説明

自動二輪車のインジケータ配置構造

【課題】外観上良好であり、インジケータの防犯性を向上させた、インジケータ配置構造を提供する。
【解決手段】無線通信用のアンテナ50と、アンテナ50と接続される車載器本体51と、車載器本体51の作動状態を表示するインジケータ54と、を備えた自動二輪車1のインジケータ配置構造において、インジケータ54が、操舵軸を回動自在に支持するヘッドパイプ5と燃料タンク6の前端部との間に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の無線通信用のインジケータ配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信用のアンテナ、例えば、ETC(登録商標)と略称される道路通行料自動徴収システムの車載器のインジケータ、を自動二輪車に取り付ける場合、両面テープを利用してメータ上面にインジケータを貼り付けたり、ハンドルのクランプ部材を利用してハンドルにインジケータを取り付けたりしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記インジケータ配置構造では、インジケータが車体外部に露出するため、外観が良くないという不都合がある。また、インジケータを車体外方から視認し易いという不都合もある。
【0004】
そこで本発明の目的は、外観上良好であり、インジケータの防犯性を向上させた、インジケータ配置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無線通信用のアンテナと、前記アンテナと接続される車載器本体と、前記車載器本体の作動状態を表示するインジケータと、を備えた自動二輪車のインジケータ配置構造において、前記インジケータが、操舵軸を回動自在に支持するヘッドパイプと燃料タンクの前端部との間に配置されていることを特徴とする。
【0006】
前記構成によれば、インジケータはヘッドパイプと燃料タンクとの間に配置されているので、運転者の視認性を確保しながら、車体外方からは見えにくくなっており、外観を良好にすることができる。また、インジケータが車体外方から見えにくくなっているので、インジケータの防犯性を向上させることができる。
また、インジケータが車体外方から見えにくくなっているので、自動二輪車に、例えばETC等の通信装置が装備されているかどうかを車体外方から確認しにくくなっている。その結果、例えば通信装置がETCである場合には、ETC車載器本体や車載器本体に差し込まれるETCカードの防犯性も合わせて向上させることができる。
【0007】
本発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記インジケータが、前記自動二輪車の車体フレームに、インジケータ取付ブラケットを介して取り付けられており、前記インジケータ取付ブラケットが、前記燃料タンクで覆われている。
(2)前記自動二輪車のハンドルの内、左右一方側のハンドルの端部が前記燃料タンクに近接したロック位置で、前記ハンドルがロック状態となることが可能となっており、前記インジケータが、左右方向の内、前記ロック位置側に配置されている。
(3)前記構成(2)において、前記ロック状態において、前記ヘッドパイプと、前記燃料タンクの前端部と、前記操舵軸と共に操舵軸回りに回動するフロントフォークと、によって前記インジケータの周囲が囲まれるようになっている。
(4)前記アンテナが、車体フレーム前端部に取り付けられているメータ本体の前側において、前記メータ本体用のケーブル接続部と、左右に並んで配置されている。
(5)前記構成(4)において、前記アンテナと前記車載器本体とを接続するアンテナケーブルが、前記メータ本体用のメータケーブルに沿って配設されている。
【0008】
前記構成(1)によれば、インジケータ取付ブラケットが燃料タンクで覆われているので、燃料タンクを外さないとインジケータを取り外すことができず、インジケータの防犯性をさらに向上させることができる。
【0009】
前記構成(2)によれば、インジケータがロック位置側に配置されているので、ハンドルをロック状態とすると、フロントカウルのアッパブラケットがインジケータに近接するようになり、インジケータを車体外方から触れにくくすることができる。すなわち、インジケータの防犯性をさらに向上させることができる。
【0010】
前記構成(3)によれば、ハンドルをロック状態とすると、ヘッドパイプと燃料タンクとフロントフォークとによってインジケータの側面が囲まれるので、側面視でインジケータが視認しにくくなり、インジケータの防犯性をさらに向上させることができる。
