説明

自動変速機の制御装置

【課題】走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できる自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】ECUは、各クラッチの何れか一つのクラッチを係合状態にして車両が走行する場合において、積載量の多い状態及び牽引をする状態のうち少なくとも一方の状態で車両が走行する積載牽引状態であるか否かを判定する(ステップS14,S17)。そして、ECUは、積載牽引状態であると判定した場合(ステップS14,17が共に肯定判定)、積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車両の車体速度が速い状態でダウンシフト側へのプレシフト制御が実行されるように、ダウン側プレシフト線を高速側に移動させる(ステップS26)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの動力を断・接制御するためのクラッチ及び該クラッチに動力伝達可能な状態で連結される変速機構を有する動力伝達系を複数備える自動変速機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される自動変速機として、例えば特許文献1に記載の自動変速機が提案されている。この自動変速機は、所謂デュアルクラッチ式の自動変速機であって、2系統の動力伝達系を備えている。第1の動力伝達系には、第1のクラッチと、該第1のクラッチに動力伝達可能な状態で連結され、且つ奇数段(1速段、3速段及び5速段)の歯車列を有する第1の変速機構とが設けられている。また、第2の動力伝達系には、第2のクラッチと、該第2のクラッチに動力伝達可能な状態で連結され、且つ偶数段(2速段、4速段及び6速段)の歯車列を有する第2の変速機構とが設けられている。例えば変速段を1速段にして車両を走行させる場合は、第1の変速機構を1速段に設定し、第1のクラッチを係合状態にすることにより、動力源であるエンジンからの動力が第1の動力伝達系を介して駆動輪に伝達され、車両が走行する。なお、変速段が1速段である場合、第2の動力伝達系の第2のクラッチは解放状態になっており、第2の動力伝達系にはエンジンからの動力が伝達されない。
【0003】
また、特許文献1に記載の自動変速機の制御装置では、カーナビゲーションシステムなどの外部装置から受信した車両の走行状態を示す走行情報に応じたプレシフト制御が実行される。例えば車両がコーナーを旋回中である旨の走行情報がカーナビゲーションシステムから受信した場合、自動変速機の制御装置は、現時点の自動変速機の変速段(例えば3速段)を特定し、現時点で動力が伝達されていない第2の動力伝達系における変速段を、第1の動力伝達系で設定される変速段(例えば3速段)よりも低速側の変速段(この場合、2速段)で準備させるべくプレシフト制御を実行する。すなわち、車両の旋回時には、ダウンシフト側にプレシフト制御が実行される。その結果、車両の旋回中に自動変速機の変速段を3速段から2速段にダウンシフトさせる場合には、第1のクラッチを解放状態にして第2のクラッチを係合状態にするだけで、エンジンからの動力が第2の動力伝達系を介して駆動輪に伝達される。したがって、プレシフト制御が実行されない場合又はアップシフト側にプレシフト制御が実行される場合に比して、速やかなダウンシフトが提供可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−232047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の自動変速機の制御装置は、カーナビゲーションシステムから受信した車両の走行情報に応じたプレシフト制御を実行する。しかしながら、カーナビゲーションシステムには、該システムが搭載される車両状態の把握が困難な情報がある。例えば、カーナビゲーションシステムでは、車両が非常に積載量の多い状態で走行しているとか、牽引しながら車両が走行しているとかなどを把握することが困難である。そのため、特許文献1に記載の自動変速機の制御装置では、車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できない場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できる自動変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、自動変速機の制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、駆動源からの動力を断・接制御するためのクラッチ及び該クラッチに動力伝達可能な状態で連結される変速機構を有する動力伝達系を2系統備え、車両走行時には、前記各動力伝達系の何れか一方の動力伝達系に前記駆動源からの動力が伝達されるように前記一方の動力伝達系が備える一方のクラッチを係合状態にさせると共に、他方の動力伝達系が備える他方のクラッチを解放状態にさせる制御を実行する自動変速機の制御装置であって、積載量の多い状態及び牽引をする状態のうち少なくとも一方の状態で車両が走行する積載牽引状態であるか否かを推定する積載牽引推定手段と、前記一方の動力伝達系にクラッチを介して前