説明

自動扉開閉装置

【課題】 1個の駆動シリンダーで左右の扉の開放度を変えて扉を開放できる自動扉開閉装置の提供。
【解決手段】 ガイドレールボックス4の上方側に右扉2と左扉3を走行自在に設け、駆動シリンダー5のピストンロッド6先端部7に備えた取付金具8を前記右扉2に固定するとともに、大径プーリー10と小径プーリー11を有する回転軸9をガイドレールボックス上の固定位置で回転するように設置し、前記ガイドレールボックスの右端部に小径プーリー12を設け、この小径プーリー12と前記小径プーリー11に回転駆動可能に巻き付けた第一ワイヤー14の上側ワイヤーに右扉2を固定し、ガイドレールボックスの左端部に大径プーリー16を設け、この大径プーリー16と前記大径プーリー12に回転駆動可能に巻き付けた第二ワイヤー18の下側ワイヤーに左扉を固定した扉開閉装置1。駆動シリンダー5の駆動により右扉2は右方向に左扉は左方向に異なった量走行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属工作機械、射出成形機、中空成形機、ショウウィンドウ、ビルディング、調理機等で使用される自動扉開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動扉開閉装置として、例えば図8に示すようにモータ211によって正逆転される駆動プーリ212と従動プーリ213とにベルト214を巻き掛け、このベルト214を連結部204により扉201に連結し、モータ211に接続された自動扉制御装置215からの制御信号によりモータ211を正逆転することで扉201を自動的に開閉するようにした構成ものが知られている。この自動扉開閉装置においては、扉201に人が近づくと扉201の入口側・出口側夫々に設置された光電スイッチ等からなる人体検出センサからの人体検知信号に基づいて自動扉制御装置215がモータ211を所定の動作パターンで正、逆転駆動して、扉201を横方向に開閉動作させている(例えば、特許文献1の図19a参照。)。
【0003】
この特許文献1は、図9に示すように、両引の扉116a,116bを自動開閉制御する自動扉開閉装置も開示している。この自動扉開閉装置において扉116aは、モータ112aによって正逆転される駆動プーリ113a及び受動プーリ114aとに巻き掛けたベルト115aに連結部121aを介して接続してある。また、受動プーリ114aには、自動扉制御装置111aによって制御されるモータ112aが接続されている。同様に、扉116bは、モータ112bによって正逆転される駆動プーリ113b及び受動プーリ114bとに巻き掛けたベルト115bに連結部121bを介して接続してある。また、受動プーリ114bには、自動扉制御装置111bによって制御されるモータ112bが接続されている。この左右の扉116a,116bを制御する自動扉開閉装置の場合、左右の扉片方の扉116a,116bの片方のみを半開モードで開閉することもできる。この場合、開閉する扉は扉116a,116bのどちらか一方のみでよいが、拡張ユニット117からの制御信号により扉116a,116bのうち開く扉を交互に切り換えるように制御すれば、一方のみの扉を使用した(開けた)場合よりも1つの扉の動作回数が減るため、モータ112a,112bやベルト115a,115b等の経時劣化が抑制され、自動扉制御システムの寿命が延びるという効果がある。(例えば、特許文献1の図16参照。)。
【0004】
更に、2つのプーリ間に掛け渡されたベルトと、該ベルトに取着された連結部材と、連結部材の姿勢制御機構とを備え、この連結部材の基部は左右水平方向に間隔をおいた2本の軸部材、ナットを介して前記ベルトに固着され、先部は一方の窓に取着され、各軸部材がベルトに臨む箇所とは反対側の箇所にローラが支持され、該ローラはハウジングのガイドに移動可能に結合され、これにより前記連結部材がハウジングに対して一定の状態を維持しつつ左右に移動するように構成されている片開閉窓の自動開閉装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−284528号公報
【特許文献2】特開2001−182430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示される自動扉開閉装置は、左右の扉(ドア)が同時に同じ距離量開閉されるものであり、特許文献2に開示される自動窓開閉装置は、片方の窓のみが開閉されるものである。しかしながら、機械や建屋の設置場所においては、壁や隣地との境界によって戸袋の横幅を大きく取ることができない。また、工作機械の開閉扉において、一方の扉は全開し、他方の扉は半開でもよいときがある。