説明

自動分析装置

【課題】試料の分注により生成されるデータの悪化を防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料の吸引及び吐出を行うためのサンプル分注プローブ16と、試料容器17内の試料の液面をこの試料とサンプル分注プローブとの接触により検出する検出器16cと、サンプル分注プローブ16の吸引位置を設定するための分析条件設定画面43と、サンプル分注プローブ16を移動するサンプル分注アーム10と、サンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16bとを備えている。そして、サンプル分注アーム10は検出器16cからの検出信号に基づいてサンプル分注プローブ16を分析条件設定画面43に設定された吸引位置で停止し、洗浄槽16cでは分析条件設定画面43に設定された吸引位置に応じて移動されたサンプル分注プローブ16を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、ヒトから採取した血清などの試料を分注して、その試料に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料及び各検査項目に該当する試薬の混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の光分析器を用いて光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等の分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、各検査項目の分析を行うための校正用の標準試料、検査可能な多数の検査項目の中から検査に応じて設定された検査項目の分析を行う被検試料、各検査項目の分析データの管理を行うための管理試料等がサンプル分注プローブを用いて分注される。そして、被検試料には、被検体から採取された血液、この血液を分離して得られる血清や血漿、尿等がある。
【0004】
ところで、標準試料、被検試料、及び管理試料等の各試料の分注における吸引では、サンプル分注プローブの下端が各試料に接触したときにその液面を検出し、検出した液面から所定の深さに達した位置でサンプル分注プローブを停止させて各試料を吸引する分注方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭62−218818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液面から所定の深さでサンプル分注プローブを停止させる分注方法では、例えば遠心分離機で血液を遠心分離した高速凝固タイプの採血管内の分離された血清の表面層に浮遊する有形成分を吸引して、検査項目成分の乳酸脱水素酵素(LDH)の分析データが突発的に異常高値を示す問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、サンプル分注プローブを所定の深さよりも深い位置で停止させようとすると、サンプル分注プローブの試料と接触する部分が増大するため、サンプル分注プローブに残留する試料の次に分注する試料への汚染が増大する。このため、次の試料に影響を受けやすい検査項目が含まれていると、その検査項目の分析データが悪化する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試料の分注により生成されるデータの悪化を防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、試料及びこの試料の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器から吸引して前記反応容器に吐出して分注を行うための分注プローブと、前記試料容器内の試料の液面を、この試料と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段と、前記試料容器内の試料を吸引する前記分注プローブの吸引位置を設定する吸引位置設定手段と、前記分注プローブを移動して、前記検出手段により検出された検出信号に基づいて前記吸引位置設定手段により設定された吸引位置で停止する分注プローブ移動手段と、前記分注プローブ移動手段により前記吸引位置設定手段により設定された吸引位置に応じた洗浄位置に移動された前記分注プローブを洗浄する洗浄手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サンプル分注プローブの吸引位置を設定し、設定した吸引位置でサンプル分注プローブを停止させることにより、その分注により生成されるデータの悪化を防ぐことができる。また、設定した吸引位置に応じた洗浄位置でサンプル分注プローブを停止させて洗浄することにより、次に分注する試料への汚染を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図11を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料、被検試料、及び各検査項目の管理を行うための管理試料の各試料と各検査項目に該当する試薬との混合液を測定して、標準信号、被検信号、及び管理信号を生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0012】
また、分析部24で生成された標準信号、被検信号、及び管理信号を処理して各検査項目の検量データ、分析データ、及び管理データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データ、分析データ、及び管理データを出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力操作等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0013】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料、被検試料、及び管理試料の各試料を収容した試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ5と、各試料に含まれる検査項目の成分に反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0014】
