説明

自動分析装置

【課題】反応過程の異常の発生が装置に起因するものか、試料等に起因するものかを容易に判別することが可能となる自動分析装置を提供する。
【解決手段】反応容器に試料を分注する試料分注ステップ、前記試料の入った前記反応容器に試薬を分注し反応液を生成する試薬分注ステップ、及び、前記反応液を攪拌する攪拌ステップを含む各ステップを実行する分注手段と、前記各ステップ毎に、前記反応容器内の液体の状態の画像を取得する画像取得部と、前記各ステップ毎に前記反応容器内の液体の吸光度を測定する測定部と、表示の指示を受けて、前記各ステップに関連付けて、前記各ステップ毎に測定された前記液体の吸光度、及び、前記各ステップ毎に取得された前記液体の状態の画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動分析装置に関し、特に、反応容器にそれぞれ分注された試料と試薬との反応液の吸光度を測定する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動分析装置としては、例えば、血液、尿などの生体サンプルが含有する特定成分の定性・定量分析を自動で行う装置がある。そのうち生化学自動分析装置は、試料と試薬の反応による反応液の吸光度を光度計により測定し、測定された吸光度を、予め求められた吸光度−濃度曲線に基づいて濃度に換算している。吸光度−濃度曲線(検量線)は、濃度既知の標準液の吸光度を、異なる濃度で測定することによって作成される。反応過程の異常を検出する手段として、吸光度や濃度の閾値を予め設け、測定された吸光度や濃度が閾値を超えると、アラームを発生させる手段がある。反応過程の異常を検出した場合、反応モニタに表示された反応液の画像情報を基に発生原因を推測している。
【0003】
また、従来の自動分析装置には、例えば、患者検体の反応過程の異常が発生したとき、その測定に該当する標準液や精度管理試料の反応過程を検索して、患者検体の反応過程と同時に表示するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の自動分析装置では、反応モニタに表示された反応液の画像情報のみでは、反応過程の異常が発生した時の詳細情報を明確に把握することができず、異常試料に対して確実な対処ができない場合がある。特に、試料や試薬の分注の具合、反応液の攪拌の度合いなどの装置に起因するものであるか、又は、試料の粘性、試薬の粘性や泡立ち易さなどに起因するものなのかを判別することが困難であった。反応過程の異常の発生が、例えば、装置に起因するものとして推定した場合、試験的な再現などを行わなければならず、必ず満足する結果が得られるとは限らないという問題点があった。
【0006】
前記公報に記載された後者の自動分析装置では、前記標準液等の反応過程と患者検体の反応過程とを比較することにより、反応過程の異常の程度を把握することが可能となるが、前者と同様に、反応過程の異常の発生が装置に起因するものか、試料等に起因するものかを判別することに困難を伴うという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、試料と試薬との反応液における反応過程の異常の把握をより確実に行うことを可能とする自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、反応過程において、反応過程における各ステップ毎に、取得された反応容器内の液体の状態の画像を基に、反応過程の異常の発生が装置に起因するものか、試料等に起因するものかを容易に判別することが可能となることに着目した。
具体的に、この発明の第1の形態は、反応容器に試料を分注する試料分注ステップ、前記試料の入った前記反応容器に試薬を分注し反応液を生成する試薬分注ステップ、及び、前記反応液を攪拌する攪拌ステップを含む各ステップを実行する分注手段と、前記各ステップ毎に、前記反応容器内の液体の状態の画像を取得する画像取得部と、前記各ステップ毎に前記反応容器内の液体の吸光度を測定する測定部と、表示の指示を受けて、前記各ステップに関連付けて、該各ステップ毎に測定された前記液体の吸光度、及び、前記各ステップ毎に取得された前記液体の状態の画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、試料と試薬との反応液における反応過程の異常の把握をより確実に行うことが可能となる。
また、この発明の第1の形態によると、各ステップに関連付けて、各ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を表示させたので、反応過程において異常が発生した反応容器内の液体とその液体の状態の画像と対比させて見ることが容易となる。
