臨床検査装置
【課題】診察をする側の診療科や病棟の個別事情に合ったきめ細やかな判定をすることができる臨床検査装置を提供する。
【解決手段】患者の臨床検体を測定する測定部と、この測定部による測定結果を出力する出力部と、前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段とを備えている。
【解決手段】患者の臨床検体を測定する測定部と、この測定部による測定結果を出力する出力部と、前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床検査装置に関する。さらに詳しくは、疾患の発見や異常部位の推定をするために患者から採取した血液や尿等の検体を検査するのに用いられる臨床検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の臨床検査装置は、検査結果を所定の正常値範囲と比較し、異常であると判定された場合に異常情報を出力するように構成されている。この種の臨床検査装置として、特許文献1には、男女別、年齢範囲別に各検査項目の正常値範囲を登録しておき、患者データの情報にしたがって、男女別、年齢範囲の区分に合った判定条件により、異常値の判定を行うものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−151238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検査項目によっては、診療科や病棟等によって検査結果の取り扱いが異なることがあり、そのような場合には各診療科、病棟毎で検査結果の判定基準が相違している。例えば、UTI(尿路感染症)の判定基準の場合、一般的には尿中の細菌濃度が104個/ml以上の場合にUTIと判定しているが、小児科の場合、基準を厳しくして例えば103個/ml以上の場合にUTIと判定し、一方、産婦人科の場合は、基準をゆるくして例えば105個/ml以上の場合にUTIと判定することが行われている。
【0005】
すなわち、従来のように単純に性別や年齢等の、診察を受ける側の患者の身体的な情報だけで区分された判定基準により検査結果を判定しても、それが診察をする側の各診療科や病棟の医師等の個別要求に合った判定とはならないことがあり、この場合は、診療科や病棟別に設けられた判定基準によって診察をする医師等が再度判定する必要があり、煩雑な手間を要していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、診察をする側の診療科や病棟の個別事情に合ったきめ細やかな判定をすることができる臨床検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)毎に設けられた判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織毎の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。
【0009】
臨床検体に関する検体情報を取得する検体情報取得手段をさらに備えることが好ましい。また、この場合には、前記検体情報取得手段が、患者に関する患者情報を含む前記検体情報を取得するように構成されていることが好ましい。これにより、測定結果の医療組織毎の判定結果だけでなく、臨床検体の検体情報、又は患者情報を取得することができる。
【0010】
前記判定基準が、再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記再検査判定条件に基づいて、医療組織毎に、再検査が必要であるか否かを判定する再検査判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記再検査判定手段により再検査が必要であると判定された場合に、再検査が必要であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成することができる。この場合、泌尿器科、小児科、産婦人科、内科等の診察をする側の医療組織毎に設定された再検査判定条件を用いて、医療組織毎に再検査が必要であるか否かを判定することができる。これにより、医師等の再判定を要することなく、医療組織によって異なる測定結果の取り扱いに対応することができる。
【0011】
前記判定基準が、測定結果が異常であるか否かを判定するための異常判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記異常判定条件に基づいて、医療組織毎に、前記測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記異常判定手段により測定結果が異常であると判定された場合に、異常であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成することができる。この場合、泌尿器科、小児科、産婦人科、内科等の診察をする側の医療組織毎に設定された異常判定条件を用いて、医療組織毎に測定結果で異常値であるか否かを判定することができる。これにより、医師等の再判定を要することなく、医療組織によって異なる測定結果の取り扱いに対応することができる。
【0012】
医療組織を特定する医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力手段と、
入力された判定基準を、前記医療組織情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる設定手段と
をさらに備えることができる。この構成によれば、検査技師等のユーザが医療組織毎に判定基準を設定することができ、診察をする個々の医療組織に応じた判定基準を容易に適用することができる。
【0013】
前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記出力部に出力させる入力画面出力手段をさらに備えることができる。この場合、ユーザが出力部に表示された入力画面に必要な情報を入力することで判定基準の設定を行うことができ、判定基準の設定作業を容易に行うことができる。
【0014】
判定基準の名称の入力を受け付ける名称入力手段をさらに備えており、
前記判定手段が、入力された名称を判定基準に対応付けて前記記憶部に記憶させるように構成することができる。この場合、ユーザが判定基準の名称を自由に設定することができ、分かり易い名称を設定することにより判定基準の見間違いを防止することができる。
【0015】
また、本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、 患者の医療組織の入力を受け付ける入力受付部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、前記入力受付部によって受け付けられた医療組織について、前記測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)のうち、患者の医療組織の判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。
【0017】
また、本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、前記測定結果と前記判定手段による判定結果とを前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)のうち、患者の医療組織の判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。また、測定結果と判定結果とを出力するので、測定結果と医療組織毎の判定結果とを対応付けて容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の臨床検査装置によれば、診察をする側の診療科や病棟の個別事情に合ったきめ細やかな判定をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の臨床検査装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る臨床検査装置の斜視説明図である。なお、図1では、分かり易くするために臨床検査装置の構成要素を収容する筐体を部分的に省略している。
【0021】
[装置の構成]
図1において、臨床検査装置である尿分析装置Uは、試料を調製するための試料調製部2と、サンプルラック(試験管立て)3を移送するラックテーブル4と、試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部5と、回路部14とを備えている。筐体側面にはアーム15を介して支持台16が取り付けられ、その上にパソコン13が設置されている。パソコン13は、尿分析装置Uの回路部14とLAN接続されている。
【0022】
本実施の形態では、主として前記光学検出部5及び回路部14により、患者の臨床検体を測定する測定部が構成されてり、前記パソコン13のディスプレイ13aにより、当該測定部による測定結果を出力する出力部が構成されている。また、このパソコン13は、前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部を備えるとともに、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段、及びこの判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記ディスプレイ13aに出力させる出力手段として機能するCPU104aを備えている。前記パソコン13は、例えば院内のホストコンピュータと接続されており、当該ホストコンピュータから、氏名、生年月日(年齢)、受診している診療科等の患者に関する患者情報を取得できるように構成されている。
【0023】
前記パソコン13は、より詳細には、以下の構成を備えている。
図2に示されるように、パソコン13は、CPU104aと、ROM104bと、RAM104cと、ハードディスク104dと、読出装置104eと、入出力インタフェース104fと、通信インタフェース104gと、画像出力インタフェース104hとを含んでおり、CPU104a、ROM104b、RAM104c、ハードディスク104d、読出装置104e、入出力インタフェース104f、及び画像出力インタフェース104hは、バス104iによってデータ通信可能に接続されている。
【0024】
