説明

膵臓β細胞増殖の刺激方法

【課題】膵臓β細胞増殖及び/又はインスリン分泌に関与する新規なタンパク質、それをコードする核酸及び構築物、並びにそれを含む細胞の提供。TMEM27タンパク質の診断及び治療用途へのその使用の提供。
【解決手段】TMEM27タンパク質をコードする遺伝子調節領域を含んでなる単離された核酸であって、前記調節領域が少なくとも1つのTcf1タンパク質に対する高親和性結合部位を含んでなる単離された核酸。分泌型のTMEM27タンパク質を含んでなる単離されたポリペプチド。またそれらを用いた膵臓β細胞量を増加させる方法、患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法、患者の膵島量を評価する方法、TMEM27タンパク質と相互作用するタンパク質又はその分泌型タンパク質を同定する方法、患者の代謝を変化させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膵臓β細胞増殖及び/又はインスリン分泌に関与する新規なタンパク質、それをコードする核酸及び構築物、並びにそれを含む細胞の提供に関する。本発明はまた、TMEM27タンパク質の診断及び治療用途への使用の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓β細胞過形成は、生理学的な成長の間、及び肥満時において、正常血糖を維持するための重要な適応機構である。これまでの研究成果から考察すると、β細胞の量は通常変動し、またインスリン抵抗及び妊娠時にインスリン分泌が必要となる際にはβ細胞量が急速かつ顕著に変化しうることが示唆される。β細胞量は、β細胞の増殖(複製)とβ細胞死(アポトーシス)によって制御されるが、そのβ細胞量を制御する因子(分子レベル)に関しては未だ明らかでない。β細胞量がいかに制御されるかを理解することが、インスリン耐性状態における膵臓β細胞損失を防止し、また1型糖尿病におけるβ細胞移植に応用するための合理的手法の設計にとり重要である。
【0003】
増殖の際、β細胞は膵臓の源となる細胞集団から発生する。元となる細胞から分化するβ細胞は有糸分裂後の細胞であり、また直接の子孫細胞の標識方法(lineage tracing)により解析した結果、その元となる細胞集団が、胚形成を通じて維持され、新規なβ細胞の分化を可能にすることが示されている。新生児期には、新規なβ細胞は分化したβ細胞の複製により生じ、β細胞量の増大による塊が形成される。成人期には、必要性が増加しない限りβ細胞数にはほとんど増加しない。齧歯動物及びヒトの妊娠中には、β細胞の著しい過形成が観察される。これは、胎盤乳汁分泌ホルモン(PL)、プロラクチン(PRL)及び成長ホルモン(GH)に曝露されたβ細胞が更に有糸分裂を行うことに起因する。病理学的なインスリン耐性症状における増殖刺激シグナルは十分に知られていない。
【0004】
幾つかのインスリン抵抗及び糖尿病(例えばインスリン受容体基質−1(IRS−1)の遺伝子の不活化又はインスリン受容体及びIRS−1の二重異種接合体(DH)ノックアウトにより作製されるob/ob及びdb/dbマウス又は変異体マウス)のマウスモデルでは、著しい膵島過形成を示す。対照的に、IRS2機能の損失によりβ細胞の劇的な減少及び糖尿病に至る。グルコース自体β細胞複製を刺激することが公知であるが、上記のマウスモデルの多くでは検出可能な高血糖の発症前にそれらの総膵島量が増加する。更にほとんどの場合、過形成反応は高血糖のレベルとは関係なく、それはグルコースとは別の何らかの因子が膵島成長に関与していることを示唆する。
【0005】
発生期における内分泌膵臓の増殖は多くの転写制御因子に依存し、それらは非常に特異的で、かつ空間的な発現パターンを示し、その結果細胞分化のメカニズムが制御される。初期の膵臓発生の間、内分泌前駆細胞のホルモン生成膵島細胞への細胞運命決定及び分化は、特異的な転写制御因子の経時的な発現によって高度に制御される。これらの因子の発現もまた、成人期の通常の膵臓β細胞機能の維持にとり重要である。例えば、幾つかの転写制御因子の突然変異により若年性糖尿病(MODY)と呼ばれる2型糖尿病のサブタイプが生じ、それは常染色体優位な遺伝、若年における疾患−発症及びインスリン分泌における漸進性障害を伴う顕著な高血糖の進行を特徴とする。最も一般的な形態のMODYは、肝細胞核因子(Tcf1)をコードする遺伝子の突然変異によって生じる。Tcf1機能の損失をもつ変異体マウス、並びに膵臓β細胞において天然のドミナントネガティブなヒトHNF−1(P291fsinsC)を発現するトランスジェニックマウスでは、障害性のグルコース刺激によるインスリン分泌を原因とする、加齢に伴う漸進的な高血糖を示す。これらのマウスは、β細胞数、増殖速度及び膵臓におけるインスリン含有量の漸進的な減少を示す。これらのデータはTcf−1標的遺伝子もまた、通常のβ細胞量の維持に不可欠ことを示唆するが、それらの特性は未知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は膵臓β細胞増殖及び/又はインスリン分泌に関与する新規なタンパク質、それをコードする核酸及び構築物、並びにそれを含む細胞の提供に関する。本発明はまた、TMEM27タンパク質の診断及び治療用途への使用の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施態様では、本発明はTMEM27タンパク質をコードする遺伝子調節領域を含んでなる単離された核酸であって、前記調節領域が少なくとも1つのTcf1タンパク質に対する高親和性結合部位を含んでなる単離された核酸の提供に関する。一実施態様では、当該調節領域は、配列番号10又は11に一致するか、又はそれらとの相同性を有する核酸配列を有する。他の実施態様では、当該結合部位は、配列番号12、13、14又は15に一致するか、又はそれらとの相同性を有する核酸配列を含んでなる。他の実施態様では本発明の核酸を含んでなる細胞、又は他の実施態様では本発明の核酸を含んでなるベクターに関する。
【0008】
本発明の他の実施態様は、分泌型のTMEM27タンパク質を含んでなる単離されたポリペプチドの提供に関し、前記ポリペプチドは約25kDaのサイズであり、配列番号16の配列に対応するか、又はそれとの相同性を有する配列のN末端断片を有する。
【0009】
本発明の他の実施態様は、膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、前記方法は膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチドと接触させることと、β細胞の増殖に適する条件を設定することを含んでなる。
【0010】
本発明の他の実施態様は、膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、前記方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることと、これらの核酸の発現に適する条件を設定することを含んでなる。
【0011】
本発明の他の実施態様は、膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、前記方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチド又はそのTMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることを含んでなる。
【0012】
本発明の他の実施態様では、患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法の提供に関し、前記方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチド又はTMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることを含んでなる。
【0013】
本発明の他の実施態様は、患者の膵島量を評価する方法の提供に関し、前記方法は、前記患者の血清中のTMEM27濃度を測定することと、前記濃度とコントロールのそれとを比較することを含んでなる。
【0014】
本発明の他の実施態様は、TMEM27タンパク質と相互作用するタンパク質又はその分泌型タンパク質を同定する方法の提供に関し、前記方法は、TMEM27ポリペプチドと標的分子とを、所定時間、前記ポリペプチドと前記分子との間の特異的な相互作用が十分可能となる条件下で接触させ、前記標的分子を同定することを含んでなる。
【0015】
本発明の他の実施態様は、膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞であって、TMEM27を発現するか若しくは発現を誘導されうる細胞を、セリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることと、前記核酸の発現に適する条件を設定することを含んでなる方法。
【0016】
本発明の他の実施態様では、患者の代謝を変化させる方法の提供に関し、前記方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、セリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることを含んでなる。
【0017】
本発明の他の実施態様では、患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法の提供に関し、前記方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることを含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を十分に理解させるため、以下の詳細な説明において多数の具体的な実施態様を示す。しかしながら、これらの具体的な詳細を行わなくとも本発明の実施が可能であることは当業者にとり自明である。また、本発明が不明確になるのを避けるため、公知の方法、処理及び構成要素は詳述していない。
【0019】
本発明の一実施態様は、膵臓β細胞特異的なタンパク質、特にβ細胞増殖及びインスリン分泌に関与する前記タンパク質の提供に関する。
【0020】
本願明細書に記載のように、一般的な形態のMODYは、肝細胞核因子(Tcf1)をコードする遺伝子の突然変異によって生じる。膵臓β細胞のTcf1機能を欠損する変異体マウスでは、障害性のグルコース刺激によるインスリン分泌による、加齢に伴う漸進性の高血糖を示す。当該マウスでは、β細胞数、増殖速度及び膵臓インスリン含有量の漸進的な減少が観察され、これはTcf−1標的遺伝子が通常のβ細胞量の維持において必要となることを示すものである。本願明細書に示されるように、Tcf1はTMEM27転写の直接的な活性化物質である。TMEM27は、ホルモン陽性の細胞における膵臓成長の間に発現し、また成熟した膵臓では膵臓β細胞に限定されることが本発明において示されている。TMEM27は糖タンパク質であることが示され、膵臓においてβ細胞によって特異的に切断、放出され、in vitro及びin vivoでβ細胞の複製を刺激する。
【0021】
一実施態様では、本発明はTMEM27タンパク質をコードする遺伝子調節領域を含んでなる単離された核酸であって、前記調節領域が少なくとも1つのTcf1タンパク質との高親和性結合部位を含んでなる単離された核酸の提供に関する。
【0022】
一実施態様では、用語「調節領域」とはプロモーター、特にDNA配列であって、一実施態様では、コード配列の上流側に存在し、遺伝子の構成的及び/又は制御された転写にとって重要なものを指す。
【0023】
一実施態様では、プロモーターは内在性プロモーターであって、少なくとも1つのTcf1タンパク質との高親和性結合部位を含んでなる。他の実施態様では、プロモーターは内在性プロモーターの変異体であって、少なくとも1つのTcf1タンパク質との高親和性結合部位を含んでなる。プロモーター配列の突然変異は、Tcf1結合を強化、又は、別の実施態様ではTcf1放出を遅延、又は別の実施態様では何らかの手段を介してTMEM27プロモーターへのTcf1の結合を変化させ、その転写に影響を与えるものであってもよい。他の実施態様では、かかる変異体は、結果的なTMEM27の発現レベルの点から、それらのプロモーター活性に関して評価される。
【0024】
一実施態様では、調節領域は配列番号10又は11に一致するか、又はそれらと相同性を有する核酸配列を有する。
【0025】
本発明において使用する核酸はいかなる公知技術(例えば合成又は組換え方法)で調製してもよい。当該核酸は、公知技術によって、生物物理学的若しくは生理学的特性を変化させるために更に修飾してもよい。例えば、核酸を修飾して、ヌクレアーゼに対する安定性を増加させてもよく(例えばエンドキャッピング)、また親油性、可溶性又は相補的配列との結合アフィニティを改変してもよい。これらの核酸は、ベクター、発現カセット、プロモーター配列、目的遺伝子又はそれらのいかなる組み合わせを含んでなってもよい。
【0026】
本発明に係るDNAは、公知の方法で化学的に合成してもよい。例えば、公知の方法で、4つのヌクレオチドを用いてDNAの全体又は一部を化学的に合成してもよい。かかる方法の例としては、Caruthers(1985)に記載の方法が挙げられる。DNAは、重なり合う二本鎖オリゴヌクレオチドを調製して、ギャップを埋め、その末端をライゲーションすることにより合成してもよい(一般法はSambrookその他(1989)及びGloverその他(1995)を参照)。タンパク質の機能性ホモログを発現するDNAを、部位特異的突然変異導入(Zollerその他(1982)、Zoller(1983)、Zoller(1984)、McPherson(1991))を用いて、野生型DNAから調製してもよい。得られたDNAを、公知の方法により増幅してもよい。1つの適切な方法は、Saikiら(1988),Mullisら米国特許第4683195号及びSambrookら(1989)に記載のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。
【0027】
他の実施態様では、Tcf1結合部位は、配列番号12、13、14、15に一致するか、又はそれらとの相同性を有する核酸配列を含んでなる。
【0028】
本発明の他の実施態様は、本発明の核酸を含んでなる細胞、他の実施態様ではベクターの提供に関する。
【0029】
一実施態様では、用語「ベクター」とは、当該ベクター中にサブクローニングされた目的配列を含んでなる核酸構築物を指す。
【0030】
本発明に係るベクターの構築において、TMEM27制御領域、幾つかの実施態様ではTMEM27コーディング配列、幾つかの実施態様では他の目的配列をコードするポリヌクレオチドを、原核細胞又は真核細胞の形質導入/形質転換に適する、及び当該形質導入/形質転換された細胞における組換え生成物の発現誘導に適する、市販のベクター系にライゲーションして導入してもよい。かかる市販のベクター系を、一般的に用いられる組換え技術により容易に修飾できることは自明であり、それにより既存のプロモーター又はエンハンサ配列を置換、複製又は変異させ、及び/又はいかなるポリヌクレオチド配列(例えば更なる選択マーカーをコードする配列、又はリポーター遺伝子をコードする配列)を導入することができる。
【0031】
