説明

自動ドア

【課題】実際に室内に人がいるか否かを外部から確認できるようにする。
【解決手段】自動ドアは、内部閉じスイッチ41bと、外部開きスイッチ42aと、外部報知部52と、内部報知部51と、内部閉じスイッチ41bが操作されることにより、外部開きスイッチ42aの操作によってもドアを開けることができない状態とするための制御を行う施錠制御手段56と、室内に人がいることを検知するための在室検知センサ46と、施錠制御手段56により外部開きスイッチ42aの操作によってもドアを開けることができない状態とする制御が行われているときに外部開きスイッチ42aが操作された場合において、内部閉じスイッチ41bが操作されるか、又は在室検知センサ46によって人が検知されていると、使用中であることを示す報知を外部報知部52により行う報知制御手段57と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内外にドアを開閉するためのスイッチを有する自動ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1及び2に開示されているように、トイレ等で使われる自動ドアが知られている。この種の自動ドアでは、室内に設置される内部開きスイッチ及び内部閉じスイッチと、室外に設置される外部開きスイッチ及び外部閉じスイッチと、ドアが開閉する開口部に人がいないかどうかを監視する補助光センサと、が設けられている。そして、この自動ドアでは、内部開きスイッチ又は外部開きスイッチが操作されるとドアを全開位置まで移動させ、内部閉じスイッチ又は外部閉じスイッチが操作されると、補助光センサによって人が検知されていない限りドアを全閉位置まで移動させる。そして、室内に人が入って内部閉じスイッチが操作されると、使用中のランプが点灯する。これにより、外部ではトイレが使用中であることを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−163408号公報
【特許文献2】特開2005−179983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、使用中のランプは内部閉じスイッチを操作することによって点灯するため、例えばいたずらで内部閉じスイッチが操作された場合には、室内に人がいないにも拘わらず使用中のランプが点灯したままとなってしまう。つまり、室内に入ることなく内部閉じスイッチを押した場合、室内に人がいないにも拘わらず使用中のランプが点灯したままになることがある。この場合において一定時間が経過するとランプが消える設定にすることも可能である(正常な使用に支障ないように、この一定時間は一般的なトイレの使用時間よりも長く、例えば30分程度とする必要がある。)が、その場合でも、ランプが点灯している間はトイレを使用できないことになる。つまり、相当の長時間、室内に人がいないにもかかわらず、トイレが使用できないことになる。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実際に室内に人がいるか否かを外部から確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、室内外を仕切るドアを駆動するモータと、室内に配置される内部閉じスイッチと、室外に配置される外部開きスイッチと、前記内部閉じスイッチ及び前記外部開きスイッチの操作に応じて、前記モータの駆動制御を行う駆動制御手段と、前記室外に配置され、情報を報知する外部報知部と、前記室内に配置され、情報を報知する内部報知部と、前記内部閉じスイッチが操作されることにより、前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けることができない状態とするための制御を行う施錠制御手段と、前記室内に人がいることを検知するための在室検知センサと、前記施錠制御手段により前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けることができない状態とする制御が行われているときに前記外部開きスイッチが操作された場合において、前記内部閉じスイッチが操作されるか、又は前記在室検知センサによって人が検知されていると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行う報知制御手段と、を有する自動ドアである。
【0007】
本発明では、内部閉じスイッチが操作されるか、又は在室検知センサによって人が検知されている場合に、使用中であることを示す報知が外部報知部によってなされる。すなわち、室内にいる人の行為に基づいて、又は室内にいる人の検知に基づいて、使用中であることが報知される。このため、実際に人がいるか否かの確認を外部から行うことができる。
【0008】
