自動化された臨床機器のための磁気吸引検体−容器ラック
分析および/または処理のための自動化された臨床機器に対してまたはこの臨床機器内において検体−容器のラックを搬送するための磁気搬送システムと共に使用するための磁気吸引検体−容器ラック。この検体−容器ラックは、1対のU字形の磁気吸引部材の遠位末端がラックの基部に向かって延びて、ラック支持表面の上での移動のためにラックが中に支持されている平面のわずかに手前で終端するように、ラックハウジングの基部セクション内に取り付けられている1対のU字形の磁気吸引部材を備える。この磁気吸引部材は、非磁性ラック支持プレートの下方に位置するX/Y可動トラックによって支持されている類似の形状の永久磁石と協働するようになっている。このラックの他の特徴は、ラックハウジングの端壁付近においてこのラックの一方の側面内に形成されている1対のサイドポケットであって、直線経路に沿ってラックを沿層方向に物理的に前進させることが可能な直線駆動機構に関連付けられている可動的に取り付けられている部材を受け入れる働きをするサイドポケットと、収容検体の混合を生じさせるためにラックを持ち上げて反転させる働きをする可動的に取り付けられているプレートによってラックが着脱自在に係合されることを可能にするノッチ構造とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床機器による分析または処理のために液体検体の複数の容器(例えば試験管)を支持するために使用されるタイプの検体−容器ラックにおける改良に関する。さらに特に、本発明は、磁力によってラック−支持表面上を搬送されるようになっているタイプの検体−容器ラックにおける改良に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な自動化された臨床機器を使用して、例えば全血、血清、尿、脊髄液等のような様々な液体の生物検体に対して診断検査を行うことが当業で公知である。こうした機器によって分析されるべき検体は、一般的に、様々なタイプの試験管または容器の中に収集される。各々の容器は、通常は、臨床機器の可動的に取り付けられている吸引プローブが処理のための所望の一定分量の検体をそのゴムキャップを貫通して出し入れすることが可能な穿孔可能なゴムキャップによって、その容器の頂部において封止されている。典型的には、バーコード等の形態の符号化された患者情報および試験情報を各々が備えている5つまたは6つの検体容器が、単一のラックすなわち取り枠によって吸引のために支持される。このラックは、各容器の内部にアクセスするための機器の吸引プローブの所要の移動を簡易化するために、その容器を位置合せし、心出しし、等間隔に並べる働きをする。特定の機器では、吸引プローブは機器ハウジングの外側上に可動的に取り付けられている。このような機器では、外部の検体−搬送装置すなわちモジュールが、吸引プローブが各容器から検体を逐次的に吸引することが可能である検体−吸引ステーションすなわち場所に検体−容器ラックを提供するために使用されることが可能である。
【0003】
Lapeus他の名義で出願された米国特許第5,720,377号が、上述のタイプの検体−搬送モジュールを開示している。このモジュールは、関連した臨床機器の外部アクセス可能な吸引プローブに対して個別の検体−容器ラックを提供する働きをする。このモジュールは、一般的に、3つの相互関連したトレイ、すなわち、(a)検体−容器ラックの直線待ち行列を受け入れて一時的に収容するようになっている細長い投入トレイと、(b)この投入トレイから1度に1つずつ検体−容器ラックを受け入れるように、かつ、検体−吸引および試験のための場所にその検体−容器ラックを提供するようになっている可動的に取り付けられている処理トレイと、(c)この処理トレイから1度に1つずつ処理済みのラックを受け入れるように、かつ、後での取り出しのためにそのラックを直線的な排出待ち行列の形で一時的に収容するようになっている細長い排出トレイとを備える。投入トレイと排出トレイは末端と末端とを接して直線的に位置合せされており、および、各々のトレイは、ラックが隣り合わせで(参照せよ、末端と末端とを接して)配列されているそれぞれの直線待ち配列を形成するように、受け入れられたトレイを位置合せするために、ラック上の特徴と相互作用する直線ガイドを備えている。処理トレイは投入トレイと排出トレイとに隣接して配置されており、これらのトレイに平行に延びる。投入トレイ内の積み込み位置に達すると、投入トレイ内の一番先のラックがそのトレイの外に沿層方向に物理的に押し出され、処理トレイの待機中の空のスロットの中に送り込まれる。処理トレイに収容されているラック内の各々の容器を処理する時に、ラックは、投入トレイと排出トレイとに対して平行に直線的に前進させられて、処理されたラックが排出トレイ上に空の空間の中に、この場合も同様に沿層方向に、物理的に押し込まれることが可能である場所に送られる。その次に、別のプッシャ機構が、隣り合わせに配列されている互いにわずかに間隔が開けられたラックの排出待ち行列を形成するように、排出トレイ内の全てのラックを一括して押し動かす働きをする。
【0004】
上述の特許の開示内容では、投入待ち行列のラックの各々が、投入トレイの下方に位置する磁気搬送システムによって投入トレイのラック−支持表面の上を前方に前進させられる。投入トレイは非磁性材料(この場合にはアルミニウム)によって作られており、および、各々の検体−容器ラックは、その基部部分内に1つまたは複数(好ましくは2つ)の磁気吸引部材を有する。この投入トレイの下方に位置する磁気搬送システムは1対の互いに平行なコンベヤベルトを備え、および、このコンベヤベルトの各々は、そのベルト長さに沿った等間隔の位置に複数の永久磁石を有する。このコンベヤベルトは、互いに間隔が開けられているプーリの周りに匍わされており、および、このベルトの各々の1つの直線区間が投入トレイの下側からわずかに離れており、および、意図されたラック移動方向に、すなわち、そのトレイ上の直線ガイドに対して平行な方向に延びる。コンベヤベルトがそのそれぞれの循環経路に沿って駆動される時に、各々のベルトによって1つずつ支持されている2つの永久磁石に関連付けられているそれぞれの磁界が、投入トレイを通過し、および、磁気吸引部材が配置されている2つの箇所で、側部からそのラックに接近する。搬送機構の永久磁石とラックの磁気吸引部材とが磁気的に結合される位置に到達すると、そのラックは、そのトレイの下方の永久磁石の移動に追従して投入トレイの表面に沿ってスライドする。したがって、このラックは、処理トレイの中を沿層方向に機械的に前進させられることが可能である位置に投入トレイ中の先頭のラックが到達し終わるまで、ラックのガイドによって画定されている直線経路に沿って磁気によって前進させられる。
【0005】
上述のラックでは、磁気吸引部材は、そのラックの末端の付近においてそのラックの基部部分内に配置されている。各々の磁気吸引部材は、コンベヤベルトシステムの永久磁石が側部からラックに接近するにつれて、永久磁石が磁気吸引部材の各々の最も厚い部分に対して直接的に対向するまで、または、永久磁石がラックの底面に最も接近しており、および、したがって、永久磁石に最も接近している(両方の場合に)磁気吸引部材の一部分に対して対向するまで、その永久磁石と磁気吸引部材との間の磁力が次第に増大するように、そのラックの幅の端から端まで厚さが次第に厚さが減少しているか、または、ラックの底面に対して一定の角度に配置されている。
【0006】
上述の検体−容器ラックは、単一方向の磁気搬送システムでは有用であるが、互いに垂直な方向において、すなわち、X/Y平面においてラックを搬送するようになっている磁気搬送システムと組み合わせた使用にはあまり適していない。X/Y搬送システムでは、ラックと搬送システムとの間の磁力が、一方向だけの搬送のために最適化されているのではなく、ラックが搬送されるべき方向とは無関係であるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の説明によって、本発明の目的は、検体−搬送装置内の非磁性プレートの上で互いに垂直な方向に磁気搬送システムによって容易に搬送されるようになっている上述のタイプの検体−容器ラックを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的が、検体−搬送モジュールの2つの異なる互いに独立した搬送システムのどちらか一方によって搬送されるようになっている検体−容器ラックを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的が、検体の混合を生じさせるためにラックを反復的に反転させる働きをする検体−混合機構によってラックが着脱自在に係合されることを可能にする構造を有する検体−容器ラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって、検体−容器ラックが、複数の検体−容器を受け取り、位置合せし、および、等間隔に並べるための上部セクションと、この頂部セクションを支持するための基部セクションとを有するハウジングを備える。この基部セクションは、さらに、磁気吸引性の材料を含む1対のU字形部材を支持する。この部材は基部セクション上の互いに間隔を置いた箇所に配置されており、および、各部材は、脚部分を相互連結する一体状の架橋部分によって一方の末端において互いに連結されている1対の互いに間隔を置いた脚部材を備える。ラックの基部セクションは、そのラックの使用時に検体−搬送装置のラック支持表面に隣接して配置される平らな底面を画定する。このU字形部材は、それぞれの脚部材が基部セクションの底面に向かって下向きに垂れ下がるように、基部セクションによって支持されており、その結果として、各脚部材の遠位末端はその表面の平面と実質的に共面である。U字形部材のそれぞれの脚部材の間隔が、検体−搬送装置のラック支持表面の下方に位置する磁気搬送機構によって支持されている1対の対応する形に互いに間隔が開けられている永久磁石の間に磁気回路を完成させるような間隔である。
【0011】
本発明の第2の側面によって、上記タイプの検体−容器ラックは、検体−搬送装置に関連付けられている移動機構がラックに物理的に係合してラック支持表面の上の直線経路に沿ってそのラックを前進させることを可能にする、互いに反対側に位置する端壁に隣接している構造を備えている。
【0012】
本発明の第3の側面によって、上記タイプのラックは、ラックがその支持表面から持ち上げられることと、このラックによって支持された密封容器内の液体検体を混合するためにラックが反転させられることとを可能にする、混合装置の可動的に取り付けられているプレート上の無料の構造と相互作用する、側壁上の構造を備えている。
【0013】
本発明の検体−容器ラックは、互いに垂直な方向に支持表面上を磁気によって搬送されることが可能なので、1方向だけの直線移動のために設計されている以前のラックに比べてその用途が著しく広い。
【0014】
本発明とその様々な側面と利点とが、同じ部品また同じ構成要素を同じ照合文字が示す添付図面を参照して、好ましい実施形態の後述の詳細な説明からより適切に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の検体−容器ラックは、スタンドアロンの検体−搬送モジュールとの組み合せにおいて特に有用である。しかし、本発明が、検体−搬送システムが臨床機器のアクセサリではなく臨床機器の一体的な部分であるスタンドアロン型の臨床機器においても有用であるということが理解されるだろう。
【0016】
さて、図面を参照すると、図1が、多機器作業セル10に提供される全血検体を分析および/または他の形で処理するようになっている多機器作業セル10を概略的に示している。この検体の各々は、(図10、11A、11B、12及び14に示されている)検体−容器ラックRによって概ね直立の方向配置かつ直線的な配列の形に追加の容器と共に支持されている試験管または容器Cによって収容されている。図1に示されている作業セルでは、4つの別々の臨床機器12。14、16、18が、共通のマイクロプロセッサベースのシステムコントローラ20の制御を受けて動作する。機器12と機器14は、例えば、全血検体が従来のフローセルの検出アパーチャを通過する時に各セル上で行われるDC体積測定、RF伝導率測定、および/または、光散乱測定に基づいて全血検体の構成成分血液細胞を従来通りの仕方で識別および計数する働きをする血液学機器であってよい。機器14は、例えば、蛍光測定と、全血検体が光学フローセルの検出区域を通過させられる時にその各セル上で行われる光散乱測定、DC体積測定またはRF伝導率測定との組合せに基づいて、細胞タイプを従来通りの仕方で識別する働きをする蛍光流動細胞測光計であってもよい。機器18は、例えば、後で顕微鏡下で分析されることが可能な顕微鏡スライドガラス上の検体スメアを形成して染色するスライドメーカ(slide−maker)/スライドステイナ(slide−stainer)装置であってもよい。これらの臨床機器は、これらの機器が行う作業とこれらの機器の機械的構造との両方において大きく異なることがあり得るが、各々の機器は、その機器ハウジングの外側上に取り付けられており、かつ、したがって吸引の準備が整っている検体容器の提供のために接近可能である、可動的に取り付けられている吸引プローブアセンブリPAを共通して有する。このプローブアセンブリは、処理のために小体積の収容検体を吸引するためにそのアセンブリに提供された検体−容器の中に入るように(図面の平面の中への)垂直方向の移動と、および、検体−容器ラックによって支持されている検体−容器のいずれか1つに中に入るように(矢印によって示されているように)横方向の移動との両方を行うように取り付けられている。
【0017】
作業セル10は、さらに、複数の同一の検体−搬送モジュール(MOD 22、MOD 24、MOD 26、MOD28)を備え、このモジュールの1つは4つの臨床機器12、14、16、18の各々に動作的に連結されているか、または、他の形で関連付けられている。この検体−搬送モジュールの各々は、少なくとも2つの機能を提供する。第1に、このモジュールは、このモジュールが直接的に関連付けられている機器の検体−提供要件のすべてを満たす機能を果たし、すなわち、(i)そのモジュールの投入バッファに手動で配送される検体容器の複数のラックを受け取り、(ii)このラックを、投入バッファから、特定のラックの検体容器のすべてが関連機器の吸引プローブアセンブリにとって接近可能である検体−吸引ステーションに選択的に搬送し、および、(iii)そのラック内の容器のすべてまたは選択された1つからの所望の検体吸引の後に、排出バッファにラックを配送する働きをする。排出バッファへの配送時に、ラックが、そのラックがそのモジュールから手動で取り除かれることが可能な取り除き位置に前進させられてもよく、または、この代わりに、第1の試験結果が特定の標本の第2の吸引が必要とされることを示す場合または、第1の試験結果が明らかに誤りである場合のように、ラックがリフレックス(reflex)試験または反復試験のために検体−吸引ステーションに戻されてもよい。第2に、検体−搬送モジュールの各々は、他の臨床機器に関連付けられている互いに隣接するモジュールの間で検体−容器のラックを移動させ、これによって、例えばロボットアームまたはコンベヤシステムのような独立した検体−移動機構を全く必要とせずに作業セルの全機器が特定の検体を処理することを可能にする機能を果たす。後者の機能を実現するために、これらのモジュールの各々は隣接モジュールに堅固に連結されており、したがって、図6を特に参照して後述するように、これらのモジュールが検体を往復する形で通過させることを可能にする。検体−搬送モジュールの各々が、さらに、第3の機能、すなわち、後続の処理のために検体を調製するという機能を果たすことが好ましい。この標本調製は、その検体−混合装置に提供された検体−容器ラックを反復的に反転させて収容検体を反復的に反転および混合する働きをする検体−混合装置によって実現される。
【0018】
図2の側面図では、検体−搬送モジュール(例えば、MOD 22)とこれに関連した臨床機器(この場合には機器12)との間の関係が示されている。このモジュール/機器組合せの空間要件を最小にするために、この機器は、モジュールハウジングHの主要部分が臨床機器の主ハウジングH′の下に位置することを可能にするように設計されている。この機器の吸引プローブアセンブリPAは、機器ハウジングの前壁32の前方に延び、および、検体−搬送モジュールは、ラックによって支持されている検体−容器Cが、吸引プローブP′の垂直移動平面と一致する共通の垂直平面V内に配置されるように、吸引位置50(図3に示されている)で検体−容器ラックRを選択的に支持する働きをする。このプローブアセンブリの構造および動作の詳細は十分に理解されており、および、本発明の一部を形成しない。しかし、簡単に述べると、このプローブアセンブリの移動は、システムコントローラ20の制御によって動作する3つのステップモータM1、M2、M3によって制御される。ステップモータM1は、垂直平面すなわち図2のZ座標に沿って吸引プローブとストリッパ機構33とを移動させる働きをし、これによってストリッパ機構33の底面33Aが、吸引されるべきサンプルを収容する検体容器の頂部を取り囲むゴムシールS′の上面と接触するように下方に移動させられることが可能である。その次に、ステップモータM3は、プローブアセンブリの吸引プローブP′の垂直位置を制御する働きをし、これによって、プローブ先端が容器内から一定の体積の検体を吸引するためにシールS′に穿孔してその容器の中に入るように、プローブ先端が下方に駆動されることが可能である。その次に、検体の吸引の後に、モータM3は、容器の外に吸引プローブを引き上げる働きをする。吸引プローブが上方に移動するにつれて、ストリッパ機構33は、容器シールと吸引プローブとの間の摩擦力の結果として、上方に移動する吸引プローブがラックの外に容器を持ち上げようとする傾向を阻止するように、静止状態にかつシールS′との接触状態に保持される。プローブ先端が容器シールの頂部から離れると、モータM1は、ストリッパ機構が容器シールから十分に離れている垂直位置にストリッパ機構と吸引プローブの両方を持ち上げる働きをする。第3のステップモータM2は、図3に示されている検体−吸引ステーション50に位置しているラックによって支持されている検体容器の任意の1つに吸引プローブが接近することができるように、横方向すなわち水平平面内において吸引プローブアセンブリを選択的に移動させる働きをする。