本発明に係るベクターは、別の実施態様では、適当な選択可能なマーカーを更に含んでもよい。ベクターに、更なる複製開始点を存在させてシャトルベクターとしてもよく、それにより原核及び真核生物由来の細胞の両方において複製される。又は、選択した生物のゲノム中への組み込みが可能な態様でベクターを構築してもよい。他の一実施態様では、当該ベクターは例えばプラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス又は人工染色体であってもよい。他の実施態様では、当該ベクターは、本発明の核酸を含んでなるウイルス粒子である。他の実施態様では、本発明は、本発明の核酸及びベクターを含んでなるリポソームの提供に関する。かかるリポソームの調製方法は公知であり、例えば国際公開第96/18372号、国際公開第93/24640号、Mannino and Gould−Fogerite(1988)BioTechniques6(7):682−691、Rose 米国特許第5279833号、国際公開第91/06309号及びFeignerら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:7413−7414に記載の方法が挙げられる。
【0032】
本発明の別の実施態様では、分泌型のTMEM27タンパク質を含んでなる単離されたポリペプチドの提供に関し、前記ポリペプチドは約25kDaのサイズで、配列番号16に一致する、又はそれとの相同性を有する配列のN末端断片を含んでなる。一実施態様では、分泌型は142アミノ酸を含む。別の実施態様では、分泌型はN末端の100アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の105アミノ酸を含む。又は他の一実施態様では、N末端の110アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の115のアミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の125アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の130アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の135アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の140アミノ酸、又は別の実施態様ではN末端の120アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の122アミノ酸、又は別の実施態様ではN末端の127アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の117アミノ酸、又は別の実施態様では、N末端の108アミノ酸を含んでなる。
【0033】
一実施態様では、TMEM27タンパク質は、NCBIのEntrezタンパク質データベースにおいて開示される、以下のAccession番号の1つ:NP_065651、AAH50606、AAH15099、XP_416821、AAH49912又はAAH14317と一致する又はそれとの相同性を有する配列を有する。一実施態様では、本発明のポリペプチドは、TMEM27タンパク質の位置1−142の部分、又は別の実施態様ではそのN末端断片、又は他の実施態様ではそのホモログに対応するアミノ酸を含んでなる。
【0034】
本発明の一実施態様では、用語「相同性」、「相同物(ホモログ)」又は「相同性を有する」とは、その配列が、アミノ酸配列の場合も核酸配列の場合も、示された配列と少なくとも70%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも72%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも75%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも77%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも80%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも82%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも85%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも87%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも90%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも92%一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と少なくとも95%以上一致することを指す。他の実施態様では、アミノ酸配列又は核酸配列が、示された配列と95%〜100%一致することを指す。同様に、本願明細書では、ある特定の配列との一致性について言及するときは、本発明で定義する配列との直接的な一致の場合のみならず、相同性を有する場合も包含される。
【0035】
用語「ポリペプチド」とは、一実施例ではタンパク質のことを指し、別の実施態様ではタンパク質断片のことを指し、更に別の実施態様ではアミノ酸配列のことを指す。一実施態様では、本発明のポリペプチドに関して「ペプチド」又は「ポリペプチド」というときは、天然のペプチド(分解生成物、合成ペプチド又は組換えペプチドのいずれも含む)及び擬態ペプチド(通常合成ペプチド)が包含され、例えばペプチドのアナログであるペプトイド及びセミペプトイドが挙げられ、それは例えば、生体内におけるペプチドの安定性、又は細胞への浸透性が高まる態様で修飾されてもよい。かかる修飾にはN末端、C末端又はペプチド結合の修飾(限定されないがバックボーン修飾及び残基修飾など)が含まれるが、これらに限定されず、それらのいずれも本発明の付加的な実施態様を表す。擬態ペプチドの合成方法は公知で、例えば、Quantitative Drug Design,CA.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に詳細に記載されている。
【0036】
本願明細書に記載されているポリペプチドに対する構造的若しくは機能的相同性を有する、あらゆるアミノ酸(天然又は合成的に、いかなる手段で調製してもよい)の配列は、本発明の一部として包含されるものと理解すべきである。
【0037】
一実施態様では、用語「相同性」とは、核酸配列に関するときは、候補配列のヌクレオチドと、それに対応する天然のヌクレオチドとで同一の核酸配列のパーセンテージを指す。
【0038】
相同性は、従来技術において公知の方法を用いて、配列アラインメントを解析するコンピュータアルゴリズムにより決定できる。例えば、核酸又はアミノ酸配列相同性のコンピュータアルゴリズム解析は、利用可能ないかなるソフトウェアパッケージ(例えばBLAST、DOMAIN、BEAUTY(BLAST Enhanced Alignment Utility)GENPEPT及びTREMBLパッケージ)を利用して行ってもよい。
【0039】
核酸の相同性を決定するその他の手段としては、候補配列とのハイブリッド形成の測定によって行ってもよく、その方法は従来技術において公知である(“Nucleic Acid Hybridization”、Hames,B.D.,and Higgins S.J.,Eds.(1985);Sambrookら、1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,(Volumes1−3) Cold Spring Harbor Press,N.Y.;及びAusubelら、1989,Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Yを参照)。例えばハイブリッド形成の方法は、適度条件からストリンジェントな条件において、天然のカスパーゼペプチドをコードするDNAとの相補性を解析することにより行ってもよい。ハイブリッド形成条件としては例えば、42℃で一晩にわたる、10〜20%のホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt溶液、10%のデキストラン硫酸及び20μg/ml)の変性サーモン精液DNA(せん断)を含んでなる溶液によるインキュベーションが挙げられる。
【0040】
他の実施態様では、本発明は本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体の提供に関する。かかる抗体の生産は公知技術で、例えばHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988に記載されている。一実施態様では、かかる抗体は当業者に周知のように機能性断片を含んでもよく、それは例えば抗体タンパク質の加水分解によって調製してもよく、又は抗体断片をコードするDNAの大腸菌又は哺乳動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞培養又は他のタンパク質発現システム)における発現によって調製してもよい。
【0041】
他の実施態様では、本発明は、本発明に係る細胞、ポリペプチド、抗体、核酸及びベクターを含んでなる組成物の提供に関する。組成物を含む製剤の具体的な有効投与量及び投与方法は、個別の用途に応じて変化させてもよい。投薬は、例えば使用するベクターのタイプ及び投与経路ルートと相関して変化しうる。
【0042】
他の実施態様では、本発明は、本発明の核酸、ベクター又はポリペプチドを含んでなる細胞の提供に関する。一実施態様では、当該細胞は原核生物であり、別の実施態様では、当該細胞は真核生物である。細胞は本発明の単離された核酸及び/又はベクターを発現できるいかなる細胞であってもよく、それは当業者に周知である。一実施態様では、当該細胞に本発明のポリペプチドを過剰発現させてもよい。
【0043】
他の実施態様では、当該細胞は本発明のポリペプチドに応答する。一実施態様では、当該細胞は膵臓β細胞であってもよく、又は当該細胞は膵臓β細胞に分化できる細胞であってもよい。一実施態様では、当該細胞は、TMEM27へのばく露に(一実施態様では全長タンパク質で、別の実施態様では切断された分泌型タンパク質)により増殖するか、又は別の実施態様ではインスリンを分泌するか、又は別の実施態様ではその両方を行う。一実施態様では、当該細胞は最終的に分化していてもよく、又は別の実施態様では細胞分裂を行わないものであってもよい。他の実施態様では、当該細胞は細胞分裂を行う。
【0044】
一実施態様では、本発明は核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞及びそれらを含んでなる組成物の提供に関し、別の実施態様では、それは経口投与用に製剤化されてもよく、別の実施態様では、局所投与(例えば筋肉注射又は経真皮、エアゾール又は非経口投与)ように製剤化されてもよい。組成物は、投与方法に応じて、様々な単位用量形態で投与することができる。適切な単位用量形態としては、粉末、錠剤、ピル、カプセル、ロゼンジ、坐薬などが挙げられるが、これらに限定されない。経真皮投与は、クリームの塗布、リンス、ゲルなどによって、活性化合物を皮膚から透過させることにより行ってもよい。非経口投与経路としては、限定されないが、電気的若しくは直接注入(例えば中心静脈系への直接注入、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮内、皮下注射)などが挙げられる。
【0045】
本願明細書では新生児及び成人の膵臓の膵島β細胞におけるTMEM27発現を示し(図2)、TMEM27タンパク質のN末端切断生成物が分泌されることを見出した(図4)。β細胞株はTMEM27に応答して増殖し(図6)、導入遺伝子の発現の結果としてそのタンパク質を過剰発現するトランスジェニックマウスでは、β細胞量の増加を示した(図7)。
【0046】
一実施態様では、本発明は膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、当該方法はTMEM27ポリペプチドを細胞に接触させることを含んでなる。本発明の本態様及び一実施態様では、当該細胞は膵臓β細胞であるか、又はβ細胞増殖に適した条件を与えられることにより膵臓β細胞に誘導されうる細胞である。
【0047】
一実施態様では、「細胞を接触させる」という用語は、本発明のペプチド、核酸又は組成物に、何らかの方法で細胞を曝露させることを指す。細胞を、従来公知の方法により本発明の化合物及び組成物と直接接触させてもよく、あるいは間接的に曝露してもよい。例えば、細胞をin vitroで培地中で増殖させること(当該培地には本発明のポリペプチド、核酸、ベクター又は組成物を添加する)は、細胞を接触させる方法の例であり、また本発明の一部と考えられる。他の実施態様では、細胞に接触させる方法としては、患者へのいかなる投与方法も包含され、例えば患者に対する本発明のペプチド、核酸、ベクター又は組成物の経口若しくは非経口投与が挙げられる。上記の投与により、体内の特異的な部位において、これらの材料でin vivoで細胞が曝露される。
【0048】
一実施態様では、接触を受ける細胞は初代培養細胞である。一実施態様では、「初代培養」とは、組織から単離された多くの異なる細胞タイプとの相互作用が可能な混合細胞集団を意味する。例えば、膵管細胞の初代培養細胞は、間充織及び上皮細胞との間で相互作用することができる。
【0049】
他の実施態様では、初代培養細胞は、組織から単離されて精製された細胞集団であってもよい。一実施態様では、初代培養細胞は、特定の集団として純粋化されてもよい。一実施態様では、当該純粋化は、例えば蛍光測定による細胞ソーティング(FACS)などの公知技術の細胞ソーティング用いて、特定の細胞表面マーカーを発現するか、又は別の実施態様では特定の標識の細胞表面での発現が欠如した細胞集団をソーティングしてもよい。他の実施態様では、manetoseparation方法を用いてもよく、又は別の実施態様では密度遠心分離方法(例えばフィコール・ハイパック又は蔗糖勾配分離)であってもよい。
【0050】
一実施態様では、本発明の方法に従って接触させる細胞は幹細胞又は前駆細胞である。用語「前駆細胞」は「幹細胞」と同義的に用いられ、実施態様によっては未分化細胞を指すこともある。未分化細胞は増殖することができ、多数の母細胞を生成する能力を有する多くの前駆細胞を生じさせ、それにより分化した若しくは分化可能な娘細胞を生じさせることができる。一実施態様では、用語「前駆細胞」又は「幹細胞」は一般的な母細胞のことを指し、その子孫(progeny)は、胚細胞及び組織の多様化においてみられるように、異なる形態へ分化すること(例えば全く別個の特性を得ること)によって通常特化する。細胞分化は、通常は多くの細胞分裂において生じる複雑なプロセスである。分化した細胞は多機能細胞(多機能細胞自身、及びその他の細胞に由来)から生じることもある。いずれの種類の細胞も、本発明の方法に使用でき、又は本発明の細胞を構成しうることを理解すべきである。かかる能力は先天的なものであってもよく、又は様々な因子による処理で人工的に誘導されてもよい。いずれもシナリオも、本発明の方法に使用できる、又は本発明の細胞を構成しうる細胞の一実施態様として考えられる。
