説明

自動二輪車

【課題】本発明は、リヤクッションの本体から離間して配置され、リヤクッションの圧力を調整する圧力調整部材が備えられている自動二輪車において、圧力調整部材を操作するときに、力を入れ易く操作を簡便にすることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】自動二輪車10の車体フレーム11に、リヤクッション28にホース112で接続されリヤクッション28の本体とは別体で、リヤクッション28の特性を調整する荷重調整部材111と、車体フレーム11の後部に、シートフレーム33Lとが備えられ、シートフレーム33Lから下方に延びており同乗者の足置きとしてのピリオンステップ69Lを支持するピリオンステップホルダ71Lに、荷重調整部材の取付部117が一体に備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に、リヤクッションの特性を調整する荷重調整部材を備えている自動二輪車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車体フレームに、リヤクッションの特性を調整する荷重調整部材を備えている自動二輪車が従来技術として知られている(例えば、特許文献1(第2図)参照。)。
【0003】
特許文献1の第2図において、自動二輪車のフレームボデイ1(符号は同公報のものを流用する。以下同じ。)は、ヘッドパイプ2と、このヘッドパイプ2から後方に延設した1本のメインパイプ3と、ヘッドパイプ2から後方で且つ下方左右に延設したダウンチューブ5と、これらのダウンチューブ5とメインパイプ3との間をつなぐ左右のセンターパイプ6と、これらの左右のセンターパイプ6の間に掛け渡した連結パイプ24と、を主要構成とする。
【0004】
連結パイプ6に、ブラケット25を介してリヤサスペンション10(以下、「リヤクッション10」と云う。)のダンパオイルを溜めるサブタンク26が取り付けられ、このサブタンク26の前部底部に、リヤクッション10の特性を調整する調整ノブ30(以下、「荷重調整部材30」と云う。)が設けられている。
【0005】
しかしながら、荷重調整部材30は、フレームボデイ1(以下、「車体フレーム1」と云う。)の内側に配置されている。具体的には、センターパイプ6とリヤクッション10との間に配置され、車体フレーム1に取り付けられている。
【0006】
荷重調整部材30が車体フレーム1の内側に配置され、車体フレーム1に取り付けられていると、リヤクッション10の特性を調整する際、荷重調整部材30が位置する車体フレーム1の内側まで手を伸ばす必要がある。この場合に、車体フレーム1などが荷重調整部材30に接近して配置されているので、荷重調整部材30を回動調整するときに、作業者の手が入り難く作業の際力を入れ難い。そのため、荷重調整部材30の操作性に改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭63−17755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、リヤクッションの本体から離間して配置され、リヤクッションの圧力を調整する荷重調整部材が備えられている自動二輪車において、荷重調整部材の操作性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体フレームと、この車体フレームに設けられ後輪を揺動自在に懸架するリヤスイングアームと、このリヤスイングアームと車体フレームの間に設けられるリヤクッションと、このリヤクッションにホースで接続されリヤクッションの特性を調整する荷重調整部材と、を備える自動二輪車において、車体フレームの後部に、乗員シートを受けるシートレールを備え、このシートレールから下方に延びており同乗者の足置きとしてのピリオンステップを支持するピリオンステップホルダに、荷重調整部材の取付部を一体に備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、ピリオンステップホルダは、シートレールへの締付部から下方に延びる脚部と、この脚部の後端からシートレールの後部上方に延びている後腕部とを有し、荷重調整部材は、シートレールと、脚部と、後腕部とで側面視で略U字状に区画されるU字状空間内に、ピリオンステップホルダの車幅方向内側で、側面視で回動操作部を露出させながらピリオンステップホルダに取り付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、荷重調整部材に、ボルト通し穴とピン通し穴とが設けられ、ピリオンステップホルダの車幅方向内側に、ボルト通し穴に対応するねじ穴と、ピン通し穴に対応する止めピンとが設けられ、ボルト通し穴に挿入したボルトをねじ穴にねじ込み、止めピンをピン通し穴に挿入することで、ピリオンステップホルダの車幅方向内側に荷重調整部材を取り付けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、ピリオンステップホルダの後部に、シートレールの側方に配置されるサドルバッグを止めるサドルバッグ係合部が設けられ、このサドルバッグ係合部に、荷重調整部材が沿うように配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、ホースは、ピリオンステップホルダの車幅方向内側で、脚部に沿って配索されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、車体フレームの側方に設けたピリオンステップホルダに、荷重調整部材の取付部が一体に設けられている。車体フレームの側方に設けたピリオンステップホルダに取り付けた荷重調整部材であれば、車体フレームの内側に設けた荷重調整部材に較べると、荷重調整部材に容易に手を掛けることができる。
【0015】
加えて、荷重調整部材は、ピリオンステップを介して取り付けられているので、荷重調整部材を車体フレームから離間して配置することが可能になり、荷重調整部材を操作するときに、荷重調整部材の回動調整を容易に行うことができる。このため、荷重調整部材に力を入れ易く、簡単に回動調整を行うことが可能になる。したがって、荷重調整部材の操作性を高めることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、荷重調整部材は、U字状空間内に、側面視で回動操作部を露出させながらピリオンステップホルダに取り付けられている。調整作業の際は、U字状空間から手を入れ易く、且つ、荷重調整部が露出しているため、調整作業を容易に行うことができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、ピリオンステップホルダの車幅方向内側に、ボルト通し穴に対応するねじ穴と、ピン通し穴に対応する止めピンとが設けられ、ボルト通し穴に挿入したボルトをねじ穴にねじ込み、止めピンをピン通し穴に挿入するようにした。一本ボルトで荷重調整部材をピリオンステップホルダに締付可能になる。かかる構成であれば、締付部が1つという簡便な構成でありながら、荷重調整部材を確実に取り付けることが可能になる。
【0018】
請求項4に係る発明では、ピリオンステップホルダの後部に、サドルバッグ係合部が設けられ、このサドルバッグ係合部に、荷重調整部材が沿うように配置されている。荷重調整部材が保護カバーの役割を果たすサドルバッグ係合部に沿わせたので、荷重調整部材を保護することが可能になる。
【0019】
請求項5に係る発明では、ホースは、ピリオンステップホルダの車幅方向内側で、脚部に沿って配索されるので、外方からホースを見え難くすることができる。したがって、車両の外観性を損なうことなくホースを配索できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明に係る自動二輪車の後部左側面図である。
【図3】本発明に係る自動二輪車の要部側面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明に係る自動二輪車に備えられているピリオンステップホルダにサドルバッグを係合可能にしたことを説明する斜視図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】本発明に係る自動二輪車に備えられている操向ハンドルの正面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図2の9矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中および実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0022】
図1において、鞍乗り型車両としての自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部11aに設けられるヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12に操舵軸としてのステアリング軸13を介して回動可能に設けられる操向ハンドル14と、ステアリング軸13に連結され車両が路面から受ける振動などを吸収するクッション機能を有するフロントフォーク15と、このフロントフォーク15の下端部の間に前輪車軸16が掛け渡され、この前輪車軸16に回動可能に取り付けられる前輪17と、ヘッドパイプ12から後方左右に延設されるメインフレーム21L、21R(図手前側の21Lのみ示す。)