さらに、この発明の第2の形態によると、反応過程において異常が発生した場合のみ、ステップ毎に取得された液体の状態の画像を不揮発性の補助記憶部に記憶させるので、補助記憶部の記憶領域を有効に活用することが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、反応過程において異常が発生した場合のみ、ステップ毎に取得された液体の状態の画像を表示させた上、さらに、不揮発性の補助記憶部に記憶させるので、反応容器における異常を視覚化することが可能となる上に、補助記憶部の記憶領域を有効に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態に係る自動分析装置の構成ブロック図である。
【図2】自動分析装置の全体平面図である。
【図3】反応ライン及び画像取得部等を示す平面図である。
【図4】自動分析装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【図5】試料分析の一連の動作を示すフローチャートである。
【図6】分析結果出力の一連の動作を示すフローチャートである。
【図7】各測定ステップで測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得されたその液体の状態の画像を示す図である。
【図8】設定画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の一実施形態に係る自動分析装置について図1から図8を参照して説明する。図1は、自動分析装置の構成ブロック図、図2は、自動分析装置の全体平面図、図3は反応ライン及び画像取得部等を示す平面図、図4は自動分析装置の一連の動作を示すフローチャート、図5は試料分析の一連の動作を示すフローチャート、図6は分析結果報告の一連の動作を示すフローチャートである。
【0012】
自動分析装置は、分注された試料を測定する試料分析ステップ、及び、予め定められた条件を満たした場合に試料の分析結果を出力する分析結果出力ステップを実行する。試料分析ステップ及び分析結果出力ステップを図4にステップS101及びステップS102として示す。
【0013】
試料分析ステップ及び分析結果出力ステップを実行するために自動分析装置10は、図1〜図3に示すように、試料(生体サンプル)を収容する試料容器(図示省略)、試料容器を並べて載置する試料庫11、試薬を収容する試薬容器(図示省略)、試薬容器を並べて載置する試薬庫12、反応容器131、反応容器131を並べて載置する反応庫13、分注手段20、画像取得部31、測定部32、補助記憶部33、操作部34、表示部40、制御部50を有する。
【0014】
以上のように構成された自動分析装置10は、試料分析ステップとして、試料を反応容器131に分注する試料分注ステップ、試料を入れた反応容器131に試薬を分注し反応液を生成する試薬分注ステップ、反応容器131内の反応液を攪拌する攪拌ステップ、各ステップ毎の反応容器内の液体の状態の画像を取得する画像取得ステップ、及び、各ステップ毎の反応容器131内の液体の吸光度を測定する測定ステップを含む各テップを実行する。
【0015】
なお、この実施形態においては、試料分析ステップとして、攪拌ステップを試薬分注ステップの後にのみ設けたが、試料分注ステップの後にも設けても良い。また、試料分析ステップは上記各ステップの他に、希釈サンプル吸引ステップ、電極吸引ステップ、及び、洗浄乾燥ステップを含むが、以下の説明では、希釈サンプル吸引ステップ等の説明を省略する。
【0016】
また、自動分析装置10は、分析結果出力ステップとして、分析結果表示ステップ、分析結果記憶ステップ、及び、分析結果消去ステップを含む各ステップを実行する。試料分析ステップを図5にステップS201〜ステップS214で示す。分析結果出力ステップを図6にステップS301〜ステップS306で示す。
【0017】
複数の反応容器131、及び、各反応容器131を円周方向に並べた状態で載置する反応ライン132を図3に示す。自動分析装置10は、図3に破線で示した円周の6時の位置で試料分注ステップを実行し、円周の10時の位置で第1試薬分注ステップを実行し、円周の8時の位置で第2試薬分注ステップを実行し、円周の12時の位置で攪拌ステップを実行し、円周の9時の位置で画像取得ステップを実行し、円周の3時の位置で、測定ステップを実行する。なお、試料分注ステップから測定ステップまでの各ステップを実行する位置は、これらの位置に限定するものではない。特に、第1試薬分注ステップの実行位置と、第2試薬分注ステップの実行位置を、9時の位置を挟んで互いに接近した位置に設けるようにしても良い。
【0018】
