説明

自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラム

【課題】駆動系に支障が生じたときにその旨を表示して報知することができる自動挿入式電子内視鏡装置等を提供する。
【解決手段】内視鏡の挿入部21を自動挿入するためのモータ31,43やモータ制御部3を含む駆動系と、この駆動系を制御するための第1の制御部1と、挿入部21の先端部23に配設された撮像素子を含む撮像部6と、第1の制御部1と通信可能に接続され撮像部6からの信号を表示用の映像信号に変換する第2の制御部2と、この第2の制御部2に接続されたモニタ7と、を備え、第1の制御部1は、駆動系に支障がある場合には停止させるように制御すると共に、支障の発生を示す通知信号を第2の制御部2へ送信し、第2の制御部2は、通知信号を受信すると、支障が発生した旨の報知表示をモニタ7に行わせる自動挿入式電子内視鏡装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部を駆動源を用いて自動挿入し得るようになされた自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療等の分野において、管腔内等の直接目視することができない部位を観察するために広く用いられている。こうした内視鏡は、一般に細長の挿入部を備えて構成されており、使用者の手技により被検体内へ挿入されていた。
【0003】
これに対して、近年、自己の推進力により挿入されるようになされた内視鏡(自動挿入式内視鏡装置)が研究されている。このような内視鏡には種々のタイプのものがあるが、一例を挙げれば、経肛門により大腸内へ挿入を行うようになされた内視鏡において、挿入部の外周側に、螺旋形状部を備えた軸周りに回動可能な回転筒体を設けて、該回転筒体を回転させることにより、体腔内への挿入を自動的に行うことができるようにした回転自走式内視鏡装置がある。
【0004】
このような自動挿入式内視鏡装置の内視鏡挿入部の先端部に、撮像素子を設けて被検体内の様子を電子的な映像として観察することができるように構成した場合には、自動挿入式内視鏡装置は自動挿入式電子内視鏡装置となる。
【0005】
こうした自動挿入式電子内視鏡装置においては、被検体内への自動的な挿抜や、送気、送水、吸引、あるいは湾曲等の駆動系を制御する処理と、撮像素子から得られた信号をモニタ等に表示し得る信号に変換する処理と、を行う必要がある。これらの内でも、駆動系の制御は装置の安全性に関わり重要であるために、駆動系の制御を、映像信号の処理を行う処理装置とは独立して設けることが考えられている。そして、この場合には、モータやポンプ、電磁弁等の駆動系が接続される第1の制御部と、撮像素子やモニタ等が接続される第2の制御部と、の構成となる。
【0006】
例えば、特開平9−285190号公報には、自動挿入式電子内視鏡装置ではないものの、ステップモータを駆動するモータ駆動装置の制御をワンチップのマイクロコンピュータ(第1の制御部)により行い、このワンチップのマイクロコンピュータを上位パソコン(第2の制御部)とシリアル通信により接続する構成例が記載されている。
【特許文献1】特開平9−285190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような構成の自動挿入式電子内視鏡装置は、モニタが接続されているのは第2の制御部であって第1の制御部には接続されていないために、駆動系の機能に支障が生じたときなどに、その旨を操作者に表示して報知することができなかった。自動挿入式電子内視鏡装置ではない上記特開平9−285190号公報に記載の技術においても、ワンチップのマイクロコンピュータにはモニタが接続されていないために、ステップモータの駆動に支障が生じたときに、その旨を操作者に表示して報知することができなかった。
【0008】
また、上述したように、自動挿入式電子内視鏡装置における駆動系の制御は、安全性に関わるものであるために、より一層の安全性を確保することが望まれている。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、駆動系に支障が生じたときにその旨を表示して報知することができる自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、駆動系をより一層確実に制御することができる自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、第1の発明による自動挿入式電子内視鏡装置は、内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えた第2の制御手段と、前記第2の制御手段に接続されていて前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、を具備し、前記第1の制御手段は、前記駆動系に支障が生じたことを検知した場合には、該駆動系を停止させるように制御すると共に、該支障の発生を示す通知信号を前記第2の制御手段へ送信するものであり、前記第2の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものである。
【0012】
また、第2の発明による自動挿入式電子内視鏡装置は、上記第1の発明による自動挿入式電子内視鏡装置において、前記第2の制御手段が、前記撮像系に支障が生じたことを検知した場合には、該支障の発生を示す通知信号を前記第1の制御手段へ送信するとともに、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものであり、前記第1の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には該駆動系を停止させるように制御するものである。
【0013】
さらに、第3の発明による自動挿入式電子内視鏡装置は、上記第1の発明による自動挿入式電子内視鏡装置において、前記第2の制御手段が、前記第1の制御手段の負荷を監視して、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定し、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定したときには、該第1の制御手段が担うべき負荷の少なくとも一部を、該第1の制御手段に代わって該第2の制御手段自体が担うようにさらに制御するものである。
【0014】
