説明

自動分析装置、自動分析装置の分析パラメータ入力方法、および分析パラメータ入力用プログラム

【課題】分析パラメータの入力に必要な工数を削減して正確かつ迅速な分析パラメータの入力を可能にするとともに、異なる機種間でも分析パラメータの入力、更新を容易に行うことを可能にする。
【解決手段】通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置から各自動分析装置の分析パラメータを受信し、この受信した各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行い、この統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行った分析パラメータを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や体液等の検体を自動的に分析する自動分析装置、自動分析装置の分析パラメータ入力方法、および分析パラメータ入力用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を生化学的または免疫学的に分析するための装置として自動分析装置が知られている。このような自動分析装置を新たに導入する場合や、自動分析装置にインストールされているOS(Operating System)やその他のアプリケーションソフトウェアをアップグレード以外の方法によってインストールし直す場合などにおいては、分析を行う際に必要な分析パラメータを手で入力するのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、この分析パラメータは種類も豊富な上、その情報量も膨大であり、オペレータ(作業者)の手入力では時間がかかるだけでなく、入力ミスが生じる恐れもあった。また、分析パラメータを入力すべき自動分析装置の数が増えていくにつれ、その入力作業に要する工数および作業時間も増加するという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決し、分析パラメータの入力を正確かつ迅速に行うために、フレキシブルディスクに保存した分析パラメータを他の自動分析装置にコピーして使用する方法も知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−211731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フレキシブルディスク等の記録媒体を用いて分析パラメータをコピーする方法では、一度に全ての分析パラメータが書き換えられてしまうため、機種が異なる自動分析装置間で分析パラメータをコピーすると、個々の自動分析装置に固有のパラメータを改めて入力し直さなければならなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、分析パラメータの入力に必要な工数を削減して正確かつ迅速な分析パラメータの入力を可能にするとともに、異なる機種間でも分析パラメータの入力、更新を容易に行うことを可能にする自動分析装置、自動分析装置の分析パラメータ入力方法、および分析パラメータ入力用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の発明は、試料と試薬を反応させることによって前記試料の成分の分析を行う自動分析装置であって、通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置との情報の送受信を行う送受信手段と、前記送受信手段で受信する各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行う統合更新手段と、前記統合更新手段で統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行った分析パラメータを記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記統合更新手段は、前記通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置のうちのいずれかから更新された分析パラメータを受信した場合、この受信した分析パラメータの中から他の自動分析装置と共有する分析パラメータを抽出し、この抽出した分析パラメータを更新するとともに、この更新した分析パラメータを共有する自動分析装置に対して分析パラメータの更新通知を送信することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、試料と試薬を反応させることによって前記試料の成分の分析を行う自動分析装置の分析に必要な分析パラメータを入力する自動分析装置の分析パラメータ入力方法であって、通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置から各自動分析装置の分析パラメータを受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合する統合ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置のうちのいずれかから更新された分析パラメータを受信した場合、この受信した分析パラメータの中から他の自動分析装置と共有する分析パラメータを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出した分析パラメータを更新するとともに、この更新した分析パラメータを共