分注手段20は、試料アーム21、試薬アーム22、及び、攪拌部23を有する。分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を周回させるものであって、試料分注ステップから第1試薬分注ステップに移る場合、第1試薬ステップから第2試薬ステップに移る場合、及び、第2試薬ステップから攪拌ステップに移る場合、反応容器131を1周を超える移動量で周回させる。ここで、「1周を超える移動量」とは、1以上の周に、例えば試料分注ステップの実行位置(前ステップ実行位置)から第1試薬分注ステップの実行位置(後ステップ実行位置)までの周方向の長さを加算した移動量をいう。
【0019】
画像取得部31は、例えばCCDカメラであって、反応容器131を周回させる軌道に沿った位置に1つ設けられている。画像取得部31は、撮影範囲の中心を9時の位置に設定し、9時の位置を通過する各反応容器131内の液体の状態の画像を撮影する。制御部50は、撮影された反応容器131内の液体の状態の画像を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。反応容器131にはバーコードが付され、制御部50はバーコードにより反応容器131を識別する。カメラヘッドを9時の位置を向けた画像取得部31を図3に示す。
【0020】
反応容器131を前ステップ実行位置から後ステップ実行位置に移動させるとき、反応容器131を1周を超える移動量で周回させるため、反応容器131は、前ステップ実行位置から必ず9時の位置を通過して後ステップ実行位置に移動するため、画像取得部31は、各ステップ毎に反応容器131内の液体の状態の画像を取得可能となる。
【0021】
測定部32は、各ステップ毎に反応容器131内の液体の吸光度を測定する。測定部32は、反応容器131に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。制御部50は、測定された反応容器131内の液体の吸光度を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。すなわち、制御部50は、反応容器131を基準として、各ステップに関連付けて、各ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を主記憶部52に記憶させる。
【0022】
ここで、「反応容器内の液体」とは、試料分注ステップにおいては試料をいい、試薬分注ステップ及び攪拌ステップにおいては、試料と試薬との反応液をいう。また、測定ステップにおいては、液体として試料及び反応液の各吸光度を測定する。画像取得ステップにおいては、液体として試料及び反応液の各状態の画像を取得する。
【0023】
制御部50は、表示制御部51、主記憶部52、駆動制御部53、及び、濃度換算部54を有し、表示制御部51は、測定された反応容器131内の液体の吸光度が予め定められた値を超えた場合、各ステップに関連付けて、各ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を表示部40に表示させる。濃度換算部54は、測定された液体の吸光度を「吸光度−濃度曲線」を基に濃度に換算する。
【0024】
次に、試料分析ステップの詳細について図5を参照して説明する。以下の説明においては、複数の反応容器131の中の特定の反応容器131を代表して説明し、その他の反応容器131については、特定の反応容器131と同様な構成及び動作を有するので、その説明を省略する。
【0025】
試料分析ステップにおいて、最初に、制御部50が測定予定の試料であるか否かを判断する(ステップS201)。制御部50は、例えば、試料容器及び反応容器131にそれぞれ付された識別情報(バーコード)を基に、測定予定の試料、及び、反応容器131を判別する。測定予定の試料でない場合(ステップS201;N)、最後の試料であるか否かの判断、又は、試料分析の終了指示の有無か否かの判断(ステップS214)に移る。測定予定の試料ある場合(ステップS201;Y)、試料分注ステップ(S202)に移る。
【0026】
(試料分注ステップ:S202)
試料分注ステップを実行するために自動分析装置10は、試料アーム21と、試料プローブ(図示省略)と、試料プローブを下降及び上昇させる試料プローブ駆動部(図示省略)と、試料プローブにより、試料を吸引及び吐出させるためのポンプ(図示省略)と、電磁弁(図示省略)と、電磁弁を駆動させるアクチュエータとを有する試料吸排部を有している。
【0027】
また、試料庫11は、複数の試料容器を円周方向に並べた状態で載置するディスクサンプラ111と、試料ラックを円周方向に回転させることにより、複数の試料容器を順番に吸引位置に搬送するステッピングモータを含む試料庫用駆動部(図示省略)とを有する。さらに、試料容器を載置するものとしては、5本程度の試料容器を並べられて載置するラックトレイ112と、複数の試料容器を直線方向に並べた状態で載置するラックサンプラ113とを有する。
【0028】