第4の発明による自動挿入式電子内視鏡装置は、上記第3の発明による自動挿入式電子内視鏡装置において、前記第2の制御手段が、さらに、前記駆動系を制御し得るように構成されたものであって、前記第1の制御手段に代わって前記第2の制御手段が担う負荷は、該駆動系の制御である。
【0015】
第5の発明による自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムは、内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えた第2の制御手段と、前記第2の制御手段に接続されていて前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、を具備する自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムであって、前記第1の制御手段により前記駆動系に支障が生じたことを検知した場合に該駆動系を停止させるように制御するステップと、前記第1の制御手段により前記支障の発生を示す通知信号を前記第2の制御手段へ送信するステップと、前記第2の制御手段が前記通知信号を受信した場合に前記第2の制御手段により該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するステップと、を有するプログラムである。
【0016】
第6の発明による自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムは、上記第5の発明による自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムにおいて、前記第2の制御手段がさらに前記駆動系を制御し得るように構成されたものであって、前記第2の制御手段により前記第1の制御手段の負荷を監視するステップと、前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定するステップと、前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定されたときに該第1の制御手段に代わって前記第2の制御手段により前記駆動系を制御するステップと、をさらに有するプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムによれば、駆動系に支障が生じたときにその旨を表示して報知することができる。
【0018】
また、本発明の自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムによれば、駆動系をより一層確実に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1を示したものであり、自動挿入式電子内視鏡装置の構成を示す図である。
【0021】
この自動挿入式電子内視鏡装置は、第1の制御手段たる第1の制御部1と、第2の制御手段たる第2の制御部2と、駆動系であり駆動制御手段たるモータ制御部3と、駆動系であり駆動制御手段たるAWS制御部4と、駆動系であり駆動制御手段たる湾曲制御部5と、撮像系たる撮像部6と、表示手段たるモニタ7と、電源部たる電源8と、電源部たるUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)9と、モータ制御コントローラ13と、AWS/湾曲コントローラ15と、撮像系たるI/F16と、挿入部21と、この挿入部21を構成する螺旋部材22と、挿入部21を構成する先端部23と、挿入量検知部24と、駆動系であり駆動源たる側面駆動モータ31と、エンコーダ32と、駆動ローラ33と、受ローラ34,35と、回転数検知部36と、ギヤ41と、ギヤ42と、駆動系であり駆動源たる端面駆動モータ43と、エンコーダ44と、駆動系たるポンプ51と、駆動系たる電磁弁52,53,54と、送水タンク55と、駆動系たる吸引ポンプ61と、駆動系たる電磁弁62と、吸引タンク63と、CO2 (二酸化炭素)ボンベ71と、ボンベ圧力センサ72と、駆動系たる電磁弁73,74,75,76と、を有して構成されている。
【0022】
第1の制御部1は、駆動系を制御するためのものであって、例えばワンチップのマイクロコンピュータにより構成されている。この第1の制御部1は、モータ制御部3、AWS制御部4、および湾曲制御部5と双方向に接続されていると共に、挿入量検知部24により検知された挿入量の情報が入力されるようになっている。すなわち、この第1の制御部1により制御される駆動系としては、モータ系、AWS系、湾曲系が含まれている。
【0023】
挿入部21は、体腔内に挿入され得るように例えば細長の形状に形成されたものである。この挿入部21の外周側には、外周面に螺旋形状部が形成された筒体状の螺旋部材22が、挿入軸周りに回動可能となるように設けられている。この螺旋部材22の基端側には、ギヤ41が回動一体に配設されている。
【0024】
挿入部21の先端側には、上下左右に湾曲可能な先端部23が設けられていて、螺旋部材22の先端がこの先端部23の基端側の当付部に当接して、回転により発生した推進力を伝達するようになっている。この先端部23には、上述した撮像部6の撮像素子や、図示しない照明部、送気ノズル、送水ノズル、吸引口などが配設されている。
【0025】
挿入部21の螺旋部材22の外周側には、挿入部21の挿入量を検出するための挿入量検知部24が配設されている。この挿入量検知部24は、例えばフォトリフレクタ等を含んで構成されていて、検出した情報を第1の制御部1へ出力するようになっている。第1の制御部1は、挿入量検知部24から入力された情報に基づいて、挿入部21がどのくらいの長さ延出されたかを算出して、算出結果に基づきモータ等の制御を行うようになっている。
【0026】
挿入部21の螺旋部材22の外周側には、さらに、駆動ローラ33と、受ローラ34,35とが、該螺旋部材22を外周側から押圧力を持って挟み込むように配設されている。このとき、各ローラ33,34,35は、挿入部21を回転させると同時に挿入部21の挿入軸方向に挿抜させるように、各回転軸を挿入軸方向に対してやや傾けて、すなわち、各ローラ33,34,35の回転軸が螺旋部材22の螺旋形状部のリード角の方向に例えば直交するように、配設されている。
【0027】
上記各ローラ33,34,35の内の駆動ローラ33には、側面駆動モータ31が回転駆動力を伝達するように取り付けられている。この側面駆動モータ31は、モータ制御部3により駆動状態を制御されるようになっている。さらに、この側面駆動モータ31には、エンコーダ32が設けられており、該側面駆動モータ31の回転状態を検出して、検出結果をモータ制御部3へ出力するようになっている。
