説明

自動原稿搬送装置

【課題】 本発明は、原稿排紙台に排紙された原稿の取り出しを容易に行なうことができるとともに、原稿載置台に載置する原稿または原稿排紙台に排紙された原稿を簡単に揃えることができるスペースを有する自動原稿搬送装置を提供するものである。
【解決手段】 原稿載置台9の手前側の所定箇所に切欠き部9aを形成するとともに、この切欠き部9aの下方を含んだ原稿排紙台18の手前側の部分に平面状の凹部18aを形成し、凹部18aとこの凹部18aを除いた原稿排紙台18部分の境界部に段差18bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に備えられた自動原稿搬送装置に関し、例えば、原稿載置台の下方に原稿排紙台を設けることにより省スペース化を図ることができる自動原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置にあっては、高速化、多機能化するとともに、より一層の省スペース化が要求されており、それに従ってこの画像形成装置に具備される自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)の省スペース化もより一層要求されるようになっている。
【0003】
このような要求を満足するために、従来のADFにあっては、図6に示すように複数の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿トレイ1上の下方に排紙台2を設置し、原稿トレイ1に載置された原稿を分離した後、反転経路を介してADFの下方に設けられたスリットガラス上に搬送するターン給紙を行なった後、排紙台2上に排紙する構造を採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなADFにあっては、原稿トレイ1と排紙台2が2層構造になっており、その上下方向のスペースを小さくするために原稿トレイ1と排紙台2の間隔も短くなっているため、排紙台2から原稿を取り出すために、図7に示すようにユーザが原稿トレイ1と排紙台2の間に手を入れて原稿Pを撓ませたり、引張り出すようにしなければならず、原稿の取り出し性が非常に悪いものとなってしまうという問題があった。
【0005】
また、排紙台2から取り出した原稿または原稿トレイ1上に原稿を載置する前に原稿を揃える必要があるが、原稿を揃えるためのスペースがないため、望ましくはそのようなスペースを確保する必要もあった。
【0006】
そこで本発明は、原稿排紙台に排紙された原稿の取り出しを容易に行なうことができるとともに、原稿載置台に載置する原稿または原稿排紙台に排紙された原稿を簡単に揃えることができるスペースを有する自動原稿搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動原稿搬送装置は、原稿を載置するとともに原稿の搬送方向と同方向に延在する原稿載置台と、該原稿載置台の下方に設けられ、前記原稿載置台から給紙された原稿が排紙される原稿排紙台と、を有し、前記原稿の搬送方向が左右方向になるように原稿載置台および原稿排紙台が配置される自動原稿搬送装置において、前記原稿載置台の手前側の所定箇所に切欠き部を形成するとともに、少なくとも前記切欠き部の下方に位置する前記原稿排紙台部分に平面状の凹部を形成し、前記凹部と該凹部を除いた前記原稿排紙台部分の境界部に段差を形成したことを特徴としている。
【0008】
この構成により、原稿載置台に原稿が排紙されたときに、原稿排紙台に形成された凹部と原稿の間に指を挿入して原稿を取り出すことができ、原稿の取り出し性を良好なものにすることができる。
【0009】
また、原稿載置台に載置する原稿または原稿排紙台に排紙された原稿を揃える際に、原稿排紙台に形成された凹部とこの凹部を除いた原稿排紙台部分の境界部に形成された段差に原稿を突き当てて原稿を揃えることができる。このとき、原稿載置台に形成された切欠き部が凹部のスペースを避けているため、原稿を段差に確実に突き当てることができる。この結果、原稿を揃えるスペースを確保して原稿を簡単に揃えることができる。
【0010】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記原稿載置台に載置された原稿を給紙して反転した後、前記原稿排紙台上に排紙する原稿搬送手段を有することを特徴としている。
【0011】
この構成により、原稿載置台と原稿排紙台を2層構造にすることができ、自動原稿搬送装置の設置スペースを少なくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明は、原稿排紙台に排紙された原稿の取り出しを容易に行なうことができるとともに、原稿載置台に載置する原稿または原稿排紙台に排紙された原稿を簡単に揃えることができるスペースを有する自動原稿搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜5は本発明に係る自動原稿搬送装置の一実施の形態を示す図である。
【0015】
まず、構成を説明する。図1において、1は複写機であり、この複写機1の本体1aの上部にはスリットガラス2とコンタクトガラス3が設けられている。スリットガラス2は原稿の数行分の画像に相当する面積を有し、コンタクトガラス3は最大サイズの原稿よりも若干大きな面積を有している。
【0016】