有する自動分析装置に対して分析パラメータの更新通知を送信する送信ステップと、を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明に係る分析パラメータ入力用プログラムは、請求項3または4記載の自動分析装置の分析パラメータ入力方法を当該自動分析装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置から各自動分析装置の分析パラメータを受信し、この受信した各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行い、この統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行った分析パラメータを記憶することにより、分析パラメータの入力に必要な工数を削減して正確かつ迅速な分析パラメータの入力が可能になるとともに、異なる機種間でも分析パラメータの入力、更新を容易に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置を含むネットワークの全体構成を示す説明図である。同図に示す自動分析装置1は、検体等の試料の成分を生化学的または免疫学的に分析するものであり、通信ネットワークNを介して他の自動分析装置2、3、・・・、およびn(nは正の整数)に接続されている。この自動分析装置1は、当該自動分析装置1における試料の分析に必要な分析パラメータに加えて、通信ネットワークNを介して接続される他の自動分析装置の分析パラメータも記憶、管理する機能を有する。
【0015】
自動分析装置1は、試料および試薬を反応容器に分注し、その反応容器内で生じる反応を光学的に測定する測定機構101と、この測定機構101の駆動制御を行うとともに測定機構101における測定結果の分析を行う制御分析機構102とを有し、これらの二つの機構が連携することによって検体の成分の分析を行う。
【0016】
測定機構101は、血液や体液等の検体を収容する検体容器111を搭載した複数のラック112を収納して順次移送する検体移送部11、精度管理試料(コントロール)や検量線作成試料(キャリブレーション)に加えて緊急用の検体を収容する試料容器121を保持する試料テーブル12、試料と試薬を反応させる反応容器131を保持する反応テーブル13、および試薬容器141を保持する試薬テーブル14を備える。
【0017】
また、測定機構101は、反応容器131の内部に収容される液体を攪拌する攪拌部15、反応容器131内を通過してくる光の強度などをフォトダイオードや光電子倍増管によって測定する測光部16、および測定後の反応容器131の洗浄を行う洗浄部17を備える。さらに、測定機構101は、検体移送部11上の検体容器111に収容されている検体または試料テーブル12上の試料容器121に収容されている試料を反応容器131に分注する試料分注部18と、試薬テーブル14上の試薬容器141に収容されている試薬を反応容器131に分注する試薬分注部19とを有する。
【0018】
試料テーブル12は、試料容器121を試料分注部18による試料吸引位置まで移送する。また、反応テーブル13は、反応容器131を試料分注位置、試薬分注位置、攪拌位置、測光位置、および洗浄位置などの所定の位置に移送する。さらに、試薬テーブル14は、試薬容器141を試薬分注部19による試薬吸引位置まで移送する。
【0019】
これらの試料テーブル12、反応テーブル13、および試薬テーブル14は、制御分析機構102が有する制御部25の制御のもと、ステッピングモータを駆動することによって各テーブルの中心を通る鉛直線を回転軸としてそれぞれ回動自在である。各テーブルの上方には開閉自在なカバーが設けられる一方、各テーブルの下方には恒温槽が設けられている(図示せず)。この結果、カバーを閉じたときに内部にくる容器を恒温状態に保ち、容器内の試料または試薬の蒸発や変性を抑えることができる。
【0020】
試料分注部18および試薬分注部19は、試料および試薬の吸引、吐出をそれぞれ行う細管状のプローブと、このプローブを移動するために鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームと、吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構とをそれぞれ備える。各プローブは、1回の動作の後、個別に設けられる洗浄部(図示せず)で洗浄される。
【0021】
なお、測定機構101は、上記以外にも、例えば試料や試薬を適切な濃度に希釈するための希釈液を保持、分注する希釈液分注部を有する(図示せず)。
【0022】
以上の構成を有する測定機構101の動作例を説明する。まず、試薬分注部19が所定量の試薬を反応テーブル13上の試薬分注位置にある反応容器131へ分注する。この後、反応テーブル13は、試薬分注後の反応容器131を試料分注部18による試料分注位置へ移送する。試料分注部18は、試料分注位置に移送されてきた反応容器131に対して所定量の試料を分注する。その後、反応容器131は、再び試薬分注位置まで反応テーブル13上を移送され、試薬分注部19によって2種類目の試薬が分注されることもある。また、各分注動作の間には、反応容器131内部の液体の攪拌動作が入ることもある。
【0023】
試料と試薬が分注された反応容器131は、反応テーブル13上の攪拌位置まで移送され、その内部の液体(混合液)が攪拌部15において攪拌される。この攪拌によって反応が促進した反応容器131内の混合液は、反応テーブル13上の測光部16に移送される。測光部16は、反応容器131内の反応液(反応が進んだ混合液のこと)に所定の光(例えば白色光)を照射し、その反応液を通過してきた光の波長成分ごとの強度等を測定する。その後、測光部16は、測定結果を制御分析機構102へ送出する。測定が済んだ反応容器131は、洗浄位置まで移送されて洗浄部17で洗浄される。