【0028】
また、受ローラ34には、回転数検知部36が回動一体に取り付けられており、受ローラ34の単位時間当たりの回転数を検出して、検出結果をモータ制御部3へ出力するようになっている。上述した駆動ローラ33は、側面駆動モータ31の回転駆動力を受けて能動的に回転するものであるために、螺旋部材22に対して空回りすることもあり得る。これに対して受ローラ34は、螺旋部材22との摩擦力により該螺旋部材22に従って受動的に回転するものであって、空回りすることは基本的にないために、回転数検知部36をこの受ローラ34に対して取り付けている。そして、回転数検知部36は、受ローラ34の回転状態を検出することを介して、螺旋部材22の回転状態を検出するようになっている。
【0029】
螺旋部材22の基端側に回動一体に取り付けられたギヤ41には、ギヤ42が噛合しており、このギヤ42には端面駆動モータ43が回転駆動力を伝達するように取り付けられている。この端面駆動モータ43は、モータ制御部3により駆動状態を制御されるようになっている。さらに、この端面駆動モータ43には、エンコーダ44が設けられており、該端面駆動モータ43の回転状態を検出して、検出結果をモータ制御部3へ出力するようになっている。
【0030】
そして、モータ制御コントローラ13は、例えばフットスイッチ等を含んで構成されていて、モータの動作に関する操作入力を行うためのものである。このモータ制御コントローラ13からの入力は、モータ制御部3に送信されるようになっている。
【0031】
従って、モータ制御部3は、モータ制御コントローラ13からの操作入力を受けて、第1の制御部1の制御に基づき、挿入量検知部24、エンコーダ32、回転数検知部36、エンコーダ44の各検出結果を参照しながら、側面駆動モータ31および端面駆動モータ43を連動させるように駆動する。このとき、螺旋部材22が一方向へ回転すれば挿入部21が被検体内へ挿入される方向に進行することになり、他方向へ回転すれば挿入部21が被検体から抜脱される方向に後退することになる。
【0032】
挿入部21の内部には、送気管路および送水管路が配設されており、送気管路は電磁弁53へ、送水管路は送水タンク55内の水部分内へ、それぞれ接続されている。電磁弁53を経由する送気管路は、電磁弁52を介してポンプ51へ接続されている。また、送水タンク55内の空気部分内には、送水用の送気管路が接続されており、この送水用送気管路は電磁弁54、電磁弁52を介してポンプ51へ接続されている。このような構成において、AWS制御部4は、ポンプ51および電磁弁52,53,54を制御することにより、送気や送水を行うようになっている。すなわち、電磁弁52が閉じられているときには、ポンプ51による送気は、外部へリークしている。一方、電磁弁52を電磁弁53側へのみオープンにし、電磁弁54側へはクローズするとともに、電磁弁53をオープンにすることにより、ポンプ51から送られた空気が、送気管路を介して挿入部21へ伝達され、先端部23に設けられた送気ノズルからの送気が行われるようになっている。また、電磁弁52を電磁弁54側へのみオープンにし、電磁弁53側へはクローズするとともに、電磁弁54をオープンにすることにより、ポンプ51から送られた空気が、送水用送気管路を介して送水タンク55の空気部分へ送られ、水面を加圧する。これにより、送水タンク55の水部分に先端が没している送水管路から水が挿入部21へ送り出され、先端部23に設けられた送水ノズルからの送水が行われるようになっている。
【0033】
さらに、挿入部21の内部には、吸引管路が配設されており、吸引タンク63と電磁弁62とを介して、吸引ポンプ61に接続されている。AWS制御部4は、吸引ポンプ61および電磁弁62を制御することにより、吸引を行うようになっている。すなわち、電磁弁62が閉じられているときには、吸引ポンプ61は外気を吸引している。一方、電磁弁62をオープンにすると、吸引タンク63を介して先端部23に設けられた吸引口からの吸引が行われるようになっている。
【0034】
挿入部21の内部には、4本の湾曲用管路が配設されており、先端部23内に設けられた上(U)湾曲用気室、下(D)湾曲用気室、右(R)湾曲用気室、左(L)湾曲用気室に各接続されている。ここに、先端部23内において、上(U)湾曲用気室は下側に、下(D)湾曲用気室は上側に、右(R)湾曲用気室は左側に、左(L)湾曲用気室は右側にそれぞれ配置されている。そして、例えば下側に配置された上(U)湾曲用気室内に二酸化炭素を送り込むと、該上(U)湾曲用気室が膨張して挿入方向に延長され、先端部23を上側に湾曲させる構造となっている。他の各気室に二酸化炭素を送り込んだときの作用も、方向が異なるだけで基本的には同様である。
【0035】
そして、上述した上(U)湾曲用気室、下(D)湾曲用気室、右(R)湾曲用気室、左(L)湾曲用気室に各接続されている湾曲用管路は、電磁弁73,74,75,76をそれぞれ介し、ボンベ圧力センサ72をさらに介した後に、CO2 ボンベ71に接続されている。ここに、ボンベ圧力センサ72は、CO2 ボンベ71の圧力を検出して、検出結果を湾曲制御部5へ出力するものである。そして、各電磁弁73,74,75,76は、湾曲制御部5により制御されるようになっている。
【0036】
上述したAWS制御部4および湾曲制御部5には、AWS/湾曲コントローラ15が接続されている。このAWS/湾曲コントローラ15は、例えば内視鏡の手元側の操作部に設けられた湾曲ボタンや、送気/送水ボタン、吸引ボタンなどを含んで構成されている。
【0037】
従って、AWS制御部4は、AWS/湾曲コントローラ15からの操作入力を受けて、第1の制御部1の制御に基づき、各ポンプ51,61や各電磁弁52,53,54,62を動作させ、送気(A)、送水(W)、吸引(S)を行うようになっている。
【0038】
また、湾曲制御部5は、AWS/湾曲コントローラ15からの操作入力を受けて、第1の制御部1の制御に基づき、ボンベ圧力センサ72の検出結果を参照しながら、各電磁弁73,74,75,76を動作させ、先端部23の湾曲を行うようになっている。
【0039】
次に、第2の制御部2は、撮像系を制御するためのものであって、例えばパーソナルコンピュータ等により構成されている。すなわち、第2の制御部2は、第1の制御部1とは別のCPUとして構成されていて、かつ例えばワンチップのマイクロコンピュータにより構成された第1の制御部1よりも高い処理能力を備えたものとなっている。そして、第1の制御部1と第2の制御部2とは、例えばシリアル通信等を介して双方向に通信可能となるように接続されている。