さらに、反応庫13は、複数の反応容器131を円周方向に並べた状態で載置する反応ライン132と、反応ライン132を反時計方向に回転させることにより、複数の反応容器131を円周方向に移動(周回)させるステッピングモータを含む反応庫用駆動部(図示省略)とを有する。
【0029】
試料分注ステップにおいては、試料アーム21を移動させて、試料プローブを待機位置から吸引位置に移動させると、試料プローブ駆動部が試料プローブを下降させる。電磁弁が作動して、試料プローブにより所定の試料容器から試料を吸引させる。
【0030】
次に、電磁弁が作動し、試料プローブ駆動部が試料プローブを上昇させる。試料アーム21を移動させて、試料プローブを吸引位置から吐出位置(図3に示す6時の位置)に移動させると、試料プローブ駆動部が試料プローブを下降させる。また、所定の反応容器131を6時の位置に移動させる。電磁弁が作動して、試料プローブにより所定の反応容器131に試料を吐出させる。次に、電磁弁が作動し閉じ、試料プローブ駆動部が試料プローブを上昇させる。試料アーム21を移動させて、試料プローブを吐出位置から待機位置に移動させる。
【0031】
以上により、試料分注ステップ(S202)を終了する。次に、試料分注画像取得ステップ(S203)に移る。
【0032】
(試料分注画像取得ステップ:S203)
反応容器131を試料分注ステップの実行位置(図3に示す6時の位置)から反時計方向に周回させ、画像取得部31の撮影範囲の中心が設けられた位置(図3に示す9時の位置)に移動させる。画像取得部31は、9時の位置を通過する反応容器131内の液体の状態の画像を連続的に撮影する。なお、反応容器131が停止したタイミングで画像を取得することが好ましい。以下の画像取得ステップにおいても同様である。制御部50は、試料分注後に撮影された液体の状態の画像(試料分注画像)を反応容器131の識別情報に関連付けて主記憶部52に記憶させる。以上により、試料分注画像取得ステップを終了する。
【0033】
(一次液体測定ステップ:S204)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を試料分注画像取得ステップの実行位置(9時の位置)から反時計方向にさらに周回させ、一次液体測定ステップの実行位置(図3に示す3時の位置)に移動させる。測定部32は、3時の位置を通過する反応容器131に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。制御部50は、測定された反応容器131内の液体の吸光度を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。
【0034】
(第1試薬分注ステップ:S205)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を一次液体測定ステップの実行位置(3時の位置)から反時計方向にさらに周回させ、次の第1試薬分注ステップの実行位置(図3に示す10時の位置)に移動させる。
【0035】
第1試薬分注ステップを実行するために自動分析装置10は、試薬アーム22と、試薬プローブ(図示省略)と、試薬プローブを下降及び上昇させる試薬プローブ駆動部(図示省略)と、試薬プローブにより、試薬を吸引及び吐出させるためのポンプ(図示省略)と、電磁弁(図示省略)と、電磁弁を駆動させるアクチュエータ(図示省略)とを有する試薬吸排部と、第1の試薬庫12を有している。
【0036】
第1の試薬庫12は、試薬容器を円周方向に並べた状態で載置し、試薬容器を円周方向に回転させることにより、複数の試薬容器を順番に吸引位置に搬送するステッピングモータを含む試薬庫用駆動部(図示省略)を有する。試薬容器には、試料に含まれる特定成分に対して選択的に反応する試薬が収容されている。
【0037】
第1試薬分注ステップにおいては、試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを待機位置から吸引位置に移動させると、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを下降させる。電磁弁が作動して、試薬プローブにより所定の試薬容器から第1試薬を吸引させる。
【0038】
次に、電磁弁が作動し、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを上昇させる。試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを吸引位置から吐出位置(10時の位置)に移動させると、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを下降させる。また、前述したように、所定の反応容器131を第1試薬分注ステップの実行位置(10時の位置)に移動させる。電磁弁が作動して、試薬プローブにより所定の反応容器131に試料を吐出させる。次に、電磁弁が作動し閉じ、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを上昇させる。試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを吐出位置から待機位置に移動させる。以上により、第1試薬分注ステップ(S205)を終了する。
