説明

自動取引装置

【課題】所定の紙幣にて取引を行う自動取引装置において、異常紙幣や異物を繰り返し何度も投入されることを防止し、長時間、装置を占有され稼動効率が落ちないようにする。
【解決手段】
紙幣が正常な紙幣か否かを確認する簡易確認手段30と、簡易確認手段30により正常であった紙幣につき真偽判別を行う鑑別手段31を有し、当該鑑別手段31により正常な紙幣と判定された紙幣にて取引を行う自動取引装置であって、前記簡易確認手段30により異常と判定し返却した回数または前記鑑別手段31により異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引を終了するか否かを判定する異常回数判定手段32を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動支払機、現金自動預払機等(以下、「自動取引装置」という)における異常媒体の連続的投入を防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙幣を入金処理する自動取引装置においては、投入された紙幣を予備的に確認する予備確認手段を設け、紙幣入金口に投入された紙幣を、まずその大きさ等により簡易チェックするのが一般的である。そして、この簡易チェックにより正常紙幣と判定された場合は鑑別部に搬送し、簡易チェックにより異常紙幣と判定された場合は紙幣入金口に戻し、顧客に返却するようになっている。
【0003】
さらに、鑑別部に搬送された紙幣は、詳細な真偽判別が行われ、真偽判別の結果、正常紙幣と判定された場合は装置内に取込み、異常紙幣と判定された場合は紙幣入金口に戻し、顧客に返却するようになっている。
【0004】
このように、詳細な真偽判別の前に、短時間にて確認できる予備的な簡易チェックを行うことにより予備チェックを行い、正常と判定された紙幣のみを真偽判別を行い、無駄な鑑別時間を減らし、異常紙幣の搬送により発生する搬送ジャムをも防止するといった技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】WO97/19426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の自動取引装置では、異常紙幣や紙幣以外の物を繰り返し何度も入金口に投入される場合があり、このような場合、同じ顧客に長時間、装置を占有され、装置の稼動効率が落ちるといった問題があった。また、紙幣以外の物を何度も繰り返し投入されるので、装置故障に至る頻度が高くなるといった問題があった。
【0006】
また、正常な紙幣が投入されたにも拘わらず、装置の異常により異常紙幣または紙幣以外の異物と判断した場合、エラー処理に移行せず取引終了となるだけであるので、何度も同じ入金操作が繰り返され、装置の稼動効率が落ちるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、媒体が正常な媒体か否かを確認する予備確認手段と、予備確認手段により正常であった媒体につき真偽判別を行う鑑別手段を有し、当該鑑別手段により正常な媒体と判定された媒体にて取引を行う自動取引装置であって、前記予備確認手段により異常と判定し返却した回数または前記鑑別手段により異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引を終了するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動取引装置によれば、媒体が正常な媒体か否かを確認する予備確認手段と、予備確認手段により正常であった媒体につき真偽判別を行う鑑別手段を有し、当該鑑別手段により正常な媒体と判定された媒体にて取引を行う自動取引装置であって、前記予備確認手段により異常と判定し返却した回数または前記鑑別手段により異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引を終了するようにしたので、異常媒体が繰り返し投入されることにより長時間、装置を占有されることがなくなり、装置の稼動効率を上げることができるとともに、異常媒体による装置故障の予防も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下に説明する各実施例では、紙幣を取り扱う自動取引装置を例にして説明するが、紙葉類であれば小切手などでもよく、また、硬貨などの通貨を取り扱う場合にも本発明を適用できる。
【実施例1】
【0010】
(構成)
(全体の構成)
実施例1の自動取引装置は、図1のような外観をしており、操作部2、紙幣入出金口3、硬貨入出金口4、カード入出口6、通帳入出口7を備えている。操作部2は、表示部とタッチパネル式の入力部とから構成され、顧客の操作により各種の入力を行なうとともに、操作ガイダンス等が表示される。
【0011】
紙幣入出金口3は、紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。紙幣入出金口3には、後述するシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより紙幣入出金口3が開閉される。紙幣入出金口3は後述する装置内の破線部で示した紙幣処理部1bに接続されている。
【0012】
カード入出口6は、取引で使用されるカードがここから挿入され、取引が終了するとカードが排出される。通帳入出口7は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される。また、硬貨入出金口4は、硬貨が投入または排出される開口部である。
