1]である。今回
,周囲組織と着目組織の散乱係数は等しいとする。
(1)式のSは以下の式で表される。
【数5】

【0056】
0は入射放射束[W](今回は連続光),aは入射光半径[mm](光ファイバ半径),δ
はデルタ関数[mm-1],θはヘビサイド関数[無次元]である。z0 [mm]は以下の式で
表される。
【数6】

【0057】
kaは補正係数である。
解析領域(周囲組織)から外への境界条件は
【数7】

【0058】
kbは補正係数である。尚,nにおいては,周囲組織内側から解析領域外部への方向を正と
する。
【0059】
また,周囲組織と着目組織の境界条件は以下の式で表される。
【数8】

【数9】

【0060】
以上から,検出箇所の放射束I は次式で求められる。
【数10】

【0061】
Bは検出位置座標を中心とする入射光半径aの円板領域である。
【0062】
(10)式を用いてR=[検出箇所の放射束I]/[入射放射束I 0 ]を計算する。
【0063】


<代表的入力値>
着目組織の吸収係数 μa1=0.0041 [mm-1
周囲組織の吸収係数 μa2=0.01 [mm-1
散乱係数 μs=11 [mm-1
光ファイバ直径 2a=0.8 [mm]
非等方散乱パラメータ g=0.75
補正係数ka ka=0.7
補正係数kb kb=1

<参考:無限空間領域における解析解>
代表的入力値において着目組織が無い場合=着目組織の吸収係数を0.01 [mm-1]とし
た場合
入射−検出間距離 R
10mm 9.16×10-6
20mm 3.00×10-7