【0040】
撮像部6は、撮像素子を含んで構成されていて、少なくとも撮像素子は上述したように内視鏡の先端部23内に配設されており、被検体を撮像し、電気的な信号として出力するものである。
【0041】
この撮像部6は、I/F(インタフェース)16を介して第2の制御部2に接続されている。なお、撮像部6およびI/F16は、撮像系を構成している。
【0042】
第2の制御部2は、撮像部6から得られた信号を、表示用の映像信号に変換する画像処理を行い、この第2の制御部2に接続されたモニタ7へ出力し表示させるようになっている。さらに、第2の制御部2は、必要に応じて各種の報知表示を生成し、モニタ7に表示することもできるようになっている。
【0043】
上述した第1の制御部1および第2の制御部2を含むこの自動挿入式電子内視鏡装置内の各部には、電源8からの電源が供給されるようになっている。
【0044】
この電源8は、上述したUPS9を介して、コンセント等から電力供給を受けるようになっている。
【0045】
また、UPS9の状態を示す検知情報が、該UPS9から第2の制御部2へ出力されるようになっている。
【0046】
次に、上述したような構成の自動挿入式電子内視鏡装置における報知表示について説明する。
【0047】
第1の制御部1は、挿入量検知部24からの情報と、モータ制御部3からの情報と、AWS制御部4からの情報と、湾曲制御部5からの情報と、を受けて、駆動系の何れかに故障(ここに、「故障」という言葉は、「動作することができない」という意味ではなく、「完全な動作を行うには支障を来すことがある」程度の状態を含む広い意味に用いている。以下同様。)が生じていないかどうかを監視するようになっている。
【0048】
そして、第1の制御部1は、駆動系の何れかに故障が生じたことを検出した場合には、該駆動系を停止する必要がある故障であるか否かを判定して、停止する必要がある故障である場合には該駆動系を停止させる。
【0049】
一例を挙げれば、エンコーダ32からの情報に基づいて、側面駆動モータ31が回転していることを検出しているにもかかわらず、回転数検知部36からの情報に基づいて、螺旋部材22が回転していないことを検出した場合には、駆動ローラ33が空回りしている等が発生していると判断することができる。そこで、モータ制御部3は、側面駆動モータ31および端面駆動モータ43に制御信号を送信し、各モータ31,43の駆動を停止させる。
【0050】
また、電磁弁52,53,54の何れかが動作しない場合には、AWS制御部4は、ポンプ51の動作を停止させるとともに、各電磁弁52,53,54への電力供給を停止してクローズさせるなどする。
【0051】
さらに、電磁弁62が動作しない場合には、AWS制御部4は、吸引ポンプ61の動作を停止させるとともに、電磁弁62への電力供給を停止してクローズさせるなどする。
【0052】
加えて、電磁弁73,74,75,76の何れかが動作しない場合には、湾曲制御部5は、各電磁弁73,74,75,76への電力供給を停止してクローズさせるなどする。また、湾曲制御部5は、ボンベ圧力センサ72からの信号に基づき、CO2 ボンベ71の圧力が低下したことを検出した場合には、その低下の程度に応じてどのような制御を行うかを決定する。例えば、CO2 ボンベ71の圧力が所定値以下であるがまだ使用可能である場合には「交換間近です」などのメッセージのみを後述する制御部2を介して表示させるように制御し、圧力が使用不可能なレベルに低下した場合には各電磁弁73,74,75,76への電力供給を停止してクローズさせる制御を行う、などである。
【0053】
その後、第1の制御部1は、故障が発生した旨と、どの駆動系に故障が生じたかと、その故障の種類と、を示す通知信号を第2の制御部2に送信する。
【0054】
第2の制御部2は、第1の制御部1から前記通知信号を受けると、故障が発生した旨と、その故障の内容や対処法などと、を示す報知表示(例えば、報知メッセージ等)を作成して、モニタ7に表示する。このときの表示法の代表例としては、撮像部6からの映像に重畳して表示する方法と、撮像部6からの映像に代えて報知情報のみを表示する方法と、がある。
【0055】
このように、第1の制御部1は、駆動系に故障が生じたことを検出した場合には、必要に応じてまず故障が生じた駆動系、あるいは故障が生じた駆動系とそれ以外の駆動系、の駆動を停止させて、安全性を確保した後に、第2の制御部2を介してモニタ7に報知表示を行うようになっている。
【0056】
また、第2の制御部2は、撮像部6やI/F16などの撮像系に故障が生じた場合には、その旨の報知表示をモニタ7に行うようになっている。このとき、撮像系の故障の程度に応じて、第2の制御部2は、第1の制御部1を介して、駆動系を停止させる制御も行うようになっている。具体例としては、撮像系から映像が得られなくなった場合などには、第2の制御部2は、その旨の報知表示をモニタ7に行うとともに、故障の発生を示す通知信号を第1の制御部1へ送信する。第1の制御部1は、この通知信号を受信した場合には、安全性を考慮して、駆動系を停止させる制御を行うようになっている。
【0057】
さらに、第2の制御部2は、UPS9からの検知情報に基づいて、UPS9に何らかの故障が生じたことを検知した場合には、その旨の報知表示をモニタ7に行うようになっている。例えば、停電等によりコンセントからの電力供給が停止したために、UPS9自体からの電力供給が行われている場合に、その旨の報知表示を行うなどである。また、UPS9自体からの電力供給が可能な残り時間が所定時間よりも短くなった場合などには、第2の制御部2は、モニタ7にその旨の表示を行って、故障の発生を示す通知信号を第1の制御部1へ送信する。第1の制御部1は、この通知信号を受信した場合には、安全性を考慮して、駆動系を停止させる制御を行うようになっている。さらに、第2の制御部2は、所定時間待機した後に、撮像系を停止させる制御も行う。
【0058】
このような実施形態1によれば、駆動系を制御する第1の制御部1を、撮像系を制御し画像処理を行う第2の制御部2とは別のCPUとして構成して、駆動系の制御を専用のCPUに委ねるようにしたために、より安全性を確保することができる。
【0059】
そして、駆動系に故障が生じたときには、必要がある場合に駆動系を停止させるようにしたために、安全性を確保することができる。
【0060】