と、これらのメインフレーム21L、21Rに懸架される内燃機関としてのエンジン22と、メインフレーム21L、21Rの後部且つ下部に設けられるピボット部25L、25R(図手前側の25Lのみ示す。)と、これらのピボット部25L、25Rの上部に掛け渡されるクロスメンバ30と、これらのピボット部25L、25Rから後方に延びているシートフレーム33L、33R(図手前側の33Lのみ示す。)と、ピボット部25L、25Rに設けられているピボット軸26と、このピボット軸26から後方に延設されるリヤリヤスイングアーム27と、このリヤリヤスイングアーム27とメインフレーム21L、21Rの間に設けられピボット軸26を中心にリヤリヤスイングアーム27を揺動可能に支持するリヤクッションユニット28およびリンク機構32と、リヤリヤスイングアーム27の後端部に設けられる後輪車軸29と、この後輪車軸29に回動可能に取り付けられる駆動輪としての後輪31と、を主要構成とする車両である。
【0023】
自動二輪車の上部に係る部品配置について以下に説明する。
自動二輪車10に、左右のメインフレーム21L、21Rの間に設ける燃料タンク41と、メインフレーム21L、21Rの後端部21Lb、21Rb(図手前側の21Lbのみ示す。)から後方に延出するシートレールとしてのシートフレーム33L、33Rと、これらのシートフレーム33L、33Rに支持され乗員が着座する乗員シート42と、この乗員シート42の前方に設けるエアバッグモジュール43と、が備えられている。
【0024】
燃料タンク41は、その前部がメインフレーム21L、21Rに取り付けられ、その後部がタンクステー40を介してシートフレーム33L、33Rに取り付けられている。
エアバッグモジュール43は、燃料タンク41の後部41b上方に配置されている。
エアバッグモジュール43には、エアバッグが折り畳まれている。
【0025】
燃料供給系統について説明すると、燃料タンク41の斜め後下方で、乗員シート42の下方で且つ、左右のシートフレーム33L、33Rの間に、サブ燃料タンク44が配置され、このサブ燃料タンク44の内側に、エンジン22側へ燃料を送り出す燃料ポンプ54が設けられ、燃料タンク41とサブ燃料タンク44との間は燃料が通るパイプ53により連結されている。パイプ53は、クロスメンバ30を避けるように配置されている。
上記構成により、燃料タンク41内の燃料は、サブ燃料タンク44に送られ、燃料ポンプ54を介してエンジン22に燃料が供給される。
【0026】
図中、58L、58R(図手前側の符号58Lのみ示す。)はフロントカウル36に取り付けられ乗員(運転者)が後方を視るサイドミラー、59はヘッドライト、61はフロントフェンダ、62はラジエータ、63はラジエータの後方に設けられ風の流れをガイドするラジエータシュラウド、65はリヤフェンダ、66はテールランプ、69L、69R(図手前側の符号69Lのみ示す。)は同乗者の足置きとしてのピリオンステップ、71L、71R(図手前側の符号71Lのみ示す。)はピリオンステップ69L、69Rをシートフレームに取り付けるピリオンステップホルダ、72はリヤクッションユニット28の荷重を調整するリヤクッション荷重調整部材、73はメインスタンド、74はメータユニット、75L、75R(図手前側の符号75Lのみ示す。)は物入れとしてのサドルバッグ、Gは車両の重心である。
【0027】
以下、車両の前部に設けられているカウルステー76について説明する。
自動二輪車10には、左右のメインフレーム21L、21Rの前方に延設し車両の前部を覆うメインカウル18を支持するカウルステー76が備えられている。このカウルステー76で、メインカウル18が支持される。以下、その詳細な構造について説明する。
【0028】
カウルステー76は、車両を側方から見たときに、その前端部76aが、前輪17の前端部17aよりも後方で且つヘッドパイプ12の前方に設け車両の前方を照らすヘッドライト59の先端部59aよりも前方に位置するように配置されている。カウルステー76は、車両の重心Gよりも上方に配置されている。
【0029】
カウルステー76は、メインフレーム21L、21Rから前方に延びる左右の腕部77L、77R(図手前側の符号77Lのみ示す。)と、これらの左右の腕部77L、77Rの前端同士をつなぐクロス部78と、左右の腕部77L、77Rの中間部に立設した左右の中間部材81L、81R(図手前側の符号81Lのみ示す。)と、これらの左右の中間部材81L、81Rに前記メインフレーム21L、21Rから延びている左右の上腕部82L、82R(図手前側の符号82Lのみ示す。)と、左右の中間部材81L、81Rと左右の腕部77L、77Rの間に渡し左右の腕部77L、77Rを補強する部材としての左右の斜材83L、83R(図手前側の符号83Lのみ示す。)と、を主要な構成要素とする。カウルステー76は、その後端部がメインフレーム21L、21Rの前部に設けた上の支持部84L、84R(図手前側の符号84Lのみ示す。)および下の支持部85L、85R(図手前側の符号85Lのみ示す。)に取り付けられている。