次に、理論値算出手段S102で算出された良性腫瘍及び悪性腫瘍の各々の理論値と検
出手段で検出された第1及び第2の波長での光強度の実測値との差分を計算する(差分算
出手段:S103)。次に、予め測定されている光検出手段で検出される光強度の測定ば
らつきの範囲を閾値として、計算された各々の差分と閾値との比較を行う(第1の閾値比
較手段:S104)。なお、ここで記載した「予め測定されている光検出手段で検出され
る光強度の測定ばらつきの範囲」とは、同装置における固有の測定値の「測定ばらつきの
範囲」(最大値−最小値)のことを示す。なお、「測定ばらつきの範囲」とは、最大値−
最小値に限定されるものではなく、例えば、リファレンスサンプル等において、同箇所に
対して連続で測定を行って、その測定値の平均値に対して3σ(σ:標準偏差)の範囲内
の最大値−最小値であってもよい。この測定ばらつきの範囲は、被検体個人別、装置等で
変化する機械固有のばらつきであるため、好ましくは、測定者個人において、脂肪、腫瘍
等が存在しない部分で予め測定しておくことが好ましい。
【0064】
次に、第1の閾値比較手段(S104)で差分が閾値以下である場合(差分≦閾値)に
は、計算した各々の理論値が実測値と一致したと判定し、この関係を満たす該当組織(良
性腫瘍又は悪性腫瘍)のいずれかが存在すると判定する(第1の判定手段:S105)。
また、第1の閾値比較手段(S104)でいずれの組織においても差分が閾値よりも大き
い場合(差分>閾値)には、関心部位は該当組織(良性腫瘍又は悪性腫瘍)では無いと判
定する(第2の判定手段:S106)。
【0065】
次に、第1の解析手段において、生体画像に関心部位が無いと判断した場合、又は、第
1の閾値比較手段でいずれの組織においても差分が閾値よりも大きい場合には、生体画像
の被検体の皮膚近傍に発生する境界線の断絶の有無及び生体画像の後方エコー領域におけ
る高エコー領域の有無を解析(第2の解析手段:S107)し、境界線の断絶及び高コン
トラスト領域がある場合には、前記境界線と前記高エコー領域の間を関心部位として抽出
する(S108)。この際の高エコー領域の横方向の幅が関心部位の幅となる。この時点
で抽出された関心部位は良性腫瘍と悪性腫瘍のどちらかである。
【0066】
次に、第2の解析手段において前記関心部位があると判断した場合に、良性腫瘍及び悪
性腫瘍の各々の組織の光学定数を前記関心部位にあてはめ、前述した拡散方程式または、
モンテカルロシュミレーションなどの統計的な手法を用いて光検出手段で検出される光強
度の各々の理論値を計算する(理論値算出手段:S109)。
【0067】
次に、理論値算出手段109で算出された各々の理論値と光検出手段で検出された第1
及び第2の波長での光強度の実測値との差分を計算する(差分算出手段:S110)。次
に、予め測定されている光検出手段で検出される光強度の測定ばらつきの範囲を閾値とし
て、各々計算された差分と閾値との比較を行う(第2の閾値比較手段:S111)。
【0068】
第2の閾値比較手段で差分が閾値以下である場合(差分≦閾値)には、計算した各々の
理論値が実測値と一致したと判定し、この関係を満たす該当組織(良性腫瘍又は悪性腫瘍
)のいずれかが存在すると判定する(第3の判定手段:S112)。また、第2の閾値比
較手段でいずれの組織においても差分が閾値よりも大きい場合(差分>閾値)には、関心
部位は該当組織(良性腫瘍又は悪性腫瘍)では無いと判定する(第4の判定手段:S11
3)。
【0069】
また、第2の解析手段(S107)で関心部位が無いと判断された場合は、被測定領域
には、該当組織(良性腫瘍又は悪性腫瘍)が無いと判定する(第5の判定手段:S114
)。
【0070】
このように、本発明に係る腫瘍検出装置は、超音波を送受信して生体画像を取得して、
取得した生体画像から腫瘍の疑いがある関心部位を抽出し、抽出された関心部位を有する
測定領域に対して、良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と、悪性腫瘍の光
吸収帯の第2の波長を有する第2の光を照射して、被検体内部からの出射光の第1及び前
記第2の波長の光強度変化を解析することで、抽出した関心部位の細胞組織の種類を判定
することができるため、マンモグラフィー等の診断を行う必要がなく、生体の測定箇所へ
の物理的なダメージが少ない状態で、非侵襲的に腫瘍の有無を検出することができる。
【0071】
さらに、検出した関心部位の細胞組織の種類を判定する際に、予め光学的な光強度の理
論値を計算して、実際の実測値との差分を計算し、装置特有の測定ばらつきの差分を閾値
として、前記計算した差分と閾値とを比較して、その比較に応じて、細胞組織の種類を判
定するため、光診断装置特有の測定ばらつきを考慮にいれて判定処理できるため、正確に
細胞組織の種類を判別することができる。
【0072】
なお、前述した光照射手段では、良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と
、悪性腫瘍の光吸収帯の第2の波長を有する第2の光を照射する点で説明したが、これに
加え、脂肪の光吸収帯の第3の波長を有する第3の光を更に加えて、関心部位判定手段に
おいて、前記第3の光強度変化を解析して、前記関心部位の細胞組織の種類を判定しても
よい。
【0073】
すなわち、理論値算出手段で脂肪においても理論値を算出し、第1及び第2の差分算出
手段で脂肪においても差分を算出し、第1及び第2の閾値比較手段で脂肪においても差分
と閾値を比較し、第1から第5の判定手段でも脂肪の有無について判定してもよい。この
場合、脂肪の光吸収帯の第3の波長は、例えば、930nmの波長帯である。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
測定対象として脂肪・良性腫瘍・悪性腫瘍をモデル化したファントムを作製した。
【0075】
寒天を母材とし、散乱体(10%脂肪球分散液、製品名:イントラリピッド)と吸収体