ここで、前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチを操作することを前記内部報知部を通じて要求する制御を行うとともに、前記内部閉じスイッチが操作されると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行うのが好ましい。
【0009】
この態様では、室内にいる人が内部閉じスイッチを操作するように促されるため、人が室内にいる場合に、内部閉じスイッチが確実に操作されるようにすることができる。
【0010】
また、前記報知制御手段は、前記ドアが閉じられてから所定時間が経過した後で前記外部開きスイッチが操作された場合において、前記内部閉じスイッチが操作されるか、又は前記在室検知センサによって人が検知されていると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行ってもよい。
【0011】
この態様では、外部報知部を室内に長時間いる人に異常が起こっていないかの確認手段として使うことができる。
【0012】
また、前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチの操作又は前記在室検知センサによる人の検知がなされないまま前記外部開きスイッチが操作されてから一定時間以上が経過すると、不在であることを示す報知と、前記外部開きスイッチの再度の操作を促す報知とを前記外部報知部により行い、前記施錠制御手段は、前記外部報知部による報知の後、前記外部開きスイッチの再度の操作が行われると、前記ドアの施錠を解除するようにしてもよい。
【0013】
この態様では、室内に人がいない状態にも拘わらず、ドアを外から開けることができない状態になっている場合に、不在であることが容易にわかり、また外部開きスイッチの再度の操作によってドアを開けることが可能となる。
【0014】
また、前記内部報知部は、音声発生器を有しており、前記施錠制御手段によって前記ドアを施錠する制御が行われていて、かつ前記在室検知センサによって人が検知されているときに、前記音声発生器から疑似音を発生させる制御を行う疑似音制御手段を有していてもよい。
【0015】
この態様では、使用時に発生する音に近い疑似音が発生する。このため、利用者が安心して使用することができる。
【0016】
また、前記在室検知センサは、複数のエリアからなる検知エリアを有し、前記報知制御手段は、前記検知エリアのうち前記ドアの通過領域に近いエリアとして予め設定されたエリアで人が検知されている場合において前記駆動制御手段によって前記モータを駆動する制御を行うときに、前記内部報知部を通じて、前記室内にいる人に対して注意を促す報知を行うようにしてもよい。
【0017】
この態様では、ドアの通過領域に近いエリアに人がいる場合に、注意を促す報知が行われる。このため、操作部の操作者を含め利用者にとって安全な自動ドアとすることができる。
【0018】
また、前記駆動制御手段は、前記内部操作部又は前記外部操作部が操作されている間だけ前記ドアが開き方向又は閉じ方向に移動するように前記モータの駆動を制御するインチング操作モードを有していてもよい。
【0019】
この態様では、駆動制御手段がインチング操作モードを実行すると、内部操作部又は外部操作部が操作されている間だけドアが開き方向又は閉じ方向に移動する。このため、利用者(操作部の操作者)の意志でドアの駆動をコントロールすることができる。
【0020】
また、前記報知制御手段は、前記検知エリアのうち前記ドアの通過領域に近いエリアとして予め設定された領域で人が検知されている場合において前記制御手段がインチング操作モードを実行するときに、前記内部報知部を通じて前記室内にいる人に対して、インチング操作モードであることを示す報知又はインチング操作モードに切り替えることを示す報知を行うようにしてもよい。
【0021】
この態様では、インチング操作モードが実行されるとき、利用者(操作部の操作者)は、それを知ることができる。したがって、利用者にとってより使い易い自動ドアとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、実際に室内に人がいるか否かを外部から確認できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る自動ドアの制御系統の構成を示すブロック図である。
【図2】前記自動ドアが設けられた多目的トイレを説明するための図である。
【図3】前記多目的トイレの室内の一部を側方から見た状態の概略図である。
【図4】他の構成の多目的トイレを説明する図2相当図である。
【図5】前記自動ドアの基本動作を説明するための図である。
【図6】前記自動ドアにおいて、モード切り替えを含む動作を説明するための図である。
【図7】前記自動ドアにおいて、使用中において疑似音を発生させるときの制御動作を説明するための図である。