【0039】
(第1試薬分注画像取得ステップ:S206)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を第1試料分注ステップの実行位置(10時の位置)から反時計方向に1以上の周回させ、さらに、次の第1試薬分注画像取得ステップの実行位置(9時の位置)に移動させる。
【0040】
画像取得部31は、9時の位置を通過する反応容器131内の液体の状態の画像を撮影する。制御部50は、第1試薬分注後に撮影された液体の状態の画像(第1試薬分注画像)を反応容器131の識別情報に関連付けて主記憶部52に記憶させる。それにより、第1試薬分注画像取得ステップにおいて、画像取得部31は、第1試薬分注ステップ後であって第2試薬分注ステップ前に、反応容器131内の液体の状態の画像を取得することが可能となる。以上により、第1試薬分注画像取得ステップ(S205)を終了する。
【0041】
(二次液体第1測定ステップ:S207)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を第1試薬分注画像取得ステップの実行位置(9時の位置)から反時計方向にさらに周回させ、二次液体第1測定ステップの実行位置(3時の位置)に移動させる。測定部32は、3時の位置を通過する反応容器131に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。制御部50は、測定された反応容器131内の液体の吸光度を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。
【0042】
(第2試薬分注ステップ:S208)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を二次液体第1測定ステップの実行位置(3時の位置)から反時計方向に周回させ、次の第2試薬分注ステップの実行位置(図3に示す8時の位置)に移動させる。
【0043】
自動分析装置10は第2試薬分注ステップを実行するために、第1試薬分注ステップを実行するための構成部品と同様の部品を有している。第2の試薬庫12の試薬容器には、前記第1の試薬庫12の試薬容器に収容されている試薬と対をなす試薬が収容されている。第2試薬分注ステップの説明において、第1試薬分注ステップと重複する説明を省略する。
【0044】
第2試薬分注ステップにおいては、試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを待機位置から吸引位置に移動させると、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを下降させる。電磁弁が作動して、試薬プローブにより所定の試薬容器から第2試薬を吸引させる。
【0045】
次に、電磁弁が作動し、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを上昇させる。試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを吸引位置から吐出位置(8時の位置)に移動させると、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを下降させる。所定の反応容器131を8時の位置に移動させる。電磁弁が作動して、試薬プローブにより所定の反応容器131に試料を吐出させる。次に、電磁弁が作動し閉じ、試薬プローブ駆動部が試薬プローブを上昇させる。試薬アーム22を移動させて、試薬プローブを吐出位置から待機位置に移動させる。以上により、第2試薬分注ステップ(S208)を終了する。
【0046】
(第2試薬分注画像取得ステップ:S209)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を第2試料分注ステップの実行位置(8時の位置)から反時計方向に周回させ、次の第2試薬分注画像取得ステップの実行位置(9時の位置)に移動させる。
【0047】
画像取得部31は、9時の位置を通過する反応容器131内の液体の状態の画像を撮影する。制御部50は、第2試薬分注後に撮影された液体の状態の画像(第2試薬分注画像)を反応容器131の識別情報に関連付けて主記憶部52に記憶させる。
【0048】