【0013】
紙幣入出金口2は、入金紙幣が投入されるとともに、出金紙幣が排出される部分で、その奥部には紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部1bが設けられている。カード入出口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部にはカード処理部21が設けられている。
【0014】
硬貨入出金口4は、入金硬貨が投入されるとともに、出金硬貨が排出される部分で、その奥部には、図示しないが、硬貨の入出金処理を行う後述の硬貨処理部26が設けられている。通帳挿入出口7は、通帳が挿入または排出される部分で、その奥部には、図示しないが、後述の通帳処理部23が設けられている。
【0015】
(紙幣処理部の構成)
図2は、前述の紙幣処理部1bの構成を示したものである。同図に示したように、紙幣処理部1bは、上部ユニット1xと下部ユニット1yとからなる。
【0016】
そして、上部ユニット1xは、図中左上に示した紙幣を投入する接客ユニット11、紙幣の真偽判別を行う認識ユニット12、搬送路からなる搬送ユニット14、一次保留部13とからなる。
【0017】
そして、接客ユニット11には、図示しない紙幣サイズを検出する紙幣サイズ検出センサが実装されており、認識ユニット12には真偽判別を行うための各種センサが実装されている。接客ユニット11の底部には、紙幣以外の異物を留保させるための異物トレイ11bが設けられている。
【0018】
そして、一次保留部13は、紙幣サイズ検出センサにより正常と判定され、認識ユニット12により正常紙幣であると判定された場合、当該紙幣を計数して一次的に保留しておくための保留部で、保留した紙幣は取引が確定すると入金紙幣収納部17等へ搬出する。
【0019】
そして、下部ユニット1yには、各金種の紙幣をそれぞれ格納しておく紙幣カセット15a〜15dと入金専用紙幣カセット16、出金取忘れ紙幣収納部18と、出金リジェクト紙幣収納部19とが設けられている。
【0020】
(制御系全体の構成)
実施例1の自動取引装置の制御系全体の構成は、図3の制御系ブロック図に示したように、後述する各部の制御を行う主制御部20と、前述した操作部2、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を印字出力する明細票処理部24、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部1b、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25とからなる。
【0021】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部としてのメモリ部28、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部29を有する。
【0022】
(異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成)
【0023】
次ぎに、実施例1の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成を、図4を用いて以下説明する。同図に示したように、実施例1の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成は、認識ユニット12よる真偽判別を行う前に簡易な外形チェックを行う簡易確認手段30と、認識ユニット12よる真偽判別を行う鑑別手段31と、簡易確認手段30および鑑別手段31により異常紙幣を検出し返却した回数が所定の回数となったかどうかを判定する異常回数判定手段32と、異常回数判定手段32の判定結果に基づき、取引を終了する取引終了手段33とからなる。
【0024】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図5の実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図と図4の機能ブロック図とを対応付けて、本発明に特に関連する入金取引について以下説明する。
【0025】
まず、顧客が、操作部2により入金取引を選択し、次にカードまたは通帳をカード入出口6または通帳入出口7から挿入し認証が終了すると、入金取引が開始され、接客ユニット11に入金を所望する紙幣を投入する(ステップS01)。
【0026】
すると、紙幣処理部1bは、簡易確認手段30として、接客ユニット11に実装されている紙幣サイズ検出センサにより、投入された紙幣の簡易外形チェックを行う(ステップS02)。そして、簡易外形チェックにより異常と判断した場合は、当該紙幣を返却し(ステップS03)、異常回数判定手段32によりこの紙幣返却回数をチェックし(ステップS04)、紙幣返却回数が規定回数X回未満であれば許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ。
【0027】
一方、紙幣返却回数が規定回数X回となった場合は、許容回数を超えて繰り返し異常紙幣を投入していると判断し、取引終了手段33によりそれまでの入金した額などの取引内容の履歴を印字して明細票の返却、カードや通帳の返却などを行い、取引きを終了する(ステップS09)。
【0028】
一方、ステップS02の簡易外形チェックにより正常と判定した場合は、当該紙幣を認識ユニット12に搬送し(ステップS05)、鑑別手段31により真偽チェックを行う(ステップS06)。そして、真偽チェックが正常であれば、計数処理、一次保留部13への格納などの次ぎの処理に移行する。