【図8】前記自動ドアにおいて、外部から在室確認を行うときの制御動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る自動ドア10は、ドア12を駆動するモータ14と、このモータ14の駆動制御を含め種々の動作制御を行うコントローラ16と、ドア12を施錠するための電気錠18と、操作部41,42と、センサ類46,47と、報知を行うための報知装置51,52と、を有する。この自動ドア10は、例えば車椅子利用者、高齢者、妊婦、乳幼児を連れた母親などを利用対象とした多目的トイレ24に設置されて使用される。なお、ここでは、多目的トイレ24(図2参照)に設置された例について説明するが、これに限られるものではなく、試着室等、比較的狭い室内に設置され得る。
【0026】
図2及び図3に示すように、多目的トイレ24は、出入り口として機能する開口部26を有する壁部27を備えており、この開口部26には、引き戸式のドア12が配設されている。この壁部27は他の壁部28〜30とともに直方体状の空間を形成しており、これら壁部27〜30によって形成された室内には、便器32、洗面台33、補助用手すり34等が配設されている。
【0027】
開口部26が形成された壁部27の一部は、開き位置にあるドア12を収容する戸袋38として構成されている。すなわち、ドア12は、戸袋38に収納されて開口部26を開放する全開位置と、戸袋38から進出して開口部26を閉じる全閉位置との間を移動可能である。
【0028】
操作部41,42には、室内に配置される内部操作部41と、室外に配置される外部操作部42とが含まれており、内部操作部41には、内部開きスイッチ41aと内部閉じスイッチ41bとが含まれ、外部操作部42には、外部開きスイッチ42aと外部閉じスイッチ42bとが含まれている。内部開きスイッチ41aと内部閉じスイッチ41bは、壁部27の室内側の側面に設置されるものであり、例えば、開口部26のすぐ横に配置される。外部開きスイッチ42aと内部閉じスイッチ41bは、壁部27の室外側の側面に設置されるものであり、例えば、開口部26のすぐ横に配置される。
【0029】
内部開きスイッチ41aと外部開きスイッチ42aは、操作されるとドア12を開く方向に動作させる制御を行うための信号を出力する。内部閉じスイッチ41bと外部閉じスイッチ42bは、操作されるとドア12を閉じる方向に動作させる制御を行うための信号を出力する。これら信号の出力は、スイッチ41a,41b,42a,42bが例えば押圧操作されている間、継続して出力される。なお、断線検知が容易になるように、押圧操作されていない間、信号が継続出力され、押圧操作されている間は、信号出力が停止するように構成されていても構わない。
【0030】
なお、室内には非常スイッチ44が配設されている。非常スイッチ44は、例えば便器32の近傍に設置され、操作がなされると管理室等、所定の管理者のもとに連絡がなされるようになっている。
【0031】
センサ類としては、在室検知センサ46と補助センサ47とが設けられている。在室検知センサ46は、検知エリア46aを有するセンサであって、この検知エリア46aで人又は物が検知されると検知信号を出力する。図示省略するが、在室検知センサ46は、複数のセンサ部を備えている。そして、検知エリア46aを複数のエリアに分割して、分割された各エリアで個別に人等を検知することができる。
【0032】
在室検知センサ46は、例えば天井に設置され、下方に向かって近赤外線等の検知用媒体を照射する。検知エリア46aは、上から見て例えば矩形状となる形状となっており、便器32や洗面台33の近傍が少なくとも含まれるように設定されている。また、検知エリア46aには、開口部26が設けられた壁部27に沿うエリア(安全監視エリア)46bも含まれている。この安全監視エリア46bは、ドア12の通過領域の近傍にいる人が検知できる領域として、予め設定(記憶)しておくことができる。なお、図4に示すように、ドア12が壁部27の内側を移動するように設置される構成の場合には、安全監視エリア46bとして、ドア12の戸尻側の通過領域の近傍を含む領域を設定してもよい。
【0033】
補助センサ47は、開口部26で人を検知するためのセンサであり、例えば光電センサによって構成されている。補助センサ47は、戸袋38と、壁部27のうち開口部26を挟んで戸袋38に対向する部位との間で光線が送出されており、この光線が遮られると、検知信号を出力する。
【0034】
報知装置51,52には、内部報知部51と外部報知部52とが含まれている。内部報知部51は、室内に配置される報知部であり、室内にいる利用者に対して報知を行うためのものである。外部報知部52は、室外に配置される報知部であり、室外にいる利用者に対して報知を行うためのものである。内部報知部51には、コントローラ16から出力された信号に応じた音声を発生(情報の提示)するスピーカを有する内部音声発生器51aと、コントローラ16から出力された信号に応じた表示(情報の提示)を行う内部表示器51bとが、含まれている。また、外部報知部52も同様であり、外部音声発生器52aと外部表示器52bとが含まれている。すなわち、報知装置51,52には、音声発生器51a,52aと表示器51b,52bとが含まれている。