CPU104aは、ROM104bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM104cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム140aを当該CPU104aが実行することにより、パソコン13がシステムとして機能する。
ROM104bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU104aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0025】
RAM4cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM4cは、ROM4b及びハードディスク4dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU4aの作業領域として利用される。
ハードディスク104dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU104aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム140aも、このハードディスク104dにインストールされている。
【0026】
読出装置104eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体140に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体140には、パソコン13を本発明のシステムとして機能させるためのアプリケーションプログラム140aが格納されており、パソコン13が当該可搬型記録媒体140から本発明に係るアプリケーションプログラム140aを読み出し、当該アプリケーションプログラム140aをハードディスク104dにインストールすることが可能である。
【0027】
なお、前記アプリケーションプログラム140aは、可搬型記録媒体140によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってパソコン13と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラム140aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにパソコン13がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク104dにインストールすることも可能である。
また、ハードディスク104dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るアプリケーションプログラム140aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
入出力インタフェース104fは、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース104fには、キーボードやマウスなどからなる入力デバイス(入力手段)13bが接続されており、ユーザが当該入力デバイス13bを使用することにより、パソコン13にデータを入力することが可能である。
画像出力インタフェース104hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ13aに接続されており、CPU104aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイ13aに出力するようになっている。ディスプレイ13aは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0029】
図3は前記試料調製部2及び光学検出部5の概略機能構成を示す図である。図において、試験管Tに入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、試料調製部2uは、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための沈渣系のアリコート(第1のアリコート)を収容し、他方、試料調製部2bは細菌のような比較的小さい有形成分を分析するための細菌系のアリコート(第2のアリコート)を収容する。
【0030】
各試料調製部2u、2bの尿は、は、希釈液19u、19bによってそれぞれ希釈され、その後、染色液(染色試薬)18u、18bが混合されて当該染色液(染色試薬)18u、18bに含まれる色素によりそれぞれ染色が施され、有形成分の懸濁液となる。試料調製部2uにより、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1の試料が調製され、一方、試料調製部2bにより、細菌を測定するための第2の試料が調製される。
【0031】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1の試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2の試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述のマイクロコンピュータ11(制御装置)の制御により、図示しない駆動部や電磁弁等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0032】
図4は、光学検出部5の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、次段の処理に供される。
【0033】
図5は、尿分析装置Uの全体構成を示すブロック図である。図において、尿分析装置Uは、前述した検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部5と、この光学検出部5の出力をプリアンプにより増幅したものに対して増幅やフィルタ処理等を行うアナログ信号処理回路6と、アナログ信号処理回路6の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ7と、ディジタル信号に対して所定の波形処理を行うディジタル信号処理回路8と、ディジタル信号処理回路8に接続されたメモリ9と、アナログ信号処理回路6及びディジタル信号処理回路8と接続されたマイクロコンピュータ11と、マイクロコンピュータ11に接続されたLANアダプタ12とを備えている。パソコン13は、このLANアダプタ12を介して尿分析装置UとLAN接続されており、このパソコン13により、尿分析装置Uで取得したデータの解析が行われる。前記アナログ信号処理回路6、A/Dコンバータ7、ディジタル信号処理回路8及びメモリ9は、光学検出部5の出力する電気信号に対する信号処理回路10を構成している。
【0034】
図6は本実施の形態に係る尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図であり、図7はその説明図である。本実施の形態では、所定量の尿検体を試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとに分配する定量機構として、常用されているサンプリングバルブ30が採用されている。このサンプリングバルブ30は、2枚の円盤状の固定素子と、両固定素子に挟まれた可動素子とからなっており、前記可動素子はモータ31により回動操作される。
【0035】
前記サンプリングバルブ30は、互いに重ねあわされた2枚のアルミナセラミック製の円盤30a、30bを備えている。円盤30a、30bの内部には試料を流通するための流路が形成されており、一方の円盤30bがその中心軸を回転中心として回転することにより前記流路が分断され、内部に試料用の流路32を有する流体カセット33を介して前記試料調製部2bと一体的に構成されている。すなわち、サンプリングバルブ30、流体カセット33及び試料調製部2bは、熱的に一体となるように、互いに密着した状態で配設されており、サンプリングバルブ30の温度が、試料調製部2bの温度と略等しくなるように構成されている。これに対し、試料調製部2uは、筐体に固定された取付プレート34に所定のクリアランスSを設けてボルト35で固定されており、このため試料調製部2uは、前記サンプリングバルブ30や試料調製部2bとは、熱的に略隔離された状態となっている。
【0036】
前記試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれ温度調節部を構成するヒータ36u、36bによって加熱されるが、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1の試料を調製する試料調製部2uの温度を第1の温度に調節するとともに、細菌を測定するための第2の試料を調製する試料調製部2bの温度を前記第1の温度よりも高い第2の温度に調節している。具体的には、試料調製部2uは35±2℃程度になるように、試料調製部2bは、これよりも高い42±2℃程度になるように調節される。試料の温度を高くするほど、当該試料に含まれる赤血球や細菌等の所定部位(膜や核)を速く染色することができ、測定時間を短縮することができるが、一方、赤血球は、高温によりダメージを受け易く、温度を高くしすぎると正確な測定を行うことができなくなる。そこで、他の尿中有形成分に比べて耐熱性の高い細菌を測定するための第2の試料の温度を尿中有形成分を測定するための第1の試料の温度よりも高くなるように調節することにより、換言すれば、試料調製部2uと試料調製部2bとをそれぞれ測定に適した温度に調節することにより、赤血球を含む尿中有形成分及び細菌をともに高精度に測定することができる。なお、試料調製部2uと試料調製部2bの温度は、例えばサーミスタにより測定することができる。そして、この測定結果に基づいて前記ヒータ36u、36bをオンオフ制御することにより、試料調製部2u及び試料調製部2bを前記所定範囲の温度に調節することができる。
【0037】
また、サンプリングバルブ30と試料調製部2bとを熱的に一体となるように構成することにより、サンプリングバルブ30にて温度調節された試料が試料調製部2bに供給される際に冷えるのを防止することができることから、温度調節のロスを低減させることができる。この場合、試料調製部2bよりも低温に保たれる試料調製部2uに供給される試料については、サンプリングバルブ30から供給される際に、前記クリアランスSを試料の流路が通るようにすることで自然に低下させることができる。