【0029】
ステップS06の真偽チェックにより異常と判断した場合は紙幣を返却し(ステップS07)、異常回数判定手段32により真偽チェック異常による紙幣返却回数をチェックし(ステップS08)、紙幣返却回数が規定回数Y回未満であれば、許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ。
【0030】
一方、真偽チェック異常による紙幣返却回数が規定回数Y回となった場合は、許容回数を超えて繰り返し異常紙幣を投入していると判断し、取引終了手段33によりそれまでの入金した額などの取引内容の履歴を印字して明細票の返却、カードや通帳の返却などを行い、取引きを終了する(ステップS09)。
【0031】
なお、簡易外形チェックによる返却回数の判定基準となる規定回数X、真偽チェック異常による返却回数の判定基準となる規定回数Yは、自動取引装置1が備えられた環境、すなわち使用頻度の高い環境で使用される場合であれば回数を少なくし、使用頻度の低い環境で使用される場合であれば回数を多くするようにするとよいが、通常の場合では、規定回数XおよびYは3回程度するのがよい。
【0032】
また、以上の説明では、簡易外形チェックによる返却回数および真偽チェックによる返却回数により、取引終了処理を行うように説明したが、いずれか一方の回数により取引終了としてもよいし、両方を加算した回数により取引終了としてもよい。
【0033】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置によれば、紙幣サイズ等による予備的チェックにより異常と判定し返却した回数または鑑別手段によるチェックにより異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引きを終了するようにしたので、異常媒体が繰り返し投入されることにより長時間、装置を占有されることがなくなり、装置の稼動効率を上げることができるとともに、異常媒体による装置故障の予防も可能となる。
【実施例2】
【0034】
(構成)
実施例2の自動取引装置の全体構成、紙幣処理部の構成、制御系全体の構成は実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。
【0035】
(異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成)
【0036】
実施例2の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成を、図6を用いて以下説明する。同図に示したように、実施例2の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成では、実施例1の取引終了手段33の代わりに、異常紙幣を検出し返却した回数に基づいて取引を中断し装置の保守を行えるようにする取引中断手段34を設けている。その他の構成は、実施例1の構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0037】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図7の実施例2の自動取引装置の動作フローチャート図と図6の機能ブロック図とを対応付けて、本発明に特に関連する入金取引について以下説明する。
【0038】
まず、顧客が、操作部2により入金取引を選択し、次にカードまたは通帳をカード入出口6または通帳入出口7から挿入し認証が終了すると、入金取引が開始され、接客ユニット11に入金を所望する紙幣を投入する(ステップS01)。
【0039】
すると、紙幣処理部1bは、簡易確認手段30として、接客ユニット11に実装されている紙幣サイズ検出センサにより、投入された紙幣の簡易外形チェックを行う。そして、簡易外形チェックにより異常と判断した場合は、当該紙幣を返却し、異常回数判定手段32によりこの紙幣返却回数をチェックし、紙幣返却回数が規定回数X回未満であれば許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ(ステップS02〜S04)。
【0040】
一方、紙幣返却回数が規定回数Xとなった場合は、繰り返して異常紙幣を投入していると判断し、取引中断手段34によりエラー処理に移行し、装置点検・修理を行い、装置の復旧を行う(ステップS19)。
【0041】
一方、ステップS02の簡易外形チェックにより正常と判定した場合は、当該紙幣を認識ユニット12に搬送し、鑑別手段31により真偽チェックを行う。そして、真偽チェックが正常であれば、計数処理、一次保留部13への格納などの次ぎの処理に移行する(ステップS05・S06)。
【0042】
ステップS06の真偽チェックにより異常と判断した場合は紙幣を返却し、異常回数判定手段32により真偽チェック異常による紙幣返却回数をチェックし、紙幣返却回数が規定回数Y回未満であれば、許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ(ステップS07・S08)。
【0043】
一方、真偽チェック異常による紙幣返却回数が規定回数Y回となった場合は、許容回数を超えて繰り返し異常紙幣を投入していると判断し、取引中断手段34によりエラー処理に移行し、装置点検・修理を行い、装置の復旧を行う(ステップS19)。
【0044】