記駆動源から動力が伝達されて車両が走行する場合において、前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態であると推定されるときに、前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車両の車体速度が速い状態で、前記他方の動力伝達系の変速段を自動変速機において選択される変速段よりも低速側の変速段で準備させるべくプレシフト制御を実行するプレシフト制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、積載牽引状態では、運転手がより大きな動力を要求する可能性が高いため、積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車両の車体速度が速い状態で、動力が伝達されていない他方の動力伝達系の変速段が、自動変速機において選択される変速段(即ち、動力が伝達される一方の動力伝達系で選択される変速段)よりも低速側の変速段で準備される。したがって、ダウンシフトが実行される可能性が高い積載牽引状態であっても、走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、車両の目標加速度を算出する目標加速度算出手段と、車両の実加速度を算出する実加速度算出手段と、をさらに備え、前記積載牽引推定手段は、前記目標加速度算出手段によって算出される目標加速度と前記実加速度算出手段によって算出される実加速度との差分を算出し、該算出した差分が予め設定された差分閾値以上である場合に、前記積載牽引状態であると推定することを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、積載牽引状態であるか否かは、目標加速度と実加速度との差分から推定される。すなわち、カーナビゲーションシステムなどの外部装置が搭載されない車両であっても、走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御が実行される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、記積載牽引推定手段は、予め設定された推定判定時間の間、前記目標加速度算出手段によって算出される目標加速度と前記実加速度算出手段によって算出される実加速度との差分が前記差分閾値以上である状態が継続された場合に、前記積載牽引状態であると推定することを要旨とする。
【0012】
一般に、積載牽引状態で車両が走行する場合には、目標加速度と実加速度との差分が差分閾値以上である状態が継続される。そこで、本発明では、予め設定された推定判定時間の間、目標加速度と実加速度との差分が差分閾値以上である状態が継続された場合に、積載牽引状態であると推定される。そのため、例えば車両が登坂路を走行する場合に、積載牽引状態であると誤判定されることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における自動変速機が搭載された車両のブロック図。
【図2】本実施形態の自動変速機を示すスケルトン図。
【図3】ダウンシフト、アップシフト及びプレシフト制御の開始タイミングを図るためのマップ。
【図4】加速度差に応じたオフセット量を設定するためのマップ。
【図5】プレシフト判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を車両に搭載される自動変速機の制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両は、走行時に路面に接触する複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能し、且つ後輪RR,RLが従動輪として機能する所謂前輪駆動車である。こうした車両には、運転手によるアクセルペダル11の踏込み操作量に応じた動力(トルク)が発生する駆動源としてのエンジン12が設けられ、該エンジン12で発生する動力は、自動変速機13などを介して前輪FR,FLに伝達される。本実施形態の車両には、運転手によるアクセルペダル11の操作態様などに応じてエンジン12の駆動態様を制御する電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)14が設けられ、該エンジンECU14には、アクセルペダル11の開度(「アクセル開度」ともいう。)を検出するためのアクセルセンサSE1が電気的に接続されている。そして、エンジンECU14は、アクセルセンサSE1からの検出信号に基づきアクセル開度を算出し、該算出結果に関する情報などを後述する自動変速機13用のECU40に送信する。
【0015】
次に、自動変速機13について図2に基づき説明する。
図2に示すように、本実施形態の自動変速機13は、所謂デュアルクラッチ式の前進7段後進1段の変速機である。こうした自動変速機13は、複数(本実施形態では2つ)のクラッチC1,C2と、第1のクラッチC1に連結される第1入力軸15と、第2のクラッチC2に連結される第2入力軸16と、奇数段(1速段、3速段、5速段及び7速段)用の第1歯車変速機構17と、偶数段(2速段、4速段、6速段)及び後進段用の第2歯車変速機構18と、各入力軸15,16と同軸回転可能な出力軸19とを備えている。この出力軸19からは、図示しないディファレンシャルなどを介して前輪FR,FLに動力が伝達される。