【0030】
ここで、上の支持部84L、84Rと、下の支持部85L、85Rとの間は、車両の高さ方向に間隔Pだけ離間されている。
クロス部78は、高さ方向で、上の支持部84L、84Rと下の支持部84L、84Rの間に配置されているので、車両の前方からクロス部78に過大な荷重がかかったときに、クロス部78が、高さ方向で、上支持部84L、84Rと下支持部84L、84Rの間に配置されていない場合に較べると、荷重を受けたときにカウルステーの前端部76aが上または下に倒れ難くなり、同一形状をもつカウルステー76で確実に荷重を受けるとともに衝撃吸収エネルギを大きく確保することができる。
【0031】
図2において、左のピリオンステップホルダ71Lに、リヤクッションの特性を調整するリヤクッションユニット28の圧力調整を行う荷重調整部材111が設けられ、この圧力調整部材111とリヤクッションユニット28との間は、ダンパオイルが通るホース112によって連結されている。つまり、リヤクッションユニット28(リヤクッション28)にホース112を介して荷重調整部材111が接続されている。
【0032】
図1を併せて参照して、ピリオンステップホルダ71L、71Rの後部に、シートレール(シートフレーム33L、33R)の側方に配置されるサドルバッグ75L、75Rを止めるサドルバッグ係合部115L、115R(図手前側の符号115Lのみ示す。)が設けられている。サドルバッグ係合部115L、115Rの詳細については後述する。荷重調整部材111は、ピリオンステップホルダ71Lの内側の面に取り付けられている。荷重調整部材111の取付構造の詳細について、以下に説明する。
【0033】
図3において、左のピリオンステップホルダ71Lを車両の内方から見た図であり、車体フレーム11の後部に備えられ乗員シートを受けるシートレールとしての左のシートフレーム33Lから左のピリオンステップホルダ71Lが下方に延びており、この左のピリオンステップホルダ71Lの内側の面120に、荷重調整部材111が取り付けられる荷重調整部材の取付部117が一体に備えられている。
【0034】
ピリオンステップホルダ71Lは、シートフレーム33Lへの締付部から下方に延びる脚部181Lと、この脚部181Lの後端からシートフレーム33Lの後部上方に延びている後腕部133Lとを有する。脚部181Lは、前側脚部182Lと、後側脚部183Lと、前側脚部182Lと後側脚部183Lの間に掛け渡したクロス部184Lと、からなり、前側脚部182Lと後側脚部183Lとクロス部184Lとで囲まれる領域に開口部である窓部185Lが形成されている。
【0035】
荷重調整部材111は、取付部117に取り付けられる止め金部110と、この止め金部110から延びている本体筒部113と、この本体筒部113に回動調整可能に設けられ作業者の手を掛ける回動操作部114と、からなる。
【0036】
荷重調整部材111は、シートフレーム33Lと、脚部181Lと、後腕部133Lとで側面視で略U字状に区画されるU字状空間187L内に、ピリオンステップホルダ71Lの車幅方向内側で、回動操作部114を側面視で露出させながらピリオンステップホルダ71Lに取り付けられる。
【0037】
ホース112は、ピリオンステップホルダ71Lの車幅方向内側で、脚部181Lに沿って配索されるので、脚部181Lがホース112を覆うことになり、外方からホース112を見え難くすることができる。したがって、車両の外観性を損なうことなくホース112を配索できる。
【0038】
なお、左のピリオンステップホルダ71Lは、その前側脚部182Lの上端部と後側脚部183Lの上端部が、固定ボルト119、119によって左のシートフレーム33Lに取り付けられている。右のピリオンステップホルダ71Rの構成およびその取付構造も左のピリオンステップホルダ71Lと同様であり説明を省略する。
【0039】
図4において、荷重調整部材111の一端に設けられている止め金部110に、ボルト通し穴121と、ピン通し穴122と、が設けられている。左のピリオンステップホルダ71Lの車幅方向内側に、荷重調整部材の取付部117が設けられている。荷重調整部材の取付部117は、座部125と、この座部125に開けボルト通し穴121に対応するねじ穴126と、座部125に開けピン通し穴122に対応する止めピン127とが設けられ、止めピン127を止め金部110に開けたピン通し穴122に挿入し、止め金部110に開けたボルト通し穴121に挿入したボルト128をねじ穴126にねじ込むことで、左のピリオンステップホルダ71Lの車幅方向の内側面120に設けた座部125に荷重調整部材111を取り付けた。