【0024】
次に、引き続き図1を参照して制御分析機構102の構成を説明する。制御分析機構102は一または複数のコンピュータを用いて実現され、分析に必要な各種情報を入力するためキーボートまたはマウス等のポインティングデバイスによって実現される入力部21、分析結果等を出力表示するためCRT、液晶、有機EL等のディスプレイやプリンタによって実現される出力部22、および通信ネットワークNを介して所定の形式に従った情報の送受信を行うインタフェースとしての機能を有する送受信部23(送受信手段の少なくとも一部をなす)を備える。
【0025】
また、制御分析機構102は、測定機構101における分析結果を記憶する記憶部24と、当該制御分析機構102内の各機能または各手段の制御を行うとともに測定機構101の駆動制御を行う制御部25とを備える。
【0026】
記憶部24(記憶手段の少なくとも一部をなす)は、自動分析装置1が行う分析項目に応じて定められる分析パラメータを記憶、管理する分析パラメータデータベース(DB)241を有している。この分析パラメータDB241は、他の自動分析装置2、3、・・・、nの分析パラメータも記憶、管理している。なお、分析パラメータとは、検査項目、試薬の種類、試料や試薬の分注量、試料や試薬の有効期限、検量線の作成に必要な濃度、各分析項目の参照値および許容値、等を含むものであり、個々の自動分析装置に特有なパラメータも含まれる。
【0027】
この記憶部24は、さまざまな情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理に係るプログラムをハードディスクからロードして電気的に記録するメモリとを用いて実現される。また、記憶部24として、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、PCカード、xDピクチャーカード等の記録媒体に記録された情報を読み取ることができる補助記憶装置をさらに備えてもよい。
【0028】
制御部25は、測定機構101における測定結果に基づいて試料の成分の分析演算を行う分析演算部251と、異なる自動分析装置の分析パラメータを所定の規則に従って統合および/または更新する統合更新手段の少なくとも一部をなす統合更新部252とを有し、制御および演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。この制御部25は、記憶部24が記憶するプログラムをメモリから読み出すことにより、前記分析演算を含む自動分析装置1の各種動作の制御および演算を実行する。
【0029】
以上の構成を有する制御分析機構102が測光部16からの測定結果を受信すると、分析演算部251が記憶部24から測定対象試料の分析情報を読み出し、測定結果の分析演算を行う。この分析演算では、測光部16から送られてくる測定結果に基づいて反応液の吸光度を算出し、この算出結果に加えて標準試料から得られる検量線や分析情報に含まれる分析パラメータを用いることにより、反応液の成分やその成分の濃度を定量的に求める。分析演算部251が分析した分析演算の結果(分析結果)は、出力部22で画面表示したり印刷したりして出力するとともに、記憶部24に格納して記憶する。
【0030】
次に、自動分析装置1に通信ネットワークNを介して接続される自動分析装置2、3、・・・、nについて説明する。これらの自動分析装置2、3、・・・、nも、自動分析装置1と同様、試料および試薬を反応容器に分注し、その反応容器内で生じる反応を光学的に測定する測定機構と、この測定機構の駆動制御を行うとともに測定機構における測定結果の分析を行う制御分析機構とを有し、これらの二つの機構が連携することによって検体を含む試料の成分の分析を行う。
【0031】
このうち制御分析機構は、自動分析装置1のように異なる自動分析装置の分析パラメータを統合管理する機能は具備していない。したがって、各自動分析装置が有する分析パラメータデータで記憶、管理するのは当該自動分析装置の分析パラメータのみである。なお、各自動分析装置の測定機構は、互いに同じ構成である必要はない。
【0032】
通信ネットワークNは、インターネット、電話網、パケット網、WAN(Wide Area Network)、有線または無線LAN(Local Area Network)、専用回線網、イントラネット等、所定の形式に従って電気的な信号の送受信を行うことができれば如何なるものであっても構わない。また、通信ネットワークNは、前述した各種ネットワークを適当に組み合わせたものでも構わない。例えば、自動分析装置2はインターネットを介して接続される一方で、それ以外の自動分析装置3、・・・、nはLANを介して接続されるような場合でもよい。
【0033】
図2は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の分析パラメータ入力方法の概要を示すシーケンス図である。以下、この図2を用いて自動分析装置1の分析パラメータ入力処理を説明する。
【0034】
オペレータによって入力部21から分析パラメータを共有する自動分析装置の登録が行われると、登録情報の入力を受けた制御部25は、その登録情報を分析パラメータDB241に格納して記憶する(ステップS1)。この登録情報には、他の自動分析装置を識別する識別情報として、各自動分析装置の機種情報や通信情報(通信ネットワークNがインターネットの場合にはIPアドレス等)などが含まれる。以後、このステップS1によって自動分析装置2、3、・・・、nが登録されたものとする。
