腫瘍治療のためのミクロRNAに関する組成物及び方法
本発明は腫瘍の治療のための組成物及び方法を提供する。本発明の方法は、腫瘍を有していると診断されている対象の細胞において、通常はMycによって抑制されているミクロRNAを発現させることを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年1月17日付け出願の米国仮特許出願第60/880,919号の優先権を主張する。この全内容を参照して本明細書に組み入れる。
【0002】
(連邦政府の援助でなされた発明に対する権利の主張)
本研究は、国立衛生研究所(NIH)の以下の助成金で援助されている。助成金番号:R01CA120185、R01CA122334、及びR01CA102709。政府は本発明においてある特定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
Myc発癌性転写因子の調節不全の発現又は機能は、ヒトの悪性腫瘍中にしばしば生じる。標的遺伝子の膨張性ネットワークの正及び負の制御を介して、Mycは、増殖を促進するように、そしてある設定では細胞死をもたらすように、細胞を広く作り直す。Mycは遺伝子発現を活性化及び抑制するために異なったメカニズムを用いる。転写を誘発するときMycは、その結合対Maxと2量体になって、標的遺伝子の直接上流にあるか又は第1イントロン内にあるゲノムDNAと結合する。転写を抑制するときは、MycはDNAと直接接触しないようである。むしろ、Mycは、タンパク−タンパク相互作用によってコアプロモータにされてそこで転写の正制御の活性に拮抗する。例えば、Mycは転写因子Myc−相互作用亜鉛フィンガータンパク質1(Miz1)と結合してその活性を阻害することによって、Miz1のCDKN1A(p21WAF1/CIP1)及びCDKN2B(p15INK4b)細胞周期阻害遺伝子の活性化転写を防止する。その他のMyc標的の抑制は、同様に、Sp1、Smad2、及びNF−Yを含むさらなるタンパク質との相互作用及びその活性に拮抗するMycの能力を介している。
【0004】
ミクロRNA(miRNA)は、Myc調節転写産物の新しい種類として最近現れてきた〜18−24ヌクレオチドRNA分子の種々のファミリーである。miRNAは部分的相補標的メッセンジャーRNA(mRNA)の安定性及び翻訳効率を調節する。miRNAは、制限された、ポリアデニル化された、そしてしばしばスプライスされた長い一次転写産物(pri−micro RNA)としてRNAポリメラーゼII(polII)によって最初に転写される。成熟ミクロRNA配列は、折り畳んで〜60−80ヌクレオチドのヘアピン構造になる領域内のpri−micro RNAのイントロン又はエクソンに位置している。大部分のpri−micro RNAが非コード転写産物である間、ミクロRNAのサブセットはタンパク質コード遺伝子のイントロン内に位置している。ミクロRNAの成熟には、ミクロRNAヘアピンがpri−miRNAから切り取られ、ヘアピンの末端ループが除去されて、得られる二本鎖のうちの一方の螺旋構造を選択的にRNA−誘発サイレンシングコンプレックス(RISC)に取り込むという一連のエンドヌクレアーゼ反応を必要とする。このミクロRNAプログラム化RISCが、標的mRNAの調節を実施するエフェクターコンプレックスである。
【0005】
多くの兆候が、癌細胞におけるmiRNA発現のほぼ随所に見られる調節不全を立証している。これらのmiRNAの発現変化は癌の分類及び予後にとって非常に有益である。さらに、特異的なmiRNAの変化した発現が腫瘍形成を促進することが明らかにされている。例えば、mir−17クラスターとして知られている、同時に転写される6つのmiRNA群がリンパ腫及び固形腫瘍中で増幅される。これらのmiRNAは腫瘍中でしばしば過剰発現し、細胞株において増殖を促進して、Myc誘発結腸腫瘍及びリンパ腫のマウスモデルにおける血管形成及び腫瘍形成を加速する。限定されたmiRNAが癌細胞中で上方調節されるが、広範囲のmiRNAの存在量が腫瘍中で一般に減少していると思われる。miRNAの下方調節は、腫瘍形成能を有するタンパク質の増大した発現を可能にすることによって腫瘍性の形質変換に寄与していると思われる。最近の兆候は、miRNAプロセッシングの第1段階の阻止が、癌細胞中の限定されたmiRNAの存在量の減少に寄与することを示唆している。癌は米国における4人に1人の死亡原因となっていて、米国人の死因の第2位である。直接的転写抑制を含む、miRNA下方調節のさらなるメカニズムは未だ解明されていない。腫瘍を治療又は予防するための改善された組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
下記のように、本発明はミクロRNAを特徴とする組成物及びそれを用いる腫瘍を治療するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は概ね単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。このオリゴヌクレオチドは、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1、又は本明細書に詳細に説明されているその他の核酸分子又はそれらの断片の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの配列に少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有していて、腫瘍細胞におけるミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
【0008】
別の態様では、本発明は本明細書に詳細に説明されているオリゴヌクレオチドをコードする単離された核酸分子を提供し、腫瘍細胞におけるそのオリゴヌクレオチドの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
【0009】
別の態様では、本発明は本明細書に詳細に説明されている核酸分子をコードする発現ベクターを特徴としていて、その核酸分子は哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)中で発現するよう位置付けられている。一実施態様では、ベクターは、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス及びアデノ関連ウィルスベクターよりなる群から選ばれるウィルスベクターである。
【0010】
関連する態様では、本発明は、前記の態様の発現ベクター又は本明細書に詳細に説明されている核酸分子を含有している宿主細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)を特徴としている。
【0011】
別の態様では、本発明は腫瘍(例えばリンパ腫)の治療のための医薬組成物を特徴としている。この組成物は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの配列と少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有するオリゴヌクレオチドの有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含有していて、腫瘍細胞におけるそのミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
一実施態様では、ミクロRNAの量は、腫瘍細胞の生存又は増殖を、未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%、又は100%減少させるのに十分な量である。
一実施態様では、組成物はmiR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の少なくとも1つを含有している。
【0012】
別の態様では、本発明は、腫瘍の治療のための医薬組成物を特徴としている。この組成物は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有していて、腫瘍細胞におけるそのミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
一実施態様では、ミクロRNAの量は、腫瘍細胞におけるMycの発現を未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%、又は100%減少させるのに十分な量である。
【0013】
別の態様では、本発明は、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少する方法を提供する。この方法は、細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAに少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有している、オリゴヌクレオチドと接触させて、それによって、未処理の対照細胞と比べて、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させることを含んでいる。
【0014】
別の態様では、本発明は、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少する方法を特徴としている。この方法は、細胞をmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターと接触させ、それによって、未処理の対照細胞と比べて、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させることを含んでいる。
【0015】
別の態様では、本発明は対象(例えば、家畜又はヒト患者)における腫瘍(例えば、リンパ腫)を治療する方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAに少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有している、オリゴヌクレオチドの有効量を対象に投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含んでいる。
【0016】
別の態様では、本発明は対象(例えば、家畜又はヒト患者)における腫瘍(例えば、リンパ腫)を治療する方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量を対象に投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含んでいる。
【0017】
別の態様では、本発明は腫瘍を特徴付ける方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの発現を試験することを含んでいる。
【0018】
一実施態様では、この方法は、ミクロRNAの組合わせ、例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の組合わせの発現を試験することを含んでいる。
【0019】
一実施態様では、腫瘍がMyc調節不全を有している(例えば、対照細胞ではMycによって抑制されているミクロRNAの発現が増大している)と特徴付けられる。
【0020】
さらなる別の態様では、本発明は、腫瘍を治療する薬剤を同定する方法を特徴としている。この方法は、腫瘍細胞を候補の薬剤と接触させて、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの発現を試験することを含んでいて、ミクロRNA発現の増大により、この薬剤が腫瘍の治療に有用であると同定される。
【0021】
一実施態様では、この方法はさらに、機能試験(例えば、未処理の対照細胞と比較した、細胞の生育、増殖又は生存を測定する試験)でこの薬剤をテストする方法を含んでいる。
【0022】
別の態様では、オリゴヌクレオチドの少なくとも2つの対を含有しているプライマーセットを特徴としていて、その対のそれぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNA又はその断片と結合している。
【0023】
別の態様では、本発明は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れかであるミクロRNA又はその断片の少なくとも2つと結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含有しているプローブセットを特徴としている。
【0024】
別の態様では、本発明は、ミクロRNA、又はmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1であるミクロRNA又はその断片をコードする核酸分子を含有しているマイクロアレイを特徴としている。
【0025】
上記態様の何れかの各種実施態様では、オリゴヌクレオチドはミクロRNAの核酸塩基配列を含んでいる。別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは本質的にミクロRNAの核酸塩基配列よりなる。
【0026】
上記態様の何れかの各種実施態様では、ミクロRNAの配列は、pri−ミクロRNA、成熟又はへアピン形態である。別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変糖残基又は1つの改変核酸残基を含む、少なくとも1つの改変結合(例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、リン酸トリエステル、ホスホロジチオエート、及びリン酸セレン酸結合)を含有している。
【0027】
本明細書に記載の方法又は組成物の各種実施態様では、核酸分子は本質的に、ミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)又はその断片若しくは類縁体の成熟又はヘアピン形態をコードするヌクレオチド配列よりなる。
【0028】
別の実施態様では、ミクロRNAは、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上である。
【0029】
上記態様の何れかのさらなる別の実施態様では、組成物は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNA(例えば、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1)を含有している。
【0030】
さらなる別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、改変(例えば、ヌクレアーゼ耐性を増強する改変のような、本明細書に記載の改変)を含んでいる。
【0031】
本発明の各種実施態様では、細胞は哺乳動物の細胞(例えばヒト細胞、腫瘍細胞、又はリンパ腫細胞)である。
【0032】
上記態様の各種実施態様では、組成物又は方法は、腫瘍細胞における細胞周期を崩壊するか又はアポトーシスを誘発する。上記態様の各種実施態様では、方法は、未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%又は100%、腫瘍細胞における細胞分裂、細胞生存率を減少するか、又はMycの発現を増大する。
【0033】
各種実施態様では、対象を2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNA(例えば、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1)に接触させる。
【0034】
本発明は、通常はMycによって抑制されているミクロRNAを発現させることによって、腫瘍を治療する方法を提供する。本発明の別の特徴及び長所は、詳細な説明、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A−1C】図1A−1Dは、MycによるmiRNA発現の抑制を示す。 図1Aは、P493−6細胞中で高いMyc又は低いMycの発現を伴うmiRNAのノーザンブロット分析の結果を示す。U6snRNAを、この実験及び以後の全ての実験でローディングコントロールとして用いた(代表的なブロットが示されている)。この図及び以後の図における「発現比」は、Mycの低い状態と比較した、Mycの高い状態におけるmiRNAの発現レベルを示している。「ND」は検出されなかったことを示している。 図1Bは、ヒトmiR−30クラスターの構成を示している。cで測定されているような、Mycによって下方調節されたmiRNAクラスターを、太字で示した。 図1Cは、MycによるmiR−30ファミリーのメンバーの抑制を明らかにしているノーザンブロットの結果を示す。配列中で各miR−30ファミリーのメンバーと同一の合成RNAオリゴヌクレオチド及びP493‐6細胞由来の全RNAを各miRNAに特異的なプローブでハイブリダイズした。
【図1D】図1DはMycER腫瘍におけるmiRNAの抑制を示す。図1Dは、MycER腫瘍におけるmiRNAのノーザンブロット分析の結果を示す。「発現比」はMycOFF状態と比較したMycON状態におけるmiRNAの発現レベルを示している。図1C及び4Bに示されているように、特異的ハイブリダイズ条件をmiR−30b及びlet−7aに対して用いた。tRNALysをローディングコントロールとした(代表的なブロットが示されている)。
【図2A】図2A−2Cは、バーキットリンパ腫細胞中でMycがmiRNAを抑制することを示す。 図2Aは、既に刊行されているmiRNA発現プロファイルデータ(He et al., Nature, 2005)の分析を示す。これはMycで抑制された殆どのmiRNAが、正常なB細胞と比べて、バーキットリンパ腫細胞中でより低レベルで発現することを明らかにしている。
【図2B−2C】図2Bは、EW36バーキットリンパ腫細胞中で、レンチウィルスによって発現したshRNAによるMycノックダウンを示すウェスタンブロットの結果を提供している。ルシフェラーゼ(Luc)に対するshRNAを陰性対照とした。 図2Cは、MycノックダウンがEW36細胞中のmiRNAの上方調節をもたらすことを示す。miR−29aはこれらの条件下ではMycshRNAによって上方調節されず、miR−34a及びmiR−150はこの細胞株中で検出可能なレベルで発現されなかった(示していない)。
【図3A】図3A−3Cは、Mycが抑制されたpri−miRNAプロモーターと結合していることを示す。 図3Aは、既知構造の抑制されたpri−miRNAの配置図を提供する。
【図3B−3C】図3Bは、ChIPに対するリアルタイムPCRアンプリコン(単位複製配列)が、転写開始部位のすぐ上流(アンプリコンS)、アンプリコンSの500bp上流(アンプリコンU)、又はアンプリコンSの500bp下流(アンプリコンD)内に設計されたことを示す。 図3Cは、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析の結果を示すグラフである。このChIP実験及び以後のChIP実験のフォールドエンリッチメント(fold enrichment)は、関連のない抗体によって得られる信号と比較した、Myc免疫沈降によって得られる信号を示す。CDKNIA(p21WAF1/CIP1)のプロモーター領域内の有効なMyc結合アンプリコンを陽性対照とした。陽性Myc結合に対する50−フォールドエンリッチメント閾値を点線で示してある。エラーバーは3回の独立した測定から導かれた標準偏差を示す。
【図4A】図4A−4Cは、Mycが抑制されたmiRNAの保存領域の上流と結合していることを示す。 図4Aは、miR−29b−2/29cクラスターを含有している遺伝子間の領域の系統学的保存を説明している。VISTAを、ヒト由来のゲノム配列(2004年5月組み立て)と左に挙げた種のゲノム配列との間の対整合を作成するために用いた。このグラフは、所定の位置に中心がある100塩基対のスライディングウィンドウに相同するヌクレオチドのプロットである。この遺伝子座から生成された注釈付きの転写物を図の上に示す。miR−29b−2/29cの5’末端が右を向いていることに留意されたい。ChIP実験で用いたリアルタイムPCRアンプリコンの位置をグラフの下に矢印で示してある。「C」は保存アンプリコンを示す。「N」は陰性対照のアンプリコンを示す。
【図4B】図4Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析の結果を示すグラフである。最大Myc結合を示した保存アンプリコン(C)及び代表的な陰性対照のアンプリコン(N)を各miRNAについて示している。これらの及び、miR−29b−1/29aクラスター、miR−30d/30bクラスター、miR−34a、miR−146a、miR195/497クラスター、及びmiR−150に対する更なるアンプリコンの位置が図5〜8に示されている。
【図4C】図4Cは、pri−miRNAプロモーターに対応する保存Myc結合部位を示す。5’及び3’RACEで規定されるpri−miRNA転写物の構造を図示する。ある場合には、選択的スプライシングが、メジャー及びマイナーな転写産物アイソフォームを生じることが観察される。各転写物の下の、進化的保存を示しているプロットは、UCSCゲノムブラウザー(ヒトゲノム、2004年5月組み立て)からもたらされた。もっとも高いMyc結合信号を生じるChIPアンプリコンの位置が矢印で示されている。
【図5A】図5A−5Bは、MycがmiR29b−1/29aクラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図5Aは、図4Aに記載のような、miR29b−1/29aクラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図5B】図5Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図6A】図6A及び6Bは、MycがmiR−30d/30bクラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図6Aは、図4Aに記載のような、miR−30d/30bクラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図6B】図6Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図7A】図7A及び7Bは、MycがmiR−34aの保存領域の上流と結合していることを示す。 図7Aは、図4Aに記載のような、miR−34aを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図7B】図7Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図8A】図8A及び8Bは、MycがmiR−146aの保存領域の上流と結合していることを示す。 図8Aは、図4Aに記載のような、miR−146aを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図8B】図8Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図9A】図9A及び9Bは、MycがmiR−195/497クラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図9Aは、図4Aに記載のような、miR−195/497クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図9B】図9Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図10A】図10A及び10Bは、MycがmiR−150の保存領域の上流と結合していないことを示す。 図10Aは、図3Aに記載のような、miR−150を包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図10B】図10Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図11A】図11A及び11Bは、MycがmiR−30a/30c−2クラスターの保存領域の上流と結合していないことを示す。 図11Aは、図3Aに記載のような、miR−30a/30c−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図11B】図11Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図12A−12D】図12A−12Dは、let−7miRNAがMycによって下方調節されることを示す。 図12Aは、ヒトlet−7クラスターの構成を示す。図12B−Dで測定されているような、Mycによって下方調節されているmiRNAクラスターを太字で示してある。合成RNAオリゴヌクレオチド又はP493−6細胞からの全RNAのノーザンブロット分析を、let−7aファミリーの各メンバーに特異的なプローブを用いて実施した。 図12B及び図12Cは、miR99/100ファミリーに対する結果を示す。 図12Dは、miR125ファミリーに対する結果を示す。「ND」は検出されなかったことを示す。
【図13A−1】図13A及び13Bは、Mycがlet−7miRNAの保存領域の上流と結合していることを示す。 図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13A−2】図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13A−3】図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13B】図13Bは、図3Cに記載のようなMycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図14A】図14A及び14Bは、Mycで抑制されたmiRNAの発現がインビボにおいてリンパ腫細胞の生育に損害を与えることを示す。 図14Aは、miRNA及びGFPを発現するレトロウィルスによるMyc3又は38B9リンパ腫細胞の感染を示す略図である。少量のGFP陽性細胞が腫瘍形成の前後に測定された。
【図14B】図14Bは、厳選したmiRNAを発現する細胞が腫瘍から消失することを示しているグラフである。3回の独立した試験の測定値の標準偏差を示してある。移植マウスに注入する前の全ての培養物は少なくとも30%GFP陽性であった。
【図15A−15B】図15A及び15Bは、Myc3及び38B9細胞におけるレトロウィルスのmiRNA発現レベルを示すウェスタンブロットである。ブロットの下の数字は、形質転換していないB細胞株YSB11と比較した各miRNAの発現レベルを示している。全ての定量化をローディングコントロール(tRNAKys、示されていない)及びブロット全域のmiRNAのレベルの直接比較ができるように各ゲル上に負荷したP493(低Myc)RNAに対して正規化した。図15Bにおいて、レトロウィルスのmiR−150発現を、このmiRNAがYS−PB11細胞中で発現されないので、MycOFF腫瘍と比較した。
【図16A−16B】図16A及び16Bは、P493−6細胞へのMyc導入に続くmiRNA抑制の動態を示す。 図16Aは、テトラサイクリン(tet)の除去に続くMyc導入を明らかにしているウェスタンブロットの結果を示す。左端のtet(+)又はtet(−)レーンは、tetと又はtetなしで72時間生育した細胞を示す。 図16Bは、tet放出に続くmiRNA抑制を明らかにしているノーザンブロットの結果を示す。ブロットの下の数字は、ローディングコントロール(tRNAKys、示されていない)に対して正規化された、tet(+)レベルと比較した各miRNAの発現レベルを表す。これらの条件下では、tet除去後48時間までP493−6細胞は増殖を開始せず、そしてtet除去後少なくとも72時間まで最大生育に到達しない(我々の未刊行の観察及び O'Donnel et al., Mol Cell Bio, 2006)。
【図17A−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−2】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−3】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−4】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−5】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−6】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−7】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−8】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−9】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−10】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−11】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−12】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−13】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−14】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−15】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−16】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−17】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−18】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17B−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17B−2】図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17B−3】図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17C−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17C−2】図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17C−3】図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17D−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【図17D−2】図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【図17D−3】図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(定義)
他に明示しない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は発明が属する分野の当業者に一般に理解されている意味を有している。次の参考資料は当業者に本発明で用いられている多くの用語の一般的な定義を提供している。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Gentics, 5th Ed., R. Rieger et al., (eds.), Springer Verlag (1991); 及び Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で用いられているような、以下の用語は、他に特定されない限り、以下のそれらに見なされている意味を有している。本明細書で参照するミクロRNAの配列は当該技術分野で公知である。特に、ミクロRNAの配列は、ミクロRNAのデータを提供している、miRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)から公式に入手可能である。miRBase配列データベース中のそれぞれの項目は、miRNA転写物の予測されるヘアピン部分を、成熟miRNA配列の位置及び配列情報と共に、示している。ヘアピン及び成熟配列の両方を、BLAST及びSSEARCHを用いる検索に利用でき、名称、キーワード、参考文献及び注釈により検索してエントリーもできる。
【0037】
「miR−15aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−15a、Mir Base Reference No. MI0000069、MIMA T0000068、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−15aミクロRNA配列は次の通りである。
CCUUGGAGUAAAGUAGCAGCACAUAAUGGUUUGUGGAUUUUGAAAAGGUGCAGGCCAUAUUGUGCUGCCUCAAAAAUACAAGG(配列番号1)(ヘアピン)及び
14−uagcagcacauaaugguuugug−35(配列番号2)(成熟)。
【0038】
「miR−15a遺伝子」とは、miR−15aミクロRNA又はその類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0039】
「mir16−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−16−1、Mir Base Reference No. MI0000079、MIMA T0000069、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir16−1ミクロRNA配列は次の通りである。
GUCAGCAGUGCCUUAGCAGCACGUAAAUAUUGGCGUUAAGAUUCUAAAAUUAUCUCCAGUAUUAACUGUGCUGCUGAAGUAAGGUUGAC(配列番号3)(ヘアピン);又は
14−uagcagcacguaaauauuggcg−35(配列番号4)(成熟)。
ヒトmiR−16及びmiR−15aは13q14で0.5kb以内でクラスターになる。この領域はB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)中で削除されることが示されている。第2の推定mir−16ヘアピン前駆体は第3染色体に位置している(MI0000738)。
【0040】
「mir16−1遺伝子」とは、mir16−1ミクロRNA又はその断片をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0041】
「mir−22ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、NCBI Reference No. AJ421742、Mir Base Reference No. MI0000078若しくはMIMA T0000077、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−22ミクロRNAの配列は次の通りである。
53−Aagcugccaguugaagaacugu−74(配列番号5)(成熟);
GGCUGAGCCGCAGUAGUUCUUCAGUGGCAAGCUUUAUGUCCUGACCCAGCUAAAGCUGCCAGUUGAAGAACUGUUGCCCUCUGCC(配列番号6)(ヘアピン)。
【0042】
「mir−22遺伝子」とは、mir−22ミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味する。典型的なmir−22遺伝子の配列は、NCBI Reference No.AF480525 に提示されている。
【0043】
「miR−26a−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26a−1、Mir Base Accession No. MI0000083、MIMA T0000082、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmir−26a−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
10−Uucaaguaauccaggauaggcu‐31(配列番号7)(成熟);及び
GUGGCCUCGUUCAAGUAAUCCAGGAUAGGCUGUGCAGGUCCCAAUGGGCCUAUUCUUGGUUACUUGCACGGGGACGC(配列番号8)(ヘアピン)。
【0044】
「miR−26a−1遺伝子」とは、mir−26a−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0045】
「miR−26a−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26a−2、Mir Base Accession No. MI0000750、MIMA T0000082、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−26a−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
14−uucaaguaauccaggauaggcu−35(配列番号7)(成熟);又は
GGCUGUGGCUGGAUUCAAGUAAUCCAGGAUAGGCUGUUUCCAUCUGUGAGGCCUAUUCUUGAUUACUUGUUUCUGGAGGCAGCU(配列番号9)(ヘアピン)。
【0046】
「miR−26a−2遺伝子」とは、miR−26a−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0047】
「miR−29aミクロRNA」とは、hsa−mir−29aの配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−29a配列は Mir Base Accession No. MI0000087 及び MIMA T0000086 に提示されている。2つの典型的なmir−29aミクロRNAの配列は次の通りである。
AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAU(配列番号10)(ヘアピン);及び
UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA(配列番号11)(成熟)。
【0048】
「mir−29a遺伝子」とは、mir−29aミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0049】
「miR−29b−1ミクロRNA」とは、hsa−mir−29b−1の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−29b−1配列は Mir Base Accession No. MI0000105、hsa−mir−29b MIMA T0000100 又はその断片に提示されている。2つの典型的なmiR−29b−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU(配列番号12)(成熟);及び
CUUCAGGAAGCUGGUUUCAUAUGGUGGUUUAGAUUUAAAUAGUGAUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUCUUGGGGG(配列番号13)(ヘアピン)。
【0050】
「miR−29b−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−29b−2、Mir Base Accession No. MI0000107、MIMA T0000100、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−29b−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
52−uagcaccauuugaaaucaguguu−74(配列番号12)(成熟);又は
CUUCUGGAAGCUGGUUUCACAUGGUGGCUUAGAUUUUUCCAUCUUUGUAUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUUUAGGAG(配列番号14)(ヘアピン)。
【0051】
「miR−29b−2遺伝子」とは、miR−29b−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0052】
「miR−29cミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−miR−29c、Mir Base Accession No. MI0000735、MIMA T0000681、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−29cミクロRNAの配列は次の通りである。
54−uagcaccauuugaaaucgguua−75(配列番号15)(成熟);又は
AUCUCUUACACACAGGCUGACCGAUUUCUCCUGGUGUUCAGAGUCUGUUUUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUAUGAUGUAGGGGGA(配列番号16)(ヘアピン)。
【0053】
「miR−29c遺伝子」とは、mir−29cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0054】
「miR−30eミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30e、Mir Base Accession No. MI0000749、MIMA T0000692、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−30eミクロRNAの配列は次の通りである。
17−uguaaacauccuugacuggaag−38(配列番号17)(成熟);又は
GGGCAGUCUUUGCUACUGUAAACAUCCUUGACUGGAAGCUGUAAGGUGUUCAGAGGAGCUUUCAGUCGGAUGUUUACAGCGGCAGGCUGCCA(配列番号18)(ヘアピン)。
【0055】
「miR−30e遺伝子」とは、miR−30eミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0056】
「miR−30c−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30c−1、Mir Base Accession No. MI0000736、MIMA T0000244、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−30c−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
17−uguaaacauccuacacucucagc−39(配列番号19)(成熟);又は
ACCAUGCUGUAGUGUGUGAAACAUCCUACACUCUCAGCUGUGAGCUCAAGGUGGCUGGGAGAGGGUUGUUUACUCCUUCUGCCAUGGA(配列番号20)(ヘアピン)。
【0057】
「miR−30c−1遺伝子」とは、miR−30c−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0058】
「miR−26bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26b、Mir Base Accession No. MI0000084、MIMA T0000083、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なhsa−mir−26bミクロRNAの配列は次の通りである。
CCGGGACCCAGUUCAAGUAAUUCAGGAUAGGUUGUGUGCUGUCCAGCCUGUUCUCCAUUACUUGGCUCGGGGACCGG(配列番号21)(ヘアピン);又は
12−uucaaguaauucaggauaggu−32(配列番号22)(成熟)。
【0059】
「miR−26b遺伝子」とは、miR−26bミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0060】
「miR−30c−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30c−2、Mir Base Accession No. MI0000254、MIMA T0000244、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−30c−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGAUACUGUAAACAUCCUACACUCUCAGCUGUGGAAAGUAAGAAAGCUGGGAGAAGGCUGUUUACUCUUUCU(配列番号23)(ヘアピン);
7−uguaaacauccuacacucucagc−29(配列番号19)(成熟);又は
47−cugggagaaggcuguuuacucu−68(配列番号24)(マイナー代替えプロセッシング)。
【0061】
「miR−30c遺伝子」とは、miR−30cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0062】