さらに、駆動系に故障が生じたときには、第1の制御部1から第2の制御部2へその旨の情報が伝達され、第2の制御部2に接続されているモニタ7に報知表示が行われるために、使用者は故障が生じたことと、故障の内容と、を把握して、対処することができる。このとき、さらに対処法もモニタ7に表示するようにした場合には、マニュアル等を探す必要なく、迅速に対処を行うことが可能となる。
【0061】
[実施形態2]
図2から図5は本発明の実施形態2を示したものであり、図2は自動挿入式電子内視鏡装置の構成を示す図、図3は故障フラグの構成例を示す図、図4は動作フラグの構成例を示す図、図5は自動挿入式電子内視鏡装置の作用を示すフローチャートである。
【0062】
この実施形態2において、上述の実施形態1と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0063】
本実施形態の自動挿入式電子内視鏡装置は、図2に示すように構成されていて、図1に示した実施形態1の構成と一部分が異なるものとなっている。
【0064】
この実施形態においては、駆動系は、第1の制御部1により制御されるようになっているだけでなく、第2の制御部2によっても制御可能となるように構成されている。
【0065】
すなわち、第2の制御部2は、モータ制御部3、AWS制御部4、および湾曲制御部5と双方向に接続されていると共に、挿入量検知部24により検知された挿入量の情報が入力されるようになっている。すなわち、この第2の制御部2は、第1の制御部1により制御される駆動系の何れをも、制御することができるようになっている。
【0066】
また、本実施形態においては、UPS9からの検知情報が、第2の制御部2だけでなく第1の制御部1にも入力されるようになっている。従って、第1の制御部1は、第2の制御部2からの通知信号を得なくても、UPS9からの検知情報に基づき、必要に応じて駆動系の停止等の制御を行うことが可能となっている。
【0067】
そして、本実施形態の第1の制御部1内には、故障フラグ1aと動作フラグ1bとが設けられている。
【0068】
まず、図3を参照して、故障フラグ1aの構成について説明する。
【0069】
故障フラグ1aは、例えば1バイト、つまり8ビット(ビット0〜ビット7)のフラグとして構成されており、各ビットがこの自動挿入式電子内視鏡装置内の各部において故障が発生しているか否かの状態を示すようになっている。
【0070】
例えば、故障フラグ1aのビット0は、値「0」がセットされているときにはモータ制御部3によるモータ制御が正常であることを示し、値「1」がセットされているときには故障が発生していることを示している。
【0071】
また、故障フラグ1aのビット1は、値「0」がセットされているときにはAWS制御部4によるAWS制御が正常であることを示し、値「1」がセットされているときには故障が発生していることを示している。
【0072】
同様に、故障フラグ1aのビット2は、値「0」がセットされているときには湾曲制御部5による湾曲制御が正常であることを示し、値「1」がセットされているときには故障が発生していることを示している。
【0073】
そして、故障フラグ1aのビット3は、値「0」がセットされているときには第2の制御部2による撮像系の制御が正常であることを示し、値「1」がセットされているときには故障が発生していることを示している。
【0074】
なお、故障フラグ1aのビット4〜ビット7は、未使用であっても構わないが、例えば、UPS9の検知情報に基づき、電源が正常であるか故障が発生しているかを示すのに用いても構わないし、その他の状態を示すのに用いることも可能である。
【0075】
次に、図4を参照して、動作フラグ1bの構成について説明する。
【0076】
動作フラグ1bも、故障フラグ1aと同様に、例えば1バイト、つまり8ビット(ビット0〜ビット7)のフラグとして構成されており、各ビットがこの自動挿入式電子内視鏡装置内における各部の動作を、第1の制御部1により行うか、あるいは第2の制御部2により行うか、の状態を示すようになっている。
【0077】
すなわち、例えば、動作フラグ1bのビット0は、値「0」がセットされているときにはモータ制御部3によるモータ制御が第1の制御部1により行われていることを示し、値「1」がセットされているときには第2の制御部2により行われていることを示している。
【0078】
また、動作フラグ1bのビット1は、値「0」がセットされているときにはAWS制御部4によるAWS制御が第1の制御部1により行われていることを示し、値「1」がセットされているときには第2の制御部2により行われていることを示している。
【0079】
さらに、動作フラグ1bのビット2は、値「0」がセットされているときには湾曲制御部5による湾曲制御が第1の制御部1により行われていることを示し、値「1」がセットされているときには第2の制御部2により行われていることを示している。
【0080】
そして、動作フラグ1bのビット3〜ビット7は、未使用となっているが、各種の動作状態を示すために用いてももちろん構わない。
【0081】
なお、撮像系の制御は第2の制御部2のみにより行われるために、この動作フラグ1b内には情報が記録されない。
【0082】
続いて、図5を参照して、本実施形態の自動挿入式電子内視鏡装置の動作について説明する。この図5に示す処理は、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムに従って、第1の制御部1および第2の制御部2が行う処理となっている。また、この図5において、図面の左半分に記載されたステップS1〜S16は第1の制御部1に係る動作を示し、図面の右半分に記載されたステップS100〜S114は第2の制御部2に係る動作を示している。
【0083】
この自動挿入式電子内視鏡装置の電源がオンされると、まず、図3に示したような故障フラグ1aをリセットする(全てのビットに0を入れる)とともに(ステップS1)、図4に示したような動作フラグ1bをリセットする(全てのビットに0を入れる)(ステップS2)。
【0084】
次に、第1の制御部1は、自己が制御する対象であるモータ制御と、AWS制御と、湾曲制御と、に関する故障のチェックを、モータ制御部3と、AWS制御部4と、湾曲制御部5と、をそれぞれ介して行う(ステップS3)。
【0085】
続いて、ステップS3において故障チェックを行った結果に基づき、図3に示した故障フラグ1aの各ビットに書き込みを行う(ステップS4)。
【0086】
一方、第2の制御部2は、自動挿入式電子内視鏡装置の電源がオンされると、第1の制御部1によりステップS4の処理が行われて故障フラグ1aに書き込みが行われるまで、待機する(ウェイト処理)(ステップS100)。
