説明

自動包装機の充填シュート取り付け構造の改良

【課題】調整済みの取り付け位置が変動することなく、簡単な操作(ワンタッチ動作)で充填シュート全体を取り外し若しくは取り付けできる手段を提供する。
【解決手段】充填シュート21の取り付け部は、充填シュート全体を包装機正面視左右方向に位置調整するための機構と、充填シュート本体下側を包装機正面視前後に位置調整するための機構と、この二つの位置調整機構を含む充填シュート全体を自動包装機に固定する板状部材40とで構成され、この板状部材40は、取り付け用ネジ42、43を螺動着脱することにより、位置調整済みの充填シュート全体を取り外して洗浄することができ、洗浄後に取り付け用ネジを螺動着締することにより、位置調整済みの充填シュート全体を再び正しい位置に固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動包装機において包装袋を連続的に作るために包装フィルムを二つ折りして袋の形にする製袋ガイド機能を有する充填シュートに関し、特に充填シュートを自動包装機に取り付けるための構造改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のL型シール金具タイプ自動包装機は、特許文献1に記載されている。このような自動包装機における充填シュートの製袋ガイド機能は、例えばL型シール金具タイプ自動包装機においては包装フィルムを二つ折りする工程を担っている。即ち、この工程は原反ロールから引き出された長尺の包装フィルムを充填シュートに添わせながら二つ折り状態にする工程であり、二つ折りされたその後の包装フィルムは、L型シール金具による縦シール工程及び横シール工程に送られる。
【0003】
図5は、従来のL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの正面図である。また、図6は、従来のL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの側面図である。図5及び図6に示すように、従来の充填シュートにおける製袋ガイド機能に関する構成は、以下のようになっている。包装フィルムFXは、充填シュート121の製袋ガイド部123に添って下方に送られ、製袋ガイド部123の形状に導かれながら投入筒126付近で二つ折りされた包装フィルムFYとなる。
【0004】
なお、充填シュート121には、袋状になった包装フィルム内に内容物を充填するための投入部125が漏斗状になって投入筒126に連結されている。そして、内容物は投入部125に入れられて投入筒126に集められ、その後二つ折りされた包装袋内に充填される。
【0005】
このような充填シュート121全体を自動包装機に固定するために、右側取り付け部127と左側取り付け部128が投入部125に溶接されており、この右側取り付け部127と左側取り付け部128は、自動包装機に設けられたL形金具にネジ止めされている。
【0006】
このような充填シュート121の取り付け位置は、包装袋の仕上がり状態に大きな影響を及ぼすものであり、特に出来上がった包装袋において耳ずれやしわの発生を抑制できるかどうかの鍵を握っている。即ち、包装フィルムの流れる位置に対して充填シュートの取り付け位置が正面視左右どちらかにずれていると耳ずれが発生し、包装フィルムの流れる位置に対して充填シュートの取り付け位置が正面視前後どちらかにずれて包装フィルムが弛むとしわが発生することになる。
【特許文献1】実開昭50−31158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように充填シュート121の取り付け位置は、包装機において製袋動作を行う前に厳密に調整する必要があり、図5及び図6で示した従来の充填シュートにおける取り付け位置調整確認のための製袋動作において、耳ずれやしわが発生した場合は、右側取り付け部127と左側取り付け部128並びに自動包装機側のL形金具におけるネジ止め部分を弛めて充填シュートを正面視左右並びに前後にずらした後に再度ネジ止めし、取り付け位置調整確認のための製袋動作を実施する。そして、上記の取り付け位置調整作業と確認のための製袋動作を、耳ずれやしわが発生しない最適な取り付け位置を見つけるまで繰り返して行う。
【0008】
このような取り付け位置調整作業は、充填シュートの取り付け構造がネジ止めとなっているため、工具を用いた止めネジの弛める若しくは締め付けるという行為が伴う作業であり、また、充填シュート本体の位置を徐々にずらすための手操作行為も必要となっている。このため、取り付け位置調整作業に手間と時間がかかる上に、微妙な調整が難しいと言った問題を抱えていた。
【0009】
更に、取り付け位置調整作業の後に包装機を動かし、テスト袋を作って調整結果の確認をするため、位置調整時間に比例して無駄な包装フィルムを消費してしまうという問題もあった。
【0010】
なお、このような取り付け位置調整作業は、出来上がった包装袋において、しわの発生を極力抑制したい場合は充填シュートを出来るだけ前に張り出して包装フィルムの弛みが少なくなる位置に取り付けるようにする。また、包装袋内に出来るだけ多量の内容物(原料)を充填したい時は包装袋を膨らませることが必要になり、この場合は、充填シュートを最前の位置より少し後にして包装フィルムの弛みが多少発生するように取り付けるようにする。そして、従来の包装機では包装袋を作る動作(製袋動作)の前に、この充填シュートの取り付け位置の調整作業(セッティング作業)を必ず行っており、この調整作業(セッティング作業)を容易に実施できるように充填シュートの左右取り付け部材には、包装機正面より見て左右方向及び垂直方向に関する位置調整手段が設けられている。
【0011】
一方、この充填シュートの内側は、内容物が直接接触しながら滑り落ちるようになっており、一定時間連続運転を行うとこの充填シュートの内側に内容物が付着して粉落ちが悪くなる現象が発生する。そして、この粉落ちが悪くなると、正しく計量された内容物全てが包装袋内に落下せずに一部が充填シュート内側に付着するために充填量の値が変動する事態、さらには内容物が充填シュート内部に詰まって落下しない事態となる。
【0012】
このため、位置調整手段を含む充填シュートは、一定時間運転経過したら包装機本体から取り外して洗浄する必要があり、この結果、容易に位置調整出来るようになったものの取り外し作業の度に毎回位置調整を実施する手間がかかってしまうと言う問題があった。
【0013】
また、充填される内容物は、一部顆粒状物質若しくは粒子状物質を含む粉末であり、充填動作に伴い粉舞い上がり現象が発生する。そして、この粉舞い上がり現象が一定時間連続すると充填シュートの外側に舞い上がった粉が堆積することになり、堆積した粉の一部が直下のL型シール金具に落下するようになる。さらに、このL型シール金具は電熱ヒータにより加熱状態になっており、落下した粉状内容物がL型シール金具の表面で燃焼して固着するため、ヒートシール部分の仕上がり悪化問題若しくは飛散粉末による包装袋表面の汚染問題を引き起こすことになる。
【0014】
そして、この粉舞い上がり現象は粉末内容物を包装袋内に自然落下させる方式を採用する限りにおいては、量の大小があるものの必ず発生する問題であり、粉舞い上がり現象が発生してもL型シール金具に落下する量を抑えるようにした工夫が求められていた。
【0015】
本発明は、このような課題に対して成されたもので、調整済みの取り付け位置が変動することなく、簡単な操作(ワンタッチ動作)で充填シュート全体を取り外し若しくは取り付けできる手段並びに粉舞い上がり現象によって充填シュート外側に飛散した粉末内容物がL型シール金具に落下しないように抑制できる手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動包装機は、包装フィルムを略垂直下方向に移送しながら包装フィルム中央部分を折り曲げると共に、シール装置によって形成された包装袋内に内容物を投入する充填シュートと、前記折り曲げられた包装フィルムに対してシール金具を用いて縦シールと横シールを施して袋形状を形成すると共に、この袋内に内容物が投入された後にこの投入口を封止するシール装置と、前記充填シュートとシール装置によって作られた多数の包装袋を適宜搬送する送りロールとを備えた自動包装機であって、前記充填シュートは、包装フィルム中央部分を折り曲げる製袋ガイド部と、内容物を投入する投入部と、投入された内容物を包装袋内に導く投入筒と、充填シュートを自動包装機に固定する取り付け部で構成され、前記取り付け部は、充填シュート全体を包装機正面視左右方向に位置調整するための機構と、充填シュート本体下側を包装機正面視前後に位置調整するための機構と、この二つの位置調整機構を含む充填シュート全体を自動包装機に固定する板状部材とで構成されている。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る充填シュート全体を左右方向に位置調整するための機構は、出来上がった包装袋の耳ずれ発生を防止し、前記充填シュート本体下側を前後に位置調整するための機構は、出来上がった包装袋のしわの発生を抑え、前記充填シュート全体を自動包装機に固定する板状部材は、取り付け用ネジを螺動着脱することにより、位置調整済みの充填シュート全体を取り外して洗浄することができ、洗浄後に取り付け用ネジを螺動着締することにより、位置調整済みの充填シュート全体を再び正しい位置に固定できる。