【0035】
なお、このステップS1における登録後に、分析パラメータを共有する自動分析装置の追加または削除を行うことも可能である。この場合にも、オペレータによって入力部21から入力された更新内容を制御部25が分析パラメータDB241に格納して記憶することにより、登録情報の更新が行われる。
【0036】
この後、統合更新部252は、他の自動分析装置と共有する分析パラメータの設定を行う(ステップS2)。このステップS2において、自動分析装置1の出力部22では、オペレータに対して共有する分析パラメータの設定を促す表示を出力する。ここでは、例えばどの分析パラメータをどの自動分析装置間で共有するかを設定する。入力部21からオペレータによって入力された設定内容は、分析パラメータDB241に格納される。この結果、個々の自動分析装置に特有の分析パラメータなどは、共有対象から除外される。
【0037】
続いて自動分析装置1は、送受信部23から自動分析装置2、3、・・・、nに対して所定の信号を送信することにより、ステップS1で登録した全ての自動分析装置に対して分析パラメータの送信を要求する(ステップS3)。この要求に応じて、自動分析装置2、3、・・・、nが各自の分析パラメータを自動分析装置1に対して送信する(ステップS4)。
【0038】
各自動分析装置2、3、・・・、nから分析パラメータを受信した自動分析装置1は、統合更新部252がステップS2における設定内容に基づいて受信した分析パラメータを共有する分析パラメータごとに統合し、この統合した分析パラメータを分析パラメータDB241に格納して記憶する(ステップS5)。
【0039】
統合更新部252では、上述した統合処理を行うに先立って、分析パラメータを送信してきた自動分析装置がステップS1で登録した自動分析装置であるか否かを判定する。この判定の結果、登録した自動分析装置であると判定した場合には、上述した統合処理を行う。これに対して、登録した自動分析装置ではないと判定した場合には、エラーメッセージと共に受信した分析パラメータを送信元の自動分析装置に返信する。
【0040】
次に、分析パラメータDB241で記憶する分析パラメータを更新するときの自動分析装置1の動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。この分析パラメータの更新は、例えば試料や試薬のロットが変わった場合などに行われる。以下では、自動分析装置2で最初の更新が行われた場合を説明するが、これが一例に過ぎないことはいうまでもない。
【0041】
分析パラメータの更新を行った自動分析装置2は、更新した分析パラメータを自動分析装置1に送信する(ステップS11)。このステップS11において、自動分析装置2は更新後の分析パラメータを自動的に送信してもよいし、オペレータ自身の動作によって分析パラメータの送信を開始してもよい。
【0042】
自動分析装置2で更新された分析パラメータを受信した自動分析装置1では、統合更新部252が、自動分析装置2の分析パラメータのうち分析パラメータDB241で記憶している分析パラメータの更新を行う(ステップS12)。この際、更新した分析パラメータの中に他の自動分析装置の分析パラメータと共有するものがあれば、他の自動分析装置の分析パラメータも一括して更新する。なお、更新を行う前に分析パラメータDB241で記憶していた分析パラメータは、以下の処理で必要になる場合があるので、記憶部24の適当な記憶領域に一時的に格納しておく。
【0043】
その後、自動分析装置1は、自動分析装置2で更新された分析パラメータを共有する自動分析装置に対して更新内容を通知する(ステップS13)。以後の説明の便宜上、ここでは自動分析装置3の一つの分析パラメータが更新対象であったとする。
【0044】
更新通知を受信した自動分析装置3は、その受信した更新通知の内容を出力部が出力する。その後、出力した内容をオペレータが判断した結果が自動分析装置1に送信される(ステップS14)。自動分析装置3の出力部では、例えば表示画面中に分析パラメータの更新内容と共に選択ボタンを表示し、分析パラメータの更新が必要(Yes)か否(No)かをオペレータに選択して入力させるようにする。
【0045】
自動分析装置3から更新通知に対する判断結果を受信した自動分析装置1は、その判断結果の内容に応じて異なる処理を行う。
【0046】
まず、自動分析装置3では自動分析装置2と同様の分析パラメータの更新を行う必要がない場合(ステップS15でYes)、自動分析装置3に関しては該当する分析パラメータをステップS12における更新前の値に戻す修正を行なわなければならない。したがってこの場合には、統合更新部252が記憶部24に記憶している分析前のデータを参照し、ステップS12で記憶した内容を修正して共有パラメータの設定情報を変更して分析パラメータを再統合し、この再統合した情報を改めて分析パラメータDB241に格納して記憶する(ステップS16)。
【0047】
自動分析装置3から更新通知に対する判断結果を受信した自動分析装置1は、更新内容の修正がない場合(ステップS15でNo)には、ステップS12で更新した情報のままでよいので、記憶部24で一時的に記憶していた更新前データを消去して分析パラメータの更新処理を終了する(ステップS17)。
【0048】
なお、分析パラメータの更新を最初に自動分析装置1で行う場合には、その後上述したステップS12以降の処理を行えばよい。また、以上の説明では、簡単のため一つの自動分析装置3に更新通知を送信する場合を説明したが、複数の自動分析装置に対して更新通知を送信する場合には、その各々の自動分析装置からの判断結果を受信した段階で、統合更新部252が適宜修正等の処理を行う。