【0016】
第1入力軸15は、第1のクラッチC1から所定方向(図2では左右方向)に沿って延びる棒状の部材であって、クラッチ用アクチュエータ20の駆動によって第1のクラッチC1が係合状態になった場合に、所定方向に沿って延びる回転軸線(図示略)を中心に回転する。また、第2入力軸16は、第2のクラッチC2から所定方向に沿って延びる円筒状の部材であって、該第2入力軸16内には、第1入力軸15の第1のクラッチC1側の部位が収容される。そして、第2入力軸16は、クラッチ用アクチュエータ20の駆動によって第2のクラッチC2が係合状態になった場合に、第1入力軸15と同軸で回転する。なお、クラッチC1,C2の係合とは、クラッチC1,C2の入力側と出力側との係合のことをいい、クラッチC1,C2の解放とは、クラッチC1,C2の入力側と出力側とが離間して動力伝達不能になることをいう。
【0017】
第1歯車変速機構17は、第1入力軸15に相対回転可能な状態で保持され、且つ所定方向に沿って順に配置される1速段用変速ギヤ211、7速段用変速ギヤ217、3速段用変速ギヤ213と、出力軸19に一体回転可能な状態で保持される5速段用変速ギヤ215とを備えている。また、第1歯車変速機構17には、各入力軸15,16及び出力軸19に平行に配置されるカウンタ軸22に一体回転可能な状態で固定され、且つ奇数段用の各変速ギヤ211,213,215,217に個別に噛合する複数(本実施形態では4つ)のカウンタギヤ231,233,235,237が設けられている。
【0018】
また、第1歯車変速機構17には、1速段用変速ギヤ211又は7速段用変速ギヤ217を選択する第1変速段選択機構25と、3速段用変速ギヤ213又は5速段用変速ギヤ215を選択する第2変速段選択機構26とが設けられている。各変速段選択機構25,26には、第1入力軸15の外周側において該第1入力軸15と一体回転可能な円筒状のスリーブ24がそれぞれ設けられている。これらスリーブ24は、所定方向における一方側に位置する変速ギヤ(例えば1速段用変速ギヤ211)と所定方向における他方側に位置する変速ギヤ(例えば7速段用変速ギヤ217)との間をそれぞれ移動可能である。
【0019】
また、各変速段選択機構25,26には、スリーブ24を所定方向に沿って移動させるための駆動部27が設けられており、該各駆動部27は、選択用アクチュエータ28A,28Bから駆動力がそれぞれ付与される。そして、駆動部27の駆動によって、スリーブ24が所定方向における一方側(図2では左側)に位置する変速ギヤと係合する第1係合位置又は所定方向における他方側(図2では右側)に位置する変速ギヤと係合する第2係合位置に配置された場合、スリーブ24と係合した変速ギヤは、第1入力軸15と一体回転可能になる。例えば、第2変速段選択機構26のスリーブ24が第2係合位置に配置される場合、5速段用変速ギヤ215には、第1入力軸15からの動力がスリーブ24を介して伝達される。一方、スリーブ24が所定方向における両側に位置する両変速ギヤの間の中立位置に配置される場合、各変速ギヤ211,213,215,217には、第1入力軸15を介して動力が伝達されない。
【0020】
第2歯車変速機構18は、第2入力軸16に相対回転可能な状態で保持され、所定方向に沿って順に配置される偶数段用の各変速ギヤ(2速段用変速ギヤ212、4速段用変速ギヤ214、6速段用変速ギヤ216)及び後進段用変速ギヤ21Rを備えている。また、第2歯車変速機構18には、カウンタ軸22に一体回転可能な状態で固定され、且つ各変速ギヤ212,214,216,21Rに個別対応する複数(本実施形態では4つ)のカウンタギヤ232,234,236,23Rが設けられている。前進偶数段用の各カウンタギヤ232,234,236は、個別対応する各変速ギヤ212,214,216にそれぞれ噛合している。また、後進段用変速ギヤ21Rとカウンタギヤ23Rとの間には、後進段用変速ギヤ21R及びカウンタギヤ23Rに噛合するアイドラギヤ29が設けられ、該アイドラギヤ29は、後進段用変速ギヤ21Rからの動力をカウンタギヤ23Rに伝達可能である。
【0021】
また、第2歯車変速機構18には、2速段用変速ギヤ212又は4速段用変速ギヤ214を選択する第3変速段選択機構31と、6速段用変速ギヤ216又は後進段用変速ギヤ21Rを選択する第4変速段選択機構32とが設けられている。これら各変速段選択機構31,32は、上記第1及び第2変速段選択機構25,26と同様に、第2入力軸16の外周側に配置されるスリーブ24と、選択用アクチュエータ28C,28Dからの駆動力が付与される駆動部27とをそれぞれ備えている。すなわち、第3及び第4変速段選択機構31,32において各スリーブ24は、駆動部27の駆動によって、第1係合位置、第2係合位置及び中立位置の何れかの位置にそれぞれ配置される。そして、スリーブ24と係合した変速ギヤ(例えば2速段用変速ギヤ212)は、第2入力軸16と一体回転可能になる。
【0022】