また、各試料の吸引及び吐出を行うための開口部を下端に有するサンプル分注プローブ16と、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の各試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注ポンプ16aと、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16bと、サンプル分注プローブ16と試料容器17内の各試料の接触によりその液面を検出する検出器16cと、各試料の分注を行うためにサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0015】
そして、検出器16cは、例えば静電容量センサを有し、サンプル分注プローブ16と試料容器17内の各試料間に形成される静電容量の変化から各試料の液面を検出し、検出した信号を分析制御部25に出力する。
【0016】
図3は、各試料の分注の詳細を示した図である。サンプル分注アーム10は、このアームの回動軸を中心として上死点における高さで矢印R1及びR2方向に回動して、各試料の分注を行うためにサンプル分注プローブ16を破線で示した円形の軌道に沿って水平移動する。そして、ディスクサンプラ5に収納された試料容器17内の標準試料の上方である標準試料位置T1、試料容器17内の被検試料の上方である被検試料位置T2、及び試料容器17内の管理試料の上方である管理試料位置T3、反応容器3の上方である反応容器位置T4、及び洗浄槽16bの上方である洗浄槽位置T5の各停止位置で停止する。
【0017】
また、サンプル分注アーム10は、標準試料位置T1、被検試料位置T2、及び管理試料位置T3の各停止位置に停止した試料容器17内の各試料の吸引が可能な吸引位置までサンプル分注プローブ16を下ろす。各試料を吸引した後に、反応容器位置T4に停止した反応容器3内の各試料の吐出が可能な吐出位置までサンプル分注プローブ16を移動する。各試料の分注終了後に、各試料の分注のときに接触したサンプル分注プローブ16の外壁の部分の洗浄が可能な洗浄位置までサンプル分注プローブ16を移動する。
【0018】
サンプル分注ポンプ16aは、標準試料位置T1に停止した試料容器17内の標準試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器位置T4に停止した反応容器3内に吐出する。また、被検試料位置T2に停止した試料容器17内の被検試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器位置T4に停止した反応容器3内に吐出する。更に、管理試料位置T3に停止した試料容器17内の管理試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器位置T4に停止した反応容器3内に吐出する。
【0019】
図2の分析部24は、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を第1試薬分注プローブ14内に吸引して各試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注ポンプ14aと、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14bと、第1試薬の分注を行うために第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0020】
また、反応容器3内に分注された各試料及び第1試薬からなる第1混合液を撹拌するための第1撹拌子18と、第1混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aと、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20とを備えている。
【0021】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を第2試薬分注プローブ15内に吸引して各試料及び第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注ポンプ15aと、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15bと、第2試薬の分注を行うために第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0022】
また、反応容器3内に分注された各試料、第1試薬、及び第2試薬からなる第2混合液を撹拌するための第2撹拌子19と、第2混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aと、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、反応容器3内の第1混合液や第2混合液を光学的に測定する測光ユニット13と、反応容器3内の測定を終えた第1混合液や第2混合液を吸引した後に、反応容器3内を洗浄する洗浄ユニット12とを備えている。
【0023】
そして、測光ユニット13は、回転移動する反応容器3内の標準試料を含む第1混合液や第2混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して電気信号に変換した標準信号を生成する。また、反応容器3内の被検試料を含む第1混合液や第2混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して電気信号に変換した被検信号を生成する。更に、反応容器3内の管理試料を含む第1混合液や第2混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して電気信号に変換した管理信号を生成する。そして生成した標準信号、被検信号、及び管理信号をデータ処理部30に出力する。また、測定後の反応容器3は、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0024】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構部26、及びこの機構部26を制御して分析部24の各分析ユニットを作動させる制御部27を備えている。そして、機構部26は、分析部24のディスクサンプラ5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。