「miR−34aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−34a、Mir Base Accession No. MI0000268、MIMA T0000255、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−34aミクロRNAの配列は次の通りである。
GGCCAGCUGUGAGUGUUUCUUUGGCAGUGUCUUAGCUGGUUGUUGUGAGCAAUAGUAAGGAAGCAAUCAGCAAGUAUACUGCCCUAGAAGUGCUGCACGUUGUGGGGCCC(配列番号25)(ヘアピン);又は
22−uggcagugucuuagcugguugu−43(配列番号26)(成熟)。
【0063】
「miR−34a遺伝子」とは、miR−34aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0064】
「miR−146aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−146a、Mir Base Accession No. MI0000477、MIMA T0000449、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−146aミクロRNAの配列は次の通りである。
21−ugagaacugaauuccauggguu−42(配列番号27)(成熟);又は
CCGAUGUGUAUCCUCAGCUUUGAGAACUGAAUUCCAUGGGUUGUGUCAGUGUCAGACCUCUGAAAUUCAGUUCUUCAGCUGGGAUAUCUCUGUCAUCGU(配列番号28)(ヘアピン)。
【0065】
「miR−146a遺伝子」とは、miR−146aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0066】
「miR−150ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−150、Mir Base Accession No. MI0000479、MIMA T0000451、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−150ミクロRNAの配列は次の通りである。
16−ucucccaacccuuguaccagug−37(配列番号29)(成熟);又は
CUCCCCAUGGCCCUGUCUCCCAACCCUUGUACCAGUGCUGGGCUCAGACCCUGGUACAGGCCUGGGGGACAGGGACCUGGGGAC(配列番号30)(ヘアピン)。
【0067】
「miR−150遺伝子」とは、miR−150ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0068】
「miR−195ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−195、Mir Base Accession No. MI0000489、MIMA T0000461、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−195ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGCUUCCCUGGCUCUAGCAGCACAGAAAUAUUGGCACAGGGAAGCGAGUCUGCCAAUAUUGGCUGUGCUGCUCCAGGCAGGGUGGUG(配列番号31)(ヘアピン);及び
15−uagcagcacagaauauuggc−35(配列番号32)(成熟)。
【0069】
「miR−195遺伝子」とは、miR−195ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0070】
「miR−497ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−497、Mir Base Accession No. MI0003138、MIMA T0002820、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−497ミクロRNAの配列は次の通りである。
CCACCCCGGUCCUGCUCCCGCCCCAGCAGCACACUGUGGUUUGUACGGCACUGUGGCCACGUCCAAACCACACUGUGGUGUUAGAGCGAGGGUGGGGGAGGCACCGCCGAGG(配列番号33)(ヘアピン);及び
24−cagcagcacacugugguuugu−44(配列番号34)(成熟)。
【0071】
「miR−497遺伝子」とは、miR−497ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0072】
「let−7a−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7a−1、Mir Base Accession No. MI0000060、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7a−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
6−ugagguaguagguuguauaguu−27(配列番号35)(成熟);又は
UGGGAUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUUAGGGUCACACCCACCACUGGGAGAUAACUAUACAAUCUACUGUCUUUCCUA(配列番号36)(ヘアピン)。
【0073】
「let−7a−1遺伝子」とは、let−7a−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0074】
「let−7f−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7f−1、Mir Base Accession No. MI0000067、MIMA T0000067、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7f−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
7−ugagguaguagauuguauaguu−28(配列番号37)(成熟);又は
UCAGAGUGAGGUAGUAGAUUGUAUAGUUGUGGGGUAGUGAUUUUACCCUGUUCAGGAGAUAACUAUACAAUCUAUUGCCUUCCCUGA(配列番号38)(ヘアピン)。
【0075】
「let−7f−1遺伝子」とは、let−7f−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0076】
「let−7dミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7d、Mir Base Accession No. MI0000065、MIMA T0000065、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7dミクロRNAの配列は次の通りである。
AGAGGUAGUAGGUUGCAUAGUU(配列番号39)(成熟);又は
CCUAGGAAGAGGUAGUAGGUUGCAUAGUUUUAGGGCAGGGAUUUUGCCCACAAGGAGGUAACUAUACGACCUGCUGCCUUUCUUAGG(配列番号40)(ヘアピン)。
【0077】
「let−7d遺伝子」とは、let−7dミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0078】
「miR−100ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−100、Mir Base Accession No. MI0000102、MIMA T0000098、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−100ミクロRNAの配列は次の通りである。
13−aacccguagauccgaacuugug−34(配列番号41)(成熟);
CCUGUUGCCACAAACCCGUAGAUCCGAACUUGUGGUAUUAGUCCGCACAAGCUUGUAUCUAUAGGUAUGUGUCUGUUAGG(配列番号42)(ヘアピン)。
【0079】
「miR−100遺伝子」とは、miR−100ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0080】
「let−7a−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、Mir Base Accession No. MI0000061、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7a−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGUUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUAGAAUUACAUCAAGGGAGAUAACUGUACAGCCUCCUAGCUUUCCU(配列番号43)(ヘアピン);及び
5−ugagguaguagguuguauaguu−26(配列番号35)(成熟)。
【0081】
「let−7a−2遺伝子」とは、let−7a−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0082】
「miR−125b−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125b−1、Mir Base Accession No. MI0000446、MIMA T0000423、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なhas−miR−125b−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
15−ucccugagacccuaacuuguga−36(配列番号44)(成熟);又は
UGCGCUCCUCUCAGUCCCUGAGACCCUAACUUGUGAUGUUUACCGUUUAAAUCCACGGGUUAGGCUCUUGGGAGCUGCGAGUCGUGCU(配列番号45)(ヘアピン)。
【0083】
「let−7a−3ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7a−3、Mir Base Accession No. MI0000062、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7a−3ミクロRNAの配列は次の通りである。
GGGUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUGGGGCUCUGCCCUGCUAUGGGAUAACUAUACAAUCUACUGUCUUUCCU(配列番号46)(ヘアピン);又は
4−ugagguaguagguuguauaguu−25(配列番号35)。
【0084】
「let−7bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7b、Mir Base Accession No. MI0000063、MIMA T0000063、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7bミクロRNAの配列は次の通りである。
6−ugagguaguagguugugugguu−27(配列番号47)(成熟);又は
CGGGGUGAGGUAGUAGGUUGUGUGGUUUCAGGGCAGUGAUGUUGCCCCUCGGAAGAUAACUAUACAACCUACUGCCUUCCCUG(配列番号48)(ヘアピン)。
【0085】
「let−7b遺伝子」とは、let−7bミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0086】
「miR−99aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−99a、Mir Base Accession No. MI0000101、MIMA T0000097、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−99aミクロRNAの配列は次の通りである。
CCCAUUGGCAUAAACCCGUAGAUCCGAUCUUGUGGUGAAGUGGACCGCACAAGCUCGCUUCUAUGGGUCUGUGUCAGUGUG(配列番号49)(ヘアピン);又は
13−aacccguagauccgaucuugug−34(配列番号50)(成熟)。
【0087】
「miR−99a遺伝子」とは、miR−99aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0088】
「let−7cミクロRNA」とは、このものの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7c、Mir Base Accession No. MI0000064、MIMA T0000064、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7cミクロRNAの配列は次の通りである。
GCAUCCGGGUUGAGGUAGUAGGUUGUAUGGUUUAGAGUUACACCCUGGGAGUUAACUGUACAACCUUCUAGCUUUCCUUGGAGC(配列番号51)(へピン);又は
11−ugagguaguagguuguaugguu−32(配列番号52)(成熟)。
【0089】
「let−7c遺伝子」とは、let−7cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0090】
「miR−125b−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125b−2、Mir Base Accession No. MI0000470、MIMA T0000423、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−125b−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
ACCAGACUUUUCCUAGUCCCUGAGACCCUAACUUGUGAGGUAUUUUAGUAACAUCACAAGUCAGGCUCUUGGGACCUAGGCGGAGGGGA(配列番号53)(ヘアピン);又は
17−ucccugagacccuaacuuguga−38(配列番号44)(成熟)。
【0091】
「miR−99bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−99b、Mir Base Accession No. MI0000746、MIMA T0000689、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−99bミクロRNAの配列は次の通りである。
GGCACCCACCCGUAGAACCGACCUUGCGGGGCCUUCGCCGCACACAAGCUCGUGUCUGUGGGUCCGUGUC(配列番号54)(ヘアピン);又は
7−cacccguagaaccgaccuugcg−28(配列番号55)(成熟)。
【0092】
「miR−99b遺伝子とは、miR−99bミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0093】
「let−7eミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7e、MI0000066、MIMA T0000066、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7eミクロRNAの配列は次の通りである。
CCCGGGCUGAGGUAGGAGGUUGUAUAGUUGAGGAGGACACCCAAGGAGAUCACUAUACGGCCUCCUAGCUUUCCCCAGG(配列番号56)(ヘアピン);又は
8−Ugagguaggagguuguauaguu−29(配列番号57)(成熟)。
【0094】
「let−7e遺伝子」とは、let−7eミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0095】
「miR−125aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125a、Mir Base Accession No. MI0000469、MIMA T0000443、MIMA T0004602、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−125aミクロRNAの配列は次の通りである。
UGCCAGUCUCUAGGUCCCUGAGACCCUUUAACCUGUGAGGACAUCCAGGGUCACAGGUGAGGUUCUUGGGAGCCUGGCGUCUGGCC(配列番号58)(ヘアピン);又は
15−ucccugagacccuuuaaccuguga−38(配列番号59)(成熟)又は
53−acaggugagguucuugggagcc−74(配列番号60)(成熟の代替えプロセッシング)。
【0096】
「miR−125a遺伝子」とは、miR−125aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0097】
「let−7f−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7f−2、Mir Base Accession No. MI0000068、MIMA T0000067、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7f−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
UGUGGGAUGAGGUAGUAGAUUGUAUAGUUUUAGGGUCAUACCCCAUCUUGGAGAUAACUAUACAGUCUACUGUCUUUCCCACG(配列番号61)(ヘアピン);又は
8−ugagguaguagauuguauaguu−29(配列番号37)(成熟)。
【0098】
「let−7f−2遺伝子」とは、let−7f−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0099】
「miR−98ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−miR−98、Mir Base Accession No. MI0000100、MIMA T0000096、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−98ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGAUUCUGCUCAUGCCAGGGUGAGGUAGUAAGUUGUAUUGUUGUGGGGUAGGGAUAUUAGGCCCCAAUUAGAAGAUAACUAUACAACUUACUACUUUCCCUGGUGUGUGGCAUAUUCA(配列番号62)(ヘアピン);又は
22−ugagguaguaaguuguauuguu−43(配列番号63)(成熟)。
【0100】
「miR−98遺伝子」とは、miR−98ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0101】
「let−7gミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7g、Mir Base Accession No. MI0000433、MIMA T0000414、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7gミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGCUGAGGUAGUAGUUUGUACAGUUUGAGGGUCUAUGAUACCACCCGGUACAGGAGAUAACUGUACAGGCCACUGCCUUGCCA(配列番号64)(ヘアピン);
5−ugagguaguaguuuguacaguu−26(配列番号65)(成熟);又は
62−cuguacaggccacugccuugc−82(配列番号66)(マイナー)。
【0102】
「let−7g遺伝子」とは、let−7gミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0103】
「let−7iミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7i、Mir Base Accession No. MI0000434、MIMA T0000415、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7iミクロRNAの配列は次の通りである。
CUGGCUGAGGUAGUAGUUUGUGCUGUUGGUCGGGUUGUGACAUUGCCCGCUGUGGAGAUAACUGCGCAAGCUACUGCCUUGCUA(配列番号67)(ヘアピン);又は
6−ugagguaguaguuugugcuguu−27(配列番号68)。
【0104】
「let−7i遺伝子」とは、let−7iミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0105】
「薬剤」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそれらの断片若しくは類縁体、小分子、又はその他の生物活性分子を意味している。
【0106】
「変化」とは、上記のような当該技術分野で公知の標準的な方法で検出されるような、遺伝子又はポリペプチドの発現レベルにおける変化(増大又は減少)を意味している。本明細書で用いる限りでは、変化は発現レベルにおける10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、そして最も好ましくは50%又はそれ以上の発現レベルの変化を含んでいる。
【0107】
本開示において、「含む」、「含んでいる」、「含有している」及び「有している」などは、米国特許法においてそれらが見なされている意味を有することができ、そして「包含する」、「包含している」などを意味することができる。「本質的に〜より成っている」又は「本質的に〜より成る」などは、米国特許法において見なされている意味を有していて、この用語はオープンエンドであり、基本的若しくは新規な特徴がある限り、列挙されているもの以上の存在を許容するが、先行技術の態様は除外する。
【0108】
「対照」とは、標準的又は参照的な条件を意味している。
【0109】
「有効量」とは、治療していない患者と比較して疾患の症状を軽減するのに必要な薬剤の量を意味している。腫瘍の治療処置のために本発明を実施するのに用いられる活性薬剤の有効量は、投与方法、対象の年齢、体重及び一般健康状態によって変わる。最終的には、主治医又は獣医が適切な量及び投薬計画を決定する。そのような量が「有効な」量として見なされる。
【0110】
「断片」とは、参照タンパク質又は核酸と実質的に同一であり、そして参照タンパク質又は核酸の生物活性を保持している、タンパク質又は核酸分子の部分(例えば、少なくとも10、25、50、100、125、150、200、250、300、350、400、又は500個のアミノ酸又は核酸)を意味している。
【0111】
「宿主細胞」は、クローニングベクター又は発現ベクターのどちらかを含有している原核又は真核細胞の何れかである。この用語は、クローン化遺伝子を宿主細胞の染色体又はゲノムに含むように遺伝子操作されている原核又は真核細胞も包含している。
【0112】
「腫瘍を阻害する」とは、腫瘍に進展する細胞の性向の減少、又は腫瘍の生育又は増殖を遅延、減少、又は安定化を意味している。
【0113】
「単離された核酸分子」とは、本発明の核酸分子が由来する生命体の天然ゲノム中で遺伝子に隣接している、遺伝子が存在していない、核酸(例えば、DNA、RNA、ミクロRNA又はこれらの類縁体)を意味している。従ってこの用語は、例えば、ベクターに;自動的に複製するプラスミド又はウィルスに;又は原核若しくは真核のゲノムDNAに組み込まれている;又は他の配列から独立した別の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されたcDNA又はゲノム若しくはcDNA断片)として存在している、組み換えDNAを包含する。さらに、この用語は、DNA分子から転写されたミクロRNA又はその他のRNA分子、さらに付加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組み換えDNAを包含する。
【0114】
「マーカー」とは、疾患又は障害に関連している発現レベル又は活性において変化があるタンパク質又はポリヌクレオチドの何れかを意味している。
【0115】
用語「マイクロアレイ」は、固体支持体(例えば、チップ、プレート、又はビーズ)上に配置されている1つ又はそれ以上の生命体からの核酸分子又はポリペプチドの回収を意味している。
【0116】
「改変」とは、天然の参照薬剤と比べて、ヌクレオチド、アミノ酸、又はその他の薬剤を生物学的に又はその他の合成的に変化させることの何れも意味する。
【0117】
「腫瘍」とは、不適正に高い細胞分裂のレベル、若しくは不適正に低いアポトーシスのレベル、又は両方によって引き起こされるか又はその結果である、何れかの疾患を意味している。例えば、癌は腫瘍である。癌の例は、限定することなく、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、及び肉腫並びに癌腫(例えば、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、ナイル腺管癌(nile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞性肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管細胞芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、シュワン腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫)のような固形癌を包含する。リンパ増殖性疾患も増殖性疾患と見なされる。
【0118】
「成熟形態」とは、少なくとも部分的に、標的mRNAの調節に関与できる生物学的活性形態に処理されているミクロRNAを意味している。
【0119】
「ヘアピン形態」とは、二重螺旋部分を含んでいるミクロRNAを意味している。
【0120】
「ミクロRNA」とは、ポリペプチドコード活性の何れとも無関係な生物活性を有している核酸塩基配列を意味している。ミクロRNAは合成されても天然のものでもよく、そして本明細書に記載されている1つ又はそれ以上の改変を含んでいてもよい。ミクロRNAは、pri−ミクロRNA、ヘアピンミクロRNA、及び成熟ミクロRNAを包含する。
【0121】
「Myc調節異常」とは、通常はMycによって抑制されている1つ又はそれ以上のミクロRNAの発現レベルにおける変化を意味している。
【0122】
「核酸」とは、リボ核酸又はデオキシリボ核酸、又はそれらの類縁体のオリゴマー又はポリマーを意味している。この用語は、天然の塩基、糖、及び糖間(骨格)結合からなるオリゴマー、更に、機能が同様な非天然部分を有するオリゴマーを包含する。このような改変又は置換オリゴヌクレオチドは多くの場合、例えば、ヌクレアーゼの存在下での増強された安定性のような特性のため、天然型よりも好ましい。
【0123】
「阻害性核酸分子を得ること」におけるような、「得ること」とは、阻害性核酸分子を合成すること、購入すること、又は別の手段で入手することを意味している。
【0124】
「オリゴヌクレオチド」とは、核酸塩基配列を含有する分子の何れもを意味している。オリゴヌクレオチドは、例えば、1つ又はそれ以上の改変された塩基、結合、糖残基、又はその他の改変を含むことができる。
【0125】
「操作可能に結合した」とは、第1ポリヌクレオチドが、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が第2ポリヌクレオチドに結合したときに、第1ポリヌクレオチドの転写を指示する第2ポリヌクレオチドに隣接して位置していることを意味している。
【0126】
「発現のために位置付けられている」とは、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA分子)が、配列の転写及び翻訳を指示する(すなわち、例えば、本明細書に記載されている組み換えミクロRNAの生産を促進する)DNA配列に隣接して位置付けらていることを意味している。
【0127】
「プライマーセット」又は「プローブセット」は、オリゴヌクレオチドの組合わせを意味する。プライマーセットは、例えば、目的のポリヌクレオチドを増幅するために用いることができる。プローブセットは、例えば、目的のポリヌクレオチドとハイブリダイズするために用いることができる。プライマーセットは、少なくとも2、4,6、8、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、80、100又はそれ以上のプライマー又はプローブより成っている。
【0128】
「断片」とは、ポリペプチド又は核酸分子の1部分を意味している。この部分は、参照する核酸分子又はポリペプチドの全長の、好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有している。断片は5,6、7、8、9、10、11、12、13,14、15,16、17、18、19、20、又は21個のヌクレオチドを含有していてよい。
【0129】
「減少する」とは、負の変化を意味している。減少は、例えば、5%、10%、25%、50%、75%又はもっと言えば100%の減少を含んでいる。
【0130】
「生存が減少する」とは、参照と比較して、細胞または細胞集団における細胞死の可能性が増大することを意味している。例えば、生存における減少は、未処理の対照細胞と比較して、本発明のミクロRNAで処理した細胞において測定される。細胞死は、アポトーシス又は壊死の細胞死を含む、何れの手段によるものでもよい。
【0131】
「細胞分裂が減少する」とは、参照と比較して、細胞周期を阻害する、又は細胞、組織若しくは器官の生育又は増殖を減少することを意味している。例えば、細胞分裂における減少は、未処理の対照細胞と比較して、本発明のミクロRNAで処理した細胞において測定される。
【0132】
「参照」とは、標準的又は対照の条件を意味している。
【0133】
「レポーター遺伝子」とは、限定することなく、グルクロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、及びベータ−ガラクトシダーゼを包含するポリペプチドのような;その発現を試験できるポリペプチドをコードする遺伝子を意味している。
【0134】
用語「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を包含するように意図されている。哺乳動物は、これに限定されないが、ヒトを包含する。
【0135】
用語「薬学的に許容される賦形剤」は、ヒトへの投与に適している、1つ又はそれ以上の適合性のある固体又は液体の増量剤、希釈剤又は封入剤を意味するように本明細書で用いられる。
【0136】
「形質転換細胞」とは、その中に(又はその前駆細胞中に)、組み換えDNA技術の手段で、本発明のタンパク質を(本明細書で用いられているように)コードするポリヌクレオチド分子が導入されている、細胞を意味している。
【0137】
「ベクター」とは、核酸分子、例えば、宿主細胞中で複製可能な、プラスミド、コスミド、又はバクテリオファージ、を意味している。
一態様では、ベクターは、組み換え又は合成によって生成され、宿主細胞中で核酸分子の転写が可能な一連の特異的な核酸エレメントを担持している、核酸構築物である発現ベクターである。一般に、発現は、構成的又は誘導プロモータ、組織優先性調節エレメント、及びエンハンサーを包含する、ある特定の調節エレメントの制御下に置かれている。
【0138】
一態様では、本発明の方法において有用な核酸分子は、本発明のポリペプチド又はその断片をコードする何れの核酸分子も包含する。
別の態様では、本発明の方法において有用な核酸分子は、ポリペプチド配列をもたらすこととは関連していない生物活性を有しているポリヌクレオチド(例えば、ミクロRNA)をコードする何れの核酸分子も包含する。このような核酸分子は内因性の核酸配列と100%同一である必要はないが、一般に実質的な同一性を示すであろう。
内因性の配列と「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは一般的に、二重螺旋核酸分子の少なくとも1つの螺旋とハイブリダイズが可能である。
「ハイブリダイズ」とは、多種の厳密性条件下での、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)、又はその部分の間で二重螺旋分子を形成するための対を意味している。(例えば、Wahl, G.M. and S.L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507 を参照されたい)。
【0139】
例えば、厳密な塩濃度は、通常約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウム未満、好ましくは約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウム未満、そしてより好ましくは約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウム未満である。厳密性の低いハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの非存在下で得ることができる一方、厳密性の高いハイブリダイゼーションは少なくとも約35%のホルムアミド、そしてより好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。厳密な温度条件は、通常少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、そして最も好ましくは少なくとも約47℃の温度を包含するであろう。ハイブリダイゼーションの時間、洗浄剤、例えば、ドデシル硫酸(SDS)の濃度、及びキャリアDNAの封入又は排除のような多くの更なるパラメータは当業者に周知である。多種の厳密性のレベルは、必要に応じて、これらの各種条件を組み合わせて達成される。
好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、30℃で、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%のSDS中で起こるであろう。
より好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、37℃で、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、及び100μg/mlの変性鮭精子DNA(ssDNA)中で起こるであろう。
最も好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、42℃で、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、及び200μg/mlのssDNA中で起こるであろう。これらの条件の有用な変法を、当業者は容易に理解するであろう。
【0140】
殆どの適用に対して、ハイブリダイゼーション後の洗浄工程も厳密性において変化するであろう。洗浄の厳密性条件は塩濃度によって、そして温度によって規定できる。上記のように、洗浄の厳密性は、塩濃度を下げることにより、又は温度を上げることにより増大することができる。例えば、洗浄工程に対する厳密な塩濃度は、好ましくは約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウム未満、そして最も好ましくは約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウム未満であろう。洗浄工程に対する厳密な温度条件は通常少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約40℃、そして更により好ましくは少なくとも約68℃の温度を含むだろう。
好ましい態様では、洗浄工程は、25℃の温度で、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。
より好ましい態様では、洗浄工程は、42℃の温度で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。
より好ましい態様では、洗浄工程は、68℃の温度で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。これらの条件の更なる変法を、当業者は容易に理解するであろう。
ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であって、例えば、Benton and Davis (Science 196:180, 1977);Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); and Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York に記載されている。
【0141】
「実質的に同一」とは、参照のアミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列の何れか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列の何れか1つ)に少なくとも50%の相同性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味している。好ましくは、このような配列が、アミノ酸レベル又は核酸において、比較に用いられる配列に対して少なくとも60%、より好ましくは80%又は85%、そしてより好ましくは90%、95%又はもっと言えば99%同一である。
【0142】
配列の同一性は通常、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST, BESTFIT, GAP, or PILEUP/PRETTYBOX programs)を用いて測定される。このようなソフトウェアは、多種の置換、欠失、及び/又は改変に対する相同性の程度を決定して同一又は類似配列をマッチする。同類置換は一般に、次の郡内の置換を包含する;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定する典型的なアプローチでは、密接に関連している配列を指し示すe−3とe−100の間の確率スコアによる、BLASTプログラムを用いることができる。
【0143】
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍を治療又は予防するのに有用であるミクロRNAを特徴とする組成物及び方法を提供する。Mycはmir−17クラスターの転写を直接活性化する(O'Donnel et al., Nature 435, 839-43 (2005))。Mycで調節されたmiRNAを同定するために、ヒト及びマウスモデルでMycが介在するリンパ腫起源の分析を行った。この分析は、一連の多くのMycで調節されたmiRNAの発見をもたらした。顕著に、Mycの導入が主として、miRNA発現の下方調節を広範にもたらした。Mycがプロモーター又はそれが抑制するmiRNAの保存領域の上流と直接結合することを、クロマチン免疫沈降(ChIP)が明らかにした。本発明は、少なくとも一部は、Mycで調節されたmiRNAの発現がインビボでリンパ腫細胞の生育を劇的に阻害したという発見に基づいている。これらの知見は、腫瘍抑制性miRNAの抑制が、Myc腫瘍形成プログラムの基本要素であることを示唆している。従って、本発明は、その発現が腫瘍を治療又は予防するのに有用なmiRNAを特徴とする組成物及び方法を提供する。
【0144】
以下により詳細に報告するように、Mycは以下のミクロRNAの発現を少なくとも2倍抑制した;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150。Mycは、2つの腫瘍モデルにおいて、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−15a、miR−16−1、miR−29b−1、miR−29a、miR−34a、miR−195、miR−26b、及びmiR−30cの発現を少なくとも約1.5倍抑制した。従って、これらのMycで抑制されたミクロRNA又はそれらの断片の1つ又はそれ以上の発現は、腫瘍の治療又は予防のために有用であると期待されている。
【0145】
重大なことに、腫瘍内の腫瘍性細胞中に、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1が発現すると、これらのミクロRNAを発現している細胞は、実質的に腫瘍から排除された。このことは、miRNAがMyc及びv−Ablの両方が介在する形質転換において抗−腫瘍形成の特性を保持することを示唆している。miR−26aは、Mycが介在する形質転換において腫瘍形成を抑制し、そしてmiR−22はv−Ablが介在する形質転換において腫瘍形成を抑制した。これらの知見を考慮すると、腫瘍細胞内で本明細書に記載のミクロRNAの発現を増大する薬剤は、多種の腫瘍の治療又は予防のために有用であると期待される。
【0146】
(ミクロRNA)
ミクロRNAは、細胞内で特異的な遺伝子の転写後サイレンシングを、翻訳を阻害することによって又は標的mRNAの分解を介して、引き起こすことができる小分子の非コードRNA分子である。ミクロRNAは、標的の核酸と完全に相補的であるか、又はこれと非相補性領域を有して、結果として非−相補性領域に「バルジ」をもたらすことができる。ミクロRNAは、ミクロRNAが標的の核酸分子と完全には相補的でないときのように、翻訳を抑制することによって、又は標的RNAの分解を引き起こす(これはミクロRNAが完全に相補的にその標的に結合するときのみに起こると考えられている)ことによって遺伝子の発現を阻害することができる。本発明はミクロRNAの二重螺旋前駆体も包含することができる。
【0147】
ミクロRNA又はpre−ミクロRNAは長さが18〜100ヌクレオチド、より好ましくは長さが18〜80ヌクレオチドであってよい。成熟miRNAは19〜30ヌクレオチド、好ましくは21〜25ヌクレオチド、特に21、22、23、24、又は25ヌクレオチドの長さを有することができる。ミクロRNA前駆体は通常、約70〜100ヌクレオチドの長さを有し、そしてヘアピン構造を有している。ミクロRNAはインビボで、pre−miRNAから酵素ダイサー及びドロシャ(これは長いpre−miRNAを機能的なmiRNAに特異的に処理する)よって生成される。本発明で特徴としているヘアピン又は成熟ミクロRNA、又はpre−ミクロRNA薬剤は、インビボで細胞に基づいたシステムによって、又はインビトロで化学合成によって、合成することができる。
【0148】
本発明は単離されたミクロRNA及びそのような配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明の組み換えミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、mir−26b、mir−29b−1、mir−29a、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)又はこのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドをそれらを必要とする対象に、腫瘍細胞の生育、生存、又は増殖を減少させるために投与することができる。1つの方法では、ミクロRNAを裸のRNA分子として投与する。別の方法では、それを哺乳動物細胞における発現に適している発現ベクターで投与する。
【0149】
本発明によって提供される1つの典型的な方法は、組み換えミクロRNA分子、それらの変異体又は断片を潜在的な又は実在する罹患組織の部位へ直接あるいは全身への何れかによるような、組み換え薬治療的投与(例えば、従来の組み換え薬投与技術によって)を含んでいる。投与されるミクロRNAの用量は、個々の患者の体格及び健康状態を含む、多くの因子によって決まる。ある特定の対象に対して、個々のニーズ及び投与又は組成物の投与を監視する者の専門的な判断に従って、特異的な投与計画を長期にわたって調整すべきである。
【0150】
例えば、本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)を、約1〜100mg/kgの間(例えば、1、5、10、20、25、50、75、及び100mg/kg)の範囲の用量で投与することができる。
別の態様では、用量は約25〜500mg/m2/日の範囲である。望ましくは、腫瘍を有するヒト患者は、約50〜300mg/m2/日(例えば、50、75、100、125、150、175、200、250、275及び300)の用量を投与される。
【0151】
望ましい特性を与える改変を含むようにミクロRNAを合成することができる。例えば、この改変は、安定性、標的核酸とのハイブリダイゼーション熱力学、特定の組織又は細胞型への狙い、又は細胞透過性を、例えばエンドサイトーシスによるメカニズム又はエンドサイトーシスによらないメカニズムによって、改善することができる。改変は、配列特異性を増大し、それによってオフサイト標的を減少させることもできる。合成及び化学的改変の方法は以下により詳細に記載されている。
【0152】