【0051】
一実施態様では、本発明の細胞、及び本発明の方法への使用に係る当該細胞は、膵臓に由来してもよく、又は膵臓細胞に分化する細胞であってもよい。一実施態様では、用語「膵臓」とは一般に、脾臓及び十二指腸との間、胃の後で横断方向に存在する大型の(細長い)ブドウ状の分泌腺のことを指す。一実施態様では、本発明の細胞には組織切片又は全組織が包含されることもあり、それらは本願明細書に記載のポリペプチド、核酸、ベクター又は組成物を含んでなる。他の実施態様では、本発明の方法には目的の細胞集団を含んでなる培養された器官、又は別の実施態様では組織切片又は組織断片が包含される。一実施態様では、ランゲルハンス島が本発明の細胞として、また本発明の方法に用いられる。一実施態様では、当該細胞はβ細胞であり、膵島細胞の60〜80%を構成してもよく、及び/又は本発明の方法に使用してもよい。
【0052】
一実施態様では、当該細胞は膵臓前駆細胞である。一実施態様では、用語「膵臓前駆細胞」とは、膵臓の細胞に分化できる細胞を指し、例えば、通常膵臓細胞によって作られるホルモン又は酵素を産生できる細胞のことを指す。例えば、膵臓前駆細胞は、少なくとも部分的に、α、β、γ又はδ膵島細胞に分化されうる細胞、又は外分泌するよう運命付けられた細胞が挙げられる。本発明の膵臓前駆細胞は、細胞増殖及び分化を促進する条件下で患者への投与前に培養してもよい。これらの条件は、in vitroでの増殖及びコンフルエンスとなるように細胞を培養し、その時点で細胞が疑似膵島様の凝集又はクラスターを形成し、インスリン、グルカゴン及び/又はソマトスタチンを分泌することが可能となる条件を含んでなる。
【0053】
一実施態様では、本発明の細胞及び本発明の方法に用いられる細胞は、実質的に純粋な細胞集団であってもよい。一実施態様では、「実質的に純粋な」という用語は、全細胞集団に対して少なくとも約65%、又は別の実施態様では少なくとも約70%、又は別の実施態様では少なくとも約75%、又は別の実施態様では少なくとも約85%、又は別の実施態様では少なくとも約90%、又は別の実施態様では少なくとも約95%純粋である細胞集団のことを指す。
【0054】
様々な技術を用いて組織から細胞(区別された及び未分化な)の懸濁液を調製し、本発明の細胞及び/又は本発明の方法に用いられる細胞を構成させてもよい。幾つかの実施態様では、当該単離方法は可能な限り細胞死をもたらさない方法が好ましい。例えば、機械的手段によって細胞を外植片サンプルから取り除いてもよく、ピペットで機械的に切り取る方法が挙げられる。他の例としては、全ての外植片又はその下部から、例えば外植片の酵素分解によって前駆細胞を分離し、更に活性化された前駆細胞集団を、例えば親和性分離技術又は蛍光活性化細胞分取(FACS)を使用した特異的な細胞標識に基づいて単離してもよい。細胞を遠心分離によって液体サンプル(例えば血液)から得てもよい。
【0055】
通常、組織はいかなる適切な方法を用いて調製してもよく、例えば、切除された組織を穏やかに分離することや、又は、コラゲナーゼ(例えばコラゲナーゼA)で切除された組織を消化(例えばダクトによる潅流又はコラゲナーゼを含んでなる適切なpH及び浸透圧のバッファーで組織を単純にインキュベート)することによって行ってもよい。調製された組織を更に任意に、適切な方法及び材料(例えばフィコール濃度勾配による遠心分離)を用いて濃縮(及び部分的精製)してもよい。濃縮された組織を更に適切な容器(例えば組織培養ガラス製品又はプラスチック製品)に再懸濁する。特定の実施態様では、膵臓組織のサンプルはコンフルエントな単層培養組織として形成され、またそこからNACsが形成される。他の好ましい実施態様では、細胞懸濁液を非付着型の組織培養容器に添加し、前駆細胞の塊を形成させる。
【0056】
一実施態様では、細胞が由来する組織は、成人の組織、又は胎児の組織、又はいかなる発達段階における組織であってもよい。更に、当該方法は比較的少ない量の開始原料から実施してもよい。したがって、ドナーからの小さな組織検体を用いてもよく、ドナーを犠牲にするか又は重傷を負わせることもない。本発明の前駆細胞は、増殖させた後、組織サンプルから単離してもよい。
【0057】
ある種の実施態様では、培養組織を、例えば成長因子又は当該成長因子(例えば有糸分裂成長因子)を含んでなる組成物と接触させてもよく、当該成長因子はIGF−I、IGF−II、LIF、TGFα、TGFβ、bFGF、aFGF、HGF又はヘッジホックからなる群から選択される。他の実施態様において、当該成長因子はTGFβスーパーファミリーを構成するものである。幾つかの実施態様では、本発明の方法は上記したように患者に組成物を投与することを含んでなり、当該組成物は、本発明の細胞、ポリペプチド、核酸及び/又はベクターを含んでなってもよく、更に本願明細書に記載の他のいかなる添加物(例えば糖尿病治療薬、成長因子、cAMP濃度上昇剤など)を含んでなってもよい。
【0058】
幾つかの実施態様では、当該細胞又は培養組織中の細胞はcAMP濃度上昇剤又はそれを含む組成物と接触させてもよく、cAMP濃度上昇剤としては、8−(4−クロロフェニルチオ)−アデノシン−3’:5’−サイクリック−モノリン酸(CPT−cAMP)(Koike Prog.Neuro−Psychopharmacol.and Biol.Psychiat.16 95−106(1992)を参照)、CPT−cAMP、フォルスコリン、Naブチレート、イソブチルメチルキサンチン(IBMX)及び、コレラ毒素(Martinら、J.Neurobiol.23 1205−1220(1992))、8−ブロモ−cAMP、ジブチリル−cAMP及びジオクタノイル−cAMP(例えば、Rydelら、PNAS85:1257(1988)を参照)が挙げられる。
【0059】
幾つかの実施態様では、当該細胞又は培養組織中の細胞を、ステロイド又は副腎皮質ステロイド(例えばヒドロコルチゾン、デオキシヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン及びパラメタゾン、又はそれを含む組成物と接触させる。一般論はThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy,15th Ed.pp.1239−1267及び2497−2506,Berkowら編、Rahway NJ.,1987に記載されている。
【0060】
ヒトを含む動物に由来する組織を培養するための多数の組織培養用の培地が存在する。幾つかの実施態様では、当該培養培地は単純媒体、例えばダルベッコの最小栄養培地(DMEM)であってもよい。他の実施態様では、細胞や組織などを、5%のFBSを含むIsocoveの修飾MEM培地で培養してもよい。他の実施態様では、細胞や組織などを、長い期間無血清培地で維持してもよい。本発明の若干の一実施態様では、培養細胞の維持のために成長因子又は他の細胞分裂促進剤をin vitroで初代培養の培地に含有させず、その後、細胞(例えば前駆細胞)集団を増殖させるために用いてもよい。
【0061】
他の実施態様では、幹細胞は、培養組織面への付着(直接的又は間接的な)がなされない場合に成長するため、濃厚になる。幾つかの実施態様では、幹細胞は懸濁液に浮遊し、培養容器の表面、又は接触する他の細胞又は材料との固定若しくは半固定的な接触がなされない。
【0062】
一実施態様では、本発明の細胞を用いることにより、本発明の方法において移植可能な細胞(前駆細胞集団が分化した形の子孫細胞)の供給源を提供することとなり、又は別の実施態様では、患者細胞は、例えば分泌型TMEM27などの分泌因子の産生及び精製用の膵臓細胞の培養組織の調製に使用できる。他の実施態様では、培養細胞はインスリンの供給源として調製してもよい。
【0063】
別の実施態様では、本発明は、膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、当該方法はTMEM27ポリペプチドをコードする核酸と細胞を接触させることを含んでなり、前記細胞は膵臓β細胞であるか、又は前記細胞は前記核酸の発現に好都合な条件を提供されたときに膵臓β細胞に分化することができる細胞であってもよい。
【0064】
一実施態様では、β細胞量の増加は、β細胞の増殖の増加を経て生じる。一実施態様では、β細胞量の増加により、前駆体細胞のβ細胞系への分化の促進がもたらされる。一実施態様では、β細胞量の増加は、細胞のターンオーバー又は細胞死の減少を指す。他の実施態様では、β細胞量の増加は、上述した実施態様のいかなる組合せを指す場合もある。
【0065】
従来技術において公知の、本願明細書においても例示されるいかなる方法を使用して細胞増殖を測定してもよく、例えば標識物質(例えばHチミジン)の取り込みを測定するなどの当業者に公知の方法で測定してもよい。
【0066】
別の実施態様では、本発明は、患者の代謝変化させる方法の提供に関し、当該方法はTMEM27ポリペプチド又は前記TMEM27ポリペプチドをコードする核酸と細胞とを接触させることを含んでなり、前記細胞は膵臓β細胞であるか、又は前記細胞は膵臓β細胞に分化されうる細胞であってもよい。
【0067】
代謝を変化させることは、一実施態様では代謝を増加させることを指し、一方別の実施態様では、代謝を減少させることを指す。一実施態様では、糖代謝を変化させる。一実施態様では、細胞はin vitro又はex vivoで接触に供される。他の実施態様では、細胞はin vivoで接触に供される。他の実施態様では、細胞は幹細胞又は前駆細胞である。他の実施態様では、細胞は糖尿病に罹患する、又はその体質を有する患者から単離された細胞である。
【0068】
一実施態様では、当該方法は、接触させた細胞を患者に投与する処理(例えばex vivo細胞療法)を含んでなる。一実施態様では、患者に投与される細胞は自己由来であってもよく、別の実施態様では、患者に関して同種由来であってもよい。
【0069】
一実施態様では、当該細胞をTMEM27ポリペプチドと接触させ、それは全長タンパク質又はその断片であってもよい。一実施態様では、当該断片は、分泌された形のTMEM27タンパク質を含んでなる。他の実施態様では、分泌型のものは約25kDaのサイズであって、TMEM27タンパク質の1−142番目のアミノ酸、又はその断片、又はそれに相応する配列を含んでなる。
【0070】
一実施態様では、細胞をプロテアーゼ阻害剤と接触させてもよい。一実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼ活性若しくはその発現、又はそれらの両方を抑制するか、防止するか、減弱させるか、遅延させるか又は何らかの形で変化させる分子のことを指す。
【0071】
一実施態様では、当該プロテアーゼ阻害剤は、セリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)、メタロプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤、チオプロテアーゼ阻害剤、トリプシン阻害剤、トレオニンプロテアーゼ阻害剤、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤又はそれらの組み合わせである。
【0072】
一実施態様では、当該プロテアーゼ阻害剤としては、(HONH−COCHCHCO−FA−NH)、(OA−Hy、シス−9−オクタデセノイル−N−ヒドロキシルアミド、オレオイル−N−ヒドロキシルアミド)、{N−[[(4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニンメチルエステル}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−(2−ピリジル)ピペラジニル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、{(2R)−2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニルプロピオン酸}、{(2R)−[アミノ(4−ビフェニルイルスルホニル)]−N−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオンアミド}、H−Cys1−Thr−Thr−His−Trp−Gly−Phe−Thr−Leu−Cys10−OH(SB−3CT)、(Ac−RCGVPD−NH、ストロメリシン−1阻害剤)、[N−イソブチル−N−(4−メトキシフェニルスルホニル)−グリシルヒドロキサミン酸、NNGH]{N−[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニン}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−N−(シクロヘキシルメチル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、4−ジベンゾフラン−2¢−イル−4−ヒドロキシイミノ酪酸)、[4−(4¢−ビフェニル)−4−ヒドロキシイミノ酪酸]、{(3R)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキシサメート]}、{(3S)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキサメート]}、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−(4−ビフェニルカルボニル)ピペラジン−2−カルボキサミド]、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−ベンジルオキシカルボニルピペラジン−2−カルボキサミド]、(1,10−フェナントロリン一水和物)、マリマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、ネオバスタット、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
一実施態様では、阻害剤としては、α1−抗トリプシン、α1−抗キモトリプシン、α2−抗プラスミン(一実施態様では線維素溶解の阻害剤)、抗トロンビン(一実施態様では凝固阻害剤、特に因子X、因子EX及びトロンビン)、補体1−阻害剤、ニューロセルピン(一実施態様では痴呆の公知の形態における変異)、プラスミノーゲン活性化物質阻害剤−1及び2(一実施態様では線維素溶解の阻害剤)、プロテインZ関連のプロテアーゼ阻害剤(ZPIは一実施態様では因子Xa及び因子XIaを不活性化する)又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
別の実施態様では、プロテアーゼ阻害剤はロイペプチン、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオライド塩酸(AEBSF)、アプロチニン、キモスタチン、アンチトロンビンIH、3,4−ジクロロイソクマリン、L−1−クロロ−3−[4−トシル−アミド]−7−アミノ−2−ヘプタノン−HCl(TLCK)、TPCK、ジイソプロピルホスホロフルオリデート(DIFP)、アンチパイン、4−アミジノフェニルメタンスルホニル−フッ化物−HCl(APMSF)、フェニルメタンスルホニルフルオライド(PMSF)、3,4−ジクロロイソクマリン(DCI)、α−トルエンスルホニルフッ化物、BB94、α2−マクログロブリン又はそれらの組み合わせである。