【0087】
そして、ステップS4の処理が行われた後に、故障フラグ1aの読み込みを行い(ステップS101)、この自動挿入式電子内視鏡装置に故障が生じているか否かのチェックを行う(ステップS102)。この故障チェックにおいては、第2の制御部2による制御の対象である撮像系についても故障が生じているか否かをチェックする。そして、第2の制御部2に故障が生じていることが検出された場合には、第2の制御部2は、第1の制御部1の故障フラグ1aに撮像系に係る故障フラグの書き込みを行う。
【0088】
そして、故障チェックの結果と、第2の制御部2が第1の制御部1の負荷を監視することにより得られた第1の制御部1の負荷状態と、に基づき、第2の制御部2は、第1の制御部1が担うモータ制御、AWS制御、湾曲制御を、そのまま第1の制御部1に担わせるか、それとも少なくとも1つを第2の制御部2が代わって担うか、の制御分担を判断する(ステップS103)。
【0089】
そして、第2の制御部2は、ステップS103の判断結果に基づいて、第1の制御部1内の動作フラグ1bに制御分担を示す書き込みを行う(ステップS104)。
【0090】
これに対して、第1の制御部1は、動作フラグの読み込みを行う(ステップS5)。
【0091】
そして、第1の制御部1は、まず、故障フラグ1aの状態を判断し、撮像系に異常(故障)が生じているか否かを判断する(ステップS6)。
【0092】
ここで、撮像系に異常が生じていると判断した場合には、第1の制御部は、モータ制御部3、AWS制御部4、湾曲制御部5の全てに対して、動作を停止するように制御する(ステップS7)。これは、撮像系に異常が生じて被検体の映像が得られない場合には、安全のために全ての駆動系の制御を停止するようにしたためである。
【0093】
このステップS7の処理を行うか、またはステップS6において撮像系が正常であると判定された場合には、故障フラグ1aをチェックすることにより、モータ制御に異常(故障)が生じているか否かを判定する(ステップS8)。
【0094】
ここで、モータ制御が正常である場合にはモータ制御部3を介してモータ制御を行い(ステップS9)、モータ制御に異常が生じている場合にはモータ制御部3を介して側面駆動モータ31および端面駆動モータ43の駆動を停止させる(ステップS10)。
【0095】
ステップS9またはステップS10の処理を行ったら、次に、故障フラグ1aをチェックすることにより、AWS制御に異常(故障)が生じているか否かを判定する(ステップS11)。
【0096】
ここで、AWS制御が正常である場合にはAWS制御部4を介してAWS制御を行い(ステップS12)、AWS制御に異常が生じている場合にはAWS制御部4を介してAWS系の各部の動作を停止させる(ステップS13)。
【0097】
ステップS12またはステップS13の処理を行ったら、次に、故障フラグ1aをチェックすることにより、湾曲制御に異常(故障)が生じているか否かを判定する(ステップS14)。
【0098】
ここで、湾曲制御が正常である場合には湾曲制御部5を介して湾曲制御を行い(ステップS15)、湾曲制御に異常が生じている場合には湾曲制御部5を介して湾曲系の各部の動作を停止させる(ステップS16)。
【0099】
ステップS15またはステップS16の処理を行ったら、ステップS3へ戻って上述したような処理を繰り返して行う。
【0100】
一方、第2の制御部2は、ステップS104の処理を行った後に、故障フラグ1aに書き込まれている各フラグの状態に応じて、モニタ7に報知表示を行うべき故障があるか否かを判定する(ステップS105)。
【0101】
ここで、表示すべき故障がある場合には、故障が生じている旨と、例えば、故障が生じている箇所と、該故障を解消するように促す表示と、を含む報知表示を行う(ステップS106)。なお、ここでさらに、故障を解消するための操作手順などもさらに表示するようにすると良い。
【0102】
このステップS106を行うか、またはステップS105において報知表示すべき故障がないと判定された場合には、第2の制御部2は、I/F16を介して撮像部6を制御し、被検体の撮像を行わせ、撮像により得られた信号を表示用の映像信号に変換してモニタ7に表示させる(ステップS107)。
【0103】
続いて、第2の制御部2は、第1の制御部1から動作フラグ1bを読み込んで(ステップS108)、モータ系の制御を自己が行う必要があるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、第2の制御部2によるモータ制御が必要であると判定された場合には、モータ制御部3の制御を第1の制御部1に代わって第2の制御部2自体が行う(ステップS110)。
【0104】
このステップS110の処理を行うか、またはステップS109において第2の制御部2によるモータ制御が不要であると判定された場合には、第2の制御部2は、ステップS108において読み込んだ動作フラグ1bに基づいて、AWS系の制御を自己が行う必要があるか否かを判定する(ステップS111)。ここで、第2の制御部2によるAWS制御が必要であると判定された場合には、AWS制御部4の制御を第1の制御部1に代わって第2の制御部2自体が行う(ステップS112)。
【0105】
このステップS112の処理を行うか、またはステップS111において第2の制御部2によるAWS制御が不要であると判定された場合には、第2の制御部2は、ステップS108において読み込んだ動作フラグ1bに基づいて、湾曲系の制御を自己が行う必要があるか否かを判定する(ステップS113)。ここで、第2の制御部2による湾曲制御が必要であると判定された場合には、湾曲制御部5の制御を第1の制御部1に代わって第2の制御部2自体が行う(ステップS114)。
【0106】
このステップS114の処理を行うか、またはステップS113において第2の制御部2による湾曲制御が不要であると判定された場合には、第2の制御部2は、ステップS102へ戻って上述したような処理を繰り返して行う。
【0107】
そして、故障が発見された場合であっても、その後に故障が解消した場合には、ステップS3およびステップS102の故障チェックにより故障が解消したことが検出され、その後に正常な動作に復帰することができる。
【0108】
なお、上述では、第1の制御部1の負荷が大きいときには、該第1の制御部1に代わって第2の制御部2が駆動系を制御することにより、第1の制御部1の負荷を軽減するようにしたが、これに限らず、第1の制御部1が行うべき演算や検知、判断の処理等の負荷を第2の制御部2が担うようにしても構わない。要は、第1の制御部1の負荷が大きいときに、第2の制御部2が第1の制御部1が担うべき負荷の少なくとも一部を代行することにより、第1の制御部1の負荷を軽減するようにすれば良い。