画像取得部31は、第2試薬分注ステップ後であって攪拌ステップ前に、反応容器131内の液体の状態の画像を取得することが可能となる。以上により、第2試薬分注画像取得ステップ(S209)を終了する。
【0049】
(二次液体第2測定ステップ:S210)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を第2試薬分注画像取得ステップの実行位置(9時の位置)から反時計方向にさらに周回させ、二次液体第2測定ステップの実行位置(3時の位置)に移動させる。測定部32は、3時の位置を通過する反応容器131に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。制御部50は、測定された反応容器131内の液体の吸光度を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。
【0050】
(攪拌ステップ:S211)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を二次液体第2測定ステップの実行位置(3時の位置)から反時計方向に周回させ、次の攪拌ステップの実行位置(図3に示す12時の位置)に移動させる。
【0051】
攪拌ステップを実行するために自動分析装置10は、攪拌子(図示省略)を有する。攪拌ステップにおいては、攪拌子によって反応容器内の液体(試料及び試薬)が攪拌される。なお、攪拌ステップの実行位置は、12時の位置を中心に周方向に所定長さを有する。以上により、攪拌ステップ(S211)を終了する。
【0052】
(攪拌画像取得ステップ:S212)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を攪拌ステップの実行位置(12時の位置)から反時計方向に周回させ、次の攪拌画像取得ステップの実行位置(9時の位置)に移動させる。
【0053】
画像取得部31は、9時の位置を通過する反応容器131内の液体の状態の画像を撮影する。制御部50は、攪拌後に撮影された液体の状態の画像(攪拌画像)を反応容器131の識別情報に関連付けて主記憶部52に記憶させる。
以上で、攪拌画像取得ステップを終了する。
【0054】
(三次液体測定ステップ:S213)
分注手段20は、駆動制御部53からの制御信号を受けて、反応容器131を攪拌画像取得ステップの実行位置(9時の位置)から反時計方向にさらに周回させ、三次液体測定ステップの実行位置(3時の位置)に移動させる。測定部32は、3時の位置を通過する反応容器131に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。制御部50は、測定された反応容器131内の液体の吸光度を反応容器131と対応付けて主記憶部52に記憶させる。
【0055】
以上により、三次液体測定ステップ(S213)を終了する。次に、最後の試料であるか否かの判断、又は、試料分析の終了指示の有無の判断(ステップS214)に移る。最後の試料である場合、又は、試料分析の終了指示が有った場合(ステップS214;Y)、試料分析を終了する。最後の試料でない場合、かつ、試料分析の終了指示が無かった場合(ステップS214;N)、測定予定の試料か否かを判断するステップS201に戻る。
【0056】
次に、分析結果出力ステップの詳細について図6及び図7を参照して説明する。図6は分析結果出力の一連の動作を示すフローチャート、図7は各測定ステップで測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得されたその液体の状態の画像を示す図である。
【0057】
自動分析装置10は、前述した試料分析ステップにおける最後の測定ステップ(三次液体測定ステップ)の実行後に分析結果出力ステップを実行する。
【0058】
一次液体測定ステップ、二次液体第1測定ステップ、二次液体第2測定ステップ、及び、三次液体測定ステップの各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度のいずれかが予め定められた値を超えた場合(ステップS301;Y)、表示制御部51は、各測定ステップに関連付けて、各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各測定ステップ毎に取得された液体の状態の試料分注画像、第1試薬分注画像、第2試薬分注画像、及び、攪拌画像の各画像を表示部40に表示させる(ステップS302)。各測定ステップ毎の液体の吸光度が、試料分析の種類毎に定められている。
【0059】
表示制御部51は、吸光度を縦軸、時間軸を横軸にした座標上に液体の吸光度を表示させると共に、試料分注ステップ、第1試薬分注ステップ、第2試薬分注ステップ、及び、攪拌ステップの各ステップにおける液体の状態の画像を、前記時間軸上の前記各ステップの実行時刻に対応した位置にそれぞれ表示させる。