なお、実施例1と同様、簡易外形チェックによる返却回数の判定基準となる規定回数X、真偽チェック異常による返却回数の判定基準となる規定回数Yは、自動取引装置1が備えられた環境、すなわち使用頻度の高い環境で使用される場合であれば回数を少なくし、使用頻度の低い環境で使用される場合であれば回数を多くするようにするとよいが、通常の場合では、規定回数XおよびYは3回程度するのがよい。
【0045】
また、以上の説明では、実施例1と同様、簡易外形チェックにより異常となり返却した回数および真偽チェックによる異常となり返却した回数により、エラー処理を行うように説明したが、いずれか一方の回数により取引終了処理を行うようにしてもよいし、両方を加算した回数により取引終了処理を行うようにしてもよい。
【0046】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の自動取引装置によれば、紙幣サイズ等による予備的チェックにより異常と判定し返却した回数、または鑑別手段によるチェックにより異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、エラー処理に移行するようにしたので、実施例1の効果に加え、正常紙幣であっても装置異常により異常紙幣と判定される場合に、装置点検・修理をいち早く実施することができ、装置の復旧を早くすることができる。
【実施例3】
【0047】
(構成)
実施例3の自動取引装置の全体構成、紙幣処理部の構成、制御系全体の構成も実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。
【0048】
(異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成)
【0049】
実施例3の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成を、図8を用いて以下説明する。同図に示したように、実施例3の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能構成は、同一顧客が取引を開始したかどうかを判定する同一顧客判定手段40を新たに設け、異常回数判定手段32は、同一顧客判定手段40の判定結果をも考慮して取引を終了するかどうかの判定をするようにしている。
【0050】
なお、同一顧客かどうかの判定は、挿入されたカードや通帳から読み取った口座番号の一致のチェックを行ってもよいし、カメラ等による顔認識やアイリスなどの認識による同一人かどうかのチェックを行ってもよいし、自動取引装置への接近を検知するために顧客センサがオフとならなかったことをチェックして判定するようにしてもよい。その他の構成は、実施例1の構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0051】
(動作)
以上の構成により、実施例3の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図9の実施例3の自動取引装置の動作フローチャート図と図8の機能ブロック図とを対応付けて、本発明に特に関連する入金処理について以下説明する。
【0052】
まず、顧客が、操作部2により入金取引を選択し、次にカードまたは通帳をカード入出口6または通帳入出口7から挿入し認証が終了すると、入金取引が開始される。このとき、同一顧客判定手段40により、紙幣投入前に前回の取引きと同じ顧客かどうかのチェックを行う(ステップS11)。
【0053】
ステップS11にて同じ顧客でないと判定したときは、繰り返し異常紙幣を投入している場合ではないので、入金処理に移行し、接客ユニット11に入金を所望する紙幣を投入させる(ステップS01)。
【0054】
一方、ステップS11にて同じ顧客であったときは、さらに前回の取引でおいて紙幣異常で取引きを終了したかどうかを判定し(ステップS12)、紙幣異常にて取引を終了した場合は、繰り返し異常紙幣を投入している場合であるので、取引終了手段33により取引きを終了する(ステップS09)。
【0055】
ステップS12の判定にて、紙幣異常にて取引を終了した場合でないときは、同じ顧客であるが繰り返し異常紙幣を投入してはいないとして、入金処理を開始し、顧客に入金を促し、入金を行わせる(ステップS01)。
【0056】
すると、紙幣処理部1bは、簡易確認手段30として、接客ユニット11に実装されている紙幣サイズ検出センサにより、投入された紙幣の簡易外形チェックを行う。そして、簡易外形チェックにより異常と判断した場合は、当該紙幣を返却し、異常回数判定手段32によりこの紙幣返却回数をチェックし、紙幣返却回数が規定回数X回未満であれば許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ(ステップS02〜S04)。
【0057】
一方、紙幣返却回数が規定回数X回となった場合は、許容回数を超えて繰り返し異常紙幣を投入していると判断し、取引終了手段33によりそれまでの入金した額などの取引内容の履歴を印字して明細票の返却、カードや通帳の返却などを行い、取引きを終了する(ステップS09)。
【0058】
一方、ステップS02の簡易外形チェックにより正常と判定した場合は、当該紙幣を認識ユニット12に搬送し、真偽チェックを行う(ステップS05・S06)。そして、真偽チェックが正常であれば、計数処理、一次保留部13への格納などの次ぎの処理に移行する。
【0059】
ステップS06の真偽チェックにより異常と判断した場合は紙幣を返却し、異常回数判定手段32により真偽チェック異常による紙幣返却回数をチェックし、紙幣返却回数が規定回数Y回未満であれば、許容回数内の返却であるので再度の入金を促しステップS01に戻り、紙幣が投入されるのを待つ(ステップS07・S08)。