【0075】
一実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、EDTA、バナジウム、モリブデン酸塩、1,10−フェナントロリン、ホスホラミドン、アマスタチン、ベスタチン、アクチノニン、ジプロチン、BB94、α2−マクログロブリン又はそれらの組み合わせである。
【0076】
一実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、N−エチルマレイミド、ロイペプチン、L−トランスエポキシ−スクシニル−ロイシル−アミド−(4−グアニジノ)−ブタン(E−64)、キモスタチン、アンチパイン、α2−マクログロブリン、PMSF、PEFABLOC又はそれらの組み合わせである。
【0077】
一実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、ペプスタチンA、α2−マクログロブリン又はそれらの組み合わせである。他の実施態様では、プロテアーゼ阻害剤はBB94又はバチマスタットであり、一実施態様ではセリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤である。一実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は可逆的であり、一方、別の実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は不可逆的である。
【0078】
別の実施態様では、当該細胞は、PKC阻害剤と接触させてもよく、一実施態様では、サフィンゴル(L−スレオ−ジヒドロスフィンゴシン)、Ro−1、Ro32−0432(ビスインドリルマレイミド 第三級アミン)、UCN−01(7−OH−スタウロスポリン)、フラボピリドール(L86−8275)、ブリオスタチン1(大環状ラクトン)、ビスインドリルマレイミドI、InSolution(商標)ビスインドリルマレイミドI、ビスインドリルマレイミドI塩酸、ビスインドリルマレイミドII、ビスインドリルマレイミドIII塩酸、ビスインドリルマレイミド阻害剤セット、ビスインドリルマレイミドIV、ビスインドリルマレイミドV、カルフォスチンC、クラドスポリウム クラドスポリオイド、カルディオトキシン、ナジャ ニグリコリス、塩化ケレリスリン、塩化デカリニウム、エラグ酸二水和物、G6976、InSolution(商標)G6976、G6983、G7874塩酸、H−7ジヒドロクロライド、Iso−H−7ジヒドロクロライド、HBDDE、ヒスピジン、ヒペリシン、K−252a ノカルジオプシス属InSolution(商標)、K−252a ノカルジオプシス属、K−252b ノカルジオプシス属−252c、メリチン、NGIC−I、フロレチン、ピセアタノル、PKCbII/EGFR阻害剤、スタウロスポリン、N−ベンゾイルPKQ3阻害剤、ポリミキシンB硫酸、プロテインキナーゼC阻害剤20−28(細胞透過型、ミリストイル化)、プロテインキナーゼC阻害剤ペプチド19−31、プロテインキナーゼC阻害剤ペプチド19−36、プロテインキナーゼC阻害剤セット、プロテインキナーゼC阻害剤EGF−Rフラグメント651−658(ミリストイル化)、プロテインキナーゼCe転移阻害剤ペプチド、プロテインキナーゼCe転移阻害剤ペプチド(ネガティブコントロール)、プロテインキナーゼCz不完全基質阻害剤、プロテインキナーゼC2不完全基質阻害剤(ミリストイル化)、プロテインキナーゼCh不完全基質阻害剤(ミリストイル化)、プロテインキナーゼCq不完全基質阻害剤、プロテインキナーゼCq不完全基質阻害剤(ミリストイル化)、シュードヒペリシン、Ro−31−7549(固定化)、Ro−31−7549、Ro−31−8220、InSolution(商標)Ro−31−8220、Ro−31−8425、Ro−32−0432、ロットレリン、サフィンゴル、サンギバマイシン、サイトネミン、リングビア属、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤セット、D−エリスロ−スフィンゴシン、ジヒドロ−、D−エリスロ−スフィンゴシン遊離型塩基、ウシ脳(有利型塩基、高純度)、D−エリスロ−スフィンゴシン、N,N−ジメチル−スタウロスポリン、ストレプトマイセス属、タモキシフェンクエン酸塩、タモキシフェン、4−ヒドロキシ−(Z)−TER14687(ビタミンEスクシネート、又はプロテインキナーゼCの発現を阻害できるアンチセンスヌクレオチドである。
【0079】
一実施態様では、プロテアーゼはトリプシン、キモトリプシン及びエラスターゼを含む。一実施態様では、システインプロテアーゼはパパイン、カルパイン及びリソソームカテプシンを含む。一実施態様では、アスパラギン酸プロテアーゼはペプシン及びレンニンを含む。一実施態様では、メタロ−プロテアーゼはサーモリシン及びカルボキシペプチダーゼAを含む。
【0080】
一実施態様では、本願明細書に記載の組成物及び/又は本発明の方法には、阻害剤のいかなる組合せによる使用も含まれうる。
【0081】
他の実施態様では、当該細胞はTcf1タンパク質又は前記Tcf1タンパク質をコードする核酸と接触させてもよい。
【0082】
一実施態様では、Tcf1タンパク質はNCBIのGenbank(Accession番号):CAI59557、P15257、P22361、P20823、NPJB3353、NP_036801、NP_739570又はNP_000536のアミノ酸配列、又はそれらのホモログであってもよい。
【0083】
他の実施態様では、本発明は膵臓β細胞量を増加させる方法の提供に関し、当該方法は膵臓β細胞又は膵臓β細胞に分化させることができる細胞(前記細胞はTMEM27を発現するか、又は発現を誘導することができる)を、セリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることと、β細胞増殖に適した条件を提供することを含んでなる。
【0084】
他の実施態様では、本発明は患者の代謝を変化させる方法の提供に関し、当該方法は膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞をセリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることを含んでなり、前記細胞はTMEM27を発現するか、又はその発現を誘導されうる。
【0085】
他の実施態様では、本発明は患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法の提供に関し、当該方法はTMEM27ポリペプチド又は前記TMEM27ポリペプチドをコードする核酸と細胞とを接触させることを含んでなり、前記細胞は膵臓β細胞であるか、又は前記細胞は膵臓β細胞への分化を誘導されうる。
【0086】
他の実施態様では、本発明は、患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法の提供に関し、当該方法は、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞と、セリン又はメタロプロテアーゼ阻害剤を有するプロテアーゼ阻害剤とを接触させることを含んでなり、前記細胞はTMEM27を発現するか又はその発現を誘導されうる。
【0087】
一実施態様では、「治療する」とは、治療的な処理及び予防的な処理の両方であって、その目的が、上記の目標とされた病理学的症状又は障害を予防又は減少させることであるものを指す。すなわち、一実施態様では、当該治療には、抑制、阻害、防止、処置又はそれらの組み合わせが包含されうる。すなわち、一実施態様では、「治療する」とは、特に疾病進行の時間の長期化、緩解の促進、緩解の誘発、緩解の増強、回復速度の上昇、代替療法の有効性増強若しくは抵抗性の抑制、又はそれらの組み合わせを指す。一実施態様では、「抑制する」又は「阻害する」とは、特に症状発現の遅延、疾患再発の防止、症状の再発の回数又は頻度の減少、症状と症状との間の時間の長期化、症状の重症度の減少、急性の症状の重症度の減少、症状の数の減少、疾患関連の症状の発生率の減少、症状の潜伏期間の短縮化、症状の改善、二次症状の減少、二次感染の減少、患者の生存期間の長期化又はそれらの組み合わせのことを指す。
【0088】
一実施態様では、症状は原発性の症状である場合もあり、別の実施態様では二次的な症状である場合もある。一実施態様では、「原発性の」という用語は糖尿病の直接的な結果である症状のことを指し、一方、一実施態様では、「二次的」とは、原発性の結果に由来する又はその結果としての症状のことを指す。一実施態様では、本発明に用いられる化合物は、糖尿病に関連する原発性若しくは二次的症状、又は二次合併症を治療する。
【0089】
他の実施態様では、「症状」とは、いかなる疾患又は病的症状としての表れであってもよく、一実施態様では糖尿病であり、頻尿、過度の喉の渇き、過度の空腹感、異常な体重減少、疲労の増加、癇癪、眼の霞み、低インスリン濃度、高い血液中若しくは尿中グルコースレベル、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
一実施態様では、用語「糖尿病」とは、哺乳類の患者における原発性の、又は他の実施態様では二次的な糖尿病、又は別の実施態様では1型NIDDM(一過性)、又は別の実施態様では1型IDDM、又は別の実施態様では2型IDDM(一過性)、又は別の実施態様では2型NIDDM、又は別の実施態様では2型MODY(Harrisonら、Internal Medicine(14th ed.1998)を有する疾患のことを指す。
【0091】
本発明の本態様によれば、一実施態様では、当該患者はインスリン抵抗性又は、別の実施態様では、インスリン低分泌に罹患する患者である。他の実施態様では、当該患者は糖尿病の体質を有する。他の実施態様では、当該患者は若年性糖尿病(MODY)に罹患する患者である。
【0092】
他の実施態様では、本発明の方法は、併用療法の一部として、患者に追加的な抗糖尿病剤を投与する処理を更に含んでなってもよい。一実施態様では、抗糖尿病剤としてはスルホニル尿素、レプチン、メグリチナイド、ビグアナイド、チアジアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0093】
他の実施態様では、本発明の方法は、GLP−Iレセプタアゴニストを患者に投与すること、又は別の実施態様では患者において当該アゴニストを細胞と接触させることを更に含んでなってもよい。一実施態様では、当該GLP−IのアゴニストとしてはGLP−I、エキセンディン−3及びエキセンディン−4(米国特許第5424286号、米国特許第5705483号、米国特許第5977071号、米国特許第5670360号、米国特許第5614492号)、GLP−Iアナログ又は誘導体、並びに米国特許第545618号及び米国特許第5981488号に記載のような天然ペプチド及び小分子のアナログが挙げられる。GLP−Iレセプタアゴニストは、米国特許第5981488号にて説明した方法で活性を試験してもよい。
【0094】
他の実施態様では、本発明の方法はPDX−1若しくはPYY、又はそれをコードする核酸を投与することを更に含んでなってもよい。
【0095】
本願明細書で記載した本発明の細胞、組成物、ポリペプチド、核酸又はベクターに関するいかなる実施態様も本発明の方法に使用でき、また本発明の実施態様に包含されると理解すべきである。
【0096】
一実施態様では、本発明は患者の膵島量を評価する方法の提供に関し、当該方法は、前記患者の血清中のTMEM27の濃度を測定し、前記濃度とコントロールのそれを比較する処理を含んでなる。
【0097】
他の実施態様では、本発明は、高インスリン血症、低インスリン血症、糖尿病又は治療に対する反応を評価し、上記症状の治療の用に供する診断用ツール及び/又は方法の提供に関する。一実施態様では、TMEM27はバイオマーカーとして機能し、体液(血清、プラズマ又は尿)中のその濃度が、例えば高インスリン血症、低インスリン血症又は顕著な糖尿病の指標となる。一実施態様では、分泌型TMEM27がバイオマーカーである。本発明の本態様における一実施態様では、TMEM27タンパク質又はその断片若しくは分泌型形態のレベルを、例えばELISAアッセイなどの標準的なアッセイ方法により測定することを特徴とする診断方法である。一実施態様では、重症度がそのポリペプチドの発現量を指標として診断される。他の実施態様では、ポリペプチドの発現(タンパク質又はRNAレベルのいずれか)の変化は、治療方法(例えば本願明細書に提供される処理方法)に対する反応との間で相関関係を示す。他の実施態様では、発現量の比較的変化を本発明の核酸又はベクターの輸送との相関として評価してもよく、またそれは本発明の治療方法を表すこともある。一実施態様では、本発明の方法は本発明の抗体若しくは抗体断片、又はそれを含んでなる組成物の使用を含んでなってもよい。本発明の抗体、核酸、ベクター、細胞及び/又は組成物を含んでなるキットも本発明に包含される。
【0098】
他の実施態様では、本発明はタンパク質の同定方法の提供に関し、当該タンパク質はTMEM27タンパク質(又はその分泌型)と相互作用するものであり、当該方法は、TMEM27ポリペプチドと目的の分子とを、一定時間、前記ポリペプチドと前記分子との間の相互作用を行わせるのに十分な条件下で接触させる処理と、目的の前記分子を同定する処理とを含んでなる。
【0099】
一実施態様では、TMEM27をホルモンとして機能させてもよく、相互作用するタンパク質が、当該ホルモンと反応する未確認のレセプターを含んでなることもありうる。一実施態様では、当該相互作用するタンパク質は、患者の代謝経路に関与する周知のレセプターを含んでなることもありうる。
【0100】
一実施態様では、かかるスクリーニング方法は公知技術であり、2つの物質の間における相互作用の直接的又は間接的な評価方法を含んでなってもよく、例えば変性条件対非変性条件によるゲル電気泳動結果の解析、化学的架橋剤の使用、又は他の分子生物学的手段(例えばイースト2ハイブリッドシステムの使用)が挙げられる。
【0101】
本発明のTMEM27タンパク質と相互作用するパートナー物質を決定するいかなる手段も本発明を実施可能にし、本発明の一部をなすと考えられ、また相互作用するパートナー物質、並びに本願明細書に記載の条件下におけるかかるパートナー物質の役割(例えば正の代謝的効果、(例えば膵臓β細胞量の増加に対する効果)、又は別の実施態様では有害な代謝効果、(例えば高インスリン血症の進行))の同定も包含されることを意味すると理解される。
【0102】
以下に本発明を実施する手段としての材料、方法及び実施例を示すが、それらは例示を目的するものであり、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
【実施例】
【0103】
材料及び方法:
動物:
AUモデル動物を、Laboratory ofAnimal Reserch Center(LARC)(ロックフェラー大学の病原菌フリーの動物収容施設)に収容した。動物を12時間の明/暗サイクルで維持し、標準的な齧歯動物用の食餌を与えた。変異マウスの遺伝子タイピングは、3週齢のマウスから単離したDNAを用いたPCRで実施した。
【0104】
抗体2つのペプチド:
抗Col−3:
VQSAIRKNRNRINSAFFLD(配列番号:1)
抗Col−4:
GIPCDPLDMKGGHINDGFLT(配列番号:2)