【0018】
本発明の請求項1及び請求項2に係る充填シュートの板状部材によれば、充填シュートの取り付け調整位置が変動することなく、簡単な操作(ワンタッチ動作)で充填シュート全体を取り外して洗浄でき、その後同じ位置に取り付けることができるようになり、定期的に実施される洗浄作業における手間を少なくすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項3に係る板状部材は、充填シュートを嵌め込むために穿孔された切れ込み部と、この切れ込み部の周囲に溶接された壁部材が設置されている。
【0020】
また、本発明の請求項4に係る壁部材は、粉舞い上がり現象によって板状部材の上に堆積した飛散内容物がL型シール金具の方に落下しないように堰き止めている。
【0021】
本発明の請求項3及び請求項4に係る充填シュートの板状部材によれば、粉舞い上がり現象によって充填シュート外側に飛散した粉末内容物がL型シール金具に落下しないように抑制可能となり、L型シール金具の表面に飛散した内容物燃焼によるヒートシール部分の仕上がり悪化若しくは飛散粉末による包装袋表面の汚染を減少させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、L型シール金具タイプ自動包装機の充填シュートにおいて、調整済みの取り付け位置が変動することなく、簡単な操作(ワンタッチ動作)で充填シュート全体を取り外し若しくは取り付ける構造を採用したため、定期的に実施される洗浄作業における手間を少なくすることができるという優れた効果を奏する。
【0023】
また、粉舞い上がり現象によって充填シュート外側に飛散した粉末内容物がL型シール金具に落下しないように抑制できる構造を採用したため、ヒートシール部分の仕上がり悪化若しくは飛散粉末による包装袋表面の汚染を減少させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る自動包装機の実施の形態を図面と共に説明する。まず、図1及び図2を用いて、本発明のL型シール金具タイプ自動包装機の全体構成について説明する。図1は本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機を示す正面図であり、図2は本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機を示す側面図である。なお、上記図1及び図2においては図中に一部分解図を適用して表示している。
【0025】
図1及び図2において、符号1は本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機(以下自動包装機と略す)の全体を示している。また、符号10は包材ロール、11は包材供給モータ、12はホッパー、13は計量回転盤、14はステッピングモータ、15はメインモータ、16は減速機、17はベルトコンベア、18はカッター装置、19は送りロール、20はL型シール金具、21は充填シュート、22は配電盤を示している。
【0026】
また、包材ロール10は、同一軸の周りに包装フィルムを多重にコイル状に巻き取ったものである。包装フィルムは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルムや、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。
【0027】
図1及び図2に示すように、自動包装機1は包材ロール10から巻き戻した長尺の包装フィルムに対してバックテンションを掛けながら包材供給モータ11等を駆動して引き出し、引き出された包装フィルムは、図中垂直下方向に連続的に流れ、充填シュート21によって中央部でU字状に二つに折り曲げられる。この折り曲げられた包装フィルムは、充填シュート21の直下に設置されているL型シール金具20により挟み込んで縦ヒートシール及び横ヒートシールを同時に施すように作動し、袋形状が形成される。
【0028】
ホッパー12内には内容物(原料)が入っており、この内容物は計量回転盤13により一定量に桝切り計量され、その後計量された内容物は一定タイミングで充填シュート21の入口である投入部に落下されて充填シュート出口である投入筒を経由して挿入された包装フィルムの袋内部に充填される。
【0029】
内容物が充填された袋部分を含む包装フィルムは、送りロール19により1袋分だけ下方向に搬送され、その後再びL型シール金具20により挟み込んで縦ヒートシール及び横ヒートシールを施して内容物が充填された袋部分の上部が密閉される。なお、同時にこのL型シール金具20の挟み込みにより次の包装袋が形成され、内容物充填動作及び袋上部の密閉動作をくり返して連続した包装袋が出来上がる。