【0011】
前記構成(4)によれば、アンテナがメータ本体用のケーブル接続部と左右に並んで配置されるので、メータ本体の前側の空間を有効活用でき、別途アンテナ配置スペースを設ける必要がない。
【0012】
前記構成(5)によれば、アンテナケーブルがメータ本体用のメータケーブルに沿って配設されているので、アンテナケーブルをメータケーブルで支持することができ、その結果、メータケーブルによって、アンテナケーブルを保護することができる。
【発明の効果】
【0013】
要するに本発明によると、外観上良好であり、インジケータの防犯性を向上させた、インジケータ配置構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】フロントカウルを取り外した状態の、メータ本体及びメータカバーの部分の拡大斜視図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図1の自動二輪車の燃料タンク及びシートを取り外した状態を示す上面図である。
【図5】図1のインジケータ部分の拡大図である。
【図6】図5の斜視図である。
【図7】運転者から見たインジケータ部分の拡大図である。
【図8】ステアリングハンドルがロック状態における左側面図である。
【図9】図8のインジケータ部分の拡大図である。
【図10】自動二輪車にアンテナを取り付ける手順を説明する図である。
【図11】自動二輪車にアンテナを取り付ける手順を説明する図である。
【図12】自動二輪車にアンテナを取り付ける手順を説明する図である。
【図13】自動二輪車にアンテナを取り付ける手順を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図15】図14のフロントカウル部分の拡大斜視図である。
【図16】図15においてウインドシールドを取り外した状態の図である。
【図17】図16においてメータカバーを取り外した状態の図である。
【図18】図17においてアンテナが配置されている状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインジケータ配置構造を備えた自動二輪車1の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、略上下方向に設けられたフロントフォーク2を備え、フロントフォーク2の下部には、前輪3が回転自在に軸支されている。フロントフォーク2の上部は、上下のブラケット2a、2bを介してステアリングシャフト5aに連結されており、ステアリングシャフト5aは、ヘッドパイプ5に回動自在に支持されている。そして、前記上側のブラケット2aには、ステアリングハンドル4が取り付けられており、運転者がステアリングハンドル4を左右に揺動させることで、前輪3が操舵される。ヘッドパイプ5の後方には、燃料タンク6が配置されており、燃料タンク6の後方に運転者用のシート7が配置されている。
【0016】
ステアリングハンドル4の前方には、ヘッドランプ19が配置されており、ヘッドランプ19は、フロントカウル20で覆われている。本実施形態では、フロントカウル20はヘッドランプカバーとして機能し、ヘッドランプ19を覆い、エンジン12、排気管13等は露出させた状態としている。
【0017】
メータ本体30及びメータカバー40は、ステアリングハンドル4の前方に配置されており、且つ、フロントカウル20とは別体に、フロントカウル20の車幅方向中央から上方に距離を有して、配置されている。フロントカウル20の上面には、下方に没入し、車体前後方向に延びる直線上の凹部21が形成されている。また、メータカバー40の底部には、凹部21に対向して、残余の部分に比べて上方に退避し、車体前後方向に延びる直線上の凹部40aが形成されている。
【0018】
図2は、フロントカウル20を取り外した状態の、メータ本体30及びメータカバー40の部分の拡大斜視図である。図3は、図2の側面図である。フロントフォーク2の上部には、メータ取付ブラケット31が取り付けられており、メータ本体30は、支持管33を介してメータ取付ブラケット31に取り付けられている。メータ本体30は、運転者がステアリングハンドル4を左右に揺動させると、フロントフォーク2と合わせて左右に揺動するようになっている。メータ本体40は、計器盤を有しており、計器盤は、車幅方向に延びるよう形成されている。
【0019】