【0025】
また、機構部26は、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構、並びにサンプル分注ポンプ16a、第1試薬分注ポンプ14a、及び第2試薬分注ポンプ15aを夫々吸引及び吐出駆動する機構等を備えている。
【0026】
制御部27は、機構部26のサンプル分注アーム10の駆動機構を制御する制御回路を備え、サンプル分注アーム10の駆動機構の制御によりサンプル分注プローブ16を移動させる。
【0027】
図4は、サンプル分注プローブ16で試料の吸引が可能な吸引位置を示した図である。制御部27は、各試料の分注における吸引では、分析部24の検出器16cから出力される検出信号に基づいて、試料容器17内の試料の吸引が可能な吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0028】
そして、図4(a)に示すように、サンプル分注プローブ16の下端が試料容器17内の試料の液面から例えば数mmの距離L1下方の表面層に位置する第1の吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0029】
また、図4(b)に示すように、サンプル分注プローブ16の下端が試料容器17内の試料の液面から距離L1よりも長い距離L2下方に位置し、表面層よりも深い位置である第2の吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0030】
更に、図4(c)に示すように、サンプル分注プローブ16の下端が試料容器17内の試料の液面から距離L2よりも長い距離L3下方に位置する第3の吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0031】
このように、サンプル分注プローブ16を各試料の吸引が可能な第1乃至第3の吸引位置に停止させることができる。
【0032】
図5は、サンプル分注プローブ16の洗浄が可能な洗浄位置を示した図である。制御部27は、サンプル分注プローブ16を第1の吸引位置以外で停止させたことのない試料の分注終了後における洗浄では、図5(a)に示すように、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接触した距離L1の部分のみの洗浄が可能なように、洗浄槽位置T5の下方に位置する第1の吸引位置に応じた第1の洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0033】
そして、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接触した距離L1の部分を洗浄槽16b内に供給される洗浄液で洗浄する。また、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内の試料の吸引及び吐出に用いた液体の圧力伝達媒体を洗浄液として排出して、サンプル分注プローブ16の内壁を洗浄する。
【0034】
また、サンプル分注プローブ16を第3の吸引位置以外の第2の吸引位置を含む吸引位置で停止させたことのある試料の分注終了後における洗浄では、図5(b)に示すように、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接した距離L2の部分のみの洗浄が可能なように、サンプル分注プローブ16の下端が第1の洗浄位置よりも距離L2から距離L1を差し引いた距離(L2−L1)下方に位置する第2の吸引位置に応じた第2の洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0035】
そして、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接触した距離L2の部分を洗浄槽16b内に供給される洗浄液で洗浄する。また、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内の試料の吸引及び吐出に用いた圧力伝達媒体を排出してサンプル分注プローブ16の内壁を洗浄する。
【0036】
更に、サンプル分注プローブ16を第3の吸引位置を含む吸引位置で停止させたことのある試料の分注終了後における洗浄では、図5(c)に示すように、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接した距離L3の部分のみの洗浄が可能なように、サンプル分注プローブ16の下端が第1の洗浄位置よりも距離L3から距離L1を差し引いた距離(L3−L1)下方に位置する第3の吸引位置に応じた第3の洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0037】
そして、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接触した距離L3の部分を洗浄槽16b内に供給される洗浄液で洗浄する。また、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内の試料の吸引及び吐出に用いた圧力伝達媒体を排出してサンプル分注プローブ16の内壁を洗浄する。
【0038】
なお、サンプル分注プローブ16を洗浄する部分の面積が増えるほど、サンプル分注プローブ16の外壁に付着した洗浄液が次の試料を収容した試料容器17内に混入して、その試料が洗浄液で希釈される恐れがあるので、サンプル分注プローブ16が試料と接触した部分に限定して洗浄が行われる。
【0039】