【0019】
さらに図3と図4を参照すると、図1に示されている検体−搬送モジュールの各々は、(i)図10に示されているタイプの例えば20個までの検体−容器ラックRを受け入れて支持するようになっている投入バッファ40と、(ii)検体−容器ラックのそれぞれの検体が処理され終わった後にその検体−容器ラックが中に集積される排出バッファ42と、(iii)検体−吸引および/または混合のために、または、隣接のモジュールへの移送のために、個々の検体−容器ラックを適切に位置させるように、個々の検体−容器ラックがその中を通して前進させられる検体−処理セクション44とを画定する、U字形ハウジングHを備える。投入バッファおよび排出バッファの中のラックが、図3及び4に矢印Aと矢印Bとによってそれぞれに示されている直線経路に沿って移動するように制約されているが、処理セクション44を通過するラックはそのようには制約されていない。実際には、このラックは、そのモジュールが上述の検体提供機能と検体搬送機能とを実現するように(図4のX/Y座標によって示されている)X/Y平面内の様々な互いに垂直な経路に沿って移動することが求められている。
【0020】
処理のために検体−容器ラックを吸引ステーション50に提供する際に、このラックは、X座標に対して平行に延びる検体−処理経路に沿って前方に搬送されるだろう。そのラックは、検体−吸引ステーション50とは概ね反対側の位置に達する時に、検体−混合装置46に関連付けられている取り付けプレート47にそのラックが接触するまで、後方に、すなわち、Y方向においてモジュールの後部に向かって移動させられる。図4に示されているように、Y方向に移動させられる距離yが、そのラックの幅Wよりも幾分か大きく、これによって取り付けプレート47に隣接して位置しているラックからの干渉なしに別のラックが経路Dに沿って通過することを可能にする。プレート47に接触すると、そのラックは、短い距離xだけX方向に再び前方に移動させられる。上述のように移動する時に、そのラックは吸引ステーション50に正確に位置させられ、および、その次に、容器が、関連した臨床機器の吸引プローブアセンブリによって接近される位置にある。さらに、X方向におけるラックの短距離の移動の最中は、そのラックは、後述の舌片/溝によって取り付けプレート47上に堅固に取り付けられる。混合装置の取り付けプレート47は回転自在に取り付けられており、および、回転するにつれて、このプレートに固定されているラックを持ち上げて反転させ、これによって容器内の検体を混合する。検体−混合が、容器から各検体が吸引される直前に行われ、これによって均一な検体を確実なものにすることが好ましい。ラック内の1つまたはすべての検体を吸引した後に、上述した同じX/Y経路に沿ってラックが後方に移動させられ、これによってラックを取り付けプレートから取り外して検体−搬送経路Dにそのラックを戻す。その次に、そのラックは、排出バッファ42とは反対側の位置に到達するまでX方向に経路Dに沿ってさらに搬送される。その次に、そのラックは、Y方向に表面S上を後方にそのラックを移動させることによって排出バッファの中に移動させられる。排出バッファの中に最後に入れられたラックからの試験結果が、試験の反復が必要であることを示す場合には、そのラックが排出バッファから取り出され、および、吸引ステーションにその時点で存在するラックの処理の完了を待機するために、経路Dに沿って逆方向に吸引ステーションと混合ステーションとの上流の位置に移動させられる。この処理が完了され、かつ、吸引/混合ステーション50が空にされた後に、再処理を必要とするラックが処理のために再びステーション50に前進させられる。
【0021】
作業セル内の別の機器によって特定の検体に対して試験を行う必要がある場合には、こうした検体を収容するラックが、そのモジュールの互いに反対側に位置している検体移送ステーション52、54に至る搬送経路EまたはFのどちらかに搬送されるだろう。これらのステーションでは、ラックが、多機器作業セル内の隣接する検体−搬送モジュールの対応する移送ステーションに移送されることが可能である。ラックが1つのモジュールから別のモジュールに移送される仕方を、図6を参照して後述する。
【0022】
図6を参照すると、MOD 24からMOD 22へ検体−容器ラックR′を移送するプロセス中における、2つの互いに隣接する検体搬送モジュールMOD 22、MOD24が示されている。図示されているように、ラックR′は経路Fに沿ってMOD 24のラック−移送ステーション54と、MOD 22のラック−移送ステーション52の対応する経路Fとに搬送され終わっている。後述するように、ラックR′は、モジュールの上面の下に位置するMOD 24のX/Y磁気搬送システムによって示されている「跨り(spanning)」位置に前進させられ終わっている。この搬送システムは、2つの磁気吸引部材が取り付けられているラックの基部部分内の2つの位置にラックを磁気によって結合させる働きをする。この部材は、ラックの互いに反対側の末端において間隔を空けられている。図示されている位置、すなわち、ラックが2つの互いに隣接するモジュールに跨る位置にラックを前進させるために、ラックは最初に、そのラックの最先端がモジュールの端縁と概ね一致しておりかつそのラックの側部がガイド部材G4に隣接している位置に前進させられる。その次に、この磁気搬送機構は、ガイド部材G3に向かってY方向に搬送機構を移動させることによってラックから切り離される。ラックは、ガイドG4と係合しているために、この方向では磁気搬送機構に追従できないので、ラックと搬送機構との間の磁気結合が克服され、および、ラックがモジュールの端縁に残留するだろう。この後で、磁気搬送機構は、ラックによって支持されている2つの磁気吸引部材の一方だけに、すなわち、モジュール端縁からより内側寄りの部材だけに、磁気的に結合するように再位置決めされる。その次に、搬送機構は、ラックがMOD 24の端縁から離れて隣接のモジュールMOD 22の移送ステーションに進むようにそのラックを前進させる働きをする。その次に、MOD 22の磁気駆動システムは、そのシステムがラック移送ステーション52においてラックに磁気的に結合する位置に移動させられ、および、必要に応じてラックをMOD 22の表面S上を移動させる。検体−搬送モジュール全体(および作業セル)にわたってのラックの通行パターンを制御するシステムコントローラ20によって決定される通りに、検体−搬送モジュールの相互間のラック−移送が経路Eまたは経路Fのどちらかの上で生じさせられることが可能であるということが理解されるだろう。しかし、一方の経路が1つの方向にラックを移送するために使用され、および、他方の経路が反対方向にラックを移送するために使用されることが好ましい。ラック−移送ステーションの各々におけるラックの存在を検出する1対の光電センサはその図面には示されていない。別の検体−搬送モジュールに移送されることになっているラックがラック−移送モジュールの経路Eまたは経路Fの反対側の末端のどちらかに搬送される時には、そのラックの存在が移送モジュールのラック−移送ステーションにおけるセンサによって検出される。ラックがラック受け入れモジュールのセンサによってラック−移送ステーションにおいても検出される時には、その時点において、そのラックは、ラック受け入れモジュールのX/Yラック−搬送機構による作用を受ける位置にある。システムコントローラは、ラック受け入れモジュール内でラックをさらに搬送するようにラック受け入れモジュールのX/Y搬送機構を送るために、これらのセンサの出力に対して作用する。
【0023】
図3を再び参照すると、検体−搬送モジュールハウジングHは、互いに反対側に位置する脚部分P1、P2と相互連結基部部分P3とを備えるU字形のトッププレートPを備える。この互いに反対側に位置する脚部分P1、P2は、投入バッファ40と排出バッファ42との中で検体−容器ラックを支持する働きをする。基部部分P3は、処理セクション44内での上述の2次元(X/Y)移動のためにラックを支持する働きをする。プレートPが厚さ約1.5mmの非磁性のステンレス鋼プレートであることが好ましい。その上面は滑らかで平らで特徴がなく、および、この表面が、検体−容器ラックがモジュール内の様々なX方向に延びる経路とY方向に延びる経路とに沿って移動させられる時に、その検体−容器ラックの底面を支持しかつこの底面にスライド自在に係合する。投入バッファ40と排出バッファ42の各々は、それぞれに1対の互いに平行な側壁40A、42Aを備える。これらの壁は表面Sから上方に延び、および、検体−容器ラックの長さLよりもわずかに大きい距離だけ互いに間隔が空けられており、これによって、その検体−容器ラックは、図4に示されているようにバッファによって受け入れられて位置合せされることが可能である。2対の上方に延びる互いに平行なガイド部材G1およびG2とG3およびG4とが、モジュール間のラックの移送中に経路Eと経路Fとの上で適正に位置合せされる(すなわち、傾くことがない)ことを確実なものにするために、ラック−移送ステーション52、54において表面S上に配置されている。ガイドG1は、さらに、そのモジュールの経路Dに沿ってラックが沿層方向に検体−処理セクションの中に移動させられる前に投入バッファ内のラックがそれに対して位置合せされることが可能な止め具として働く。第5のガイド部材G5が、各ラックが経路Dに沿って検体−吸引ステーション50に接近する時に、その各ラックを適正に位置合せする働きをする。ハウジングHの前部において、すなわち、そのモジュールの経路Fに隣接して、そのモジュールの全幅に沿って伸びる細長いハウジング60が設けられている。図17と図18とを参照して後述するように、第1のラック−搬送機構が使用中であるかまたは他の理由のために動作していないモジュールをラックが通過させられることが可能であり、および、これによってバイパスすることが可能であるように、ハウジング60は、検体−容器ラックに物理的に係合してその検体−容器ラックを検体−搬送モジュールの経路Fに沿ってどちらかの方向に搬送する働きをする冗長駆動機構を含む。
【0024】
図4の平面図を参照すると、個々の標本−容器ラックが、投入バッファ40内の積み込みステーションにおいて、典型的には投入待ち行列41の中の最後のラック(すなわち、前部ハウジング60から最も遠いラック)の背後に、手動で積み込まれる。これらのラックは、バッファ側壁40A内に形成されている直線スロット63内を選択的に前後に駆動される1対の互いに反対側に位置したカム駆動されたプッシャ(pusher)部材62(図3に示されている)によって直線経路Aに沿って前方に機械的に押される。このプッシャ部材は、このプッシャ部材が経路Dに向かって前方に駆動される時にこのプッシャ部材が側壁から突き出て両側からラックに係合する(図3に示されている)伸長位置と、投入待ち行列内の最後のラックとこのラックの前方のラックとを前進させるためにこの投入待ち行列内の最後のラックの背後にプッシャ部材が移動することを可能にするように、プッシャ部材が側壁の背後に引っ込められる収縮位置との間を、移動するように取り付けられている。光−センサPS(例えば、検出された反射信号に基づいて動作する従来の光電センサ)が投入バッファの前端部においてトッププレートP上に取り付けられ、および、その待ち行列中の先頭のラックがガイド部材G1に隣接した位置に到達し終わった時にシステムコントローラ20に信号を送る働きをする。この位置に到達すると、ラックは、そのモジュールの検体−処理セクション44を通過させて検体容器のラックを搬送する働きをする本発明の磁気搬送システムによる作用を受ける準備が整っている。
【0025】
本発明では、磁気搬送システムは、上述の搬送モジュールの検体−処理セクション44内部において種々のX及びY通路に沿って検体−容器ラックを前進させるために設けられている。このシステムは(図7に示されている)磁気ラック−搬送機構70を備え、この磁気ラック−容器機構70は、U字形の非磁性プレートPの基部部分P3の下に位置し、および、このU字形の非磁性プレートの上に位置している磁気吸引性の検体−容器ラックを前進させる働きをする。このラックが、互いに反対側の末端においてそのラックの基部部分内に(図12に示されている)1対の強磁性部材を取り付けることによって、磁気吸引性にされることが好ましい。後述するように、機構70は、1対の永久磁石の形態であることが好ましい磁界発生装置を備える。磁石が、プレートPの下面の下方にかつそれに接近してX/Y平面内を移動するように取り付けられている「トラック(truck)」によって支持されている。各磁石によって発生される磁界が搬送モジュールの非磁性支持プレートPを通過して、各々の検体−搬送ラックの基部部分内に支持されている磁気吸引部材と磁気的に結合する。磁石と磁気吸引部材との間のこの磁気結合は、プレートPの下のX/Y平面内を磁石支持トラックが移動する時に、そのプレートの上部表面Sの上の磁気結合ラックが追従するように、十分に強い。
【0026】
図7を参照すると、好ましいX/Y搬送機構70が、1対の互いに独立した双方向の直線駆動機構LD1、LD2を備えるものとして示されている。一方の駆動機構(LD1)は、X座標に平行な第1の直線経路に沿って移動するように他方(LD2)を支持する働きをする。LD1は、さらに、この経路に沿ってLD2をどちらかの方向に選択的に移動させる働きもする。一方、LD2は、第1の直線経路に対して垂直に延びる第2の直線経路に沿って、すなわち、Y座標に対して平行な方向に移動するように磁界発生装置MDを支持する働きをする。LD2は、さらに、この第2の直線経路に沿ってどちらかの方向に磁界発生装置を選択的に前進させる働きもする。この第2の直線経路は非磁性支持プレートの底面からわずかに離れており、および、磁界発生装置は、支持プレート上に位置しているラックの基部部分に磁気的に結合するのに十分な強さである磁界を非磁性支持プレート上に生じさせるのに有効である。したがって、磁界発生装置がLD2によって第2の直線経路に沿って前進させられるので、および、LD2がLD1によって第1の直線経路に沿って前進させられるので、ラックは、X/Y平面内において、かつ、LD1とLD2との荷重によって決定される互い垂直の経路に沿って、支持プレートの上を移動する。この駆動機構の構造的な詳細を後述する。
【0027】
図7に示されているように、直線駆動機構LD1は、モジュールハウジングHの互いに反対側の側壁76、78によってその支持軸のそれぞれの末端において支持されている、1対の互いに間隔を置いておりかつ実質的に互いに平行である支持軸72、74を備える。軸72と軸74との間の好ましい間隔は約16cmである。図示されているように、軸72と軸74はX座標に対して平行に延び、および、X座標に対して平行なスライド移動を実現するために第2の直線駆動機構LD2を共に支持する。図8Aと図8Bとに最も適切に示されているように、LD2は、3つのスリーブ軸受83A、83B、84が中に取り付けられている細長いハウジング82を備える。軸受83A、83Bはハウジング82の互いに反対側の側部上に位置しており、および、軸72、すなわち、いわゆる「基準(datum)」軸上をスライドするように位置合せされている。LD2ハウジング82が基準軸に沿った移動中は常に基準軸に対して垂直なままであることを確実なものにするために、軸受83A、83Bのそれぞれの外側寄りの端縁(outboard edge)は互いに比較的に大きく(例えば、約10cm)離れている。軸受84は、ハウジング82内に形成されている水平スロット内に支持されており、および、この軸受は、X方向のLD2ハウジングの移動中に軸74(「回転止め(anti−rotation)」軸)に沿って乗って進む。スロット取り付け台は、回転止め軸が基準軸に対して完全には平行ではなくても、その回転止め軸に沿って軸受84が滑らかにスライドすることを可能にする。しかし、これと同時に、スロット取り付け台はLD2ハウジングが(基準軸を中心として)旋回することを防止し、これによってこのハウジングが、基準軸に沿ったトラックアセンブリの移動中は常に水平(X/Y)平面内に留まることを確実なものにする。後述するように、LD2ハウジング自体は、Y座標に対して平行なスライド移動のために永久磁石軸受トラック86を支持する。トラック86が、各々の検体−容器ラックの基部部分内に支持されている1対の磁気吸引部材170(図12に示されている)と磁気的に相互作用し結合する1対のU字形磁石88、90を支持することが好ましい。上述したように、磁石と磁気吸引部材170との間のこの磁気的な相互作用は、検体−容器ラックが表面Sを端から端までスライドして表面Sの下の磁気トラック86の移動に追従することを生じさせるのに十分なだけ強力である。
【0028】
図7に示されているように、X方向における(すなわち、軸72、74に沿った)LD2ハウジングの移動は、モジュールハウジング壁76、78の間に取り付けられているベルト駆動機構100によって生じさせられる。駆動機構100は、駆動プーリ104とアイドラプーリ105との間に跨るエンドレスベルト103を備える。駆動プーリ104は、ハウジング壁76上に取り付けられているX駆動モータM4の駆動軸によって回転駆動される。モータM4は、システムコントローラ20の制御を受けて動作する双方向ステップモータである。LD2ハウジング82の一方の末端に位置したタブ91が、X駆動機構のための「基準(home)」位置と、磁気トラック86のX位置に関する基準点とを提供するために、モジュールハウジング側壁76上に取り付けられている光電センサ(図示されていない)によって検出される。