こうした自動変速機13において変速段を1速段に設定して車両を走行させる場合、各選択用アクチュエータ28A,28Bの駆動によって、第1変速段選択機構25のスリーブ24は、第1係合位置に配置されて1速段用変速ギヤ211に係合する一方、第2変速段選択機構26のスリーブ24は、中立位置に配置される。続いて、クラッチ用アクチュエータ20の駆動によって、第1のクラッチ(一方のクラッチ)C1が係合状態にされると共に、第2のクラッチ(他方のクラッチ)C2が解放状態にされる。すると、エンジン12からの動力は、第1のクラッチC1、第1入力軸15、1速段用変速ギヤ211、カウンタギヤ231、カウンタ軸22、カウンタギヤ235、5速段用変速ギヤ215及び出力軸19などを介して前輪FR,FLに伝達され、車両が走行する。したがって、本実施形態では、第1のクラッチC1、第1入力軸15及び第1歯車変速機構17により、第1の動力伝達系が構成される。
【0023】
また、自動変速機13の変速段を2速段に設定して車両を走行させる場合、各選択用アクチュエータ28C,28Dの駆動によって、第3変速段選択機構31のスリーブ24は、第1係合位置に配置されて2速段用変速ギヤ212に係合する一方、第4変速段選択機構32のスリーブ24は、中立位置に配置される。続いて、クラッチ用アクチュエータ20の駆動によって、第2のクラッチ(一方のクラッチ)C2が係合状態にされると共に、第1のクラッチ(他方のクラッチ)C1が解放状態にされる。すると、エンジン12からの動力は、第2のクラッチC2、第2入力軸16、2速段用変速ギヤ212、カウンタギヤ232、カウンタ軸22、カウンタギヤ235、5速段用変速ギヤ215及び出力軸19などを介して前輪FR,FLに伝達され、車両が走行する。したがって、本実施形態では、第2のクラッチC2、第2入力軸16及び第2歯車変速機構18により、上記第1の動力伝達系と並列に設けた第2の動力伝達系が構成される。
【0024】
次に、自動変速機13の駆動を制御する制御装置としての電子制御装置(以下、「ECU」という。)40について図1及び図2に基づき以下説明する。
図1及び図2に示すように、ECU40のインターフェースには、後輪RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE2,SE3、各クラッチC1,C2の温度を検出するための温度センサSE4,SE5、車両の車体速度を検出するための車体速度センサSE6、及び車両の図示しないブレーキペダルが操作されたか否かを検出するためのブレーキスイッチSW1が電気的に接続されている。また、ECU40のインターフェースには、クラッチ用アクチュエータ20及び各選択用アクチュエータ28A〜28Dが電気的に接続されている。また、ECU40には、エンジンECU14から送信されるアクセル開度などに関する各種情報が受信される。
【0025】
また、ECU40は、CPU41、ROM42及びRAM43などから構築されるデジタルコンピュータを有している。ROM42には、各アクチュエータ20,28A〜28Dを駆動させて自動変速機13を制御するための各種の制御プログラム(後述するプレシフト判定処理等)、各種マップ(図3及び図4に示すマップ等)、及び各種閾値(後述する差分閾値、推定判定時間、解消推定時間等)などが記憶されている。また、RAM43には、車両の図示しないイグニッションスイッチの「オン」中に適宜書き換えられる各種の情報(後述する実加速度、目標加速度、加速度差、オフセット量、各経過時間、積載牽引フラグ等)などがそれぞれ記憶される。
【0026】
次に、ROM42に記憶される各種マップについて、図3及び図4に基づき説明する。
図3に示す第1マップは、前進用の各変速段に個別対応するように複数(本実施形態では7つ)設けられている。そこで、以下では、一例として4速段用の第1マップについて説明し、他の変速段用の第1マップについては、その説明を省略する。
【0027】
第1マップは、車両の車体速度VS及びアクセル開度ARに基づき、ダウンシフト、アップシフト、ダウンシフト側へのプレシフト制御及びアップシフト側へのプレシフト制御の開始タイミングを図るためのマップである。すなわち、図3に示すように、第1マップには、ダウンシフトの開始タイミングを示すダウンシフト線、アップシフトの開始タイミングを示すアップシフト線、ダウンシフト側へのプレシフト制御の開始タイミングを示すダウン側プレシフト線、及びアップシフト側へのプレシフト制御の開始タイミングを示すアップ側プレシフト線が設けられている。これら各線は、アクセル開度ARが大きいほど、開始タイミングが高速側となるようにそれぞれ設定される。また、ダウン側プレシフト線は、ダウンシフト線よりも高速側であって、且つアップ側プレシフト線及びアップシフト線よりも低速側に位置している。また、アップ側プレシフト線は、アップシフト線よりも低速側に位置している。
【0028】
アクセル開度ARが第1の開度AR1であって且つ車体速度VSが第1の速度VS1である場合には、ダウンシフト、アップシフト、ダウンシフト側へのプレシフト制御及びアップシフト側へのプレシフト制御が開始されない。また、アクセル開度ARが第1の開度AR1よりも小さい第2の開度AR2であって且つ車体速度VSが第1の速度VS1よりも低速の第2の速度VS2になった場合には、ダウンシフト側へのプレシフト制御が実行される。また、アクセル開度ARが第2の開度AR2よりも小さい第3の開度AR3であって且つ車体速度VSが第2の速度VS2よりも低速の第3の速度VS3になった場合には、ダウンシフトが実行される。一方、アクセル開度ARが第1の開度AR1よりも大きい第4の開度AR4であって且つ車体速度VSが第1の速度VS1よりも高速の第4の速度VS4になった場合には、アップシフト側へのプレシフト制御が実行される。また、アクセル開度ARが第4の開度AR4よりも大きい第5の開度AR5であって且つ車体速度VSが第4の速度VS4よりも高速の第5の速度VS5になった場合には、アップシフトが実行される。