【0035】
コントローラ16は、ROM、RAM、CPU等を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、種々の機能を発揮する。この機能には、駆動制御手段55と、施錠制御手段56と、報知制御手段57と、疑似音制御手段59が含まれている。
【0036】
駆動制御手段55は、内部操作部41及び外部操作部42の操作に応じて、モータ14の駆動制御を行う。すなわち、駆動制御手段55は、内部開きスイッチ41a又は外部開きスイッチ42aから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12が開き方向に動作するようにモータ14を駆動制御し、また内部閉じスイッチ41b又は外部閉じスイッチ42bから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12が閉じ方向に動作するようにモータ14を駆動制御する。
【0037】
モータ14の駆動制御には、通常モードとインチング操作モードとがある。通常モードでは、補助センサ47からの検知信号がコントローラ16に入力されていなければ、ドア12が全閉位置に到達するまでモータ14を駆動する。通常モードでは、補助センサ47から出力された信号がコントローラ16に入力されると、閉じ動作を制限する。
【0038】
駆動制御手段55は、内部操作部41又は外部操作部42が所定時間以上、例えば2秒以上継続して操作され続けると、通常モードからインチング操作モードに切り替える。すなわち、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bが一瞬押された場合には、通常モードでモータ14を駆動制御する一方、所定時間以上押され続けた場合には、通常モードからインチング操作モードに切り替える。なお、一瞬とは所定時間以上継続して操作され続ける場合との対比として表現しているものであり、インチング操作モードにならない程度の長さの時間だけスイッチが押されていることを意味するものである。また本実施形態では、安全監視エリア46bで人が検知されていることも通常モードからインチング操作モードに切り替える条件とするが、この条件を外すようにしてもよい。
【0039】
インチング操作モードでは、内部操作部41又は外部操作部42が操作されている間だけドア12が開き方向又は閉じ方向に移動するようにモータ14を駆動制御する。すなわち、インチング操作モードでは、駆動制御手段55は、内部閉じスイッチ41b等から出力された信号がコントローラ16に入力され続けているか否かを確認しながら、モータ14の駆動制御を行う。このため、開きスイッチ41a,42aが押され続けている間は、ドア12が開き方向に移動するように動作するが、開きスイッチ41a,42aの押圧が一旦やめられるとドア12は停止する。更に所定時間以上、例えば5秒経過するか、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bが、一瞬だけ押された場合にはインチング操作モードから通常モードに切り替わる。また、閉じスイッチ41b,42bが押され続けている間は、ドア12が閉じ方向に移動するように動作するが、閉じスイッチ41b,42bの押圧が一旦やめられるとドア12は停止する。更に所定時間以上、例えば5秒経過するか、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bが、一瞬だけ押された場合にはインチング操作モードから通常モードに切り替わる。
【0040】
インチング操作モードでは、通常モードにおけるドア12の移動速度よりも低速の移動速度、例えば通常時の速度の半分以下でドア12を動作させるようにしてもよい。
【0041】
施錠制御手段56は、電気錠18を駆動制御するものであり、内部閉じスイッチ41bの操作がされることによってドア12が閉じられたときに、ドア12が施錠されるように電気錠18を制御し、内部開きスイッチ41aから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12の施錠を解除するように電気錠18を制御する。
【0042】
報知制御手段57は、利用者に対して種々の情報を伝える報知を行うための制御を行う。この報知には、利用者に対して注意を促すための報知、利用者に対して所定の操作を促すための報知、利用者に対してドア12の動作状況を伝える報知等が含まれる。
【0043】
利用者に対して注意を促すための報知には、例えば、ドア12の閉じ動作中に安全監視エリア46bで人が検知されている場合(検知状態)において、閉まるドア12に注意を促す報知がある。例えば、この報知では、「閉まるドアにご注意下さい」という音声を流してもよく、或いは内部表示器51bに「閉まるドアに注意!」と表示させる形態であってもよい。また、これらを同時に行ってもよい。