このように、各試料の分注における吸引位置に応じた洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させることにより、サンプル分注プローブ16の外壁の試料と接触した部分を洗浄することが可能となり、その試料の次の試料への汚染を低減することができる。
【0040】
図1のデータ処理部30は、分析部24の測光ユニット13から出力された標準信号、被検信号、及び管理信号データを処理して各検査項目の検量データ、分析データ、及び管理データの各データの生成を行う演算部31と、演算部31で生成された各データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0041】
演算部31は、測光ユニット13から出力された標準信号及び予め設定された標準試料の標準値から、各検査項目成分の濃度値や活性値と標準信号の関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0042】
また、測光ユニット13から出力された被検信号に対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。次いで読み出した検量データを用いてその被検信号から濃度値や活性値として表される分析データを生成し、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0043】
更に、測光ユニット13から出力された管理信号に対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。次いで読み出した検量データを用いてその管理信号から濃度値や活性値として表される管理データを生成する。また、生成した複数の管理データを検査項目毎に統計処理して平均値、標準偏差等の精度管理データを生成する。そして、生成した管理データや精度管理データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0044】
データ記憶部32は、ハードディスクなどを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。更に、演算部31から出力された各検査項目の管理データや精度管理データを検査項目毎に保存する。
【0045】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データ、分析データ、管理データ、及び精度管理データの各データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された各データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0046】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された各データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能とする検査項目の分析条件を設定するための複数の分析条件設定画面、被検試料毎にこの被検体の検査項目を含む被検体情報を設定するための複数の第1乃至第nの検査項目設定画面、試料毎にサンプル分注プローブ16の吸引位置を設定するための吸引位置設定画面等を表示する。
【0047】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析条件の設定、被検試料毎の被検体情報の設定、試料毎の吸引位置の設定等を行うための入力操作を行う。
【0048】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50から入力されたコマンド信号、各検査項目の分析条件、各被検体の被検体情報、各試料の吸引位置の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0049】
次に、図1乃至図10を参照して、分析部24で標準試料、被検試料、及び管理試料の各試料を分注する分注動作の概略を説明する。図6は、表示部42に表示された分析条件設定画面の一例を示す図である。図7乃至図9は、表示部42表示された第1乃至第3の検査項目設定画面の一例を示す図である。図10は、表示部42に表示された吸引位置設定画面の一例を示す図である。
【0050】
図6において、この分析条件設定画面43は、検査項目を設定する「項目」の欄、「項目」の欄に設定された検査項目の分析を行うために反応容器3に吐出する各試料の量を設定する「サンプル量」の欄、「項目」の欄に設定された検査項目の分析を行う被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を設定する「吸引位置」の欄、及び「項目」の欄に設定された検査項目に該当する試薬を設定する「試薬」の欄等により構成される。そして、操作部50からの入力操作により、各欄に設定された各分析条件の情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0051】
「項目」の欄に、検査項目を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス431内に例えば乳酸脱水素酵素である「LDH」が表示される。
【0052】
「サンプル量」の欄に、反応容器3内に吐出する各試料の量として例えば3μLを設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス432内に「3.0」が表示される。
【0053】
「吸引位置」の欄には、被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、図4に示した第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。そして、ダイアログボックス433内にはデフォルトとして設定された第1の吸引位置である「タイプ1」が表示されている。
【0054】
ここで、「項目」の欄に設定された検査項目が「LDH」で、且つ遠心分離機で血液が遠心分離された高速凝固タイプの採血管を試料容器17として用いる場合、その採血管内の分離された血清の分析データを悪化させる可能性がある表面層よりも深い位置でサンプル分注プローブ16の下端を停止させる第2の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス433内に「タイプ2」が表示される。