【0029】
図8Aと図8Bとを参照すると、X/Y磁気駆動機構70のLD2ハウジング82は、上述のスリーブ軸受83A,83B、94が中に取り付けられている細長い棒110を備える。棒110は、その最上の表面に沿って直線レール112を支持する。レール112は、スリーブ軸受のそれぞれの縦軸線に対して垂直な方向に延びる。したがって、スリーブ軸受がそのスリーブ軸受のそれぞれの軸の上に取り付けられている時に、レール112はY座標に対して平行に延びる。一方、レール112は、上述の永久磁石軸受トラック86をスライド可能な形で支持する。永久磁石軸受トラック86は、レール112に沿ってスライドするようになっている溝形部材116を備える。部材116は、後述するように、永久磁石88、90が上に取り付けられている非磁性プレート118に堅固に連結されている。図8Bに最も適切に示されているように、プレート118は、第2のベルト駆動機構120によってレール112に沿って選択的に駆動される。この第2のベルト駆動機構120は、エンドレスベルト121と、1対のプーリ122、123と、フレックスケーブル(図示してない)を介してシステムコントローラ20と通信してこのシステムコントローラ20によって制御される双方向ステップモータM5(Y駆動モータ)とを備える。プーリ122は、モータM5の駆動軸124によって回転駆動されており、および、アイドラプーリ123が棒部材110から延びる固定された軸126上に回転可能な形で取り付けられている。軸124、126のそれぞれの軸線がX座標に対して平行に延びる。ベルト121が、図示されている駆動プーリとアイドラプーリ123との周りに匍わせられており、および、図9に最も適切に示されているブラケット127によって磁気トラックアセンブリ94に作動的に連結されている。したがって、ステップモータM5の駆動軸が回転するにつれて、ベルト121がプーリ123とプーリ123との上を前進し、および、このベルトと磁気トラックアセンブリ94との連結によって、Y方向におけるプレート118によって支持されている永久磁石の位置が、ステップモータ駆動軸の軸方向位置によって決定されるということが理解されるだろう。プレート118の底面から垂れ下がるフラグ部材129が、Y駆動機構の「基準」位置を決定するためにハウジングHの側壁76上に取り付けられている光電センサPS(図7に示されている)によって検出され、および、したがって、磁気トラックのY位置に関する基準点を提供する。ハウジングフレーム上のXセンサとYセンサとが、磁気トラックのX基準位置が最初に検出され、その次にそのY基準位置が検出されるように、配置されている。
【0030】
さらに図9を参照すると、永久磁石88、90の各々が、フラックスブリッジ130によって互いに連結されている1対の円筒形の棒磁石128、129を備える。この棒磁石はプレート118内に形成されている円筒形の穴によって受け入れられ、および、互いに反対の磁極(北極/南極)がプレート表面の上方を延びるように配置されている。この永久磁石は、プレート118の基部の中にねじ込まれておりかつフラックスブリッジ内に形成されているクリアランスホールを貫通して下方に延びる肩つきねじ134を取り囲むばね132によって上方に偏倚させられている。このコイルばねの一方の末端はボルト頭134Aによって支持されており、および、このばねの反対側の末端はフラックスブリッジに係合し、これによってフラックスブリッジを圧迫してプレート118の下面に接触させる。棒磁石の各々が約9.5mmの直径を有し、かつ、磁石が中心間で約19mmの間隔を空けられていることが好ましい。各磁石の長さは、フラックスブリッジがそのプレート118の下面に接触する時にプレート118の上方に約3mm突き出すような長さである。各磁石がネオジム添加鉄を含むことが好ましい。フラックスブリッジは鉄で造られており、かつ、約3mmの厚さである。X/Y駆動システム70が、約1mmの間隔が棒磁石の頂部とラック支持プレートPの底部との間に設けられていることが好ましい。
【0031】
上述のX/Y駆動機構では、磁気トラック86によって支持されている永久磁石とプレートPの底面との間の間隔が磁気トラックのX/Y移動全体にわたって実質的に一定不変に維持されることが可能であるということが指摘されなければならない。このシステムのこの特質が、トラックが移動する時にそのトラックを支持するために堅固な軸または棒72、74とレール112とを使用する固定取り付け方式の結果として得られる。この取り付け方式を、可とう性ベルトが「直線」移動のために磁石を支持する直線磁気搬送システム駆動装置において磁石を移動させるための従来技術の方式と対照されたい。したがって、本明細書で説明されているシステムは、X/Y平面内のどこに磁気発生装置が存在するかに関わりなく、ラックと磁界発生装置との間に実質的に均一な磁力を生じさせる。
【0032】
次に図10、11A、11B及び12を参照すると、上述の磁気検体−搬送装置と共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックRが、同様の複数の検体容器Cを受け入れるための複数(この場合には5つ)の区画152を画定するハウジング150を備えるものとして示されている。図示されている実施形態では、ハウジング150はプラスチックで作られており、および、2つの互いに噛み合うセクション、すなわち、容器区画152を画定する上部セクション154と、ラックによって受け入れられる検体容器を支持する基部セクション155とを備え、および、さらには、上述の磁気吸引部材170を収容する働きをする。この2つのセクションは互いに1つに嵌合させられ、および、基部セクションの互いに反対側の末端に設けられている1対の可とう性アーム156によって所定位置に保持される。図11Aと図11Bでは、ラックの上部セクションが、前方壁158と後方壁159との互いに反対側に位置した末端に配置されている1対の互いに平行な端壁157を備えるものとして示されている。複数の等間隔の横断壁160が前方壁と後方壁との間を延びる。この横断壁は容器区画152の各々を区分する働きをする。各区画の最上部には、容器心出しアセンブリ162が設けられている。容器心出しアセンブリ162は、区画内の異なる直径の検体容器に着脱自在に係合しかつその検体容器を心出しする働きをし、これによって受け入れられた容器の中央縦軸線が等間隔に位置させられ、および、共通平面内に互いに平行に配置される。したがって、この検体−容器ラックが検体−搬送モジュール内の検体−吸引位置において位置合わせされる時に、吸引プローブアセンブリは、垂直平面内を横方向へ(X座標に沿って)移動することによって、検体容器の各々の中心に反復的かつ確実に接近することが可能である。心出しアセンブリ162の詳細が、本明細書に引例として組み入れられている共通して譲渡された米国特許第5,687,849号に説明されている。容器心出しアセンブリと容器との間の係合力は、容器が繰り返し反転させられる時に、検体−混合動作中に容器が回転することまたは軸方向に移動することを防止するのに十分な大きさである。
【0033】
図11B及び12に示されているように、壁157、160の後部垂直端縁には、混合装置46の取り付けプレート47から突き出す水平方向に延びる舌片部材47Aを収容する構造が設けられている。この構造は、一連の互いに間隔を置いたノッチ157A、160A、160Bの形態をとる。ノッチ157A、160Aは長方形の形状でありかつ舌片部材47Aのための隙間を提供するが、上述の磁気搬送システムによってラックが混合プレート47の表面に沿って水平方向にスライドさせられるので、ノッチ160Bは、(台形の横断面を有する)舌片部材47Aの互いに反対側に位置した端縁を係合する形で受け入れるようになっている台形の形状を有する。この台形のノッチが、第1および第2の区画152と第4および第5の区画152とを区分する壁160の端縁の中に形成されていることが好ましい。長方形ノッチ157A、160Aの寸法は、舌片部材47Aが壁47に沿って障害なしにスライドしてノッチ160Bに係合することを可能にするような寸法である。2つのノッチ160Bと舌片47Aとの間の係合を完了させる時に、検体−容器ラックは、そのラック内の収容検体が混合させられることを生じさせる混合装置46によって反転させられるための、かつ、関連した臨床機器の吸引プローブアセンブリPAをそのラックによって支持される検体容器のどれか1つに接近させるための位置にある。このラックは、さらに、上述したように、混合プレートによって支持されている永久磁石186と、ラックによって支持されておりかつ表面S上をラックを磁気によって搬送するために使用される磁気吸引部材170との間の磁力によって混合プレートに固定されている。検体混合装置の詳細を更に詳細に後述する。
【0034】
2つのラック構成要素154、155が互いに嵌合される時には、構成要素154、155の各々の中に形成されている1対の円錐形セクション154A、155Aが、それぞれに結合してラック内の各々の検体容器のための円錐形支持体159を形成する。この円錐形支持体は、検体吸引中に軸方向に下方に移動するために容器を防止する。さらに、それらは、検体区画152内の検体−容器の下部部分を心出しする働きをする。基部セクション154は、さらに、ラックの互いに反対側に位置する末端において1対のポケット165A、165Bを画定する。これらのポケットは、前部モジュールハウジング60内に位置している冗長駆動機構(図17、図18に示されている)に関連付けられている可動駆動部材290Aを受け入れるように配置されている。後述するように、この部材がポケット165A、165Bのonの中に入って横方向(X方向)に移動させられ終わった後に、ラックは、そのラックの端壁157の内側上の駆動部材によって及ぼされる力によって経路Fに沿って物理的に引っ張られるだろう。
【0035】
上述の下方に位置する磁気搬送機構によってラックが表面S上を前進させられることを可能にするために、ラックハウジング150の基部セクション155は、1対のU字形の磁気吸引部材170(図12に最も適切に示されている)を受け入れて支持するように構成されている。部材170の各々が強磁性材料を備えることが好ましく、磁気吸引性のステンレス鋼440Cを備えることが最も好ましい。部材170の各々は、ブリッジ部分170Bによって一方の末端で互いに連結されている1対の互いに間隔を置いた脚部部分170Aを備える。部材170は、そのそれぞれの脚部部分170Aの遠位末端171がラックの底面155Aに向かって下方に延びるように、ラックの基部部分内に支持されている。図11Bに示されているように、ラックの底部表面は、ラックの4つの隅において約0.5mmだけ下方に突き出す4つの長方形パッド172を画定する。これらのパッドは、ラックと搬送表面Sとの間の物理的接触だけを実現する。部材170の遠位末端171はパッド172の平面から約0.5mm手前で終端する。遠位末端171の間の間隔は、磁気トラック86によって支持されている永久磁石88、90の磁極端の間の間隔に一致する。この間隔が9.5mmであることが好ましい。したがって、検体−容器ラックが表面S上のそのパッド172上に静止しており、かつ、部材170の遠位末端が磁石88、90の磁極端に並置されている時には、磁気回路が完成されており、および、一方の磁極端から発する磁束が部材170を貫通して反対側の磁極端の中に入る。磁極片の強さが、表面Sの下方を磁気駆動装置が移動する時にラックに対して動きを生じさせるのに十分なだけの磁気結合をラックと駆動機構との間で実現するように選択される。互いに反対側に位置するU字形の構造、すなわち、永久磁石88及び90のための一方のU字形構造と、磁気吸引部材170のための他方のU字形構造とを備えることが、垂直方向の切り離し力に対して比較的に適合していると同時に横方向の切り離し力に対して強力に抵抗する磁気結合を生じさせる。
【0036】
使用時には、本発明のX/Y磁気搬送システムは、最初に、システムコントローラの制御を受けて、投入待ち行列41内の第1のラック、すなわち、図4に示されているガイド部材G1に隣接した位置にあるラックの下方に、磁気トラックを位置させる働きをする。そうする時に、投入待ち行列内でラックを前方に前進させるために使用される機構が、ガイドプレートG1から後ろに3番目のラックとなる位置に単一のラックを前方に前進させることだけしかできないということが指摘されなければならない。したがって、1つまたは2つのラックだけしか投入待ち行列内にない時に磁気搬送機構が投入待ち行列内のラックを磁気によって捕捉する働きをすることを確実なものにするために、磁気搬送機構が、当然のことながらプレートPの下方から、前から3番目のラックの下に位置する箇所において投入バッファの中に「入る」だろう。上述のように投入バッファの中に入る時には、磁気駆動機構は3番目のラック後方位置のラックと磁気的に結合するだろう。係合されたラックが待ち行列中の唯一のラックである場合には、搬送機構が、Y方向に移動することによってガイド部材G1に隣接した整合位置にそのラックを移動させるだろう。その後で、搬送機構は、上述したように、搬送経路Dに沿ってそのラックを沿層方向に移動させるだろう。2つのラックが投入待ち行列中にある場合には、搬送機構はその待ち行列中の後ろに2番目のラックを磁気によって捕捉し、このラックは3番目のラック後方位置に位置させられるだろうし、および、搬送機構は、両方のラックを前方に前進させ、第1のラックがガイド部材G1に接触するまで第2のラックに先がけて第1のラックを押し動かし、この箇所においてそのラックはさらに前方に移動することを防止される。しかし、搬送機構はY方向に前進移動し続け、これによって搬送磁石を第2のラックとの以前の相互作用から切り離し、かつ、これらの磁石を第1のラックの磁気吸引部材と結合させる。理解されるように、3つ以上の磁石が投入待ち行列中に存在する場合には、同じプロセスが繰り返され、この場合には、搬送磁石が待ち行列中の第1のラックと最終的に結合する前に2回にわたって結合および分離させられる。磁気搬送機構は、投入待ち行列中の第1のラックと磁気的に結合されると直ちに、そのラックがそのラックの次の仕向け先に到達し終わるまで、そのラックに結合した状態のままである。
【0037】
図13と図14には、検体の混合のために混合装置46を各ラックに堅固に係合させる好ましい舌片−溝機構(tongue−and−groove mechanism)がさらに明瞭に示されている。上述したように、混合装置46は、混合の前にX/Y駆動機構によって個々のラックがそれに対して配置される、回転自在に取り付けられているプレート47を備える。混合の前に、プレート47は垂直平面内にあり、したがって、ラックを受け入れてそのラックに連結されるように位置決めされている。図13に示すように、プレート47は、より幾分か狭い中心領域182によって区分されている1対のラック係合領域180を有する、水平方向に延びる舌片部材47Aを支持する。領域180の横断方向の横断面は台形の形状であり、および、ラックとプレート47の表面との間の相対的なスライド移動の最中に、ラック壁160内に形成されている2つのノッチ160Bと嵌合するようになっているサイズである。当然のことながら、この移動は、上述の駆動機構70によって実現される。部材47Aの一方の遠位末端に形成されている止め表面184が、第1および第2の容器区画を区分する横断壁160に係合することによって、壁47に沿ったラックの滑動を阻止する働きをする。この時点で、領域180はノッチ160Bと係合しており、および、プレート47上に支持されている永久磁石186が、ラック基部155によって支持されている磁気吸引部材170の1つを磁気的に吸引する。ノッチ160Bの中へ舌片がさらに移動することを阻止する働きをする横断壁に対して止め表面184が係合状態になるようにその止め表面を動かす横方向の力成分をこの磁石が及ぼすように、この磁石の位置は部材170から(直接的に反対側にではなく)わずかにオフセットしている。磁石186と磁気吸引部材170との間の磁気吸引が、後続の混合動作中にラックが舌片領域180上を横方向に移動することを防止するのに十分なだけ強力である。しかし、磁石186と部材170との間の磁気的な相互作用は、混合機構からラックを引き離す時が来る時に、X/Y可動磁気トラックによってラック上に及ぼされる磁力によってその磁気的な相互作用が容易に克服されることが可能であるように十分に弱い。表面Sによって支持されている光電センサ188Aが、プレート47内に形成されている窓188Bを通してラックを検出し、および、ラックが混合のためにそのプレート上に位置していることと、そのプレート47が垂直に方向配置されていることとを示す信号をシステムコントローラに送る。
【0038】