【0044】
利用者に対して所定の操作を促すための報知には、例えば、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bが一瞬押された場合に、長押しすることでインチング操作モードに切り替えることができる旨を伝える報知がある。この報知では、「閉じスイッチを押し続けると、スイッチを押し続ける間だけドアを閉じ動作できます。」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51b及び外部表示器52bに同じ内容の表示やランプの点灯・点滅を行ってもよい。また、例えば、外部からの在室確認があった場合に内部閉じスイッチ41bを押すように促す報知或いは在室検知センサ46に検知可能なように体を動かすことを促す報知も該当する。この報知では、「外から在室確認をされています」「閉じスイッチを押して下さい」「動いて下さい」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51bに同じ内容の表示を行ってもよい。
【0045】
利用者に対してドア12の動作状況を伝える報知には、例えば、インチング操作モードでモータ14が駆動制御されているときに、インチング操作モードでドア12が動作している旨を伝える報知がある。この報知では、「インチング動作中です」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51b及び外部表示器52bに同じ内容の表示を行ってもよい。また、例えば、外部からの在室確認があった場合に行う、在室を確認している旨の報知も該当する。この報知では、「在室を確認中です」という音声を流してもよく、或いは/及び外部表示器52bに同じ内容の表示を行ってもよい。
【0046】
疑似音制御手段59は、ドア12が施錠されていて、かつ在室検知センサ46によって人が検知されているときに、内部音声発生器51aから疑似音を発生させる制御を行う。
【0047】
ここで、本実施形態に係る自動ドア10の動作について説明する。まず、図5を参照しつつ、自動ドア10の基本動作の説明を行う。
【0048】
図5は、利用者が多目的トイレ24を利用するときの一連の流れに合わせてドア12の動作を説明するフローチャートであり、まず、ドア12が全閉位置にあって待機状態となっているときに、外部開きスイッチ42aがオンすると(ステップST1,ST2)、ドア12を開放すべくモータ14を駆動する(ステップST3)。そして、利用者が室内に入り、内部閉じスイッチ41bを一度押すと(ステップST4)、ドア12を閉じるべくモータ14を駆動する(ステップST5)。ドア12が全閉位置となると、電気錠18が駆動してドア12は施錠され、外部表示器52bには、使用中である旨の表示がなされる(ステップST6)。
【0049】
その後、利用者が多目的トイレ24から出る場合には、利用者は内部開きスイッチ41aを押す。内部開きスイッチ41aが一度押されると(ステップST7)、使用中である旨の表示が消されるとともに、電気錠18が駆動されてドア12が解錠される。そして、モータ14が駆動されてドア12が開き動作する(ステップST8)。その後、外部閉じスイッチ42bが一度押されるとドア12は通常の速度で閉じられる(ステップST9,ST12)。一方、ドア12が全開位置に到達してから所定時間が経過しても外部閉じスイッチ42bが操作されない場合には、ステップST11において判定がYESとなり、ドア12を閉じるようにモータ14を駆動する(ステップST10)。この場合は、閉じスイッチ42bによらないでドア12の閉じ動作を行うため、低速でドア12を閉じるのが好ましい。
【0050】
次に、図6を参照しつつ、モード切り替えを含む制御動作について説明する。この図6は、ドア12を閉じる動作のときのフローチャートである。ドア12が全開位置にある状態で、室内に入った利用者が内部閉じスイッチ41bを一度押すと(ステップST21)、ドア12近傍のエリア(安全監視エリア)46bがON(検知状態)になっているか否か判断する(ステップST22)。
【0051】
安全監視エリア46bが検知状態になっている場合には、閉まるドア12に注意を促す報知をするとともに、インチング操作モードに切り替えることができる旨を伝える報知する(ステップST23,ST24)。例えば、内部表示器51bに「閉まるドアに注意!」と表示するとともに、「閉じスイッチを押し続けると、スイッチを押し続ける間だけドアを閉じ動作できます。」という表示を行う。そして、内部閉じスイッチ41bが所定時間以上押圧され続けているか否かを判断し(ステップST25)、所定時間以上押圧され続けられるとインチング操作モードに切り替わる。
【0052】