を合成して>90%純度にし、KLHとコンジュゲートし、ウサギ(Bethyl Laboratories,Texas)に免疫した。抗血清をアフィニティ精製し、ウエスタンブロッティング及び免疫組織化学により試験した。アフィニティ精製した抗血清を全ての試験に用いた。イムノブロッティング及び免疫組織化学に用いる他の抗体は、以下の供給源から得た。抗インスリン(Linco社)、抗グルカゴン(Linco社)、抗V5(インビトロゲン社)、ローダミンレッド−コンジュゲート−ロバ抗ギニアピッグ(Jackson Labs社)、Alexa488ロバ抗ウサギ(Molecurlar Probe社)。
【0105】
細胞培養
MIN6細胞を、25mMのグルコース、15%のウシ胎児血清及び5.5μmの2−メルカプトエタノールを含有するDMEM培地で培養した。INS−1細胞は、25mMのグルコース及び5%のウシ胎児血清及び10mMのHepes(pH7.4)を含有するRPMI1640培地で培養した。HepG2細胞は、25mMのグルコース及び10%のウシ胎児血清を含有するDMEM培地で培養した。
【0106】
トランジェントなトランスフェクション及びルシフェラーゼアッセイ
HepG2細胞の場合にはFugene試薬(ロシュ)を、MIN6細胞の場合にはリポフェクトアミン2000(インビトロゲン)を用い、業者の使用説明に従い、トランジェントなトランスフェクションを実施した。0.5μgのルシフェラーゼリポーター構築物、発現ベクター及びCMV−LacZを35mmペトリ皿に添加した。ルシフェラーゼは、対応するβ−ガラクトシダーゼ活性に基づいてトランスフェクション効率を標準化した(AlamJ.,Cook,J.L.:Reporter genes:Application to the study of mammalian gene transcription.Anal.Biochem.188:245−254,1990)。
【0107】
ルシフェラーゼ構築物の場合、815bpプロモーター領域をルシフェラーゼプロモーターの上流にクローニングし、Tcf1発現ベクターと共発現させた。TMEM27プロモーター配列(マウス)は配列番号17に示す通りである:atgtcattgc acccaatgac tttaacgctc agtccttgga taccccacat gtgagacggt tgtaaccact gtaaggattt gagaaataat cagggagcct agctcacagt aagtagttct tagtcattgt taaatagttg cgctgaacaa tgttgtcact agcactgtgt agcaacttaa ctaaatgaca ggttcttagc agttctagcc ccttttaaag ggttagcatt catttcttcc tagtggcacc aggacagagc actgttcagg gaaggtatca ccatcaccat caccatcacc atcgtcatca ccatcaccat cgtcatcacc caatgatcat catctccagc gtgaggcttt atatcattaa tgttgagttt tagacagtag ccagatctta gagtttaacc tagccatcct ctagttggga attgttaacc aaccaacagt ctaggaagtc ttgttccctt tactctccag aggtgaaaaa ggagttatat ttgtttccta agtatggtag cctgtctttg aatcagattg gttagcctga aagggcacaa agattatgcc aaagaaaact ccatgctctc cacgtttagc ttaaccaaac aactacagga ggcaggtggg aggcttctga ttgtgtcagc tcaggaaaca ttcttatgag gtagagtttg aggaagaacc cactaacctg cttctcaaat agattttcgt aaataactga caggggatgg ttcgcttcta tggacgtatt aacccaactg atgggcgtta attattaaac cttttagatg gtggctcgct gattt。
【0108】
更に、TMEM27プロモーターを以下の通りにTcf1部位(M1及びM2プロモーター配列と呼ばれる)特異的変異導入した。
【0109】
TMEM27−M1プロモーター(マウス)の配列(配列番号:18):atgtcattgc acccaatgac tttaacgctc agtccttgga taccccacat gtgagacggt tgtaaccact gtaaggattt gagaaataat cagggagcct agctcacagt aagtagttct tagtcattgt taaatagttg cgctgaacaa tgttgtcact agcactgtgt agcaacttaa ctaaatgaca ggttcttagc agttctagcc ccttttaaag ggttagcatt catttcttcc tagtggcacc aggacagagc actgttcagg gaaggtatca ccatcaccat caccatcacc atcgtcatca ccatcaccat cgtcatcacc caatgatcat catctccagc gtgaggcttt atatcattaa tgttgagttt tagacagtag ccagatctta gagtttaacc tagccatcct ctagttggga attgttaacc aaccaacagt ctaggaagtc ttgttccctt tactctccag aggtgaaaaa ggagttatat ttgtttccta agtatggtag cctgtctttg aatcagattg gttagcctga aagggcacaa agattatgcc aaagaaaact ccatgctctc cacgtttagc ttaaccaaac aactacagga ggcaggtggg aggcttctga ttgtgtcagc tcaggaaaca ttcttatgag gtagagtttg aggaagaacc cactaacctg cttctcaaat agattttcgt aaataacact gaggggatgg ttcgcttcta tggacgtatt aacccaactg atgggcgtta attattaaac cttttagatg gtggctcgct gattt。
【0110】
TMEM27−M2プロモーター(マウス)の配列(配列番号:19):atgtcattgc acccaatgac tttaacgctc agtccttgga taccccacat gtgagacggt tgtaaccact gtaaggattt gagaaataat cagggagcct agctcacagt aagtagttct tagtcattgt taaatagttg cgctgaacaa tgttgtcact agcactgtgt agcaacttaa ctaaatgaca ggttcttagc agttctagcc ccttttaaag ggttagcatt catttcttcc tagtggcacc aggacagagc actgttcagg gaaggtatca ccatcaccat caccatcacc atcgtcatca ccatcaccat cgtcatcacc caatgatcat catctccagc gtgaggcttt atatcattaa tgttgagttt tagacagtag ccagatctta gagtttaacc tagccatcct ctagttggga attgttaacc aaccaacagt ctaggaagtc ttgttccctt tactctccag aggtgaaaaa ggagttatat ttgtttccta agtatggtag cctgtctttg aatcagattg gttagcctga aagggcacaa agattatgcc aaagaaaact ccatgctctc cacgtttagc ttaaccaaac aactacagga ggcaggtggg aggcttctga ttgtgtcagc tcaggaaaca ttcttatgag gtagagtttg aggaagaacc cactaacctg cttctcaaat agattttcgt aaataactga caggggatgg ttcgcttcta tggacgtatt aacccaactg atgggccaat attattaaac cttttagatg gtggctcgct gattt。
【0111】
細胞溶解液中のタンパク質の架橋
MIN6細胞(6枚のウェルプレートにおける90%のコンフルエンシー(細胞密度))を回収し、50μlの反応バッファー及び試薬に再懸濁し、4℃で2時間インキュベートした。50mMのトリス(pH7.4)溶液を添加して氷上で10分間インキュベートし、反応を停止させた。更に細胞をPBSで洗浄し、4℃で15分間プロテアーゼ阻害剤の存在下、RIPAバッファーで溶解させた。細胞溶解液を10,000×gで5分間遠心分離し、上清を還元的及び非還元的SDS−PAGEに供し、イムノブロッティングを行った。架橋試薬及びバッファーの組成は、BMH(Pierce社)をDMSO中に溶解させ、PBS中でインキュベートし、DTBP(Pierce社)を水に溶解させ、0.2Mのトリエタノールアミン(pH8.0)中でインキュベートした。
【0112】
N−グリコシル化の阻害及び酵素分解
pV5−TMEM27を発現するMIN6細胞を、DMSO中に溶解させた所定濃度のツニカマイシン(Sigma社)、及びDMSOのみと、37℃で12時間インキュベートした。更に細胞溶解液をSDS−PAGEに供し、抗V5抗体を用いてイムノブロッティングした。
【0113】
完全なN結合グリカンを、組換えN−グリカナーゼ酵素(Prozyme,San Leandro,CA)で分泌型のTMEM27部分から除去した。MIN6細胞及び膵島からの上清を100℃で5分間、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)、0.1%のSDS及び50mMのβ−メルカプトエタノール溶液中で加熱変性させた。NP−40を0.75%の最終濃度で添加し、反応液を37℃で3時間N−グリカナーゼでインキュベートした。
【0114】
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)及びクロマチン免疫沈降(ChIP)
結合バッファー(20mMのHepes(pH7.9)、10%のグリセロール、150mMのNaCl、1mMのDTT)中で、全細胞抽出液10μgを用いてEMSA分析を実施した。全細胞抽出液を、野生型若しくは変異型のHNF−I結合部位を含んでなるTMEM27プロモーターの32P−ラベル二本鎖オリゴヌクレオチドプローブとインキュベートした。配列番号3:5’−GGAGATTTTCGTAAATAACTGACA−3’、配列番号4:5’−GGGCGTTAATTATTAAACCTTTTA−3’、配列番号5:5’−GGGCAGAGATTATTAAACCTTTTA−3’。抗Tcf1抗体(Geneka Biotechnology社、モントリオール、カナダ)を用いてスーパーシフトを実施した。C57/B6マウス又はMIN6細胞から単離した初代肝細胞を使用し、製造業者(Upstate Cell Signaling Solutions,Lake Placid,NY)のChIPアッセイキットのプロトコルに従い、ChIP分析を実施した。Tcf1を抗−HNF−1α抗体で沈殿させ、DNAをプライマーx及びyを使用して増幅した。配列番号6:5’−ACAGGAGGCAGGTGGGAGGCTTCT−3’、配列番号7:5’−CCCGGATTAGGGTATCGGAGAA−3’。apoMのプライマーは以下の通りである。配列番号8:5’−GGGCTCAGCTTTCCTCCTA−3’、配列番号9:5’−CTCCGCCTTAACTGTTCTCTGATG−3’。
【0115】
全細胞抽出液の調製
MIN6細胞を、150mmの組織培養皿で90%の集密度(コンフルエンシー)となるまで増殖させた。細胞を一度氷冷PBSで洗浄し、3mlのPBSで掻き取った。細胞を4,000×gで4分間遠心分離し、2倍容の高塩濃度の抽出バッファー(400mMのKCl、20mMのトリス(pH7.5)、20%のグリセロール、2mMのDTT、1×コンプリート(商標)プロテアーゼ阻害剤(Boehringer Manheim社)及び20μg/mLアプロチニンに再懸濁した。細胞溶解液を凍結・解凍させ、細胞破片を4℃で10分間16,000×gで遠心分離して除去した。
【0116】
ホルモン測定値
インスリン及びグルカゴンを、酸性エタノール(無水エタノール中の10%氷酢酸)で膵臓から抽出し、10分間超音波破壊し、4℃、12,000×gで10分間、2回遠心分離した。上清を回収し、−20℃保存し、感受性インスリン又はグルカゴンRIAキット(Linco Research社)を用いてインスリン濃度を測定した。
【0117】
膵島及びRNAの単離
膵島を6〜8週間齢のマウスから単離した。コラゲナーゼによる消化及びフィコール勾配による遠心分離を使用した。更に全RNAを、TRIzol試薬(Gibco−BRL社)を使用して、製造業者の指示に従い抽出した。混入するゲノムDNAを、RNA5μgあたり1μlのRNaseフリーDNase−I(Boehringer社)を使用して除去した。
【0118】
膵島の形態観察
膵臓をパラホルムアルデヒドで固定し、上記の通りにインスリン及びグルカゴンに関して染色した。全ての膵臓断面(7μm)を採取し、全ての第6断面を形態観察に使用した。オーバーラップしない少なくとも288の画像(ピクセルサイズ:0.88μm)を、共焦レーザー読取り顕微鏡(Zeiss LSM510、ドイツ)を使用してスキャンした。この実験で測定されるパラメータを、Metamorph Software Package(Universal Imaging社、PA)の統合形態観察装置を使用して分析した。インスリン又はグルカゴンで着色した細胞で覆われた視野に、3ピクセルより大きいサイズの染色物質を使用して取り込ませた。
【0119】
RT−PCR
全RNAをTRIZOL試薬(Invitrogen社)を使用して抽出し、10μgのRNAを5UのRNaseフリーのDNase−I(Ambion社)で処理した。dNTPs及びランダム六量体プライマー(Invitrogen社)で、Moloney白血病ウイルス逆転写酵素を使用してcDNAを合成した。上記cDNAsを使用し、[α−32P]dCTP及びTaqポリメラーゼの存在下で、特異的なプライマーを使用したPCR用の鋳型とした(Shih DQ,Screenan S,Munoz KN,Philipson L,Pontoglio M,Yaniv M,Polonsky KS,Stoffel M.(2001)Loss of HNF−I alpha function in mice leads to abnormal expression of genes involved in pancreatic islet development and metabolism.Diabetes 50:2472−80を参照)。
【0120】
イムノブロッティング及び免疫組織化学