このスリットガラス2とコンタクトガラス3の下方には露光ランプ4と第1ミラー5等が設けられており、この露光ランプ4と第1ミラー5は、コンタクトガラス3に載置された原稿を読取る際には、コンタクトガラス3の下方で図1中、左右方向に移動し、また、スリットガラス2の読取位置(図1の露光ランプ4からの光が照射される部分)上で原稿を読取る際には、スリットガラス2の下方で停止し、露光ランプ4によって原稿面に光を照射した後、この反射光を公知のように第1ミラー5および図示しないレンズ等の光学系を介して感光体ドラムに直接原稿の画像を結像してこの感光体ドラムに形成された静電潜像にトナー等を付着してこれを記録紙に転写したり、露光ランプ4によって原稿面を読取った後、この反射光を第1ミラー5および図示しないレンズ等の光学系を介してCCD等のイメージセンサに結像し、イメージセンサによって光信号を電気信号に変化してこの信号を用いて種々の画像形成手段によって記録紙に画像を転写する。
【0017】
なお、露光ランプ4と第1ミラー5をコンタクトガラス3下方で図1中、左右方向に移動させて原稿の画像を読取るモードが第2読取モードに相当し、露光ランプ4と第1ミラー5をスリットガラス2の下方で停止して読取るモードが第1読取モードに相当する。
【0018】
また、複写機1の上部には自動原稿搬送装置(以下単にADFという)6が装着されており、このADF6は図示しないヒンジを介して複写機1に連結され、複写機1に対して開閉自在となっている。
【0019】
また、ADF6の下面にはコンタクトガラス3に載置された原稿をコンタクトガラス3に押圧するとともに、下面に原稿の読取時の白基準となる白色シート7aおよび白色シート7aの上面に設けられたクッション材7bを有する圧板8が設けられている。
【0020】
また、ADF6の上部には原稿載置台9が設けられており、この原稿載置台9には複数の原稿からなる原稿束が原稿面を上向きにして載置されるようになっている。また、原稿載置台9上には一対のサイドフェンス20a、20bが設けられており、一方のサイドフェンス20aが原稿の幅方向に移動することにより、サイドフェンス20bと共に原稿を挟持するようにして原稿の幅方向を揃えるようになっている。
【0021】
この原稿載置台9に載置された原稿束は、実線と破線で示す位置に移動可能に設けられ、原稿束に当接・離隔可能な呼出しコロ10によって給紙された後、共に時計方向に回転する分離コロ11およびリバースコロ12からなる分離コロ対によって最上位に位置する原稿が分離されるようになっている。
【0022】
この分離コロ対によって分離された原稿は、搬送速度(回転速度)V1で回転する搬送
コロ対13によって給紙経路14を通ってスリットガラス2上に搬送されるようになっている。
【0023】
また、スリットガラス2とコンタクトガラス3の間にはガイド部材15が配設されており、このガイド部材15はその上面が傾斜している。また、ガイド部材15上には搬送コロ21が設けられており、この搬送コロ21は原稿を排紙経路16上に搬送するようになっている。
【0024】
そして、スリットガラス2下方で停止する露光ランプ4等によって原稿面が読取られた後、ガイド部材15によって上方にすくいあげられた後、排紙経路16に排紙される。この排紙経路16の端部には排紙コロ対17によって圧板8の上面に形成され、かつ原稿載置台9の下方に配設された原稿排紙台18上に原稿面が下面になった状態で排紙される。
【0025】
また、本実施の形態では、原稿載置台9が原稿の搬送方向と同方向に延在するとともに、原稿の搬送方向が左右方向になるように原稿載置台9および原稿排紙台18が配置されている。
【0026】
また、スリットガラス2上には白色ガイド部材19が設けられており、この白色ガイド部材19は原稿の読取時の白基準を構成し、原稿の搬送路の一部を構成している。
【0027】
また、搬送コロ対13の搬送速度(回転速度)V1と搬送コロ21および排紙コロ対17の搬
送速度(回転速度)V2の関係は、V1<V2=V1×1.01となっており、搬送コロ21の搬送速度V2は搬送コロ対13の搬送速度V1に対して1%程度速く設定されている。なお、本実施の形態では、分離コロ11およびリバースコロ12からなる分離コロ対、搬送コロ対13、給紙経路14、排紙経路16、および排紙コロ対17が原稿搬送手段を構成している。
【0028】
一方、図2、3に示すように原稿載置台9の手前側の所定箇所に切欠き部9aが形成されているとともに、この切欠き部9aの下方を含んだ原稿排紙台18の手前側の部分に平面状の凹部18aが形成されており、凹部18aとこの凹部18aを除いた原稿排紙台18部分の境界部に段差18bが形成されている。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
まず、第2読取モードで原稿を読取る場合には、ADF6をヒンジを介して開放した後、コンタクトガラス3に原稿を載置し、次いで、ADF6を閉じて圧板8によって原稿をコンタクトガラス3上に押圧する。この状態で、複写機1に設けられたスタートスイッチを押下すると、露光ランプ4および第1ミラー5がコンタクトガラス3の下方で図1中、左右方向に移動して原稿を読取る。この読取られた原稿の画像は画像形成手段によって記録紙に転写される。
【0031】
一方、第1読取モードで原稿を読取る際には、原稿載置台9に原稿面を上向きにして原稿束を載置し、スタートスイッチを押下すると、呼出しコロ10が破線で示す位置に移動して原稿束に当接して回転することにより原稿束を給紙する。
【0032】