【0030】
連続した包装袋は直下のカッター装置18に送られ、横シール部分の中央付近に対して切断もしくはミシン目切れ込み等を行い、個別の包装形態となった包装袋はベルトコンベア17上に落下し、搬送されて箱詰めされる。
【0031】
図3は、本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの正面図である。図4は、本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの上面図である。図3及び図4に示すように、本発明に係る充填シュート21における製袋ガイド機能は、以下のようになっている。
【0032】
包装フィルムFXは、充填シュート21の製袋ガイド部23に添って下方に送られ、製袋ガイド部23の形状に導かれながら投入筒26付近で二つ折りされた包装フィルムFYとなる。
【0033】
なお、充填シュート21には、袋状になった包装フィルム内に内容物を充填するための投入部25が漏斗状になって投入筒26に連結されている。即ち内容物は投入部25に入れられて投入筒26に集められ、その後二つ折りされた包装袋内に充填される。また、この投入部25は充填シュート21に組み込まれた構造若しくは中間シュート形式にして取り外し可能とした構造などがあり、図4においては、中間シュート形式で表示したため点線となっている。
【0034】
このような充填シュート21全体を自動包装機に固定するために、上面視略コ字状に折れ曲がった補強部材24が製袋ガイド部23に溶接されている。この補強部材24には、右側取り付け軸30と左側取り付け軸31が溶接されており、右側取り付け軸30には軸方向並びに回転方向自在に支えている右側取り付け軸支持部32が貫通され、左側取り付け軸31には軸方向並びに回転方向自在に支えている左側取り付け軸支持部33が貫通されている。なお、この右側取り付け軸支持部32は、右側ベース板37に溶接され、この右側ベース板37は、止めネジ44にて板状部材40に固定されている。同じく、この左側取り付け軸支持部33は、左側ベース板38に溶接され、この左側ベース板38は、止めネジ45にて板状部材40に固定されている。そして、この板状部材40は、止めネジ42と止めネジ43にて自動包装機に固定されている。
【0035】
充填シュート取り付け位置調整方法について説明する。最初に、下方に搬送される包装フィルムFXの流れ方向に添って充填シュート21の大まかな位置合わせを行うために止めネジ44と止めネジ45を弛めて右側ベース板37と左側ベース板38の固定位置を前後に調整し、充填シュート21全体の位置合わせを行う。調整後に止めネジ44と止めネジ45を螺動着締して充填シュート21と板状部材40を一体化する。
【0036】
次に、このような充填シュート21全体を包装機正面視左右方向に位置調整するための機構が、右側取り付け軸支持部32の右隣に設置されている。この構成は、以下の通りである。
(1)右側取り付け軸支持部32を貫通した先に延在する右側取り付け軸30の先端部分には、ネジ切り加工が施されており、このネジ部分に左右位置調整つまみ34が螺動嵌合されている。
(2)この左右位置調整つまみ34は、右側ベース板37に固定された部材に挟まれており、つまみ自体が左右方向に動かないようになっている。
そして、充填シュート21全体を包装機正面視左右方向に位置調整するための機構の動作は、以下の通りである。
【0037】
(1)包装機操作者が左右位置調整つまみ34を包装機側面視右回転させると、左右位置調整つまみ34は左右方向に動かないように規制されているため、その代わりに螺動嵌合されている右側取り付け軸30を左方向に動かすことになる。
(2)左右位置調整つまみ34を包装機側面視左回転させると、左右位置調整つまみ34は左右方向に動かないように規制されているため、その代わりに螺動嵌合されている右側取り付け軸30を右方向に動かすことになる。
(3)上記のような構成と動作によって、左右位置調整つまみを側面視右回転若しくは左回転させることにより、充填シュート21本体を正面視左側方向若しくは右側方向に位置調整させることができ、結果的に、出来上がった包装袋の耳ずれ発生を防止することが可能となる。
【0038】
次に、このような充填シュート21全体を包装機正面視前後に位置調整するための機構が、左側取り付け軸支持部33の左隣に設置されている。この構成は、以下の通りである。
(1)左側取り付け軸支持部33の左隣の左側取り付け軸31には、回転位置調整板39が溶接されている。