(炭粉および墨汁)を分散させた後に硬化させ、乳腺と同じ音響特性・光学定数を持つブ
ロックとした。このブロックを5mmにスライスした薄板を用意する一方、ブロック表面
に幅と長さが5mmから25mm(5mm刻み)で、深さ5mmの溝を作製した。
【0076】
モデル腫瘍成分として、ヘモグロビン還元体、ヘモグロビン酸化体の近赤外領域(80
0nm付近)の吸収スペクトルと一致するスペクトルを示す色素を各々選び、2種類の水
溶液を作製した(モデル1:ヘモグロビン還元体の水溶液、モデル2:ヘモグロビン酸化
体の水溶液)。この2種類のモデルは文献値に従ってモデル水溶液1とモデル水溶液2の
濃度を調整した。寒天をこれらの水溶液に分散させた後にブロック上の溝に流し込んで硬
化させ脂肪・良性腫瘍・悪性腫瘍それぞれのモデルとした。ブロック上に薄板を乗せた後
に空気層ができないように密着させた。
【0077】
測定波長をヘモグロビン還元体とヘモグロビン酸化体の吸収帯と合わせて760nm、8
40nmとし、光源として2本の近赤外LD(連続発振LDを600kHzと700kHzの正
弦波で強度変調したもの)を選んだ。各LDから出力する変調光をフィルター上で合波し
、1本の光ファイバー(石英シングルコア、250μm径)を介してサンプル上に光照射
する形状とした。一方、光ファイバ(プラスチックマルチコア、500μm径)で出射光
を転送し、高速応答Siフォトダイオードに対数アンプを接続したシステム(OE検出器
、サブnW〜10mWまでの出力を検出可能)にて光検出した。中心周波数8MHzの超
音波プローブの音響素子に添う形に光ファイバを設置して図2に示す一体化プローブを作
製した。入射ファイバと出射ファイバ間の距離によって得られる深さ情報が異なるため、
出射ファイバは入射ファイバから5mm刻みで10本並べて保護チューブでまとめてテー
プ状にした。音響素子の端と入射ファイバ、出射ファイバを揃えて位置を固定した。OE
出力を、LDドライバーへの信号で外部トリガーをかけることにより各LDの出力を独立
して検出できるようにした。ロックインアンプからの出力をメインアンプで更に増幅した
後にAD変換してPCに取り込むようにした。
【0078】
まず溝のない位置の上にプローブを合わせた状態で各LDからの光出力をロックインア
ンプで検出し、吸収体がない状態で乳腺モデルを通過してくる光強度を計測した。LDに
供給する電流値を調整し、2本のLD出力が同程度(10nW〜サブμWレベル)になるよ
うにした。この状態で生体画像にはコントラストの濃淡は見られなかった。
【0079】
溝のある位置の上をプローブが通過して再び溝のない位置の上に来るまで、プローブを
光源ファイバの位置を中心にして回転させた。これは光源の位置を変えずに検出器の位置
だけを変化させることに対応し、光の入射条件をできるだけ一定に保つために行った。プ
ローブは15度刻みに回転させた。0度と180度の場合の測定値を平均した値を吸収体
がない場合の光計測結果(基準値)とし、各位置での計測結果をこの基準値で除した値を
、吸収体を透過した光強度とした。
【0080】
溝に脂肪モデルをいれた部分では生体画像に溝が低コントラスト像として観測された。
溝周囲とのコントラスト差を用いて溝部分の画像を抽出した。光学定数として760nm
・840nmにおける乳腺・脂肪・良性腫瘍・悪性腫瘍の吸収係数・等価散乱係数の文献
値(参考文献:Phys. Med. Biol. Vol.35, 1317-1334 1990のグラフから読み取り)を用
い、背景を乳腺、溝に脂肪・良性腫瘍・悪性腫瘍の化合物がそれぞれあると仮定して光拡
散方程式を解き、5mm〜50mmの各検出位置における光強度を計算した。これらの計
算値と実測値(それぞれ基準値に対する相対値、実測の場合の基準値:吸収体がない位置
での測定値、計算の場合の基準値:溝部分にも乳腺の光学定数をあてはめて計算した値)
を比較したところ、脂肪と仮定した場合の計算値との差分がもっとも小さいという結果を
得た。そしてこの差分は、一致したと判定するためのしきい値よりも小さくなったので、
計算値と実測値は一致したと判定し、溝にある化合物は脂肪であると判定した。
【0081】
(実施例2)
実施例1で用いたプローブを用いてボランティア(44歳、女性、BMI=19、乳癌に
罹患していないとの診断を受けている健常者)の乳房の計測を行った。両乳房に対して0
度から45度刻みで8ヶ所の計測を行った。プローブの先端(入射ファイバーがある側)
を乳頭直下に合わせ、放射方向にプローブを置いた。生体画像では乳腺内に低エコー部位
(円形)が観測された。コントラストによる違いから低エコー部位を画像抽出し、周囲は
一様な乳腺であると仮定した。光学定数として760nm・840nmにおける乳腺・脂
肪・良性腫瘍・悪性腫瘍の吸収係数・等価散乱係数の文献値を用い、背景を乳腺、円形部
位に脂肪・良性腫瘍・悪性腫瘍の化合物がそれぞれあると仮定して光拡散方程式を解き、
5mm〜50mmの各検出位置における光強度を計算した。これらの計算値と実測値(そ
れぞれ基準値に対する相対値、実測の場合の基準値:吸収体がない位置での測定値、計算
の場合の基準値:円形部位にも乳腺の光学定数をあてはめて計算した値)を比較したとこ
ろ、良性腫瘍と仮定した場合の計算値との差分がもっとも小さいという結果を得た。そし
てこの差分は、一致したと判定するためのしきい値よりも小さくなったので、計算値と実
測値は一致したと判定し、円形部位にある化合物は良性腫瘍であると判定した。なお医師
による診断は良性腫瘍である嚢胞であり、光計測による判定と合致した。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る腫瘍検出装置全体の概略構成を示すブロック図。
【図2】抽出手段2の解析方法を説明するための参考生体画像。
【図3】生体画像上の皮膚近傍の界面に発生する境界線の断絶の有無の解析を説明するための参考生体画像。
【図4】生体画像内の後方エコー領域における高コンタクト領域の有無の解析を説明するための参考生体画像。