【0038】
[診療組織別判定基準]
本実施の形態では、後述する手順に従って尿の各種項目について測定が行われるが、前記パソコン13の記憶部に測定結果の医療組織別の判定基準が記憶されており、この判定基準と、実際に得られた測定結果とに基づいて当該測定結果が所定の状態に属しているか否かが判定され、判定の結果、測定結果が所定の状態に属する場合に、この所定の状態を示す情報を前記パソコン13のディスプレイ13aに表示するように構成されている。前記所定の状態とは、例えば、健常者の尿には通常出現しない有形成分が所定以上表れる状態、すなわち測定結果が各測定項目に対して予め設定された限界値を超えた異常な状態、円柱や上皮細胞等の特定の有形成分が表れたため特定の疾患が疑われることから鏡検による再検査が必要な状態、又は検体の採取の方法に問題がある可能性があることから、検体の採取をやり直さなければならない状態のことであり、パソコン13のCPU104aの判定手段によってこのような状態であると判定された場合には、当該状態であることを示す、コメント、記号、シンボル等の情報が、検査結果を示す数値やグラフ等とともにパソコン13のディスプレイ13aに表示される。これにより、医師や検査技師等は、前記情報に対応した処置を迅速かつ的確に採ることができる。
【0039】
前記医療組織としては、例えば診療科、医院、病院、病棟等をあげることができ、この医療組織別に各種測定項目の判定基準が記憶されている。この判定基準は、前述した再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件や、測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定条件や、分析装置の性能限界を超えた検体であるか否かを判定するための測定限界条件等を含んでおり、前記医療組織を特定する医療組織情報とともに前記パソコン13の入力手段であるキーボードにより入力することができ、パソコン13のCPU104aは、入力された判定基準を前記医療組織情報に対応付けて記憶部に記憶させる設定手段を有している。このようにすることで、検査技師等のユーザが医療組織毎に判定基準を設定することができ、個々の医療組織に応じた判定基準を容易に適用することができる。そして、前記CPU104aは、さらに前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記ディスプレイ13aに出力させる入力画面出力手段を備えており、ユーザは、ディスプレイ13aに表示された入力画面に必要な情報を入力することで、判定基準の設定を容易に行うことができる。
【0040】
図8は、測定結果が異常であるか否か(異常判定)、及び再検が必要であるか否か(再検判定)を判定する際の各判定基準の入力画面の例を示す図である。図8において、左側が再検判定の限界値を設定する画面であり、右側が異常判定の限界値を設定する画面である。再検判定及び異常判定ともに、ユーザはまず、プルダウンメニュー40をクリックして限界値を入力したい設定名を選択する。この設定名は、判定基準の名称を表すものであり、名称入力手段として機能するキーボード13bによりユーザが自由に設定することができる。これにより、分かり易い名称を設定して、判定基準の見間違い等を防止することができる。設定名の例としては、例えば、医療組織を区別することができる診療科名、病院名、病棟名や、感染症、血尿等の疑われる疾患を挙げることができる。図8に示される例では、泌尿器科が選択されている。そして、RBC、WBC等の検査項目の左側のチェックボックス41をチェックすることで、再検又は異常の判定を行うか否かを選択することができる。ついで、選択した項目について、各医療組織や各病名に合わせた限界値を設定する。こうして、ユーザは、個々の医療組織や病気に応じた判定基準を容易に設定することができる。しかも、画面を見ながら必要な情報を入力することができるので、判定基準の設定作業が容易になる。
【0041】
図9は、このようにして設定された判定基準を用いた再検判定の手順を示すフローチャートである。測定結果が得られると、まず、CPU104aは、この測定結果が異常な値であるか否かの判定をする(ステップS40)。異常であると判定された項目には、所定のマークが付され(ステップS41)、異常と判定された項目がない場合は、マークを付することなく、CPU104aにより続く再検判定の処理がなされる(ステップS42)。
【0042】
再検を判定するための条件もユーザにより設定することができる。図10は再検判定をする際の設定条件の入力画面を示す図である。この例では、最大7つの条件が設定可能であり、チェックボックス42をチェックすることで、再検判定設定を行うか否かを選択することができる。チェックボックス42をチェックすると、設定名が入力可能になり、ユーザが各条件に対して自由に名称をつけることができる。ついで、プルダウンメニュー43をクリックして、病棟(診療科)を選択する。「すべて」というメンバを含み登録されているメンバから適宜選択することができる。つぎに、プルダウンメニュー44をクリックして、「すべて」、「男性」又は「女性」のなかから性別条件を選択する。最後に、年齢条件の下限及び上限を選択する。
【0043】
ついで、前記再検判定の条件に従って、再検の判定が行われる。まず、設定Aに該当するか否かの判定がなされる。後述するように、検査に先立って、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報が、パソコン13の情報取得手段である測定オーダ問合せによって予め当該ホストコンピュータから取得される。この検体情報に基づいて、CPU104aにより、当該検体が、設定Aに該当するか否かが判断され(ステップS43)、該当する場合は、設定Aの再検判定基準に照らして測定結果が再検に該当するか否かの判定がなされる(ステップS44)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS45)。なお、この「REVIEW」マークとともに、又は「REVIEW」マークに代えて、例えば「白血球数が少ないので再検が必要です」等のコメントを付することもできる。
【0044】
前記ステップS44において、設定Aの再検判定が終了すると、再検に該当する場合もしない場合も、CPU104aにより、設定Aに続いて設定Bに該当するか否かの判定がなされる(ステップS46)。該当する場合は、設定Bの再検判定基準に照らして測定結果が再検に該当するか否かの判定がなされる(ステップS47)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS48)。以下、同様にして、設定している全ての条件について再検判定が行われる(ステップS49〜51)。
【0045】
ついで、CPU104aにより、デフォルトルールに該当するか否かの判定がなされ(ステップS52)、該当しない場合は終了し、該当する場合はデフォルトの設定が適用され、当該デフォルトの再検判定基準により再検に該当するか否かが判定される(ステップS53)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS54)。
【0046】
[分析手順]
つぎに、図11〜12に示されるフローチャートに従って、前述した診療組織別の測定結果の判定プロセスを含む、本実施の形態の尿分析装置を用いた尿の分析手順について説明する。
【0047】
まず、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報を予め当該ホストコンピュータから取得しておく(ステップS1)。ついで、測定実行の指示がパソコン13のキーボードやマウスからなる入力デバイス13bによりなされる(ステップS2)。この指示を受けて、試料入りの試験管Tが立てられたサンプルラック3がラックテーブル4により所定の吸引位置の移送される(ステップS3)。この吸引位置において、前記試験管Tが回転させられ、当該試験管Tの外周面に貼付されたIDラベルのバーコードが読み取られる(ステップS4)。これにより、試料の検体番号を知ることができ、この検体番号をステップS1において取得した検体情報と照合させることにより、当該試料の測定項目を特定することができる。
【0048】
ついで、吸引管17が下降して試験管T内の試料中に当該吸引管17の先端部が挿入され、この状態で前記試料を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、試料が攪拌される(ステップS5)。攪拌後、所定量(800μL)の試料が吸引され、サンプリングバルブ30によって、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分(SED)を測定するための試料を調製する試料調製部2uと、尿中に含まれる細菌(BAC)を測定するための試料を調製する試料調製部2bとにそれぞれ150μL及び62.5μLずつ分注される(ステップS7及びステップS11)。
【0049】
試料調製部2uには、前記試料とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS8及びステップS9)。一方、試料調製部2bにも同様にして、前記試料とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS12及びステップS13)。試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれヒータ36u、36bによって所定温度になるように加温されており、この状態でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により試料の攪拌が行われる(ステップS10及びステップS14)。なお、ステップS9において試料調整部2uに分注される希釈液には界面活性剤が含まれており、これにより細菌膜にダメージが与えられ、細菌の核を効率よく染色することが可能となる。
【0050】
ついで、光学検出部5のシースフローセル51にシース液が送液され(ステップS15)、その後、まず尿中有形成分(SED)測定用の試料が光学検出部5に導かれ、前記シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れ(シースフロー)が形成される(ステップS16)。そして、このようにして形成されたシースフローに半導体レーザ53からのレーザビームが照射される(ステップS17)。尿中有形成分の測定を先に行うのは、細菌測定用試料には界面活性剤が含まれることから、細菌を測定した後に尿中有形成分の測定を行うと、試料のキャリーオーバーにより尿中有形成分測定用の試料に界面活性剤が混入し、赤血球を含む尿中有形成分の膜にダメージを与え当該尿中有形成分の測定に影響を与えることがあるからである。