(2)この回転位置調整板39の前面には、回転位置調整つまみ35のネジ部が左側ベース板38より立ち上がっている部材に螺動嵌合されており、この回転位置調整つまみ35のネジ部先端が回転位置調整板38と接触している。また、この回転位置調整板39の後面には、回転位置調整つまみ36のネジ部が左側ベース板38より立ち上がっている部材に螺動嵌合されており、この回転位置調整つまみ36のネジ部先端が回転位置調整板38と接触している。
【0039】
そして、充填シュート21全体を包装機正面視前後に位置調整するための機構の動作は、以下の通りである。
(1)包装機操作者が回転位置調整つまみ36を包装機後面視左回転させると、回転位置調整つまみ36のネジ部先端は螺動回転して後方向に進み、回転位置調整板39から離れるようになり、包装機操作者が回転位置調整つまみ35を包装機正面視右回転させると、回転位置調整つまみ35のネジ部先端は螺動回転して後方向に進み、回転位置調整板39を後方向に押すようになる。
(2)後方向に押された回転位置調整板39は、左側取り付け軸31を中心に円弧状に動くことになり、充填シュート21の下部分(投入筒26等)が包装機前方向に出るようになる。
(3)このため、充填シュート21に添って上から下へ流れている包装フィルムの弛みは少なくなり、二つ折りされた包装袋のしわの発生は抑制されることになる。
(4)回転位置調整つまみ35を包装機正面視左回転させると、回転位置調整つまみ35のネジ部先端は螺動回転して前方向に進み、回転位置調整つまみ36を包装機後面視右回転させると、回転位置調整つまみ36のネジ部先端は螺動回転して前方向に進み、回転位置調整板39を前方向に移動させるようになる。
(5)前方向に移動された回転位置調整板39は、左側取り付け軸31を中心に円弧状に動くことになり、充填シュート21の下部分(投入筒26等)が包装機後方向に引っ込むようになる。
(6)このため、充填シュート21に添って上から下へ流れている包装フィルムの弛みは増えることになり、二つ折りされた包装袋を膨らませて多量の内容物(原料)を充填することができるようになる。
(7)上記のような構成と動作によって、回転位置調整つまみ35と回転位置調整つまみ36を右回転若しくは左回転させることにより、充填シュート21本体下側を正面視前方向若しくは後方向に位置調整させることができ、結果的に、出来上がった包装袋のしわの発生を抑えて最適な包装袋にすることが可能となる。
【0040】
上記のような位置調整手段が設けられている充填シュート21の内側は、内容物が直接接触しながら滑り落ちるようになっており、一定時間連続運転を行うとこの充填シュート21の内側に内容物が付着して粉落ちが悪くなる現象が発生する。そして、この粉落ちが悪くなると、正しく計量された内容物全てが包装袋内に落下せずに一部が充填シュート内側に付着するために充填量の値が変動する事態、さらには内容物が充填シュート21内部に詰まって落下しない事態となる。
【0041】
このため、本願発明の包装機において、一定の運転時間が経過したら止めネジ42と止めネジ43を螺動着脱して位置調整済みの充填シュート21が固定されている板状部材40を取り外して充填シュート21内部を洗浄する。そして、洗浄終了後は位置調整済みの充填シュート21が固定されている板状部材40を取り外し前と同じ位置に置き、止めネジ42と止めネジ43を螺動着締して固定する。この結果、充填シュート21の取り付け調整位置が変動することなく、簡単な操作(ワンタッチ動作)で充填シュート21全体を取り外して洗浄でき、その後同じ位置に取り付けることができるようになり、定期的に実施される洗浄作業における手間を少なくすることができる。
【0042】
また、上記板状部材40には、充填シュート21を嵌め込むためにコ字状に穿孔された切れ込み部が設けられており、このコ字状の切れ込み部に沿って壁部材41が溶接されている。そして、この壁部材41の近傍には、充填動作に伴い発生する粉舞い上がり現象によって堆積した粉末内容物50があり、この壁部材41は堆積した粉末内容物50の一部が直下のL型シール金具に落下しないように堰き止めている。この結果、粉舞い上がり現象によって充填シュート外側に飛散した粉末内容物がL型シール金具に落下しないように抑制可能となり、L型シール金具の表面に飛散した内容物燃焼によるヒートシール部分の仕上がり悪化若しくは飛散粉末による包装袋表面の汚染を減少させることができる。なお、充填シュート21全体を取り外して洗浄する際には、この板状部材40に堆積した粉末内容物50も洗浄除去している。
【0043】
以上、上記実施例においては、L型シール金具タイプ自動包装機の例を用いて説明してきたが、このような充填シュートは、縦シールバーと横シールバーが一体化したL型シール金具に限定するものではなく、シール金具の形態は各種採用可能である。例えば、縦シールバーと横シールバーが別々に設置されていて、間歇動作を行う送りロールを用いて包装フィルムを搬送しているケースにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機を示す正面図である。