【0055】
なお、試料容器17内の被検試料を表面層から吸引しても「項目」の欄に設定した検査項目の分析データが悪化する可能性がない検査項目に対しては、第1の吸引位置を設定する。この第1の吸引位置では、「サンプル量」の欄に設定可能な最大量の試料を反応容器3内に吐出するために、サンプル分注プローブ16内に吸引する必要がある量の試料の吸引が可能な最も液面に近い位置にサンプル分注プローブ16の下端が位置する。
【0056】
このように、被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、検査項目毎に設定することができる。
【0057】
「試薬」の欄は、「項目」の欄に設定した検査項目の第1及び第2試薬を収容する試薬容器6,7を収納した第1及び第2試薬庫1,2の収納位置を設定する「第1試薬の位置」及び「第2試薬の位置」の欄と、「第1試薬の位置」及び「第2試薬の位置」の欄に設定された収納位置の第1及び第2試薬を反応容器3内に吐出する量を設定する「第1試薬量」及び「第2試薬量」の欄とにより構成される。
【0058】
「第1試薬の位置」の欄に、「項目」の欄に設定された「LDH」における2試薬系の第1試薬を収納する位置を入力する操作が行われると、ダイアログボックス434内に第1試薬庫1の収納位置である「1A1」が表示される。また、「第2試薬の位置」の欄に、「項目」の欄に設定した「LDH」における2試薬系の第2試薬を収納する位置を入力する操作が行われると、ダイアログボックス435内に第2試薬庫2の収納位置である「2A1」が表示される。
【0059】
「第1試薬量」の欄に、「第1試薬の位置」の欄に設定された第1試薬を反応容器3内に吐出する量として例えば150μLを設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス436内に「150」が表示され、「第2試薬量」の欄に、「第2試薬の位置」の欄に設定された第2試薬を反応容器3内に吐出する量として例えば50μLを設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス437内に「50」が表示される。
【0060】
図7は、表示部42に表示された第1の検査項目設定画面の一例を示した図である。この第1の検査項目設定画面44は、被検体を識別する識別情報を設定する「被検体ID」の欄と、「被検体ID」の欄に設定された識別情報で識別される被検体から採取された被検試料の種別を設定する「サンプルの種別」の欄と、「被検体ID」の欄に設定された識別情報で識別される被検試料を収容した試料容器17を収納するディスクサンプラ5の収納位置を設定する「位置」の欄とにより構成される。
【0061】
また、表示部42の複数の分析条件設定画面で分析条件が設定された検査項目の内、「被検体ID」の欄に設定された識別情報で識別される被検体の検査を行うための検査項目を設定する「項目」の欄により構成される。そして、操作部50からの入力操作により、各欄に設定された被検体情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0062】
「被検体ID」の欄に、被検体の識別情報を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス441内に識別情報である例えば「1」が表示される。
【0063】
「サンプルの種別」の欄に、被検試料の種別である例えば「血清」、「血漿」、「尿」等の中から1つを選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス442内に例えば「血清」が表示される。
【0064】
「位置」の欄に収納位置を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス443内に収納位置である「P1」が表示される。
【0065】
「項目」の欄に、図6に示した分析条件設定画面43の「項目」の欄に設定された検査項目である「LDH」や、表示部42の他の分析条件設定画面で設定された検査項目である例えば「項目A」及び「項目B」等が表示される。そして、この欄に表示された検査項目の中から「被検体ID」の欄に設定された「1」で識別される被検試料の検査項目を選択設定する入力操作が行われると、選択された例えば「LDH」が識別して表示される。
【0066】
図8は、表示部42に表示された第2の検査項目設定画面の一例を示した図である。この第2の検査項目設定画面44aは、図7に示した第1の検査項目設定画面44と同様に、「被検体ID」、「サンプルの種別」、「位置」、及び「項目」の欄により構成される。そして、操作部50からの入力操作により、各欄に設定された被検体情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0067】
「被検体ID」の欄に、被検体の識別情報を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス441a内に識別情報である「2」が表示され、「サンプルの種別」の欄に、被検試料の種別を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス442a内に例えば「血漿」が表示される。
【0068】
また、「位置」の欄に収納位置を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス443a内に収納位置である「P2」が表示され、「項目」の欄に表示された検査項目の中から選択設定する入力操作が行われると、例えば「項目A」が識別して表示される。
【0069】
図9は、表示部42に表示された第3の検査項目設定画面の一例を示した図である。この第3の検査項目設定画面44bは、図7に示した第1の検査項目設定画面44と同様に、「被検体ID」、「サンプルの種別」、「位置」、及び「項目」の欄により構成される。そして、操作部50からの入力操作により、各欄に設定された被検体情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0070】