サイトソル中のタンパク質抽出物をSDS−PAGE(4〜15%)で分離し、エレクトロブロッティングを行いニトロセルロース膜(Schleicher&Schuell社)に転写した。TMEM27を抗−Col3及び抗Col4抗血清(1:500)により検出した。4℃で一晩、一次抗体を用いて膜をインキュベートした。二次抗体を含んでなるインキュベーションを室温で1時間実施した。非還元的SDS−PAGEは、DTTをサンプルバッファから除外することにより実施した。
【0121】
MIN6細胞をコーティング済のスライド(Nalge Nunc Int.)にプレーティングし、4℃で20分間、4%のパラホルムアルデヒドで固定した。スライドを室温で30分間、3%の通常ロバ血清を含むPBS中の0.01%サポニンとインキュベートし、抗Col3及び抗Col4(1:20)を添加し、4℃で一晩添加した。二次抗体を添加し、室温で30分間インキュベートした。
【0122】
膵臓を4℃で4時間4%のパラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋した。7μmの切片を調製し、パラフィン除去の後、0.01Mのクエン酸ナトリウム(pH6.0)中でスライドを電子レンジで処理し、抗原のマスキング除去を行った。断面に0.1%のトリトンX−100を浸透させ、30分間、3%の通常ロバ血清を含むPBS中の0.01%サポニンとインキュベートした。上記と同様に染色を行った。
【0123】
電子顕微鏡検査検討
MIN6細胞を、0.1Mのカコジル酸バッファー(pH7.4)中の4%のパラホルムアルデヒド及び0.02%のグルタルアルデヒドで固定した。細胞をPBSで洗浄し、10%のゼラチンに包埋し、上記と同様に再度固定した。細胞ペレットをPBS中の2Mスクロース溶液を使用してクリオ保護し、使用までの間サンプルを液体窒素中で保存した(Tokuyasu,K.T.1973.J.Cell.Biol.57−551−565)。クリオ極薄切片を、Reichert−Jung FC−4E cryoultramicrotomeのガラスナイフを使用して調製した。Formvar−カーボンコーティングニッケルグライドに切片を回収し、1%のBSA−PBSでブロッキングし、1:10希釈した抗col4でインキュベートした。PBSで2回(各15分)洗浄してインキュベーションを終了させた。更に切片を、10nm金粒子(Amersham Life Science, Arlington Heights, IL)とコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgGでインキュベートした。グライドを、Griffithsら、1983.Methods Enzymol.96:466−485に記載の方法従って処理し、染色した。
【0124】
チミジン取込の解析
24ウェル培養プレート上の5×10細胞/ウェルにおける、[H]チミジン取り込みを以下の通りにアッセイした。エレクトロポレーションの48時間後に細胞を更に24時間、成長停止培地(0.5%FCS)中でインキュベートし、更に通常の成長培地で24時間インキュベートした。インキュベーションの最後の4時間において、0.5μCi/ウェルで[H]エチルチミジン(Perkin Elmer社)を添加した。添加後、細胞を氷冷PBSで二回リンスし、20分間氷上で、10%のトリクロロ酢酸(TCA)でインキュベートした。10%のTCAで洗浄した後、細胞を室温で10分間、0.2MのNaOH/1%のSDSで溶解させた。TCA不溶性物質を0.2MのHClで中和し、液体シンチレーションカウンタにより放射能を測定した。
【0125】
RNA干渉
合成siRNAsは、Dharmacon Research(Lafayette、CO)により合成された。マウスのTMEM27(NM020626)、PC1/3(NM013628)、PC2(NM008792)、furin(NM011046)及びカルボキシペプチダーゼE(NM013494)配列に対するsiRNAsを設計した。1×10のMIN6細胞に対して各siRNAの3μgをエレクトロポレーションした。
【0126】
統計分析
平均±SDとして結果を提供した。統計分析はスチューデントt検定を用いて実施し、帰無仮説を0.05のレベルで拒絶した。
【0127】
<実施例1>Tcf1は膵臓β細胞の新規タンパク質の発現を制御する:
膵臓β細胞中の分裂促進因子を同定するため、Tcf1−/−野生型同腹仔から単離した膵島細胞の遺伝子発現を、Affymetrix(商標)オリゴヌクレオチド発現配列を使用して比較した。この分析により膜貫通型タンパク質(TMEM27)をコードする遺伝子が同定され、コントロールと比較し、Tcf1−/−マウスでは発現レベルが16倍減少していた。この結果は、独立した動物群のRT−PCRにより確認された(図1a)。Tcf1がTMEM27転写の直接的な活性化物質であるかどうかを検討するため、TMEM27プロモーターを解析し、2つの保存された高親和性結合部位がその調節領域に存在することを確認した(図1b)。ヒト(配列番号10)及びマウス(配列番号11)の上流側調節領域はそれぞれ、ヒトではTcf結合部位の約−117〜約−102(配列番号12及び配列番号13)、及びマウスでは−62〜約−47(配列番号14及び配列番号15)であった。
【0128】
815bpのプロモーター領域(配列番号17)を、ルシフェラーゼプロモーターの上流にクローニングし、Tcf1発現ベクターと共発現させた。Tcf1及びTMEM27プロモーターのトランジェントなコトランスフェクションにより、ルシフェラーゼ活性が5倍以上活性化された(図1c)。TMEM27プロモーターの各Tcf1部位を選択的に変異させたとき、転写活性が70〜80%減少した(図1c)。Tcf結合部位を含んでなる二本鎖32P標識オリゴヌクレオチドとMIN6細胞の抽出液を使用して電気泳動的によるゲル移動度シフトアッセイ(EMSA)を行い、DNA/タンパク質複合体を検出した(図1d)。これらの部位に対するタンパク質の結合特異性を、非標識オリゴヌクレオチドを用いた競合アッセイ、更には特異的な抗Tcf1抗血清を用いたDNA−Tcf1複合体のシフトにより測定した(図1d)。Tcf1が直接TMEM27の発現を増加させるか否かを解析するため、クロマチン免疫沈降(ChIP)を実施した。Tcf1はMIN6細胞のTMEM27プロモーターの結合部位と結合したが、TMEM27が発現されない肝細胞では結合しなかった(図1e)。これらのデータにより、in vivoにおけるTcf1結合部位の機能が確認され、またTcf1が膵臓β細胞のTMEM27の発現に必要であることを示すものである。
【0129】
<実施例2>TMEM27の発現は、膵臓成長の間に制御される:
免疫組織化学的な分析を行い、マウス膵臓成長の間のTMEM27の発現パターンを観察した。新生児及び成体の膵臓において、TMEM27の発現は膵島β細胞のみに限定された。膵臓の成長の間、ホルモン陽性が顕著である場合(主にグルカゴン陽性細胞)には、TMEM27は最も初期の時期に発現していた。胚時期のE11.5及びE12.5日において、TMEM27発現は、グルカゴン及びインスリン発現細胞において局所的であった。内分泌細胞の膨張ピーク時期(胎児期13.5〜18.5日)において、TMEM27は主に、E18.5日(出生の直前)までグルカゴンと共局所化しており、またインスリン陽性細胞においても検出された。新生児及び成体の膵臓では、TMEM27は膵島のα−細胞においてはもはや検出されず、発現はβ細胞に限定されていた(図2)。
【0130】
<実施例3>TMEM27はN結合型糖タンパク質であり、In Vivoで二量体を形成する:
TMEM27は、アミノ酸残基76及び93において2つの予想N−グリコシル化部位を含んでなる。MIN6細胞をツニカマイシンで処理し、それによりN−グリコシル化が阻害された。ツニカマイシンの濃度を増加させて細胞をインキュベートし、タンパク質抽出物を調製し、SDS−PAGEにより分析し、イミムノブロッティングを行った。ツニカマイシン処理を行った場合、電気泳動移動度の増加した2つのバンドが出現し、一方高分子量側のタンパク質が消失した(図3a)。この結果は、N−グリカナーゼ(完全なN結合グリカンを放出させる酵素)を使用したin vitroアッセイにより確認した。この酵素でインキュベートしたMIN6細胞抽出液のウエスタンブロット分析において、ツニカマイシン処理と同様の結果が示された(図3b)。
【0131】
TMEM27タンパク質が多量体として存在するか否かを解析するため、化学架橋結合実験を実施した。次の2つの異なる架橋結合試薬の存在下で、MIN6細胞抽出液をインキュベートした。BMH(ビスマレイミドヘキサン、膜透過性、分離不可能な化合物)、及びDTBP(ジメチル3、3’−ジチオビスプロピオンイミデート、浸透性膜、還元的及び非還元的SDS−PAGE分析の実施前に分離可能な化合物)。非還元的ウエスタンブロッティングにより、還元条件下でのウエスタンブロッティングにおけるTMEMタンパク質のちょうど2倍の分子量のバンドが出現した。BMHで処理した細胞抽出液では、還元及び非還元条件におけるブロッティングで二量体タンパク質が出現した。しかしながら、DTBPの存在下では、タンパク質二量体が還元条件下で消失していた(図3b)。同様の結果が、内因的にTMEM27を発現するMIN6細胞、及びTMEM27発現ベクター(データ示さず)でトランジェントにトランスフェクションしたN2A細胞において観察された。
【0132】
これらのデータから、TMEM27タンパク質はNグリコシル化され、二量体として存在することが示された。
【0133】
<実施例4>TMEM27はプロセシングされ、膵臓β細胞から分泌される:
TMEM27は、N末端の細胞外領域を有する膜貫通タンパク質であると予測された。タンパク質の細胞外及び細胞内領域のペプチドを認識する2つの抗体(α−Col−3及びα−Col−4)をそれぞれ調製した。ウエスタンブロット実験において、α−Col−4ではMIN6細胞(図4a)の全細胞溶解液において2つのバンドが検出された。グリコシル化された全長タンパク質の予測された分子量に対応するバンドが、高分子量側に存在した。低分子量側にバンド(≒25kD)が検出されたが、C末端V5−Tag融合タンパク質を発現するベクター(p−TMEM27.V5−His)によるトランスフェクション、及び抗V5抗体(図4b)を用いた細胞溶解液のウエスタンブロットにより検出できたことより、特異的なものである。
【0134】
25kDバンドが切断型のTMEM27のC末端の一部であるか否か、及び/又は分泌されたか否かを示す目的で、異なる細胞系からの上清(ニューロンN2A細胞、HepG2細胞、Hek293及びM−1細胞、腎臓の集合管に由来し、TMEM27を内生的に発現する)をα−Col−3抗体を用いて解析した。細胞を血清フリーの培地で48時間培養し、α−Col−3を使用してウエスタンブロットで解析し、β細胞系のMIN6及びINS1Eクローン(図4c、データ示さず)において、約25kDaタンパク質に対応するバンドが検出された。この推定の切断及び分泌されたタンパク質は、単離されたマウス膵島とインキュベートした培地において検出してもよい(図4d)。興味深いことに、細胞溶解液における全長タンパク質の強い発現にもかかわらず、TMEM27発現ベクター(p−TMEM27)でトランジェントにトランスフェクションした非−β細胞株の培地では、ウエスタンブロット分析によりこのバンドが検出できなかった。
【0135】
対照的に、MTN6及びINS1E細胞のTMEM27の過剰発現により、それぞれの培地中に分泌されたタンパク質量が増加していた。siRNAによるTMEM27タンパク質濃度の減少は、MIN6細胞上清中の分泌型TMEM27のレベルの減少と相関していた(図4e)。最後に、TMEM27のN末端部分がβ細胞から切断され、分泌されることを更に強力に裏付けるため、発現ベクター(pHA−TMEM27、9つのアミノ酸によるHA−エピトープタグがTMEM27タンパク質のアミノ酸残基39及び40との間に挿入されている)を構築し、このベクターでMTN6細胞をトランスフェクションし、抗−HA抗体で検出し、上清中に同程度のサイズを有するタンパク質が分泌されていることを検出した。このタンパク質は、タグを有さないタンパク質(図4f)を発現するコントロール細胞では検出されなかった。これらのデータから、TMEM27が膵臓β細胞特異的な、切断及び分泌型の膜貫通タンパク質であることが明らかとなった。
【0136】
<実施例5>TMEM27は、インスリン分泌細胞及び形質膜に局在化する:
抗Col−3及び4の抗体を使用した免疫蛍光アッセイにより、膵臓β細胞におけるTMEM27の局在化が示された。MIN6細胞をスライド上で増殖させ、固定し、一次抗体を透過させた。特異的な染色が、原形質膜のみならず、核周辺領域及び顆粒において検出された(図5a)。この結果は、TMEM27がインスリン分泌顆粒において局所化し、それがこれらの小嚢を経て原形質膜に運搬されることと整合する。免疫・金−標識抗−Col−4抗体を使用した電子顕微鏡観察により、インスリン分泌顆粒内でTMEM27の局在化が示された(図5b)。ナノ金粒子は小嚢/膜融合現象(図5c)の付近で原形質膜と結合し、これはTMEM27がインスリン分泌顆粒と共に共共局在化する形質膜タンパク質であることを示すものである。
【0137】
<実施例6>Ob/Ob島におけるTMEM27の発現増加、及びIn VitroにおけるB細胞の増殖
コントロールと比較した、ob/ob及びaP2−Srebp−lcトランスジェニックマウスの肥大した膵島におけるTMEM27の相対的な発現量を評価した。6〜8週齢のマウスから膵島を単離し、遺伝子発現レベルをそれらの野生型同腹仔と比較した。半定量的RT−PCRアッセイにより、コントロール値(図6a及び6b)と比較して、ob/ob及びaP2−Srebp−1c膵島においてTMEM27レベルのそれぞれ2.1倍及び1.7倍の増加が確認された。更にob/ob及びaP2−Srebp−1cマウスから単離した膵島では、野生型同腹仔(図6c、データ示さず)における通常のサイズの膵島と比較し、切断されたTMEM27の培地中への分泌が顕著に増加した。TMEM27が膵臓β細胞複製を刺激するか否かを解析するため、MIN6細胞におけるTMEM27発現の急激な増加による効果を評価した。細胞を、プラスミドpTMEM27又はTMEM27を標的とするsiRNAsと共に電気泳動した。細胞の複製は、細胞を計数し、エレクトロポレーションの48時間後における[H]チミジンの取込を測定することにより評価した(図6d−g)。pTMEM27でトランスフェクションしたMIN6細胞ではpcDNA3でトランスフェクションした細胞と比較し約5倍の過剰発現が示され、[H]チミジン取込が約3倍増加し、プレーティングの48時間後において細胞密度の増加が確認された(図6e、g)。一方、siRNA処理後のタンパク質発現の顕著な減少を示すMIN6細胞では、顕著に低い[H]チミジン取込及び細胞密度を示した(図6d、f)。更に、TMEM27の発現の増減にも関わらず、細胞のアポトーシスには変化が観察されず(データ示さず)、これはその発現が細胞死に影響を及ぼさないことを示すものである。これらの結果は、TMEM27がMTN6細胞の細胞増殖を制御することを示す。
【0138】
<実施例7>膵島においてTMEM27を発現するトランスジェニックマウスでは膵島肥大が観察された:
マウスTMEM27 cDNAをマウスインスリンプロモータの制御下となるようなベクター中に挿入し、その構築物を前核マイクロインジェクションし、膵臓β細胞特異的なトランスジェニックマウスを作製した。RT−PCR及びイムノブロット分析により、野生型の同腹仔と比較して、TMEM27発現がトランスジェニックマウスにおいて4倍増加したことが示された(図7A)。8〜12週齢のトランスジェニック動物の膵島形態観察によって膵島質量を解析した。トランスジェニックマウスでは通常の膵島の形態(免疫組織化学を使用したインスリン/グルカゴン共染色に基づく)を示したが、野生型同腹仔と比較し、膵島質量の約2倍の増加が見られた(図7B及び7C)。更に膵島質量の増加を、トランスジェニック及び野生型マウスにおける総インスリン含有量を測定することによって確認した。総インスリン含有量は、TMEM27(図7D)を過剰発現するトランスジェニックマウスにおいても顕著に増加した。空腹時及び食後の血漿中グルコース及びインスリン濃度は、トランスジェニックマウスとコントロールマウスにおいて同様であり、これはトランスジェニックマウスの膵臓β細胞ではグルコースの大きな異常が検出できなかったことを示す(データ示さず)。これらのデータから、TMEM27が膵島成長をin vivoで制御することが明らかとなった。
【0139】
<実施例8>BB94はTMEM27の分離を阻害する:
膵臓β細胞系のMEM6細胞を、25mMのグルコース、15%のウシ胎児血清及び5.5μM 2−メルカプトエタノールを含有するDMEM培地で培養した。MIN6細胞を12ウェルプレート中で50%の集密度(コンフルエンシー)となるようにプレーティングし、24時間インキュベートした。細胞をOPTI−MEM(Invitrogen社)で洗浄し、37℃で15分間、OPTT−MEM中にDMSO又はプロテアーゼ阻害剤BB94(1μM)を添加してインキュベートした。上記のインキュベーション後、OPTI−MEM中にDMSO、PMA(SigmaP8139)、BB94又はPMA+BB94を添加し、細胞を2時間インキュベートした。上清を各30μlサンプリングし、SDS−PAGEに供した。TMEM27(図8)のN末端(切断部分)を認識する抗TMEM27抗体を使用してイムノブロッティングを実施した。抗V5抗体(TMEM27のC末端(細胞内)部分を認識する)をコントロールとして使用してイムノブロッティングを行った結果、PMA及びBB94がTMEM27(図8)の発現レベルを変化させないことが示された。BB94(PMAでない)では、TMEM27のC末端の発現レベルは一定であったが、TMEM27のN末端の発現レベルは減少した(図8)。BB94はセリンプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼの周知の阻害剤であるため、TMEM27がセリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼのファミリーに属するプロテアーゼの基質であることを示唆すると考えられる。
【0140】
本発明の具体的な特徴を本願明細書に記載・例示したが、当業者であればそれに対する多くの修飾、置換、変更及び同等技術を想起しうると考えられる。ゆえに、本発明の技術的思想の範囲内に含まれるこれらの全ての改変及び変形は、特許請求の範囲に包含されるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1a】Tcf1により制御されるTMEM27発現を示す。同腹の野生型の同腹仔コントロールと比較し、Tcf1−/−マウスの膵島においてTMEM27発現が減少している。RT−PCRによって発現レベルを測定し、GAPDHをコントロールとして用いた。
【図1b】プロモーター解析を行い、ヒト(配列番号:10)及びマウス(配列番号:11)TMEM27遺伝子の上流の調節領域(転写開始部位に対して−60〜117塩基)に存在する2つの保存されたTcf結合部位を予測した。ヒト及びマウスのプロモーター配列をアラインメントし、Tcf結合部位を青色のボックスとして示す。第2の部位(赤色のボックス)は推定のPdx−1結合部位を示す。強調された配列(緑色)はTcf結合部位の変異部位を示す。
【図1c】pcDNA3又はpTcf1、pCMV−β−ガラクトシダーゼ、並びに815塩基のTMEM27マウスプロモーターを使用するルシフェラーゼリポーター遺伝子使用してトランスフェクションしたHepG2細胞における転写活性化アッセイを示す。リポーターベクター中のTcf結合部位のプロモーター配列に個々に変異させ、MIN6細胞をベクターpT271uc−wt、pT271uc−ml又はp271uc−m2でトランスフェクションした。ルシフェラーゼ活性はβ−ガラクトシダーゼ活性に基づき標準化した。各数値は8回の独立した実験の平均を意味する。
【図1d】Tcf結合部位1及び2のオリゴヌクレオチド、並びにMIN6細胞の全細胞抽出液を使用したEMSA分析を示す。競合物質とは、結合部位1及び2に対して50倍過剰の、非標識の二本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。暗い楔形は32P−標識プローブとTcf1との相互作用を意味し、明るい楔形はα−Tcf1抗体の添加後の、この相互作用物のスーパーシフトを示す。この相互作用物が抗Pdxl抗体によりシフトすることから、Pdxlも部位2と結合ことが示される。
【図1e】MIN6細胞のChIPアッセイにおける、TMEM27のプロモーターとTcf1とのin vivoでの相互作用を示す。結合部位1及び2にわたる150塩基の領域をPCRで増幅した。この相互作用は、TMEM27を発現しない初期の肝細胞では検出されなかった。初期の肝細胞におけるTcf1のChIPを、Tcf1結合部位にわたるApoMプロモーター領域の増幅によって確認した。
【図2】分化しているマウス膵臓におけるTMEM27発現を示す。マウスの成長期の所定の時点における、パラフィン包埋した膵臓組織の、抗Col−4、抗インスリン及び抗グルカゴン抗体で封埋した際の免疫蛍光を示す。
【図3a】TMEM27がNグリコシル化タンパク質であり、二量体を形成することを示す。MIN6細胞はツニカマイシンの量を増加させてインキュベートし、それによるアスパラギン残基におけるグリコシル化が阻害された。細胞にDMSOのみを添加したときには効果がなかった。
【図3b】MIN6細胞から調製した上清をN−グリカナーゼとインキュベートした。ウエスタンブロットにおける分子量のシフトは、当該酵素が分泌されたTMEM27から糖部分を除去したことを示す。分泌されたタンパク質を、抗−Col−3抗体で検出した。
【図3c】MIN6細胞溶解液を、PBS、又は架橋試薬DTBP及びBMHでインキュベートした。非還元条件でのSDS−PAGE及び抗−Col−4抗体を使用したイムノブロッティングにより、全長のTMEM27の2倍の分子量のバンドが示された。還元条件下では、PBS及びDTBP処理された細胞溶解液においてモノマーだけが検出された。対照的に、BMH処理されたサンプルでは二量体が残り、BMH架橋結合が可逆的でないことを示す。
【図4a】TMEM27が切断され、膵島のβ細胞から分泌されることを示す。抗−Col−4抗体を用いたMIN6細胞のウエスタンブロットにおいて、TMEM27の2つのバンドを検出した。pTMEM27.V5−Hisを過剰発現させる細胞で、25kDaのバンドが濃くなった。
【図4b】α−V5抗体をプローブとする、(a)の細胞溶解液のイムノブロットを示す。V5エピトープに対する抗体により、pTMEM27.V5−Hisでトランスフェクションした細胞では両方のバンドが検出されたが、pcDNA3でトランスフェクションした細胞では検出されなかった。
【図4c】列記する細胞系を用い、pcDNA3又はpTMEM27でトランスフェクションし、抗Col−4抗体を用いた細胞溶解液のウエスタンブロットを行い、全長タンパク質を検出した。抗Col−3を用いた結果、分泌されたタンパク質は、MEST6細胞の上清においてのみ検出された。MIN6細胞においてのみ、全長タンパク質の発現増加による分泌タンパク質の増加が検出された。
【図4d】マウス膵島を単離し、72時間インキュベートした。上清を回収し、膵島を溶解緩衝液に添加した。抗Col−4を用いた溶解物のウエスタンブロットを行い、全長タンパク質を検出し、また等しい量の上清をロードして抗Col−3を用いたウエスタンブロットを行い、分泌タンパク質を検出した。
【図4e】MIN6細胞に対して、GFP又はTMEM27を標的とするsiRNAsでエレクトロポレーションを行った。si−TMEM27#1及び#2でエレクトロポレーションした細胞において、エレクトロポレーションの48時間後におけるTMEM27タンパク質の濃度減少が、抗Col−4抗体を用いて検出された。同じ細胞からの等しい量の上清を用いてSDS−PAGEを行い、抗Col−3抗体により、分泌タンパク質の濃度減少が検出された。
【図4f】MIN6細胞を、pcDNA3、pTMEM27又はpTMEM27−HAを用いてエレクトロポレーションした。抗−Col−4抗体を用いて細胞溶解液のウエスタンブロットを行い、TMEM27の過剰発現を検出した。同じ細胞から調製した上清を用い、抗HAエピトープ抗体によるウエスタンブロットを行った。
【図5a】TMEM27が膵臓β細胞の小胞体及び原形質膜上に存在することを示す。0.01%のサポニンでMIN6細胞の透過性を高め、抗−Col−4抗体で染色した。抗−Col−3抗体を用いた免疫蛍光顕微鏡検査においても同様の結果を示した。
【図5b】抗−Col−4抗体を有するMIN6細胞の電子顕微鏡観察により、小胞体におけるTMEM27の局在化が観察された。10nmの金粒子とコンジュゲートしたIgGを用い、抗体の検出を行った。
【図5c】(B)と同じ方法を使用して、原形質膜と融合するTMEM27を含む小嚢を検出した。
【図6a】TMEM27がin vitroにおいてβ細胞の複製を増加させることを示す。半定量的RT−PCRにより、TMEM27発現レベルを、ob/obマウス及び野生型の同腹仔コントロールから単離した膵島に関して測定した。GAPDHをローディングコントロールとして用いた。
【図6b】上記と同様に、トランスジェニックaP−Srebplcマウス及びそれらの野生型の同腹仔コントロールから単離した膵島を用い、TMEM27発現レベルを測定した。
【図6c】野生型及びob/obマウスから単離した膵島を、数及びサイズに関して一致させ、等量の培地中で72時間インキュベートした。分泌されたタンパク質を、抗Col−3抗体で検出した。
【図6d】MIN6細胞を、ルシフェラーゼ又はTMEM27を標的とするsiRNAsでエレクトロポレーションした。細胞の代表的な画像を倍率20×で撮影した。エレクトロポレーションの48時間後に細胞をトリプシン処理し、トリパンブルー染色し、血球計数板でカウントした。各数値は、6つの独立の実験における平均値を意味する。
【図6e】MIN6細胞を、pcDNA3、pTMEM27でエレクトロポレーションし、上記の実験を繰り返した。
【図6f】上記の通りMDST6細胞をエレクトロポレーションし、細胞分裂を[H]チミジン取込みにより測定した。
【図7a】膵臓β細胞におけるTMEM27の発現増加に応答した、膵島量の増加を示す。TMEM27の発現増加を、RIP−TMEM27トランスジェニックマウス及び野生型の同腹仔コントロールから単離した膵島の抗Col−4抗体によるウエスタンブロットにより検出した。
【図7b】トランスジェニック及びコントロール動物(n=3)から調製した全膵臓をパラフィンに包埋し、インスリンに関して染色した。各遺伝子型を代表する画像(5×拡大)を示す。
【図7c】7μmの切片におけるインスリン染色を、Metamorphソフトウェアを使用して定量した。各膵臓の200μmより大きい断面に関して、少なくとも50の膵島をそれぞれ定量した。
【図7d】トランスジェニック及び野生型マウス(n=3)からの全膵臓を単離し、酸/エタノール中にホモジナイズした。膵臓重量当りのインスリン含有量として標準化した。
【図8】TMEM27がセリン及び/又はメタロプロテアーゼの基質であることを示す。セリンプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼ阻害剤BB94とインキュベートしたMIN6細胞では、ホルボールエステルであるホルボール12−ミリスチン酸13−酢酸(PMA)、又はBB94+PMAの両方とインキュベートしたMIN6細胞と比較し、抗体認識される切断されたN末端のレベルが低下していた。抗V5抗体で標識した細胞(TMEM27のC末端を標識)では、全ての群において顕著なバンドが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TMEM27タンパク質をコードする遺伝子調節領域を含んでなる単離された核酸であって、前記調節領域が少なくとも1つのTcf1タンパク質との高親和性結合部位を含んでなる単離された核酸。
【請求項2】
前記調節領域が配列番号10又は11に一致するか、又は相同性を有する核酸配列を有する、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項3】
前記結合部位が配列番号12、13、14又は15に一致するか、又は相同性を有する核酸配列を含んでなる、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項4】
請求項1記載の核酸を含んでなる細胞。
【請求項5】
前記細胞が膵臓β細胞である、請求項4記載の細胞。
【請求項6】
請求項1記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項7】
分泌型のTMEM27タンパク質を含んでなる単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドが約25kDaであり、配列番号16に一致するか、又は相同性を有する配列のN末端断片を含んでなるポリペプチド。
【請求項8】
膵臓β細胞量を増加させる方法であって、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチドと接触させることと、β細胞の増殖に適する条件を設定することを含んでなる方法。
【請求項9】
前記細胞がin vitro又はex vivoでの接触に供される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記細胞がin vivoでの接触に供される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記細胞が糖尿病に罹患する患者又は糖尿病体質の患者から単離される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記患者に前記細胞を投与する処理を更に含んでなる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記細胞が前記患者に関して自己由来であるか又は同種由来である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記TMEM27ポリペプチドが全長タンパク質又はその断片を含んでなる、請求項8記載の方法。
【請求項16】
前記細胞をプロテアーゼ阻害剤と接触させる処理を更に含んでなる、請求項8記載の方法。
【請求項17】
前記プロテアーゼ阻害剤がセリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記細胞をTcf1タンパク質又は前記Tcf1タンパク質をコードする核酸と接触させる処理を更に含んでなる、請求項8記載の方法。
【請求項20】