メータカバー40は、メータ本体30の前部、すなわちメータ本体30よりも車体前方に着脱自在に取り付けられている。メータカバー40は、計器盤から車体前方に延びるメータケーブル35の直線部を覆うようになっている。メータカバー40は、車体後方側から取付操作される取付具(ネジ)32によって、メータ本体30に取り付けられている。メータ本体30に形成される取付具32の取付部は、メータ本体30の下部に形成される。メータカバー40は、メータ本体30から前方に進むにつれて先細となる略流線形椀状に形成されている。本実施形態では、メータカバー40の外表面は、メータ本体30から前方に進むにつれて下方に向かうように形成されている。そして、メータカバー40の外表面の先端部は、メータ本体30よりも下方に位置するようになっている。
【0020】
メータカバー40は、電波透過性材料、例えば、非金属材料である樹脂でできており、アンテナ50及びアンテナケーブル52の基端部を収容する内部空間41を形成するようになっている。
【0021】
メータカバー40の内部空間41の底面42には、無線通信用(ETC用)のアンテナ50が取り付けられている。アンテナ50は、自動二輪車1の走行中に、ETCゲートの上方に設けられた路側アンテナ(図示せず)と電波の送受信を良好に行うために、アンテナ50の受信面は、水平面Xから所定角度θ(例えば、10°〜30°)だけ進行方向に向けて下傾していることが好ましい。本実施形態では、メータカバー40の底面42が、水平面Xから角度θだけ進行方向に向けて下傾しているので、アンテナ50は、底面42に取り付けるだけで、アンテナ50の受信面が水平面から上記所定角度θを有するようになっている。
【0022】
アンテナ50が取り付けられるメータカバー40の底面42には、アンテナ50を取り付ける位置を規定する規定部45が設けられている。規定部45は、底面42に形成される凹凸部で構成されても良く、この場合、規定部45は、メータカバー40の成形時に形成されることができる。規定部45は、アンテナ50の車幅方向位置及び車体前後方向位置のいずれか一方を規定するものでも良いが、両方を規定するものであることが好ましい。
【0023】
メータカバー40の底面42には、アンテナ50と無線通信用の車載器本体51とを接続するアンテナケーブル52を挿通するための、貫通部43が設けられている。貫通部43は、例えば、底面42に凹部が設けられており、メータカバー40がメータ本体30に取り付けられた際、前記凹部によって形成されるものである。更に、メータカバー40の底面42の最下端位置には、メータカバー40内に溜まった水を排水する水抜き孔44が設けられている。アンテナ50は、水抜き孔44よりも上方に配置される。
【0024】
図4は、図1の自動二輪車1の燃料タンク6及びシート7を取り外した状態を示す上面図であり、ステアリングハンドル4の中央部と、ヘッドパイプ5の上部と、フロントフォーク2の上部と、を切除した状態が示されている。
【0025】
車載器本体51は、シート7の下方に設けられたストレージ空間16内に設置されており、シート7を開閉させることによって、車載器本体51にETCカード(図示せず)を差し込めるようになっている。そして、シート7の車体への固定はロック固定となっており、ストレージ空間16が閉鎖されるようになっている。車載器本体51は、バッテリ(図示せず)からの電力を利用して、ETCカードの認識処理や、アンテナ50と車体外部との無線通信信号の処理等を行い、処理内容に関する表示情報をインジケータ54に出力する。
【0026】
図4に示すように、アンテナケーブル52は、その一端がアンテナ50の後端に接続され、その他端がストレージ空間16内の車載器本体51に接続されている。アンテナケーブル52は、アンテナケーブル52は、アンテナ50の後端から、メータカバー40の底面42に設けられた貫通部43を下方へ挿通し、ヘッドパイプ5の左側方を通って、燃料タンク6下方において電気用メインハーネス53に沿って後方に向かい、シート7下方において車載器本体51に至るよう、配設されている。また、アンテナケーブル52は、メータカバー40からメータカバー40の外部に延びる部分において、一端部がメータ本体30に取り付けられるメータケーブル35に沿うように配設されている。
【0027】
図5〜図7は、インジケータ54の取付部を示す図である。図5は、図1のインジケータ54部分の拡大図である。図5は、燃料タンク6を取り外した状態を示しており、燃料タンク6は仮想線で示されている。図6は、図5の斜視図である。なお、以下の説明では、自動二輪車1に搭乗する運転者から見た方向を基準として、左右方向を表すこととする。
【0028】