「被検体ID」の欄に、被検体の識別情報を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス441b内に識別情報である「3」が表示され、「サンプルの種別」の欄に被検試料の種別を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス442b内に例えば「血清」が表示される。
【0071】
また、「位置」の欄に収納位置を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス443b内に収納位置である「P3」が表示され、「項目」の欄に表示された検査項目の中から選択設定する入力操作が行われると、例えば「項目B」が識別して表示される。
【0072】
図10は、表示部42に表示された吸引位置設定画面の一例を示した図である。この吸引位置設定画面45は、サンプル分注プローブ16の吸引位置を試料の種別毎に設定する「標準試料」、「管理試料」、「血清」、「血漿」、「尿」等の欄により構成される。そして、操作部50からの入力操作により、各欄に設定された試料の種別毎の吸引位置の情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0073】
「標準試料」の欄には、標準試料の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。そして、試料容器17内の標準試料を表面層から吸引すると、全ての検査項目に亘って検量データが悪化する可能性がある場合、その原因に応じて第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。また、全ての検査項目に亘って検量データが悪化する可能性がない場合に第1の吸引位置を設定する。ここでは、第1の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス451内に「タイプ1」が表示される。
【0074】
「管理試料」の欄には、管理試料の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。そして、試料容器17内の管理試料を表面層から吸引すると、全ての検査項目に亘って管理データが悪化する可能性がある場合、その原因に応じて第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。また、全ての検査項目に亘って管理データが悪化する可能性がない場合に第1の吸引位置を設定する。ここでは、第1の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス452内に「タイプ1」が表示される。
【0075】
「血清」の欄には、被検試料である血清の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。そして、試料容器17内の血清を表面層から吸引すると、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がある場合、その原因に応じて第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。また、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がない場合に第1の吸引位置を設定する。ここでは、第1の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス453内に「タイプ1」が表示される。
【0076】
なお、特定の検査項目の分析データが悪化する可能性がある場合には、図6の分析条件設定画面43に示したように、分析データが悪化する可能性がある検査項目の分析条件設定画面の「吸引位置」の欄に第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。
【0077】
「血漿」の欄には、被検試料である血漿の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。そして、試料容器17内の血漿を表面層から吸引すると、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がある場合、その原因に応じて第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。また、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がない場合に第1の吸引位置を設定する。
【0078】
ここでは、血漿の表面層に例えばフィブリンが発生する可能性があり、その血漿を表面層から吸引すると、必要量の血清を吸引することができない可能性がある場合に例えば第3の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス454内に「タイプ3」が表示される。
【0079】
「尿」の欄には、被検試料である尿の分注におけるサンプル分注プローブ16の吸引位置を、第1の吸引位置、第2の吸引位置、及び第3の吸引位置等の中から1つを選択して設定する。
【0080】
そして、試料容器17内の尿を表面層から吸引すると、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がある場合、その原因に応じて第2の吸引位置、第3の吸引位置等を設定する。また、全ての検査項目に亘って分析データが悪化する可能性がない場合に第1の吸引位置を設定する。ここでは、第1の吸引位置を選択設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス455内に「タイプ1」が表示される。
【0081】
このように、サンプル分注プローブ16の吸引位置を、試料の種別毎に設定することができる。
【0082】
以下、図1乃至図11を参照して、分析部24で各試料を分注する動作の一例を説明する。
