説明

自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ

【課題】直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなく、旋回操縦性能(コーナリング性)を向上させた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを提供す。
【解決手段】トレッド部11と、サイドウォール部12と、ビード部13とからなり、カーカス層22と、スパイラルベルト層23とを具備する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤである。スパイラルベルト層が、スチール線状体の複数本からなるスチールコードがゴムに埋設されてなるゴム−スチールコード複合体からなり、スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、スチールコードのスチール部断面積をSとしたとき、付加荷重Wを1500×Sから1600×Sまで変化させた際の伸び量が0.070%以下であり、0.35%伸び時の付加荷重W1と0.45%伸び時の付加荷重W2とが、W2−W1<35・Sを満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速コーナリング走行される、一般にスーパースポーツタイプと称される高性能自動二輪車に供される自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、高速耐久性、直進安定性等の諸性能を保持しつつ、高速コーナリング時の操縦安定性能を向上した高性能自動二輪車用低偏平空気入りラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車用空気入りラジアルタイヤに対し、1本乃至並列した複数本のコードが被覆ゴム中に埋設された帯状体を、略タイヤ周方向に向かう角度で螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き回してなる所謂スパイラルベルト層を適用して、タイヤの高速耐久性や直進安定性、ユニフォミティ性能、加速性能等を向上することが行われている。
【0003】
かかるスパイラルベルト層における補強材としてのスチールコードの改良に係る技術として、例えば、特許文献1には、螺旋巻きされたスチールコードからなるベルトコードの引張り伸びを所定に規定することで、高速走行時における直進性、旋回性を著しく低下させることなく、また、ハンドリング性を維持して耐摩耗性を向上した自動二輪車用ラジアルタイヤが開示されている。また、特許文献2には、螺旋巻きされた帯状プライを構成するバンドコードの荷重−伸び曲線により規定された自動二輪車用ラジアルタイヤが開示されている。
【特許文献1】特開平4−362402号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2001−130218号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにスパイラルベルト層を適用すると、上記各種タイヤ性能の向上を図ることができる一方で、車両の方向を変える際の反応が鈍くなり、軽快性が失われてしまうという問題点があった。従って、上記の高速耐久性や直進安定性、ユニフォミティ性能、加速性能等を向上しつつ、かかる旋回操縦性能(コーナリング性)についても確保することができるタイヤの改良技術が求められていた。
【0005】
そこで本発明の目的は、直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなく、旋回操縦性能(コーナリング性)を向上させた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、スパイラルベルト層適用時において上記各種タイヤ性能が両立しないメカニズムについて鋭意検討した結果、スパイラルベルト層を設けて剛性を高めることにより限界時のコーナリング性能を向上させることはできるものの、それにより路面とのなじみが悪くなってタイヤの接地反応性が悪化し、結果として軽快性が失われてしまうことを見出した。即ちこの場合、初期においては路面との接触を良くするためにしなやかさが求められるが、コーナリング時など、更に入力が加えられた際には高い剛性が求められると考えられる。
【0007】
本発明者は、かかる観点からさらに鋭意検討した結果、上記問題を解消するためには、タイヤに対し、所定の物理特性を備えるスチールコードからなるスパイラルベルト層、即ち、低負荷域ではゴムのしなやかな特性が発揮されることで製品のフィット性やロバスト性を向上することができ、かつ、高負荷時にはスチールの持つ特性が発揮されることで製品の強度および剛性を高めることができるようなスパイラルベルト層を適用することが有効であることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90°をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層を具備する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、スチール線状体の複数本からなるスチールコードがゴムに埋設されてなるゴム−スチールコード複合体からなり、
前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、該スチールコードのスチール部断面積をS(mm2)としたとき、付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量が0.070%以下であり、かつ、0.35%伸び時の付加荷重W1(N)と0.45%伸び時の付加荷重W2(N)とが下記式、
2−W1<35・S
を満足することを特徴とするものである。
【0009】
好適には、前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量が0.065%以下であり、また、前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、0.35%伸び時の付加荷重W1(N)と0.45%伸び時の付加荷重W2(N)とが下記式、
2−W1<20・S
を満足する。
【0010】