本発明は更に、1、2、3、4、5、6又はそれ以上のミクロRNAを含むマイクロアレイ、ミクロRNAのようなものを含むオリゴヌクレオチド、又はこのようなミクロRNAをコードするか若しくはこれと結合する核酸配列を包含する、固体支持体を提供する。更に本発明は、本発明のミクロRNAとハイブリダイズする、及び/又はこれをを増幅するために用いることのできるプローブを提供する。特定の態様では、本発明は、1、2、3、4、又はそれ以上のミクロRNAを包含するプローブ又は本明細書に記載のプローブの収集物を提供する。
【0153】
(ミクロRNA類縁体)
所望により、ミクロRNA分子を、分解に対してミクロRNAを安定化するために、半減期を増進するために、又は別の方法で効力を改善するために、改変することができる。望ましい改変は例えば、米国特許出願公開第2007/0213292号公報、同第2006/0287260号公報、同第2006/0035254号公報、同第2006/0008822号公報、及び2005/0288244号公報に記載されていて、それぞれは参照としてその全てが本明細書に組み込まれている。
【0154】
ヌクレアーゼ耐性及び/又は標的に対する結合親和性を増大するために、本発明で特徴としている一重螺旋オリゴヌクレオチド薬剤は、2’−O−メチル、2’−フッ素、2’−O−メトキシエチル、2’−O−アミノプロピル、2’−アミノ、及び/又はホスホロチオエート結合を含有することができる。ロックド核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、例えば2’−4’−エチレン−架橋化核酸、及びある特定の核酸塩基改変を含有させても標的に対する結合親和性を増大できる。オリゴヌクレオチド骨格にピラノース糖を含有させてもエンドヌクレアーゼの切断を減少できる。3’−カチオン基を含有させるか又はヌクレオシドを3’−末端で3’−3’−結合を用いて反転させることによって、アンタゴmirを改変することができる。別の選択肢では、3’−末端をアミノアルキル基でブロックすることができる。別の3’の共役は3’−5’−エクソヌクレアーゼ切断を阻害できる。理論に制約されていないが、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端への結合からエクソヌクレアーゼを立体的にブロックしてエクソヌクレアーゼの切断を阻害できる。小さいアルキル鎖、アリール基又は複素環共役若しくは改変糖(D−リボース、デオキシリボース、グルコースなど)でさえも3’−5’−エクソヌクレアーゼをブロックできる。
【0155】
一態様では、ミクロRNAはヌクレアーゼ耐性のためにホスホロチオエートに改変された幾つかの又は全てのヌクレオチド間結合を有する、オリゴヌクレオチドギャップを含有している2’−改変オリゴヌクレオチドを含んでいる。メチルホスホネート改変の存在はオリゴヌクレオチドのその標的RNAに対する親和性を増大して、IC50を減少する。この改変も改変されたオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増大する。本発明の方法及び薬剤が、阻害性核酸分子の安定性及び効力を増強するために開発され得る技術と共に用いることができるということは理解されるであろう。
【0156】
ミクロRNA分子は、改変された骨格又は非天然のヌクレオシド間結合を含有している核酸塩基オリゴマーを包含する。改変された骨格を有するオリゴマーは、骨格にリン原子を保持しているもの及び骨格にリン原子を有していないものを包含する。この明細書の目的ために、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を有していない改変されたオリゴヌクレオチドも核酸塩基オリゴマーであると考えられている。改変されたオリゴヌクレオチド骨格を有している核酸塩基オリゴマーは、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキル−リン酸トリエステル、3’−アルキレンリン酸エステル及びキラルリン酸エステルを包含するメチル及びその他のアルキルリン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルリン酸エステル、チオノアルキルリン酸トリエステル、及びボラノリン酸エステルを包含する。多種の塩、混合塩及び遊離酸形態もまた含む。上記のリン含有結合の製造を教示する代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,196号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,306号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、及び同第5,625,050号を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。
【0157】
そこにリン原子を含んでいない改変オリゴヌクレオチド骨格を有している核酸塩基オリゴマーは、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、ヘテロ原子とアルキル若しくはシクロアルキルとの混合ヌクレオシド間結合、又は1つ又はそれ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環ヌクレオシド間結合によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成されている);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;及び混合N、O、S及びCH2成分を有するその他のものを包含する。上記のオリゴヌクレオチドの製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,610,289号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、及び同第5,677,439号を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。
【0158】
核酸塩基オリゴマーは、1つ又はそれ以上の置換糖残基を含んでいてもよい。そのような改変は、2’−O−メチル及び2’−メトキシエトキシ改変を含んでいる。その他の好ましい改変は2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、2’−アミノプロポキシ及び2’−フルオロである。同様な改変をオリゴヌクレオチド又は別の核酸塩基オリゴマーの別の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置に行ってもよい。核酸塩基オリゴマーは、ペントフラノシル糖に代えてシクロブチル残基のような糖類似物を有していてもよい。このような改変糖構造の製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、及び同第5,700,920号を包含し、それぞれはその全てが参照として本明細書に組み込まれている。
【0159】
別の核酸塩基オリゴマーでは、糖及びヌクレオシド間結合の両方、すなわち、骨格が新規な基で置換されている。核酸塩基ユニットは、miR−17−92クラスターの核酸分子とのハイブリダイゼーションに対して保持される。これらの核酸塩基オリゴマーを作成及び使用する方法は、例えば、"Peptide Nucleic Acids (PNA): Protocols and Applications" Ed. P. E. Nielsen, Horizon Press, Norfolk, United Kingdom, 1999 に記載されている。PNAの製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、及び同第5,719,262を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500 に見出すことができる。
【0160】
別の態様では、一重螺旋改変核酸分子(例えば、ホスホロチオエート骨格及び2’−O−Me糖改変を含んでいる核酸分子)がコレステロールと共役している。
【0161】
(核酸塩基オリゴマーの送達)
本発明のミクロRNA(これは成熟又はヘアピン形態であってよい)を、腫瘍細胞に浸入可能な裸のオリゴヌクレオチドとして提供することができる。ある場合は、ミクロRNA又はその他の核酸塩基オリゴマーの細胞への送達に役立つ製剤を用いることが望ましい(例えば、米国特許第5,656,611号、同第5,753,613号、同第5,785,992号、同第6,120,798号、同第6,221,959号、同第6,346,613号、及び同第6,353,050号を参照されたい、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている)。
【0162】
いくつかの実施例では、ミクロRNA組成物は、少なくとも部分的に結晶、均一に結晶、そして/又は無水(例えば水分80、50、30、20、又は10%未満)である。別の実施例では、ミクロRNA組成物は、水相の形態、例えば水を含有する溶液の形態である。水相又は結晶組成物を送達用賦形剤、例えば、リポソーム(特に液相に対し)、又は粒子(例えば、結晶組成物に適切であるような微粒子)に組み入れることができる。一般に、ミクロRNA組成物は、意図する投与方法に準じている態様に製剤化される。
【0163】
ミクロRNA組成物は、他の薬剤、例えば他の治療薬剤、又はオリゴヌクレオチド薬剤を安定化する薬剤(例えば、オリゴヌクレオチド薬剤と複合体を形成するタンパク質)と組み合わせて製剤化することができる。さらなる別の薬剤は、キレート剤、例えばEDTA(例えば、Mg2+のような2価カチオンを除くために)、塩、及びRNA分解酵素阻害剤(例えば、RNAsinのような、広い特異性を持つRNA分解酵素阻害剤)を含んでいる。
【0164】
一態様では、ミクロRNA組成物が、別のミクロRNA、例えば第二ミクロRNA組成物(例えば、第1のものとは異なるミクロRNA)を含んでいる。更に別の調製物は、少なくとも3、5、10、20、50、又は100又はそれ以上の異なったオリゴヌクレオチド種を含むことができる。
【0165】
(ポリヌクレオチド治療)
ミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを特徴とするポリヌクレオチド治療は、対象における腫瘍を阻害するための別の治療手段である。ミクロRNAをコードする発現ベクターを腫瘍の治療又は予防のために対象の細胞に送達することができる。核酸分子は、細胞が取り込める形態で患者の細胞に送達されて、治療有効レベルが達成できるように有利に発現されなければならない。
【0166】
本発明によるポリヌクレオチドの細胞への送達方法は、リポソーム、ポリマー、ミクロスフェア、遺伝子治療ベクター、及び裸のDNAベクターのような、送達システムの使用を包含する。
【0167】
形質導入ウィルス(例えば、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス、及びアデノ随伴ウィルス)ベクターを、特にこれらの感染の高効率、及び安定な組み込み並びに発現により、体細胞遺伝子治療に用いることができる(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8:423-430, 1997; Kido et al., Current Eye Research 15:833-844, 1996; Bloomer et al., Journal of Virology 71:6641-6649, 1997; Naldini et al., Science 272:263-267, 1996; 及び Miyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319, 1997 を参照されたい)。
例えば、ミクロRNA分子をコードするポリヌクレオチドを、レトロウィルスベクター中にクローン化して、その内因性プロモーターから、レトロウィルスの長い末端反復から、又は目的の標的細胞型に特異的なプロモーターから発現を推進することができる。
使用できるその他のウィルスベクターは、例えば、ワクシニアウィルス、ウシ・パピローマウィルス、又はエプステイン−バールウィルスのような、ヘルペスウィルスを包含する(例えば、Miller(Human Gene Therapy 15-14, 1990)、Friedman(Science 244:1275-1281, 1989)、Eglitis et al.(Bio Techniques 6:608-614, 1988)、Tolstoshev et al.(Current Opinion in Biotechnology 1:55-61, 1990)、Sharp(The Lancet 337:1277-1278, 1991)、Cornetta et al.(Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322, 1987)、Anderson, Science 226:401-409, 1984)、Moen(Blood Cells 17:407-416, 1991)、Miller et al.(Biotechnology 7:980-990, 1989)、Le Gal La Salle et al.(Science 259:988-990, 1993)及び Johnson(Chest 107:77S-83S, 1995)のベクターも参照されたい)。レトロウィルスは特によく開発されていて、臨床の場に用いられている(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med. 323:370, 1990; Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。
【0168】
非ウィルス方法も、ミクロRNA治療薬を腫瘍があると診断された患者の細胞へ誘導するために用いることができる。例えば、リポフェクションの存在下で(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987; Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990; Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989; Staubinger et al., Methods in Enzymolgy 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド−ポリシン共役物の存在下で(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263:14621, 1988; Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264:16985, 1989)、又は手術条件下でのマイクロインジェクションによって(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)、核酸を投与してミクロRNAを細胞へ誘導することができる。ミクロRNA分子をリポソーム及びプロタミンと組み合わせて投与することが好ましい。
【0169】
遺伝子導入もインビトロでのトランスフェクションを含む非ウィルス方法を用いて実施することができる。このような方法は、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔法、及び原形質融合の使用を包含する。リポソームもDNAを細胞に送達するために有用である可能性がある。
【0170】
ポリヌクレオチド治療方法で用いるためのミクロRNAの発現を、適切なプロモータ(例えば、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)、シミアウィルス40(SV40)、又はメタロチオネインプロモーター)から指令して、適切な哺乳動物調節要素によって調節することができる。例えば、所望により、特異的な細胞型において遺伝子の発現を選択的に指令することが知られているエンハンサーを、核酸の発現を指令するために用いることができる。用いられるエンハンサーは、これに限定されないが、組織又は細胞特異的なエンハンサーとして特徴付けられているものを包含する。
【0171】
ある特定の患者に対して、個々の必要性及び組成物を投与する又は組成物の投与を監督する者の専門的な判断に従って、特異的な投与計画が長期にわたって調整されなければならない。
【0172】
(医薬組成物)
本明細書で報告するように、Mycによって調節される特異的なミクロRNAの発現の減少は腫瘍又は腫瘍形成と結びついている。従って、本発明は、腫瘍の治療又は予防のための、本明細書に記載のミクロRNAの発現を増大する治療組成物を提供する。
一態様では、本発明は、本発明のミクロRNA又は本発明のミクロRNAをコードする核酸分子を含有する医薬組成物を提供する。所望により、核酸分子は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
別の態様では、組み換えミクロRNA又はこのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを、腫瘍細胞の生育、生存、又は増殖を減少させるために、又は腫瘍細胞のアポトーシスを増大するために投与する。本発明のポリヌクレオチドを医薬組成物の一部として投与することができる。
組成物は滅菌して、対象への投与に適している重量又は容量単位中にミクロRNA又はミクロRNAをコードする核酸分子の治療有効量を含有していなければならない。
【0173】
本明細書に記載の組み換えミクロRNA又はミクロRNAをコードする核酸分子を、単位用量形態中の、薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤内で投与することができる。従来の製薬実務を、腫瘍を患っている患者にこの化合物を投与するための適切な製剤又は組成物を提供するために採用することができる。患者が症状を示す前に投与を始めることができる。適切な投与経路を何れも採用できる。例えば、投与は、非経口、静脈内、動脈内、皮下、腫瘍内、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼科的、脳室内、肝臓内、関節内、鞘内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアゾール、坐剤、又は経口投与でよい。例えば、治療製剤は液状溶液又は懸濁液の形態であってよく;経口投与のために、製剤は錠剤又はカプセルの形態であってよく;そして鼻腔内製剤のために、粉末、点鼻薬、又はエアゾールの形態でよい。
【0174】
製剤を作成する当該技術分野で周知の方法は、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy" Ed. A.R. Gennaro, Lippincourt Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa., 2000 に見出せる。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、又は食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、植物由来のオイル、又は水素化ナフタレン類を含有していてもよい。生体適合性、生物分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリド共重合体、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体を、化合物の放出を制御するために用いることができる。阻害性核酸分子に対して有用であろう他の非経口送達システムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み式注入システム、及びリポソームを包含する。吸入用の製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含んでいてよく、或いは例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート及びデオキシコレートを含有する水溶液であってよく、又は点眼液の形態で、又はゲルとして投与するための油性溶液であってもよい。
【0175】
この製剤を、腫瘍性の病気又は疾患の治療をもたらすために、ヒト患者に治療有効量(例えば、病状を予防する、取り除く、又は減少させる量)で、投与することができる。本発明の核酸塩基オリゴマーの好ましい用量は、疾患の型及び程度、特定患者の全般的な健康状態、化合物の製剤、賦形剤、及び投与の経路のような変数によって決まるだろう。
【0176】
腫瘍性の病気又は疾患を有する患者に対する、有効量は、腫瘍の増殖が安定化する、遅延する、又は減少するのに十分なものである。一般に、本発明の活性ポリヌクレオチド組成物の用量は、1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり約1000mg/kgである。約50〜約2000mg/kgの用量範囲が適切であろうと予想される。低用量は、静脈内投与のような、ある特定の投与形態からもたらされるだろう。初期用量の適用時に患者の応答が不十分な場合は、高用量(又は異なった、より局所の送達経路による効果的な高用量)を患者の耐性が許す範囲で採用することができる。1日当たりの複数回投与は、本発明のミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドの適切な全身レベルをもたらすことを意図している。
【0177】
従って、本発明は、本明細書に記載のミクロRNAを含有している組成物の治療有効量を対象(例えば、ヒトのような、哺乳動物)に投与することを含有してなる、病気及び/又は疾患又はそれらの症状を治療する方法を提供する。故に、一態様は腫瘍性の病気又は疾患若しくはそれらの症状を患っているかまたはそれに罹りやすい対象を治療する方法である。この方法は、哺乳動物に、病気又は疾患を治療する条件下で、本明細書のミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードする核酸の、腫瘍性の病気若しくは疾患又はそれらの症状を治療するのに十分な、治療有効量を投与する工程を含んでいる。
【0178】
本明細書に記載の方法は、それを必要とする対象における腫瘍の生育若しくは生存を予防、治療、安定化、又は減少するために、対象(このような治療が必要であると同定された対象を含んでいる)に、本明細書に記載の化合物、又は本明細書に記載の組成物の有効量を投与することを含んでいる。このような治療が必要な対象の同定は、対象若しくは医療専門家の判断で行うことができ、そして主観的(例えば、見解)又は客観的(例えば、試験又は診断法によって測定可能である)に行うことができる。
【0179】
本明細書で用いられる用語「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、疾患及び/又はそれに付随する症状を減少させること又は軽減することを示している。当然のことながら、妨げられないことではあるが、病気又は疾患を治療することは、病気、疾患又はそれらに付随する症状を完全に除去することを必要としない。
【0180】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」などは、病気又は疾患を有していないが、病気又は疾患が進展する危険性があるか又はこれに罹りやすい対象における病気又は疾患を進展させる可能性を低減することを示す。
【0181】
本発明の治療方法(予防的治療を含む)は、一般に、ミクロRNA又は本明細書に記載のようなミクロRNAをコードする核酸のような、本明細書に記載の薬剤の治療有効量を、それを必要とする、哺乳動物、特にヒトを包含する対象(例えば、動物、ヒト)へ投与することを含んでいる。このような治療は、病気、疾患、又はそれらの症状を患っている、有している、罹りやすい、又はその危険性がある対象、特にヒト、へ適切に投与することができる。「危険性のある」対象の確認は、対象又は医療提供者の診断試験又は見解(例えば、遺伝子試験、酵素またはタンパク質マーカー、Marker(例えば、増大したMyc発現又はMyc調節の変化に伴う腫瘍、又は本明細書で定義したようなもの)、家族歴、など)による客観的又は主観的な何れかの確認によって行われる。本明細書に記載の化合物は、Mycの調節不全が影響している可能性がある他の疾患の何れの治療にも使用することができる。
【0182】
一態様では、本発明は治療経過をモニターする方法を提供する。この方法は、Mycの調節不全に関連する疾患又はそれらの症状に罹っているか、又は罹りやすい対象で、疾患又はその症状を治療するのに十分な本明細書に記載の化合物の治療量を投与されている対象における、診断マーカー(Marker)(例えば、本明細書に記載の化合物によって調節される本明細書に説明されている標的の何れか、タンパク質又はそれらの指標物質など)のレベルの測定又は診断測定(例えば、スクリーニング、試験)の段階を含んでいる。この方法で測定されたMarkerのレベルを、健常な対照又は他の罹患者における公知のレベルと比較して対象の病状を明らかにすることができる。好ましい態様では、対象におけるMarkerの第2のレベルを、第1のレベルの測定より遅い時点で測定して、2つのレベルを比較して疾患の経過又は治療の効果を監視する。ある特定の好ましい態様では、対象における治療前のMarkerレベルを、本発明による治療開始の前に測定し、次いでこの治療前Markerレベルを、対象の治療開始後のMarkerレベルと比較して、治療の効果を確認する。
【0183】
(治療)
癌治療が行われるどこにおいても:家庭、医院、診療所、病院の外来、又は病院:治療を提供することができる。一般に治療は、医者が治療効果を綿密に観察して、必要によって何れの調節もできるように、病院で開始する。治療の期間は、治療する腫瘍の種類、患者の年齢及び状態、患者の疾患の段階及び型、及び患者の身体がこの治療に如何に応答しているかによって決められる。薬剤投与は異なった間隔(例えば、毎日、週に1回、月に1回)で行える。治療を、患者の身体が健康な新しい細胞を形成してその強度を取り戻す機会を得るために、休止期間を含む断続的な周期で行ってよい。
【0184】
癌のタイプ及びその進展の段階によって、治療を、癌の転移を遅延するために、癌の生育を遅延するために、原発腫瘍から身体の別の部位に転移し得る癌細胞を殺すか又は生育停止するために、癌によって引き起こされた症状を緩和するために、又は最初の位置で癌を阻止するために用いることができる。上記のように、必要により、ミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドによる治療を、増殖性疾患の治療のための治療法(例えば放射線療法、手術、又は化学療法)と組み合わせることができる。上記の適用の何れの方法に対しても、本発明のミクロRNAを静脈内投与することが好ましく、或いは腫瘍部位に適用される(例えば、注射で)。
【0185】
(診断)
以下に詳細に記載するように、本発明は、Mycで調節された腫瘍に関係しているミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現の減少を確認した。これらのマーカーの1つ又はそれ以上の発現レベルの減少を、Mycの異常調整に関連する腫瘍を有する患者を診断するために用いることができる。一態様では、方法は、以下のマーカーの一つ又はそれ以上のレベルの減少を試験して、本発明の方法を用いる治療に適している腫瘍を同定する;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1。
【0186】
一態様では、対象が腫瘍を有していると又は腫瘍進展の性向を有していると診断され、その方法が、患者から得られる生体試料におけるマーカーを測定すること、及び1つ又はそれ以上のマーカー分子における参照分子の配列又は発現と比較した発現の変化を検出することを含んでいる。マーカーは典型的にミクロRNAを包含する。
【0187】
本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の減少した発現は、本明細書に記載の組成物又は方法を用いる治療に適している腫瘍を同定するために用いられる。従って、本発明は患者におけるそのような腫瘍を同定するための組成物及び方法を提供する。遺伝子発現の変化は、当業者に公知であって本明細書に記載されている方法を用いて検出される。そのような情報を、腫瘍を診断するために、又は本発明の治療法に適しているような腫瘍を同定するために用いることができる。
【0188】
一方法では、本発明の診断方法が、参照(例えば、健常な組織のような、対応する対照組織中に存在するミクロRNAのレベル)と比較した、生体試料中のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現を試験するために用いられる。本発明のミクロRNAと特異的に結合する典型的な核酸プローブは本明細書に記載されている。「核酸プローブ」とは、本発明のミクロRNAと結合するか又はこれを増幅する核酸分子、又はその断片の何れもを意味している。このような核酸プローブは腫瘍の診断に有用である。
【0189】
一方法では、定量的PCR方法が、本発明のミクロRNAの発現における減少を同定するために用いられる。別の方法では、本発明のミクロRNAとハイブリダイズするプローブが用いられる。プローブの特異性は、プローブが天然の配列、対立遺伝子多型、又は他の関連する配列とハイブリダイズするか否かを確認する。ハイブリダイゼーション技術を、腫瘍を示す変異を同定するために用いることができ、或いはこれらの遺伝子の発現レベルを監視するために(例えば、ノーザン分析によって)用いることができる(Ausubel et al., supra)。
【0190】
一般に、対象試料中の核酸分子又はタンパク質の測定値を、参照中に存在する診断量と比較する。腫瘍組織と対照組織の間では診断量が異なる。利用する特定の診断量は診断医の裁量によって、診断試験の感度又は特異性を上げるために調節できることを、当業者は理解されたい。一般に、参照と比較した、対象試料における試験核酸分子又はポリペプチドのレベルの何れの有意な増加又は減少も(例えば、少なくとも約10%、15%、30%、50%、60%、75%、80%、又は90%)、腫瘍の診断又は特徴付けに用いることができる。
試験分子は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の1つ又はそれ以上の何れも包含する。
一態様では、参照は、腫瘍を有していない患者から得られる対照試料中に存在する試験ポリペプチド又は核酸分子のレベルである。
別の態様では、参照は、腫瘍治療の前に、最中に、又はその後に患者から得られる生体試料に存在する試験分子の基準レベルである。
更に別の態様では、参照は標準化曲線であってもよい。
【0191】
(生体試料のタイプ)
腫瘍を有しているか又はその進展の危険性がある患者由来の生体試料中のマーカーのレベルを測定でき、そして参照分子の配列又は発現と比較したマーカー分子の発現における変化を、異なったタイプの生体試料中で測定することができる。
試験マーカーは以下の1つ又は全ての何れも包含する;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1。
生体試料は一般に患者から、好ましくは体液(血液、脳脊髄液、痰、唾液、又は尿のような)又は組織試料(例えば、生検で得られる組織試料)から得られる。
【0192】
(キット)
本発明は、腫瘍の予防、治療、診断又は監視するためのキットを提供する。
一態様では、キットは、対象に投与するためのミクロRNA分子を提供する。
別の態様では、キットは、参照配列又は参照発現レベルと比較した、対象から得られるmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の配列又は発現の変化を検出する。
関連する態様では、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1核酸分子とハイブリダイズするプライマー又はプローブのような、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の発現を監視するための試薬を含んでいる。
【0193】
随意に、キットは対象から得られる生体試料中のMarkerの核酸分子を監視するための説明書を含んでいる。
他の態様では、キットは、プライマー、プローブ、抗体、又は他の検出試薬を含有している滅菌容器を含んでいて、このような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知の他の適切な容器であってよい。このような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は核酸を保持するのに適している他の材料で作られていてよい。
使用説明書は一般に、本明細書に記載のプライマー又はプローブの使用及びそれらの腫瘍を診断する際の使用に関する情報を含んでいる。好ましくは、キットは更に、本明細書に記載の診断試験に記載されている試薬の何れか1つ又はそれ以上を含んでいる。
他の態様では、使用説明書は以下のものの少なくとも1つを含んでいる;プライマー又はプローブの説明、腫瘍の診断のための同封してある物質の使用方法、注意、警告、指示、臨床又は調査研究、及び/又は参照。使用説明書は容器に直接印刷するか(容器がある場合)又は容器に貼付したラベルとして、又は容器中に又は一緒に供給される、別のシート、パンフレット、カード、又はフォルダーとしてもよい。
【0194】
(スクリーニング試験)
本発明の一態様は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の発現又は活性を増大する薬剤を同定する方法を包含している。従って、本発明のミクロRNA若しくは変異体、又はそれらの部分の発現若しくは活性を増大する化合物は、腫瘍の治療又は予防のための本発明の方法において有用である。本発明の方法は、本発明のミクロRNAの1つ又はそれ以上の転写における増大を測定できる。そのような化合物を同定するスクリーニング試験を実施するために多くの方法を利用できる。一方法では、方法は本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)を発現する細胞を薬剤と接触させて、薬剤と接触させた細胞における発現のレベルを対照細胞における発現レベルと比較することを含んでいて、本発明のミクロRNAの発現を増大する薬剤が、腫瘍を阻害する。
【0195】
他の態様では、この薬剤は、実質的に本発明のミクロRNAの機能を果たす、ミクロRNA模倣薬として作用する。候補模倣薬は、有機分子、ペプチド、ポリペプチド、核酸分子を包含する。本発明の小分子化合物は、好ましくは2,000ダルトン以下の、より好ましくは300〜1,000ダルトンの間の、更に好ましくは400〜700ダルトンの間の分子量を有している。これらの小分子化合物が有機分子であることが好ましい。本明細書に記載の何れかの方法で単離された化合物は、ヒト患者における腫瘍を治療する治療薬として用いることができる。
【0196】
更に、本発明のミクロRNAの発現を増大する化合物は、本発明の方法においても有用である。miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の発現を増大する新規な候補化合物を同定するスクリーニング試験を行うために多くの方法を利用するできる。本発明は、上記のスクリーニング試験によって同定される新規な化合物も包含する。随意に、このような化合物は、腫瘍の治療のための化合物の有効性を確認するために、1つ又はそれ以上の適切な動物モデルにおいて特徴付けられる。望ましく、動物モデルにおける特徴付けは、毒性、副作用、又はこのような化合物による治療の作用メカニズムを確認するためにも用いることができる。更に、上記のスクリーニング試験の何れかで同定された新規な化合物を、対象における腫瘍を治療するために用いることができる。このような化合物は単独で又は当該技術分野で公知の他の従来の治療方法と組み合わせて有用である。
【0197】
(試験化合物及び抽出物)
一般に、ミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現又は生物活性を増大することによって腫瘍の生育又は増殖を阻害することができる化合物は、天然生成物又は合成(又は半合成)抽出物のどちらかの大きなライブラリー、又は化学ライブラリーから、当該技術分野で公知の方法に従って、同定される。これに限定されないが、糖、脂質、ペプチド、及び核酸由来の化合物を包含する、多数の化学化合物のランダム又は直接合成(例えば、半合成又は全合成)を行うために多数の方法を利用することができる。合成化合物ライブラリ−が Brandon Associates (Merrimack, N. H.) 及びAldrich Chemical (Milwaukee, Wis.) から市販されている。また、細菌、真菌、植物、及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーは、Biotics (Sussex, UK), Xenova (Slough, UK), Harbor Branch Oceangraphics Institute (Ft. Pierce, Fla) 及び PharmaMar, U.S.A. (Cambridge Mass.) を含む、多くの供給元から市販されている。
【0198】
一態様では、本発明の試験化合物は、当該技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリーの何れかに存在していて、このライブラリーは、生物ライブラリー;ペプチドライブラリー(ペプチドの機能性を有しているが、酵素分解に対して耐性でありそれでもなお生物活性を保持している新規で非ペプチド骨格を有している、分子のライブラリー;例えば、Zuckermann, R.N. et al., J. Med. Chem. 37:2678-85, 1994 を参照されたい);空間的にアドレス可能な平行固相又は溶液相ライブラリー(spatially addressable parallel solid phase or solution phase libraries);デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー方法;「一ビーズ一化合物(one-bead one compound)」ライブラリー方法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法を包含する。生物ライブラリー及びペプトイドライブラリー方法はペプチドライブラリーに限定されている一方、その他の4つの方法は、化合物のペプチド、非ペプチドのオリゴマー又は小分子ライブラリーに適用可能である(Lam, Anticancer Drug Des. 12:145, 1997)。
【0199】
分子ライブラリーの合成方法の例は当該技術分野、例えば、DeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909, 1993; Erb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422, 1994; Zuckermann et al., J. Med. Chem. 37:2678, 1994; Cho et al., Science 261:1303, 1993; Carrell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059, 1994; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061, 1994; and Gallop et al., J. Med. Chem. 37:1233, 1994 中に見出すことができる。
【0200】
化合物のライブラリーは溶液中(例えば、Houghtem, Biotechniques 13:412-421, 1992)、又はビーズ(Lam, Nature 354:82-84, 1991)、チップ(Fodor, Nature 364:555-556, 1993)、細菌(Lander, 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner, 米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869, 1992)上、又はファージ上(Scott and Smith, Science 249:386-390, 1990; Devlin, Science 249:404-406, 1990; Cwirla et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382, 1990; Felici, J. Mol. Biol. 222:301-310, 1991; Lander supra)に存在してもよい。
【0201】
更に、薬品の発見及び開発分野の当業者は、デレプリケーション(dereplication;分類学的デレプリケーション、生物学的デレプリケーション、及び化学的デレプリケーション、又はこれらの組合わせの何れか)又は抗腫瘍活性が既知の物質の複製物又は複写物の消去を可能なときに利用すべきである、ということを容易に理解できる。
【0202】
本発明の一態様では、異なった化学物質のmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の活性を増強する能力についてスクリーニングするためにハイスループット手段を用いることができる。
【0203】
薬品の発見及び開発分野の当業者は、化合物又は試験抽出物の正確な起源は本発明のスクリーニング方法にとっては重大ではないということを理解できるであろう。従って、実質的に多数の化学抽出物又は化合物を本明細書に記載の方法を用いてスクリーニングすることができる。このような抽出物又は化合物の例は、これに限定されないが、植物、カビ、原核生物、又は動物由来の抽出物、培養液、及び合成化合物を、更に既存化合物の改変体を包含する。
【0204】
粗抽出物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1、変異体、又はそれらの断片の生物活性を増強することが見出されたときは、観察された効果に関与する化学成分を単離するために、陽性をもたらす抽出物の更なる分画が必要である。従って、抽出、分画、及び精製工程のゴールは、抗腫瘍活性を有する粗抽出物内にある化学物質の注意深い特徴付け及び同定である。このような異種抽出物の分画及び精製の方法は当該技術分野で公知である。所望により、腫瘍の治療のために有用であることが示された化合物を当該技術分野で公知の方法によって化学的に改変する。
【0205】
本発明の実施は、別に指示しない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生物化学及び免疫学の従来の技術を利用し、これらは十分に当業者の知識の範囲内である。このような技術は、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Animal Cell Culture" (Freshney, 1987); "Methods in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (Ausbel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis, 1994), "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 1991) のような、文献中に十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの生成に適用でき、従って、それ自体が本発明を形成し実施するものと考えられる。特定の態様のために特に有用な技術は以下の項で説明されるだろう。
【0206】
以下の実施例は、本発明の試験、スクリーニング、及び治療の方法を如何に作成し使用するかを完全なる開示及び記述によって当業者に提供するために示されるもので、発明者がその発明と見なしているものの範囲を限定するようには意図されていない。
【実施例】
【0207】
実施例1:Mycで抑制されたmiRNAの同定
スポットしたオリゴヌクレオチドアレイを、Mycの直接転写標的としてmir−17クラスターを同定するために用いた(O'Donnel et al., Nature 435, 839-43 (2005))。MycがさらなるmiRNAを調節するか否かを確認するために、313個のヒトmiRNA及び233個のマウスmiRNAの発現を試験できるプローブの拡張セットを用いて、カスタムマイクロアレイを作成した。Mycが介在する腫瘍形成の2つのモデルを分析のために選択した。Mycのテトラサイクリン(tet)抑制性対立遺伝子を包含している、エプスタインバールウィルス不死化ヒトB細胞である、P493‐6細胞(Pajic et al., Int J Cancer 87, 787-93 (2000))を用いた。これらの細胞は免疫不全マウスにおいて発癌性であり、そしてヒトB細胞リンパ腫のモデルを示す(Gao et al., Cancer Cell 12, 230-8 (2007))。miRNAの発現プロファイルを、高Myc(−tet)及び低Myc(+tet)状態で試験した。Myc誘発B細胞リンパ腫のネズミモデルにおいてもmiRNA発現を試験した。この系において、p53−/−マウス由来の骨髄をMyc−エストロゲン受容体融合蛋白質(MycER)を生産するレトロウィルスで感染させた。感染細胞は、MycER融合蛋白質を活性化する、4−ヒドロキシタモキシフェン(4−OHT)の存在下でポリクローナルB細胞リンパ腫を形成する(Yu et al., Cancer Research 65,5454-5461 (2005), Yu et al., Oncogene 21, 1922-7 (2002))。高Myc活性(連続的に4−OHTで処置した動物)及び低Myc活性(腫瘍形成後に4−OHTを除去した動物)を有する皮下腫瘍由来のRNAを分析した。両モデルについての完全発現プロファイリングデータを表1及び2(以下)に提示する。
【0208】
【表1−1】
【0209】
【表1−2】
【0210】
【表2−1】
【0211】
【表2−2】
【0212】
【表2−3】
【0213】
【表2−4】
【0214】
【表2−5】
【0215】
【表2−6】