【0060】
また、各画像を液体の吸光度に関連付けて補助記憶部33に記憶させる(ステップS303)。制御部50は、主記憶部52に記憶させた各画像を補助記憶部33に記憶させる。
【0061】
吸光度を縦軸、時間軸を横軸にした座標、並びに、座標上にプロットされた各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各測定ステップ毎に取得された液体の状態の画像を図7に示す。例えば、攪拌後の三次液体測定ステップで測定された液体の吸光度が0.20であって、予め定められた値(例えば、0.15)を超えたと、制御部50が判断した場合、表示制御部51は、座標上に液体の吸光度を表示させると共に、各ステップにおける液体の状態の画像を、時間軸上の位置である試料分注ステップの実行時刻、第1試薬分注ステップの実行時刻、第2試薬分注ステップの実行時刻、及び、攪拌ステップの実行時刻に対応付けて表示させる。制御部50の判断時を図7に縦の破線で示す。各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を表示部40に表示させたので、反応過程の異常の発生が反応液の攪拌の度合いなどの装置に起因するものであるか、試料の粘性、試薬の粘性や泡立ち易さなどの試料等に起因するものであるかを容易に判別することが可能となる。また、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を各ステップの実行時刻に対応付けて表示させたので、例えば、各ステップ毎の液体状態の画像を液体の吸光度の測定時から遡るようにして観察していき、異常が発生したことを示す液体の状態の画像であると判断した場合に、その画像に対応付けて表示されたステップを容易に特定することが可能となる。
【0062】
次に、制御部50は、試料分析の終了指示を出す(ステップS304)。試料分析の終了指示を受けた場合(ステップS214;Y)、試料分析を終了する。次に、各測定ステップ毎に取得された液体の状態の画像を主記憶部52から消去する(ステップS305)。それにより、主記憶部52の記憶領域を有効に活用することができる。液体の状態の画像を検討する場合、操作部34の操作による指示を受けて、表示制御部51が補助記憶部33に記憶された画像を表示させる。
【0063】
また、ステップS301において、測定された液体の吸光度が予め定められた値を超えない場合(ステップS301;N)、液体の状態の画像を検討する必要性が低いため、各測定ステップ毎に取得された液体の状態の画像を主記憶部52から消去する(ステップS305)。それにより、主記憶部52の記憶領域を有効に活用することができる。最後の試料か、又は、分析結果報告の終了指示がある場合(ステップS306;Y)、分析結果報告を終了する。一方、最後の試料でなく、かつ、分析結果報告の終了指示がない場合(ステップS306;N)、各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度のいずれかが予め定められた値を超えたか否かを判断するステップ301に戻る。
【0064】
なお、表示制御部51は、液体の状態の画像を拡大又は縮小して表示させても良い。吸光度が予め定められた値を超えていない場合、画像を縮小表示させ、画像のデータサイズを小さくし、予め定められた値を超えた場合、画像を拡大表示させることにより、異常発生に係る画像を容易に視認することが可能となる。
【0065】
次に、液体の状態の画像の管理について図8を参照して説明する。図8は設定画面の表示例を示す図である。
【0066】
上記の実施形態において、制御部50は、試料の分析結果が予め定めた条件を満たした場合、液体の状態の画像を補助記憶部33に記憶させた。「光量低下」、「吸光度収集ミス」、及び、「吸光度オーバ」等の条件を図8に示す。
【0067】
画像を補助記憶部33に記憶させる条件として、他の条件を含めても良い。他の条件を含む条件の設定画面を図8に示す。条件毎に設けられた「保存しない」又は「保存する」の選択ボタンを図8に示す。操作部34の操作による、条件毎に設けられた「保存しない」又は「保存する」の選択を受け、制御部50は、「純水不足」、「試料不足」「試薬不足」、及び、「キャリブレーションエラー」等の他の条件を設定する。以上のように条件を選択可能にすることにより、記憶装置の増設を行うことなく、異常な反応過程の画像を取得することが可能となる。
【0068】
なお、前記実施形態に限らず、各ステップに対応させて、1つずつ画像取得部31を設けても良い。反応容器131の移動方向において、測定ステップの実行位置の手前位置に画像取得ステップの実行位置を必ず設けることが可能となり、反応容器131を無駄に周回させずに済み、反応過程の異常発生の要因を迅速に究明することが可能となる。また、画像取得部31のカメラレンズの曇り止めをするためのファンを設けても良い。さらに、画像取得部31の撮影範囲の中に反応ライン132の一部が存在する場合、その部分を透光性にすることは言うまでもない。