【0051】
前記レーザビームの照射により生じる尿中有形成分の前方散乱光、蛍光及び側方散乱光は、それぞれフォトダイオード55、フォトマルチプライヤ59及びフォトマルチプライヤ58により受光されて電気信号に変換され、前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)として出力される(ステップS18〜20)。これらの出力は、プリアンプにより増幅される(ステップS21〜23)。
【0052】
一方、尿中有形成分(SED)測定用の試料による測定が終了すると、引き続いてステップS14で調製された試料を用いて尿中の細菌が測定される。この場合、尿中有形成分の測定で用いた光学検出部5により、前記ステップS15〜23と同様にして前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)が出力され、且つ増幅される。
【0053】
増幅された前記前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)は、前記信号処理回路10(図7参照)においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施され(ステップS24〜27)、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。なお、ステップS25における「FLH」は、蛍光信号(FL)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS26「FLL」は同じく蛍光信号(FL)を低いゲインで増幅したものである。
【0054】
そして、パソコン13において尿中有形成分(SED)の生データが作成される(ステップS28)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS29)。ついで、CPU104aにより、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS30)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS31)。
【0055】
また、細菌についても同様にして、増幅された前記前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)は、前記信号処理回路10においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施される(ステップS32〜34)。なお、ステップS32における「FSCH」は、前方散乱光信号(FSC)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS33「FSCL」は同じく前方散乱光信号(FSC)を低いゲインで増幅したものである。
【0056】
そして、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。そして、パソコン13において細菌(BAC)の生データが作成される(ステップS35)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS36)。ついで、CPU104aにより、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS37)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS38)。
以上のようにして得られる測定結果は、前述したように、診療組織別の判定基準によって、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否か等が判定され、その判定結果、及びコメント等とともにパソコン13の表示手段であるディスプレイ13a上に表示される(ステップS39)。
なお、本実施の形態においては、登録されている診療組織別判定基準の全てについて測定結果と比較し、登録されている各診療科毎に、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザが手入力したり、又はホストコンピュータからデータを受け付けたりすることで、患者の診療科の入力をパソコン13が受け付け、入力された診療科の判断基準と測定結果とを比較し、入力された診療科について、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否かを判定する構成としてもよい。これにより、患者の診療科に関する判定結果のみが出力されることとなり、必要な情報のみをユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の臨床検査装置の一実施の形態である尿分析装置の斜視説明図である。
【図2】図1に示されるパソコンのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】尿分析装置の試料調製部及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図4】光学検出部の構成を示す図である。
【図5】図1に示される尿分析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の概略斜視図である。
【図7】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の説明図である。
【図8】測定結果が異常であるか否か、及び再検が必要であるか否かを判定する際の各判定基準の入力画面の例を示す図である。
【図9】再検判定の手順を示すフローチャートである。
【図10】再検判定をする際の設定条件の入力画面を示す図である。
【図11】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(前半部)である。
【図12】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(後半部)である。
【符号の説明】
【0058】
1 検体分配部
2 試料調製部
3 サンプルラック
4 ラックテーブル
5 光学検出部
13 パソコン
15 アーム
16 支持台
17 吸引管
18 染色液
19 希釈液
30 サンプリングバルブ
31 モータ
32 流路
33 流体カセット
34 取付プレート
36 ヒータ
U 尿分析装置
T 試験管
S クリアランス
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床検査装置に関する。さらに詳しくは、疾患の発見や異常部位の推定をするために患者から採取した血液や尿等の検体を検査するのに用いられる臨床検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の臨床検査装置は、検査結果を所定の正常値範囲と比較し、異常であると判定された場合に異常情報を出力するように構成されている。この種の臨床検査装置として、特許文献1には、男女別、年齢範囲別に各検査項目の正常値範囲を登録しておき、患者データの情報にしたがって、男女別、年齢範囲の区分に合った判定条件により、異常値の判定を行うものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−151238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検査項目によっては、診療科や病棟等によって検査結果の取り扱いが異なることがあり、そのような場合には各診療科、病棟毎で検査結果の判定基準が相違している。例えば、UTI(尿路感染症)の判定基準の場合、一般的には尿中の細菌濃度が104個/ml以上の場合にUTIと判定しているが、小児科の場合、基準を厳しくして例えば103個/ml以上の場合にUTIと判定し、一方、産婦人科の場合は、基準をゆるくして例えば105個/ml以上の場合にUTIと判定することが行われている。
【0005】
すなわち、従来のように単純に性別や年齢等の、診察を受ける側の患者の身体的な情報だけで区分された判定基準により検査結果を判定しても、それが診察をする側の各診療科や病棟の医師等の個別要求に合った判定とはならないことがあり、この場合は、診療科や病棟別に設けられた判定基準によって診察をする医師等が再度判定する必要があり、煩雑な手間を要していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、診察をする側の診療科や病棟の個別事情に合ったきめ細やかな判定をすることができる臨床検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)毎に設けられた判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織毎の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。
【0009】
臨床検体に関する検体情報を取得する検体情報取得手段をさらに備えることが好ましい。また、この場合には、前記検体情報取得手段が、患者に関する患者情報を含む前記検体情報を取得するように構成されていることが好ましい。これにより、測定結果の医療組織毎の判定結果だけでなく、臨床検体の検体情報、又は患者情報を取得することができる。
【0010】
前記判定基準が、再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記再検査判定条件に基づいて、医療組織毎に、再検査が必要であるか否かを判定する再検査判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記再検査判定手段により再検査が必要であると判定された場合に、再検査が必要であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成することができる。この場合、泌尿器科、小児科、産婦人科、内科等の診察をする側の医療組織毎に設定された再検査判定条件を用いて、医療組織毎に再検査が必要であるか否かを判定することができる。これにより、医師等の再判定を要することなく、医療組織によって異なる測定結果の取り扱いに対応することができる。