図15Aでは、ラックが、混合の前に混合プレート47に作動的に連結されている形で示されている。プレート47は、システムコントローラ20の制御を受けて動作する双方向ステップモータM6の駆動軸191上で回転するように支持されているヨークアセンブリ190によって支持されている。プレート47が駆動軸軸線を中心として移動する時のそのプレートの角位置が、1対の光電センサPS1、PS2によって検出される。これらの光電センサは、駆動軸191と共にヨーク190が回転する時に、ヨーク190に堅固に取り付けられている半円形の円板192の周縁の周りの選択された位置に位置させられる。各々の光電センサは、互いに反対側に位置しておりかつ互いに間隔を置いているアーム195A、195Bの間に光放出器と光センサとを支持するヨーク形のハウジング195を備える。光電センサのそれぞれのヨークアームが、円板192の周縁内に形成されているノッチ192Aの通過を検出する位置において、円板192の互いに反対側の側面上に配置されている。光電センサは、円板の周縁の周りで互いに角度的に45度の間隔を開けられており、および、図15Aと図16Aとに示されているようにラックが垂直位置にある時に両方のセンサがそのそれぞれの光放出器からの光を検出する(両方のセンサが「ON」である条件)ように配置されている。PS1はその円板によって妨害されていない放出光を検出し、および、PS2は、その放出光がノッチ192Aを通過する時にその放出光を検出する。図15Bと図16Bとに示されているように、モータ軸191が45度の「キャップアップ(cap−up)」位置に回転させられ終わっている時は、PS1はノッチ102Aを通過する光を検出し、かつ、PS2は、円板によって光が遮断されているので光を検出しない。したがって、PS1はONであると同時に、PS2はOFFである。図16Aと図16Bとで見た場合に、駆動軸が反時計回りに回転し続けるので、両方の光電センサが、円板192の後縁がセンサPS2を通過するまでOFF状態にあり、この時点ではPS1がOFFであると同時にPS2がONである。この時点では、容器Cが45度の「キャップダウン(cap−down)」位置に反転させられている。このキャップダウン位置では、容器内の気泡がその容器の底部に移動させられ終わっており、これによってその容器内の液体検体を実質的に混合する。キャップダウン位置に到達し終わると、ステップモータが逆転し、および、容器がその45度のキャップアップ位置に戻され、これによって容器とその内容物とを再反転させる。このサイクルが数回繰り返される。検体がラック内の最初の容器から吸引される前に、検体ラックがそのキャップアップ位置とキャップダウン位置との間を8回転させられることが好ましい。この検体が処理されている最中は、ラックがさらに2回反転させられ、および、この処理が、ラック内の最後の検体が吸引され終わるまで続けられる。したがって、5つの容器を有するラック内の吸引されるべき最後の検体は、吸引の前に16回反転させられるだろう。
【0039】
幾つかの異なる臨床機器が、図6を参照して上述した仕方でそのそれぞれの検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを移送している作業セル環境内においては、1つの機器から別の機器に検体−容器ラックを搬送するために特定の機器のX/Y駆動機構70をバイパスすることを望ましいものかまたは必須なものにする状況が生じる。例えば、中間の機器のX/Y駆動機構が機能していない3つの機器を備える作業セルでは、特定のサンプルの処理必要性の連続した動作の能力を作業セルを提供することが望ましい。したがって、本発明の別の側面によって、図17と図18に示されている冗長駆動機構280が、検体−搬送モジュールのX/Y搬送機構とは無関係に、そのラック−移送ステーションの1つから別のラック−移送ステーションへ、その検体−搬送モジュールを通して検体−容器ラックを前進させるために、各々の検体−搬送モジュール内に設けられている。この冗長駆動機構は各モジュールの前部ハウジング60の中に収容されており、および、ラック−移送ステーション52、54の間を延びる。
【0040】
図17を参照すると、駆動機構280は非円形(例えば星形)の横断面のスプライン軸281を備える。このスプライン軸は、モジュール側壁76、78に堅固に連結されている1対の互いに平行な支持プレート282、283の間を延びる。プレート282、283は、スプライン軸の縦軸線を中心として回転するようにスプライン軸を回転自在に支持する軸受を含む。軸281の回転位置が、壁282上に取り付けられている直線アクチュエータ285によって制御される。アクチュエータ285は、図23に示されている伸長位置と、直線アクチュエータハウジングにより近い非伸長位置との間を軸方向に移動する直線アクチュエータ部材285Aを備える。機械的連結機構287がそのアクチュエータをスプライン軸281に連結する。したがって、直線アクチュエータがその伸長位置と非伸長位置との間を約12mm移動する時に、スプライン軸が約30度の角度範囲にわたって回転する。スプライン軸は、ラック−係合足部材290Aを有するプレート290をスライド自在に支持する。プレート290は、スプライン軸を受け入れてこのスプライン軸にスライド自在に係合するように形作られている中央穴(図示していない)を備えている。プレート290はスプライン軸のトラック(truck)291とナット291Aとの間に締め付け固定されており、このスプライン軸のトラックとナットは、両方ともスプライン軸によってスライド自在に支持されておりかつスプライン軸と共に回転するようになっている。したがって、スプライン軸が直線アクチュエータの引っ込み移動によって回転させられる時に、プレート290はスプライン軸と共に回転し、および、そうする時に、足部分290Aがモジュールの後部に向かってY方向に移動するだろう。検体容器ラックRが図18に示されているように位置している場合には、プレート290の足部材290Aがラック−ポケット165A、165Bのどちらか一方の中に入るだろう。足290Aの幅がラック−ポケットの幅よりも著しく小さいので、その足をそのポケットの中に入れることは実際には比較的容易な作業である。ラック−ポケットの中に入る時には、足部分は、ポケットの側壁に駆動的に係合し、かつ、これによって検体−搬送モジュールの経路Fに沿ってラックを前進させる準備が整っている。直線アクチュエータ部材がその伸長位置に移動する時には、スプライン軸が反対方向(反時計回り方向)に回転し、これによって、足部材290Aがラック−ポケットの外に出て、スプライン軸トラックがスプライン軸に沿って障害なしに移動することを可能にする位置にその足部材290Aが移動することを引き起こす。
【0041】
経路Fに沿ってラックを前進させるために、プレート290は、ベルト駆動システム295によってスプライン軸に沿ってスライド駆動される。このベルト駆動システムは、モジュール側壁76上に取り付けられている双方向ステップモータM8を備える。モータM8はシステムコントローラ20によって制御され、および、駆動プーリ298とアイドラプーリ299との周りに匍わせられているエンドレスベルト297を選択的に前進させる働きをする。この駆動プーリはステップモータの駆動軸上に取り付けられており、および、アイドラプーリ299は、軸支持プレート283上に取り付けられているベルトテンショナハウジング300の基部によって支持されている固定された軸の上に回転するように取り付けられている。図示しているように、ベルト297は、そのモジュールの経路Fに対して平行なX方向に延びる。プレート290は連結機構296を経由して駆動ベルトに機械的に連結されている。
【0042】
動作時には、冗長駆動機構280は、図23に示されている位置、すなわち、図6に示されている経路Fに沿って、互いに隣接する検体−搬送モジュールの互いに反対側に位置する移送ステーション(例えば、図6のステーション52、54)にラックRが跨る位置から、検体−搬送モジュールの反対側の同様の「跨り(spanning)」位置に、ラックを機械的に前進させることによってモジュールをバイパスするために使用されることが可能である。この第2の位置に到達し終わると、そのように搬送されたラックは、隣接するモジュールのX/Y駆動機構すなわち冗長駆動機構による作用を受けるだろう。経路Fに沿ってラックを前進させる時に、プレート290の足部分290Aは、上述した仕方で一方のラックポケット(より内側のポケット)の中に入る。ベルト297がX方向に駆動される時に、プレート290はスプライン軸281に沿ってスライド自在に駆動され、および、足部分290Aの横表面がラックポケットの端壁上に駆動力を及ぼして、表面Sに沿ってラックが引っ張られかつ経路Fに沿って移動することを引き起こすだろう。プレート290がそのモジュールの反対側のその移動の終端に達すると、検体−容器ラックは、ラックの前縁だけがそのモジュールの端縁に到達し終わっているように位置させられるだろう。この時点において、スプライン軸は、ラックとの係合から足部材290Aを取り外すように反対方向に回転させられるだろう。ベルト駆動装置295は、逆の方向に、ラックの後縁の背後にプレート290を位置させる働きをするだろう。その次に、スプライン軸は、足部材を再び完全に伸長させるために再び反対方向に回転し、および、ベルト駆動装置は、スプライン軸に沿って前方にプレートを駆動するために逆転させられるだろう。そうする時に、伸長された足部分はラックの後部端縁に駆動的に係合し、および、これによって、この時点ではモジュールの反対側において、図6と図23とに示されているモジュール−跨り位置にラックが前進し終わるまでそのラックを押す働きをするだろう。その次に、ラックは、隣接するモジュールによって上述の仕方でさらに前進させられるべき位置にある。前述した仕方で多機器作業セルのモジュールをバイパスすることが可能であることが、機器の搬送モジュールの1つがそのラック−搬送システムのどちらか一方の故障を被る時にさえ、作業セルの機器が連結された状態のままであることを可能にする。このラック駆動装置の冗長性が作業セルの全体的な可用性を増大させ、および、オペレータの介入のレベルを減少させる。
【0043】
上述の説明から、上述のタイプのラック−搬送機構と組み合わせて使用するのに特に適している新しくかつ有利な検体−容器ラックが考案されているということが理解されるだろう。開示されているこのラックの構造的な詳細事項(例えば、磁気吸引部材170のサイズと形状と位置、搬送ポケット165A、165Bのサイズと位置、および、ノッチ160Bの形状構成と位置)が、開示されている特定の搬送/混合装置に固有であるということと、本発明の着想からの逸脱なしに、これらの詳細事項に対して幾つかの変更が加えられることが可能であるということが理解されるだろう。したがって、本発明の範囲を決定するものは、添付されている特許請求項だけでなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明が特に有用である多機器作業セルの略図である。
【図2】図2は、臨床機器と組み合わされている検体−搬送モジュールの側面図である。
【図3】図3は、本発明を実現する検体−搬送モジュールの斜視図である。
【図4】図4は、それぞれに、図3に示されている装置によって搬送される様々な検体−容器ラックの空間的位置をさらに示す、図3に示されている装置の平面図と正面図である。
【図5】図5は、それぞれに、図3に示されている装置によって搬送される様々な検体−容器ラックの空間的位置をさらに示す、図3に示されている装置の平面図と正面図である。
【図6】図6は、1つのモジュールから別のモジュールへの検体−容器ラックの移送を示す多機器作業セルの2つの隣接し合う検体−搬送モジュールの平面図である。
【図7】図7は、図1から図6に示されている検体−搬送モジュールの検体−処理部分内の個々の検体−容器ラックのX/Y位置を制御するための好ましいX/Y駆動機構の斜視図である。
【図8A】図8Aは、図7の装置のY駆動部分の拡大斜視図である。
【図8B】図8Bは、図7の装置のY駆動部分の拡大斜視図である。
【図9】図9は、検体−容器ラックに磁気的に結合するための図7の装置で使用される磁気X/Yトラックの拡大底部斜視図である。
【図10】図10は、複数の検体容器を収容する検体−容器ラックの斜視図である。
【図11A】図11Aは、それぞれに、本発明の磁気検体−搬送システムと共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックの平面正面斜視図と底面背面図である。
【図11B】図11Bは、それぞれに、本発明の磁気検体−搬送システムと共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックの平面正面斜視図と底面背面図である。
【図12】図12は、図11Aと図11Bとに示されているラックの底部部分内に取り付けられるようになっている磁気吸引部材の斜視図である。
【図13】図13は、本発明の検体−搬送モジュールの混合装置に検体−容器ラックを作動的に連結する好ましい嵌合構造を示す。
【図14】図14は、本発明の検体−搬送モジュールの混合装置に検体−容器ラックを作動的に連結する好ましい嵌合構造を示す。
【図15A】図15Aは、概ね直立しておりかつ部分的に反転した位置にある検体−容器ラックの位置を示す、検体−混合装置の斜視図である。
【図15B】図15Bは、概ね直立しておりかつ部分的に反転した位置にある検体−容器ラックの位置を示す、検体−混合装置の斜視図である。
【図16A】図16Aは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16B】図16Bは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16C】図16Cは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16D】図16Dは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図17】図17は、互いに隣接する検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを前進させるための好ましい冗長駆動機構を示す。
【図18】図18は、互いに隣接する検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを前進させるための好ましい冗長駆動機構を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床機器による分析または処理のために液体検体の複数の容器(例えば試験管)を支持するために使用されるタイプの検体−容器ラックにおける改良に関する。さらに特に、本発明は、磁力によってラック−支持表面上を搬送されるようになっているタイプの検体−容器ラックにおける改良に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な自動化された臨床機器を使用して、例えば全血、血清、尿、脊髄液等のような様々な液体の生物検体に対して診断検査を行うことが当業で公知である。こうした機器によって分析されるべき検体は、一般的に、様々なタイプの試験管または容器の中に収集される。各々の容器は、通常は、臨床機器の可動的に取り付けられている吸引プローブが処理のための所望の一定分量の検体をそのゴムキャップを貫通して出し入れすることが可能な穿孔可能なゴムキャップによって、その容器の頂部において封止されている。典型的には、バーコード等の形態の符号化された患者情報および試験情報を各々が備えている5つまたは6つの検体容器が、単一のラックすなわち取り枠によって吸引のために支持される。このラックは、各容器の内部にアクセスするための機器の吸引プローブの所要の移動を簡易化するために、その容器を位置合せし、心出しし、等間隔に並べる働きをする。特定の機器では、吸引プローブは機器ハウジングの外側上に可動的に取り付けられている。このような機器では、外部の検体−搬送装置すなわちモジュールが、吸引プローブが各容器から検体を逐次的に吸引することが可能である検体−吸引ステーションすなわち場所に検体−容器ラックを提供するために使用されることが可能である。
【0003】
Lapeus他の名義で出願された米国特許第5,720,377号が、上述のタイプの検体−搬送モジュールを開示している。このモジュールは、関連した臨床機器の外部アクセス可能な吸引プローブに対して個別の検体−容器ラックを提供する働きをする。このモジュールは、一般的に、3つの相互関連したトレイ、すなわち、(a)検体−容器ラックの直線待ち行列を受け入れて一時的に収容するようになっている細長い投入トレイと、(b)この投入トレイから1度に1つずつ検体−容器ラックを受け入れるように、かつ、検体−吸引および試験のための場所にその検体−容器ラックを提供するようになっている可動的に取り付けられている処理トレイと、(c)この処理トレイから1度に1つずつ処理済みのラックを受け入れるように、かつ、後での取り出しのためにそのラックを直線的な排出待ち行列の形で一時的に収容するようになっている細長い排出トレイとを備える。投入トレイと排出トレイは末端と末端とを接して直線的に位置合せされており、および、各々のトレイは、ラックが隣り合わせで(参照せよ、末端と末端とを接して)配列されているそれぞれの直線待ち配列を形成するように、受け入れられたトレイを位置合せするために、ラック上の特徴と相互作用する直線ガイドを備えている。処理トレイは投入トレイと排出トレイとに隣接して配置されており、これらのトレイに平行に延びる。投入トレイ内の積み込み位置に達すると、投入トレイ内の一番先のラックがそのトレイの外に沿層方向に物理的に押し出され、処理トレイの待機中の空のスロットの中に送り込まれる。処理トレイに収容されているラック内の各々の容器を処理する時に、ラックは、投入トレイと排出トレイとに対して平行に直線的に前進させられて、処理されたラックが排出トレイ上に空の空間の中に、この場合も同様に沿層方向に、物理的に押し込まれることが可能である場所に送られる。その次に、別のプッシャ機構が、隣り合わせに配列されている互いにわずかに間隔が開けられたラックの排出待ち行列を形成するように、排出トレイ内の全てのラックを一括して押し動かす働きをする。
【0004】
上述の特許の開示内容では、投入待ち行列のラックの各々が、投入トレイの下方に位置する磁気搬送システムによって投入トレイのラック−支持表面の上を前方に前進させられる。投入トレイは非磁性材料(この場合にはアルミニウム)によって作られており、および、各々の検体−容器ラックは、その基部部分内に1つまたは複数(好ましくは2つ)の磁気吸引部材を有する。この投入トレイの下方に位置する磁気搬送システムは1対の互いに平行なコンベヤベルトを備え、および、このコンベヤベルトの各々は、そのベルト長さに沿った等間隔の位置に複数の永久磁石を有する。このコンベヤベルトは、互いに間隔が開けられているプーリの周りに匍わされており、および、このベルトの各々の1つの直線区間が投入トレイの下側からわずかに離れており、および、意図されたラック移動方向に、すなわち、そのトレイ上の直線ガイドに対して平行な方向に延びる。コンベヤベルトがそのそれぞれの循環経路に沿って駆動される時に、各々のベルトによって1つずつ支持されている2つの永久磁石に関連付けられているそれぞれの磁界が、投入トレイを通過し、および、磁気吸引部材が配置されている2つの箇所で、側部からそのラックに接近する。搬送機構の永久磁石とラックの磁気吸引部材とが磁気的に結合される位置に到達すると、そのラックは、そのトレイの下方の永久磁石の移動に追従して投入トレイの表面に沿ってスライドする。したがって、このラックは、処理トレイの中を沿層方向に機械的に前進させられることが可能である位置に投入トレイ中の先頭のラックが到達し終わるまで、ラックのガイドによって画定されている直線経路に沿って磁気によって前進させられる。