【0069】
また、実施形態では、自動分析装置10は、前述した試料分析ステップにおける最後の測定ステップ(三次液体測定ステップ)の実行後に分析結果出力ステップを実行したが、試料分析ステップにおける各測定ステップの実行後に分析結果出力ステップを実行しても良い。それにより、反応過程の異常発生の要因を迅速に究明することが可能となる。
【0070】
さらに、前記実施形態に限らず、操作部34の操作による指示を受けて、表示部40に、各ステップ毎の液体の吸光度、及び、各測定ステップ毎の液体の状態の画像を表示させても良い。それにより、自動分析装置10の動作を適時に確認することが可能となる。
【0071】
さらに、前記実施形態に限らず、測定された液体の吸光度の変化量が予め定められた値を超えた場合、各測定ステップに関連付けて、各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度、及び、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を表示部40に表示させ、また、各ステップ毎に取得された液体の状態の画像を各測定ステップ毎に測定された液体の吸光度に関連付けて補助記憶部33に記憶させても良い。液体の吸光度が急激に変化する異常の発生要因を容易に判別することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
10 自動分析装置 11 試料庫 12 試薬庫 13 反応庫
131 反応容器 132 反応ライン
20 分注手段 21 試料アーム 22 試薬アーム 23 攪拌部
31 画像取得部 32 測定部 33 補助記憶部 34 操作部
40 表示部 50 制御部 51 表示制御部 52 主記憶部
53 駆動制御部 54 濃度換算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に試料を分注する試料分注ステップ、前記試料の入った前記反応容器に試薬を分注し反応液を生成する試薬分注ステップ、及び、前記反応液を攪拌する攪拌ステップを含む各ステップを実行する分注手段と、
前記各ステップ毎に、前記反応容器内の液体の状態の画像を取得する画像取得部と、
前記各ステップ毎に前記反応容器内の液体の吸光度を測定する測定部と、
表示の指示を受けて、前記各ステップに関連付けて、該各ステップ毎に測定された前記液体の吸光度、及び、前記各ステップ毎に取得された前記液体の状態の画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記測定された前記液体の吸光度が予め定められた値を超えた場合、前記各ステップに関連付けて、該各ステップ毎に測定された前記液体の吸光度、及び、前記各ステップ毎に取得された前記液体の状態の画像を不揮発性の補助記憶部に記憶させる制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記測定された前記液体の吸光度が予め定められた値を超えた場合、前記各ステップに関連付けて、該各ステップ毎に測定された前記液体の吸光度、及び、前記各ステップ毎に取得された前記液体の状態の画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記液体の吸光度を縦軸、時間軸を横軸にした座標上に前記液体の吸光度を表示させると共に、前記各ステップにおける前記液体の状態の画像を、前記時間軸上の前記各ステップの実行時刻に対応した位置にそれぞれ表示させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記分注手段は、前記反応容器を周回させるものであって、前記試料分注ステップから試薬分注ステップに移る場合に、前記試薬分注ステップから前記攪拌ステップに移る場合に、それぞれ前記反応容器を1周を超える移動量で周回させ、
前記画像取得部は、前記反応容器を周回させる軌道に沿った位置に1つ設けられたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記液体の状態の画像を拡大又は縮小して表示させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−13142(P2011−13142A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158631(P2009−158631)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】