【0216】
【表2−7】
【0217】
【表2−8】
【0218】
ヒト及びマウスの両モデルにおいて高Myc状態で2倍以上の上方調節又は下方調節を示した全てのmiRNAを更なる分析のために選択した。両モデルで1.5倍以上の発現の変化を示したmiRNAも、a)このmiRNA又は関連ファミリーメンバーが癌の中で消滅するか又は突然変異することが知られているか、又はb)関連ファミリーメンバーが両モデルにおいて2倍以上変化していれば選択した。
【0219】
明らかに、両モデル系におけるMyc誘発による顕著な影響は、miRNA発現の広範な抑制であった。本検討に含める基準を満たす上方調節されたmiRNAは殆ど無かった。先の知見と一致して、mir−17クラスター由来のmiRNAは、両モデルにおけるMycによって2倍以上上方調節された。miR−7は、マイクロアレイ実験で同定された、唯一の更に連続して上方調節されたmiRNAであった。しかしながら、このmiRNAはノーザンブロッティングで検出されなかったので、更に検討しなかった。潜在的に21の異なった転写ユニットを示す、少なくとも13の下方調節されたmiRNAが本検討に含めるための基準を満たしていた(表3)。
【0220】
【表3】
【0221】
これらの下方調節されたmiRNAのうち、miR−15a、miR−22、miR−26a、 miR−29c、miR−34a、miR−195、及びlet−7は、癌の中で消滅することが知られているゲノム領域中で突然変異又は定住する(Calin et al., N Engl J Med 353, 1793-801 (2005), Calin et al., Proc Natl Acad Sci USA, 101, 2999-3004 (2004))。
【0222】
マイクロアレイ分析で検出された発現変化を裏付けるために、高Myc発現(−tet)及び低Myc発現(+tet)のP493−6細胞中でのmiRNA発現を試験するためにノーザンブロッティングを用いた(図1A−1C)。miRNAファミリーの複数のメンバーが発現変化を示した(miR−26a/b、miR−29a/c、miR30e/c、及びlet−7ファミリーのメンバー)場合は、クロスハイブリダイゼーションがマイクロアレイの信号に分配された可能性を考慮した。僅か2つのヌクレオチドが異なるmiR−29ファミリーのメンバーを特異的に試験できるノーザンブロッティング条件は既に確立されていた(Hwang, Science 315, 97-100 (2007))。これらの条件を、ヌクレオチドが3つ異なるmiR−26a及びmiR−26b、並びにより複雑なmiR−30及びlet−7ファミリーを除く全てのmiRNAの発現を試験するために用いた(図1A)。全ての場合において、ノーザンブロッティングで得られた結果はマイクロアレイで得られたものとよく一致していた。下方調節されたmiRNAとクラスターになっている全ての追加miRNAをノーザンブロッティング検討に加えた(miR−16、miR−29b、及びmiR−497)。殆どの場合において、クラスターになっているmiRNAは、miR−195とクラスターになって、マイクロアレイ及びノーザンで検出されなかったmiR−497を除いて、同様に挙動した(例えば、miR−29a/b、miR−29b/c、miR−15a/miR−16)。
【0223】
より大きいmiR−30及びlet−7ファミリーについて、各ファミリーメンバーについての特異的ハイブリダイゼーション条件を確立するために追加の実験を実施した。let−7ファミリーはかなり複雑なので、miRNAのこの群の分析はこの報告書の後に別に記載する。miR−30ファミリーは、3つのクラスターにまとまっている5つの別々の成熟miRNA配列(miR−30a−e)から成っている(図1B)。特異的ノーザンブロッティング条件を、それぞれのmiR−30ファミリーメンバーと配列同一性を有する合成RNAオリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションプローブによって確立した(図1C)。内因性miR−30aは検出不能であって、miR−30a/miR−30c−2クラスターはこの細胞株では発現されないことを示唆している。別の2つのmiR−30クラスターは発現されて、高Myc状態で下方調節された。
【0224】
MycER腫瘍において幾つかのmiRNAの発現を更に試験して、期待した抑制も観察された(図1D)。次に、Mycの過剰発現と関連するヒト腫瘍細胞が想定されるように抑制されたmiRNAの低いレベルを示すか否かを確認した。既に刊行されているmiRNAの発現プロファイリングのデータセット(He et al., Nature 435, 828-33 (2005))の分析では、殆どのMycで抑制されたmiRNAは、非形質転換B細胞においてよりも、バーキットリンパ腫細胞においてより低いレベルで発現されたことを明らかにした(図2A)。更に、バーキットリンパ腫細胞株中で短いヘアピンRNA(shRNA)を用いるMyc発現の阻害が、大きくはないが一貫したこれらのmiRNAの上方調節をもたらした(図2B、C)。
【0225】
実施例2:Mycのpri−miRNAのプロモーターとの結合
Mycは、それが抑制する遺伝子のコアプロモーターと結合するということが過去の研究で明らかにされている(Kleine-Kohlbrecher et al., Curr Top Microbiol Immunol 302,51-62 (2006))。P493−6細胞中の下方調節されたmiRNAのプロモーターにMycが存在するかを試験するためにクロマチン免疫沈降(ChIP)を用いた。既に規定された転写開始部位を伴うpri−miRNA内に含まれているmiRNAを最初に分析した。8miRNA(miR−15a/16−1、miR−22、miR30e/30c−1、miR−26a−1、miR−26a−2、及びmiR−26b)をコードする、6つのそのような転写物が、本明細書で報告された発現検討に基づくMycの推定陰性標的である(図3A)。注目すべきことに、Myc結合部位のゲノムレベルの解析では、miR−15a/16−1の1次転写物である、DLEU2のプロモータとのMycの結合を既に明らかにしている(Mao et al., Curr Biol 13, 882-6 (2003))。miRNAの発現は試験しなかったが、高Myc状態でDLEU2の発現が減少することが見出された。Myc結合を試験するために、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アンプリコンを、これらのmiRNAの転写開始部位の近くの3つの250塩基対(bp)ウィンドー内に、すなわち、転写開始部位のすぐ上流にアンプリコンSを、アンプリコンSの500bp上流に位置してアンプリコンUを、そしてアンプリコンSの500bp下流に位置してアンプリコンDを設計した(図3B)。miR−26a−1及びmiR−26a−2に対するプロモーターのGC含量が高いので、これらのmiRNAについてはこれらのアンプリコンのサブセットのみが設計できた。陽性対照として、Mycの有効な下方調節された標的である、CDKN1A(p21WAFI/CIPI)のプロモーター領域内にアンプリコンを設計した(Seoane et al., Nature 419, 729-34 (2002))。関連のない抗体で生じたChIP試料と比べると、MycChIP試料中でCDKN1Aプロモーターアンプリコンの50倍の富化(50−フォールドエンリッチメント)が観察された(図3C)。従って、50−フォールドエンリッチメントを以下の全ての検討での陽性Myc結合の閾値として設定した。この閾値以上の信号が、試験した6つのpri−miRNAのそれぞれの転写開始部位付近で得られ、Mycがこれらのプロモーターと結合する強力な証拠をもたらした(図3C)。Mycの発現がtetで処理して阻害されたときに、これらの信号は劇的に減少して、これらの知見の特異性を明らかにしている。
【0226】
実施例4:Mycの、miRNAの保存領域の上流との結合
let−7miRNAクラスターのサブセット(これは下に詳細に記述する)を除いて、残りの下方調節されたmiRNAは転写開始部位がマッピングされていないので、関連するMyc結合部位の同定には、異なった戦略が必要である。図3Aに示したpri−miRNAが説明するように、miRNAプロモーターは、miRNAの数キロ塩基(kb)〜>100kb上流に位置できる。一般によく保存されているmiRNAは、プロモーターも保存される傾向にあるだろうという仮定を導き出す。従って、miRNAの保存候補領域の上流を、そこでMyc結合を評価するために、選択した。この戦略の最初の試験として、miR−29b−2/29cクラスターを試験した。Vistaソフトウェアパッケージ (http://grnome. lbl. gov./vista/index.shtml) を用いて、これらmiRNAの約20kb上流にある保存の正確な領域を確認した(図4A、アンプリコンC)。P493−6細胞におけるChIP分析は、)Mycの特異的なこの保存領域との有意な結合を明らかにした(図4B)。Mycは非保存領域の近くには結合せず(図4A、アンプリコンN)、この知見の特異性を明らかにした。同様な戦略を、残りの下方調節されたmiRNAの上流でのMycの結合を評価するために用いた。miR−29b−1/29aクラスター、miR−30d/30bクラスター、miR−34a及びmiR‐146aの保存領域の上流とのMyc結合の証拠が得られた(図4B及び図5−8)。miR−195/497クラスターの上流で顕著なMyc結合も観察された。しかしながら、この結合部位がBCL6B転写の転写開始部位にも近いので、Myc結合がmiRNAではなく、この転写の調節をもたらすという可能性を排除することはできない(図9A及び9B)。いくつかのアンプリコンを試験したにもかかわらず、MycがmiR−150の近辺で結合するという証拠は得られなかった(図10A及び10B)。更なる陰性対照として、P493−6細胞中で発現されなかったmiR−30a/30c−2クラスターの6つの保存部位の上流においてMyc結合を試験した(図1C)。予想通りに、これらのどのアンプリコンは陽性ChIP信号を生じなかった(図11A及び図11B)。
【0227】
Mycが、6つの試験した構造が公知のmiRNA転写ユニット(図3)のうちの6つの転写開始部位の近くで結合すると仮定すると、miR−29b−1/29a、miR−29b−2/29c、miR−30d/30b、miR−34a、miR−146a、及び恐らくmiR−195/497の上流に確認された保存Myc結合部位はmiRNAプロモーター内にあると思われる。これを直接試験するために、cDNA末端の迅速増幅(RACE)を行って、これらpri−miRNAのサブセットを完全に特性化した。これら転写物のうちの3つについては、スプライスされた発現配列標識(ESTs)がRACEの出発点として用いるために入手可能である。更なるmiRNAである、miR−34aについて、1次転写物の完全構造が最近報告された(Chang et al., Mol Cell 26, 745-52 (2007))。これらのケースのそれぞれで、実験的に同定されたpri−miRNAの5’末端は、最大Myc結合を示す保存部位と明確に一致した(図4C)。注目すべきことに、最近公表された別の研究が、miR−146aに対する同一の転写開始部位を定義している(Taganov et al., Proc Natl Acad Sci USA 103,12481-6 (2006))。要約すると、13の構造が公知及び未知の両方の抑制されたmiRNA転写ユニットのうち、12の上流のMycによる結合部位が確認された。これらのケースのうち10において、Myc結合部位がpri−miRNA5’末端と明確に一致することが確認された。これらの知見は、高Myc状態において観察されるmiRNAの抑制の大半が、miRNAプロモーターへのMyc結合の直接の結果であろうことを示唆している。
【0228】
実施例5:let−7miRNAクラスターの調整制御の解析
高Myc状態で下方調節されたmiRNAは、8つの異なった転写ユニットから産生した9つの高度に関連する成熟miRNA配列を含むlet−7ファミリーのメンバーを含有していた(図12A)。let−7miRNAは、肺癌中で下方調節されることが知られていて、証拠によりこれらのmiRNAが腫瘍抑制活性を保有していることが示唆されている(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2005), Takmizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6, (2004), Yanaihara, et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))。ほぼ全てのヒトlet−7miRNAに特異的なハイブリダイゼーション条件は、ノーザンプローブを、それぞれのlet−7ファミリーメンバーと配列が同一の合成RNAオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることによって確立された(図12B)。特異的ハイブリダイゼーション条件は、let−7miRNAのサブセットとクラスターになっているmiR−99/100ファミリーのメンバーに対しても確認された(図12C)。3つのlet−7クラスターもmiR−125ファミリーのメンバーを包含し、これらは標準ノーザンブロット条件を用いて識別すると十分に異なっている(miR−125aとmir−125bの間で7つのヌクレオチドが異なっている)。P493−6細胞における、let−7a、let−7d、let−7g、miR−99a、及びmiR−125bの発現を検出して、全てが高Myc状態で下方調節された(図12B−12D)。試験した残りのmiRNAは検出されなかった。これらのデータはこの細胞株における、let−7a−1/let7−f−1/let7dクラスター、miR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスター、及びlet−7gの発現とのみよく一致している。
【0229】
これらのmiRNA転写ユニットのプロモーター又は保存部位の上流とのMyc結合を評価するためにChIPを再び用いた。未だ特徴付けされていないpri−miRNA内に含まれているlet−7a/let−7f‐1/let−7dクラスターの保存部位上流、及びlet−7g pri−miRNAの転写開始部位へのMyc結合の強力な証拠が得られた(図13)。50−フォールドエンリッチメント閾値以上の信号は、miR−99a/let−7c/miR−125b−2 pri−miRNAに対する2つの代替的転写開始部位のどちらにおいても得られず、この転写が直接のMyc標的ではないことを示唆した。
【0230】
実施例6:Mycで抑制されたmiRNAの発現は、インビボでリンパ腫細胞の生育を阻害する。
特異的なmiRNAの下方調節がMycが介在する腫瘍形成に寄与するか否かを確認するために、既に報告されているB細胞リンパ腫形成のインビボ選択モデルを用いた(Yu et al., Ann N Y Acad Sci 1059, 145-59 (2005))。個々のヒトmiRNA又はmiRNAクラスターをネズミ幹細胞ウィルス(MSCV−PIG)の誘導体中でクローン化してレトロウィルス発現ベクターを最初に作成した。これは緑色蛍光タンパク質(GFP)も発現する(図14A)(Hemann et al., Nat Genet 33, 396-400 (2003))。10個の異なったmiRNA発現構築物を作成した(miR−15a/16−1、miR−22、miR−26a−2、miR−29b−1/29a、miR−30b、miR−34a、miR−146a、miR−150、miR−195/497、及びlet−7a−1/let−7f−1)。このセットは、高Myc状態で下方調節された全ての固有のmiRNA、及びそれぞれの下方修正されたmiRNAファミリーの少なくとも1つのメンバーを含有していた。それぞれの成熟miRNA配列がヒト及びマウスの間で同一である。レトロウィルス構築物を、p53−/−マウス由来の骨髄中でMycを発現して作成したBリンパ腫細胞株である、Myc3細胞を感染するために用いた(Yu et al., Blood 101, 1950-5 (2003))。他の腫瘍遺伝子による形質転換の設定において、これらのmiRNA発現の影響を確認するために、v−Abl腫瘍遺伝子で形質変換されたpro−B細胞である、38B9細胞(Alt et al., Cell 27, 381-390 (1981))を、並列実験で用いた。レトロウィルスの感染条件を、約50%GFP陽性の受容細胞が達成できるように調節して、これらの混合培養物をSCIDマウスに皮下注射した。約3週間後に、得られた腫瘍を除去して残存しているGFP陽性細胞の割合を測定した。腫瘍形成を阻害するmiRNAの発現は、レトロウィルスに感染した細胞を選択的に阻害して、それによって腫瘍中のGFP陽性細胞の分画の減少をもたらすであろう。
【0231】
レトロウィルスの発現が生理的に的確なレベルの成熟miRNAを産生するか否かを評価するために、レトロウィルスで感染したMyc3及び38B9細胞 におけるmiRNAの発現レベルを、非形質転換pro−B細胞株YS−PB11における内因性発現レベルと比較した(Lu et al., J Immunol 161, 1284-91 (1998))(図15)。YS−PB11においては発現しなかった、miR−150の発現レベルをMycOFF腫瘍と比較した。ほぼ全ての場合において、レトロウィルスのmiRNA発現のレベルは、生理的な環境で0.6〜6倍の範囲で観察された。高レベルの発現は、両細胞株においてmiR−22で、及び38B9細胞においてmiR−195で得られたので、これらの環境においてこれらのウィルスで観察された結果は、慎重に解釈すべきである。
【0232】
let−7a−1/let−7f−1、miR−29b−1/29a、及びmiR−146aによる安定に感染された細胞集団は確立することが不可能であった。これはこれらのウィルスの非効率的なパッケージングの結果である可能性もあるが、このことはインビトロでの細胞生育の間にこれらのmiRNAが強力な陰性選択を強要したことを示唆しているかもしれない。残りのウィルスについては、GFP−陽性によって評価すると、受容細胞の感染が30〜70%達成された。空の、miR−18aの又はmiR−30bのウィルスで感染したMyc3及び38B9細胞集団においてGFP−陽性細胞の分画が、腫瘍形成の前及び後に一定に残存した(図14B)。その一方、miR−34a、miR−150、miR195/497、及びmiR15a/16−1ウィルスで感染したMyyc3又は38B9細胞は腫瘍から殆ど除去され、Myc及びv−Ablの両方が介在する形質転換の環境において、これらのmiRNAは抗腫瘍形成特性を有していることを示唆した。miR−26aはMyc形質転換細胞に特異的に腫瘍形成を阻害したのに対して、miR−22の発現はv−Abl形質転換細胞における腫瘍形成のみに作用した。重要なことに、miRNA発現の強さと観察された表現型との間の相関性は見られず、これらの結果がレトロウィルス過剰発現の産物を示す可能性が低いことを示唆している。例えば、両細胞株において腫瘍形成に対する最も強い陰性効果の1つを有していた、miR−15a/16−1は、最も低いレベルのレトロウィルス発現を示した(図15A及び15B)。これらのデータは、Mycが抑制する幾つかのmiRNAが、Mycが介在する形質転換の環境、更には他の腫瘍遺伝子による形質転換の状況の両方において、腫瘍抑制活性を有していることを明らかにしている。
【0233】
抗腫瘍形成性miRNAの下方調節が、Myc活性化後の増強された細胞増殖と相関があるか否かを確認するために、P493−6細胞におけるmiRNAの動態を試験した(図16)。これらの細胞はtetの除去後48時間まで増殖を開始せず、そしてMyc導入後少なくとも72時間まで最大生育率に達しない(O'Donnell et al., Mol Cell Biol 26, 2373-86 (2006))。Mycの導入による増殖に先行してそれらを抑制するための要件に一致して、これらの時点までmiRNAの有意な下方調節が観察された。
【0234】
Mycの病的に活性化された発現は、ヒトの癌における最も一般的な発癌事象の1つである。本検討において、Myc活性化の重要な影響は、腫瘍細胞のmiRNA発現パターンの広範な再プログラミングであった。pro−腫瘍形成性mir−17クラスターはMycによって直接上方調節されることが既に示されているが(O'Donnell et al., Nature 435, 839-43 (2005))、本明細書で報告される新しい知見は、miRNA発現に対するMycの顕著な影響は広範囲に及ぶ下方調節であるということを予想外に明らかにする。MycによるmiRNA発現の抑制は、miRNAのレベルが腫瘍において全体的に減少するという観察と一致している。miRNA生合成の阻害が、癌における特異的なmiRNAの抑制に寄与することが明らかにされた。これらの新しい知見は、直接的な転写抑制もこの現象に寄与することを示唆している。
【0235】
miRNA抑制がMYcが介在する腫瘍形成に有利に働くという結論を、幾つかの証拠が支持する。第1に、Mycによって下方調節された幾つかのmiRNAが、癌中で消失することが知られている領域内で、突然変異するか又はそこに位置して、これらが腫瘍抑制遺伝子として機能することを示唆している(Calin et al., N Engl J Med 353, 1793-801 (2005); Calin et al., Proc Natl Acad Sci USA 101, 2999-3004 (2004))。miR−15a及びmiR−16−1は慢性リンパ性白血病患者の3分の2以上において消失するか又は下方調節されて、抗−アポトーシス遺伝子BCL2を標的にする。let−7miRNAファミリーのメンバーはRAS腫瘍遺伝子を標的にして、肺癌において高い頻度で下方調節される(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2007), Takamizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6 (2004), Yanaihara et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))。最近の証拠は、miR−34aを、強力な抗増殖及びpro−アポトーシス活性によるp53腫瘍抑制ネットワークの重大な構成要素としてみなしている。MycによるこれらのmiRNAの抑制は、癌細胞においてそれらの減少した機能に寄与する重要なメカニズムである可能性が高い。さらに、本明細書で示されているように、Mycに抑制された幾つかのmiRNAはB細胞リンパ腫のマウスモデルにおいて劇的な抗腫瘍形成活性を有している。miR−26a、miR−150、及びmiR−195/497については、これが、これらのmiRNAが腫瘍抑制特性を有していることを示す最初に報告された実験データであることを示している。総合すれば、Mycが介在する腫瘍形成におけるmiRNA発現を制御する重要な役割をこの入手可能なデータが支持している。更に、小さいmiRNAの動物への全身送達における最近の成功を考慮すると、これらの結果は、Mycに抑制されたmiRNAの送達が新しい癌の治療戦略を示すという可能性を高めている。実際に、これらの知見は、たった1つの重要なmiRNAの再発現で、腫瘍形成を阻害するのに十分であることを示唆している。
【0236】
本検討は、癌における関連miRNAの調節制御、さらに別の生物学的過程の注意深い詳細な分析の重要性も強調している。miRNAは所定の種のゲノムの至る所に分布している多数の高度に近縁又は同一の複写物に高い頻度で存在している。この構成は、ヒトにおける8つの個別転写ユニットから産生されたlet−7ファミリーの9つの異なったmiRNAに裏付けられている。先の研究が癌におけるlet−7miRNAの下方調節を観察しているが(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2005), Takamizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6 (2004), Yanaihara et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))、個々のlet−7転写ユニットの発現、及びそれ故に所定の腫瘍におけるlet−7miRNAの起源は殆ど試験されていない。本検討において、これらのmiRNAの複雑な調節制御の詳細な分析の実現可能性が明らかにされた。関連するmiRNAは同一の機能を常に有していない(Hwang Science 315, 97-100 (2007))ので、所定の腫瘍型において調節不全の特異的なmiRNAファミリーメンバーの特徴付けが、癌発病機序におけるそれらの役割を解明するために必要な要件である。
【0237】
最後に、これらのデータは、多数の癌のサブタイプで観察されているmiRNA発現のほぼ普遍的な調節不全の重大性の洞察をもたらす。我々の結果は、これらの異常なmiRNA発現パターンは、悪性形質転換を伴う細胞同一性の損失の間接的な影響としてのみでは説明できないことを示唆している。むしろ、発癌事象は、腫瘍形成に有利に働くmiRNAトランスクリプトームを直接再プログラムすると思われる。
【0238】
本明細書で報告されている結果は、以下の材料及び方法を用いて得た。
細胞培養。P493−6細胞(Pajic et al., (2000). "Cell cycle activation by c-myc in a burkitt lymphoma model cell line", International Journal of Cancer 87(6):787-93を参照されたい)を、10%のウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリン、及びストレプトマイシンを補完したRPMI 1640培地中で培養した。
Mycの発現を抑制するために、細胞を0.1μg/mlのテトラサイクリン(Sigma)の存在下で72時間生育した。高及び低Myc状態のネズミリンパ腫細胞を記載(Yu et al., Cancer Research 65, 5454-5461 (2005), Yu et al., Oncogene 21, 1922-7 (2002))のようにして得た。
【0239】
miRNAのマクロアレイ分析
313のヒトmiRNA又は233のマウスmiRNAに相補的なオリゴヌクレオチドプローブを含有しているカスタムマイクロアレイは Combimatrix によって合成された。全miRNA用に2つのミスマッチを含有しているプローブが含まれていた。アレイハイブリダイゼーション及びデータ分析を記載(Chang et al., Mol Cell 26, 745-52 (2007))のようにして実施した。バックグラウンドの2倍未満のシグナルをその後の分析から除外した(表1及び2においてゼロと表す)。ネズミB細胞リンパ腫のmiRNAプロファイリングについては、高Mycレベルの2つの腫瘍及び低Mycレベルの2つの腫瘍を分析した。4分の3の腫瘍に存在していないか又はそれぞれの高Myc及び低Myc腫瘍のうちの1つに存在していないmiRNAはその後の分析から除いた。フォールド変化値を高Myc及び低Myc腫瘍の間で全4対比較について計算して、平均値を求めて平均フォールド変化値を得た。
【0240】
ノーザンブロット分析
UltrahybOligo (Ambion) 及び成熟miRNA配列に完全に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて、miR−30、miR−99/100、及びlet−7ファミリーを除く、全てのmiRNAについてノーザブロッティングを記載(Hwang Science 315, 97-100 (2007))のようにして実施した。関連するmiRNAのための特異的ハイブリダイゼーション条件を確立するために、1μlのRNAオリゴヌクレオチド(10nM)をポリアクリルアミドゲル上で分離して、上記のようにして探査した。ブロットを42℃でて2XのSSC、0.5%のSDSで1回洗浄して、そし2回目はより高い温度で洗浄して10%未満のクロスハイブリダイゼーションを観察した。それぞれのプローブに対する特異的な洗浄温度を表4(以下)に挙げてある。
【0241】
【表4−1】
【0242】
【表4−2】
【0243】
【表4−3】
【0244】
バーキットリンパ腫細胞におけるMycノックダウン
293Tパッケージング細胞を抗−Myc shRNA又は対照のshRNA(Sigma)を発現するpLKO.1−Puroレンチウィルスでトランスフェクトした。EW36細胞をレンチウィルスの上澄液で3回感染させた。最初の感染の48時間後に、全RNA及びタンパク質を採取する前に48時間ピューロマイシン中で細胞を選択した。
【0245】
クロマチン免疫沈降(ChIP)及び定量的リアルタイムPCR
ChIPを既述(O'Donnell et al., Nature 435, 839-43 (2005))のようにして実施した。ABI 7900 Sequence Detection System を SYBR Green PCR core reagent kit (Applied Biosystems) と共に用いてリアルタイムPCRを実施した。ChIP試料を増幅するために用いたプライマーの配列を表5(以下)に示す。表5では、順方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号69〜125として、及び逆方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号126〜182として開示する。
【0246】
【表5−1】
【0247】
【表5−2】
【0248】
miRNAの1次転写物のRACEマッピング
miR−29b−2/29c、miR−29b−1/29a、及びmiR−146a一次転写物を特徴付けるために GeneRacer kit (Invitrogen)を用いた。これらの試験で用いる全RNAを単離する前に、ドローシャ(Drosha) の発現を、既述の短鎖干渉RNA(siRNA)(Hwang Science 315, 97-100 (2007))をtetで処理したP493−6細胞中に電気穿孔して阻害した。電気穿孔は、記載(O'Donnell et al., Mol Cell Biol 26, 2373-86 (2006))のようにして実施した。プライマー配列を以下の表6に示した。表6では、順方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号183〜186、183〜184、191〜192、183〜184、195〜196及び199〜208として、並びに逆方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号187〜190、193〜194、189〜190、197〜198、189〜190及び209〜218として開示する。
【0249】
【表6−1】
【0250】
【表6−2】
【0251】
【表6−3】
【0252】
【表6−4】
【0253】
腫瘍形成試験
miRNA及び少なくとも100bpのフランキング配列をゲノムDNAから増幅してレトロウィルスベクターMSCV−PIG41のXhoI部位内にクローン化した。プライマー配列を表6に示してある。直接シーケンシングによって、正確なベクター構造を確認した。Myc3及び38B9細胞のレトロウィルス感染、フローサイトメリー、及び腫瘍形成を記載(Yu et al., Ann NY Acad Sci 1059, 145-59 (2005))のようにして実施した。挿入部分の配列は以下に示す。
【0254】
【0255】
【0256】
受入れ番号
miRNA1次転写物の配列は、以下の受入れ番号でGeneBank データベースに寄託してある:miR−29b−1/29aクラスター、EU154353;miR−29b−2/29c、EU154351、Eu154352;miR−146a、EU147785(それぞれ図17A−E)。マイクロアレイのデータは、受入れ番号GSE9129でGene Expression Omnibus(GEO) データベースに寄託してある。
【0257】
その他の態様
上記の説明から、多種の用途及び条件に適用するために、本明細書に記載の発明に変更及び修正を行うことができるとういうことは明らかであろう。このような態様も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0258】
本明細書に記載の可変用語の定義の何れかにおける構成要素のリストの列挙は、単一の構成要素又は列挙されている構成要素の組合わせ(又はサブコンビネション)としての可変用語の定義を包含している。本明細書の態様の列挙は、何れかの単独の態様又は別の何れかの態様若しくはそれらの一部との組合わせとしての態様を包含している。
【0259】
本明細書で言及されている全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が参照によって組み込まれることが明確に個々に指摘されているのと同じような程度に参照として本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年1月17日付け出願の米国仮特許出願第60/880,919号の優先権を主張する。この全内容を参照して本明細書に組み入れる。
【0002】
(連邦政府の援助でなされた発明に対する権利の主張)
本研究は、国立衛生研究所(NIH)の以下の助成金で援助されている。助成金番号:R01CA120185、R01CA122334、及びR01CA102709。政府は本発明においてある特定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
Myc発癌性転写因子の調節不全の発現又は機能は、ヒトの悪性腫瘍中にしばしば生じる。標的遺伝子の膨張性ネットワークの正及び負の制御を介して、Mycは、増殖を促進するように、そしてある設定では細胞死をもたらすように、細胞を広く作り直す。Mycは遺伝子発現を活性化及び抑制するために異なったメカニズムを用いる。転写を誘発するときMycは、その結合対Maxと2量体になって、標的遺伝子の直接上流にあるか又は第1イントロン内にあるゲノムDNAと結合する。転写を抑制するときは、MycはDNAと直接接触しないようである。むしろ、Mycは、タンパク−タンパク相互作用によってコアプロモータにされてそこで転写の正制御の活性に拮抗する。例えば、Mycは転写因子Myc−相互作用亜鉛フィンガータンパク質1(Miz1)と結合してその活性を阻害することによって、Miz1のCDKN1A(p21WAF1/CIP1)及びCDKN2B(p15INK4b)細胞周期阻害遺伝子の活性化転写を防止する。その他のMyc標的の抑制は、同様に、Sp1、Smad2、及びNF−Yを含むさらなるタンパク質との相互作用及びその活性に拮抗するMycの能力を介している。
【0004】
ミクロRNA(miRNA)は、Myc調節転写産物の新しい種類として最近現れてきた〜18−24ヌクレオチドRNA分子の種々のファミリーである。miRNAは部分的相補標的メッセンジャーRNA(mRNA)の安定性及び翻訳効率を調節する。miRNAは、制限された、ポリアデニル化された、そしてしばしばスプライスされた長い一次転写産物(pri−micro RNA)としてRNAポリメラーゼII(polII)によって最初に転写される。成熟ミクロRNA配列は、折り畳んで〜60−80ヌクレオチドのヘアピン構造になる領域内のpri−micro RNAのイントロン又はエクソンに位置している。大部分のpri−micro RNAが非コード転写産物である間、ミクロRNAのサブセットはタンパク質コード遺伝子のイントロン内に位置している。ミクロRNAの成熟には、ミクロRNAヘアピンがpri−miRNAから切り取られ、ヘアピンの末端ループが除去されて、得られる二本鎖のうちの一方の螺旋構造を選択的にRNA−誘発サイレンシングコンプレックス(RISC)に取り込むという一連のエンドヌクレアーゼ反応を必要とする。このミクロRNAプログラム化RISCが、標的mRNAの調節を実施するエフェクターコンプレックスである。
【0005】
多くの兆候が、癌細胞におけるmiRNA発現のほぼ随所に見られる調節不全を立証している。これらのmiRNAの発現変化は癌の分類及び予後にとって非常に有益である。さらに、特異的なmiRNAの変化した発現が腫瘍形成を促進することが明らかにされている。例えば、mir−17クラスターとして知られている、同時に転写される6つのmiRNA群がリンパ腫及び固形腫瘍中で増幅される。これらのmiRNAは腫瘍中でしばしば過剰発現し、細胞株において増殖を促進して、Myc誘発結腸腫瘍及びリンパ腫のマウスモデルにおける血管形成及び腫瘍形成を加速する。限定されたmiRNAが癌細胞中で上方調節されるが、広範囲のmiRNAの存在量が腫瘍中で一般に減少していると思われる。miRNAの下方調節は、腫瘍形成能を有するタンパク質の増大した発現を可能にすることによって腫瘍性の形質変換に寄与していると思われる。最近の兆候は、miRNAプロセッシングの第1段階の阻止が、癌細胞中の限定されたmiRNAの存在量の減少に寄与することを示唆している。癌は米国における4人に1人の死亡原因となっていて、米国人の死因の第2位である。直接的転写抑制を含む、miRNA下方調節のさらなるメカニズムは未だ解明されていない。腫瘍を治療又は予防するための改善された組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
下記のように、本発明はミクロRNAを特徴とする組成物及びそれを用いる腫瘍を治療するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は概ね単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。このオリゴヌクレオチドは、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1、又は本明細書に詳細に説明されているその他の核酸分子又はそれらの断片の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの配列に少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有していて、腫瘍細胞におけるミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
【0008】
別の態様では、本発明は本明細書に詳細に説明されているオリゴヌクレオチドをコードする単離された核酸分子を提供し、腫瘍細胞におけるそのオリゴヌクレオチドの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
【0009】
別の態様では、本発明は本明細書に詳細に説明されている核酸分子をコードする発現ベクターを特徴としていて、その核酸分子は哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)中で発現するよう位置付けられている。一実施態様では、ベクターは、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス及びアデノ関連ウィルスベクターよりなる群から選ばれるウィルスベクターである。
【0010】
関連する態様では、本発明は、前記の態様の発現ベクター又は本明細書に詳細に説明されている核酸分子を含有している宿主細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)を特徴としている。
【0011】
別の態様では、本発明は腫瘍(例えばリンパ腫)の治療のための医薬組成物を特徴としている。この組成物は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの配列と少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有するオリゴヌクレオチドの有効量及び薬学的に許容される賦形剤を含有していて、腫瘍細胞におけるそのミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
一実施態様では、ミクロRNAの量は、腫瘍細胞の生存又は増殖を、未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%、又は100%減少させるのに十分な量である。
一実施態様では、組成物はmiR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の少なくとも1つを含有している。
【0012】
別の態様では、本発明は、腫瘍の治療のための医薬組成物を特徴としている。この組成物は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有していて、腫瘍細胞におけるそのミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる。
一実施態様では、ミクロRNAの量は、腫瘍細胞におけるMycの発現を未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%、又は100%減少させるのに十分な量である。
【0013】
別の態様では、本発明は、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少する方法を提供する。この方法は、細胞(例えば、腫瘍細胞のような、ヒト細胞)を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAに少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有している、オリゴヌクレオチドと接触させて、それによって、未処理の対照細胞と比べて、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させることを含んでいる。
【0014】
別の態様では、本発明は、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少する方法を特徴としている。この方法は、細胞をmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターと接触させ、それによって、未処理の対照細胞と比べて、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させることを含んでいる。
【0015】
別の態様では、本発明は対象(例えば、家畜又はヒト患者)における腫瘍(例えば、リンパ腫)を治療する方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAに少なくとも85%、90%、95%、97%、99%又は100%の同一性を有する核酸塩基配列を含有している、オリゴヌクレオチドの有効量を対象に投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含んでいる。
【0016】
別の態様では、本発明は対象(例えば、家畜又はヒト患者)における腫瘍(例えば、リンパ腫)を治療する方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量を対象に投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含んでいる。
【0017】
別の態様では、本発明は腫瘍を特徴付ける方法を特徴としている。この方法は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの発現を試験することを含んでいる。
【0018】
一実施態様では、この方法は、ミクロRNAの組合わせ、例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の組合わせの発現を試験することを含んでいる。
【0019】
一実施態様では、腫瘍がMyc調節不全を有している(例えば、対照細胞ではMycによって抑制されているミクロRNAの発現が増大している)と特徴付けられる。
【0020】
さらなる別の態様では、本発明は、腫瘍を治療する薬剤を同定する方法を特徴としている。この方法は、腫瘍細胞を候補の薬剤と接触させて、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNAの発現を試験することを含んでいて、ミクロRNA発現の増大により、この薬剤が腫瘍の治療に有用であると同定される。
【0021】
一実施態様では、この方法はさらに、機能試験(例えば、未処理の対照細胞と比較した、細胞の生育、増殖又は生存を測定する試験)でこの薬剤をテストする方法を含んでいる。
【0022】
別の態様では、オリゴヌクレオチドの少なくとも2つの対を含有しているプライマーセットを特徴としていて、その対のそれぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上であるミクロRNA又はその断片と結合している。
【0023】
別の態様では、本発明は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の何れかであるミクロRNA又はその断片の少なくとも2つと結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含有しているプローブセットを特徴としている。
【0024】
別の態様では、本発明は、ミクロRNA、又はmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1であるミクロRNA又はその断片をコードする核酸分子を含有しているマイクロアレイを特徴としている。
【0025】
上記態様の何れかの各種実施態様では、オリゴヌクレオチドはミクロRNAの核酸塩基配列を含んでいる。別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは本質的にミクロRNAの核酸塩基配列よりなる。
【0026】
上記態様の何れかの各種実施態様では、ミクロRNAの配列は、pri−ミクロRNA、成熟又はへアピン形態である。別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変糖残基又は1つの改変核酸残基を含む、少なくとも1つの改変結合(例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、リン酸トリエステル、ホスホロジチオエート、及びリン酸セレン酸結合)を含有している。
【0027】