【0005】
上述のラックでは、磁気吸引部材は、そのラックの末端の付近においてそのラックの基部部分内に配置されている。各々の磁気吸引部材は、コンベヤベルトシステムの永久磁石が側部からラックに接近するにつれて、永久磁石が磁気吸引部材の各々の最も厚い部分に対して直接的に対向するまで、または、永久磁石がラックの底面に最も接近しており、および、したがって、永久磁石に最も接近している(両方の場合に)磁気吸引部材の一部分に対して対向するまで、その永久磁石と磁気吸引部材との間の磁力が次第に増大するように、そのラックの幅の端から端まで厚さが次第に厚さが減少しているか、または、ラックの底面に対して一定の角度に配置されている。
【0006】
上述の検体−容器ラックは、単一方向の磁気搬送システムでは有用であるが、互いに垂直な方向において、すなわち、X/Y平面においてラックを搬送するようになっている磁気搬送システムと組み合わせた使用にはあまり適していない。X/Y搬送システムでは、ラックと搬送システムとの間の磁力が、一方向だけの搬送のために最適化されているのではなく、ラックが搬送されるべき方向とは無関係であるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の説明によって、本発明の目的は、検体−搬送装置内の非磁性プレートの上で互いに垂直な方向に磁気搬送システムによって容易に搬送されるようになっている上述のタイプの検体−容器ラックを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的が、検体−搬送モジュールの2つの異なる互いに独立した搬送システムのどちらか一方によって搬送されるようになっている検体−容器ラックを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的が、検体の混合を生じさせるためにラックを反復的に反転させる働きをする検体−混合機構によってラックが着脱自在に係合されることを可能にする構造を有する検体−容器ラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって、検体−容器ラックが、複数の検体−容器を受け取り、位置合せし、および、等間隔に並べるための上部セクションと、この頂部セクションを支持するための基部セクションとを有するハウジングを備える。この基部セクションは、さらに、磁気吸引性の材料を含む1対のU字形部材を支持する。この部材は基部セクション上の互いに間隔を置いた箇所に配置されており、および、各部材は、脚部分を相互連結する一体状の架橋部分によって一方の末端において互いに連結されている1対の互いに間隔を置いた脚部材を備える。ラックの基部セクションは、そのラックの使用時に検体−搬送装置のラック支持表面に隣接して配置される平らな底面を画定する。このU字形部材は、それぞれの脚部材が基部セクションの底面に向かって下向きに垂れ下がるように、基部セクションによって支持されており、その結果として、各脚部材の遠位末端はその表面の平面と実質的に共面である。U字形部材のそれぞれの脚部材の間隔が、検体−搬送装置のラック支持表面の下方に位置する磁気搬送機構によって支持されている1対の対応する形に互いに間隔が開けられている永久磁石の間に磁気回路を完成させるような間隔である。
【0011】
本発明の第2の側面によって、上記タイプの検体−容器ラックは、検体−搬送装置に関連付けられている移動機構がラックに物理的に係合してラック支持表面の上の直線経路に沿ってそのラックを前進させることを可能にする、互いに反対側に位置する端壁に隣接している構造を備えている。
【0012】
本発明の第3の側面によって、上記タイプのラックは、ラックがその支持表面から持ち上げられることと、このラックによって支持された密封容器内の液体検体を混合するためにラックが反転させられることとを可能にする、混合装置の可動的に取り付けられているプレート上の無料の構造と相互作用する、側壁上の構造を備えている。
【0013】
本発明の検体−容器ラックは、互いに垂直な方向に支持表面上を磁気によって搬送されることが可能なので、1方向だけの直線移動のために設計されている以前のラックに比べてその用途が著しく広い。
【0014】
本発明とその様々な側面と利点とが、同じ部品また同じ構成要素を同じ照合文字が示す添付図面を参照して、好ましい実施形態の後述の詳細な説明からより適切に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の検体−容器ラックは、スタンドアロンの検体−搬送モジュールとの組み合せにおいて特に有用である。しかし、本発明が、検体−搬送システムが臨床機器のアクセサリではなく臨床機器の一体的な部分であるスタンドアロン型の臨床機器においても有用であるということが理解されるだろう。
【0016】
さて、図面を参照すると、図1が、多機器作業セル10に提供される全血検体を分析および/または他の形で処理するようになっている多機器作業セル10を概略的に示している。この検体の各々は、(図10、11A、11B、12及び14に示されている)検体−容器ラックRによって概ね直立の方向配置かつ直線的な配列の形に追加の容器と共に支持されている試験管または容器Cによって収容されている。図1に示されている作業セルでは、4つの別々の臨床機器12。14、16、18が、共通のマイクロプロセッサベースのシステムコントローラ20の制御を受けて動作する。機器12と機器14は、例えば、全血検体が従来のフローセルの検出アパーチャを通過する時に各セル上で行われるDC体積測定、RF伝導率測定、および/または、光散乱測定に基づいて全血検体の構成成分血液細胞を従来通りの仕方で識別および計数する働きをする血液学機器であってよい。機器14は、例えば、蛍光測定と、全血検体が光学フローセルの検出区域を通過させられる時にその各セル上で行われる光散乱測定、DC体積測定またはRF伝導率測定との組合せに基づいて、細胞タイプを従来通りの仕方で識別する働きをする蛍光流動細胞測光計であってもよい。機器18は、例えば、後で顕微鏡下で分析されることが可能な顕微鏡スライドガラス上の検体スメアを形成して染色するスライドメーカ(slide−maker)/スライドステイナ(slide−stainer)装置であってもよい。これらの臨床機器は、これらの機器が行う作業とこれらの機器の機械的構造との両方において大きく異なることがあり得るが、各々の機器は、その機器ハウジングの外側上に取り付けられており、かつ、したがって吸引の準備が整っている検体容器の提供のために接近可能である、可動的に取り付けられている吸引プローブアセンブリPAを共通して有する。このプローブアセンブリは、処理のために小体積の収容検体を吸引するためにそのアセンブリに提供された検体−容器の中に入るように(図面の平面の中への)垂直方向の移動と、および、検体−容器ラックによって支持されている検体−容器のいずれか1つに中に入るように(矢印によって示されているように)横方向の移動との両方を行うように取り付けられている。
【0017】
作業セル10は、さらに、複数の同一の検体−搬送モジュール(MOD 22、MOD 24、MOD 26、MOD28)を備え、このモジュールの1つは4つの臨床機器12、14、16、18の各々に動作的に連結されているか、または、他の形で関連付けられている。この検体−搬送モジュールの各々は、少なくとも2つの機能を提供する。第1に、このモジュールは、このモジュールが直接的に関連付けられている機器の検体−提供要件のすべてを満たす機能を果たし、すなわち、(i)そのモジュールの投入バッファに手動で配送される検体容器の複数のラックを受け取り、(ii)このラックを、投入バッファから、特定のラックの検体容器のすべてが関連機器の吸引プローブアセンブリにとって接近可能である検体−吸引ステーションに選択的に搬送し、および、(iii)そのラック内の容器のすべてまたは選択された1つからの所望の検体吸引の後に、排出バッファにラックを配送する働きをする。排出バッファへの配送時に、ラックが、そのラックがそのモジュールから手動で取り除かれることが可能な取り除き位置に前進させられてもよく、または、この代わりに、第1の試験結果が特定の標本の第2の吸引が必要とされることを示す場合または、第1の試験結果が明らかに誤りである場合のように、ラックがリフレックス(reflex)試験または反復試験のために検体−吸引ステーションに戻されてもよい。第2に、検体−搬送モジュールの各々は、他の臨床機器に関連付けられている互いに隣接するモジュールの間で検体−容器のラックを移動させ、これによって、例えばロボットアームまたはコンベヤシステムのような独立した検体−移動機構を全く必要とせずに作業セルの全機器が特定の検体を処理することを可能にする機能を果たす。後者の機能を実現するために、これらのモジュールの各々は隣接モジュールに堅固に連結されており、したがって、図6を特に参照して後述するように、これらのモジュールが検体を往復する形で通過させることを可能にする。検体−搬送モジュールの各々が、さらに、第3の機能、すなわち、後続の処理のために検体を調製するという機能を果たすことが好ましい。この標本調製は、その検体−混合装置に提供された検体−容器ラックを反復的に反転させて収容検体を反復的に反転および混合する働きをする検体−混合装置によって実現される。
【0018】
図2の側面図では、検体−搬送モジュール(例えば、MOD 22)とこれに関連した臨床機器(この場合には機器12)との間の関係が示されている。このモジュール/機器組合せの空間要件を最小にするために、この機器は、モジュールハウジングHの主要部分が臨床機器の主ハウジングH′の下に位置することを可能にするように設計されている。この機器の吸引プローブアセンブリPAは、機器ハウジングの前壁32の前方に延び、および、検体−搬送モジュールは、ラックによって支持されている検体−容器Cが、吸引プローブP′の垂直移動平面と一致する共通の垂直平面V内に配置されるように、吸引位置50(図3に示されている)で検体−容器ラックRを選択的に支持する働きをする。このプローブアセンブリの構造および動作の詳細は十分に理解されており、および、本発明の一部を形成しない。しかし、簡単に述べると、このプローブアセンブリの移動は、システムコントローラ20の制御によって動作する3つのステップモータM1、M2、M3によって制御される。ステップモータM1は、垂直平面すなわち図2のZ座標に沿って吸引プローブとストリッパ機構33とを移動させる働きをし、これによってストリッパ機構33の底面33Aが、吸引されるべきサンプルを収容する検体容器の頂部を取り囲むゴムシールS′の上面と接触するように下方に移動させられることが可能である。その次に、ステップモータM3は、プローブアセンブリの吸引プローブP′の垂直位置を制御する働きをし、これによって、プローブ先端が容器内から一定の体積の検体を吸引するためにシールS′に穿孔してその容器の中に入るように、プローブ先端が下方に駆動されることが可能である。その次に、検体の吸引の後に、モータM3は、容器の外に吸引プローブを引き上げる働きをする。吸引プローブが上方に移動するにつれて、ストリッパ機構33は、容器シールと吸引プローブとの間の摩擦力の結果として、上方に移動する吸引プローブがラックの外に容器を持ち上げようとする傾向を阻止するように、静止状態にかつシールS′との接触状態に保持される。プローブ先端が容器シールの頂部から離れると、モータM1は、ストリッパ機構が容器シールから十分に離れている垂直位置にストリッパ機構と吸引プローブの両方を持ち上げる働きをする。第3のステップモータM2は、図3に示されている検体−吸引ステーション50に位置しているラックによって支持されている検体容器の任意の1つに吸引プローブが接近することができるように、横方向すなわち水平平面内において吸引プローブアセンブリを選択的に移動させる働きをする。
【0019】
さらに図3と図4を参照すると、図1に示されている検体−搬送モジュールの各々は、(i)図10に示されているタイプの例えば20個までの検体−容器ラックRを受け入れて支持するようになっている投入バッファ40と、(ii)検体−容器ラックのそれぞれの検体が処理され終わった後にその検体−容器ラックが中に集積される排出バッファ42と、(iii)検体−吸引および/または混合のために、または、隣接のモジュールへの移送のために、個々の検体−容器ラックを適切に位置させるように、個々の検体−容器ラックがその中を通して前進させられる検体−処理セクション44とを画定する、U字形ハウジングHを備える。投入バッファおよび排出バッファの中のラックが、図3及び4に矢印Aと矢印Bとによってそれぞれに示されている直線経路に沿って移動するように制約されているが、処理セクション44を通過するラックはそのようには制約されていない。実際には、このラックは、そのモジュールが上述の検体提供機能と検体搬送機能とを実現するように(図4のX/Y座標によって示されている)X/Y平面内の様々な互いに垂直な経路に沿って移動することが求められている。
【0020】
処理のために検体−容器ラックを吸引ステーション50に提供する際に、このラックは、X座標に対して平行に延びる検体−処理経路に沿って前方に搬送されるだろう。そのラックは、検体−吸引ステーション50とは概ね反対側の位置に達する時に、検体−混合装置46に関連付けられている取り付けプレート47にそのラックが接触するまで、後方に、すなわち、Y方向においてモジュールの後部に向かって移動させられる。図4に示されているように、Y方向に移動させられる距離yが、そのラックの幅Wよりも幾分か大きく、これによって取り付けプレート47に隣接して位置しているラックからの干渉なしに別のラックが経路Dに沿って通過することを可能にする。プレート47に接触すると、そのラックは、短い距離xだけX方向に再び前方に移動させられる。上述のように移動する時に、そのラックは吸引ステーション50に正確に位置させられ、および、その次に、容器が、関連した臨床機器の吸引プローブアセンブリによって接近される位置にある。さらに、X方向におけるラックの短距離の移動の最中は、そのラックは、後述の舌片/溝によって取り付けプレート47上に堅固に取り付けられる。混合装置の取り付けプレート47は回転自在に取り付けられており、および、回転するにつれて、このプレートに固定されているラックを持ち上げて反転させ、これによって容器内の検体を混合する。検体−混合が、容器から各検体が吸引される直前に行われ、これによって均一な検体を確実なものにすることが好ましい。ラック内の1つまたはすべての検体を吸引した後に、上述した同じX/Y経路に沿ってラックが後方に移動させられ、これによってラックを取り付けプレートから取り外して検体−搬送経路Dにそのラックを戻す。その次に、そのラックは、排出バッファ42とは反対側の位置に到達するまでX方向に経路Dに沿ってさらに搬送される。その次に、そのラックは、Y方向に表面S上を後方にそのラックを移動させることによって排出バッファの中に移動させられる。排出バッファの中に最後に入れられたラックからの試験結果が、試験の反復が必要であることを示す場合には、そのラックが排出バッファから取り出され、および、吸引ステーションにその時点で存在するラックの処理の完了を待機するために、経路Dに沿って逆方向に吸引ステーションと混合ステーションとの上流の位置に移動させられる。この処理が完了され、かつ、吸引/混合ステーション50が空にされた後に、再処理を必要とするラックが処理のために再びステーション50に前進させられる。
【0021】
作業セル内の別の機器によって特定の検体に対して試験を行う必要がある場合には、こうした検体を収容するラックが、そのモジュールの互いに反対側に位置している検体移送ステーション52、54に至る搬送経路EまたはFのどちらかに搬送されるだろう。これらのステーションでは、ラックが、多機器作業セル内の隣接する検体−搬送モジュールの対応する移送ステーションに移送されることが可能である。ラックが1つのモジュールから別のモジュールに移送される仕方を、図6を参照して後述する。
【0022】