【0109】
このような実施形態2によれば、上述した実施形態1とほぼ同様の効果を奏するとともに、例えば故障が発生した等の原因により第1の制御部1に処理上の大きな負荷が掛かった場合には、該第1の制御部1が行うべき駆動系の制御の少なくとも一部を、第2の制御部2が第1の制御部1に代わって行うようにしたために、より一層安全性が高い状態で、駆動系を確実に駆動することが可能となる。
【0110】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0111】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0112】
(A1)
内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、
前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、
前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、
前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて、前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えた第2の制御手段と、
前記第2の制御手段に接続されていて、前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、
を具備し、
前記第1の制御手段は、前記駆動系に支障が生じたことを検知した場合には、該駆動系を停止させるように制御すると共に、該支障の発生を示す通知信号を前記第2の制御手段へ送信するものであり、
前記第2の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものであることを特徴とする自動挿入式電子内視鏡装置。
【0113】
(A2)
前記駆動系は、前記内視鏡へ送気を行うための送気用の駆動系を含むものであることを特徴とする付記A1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【0114】
(A3)
前記駆動系は、前記内視鏡へ送水を行うための送水用の駆動系を含むものであることを特徴とする付記A1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【0115】
(A4)
前記駆動系は、前記内視鏡からの吸引を行うための吸引用の駆動系を含むものであることを特徴とする付記A1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【0116】
(A5)
前記駆動系は、前記内視鏡の湾曲を行うための湾曲用の駆動系を含むものであることを特徴とする付記A1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【0117】
(A6)
当該自動挿入式電子内視鏡装置に電源を供給するための電源部をさらに具備し、
前記第2の制御手段は、前記電源部に支障が生じたことを検知した場合には、該支障の発生を示す通知信号を前記第1の制御手段へ送信するとともに、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものであり、
前記第1の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には該駆動系を停止させるように制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【0118】
(B1) 内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、
前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、
前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、
前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて、前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備え、さらに前記駆動系を制御し得る第2の制御手段と、
前記第2の制御手段に接続されていて、前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、
を具備し、
前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段の負荷を監視して、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定し、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定したときには、該第1の制御手段に代わって前記駆動系を制御するものであることを特徴とする自動挿入式電子内視鏡装置。
【0119】
(B2) 内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えさらに前記駆動系を制御し得る第2の制御手段と、前記第2の制御手段に接続されていて前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、を具備する自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムであって、
前記第2の制御手段により前記第1の制御手段の負荷を監視するステップと、
前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定するステップと、
前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定されたときに、該第1の制御手段に代わって前記第2の制御手段により前記駆動系を制御するステップと、