本発明においては、前記スチール線状体がスチールフィラメント、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせてなるスチールストランドまたはこれらの組み合わせからなり、前記スチールコードが、実質的に同一ピッチで螺旋型付けされた該スチール線状体の複数本を、略同位相で撚り合わせずに束ねられてなることが好ましい。この場合、前記スチール線状体の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール線状体との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合うことが好ましく、前記複数本のスチール線状体の構造および型付け量が、全て同一であることも好ましい。特には、前記スチール線状体の型付け螺旋の外接円直径をD、該スチール線状体の外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足することが好適である。
【0011】
本発明においてはまた、前記スチール線状体がスチールフィラメント、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせてなるスチールストランドまたはこれらの組み合わせからなり、前記スチールコードが、2〜5本の該スチール線状体に過大な型付けを施して撚り合わせてなり、かつ、該スチールコードの、コード長手方向と直交する断面内の外接円において、前記スチール線状体間の弧に対する中心角が180°以上であることも好ましく、この場合も、より好適には、前記スチールコードの外接円直径をD、該スチールコードを構成するスチール線状体の外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足する。
【0012】
本発明に係る本発明のゴム−スチールコード複合体は、別個のリールに巻かれた複数本の前記スチール線状体を一つの口金に通して束ねて前記スチールコードとし、該スチールコードを、ゴムにより被覆した後、ゴム複合体に埋設して製造するか、または、別個のリールに巻かれた複数本の前記スチール線状体を1つのスリットに通して束ねて前記スチールコードとし、該スチールコードに対し上下からゴムを圧着した後、該スチールコードをゴム複合体に埋設して製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記構成としたことにより、低歪領域では低剛性でしなやかに変形する一方、一定入力以上の高歪領域ではスチールとしての高い剛性を発揮することができるスパイラルベルト層を実現することができ、これにより、直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなく、旋回操縦性能(コーナリング性)を向上させた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤの一例の概略断面図を示す。図示するように、本発明のタイヤは、トレッド部11と、その両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部12と、そのタイヤ半径方向内側に連なるビード部13とからなり、これら各部をビード部13内に埋設されたビードコア21相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90°をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層22と、そのタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層23を具備する。
【0015】
本発明においては、かかるスパイラルベルト層23に対し、立ち上りの剛性が低く、かつ、一定荷重以上において剛性を発揮するゴム−スチールコード複合体を適用した点に特徴がある。即ち、スパイラルベルト層23が、スチール線状体の複数本からなるスチールコードをゴムに埋設してなるゴム−スチールコード複合体からなり、かつ、かかるゴム−スチールコード複合体が、以下の条件を満足することが重要である。
【0016】
本発明に係るゴム−スチールコード複合体においては、スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、スチールコードのスチール部断面積S(mm2)に対して、付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量が、0.070%以下、好適には0.065%以下であり、かつ、同様に、スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、初期の0.35%伸び時の付加荷重W1(N)と0.45%伸び時の付加荷重W2(N)との荷重差W2−W1が、35・S未満、好適には20・S未満であることが重要である。これにより、上記ゴム−スチールコード複合体の特徴を発揮させて、製品タイヤにおいて諸性能を向上させることが可能となる。ここで、スチールコードのスチール部断面積S(mm2)は、スチールコードを構成するn本のスチールフィラメントの断面積をs1、s2…sn(mm2)としたとき、S=Σsnとして得られる。
【0017】
本発明に係る上記特性を有するゴム−スチールコード複合体としては、図2に断面図を示すような、実質的に同一ピッチで螺旋型付けされたスチール線状体1の複数本を、略同位相で撚り合わせずに束ねたスチールコードがゴムに埋設されてなるものを、好適に用いることができる。ここで、本発明においてスチールコードを構成するスチール線状体1としては、必要な強度・剛性に応じて、略円形断面を有するスチールフィラメントであっても、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせたスチールストランドであってもよく、また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0018】
一般に、スチールフィラメントまたはスチールフィラメントを撚り合わせたスチールストランドに過大な型付けをして撚り合わせたスチールコードは、引っ張り荷重を加えた際にフィラメントまたはストランド間に隙間がある初期においては、撚り絞まることでばねのように低い剛性を示し、荷重が増すことでこれらが接して隙間がなくなると、急激に剛性が高くなるという特性を示す。しかし、前述したように、これをゴムに埋設して加硫すると、コード内部のゴムがほとんど体積変化しないために、隙間があっても撚り絞まることができなくなって初期から高い剛性を示し、ゴムの存在しないときのような、途中から大きく剛性が変化するような物理特性を示さなくなる。
【0019】