【0029】
なお、ダウンシフト側へのプレシフト制御とは、エンジン12から動力が伝達されない側の歯車変速機構の変速段を、自動変速機13において現時点で選択される変速段よりも1段だけ低速側の変速段で準備させるプレシフト制御のことをいう。また、アップシフト側へのプレシフト制御とは、エンジン12から動力が伝達されない側の歯車変速機構の変速段を、自動変速機13において現時点で選択される変速段よりも1段だけ高速側の変速段で準備させるプレシフト制御のことをいう。
【0030】
図4に示す第2マップは、車両の実際の加速度(以下、「実加速度」という。)と目標加速度との差分である加速度差DVSdiffに応じてオフセット量Oftを設定するためのマップである。すなわち、オフセット量Oftは、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth未満である場合には「0(零)」に設定され、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth以上である場合には加速度差DVSdiffが大きいほど大きな値に設定される。なお、オフセット量Oftは、第1マップにおけるダウン側プレシフト線の位置を設定するための値である。第1マップにおいて、ダウン側プレシフト線は、オフセット量Oftが「0(零)」である場合には図3にて実線で示す位置に配置される一方、オフセット量Oftが「0(零)」ではない場合には高速側の位置(例えば、図3の破線で示す位置)に配置される。
【0031】
次に、本実施形態のECU40が実行するプレシフト判定処理ルーチンについて図5に示すフローチャートに基づき説明する。
さて、車両の図示しないイグニッションスイッチが「ON」に設定されると、ECU40は、プレシフト判定処理ルーチンを実行する。このプレシフト判定処理ルーチンにおいて、ECU40は、積載牽引フラグFLGskを「OFF」にセットする(ステップS10)。積載牽引フラグFLGskは、積載量の多い状態及び牽引をする状態のうち少なくとも一方の状態で車両が走行する積載牽引状態である場合には「ON」にセットされる一方、積載牽引状態ではない場合には「OFF」にセットされるフラグである。続いて、ECU40は、車体速度センサSE6からの検出信号に基づき車両の車体速度VSを算出し、該算出した車体速度VSを微分することにより車両の実加速度DVSrを導出する(ステップS11)。したがって、本実施形態では、ECU40が、実加速度算出手段としても機能する。
【0032】
そして、ECU40は、車両の目標加速度DVStを算出する(ステップS12)。具体的には、ECU40は、エンジンECU14から受信した情報からアクセル開度ARを取得すると共に、自動変速機13において現時点で選択される変速段を取得し、取得したアクセル開度AR及び変速段から出力軸19の回転速度を推定する。そして、ECU40は、推定した出力軸19の回転速度に基づき、車両の目標加速度DVStを算出する。したがって、本実施形態では、ECU40が、目標加速度算出手段としても機能する。なお、目標加速度DVStは、積載牽引状態ではない場合に、平坦な路面を走行する際の車両の実加速度に近い速度として算出される。
【0033】
続いて、ECU40は、ステップS11で算出された目標加速度DVStからステップS12で算出された実加速度DVSrを減算して加速度差DVSdiffを算出する(ステップS13)。そして、ECU40は、ステップS13で算出された加速度差DVSdiffが予め設定された差分閾値DVSdiffth以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0034】
ここで、車両が積載牽引状態である場合には、積載牽引状態ではない場合に比して車両に加わる負荷が大きくなる分、車両を走行させるために大きな動力が必要になる。そのため、同程度の動力が前輪FR,FLに伝達される場合であっても、積載牽引状態であるときには、積載牽引状態ではないときよりも加速度が小さくなる。すなわち、積載牽引状態である場合には、積載牽引状態ではない場合よりも加速度差DVSdiffが大きくなる。そこで、本実施形態では、差分閾値DVSdiffthが加速度差DVSdiffに基づき積載牽引状態であるか否かを推定するための基準値として設定される。したがって、本実施形態では、ECU40が、積載牽引推定手段としても機能する。
【0035】