図6を参照すると、MOD 24からMOD 22へ検体−容器ラックR′を移送するプロセス中における、2つの互いに隣接する検体搬送モジュールMOD 22、MOD24が示されている。図示されているように、ラックR′は経路Fに沿ってMOD 24のラック−移送ステーション54と、MOD 22のラック−移送ステーション52の対応する経路Fとに搬送され終わっている。後述するように、ラックR′は、モジュールの上面の下に位置するMOD 24のX/Y磁気搬送システムによって示されている「跨り(spanning)」位置に前進させられ終わっている。この搬送システムは、2つの磁気吸引部材が取り付けられているラックの基部部分内の2つの位置にラックを磁気によって結合させる働きをする。この部材は、ラックの互いに反対側の末端において間隔を空けられている。図示されている位置、すなわち、ラックが2つの互いに隣接するモジュールに跨る位置にラックを前進させるために、ラックは最初に、そのラックの最先端がモジュールの端縁と概ね一致しておりかつそのラックの側部がガイド部材G4に隣接している位置に前進させられる。その次に、この磁気搬送機構は、ガイド部材G3に向かってY方向に搬送機構を移動させることによってラックから切り離される。ラックは、ガイドG4と係合しているために、この方向では磁気搬送機構に追従できないので、ラックと搬送機構との間の磁気結合が克服され、および、ラックがモジュールの端縁に残留するだろう。この後で、磁気搬送機構は、ラックによって支持されている2つの磁気吸引部材の一方だけに、すなわち、モジュール端縁からより内側寄りの部材だけに、磁気的に結合するように再位置決めされる。その次に、搬送機構は、ラックがMOD 24の端縁から離れて隣接のモジュールMOD 22の移送ステーションに進むようにそのラックを前進させる働きをする。その次に、MOD 22の磁気駆動システムは、そのシステムがラック移送ステーション52においてラックに磁気的に結合する位置に移動させられ、および、必要に応じてラックをMOD 22の表面S上を移動させる。検体−搬送モジュール全体(および作業セル)にわたってのラックの通行パターンを制御するシステムコントローラ20によって決定される通りに、検体−搬送モジュールの相互間のラック−移送が経路Eまたは経路Fのどちらかの上で生じさせられることが可能であるということが理解されるだろう。しかし、一方の経路が1つの方向にラックを移送するために使用され、および、他方の経路が反対方向にラックを移送するために使用されることが好ましい。ラック−移送ステーションの各々におけるラックの存在を検出する1対の光電センサはその図面には示されていない。別の検体−搬送モジュールに移送されることになっているラックがラック−移送モジュールの経路Eまたは経路Fの反対側の末端のどちらかに搬送される時には、そのラックの存在が移送モジュールのラック−移送ステーションにおけるセンサによって検出される。ラックがラック受け入れモジュールのセンサによってラック−移送ステーションにおいても検出される時には、その時点において、そのラックは、ラック受け入れモジュールのX/Yラック−搬送機構による作用を受ける位置にある。システムコントローラは、ラック受け入れモジュール内でラックをさらに搬送するようにラック受け入れモジュールのX/Y搬送機構を送るために、これらのセンサの出力に対して作用する。
【0023】
図3を再び参照すると、検体−搬送モジュールハウジングHは、互いに反対側に位置する脚部分P1、P2と相互連結基部部分P3とを備えるU字形のトッププレートPを備える。この互いに反対側に位置する脚部分P1、P2は、投入バッファ40と排出バッファ42との中で検体−容器ラックを支持する働きをする。基部部分P3は、処理セクション44内での上述の2次元(X/Y)移動のためにラックを支持する働きをする。プレートPが厚さ約1.5mmの非磁性のステンレス鋼プレートであることが好ましい。その上面は滑らかで平らで特徴がなく、および、この表面が、検体−容器ラックがモジュール内の様々なX方向に延びる経路とY方向に延びる経路とに沿って移動させられる時に、その検体−容器ラックの底面を支持しかつこの底面にスライド自在に係合する。投入バッファ40と排出バッファ42の各々は、それぞれに1対の互いに平行な側壁40A、42Aを備える。これらの壁は表面Sから上方に延び、および、検体−容器ラックの長さLよりもわずかに大きい距離だけ互いに間隔が空けられており、これによって、その検体−容器ラックは、図4に示されているようにバッファによって受け入れられて位置合せされることが可能である。2対の上方に延びる互いに平行なガイド部材G1およびG2とG3およびG4とが、モジュール間のラックの移送中に経路Eと経路Fとの上で適正に位置合せされる(すなわち、傾くことがない)ことを確実なものにするために、ラック−移送ステーション52、54において表面S上に配置されている。ガイドG1は、さらに、そのモジュールの経路Dに沿ってラックが沿層方向に検体−処理セクションの中に移動させられる前に投入バッファ内のラックがそれに対して位置合せされることが可能な止め具として働く。第5のガイド部材G5が、各ラックが経路Dに沿って検体−吸引ステーション50に接近する時に、その各ラックを適正に位置合せする働きをする。ハウジングHの前部において、すなわち、そのモジュールの経路Fに隣接して、そのモジュールの全幅に沿って伸びる細長いハウジング60が設けられている。図17と図18とを参照して後述するように、第1のラック−搬送機構が使用中であるかまたは他の理由のために動作していないモジュールをラックが通過させられることが可能であり、および、これによってバイパスすることが可能であるように、ハウジング60は、検体−容器ラックに物理的に係合してその検体−容器ラックを検体−搬送モジュールの経路Fに沿ってどちらかの方向に搬送する働きをする冗長駆動機構を含む。
【0024】
図4の平面図を参照すると、個々の標本−容器ラックが、投入バッファ40内の積み込みステーションにおいて、典型的には投入待ち行列41の中の最後のラック(すなわち、前部ハウジング60から最も遠いラック)の背後に、手動で積み込まれる。これらのラックは、バッファ側壁40A内に形成されている直線スロット63内を選択的に前後に駆動される1対の互いに反対側に位置したカム駆動されたプッシャ(pusher)部材62(図3に示されている)によって直線経路Aに沿って前方に機械的に押される。このプッシャ部材は、このプッシャ部材が経路Dに向かって前方に駆動される時にこのプッシャ部材が側壁から突き出て両側からラックに係合する(図3に示されている)伸長位置と、投入待ち行列内の最後のラックとこのラックの前方のラックとを前進させるためにこの投入待ち行列内の最後のラックの背後にプッシャ部材が移動することを可能にするように、プッシャ部材が側壁の背後に引っ込められる収縮位置との間を、移動するように取り付けられている。光−センサPS(例えば、検出された反射信号に基づいて動作する従来の光電センサ)が投入バッファの前端部においてトッププレートP上に取り付けられ、および、その待ち行列中の先頭のラックがガイド部材G1に隣接した位置に到達し終わった時にシステムコントローラ20に信号を送る働きをする。この位置に到達すると、ラックは、そのモジュールの検体−処理セクション44を通過させて検体容器のラックを搬送する働きをする本発明の磁気搬送システムによる作用を受ける準備が整っている。
【0025】
本発明では、磁気搬送システムは、上述の搬送モジュールの検体−処理セクション44内部において種々のX及びY通路に沿って検体−容器ラックを前進させるために設けられている。このシステムは(図7に示されている)磁気ラック−搬送機構70を備え、この磁気ラック−容器機構70は、U字形の非磁性プレートPの基部部分P3の下に位置し、および、このU字形の非磁性プレートの上に位置している磁気吸引性の検体−容器ラックを前進させる働きをする。このラックが、互いに反対側の末端においてそのラックの基部部分内に(図12に示されている)1対の強磁性部材を取り付けることによって、磁気吸引性にされることが好ましい。後述するように、機構70は、1対の永久磁石の形態であることが好ましい磁界発生装置を備える。磁石が、プレートPの下面の下方にかつそれに接近してX/Y平面内を移動するように取り付けられている「トラック(truck)」によって支持されている。各磁石によって発生される磁界が搬送モジュールの非磁性支持プレートPを通過して、各々の検体−搬送ラックの基部部分内に支持されている磁気吸引部材と磁気的に結合する。磁石と磁気吸引部材との間のこの磁気結合は、プレートPの下のX/Y平面内を磁石支持トラックが移動する時に、そのプレートの上部表面Sの上の磁気結合ラックが追従するように、十分に強い。
【0026】
図7を参照すると、好ましいX/Y搬送機構70が、1対の互いに独立した双方向の直線駆動機構LD1、LD2を備えるものとして示されている。一方の駆動機構(LD1)は、X座標に平行な第1の直線経路に沿って移動するように他方(LD2)を支持する働きをする。LD1は、さらに、この経路に沿ってLD2をどちらかの方向に選択的に移動させる働きもする。一方、LD2は、第1の直線経路に対して垂直に延びる第2の直線経路に沿って、すなわち、Y座標に対して平行な方向に移動するように磁界発生装置MDを支持する働きをする。LD2は、さらに、この第2の直線経路に沿ってどちらかの方向に磁界発生装置を選択的に前進させる働きもする。この第2の直線経路は非磁性支持プレートの底面からわずかに離れており、および、磁界発生装置は、支持プレート上に位置しているラックの基部部分に磁気的に結合するのに十分な強さである磁界を非磁性支持プレート上に生じさせるのに有効である。したがって、磁界発生装置がLD2によって第2の直線経路に沿って前進させられるので、および、LD2がLD1によって第1の直線経路に沿って前進させられるので、ラックは、X/Y平面内において、かつ、LD1とLD2との荷重によって決定される互い垂直の経路に沿って、支持プレートの上を移動する。この駆動機構の構造的な詳細を後述する。
【0027】
図7に示されているように、直線駆動機構LD1は、モジュールハウジングHの互いに反対側の側壁76、78によってその支持軸のそれぞれの末端において支持されている、1対の互いに間隔を置いておりかつ実質的に互いに平行である支持軸72、74を備える。軸72と軸74との間の好ましい間隔は約16cmである。図示されているように、軸72と軸74はX座標に対して平行に延び、および、X座標に対して平行なスライド移動を実現するために第2の直線駆動機構LD2を共に支持する。図8Aと図8Bとに最も適切に示されているように、LD2は、3つのスリーブ軸受83A、83B、84が中に取り付けられている細長いハウジング82を備える。軸受83A、83Bはハウジング82の互いに反対側の側部上に位置しており、および、軸72、すなわち、いわゆる「基準(datum)」軸上をスライドするように位置合せされている。LD2ハウジング82が基準軸に沿った移動中は常に基準軸に対して垂直なままであることを確実なものにするために、軸受83A、83Bのそれぞれの外側寄りの端縁(outboard edge)は互いに比較的に大きく(例えば、約10cm)離れている。軸受84は、ハウジング82内に形成されている水平スロット内に支持されており、および、この軸受は、X方向のLD2ハウジングの移動中に軸74(「回転止め(anti−rotation)」軸)に沿って乗って進む。スロット取り付け台は、回転止め軸が基準軸に対して完全には平行ではなくても、その回転止め軸に沿って軸受84が滑らかにスライドすることを可能にする。しかし、これと同時に、スロット取り付け台はLD2ハウジングが(基準軸を中心として)旋回することを防止し、これによってこのハウジングが、基準軸に沿ったトラックアセンブリの移動中は常に水平(X/Y)平面内に留まることを確実なものにする。後述するように、LD2ハウジング自体は、Y座標に対して平行なスライド移動のために永久磁石軸受トラック86を支持する。トラック86が、各々の検体−容器ラックの基部部分内に支持されている1対の磁気吸引部材170(図12に示されている)と磁気的に相互作用し結合する1対のU字形磁石88、90を支持することが好ましい。上述したように、磁石と磁気吸引部材170との間のこの磁気的な相互作用は、検体−容器ラックが表面Sを端から端までスライドして表面Sの下の磁気トラック86の移動に追従することを生じさせるのに十分なだけ強力である。
【0028】
図7に示されているように、X方向における(すなわち、軸72、74に沿った)LD2ハウジングの移動は、モジュールハウジング壁76、78の間に取り付けられているベルト駆動機構100によって生じさせられる。駆動機構100は、駆動プーリ104とアイドラプーリ105との間に跨るエンドレスベルト103を備える。駆動プーリ104は、ハウジング壁76上に取り付けられているX駆動モータM4の駆動軸によって回転駆動される。モータM4は、システムコントローラ20の制御を受けて動作する双方向ステップモータである。LD2ハウジング82の一方の末端に位置したタブ91が、X駆動機構のための「基準(home)」位置と、磁気トラック86のX位置に関する基準点とを提供するために、モジュールハウジング側壁76上に取り付けられている光電センサ(図示されていない)によって検出される。
【0029】
図8Aと図8Bとを参照すると、X/Y磁気駆動機構70のLD2ハウジング82は、上述のスリーブ軸受83A,83B、94が中に取り付けられている細長い棒110を備える。棒110は、その最上の表面に沿って直線レール112を支持する。レール112は、スリーブ軸受のそれぞれの縦軸線に対して垂直な方向に延びる。したがって、スリーブ軸受がそのスリーブ軸受のそれぞれの軸の上に取り付けられている時に、レール112はY座標に対して平行に延びる。一方、レール112は、上述の永久磁石軸受トラック86をスライド可能な形で支持する。永久磁石軸受トラック86は、レール112に沿ってスライドするようになっている溝形部材116を備える。部材116は、後述するように、永久磁石88、90が上に取り付けられている非磁性プレート118に堅固に連結されている。図8Bに最も適切に示されているように、プレート118は、第2のベルト駆動機構120によってレール112に沿って選択的に駆動される。この第2のベルト駆動機構120は、エンドレスベルト121と、1対のプーリ122、123と、フレックスケーブル(図示してない)を介してシステムコントローラ20と通信してこのシステムコントローラ20によって制御される双方向ステップモータM5(Y駆動モータ)とを備える。プーリ122は、モータM5の駆動軸124によって回転駆動されており、および、アイドラプーリ123が棒部材110から延びる固定された軸126上に回転可能な形で取り付けられている。軸124、126のそれぞれの軸線がX座標に対して平行に延びる。ベルト121が、図示されている駆動プーリとアイドラプーリ123との周りに匍わせられており、および、図9に最も適切に示されているブラケット127によって磁気トラックアセンブリ94に作動的に連結されている。したがって、ステップモータM5の駆動軸が回転するにつれて、ベルト121がプーリ123とプーリ123との上を前進し、および、このベルトと磁気トラックアセンブリ94との連結によって、Y方向におけるプレート118によって支持されている永久磁石の位置が、ステップモータ駆動軸の軸方向位置によって決定されるということが理解されるだろう。プレート118の底面から垂れ下がるフラグ部材129が、Y駆動機構の「基準」位置を決定するためにハウジングHの側壁76上に取り付けられている光電センサPS(図7に示されている)によって検出され、および、したがって、磁気トラックのY位置に関する基準点を提供する。ハウジングフレーム上のXセンサとYセンサとが、磁気トラックのX基準位置が最初に検出され、その次にそのY基準位置が検出されるように、配置されている。
【0030】
さらに図9を参照すると、永久磁石88、90の各々が、フラックスブリッジ130によって互いに連結されている1対の円筒形の棒磁石128、129を備える。この棒磁石はプレート118内に形成されている円筒形の穴によって受け入れられ、および、互いに反対の磁極(北極/南極)がプレート表面の上方を延びるように配置されている。この永久磁石は、プレート118の基部の中にねじ込まれておりかつフラックスブリッジ内に形成されているクリアランスホールを貫通して下方に延びる肩つきねじ134を取り囲むばね132によって上方に偏倚させられている。このコイルばねの一方の末端はボルト頭134Aによって支持されており、および、このばねの反対側の末端はフラックスブリッジに係合し、これによってフラックスブリッジを圧迫してプレート118の下面に接触させる。棒磁石の各々が約9.5mmの直径を有し、かつ、磁石が中心間で約19mmの間隔を空けられていることが好ましい。各磁石の長さは、フラックスブリッジがそのプレート118の下面に接触する時にプレート118の上方に約3mm突き出すような長さである。各磁石がネオジム添加鉄を含むことが好ましい。フラックスブリッジは鉄で造られており、かつ、約3mmの厚さである。X/Y駆動システム70が、約1mmの間隔が棒磁石の頂部とラック支持プレートPの底部との間に設けられていることが好ましい。
【0031】
上述のX/Y駆動機構では、磁気トラック86によって支持されている永久磁石とプレートPの底面との間の間隔が磁気トラックのX/Y移動全体にわたって実質的に一定不変に維持されることが可能であるということが指摘されなければならない。このシステムのこの特質が、トラックが移動する時にそのトラックを支持するために堅固な軸または棒72、74とレール112とを使用する固定取り付け方式の結果として得られる。この取り付け方式を、可とう性ベルトが「直線」移動のために磁石を支持する直線磁気搬送システム駆動装置において磁石を移動させるための従来技術の方式と対照されたい。したがって、本明細書で説明されているシステムは、X/Y平面内のどこに磁気発生装置が存在するかに関わりなく、ラックと磁界発生装置との間に実質的に均一な磁力を生じさせる。
【0032】
次に図10、11A、11B及び12を参照すると、上述の磁気検体−搬送装置と共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックRが、同様の複数の検体容器Cを受け入れるための複数(この場合には5つ)の区画152を画定するハウジング150を備えるものとして示されている。図示されている実施形態では、ハウジング150はプラスチックで作られており、および、2つの互いに噛み合うセクション、すなわち、容器区画152を画定する上部セクション154と、ラックによって受け入れられる検体容器を支持する基部セクション155とを備え、および、さらには、上述の磁気吸引部材170を収容する働きをする。この2つのセクションは互いに1つに嵌合させられ、および、基部セクションの互いに反対側の末端に設けられている1対の可とう性アーム156によって所定位置に保持される。図11Aと図11Bでは、ラックの上部セクションが、前方壁158と後方壁159との互いに反対側に位置した末端に配置されている1対の互いに平行な端壁157を備えるものとして示されている。複数の等間隔の横断壁160が前方壁と後方壁との間を延びる。この横断壁は容器区画152の各々を区分する働きをする。各区画の最上部には、容器心出しアセンブリ162が設けられている。容器心出しアセンブリ162は、区画内の異なる直径の検体容器に着脱自在に係合しかつその検体容器を心出しする働きをし、これによって受け入れられた容器の中央縦軸線が等間隔に位置させられ、および、共通平面内に互いに平行に配置される。したがって、この検体−容器ラックが検体−搬送モジュール内の検体−吸引位置において位置合わせされる時に、吸引プローブアセンブリは、垂直平面内を横方向へ(X座標に沿って)移動することによって、検体容器の各々の中心に反復的かつ確実に接近することが可能である。心出しアセンブリ162の詳細が、本明細書に引例として組み入れられている共通して譲渡された米国特許第5,687,849号に説明されている。容器心出しアセンブリと容器との間の係合力は、容器が繰り返し反転させられる時に、検体−混合動作中に容器が回転することまたは軸方向に移動することを防止するのに十分な大きさである。