図11は、被検試料の分注工程を示したフローチャートである。この分注工程S10は、サンプル分注アーム10の動作により実行されるステップS11,S13,S15,S16,S17,S19,S20,S21,S23、サンプル分注ポンプ16aの動作により実行されるステップ12,S14,S18,S22、及び洗浄槽16bで実行されるS22により構成される。なお、標準試料及び管理試料も被検試料と同様のステップで分注が行われる。
【0083】
ここでは、図7に示した第1の検査項目設定画面44の「被検体ID」の欄に設定された「1」で識別される被検試料を分注する例を説明する。第1の検査項目設定画面44の「項目」の欄には「LDH」のみが設定されているので、「1」の被検試料の分注は1回行われる。なお、複数の検査項目が設定されていると、設定された検査項目の種類に応じた回数の分注が行われることになる。
【0084】
サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16をホームポジションである洗浄槽位置T5から被検試料位置T2へ移動する(ステップS11)。
【0085】
サンプル分注プローブ16の移動に並行して、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内に所定量の空気を吸引する(ステップS12)。
【0086】
サンプル分注プローブ16内への空気の吸引後、サンプル分注アーム10は、「LDH」の分析条件が設定された図6の分析条件設定画面43の「吸引位置」の欄に設定された「タイプ2」の情報に基づいて、サンプル分注プローブ16を下へ移動して、被検試料位置T2に停止した試料容器17内の被検試料の吸引が可能な第2の吸引位置で停止する(ステップS13)。
【0087】
1回目の被検試料の分注における吸引では、サンプル分注ポンプ16aは、分析に使用しないダミーの被検試料を吸引した後、分析条件設定画面43の「サンプル量」の欄に設定された3.0μLの被検試料を吸引する(ステップS14)。
【0088】
このように、試料容器17内の被検試料の分析データを悪化させる可能性がある吸引位置よりも深い吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させて、その被検試料を吸引させることにより、分析データの悪化を防ぐことができる。
【0089】
なお、図8に示した第2の検査項目設定画面44aの「被検体ID」の欄に設定された「2」で識別される被検試料は、「サンプルの種別」の欄に「血漿」が設定され、図10に示した吸引位置設定画面45の「血漿」の欄には「タイプ3」が設定されている。このため、「2」の被検試料の分注における吸引では、サンプル分注プローブ16を第3の吸引位置で停止する。
【0090】
このように、試料容器17内の被検試料の分析データを悪化させる可能性がある吸引位置よりも深い吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させて、その被検試料を吸引させることにより、分析データの悪化を防ぐことができる。
【0091】
また、図9に示した第3の検査項目設定画面44bの「被検体ID」の欄に設定された「3」で識別される被検試料は、「サンプルの種別」の欄に「血清」が設定され、吸引位置設定画面45の「血清」の欄に「タイプ1」が設定されている。このため、「3」の被検試料の分注における吸引では、サンプル分注プローブ16を第1の吸引位置で停止する。
【0092】
このように、試料容器17内の被検試料の分析データを悪化させる可能性がない場合、第1の吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させて、その被検試料を吸引させることにより、次に分注される被検試料への汚染を低減することができる。
【0093】
1回目の被検試料の分注における吸引後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を被検試料位置T2へ移動する(ステップS15)。
【0094】
被検試料位置T2へ移動した後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を反応容器位置T4へ移動する(ステップS16)。
【0095】
反応容器位置T4へ移動した後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を反応容器位置T4に停止した反応容器3内の吐出位置で停止する(ステップS17)。
【0096】
1回目の被検試料の分注における吐出では、サンプル分注ポンプ16aは、反応容器3内にサンプル分注プローブ16内の3.0μLの被検試料を吐出する(ステップS18)。
【0097】
被検試料の吐出後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を反応容器位置T4へ移動する(ステップS19)。
【0098】
反応容器位置T4へ移動した後、サンプル分注アーム10は、「1」の被検試料の分注を終了したサンプル分注プローブ16を洗浄するために洗浄槽位置T5へ移動する(ステップS20)。
【0099】
洗浄槽位置T5へ移動した後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を下へ移動して、洗浄槽16bの第2の吸引位置に応じた第2の洗浄位置で停止する(ステップS21)。
【0100】
第2の洗浄位置へ移動した後、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内の空気及びダミーの被検試料を排出した後、サンプル分注プローブ16の内壁を洗浄する。また、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の被検試料と接触した距離L2の部分を洗浄する(ステップS22)。
【0101】
洗浄した後に、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を次の分注に備えて洗浄槽位置T5に移動する(ステップS23)。
【0102】