を有することを特徴とする自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、内視鏡の挿入部を駆動源を用いて自動挿入し得るようになされた自動挿入式電子内視鏡装置、自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施形態1における自動挿入式電子内視鏡装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態2における自動挿入式電子内視鏡装置の構成を示す図。
【図3】上記実施形態2の故障フラグの構成例を示す図。
【図4】上記実施形態1の動作フラグの構成例を示す図。
【図5】上記実施形態1における自動挿入式電子内視鏡装置の作用を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0122】
1…第1の制御部(第1の制御手段)
1a…故障フラグ
1b…動作フラグ
2…第2の制御部(第2の制御手段)
3…モータ制御部(駆動系、駆動制御手段)
4…AWS制御部(駆動系、駆動制御手段)
5…湾曲制御部(駆動系、駆動制御手段)
6…撮像部(撮像系、撮像素子を含む)
7…モニタ(表示手段)
8…電源(電源部)
9…UPS(電源部)
13…モータ制御コントローラ
15…AWS/湾曲コントローラ
16…I/F(撮像系)
21…挿入部
22…螺旋部材
23…先端部
24…挿入量検知部
31…側面駆動モータ(駆動系、駆動源)
32…エンコーダ
33…駆動ローラ
34,35…受ローラ
36…回転数検知部
41,42…ギヤ
43…端面駆動モータ(駆動系、駆動源)
44…エンコーダ
51…ポンプ(駆動系)
52,53,54…電磁弁(駆動系)
55…送水タンク
61…吸引ポンプ(駆動系)
62…電磁弁(駆動系)
63…吸引タンク
71…CO2 ボンベ
72…ボンベ圧力センサ
73,74,75,76…電磁弁(駆動系)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、
前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、
前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、
前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて、前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えた第2の制御手段と、
前記第2の制御手段に接続されていて、前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、
を具備し、
前記第1の制御手段は、前記駆動系に支障が生じたことを検知した場合には、該駆動系を停止させるように制御すると共に、該支障の発生を示す通知信号を前記第2の制御手段へ送信するものであり、
前記第2の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものであることを特徴とする自動挿入式電子内視鏡装置。
【請求項2】
前記第2の制御手段は、前記撮像系に支障が生じたことを検知した場合には、該支障の発生を示す通知信号を前記第1の制御手段へ送信するとともに、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するものであり、
前記第1の制御手段は、前記通知信号を受信した場合には該駆動系を停止させるように制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段の負荷を監視して、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定し、該第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定したときには、該第1の制御手段が担うべき負荷の少なくとも一部を、該第1の制御手段に代わって該第2の制御手段自体が担うようにさらに制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動挿入式電子内視鏡装置。
【請求項4】
前記第2の制御手段は、さらに、前記駆動系を制御し得るように構成されたものであって、前記第1の制御手段に代わって前記第2の制御手段が担う負荷は、該駆動系の制御であることを特徴とする請求項3に記載の自動挿入式電子内視鏡装置
【請求項5】
内視鏡の挿入部を自動挿入するための駆動源を含む駆動系と、前記駆動系を制御するための第1の制御手段と、前記内視鏡の挿入部の先端部に配設された撮像素子を含む撮像系と、前記第1の制御手段と通信可能に接続されていて前記撮像系からの信号を表示用の映像信号に変換する機能を備えた第2の制御手段と、前記第2の制御手段に接続されていて前記表示用の映像信号を表示するための表示手段と、を具備する自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラムであって、
前記第1の制御手段により、前記駆動系に支障が生じたことを検知した場合に該駆動系を停止させるように制御するステップと、
前記第1の制御手段により、前記支障の発生を示す通知信号を前記第2の制御手段へ送信するステップと、
前記第2の制御手段が前記通知信号を受信した場合に、前記第2の制御手段により、該支障が発生した旨の報知表示を前記表示手段に行わせるように制御するステップと、
を有することを特徴とする自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラム。
【請求項6】
前記第2の制御手段は、さらに、前記駆動系を制御し得るように構成されたものであって、
前記第2の制御手段により前記第1の制御手段の負荷を監視するステップと、
前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいか否かを判定するステップと、
前記第1の制御手段の負荷が該第1の制御手段のみにより担うには大きいと判定されたときに、該第1の制御手段に代わって前記第2の制御手段により前記駆動系を制御するステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の自動挿入式電子内視鏡装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−237395(P2008−237395A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80122(P2007−80122)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】