【0040】
左のピリオンステップホルダ71Lの内側面120に、ボルト通し穴121に対応するねじ穴126と、ピン通し穴122に対応する止めピン127とが設けられ、ボルト通し穴121に挿入したボルト128をねじ穴126にねじ込み、止めピン127をピン通し穴122に挿入するようにした。ボルト128一本のみで荷重調整部材111は締付可能になる。かかる構成であれば、締付部としての1本のボルト128だけで、荷重調整部材111をピリオンステップホルダ71Lに確実に取り付けることが可能になる。
なお、本実施例において、荷重調整部材は左のピリオンステップホルダに取り付けたが、右のピリオンステップホルダに取り付けることは差し支えない。
【0041】
図3に戻って、左のピリオンステップホルダの後部131Lに、サドルバッグ75Lを止めるサドルバッグ係合部115Lが設けられている。サドルバッグ係合部115Lは、ピリオンステップホルダ71Lにおいて、ピリオンステップが取り付けられる主要部137Lから後方に向け延設される後腕部133Lと、後腕部の後端部135Lに、付設され略球状を呈する係合片134Lとからなる。同様な構成で、右のピリオンステップホルダの後部131Rに、サドルバッグ75Rを止めるサドルバッグ係合部115Rが設けられている。
【0042】
左のサドルバッグ係合部115Lの後腕部133Lに沿うように、荷重調整部材111が配置されている。
保護カバーの役割を果たすサドルバッグ係合部115Lの後腕部133Lに沿うように荷重調整部材111を配置することで、荷重調整部材を保護することが可能になる。
なお、右側のサドルバッグ係合部115Rの後腕部133Rに沿うように荷重調整部材111を配置することは差し支えない。
【0043】
図5および図6において、サドルバッグ75Lの側に、且つ、サドルバッグの前端部141Lに、係合凹部142Lが設けられ、この係合凹部142Lに、ピリオンステップホルダの後部に付設したサドルバッグ係合部115Lの構成要素としての係合片134Lが係合されている。サドルバッグの前端部141Lが、ピリオンステップホルダ71Lによって支持されているので、サドルバッグ75Lを一層確実に車両側に取り付けることができる。右側のサドルバッグ75Rについても上記と同様に係合されており、説明を省略する。
【0044】
かかる構造をもつサドルバッグ係合部115Lに設けた係合片134Lおよび係合凹部142Lであれば、サドルバッグ75Lを車両側に装着するときは、係合片134Lに係合凹部142Lを上から係合させ、サドルバッグ75Lを車両側から取り外すときは、サドルバッグ75Lを上方に持ち上げるだけで、取り外すことができ、着脱性が損なわれることなくサドルバッグ75Lを車両側にしっかりと固定することができる。
なお、右側のサドルバッグ75Rについての作用も上記と同様な作用であり、説明を省略する。
【0045】
以上に述べた荷重調整部材が備えられている自動二輪車の作用を次に述べる。
図2および図3を参照して、車体フレーム11の側方に設けたピリオンステップホルダ71Lに、荷重調整部材の取付部117が一体に設けられている。回動操作部114の回動操作の支障が生じないように、荷重調整部材111は車体フレーム11その他の部材から離間して配置されている。
仮に、荷重調整部材を車体フレーム11の内方に配置する場合、荷重調整部材111を調整するときに、作業者は、車体フレーム11の内方に手を伸ばす必要がある。
【0046】
この点、本発明では、車体フレーム11の側方に設けたピリオンステップホルダ71Lに荷重調整部材111を取り付けたので、荷重調整部材111を調整するときに、作業者は、車体フレーム11の内方まで手を伸ばす必要がなく、荷重調整部材111の回動操作部114に容易に手を掛けることができる。
【0047】
加えて、荷重調整部材111は、ピリオンステップホルダ71Lを介して取り付けられているので、荷重調整部材111を車体フレーム11から離間して配置することが可能になり、荷重調整部材111に手を掛け回動させるときに、手が車体フレーム11に当たる心配はなく、操作の邪魔になり難くなるとともに、荷重調整部材111に力を入れ易くなる。
したがって、本発明に係る荷重調整部材111の取付構造であれば、荷重調整部材111に力を入れ易くでき、荷重調整部材111を簡単に調整することが可能になる。
【0048】
図7において、操向ハンドル14は、ステアリング軸(図1の符号13)から左右外方で斜め上方に延びている左右の傾斜部151L、151Rと、左右の傾斜部151L、151Rの端部から外方に水平に延びており外端部にグリップ部152L、152Rを有する水平部153L、153Rと、からなる。
【0049】
