説明

自動再生音声ガイドシステム

【課題】従来のシステムは、利用者が設置されている装置や携帯する再生機を操作をする事により、目的の音声ガイドを聞く方法であり、誤操作を招く等利用者への負担があった。又、従来のシステムでは、多言語への対応が困難であったため、外国人への音声サービスができなかった。
【解決手段】本発明による音声ガイドシステムは、ID信号を発信する発信機とID信号を受信し、目的の音声を再生する携帯受信機からなる。利用者が対象物から発信するID信号を受信すると携帯受信機に記録された音声ガイドが自動的に再生され、目的の音声ガイドを聞く事ができる。又、多言語音声ガイドサービスを容易に提供できるシステムを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、美術館や博物館などの展示物の説明に、利用者が携帯する携帯型音声再生受信器による音声ガイドサービスに関するものである。(以下音声説明を必要とする展示物を「対象物」という)
【背景技術】
【0002】
従来、無人のガイド装置は、利用者の操作によって画像や音声によって情報を提供する案内装置説明や、案内放送を利用者が携帯する受信器で聴取するシステムや、記憶媒体を搭載した音声再生機を利用者が携帯し、利用者の操作によって案内音声提供するシステムなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献1】
【0003】
特開2004−158955号広報
【特許文献2】
【0004】
特開2005−92483号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の音声ガイドを解決すべく[特許文献1][特許文献2]の技術がある。しかしながら、[特許文献1]の技術によれば、情報の伝達に電波を使用するため、対象物に対する利用範囲を特定することが困難であり、目的の対象物以外のガイド音声を受信し利用者に誤った情報を提供する恐れがある。
【0006】
[特許文献2]の技術によれば、受信域の特定に関しては[特許文献1]と同様であり、そのほか、対象物の音声情報は繰り返し放送のため、利用者はガイド音声を途中からの聴取を強いられる。
【0007】
これらのシステムを複数の言語に対応するためには多数のチャンネルの割り当てが必要となり、チャンネル数の限度や、受信チャンネルまたは対象物のガイド音声の選択操作を利用者が行うシステム等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1に本発明のシステムの俯瞰図を示す。展示物(A、B、C)1〜3にそれぞれ固有のIDが一定の間隔で赤外線等の無線通信波のID符号を発信するID発信機4、5、6を受信域7、8、9のとなるよう設置する。
【0009】
利用者10が携帯する携帯受信機11が発信域7に入ると展示物(A)に設置されたID発信機のIDを受信し、この受信IDがトリガー(スタート)信号となって展示物(A)の音声ガイドが自動的にスタートする。
【0010】
利用者10は展示物(A)の音声ガイドが終了し、次の展示物(B)の受信域に入ると展示物(B)の音声ガイドが自動的にスタートし、利用者は携帯受信機11の操作なしに順次展示物の音声ガイドを聴取できる。
【0011】
受信機には、音声ガイド再生中に次の受信域エリアに入った場合は再生の合否を促す受信機の操作ガイドを流し、利用者の誤操作を防ぐ機能を具備する。
【0012】
図2は受信機に装備する各機能のブロック図を示す。音声ガイドを多くの言語に対応するため、目的の複数言語に翻訳された全展示対象物の音声ガイドをデータ化し、一連のユニーク(単独)ID符号(以下IDという)を割り当てたデジタル音声データファイルとして音声データメモリーカード17に蓄積する。
【0013】
対象物または後述のガイドが携帯するID送信機から発信した無線信号を受信する受信復調回路13と、受信したIDに対応する音声データをメモリーカードデータの中から検索し再生するためのCPU回路6および受話器が再生受信器。よって、利用者は対象物が発信するIDの受信域に立ち入ることにより、自動的に再生される対象物の音声ガイドを先頭から(受話器によって)聴取できる。
【0014】
対象物から発信するIDの通信媒体に、指向性や遮断のし易さから赤外線を利用することにより、情報提供するIDの受信範囲を限定することが容易になるため、隣接する対象展示物との混信を回避した音声ガイドシステムを可能にした。
【0015】