【0049】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、複数の自動分析装置の分析パラメータを統合および/または更新して記憶するので、各自動分析装置ごとに分析パラメータの更新処理を行う必要がなくなり、作業工数を減らすことができるとともに、人為的な入力ミスを低減して分析パラメータの入力を正確かつ迅速に行うことが可能となる。
【0050】
また、この一実施の形態によれば、各自動分析装置固有の分析パラメータを予め除外してから分析パラメータの統合を行うので、機種が異なる自動分析装置間における分析パラメータの更新を容易に行うことができる。
【0051】
なお、上記一実施の形態では、自動分析装置が通常の測定および分析を行う一方で分析パラメータの統合および記憶を行うものとしたが、統合更新部と分析パラメータDBに特化した機能を具備するサーバを自動分析装置とは別に設置し、その両者を通信ネットワークで接続することにより、本発明に係る自動分析装置と同等の構成を実現することも可能である。
【0052】
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置を含むシステムの全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の分析パラメータ共有処理の概要を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の分析パラメータ更新処理の概要を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3、・・・、n 自動分析装置
11 検体移送部
12 試料テーブル
13 反応テーブル
14 試薬テーブル
15 攪拌部
16 測光部
17 洗浄部
18 試料分注部
19 試薬分注部
21 入力部
22 出力部
23 送受信部
24 記憶部
25 制御部
101 測定機構
102 制御分析機構
111 検体容器
112 ラック
121 試料容器
131 反応容器
141 試薬容器
241 分析パラメータデータベース(DB)
251 分析演算部
252 統合更新部
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を反応させることによって前記試料の成分の分析を行う自動分析装置であって、
通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置との情報の送受信を行う送受信手段と、
前記送受信手段で受信する各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行う統合更新手段と、
前記統合更新手段で統合および更新のうち少なくともいずれか一方を行った分析パラメータを記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記統合更新手段は、
前記通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置のうちのいずれかから更新された分析パラメータを受信した場合、この受信した分析パラメータの中から他の自動分析装置と共有する分析パラメータを抽出し、この抽出した分析パラメータを更新するとともに、この更新した分析パラメータを共有する自動分析装置に対して分析パラメータの更新通知を送信することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
試料と試薬を反応させることによって前記試料の成分の分析を行う自動分析装置の分析に必要な分析パラメータを入力する自動分析装置の分析パラメータ入力方法であって、
通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置から各自動分析装置の分析パラメータを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した各自動分析装置の分析パラメータのうち、互いに他の自動分析装置と共有可能な分析パラメータを所定の規則に従って統合する統合ステップと、
を有することを特徴とする自動分析装置の分析パラメータ入力方法。
【請求項4】
前記通信ネットワークを介して接続される複数の自動分析装置のうちのいずれかから更新された分析パラメータを受信した場合、
この受信した分析パラメータの中から他の自動分析装置と共有する分析パラメータを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した分析パラメータを更新するとともに、この更新した分析パラメータを共有する自動分析装置に対して分析パラメータの更新通知を送信する送信ステップと、
を行うことを特徴とする請求項3記載の自動分析装置の分析パラメータ入力方法。
【請求項5】
請求項3または4記載の自動分析装置の分析パラメータ入力方法を当該自動分析装置に実行させることを特徴とする分析パラメータ入力用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−322325(P2007−322325A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154874(P2006−154874)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】