本明細書に記載の方法又は組成物の各種実施態様では、核酸分子は本質的に、ミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)又はその断片若しくは類縁体の成熟又はヘアピン形態をコードするヌクレオチド配列よりなる。
【0028】
別の実施態様では、ミクロRNAは、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1の何れか1つ又はそれ以上である。
【0029】
上記態様の何れかのさらなる別の実施態様では、組成物は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNA(例えば、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1)を含有している。
【0030】
さらなる別の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、改変(例えば、ヌクレアーゼ耐性を増強する改変のような、本明細書に記載の改変)を含んでいる。
【0031】
本発明の各種実施態様では、細胞は哺乳動物の細胞(例えばヒト細胞、腫瘍細胞、又はリンパ腫細胞)である。
【0032】
上記態様の各種実施態様では、組成物又は方法は、腫瘍細胞における細胞周期を崩壊するか又はアポトーシスを誘発する。上記態様の各種実施態様では、方法は、未処理の対照細胞と比べて、少なくとも約5%、10%、25%、50%、75%又は100%、腫瘍細胞における細胞分裂、細胞生存率を減少するか、又はMycの発現を増大する。
【0033】
各種実施態様では、対象を2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNA(例えば、miR22,miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1)に接触させる。
【0034】
本発明は、通常はMycによって抑制されているミクロRNAを発現させることによって、腫瘍を治療する方法を提供する。本発明の別の特徴及び長所は、詳細な説明、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A−1C】図1A−1Dは、MycによるmiRNA発現の抑制を示す。 図1Aは、P493−6細胞中で高いMyc又は低いMycの発現を伴うmiRNAのノーザンブロット分析の結果を示す。U6snRNAを、この実験及び以後の全ての実験でローディングコントロールとして用いた(代表的なブロットが示されている)。この図及び以後の図における「発現比」は、Mycの低い状態と比較した、Mycの高い状態におけるmiRNAの発現レベルを示している。「ND」は検出されなかったことを示している。 図1Bは、ヒトmiR−30クラスターの構成を示している。cで測定されているような、Mycによって下方調節されたmiRNAクラスターを、太字で示した。 図1Cは、MycによるmiR−30ファミリーのメンバーの抑制を明らかにしているノーザンブロットの結果を示す。配列中で各miR−30ファミリーのメンバーと同一の合成RNAオリゴヌクレオチド及びP493‐6細胞由来の全RNAを各miRNAに特異的なプローブでハイブリダイズした。
【図1D】図1DはMycER腫瘍におけるmiRNAの抑制を示す。図1Dは、MycER腫瘍におけるmiRNAのノーザンブロット分析の結果を示す。「発現比」はMycOFF状態と比較したMycON状態におけるmiRNAの発現レベルを示している。図1C及び4Bに示されているように、特異的ハイブリダイズ条件をmiR−30b及びlet−7aに対して用いた。tRNALysをローディングコントロールとした(代表的なブロットが示されている)。
【図2A】図2A−2Cは、バーキットリンパ腫細胞中でMycがmiRNAを抑制することを示す。 図2Aは、既に刊行されているmiRNA発現プロファイルデータ(He et al., Nature, 2005)の分析を示す。これはMycで抑制された殆どのmiRNAが、正常なB細胞と比べて、バーキットリンパ腫細胞中でより低レベルで発現することを明らかにしている。
【図2B−2C】図2Bは、EW36バーキットリンパ腫細胞中で、レンチウィルスによって発現したshRNAによるMycノックダウンを示すウェスタンブロットの結果を提供している。ルシフェラーゼ(Luc)に対するshRNAを陰性対照とした。 図2Cは、MycノックダウンがEW36細胞中のmiRNAの上方調節をもたらすことを示す。miR−29aはこれらの条件下ではMycshRNAによって上方調節されず、miR−34a及びmiR−150はこの細胞株中で検出可能なレベルで発現されなかった(示していない)。
【図3A】図3A−3Cは、Mycが抑制されたpri−miRNAプロモーターと結合していることを示す。 図3Aは、既知構造の抑制されたpri−miRNAの配置図を提供する。
【図3B−3C】図3Bは、ChIPに対するリアルタイムPCRアンプリコン(単位複製配列)が、転写開始部位のすぐ上流(アンプリコンS)、アンプリコンSの500bp上流(アンプリコンU)、又はアンプリコンSの500bp下流(アンプリコンD)内に設計されたことを示す。 図3Cは、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析の結果を示すグラフである。このChIP実験及び以後のChIP実験のフォールドエンリッチメント(fold enrichment)は、関連のない抗体によって得られる信号と比較した、Myc免疫沈降によって得られる信号を示す。CDKNIA(p21WAF1/CIP1)のプロモーター領域内の有効なMyc結合アンプリコンを陽性対照とした。陽性Myc結合に対する50−フォールドエンリッチメント閾値を点線で示してある。エラーバーは3回の独立した測定から導かれた標準偏差を示す。
【図4A】図4A−4Cは、Mycが抑制されたmiRNAの保存領域の上流と結合していることを示す。 図4Aは、miR−29b−2/29cクラスターを含有している遺伝子間の領域の系統学的保存を説明している。VISTAを、ヒト由来のゲノム配列(2004年5月組み立て)と左に挙げた種のゲノム配列との間の対整合を作成するために用いた。このグラフは、所定の位置に中心がある100塩基対のスライディングウィンドウに相同するヌクレオチドのプロットである。この遺伝子座から生成された注釈付きの転写物を図の上に示す。miR−29b−2/29cの5’末端が右を向いていることに留意されたい。ChIP実験で用いたリアルタイムPCRアンプリコンの位置をグラフの下に矢印で示してある。「C」は保存アンプリコンを示す。「N」は陰性対照のアンプリコンを示す。
【図4B】図4Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析の結果を示すグラフである。最大Myc結合を示した保存アンプリコン(C)及び代表的な陰性対照のアンプリコン(N)を各miRNAについて示している。これらの及び、miR−29b−1/29aクラスター、miR−30d/30bクラスター、miR−34a、miR−146a、miR195/497クラスター、及びmiR−150に対する更なるアンプリコンの位置が図5〜8に示されている。
【図4C】図4Cは、pri−miRNAプロモーターに対応する保存Myc結合部位を示す。5’及び3’RACEで規定されるpri−miRNA転写物の構造を図示する。ある場合には、選択的スプライシングが、メジャー及びマイナーな転写産物アイソフォームを生じることが観察される。各転写物の下の、進化的保存を示しているプロットは、UCSCゲノムブラウザー(ヒトゲノム、2004年5月組み立て)からもたらされた。もっとも高いMyc結合信号を生じるChIPアンプリコンの位置が矢印で示されている。
【図5A】図5A−5Bは、MycがmiR29b−1/29aクラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図5Aは、図4Aに記載のような、miR29b−1/29aクラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図5B】図5Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図6A】図6A及び6Bは、MycがmiR−30d/30bクラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図6Aは、図4Aに記載のような、miR−30d/30bクラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図6B】図6Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図7A】図7A及び7Bは、MycがmiR−34aの保存領域の上流と結合していることを示す。 図7Aは、図4Aに記載のような、miR−34aを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図7B】図7Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図8A】図8A及び8Bは、MycがmiR−146aの保存領域の上流と結合していることを示す。 図8Aは、図4Aに記載のような、miR−146aを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図8B】図8Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図9A】図9A及び9Bは、MycがmiR−195/497クラスターの保存領域の上流と結合していることを示す。 図9Aは、図4Aに記載のような、miR−195/497クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図9B】図9Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図10A】図10A及び10Bは、MycがmiR−150の保存領域の上流と結合していないことを示す。 図10Aは、図3Aに記載のような、miR−150を包含する系統的保存のVISTA分析を示す。 図4Bに示されるアンプリコンは太字で下線を付けてある。
【図10B】図10Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図11A】図11A及び11Bは、MycがmiR−30a/30c−2クラスターの保存領域の上流と結合していないことを示す。 図11Aは、図3Aに記載のような、miR−30a/30c−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図11B】図11Bは、図3Cに記載のような、Mycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図12A−12D】図12A−12Dは、let−7miRNAがMycによって下方調節されることを示す。 図12Aは、ヒトlet−7クラスターの構成を示す。図12B−Dで測定されているような、Mycによって下方調節されているmiRNAクラスターを太字で示してある。合成RNAオリゴヌクレオチド又はP493−6細胞からの全RNAのノーザンブロット分析を、let−7aファミリーの各メンバーに特異的なプローブを用いて実施した。 図12B及び図12Cは、miR99/100ファミリーに対する結果を示す。 図12Dは、miR125ファミリーに対する結果を示す。「ND」は検出されなかったことを示す。
【図13A−1】図13A及び13Bは、Mycがlet−7miRNAの保存領域の上流と結合していることを示す。 図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13A−2】図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13A−3】図13Aは、図4Aに記載のようなlet−7a−1/let−7f−1/let−7dクラスター、let−7g、及びmiR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスターを包含する系統的保存のVISTA分析を示す。
【図13B】図13Bは、図3Cに記載のようなMycクロマチン免疫沈降のリアルタイムPCR分析を示す。
【図14A】図14A及び14Bは、Mycで抑制されたmiRNAの発現がインビボにおいてリンパ腫細胞の生育に損害を与えることを示す。 図14Aは、miRNA及びGFPを発現するレトロウィルスによるMyc3又は38B9リンパ腫細胞の感染を示す略図である。少量のGFP陽性細胞が腫瘍形成の前後に測定された。
【図14B】図14Bは、厳選したmiRNAを発現する細胞が腫瘍から消失することを示しているグラフである。3回の独立した試験の測定値の標準偏差を示してある。移植マウスに注入する前の全ての培養物は少なくとも30%GFP陽性であった。
【図15A−15B】図15A及び15Bは、Myc3及び38B9細胞におけるレトロウィルスのmiRNA発現レベルを示すウェスタンブロットである。ブロットの下の数字は、形質転換していないB細胞株YSB11と比較した各miRNAの発現レベルを示している。全ての定量化をローディングコントロール(tRNAKys、示されていない)及びブロット全域のmiRNAのレベルの直接比較ができるように各ゲル上に負荷したP493(低Myc)RNAに対して正規化した。図15Bにおいて、レトロウィルスのmiR−150発現を、このmiRNAがYS−PB11細胞中で発現されないので、MycOFF腫瘍と比較した。
【図16A−16B】図16A及び16Bは、P493−6細胞へのMyc導入に続くmiRNA抑制の動態を示す。 図16Aは、テトラサイクリン(tet)の除去に続くMyc導入を明らかにしているウェスタンブロットの結果を示す。左端のtet(+)又はtet(−)レーンは、tetと又はtetなしで72時間生育した細胞を示す。 図16Bは、tet放出に続くmiRNA抑制を明らかにしているノーザンブロットの結果を示す。ブロットの下の数字は、ローディングコントロール(tRNAKys、示されていない)に対して正規化された、tet(+)レベルと比較した各miRNAの発現レベルを表す。これらの条件下では、tet除去後48時間までP493−6細胞は増殖を開始せず、そしてtet除去後少なくとも72時間まで最大生育に到達しない(我々の未刊行の観察及び O'Donnel et al., Mol Cell Bio, 2006)。
【図17A−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−2】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−3】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−4】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−5】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−6】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−7】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−8】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−9】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−10】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−11】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−12】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−13】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−14】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−15】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−16】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−17】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17A−18】図17Aは、ミクロRNA29b−1/29a、ミクロRNA29b−1及びミクロRNA29a遺伝子(GenBank Accession No. EU154353)(配列番号230)に対応する。
【図17B−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17B−2】図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17B−3】図17Bは、ホモ・サピエンス・ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154351)(配列番号231)を示す。
【図17C−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17C−2】図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17C−3】図17Cは、ミクロRNA29b−2/29c、前駆RNA、ミクロRNA29b−2及びミクロRNA29c(GenBank Accession No. EU154352)(配列番号232)の配列を提供する。
【図17D−1】図17A−17Dは、本明細書に記載のミクロRNAの配列を示す。 図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【図17D−2】図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【図17D−3】図17Dは、miR−146a(GenBank Accession No. EU147785)(配列番号233)の配列を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(定義)
他に明示しない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は発明が属する分野の当業者に一般に理解されている意味を有している。次の参考資料は当業者に本発明で用いられている多くの用語の一般的な定義を提供している。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Gentics, 5th Ed., R. Rieger et al., (eds.), Springer Verlag (1991); 及び Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で用いられているような、以下の用語は、他に特定されない限り、以下のそれらに見なされている意味を有している。本明細書で参照するミクロRNAの配列は当該技術分野で公知である。特に、ミクロRNAの配列は、ミクロRNAのデータを提供している、miRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)から公式に入手可能である。miRBase配列データベース中のそれぞれの項目は、miRNA転写物の予測されるヘアピン部分を、成熟miRNA配列の位置及び配列情報と共に、示している。ヘアピン及び成熟配列の両方を、BLAST及びSSEARCHを用いる検索に利用でき、名称、キーワード、参考文献及び注釈により検索してエントリーもできる。
【0037】
「miR−15aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−15a、Mir Base Reference No. MI0000069、MIMA T0000068、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−15aミクロRNA配列は次の通りである。
CCUUGGAGUAAAGUAGCAGCACAUAAUGGUUUGUGGAUUUUGAAAAGGUGCAGGCCAUAUUGUGCUGCCUCAAAAAUACAAGG(配列番号1)(ヘアピン)及び
14−uagcagcacauaaugguuugug−35(配列番号2)(成熟)。
【0038】
「miR−15a遺伝子」とは、miR−15aミクロRNA又はその類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0039】
「mir16−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−16−1、Mir Base Reference No. MI0000079、MIMA T0000069、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir16−1ミクロRNA配列は次の通りである。
GUCAGCAGUGCCUUAGCAGCACGUAAAUAUUGGCGUUAAGAUUCUAAAAUUAUCUCCAGUAUUAACUGUGCUGCUGAAGUAAGGUUGAC(配列番号3)(ヘアピン);又は
14−uagcagcacguaaauauuggcg−35(配列番号4)(成熟)。
ヒトmiR−16及びmiR−15aは13q14で0.5kb以内でクラスターになる。この領域はB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)中で削除されることが示されている。第2の推定mir−16ヘアピン前駆体は第3染色体に位置している(MI0000738)。
【0040】
「mir16−1遺伝子」とは、mir16−1ミクロRNA又はその断片をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0041】
「mir−22ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、NCBI Reference No. AJ421742、Mir Base Reference No. MI0000078若しくはMIMA T0000077、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−22ミクロRNAの配列は次の通りである。
53−Aagcugccaguugaagaacugu−74(配列番号5)(成熟);
GGCUGAGCCGCAGUAGUUCUUCAGUGGCAAGCUUUAUGUCCUGACCCAGCUAAAGCUGCCAGUUGAAGAACUGUUGCCCUCUGCC(配列番号6)(ヘアピン)。
【0042】
「mir−22遺伝子」とは、mir−22ミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味する。典型的なmir−22遺伝子の配列は、NCBI Reference No.AF480525 に提示されている。
【0043】
「miR−26a−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26a−1、Mir Base Accession No. MI0000083、MIMA T0000082、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmir−26a−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
10−Uucaaguaauccaggauaggcu‐31(配列番号7)(成熟);及び
GUGGCCUCGUUCAAGUAAUCCAGGAUAGGCUGUGCAGGUCCCAAUGGGCCUAUUCUUGGUUACUUGCACGGGGACGC(配列番号8)(ヘアピン)。
【0044】
「miR−26a−1遺伝子」とは、mir−26a−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0045】
「miR−26a−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26a−2、Mir Base Accession No. MI0000750、MIMA T0000082、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−26a−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
14−uucaaguaauccaggauaggcu−35(配列番号7)(成熟);又は
GGCUGUGGCUGGAUUCAAGUAAUCCAGGAUAGGCUGUUUCCAUCUGUGAGGCCUAUUCUUGAUUACUUGUUUCUGGAGGCAGCU(配列番号9)(ヘアピン)。
【0046】
「miR−26a−2遺伝子」とは、miR−26a−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0047】
「miR−29aミクロRNA」とは、hsa−mir−29aの配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−29a配列は Mir Base Accession No. MI0000087 及び MIMA T0000086 に提示されている。2つの典型的なmir−29aミクロRNAの配列は次の通りである。
AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAU(配列番号10)(ヘアピン);及び
UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA(配列番号11)(成熟)。
【0048】
「mir−29a遺伝子」とは、mir−29aミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0049】
「miR−29b−1ミクロRNA」とは、hsa−mir−29b−1の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmir−29b−1配列は Mir Base Accession No. MI0000105、hsa−mir−29b MIMA T0000100 又はその断片に提示されている。2つの典型的なmiR−29b−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU(配列番号12)(成熟);及び
CUUCAGGAAGCUGGUUUCAUAUGGUGGUUUAGAUUUAAAUAGUGAUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUCUUGGGGG(配列番号13)(ヘアピン)。
【0050】
「miR−29b−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−29b−2、Mir Base Accession No. MI0000107、MIMA T0000100、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−29b−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
52−uagcaccauuugaaaucaguguu−74(配列番号12)(成熟);又は
CUUCUGGAAGCUGGUUUCACAUGGUGGCUUAGAUUUUUCCAUCUUUGUAUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUUUAGGAG(配列番号14)(ヘアピン)。
【0051】
「miR−29b−2遺伝子」とは、miR−29b−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0052】
「miR−29cミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−miR−29c、Mir Base Accession No. MI0000735、MIMA T0000681、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−29cミクロRNAの配列は次の通りである。
54−uagcaccauuugaaaucgguua−75(配列番号15)(成熟);又は
AUCUCUUACACACAGGCUGACCGAUUUCUCCUGGUGUUCAGAGUCUGUUUUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUAUGAUGUAGGGGGA(配列番号16)(ヘアピン)。
【0053】
「miR−29c遺伝子」とは、mir−29cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0054】
「miR−30eミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30e、Mir Base Accession No. MI0000749、MIMA T0000692、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−30eミクロRNAの配列は次の通りである。
17−uguaaacauccuugacuggaag−38(配列番号17)(成熟);又は
GGGCAGUCUUUGCUACUGUAAACAUCCUUGACUGGAAGCUGUAAGGUGUUCAGAGGAGCUUUCAGUCGGAUGUUUACAGCGGCAGGCUGCCA(配列番号18)(ヘアピン)。
【0055】
「miR−30e遺伝子」とは、miR−30eミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0056】
「miR−30c−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30c−1、Mir Base Accession No. MI0000736、MIMA T0000244、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−30c−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
17−uguaaacauccuacacucucagc−39(配列番号19)(成熟);又は
ACCAUGCUGUAGUGUGUGAAACAUCCUACACUCUCAGCUGUGAGCUCAAGGUGGCUGGGAGAGGGUUGUUUACUCCUUCUGCCAUGGA(配列番号20)(ヘアピン)。
【0057】
「miR−30c−1遺伝子」とは、miR−30c−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0058】
「miR−26bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−26b、Mir Base Accession No. MI0000084、MIMA T0000083、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なhsa−mir−26bミクロRNAの配列は次の通りである。
CCGGGACCCAGUUCAAGUAAUUCAGGAUAGGUUGUGUGCUGUCCAGCCUGUUCUCCAUUACUUGGCUCGGGGACCGG(配列番号21)(ヘアピン);又は
12−uucaaguaauucaggauaggu−32(配列番号22)(成熟)。
【0059】
「miR−26b遺伝子」とは、miR−26bミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0060】
「miR−30c−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−30c−2、Mir Base Accession No. MI0000254、MIMA T0000244、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−30c−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGAUACUGUAAACAUCCUACACUCUCAGCUGUGGAAAGUAAGAAAGCUGGGAGAAGGCUGUUUACUCUUUCU(配列番号23)(ヘアピン);
7−uguaaacauccuacacucucagc−29(配列番号19)(成熟);又は
47−cugggagaaggcuguuuacucu−68(配列番号24)(マイナー代替えプロセッシング)。
【0061】
「miR−30c遺伝子」とは、miR−30cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0062】
「miR−34aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−34a、Mir Base Accession No. MI0000268、MIMA T0000255、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−34aミクロRNAの配列は次の通りである。
GGCCAGCUGUGAGUGUUUCUUUGGCAGUGUCUUAGCUGGUUGUUGUGAGCAAUAGUAAGGAAGCAAUCAGCAAGUAUACUGCCCUAGAAGUGCUGCACGUUGUGGGGCCC(配列番号25)(ヘアピン);又は
22−uggcagugucuuagcugguugu−43(配列番号26)(成熟)。
【0063】
「miR−34a遺伝子」とは、miR−34aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0064】
「miR−146aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−146a、Mir Base Accession No. MI0000477、MIMA T0000449、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−146aミクロRNAの配列は次の通りである。
21−ugagaacugaauuccauggguu−42(配列番号27)(成熟);又は
CCGAUGUGUAUCCUCAGCUUUGAGAACUGAAUUCCAUGGGUUGUGUCAGUGUCAGACCUCUGAAAUUCAGUUCUUCAGCUGGGAUAUCUCUGUCAUCGU(配列番号28)(ヘアピン)。
【0065】
「miR−146a遺伝子」とは、miR−146aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0066】
「miR−150ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−150、Mir Base Accession No. MI0000479、MIMA T0000451、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−150ミクロRNAの配列は次の通りである。
16−ucucccaacccuuguaccagug−37(配列番号29)(成熟);又は
CUCCCCAUGGCCCUGUCUCCCAACCCUUGUACCAGUGCUGGGCUCAGACCCUGGUACAGGCCUGGGGGACAGGGACCUGGGGAC(配列番号30)(ヘアピン)。
【0067】
「miR−150遺伝子」とは、miR−150ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0068】
「miR−195ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−195、Mir Base Accession No. MI0000489、MIMA T0000461、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−195ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGCUUCCCUGGCUCUAGCAGCACAGAAAUAUUGGCACAGGGAAGCGAGUCUGCCAAUAUUGGCUGUGCUGCUCCAGGCAGGGUGGUG(配列番号31)(ヘアピン);及び
15−uagcagcacagaauauuggc−35(配列番号32)(成熟)。
【0069】
「miR−195遺伝子」とは、miR−195ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0070】
「miR−497ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−497、Mir Base Accession No. MI0003138、MIMA T0002820、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−497ミクロRNAの配列は次の通りである。
CCACCCCGGUCCUGCUCCCGCCCCAGCAGCACACUGUGGUUUGUACGGCACUGUGGCCACGUCCAAACCACACUGUGGUGUUAGAGCGAGGGUGGGGGAGGCACCGCCGAGG(配列番号33)(ヘアピン);及び
24−cagcagcacacugugguuugu−44(配列番号34)(成熟)。
【0071】
「miR−497遺伝子」とは、miR−497ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0072】
「let−7a−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7a−1、Mir Base Accession No. MI0000060、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7a−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
6−ugagguaguagguuguauaguu−27(配列番号35)(成熟);又は
UGGGAUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUUAGGGUCACACCCACCACUGGGAGAUAACUAUACAAUCUACUGUCUUUCCUA(配列番号36)(ヘアピン)。
【0073】
「let−7a−1遺伝子」とは、let−7a−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0074】
「let−7f−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7f−1、Mir Base Accession No. MI0000067、MIMA T0000067、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7f−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
7−ugagguaguagauuguauaguu−28(配列番号37)(成熟);又は
UCAGAGUGAGGUAGUAGAUUGUAUAGUUGUGGGGUAGUGAUUUUACCCUGUUCAGGAGAUAACUAUACAAUCUAUUGCCUUCCCUGA(配列番号38)(ヘアピン)。
【0075】
「let−7f−1遺伝子」とは、let−7f−1ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0076】
「let−7dミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7d、Mir Base Accession No. MI0000065、MIMA T0000065、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7dミクロRNAの配列は次の通りである。
AGAGGUAGUAGGUUGCAUAGUU(配列番号39)(成熟);又は
CCUAGGAAGAGGUAGUAGGUUGCAUAGUUUUAGGGCAGGGAUUUUGCCCACAAGGAGGUAACUAUACGACCUGCUGCCUUUCUUAGG(配列番号40)(ヘアピン)。
【0077】
「let−7d遺伝子」とは、let−7dミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0078】
「miR−100ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−100、Mir Base Accession No. MI0000102、MIMA T0000098、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なmiR−100ミクロRNAの配列は次の通りである。
13−aacccguagauccgaacuugug−34(配列番号41)(成熟);
CCUGUUGCCACAAACCCGUAGAUCCGAACUUGUGGUAUUAGUCCGCACAAGCUUGUAUCUAUAGGUAUGUGUCUGUUAGG(配列番号42)(ヘアピン)。
【0079】
「miR−100遺伝子」とは、miR−100ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0080】
「let−7a−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、Mir Base Accession No. MI0000061、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7a−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGUUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUAGAAUUACAUCAAGGGAGAUAACUGUACAGCCUCCUAGCUUUCCU(配列番号43)(ヘアピン);及び
5−ugagguaguagguuguauaguu−26(配列番号35)(成熟)。
【0081】
「let−7a−2遺伝子」とは、let−7a−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0082】
「miR−125b−1ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125b−1、Mir Base Accession No. MI0000446、MIMA T0000423、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なhas−miR−125b−1ミクロRNAの配列は次の通りである。
15−ucccugagacccuaacuuguga−36(配列番号44)(成熟);又は
UGCGCUCCUCUCAGUCCCUGAGACCCUAACUUGUGAUGUUUACCGUUUAAAUCCACGGGUUAGGCUCUUGGGAGCUGCGAGUCGUGCU(配列番号45)(ヘアピン)。
【0083】
「let−7a−3ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7a−3、Mir Base Accession No. MI0000062、MIMA T0000062、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7a−3ミクロRNAの配列は次の通りである。
GGGUGAGGUAGUAGGUUGUAUAGUUUGGGGCUCUGCCCUGCUAUGGGAUAACUAUACAAUCUACUGUCUUUCCU(配列番号46)(ヘアピン);又は
4−ugagguaguagguuguauaguu−25(配列番号35)。
【0084】
「let−7bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7b、Mir Base Accession No. MI0000063、MIMA T0000063、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。2つの典型的なlet−7bミクロRNAの配列は次の通りである。
6−ugagguaguagguugugugguu−27(配列番号47)(成熟);又は
CGGGGUGAGGUAGUAGGUUGUGUGGUUUCAGGGCAGUGAUGUUGCCCCUCGGAAGAUAACUAUACAACCUACUGCCUUCCCUG(配列番号48)(ヘアピン)。
【0085】
「let−7b遺伝子」とは、let−7bミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0086】
「miR−99aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−99a、Mir Base Accession No. MI0000101、MIMA T0000097、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−99aミクロRNAの配列は次の通りである。
CCCAUUGGCAUAAACCCGUAGAUCCGAUCUUGUGGUGAAGUGGACCGCACAAGCUCGCUUCUAUGGGUCUGUGUCAGUGUG(配列番号49)(ヘアピン);又は
13−aacccguagauccgaucuugug−34(配列番号50)(成熟)。
【0087】
「miR−99a遺伝子」とは、miR−99aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0088】