そこで上記のように、型付けをしたフィラメントまたはストランドを撚り合わせないことで、ゴムをコード内部に閉じ込めずにコード外に逃げられるようにしたことにより、加硫後でも生コードと同様に、型付けによるばねのような初期の伸びを保つことが可能となる。一方で、型付けしたフィラメントやストランドを撚り合わせないと、打込みの限界でも、断面内の補強材密度を大きくすることができず、十分な強度が得られない。そのため、型付けしたフィラメントまたはストランドを実質的に同一ピッチ、同位相で束ねることとして、束ねたフィラメントまたはストランドが接して干渉せず、補強材密度を高めることができるものとすることで、強度を向上することが可能となる。
【0020】
また、この場合、図示するように、スチール線状体の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール線状体との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合うことが好ましい。即ち、スチールコードを構成する各スチール線状体を、互いの型付けの外接円同士が重なり合う状態に配置することで、高負荷時における高い剛性強度を得ることができる。
【0021】
さらに、図示するゴム−スチールコード複合体においては、スチールコードを構成する全てのスチール線状体の構造および型付け量を同一とすることも好ましく、これにより、応力が各スチール線状体に均一にかかることになり、強度効率を向上することができる。
【0022】
さらにまた、本発明においては、図示するスチール線状体1の、型付け螺旋の外接円直径をD、外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足することが好ましい。スチール線状体1の、型付けによる外接円の直径Dを、スチール線状体1の直径dの2.5倍より大きくすることで、初期の剛性と、一定入力以上で発揮される高剛性部分との剛性差が大きくなり、上記ゴム−スチールコード複合体の特徴をいっそう強く出すことができる。
【0023】
本発明に係る上記特性を有するゴム−スチールコード複合体の他の例としては、2〜5本のスチール線状体に過大な型付けを施して撚り合わせてなり、かつ、コード長手方向と直交する断面内の外接円において、スチール線状体間の弧に対する中心角が180°以上であるようなスチールコードがゴムに埋設されてなるものを、好適に挙げることができる。図3に、かかるゴム−スチールコード複合体の一例を示す。即ち、スチール線状体2間の弧をこれらの間隙としたとき、この弧に対する中心角(間隙角)αが180°以上となるような大きな間隙を有するゴム−スチールコード複合体である。この場合も、ゴムをコード内部に閉じ込めず、コード外に逃げられるようにすることで、加硫後でも生コードと同様に型付けによるばねのような初期の伸びを保つことができるためである。
【0024】
なお、この場合も前述と同様に、スチールコードの外接円直径をD、スチールコードを構成するスチール線状体の外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足することが好ましく、これにより、初期の剛性と、一定入力以上で発揮される高剛性部分との剛性差を大きくして、上記ゴム−スチールコード複合体の特徴をいっそう強く出すことができる。
【0025】
かかるゴム−スチールコード複合体を、安定して効率的に作製する方法としては、例えば、別個のリールに巻かれた複数本の前記スチール線状体を一つの口金に通して束ねてスチールコードとし、このスチールコードを、ゴムにより被覆した後、ゴム複合体に埋設する方法や、別個のリールに巻かれた複数本のスチール線状体を1つのスリットに通して束ねてスチールコードとし、このスチールコードに対し上下からゴムを圧着した後、このスチールコードをゴム複合体に埋設して製造する方法などが有用である。
【0026】
本発明に用いるゴム−スチールコード複合体としては、上記コード構造に係る条件について満足するものであれば、それ以外の、具体的なコード構造、スチール線状体の本数や線径、具体的構造、スチールおよびゴムの材質等については、特に制限されるものではない。
【0027】
また、本発明のタイヤにおいては、前述した特性を満足するゴム−スチールコード複合体をタイヤのスパイラルベルト層に適用したものであれば、それ以外のタイヤ構造、各構成部材の材質等については、特に制限されるものではなく、これにより、本発明の所期の効果を得ることが可能である。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記表1に示す型付け量およびピッチで型付けされたスチール線状体(フィラメントまたはストランド(ブラスめっき):Cu63重量%,Zn37重量%)を用いて、下記表1中に示す条件に従い、ゴム−スチールコード複合体を作製した。コーティングゴムとしては、天然ゴム(NR)100重量部と、カーボンブラック(HAF)55重量部と、酸化亜鉛(ZnO)7重量部と、硫黄5重量部と、Co塩(ナフテン酸コバルト)0.1重量部とからなるゴム組成物を使用した。
【0029】
得られた各ゴム−スチールコード複合体を、図1に示すスパイラルベルト構造を有する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ(MCタイヤ)(タイヤサイズ:190/50ZR17のスパイラルベルト層に打ち込み数40本/50mmにて適用して、振動吸収性およびコーナリング性につき、下記に従い評価を行った。これらの結果を、下記の表1中に併せて示す。
【0030】
<振動吸収性,軽快性,コーナリング性>
供試タイヤを、リムサイズMT6.00×17のリムにて空気圧250kPaで100ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、直進走行時における振動吸収性、軽快性、および、旋回走行時におけるコーナリング性を、テストドライバーのフィーリングによる10点法でそれぞれ評価した。いずれも、8点以上であれば合格である。
【0031】
【表1】

*1)コードを構成するフィラメント間に隙間を有する構造。
*2)スチールコードを構成する全スチールフィラメントの断面積s1、s2…sn(mm2)の総和(S=Σsn)である。
*3)ゴム−スチールコード複合体に対する付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量。
*4)W1はゴム−スチールコード複合体が0.35%伸びた時の付加荷重(N)であり、W2は0.45%伸びた時の付加荷重(N)である。
【0032】