本発明は、1個の駆動手段により左右の扉の開閉量を変えて開閉できる自動扉開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ガイドレールボックスの上方側に右扉と左扉を走行自在に設け、駆動シリンダーをガイドレールボックスの左扉側に設け、この駆動シリンダーのピストンロッド先端部に備えた取付金具を前記右扉に固定するとともに、大径プーリーと小径プーリーを有する回転軸をガイドレールボックス上の固定位置で回転するように設置し、前記右扉が位置するガイドレールボックスの右端部に小径プーリーを設け、この小径プーリーと前記小径プーリーに回転駆動可能に巻き付けた第一ワイヤーの上側ワイヤーまたは下側ワイヤーに右扉に固定する取付材を備えさせるとともに、前記左扉が位置するガイドレールボックスの左端部に大径プーリーを設け、この大径プーリーと前記大径プーリーに回転駆動可能に巻き付けた第二ワイヤーの下側ワイヤーまたは上側ワイヤーであって前記右扉に固定した取付材の取り付け位置とは逆側の上下位置に左扉に固定する取付材を備える、自動扉開閉装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
駆動シリンダーは、制御装置の開く指令を受けてピストンロッドが右方向に進出されると右扉は右方向にガイドレール上を走行し、右扉は第一ワイヤーを引っ張って回転軸を回転させる。回転軸の回転により第二ワイヤーは左扉を引っ張り左扉を左方向にガイドレ−ルを走行し、閉じ合わさっていた右扉、左扉が開放される。大径プーリーと小径プーリーの円周比が2:1であると第二ワイヤーは第一ワイヤーの走行量の2倍量を移動する。よって、左扉は全開し、右扉は半開となる。制御装置の閉じる指令を駆動シリンダーが受けると、ピストンロッドが左方向に後退し、回転軸9の逆回転により第一ワイヤーおよび第二ワイヤーが逆方向に巡回し、右扉および左扉をガイドレール上に走行させ、開放されていた扉2,3が合わさることにより扉開口部が閉鎖される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は自動扉開閉装置の正面図、図2は自動扉開閉装置のガイドレールボックスの一部を切り欠いた平面図、図3は自動扉開閉装置の側面図、図4は図1におけるX−X矢線から見た自動扉開閉装置の断面図、図5は図1におけるY−Y矢線から見た自動扉開閉装置の断面図、図6は図1におけるZ−Z矢線から見た自動扉開閉装置の断面図、図7は図2における丸枠Z内の拡大図である。
【0009】
図1内至図3に示す工作機械に使用される自動扉開閉装置1は、ガイドレールボックス4の上方側に右扉2と左扉3の一対を走行自在に設け、駆動シリンダー5をガイドレールボックス4の左扉側に設け、この駆動シリンダーのピストンロッド6先端部に備えた取付金具8を前記右扉2に固定するとともに、大径プーリー10と小径プーリー11を有する回転軸9をガイドレールボックス上の固定位置で回転するように設置し、前記右扉2が位置するガイドレールボックス4の右端部に緊張器具(テンショナ)13により回転を制御される小径プーリー12を設け、この小径プーリー12と前記小径プーリー11に回転駆動可能に巻き付けた第一ワイヤー14の上側ワイヤーまたは下側ワイヤーに右扉2に固定する取付材15を備えさせるとともに、前記左扉3が位置するガイドレールボックス4の左端部に緊張器具17により回転を制御される大径プーリー16を設け、この大径プーリー16と前記大径プーリー10に回転駆動可能に巻き付けた第二ワイヤー18の下側ワイヤーまたは上側ワイヤーであって前記右扉に固定した取付材15の取り付け位置とは逆側の上下位置に左扉に固定する取付材19を備える構造を採る。図中、20は大径プーリー10の緊張器具、21は工作機械のフレ−ム、22はコラムである。
【0010】
前記回転軸9に設けられる大径プーリー10と小径プーリー11のプーリ比は、扉2,3の開口度を制御する。この回転軸9外周に設けられた大径プーリー10と小径プーリー11のプーリー比(外周比)を変えることにより、右扉2と左扉3の走行量比を変えることができる。これら大径プーリー10と小径プーリー11に巡回される第一ワイヤー14、第二ワイヤー18が弛緩しないように緊張器具(テンショナー)13,17,20が大径プーリー16、小径プーリー12および大径プーリー10近傍に備え付けられ、これらワイヤーを緊張状態に保つ。この緊張器具13,17,20は、自動車業界、自動扉開閉装置業界、工作機械業界等ではプーリーとともに広く使用されているもので、NTN社、バンドー化学株式会社などより購入できる。
【0011】
ワイヤー14,18に代えてベルトやチェーンなどを用いることができ、プーリーに代えてスプロケッットやローラーを用いることができる。小径プーリー12は従属回転軸12aに、大径プーリー16は従属回転軸16aに回転自在に固定されている。
【0012】
小径プーリー12と前記小径プーリー11に回転駆動可能に巻き付けた第一ワイヤー14の上側位置のワイヤーに右扉2に固定するL字型取付材15をボルト15aで固定する。同様に大径プーリー10と大径プーリー16に回転駆動可能に巻き付けた第二ワイヤー18の下側位置のワイヤーに左扉3に固定するL字型取付材19をボルトで固定する。L字型取付材15,19は、ボルトとナットを用いて右扉2および左扉3下部を固定する。
【0013】