【0033】
図11B及び12に示されているように、壁157、160の後部垂直端縁には、混合装置46の取り付けプレート47から突き出す水平方向に延びる舌片部材47Aを収容する構造が設けられている。この構造は、一連の互いに間隔を置いたノッチ157A、160A、160Bの形態をとる。ノッチ157A、160Aは長方形の形状でありかつ舌片部材47Aのための隙間を提供するが、上述の磁気搬送システムによってラックが混合プレート47の表面に沿って水平方向にスライドさせられるので、ノッチ160Bは、(台形の横断面を有する)舌片部材47Aの互いに反対側に位置した端縁を係合する形で受け入れるようになっている台形の形状を有する。この台形のノッチが、第1および第2の区画152と第4および第5の区画152とを区分する壁160の端縁の中に形成されていることが好ましい。長方形ノッチ157A、160Aの寸法は、舌片部材47Aが壁47に沿って障害なしにスライドしてノッチ160Bに係合することを可能にするような寸法である。2つのノッチ160Bと舌片47Aとの間の係合を完了させる時に、検体−容器ラックは、そのラック内の収容検体が混合させられることを生じさせる混合装置46によって反転させられるための、かつ、関連した臨床機器の吸引プローブアセンブリPAをそのラックによって支持される検体容器のどれか1つに接近させるための位置にある。このラックは、さらに、上述したように、混合プレートによって支持されている永久磁石186と、ラックによって支持されておりかつ表面S上をラックを磁気によって搬送するために使用される磁気吸引部材170との間の磁力によって混合プレートに固定されている。検体混合装置の詳細を更に詳細に後述する。
【0034】
2つのラック構成要素154、155が互いに嵌合される時には、構成要素154、155の各々の中に形成されている1対の円錐形セクション154A、155Aが、それぞれに結合してラック内の各々の検体容器のための円錐形支持体159を形成する。この円錐形支持体は、検体吸引中に軸方向に下方に移動するために容器を防止する。さらに、それらは、検体区画152内の検体−容器の下部部分を心出しする働きをする。基部セクション154は、さらに、ラックの互いに反対側に位置する末端において1対のポケット165A、165Bを画定する。これらのポケットは、前部モジュールハウジング60内に位置している冗長駆動機構(図17、図18に示されている)に関連付けられている可動駆動部材290Aを受け入れるように配置されている。後述するように、この部材がポケット165A、165Bのonの中に入って横方向(X方向)に移動させられ終わった後に、ラックは、そのラックの端壁157の内側上の駆動部材によって及ぼされる力によって経路Fに沿って物理的に引っ張られるだろう。
【0035】
上述の下方に位置する磁気搬送機構によってラックが表面S上を前進させられることを可能にするために、ラックハウジング150の基部セクション155は、1対のU字形の磁気吸引部材170(図12に最も適切に示されている)を受け入れて支持するように構成されている。部材170の各々が強磁性材料を備えることが好ましく、磁気吸引性のステンレス鋼440Cを備えることが最も好ましい。部材170の各々は、ブリッジ部分170Bによって一方の末端で互いに連結されている1対の互いに間隔を置いた脚部部分170Aを備える。部材170は、そのそれぞれの脚部部分170Aの遠位末端171がラックの底面155Aに向かって下方に延びるように、ラックの基部部分内に支持されている。図11Bに示されているように、ラックの底部表面は、ラックの4つの隅において約0.5mmだけ下方に突き出す4つの長方形パッド172を画定する。これらのパッドは、ラックと搬送表面Sとの間の物理的接触だけを実現する。部材170の遠位末端171はパッド172の平面から約0.5mm手前で終端する。遠位末端171の間の間隔は、磁気トラック86によって支持されている永久磁石88、90の磁極端の間の間隔に一致する。この間隔が9.5mmであることが好ましい。したがって、検体−容器ラックが表面S上のそのパッド172上に静止しており、かつ、部材170の遠位末端が磁石88、90の磁極端に並置されている時には、磁気回路が完成されており、および、一方の磁極端から発する磁束が部材170を貫通して反対側の磁極端の中に入る。磁極片の強さが、表面Sの下方を磁気駆動装置が移動する時にラックに対して動きを生じさせるのに十分なだけの磁気結合をラックと駆動機構との間で実現するように選択される。互いに反対側に位置するU字形の構造、すなわち、永久磁石88及び90のための一方のU字形構造と、磁気吸引部材170のための他方のU字形構造とを備えることが、垂直方向の切り離し力に対して比較的に適合していると同時に横方向の切り離し力に対して強力に抵抗する磁気結合を生じさせる。
【0036】
使用時には、本発明のX/Y磁気搬送システムは、最初に、システムコントローラの制御を受けて、投入待ち行列41内の第1のラック、すなわち、図4に示されているガイド部材G1に隣接した位置にあるラックの下方に、磁気トラックを位置させる働きをする。そうする時に、投入待ち行列内でラックを前方に前進させるために使用される機構が、ガイドプレートG1から後ろに3番目のラックとなる位置に単一のラックを前方に前進させることだけしかできないということが指摘されなければならない。したがって、1つまたは2つのラックだけしか投入待ち行列内にない時に磁気搬送機構が投入待ち行列内のラックを磁気によって捕捉する働きをすることを確実なものにするために、磁気搬送機構が、当然のことながらプレートPの下方から、前から3番目のラックの下に位置する箇所において投入バッファの中に「入る」だろう。上述のように投入バッファの中に入る時には、磁気駆動機構は3番目のラック後方位置のラックと磁気的に結合するだろう。係合されたラックが待ち行列中の唯一のラックである場合には、搬送機構が、Y方向に移動することによってガイド部材G1に隣接した整合位置にそのラックを移動させるだろう。その後で、搬送機構は、上述したように、搬送経路Dに沿ってそのラックを沿層方向に移動させるだろう。2つのラックが投入待ち行列中にある場合には、搬送機構はその待ち行列中の後ろに2番目のラックを磁気によって捕捉し、このラックは3番目のラック後方位置に位置させられるだろうし、および、搬送機構は、両方のラックを前方に前進させ、第1のラックがガイド部材G1に接触するまで第2のラックに先がけて第1のラックを押し動かし、この箇所においてそのラックはさらに前方に移動することを防止される。しかし、搬送機構はY方向に前進移動し続け、これによって搬送磁石を第2のラックとの以前の相互作用から切り離し、かつ、これらの磁石を第1のラックの磁気吸引部材と結合させる。理解されるように、3つ以上の磁石が投入待ち行列中に存在する場合には、同じプロセスが繰り返され、この場合には、搬送磁石が待ち行列中の第1のラックと最終的に結合する前に2回にわたって結合および分離させられる。磁気搬送機構は、投入待ち行列中の第1のラックと磁気的に結合されると直ちに、そのラックがそのラックの次の仕向け先に到達し終わるまで、そのラックに結合した状態のままである。
【0037】
図13と図14には、検体の混合のために混合装置46を各ラックに堅固に係合させる好ましい舌片−溝機構(tongue−and−groove mechanism)がさらに明瞭に示されている。上述したように、混合装置46は、混合の前にX/Y駆動機構によって個々のラックがそれに対して配置される、回転自在に取り付けられているプレート47を備える。混合の前に、プレート47は垂直平面内にあり、したがって、ラックを受け入れてそのラックに連結されるように位置決めされている。図13に示すように、プレート47は、より幾分か狭い中心領域182によって区分されている1対のラック係合領域180を有する、水平方向に延びる舌片部材47Aを支持する。領域180の横断方向の横断面は台形の形状であり、および、ラックとプレート47の表面との間の相対的なスライド移動の最中に、ラック壁160内に形成されている2つのノッチ160Bと嵌合するようになっているサイズである。当然のことながら、この移動は、上述の駆動機構70によって実現される。部材47Aの一方の遠位末端に形成されている止め表面184が、第1および第2の容器区画を区分する横断壁160に係合することによって、壁47に沿ったラックの滑動を阻止する働きをする。この時点で、領域180はノッチ160Bと係合しており、および、プレート47上に支持されている永久磁石186が、ラック基部155によって支持されている磁気吸引部材170の1つを磁気的に吸引する。ノッチ160Bの中へ舌片がさらに移動することを阻止する働きをする横断壁に対して止め表面184が係合状態になるようにその止め表面を動かす横方向の力成分をこの磁石が及ぼすように、この磁石の位置は部材170から(直接的に反対側にではなく)わずかにオフセットしている。磁石186と磁気吸引部材170との間の磁気吸引が、後続の混合動作中にラックが舌片領域180上を横方向に移動することを防止するのに十分なだけ強力である。しかし、磁石186と部材170との間の磁気的な相互作用は、混合機構からラックを引き離す時が来る時に、X/Y可動磁気トラックによってラック上に及ぼされる磁力によってその磁気的な相互作用が容易に克服されることが可能であるように十分に弱い。表面Sによって支持されている光電センサ188Aが、プレート47内に形成されている窓188Bを通してラックを検出し、および、ラックが混合のためにそのプレート上に位置していることと、そのプレート47が垂直に方向配置されていることとを示す信号をシステムコントローラに送る。
【0038】
図15Aでは、ラックが、混合の前に混合プレート47に作動的に連結されている形で示されている。プレート47は、システムコントローラ20の制御を受けて動作する双方向ステップモータM6の駆動軸191上で回転するように支持されているヨークアセンブリ190によって支持されている。プレート47が駆動軸軸線を中心として移動する時のそのプレートの角位置が、1対の光電センサPS1、PS2によって検出される。これらの光電センサは、駆動軸191と共にヨーク190が回転する時に、ヨーク190に堅固に取り付けられている半円形の円板192の周縁の周りの選択された位置に位置させられる。各々の光電センサは、互いに反対側に位置しておりかつ互いに間隔を置いているアーム195A、195Bの間に光放出器と光センサとを支持するヨーク形のハウジング195を備える。光電センサのそれぞれのヨークアームが、円板192の周縁内に形成されているノッチ192Aの通過を検出する位置において、円板192の互いに反対側の側面上に配置されている。光電センサは、円板の周縁の周りで互いに角度的に45度の間隔を開けられており、および、図15Aと図16Aとに示されているようにラックが垂直位置にある時に両方のセンサがそのそれぞれの光放出器からの光を検出する(両方のセンサが「ON」である条件)ように配置されている。PS1はその円板によって妨害されていない放出光を検出し、および、PS2は、その放出光がノッチ192Aを通過する時にその放出光を検出する。図15Bと図16Bとに示されているように、モータ軸191が45度の「キャップアップ(cap−up)」位置に回転させられ終わっている時は、PS1はノッチ102Aを通過する光を検出し、かつ、PS2は、円板によって光が遮断されているので光を検出しない。したがって、PS1はONであると同時に、PS2はOFFである。図16Aと図16Bとで見た場合に、駆動軸が反時計回りに回転し続けるので、両方の光電センサが、円板192の後縁がセンサPS2を通過するまでOFF状態にあり、この時点ではPS1がOFFであると同時にPS2がONである。この時点では、容器Cが45度の「キャップダウン(cap−down)」位置に反転させられている。このキャップダウン位置では、容器内の気泡がその容器の底部に移動させられ終わっており、これによってその容器内の液体検体を実質的に混合する。キャップダウン位置に到達し終わると、ステップモータが逆転し、および、容器がその45度のキャップアップ位置に戻され、これによって容器とその内容物とを再反転させる。このサイクルが数回繰り返される。検体がラック内の最初の容器から吸引される前に、検体ラックがそのキャップアップ位置とキャップダウン位置との間を8回転させられることが好ましい。この検体が処理されている最中は、ラックがさらに2回反転させられ、および、この処理が、ラック内の最後の検体が吸引され終わるまで続けられる。したがって、5つの容器を有するラック内の吸引されるべき最後の検体は、吸引の前に16回反転させられるだろう。
【0039】
幾つかの異なる臨床機器が、図6を参照して上述した仕方でそのそれぞれの検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを移送している作業セル環境内においては、1つの機器から別の機器に検体−容器ラックを搬送するために特定の機器のX/Y駆動機構70をバイパスすることを望ましいものかまたは必須なものにする状況が生じる。例えば、中間の機器のX/Y駆動機構が機能していない3つの機器を備える作業セルでは、特定のサンプルの処理必要性の連続した動作の能力を作業セルを提供することが望ましい。したがって、本発明の別の側面によって、図17と図18に示されている冗長駆動機構280が、検体−搬送モジュールのX/Y搬送機構とは無関係に、そのラック−移送ステーションの1つから別のラック−移送ステーションへ、その検体−搬送モジュールを通して検体−容器ラックを前進させるために、各々の検体−搬送モジュール内に設けられている。この冗長駆動機構は各モジュールの前部ハウジング60の中に収容されており、および、ラック−移送ステーション52、54の間を延びる。
【0040】
図17を参照すると、駆動機構280は非円形(例えば星形)の横断面のスプライン軸281を備える。このスプライン軸は、モジュール側壁76、78に堅固に連結されている1対の互いに平行な支持プレート282、283の間を延びる。プレート282、283は、スプライン軸の縦軸線を中心として回転するようにスプライン軸を回転自在に支持する軸受を含む。軸281の回転位置が、壁282上に取り付けられている直線アクチュエータ285によって制御される。アクチュエータ285は、図23に示されている伸長位置と、直線アクチュエータハウジングにより近い非伸長位置との間を軸方向に移動する直線アクチュエータ部材285Aを備える。機械的連結機構287がそのアクチュエータをスプライン軸281に連結する。したがって、直線アクチュエータがその伸長位置と非伸長位置との間を約12mm移動する時に、スプライン軸が約30度の角度範囲にわたって回転する。スプライン軸は、ラック−係合足部材290Aを有するプレート290をスライド自在に支持する。プレート290は、スプライン軸を受け入れてこのスプライン軸にスライド自在に係合するように形作られている中央穴(図示していない)を備えている。プレート290はスプライン軸のトラック(truck)291とナット291Aとの間に締め付け固定されており、このスプライン軸のトラックとナットは、両方ともスプライン軸によってスライド自在に支持されておりかつスプライン軸と共に回転するようになっている。したがって、スプライン軸が直線アクチュエータの引っ込み移動によって回転させられる時に、プレート290はスプライン軸と共に回転し、および、そうする時に、足部分290Aがモジュールの後部に向かってY方向に移動するだろう。検体容器ラックRが図18に示されているように位置している場合には、プレート290の足部材290Aがラック−ポケット165A、165Bのどちらか一方の中に入るだろう。足290Aの幅がラック−ポケットの幅よりも著しく小さいので、その足をそのポケットの中に入れることは実際には比較的容易な作業である。ラック−ポケットの中に入る時には、足部分は、ポケットの側壁に駆動的に係合し、かつ、これによって検体−搬送モジュールの経路Fに沿ってラックを前進させる準備が整っている。直線アクチュエータ部材がその伸長位置に移動する時には、スプライン軸が反対方向(反時計回り方向)に回転し、これによって、足部材290Aがラック−ポケットの外に出て、スプライン軸トラックがスプライン軸に沿って障害なしに移動することを可能にする位置にその足部材290Aが移動することを引き起こす。
【0041】
経路Fに沿ってラックを前進させるために、プレート290は、ベルト駆動システム295によってスプライン軸に沿ってスライド駆動される。このベルト駆動システムは、モジュール側壁76上に取り付けられている双方向ステップモータM8を備える。モータM8はシステムコントローラ20によって制御され、および、駆動プーリ298とアイドラプーリ299との周りに匍わせられているエンドレスベルト297を選択的に前進させる働きをする。この駆動プーリはステップモータの駆動軸上に取り付けられており、および、アイドラプーリ299は、軸支持プレート283上に取り付けられているベルトテンショナハウジング300の基部によって支持されている固定された軸の上に回転するように取り付けられている。図示しているように、ベルト297は、そのモジュールの経路Fに対して平行なX方向に延びる。プレート290は連結機構296を経由して駆動ベルトに機械的に連結されている。