インチング操作モードにおいては、内部閉じスイッチ41bがオンしているか否かを判断しながらドア12の動作を行う。すなわち、閉じスイッチ41bがオンしていれば(ステップST26の判断がYES)、その間ドア12を低速で閉じ動作を行い、表示器51b,52bに「インチング動作中です」と表示される(ステップST27,ST28)。ドア12が全閉位置に達するまで、閉じスイッチ41b,42bの状態を監視しながら、モータ14の駆動を行い(ステップST29)、全閉位置に達すると電気錠18を駆動してドア12を施錠する(ステップST30)。これによりリターンするので、インチング操作モードは解除され、その後に開きスイッチ41a,42aがオンしたときには、通常モードとなる。
【0053】
一方、ドア12が全閉位置に達する前に閉じスイッチ41b,42bの押圧がやめられてオンしなくなった場合には、ステップST31へと移り、モータ14の駆動を停止する。これによりドア12の閉じ動作が停止される。このとき表示器51b,52bの「インチング動作中です」という表示は停止される(ステップST32)。
【0054】
また、安全監視エリア46bが検知状態になっていない場合には、ステップST22の判定がNOとなるため、ステップST33へと移り、補助センサ47からの検知信号がコントローラ16に入力されない限り、全閉位置までドア12を動作させる。
【0055】
次に、図7を参照しつつ、使用中において疑似音を発生させるときの制御動作について説明する。ドア12が閉じられて電気錠18によって施錠されると、ステップST41からステップST42に移る。ステップST42において、在室検知センサ46が人を検知しているか否かが判断され、人が検知されていれば、疑似音を発生させる制御を行う(ステップST43)。したがって、ドア12が施錠されていて、かつ室内に人がいると判断されている間、トイレ使用時に発生する音に近い疑似音が発生する。
【0056】
次に、図8を参照しつつ、外部から在室確認を行うときの制御動作(ノック機能の制御動作)について説明する。この図は、ドア12が閉じられ、かつ電気錠18によってドア12が施錠されているときの制御動作を示すものである。この状態で、外部開きスイッチ42aの操作がなされたか否かを判断しており(ステップST51)、外部開きスイッチ42aがオンすると、内部報知部51において、在室確認のための情報提示を行う(ステップST52)。例えば、内部音声発生器51aにより「外から在室確認をされています」「閉じスイッチを押して下さい」「動いて下さい」等の音声を流す。また、外部報知部52において、在室確認中である旨の情報提示を行う(ステップST53)。例えば、外部音声発生器52aにより「在室を確認中です」という音声を流す。
【0057】
そして、内部閉じスイッチ41bが操作されたか、在室検知センサ46の検知状態が変化したかが判断され(ステップST54,ST55)、何れかの判定がYESであれば、外部報知部52において、使用中である旨の報知を行い、内部報知部51においては使用中であること外部に通知した旨の報知を行う(ステップST56,ST57)。例えば、外部音声発生器52aから「現在使用中です」という音声を流すとともに、内部音声発生器51aから「現在使用中であることを通知しました」という音声を流す。
【0058】
一方、内部閉じスイッチ41bが操作されず、かつ在室検知センサ46の検知状態が変化しない場合には、ステップST55からステップST58に移り、予め設定された所定の時間が経過したか否かを判断する。ここで、所定時間経過することを待つのは、在室確認依頼があったときに利用者がすぐに内部閉じスイッチ41bを操作するとは限らないからである。そしてこの所定時間内に内部閉じスイッチ41bが操作されず、かつ在室検知センサ46の検知状態が変化しない場合には、外部報知部52において不在である旨の報知を行うとともに、外部開きスイッチ42aを再度操作することを促す報知を行う(ステップST59)。また、内部報知部51において外部開きスイッチの操作が有効になる旨の報知を行う(ステップST60)。このときの報知は、例えば「現在不在です」「再度開きスイッチを押して下さい」「外部開きスイッチの操作によってドアが開きます。」等である。
【0059】
そして、外部開きスイッチ42aが操作されると、電気錠18を解錠してドア12を開放する(ステップST61,ST62)。
【0060】
なお、このノック機能の制御動作は、ドア12が閉じられて施錠されてから所定時間が経過した後に実行するようにしてもよい。例えば、介護者に付き添われた被介護者が多目的トイレ24を利用する場合において、介護者が外で長時間待つような場合がある。この場合において、介護者が外部開きスイッチ42aを押すことによって内部閉じスイッチ41bの操作を促すため、中の被介護者に異常が無いかを確認することができる。そして、被介護者が内部閉じスイッチ41bを押すことができないような異常な状態になっているときには、再度外部開きスイッチ42aが押されることによって、ドア12を開放することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、内部閉じスイッチ41bが操作されるか、又は在室検知センサ46によって人が検知されている場合に、使用中であることを示す報知が外部報知部52によってなされる。すなわち、室内にいる人の行為に基づいて、又は室内にいる人を実際に検知したことに基づいて、使用中であることが報知される。このため、多目的トイレ24に実際に人がいるか否かの確認を外部から行うことができる。