図8において、操向ハンドル14を構成する左右の傾斜部151L、151Rの断面が示されている。左右の傾斜部151L、151Rの断面は、略コ字状に形成されており、コ字部156L、156Rの内側にハーネス157、158を沿わせるようにした。このような構成であれば、運転者が乗員シート42に着座したとき、運転者の視線から、ハーネス157、158を見え難くすることができ、操向ハンドル14回りをすっきりとまとめることができる。したがって、操向ハンドル14回りの外観性を高めることが可能になる。
【0050】
図9において、乗員シート42は、運転者シート161と、この運転者シート161の後方に連続して設けられている同乗者シート162と、からなり、同乗者シート162を取り外した状態を示す。
同乗者シート162の下方に、車両駐車時の盗難防止のために用いられる、いわゆる、U字ロック164が収納されている。
【0051】
U字ロック164は、U字状に形成したU字バー165と、このU字バー165と係合し棒状に形成した係合バー166と、図示せぬ鍵部とからなる。
図中、171はETCユニット、172L、172Rはグラブレールである。
【0052】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、鞍乗型車両にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、リヤクッションの特性を調整する荷重調整部材を備える自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0054】
10…自動二輪車、11…車体フレーム、27…リヤスイングアーム、28…リヤクッション(リヤクッションユニット)、31…後輪、33L、33R…シートレール(シートフレーム)、42…乗員シート、69L、69R…ピリオンステップ、71L、71R…ピリオンステップホルダ、111…荷重調整部材、112…ホース、117…荷重調整部材の取付部、121…ボルト通し穴、122…ピン通し穴、126…ねじ穴、127…止めピン、128…ボルト、131L、131R…ピリオンステップホルダの後部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、この車体フレームに設けられ後輪を揺動自在に懸架するリヤスイングアームと、このリヤスイングアームと前記車体フレームの間に設けられるリヤクッションと、このリヤクッションにホースで接続され前記リヤクッションの特性を調整する荷重調整部材と、を備える自動二輪車において、
前記車体フレームの後部に、乗員シートを受けるシートレールを備え、
このシートレールから下方に延びており同乗者の足置きとしてのピリオンステップを支持するピリオンステップホルダに、前記荷重調整部材の取付部を一体に備えていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記ピリオンステップホルダは、前記シートレールへの締付部から下方に延びる脚部と、この脚部の後端から前記シートレールの後部上方に延びている後腕部とを有し、
前記荷重調整部材は、前記シートレールと、前記脚部と、前記後腕部とで側面視で略U字状に区画されるU字状空間内に、前記ピリオンステップホルダの車幅方向内側で、側面視で前記回動操作部を露出させながら前記ピリオンステップホルダに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記荷重調整部材に、ボルト通し穴とピン通し穴とが設けられ、
前記ピリオンステップホルダの車幅方向内側に、前記ボルト通し穴に対応するねじ穴と、前記ピン通し穴に対応する止めピンとが設けられ、
前記ボルト通し穴に挿入したボルトを前記ねじ穴にねじ込み、前記止めピンを前記ピン通し穴に挿入することで、前記ピリオンステップホルダの車幅方向内側に前記荷重調整部材を取り付けたことを特徴とする請求項2記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記ピリオンステップホルダの後部に、前記シートレールの側方に配置されるサドルバッグを止めるサドルバッグ係合部が設けられ、このサドルバッグ係合部に、前記荷重調整部材が沿うように配置されていることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記ホースは、前記ピリオンステップホルダの車幅方向内側で、前記脚部に沿って配索されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−234913(P2010−234913A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83606(P2009−83606)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】