図5及び図6に示すように、インジケータ54は、ヘッドパイプ5と燃料タンク6の前端部との間に位置しており、さらに、車体中央より左側(ハンドル4のロック位置側)に、車体フレームの左側に、位置している。そして、図4に示すように、インジケータ54と車載器本体51とは、インジケータケーブル55によって、接続されている。インジケータケーブル55は、アンテナケーブル52と同様、その一部が電気用メインハーネス53に沿うように、配設されている。インジケータ54は、細長の筒状に形成され、その上面に点灯/点滅ランプである表示部54aを有している。表示部54aは、車載器本体51にETCカードが差し込まれETCを利用可能であれば緑色に点灯し、ETCカードが差し込まれていない等エラー状態であれば赤色に点灯し、ETCゲート通過時には緑色が点滅するようになっている。
【0029】
図5に示すように、インジケータ54は、自動二輪車1の車体フレームに、インジケータ取付ブラケット56を介して、その長手方向が略上下方向に延びるように取り付けられている。インジケータ取付ブラケット56は、燃料タンク6に覆われるようになっている。
【0030】
図7は、運転者から見たインジケータ54部分の拡大図である。図7に示すように、インジケータ54は、運転者から視認できるようになっており、運転者は、自動二輪車1を運転しながら、インジケータ54の表示部54aを確認し、ETCカードの認識処理等を把握できるようになっている。
【0031】
図8及び図9は、ステアリングハンドル4を左へ操舵した状態(A1)を実線で、直進状態(A2)を仮想線で表した自動二輪車1を示している。図9は、図8のインジケータ54部分の拡大図である。ハンドル4の左右の回動に合わせ、フロントフォーク2は、左右に回動するようになっている。図8及び図9では、ハンドル4を左へ操舵した状態(A1)の左側のフロントフォーク2を2(A1)で示し、直進状態(A2)の左側のフロントフォーク2を2(A2)で示している。図8及び図9に示すように、ハンドル4を左へ操舵することにより、左グリップ4Lが燃料タンク6に近接し、ハンドル4はロック状態となっている。そして、ハンドル4のロック状態において、インジケータ54は、ヘッドパイプ5と、燃料タンク6の前端部と、左側のフロントフォーク2(A1)と、によってその周囲が囲まれるようになっており、その結果、側面視でインジケータ54を視認しにくくなっている。
【0032】
以下、図10〜図13を用いて、自動二輪車1にアンテナ50を取り付ける手順を説明する。
【0033】
図10に示すように、フロントカウル20の後面には、カバー22が、ネジ23によって取り付けられている。
【0034】
まず、図11に示すように、ネジ23を取り外し、そして、フロントカウル20からカバー22を取り外す。カバー22を取り外すと、メータ本体30にメータカバー40を取り付けているネジ32が現れる。
【0035】
次に、ネジ32を、メータ本体30及びメータカバー40に対して後方側からの操作によって、取り外す。
【0036】
次に、図12に示すように、メータ本体30から、メータカバー40を、メータ本体30に対して前方側に向けて、取り外す。ここで、フロントカウル20の上面には、凹部21が形成され、メータカバー40の底部には、凹部21に対向して、凹部40aが形成されているので、メータカバー40の前方側への取り外しにおいて、メータカバー40がフロントカウル20の上面に干渉しないようになっている。
【0037】
次に、図13に示すように、メータカバー40の内部空間41の底面42にアンテナ50を取り付ける。アンテナ50の取り付けの際には、アンテナ50の後端に接続されているアンテナケーブル52が、メータカバー40の底面42に設けられた貫通部43を挿通するようにし、また、アンテナ50の取付位置が、規定部45で規定されるようにして、アンテナ50を取り付ける。
【0038】
アンテナ50を取り付けたメータカバー40のメータ本体30への取り付けは、上述した手順と逆の手順で行う。以上により、自動二輪車1へのアンテナ50の取付作業が完了する。
【0039】
前記実施形態によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)インジケータ54はヘッドパイプ5と燃料タンク6との間に配置されているので、運転者の視認性を確保しながら、車体外方からは見えにくくなっており、外観を良好にすることができる。また、インジケータ54が車体外方から見えにくくなっているので、インジケータ54の防犯性を向上させることができる。
【0040】