【0011】
前記判定基準が、測定結果が異常であるか否かを判定するための異常判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記異常判定条件に基づいて、医療組織毎に、前記測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記異常判定手段により測定結果が異常であると判定された場合に、異常であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成することができる。この場合、泌尿器科、小児科、産婦人科、内科等の診察をする側の医療組織毎に設定された異常判定条件を用いて、医療組織毎に測定結果で異常値であるか否かを判定することができる。これにより、医師等の再判定を要することなく、医療組織によって異なる測定結果の取り扱いに対応することができる。
【0012】
医療組織を特定する医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力手段と、
入力された判定基準を、前記医療組織情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる設定手段と
をさらに備えることができる。この構成によれば、検査技師等のユーザが医療組織毎に判定基準を設定することができ、診察をする個々の医療組織に応じた判定基準を容易に適用することができる。
【0013】
前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記出力部に出力させる入力画面出力手段をさらに備えることができる。この場合、ユーザが出力部に表示された入力画面に必要な情報を入力することで判定基準の設定を行うことができ、判定基準の設定作業を容易に行うことができる。
【0014】
判定基準の名称の入力を受け付ける名称入力手段をさらに備えており、
前記判定手段が、入力された名称を判定基準に対応付けて前記記憶部に記憶させるように構成することができる。この場合、ユーザが判定基準の名称を自由に設定することができ、分かり易い名称を設定することにより判定基準の見間違いを防止することができる。
【0015】
また、本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、 患者の医療組織の入力を受け付ける入力受付部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、前記入力受付部によって受け付けられた医療組織について、前記測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)のうち、患者の医療組織の判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。
【0017】
また、本発明の臨床検査装置は、患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、前記測定結果と前記判定手段による判定結果とを前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明の臨床検査装置では、診察をする側の医療組織(例えば、診療科、医院、病院、病棟等)のうち、患者の医療組織の判定基準を用いて測定結果が所定の状態であるか否かを判定することができることから、当該医療組織の個別の事情を考慮したきめ細やかな判定を行うことができ、従来のように医師等が再度判定をする必要がなくなる。また、測定結果と判定結果とを出力するので、測定結果と医療組織毎の判定結果とを対応付けて容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の臨床検査装置によれば、診察をする側の診療科や病棟の個別事情に合ったきめ細やかな判定をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の臨床検査装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る臨床検査装置の斜視説明図である。なお、図1では、分かり易くするために臨床検査装置の構成要素を収容する筐体を部分的に省略している。
【0021】
[装置の構成]
図1において、臨床検査装置である尿分析装置Uは、試料を調製するための試料調製部2と、サンプルラック(試験管立て)3を移送するラックテーブル4と、試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部5と、回路部14とを備えている。筐体側面にはアーム15を介して支持台16が取り付けられ、その上にパソコン13が設置されている。パソコン13は、尿分析装置Uの回路部14とLAN接続されている。
【0022】
本実施の形態では、主として前記光学検出部5及び回路部14により、患者の臨床検体を測定する測定部が構成されてり、前記パソコン13のディスプレイ13aにより、当該測定部による測定結果を出力する出力部が構成されている。また、このパソコン13は、前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部を備えるとともに、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段、及びこの判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記ディスプレイ13aに出力させる出力手段として機能するCPU104aを備えている。前記パソコン13は、例えば院内のホストコンピュータと接続されており、当該ホストコンピュータから、氏名、生年月日(年齢)、受診している診療科等の患者に関する患者情報を取得できるように構成されている。
【0023】
前記パソコン13は、より詳細には、以下の構成を備えている。
図2に示されるように、パソコン13は、CPU104aと、ROM104bと、RAM104cと、ハードディスク104dと、読出装置104eと、入出力インタフェース104fと、通信インタフェース104gと、画像出力インタフェース104hとを含んでおり、CPU104a、ROM104b、RAM104c、ハードディスク104d、読出装置104e、入出力インタフェース104f、及び画像出力インタフェース104hは、バス104iによってデータ通信可能に接続されている。
【0024】
CPU104aは、ROM104bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM104cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム140aを当該CPU104aが実行することにより、パソコン13がシステムとして機能する。
ROM104bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU104aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0025】
RAM4cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM4cは、ROM4b及びハードディスク4dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU4aの作業領域として利用される。
ハードディスク104dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU104aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム140aも、このハードディスク104dにインストールされている。
【0026】
読出装置104eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体140に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体140には、パソコン13を本発明のシステムとして機能させるためのアプリケーションプログラム140aが格納されており、パソコン13が当該可搬型記録媒体140から本発明に係るアプリケーションプログラム140aを読み出し、当該アプリケーションプログラム140aをハードディスク104dにインストールすることが可能である。
【0027】
なお、前記アプリケーションプログラム140aは、可搬型記録媒体140によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってパソコン13と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラム140aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにパソコン13がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク104dにインストールすることも可能である。
また、ハードディスク104dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るアプリケーションプログラム140aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
入出力インタフェース104fは、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース104fには、キーボードやマウスなどからなる入力デバイス(入力手段)13bが接続されており、ユーザが当該入力デバイス13bを使用することにより、パソコン13にデータを入力することが可能である。
画像出力インタフェース104hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ13aに接続されており、CPU104aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイ13aに出力するようになっている。ディスプレイ13aは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0029】