【図5】生体画像内の後方エコー領域における高コンタクト領域の有無の解析を説明するための参考生体画像。
【図6】測定部30における具体的な構成の断面構成図。
【図7】本実施形態に係る腫瘍判定プロセスを説明するプロセスフロー図。
【図8】理論値算出手段S102を説明するための説明図。
【図9】理論値算出手段S102を説明するための説明図。
【図10】理論値算出手段S102を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0083】
1 画像取得手段
2 抽出手段
3 照射手段
4 検出手段
5 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信させて生体内部の生体画像を取得する画像取得手段と、
前記生体画像に基づいて腫瘍の疑いがある部位を抽出する抽出手段と、
前記生体内部に良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の光と、悪性腫瘍の光吸
収帯の第2の波長を有する第2の光を照射する照射手段と、
前記照射手段に基づく前記生体内部からの出射光を検出する検出手段と、
前記出射光の前記第1及び第2の波長における光強度変化を解析して、前記部位の細胞
組織の種類を判定する判定手段と、を備えたことを特徴する腫瘍検出装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記生体画像上のコントラスト差を解析し、低コントラスト部位を前
記部位として抽出することを特徴とする請求項1に記載の腫瘍検出装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記生体画像上のテクスチャーの違いに基づいて、前記部位を抽出す
ることを特徴とする請求項1に記載の腫瘍検出装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記生体画像上の皮膚近傍に発生する境界線の断絶の有無及び前記生体
画像の後方エコー領域における高コントラスト領域の有無を解析し、前記境界線の断絶及
び前記高コントラスト領域の両方が有る場合、前記境界線の断絶がある領域と前記高コン
トラスト領域との間を前記部位として抽出することを特徴とする請求項1に記載の腫瘍検
出装置。
【請求項5】
超音波を送受信させて生体内部の生体画像を取得する画像取得手段と、
前記生体画像を取得した前記生体内部に良性腫瘍の光吸収帯の第1の波長を有する第1の
光と、悪性腫瘍の光吸収帯の第2の波長を有する第2の光を照射する照射手段と、
前記照射手段に基づく前記生体内部からの出射光を検出する検出手段と、
前記出射光の前記第1及び第2の波長における光強度変化を解析して、前記部位の細胞組
織の種類を判定する細胞組織判定手段と、を備え、
前記細胞組織判定手段は、
前記生体画像に基づいて腫瘍の疑いがある部位の有無を解析する第1の解析手段と、
前記第1の解析手段において前記部位が有ると判断した場合に、少なくとも前記良性腫瘍
及び前記悪性腫瘍の各々の組織の光学定数を前記部位にあてはめ、前記検出手段で検出さ
れる光強度の各々の理論値を算出する理論値算出手段と、
前記理論値算出手段で算出された各々の理論値と前記検出手段で検出された前記第1及び
第2の波長での光強度の実測値との差分を算出する第1の差分算出手段と、
予め測定されている前記検出手段で検出される光強度の測定ばらつきの範囲を閾値として
、各々算出された前記差分と前記閾値とを比較する第1の閾値比較手段と、
前記第1の閾値比較手段で前記差分が前記閾値以下である場合には、この関係を満たす前
記良性腫瘍又は前記悪性腫瘍のいずれかが存在すると判定する第1の判定手段と、
前記第1の閾値比較手段で前記差分が前記閾値より大きい場合には、前記部位は前記良性
腫瘍又は前記悪性腫瘍では無いと判定する第2の判定手段と、を備えることを特徴とする
腫瘍検出装置。
【請求項6】
前記第1の解析手段において前記部位が無いと判断された場合に、前記生体画像上の皮膚
近傍に発生する境界線の断絶の有無及び前記生体画像の後方エコー領域における高コント
ラスト領域の有無を解析し、前記境界線の断絶及び前記高コントラスト領域の両方が有る
場合、前記境界線と前記高コントラスト領域との間を部位として抽出する第2の解析手段
と、
前記第2の解析手段において前記部位が有ると判断した場合に、少なくとも前記良性腫瘍
及び前記悪性腫瘍の各々の組織の光学定数を前記部位にあてはめ、前記検出手段で検出さ
れる光強度の各々の理論値を算出する理論値算出手段と、
前記理論値算出手段で算出された各々の理論値と前記検出手段で検出された前記第1及び
第2の波長での光強度の実測値との差分を算出する第2の差分算出手段と、
予め測定されている前記検出手段で検出される光強度の測定ばらつきの範囲を閾値として
、各々算出された前記差分と前記閾値とを比較する第2の閾値比較手段と、
前記第2の閾値比較手段で前記差分が前記閾値以下である場合には、この関係を満たす前
記良性腫瘍又は前記悪性腫瘍のいずれかが存在すると判定する第3の判定手段と、
前記第2の閾値比較手段で前記差分が前記閾値より大きい場合は、前記生体内部には、前
記良性腫瘍又は前記悪性腫瘍が存在しないと判定する第4の判定手段と、
前記第2の解析手段で部位が無いと判断された場合は、前記生体内部には、前記良性腫瘍
又は前記悪性腫瘍が存在しないと判定する第5の判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の腫瘍検出装置。

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−79835(P2008−79835A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263302(P2006−263302)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】