膵臓β細胞量を増加させる方法であって、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることと、前記核酸の発現に好適な条件を設定することを含んでなる方法。
【請求項21】
前記細胞がin vitro又はex vivoでの接触に供される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記細胞がin vivoでの接触に供される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記細胞が糖尿病に罹患する患者又は糖尿病体質の患者から単離される、請求項20記載の方法。
【請求項25】
前記患者に前記細胞を投与する処理を更に含んでなる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が前記患者に関して自己由来であるか又は同種由来である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記TMEM27ポリペプチドが全長タンパク質又はその断片を含んでなる、請求項20記載の方法。
【請求項28】
前記細胞をプロテアーゼ阻害剤と接触させる処理を更に含んでなる、請求項20記載の方法。
【請求項29】
前記プロテアーゼ阻害剤がセリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記細胞をTcf1タンパク質又は前記Tcf1タンパク質をコードする核酸と接触させる処理を更に含んでなる、請求項20記載の方法。
【請求項32】
膵臓β細胞量を増加させる方法であって、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチド又はそのTMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることと、β細胞の増殖に適する条件を設定することを含んでなる方法。
【請求項33】
前記細胞がin vitro又はex vivoでの接触に供される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記細胞がin vivoでの接触に供される、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記細胞が前記患者におけるインスリン分泌を促進する、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記細胞が、糖尿病に罹患する患者又は糖尿病の体質を有する患者から単離されるか、当該患者に投与されるか、又はそれらの組み合わせである、請求項32記載の方法。
【請求項38】
前記細胞が前記患者に関して自己由来であるか又は同種由来である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記TMEM27ポリペプチドが全長タンパク質又はその断片を含んでなる、請求項32記載の方法。
【請求項40】
前記TMEM27ポリペプチドが全長タンパク質又はその断片を含んでなる、請求項32記載の方法。
【請求項41】
前記細胞をプロテアーゼ阻害剤と接触させる処理を更に含んでなる、請求項32記載の方法。
【請求項42】
前記プロテアーゼ阻害剤がセリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記細胞をTcf1タンパク質又は前記Tcf1タンパク質をコードする核酸と接触させる処理を更に含んでなる、請求項32記載の方法。
【請求項45】
前記患者がインスリン抵抗性又はインスリン分泌低下に罹患する、請求項32記載の方法。
【請求項46】
前記患者が糖尿病患者又は糖尿病の体質の患者である、請求項32記載の方法。
【請求項47】
前記患者にスルホニル尿素、レプチン、メグリチナイド、ビグアナイド、チアジアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤又はそれらの組み合わせを投与する処理を更に含んでなる、請求項32記載の方法。
【請求項48】
患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法であって、膵臓β細胞又は膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞を、TMEM27ポリペプチド又はTMEM27ポリペプチドをコードする核酸と接触させることを含んでなる方法。
【請求項49】
前記細胞がin vitro又はex vivoでの接触に供される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記細胞がin vivoでの接触に供される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項48記載の方法。
【請求項52】
前記細胞が、糖尿病に罹患する患者又は糖尿病の体質を有する患者から単離されるか、当該患者に投与されるか、又はそれらの組み合わせである、請求項48記載の方法。
【請求項53】
前記細胞が前記患者に関して自己由来であるか又は同種由来である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が前記患者のβ細胞増殖、インスリン分泌又はそれらの組み合わせを活性化する、請求項48記載の方法。
【請求項55】
前記TMEM27ポリペプチドが全長タンパク質又はその断片を含んでなる、請求項48記載の方法。
【請求項56】
前記核酸が全長TMEM27タンパク質又はその断片をコードする、請求項48記載の方法。
【請求項57】
前記細胞をプロテアーゼ阻害剤と接触させる処理を更に含んでなる、請求項48記載の方法。
【請求項58】
前記プロテアーゼ阻害剤がセリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記細胞をTcf1タンパク質又は前記Tcf1タンパク質をコードする核酸と接触させる処理を更に含んでなる、請求項48記載の方法。
【請求項61】
前記患者がインスリン抵抗性又はインスリン分泌低下に罹患する、請求項48記載の方法。
【請求項62】
前記患者が糖尿病の体質の患者である、請求項48記載の方法。
【請求項63】
前記患者が若年性糖尿病(MODY)に罹患する、請求項48記載の方法。
【請求項64】
前記患者にスルホニル尿素、レプチン、メグリチナイド、ビグアナイド、チアジアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤又はそれらの組み合わせを投与する処理を更に含んでなる、請求項48記載の方法。
【請求項65】
患者の膵島量を評価する方法であって、前記患者の血清中のTMEM27濃度を測定することと、前記濃度とコントロールのそれとを比較することを含んでなる方法。
【請求項66】
TMEM27タンパク質と相互作用するタンパク質又はその分泌型タンパク質を同定する方法であって、TMEM27ポリペプチドと標的分子とを、所定時間、前記ポリペプチドと前記分子との間の特異的な相互作用が十分可能となる条件下で接触させ、前記標的分子を同定することを含んでなる方法。
【請求項67】
膵臓β細胞量を増加させる方法であって、膵臓β細胞若しくは膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞であってTMEM27を発現するか若しくは発現を誘導されうる細胞を、セリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることと、β細胞増殖に適する条件を設定することを含んでなる方法。
【請求項68】
前記プロテアーゼ阻害剤が、BB94(HONH−COCHCHCO−FA−NH)(OA−Hy、シス−P−オクタデセノイル−N−ヒドロキシルアミド、オレオイル−N−ヒドロキシルアミド)、{N−[[(4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニンメチルエステル}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−(2−ピリジル)ピペラジニル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、{(2R)−2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニルプロピオン酸}、{(2R)−[アミノ(4−ビフェニルイルスルホニル)]−N−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオンアミド}、H−Cys1−Thr−Thr−His−Trp−Gly−Phe−Thr−Leu−Cys10−OH(SB−3CT)、(Ac−RCGVPD−NH、ストロメリシン−1阻害剤)、[N−イソブチル−N−(4−メトキシフェニルスルホニル)−グリシルヒドロキサミン酸、NNGH]、{N−[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニン}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−N−(シクロヘキシルメチル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、4−ジベンゾフラン−2¢−イル−4−ヒドロキシイミノ酪酸)、[4−(4¢−ビフェニル)−4−ヒドロキシイミノ酪酸]、{(3R)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキシサメート]}、{(3S)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキサメート]}、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−(4−ビフェニルカルボニル)ピペラジン−2−カルボキサミド]、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−ベンジルオキシカルボニルピペラジン−2−カルボキサミド]、(1,10−フェナントロリン一水和物)、マリマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、ネオバスタット、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせである、請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項68記載の方法。
【請求項70】
患者の代謝を変化させる方法であって、膵臓β細胞若しくは膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞であってTMEM27を発現するか若しくは発現を誘導されうる細胞を、セリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることを含んでなる方法。
【請求項71】
前記プロテアーゼ阻害剤が、BB94(HONH−COCHCHCO−FA−NH)、(OA−Hy、シス−9−オクタデセノイル−N−ヒドロキシルアミド、オレオイル−N−ヒドロキシルアミド)、{N−[[(4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニンメチルエステル}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−(2−ピリジル)ピペラジニル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、{(2R)−2−[(4−ビフェニルイルスルホニル)アミノ]−3−フェニルプロピオン酸}、{(2R)−[アミノ(4−ビフェニルイルスルホニル)]−N−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオンアミド}、H−Cys1−Thr−Thr−His−Trp−Gly−Phe−Thr−Leu−Cys10−OH(SB−3CT)、(Ac−RCGVPD−NH、ストロメリシン−1阻害剤)、[N−イソブチル−N−(4−メトキシフェニルスルホニル)−グリシルヒドロキサミン酸、NNGH]{N−[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]−L−フェニルアラニン}、{a−[[[4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−N−(シクロヘキシルメチル)−(S)−ベンゼンプロパンアミド}、4−ジベンゾフラン−2¢−イル−4−ヒドロキシイミノ酪酸)、[4−(4¢−ビフェニル)−4−ヒドロキシイミノ酪酸]、{(3R)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキシサメート]}、{(3S)−(+)−[2−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−ヒドロキサメート]}、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−(4−ビフェニルカルボニル)ピペラジン−2−カルボキサミド]、[N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)スルホニル−4−ベンジルオキシカルボニルピペラジン−2−カルボキサミド]、(1,10−フェナントロリン一水和物)、マリマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、ネオバスタット、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせである、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
患者の糖尿病を阻害、抑制又は治療する方法であって、膵臓β細胞若しくは膵臓β細胞への分化を誘導されうる細胞であってTMEM27を発現するか若しくは発現を誘導されうる細胞を、セリンプロテアーゼ阻害剤又はメタロプロテアーゼ阻害剤と接触させることを含んでなる方法。
【請求項74】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94又はそれらの組み合わせである、請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記プロテアーゼ阻害剤がBB94である、請求項74記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−501002(P2009−501002A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515898(P2008−515898)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022211
【国際公開番号】WO2006/133333
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(591197334)ザ ロックフェラー ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】