なお、図8に示した第2の検査項目設定画面44aの「被検体ID」の欄に設定された「2」で識別される被検試料の分注終了後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を洗浄槽16bの第3の吸引位置に応じた第3の洗浄位置で停止する。そして、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の被検試料と接触した距離L3の部分を洗浄する。
【0103】
また、図9に示した第3の検査項目設定画面44bの「被検体ID」の欄に設定された「3」で識別される被検試料の分注終了後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を洗浄槽16bの第1の吸引位置に応じた第1の洗浄位置で停止する。そして、洗浄槽16bでは、サンプル分注プローブ16の外壁の被検試料と接触した距離L1の部分を洗浄する。
【0104】
このように、各試料の分注における吸引位置に応じた洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させて洗浄することにより、その試料の次の試料への汚染を低減することができる。
【0105】
以上述べた本発明の実施例によれば、サンプル分注プローブ16の吸引位置を検査項目毎に設定し、その検査項目の分析データを悪化させる可能性がある吸引位置よりも深い吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させることにより、その検査項目の分析データの悪化を防ぐことができる。
【0106】
また、サンプル分注プローブ16の吸引位置を試料の種別毎に設定し、その種別の試料の分注により生成されるデータを悪化させる可能性がある吸引位置よりも深い吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させることにより、その試料のデータの悪化を防ぐことができる。
【0107】
更に、試料の分注により生成されるデータを悪化させる可能性がない場合、第1の吸引位置でサンプル分注プローブ16を停止させることにより、次に分注される被検試料への汚染を低減することができる。
【0108】
更にまた、各試料の分注における吸引位置に応じた洗浄位置でサンプル分注プローブ16を停止させて洗浄することにより、その試料の次の試料への汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る各試料の分注の詳細を示す図。
【図4】本発明の実施例に係るサンプル分注プローブで試料の吸引が可能な吸引位置を示す図。
【図5】本発明の実施例に係るサンプル分注プローブの洗浄が可能な洗浄位置を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示された分析条件設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示された第1の検査項目設定画面の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る表示部に表示された第2の検査項目設定画面の一例を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る表示部に表示された第3の検査項目設定画面の一例を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る表示部に表示された吸引位置設定画面の一例を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る被検試料の分注工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0110】
3 反応容器
4 反応ディスク
5 ディスクサンプラ
10 サンプル分注アーム
16 サンプル分注プローブ
16a サンプル分注ポンプ
16b 洗浄槽
16c 検出器
17 試料容器
24 分析部
25 分析制御部
26 機構部
27 制御部
30 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及びこの試料の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器から吸引して前記反応容器に吐出して分注を行うための分注プローブと、
前記試料容器内の試料の液面を、この試料と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段と、
前記試料容器内の試料を吸引する前記分注プローブの吸引位置を設定する吸引位置設定手段と、
前記分注プローブを移動して、前記検出手段により検出された検出信号に基づいて前記吸引位置設定手段により設定された吸引位置で停止する分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブ移動手段により前記吸引位置設定手段により設定された吸引位置に応じた洗浄位置に移動された前記分注プローブを洗浄する洗浄手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記吸引位置設定手段は、前記試料の分注により生成されるデータを悪化させる可能性がある吸引位置よりも深い位置に設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記吸引位置設定手段は、前記検査項目毎に前記分注プローブの吸引位置を設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記吸引位置設定手段は、前記試料の種別毎に前記分注プローブの吸引位置を設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記試料容器内の試料の分注終了後に、前記分注プローブの前記試料と接触した部分を洗浄するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−60522(P2010−60522A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228914(P2008−228914)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】