「let−7cミクロRNA」とは、このものの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7c、Mir Base Accession No. MI0000064、MIMA T0000064、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7cミクロRNAの配列は次の通りである。
GCAUCCGGGUUGAGGUAGUAGGUUGUAUGGUUUAGAGUUACACCCUGGGAGUUAACUGUACAACCUUCUAGCUUUCCUUGGAGC(配列番号51)(へピン);又は
11−ugagguaguagguuguaugguu−32(配列番号52)(成熟)。
【0089】
「let−7c遺伝子」とは、let−7cミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0090】
「miR−125b−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125b−2、Mir Base Accession No. MI0000470、MIMA T0000423、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−125b−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
ACCAGACUUUUCCUAGUCCCUGAGACCCUAACUUGUGAGGUAUUUUAGUAACAUCACAAGUCAGGCUCUUGGGACCUAGGCGGAGGGGA(配列番号53)(ヘアピン);又は
17−ucccugagacccuaacuuguga−38(配列番号44)(成熟)。
【0091】
「miR−99bミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−99b、Mir Base Accession No. MI0000746、MIMA T0000689、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−99bミクロRNAの配列は次の通りである。
GGCACCCACCCGUAGAACCGACCUUGCGGGGCCUUCGCCGCACACAAGCUCGUGUCUGUGGGUCCGUGUC(配列番号54)(ヘアピン);又は
7−cacccguagaaccgaccuugcg−28(配列番号55)(成熟)。
【0092】
「miR−99b遺伝子とは、miR−99bミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを意味している。
【0093】
「let−7eミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7e、MI0000066、MIMA T0000066、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7eミクロRNAの配列は次の通りである。
CCCGGGCUGAGGUAGGAGGUUGUAUAGUUGAGGAGGACACCCAAGGAGAUCACUAUACGGCCUCCUAGCUUUCCCCAGG(配列番号56)(ヘアピン);又は
8−Ugagguaggagguuguauaguu−29(配列番号57)(成熟)。
【0094】
「let−7e遺伝子」とは、let−7eミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0095】
「miR−125aミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−125a、Mir Base Accession No. MI0000469、MIMA T0000443、MIMA T0004602、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−125aミクロRNAの配列は次の通りである。
UGCCAGUCUCUAGGUCCCUGAGACCCUUUAACCUGUGAGGACAUCCAGGGUCACAGGUGAGGUUCUUGGGAGCCUGGCGUCUGGCC(配列番号58)(ヘアピン);又は
15−ucccugagacccuuuaaccuguga−38(配列番号59)(成熟)又は
53−acaggugagguucuugggagcc−74(配列番号60)(成熟の代替えプロセッシング)。
【0096】
「miR−125a遺伝子」とは、miR−125aミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0097】
「let−7f−2ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7f−2、Mir Base Accession No. MI0000068、MIMA T0000067、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7f−2ミクロRNAの配列は次の通りである。
UGUGGGAUGAGGUAGUAGAUUGUAUAGUUUUAGGGUCAUACCCCAUCUUGGAGAUAACUAUACAGUCUACUGUCUUUCCCACG(配列番号61)(ヘアピン);又は
8−ugagguaguagauuguauaguu−29(配列番号37)(成熟)。
【0098】
「let−7f−2遺伝子」とは、let−7f−2ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0099】
「miR−98ミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−mir−miR−98、Mir Base Accession No. MI0000100、MIMA T0000096、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なmiR−98ミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGAUUCUGCUCAUGCCAGGGUGAGGUAGUAAGUUGUAUUGUUGUGGGGUAGGGAUAUUAGGCCCCAAUUAGAAGAUAACUAUACAACUUACUACUUUCCCUGGUGUGUGGCAUAUUCA(配列番号62)(ヘアピン);又は
22−ugagguaguaaguuguauuguu−43(配列番号63)(成熟)。
【0100】
「miR−98遺伝子」とは、miR−98ミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0101】
「let−7gミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7g、Mir Base Accession No. MI0000433、MIMA T0000414、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7gミクロRNAの配列は次の通りである。
AGGCUGAGGUAGUAGUUUGUACAGUUUGAGGGUCUAUGAUACCACCCGGUACAGGAGAUAACUGUACAGGCCACUGCCUUGCCA(配列番号64)(ヘアピン);
5−ugagguaguaguuuguacaguu−26(配列番号65)(成熟);又は
62−cuguacaggccacugccuugc−82(配列番号66)(マイナー)。
【0102】
「let−7g遺伝子」とは、let−7gミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0103】
「let−7iミクロRNA」とは、これらの発現が腫瘍の生育を減少する、hsa−let−7i、Mir Base Accession No. MI0000434、MIMA T0000415、又はそれらの断片の配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含有している核酸分子を意味している。典型的なlet−7iミクロRNAの配列は次の通りである。
CUGGCUGAGGUAGUAGUUUGUGCUGUUGGUCGGGUUGUGACAUUGCCCGCUGUGGAGAUAACUGCGCAAGCUACUGCCUUGCUA(配列番号67)(ヘアピン);又は
6−ugagguaguaguuugugcuguu−27(配列番号68)。
【0104】
「let−7i遺伝子」とは、let−7iミクロRNA又はそれらの類縁体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0105】
「薬剤」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそれらの断片若しくは類縁体、小分子、又はその他の生物活性分子を意味している。
【0106】
「変化」とは、上記のような当該技術分野で公知の標準的な方法で検出されるような、遺伝子又はポリペプチドの発現レベルにおける変化(増大又は減少)を意味している。本明細書で用いる限りでは、変化は発現レベルにおける10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、そして最も好ましくは50%又はそれ以上の発現レベルの変化を含んでいる。
【0107】
本開示において、「含む」、「含んでいる」、「含有している」及び「有している」などは、米国特許法においてそれらが見なされている意味を有することができ、そして「包含する」、「包含している」などを意味することができる。「本質的に〜より成っている」又は「本質的に〜より成る」などは、米国特許法において見なされている意味を有していて、この用語はオープンエンドであり、基本的若しくは新規な特徴がある限り、列挙されているもの以上の存在を許容するが、先行技術の態様は除外する。
【0108】
「対照」とは、標準的又は参照的な条件を意味している。
【0109】
「有効量」とは、治療していない患者と比較して疾患の症状を軽減するのに必要な薬剤の量を意味している。腫瘍の治療処置のために本発明を実施するのに用いられる活性薬剤の有効量は、投与方法、対象の年齢、体重及び一般健康状態によって変わる。最終的には、主治医又は獣医が適切な量及び投薬計画を決定する。そのような量が「有効な」量として見なされる。
【0110】
「断片」とは、参照タンパク質又は核酸と実質的に同一であり、そして参照タンパク質又は核酸の生物活性を保持している、タンパク質又は核酸分子の部分(例えば、少なくとも10、25、50、100、125、150、200、250、300、350、400、又は500個のアミノ酸又は核酸)を意味している。
【0111】
「宿主細胞」は、クローニングベクター又は発現ベクターのどちらかを含有している原核又は真核細胞の何れかである。この用語は、クローン化遺伝子を宿主細胞の染色体又はゲノムに含むように遺伝子操作されている原核又は真核細胞も包含している。
【0112】
「腫瘍を阻害する」とは、腫瘍に進展する細胞の性向の減少、又は腫瘍の生育又は増殖を遅延、減少、又は安定化を意味している。
【0113】
「単離された核酸分子」とは、本発明の核酸分子が由来する生命体の天然ゲノム中で遺伝子に隣接している、遺伝子が存在していない、核酸(例えば、DNA、RNA、ミクロRNA又はこれらの類縁体)を意味している。従ってこの用語は、例えば、ベクターに;自動的に複製するプラスミド又はウィルスに;又は原核若しくは真核のゲノムDNAに組み込まれている;又は他の配列から独立した別の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されたcDNA又はゲノム若しくはcDNA断片)として存在している、組み換えDNAを包含する。さらに、この用語は、DNA分子から転写されたミクロRNA又はその他のRNA分子、さらに付加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組み換えDNAを包含する。
【0114】
「マーカー」とは、疾患又は障害に関連している発現レベル又は活性において変化があるタンパク質又はポリヌクレオチドの何れかを意味している。
【0115】
用語「マイクロアレイ」は、固体支持体(例えば、チップ、プレート、又はビーズ)上に配置されている1つ又はそれ以上の生命体からの核酸分子又はポリペプチドの回収を意味している。
【0116】
「改変」とは、天然の参照薬剤と比べて、ヌクレオチド、アミノ酸、又はその他の薬剤を生物学的に又はその他の合成的に変化させることの何れも意味する。
【0117】
「腫瘍」とは、不適正に高い細胞分裂のレベル、若しくは不適正に低いアポトーシスのレベル、又は両方によって引き起こされるか又はその結果である、何れかの疾患を意味している。例えば、癌は腫瘍である。癌の例は、限定することなく、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、及び肉腫並びに癌腫(例えば、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、ナイル腺管癌(nile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞性肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管細胞芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、シュワン腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫)のような固形癌を包含する。リンパ増殖性疾患も増殖性疾患と見なされる。
【0118】
「成熟形態」とは、少なくとも部分的に、標的mRNAの調節に関与できる生物学的活性形態に処理されているミクロRNAを意味している。
【0119】
「ヘアピン形態」とは、二重螺旋部分を含んでいるミクロRNAを意味している。
【0120】
「ミクロRNA」とは、ポリペプチドコード活性の何れとも無関係な生物活性を有している核酸塩基配列を意味している。ミクロRNAは合成されても天然のものでもよく、そして本明細書に記載されている1つ又はそれ以上の改変を含んでいてもよい。ミクロRNAは、pri−ミクロRNA、ヘアピンミクロRNA、及び成熟ミクロRNAを包含する。
【0121】
「Myc調節異常」とは、通常はMycによって抑制されている1つ又はそれ以上のミクロRNAの発現レベルにおける変化を意味している。
【0122】
「核酸」とは、リボ核酸又はデオキシリボ核酸、又はそれらの類縁体のオリゴマー又はポリマーを意味している。この用語は、天然の塩基、糖、及び糖間(骨格)結合からなるオリゴマー、更に、機能が同様な非天然部分を有するオリゴマーを包含する。このような改変又は置換オリゴヌクレオチドは多くの場合、例えば、ヌクレアーゼの存在下での増強された安定性のような特性のため、天然型よりも好ましい。
【0123】
「阻害性核酸分子を得ること」におけるような、「得ること」とは、阻害性核酸分子を合成すること、購入すること、又は別の手段で入手することを意味している。
【0124】
「オリゴヌクレオチド」とは、核酸塩基配列を含有する分子の何れもを意味している。オリゴヌクレオチドは、例えば、1つ又はそれ以上の改変された塩基、結合、糖残基、又はその他の改変を含むことができる。
【0125】
「操作可能に結合した」とは、第1ポリヌクレオチドが、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が第2ポリヌクレオチドに結合したときに、第1ポリヌクレオチドの転写を指示する第2ポリヌクレオチドに隣接して位置していることを意味している。
【0126】
「発現のために位置付けられている」とは、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA分子)が、配列の転写及び翻訳を指示する(すなわち、例えば、本明細書に記載されている組み換えミクロRNAの生産を促進する)DNA配列に隣接して位置付けらていることを意味している。
【0127】
「プライマーセット」又は「プローブセット」は、オリゴヌクレオチドの組合わせを意味する。プライマーセットは、例えば、目的のポリヌクレオチドを増幅するために用いることができる。プローブセットは、例えば、目的のポリヌクレオチドとハイブリダイズするために用いることができる。プライマーセットは、少なくとも2、4,6、8、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、80、100又はそれ以上のプライマー又はプローブより成っている。
【0128】
「断片」とは、ポリペプチド又は核酸分子の1部分を意味している。この部分は、参照する核酸分子又はポリペプチドの全長の、好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有している。断片は5,6、7、8、9、10、11、12、13,14、15,16、17、18、19、20、又は21個のヌクレオチドを含有していてよい。
【0129】
「減少する」とは、負の変化を意味している。減少は、例えば、5%、10%、25%、50%、75%又はもっと言えば100%の減少を含んでいる。
【0130】
「生存が減少する」とは、参照と比較して、細胞または細胞集団における細胞死の可能性が増大することを意味している。例えば、生存における減少は、未処理の対照細胞と比較して、本発明のミクロRNAで処理した細胞において測定される。細胞死は、アポトーシス又は壊死の細胞死を含む、何れの手段によるものでもよい。
【0131】
「細胞分裂が減少する」とは、参照と比較して、細胞周期を阻害する、又は細胞、組織若しくは器官の生育又は増殖を減少することを意味している。例えば、細胞分裂における減少は、未処理の対照細胞と比較して、本発明のミクロRNAで処理した細胞において測定される。
【0132】
「参照」とは、標準的又は対照の条件を意味している。
【0133】
「レポーター遺伝子」とは、限定することなく、グルクロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、及びベータ−ガラクトシダーゼを包含するポリペプチドのような;その発現を試験できるポリペプチドをコードする遺伝子を意味している。
【0134】
用語「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を包含するように意図されている。哺乳動物は、これに限定されないが、ヒトを包含する。
【0135】
用語「薬学的に許容される賦形剤」は、ヒトへの投与に適している、1つ又はそれ以上の適合性のある固体又は液体の増量剤、希釈剤又は封入剤を意味するように本明細書で用いられる。
【0136】
「形質転換細胞」とは、その中に(又はその前駆細胞中に)、組み換えDNA技術の手段で、本発明のタンパク質を(本明細書で用いられているように)コードするポリヌクレオチド分子が導入されている、細胞を意味している。
【0137】
「ベクター」とは、核酸分子、例えば、宿主細胞中で複製可能な、プラスミド、コスミド、又はバクテリオファージ、を意味している。
一態様では、ベクターは、組み換え又は合成によって生成され、宿主細胞中で核酸分子の転写が可能な一連の特異的な核酸エレメントを担持している、核酸構築物である発現ベクターである。一般に、発現は、構成的又は誘導プロモータ、組織優先性調節エレメント、及びエンハンサーを包含する、ある特定の調節エレメントの制御下に置かれている。
【0138】
一態様では、本発明の方法において有用な核酸分子は、本発明のポリペプチド又はその断片をコードする何れの核酸分子も包含する。
別の態様では、本発明の方法において有用な核酸分子は、ポリペプチド配列をもたらすこととは関連していない生物活性を有しているポリヌクレオチド(例えば、ミクロRNA)をコードする何れの核酸分子も包含する。このような核酸分子は内因性の核酸配列と100%同一である必要はないが、一般に実質的な同一性を示すであろう。
内因性の配列と「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは一般的に、二重螺旋核酸分子の少なくとも1つの螺旋とハイブリダイズが可能である。
「ハイブリダイズ」とは、多種の厳密性条件下での、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)、又はその部分の間で二重螺旋分子を形成するための対を意味している。(例えば、Wahl, G.M. and S.L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507 を参照されたい)。
【0139】
例えば、厳密な塩濃度は、通常約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウム未満、好ましくは約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウム未満、そしてより好ましくは約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウム未満である。厳密性の低いハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの非存在下で得ることができる一方、厳密性の高いハイブリダイゼーションは少なくとも約35%のホルムアミド、そしてより好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。厳密な温度条件は、通常少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、そして最も好ましくは少なくとも約47℃の温度を包含するであろう。ハイブリダイゼーションの時間、洗浄剤、例えば、ドデシル硫酸(SDS)の濃度、及びキャリアDNAの封入又は排除のような多くの更なるパラメータは当業者に周知である。多種の厳密性のレベルは、必要に応じて、これらの各種条件を組み合わせて達成される。
好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、30℃で、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%のSDS中で起こるであろう。
より好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、37℃で、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、及び100μg/mlの変性鮭精子DNA(ssDNA)中で起こるであろう。
最も好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、42℃で、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、及び200μg/mlのssDNA中で起こるであろう。これらの条件の有用な変法を、当業者は容易に理解するであろう。
【0140】
殆どの適用に対して、ハイブリダイゼーション後の洗浄工程も厳密性において変化するであろう。洗浄の厳密性条件は塩濃度によって、そして温度によって規定できる。上記のように、洗浄の厳密性は、塩濃度を下げることにより、又は温度を上げることにより増大することができる。例えば、洗浄工程に対する厳密な塩濃度は、好ましくは約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウム未満、そして最も好ましくは約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウム未満であろう。洗浄工程に対する厳密な温度条件は通常少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約40℃、そして更により好ましくは少なくとも約68℃の温度を含むだろう。
好ましい態様では、洗浄工程は、25℃の温度で、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。
より好ましい態様では、洗浄工程は、42℃の温度で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。
より好ましい態様では、洗浄工程は、68℃の温度で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中で起こるだろう。これらの条件の更なる変法を、当業者は容易に理解するであろう。
ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であって、例えば、Benton and Davis (Science 196:180, 1977);Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); and Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York に記載されている。
【0141】
「実質的に同一」とは、参照のアミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列の何れか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列の何れか1つ)に少なくとも50%の相同性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味している。好ましくは、このような配列が、アミノ酸レベル又は核酸において、比較に用いられる配列に対して少なくとも60%、より好ましくは80%又は85%、そしてより好ましくは90%、95%又はもっと言えば99%同一である。
【0142】
配列の同一性は通常、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST, BESTFIT, GAP, or PILEUP/PRETTYBOX programs)を用いて測定される。このようなソフトウェアは、多種の置換、欠失、及び/又は改変に対する相同性の程度を決定して同一又は類似配列をマッチする。同類置換は一般に、次の郡内の置換を包含する;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定する典型的なアプローチでは、密接に関連している配列を指し示すe−3とe−100の間の確率スコアによる、BLASTプログラムを用いることができる。
【0143】
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍を治療又は予防するのに有用であるミクロRNAを特徴とする組成物及び方法を提供する。Mycはmir−17クラスターの転写を直接活性化する(O'Donnel et al., Nature 435, 839-43 (2005))。Mycで調節されたmiRNAを同定するために、ヒト及びマウスモデルでMycが介在するリンパ腫起源の分析を行った。この分析は、一連の多くのMycで調節されたmiRNAの発見をもたらした。顕著に、Mycの導入が主として、miRNA発現の下方調節を広範にもたらした。Mycがプロモーター又はそれが抑制するmiRNAの保存領域の上流と直接結合することを、クロマチン免疫沈降(ChIP)が明らかにした。本発明は、少なくとも一部は、Mycで調節されたmiRNAの発現がインビボでリンパ腫細胞の生育を劇的に阻害したという発見に基づいている。これらの知見は、腫瘍抑制性miRNAの抑制が、Myc腫瘍形成プログラムの基本要素であることを示唆している。従って、本発明は、その発現が腫瘍を治療又は予防するのに有用なmiRNAを特徴とする組成物及び方法を提供する。
【0144】
以下により詳細に報告するように、Mycは以下のミクロRNAの発現を少なくとも2倍抑制した;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150。Mycは、2つの腫瘍モデルにおいて、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−15a、miR−16−1、miR−29b−1、miR−29a、miR−34a、miR−195、miR−26b、及びmiR−30cの発現を少なくとも約1.5倍抑制した。従って、これらのMycで抑制されたミクロRNA又はそれらの断片の1つ又はそれ以上の発現は、腫瘍の治療又は予防のために有用であると期待されている。
【0145】
重大なことに、腫瘍内の腫瘍性細胞中に、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1が発現すると、これらのミクロRNAを発現している細胞は、実質的に腫瘍から排除された。このことは、miRNAがMyc及びv−Ablの両方が介在する形質転換において抗−腫瘍形成の特性を保持することを示唆している。miR−26aは、Mycが介在する形質転換において腫瘍形成を抑制し、そしてmiR−22はv−Ablが介在する形質転換において腫瘍形成を抑制した。これらの知見を考慮すると、腫瘍細胞内で本明細書に記載のミクロRNAの発現を増大する薬剤は、多種の腫瘍の治療又は予防のために有用であると期待される。
【0146】
(ミクロRNA)
ミクロRNAは、細胞内で特異的な遺伝子の転写後サイレンシングを、翻訳を阻害することによって又は標的mRNAの分解を介して、引き起こすことができる小分子の非コードRNA分子である。ミクロRNAは、標的の核酸と完全に相補的であるか、又はこれと非相補性領域を有して、結果として非−相補性領域に「バルジ」をもたらすことができる。ミクロRNAは、ミクロRNAが標的の核酸分子と完全には相補的でないときのように、翻訳を抑制することによって、又は標的RNAの分解を引き起こす(これはミクロRNAが完全に相補的にその標的に結合するときのみに起こると考えられている)ことによって遺伝子の発現を阻害することができる。本発明はミクロRNAの二重螺旋前駆体も包含することができる。
【0147】
ミクロRNA又はpre−ミクロRNAは長さが18〜100ヌクレオチド、より好ましくは長さが18〜80ヌクレオチドであってよい。成熟miRNAは19〜30ヌクレオチド、好ましくは21〜25ヌクレオチド、特に21、22、23、24、又は25ヌクレオチドの長さを有することができる。ミクロRNA前駆体は通常、約70〜100ヌクレオチドの長さを有し、そしてヘアピン構造を有している。ミクロRNAはインビボで、pre−miRNAから酵素ダイサー及びドロシャ(これは長いpre−miRNAを機能的なmiRNAに特異的に処理する)よって生成される。本発明で特徴としているヘアピン又は成熟ミクロRNA、又はpre−ミクロRNA薬剤は、インビボで細胞に基づいたシステムによって、又はインビトロで化学合成によって、合成することができる。
【0148】
本発明は単離されたミクロRNA及びそのような配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明の組み換えミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、mir−26b、mir−29b−1、mir−29a、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)又はこのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドをそれらを必要とする対象に、腫瘍細胞の生育、生存、又は増殖を減少させるために投与することができる。1つの方法では、ミクロRNAを裸のRNA分子として投与する。別の方法では、それを哺乳動物細胞における発現に適している発現ベクターで投与する。
【0149】
本発明によって提供される1つの典型的な方法は、組み換えミクロRNA分子、それらの変異体又は断片を潜在的な又は実在する罹患組織の部位へ直接あるいは全身への何れかによるような、組み換え薬治療的投与(例えば、従来の組み換え薬投与技術によって)を含んでいる。投与されるミクロRNAの用量は、個々の患者の体格及び健康状態を含む、多くの因子によって決まる。ある特定の対象に対して、個々のニーズ及び投与又は組成物の投与を監視する者の専門的な判断に従って、特異的な投与計画を長期にわたって調整すべきである。
【0150】
例えば、本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)を、約1〜100mg/kgの間(例えば、1、5、10、20、25、50、75、及び100mg/kg)の範囲の用量で投与することができる。
別の態様では、用量は約25〜500mg/m2/日の範囲である。望ましくは、腫瘍を有するヒト患者は、約50〜300mg/m2/日(例えば、50、75、100、125、150、175、200、250、275及び300)の用量を投与される。
【0151】
望ましい特性を与える改変を含むようにミクロRNAを合成することができる。例えば、この改変は、安定性、標的核酸とのハイブリダイゼーション熱力学、特定の組織又は細胞型への狙い、又は細胞透過性を、例えばエンドサイトーシスによるメカニズム又はエンドサイトーシスによらないメカニズムによって、改善することができる。改変は、配列特異性を増大し、それによってオフサイト標的を減少させることもできる。合成及び化学的改変の方法は以下により詳細に記載されている。
【0152】
本発明は更に、1、2、3、4、5、6又はそれ以上のミクロRNAを含むマイクロアレイ、ミクロRNAのようなものを含むオリゴヌクレオチド、又はこのようなミクロRNAをコードするか若しくはこれと結合する核酸配列を包含する、固体支持体を提供する。更に本発明は、本発明のミクロRNAとハイブリダイズする、及び/又はこれをを増幅するために用いることのできるプローブを提供する。特定の態様では、本発明は、1、2、3、4、又はそれ以上のミクロRNAを包含するプローブ又は本明細書に記載のプローブの収集物を提供する。
【0153】
(ミクロRNA類縁体)
所望により、ミクロRNA分子を、分解に対してミクロRNAを安定化するために、半減期を増進するために、又は別の方法で効力を改善するために、改変することができる。望ましい改変は例えば、米国特許出願公開第2007/0213292号公報、同第2006/0287260号公報、同第2006/0035254号公報、同第2006/0008822号公報、及び2005/0288244号公報に記載されていて、それぞれは参照としてその全てが本明細書に組み込まれている。
【0154】
ヌクレアーゼ耐性及び/又は標的に対する結合親和性を増大するために、本発明で特徴としている一重螺旋オリゴヌクレオチド薬剤は、2’−O−メチル、2’−フッ素、2’−O−メトキシエチル、2’−O−アミノプロピル、2’−アミノ、及び/又はホスホロチオエート結合を含有することができる。ロックド核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、例えば2’−4’−エチレン−架橋化核酸、及びある特定の核酸塩基改変を含有させても標的に対する結合親和性を増大できる。オリゴヌクレオチド骨格にピラノース糖を含有させてもエンドヌクレアーゼの切断を減少できる。3’−カチオン基を含有させるか又はヌクレオシドを3’−末端で3’−3’−結合を用いて反転させることによって、アンタゴmirを改変することができる。別の選択肢では、3’−末端をアミノアルキル基でブロックすることができる。別の3’の共役は3’−5’−エクソヌクレアーゼ切断を阻害できる。理論に制約されていないが、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端への結合からエクソヌクレアーゼを立体的にブロックしてエクソヌクレアーゼの切断を阻害できる。小さいアルキル鎖、アリール基又は複素環共役若しくは改変糖(D−リボース、デオキシリボース、グルコースなど)でさえも3’−5’−エクソヌクレアーゼをブロックできる。
【0155】
一態様では、ミクロRNAはヌクレアーゼ耐性のためにホスホロチオエートに改変された幾つかの又は全てのヌクレオチド間結合を有する、オリゴヌクレオチドギャップを含有している2’−改変オリゴヌクレオチドを含んでいる。メチルホスホネート改変の存在はオリゴヌクレオチドのその標的RNAに対する親和性を増大して、IC50を減少する。この改変も改変されたオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増大する。本発明の方法及び薬剤が、阻害性核酸分子の安定性及び効力を増強するために開発され得る技術と共に用いることができるということは理解されるであろう。
【0156】
ミクロRNA分子は、改変された骨格又は非天然のヌクレオシド間結合を含有している核酸塩基オリゴマーを包含する。改変された骨格を有するオリゴマーは、骨格にリン原子を保持しているもの及び骨格にリン原子を有していないものを包含する。この明細書の目的ために、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を有していない改変されたオリゴヌクレオチドも核酸塩基オリゴマーであると考えられている。改変されたオリゴヌクレオチド骨格を有している核酸塩基オリゴマーは、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキル−リン酸トリエステル、3’−アルキレンリン酸エステル及びキラルリン酸エステルを包含するメチル及びその他のアルキルリン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルリン酸エステル、チオノアルキルリン酸トリエステル、及びボラノリン酸エステルを包含する。多種の塩、混合塩及び遊離酸形態もまた含む。上記のリン含有結合の製造を教示する代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,196号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,306号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、及び同第5,625,050号を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。
【0157】
そこにリン原子を含んでいない改変オリゴヌクレオチド骨格を有している核酸塩基オリゴマーは、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、ヘテロ原子とアルキル若しくはシクロアルキルとの混合ヌクレオシド間結合、又は1つ又はそれ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環ヌクレオシド間結合によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成されている);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;及び混合N、O、S及びCH2成分を有するその他のものを包含する。上記のオリゴヌクレオチドの製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,610,289号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、及び同第5,677,439号を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。
【0158】
核酸塩基オリゴマーは、1つ又はそれ以上の置換糖残基を含んでいてもよい。そのような改変は、2’−O−メチル及び2’−メトキシエトキシ改変を含んでいる。その他の好ましい改変は2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、2’−アミノプロポキシ及び2’−フルオロである。同様な改変をオリゴヌクレオチド又は別の核酸塩基オリゴマーの別の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置に行ってもよい。核酸塩基オリゴマーは、ペントフラノシル糖に代えてシクロブチル残基のような糖類似物を有していてもよい。このような改変糖構造の製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、及び同第5,700,920号を包含し、それぞれはその全てが参照として本明細書に組み込まれている。
【0159】
別の核酸塩基オリゴマーでは、糖及びヌクレオシド間結合の両方、すなわち、骨格が新規な基で置換されている。核酸塩基ユニットは、miR−17−92クラスターの核酸分子とのハイブリダイゼーションに対して保持される。これらの核酸塩基オリゴマーを作成及び使用する方法は、例えば、"Peptide Nucleic Acids (PNA): Protocols and Applications" Ed. P. E. Nielsen, Horizon Press, Norfolk, United Kingdom, 1999 に記載されている。PNAの製造を教示している代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、及び同第5,719,262を包含し、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500 に見出すことができる。
【0160】
別の態様では、一重螺旋改変核酸分子(例えば、ホスホロチオエート骨格及び2’−O−Me糖改変を含んでいる核酸分子)がコレステロールと共役している。
【0161】
(核酸塩基オリゴマーの送達)
本発明のミクロRNA(これは成熟又はヘアピン形態であってよい)を、腫瘍細胞に浸入可能な裸のオリゴヌクレオチドとして提供することができる。ある場合は、ミクロRNA又はその他の核酸塩基オリゴマーの細胞への送達に役立つ製剤を用いることが望ましい(例えば、米国特許第5,656,611号、同第5,753,613号、同第5,785,992号、同第6,120,798号、同第6,221,959号、同第6,346,613号、及び同第6,353,050号を参照されたい、それぞれは参照として本明細書に組み込まれている)。
【0162】
いくつかの実施例では、ミクロRNA組成物は、少なくとも部分的に結晶、均一に結晶、そして/又は無水(例えば水分80、50、30、20、又は10%未満)である。別の実施例では、ミクロRNA組成物は、水相の形態、例えば水を含有する溶液の形態である。水相又は結晶組成物を送達用賦形剤、例えば、リポソーム(特に液相に対し)、又は粒子(例えば、結晶組成物に適切であるような微粒子)に組み入れることができる。一般に、ミクロRNA組成物は、意図する投与方法に準じている態様に製剤化される。
【0163】
ミクロRNA組成物は、他の薬剤、例えば他の治療薬剤、又はオリゴヌクレオチド薬剤を安定化する薬剤(例えば、オリゴヌクレオチド薬剤と複合体を形成するタンパク質)と組み合わせて製剤化することができる。さらなる別の薬剤は、キレート剤、例えばEDTA(例えば、Mg2+のような2価カチオンを除くために)、塩、及びRNA分解酵素阻害剤(例えば、RNAsinのような、広い特異性を持つRNA分解酵素阻害剤)を含んでいる。
【0164】
一態様では、ミクロRNA組成物が、別のミクロRNA、例えば第二ミクロRNA組成物(例えば、第1のものとは異なるミクロRNA)を含んでいる。更に別の調製物は、少なくとも3、5、10、20、50、又は100又はそれ以上の異なったオリゴヌクレオチド種を含むことができる。
【0165】
(ポリヌクレオチド治療)
ミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを特徴とするポリヌクレオチド治療は、対象における腫瘍を阻害するための別の治療手段である。ミクロRNAをコードする発現ベクターを腫瘍の治療又は予防のために対象の細胞に送達することができる。核酸分子は、細胞が取り込める形態で患者の細胞に送達されて、治療有効レベルが達成できるように有利に発現されなければならない。
【0166】
本発明によるポリヌクレオチドの細胞への送達方法は、リポソーム、ポリマー、ミクロスフェア、遺伝子治療ベクター、及び裸のDNAベクターのような、送達システムの使用を包含する。
【0167】
形質導入ウィルス(例えば、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス、及びアデノ随伴ウィルス)ベクターを、特にこれらの感染の高効率、及び安定な組み込み並びに発現により、体細胞遺伝子治療に用いることができる(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8:423-430, 1997; Kido et al., Current Eye Research 15:833-844, 1996; Bloomer et al., Journal of Virology 71:6641-6649, 1997; Naldini et al., Science 272:263-267, 1996; 及び Miyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319, 1997 を参照されたい)。
例えば、ミクロRNA分子をコードするポリヌクレオチドを、レトロウィルスベクター中にクローン化して、その内因性プロモーターから、レトロウィルスの長い末端反復から、又は目的の標的細胞型に特異的なプロモーターから発現を推進することができる。
使用できるその他のウィルスベクターは、例えば、ワクシニアウィルス、ウシ・パピローマウィルス、又はエプステイン−バールウィルスのような、ヘルペスウィルスを包含する(例えば、Miller(Human Gene Therapy 15-14, 1990)、Friedman(Science 244:1275-1281, 1989)、Eglitis et al.(Bio Techniques 6:608-614, 1988)、Tolstoshev et al.(Current Opinion in Biotechnology 1:55-61, 1990)、Sharp(The Lancet 337:1277-1278, 1991)、Cornetta et al.(Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322, 1987)、Anderson, Science 226:401-409, 1984)、Moen(Blood Cells 17:407-416, 1991)、Miller et al.(Biotechnology 7:980-990, 1989)、Le Gal La Salle et al.(Science 259:988-990, 1993)及び Johnson(Chest 107:77S-83S, 1995)のベクターも参照されたい)。レトロウィルスは特によく開発されていて、臨床の場に用いられている(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med. 323:370, 1990; Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。