また、インジケータ54が車体外方から見えにくくなっているので、自動二輪車1にETCが装備されているかどうかを車体外方から確認しにくくなっている。したがって、自動二輪車1がETC装着車であることを容易に他人に知られないようになっており、その結果、ETC車載器本体51や車載器本体51に差し込まれるETCカードの防犯性も合わせて向上させることができる。
【0041】
(2)インジケータ取付ブラケット56が燃料タンク6で覆われているので、燃料タンク6を外さないとインジケータ54を取り外すことができず、インジケータ54の防犯性をさらに向上させることができる。
【0042】
(3)インジケータ54がハンドル4のロック位置側に配置されているので、ハンドル4をロック状態とすると、フロントカウル20のアッパブラケットがインジケータ54に近接するようになり、インジケータ54を車体外方から触れにくくすることができる。すなわち、インジケータ54の防犯性を向上させることができる。
【0043】
(4)ハンドル4をロック状態とすると、ヘッドパイプ5と燃料タンク6とフロントフォーク2とによってインジケータ54の側面が囲まれるので、側面視でインジケータ54が視認しにくく、インジケータ54の防犯性をさらに向上させることができる。
【0044】
(5)インジケータケーブル55の一部は、電気用メインハーネス53に沿って配設されているので、インジケータケーブル55を電気用メインハーネス53で支持することができ、その結果、電気用メインハーネス53によって、インジケータケーブル55を保護することができる。
【0045】
(6)インジケータ54が、ヘッドパイプ5と燃料タンク6との間に位置しているので、インジケータケーブル55が、フロントフォーク2回りに配設されることはなく、その結果、ステアリングハンドル4が動くことによって、インジケータケーブル55が動くことはない。したがって、インジケータケーブル55が動くことによって生じるインジケータケーブル55の損傷の可能性を、低くすることができる。
【0046】
(7)アンテナケーブル52の一部は、メータケーブル35及び電気用メインハーネス53に沿って配設されているので、アンテナケーブル52をメータケーブル35及び電気用メインハーネス53で支持することができ、その結果、メータケーブル35及び電気用メインハーネス53によって、アンテナケーブル52を保護することができる。
【0047】
(8)アンテナケーブル52は、ヘッドパイプ5の側方を電気用メインハーネス53に沿って配設されているので、アンテナケーブル52がフロントフォーク2と干渉することはない。その結果、アンテナケーブル52の損傷の可能性を、低くすることができる。
【0048】
(9)車載器51及び車載器本体51に差し込まれたETCカードは、シート7が車体にロック固定されることによって閉鎖されるストレージ空間16に配置されているので、車載器51及びETCカードの盗難を防止するための機構を別途設ける必要はない。
【0049】
前記実施形態では、ハンドル4を左へ操舵し、左グリップ4Lが燃料タンク6に近接した状態をロック状態として説明したが、ハンドル4を右へ操舵し、右グリップが燃料タンク6に近接した状態がロック状態であっても良い。この場合、インジケータ54は、車体中央より右側(ハンドル4のロック位置側)に配置されている。そして、インジケータ54は、ハンドル4のロック状態において、ヘッドパイプ5と、燃料タンク6の前端部と、右側のフロントフォーク2と、によってその周囲が囲まれるようになっており、その結果、側面視でインジケータ54を視認しにくくなっている。
【0050】
ハンドル4のロック状態においては、インジケータ54は、側面視でフロントフォーク2によって隠れるように、フロントフォーク2に略平行に、上下方向に延びるよう取り付けられることが好ましい。
【0051】
インジケータ54は、フロントカウル20のアッパブラケットよりも下方に配置されることが好ましい。この場合、ハンドル4のロック状態において、前記アッパブラケットがインジケータ54に、より近接するようになるので、インジケータ54を車体外方から触れにくくすることができる。すなわち、インジケータ54の防犯性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、インジケータ54は、ハンドル4の左右の操舵によって角変位しない固定部分、例えば、車体フレームに取り付けられているが、ハンドル4の左右の操舵によって角変位する可動部分、例えば、フロントフォーク2に取り付けられても良い。この場合、インジケータ54は、ハンドル4のロック状態において車体フレームに近接する側となるフロントフォーク2(A1)の燃料タンク6寄りの部分に取り付けられる。インジケータ54がフロントフォーク2(A1)に取り付けられた場合であっても、ハンドル4のロック状態において、ヘッドパイプ5と燃料タンク6とフロントフォーク2とによってインジケータ54の側面が囲まれるので、側面視でインジケータ54を視認しにくくすることができる。