ステップS14の判定結果が肯定判定(DVSdiff≧DVSdiffth)である場合、ECU40は、積載牽引フラグFLGskが「OFF」であるか否かを判定する(ステップS15)。この判定結果が否定判定(FLGsk=ON)である場合、ECU40は、既に積載牽引状態であると推定されているため、その処理を前述したステップS11に移行する。一方、ステップS15の判定結果が肯定判定(FLGsk=OFF)である場合、ECU40は、ステップS14の判定結果が初めて肯定判定になってから(即ち、積載牽引状態になった可能性があると判断されてから)の経過時間である第1経過時間T1を更新する(ステップS16)。続いて、ECU40は、ステップS16で更新された第1経過時間T1が予め設定された推定判定時間T1th(例えば10分)を超えたか否かを判定する(ステップS17)。この推定判定時間T1thは、ステップS14が複数回連続して肯定判定となった場合に積載牽引状態になったと判断するための値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。
【0036】
ステップS17の判定結果が否定判定(T1≦T1th)である場合、ECU40は、積載牽引状態ではない可能性があると判断し、その処理を前述したステップS11に移行する。一方、ステップS17の判定結果が肯定判定(T1>T1th)である場合、ECU40は、積載牽引状態になったと推定し、積載牽引フラグFLGskを「ON」にセットする(ステップS18)。続いて、ECU40は、ステップS13で算出された加速度差DVSdiffを第2マップ(図4参照)に代入して加速度差DVSdiffに応じたオフセット量Oftを設定し(ステップS19)、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0037】
その一方で、ステップS14の判定結果が否定判定(DVSdiff<DVSdiffth)である場合、ECU40は、積載牽引フラグFLGskが「OFF」であるか否かを判定する(ステップS20)。この判定結果が肯定判定(FLGsk=OFF)である場合、ECU40は、既に積載牽引状態ではないと推定されているため、その処理を前述したステップS11に移行する。一方、ステップS20の判定結果が否定判定(FLGsk=ON)である場合、ECU40は、ステップS14,S20の各判定結果が初めて共に否定判定になってから(即ち、積載牽引状態でなくなった可能性があると判断されてから)の経過時間である第2経過時間T2を更新する(ステップS21)。続いて、ECU40は、ステップS21で更新された第2経過時間T2が予め設定された解消推定時間T2th(例えば10分)を超えたか否かを判定する(ステップS22)。この解消推定時間T2thは、ステップS14,S20が複数回連続して共に否定判定となった場合に積載牽引状態ではなくなったと判断するための値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。
【0038】
ステップS22の判定結果が否定判定(T2≦T2th)である場合、ECU40は、積載牽引状態である可能性があると判断し、その処理を前述したステップS11に移行する。一方、ステップS22の判定結果が肯定判定(T2>T2th)である場合、ECU40は、積載牽引状態ではなくなったと推定し、積載牽引フラグFLGskを「OFF」にセットする(ステップS23)。すなわち、差分閾値DVSdiffthは、積載牽引状態でなくなったか否かを推定する際の基準値である解消推定閾値でもある。したがって、本実施形態では、ECU40が、解消推定手段としても機能する。続いて、ECU40は、オフセット量Oftを「0(零)」に設定し(ステップS24)、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0039】
ステップS25において、ECU40は、各経過時間T1,T2を共に「0(零)」にリセットする。続いて、ECU40は、自動変速機13において現時点で選択される変速段(例えば4速段)用の第1マップをROM42から読み出し、ステップS19又はステップS24で設定されたオフセット量Oftに応じてダウン側プレシフト線の位置を設定する(ステップS26)。具体的には、ECU40は、オフセット量Oftが「0(零)」である場合にはダウン側プレシフト線を図3の実線で示す位置に設定する。一方、ECU40は、オフセット量Oftが「0(零)」よりも大きな値に設定された場合には、ダウン側プレシフト線を、オフセット量Oftに応じて図3の実線で示す位置よりも高速側(図3では右側であって、例えば図3の破線で示す位置)に設定し、この第1マップをRAM43の所定領域に記憶させる。
【0040】
その後、ECU40は、イグニッションスイッチが「OFF」であるか否かを推定する(ステップS27)。この判定結果が否定判定(スイッチ=ON)である場合、ECU40は、その処理を前述したステップS11に移行する。一方、ステップS27の判定結果が肯定判定(スイッチ=OFF)である場合、ECU40は、プレシフト判定処理ルーチンを終了する。
【0041】
すなわち、ECU40は、上記プレシフト判定処理ルーチンで設定されたRAM43の所定領域に記憶された各第1マップのうち、自動変速機13の現時点の変速段に相当する第1マップを読み出す。そして、ECU40は、積載牽引状態と推定する場合において、アクセル開度ARが第6の開度AR6及び車両の車体速度VSが第6の速度VS6(図3参照)であるときには、ダウンシフト側へのプレシフト制御を実行する。一方、ECU40は、積載牽引状態でないと推定する場合において、アクセル開度ARが第6の開度AR6及び車両の車体速度VSが第6の速度であるときには、ダウンシフト側へのプレシフト制御を実行しない。つまり、ダウンシフト側へのプレシフト制御は、牽引積載状態であると推定された場合、牽引積載状態ではないと推定される場合よりも車体速度VSが速い状態で実行される。したがって、本実施形態では、ダウンシフト側へのプレシフト制御の開始タイミングを調整できるECU40が、プレシフト制御手段としても機能する。