【0168】
非ウィルス方法も、ミクロRNA治療薬を腫瘍があると診断された患者の細胞へ誘導するために用いることができる。例えば、リポフェクションの存在下で(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987; Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990; Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989; Staubinger et al., Methods in Enzymolgy 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド−ポリシン共役物の存在下で(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263:14621, 1988; Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264:16985, 1989)、又は手術条件下でのマイクロインジェクションによって(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)、核酸を投与してミクロRNAを細胞へ誘導することができる。ミクロRNA分子をリポソーム及びプロタミンと組み合わせて投与することが好ましい。
【0169】
遺伝子導入もインビトロでのトランスフェクションを含む非ウィルス方法を用いて実施することができる。このような方法は、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔法、及び原形質融合の使用を包含する。リポソームもDNAを細胞に送達するために有用である可能性がある。
【0170】
ポリヌクレオチド治療方法で用いるためのミクロRNAの発現を、適切なプロモータ(例えば、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)、シミアウィルス40(SV40)、又はメタロチオネインプロモーター)から指令して、適切な哺乳動物調節要素によって調節することができる。例えば、所望により、特異的な細胞型において遺伝子の発現を選択的に指令することが知られているエンハンサーを、核酸の発現を指令するために用いることができる。用いられるエンハンサーは、これに限定されないが、組織又は細胞特異的なエンハンサーとして特徴付けられているものを包含する。
【0171】
ある特定の患者に対して、個々の必要性及び組成物を投与する又は組成物の投与を監督する者の専門的な判断に従って、特異的な投与計画が長期にわたって調整されなければならない。
【0172】
(医薬組成物)
本明細書で報告するように、Mycによって調節される特異的なミクロRNAの発現の減少は腫瘍又は腫瘍形成と結びついている。従って、本発明は、腫瘍の治療又は予防のための、本明細書に記載のミクロRNAの発現を増大する治療組成物を提供する。
一態様では、本発明は、本発明のミクロRNA又は本発明のミクロRNAをコードする核酸分子を含有する医薬組成物を提供する。所望により、核酸分子は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
別の態様では、組み換えミクロRNA又はこのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドを、腫瘍細胞の生育、生存、又は増殖を減少させるために、又は腫瘍細胞のアポトーシスを増大するために投与する。本発明のポリヌクレオチドを医薬組成物の一部として投与することができる。
組成物は滅菌して、対象への投与に適している重量又は容量単位中にミクロRNA又はミクロRNAをコードする核酸分子の治療有効量を含有していなければならない。
【0173】
本明細書に記載の組み換えミクロRNA又はミクロRNAをコードする核酸分子を、単位用量形態中の、薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤内で投与することができる。従来の製薬実務を、腫瘍を患っている患者にこの化合物を投与するための適切な製剤又は組成物を提供するために採用することができる。患者が症状を示す前に投与を始めることができる。適切な投与経路を何れも採用できる。例えば、投与は、非経口、静脈内、動脈内、皮下、腫瘍内、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼科的、脳室内、肝臓内、関節内、鞘内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアゾール、坐剤、又は経口投与でよい。例えば、治療製剤は液状溶液又は懸濁液の形態であってよく;経口投与のために、製剤は錠剤又はカプセルの形態であってよく;そして鼻腔内製剤のために、粉末、点鼻薬、又はエアゾールの形態でよい。
【0174】
製剤を作成する当該技術分野で周知の方法は、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy" Ed. A.R. Gennaro, Lippincourt Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa., 2000 に見出せる。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、又は食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、植物由来のオイル、又は水素化ナフタレン類を含有していてもよい。生体適合性、生物分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリド共重合体、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体を、化合物の放出を制御するために用いることができる。阻害性核酸分子に対して有用であろう他の非経口送達システムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み式注入システム、及びリポソームを包含する。吸入用の製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含んでいてよく、或いは例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート及びデオキシコレートを含有する水溶液であってよく、又は点眼液の形態で、又はゲルとして投与するための油性溶液であってもよい。
【0175】
この製剤を、腫瘍性の病気又は疾患の治療をもたらすために、ヒト患者に治療有効量(例えば、病状を予防する、取り除く、又は減少させる量)で、投与することができる。本発明の核酸塩基オリゴマーの好ましい用量は、疾患の型及び程度、特定患者の全般的な健康状態、化合物の製剤、賦形剤、及び投与の経路のような変数によって決まるだろう。
【0176】
腫瘍性の病気又は疾患を有する患者に対する、有効量は、腫瘍の増殖が安定化する、遅延する、又は減少するのに十分なものである。一般に、本発明の活性ポリヌクレオチド組成物の用量は、1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり約1000mg/kgである。約50〜約2000mg/kgの用量範囲が適切であろうと予想される。低用量は、静脈内投与のような、ある特定の投与形態からもたらされるだろう。初期用量の適用時に患者の応答が不十分な場合は、高用量(又は異なった、より局所の送達経路による効果的な高用量)を患者の耐性が許す範囲で採用することができる。1日当たりの複数回投与は、本発明のミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドの適切な全身レベルをもたらすことを意図している。
【0177】
従って、本発明は、本明細書に記載のミクロRNAを含有している組成物の治療有効量を対象(例えば、ヒトのような、哺乳動物)に投与することを含有してなる、病気及び/又は疾患又はそれらの症状を治療する方法を提供する。故に、一態様は腫瘍性の病気又は疾患若しくはそれらの症状を患っているかまたはそれに罹りやすい対象を治療する方法である。この方法は、哺乳動物に、病気又は疾患を治療する条件下で、本明細書のミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードする核酸の、腫瘍性の病気若しくは疾患又はそれらの症状を治療するのに十分な、治療有効量を投与する工程を含んでいる。
【0178】
本明細書に記載の方法は、それを必要とする対象における腫瘍の生育若しくは生存を予防、治療、安定化、又は減少するために、対象(このような治療が必要であると同定された対象を含んでいる)に、本明細書に記載の化合物、又は本明細書に記載の組成物の有効量を投与することを含んでいる。このような治療が必要な対象の同定は、対象若しくは医療専門家の判断で行うことができ、そして主観的(例えば、見解)又は客観的(例えば、試験又は診断法によって測定可能である)に行うことができる。
【0179】
本明細書で用いられる用語「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、疾患及び/又はそれに付随する症状を減少させること又は軽減することを示している。当然のことながら、妨げられないことではあるが、病気又は疾患を治療することは、病気、疾患又はそれらに付随する症状を完全に除去することを必要としない。
【0180】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」などは、病気又は疾患を有していないが、病気又は疾患が進展する危険性があるか又はこれに罹りやすい対象における病気又は疾患を進展させる可能性を低減することを示す。
【0181】
本発明の治療方法(予防的治療を含む)は、一般に、ミクロRNA又は本明細書に記載のようなミクロRNAをコードする核酸のような、本明細書に記載の薬剤の治療有効量を、それを必要とする、哺乳動物、特にヒトを包含する対象(例えば、動物、ヒト)へ投与することを含んでいる。このような治療は、病気、疾患、又はそれらの症状を患っている、有している、罹りやすい、又はその危険性がある対象、特にヒト、へ適切に投与することができる。「危険性のある」対象の確認は、対象又は医療提供者の診断試験又は見解(例えば、遺伝子試験、酵素またはタンパク質マーカー、Marker(例えば、増大したMyc発現又はMyc調節の変化に伴う腫瘍、又は本明細書で定義したようなもの)、家族歴、など)による客観的又は主観的な何れかの確認によって行われる。本明細書に記載の化合物は、Mycの調節不全が影響している可能性がある他の疾患の何れの治療にも使用することができる。
【0182】
一態様では、本発明は治療経過をモニターする方法を提供する。この方法は、Mycの調節不全に関連する疾患又はそれらの症状に罹っているか、又は罹りやすい対象で、疾患又はその症状を治療するのに十分な本明細書に記載の化合物の治療量を投与されている対象における、診断マーカー(Marker)(例えば、本明細書に記載の化合物によって調節される本明細書に説明されている標的の何れか、タンパク質又はそれらの指標物質など)のレベルの測定又は診断測定(例えば、スクリーニング、試験)の段階を含んでいる。この方法で測定されたMarkerのレベルを、健常な対照又は他の罹患者における公知のレベルと比較して対象の病状を明らかにすることができる。好ましい態様では、対象におけるMarkerの第2のレベルを、第1のレベルの測定より遅い時点で測定して、2つのレベルを比較して疾患の経過又は治療の効果を監視する。ある特定の好ましい態様では、対象における治療前のMarkerレベルを、本発明による治療開始の前に測定し、次いでこの治療前Markerレベルを、対象の治療開始後のMarkerレベルと比較して、治療の効果を確認する。
【0183】
(治療)
癌治療が行われるどこにおいても:家庭、医院、診療所、病院の外来、又は病院:治療を提供することができる。一般に治療は、医者が治療効果を綿密に観察して、必要によって何れの調節もできるように、病院で開始する。治療の期間は、治療する腫瘍の種類、患者の年齢及び状態、患者の疾患の段階及び型、及び患者の身体がこの治療に如何に応答しているかによって決められる。薬剤投与は異なった間隔(例えば、毎日、週に1回、月に1回)で行える。治療を、患者の身体が健康な新しい細胞を形成してその強度を取り戻す機会を得るために、休止期間を含む断続的な周期で行ってよい。
【0184】
癌のタイプ及びその進展の段階によって、治療を、癌の転移を遅延するために、癌の生育を遅延するために、原発腫瘍から身体の別の部位に転移し得る癌細胞を殺すか又は生育停止するために、癌によって引き起こされた症状を緩和するために、又は最初の位置で癌を阻止するために用いることができる。上記のように、必要により、ミクロRNA又はそのようなミクロRNAをコードするポリヌクレオチドによる治療を、増殖性疾患の治療のための治療法(例えば放射線療法、手術、又は化学療法)と組み合わせることができる。上記の適用の何れの方法に対しても、本発明のミクロRNAを静脈内投与することが好ましく、或いは腫瘍部位に適用される(例えば、注射で)。
【0185】
(診断)
以下に詳細に記載するように、本発明は、Mycで調節された腫瘍に関係しているミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現の減少を確認した。これらのマーカーの1つ又はそれ以上の発現レベルの減少を、Mycの異常調整に関連する腫瘍を有する患者を診断するために用いることができる。一態様では、方法は、以下のマーカーの一つ又はそれ以上のレベルの減少を試験して、本発明の方法を用いる治療に適している腫瘍を同定する;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1。
【0186】
一態様では、対象が腫瘍を有していると又は腫瘍進展の性向を有していると診断され、その方法が、患者から得られる生体試料におけるマーカーを測定すること、及び1つ又はそれ以上のマーカー分子における参照分子の配列又は発現と比較した発現の変化を検出することを含んでいる。マーカーは典型的にミクロRNAを包含する。
【0187】
本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の減少した発現は、本明細書に記載の組成物又は方法を用いる治療に適している腫瘍を同定するために用いられる。従って、本発明は患者におけるそのような腫瘍を同定するための組成物及び方法を提供する。遺伝子発現の変化は、当業者に公知であって本明細書に記載されている方法を用いて検出される。そのような情報を、腫瘍を診断するために、又は本発明の治療法に適しているような腫瘍を同定するために用いることができる。
【0188】
一方法では、本発明の診断方法が、参照(例えば、健常な組織のような、対応する対照組織中に存在するミクロRNAのレベル)と比較した、生体試料中のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現を試験するために用いられる。本発明のミクロRNAと特異的に結合する典型的な核酸プローブは本明細書に記載されている。「核酸プローブ」とは、本発明のミクロRNAと結合するか又はこれを増幅する核酸分子、又はその断片の何れもを意味している。このような核酸プローブは腫瘍の診断に有用である。
【0189】
一方法では、定量的PCR方法が、本発明のミクロRNAの発現における減少を同定するために用いられる。別の方法では、本発明のミクロRNAとハイブリダイズするプローブが用いられる。プローブの特異性は、プローブが天然の配列、対立遺伝子多型、又は他の関連する配列とハイブリダイズするか否かを確認する。ハイブリダイゼーション技術を、腫瘍を示す変異を同定するために用いることができ、或いはこれらの遺伝子の発現レベルを監視するために(例えば、ノーザン分析によって)用いることができる(Ausubel et al., supra)。
【0190】
一般に、対象試料中の核酸分子又はタンパク質の測定値を、参照中に存在する診断量と比較する。腫瘍組織と対照組織の間では診断量が異なる。利用する特定の診断量は診断医の裁量によって、診断試験の感度又は特異性を上げるために調節できることを、当業者は理解されたい。一般に、参照と比較した、対象試料における試験核酸分子又はポリペプチドのレベルの何れの有意な増加又は減少も(例えば、少なくとも約10%、15%、30%、50%、60%、75%、80%、又は90%)、腫瘍の診断又は特徴付けに用いることができる。
試験分子は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の1つ又はそれ以上の何れも包含する。
一態様では、参照は、腫瘍を有していない患者から得られる対照試料中に存在する試験ポリペプチド又は核酸分子のレベルである。
別の態様では、参照は、腫瘍治療の前に、最中に、又はその後に患者から得られる生体試料に存在する試験分子の基準レベルである。
更に別の態様では、参照は標準化曲線であってもよい。
【0191】
(生体試料のタイプ)
腫瘍を有しているか又はその進展の危険性がある患者由来の生体試料中のマーカーのレベルを測定でき、そして参照分子の配列又は発現と比較したマーカー分子の発現における変化を、異なったタイプの生体試料中で測定することができる。
試験マーカーは以下の1つ又は全ての何れも包含する;miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1。
生体試料は一般に患者から、好ましくは体液(血液、脳脊髄液、痰、唾液、又は尿のような)又は組織試料(例えば、生検で得られる組織試料)から得られる。
【0192】
(キット)
本発明は、腫瘍の予防、治療、診断又は監視するためのキットを提供する。
一態様では、キットは、対象に投与するためのミクロRNA分子を提供する。
別の態様では、キットは、参照配列又は参照発現レベルと比較した、対象から得られるmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の配列又は発現の変化を検出する。
関連する態様では、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1核酸分子とハイブリダイズするプライマー又はプローブのような、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1の発現を監視するための試薬を含んでいる。
【0193】
随意に、キットは対象から得られる生体試料中のMarkerの核酸分子を監視するための説明書を含んでいる。
他の態様では、キットは、プライマー、プローブ、抗体、又は他の検出試薬を含有している滅菌容器を含んでいて、このような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知の他の適切な容器であってよい。このような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は核酸を保持するのに適している他の材料で作られていてよい。
使用説明書は一般に、本明細書に記載のプライマー又はプローブの使用及びそれらの腫瘍を診断する際の使用に関する情報を含んでいる。好ましくは、キットは更に、本明細書に記載の診断試験に記載されている試薬の何れか1つ又はそれ以上を含んでいる。
他の態様では、使用説明書は以下のものの少なくとも1つを含んでいる;プライマー又はプローブの説明、腫瘍の診断のための同封してある物質の使用方法、注意、警告、指示、臨床又は調査研究、及び/又は参照。使用説明書は容器に直接印刷するか(容器がある場合)又は容器に貼付したラベルとして、又は容器中に又は一緒に供給される、別のシート、パンフレット、カード、又はフォルダーとしてもよい。
【0194】
(スクリーニング試験)
本発明の一態様は、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の発現又は活性を増大する薬剤を同定する方法を包含している。従って、本発明のミクロRNA若しくは変異体、又はそれらの部分の発現若しくは活性を増大する化合物は、腫瘍の治療又は予防のための本発明の方法において有用である。本発明の方法は、本発明のミクロRNAの1つ又はそれ以上の転写における増大を測定できる。そのような化合物を同定するスクリーニング試験を実施するために多くの方法を利用できる。一方法では、方法は本発明のミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)を発現する細胞を薬剤と接触させて、薬剤と接触させた細胞における発現のレベルを対照細胞における発現レベルと比較することを含んでいて、本発明のミクロRNAの発現を増大する薬剤が、腫瘍を阻害する。
【0195】
他の態様では、この薬剤は、実質的に本発明のミクロRNAの機能を果たす、ミクロRNA模倣薬として作用する。候補模倣薬は、有機分子、ペプチド、ポリペプチド、核酸分子を包含する。本発明の小分子化合物は、好ましくは2,000ダルトン以下の、より好ましくは300〜1,000ダルトンの間の、更に好ましくは400〜700ダルトンの間の分子量を有している。これらの小分子化合物が有機分子であることが好ましい。本明細書に記載の何れかの方法で単離された化合物は、ヒト患者における腫瘍を治療する治療薬として用いることができる。
【0196】
更に、本発明のミクロRNAの発現を増大する化合物は、本発明の方法においても有用である。miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の発現を増大する新規な候補化合物を同定するスクリーニング試験を行うために多くの方法を利用するできる。本発明は、上記のスクリーニング試験によって同定される新規な化合物も包含する。随意に、このような化合物は、腫瘍の治療のための化合物の有効性を確認するために、1つ又はそれ以上の適切な動物モデルにおいて特徴付けられる。望ましく、動物モデルにおける特徴付けは、毒性、副作用、又はこのような化合物による治療の作用メカニズムを確認するためにも用いることができる。更に、上記のスクリーニング試験の何れかで同定された新規な化合物を、対象における腫瘍を治療するために用いることができる。このような化合物は単独で又は当該技術分野で公知の他の従来の治療方法と組み合わせて有用である。
【0197】
(試験化合物及び抽出物)
一般に、ミクロRNA(例えば、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1)の発現又は生物活性を増大することによって腫瘍の生育又は増殖を阻害することができる化合物は、天然生成物又は合成(又は半合成)抽出物のどちらかの大きなライブラリー、又は化学ライブラリーから、当該技術分野で公知の方法に従って、同定される。これに限定されないが、糖、脂質、ペプチド、及び核酸由来の化合物を包含する、多数の化学化合物のランダム又は直接合成(例えば、半合成又は全合成)を行うために多数の方法を利用することができる。合成化合物ライブラリ−が Brandon Associates (Merrimack, N. H.) 及びAldrich Chemical (Milwaukee, Wis.) から市販されている。また、細菌、真菌、植物、及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーは、Biotics (Sussex, UK), Xenova (Slough, UK), Harbor Branch Oceangraphics Institute (Ft. Pierce, Fla) 及び PharmaMar, U.S.A. (Cambridge Mass.) を含む、多くの供給元から市販されている。
【0198】
一態様では、本発明の試験化合物は、当該技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリーの何れかに存在していて、このライブラリーは、生物ライブラリー;ペプチドライブラリー(ペプチドの機能性を有しているが、酵素分解に対して耐性でありそれでもなお生物活性を保持している新規で非ペプチド骨格を有している、分子のライブラリー;例えば、Zuckermann, R.N. et al., J. Med. Chem. 37:2678-85, 1994 を参照されたい);空間的にアドレス可能な平行固相又は溶液相ライブラリー(spatially addressable parallel solid phase or solution phase libraries);デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー方法;「一ビーズ一化合物(one-bead one compound)」ライブラリー方法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法を包含する。生物ライブラリー及びペプトイドライブラリー方法はペプチドライブラリーに限定されている一方、その他の4つの方法は、化合物のペプチド、非ペプチドのオリゴマー又は小分子ライブラリーに適用可能である(Lam, Anticancer Drug Des. 12:145, 1997)。
【0199】
分子ライブラリーの合成方法の例は当該技術分野、例えば、DeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909, 1993; Erb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422, 1994; Zuckermann et al., J. Med. Chem. 37:2678, 1994; Cho et al., Science 261:1303, 1993; Carrell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059, 1994; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061, 1994; and Gallop et al., J. Med. Chem. 37:1233, 1994 中に見出すことができる。
【0200】
化合物のライブラリーは溶液中(例えば、Houghtem, Biotechniques 13:412-421, 1992)、又はビーズ(Lam, Nature 354:82-84, 1991)、チップ(Fodor, Nature 364:555-556, 1993)、細菌(Lander, 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner, 米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869, 1992)上、又はファージ上(Scott and Smith, Science 249:386-390, 1990; Devlin, Science 249:404-406, 1990; Cwirla et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382, 1990; Felici, J. Mol. Biol. 222:301-310, 1991; Lander supra)に存在してもよい。
【0201】
更に、薬品の発見及び開発分野の当業者は、デレプリケーション(dereplication;分類学的デレプリケーション、生物学的デレプリケーション、及び化学的デレプリケーション、又はこれらの組合わせの何れか)又は抗腫瘍活性が既知の物質の複製物又は複写物の消去を可能なときに利用すべきである、ということを容易に理解できる。
【0202】
本発明の一態様では、異なった化学物質のmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR−15a/16−1の活性を増強する能力についてスクリーニングするためにハイスループット手段を用いることができる。
【0203】
薬品の発見及び開発分野の当業者は、化合物又は試験抽出物の正確な起源は本発明のスクリーニング方法にとっては重大ではないということを理解できるであろう。従って、実質的に多数の化学抽出物又は化合物を本明細書に記載の方法を用いてスクリーニングすることができる。このような抽出物又は化合物の例は、これに限定されないが、植物、カビ、原核生物、又は動物由来の抽出物、培養液、及び合成化合物を、更に既存化合物の改変体を包含する。
【0204】
粗抽出物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1、変異体、又はそれらの断片の生物活性を増強することが見出されたときは、観察された効果に関与する化学成分を単離するために、陽性をもたらす抽出物の更なる分画が必要である。従って、抽出、分画、及び精製工程のゴールは、抗腫瘍活性を有する粗抽出物内にある化学物質の注意深い特徴付け及び同定である。このような異種抽出物の分画及び精製の方法は当該技術分野で公知である。所望により、腫瘍の治療のために有用であることが示された化合物を当該技術分野で公知の方法によって化学的に改変する。
【0205】
本発明の実施は、別に指示しない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生物化学及び免疫学の従来の技術を利用し、これらは十分に当業者の知識の範囲内である。このような技術は、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Animal Cell Culture" (Freshney, 1987); "Methods in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (Ausbel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis, 1994), "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 1991) のような、文献中に十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの生成に適用でき、従って、それ自体が本発明を形成し実施するものと考えられる。特定の態様のために特に有用な技術は以下の項で説明されるだろう。
【0206】
以下の実施例は、本発明の試験、スクリーニング、及び治療の方法を如何に作成し使用するかを完全なる開示及び記述によって当業者に提供するために示されるもので、発明者がその発明と見なしているものの範囲を限定するようには意図されていない。
【実施例】
【0207】
実施例1:Mycで抑制されたmiRNAの同定
スポットしたオリゴヌクレオチドアレイを、Mycの直接転写標的としてmir−17クラスターを同定するために用いた(O'Donnel et al., Nature 435, 839-43 (2005))。MycがさらなるmiRNAを調節するか否かを確認するために、313個のヒトmiRNA及び233個のマウスmiRNAの発現を試験できるプローブの拡張セットを用いて、カスタムマイクロアレイを作成した。Mycが介在する腫瘍形成の2つのモデルを分析のために選択した。Mycのテトラサイクリン(tet)抑制性対立遺伝子を包含している、エプスタインバールウィルス不死化ヒトB細胞である、P493‐6細胞(Pajic et al., Int J Cancer 87, 787-93 (2000))を用いた。これらの細胞は免疫不全マウスにおいて発癌性であり、そしてヒトB細胞リンパ腫のモデルを示す(Gao et al., Cancer Cell 12, 230-8 (2007))。miRNAの発現プロファイルを、高Myc(−tet)及び低Myc(+tet)状態で試験した。Myc誘発B細胞リンパ腫のネズミモデルにおいてもmiRNA発現を試験した。この系において、p53−/−マウス由来の骨髄をMyc−エストロゲン受容体融合蛋白質(MycER)を生産するレトロウィルスで感染させた。感染細胞は、MycER融合蛋白質を活性化する、4−ヒドロキシタモキシフェン(4−OHT)の存在下でポリクローナルB細胞リンパ腫を形成する(Yu et al., Cancer Research 65,5454-5461 (2005), Yu et al., Oncogene 21, 1922-7 (2002))。高Myc活性(連続的に4−OHTで処置した動物)及び低Myc活性(腫瘍形成後に4−OHTを除去した動物)を有する皮下腫瘍由来のRNAを分析した。両モデルについての完全発現プロファイリングデータを表1及び2(以下)に提示する。
【0208】
【表1−1】
【0209】
【表1−2】
【0210】
【表2−1】
【0211】
【表2−2】
【0212】
【表2−3】
【0213】
【表2−4】
【0214】
【表2−5】
【0215】
【表2−6】
【0216】
【表2−7】
【0217】
【表2−8】
【0218】
ヒト及びマウスの両モデルにおいて高Myc状態で2倍以上の上方調節又は下方調節を示した全てのmiRNAを更なる分析のために選択した。両モデルで1.5倍以上の発現の変化を示したmiRNAも、a)このmiRNA又は関連ファミリーメンバーが癌の中で消滅するか又は突然変異することが知られているか、又はb)関連ファミリーメンバーが両モデルにおいて2倍以上変化していれば選択した。
【0219】
明らかに、両モデル系におけるMyc誘発による顕著な影響は、miRNA発現の広範な抑制であった。本検討に含める基準を満たす上方調節されたmiRNAは殆ど無かった。先の知見と一致して、mir−17クラスター由来のmiRNAは、両モデルにおけるMycによって2倍以上上方調節された。miR−7は、マイクロアレイ実験で同定された、唯一の更に連続して上方調節されたmiRNAであった。しかしながら、このmiRNAはノーザンブロッティングで検出されなかったので、更に検討しなかった。潜在的に21の異なった転写ユニットを示す、少なくとも13の下方調節されたmiRNAが本検討に含めるための基準を満たしていた(表3)。
【0220】
【表3】
【0221】
これらの下方調節されたmiRNAのうち、miR−15a、miR−22、miR−26a、 miR−29c、miR−34a、miR−195、及びlet−7は、癌の中で消滅することが知られているゲノム領域中で突然変異又は定住する(Calin et al., N Engl J Med 353, 1793-801 (2005), Calin et al., Proc Natl Acad Sci USA, 101, 2999-3004 (2004))。
【0222】
マイクロアレイ分析で検出された発現変化を裏付けるために、高Myc発現(−tet)及び低Myc発現(+tet)のP493−6細胞中でのmiRNA発現を試験するためにノーザンブロッティングを用いた(図1A−1C)。miRNAファミリーの複数のメンバーが発現変化を示した(miR−26a/b、miR−29a/c、miR30e/c、及びlet−7ファミリーのメンバー)場合は、クロスハイブリダイゼーションがマイクロアレイの信号に分配された可能性を考慮した。僅か2つのヌクレオチドが異なるmiR−29ファミリーのメンバーを特異的に試験できるノーザンブロッティング条件は既に確立されていた(Hwang, Science 315, 97-100 (2007))。これらの条件を、ヌクレオチドが3つ異なるmiR−26a及びmiR−26b、並びにより複雑なmiR−30及びlet−7ファミリーを除く全てのmiRNAの発現を試験するために用いた(図1A)。全ての場合において、ノーザンブロッティングで得られた結果はマイクロアレイで得られたものとよく一致していた。下方調節されたmiRNAとクラスターになっている全ての追加miRNAをノーザンブロッティング検討に加えた(miR−16、miR−29b、及びmiR−497)。殆どの場合において、クラスターになっているmiRNAは、miR−195とクラスターになって、マイクロアレイ及びノーザンで検出されなかったmiR−497を除いて、同様に挙動した(例えば、miR−29a/b、miR−29b/c、miR−15a/miR−16)。
【0223】
より大きいmiR−30及びlet−7ファミリーについて、各ファミリーメンバーについての特異的ハイブリダイゼーション条件を確立するために追加の実験を実施した。let−7ファミリーはかなり複雑なので、miRNAのこの群の分析はこの報告書の後に別に記載する。miR−30ファミリーは、3つのクラスターにまとまっている5つの別々の成熟miRNA配列(miR−30a−e)から成っている(図1B)。特異的ノーザンブロッティング条件を、それぞれのmiR−30ファミリーメンバーと配列同一性を有する合成RNAオリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションプローブによって確立した(図1C)。内因性miR−30aは検出不能であって、miR−30a/miR−30c−2クラスターはこの細胞株では発現されないことを示唆している。別の2つのmiR−30クラスターは発現されて、高Myc状態で下方調節された。
【0224】
MycER腫瘍において幾つかのmiRNAの発現を更に試験して、期待した抑制も観察された(図1D)。次に、Mycの過剰発現と関連するヒト腫瘍細胞が想定されるように抑制されたmiRNAの低いレベルを示すか否かを確認した。既に刊行されているmiRNAの発現プロファイリングのデータセット(He et al., Nature 435, 828-33 (2005))の分析では、殆どのMycで抑制されたmiRNAは、非形質転換B細胞においてよりも、バーキットリンパ腫細胞においてより低いレベルで発現されたことを明らかにした(図2A)。更に、バーキットリンパ腫細胞株中で短いヘアピンRNA(shRNA)を用いるMyc発現の阻害が、大きくはないが一貫したこれらのmiRNAの上方調節をもたらした(図2B、C)。
【0225】
実施例2:Mycのpri−miRNAのプロモーターとの結合
Mycは、それが抑制する遺伝子のコアプロモーターと結合するということが過去の研究で明らかにされている(Kleine-Kohlbrecher et al., Curr Top Microbiol Immunol 302,51-62 (2006))。P493−6細胞中の下方調節されたmiRNAのプロモーターにMycが存在するかを試験するためにクロマチン免疫沈降(ChIP)を用いた。既に規定された転写開始部位を伴うpri−miRNA内に含まれているmiRNAを最初に分析した。8miRNA(miR−15a/16−1、miR−22、miR30e/30c−1、miR−26a−1、miR−26a−2、及びmiR−26b)をコードする、6つのそのような転写物が、本明細書で報告された発現検討に基づくMycの推定陰性標的である(図3A)。注目すべきことに、Myc結合部位のゲノムレベルの解析では、miR−15a/16−1の1次転写物である、DLEU2のプロモータとのMycの結合を既に明らかにしている(Mao et al., Curr Biol 13, 882-6 (2003))。miRNAの発現は試験しなかったが、高Myc状態でDLEU2の発現が減少することが見出された。Myc結合を試験するために、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アンプリコンを、これらのmiRNAの転写開始部位の近くの3つの250塩基対(bp)ウィンドー内に、すなわち、転写開始部位のすぐ上流にアンプリコンSを、アンプリコンSの500bp上流に位置してアンプリコンUを、そしてアンプリコンSの500bp下流に位置してアンプリコンDを設計した(図3B)。miR−26a−1及びmiR−26a−2に対するプロモーターのGC含量が高いので、これらのmiRNAについてはこれらのアンプリコンのサブセットのみが設計できた。陽性対照として、Mycの有効な下方調節された標的である、CDKN1A(p21WAFI/CIPI)のプロモーター領域内にアンプリコンを設計した(Seoane et al., Nature 419, 729-34 (2002))。関連のない抗体で生じたChIP試料と比べると、MycChIP試料中でCDKN1Aプロモーターアンプリコンの50倍の富化(50−フォールドエンリッチメント)が観察された(図3C)。従って、50−フォールドエンリッチメントを以下の全ての検討での陽性Myc結合の閾値として設定した。この閾値以上の信号が、試験した6つのpri−miRNAのそれぞれの転写開始部位付近で得られ、Mycがこれらのプロモーターと結合する強力な証拠をもたらした(図3C)。Mycの発現がtetで処理して阻害されたときに、これらの信号は劇的に減少して、これらの知見の特異性を明らかにしている。
【0226】
実施例4:Mycの、miRNAの保存領域の上流との結合
let−7miRNAクラスターのサブセット(これは下に詳細に記述する)を除いて、残りの下方調節されたmiRNAは転写開始部位がマッピングされていないので、関連するMyc結合部位の同定には、異なった戦略が必要である。図3Aに示したpri−miRNAが説明するように、miRNAプロモーターは、miRNAの数キロ塩基(kb)〜>100kb上流に位置できる。一般によく保存されているmiRNAは、プロモーターも保存される傾向にあるだろうという仮定を導き出す。従って、miRNAの保存候補領域の上流を、そこでMyc結合を評価するために、選択した。この戦略の最初の試験として、miR−29b−2/29cクラスターを試験した。Vistaソフトウェアパッケージ (http://grnome. lbl. gov./vista/index.shtml) を用いて、これらmiRNAの約20kb上流にある保存の正確な領域を確認した(図4A、アンプリコンC)。P493−6細胞におけるChIP分析は、)Mycの特異的なこの保存領域との有意な結合を明らかにした(図4B)。Mycは非保存領域の近くには結合せず(図4A、アンプリコンN)、この知見の特異性を明らかにした。同様な戦略を、残りの下方調節されたmiRNAの上流でのMycの結合を評価するために用いた。miR−29b−1/29aクラスター、miR−30d/30bクラスター、miR−34a及びmiR‐146aの保存領域の上流とのMyc結合の証拠が得られた(図4B及び図5−8)。miR−195/497クラスターの上流で顕著なMyc結合も観察された。しかしながら、この結合部位がBCL6B転写の転写開始部位にも近いので、Myc結合がmiRNAではなく、この転写の調節をもたらすという可能性を排除することはできない(図9A及び9B)。いくつかのアンプリコンを試験したにもかかわらず、MycがmiR−150の近辺で結合するという証拠は得られなかった(図10A及び10B)。更なる陰性対照として、P493−6細胞中で発現されなかったmiR−30a/30c−2クラスターの6つの保存部位の上流においてMyc結合を試験した(図1C)。予想通りに、これらのどのアンプリコンは陽性ChIP信号を生じなかった(図11A及び図11B)。
【0227】
Mycが、6つの試験した構造が公知のmiRNA転写ユニット(図3)のうちの6つの転写開始部位の近くで結合すると仮定すると、miR−29b−1/29a、miR−29b−2/29c、miR−30d/30b、miR−34a、miR−146a、及び恐らくmiR−195/497の上流に確認された保存Myc結合部位はmiRNAプロモーター内にあると思われる。これを直接試験するために、cDNA末端の迅速増幅(RACE)を行って、これらpri−miRNAのサブセットを完全に特性化した。これら転写物のうちの3つについては、スプライスされた発現配列標識(ESTs)がRACEの出発点として用いるために入手可能である。更なるmiRNAである、miR−34aについて、1次転写物の完全構造が最近報告された(Chang et al., Mol Cell 26, 745-52 (2007))。これらのケースのそれぞれで、実験的に同定されたpri−miRNAの5’末端は、最大Myc結合を示す保存部位と明確に一致した(図4C)。注目すべきことに、最近公表された別の研究が、miR−146aに対する同一の転写開始部位を定義している(Taganov et al., Proc Natl Acad Sci USA 103,12481-6 (2006))。要約すると、13の構造が公知及び未知の両方の抑制されたmiRNA転写ユニットのうち、12の上流のMycによる結合部位が確認された。これらのケースのうち10において、Myc結合部位がpri−miRNA5’末端と明確に一致することが確認された。これらの知見は、高Myc状態において観察されるmiRNAの抑制の大半が、miRNAプロモーターへのMyc結合の直接の結果であろうことを示唆している。
【0228】
実施例5:let−7miRNAクラスターの調整制御の解析
高Myc状態で下方調節されたmiRNAは、8つの異なった転写ユニットから産生した9つの高度に関連する成熟miRNA配列を含むlet−7ファミリーのメンバーを含有していた(図12A)。let−7miRNAは、肺癌中で下方調節されることが知られていて、証拠によりこれらのmiRNAが腫瘍抑制活性を保有していることが示唆されている(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2005), Takmizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6, (2004), Yanaihara, et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))。ほぼ全てのヒトlet−7miRNAに特異的なハイブリダイゼーション条件は、ノーザンプローブを、それぞれのlet−7ファミリーメンバーと配列が同一の合成RNAオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることによって確立された(図12B)。特異的ハイブリダイゼーション条件は、let−7miRNAのサブセットとクラスターになっているmiR−99/100ファミリーのメンバーに対しても確認された(図12C)。3つのlet−7クラスターもmiR−125ファミリーのメンバーを包含し、これらは標準ノーザンブロット条件を用いて識別すると十分に異なっている(miR−125aとmir−125bの間で7つのヌクレオチドが異なっている)。P493−6細胞における、let−7a、let−7d、let−7g、miR−99a、及びmiR−125bの発現を検出して、全てが高Myc状態で下方調節された(図12B−12D)。試験した残りのmiRNAは検出されなかった。これらのデータはこの細胞株における、let−7a−1/let7−f−1/let7dクラスター、miR−99a/let−7c/miR−125b−2クラスター、及びlet−7gの発現とのみよく一致している。