【0053】
貫通部43は、本実施形態のように底面42に凹部が設けられることによって形成されても良く、底面42に貫通孔が設けられることによって形成されても良い。
【0054】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。本実施形態と前記第1実施形態とは、メータ本体30、メータカバー40及びアンテナ50の配置構造のみが異なっている。そのため、本実施形態の説明においては、前記第1実施形態と同じ部品及び部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0055】
図14に示すように、自動二輪車1は、略上下方向に設けられたフロントフォーク2を備え、フロントフォーク2の下部には、前輪3が回転自在に軸支されている。フロントフォーク2の上部には、ステアリングシャフト(図示せず)を介して、ステアリングハンドル4が取り付けられている。ステアリングシャフトは、ヘッドパイプ5によって回動自在に軸支されており、運転者がステアリングハンドル4を左右に揺動させることで、前輪3が操舵される。ヘッドパイプ5の後方には、燃料タンク6が配置されており、燃料タンク6の後方に運転者用のシート7が配置されている。
【0056】
ステアリングハンドル4の前方には、ヘッドランプ19が配置されており、ヘッドランプ19は、フロントカウル20で覆われている。フロントカウル20は、その上部がヘッドランプ19を覆い、その下部がエンジン12、排気管13等を覆った状態となっている。フロントカウル20の上部には、運転者を走行風から防護するためのウインドシールド24が取り付けられている。
【0057】
図15は、図14のフロントカウル20部分の拡大斜視図である。図16は、図15においてウインドシールド24を取り外した状態の図である。図17は、図16においてメータカバー40を取り外した状態の図である。図18は、図17においてアンテナ50が配置されている状態の図である。
【0058】
図15及び図16に示すように、メータ本体30は、フロントカウル20の内部空間の上部に取り付けられている。メータカバー40は、メータ本体30の前部の上部を覆うように取り付けられており、且つ、フロントカウル20の上面の一部を構成するようになっている。
【0059】
フロントカウル20の上側の中央部には、透明板からなるウインドシールド24がネジ25で固定されている。ウインドシールド24は、メータ本体30及びメータカバー40を覆うようになっている。
【0060】
図17及び図18に示すように、メータ本体30の前側において、メータ本体30用のケーブル接続部34とアンテナ50とが左右に並んで配置されている。アンテナ50は、ステー57を介して、メータ本体30の前側の上面30aに設けられている。アンテナ50が取り付けられるステー57の上面は、水平面から所定角度(例えば、10°〜30°)だけ進行方向に向けて下傾しており、その結果、ステー57に取り付けられるアンテナ50の受信面が水平面から上記所定角度を有するようになっている。
【0061】
図18に示すように、アンテナ50と車載器本体51とを接続するアンテナケーブル52は、ケーブル接続部34に接続されるメータ本体30用のメータケーブル35に沿って配設されている。
【0062】
以下、図15〜図18を用いて、自動二輪車1にアンテナ50を取り付ける手順を説明する。
【0063】
図15に示すように、ネジ25を取り外し、そして、フロントカウル20からウインドシールド24を取り外す。
【0064】
次に、図16に示すように、ネジ46を取り外し、そして、メータ本体30からメータカバー40を取り外す。メータカバー40を取り外すと、メータ本体30の前側の上面30aが現れる。
【0065】
次に、メータ本体30の上面30aに、アンテナ50を配置する。本実施形態では、上面30aの右側部分には、ケーブル接続部34が配置されているので、上面30aの左側部分に、ケーブル接続部34と左右に並んで、アンテナ50を配置する。アンテナ50の配置においては、まず、上面30aにステー57を取り付け、ステー57の上面にアンテナ50を取り付ける。アンテナ50の取り付けの際には、アンテナ50の前端に接続されているアンテナケーブル52が、メータケーブル35に沿うようにする。
【0066】
アンテナ50取付後のメータカバー40及びウインドシールド24の取り付けは、上述した手順と逆の手順で行う。以上により、自動二輪車1へのアンテナ50の取付作業が完了する。