【0042】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)積載牽引状態と推定される場合には、運転手がより大きな動力を要求する可能性が高いため、積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車両の車体速度VSが速い状態で、ダウンシフト側へのプレシフト制御が実行される。したがって、ダウンシフトが実行される可能性が高い積載牽引状態であっても、走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できる。
【0043】
(2)また、実際にダウンシフト側へのプレシフト制御を実行する場合には、入力軸と一体回転可能にする変速ギヤ(例えば3速段用変速ギヤ213)と、入力軸(第1入力軸15)とを同期させてから変速ギヤにスリーブ24を係合させる。そのため、ダウンシフトが要求される可能性が高い場合には、ダウンシフト側へのプレシフト制御を早めに開始させる必要がある。そこで、本実施形態では、積載牽引状態で車両が走行する場合には、積載牽引状態ではない場合に比してダウンシフト側へのプレシフト制御が早いタイミングで開始される。したがって、実際にダウンシフトが要求された場合には、速やかなダウンシフトを提供できる。
【0044】
(3)さらに、アクセル開度ARや車両の車体速度VSが図3においてダウンシフト線よりも左側に位置する前に運転手がダウンシフトを要求することがある。もし仮に積載牽引状態である場合であってもオフセット量Oftが「0(零)」となる制御構成であるとすると、ダウンシフトが要求された時点では、ダウンシフト側へのプレシフト制御が未だ実行されていない可能性がある。この場合、ダウンシフトの要求がECU40に入力されてからダウンシフト側へのプレシフト制御に相当する処理の実行後、係合状態とするクラッチC1,C2を変更することになるため、ダウンシフトの要求がECU40に入力されてから実際のダウンシフトが完了するまでの間に大きな時間差が発生する。この点、本実施形態では、積載牽引状態と推定される場合には、ダウンシフト側へのプレシフト制御が積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車体速度VSが速い状態で実行される。そのため、アクセル開度ARや車両の車体速度VSが図3においてダウンシフト線よりも左側に位置する前に運転手がダウンシフトを要求したとしても、この時点では、ダウンシフト側へのプレシフト制御が実行中である可能性が高くなる。したがって、ダウンシフトの要求がECU40に入力されてから実際にダウンシフトが完了するまでの時間差を小さくできる。
【0045】
(4)積載牽引状態であるか否かは、加速度差DVSdiffから推定される。すなわち、カーナビゲーションシステムなどの外部装置が搭載されない車両であっても、積載牽引状態であるか否かを容易に推定でき、結果として、走行する車両の状態に応じた適切なプレシフト制御を実行できる。
【0046】
(5)一般に、積載牽引状態で車両が走行する場合には、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth以上である状態が継続される。そこで、本実施形態では、予め設定された推定判定時間T1thの間、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth以上である状態が継続された場合に、積載牽引状態であると推定される。そのため、例えば車両が登坂路を走行する場合に、積載牽引状態であると誤判定されることを抑制できる。
【0047】
(6)また、積載牽引状態ではなくなった車両が走行する場合には、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth未満である状態が継続されるはずである。そこで、本実施形態では、積載牽引フラグFLGskが「ON」である場合において、予め設定された解消推定時間T2thの間、加速度差DVSdiffが差分閾値DVSdiffth未満である状態が継続された場合に、積載牽引状態が解消されたと推定される。そのため、積載牽引状態ではなくなった場合には、オフセット量Oftを「0(零)」にリセットでき、ダウンシフト側へのプレシフト制御を、通常の状態に戻すことができる。また、例えば信号待ちで車両が一時的に停止している場合に、牽引積載状態が解消されたと誤って推定されることを抑制できる。
【0048】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、プレシフト判定処理ルーチンのステップS20〜S24の各処理を省略してもよい。この場合、積載牽引フラグFLGskが一度「ON」になると、イグニッションスイッチが「OFF」になるまでオフセット量Oftが「0(零)」よりも大きな値に設定される。このように構成しても、イグニッションスイッチが「OFF」から「ON」になる際に、積載牽引フラグFLGskは「OFF」にセットされると共に、オフセット量Oftは初期値である「0(零)」に設定される。