【0229】
これらのmiRNA転写ユニットのプロモーター又は保存部位の上流とのMyc結合を評価するためにChIPを再び用いた。未だ特徴付けされていないpri−miRNA内に含まれているlet−7a/let−7f‐1/let−7dクラスターの保存部位上流、及びlet−7g pri−miRNAの転写開始部位へのMyc結合の強力な証拠が得られた(図13)。50−フォールドエンリッチメント閾値以上の信号は、miR−99a/let−7c/miR−125b−2 pri−miRNAに対する2つの代替的転写開始部位のどちらにおいても得られず、この転写が直接のMyc標的ではないことを示唆した。
【0230】
実施例6:Mycで抑制されたmiRNAの発現は、インビボでリンパ腫細胞の生育を阻害する。
特異的なmiRNAの下方調節がMycが介在する腫瘍形成に寄与するか否かを確認するために、既に報告されているB細胞リンパ腫形成のインビボ選択モデルを用いた(Yu et al., Ann N Y Acad Sci 1059, 145-59 (2005))。個々のヒトmiRNA又はmiRNAクラスターをネズミ幹細胞ウィルス(MSCV−PIG)の誘導体中でクローン化してレトロウィルス発現ベクターを最初に作成した。これは緑色蛍光タンパク質(GFP)も発現する(図14A)(Hemann et al., Nat Genet 33, 396-400 (2003))。10個の異なったmiRNA発現構築物を作成した(miR−15a/16−1、miR−22、miR−26a−2、miR−29b−1/29a、miR−30b、miR−34a、miR−146a、miR−150、miR−195/497、及びlet−7a−1/let−7f−1)。このセットは、高Myc状態で下方調節された全ての固有のmiRNA、及びそれぞれの下方修正されたmiRNAファミリーの少なくとも1つのメンバーを含有していた。それぞれの成熟miRNA配列がヒト及びマウスの間で同一である。レトロウィルス構築物を、p53−/−マウス由来の骨髄中でMycを発現して作成したBリンパ腫細胞株である、Myc3細胞を感染するために用いた(Yu et al., Blood 101, 1950-5 (2003))。他の腫瘍遺伝子による形質転換の設定において、これらのmiRNA発現の影響を確認するために、v−Abl腫瘍遺伝子で形質変換されたpro−B細胞である、38B9細胞(Alt et al., Cell 27, 381-390 (1981))を、並列実験で用いた。レトロウィルスの感染条件を、約50%GFP陽性の受容細胞が達成できるように調節して、これらの混合培養物をSCIDマウスに皮下注射した。約3週間後に、得られた腫瘍を除去して残存しているGFP陽性細胞の割合を測定した。腫瘍形成を阻害するmiRNAの発現は、レトロウィルスに感染した細胞を選択的に阻害して、それによって腫瘍中のGFP陽性細胞の分画の減少をもたらすであろう。
【0231】
レトロウィルスの発現が生理的に的確なレベルの成熟miRNAを産生するか否かを評価するために、レトロウィルスで感染したMyc3及び38B9細胞 におけるmiRNAの発現レベルを、非形質転換pro−B細胞株YS−PB11における内因性発現レベルと比較した(Lu et al., J Immunol 161, 1284-91 (1998))(図15)。YS−PB11においては発現しなかった、miR−150の発現レベルをMycOFF腫瘍と比較した。ほぼ全ての場合において、レトロウィルスのmiRNA発現のレベルは、生理的な環境で0.6〜6倍の範囲で観察された。高レベルの発現は、両細胞株においてmiR−22で、及び38B9細胞においてmiR−195で得られたので、これらの環境においてこれらのウィルスで観察された結果は、慎重に解釈すべきである。
【0232】
let−7a−1/let−7f−1、miR−29b−1/29a、及びmiR−146aによる安定に感染された細胞集団は確立することが不可能であった。これはこれらのウィルスの非効率的なパッケージングの結果である可能性もあるが、このことはインビトロでの細胞生育の間にこれらのmiRNAが強力な陰性選択を強要したことを示唆しているかもしれない。残りのウィルスについては、GFP−陽性によって評価すると、受容細胞の感染が30〜70%達成された。空の、miR−18aの又はmiR−30bのウィルスで感染したMyc3及び38B9細胞集団においてGFP−陽性細胞の分画が、腫瘍形成の前及び後に一定に残存した(図14B)。その一方、miR−34a、miR−150、miR195/497、及びmiR15a/16−1ウィルスで感染したMyyc3又は38B9細胞は腫瘍から殆ど除去され、Myc及びv−Ablの両方が介在する形質転換の環境において、これらのmiRNAは抗腫瘍形成特性を有していることを示唆した。miR−26aはMyc形質転換細胞に特異的に腫瘍形成を阻害したのに対して、miR−22の発現はv−Abl形質転換細胞における腫瘍形成のみに作用した。重要なことに、miRNA発現の強さと観察された表現型との間の相関性は見られず、これらの結果がレトロウィルス過剰発現の産物を示す可能性が低いことを示唆している。例えば、両細胞株において腫瘍形成に対する最も強い陰性効果の1つを有していた、miR−15a/16−1は、最も低いレベルのレトロウィルス発現を示した(図15A及び15B)。これらのデータは、Mycが抑制する幾つかのmiRNAが、Mycが介在する形質転換の環境、更には他の腫瘍遺伝子による形質転換の状況の両方において、腫瘍抑制活性を有していることを明らかにしている。
【0233】
抗腫瘍形成性miRNAの下方調節が、Myc活性化後の増強された細胞増殖と相関があるか否かを確認するために、P493−6細胞におけるmiRNAの動態を試験した(図16)。これらの細胞はtetの除去後48時間まで増殖を開始せず、そしてMyc導入後少なくとも72時間まで最大生育率に達しない(O'Donnell et al., Mol Cell Biol 26, 2373-86 (2006))。Mycの導入による増殖に先行してそれらを抑制するための要件に一致して、これらの時点までmiRNAの有意な下方調節が観察された。
【0234】
Mycの病的に活性化された発現は、ヒトの癌における最も一般的な発癌事象の1つである。本検討において、Myc活性化の重要な影響は、腫瘍細胞のmiRNA発現パターンの広範な再プログラミングであった。pro−腫瘍形成性mir−17クラスターはMycによって直接上方調節されることが既に示されているが(O'Donnell et al., Nature 435, 839-43 (2005))、本明細書で報告される新しい知見は、miRNA発現に対するMycの顕著な影響は広範囲に及ぶ下方調節であるということを予想外に明らかにする。MycによるmiRNA発現の抑制は、miRNAのレベルが腫瘍において全体的に減少するという観察と一致している。miRNA生合成の阻害が、癌における特異的なmiRNAの抑制に寄与することが明らかにされた。これらの新しい知見は、直接的な転写抑制もこの現象に寄与することを示唆している。
【0235】
miRNA抑制がMYcが介在する腫瘍形成に有利に働くという結論を、幾つかの証拠が支持する。第1に、Mycによって下方調節された幾つかのmiRNAが、癌中で消失することが知られている領域内で、突然変異するか又はそこに位置して、これらが腫瘍抑制遺伝子として機能することを示唆している(Calin et al., N Engl J Med 353, 1793-801 (2005); Calin et al., Proc Natl Acad Sci USA 101, 2999-3004 (2004))。miR−15a及びmiR−16−1は慢性リンパ性白血病患者の3分の2以上において消失するか又は下方調節されて、抗−アポトーシス遺伝子BCL2を標的にする。let−7miRNAファミリーのメンバーはRAS腫瘍遺伝子を標的にして、肺癌において高い頻度で下方調節される(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2007), Takamizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6 (2004), Yanaihara et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))。最近の証拠は、miR−34aを、強力な抗増殖及びpro−アポトーシス活性によるp53腫瘍抑制ネットワークの重大な構成要素としてみなしている。MycによるこれらのmiRNAの抑制は、癌細胞においてそれらの減少した機能に寄与する重要なメカニズムである可能性が高い。さらに、本明細書で示されているように、Mycに抑制された幾つかのmiRNAはB細胞リンパ腫のマウスモデルにおいて劇的な抗腫瘍形成活性を有している。miR−26a、miR−150、及びmiR−195/497については、これが、これらのmiRNAが腫瘍抑制特性を有していることを示す最初に報告された実験データであることを示している。総合すれば、Mycが介在する腫瘍形成におけるmiRNA発現を制御する重要な役割をこの入手可能なデータが支持している。更に、小さいmiRNAの動物への全身送達における最近の成功を考慮すると、これらの結果は、Mycに抑制されたmiRNAの送達が新しい癌の治療戦略を示すという可能性を高めている。実際に、これらの知見は、たった1つの重要なmiRNAの再発現で、腫瘍形成を阻害するのに十分であることを示唆している。
【0236】
本検討は、癌における関連miRNAの調節制御、さらに別の生物学的過程の注意深い詳細な分析の重要性も強調している。miRNAは所定の種のゲノムの至る所に分布している多数の高度に近縁又は同一の複写物に高い頻度で存在している。この構成は、ヒトにおける8つの個別転写ユニットから産生されたlet−7ファミリーの9つの異なったmiRNAに裏付けられている。先の研究が癌におけるlet−7miRNAの下方調節を観察しているが(Johnson et al., Cell 120, 635-47 (2005), Takamizawa et al., Cancer Res 64, 3753-6 (2004), Yanaihara et al., Cancer Cell 9, 189-98 (2006))、個々のlet−7転写ユニットの発現、及びそれ故に所定の腫瘍におけるlet−7miRNAの起源は殆ど試験されていない。本検討において、これらのmiRNAの複雑な調節制御の詳細な分析の実現可能性が明らかにされた。関連するmiRNAは同一の機能を常に有していない(Hwang Science 315, 97-100 (2007))ので、所定の腫瘍型において調節不全の特異的なmiRNAファミリーメンバーの特徴付けが、癌発病機序におけるそれらの役割を解明するために必要な要件である。
【0237】
最後に、これらのデータは、多数の癌のサブタイプで観察されているmiRNA発現のほぼ普遍的な調節不全の重大性の洞察をもたらす。我々の結果は、これらの異常なmiRNA発現パターンは、悪性形質転換を伴う細胞同一性の損失の間接的な影響としてのみでは説明できないことを示唆している。むしろ、発癌事象は、腫瘍形成に有利に働くmiRNAトランスクリプトームを直接再プログラムすると思われる。
【0238】
本明細書で報告されている結果は、以下の材料及び方法を用いて得た。
細胞培養。P493−6細胞(Pajic et al., (2000). "Cell cycle activation by c-myc in a burkitt lymphoma model cell line", International Journal of Cancer 87(6):787-93を参照されたい)を、10%のウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリン、及びストレプトマイシンを補完したRPMI 1640培地中で培養した。
Mycの発現を抑制するために、細胞を0.1μg/mlのテトラサイクリン(Sigma)の存在下で72時間生育した。高及び低Myc状態のネズミリンパ腫細胞を記載(Yu et al., Cancer Research 65, 5454-5461 (2005), Yu et al., Oncogene 21, 1922-7 (2002))のようにして得た。
【0239】
miRNAのマクロアレイ分析
313のヒトmiRNA又は233のマウスmiRNAに相補的なオリゴヌクレオチドプローブを含有しているカスタムマイクロアレイは Combimatrix によって合成された。全miRNA用に2つのミスマッチを含有しているプローブが含まれていた。アレイハイブリダイゼーション及びデータ分析を記載(Chang et al., Mol Cell 26, 745-52 (2007))のようにして実施した。バックグラウンドの2倍未満のシグナルをその後の分析から除外した(表1及び2においてゼロと表す)。ネズミB細胞リンパ腫のmiRNAプロファイリングについては、高Mycレベルの2つの腫瘍及び低Mycレベルの2つの腫瘍を分析した。4分の3の腫瘍に存在していないか又はそれぞれの高Myc及び低Myc腫瘍のうちの1つに存在していないmiRNAはその後の分析から除いた。フォールド変化値を高Myc及び低Myc腫瘍の間で全4対比較について計算して、平均値を求めて平均フォールド変化値を得た。
【0240】
ノーザンブロット分析
UltrahybOligo (Ambion) 及び成熟miRNA配列に完全に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて、miR−30、miR−99/100、及びlet−7ファミリーを除く、全てのmiRNAについてノーザブロッティングを記載(Hwang Science 315, 97-100 (2007))のようにして実施した。関連するmiRNAのための特異的ハイブリダイゼーション条件を確立するために、1μlのRNAオリゴヌクレオチド(10nM)をポリアクリルアミドゲル上で分離して、上記のようにして探査した。ブロットを42℃でて2XのSSC、0.5%のSDSで1回洗浄して、そし2回目はより高い温度で洗浄して10%未満のクロスハイブリダイゼーションを観察した。それぞれのプローブに対する特異的な洗浄温度を表4(以下)に挙げてある。
【0241】
【表4−1】
【0242】
【表4−2】
【0243】
【表4−3】
【0244】
バーキットリンパ腫細胞におけるMycノックダウン
293Tパッケージング細胞を抗−Myc shRNA又は対照のshRNA(Sigma)を発現するpLKO.1−Puroレンチウィルスでトランスフェクトした。EW36細胞をレンチウィルスの上澄液で3回感染させた。最初の感染の48時間後に、全RNA及びタンパク質を採取する前に48時間ピューロマイシン中で細胞を選択した。
【0245】
クロマチン免疫沈降(ChIP)及び定量的リアルタイムPCR
ChIPを既述(O'Donnell et al., Nature 435, 839-43 (2005))のようにして実施した。ABI 7900 Sequence Detection System を SYBR Green PCR core reagent kit (Applied Biosystems) と共に用いてリアルタイムPCRを実施した。ChIP試料を増幅するために用いたプライマーの配列を表5(以下)に示す。表5では、順方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号69〜125として、及び逆方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号126〜182として開示する。
【0246】
【表5−1】
【0247】
【表5−2】
【0248】
miRNAの1次転写物のRACEマッピング
miR−29b−2/29c、miR−29b−1/29a、及びmiR−146a一次転写物を特徴付けるために GeneRacer kit (Invitrogen)を用いた。これらの試験で用いる全RNAを単離する前に、ドローシャ(Drosha) の発現を、既述の短鎖干渉RNA(siRNA)(Hwang Science 315, 97-100 (2007))をtetで処理したP493−6細胞中に電気穿孔して阻害した。電気穿孔は、記載(O'Donnell et al., Mol Cell Biol 26, 2373-86 (2006))のようにして実施した。プライマー配列を以下の表6に示した。表6では、順方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号183〜186、183〜184、191〜192、183〜184、195〜196及び199〜208として、並びに逆方向プライマー配列を記載順にそれぞれ配列番号187〜190、193〜194、189〜190、197〜198、189〜190及び209〜218として開示する。
【0249】
【表6−1】
【0250】
【表6−2】
【0251】
【表6−3】
【0252】
【表6−4】
【0253】
腫瘍形成試験
miRNA及び少なくとも100bpのフランキング配列をゲノムDNAから増幅してレトロウィルスベクターMSCV−PIG41のXhoI部位内にクローン化した。プライマー配列を表6に示してある。直接シーケンシングによって、正確なベクター構造を確認した。Myc3及び38B9細胞のレトロウィルス感染、フローサイトメリー、及び腫瘍形成を記載(Yu et al., Ann NY Acad Sci 1059, 145-59 (2005))のようにして実施した。挿入部分の配列は以下に示す。
【0254】
【0255】
【0256】
受入れ番号
miRNA1次転写物の配列は、以下の受入れ番号でGeneBank データベースに寄託してある:miR−29b−1/29aクラスター、EU154353;miR−29b−2/29c、EU154351、Eu154352;miR−146a、EU147785(それぞれ図17A−E)。マイクロアレイのデータは、受入れ番号GSE9129でGene Expression Omnibus(GEO) データベースに寄託してある。
【0257】
その他の態様
上記の説明から、多種の用途及び条件に適用するために、本明細書に記載の発明に変更及び修正を行うことができるとういうことは明らかであろう。このような態様も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0258】
本明細書に記載の可変用語の定義の何れかにおける構成要素のリストの列挙は、単一の構成要素又は列挙されている構成要素の組合わせ(又はサブコンビネション)としての可変用語の定義を包含している。本明細書の態様の列挙は、何れかの単独の態様又は別の何れかの態様若しくはそれらの一部との組合わせとしての態様を包含している。
【0259】
本明細書で言及されている全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が参照によって組み込まれることが明確に個々に指摘されているのと同じような程度に参照として本明細書に組み込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAの配列に少なくとも85%同一性を有する核酸塩基配列を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
当該オリゴヌクレオチドが、当該ミクロRNAの核酸塩基配列を含有している、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
当該オリゴヌクレオチドが、実質的に当該ミクロRNAの核酸塩基配列よりなる、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
当該ミクロRNA配列が成熟又はヘアピン形態である、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
当該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの改変結合を含んでいる、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
当該改変結合が、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、リン酸トリエステル、ホスホロジチオエート、及びリン酸セレン酸結合よりなる群から選ばれる、請求項5に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
当該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの改変糖残基又は一つの改変核酸塩基を含有している、請求項5に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1〜4の何れかに記載のオリゴヌクレオチドをコードする単離された核酸分子であって、腫瘍細胞におけるオリゴヌクレオチドの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、単離された核酸分子。
【請求項9】
当該核酸分子が、実質的にmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAの成熟若しくはヘアピン形態をコードするヌクレオチド配列よりなる、請求項8に記載の単離された核酸分子。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドをコードする発現ベクターであって、核酸分子が哺乳動物細胞において発現するように位置付けられている、発現ベクター。
【請求項11】
ベクターが、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項12】
ベクターが、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス及びアデノ関連ウィルスベクターよりなる群から選ばれるウィルスベクターである、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項13】
請求項8に記載の発現ベクター又は請求項1〜4の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドを含有してなる、宿主細胞。
【請求項14】
組成物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの配列と少なくとも85%の同一性を有するオリゴヌクレオチドの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、腫瘍の治療のための医薬組成物。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、当該ミクロRNAと少なくとも95%の同一性を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ミクロRNAの量が、腫瘍細胞において細胞生存、細胞増殖、又はMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約5%減少させるのに十分である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR15a/16−1の少なくとも1つを含有してなる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
組成物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、腫瘍の治療のための医薬組成物。
【請求項19】
ミクロRNAの量が、腫瘍細胞においてMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約5%減少させるのに十分である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR15a/16−1の少なくとも1つを含有してなる、請求項14又は18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれる、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNAを含有してなる、請求項14又は18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドが改変を含んでなる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項23】
方法が、細胞を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAと少なくとも85%の同一性を有する核酸塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドと接触させ、それにより腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を未処理の対照細胞と比較して減少させることを含有してなる、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させる方法。
【請求項24】
方法が、細胞を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターと接触させ、それにより腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を未処理の対照細胞と比較して減少させることを含有してなる、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させる方法。
【請求項25】
細胞が哺乳動物の細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
細胞がヒトの細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
細胞がリンパ腫細胞である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
方法が腫瘍細胞にアポトーシスを誘発する、請求項23〜27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
方法が、対象に、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAと少なくとも85%の同一性を有する核酸塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有効量を投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含有してなる、対象における腫瘍を治療する方法。
【請求項30】
方法が、対象に、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量を投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含有してなる、対象における腫瘍を治療する方法。
【請求項31】
オリゴヌクレオチドが、ヌクレアーゼ耐性を増強する改変を含んでいる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
対象が、リンパ腫を有すると診断されている、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
方法が、対象の腫瘍細胞にアポトーシスを誘発する、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
有効量が、腫瘍細胞におけるMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも5%減少させるのに十分である、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象を、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれる、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNAと接触させる、請求項22〜28の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
方法が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの発現を試験することを含有してなる、腫瘍を特徴付ける方法。
【請求項37】
方法が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなるミクロRNAの組合わせの発現を試験することを含んでいる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
腫瘍がMyc調節不全を有していると特徴付けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
方法が、
(a)腫瘍細胞を候補薬剤と接触させること;及び
(b)miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの発現を試験することを含有してなり、当該ミクロRNA発現の増大により、薬剤が腫瘍の治療に有用であることが同定される、腫瘍の治療用薬剤を同定する方法。
【請求項40】
薬剤を機能試験でテストすることを更に含有している、請求39に記載の方法。
【請求項41】
機能試験が、細胞の生育、増殖、又は生存を分析する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
オリゴヌクレオチドの少なくとも2つの対を含有してなり、その対のそれぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAと結合する、プライマーセット。
【請求項43】
それぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAと結合する、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含有してなる、プローブセット。
【請求項44】
ミクロRNA、又はmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする核酸分子を、含有してなるマイクロアレイ。
【請求項1】
miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAの配列に少なくとも85%同一性を有する核酸塩基配列を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
当該オリゴヌクレオチドが、当該ミクロRNAの核酸塩基配列を含有している、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
当該オリゴヌクレオチドが、実質的に当該ミクロRNAの核酸塩基配列よりなる、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
当該ミクロRNA配列が成熟又はヘアピン形態である、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
当該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの改変結合を含んでいる、請求項1に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
当該改変結合が、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、リン酸トリエステル、ホスホロジチオエート、及びリン酸セレン酸結合よりなる群から選ばれる、請求項5に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
当該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの改変糖残基又は一つの改変核酸塩基を含有している、請求項5に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1〜4の何れかに記載のオリゴヌクレオチドをコードする単離された核酸分子であって、腫瘍細胞におけるオリゴヌクレオチドの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、単離された核酸分子。
【請求項9】
当該核酸分子が、実質的にmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAの成熟若しくはヘアピン形態をコードするヌクレオチド配列よりなる、請求項8に記載の単離された核酸分子。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドをコードする発現ベクターであって、核酸分子が哺乳動物細胞において発現するように位置付けられている、発現ベクター。
【請求項11】
ベクターが、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項12】
ベクターが、レトロウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス及びアデノ関連ウィルスベクターよりなる群から選ばれるウィルスベクターである、請求項10に記載の発現ベクター。
【請求項13】
請求項8に記載の発現ベクター又は請求項1〜4の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチドを含有してなる、宿主細胞。
【請求項14】
組成物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの配列と少なくとも85%の同一性を有するオリゴヌクレオチドの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、腫瘍の治療のための医薬組成物。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、当該ミクロRNAと少なくとも95%の同一性を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ミクロRNAの量が、腫瘍細胞において細胞生存、細胞増殖、又はMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約5%減少させるのに十分である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR15a/16−1の少なくとも1つを含有してなる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
組成物が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなり、腫瘍細胞における当該ミクロRNAの発現が細胞の生存を減少させるか又は細胞分裂を減少させる、腫瘍の治療のための医薬組成物。
【請求項19】
ミクロRNAの量が、腫瘍細胞においてMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約5%減少させるのに十分である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、又はmiR15a/16−1の少なくとも1つを含有してなる、請求項14又は18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物が、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれる、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNAを含有してなる、請求項14又は18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドが改変を含んでなる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項23】
方法が、細胞を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAと少なくとも85%の同一性を有する核酸塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドと接触させ、それにより腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を未処理の対照細胞と比較して減少させることを含有してなる、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させる方法。
【請求項24】
方法が、細胞を、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターと接触させ、それにより腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を未処理の対照細胞と比較して減少させることを含有してなる、腫瘍細胞の生育、生存又は増殖を減少させる方法。
【請求項25】
細胞が哺乳動物の細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
細胞がヒトの細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
細胞がリンパ腫細胞である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
方法が腫瘍細胞にアポトーシスを誘発する、請求項23〜27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
方法が、対象に、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAと少なくとも85%の同一性を有する核酸塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドの有効量を投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含有してなる、対象における腫瘍を治療する方法。
【請求項30】
方法が、対象に、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする発現ベクターの有効量を投与し、それによって対象における腫瘍を治療することを含有してなる、対象における腫瘍を治療する方法。
【請求項31】
オリゴヌクレオチドが、ヌクレアーゼ耐性を増強する改変を含んでいる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
対象が、リンパ腫を有すると診断されている、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
方法が、対象の腫瘍細胞にアポトーシスを誘発する、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
有効量が、腫瘍細胞におけるMycの発現を、未処理の対照細胞と比較して少なくとも5%減少させるのに十分である、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象を、miR−22、miR−26a、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR15a/16−1よりなる群から選ばれる、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのミクロRNAと接触させる、請求項22〜28の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
方法が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの発現を試験することを含有してなる、腫瘍を特徴付ける方法。
【請求項37】
方法が、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなるミクロRNAの組合わせの発現を試験することを含んでいる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
腫瘍がMyc調節不全を有していると特徴付けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
方法が、
(a)腫瘍細胞を候補薬剤と接触させること;及び
(b)miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、及びmiR−15a/16−1よりなる群から選ばれるミクロRNAの発現を試験することを含有してなり、当該ミクロRNA発現の増大により、薬剤が腫瘍の治療に有用であることが同定される、腫瘍の治療用薬剤を同定する方法。
【請求項40】
薬剤を機能試験でテストすることを更に含有している、請求39に記載の方法。
【請求項41】
機能試験が、細胞の生育、増殖、又は生存を分析する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
オリゴヌクレオチドの少なくとも2つの対を含有してなり、その対のそれぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAと結合する、プライマーセット。
【請求項43】
それぞれが、miR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAと結合する、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含有してなる、プローブセット。
【請求項44】
ミクロRNA、又はmiR−22、miR−26a−1、miR−26a−2、miR−29b−2、miR−29c、miR−30e、miR−30c−1、miR−146a、miR−150、let−7a−1、let−7f−1、let−7d、miR−100、let−7a−2、miR−125b−1、let−7a−3、let−7b、miR−99a、let−7c、miR−125b−2、miR−99b、let−7e、miR−125a、let−7f−2、miR−98、let−7g、let−7i、miR−26b、miR−30c、miR−34a、miR−150、miR−195/497、miR−15a/16−1又はそれらの断片よりなる群から選ばれるミクロRNAをコードする核酸分子を、含有してなるマイクロアレイ。
【図1A−1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B−2C】
【図3A】
【図3B−3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A−12D】
【図13A−1】
【図13A−2】
【図13A−3】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A−15B】
【図16A−16B】
【図17A−1】
【図17A−2】
【図17A−3】
【図17A−4】
【図17A−5】
【図17A−6】
【図17A−7】
【図17A−8】
【図17A−9】
【図17A−10】
【図17A−11】
【図17A−12】
【図17A−13】
【図17A−14】
【図17A−15】
【図17A−16】
【図17A−17】
【図17A−18】
【図17B−1】
【図17B−2】
【図17B−3】
【図17C−1】
【図17C−2】
【図17C−3】
【図17D−1】
【図17D−2】
【図17D−3】
【図1D】
【図2A】
【図2B−2C】
【図3A】
【図3B−3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A−12D】
【図13A−1】
【図13A−2】
【図13A−3】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A−15B】
【図16A−16B】
【図17A−1】
【図17A−2】
【図17A−3】
【図17A−4】
【図17A−5】
【図17A−6】
【図17A−7】
【図17A−8】
【図17A−9】
【図17A−10】
【図17A−11】
【図17A−12】
【図17A−13】
【図17A−14】
【図17A−15】
【図17A−16】
【図17A−17】
【図17A−18】
【図17B−1】
【図17B−2】
【図17B−3】
【図17C−1】
【図17C−2】
【図17C−3】
【図17D−1】
【図17D−2】
【図17D−3】
【公表番号】特表2010−516249(P2010−516249A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546427(P2009−546427)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/000656
【国際公開番号】WO2008/088858
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(505045908)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/000656
【国際公開番号】WO2008/088858
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(505045908)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ (21)
【Fターム(参考)】
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