扉2,3の開閉は、以下のように行われる。制御装置の開く指令を駆動シリンダー5が受けるとピストンロッド6が図1で仮想線にて示す6’位置まで右方向に進出されることによりこのピストンロッド6の先端に下部が固定されている右扉2は右方向にガイドレ−ル上を走行し、右扉左端2aは仮想線2bで示される位置で停止する。この右扉2の走行とともに、右扉2に取付材15を介して固定されている第一ワイヤー14が右方向に走行して回転軸9に回転駆動力を与える。この回転軸9の回転駆動力を受けて大径プーリー10に巡回されている第二ワイヤー18が第一ワイヤー14とは逆方向に走行することにより第二ワイヤー18にL字型取付材19を介して下部が固定されている左扉3は左方向にガイドレ−ル上を走行し、閉じ合わさっていた扉2,3が開放される。
【0014】
制御装置の閉じる指令を駆動シリンダー5が受けると、ピストンロッド6が左方向に後退することによりピストンロッド6の先端に下部が固定されている右扉2は左方向にガイドレ−ル上を逆走する。この右扉2の走行とともに、右扉2に取付材15を介して固定されている第一ワイヤー14が左方向に逆走して回転軸9に逆方向の回転駆動力を与える。この回転軸9の回転駆動力を受けて大径プーリー10に巡回されている第二ワイヤー18が第一ワイヤー14とは逆方向に走行することにより第二ワイヤー18にL字型取付材19を介して下部が固定されている左扉3は右方向にガイドレ−ル上を走行し、開放されていた扉2,3が閉鎖される。
【0015】
大径プーリー10と小径プーリー11の円周比が2:1であると第二ワイヤー18は第一ワイヤー14の走行量の2倍量を移動する。よって、左扉3は全開し、右扉2は半開となる。大径プーリー10と小径プーリー11の円周比が3:1であると第二ワイヤー18は第一ワイヤー14の走行量の3倍量を移動する。
【0016】
本発明の自動扉開閉装置の別態様として、右扉、左扉の走行量を逆とすることもできる。扉の走行量が小さい方の扉を小径プーリーが巡回するワイヤー側へ、扉の走行量が大きい方の扉を大径プーリーが巡回するワイヤー側へ取付材を介して固定すればよい。また、制御装置からの指令でなく、駆動シリンダーの電源を押すことにより扉2、3の開閉を行うようにしてもよい。更に、駆動シリンダー5に代えて回転軸9の駆動源に回転アクチュエータを用い、回転軸9を回転駆動させて行うこともできる。更に、回転軸9を手動ハンドルで回動させることにより行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の自動扉開閉装置1は、1個の駆動手段5を用いて右扉と左扉の開放度を異なって開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】自動扉開閉装置の正面図である。
【図2】自動扉開閉装置のガイドレ−ルボックスの一部を切り欠いた平面図である
【図3】自動扉開閉装置の側面図である。
【図4】図1におけるX−X矢線から見た自動扉開閉装置の断面図である。
【図5】図1におけるY−Y矢線から見た自動扉開閉装置の断面図である。
【図6】図1におけるW−W矢線から見た自動扉開閉装置の断面図である
【図7】図2における丸枠Z内の拡大図である。
【図8】公知の自動扉開閉装置の正面図である。
【図9】別態様を示す公知の自動扉開閉装置の正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 自動扉開閉装置
2 右扉
3 左扉
4 ガイドレールボックス
5 駆動シリンダー
6 ピストンロッド
7 ガイドレ−ル
8 取付金具
9 回転軸
10,16 大径プーリー
11,12 小径プーリー
13,17 緊張器具
14 第一ワイヤー
15,19 取付材
18 第二ワイヤー
21 工作機械のフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールボックスの上方側に右扉と左扉を走行自在に設け、駆動シリンダーをガイドレールボックスの左扉側に設け、この駆動シリンダーのピストンロッド先端部に備えた取付金具を前記右扉に固定するとともに、大径プーリーと小径プーリーを有する回転軸をガイドレールボックス上の固定位置で回転するように設置し、前記右扉が位置するガイドレールボックスの右端部に小径プーリーを設け、この小径プーリーと前記小径プーリーに回転駆動可能に巻き付けた第一ワイヤーの上側ワイヤーまたは下側ワイヤーに右扉に固定する取付材を備えさせるとともに、前記左扉が位置するガイドレールボックスの左端部に大径プーリーを設け、この大径プーリーと前記大径プーリーに回転駆動可能に巻き付けた第二ワイヤーの下側ワイヤーまたは上側ワイヤーであって前記右扉に固定した取付材の取り付け位置とは逆側の上下位置に左扉に固定する取付材を備える、自動扉開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−107326(P2007−107326A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301097(P2005−301097)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】