この原稿束は分離コロ11およびリバースコロ12からなる分離コロ対によって最上位に位置する原稿が分離された後、分離された原稿が搬送コロ対13によってスリットガラス2に向かって搬送される。
【0033】
この原稿がスリットガラス2上に搬送されると、露光ランプ4および第1ミラー5がスリットガラス2の下方で停止した状態で原稿の読取りが開始される。
【0034】
次いで、このスリットガラス2上の読取位置を通過した原稿がガイド部材15に接触するとこの原稿の先端が搬送コロ21とガイド部材15に挟持されることより、搬送コロ21によって搬送力が付与され、ガイド部材15によってすくいあげられて排紙経路16に案内される。
【0035】
このとき、搬送コロ対13の搬送速度V2が搬送コロ21の搬送速度V1に対して1%程度速く設定されていることから、原稿がスリットガラス2から浮き上がった状態で非接触になり、かつ白色ガイド部材19の片面側と接触する面が非常に小さい状態を維持してガイド部材15によってすくい上げられる。次いで、搬送コロ21によって排紙経路16に案内される原稿は排紙コロ対17によって原稿排紙台18上に排紙されるようになっている。
【0036】
本実施の形態では、原稿載置台9の手前側の所定箇所に切欠き部9aを形成するとともに、この切欠き部9aの下方を含んだ原稿排紙台18の手前側の部分に平面状の凹部18aを形成したため、原稿排紙台18から原稿を取り出すときに、図4に示すように凹部18aと原稿Pの間にユーザが指を挿入して原稿Pを取り出すことができ、原稿Pの取り出し性を良好なものにすることができる。
【0037】
また、凹部18aとこの凹部18aを除いた原稿排紙台18部分の境界部に段差18bを形成したため、原稿排紙台9から取り出した原稿または原稿載置台9に載置する原稿を揃える際に、図5に示すように段差18bに原稿Pを突き当てて原稿Pを揃えることができる。このとき、切欠き部9aが凹部18aのスペースを避けているため、原稿Pを段差18bに確実に突き当てることができる。この結果、原稿Pを揃えるスペースを確保して原稿を簡単に揃えることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、原稿載置台9に載置された原稿を給紙して反転した後、原稿排紙台18上に排紙する原稿搬送手段を有するため、原稿載置台9と原稿排紙台18を2層構造にすることができ、ADF6の設置スペースを少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る自動原稿搬送装置は、原稿排紙台に排紙された原稿の取り出しを容易に行なうことができるとともに、原稿載置台に載置する原稿または原稿排紙台に排紙された原稿を簡単に揃えることができるスペースを得ることができるという効果を有し、原稿載置台の下方に原稿排紙台を設けることにより省スペース化を図ることができる自動原稿搬送装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る自動原稿搬送装置の一実施の形態を示す図であり、その概略構成図である。
【図2】一実施の形態の自動原稿搬送装置の外観斜視図である。
【図3】一実施の形態の自動原稿搬送装置の上面図である。
【図4】一実施の形態の原稿排紙台から原稿を取り出す状態を示す図である。
【図5】一実施の形態の段差で原稿を揃える状態を示す図である。
【図6】従来の自動原稿搬送装置の外観斜視図である。
【図7】従来の原稿排紙台から原稿を取り出す状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
6 ADF(自動原稿搬送装置)
9 原稿載置台
9a 切欠き部
11 分離コロ(原稿搬送手段)
12 リバースコロ(原稿搬送手段)
13 搬送コロ対(原稿搬送手段)
14 給紙経路(原稿搬送手段)
16 排紙経路(原稿搬送手段)
17 排紙コロ対(原稿搬送手段)
18 原稿排紙台
18a 凹部
18b 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置するとともに原稿の搬送方向と同方向に延在する原稿載置台と、該原稿載置台の下方に設けられ、前記原稿載置台から給紙された原稿が排紙される原稿排紙台と、を有し、前記原稿の搬送方向が左右方向になるように原稿載置台および原稿排紙台が配置される自動原稿搬送装置において、
前記原稿載置台の手前側の所定箇所に切欠き部を形成するとともに、少なくとも前記切欠き部の下方に位置する前記原稿排紙台部分に平面状の凹部を形成し、前記凹部と該凹部を除いた前記原稿排紙台部分の境界部に段差を形成したことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記原稿載置台に載置された原稿を給紙して反転した後、前記原稿排紙台上に排紙する原稿搬送手段を有することを特徴とする請求項1記載の自動原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−8415(P2006−8415A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202399(P2005−202399)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【分割の表示】特願2004−232334(P2004−232334)の分割
【原出願日】平成10年1月22日(1998.1.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】