【0042】
動作時には、冗長駆動機構280は、図23に示されている位置、すなわち、図6に示されている経路Fに沿って、互いに隣接する検体−搬送モジュールの互いに反対側に位置する移送ステーション(例えば、図6のステーション52、54)にラックRが跨る位置から、検体−搬送モジュールの反対側の同様の「跨り(spanning)」位置に、ラックを機械的に前進させることによってモジュールをバイパスするために使用されることが可能である。この第2の位置に到達し終わると、そのように搬送されたラックは、隣接するモジュールのX/Y駆動機構すなわち冗長駆動機構による作用を受けるだろう。経路Fに沿ってラックを前進させる時に、プレート290の足部分290Aは、上述した仕方で一方のラックポケット(より内側のポケット)の中に入る。ベルト297がX方向に駆動される時に、プレート290はスプライン軸281に沿ってスライド自在に駆動され、および、足部分290Aの横表面がラックポケットの端壁上に駆動力を及ぼして、表面Sに沿ってラックが引っ張られかつ経路Fに沿って移動することを引き起こすだろう。プレート290がそのモジュールの反対側のその移動の終端に達すると、検体−容器ラックは、ラックの前縁だけがそのモジュールの端縁に到達し終わっているように位置させられるだろう。この時点において、スプライン軸は、ラックとの係合から足部材290Aを取り外すように反対方向に回転させられるだろう。ベルト駆動装置295は、逆の方向に、ラックの後縁の背後にプレート290を位置させる働きをするだろう。その次に、スプライン軸は、足部材を再び完全に伸長させるために再び反対方向に回転し、および、ベルト駆動装置は、スプライン軸に沿って前方にプレートを駆動するために逆転させられるだろう。そうする時に、伸長された足部分はラックの後部端縁に駆動的に係合し、および、これによって、この時点ではモジュールの反対側において、図6と図23とに示されているモジュール−跨り位置にラックが前進し終わるまでそのラックを押す働きをするだろう。その次に、ラックは、隣接するモジュールによって上述の仕方でさらに前進させられるべき位置にある。前述した仕方で多機器作業セルのモジュールをバイパスすることが可能であることが、機器の搬送モジュールの1つがそのラック−搬送システムのどちらか一方の故障を被る時にさえ、作業セルの機器が連結された状態のままであることを可能にする。このラック駆動装置の冗長性が作業セルの全体的な可用性を増大させ、および、オペレータの介入のレベルを減少させる。
【0043】
上述の説明から、上述のタイプのラック−搬送機構と組み合わせて使用するのに特に適している新しくかつ有利な検体−容器ラックが考案されているということが理解されるだろう。開示されているこのラックの構造的な詳細事項(例えば、磁気吸引部材170のサイズと形状と位置、搬送ポケット165A、165Bのサイズと位置、および、ノッチ160Bの形状構成と位置)が、開示されている特定の搬送/混合装置に固有であるということと、本発明の着想からの逸脱なしに、これらの詳細事項に対して幾つかの変更が加えられることが可能であるということが理解されるだろう。したがって、本発明の範囲を決定するものは、添付されている特許請求項だけでなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明が特に有用である多機器作業セルの略図である。
【図2】図2は、臨床機器と組み合わされている検体−搬送モジュールの側面図である。
【図3】図3は、本発明を実現する検体−搬送モジュールの斜視図である。
【図4】図4は、それぞれに、図3に示されている装置によって搬送される様々な検体−容器ラックの空間的位置をさらに示す、図3に示されている装置の平面図と正面図である。
【図5】図5は、それぞれに、図3に示されている装置によって搬送される様々な検体−容器ラックの空間的位置をさらに示す、図3に示されている装置の平面図と正面図である。
【図6】図6は、1つのモジュールから別のモジュールへの検体−容器ラックの移送を示す多機器作業セルの2つの隣接し合う検体−搬送モジュールの平面図である。
【図7】図7は、図1から図6に示されている検体−搬送モジュールの検体−処理部分内の個々の検体−容器ラックのX/Y位置を制御するための好ましいX/Y駆動機構の斜視図である。
【図8A】図8Aは、図7の装置のY駆動部分の拡大斜視図である。
【図8B】図8Bは、図7の装置のY駆動部分の拡大斜視図である。
【図9】図9は、検体−容器ラックに磁気的に結合するための図7の装置で使用される磁気X/Yトラックの拡大底部斜視図である。
【図10】図10は、複数の検体容器を収容する検体−容器ラックの斜視図である。
【図11A】図11Aは、それぞれに、本発明の磁気検体−搬送システムと共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックの平面正面斜視図と底面背面図である。
【図11B】図11Bは、それぞれに、本発明の磁気検体−搬送システムと共に使用するようになっている好ましい検体−容器ラックの平面正面斜視図と底面背面図である。
【図12】図12は、図11Aと図11Bとに示されているラックの底部部分内に取り付けられるようになっている磁気吸引部材の斜視図である。
【図13】図13は、本発明の検体−搬送モジュールの混合装置に検体−容器ラックを作動的に連結する好ましい嵌合構造を示す。
【図14】図14は、本発明の検体−搬送モジュールの混合装置に検体−容器ラックを作動的に連結する好ましい嵌合構造を示す。
【図15A】図15Aは、概ね直立しておりかつ部分的に反転した位置にある検体−容器ラックの位置を示す、検体−混合装置の斜視図である。
【図15B】図15Bは、概ね直立しておりかつ部分的に反転した位置にある検体−容器ラックの位置を示す、検体−混合装置の斜視図である。
【図16A】図16Aは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16B】図16Bは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16C】図16Cは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図16D】図16Dは、検体−混合動作中の4つの異なる時点における検体容器ラックの位置を示す、図15Aおよび図15Bの検体−混合装置の側面図である。
【図17】図17は、互いに隣接する検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを前進させるための好ましい冗長駆動機構を示す。
【図18】図18は、互いに隣接する検体−搬送モジュールの間を検体−容器ラックを前進させるための好ましい冗長駆動機構を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック−支持表面の上で互いに垂直な方向に個々の検体−容器ラックを前進させるために前記ラック−支持表面の上に移動磁界を発生するように設計されている磁気搬送機構と共に使用するようになっている検体−容器ラックであって、
(a)ラックハウジングであって、(i)複数の検体−容器を受け入れ、位置合せし、および、等間隔に並べるための上部セクションと、(ii)前記上部セクションに作動的に連結されており、かつ、前記ラック−支持表面にスライド自在に係合するようになっている底面を有する基部セクションであって、前記容器が概ね直立した方向配置にあるように前記上部セクションを支持する働きをする基部セクションとを備えるラックハウジングと、
(b)磁気吸引部材である1対のU字形部材であって、前記U字形部材各々が一体的な架橋部分によって互いに連結されている1対の互いに間隔が開いた脚部材を備え、前記脚部材各々は前記架橋部分から離れている遠位末端を有し、および、前記U字形部材各々は、それぞれの脚部材が前記基部セクションの前記底面に向かって下向きに垂れ下がり、かつ、前記脚部材の前記遠位末端が前記基部セクションの前記底面からわずかに離れている平面内で終端する、前記基部セクション上の互いに間隔が開いた公称位置で支持されている、磁気吸引部材である1対のU字形部材と、
を備える検体−容器ラック。
【請求項2】
前記基部セクションの前記底面は、平面部分と、前記平面部分から外方に延びておりかつ前記ラック−支持表面の上を前記ラックがその上でスライドするラック−支持パッドとして働く、複数の互いに間隔が開いた隆起区域とを備える請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記公称位置に向かって前記U字形部材を押しやるための構造を備える請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項4】
前記フレームの前記上部セクションと前記基部セクションは、嵌合する形で係合する別個の構成要素であり、かつ、前記セクションの一方によって支持されている可とう性部材によって一体的に保持されている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項5】
前記フレームセクションの1つは、前記フレームのその側壁の中に形成されている1対のポケットを画定し、および、前記ポケットは、前記表面の上を沿層方向に前記ラックを物理的に前進させるために、搬送システムに関連付けられている可動的に駆動される部材を受け入れるようになっている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項6】
前記ラックハウジングの前記上部セクションは、1対の端壁によって相互連結されている第1および第2の互いに間隔を置いた側壁と、複数の等間隔の容器区画を集合的に画定する前記端壁の中間にある複数の横断壁とを備え、ていて、そして複数のノッチが、前記容器内で検体を混合するためにラックを持ち上げて反転させるようになっている検体−混合装置に関連付けられている構造を受け入れて保持するために、少なくとも2つの横断壁の端縁の中に形成されている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項7】
前記ノッチの各々は台形の形状を有する請求項6に記載の検体−容器ラック。
【請求項8】
分析および/または処理のための自動化された臨床機器に対してまたはこの臨床機器内において検体容器のラックを搬送するための磁気搬送システムと共に使用されるようになっている磁気吸引検体−容器ラックであって、前記検体−容器ラックは、磁気吸引部材である1対のU字形部材の遠位末端が前記ラックの基部表面に向かって延びて、ラック支持表面の上での移動のために前記ラックが中に支持されている平面のわずかに手前で終端するように、ラックハウジングの基部セクション内に取り付けられている磁気吸引部材である1対のU字形部材を備え、および、前記部材は、非磁性ラック支持プレートの下方に位置するX/Y可動トラックによって支持されている類似の形状の永久磁石と協働するようになっている磁気吸引検体−容器ラック。
【請求項9】
前記ラックの一方の側面内に形成されている1対の横方向に互いに間隔を置いたサイドポケットを画定する構造をさらに備え、および、前記サイドポケットは、直線経路に沿って前記ラックを沿層方向に物理的に前進させることが可能な直線駆動機構に関連付けられている可動的に取り付けられている部材を受け入れる働きをする請求項8に記載の検体−容器ラック。
【請求項10】
収容された検体の混合を生じさせるために前記ラックを持ち上げて反転させるように、前記ラックが着脱自在に係合させられることを可能にする、前記ラックの側壁内に形成されているノッチ構造をさらに含む請求項8に記載の検体−容器ラック。
【請求項1】
ラック−支持表面の上で互いに垂直な方向に個々の検体−容器ラックを前進させるために前記ラック−支持表面の上に移動磁界を発生するように設計されている磁気搬送機構と共に使用するようになっている検体−容器ラックであって、
(a)ラックハウジングであって、(i)複数の検体−容器を受け入れ、位置合せし、および、等間隔に並べるための上部セクションと、(ii)前記上部セクションに作動的に連結されており、かつ、前記ラック−支持表面にスライド自在に係合するようになっている底面を有する基部セクションであって、前記容器が概ね直立した方向配置にあるように前記上部セクションを支持する働きをする基部セクションとを備えるラックハウジングと、
(b)磁気吸引部材である1対のU字形部材であって、前記U字形部材各々が一体的な架橋部分によって互いに連結されている1対の互いに間隔が開いた脚部材を備え、前記脚部材各々は前記架橋部分から離れている遠位末端を有し、および、前記U字形部材各々は、それぞれの脚部材が前記基部セクションの前記底面に向かって下向きに垂れ下がり、かつ、前記脚部材の前記遠位末端が前記基部セクションの前記底面からわずかに離れている平面内で終端する、前記基部セクション上の互いに間隔が開いた公称位置で支持されている、磁気吸引部材である1対のU字形部材と、
を備える検体−容器ラック。
【請求項2】
前記基部セクションの前記底面は、平面部分と、前記平面部分から外方に延びておりかつ前記ラック−支持表面の上を前記ラックがその上でスライドするラック−支持パッドとして働く、複数の互いに間隔が開いた隆起区域とを備える請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記公称位置に向かって前記U字形部材を押しやるための構造を備える請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項4】
前記フレームの前記上部セクションと前記基部セクションは、嵌合する形で係合する別個の構成要素であり、かつ、前記セクションの一方によって支持されている可とう性部材によって一体的に保持されている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項5】
前記フレームセクションの1つは、前記フレームのその側壁の中に形成されている1対のポケットを画定し、および、前記ポケットは、前記表面の上を沿層方向に前記ラックを物理的に前進させるために、搬送システムに関連付けられている可動的に駆動される部材を受け入れるようになっている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項6】
前記ラックハウジングの前記上部セクションは、1対の端壁によって相互連結されている第1および第2の互いに間隔を置いた側壁と、複数の等間隔の容器区画を集合的に画定する前記端壁の中間にある複数の横断壁とを備え、ていて、そして複数のノッチが、前記容器内で検体を混合するためにラックを持ち上げて反転させるようになっている検体−混合装置に関連付けられている構造を受け入れて保持するために、少なくとも2つの横断壁の端縁の中に形成されている請求項1に記載の検体−容器ラック。
【請求項7】
前記ノッチの各々は台形の形状を有する請求項6に記載の検体−容器ラック。
【請求項8】
分析および/または処理のための自動化された臨床機器に対してまたはこの臨床機器内において検体容器のラックを搬送するための磁気搬送システムと共に使用されるようになっている磁気吸引検体−容器ラックであって、前記検体−容器ラックは、磁気吸引部材である1対のU字形部材の遠位末端が前記ラックの基部表面に向かって延びて、ラック支持表面の上での移動のために前記ラックが中に支持されている平面のわずかに手前で終端するように、ラックハウジングの基部セクション内に取り付けられている磁気吸引部材である1対のU字形部材を備え、および、前記部材は、非磁性ラック支持プレートの下方に位置するX/Y可動トラックによって支持されている類似の形状の永久磁石と協働するようになっている磁気吸引検体−容器ラック。
【請求項9】
前記ラックの一方の側面内に形成されている1対の横方向に互いに間隔を置いたサイドポケットを画定する構造をさらに備え、および、前記サイドポケットは、直線経路に沿って前記ラックを沿層方向に物理的に前進させることが可能な直線駆動機構に関連付けられている可動的に取り付けられている部材を受け入れる働きをする請求項8に記載の検体−容器ラック。
【請求項10】
収容された検体の混合を生じさせるために前記ラックを持ち上げて反転させるように、前記ラックが着脱自在に係合させられることを可能にする、前記ラックの側壁内に形成されているノッチ構造をさらに含む請求項8に記載の検体−容器ラック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−527010(P2007−527010A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501818(P2007−501818)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005412
【国際公開番号】WO2005/093433
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505275295)ベックマン コールター,インコーポレイティド (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005412
【国際公開番号】WO2005/093433
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505275295)ベックマン コールター,インコーポレイティド (25)
【Fターム(参考)】
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