上記表1の結果から分かるように、本発明に係る所定の特性を満足するゴム−スチールコード複合体を用いた実施例のタイヤにおいては、振動吸収性および軽快性を損なわずにコーナリング性を向上することができることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るゴム−スチールコード複合体の一好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図3】本発明に係るゴム−スチールコード複合体の他の好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図4】比較例1のゴム−スチールコード複合体に係るコード部を示す断面図である。
【図5】比較例2のゴム−スチールコード複合体に係るコード部を示す断面図である。
【図6】比較例3のゴム−スチールコード複合体に係るコード部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1,2 スチール線状体
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
21 ビードコア
22 カーカス層
23 スパイラルベルト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90°をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層を具備する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、スチール線状体の複数本からなるスチールコードがゴムに埋設されてなるゴム−スチールコード複合体からなり、
前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、該スチールコードのスチール部断面積をS(mm2)としたとき、付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量が0.070%以下であり、かつ、0.35%伸び時の付加荷重W1(N)と0.45%伸び時の付加荷重W2(N)とが下記式、
2−W1<35・S
を満足することを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】
前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、付加荷重Wを1500×S(N)から1600×S(N)まで変化させた際の伸び量が0.065%以下である請求項1記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】
前記スチールコードの外接円内にゴムが付着した状態での歪−荷重特性において、0.35%伸び時の付加荷重W1(N)と0.45%伸び時の付加荷重W2(N)とが下記式、
2−W1<20・S
を満足する請求項1または2記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】
前記スチール線状体がスチールフィラメント、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせてなるスチールストランドまたはこれらの組み合わせからなり、前記スチールコードが、実質的に同一ピッチで螺旋型付けされた該スチール線状体の複数本を、略同位相で撚り合わせずに束ねられてなる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】
前記スチール線状体の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール線状体との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合う請求項4記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項6】
前記複数本のスチール線状体の構造および型付け量が、全て同一である請求項4または5記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項7】
前記スチール線状体の型付け螺旋の外接円直径をD、該スチール線状体の外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足する請求項4〜6のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項8】
前記スチール線状体がスチールフィラメント、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせてなるスチールストランドまたはこれらの組み合わせからなり、前記スチールコードが、2〜5本の該スチール線状体に過大な型付けを施して撚り合わせてなり、かつ、該スチールコードの、コード長手方向と直交する断面内の外接円において、前記スチール線状体間の弧に対する中心角が180°以上である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項9】
前記スチールコードの外接円直径をD、該スチールコードを構成するスチール線状体の外径をdとしたとき、下記式、
D>2.5d
を満足する請求項8記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項10】
前記ゴム−スチールコード複合体が、別個のリールに巻かれた複数本の前記スチール線状体を一つの口金に通して束ねて前記スチールコードとし、該スチールコードを、ゴムにより被覆した後、ゴム複合体に埋設して製造されてなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項11】
前記ゴム−スチールコード複合体が、別個のリールに巻かれた複数本の前記スチール線状体を1つのスリットに通して束ねて前記スチールコードとし、該スチールコードに対し上下からゴムを圧着した後、該スチールコードをゴム複合体に埋設して製造されてなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−191096(P2007−191096A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12624(P2006−12624)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】