【0060】
一方、真偽チェック異常による紙幣返却回数が規定回数Y回となった場合は、許容回数を超えて繰り返し異常紙幣を投入していると判断し、取引終了手段33によりそれまでの入金した額などの取引内容の履歴を印字して明細票の返却、カードや通帳の返却などを行い、取引きを終了する(ステップS09)。
【0061】
なお、簡易外形チェックによる返却回数が基準回数以上となった場合や、真偽チェック異常による返却回数が基準回数となった場合、取引終了手段33によりステップS09にて取引終了となるように説明したが、実施例2のように、取引中断手段34によりエラー処理に移行するようにしてもよい。
【0062】
また、以上の説明では、実施例1と同様、簡易外形チェックによる返却回数および真偽チェックによる返却回数により、取引終了処理を行うように説明したが、いずれか一方の回数により取引終了処理を行うようにしてもよいし、両方を加算した回数により取引終了処理を行うようにしてもよい。
【0063】
(実施例3の効果)
以上のように、実施例3の自動取引装置によれば、同じ顧客が異常紙幣投入により取引終了またはエラーとなったかどうかを判定した後に、入金処理に移行するようにしたので、実施例1および実施例2の効果に加え、さらに確実に、繰り返し異常紙幣が投入されることを防止することができる。
【0064】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、簡易確認手段30として、紙幣の外形サイズにより簡易なチェックを行うように説明したが、紙幣の重さや厚さ或いは紙幣の特定位置のスレッドを検出し、簡易に、異常紙幣かどうかを確認する場合であっても本発明を適用することができる。
【0065】
また、以上の実施例の説明では、取引終了処理やエラー処理の際の顧客へのメッセージについて説明しなかったが、異常紙幣が繰り返し投入されて異常終了した回数に応じて、注意を促す程度を上げてメッセージを出力するようにするとなおよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上述べたように、本発明は、媒体を鑑別して取り込む現金自動支払機、現金自動預払機などの自動取引装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の紙幣処理部の構成図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図4】実施例1の自動取引装置の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能ブロック図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図6】実施例2の自動取引装置の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能ブロック図である。
【図7】実施例2の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図8】実施例3の自動取引装置の異常紙幣繰り返し投入防止に係る機能ブロック図である。
【図9】実施例3の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【符号の説明】
【0068】
1 自動取引装置
1b 紙幣処理部
2 操作部
3 紙幣入出金口
11 接客ユニット
11a 紙幣シャッタ
11b 異物トレイ
12 認識ユニット
16 入金専用紙幣カセット
17 入金紙幣収納部
30 簡易確認手段
31 鑑別手段
32 異常回数判定手段
33 取引終了手段
34 取引中断手段
40 同一顧客判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が正常な媒体か否かを確認する予備確認手段と、予備確認手段により正常であった媒体につき真偽判別を行う鑑別手段を有し、当該鑑別手段により正常な媒体と判定された媒体にて取引を行う自動取引装置であって、
前記予備確認手段により異常と判定し返却した回数または前記鑑別手段により異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引を終了するようにした制御手段を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記予備確認手段により異常と判定し返却した回数または鑑別手段により異常と判定し返却した回数、若しくは両方の回数に基づき、取引を中断し保守作業を行えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御手段は、同じ顧客が前記異常判定により取引の終了または取引の中断となったかどうかを判定した後、媒体投入処理に移行できるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記予備確認手段は、媒体の外形、重さまたは厚さを用いて判定するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−301103(P2009−301103A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151688(P2008−151688)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】