図3は前記試料調製部2及び光学検出部5の概略機能構成を示す図である。図において、試験管Tに入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、試料調製部2uは、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための沈渣系のアリコート(第1のアリコート)を収容し、他方、試料調製部2bは細菌のような比較的小さい有形成分を分析するための細菌系のアリコート(第2のアリコート)を収容する。
【0030】
各試料調製部2u、2bの尿は、は、希釈液19u、19bによってそれぞれ希釈され、その後、染色液(染色試薬)18u、18bが混合されて当該染色液(染色試薬)18u、18bに含まれる色素によりそれぞれ染色が施され、有形成分の懸濁液となる。試料調製部2uにより、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1の試料が調製され、一方、試料調製部2bにより、細菌を測定するための第2の試料が調製される。
【0031】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1の試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2の試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述のマイクロコンピュータ11(制御装置)の制御により、図示しない駆動部や電磁弁等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0032】
図4は、光学検出部5の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、次段の処理に供される。
【0033】
図5は、尿分析装置Uの全体構成を示すブロック図である。図において、尿分析装置Uは、前述した検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部5と、この光学検出部5の出力をプリアンプにより増幅したものに対して増幅やフィルタ処理等を行うアナログ信号処理回路6と、アナログ信号処理回路6の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ7と、ディジタル信号に対して所定の波形処理を行うディジタル信号処理回路8と、ディジタル信号処理回路8に接続されたメモリ9と、アナログ信号処理回路6及びディジタル信号処理回路8と接続されたマイクロコンピュータ11と、マイクロコンピュータ11に接続されたLANアダプタ12とを備えている。パソコン13は、このLANアダプタ12を介して尿分析装置UとLAN接続されており、このパソコン13により、尿分析装置Uで取得したデータの解析が行われる。前記アナログ信号処理回路6、A/Dコンバータ7、ディジタル信号処理回路8及びメモリ9は、光学検出部5の出力する電気信号に対する信号処理回路10を構成している。
【0034】
図6は本実施の形態に係る尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図であり、図7はその説明図である。本実施の形態では、所定量の尿検体を試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとに分配する定量機構として、常用されているサンプリングバルブ30が採用されている。このサンプリングバルブ30は、2枚の円盤状の固定素子と、両固定素子に挟まれた可動素子とからなっており、前記可動素子はモータ31により回動操作される。
【0035】
前記サンプリングバルブ30は、互いに重ねあわされた2枚のアルミナセラミック製の円盤30a、30bを備えている。円盤30a、30bの内部には試料を流通するための流路が形成されており、一方の円盤30bがその中心軸を回転中心として回転することにより前記流路が分断され、内部に試料用の流路32を有する流体カセット33を介して前記試料調製部2bと一体的に構成されている。すなわち、サンプリングバルブ30、流体カセット33及び試料調製部2bは、熱的に一体となるように、互いに密着した状態で配設されており、サンプリングバルブ30の温度が、試料調製部2bの温度と略等しくなるように構成されている。これに対し、試料調製部2uは、筐体に固定された取付プレート34に所定のクリアランスSを設けてボルト35で固定されており、このため試料調製部2uは、前記サンプリングバルブ30や試料調製部2bとは、熱的に略隔離された状態となっている。
【0036】
前記試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれ温度調節部を構成するヒータ36u、36bによって加熱されるが、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1の試料を調製する試料調製部2uの温度を第1の温度に調節するとともに、細菌を測定するための第2の試料を調製する試料調製部2bの温度を前記第1の温度よりも高い第2の温度に調節している。具体的には、試料調製部2uは35±2℃程度になるように、試料調製部2bは、これよりも高い42±2℃程度になるように調節される。試料の温度を高くするほど、当該試料に含まれる赤血球や細菌等の所定部位(膜や核)を速く染色することができ、測定時間を短縮することができるが、一方、赤血球は、高温によりダメージを受け易く、温度を高くしすぎると正確な測定を行うことができなくなる。そこで、他の尿中有形成分に比べて耐熱性の高い細菌を測定するための第2の試料の温度を尿中有形成分を測定するための第1の試料の温度よりも高くなるように調節することにより、換言すれば、試料調製部2uと試料調製部2bとをそれぞれ測定に適した温度に調節することにより、赤血球を含む尿中有形成分及び細菌をともに高精度に測定することができる。なお、試料調製部2uと試料調製部2bの温度は、例えばサーミスタにより測定することができる。そして、この測定結果に基づいて前記ヒータ36u、36bをオンオフ制御することにより、試料調製部2u及び試料調製部2bを前記所定範囲の温度に調節することができる。
【0037】
また、サンプリングバルブ30と試料調製部2bとを熱的に一体となるように構成することにより、サンプリングバルブ30にて温度調節された試料が試料調製部2bに供給される際に冷えるのを防止することができることから、温度調節のロスを低減させることができる。この場合、試料調製部2bよりも低温に保たれる試料調製部2uに供給される試料については、サンプリングバルブ30から供給される際に、前記クリアランスSを試料の流路が通るようにすることで自然に低下させることができる。
【0038】
[診療組織別判定基準]
本実施の形態では、後述する手順に従って尿の各種項目について測定が行われるが、前記パソコン13の記憶部に測定結果の医療組織別の判定基準が記憶されており、この判定基準と、実際に得られた測定結果とに基づいて当該測定結果が所定の状態に属しているか否かが判定され、判定の結果、測定結果が所定の状態に属する場合に、この所定の状態を示す情報を前記パソコン13のディスプレイ13aに表示するように構成されている。前記所定の状態とは、例えば、健常者の尿には通常出現しない有形成分が所定以上表れる状態、すなわち測定結果が各測定項目に対して予め設定された限界値を超えた異常な状態、円柱や上皮細胞等の特定の有形成分が表れたため特定の疾患が疑われることから鏡検による再検査が必要な状態、又は検体の採取の方法に問題がある可能性があることから、検体の採取をやり直さなければならない状態のことであり、パソコン13のCPU104aの判定手段によってこのような状態であると判定された場合には、当該状態であることを示す、コメント、記号、シンボル等の情報が、検査結果を示す数値やグラフ等とともにパソコン13のディスプレイ13aに表示される。これにより、医師や検査技師等は、前記情報に対応した処置を迅速かつ的確に採ることができる。
【0039】
前記医療組織としては、例えば診療科、医院、病院、病棟等をあげることができ、この医療組織別に各種測定項目の判定基準が記憶されている。この判定基準は、前述した再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件や、測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定条件や、分析装置の性能限界を超えた検体であるか否かを判定するための測定限界条件等を含んでおり、前記医療組織を特定する医療組織情報とともに前記パソコン13の入力手段であるキーボードにより入力することができ、パソコン13のCPU104aは、入力された判定基準を前記医療組織情報に対応付けて記憶部に記憶させる設定手段を有している。このようにすることで、検査技師等のユーザが医療組織毎に判定基準を設定することができ、個々の医療組織に応じた判定基準を容易に適用することができる。そして、前記CPU104aは、さらに前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記ディスプレイ13aに出力させる入力画面出力手段を備えており、ユーザは、ディスプレイ13aに表示された入力画面に必要な情報を入力することで、判定基準の設定を容易に行うことができる。
【0040】
図8は、測定結果が異常であるか否か(異常判定)、及び再検が必要であるか否か(再検判定)を判定する際の各判定基準の入力画面の例を示す図である。図8において、左側が再検判定の限界値を設定する画面であり、右側が異常判定の限界値を設定する画面である。再検判定及び異常判定ともに、ユーザはまず、プルダウンメニュー40をクリックして限界値を入力したい設定名を選択する。この設定名は、判定基準の名称を表すものであり、名称入力手段として機能するキーボード13bによりユーザが自由に設定することができる。これにより、分かり易い名称を設定して、判定基準の見間違い等を防止することができる。設定名の例としては、例えば、医療組織を区別することができる診療科名、病院名、病棟名や、感染症、血尿等の疑われる疾患を挙げることができる。図8に示される例では、泌尿器科が選択されている。そして、RBC、WBC等の検査項目の左側のチェックボックス41をチェックすることで、再検又は異常の判定を行うか否かを選択することができる。ついで、選択した項目について、各医療組織や各病名に合わせた限界値を設定する。こうして、ユーザは、個々の医療組織や病気に応じた判定基準を容易に設定することができる。しかも、画面を見ながら必要な情報を入力することができるので、判定基準の設定作業が容易になる。