【図2】本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機を示す側面図である。
【図3】本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの正面図である。
【図4】本発明に係るL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの上面図である。
【図5】従来のL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの正面図である。
【図6】従来のL型シール金具タイプ自動包装機における充填シュートの側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 L型シール金具タイプ自動包装機
10 包材ロール
11 包材供給モータ
12 ホッパー
13 計量回転盤
14 ステッピングモータ
15 メインモータ
16 減速機
17 ベルトコンベア
18 カッター装置
19 送りロール
20 L型シール金具
21、121 充填シュート
22 配電盤
23、123 製袋ガイド部
24 補強部材
25、125 投入部
26、126 投入筒
30 右側取り付け軸
31 左側取り付け軸
32 右側取り付け軸支持部
33 左側取り付け軸支持部
34 左右位置調整つまみ
35、36 回転位置調整つまみ
37 右側ベース板
38 左側ベース板
39 回転位置調整板
40 板状部材
41 壁部材
42、43、44、45 止めネジ
50 堆積した粉末内容物
127 右側取り付け部
128 左側取り付け部
FX 包装フィルム
FY 二つ折りされた包装フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムを略垂直下方向に移送しながら包装フィルム中央部分を折り曲げると共に、シール装置によって形成された包装袋内に内容物を投入する充填シュートと、
前記折り曲げられた包装フィルムに対してシール金具を用いて縦シールと横シールを施して袋形状を形成すると共に、この袋内に内容物が投入された後にこの投入口を封止するシール装置と、
前記充填シュートとシール装置によって作られた多数の包装袋を適宜搬送する送りロールとを備えた自動包装機であって、
前記充填シュートは、包装フィルム中央部分を折り曲げる製袋ガイド部と、内容物を投入する投入部と、投入された内容物を包装袋内に導く投入筒と、充填シュートを自動包装機に固定する取り付け部で構成され、
前記取り付け部は、充填シュート全体を包装機正面視左右方向に位置調整するための機構と、充填シュート本体下側を包装機正面視前後に位置調整するための機構と、この二つの位置調整機構を含む充填シュート全体を自動包装機に固定する板状部材とで構成されていることを特徴とする自動包装機の充填シュート。
【請求項2】
前記充填シュート全体を左右方向に位置調整するための機構は、出来上がった包装袋の耳ずれ発生を防止し、前記充填シュート本体下側を前後に位置調整するための機構は、出来上がった包装袋のしわの発生を抑え、前記充填シュート全体を自動包装機に固定する板状部材は、取り付け用ネジを螺動着脱することにより、位置調整済みの充填シュート全体を取り外して洗浄することができ、洗浄後に取り付け用ネジを螺動着締することにより、位置調整済みの充填シュート全体を再び正しい位置に固定できることを特徴とする請求項1記載の自動包装機の充填シュート。
【請求項3】
前記板状部材は、充填シュートを嵌め込むために穿孔された切れ込み部と、この切れ込み部の周囲に溶接された壁部材が設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動包装機の充填シュート。
【請求項4】
前記壁部材は、粉舞い上がり現象によって板状部材の上に堆積した飛散内容物がL型シール金具の方に落下しないように堰き止めていることを特徴とする請求項3記載の自動包装機の充填シュート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−155969(P2008−155969A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348909(P2006−348909)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】