【0062】
しかも本実施形態では、内部閉じスイッチ41bを操作することを内部報知部51を通じて要求するため、室内にいる人が内部閉じスイッチ41bを操作するように促される。このため、人が室内にいる場合に、内部閉じスイッチ41bが確実に操作されるようにすることができる。
【0063】
また本実施形態では、内部閉じスイッチ41bの操作及び在室検知センサ46による人の検知がなされないまま外部開きスイッチ42aが操作されてから一定時間以上が経過すると、不在であることを示す報知と、外部開きスイッチ42aの再度の操作を促す報知とを行うので、室内に人がいない状態にも拘わらず、ドア12を外から開けることができない状態になっている場合に、不在であることが容易にわかり、また外部開きスイッチ42aの再度の操作によってドア12を開けることが可能となる。
【0064】
また本実施形態では、ドア12が施錠されていて、かつ在室検知センサ46によって人が検知されているときに、疑似音を発生させる。このため、利用者が安心して使用することができる。
【0065】
また本実施形態では、ドア12の通過領域に近いエリア(安全監視エリア)46bに人がいる場合にドア12を動作させるとき、注意を促す報知が行われる。このため、操作部の操作者を含め利用者にとって安全な自動ドアとすることができる。
【0066】
また本実施形態では、駆動制御手段55がインチング操作モードを実行すると、内部操作部41又は外部操作部42が操作されている間だけドア12が開き方向又は閉じ方向に移動する。このため、利用者(操作部の操作者)の意志でドア12の駆動をコントロールすることができる。
【0067】
また本実施形態では、通常モードからインチング操作モードに切り替えるときに、報知装置51,52により、インチング操作モードに切り替わることが報知されるため、利用者(操作部41,42の操作者)は、モードが切り替わることを知ることができる。したがって、利用者にとってより使い易い自動ドア10とすることができる。
【0068】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では電気錠18によってドア12を施錠可能な構成としたが、これに限られるものではない。例えば、電気錠18を省略する一方で、施錠制御手段56が所定条件下で外部開きスイッチ42aの操作を無効にすることによって、ドア12が開かない構成にしてもよい。この場合において、機械式の錠を設けるようにしてもよい。
【0069】
また前記実施形態では、開き動作及び閉じ動作の双方でインチング操作モードを実行可能な構成としたが、これに限られるものではなく、開き動作及び閉じ動作の一方のみでインチング操作モードを実行可能な構成としてもよい。例えば、前記実施形態のようにドア12が戸袋38に収納される構成の場合には、開き動作のときにインチング操作モードを実行しないようにしてもよい。
【0070】
また前記実施形態では、安全監視エリア46bで人が検知された場合にインチング操作モードへの切り替え条件の1つとしたが、安全監視エリア46bを設定しない構成の場合には、補助センサ47で人が検知されたことを切り替え条件として加えてもよい。
【0071】
また前記実施形態では、天井に設置された在室検知センサ46と、壁部27に設置された補助センサ47とを有する構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、壁部27に設置された補助センサ47のみを有する構成としてもよい。この場合には、壁部27に設置された光電センサの時系列変化、例えば、初期状態から1度だけ検知すれば、在室とし、2度検知すれば退出とするなど、をもとに在室を検知し、これを在室検知センサとして使用することもできる。
【0072】
また前記実施形態について、リモートスイッチをさらに含んでいてもよい。リモートスイッチは、有線又は無線でコントローラ16と接続され、多目的トイレ24の任意の場所に設置できるものである。
【0073】
さらに、報知装置51,52として、音声や表示を行う構成を例示したが、これに限られず、警告音など音声以外の音で聴覚に報知するものや、文字以外の図形や色などで視覚に報知するものであってもよく、更に聾唖者に対して振動や凹凸など触覚に報知するものであっても良い。
【符号の説明】
【0074】
10 自動ドア
12 ドア
14 モータ
16 コントローラ
18 電気錠
41 内部操作部
41a 内部開きスイッチ
41b 内部閉じスイッチ
42 外部操作部
42a 外部開きスイッチ