本システムの憶媒体に収納するガイド音声のデータ量は対象物の数、言語数、に依存されるが、近年大容量のメモリーデバイスが安価に入手できるほか、音声圧縮を利用すると再生時間が延べ数百時間に及ぶ音声データの収納、管理が可能であるので、利用者に対し数日に渡る展示物の音声ガイドが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
赤外線通信により送信機2は間欠的に対象物の音声ガイドのIDを発信携帯受信器に送信し、携帯受信器は操作無しで自動再生し、かつガイドを途中からではなく、最初から聞くことが出来る利点がある。
【0017】
対象物に設置する赤外線によるID発信機は、例えば1秒間隔の間欠的な発信であるため、電力消費が極めて少なく、電池または太陽光発電素子による電力供給で十分である。よって、発信機に対し電力線よる電力供給を必要としないため、また小型にできるため、対象物への設置が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は本システムの一実態形態の俯瞰図を示す。
【図2】は本システムの、携帯受信機、およびガイドが携帯し操作する携帯ID信号発信機のブロック図と信号の伝達状態示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実態形態を図1に示す。利用者が対象物に設置された発信機の受信域入ると、携帯受信機から自動的に対象物のガイド音声が再生される。
【0020】
「実施形態の効果」
この実施形態により、携帯受信器に蓄積された多言語の音声データの中から、あらかじめ再生する言語を選択しておけば多くの外国人利用者にも携帯受信器を操作することなく、ガイド音声を提供できる。
【符号の説明】
【0021】
1 展示対象物A
2 展示対象物B
3 展示対象物C
4 展示対象物AのID(A)発信機
5 展示対象物BのID(B)発信機
6 展示対象物CのID(C)発信機
7 発信機Aより発信される赤外線または電波の到達域
8 発信機Bより発信される赤外線または電波の到達域
9 発信機Bより発信される赤外線または電波の到達域
10 対象物の音声ガイドID発信機
11 ガイド(人)が携帯する携帯ID発信機
12 利用者が携帯する携帯受信機
13 赤外線および電波IDの受信機およびID復調回路
14 操作スイッチ、音声データ選択、音声デコード制御プロセッサー(CPU)
15 AD変換器
16 操作スイッチ
17 音声データメモリーカード
18 音声増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に展示物の音声案内を行うシステムを示す。展示会場の各案内対象物1には、その展示物固有の符号(ID)を電波または赤外線によって間欠的に発する発信装置2が設置される。利用者は、全展示対象物のガイド音声が蓄積された記憶媒体3と、対象物に設置された発信装置から発信する電波または赤外線を受信および復調する受信機4と、記憶媒体3から対象のガイド音声の選択および操作ス イッチ7の処理を行うCPU5と音声データを音声に変換再生するAD変換機6をもつ携帯受信受信機を携帯し、利用者が対象物に設置された発信装置の受信域に立ち入ると自動的に案内音声が再生されるシステムを提供する。
【請求項2】
図2は本音声案内システムの利用者と対象物に設置された発信装置2の詳細を。発信装置の発信回路8は対象物に割り当てられた数ミリ秒のID符号パルスを、たとえば1秒間隔で間欠発信する電子回路と電源から構成される。また、発信装置は微小電力で動作するため、電池を使用することで電力供給電線が不要かつ小型になるため展示物の景観を損なわない。また太陽光発電素子を使用すれば展示物の照明で十分な電力が得られ、電池の交換、電源スイッチも不要となる。
【請求項3】
本システムが導入されていない施設、または設置が許可されない施設や、対象物に発信機を設置できない景観、建築物等に於いては、手動操作によって対象物のIDを発信する携帯発信器をツアーコンダクターが操作するシステムにより多言語で音声ガイドサービスを提供できる。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−109629(P2011−109629A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277977(P2009−277977)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(509336451)
【出願人】(509336613)
【出願人】(509336462)
【出願人】(509336473)
【Fターム(参考)】