【0041】
図9は、このようにして設定された判定基準を用いた再検判定の手順を示すフローチャートである。測定結果が得られると、まず、CPU104aは、この測定結果が異常な値であるか否かの判定をする(ステップS40)。異常であると判定された項目には、所定のマークが付され(ステップS41)、異常と判定された項目がない場合は、マークを付することなく、CPU104aにより続く再検判定の処理がなされる(ステップS42)。
【0042】
再検を判定するための条件もユーザにより設定することができる。図10は再検判定をする際の設定条件の入力画面を示す図である。この例では、最大7つの条件が設定可能であり、チェックボックス42をチェックすることで、再検判定設定を行うか否かを選択することができる。チェックボックス42をチェックすると、設定名が入力可能になり、ユーザが各条件に対して自由に名称をつけることができる。ついで、プルダウンメニュー43をクリックして、病棟(診療科)を選択する。「すべて」というメンバを含み登録されているメンバから適宜選択することができる。つぎに、プルダウンメニュー44をクリックして、「すべて」、「男性」又は「女性」のなかから性別条件を選択する。最後に、年齢条件の下限及び上限を選択する。
【0043】
ついで、前記再検判定の条件に従って、再検の判定が行われる。まず、設定Aに該当するか否かの判定がなされる。後述するように、検査に先立って、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報が、パソコン13の情報取得手段である測定オーダ問合せによって予め当該ホストコンピュータから取得される。この検体情報に基づいて、CPU104aにより、当該検体が、設定Aに該当するか否かが判断され(ステップS43)、該当する場合は、設定Aの再検判定基準に照らして測定結果が再検に該当するか否かの判定がなされる(ステップS44)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS45)。なお、この「REVIEW」マークとともに、又は「REVIEW」マークに代えて、例えば「白血球数が少ないので再検が必要です」等のコメントを付することもできる。
【0044】
前記ステップS44において、設定Aの再検判定が終了すると、再検に該当する場合もしない場合も、CPU104aにより、設定Aに続いて設定Bに該当するか否かの判定がなされる(ステップS46)。該当する場合は、設定Bの再検判定基準に照らして測定結果が再検に該当するか否かの判定がなされる(ステップS47)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS48)。以下、同様にして、設定している全ての条件について再検判定が行われる(ステップS49〜51)。
【0045】
ついで、CPU104aにより、デフォルトルールに該当するか否かの判定がなされ(ステップS52)、該当しない場合は終了し、該当する場合はデフォルトの設定が適用され、当該デフォルトの再検判定基準により再検に該当するか否かが判定される(ステップS53)。そして、CPU104aにより、再検と判定された項目には所定のマークが付され、測定結果に、再検が必要であることを示す「REVIEW」マークが付される(ステップS54)。
【0046】
[分析手順]
つぎに、図11〜12に示されるフローチャートに従って、前述した診療組織別の測定結果の判定プロセスを含む、本実施の形態の尿分析装置を用いた尿の分析手順について説明する。
【0047】
まず、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報を予め当該ホストコンピュータから取得しておく(ステップS1)。ついで、測定実行の指示がパソコン13のキーボードやマウスからなる入力デバイス13bによりなされる(ステップS2)。この指示を受けて、試料入りの試験管Tが立てられたサンプルラック3がラックテーブル4により所定の吸引位置の移送される(ステップS3)。この吸引位置において、前記試験管Tが回転させられ、当該試験管Tの外周面に貼付されたIDラベルのバーコードが読み取られる(ステップS4)。これにより、試料の検体番号を知ることができ、この検体番号をステップS1において取得した検体情報と照合させることにより、当該試料の測定項目を特定することができる。
【0048】
ついで、吸引管17が下降して試験管T内の試料中に当該吸引管17の先端部が挿入され、この状態で前記試料を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、試料が攪拌される(ステップS5)。攪拌後、所定量(800μL)の試料が吸引され、サンプリングバルブ30によって、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分(SED)を測定するための試料を調製する試料調製部2uと、尿中に含まれる細菌(BAC)を測定するための試料を調製する試料調製部2bとにそれぞれ150μL及び62.5μLずつ分注される(ステップS7及びステップS11)。
【0049】
試料調製部2uには、前記試料とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS8及びステップS9)。一方、試料調製部2bにも同様にして、前記試料とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS12及びステップS13)。試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれヒータ36u、36bによって所定温度になるように加温されており、この状態でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により試料の攪拌が行われる(ステップS10及びステップS14)。なお、ステップS9において試料調整部2uに分注される希釈液には界面活性剤が含まれており、これにより細菌膜にダメージが与えられ、細菌の核を効率よく染色することが可能となる。
【0050】
ついで、光学検出部5のシースフローセル51にシース液が送液され(ステップS15)、その後、まず尿中有形成分(SED)測定用の試料が光学検出部5に導かれ、前記シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れ(シースフロー)が形成される(ステップS16)。そして、このようにして形成されたシースフローに半導体レーザ53からのレーザビームが照射される(ステップS17)。尿中有形成分の測定を先に行うのは、細菌測定用試料には界面活性剤が含まれることから、細菌を測定した後に尿中有形成分の測定を行うと、試料のキャリーオーバーにより尿中有形成分測定用の試料に界面活性剤が混入し、赤血球を含む尿中有形成分の膜にダメージを与え当該尿中有形成分の測定に影響を与えることがあるからである。
【0051】
前記レーザビームの照射により生じる尿中有形成分の前方散乱光、蛍光及び側方散乱光は、それぞれフォトダイオード55、フォトマルチプライヤ59及びフォトマルチプライヤ58により受光されて電気信号に変換され、前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)として出力される(ステップS18〜20)。これらの出力は、プリアンプにより増幅される(ステップS21〜23)。
【0052】
一方、尿中有形成分(SED)測定用の試料による測定が終了すると、引き続いてステップS14で調製された試料を用いて尿中の細菌が測定される。この場合、尿中有形成分の測定で用いた光学検出部5により、前記ステップS15〜23と同様にして前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)が出力され、且つ増幅される。
【0053】
増幅された前記前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)は、前記信号処理回路10(図7参照)においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施され(ステップS24〜27)、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。なお、ステップS25における「FLH」は、蛍光信号(FL)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS26「FLL」は同じく蛍光信号(FL)を低いゲインで増幅したものである。
【0054】
そして、パソコン13において尿中有形成分(SED)の生データが作成される(ステップS28)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS29)。ついで、CPU104aにより、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS30)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS31)。
【0055】
また、細菌についても同様にして、増幅された前記前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)は、前記信号処理回路10においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施される(ステップS32〜34)。なお、ステップS32における「FSCH」は、前方散乱光信号(FSC)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS33「FSCL」は同じく前方散乱光信号(FSC)を低いゲインで増幅したものである。
【0056】
そして、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。そして、パソコン13において細菌(BAC)の生データが作成される(ステップS35)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS36)。ついで、CPU104aにより、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS37)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS38)。