【0067】
前記実施形態によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)アンテナ50がメータ本体30用のケーブル接続部34と左右に並んで配置されるので、メータ本体30の前側の空間を有効活用でき、別途アンテナ配置スペースを設ける必要がない。
【0068】
(2)アンテナケーブル52がメータ本体30用のメータケーブル35に沿って配設されているので、アンテナケーブル52をメータケーブル35で支持することができ、その結果、メータケーブル35によって、アンテナケーブル52を保護することができる。
【0069】
上記実施形態では、無線通信用のインジケータとしてETC用のインジケータを例として説明したが、本発明は、ETC用のインジケータに限定されず、その他の無線通信用のインジケータ、例えば、GPS用のインジケータ、携帯電話用のインジケータ、車間通信用のインジケータ等に適用可能である。
【0070】
本発明は、上記実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種変形例を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明では、外観上良好であり、インジケータの防犯性を向上させた、インジケータ配置構造を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0072】
1 自動二輪車
2 フロントフォーク 3 前輪 4 ステアリングハンドル 5 ヘッドパイプ
6 燃料タンク 7 シート
19 ヘッドランプ 20 フロントカウル 21 凹部 22 カバー
23 ネジ 24 ウインドシールド 25 ネジ
30 メータ本体 30a 上面
31 メータ取付ブラケット 32 ネジ 33 支持管 34 ケーブル接続部
35 メータケーブル
40 メータカバー 40a 凹部 41 内部空間 42 底面
43 貫通部 44 水抜き孔 45 規定部 46 ネジ
50 アンテナ 51 車載器本体 52 アンテナケーブル
53 電気用メインハーネス 54 インジケータ 54a 表示部
55 インジケータケーブル 56 インジケータ取付ブラケット 57 ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信用のアンテナと、前記アンテナと接続される車載器本体と、前記車載器本体の作動状態を表示するインジケータと、を備えた自動二輪車のインジケータ配置構造において、
前記インジケータが、操舵軸を回動自在に支持するヘッドパイプと燃料タンクの前端部との間に配置されていることを特徴とする、自動二輪車のインジケータ配置構造。
【請求項2】
前記インジケータが、前記自動二輪車の車体フレームに、インジケータ取付ブラケットを介して取り付けられており、
前記インジケータ取付ブラケットが、前記燃料タンクで覆われている、請求項1記載のインジケータ配置構造。
【請求項3】
前記自動二輪車のハンドルの内、左右一方側のハンドルの端部が前記燃料タンクに近接したロック位置で、前記ハンドルがロック状態となることが可能となっており、
前記インジケータが、左右方向の内、前記ロック位置側に配置されている、請求項1又は2に記載のインジケータ配置構造。
【請求項4】
前記ロック状態において、前記ヘッドパイプと、前記燃料タンクの前端部と、前記操舵軸と共に操舵軸回りに回動するフロントフォークと、によって前記インジケータの周囲が囲まれるようになっている、請求項3記載のインジケータ配置構造。
【請求項5】
前記アンテナが、車体フレーム前端部に取り付けられているメータ本体の前側において、前記メータ本体用のケーブル接続部と、左右に並んで配置されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載のインジケータ配置構造。
【請求項6】
前記アンテナと前記車載器本体とを接続するアンテナケーブルが、前記メータ本体用のメータケーブルに沿って配設されている、請求項5に記載のインジケータ配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−109224(P2011−109224A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259726(P2009−259726)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】