【0049】
・カーナビゲーションシステムなどの外部装置には、地図情報が記憶されている。そこで、カーナビゲーションシステムが車両に搭載される場合には、該システムから車両の走行する路面に関する情報をECU40に受信させるようにしてもよい。ECU40が受信する情報の中に坂路ではない平坦な路面を車両が走行中である旨の情報がある場合、ステップS16,S17の各処理を省略してもよい。このように構成しても、車両が登坂路を走行する場合に、積載牽引状態であると誤判定される可能性を小さくできる。
【0050】
・車両の各座席内には、搭乗者が着座したことを検出するためのセンサがそれぞれ設けられている。そこで、各センサからの検出信号に基づき、車両に搭乗する人数を把握可能な場合には、搭乗人数が所定人数以上であるときに積載量が多い(即ち、積載牽引状態である)と推定してもよい。
【0051】
・実施形態において、車両に加速度センサが搭載される場合には、該加速度センサからの検出信号に基づき実加速度DVSrを算出してもよい。
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0052】
(イ)前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態であると推定された状態において、予め設定された解消推定時間の間、前記目標加速度算出手段によって算出される目標加速度と前記実加速度算出手段によって算出される実加速度との差分が予め設定された解消推定閾値未満である状態が継続された場合に、前記積載牽引状態が解消されたと推定する解消推定手段をさらに備え、
前記プレシフト制御手段は、前記解消推定手段によって前記積載牽引状態が解消されたと推定された場合に、前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態であると推定される場合よりも車両の車体速度が遅い状態で、前記他方の動力伝達系の変速段を、前記一方の動力伝達系の変速機構で選択される変速段よりも低速側の変速段で準備させるべくプレシフト制御を実行することを特徴とする。
【符号の説明】
【0053】
12…駆動源としてのエンジン、13…自動変速機、15,16…動力伝達系を構成する入力軸、17,18…動力伝達系を構成する歯車変速機構、40…制御装置、積載牽引推定手段、プレシフト制御手段、目標加速度算出手段、実加速度算出手段、解消推定手段としてのECU、C1,C2…動力伝達系を構成するクラッチ、DVSdiff…加速度差、DVSdiffth…リセット閾値に相当する差分閾値、DVSr…実加速度、DVSt…目標加速度、T1th…推定判定時間、T2th…解消推定時間、VS…車体速度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力を断・接制御するためのクラッチ及び該クラッチに動力伝達可能な状態で連結される変速機構を有する動力伝達系を2系統備え、車両走行時には、前記各動力伝達系の何れか一方の動力伝達系に前記駆動源からの動力が伝達されるように前記一方の動力伝達系が備える一方のクラッチを係合状態にさせると共に、他方の動力伝達系が備える他方のクラッチを解放状態にさせる制御を実行する自動変速機の制御装置であって、
積載量の多い状態及び牽引をする状態のうち少なくとも一方の状態で車両が走行する積載牽引状態であるか否かを推定する積載牽引推定手段と、
前記一方の動力伝達系にクラッチを介して前記駆動源から動力が伝達されて車両が走行する場合において、前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態であると推定されるときに、前記積載牽引推定手段によって前記積載牽引状態ではないと推定される場合よりも車両の車体速度が速い状態で、前記他方の動力伝達系の変速段を自動変速機において選択される変速段よりも低速側の変速段で準備させるべくプレシフト制御を実行するプレシフト制御手段と、を備えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項2】
車両の目標加速度を算出する目標加速度算出手段と、
車両の実加速度を算出する実加速度算出手段と、をさらに備え、
前記積載牽引推定手段は、前記目標加速度算出手段によって算出される目標加速度と前記実加速度算出手段によって算出される実加速度との差分を算出し、該算出した差分が予め設定された差分閾値以上である場合に、前記積載牽引状態であると推定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項3】
前記積載牽引推定手段は、予め設定された推定判定時間の間、前記目標加速度算出手段によって算出される目標加速度と前記実加速度算出手段によって算出される実加速度との差分が前記差分閾値以上である状態が継続された場合に、前記積載牽引状態であると推定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−236634(P2010−236634A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85860(P2009−85860)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】