42b 外部閉じスイッチ
46 在室検知センサ
46a 検知エリア
46b 安全監視エリア
47 補助センサ
51 内部報知部
51a 内部音声発生器
51b 内部表示器
52 外部報知部
52a 外部音声発生器
52b 外部表示器
55 駆動制御手段
56 施錠制御手段
57 報知制御手段
59 疑似音制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を仕切るドアを駆動するモータと、
室内に配置される内部閉じスイッチと、
室外に配置される外部開きスイッチと、
前記内部閉じスイッチ及び前記外部開きスイッチの操作に応じて、前記モータの駆動制御を行う駆動制御手段と、
前記室外に配置され、情報を報知する外部報知部と、
前記室内に配置され、情報を報知する内部報知部と、
前記内部閉じスイッチが操作されることにより、前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けることができない状態とするための制御を行う施錠制御手段と、
前記室内に人がいることを検知するための在室検知センサと、
前記施錠制御手段により前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けることができない状態とする制御が行われているときに前記外部開きスイッチが操作された場合において、前記内部閉じスイッチが操作されるか、又は前記在室検知センサによって人が検知されていると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行う報知制御手段と、を有する自動ドア。
【請求項2】
前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチを操作することを前記内部報知部を通じて要求する制御を行うとともに、前記内部閉じスイッチが操作されると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行う請求項1に記載の自動ドア。
【請求項3】
前記報知制御手段は、前記ドアが閉じられてから所定時間が経過した後で前記外部開きスイッチが操作された場合において、前記内部閉じスイッチが操作されるか、又は前記在室検知センサによって人が検知されていると、使用中であることを示す報知を前記外部報知部により行う請求項1又は2に記載の自動ドア。
【請求項4】
前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチの操作又は前記在室検知センサによる人の検知がなされないまま前記外部開きスイッチが操作されてから一定時間以上が経過すると、不在であることを示す報知と、前記外部開きスイッチの再度の操作を促す報知とを前記外部報知部により行い、
前記施錠制御手段は、前記外部報知部による報知の後、前記外部開きスイッチの再度の操作が行われると、前記ドアの施錠を解除する請求項1から3の何れか1項に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記内部報知部は、音声発生器を有しており、
前記施錠制御手段によって前記ドアを施錠する制御が行われていて、かつ前記在室検知センサによって人が検知されているときに、前記音声発生器から疑似音を発生させる制御を行う疑似音制御手段を有する請求項1から4の何れか1項に記載の自動ドア。
【請求項6】
前記在室検知センサは、複数のエリアからなる検知エリアを有し、
前記報知制御手段は、前記検知エリアのうち前記ドアの通過領域に近いエリアとして予め設定されたエリアで人が検知されている場合において前記駆動制御手段によって前記モータを駆動する制御を行うときに、前記内部報知部を通じて、前記室内にいる人に対して注意を促す報知を行う請求項1から5の何れか1項に記載の自動ドア。
【請求項7】
前記駆動制御手段は、前記内部操作部又は前記外部操作部が操作されている間だけ前記ドアが開き方向又は閉じ方向に移動するように前記モータの駆動を制御するインチング操作モードを有する請求項1から6の何れか1項に記載の自動ドア。
【請求項8】
前記報知制御手段は、前記検知エリアのうち前記ドアの通過領域に近いエリアとして予め設定された領域で人が検知されている場合において前記制御手段がインチング操作モードを実行するときに、前記内部報知部を通じて前記室内にいる人に対して、インチング操作モードであることを示す報知又はインチング操作モードに切り替えることを示す報知を行う請求項7に記載の自動ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−167435(P2012−167435A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27030(P2011−27030)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】