以上のようにして得られる測定結果は、前述したように、診療組織別の判定基準によって、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否か等が判定され、その判定結果、及びコメント等とともにパソコン13の表示手段であるディスプレイ13a上に表示される(ステップS39)。
なお、本実施の形態においては、登録されている診療組織別判定基準の全てについて測定結果と比較し、登録されている各診療科毎に、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザが手入力したり、又はホストコンピュータからデータを受け付けたりすることで、患者の診療科の入力をパソコン13が受け付け、入力された診療科の判断基準と測定結果とを比較し、入力された診療科について、再検が必要であるか否か、又は異常であるか否かを判定する構成としてもよい。これにより、患者の診療科に関する判定結果のみが出力されることとなり、必要な情報のみをユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の臨床検査装置の一実施の形態である尿分析装置の斜視説明図である。
【図2】図1に示されるパソコンのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】尿分析装置の試料調製部及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図4】光学検出部の構成を示す図である。
【図5】図1に示される尿分析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の概略斜視図である。
【図7】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の説明図である。
【図8】測定結果が異常であるか否か、及び再検が必要であるか否かを判定する際の各判定基準の入力画面の例を示す図である。
【図9】再検判定の手順を示すフローチャートである。
【図10】再検判定をする際の設定条件の入力画面を示す図である。
【図11】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(前半部)である。
【図12】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(後半部)である。
【符号の説明】
【0058】
1 検体分配部
2 試料調製部
3 サンプルラック
4 ラックテーブル
5 光学検出部
13 パソコン
15 アーム
16 支持台
17 吸引管
18 染色液
19 希釈液
30 サンプリングバルブ
31 モータ
32 流路
33 流体カセット
34 取付プレート
36 ヒータ
U 尿分析装置
T 試験管
S クリアランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【請求項2】
検体に関する検体情報を取得する検体情報取得手段をさらに備える請求項1に記載の臨床検査装置。
【請求項3】
前記検体情報取得手段は、患者に関する患者情報を含む前記検体情報を取得するように構成されている請求項2に記載の臨床検査装置。
【請求項4】
前記判定基準が、再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記再検査判定条件に基づいて、医療組織毎に、再検査が必要であるか否かを判定する再検査判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記再検査判定手段により再検査が必要であると判定された場合に、再検査が必要であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成されている請求項2又は3に記載の臨床検査装置。
【請求項5】
前記判定基準が、測定結果が異常であるか否かを判定するための異常判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記異常判定条件に基づいて、医療組織毎に、前記測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記異常判定手段により測定結果が異常であると判定された場合に、異常であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成されている請求項2〜4の何れかに記載の臨床検査装置。
【請求項6】
医療組織を特定する医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力手段と、
入力された判定基準を、前記医療組織情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる設定手段と
をさらに備える請求項1〜5のいずれかに記載の臨床検査装置。
【請求項7】
前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記出力部に出力させる入力画面出力手段をさらに備える請求項6に記載の臨床検査装置。
【請求項8】
判定基準の名称の入力を受け付ける名称入力手段をさらに備えており、
前記判定手段が、入力された名称を判定基準に対応付けて前記記憶部に記憶させるように構成されている請求項6又は7に記載の臨床検査装置。
【請求項9】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、 患者の医療組織の入力を受け付ける入力受付部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、前記入力受付部によって受け付けられた医療組織について、前記測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【請求項10】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、前記測定結果と前記判定手段による判定結果とを前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【請求項1】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【請求項2】
検体に関する検体情報を取得する検体情報取得手段をさらに備える請求項1に記載の臨床検査装置。
【請求項3】
前記検体情報取得手段は、患者に関する患者情報を含む前記検体情報を取得するように構成されている請求項2に記載の臨床検査装置。
【請求項4】
前記判定基準が、再検査が必要であるか否かを判定するための再検査判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記再検査判定条件に基づいて、医療組織毎に、再検査が必要であるか否かを判定する再検査判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記再検査判定手段により再検査が必要であると判定された場合に、再検査が必要であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成されている請求項2又は3に記載の臨床検査装置。
【請求項5】
前記判定基準が、測定結果が異常であるか否かを判定するための異常判定条件を含んでおり、
前記判定手段が、取得された検体情報、前記測定結果及び前記異常判定条件に基づいて、医療組織毎に、前記測定結果が異常であるか否かを判定する異常判定手段を備えており、且つ
前記出力手段が、前記異常判定手段により測定結果が異常であると判定された場合に、異常であることを示す情報を前記出力部に出力させるように構成されている請求項2〜4の何れかに記載の臨床検査装置。
【請求項6】
医療組織を特定する医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力手段と、
入力された判定基準を、前記医療組織情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる設定手段と
をさらに備える請求項1〜5のいずれかに記載の臨床検査装置。
【請求項7】
前記医療組織情報及び判定基準の入力を受け付ける入力画面を前記出力部に出力させる入力画面出力手段をさらに備える請求項6に記載の臨床検査装置。
【請求項8】
判定基準の名称の入力を受け付ける名称入力手段をさらに備えており、
前記判定手段が、入力された名称を判定基準に対応付けて前記記憶部に記憶させるように構成されている請求項6又は7に記載の臨床検査装置。
【請求項9】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、 患者の医療組織の入力を受け付ける入力受付部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、前記入力受付部によって受け付けられた医療組織について、前記測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、当該所定の状態を示す情報を前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【請求項10】
患者の臨床検体を測定する測定部と、
この測定部による測定結果を出力する出力部と、
前記測定部による測定結果の判定基準を医療組織別に記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果と前記記憶部に記憶されている判定基準とに基づいて、医療組織毎に、当該測定結果が所定の状態に属するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記測定結果が所定の状態に属すると判定された場合に、前記測定結果と前記判定手段による判定結果とを前記出力部に出力させる出力手段と
を備えることを特徴とする臨床検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−271331(P2007−271331A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94496(P2006−94496)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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